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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141943
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】排水処理ユニット
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/02 20060101AFI20230928BHJP
   B09B 3/60 20220101ALI20230928BHJP
   B01D 53/38 20060101ALI20230928BHJP
   B01D 53/85 20060101ALI20230928BHJP
   B09B 101/70 20220101ALN20230928BHJP
【FI】
C02F11/02
B09B3/60 ZAB
B01D53/38 110
B01D53/85
B09B101:70
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048539
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】510266815
【氏名又は名称】安永クリーンテック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000139687
【氏名又は名称】株式会社安永
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 敦
【テーマコード(参考)】
4D002
4D004
4D059
【Fターム(参考)】
4D002AB02
4D002AC10
4D002BA04
4D002BA17
4D002CA07
4D002DA58
4D002DA59
4D004AA03
4D004CA04
4D004CA13
4D004CA19
4D004CA48
4D004CC20
4D059AA07
4D059BA03
4D059BJ11
4D059BJ15
4D059CA16
4D059EB11
(57)【要約】
【課題】処理装置および脱臭装置を含む排水処理システムの設置を簡便化する。
【解決手段】有機固形物を含む排水を浄化する処理装置20と、処理装置20に接続され、処理装置20から排気されるガスが流通する配管30と、配管30内のガスを搬送するファン40と、脱臭材52bにより配管30から流入するガスを脱臭する脱臭装置50と、処理装置20およびファン40の運転を制御する制御装置60とを備え、処理装置20、配管30、ファン40、脱臭装置50および制御装置60は、同一の対象空間Sに配置される排水処理ユニットとした。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機固形物を含む排水を浄化する処理装置と、
前記処理装置に接続され、前記処理装置から排気されるガスが流通する配管と、
前記配管内のガスを搬送するファンと、
前記配管に接続され、脱臭材により前記配管から流入するガスを脱臭する脱臭装置と、
前記処理装置および前記ファンの運転を制御する制御装置とを備え、
前記処理装置、前記配管、前記ファン、前記脱臭装置および前記制御装置は、同一の対象空間に配置される
ことを特徴とする排水処理ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の排水処理ユニットにおいて、
前記対象空間は、建物の地下に形成される地下空間であることを特徴とする排水処理ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の排水処理ユニットにおいて、
前記脱臭装置は、前記脱臭材を収容するケーシングと、前記脱臭材により処理された空気を排出する排気管を有し、
前記脱臭材は、土壌で形成されることを特徴とする排水処理ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の排水処理ユニットにおいて、
前記脱臭装置は、前記脱臭材の下部に配置され、前記脱臭材の流出を抑制する流出抑制材を有する
ことを特徴とする排水処理ユニット。
【請求項5】
請求項1~4に記載のいずれか1つの排水処理ユニットにおいて、
複数の前記脱臭装置を有し、
複数の前記脱臭装置は、上下方向に並ぶように配置される
ことを特徴とする排水処理ユニット。
【請求項6】
請求項1~5に記載のいずれか1つの排水処理ユニットにおいて、
前記脱臭装置は、前記処理装置の上方に配置される
ことを特徴とする排水処理ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、排水処理システムに関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活の利便性向上の観点から、集合住宅において、台所に設置したディスポーザで有機固形物(生ゴミなど)を破砕し、粉砕した有機固形物を水と共に廃水として処理して外部へ放出する排水処理システムが導入されている。この排水処理システムでは、排水処理装置により浄化処理されるが、好気性微生物を利用した浄化処理を行うと、臭気成分を含むガスが発生する。このようなガスはそのまま外部へ排気できないため、ガスから臭気成分を取り除く脱臭装置が設けられる。
【0003】
このような脱臭装置は、土壌中に生息する微生物を利用する生物脱臭システムが採用される。例えば特許文献1では、土壌層が設けられた土壌脱臭装置が開示されている。この土壌脱臭装置は、土壌層の下方に空間(空気溜まり)が設けられ、土壌層の上方は外部へ連通するように構成される。空気溜まりに供給された臭気成分を含んだ空気は、土壌層を通過する際に微生物により脱臭・減臭される。脱臭・減臭された空気は土壌層の上部から大気へ放出される。
【0004】
また、特許文献2では、微生物を担持させた担体充填層が設けられた脱臭装置が開示されている。この担体には、セラミックスや活性炭などの多孔質材料が用いられる。この脱臭装置においても、臭気成分を含んだ空気を担体充填層に供給して、脱臭・減臭させた後、大気へ放出させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6-041825号公報
【特許文献2】特開平10-180033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、集合住宅に設けられる脱臭装置はその敷地内に配置されるが、建屋の美観や省スペース化の観点から設置される区画が制限される。特に土壌脱臭装置において、その脱臭作用の強さは土壌面積に比例するため、戸数に応じた土壌面積が必要となる。このことより、土壌脱臭装置が設置可能な区画面積が比較的狭いと、十分な脱臭効果が得られない。加えて、排水処理装置から発生する臭気を含んだ空気は配管を介して脱臭装置に送られるが、土壌脱臭装置の設置場所は限られることから排水処理装置と脱臭装置との距離が遠くなると、配管の設置が困難になるなどの問題があり、これらのことから排水処理システムの設置自由度は高いとはいえない。
【0007】
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするとこは、処理装置および脱臭装置を含む排水処理システムの設置を簡便化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術では、有機固形物を含む排水を浄化する処理装置と、前記処理装置に接続され、前記処理装置から排気されるガスが流通する配管と、前記配管内のガスを搬送するファンと、前記配管に接続され、脱臭材により前記配管から流入するガスを脱臭する脱臭装置と、前記処理装置および前記ファンの運転を制御する制御装置とを備え、前記処理装置、前記配管、前記ファン、前記脱臭装置および前記制御装置は、同一の対象空間に配置される排水処理ユニットという構成にした。
【0009】
この構成によると、処理装置、配管、ファン、脱臭装置および制御装置が設置される対象空間は同一であるため、排水処理システムの設置を簡便化できる。加えて、処理装置、配管、ファン、脱臭装置および制御装置は1つのユニットとして構成されるため、これらの装置および配管のそれぞれを個々の現場に応じて設置する必要がない。このことにより、作業員による設置作業の負担を軽減できる共に設置コストも抑えることができる。加えて、処理装置、配管、ファン、脱臭装置および制御装置をユニット化することで製品をコンパクトにでき、設置空間の省スペース化を図ることができる。
【0010】
前記排水処理ユニットにおいて、前記対象空間は、建物の地下に形成される地下空間である、という構成でもよい。
【0011】
この構成によると、例えば集合住宅内の敷地面積が処理装置や脱臭装置を設置できるほど十分でなくても、集合住宅の建屋の地下に対象空間を設けることで排水処理ユニットを配置できる。
【0012】
前記排水処理ユニットにおいて、前記脱臭装置は、前記脱臭材を収容するケーシングと、前記脱臭材により処理された空気を排出する排気管を有し、前記脱臭材は、土壌で形成される、という構成でもよい。
【0013】
この構成によると、脱臭装置を比較的安価かつ簡便に製造できる。ひいては、排水処理ユニットの製造コストを抑えることができる。
【0014】
前記排水処理ユニットにおいて、前記脱臭装置は、前記脱臭材の下部に配置され、前記脱臭材の流出を抑制する流出抑制材を有する、という構成でもよい。
【0015】
この構成によると、脱臭材(土壌)の流出を抑えることができるため、脱臭装置の脱臭機能の低下を抑えることができる。
【0016】
前記排水処理ユニットにおいて、複数の前記脱臭装置を有し、複数の脱臭装置は上下方向に並ぶように配置される、という構成でもよい。
【0017】
この構成によると、1つの脱臭装置を小型化して複数の脱臭装置を縦積みすることができる。このことで、上から見た時の設置面積を小さくでき、十分な広さがない区画においても脱臭装置を設置することができる。
【0018】
前記排水処理ユニットにおいて、前記脱臭装置は、前記処理装置の上方に配置される、という構成でもよい。
【0019】
この構成によると、処理装置の上方の空間を有効利用でき、十分な広さがない区画においても排水処理ユニットを設けることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、処理装置および脱臭装置を含む排水処理システムの設置を簡便化できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態に係る排水処理ユニットを集合住宅に適用した場合の図である。
図2図2は、排水処理ユニットの構成を示す概略図である。
図3図3は、処理装置の構成を示す概略図である。
図4図4は、脱臭装置の構成を示す概略図である。
図5図5は、制御装置と各種の機器との関係を示すブロック図である。
図6図6は、排水処理ユニットの運転フローを示すフローチャートである。
図7図7は、地下空間に設置された排水処理ユニットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、「右」「左」「上」「下」は、各図面に示された方向を指す。
(1)排水処理ユニットの概要
図1および図2に示すように、本実施形態の排水処理ユニット1は、マンションなどの集合住宅2に適用される。排水処理ユニット1は、集合住宅2の各家庭の台所から出される排水を処理する。具体的に、各家庭の台所の排水溝には、ディスポーザ3が設けられている。ディスポーザ3は、調理などにより発生する野菜は魚介などからなる生ゴミを粉砕する。ディスポーザ3により粉砕された生ゴミ(以下、有機固形物という)は、水道から供給される水と共に排水として排出される。
【0023】
排水は、排水管4を通って、排水処理ユニット1に流入する。排水処理ユニット1は、地下空間Sに配置されており、有機固形物を含む排水を浄化して、下水として放出する。排水処理ユニット1は、処理装置20、配管30、ファン40、脱臭装置50、および制御装置60を有する。
【0024】
(1-1)処理装置
図3に示すように、処理装置20は、横長のタンク21を有する。処理装置20は、排水管4から流入する有機固形物を含む排水を浄化する。
【0025】
タンク21内には、左方から右方に向かって無機分離槽22、整流槽23、好気消化槽24が順に設けられる。タンク21内には、第1仕切壁26a、および第2仕切壁26bが配置される。第1仕切壁26aは、無機分離槽22と整流槽23とを仕切る。第2仕切壁26bは、整流槽23と好気消化槽24とを仕切る。
【0026】
無機分離槽22には、排水管4の流出端が接続される。無機分離槽22では、排水管4から流入した排水中に含まれるプラスチックやアルミホイルの破片などの無機物を分離する。無機分離槽22には、拡散装置25が配置される。拡散装置25による撹拌により、無機物を沈殿させることで除去する。第1仕切壁26aの上部は開口しており、無機分離槽22内の排水は、第1仕切壁26aの開口を介して整流槽23に流入する。
【0027】
整流槽23および好気消化槽24では、微生物による排水の浄化処理を行う。具体的に、整流槽23および好気消化槽24のそれぞれには、曝気装置27が配置される。曝気装置27は、空気を槽内に供給すると共に、排水を撹拌する。このように曝気装置27による曝気撹拌状態において、槽内に滞留する微生物の働きにより、排水中の有機固形物の可溶化および水質浄化を行う。
【0028】
第2仕切壁26bは、その上部および下部において開口している。無機分離槽22から整流槽23に流入した排水は、曝気装置27により曝気された後、第2仕切壁26bの上部および下部から整流されて好気消化槽24に流入する。
【0029】
好気消化槽24には、2つの曝気装置27,27、ポンプ28、及び流出管29が配置される。2つの曝気装置27,27は、排水の流れ方向に並んで配置される。ポンプ28は、曝気装置27を停止した後に汚泥と分離される上澄水を汲み上げて、流出管29に流入させる。上澄液は、流出管29を通過して外部へ放出される。
【0030】
タンク21の上面には、左右方向に並ぶ複数の開口31,31,…31が設けられる。各開口31は、各槽(無機分離槽22、整流槽23および好気消化槽24)の上方にそれぞれ配置される。タンク21の上面には、各開口31を塞ぐ蓋32が設けられる。蓋32を開放することで、各槽内の点検、修理、清掃等を行うことができる。タンク21の上面のうち、好気消化槽24の上方には後述する配管30の流入端が接続される。
【0031】
(1-2)配管およびファン
図2に示すように、配管30は、処理装置20と脱臭装置50とを接続する。上述したように、排水の浄化処理により発生した臭気を含むがガスがタンク21内に発生する。配管30には、処理装置20から排気されるガスが流通する。
【0032】
ファン40は、配管30に設けられる。ファン40は、配管30内のガスを脱臭装置50へ搬送する。ファン40は、風量可変式である。ファン40は、例えばタップ式であり、複数段階の風量に調節可能である。
【0033】
(1-3)脱臭装置
図4に示すように、脱臭装置50は、配管30から流入するガスから臭気成分を取り除く(脱臭する)。本実施形態の脱臭装置50は、土壌脱臭装置である。脱臭装置50は、ケーシング51、土壌部52および拡散部53を有する。
【0034】
ケーシング51は、縦長の箱状に形成される。ケーシング51の材質は、例えば繊維強化プラスチックである。ケーシング51は、複数のケーシング51,51,…51が上下方向に段組み(積み上げ)可能に構成される。これにより、複数の脱臭装置50,50,…50を設ける場合、脱臭装置を積み重ねて配置できる。ケーシング51内には、土壌部52および拡散部53が収容される。
【0035】
土壌部52は、ケーシング51内の中腹より上側部分に配置される。土壌部52の上方には空間が形成される。土壌部52は、赤玉土層52aおよび脱臭層52bが順に積層される。
【0036】
脱臭層52bは、本開示の脱臭材52bである。脱臭層52bは土壌で形成される。脱臭層52bは、ガス中の臭気成分を捕集及び脱臭する。脱臭層52bは、土壌中の微生物の働きにより、土壌粒子や土壌中の水分に吸着した臭気成分を無臭な物質に分解する。
【0037】
赤玉土層52aは、本開示の流出抑制材52aである。赤玉土層52aは、粒径が脱臭層の粒子よりも大きく、かつ、後述するメッシュ54の網目のサイズよりも大きい粒子で構成される。赤玉土層52aは、脱臭層52bの粒子が拡散部53に流出することを抑制する。
【0038】
拡散部53は、ケーシング51の中腹よりも下側部分に配置される。拡散部53は、砕石が敷き詰められて形成される砕石層である。拡散部53内には、配管30の端部が配置される。拡散部53は配管30から流入するガスを土壌部52全体に拡散するための層である。拡散部53と土壌部52との間には、メッシュ54が配置される。
【0039】
メッシュ54は、土壌部52(具体的には赤玉土層52a)が拡散部53に混ざり合うことを抑制する。メッシュ54は、樹脂または防錆処理済みの金属で構成される。
【0040】
ケーシング51には、配管30、ドレン管55、散水管56および排気管57が接続する。
【0041】
配管30は、ケーシング51の一側面から向かい合う側面に向かって拡散部53内を水平に伸びる。ケーシング51内における配管30の底部には、直径が10mmの複数の孔33,33,…33が設けられる。この複数の孔33,33,…33は、配管30の長手方向に一定の間隔をあけて設けられている。また、配管30の端部は、該向かい合う側面近傍にまで伸びている。このような構成により、複数の孔33,33,…33をケーシング51の一側面からその向かい合う側面に亘って設けることができるため、配管30内のガスを拡散部53全体に満遍なく行き渡らせることができる。
【0042】
各孔33が配管30の底部に形成されることで、上方から流れてくる水が配管30内に進入することを抑制できる。また、仮に各孔33が配管30の上側部分に形成される場合では、各孔33から流出するガスはそのまま拡散部53内を上方へ流れるが、各孔33は配管30の底部に形成されているため、各孔33から流出するガスは、配管30の下方に向かって流れてから拡散部53内を上方へ流れる。このように、拡散部53内を流れるガスの流路長を長くすることができるため、拡散部53内での拡散効果を高めることができる。
【0043】
また、各孔33は、配管30内に結露等で生じる水を排出するため、配管30内に水が溜まることが抑制される。このように、複数の孔33,33,…33は、ガスの流出機能と水の流出機能とを兼用する。なお、ケーシング51内における配管30の端部は、開放されていてもよいし閉塞されていてもよい。
【0044】
ドレン管55は、ケーシング51底部の側面に接続される。ドレン管55は、ケーシング51内の水を排出する。ケーシング51内の底に溜まった水はドレン管55を介して外部(例えば、地中)に排出される。ドレン管55は、ケーシング51内部から外部に向かって水平に延びる。ドレン管55は、ケーシング51内部から外部に向かって下方に傾斜するように設けられてもよい。このことで、ケーシング51内に貯まった水を効率良く排出できる。
【0045】
散水管56は、ケーシング51側面の上部に接続される。散水管56は、水道または所定の貯水タンクに接続され、脱臭材52bに水分を供給する。散水管56は、ケーシング51内の土壌部52上方の空間を水平方向に伸びる。散水管56の流出端は、ケーシング51内中央寄りに位置する。このことで、ケーシング51内上部の中央から散水されることで、脱臭材52bを満遍なくなく保湿できる。
【0046】
排気管57は、ケーシング51側面の上部に接続する。排気管57は、土壌部52内で脱臭された空気を外部へ排気する。排気管57は、ケーシング51内の土壌部52上方の空間を水平に伸びる。
【0047】
(1-4)制御装置
図5に示すように、制御装置60は、排水処理ユニット1の各種の機器と通信線により接続される。通信線は有線であっても無線であってもよい。制御装置60は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウェアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを含む。制御装置60は、ファン40の動作や、処理装置20の拡散装置25、曝気装置27およびポンプ28の動作を制御する。
【0048】
(2)排水処理ユニットの運転
次に、排水処理ユニット1の運転の一例について図6を用いて説明する。
【0049】
ステップS11では、制御装置60は、ファン40の運転をONにする。このことで、配管30内の空気が脱臭装置50へ搬送される。
【0050】
ステップS12では、制御装置60は、拡散装置25および曝気装置27の運転をONにする。これにより、各家庭のディスポーザ3により処理された排水は、排水管4を介してタンク21に流入する。タンク21内では、無機分離槽22において拡散装置25により排水から無機物が分離される。分離された排水は整流槽23および好気消化槽24にて浄化処理される。具体的に、曝気装置27の運転により排水が撹拌されると共に、空気の供給により活性化した微生物の働きにより、排水中の有機固形物が可溶化される。
【0051】
ステップS13では、制御装置60は、曝気装置27の運転をOFFにする。これにより、整流槽23内および好気消化槽24内では、排水は汚泥と上澄水とに分離される。
【0052】
ステップS14では、制御装置60は、ポンプ28の運転をONにする。これにより、ステップS13で分離された上澄水が汲み上げられて、流出管29を介して下水に放出される。汚泥は所定の作業により外部に廃棄される。
【0053】
一方、浄化処理により排水から発生したガスは配管30に流入する。配管30を流通したガスは、脱臭装置50内で脱臭されて外気へ放出される。具体的に、配管30から脱臭装置50内に流入したガスは砕石層(拡散部53)によりケーシング51全体に行き渡るように拡散される。このガスは上昇してメッシュ54を介して土壌部52に流入する。土壌部52では、脱臭層52bの微生物の働きにより、ガス中の臭気成分が分解される。ガスは脱臭層52bを上昇しながら脱臭されて、排気管57に流入し、外気へ放出される。
【0054】
(3)排水処理ユニットの配置
次に、本実施例の排水処理ユニット1の配置の一例について、図7を用いて説明する。
【0055】
排水処理ユニット1は、集合住宅2の敷地内の地下空間Sに配置される。地下空間Sは、集合住宅2の建屋の真下に設けられる。この地下空間Sは、本開示の対象空間Sの一例である。排水処理ユニット1を構成する処理装置20、脱臭装置50、配管30、ファン40および制御装置60は、同一の地下空間Sに設置される。地下空間Sの底部には釜場70が設けられ、ファン40や配管30に生じた水は所定の管を通って釜場70に排水される。
【0056】
本実施例の排水処理ユニット1は、複数の脱臭装置50,50,…50を有する。処理装置20から脱臭装置50に向かって伸びる配管30は、複数に分岐して各脱臭装置50に接続される。複数の脱臭装置50,50,…50は、横方向および縦方向に並んで配置される。脱臭装置50のケーシング51は縦積み可能に構成されているため、脱臭装置50を積み重ねるだけで縦方向に複数設置できる。
【0057】
(4)特徴
(4-1)特徴1
本実施形態の排水処理ユニット1は、処理装置20、配管30、ファン40、脱臭装置50および制御装置60を有し、これらが同一の対象空間Sに配置されるように構成される。
【0058】
本実施形態によると、処理装置20、配管30、ファン40、脱臭装置50および制御装置60を、1つの排水処理ユニット1として同一の対象空間Sに配置される。このことで、個々の装置や配管を複数の異なる場所に配置する必要がなく、排水処理システムの設置を簡便化できる。
【0059】
加えて、処理装置20、配管30、ファン40、脱臭装置50および制御装置60は1つのユニットとして構成されるため、これらの装置および配管のそれぞれを個々の現場に応じて設置する必要がなく、設置作業の負担を低減できる共に設置コストも抑えることができる。
【0060】
加えて、ユニットにすることで、処理装置20および脱臭装置50を繋ぐ配管30の長さを短くすることができる。このことで、配管30の容積を少なくできるため、配管30内に流れる空気の圧損が抑えられ、ファン40の運転負荷を抑えることができる。ファン40の運転負荷を抑えることができると、ファン40の故障を抑制できると共にファン40の寿命を延ばすこともできる。
【0061】
加えて、排水処理ユニットを単一の規格として工場生産することで、製造工数および製造コストを抑えることができる。また、このようにユニット化することで製品サイズをコンパクト化することができると共に、設置空間の省スペース化を図ることができる。このことで限られた空間でも設置できる。
【0062】
加えて、排水処理ユニット1を構成する装置及び配管は、同じ空間に配置されているため、各装置および配管の点検や修理(以下、メンテナンスと呼ぶ)を同じ空間で行うことができる。このことで、同時に複数の装置のメンテナンスを行うことができ、また、作業者が装置ごとに異なる場所に移動してメンテナンスを行うことを不要にできるため、メンテナンス効率を向上できる。
【0063】
加えて、1つの制御装置60で排水処理ユニット1内の複数の装置を制御できる。個々の装置について個別に制御装置60を設ける必要がないため、製品の部品点数や製造コストを抑えることができる。複数の装置を1つの制御装置60で集中してコントロールできるため作業効率を向上できる。具体的に、各装置の運転管理、異常管理、モニタリング等を一括で行うことができる。このことで排水処理システム全体の管理の容易化を図ることができる。
【0064】
(4-2)特徴2
本実施形態の排水処理ユニット1は、建物の地下に形成される地下空間Sに配置される。
【0065】
本実施形態によると、集合住宅2の建屋の地下に設けられる地下空間Sに排水処理ユニット1を配置する。このことで、例えば集合住宅2内の敷地が処理装置20や脱臭装置50を設置できるほど十分な広さを有していなくても、排水処理ユニット1を設けることができる。
【0066】
加えて、集合住宅2の地下空間Sに配置することで、各家庭と排水処理ユニットとをつなぐ排水管4の長さを短くできる。このことで、排水管4内の詰まりなどの異常があったときに、異常個所を速やかに特定できる。
【0067】
加えて、排水処理ユニット1を建屋の地下空間Sに設ければよいため、建屋の景観や美観などを考慮して設置区画を決める必要がなくなる。
【0068】
(4-3)特徴3
本実施形態の排水処理ユニット1では、脱臭装置50は、脱臭層52b(脱臭材)を収容するケーシング51と、脱臭層52bにより処理された空気を排出する排気管57を有し、脱臭層52bは土壌で形成される。
【0069】
本実施形態によると、土壌は比較的安価であるため、脱臭装置50を比較的安価かつ簡便に製造できる。ひいては、排水処理ユニット1の製造コストを抑えることができる。
【0070】
加えて、脱臭装置50が屋外に配置される従来の土壌脱臭装置では、例えば、大雨で大量の水が流れ込むことで水没してしまい、安定した脱臭性能が得ることができない場合があるが、本実施形態の脱臭装置50では、地下空間Sに設置されるためそのような天候の影響を受けることがなく、安定して脱臭できる。
【0071】
加えて、脱臭層52bが減っていれば土壌を足すだけでよいため、脱臭装置50のメンテナンス性も向上できる。
【0072】
(4-4)特徴4
本実施形態の排水処理ユニット1では、脱臭装置50は、脱臭層52bの下部に配置され、脱臭層52bの流出を抑制する赤玉土層52a(流出抑制材)を有する。
【0073】
本実施形態によると、赤玉土層52aが脱臭層52bの土の流出を抑えることができる。ここで、脱臭層52bは、層内を上方に向かって通過するガスの臭気成分を取り除く。脱臭装置50の経年使用により、脱臭層52bの土が下方から外部(拡散部53)に流出していくと、脱臭層52bの嵩が徐々に目減りする。脱臭層52bの嵩が目減りすると、その分ガスの脱臭機能が低下し、ガスを十分に脱臭できなくなることで、臭気成分を含んだガスが外気に排出されてしまう。これに対して、赤玉土層52aを脱臭層52bの下方に隣接して設けることで、脱臭層52bの嵩の目減りが抑えられ、脱臭層52bの脱臭機能の低下を抑制できる。このことで、脱臭装置50の経年使用による脱臭力の低下を抑制できる。
【0074】
(4-5)特徴5
本実施形態の排水処理ユニット1では、複数の脱臭装置50,50,…50を有し、複数の脱臭装置50,50,…50は上下方向に並ぶように配置される。
【0075】
本実施形態によると、1つの脱臭装置50を小型化して複数の脱臭装置50,50,…50を縦積みすることができる。このことで、上から見た時の設置面積を小さくでき、十分な広さがない区画においても複数の脱臭装置50,50,…50を設置することができる。
【0076】
加えて、集合住宅2の戸数に応じて設置する脱臭装置50の数を決めることができる。例えば、戸数の比較的多い集合住宅では、1日の排水量は比較的多いため脱臭装置50をその分多く設置すればよいし、戸数の比較的少ない集合住宅では、1日の排水量は比較的少ないため脱臭装置50をその分少なく設置すればよい。このように、集合住宅の戸数に応じて脱臭装置50の大きさを設計する必要がなく、単一の脱臭装置50を生産すればよいため、排水処理ユニット1の製造工数及び製造コストを抑えることができる。加えて、様々な集合住宅に対応した排水処理ユニット1を提供できる。
【0077】
(5)その他の実施形態
上記実施形態においては、以下のような構成としてもよい。
【0078】
脱臭装置50は、拡散部53を有していなくてもよい。このことで、脱臭層52bの容積を大きくでき、脱臭装置50の脱臭機能を強くできる。ひいては、脱臭装置50の設置する数を抑えることができる。また、拡散部53をなくすことで、ケーシング51を縮小でき、ひいては脱臭装置50を軽量化できる。
【0079】
脱臭装置50は、処理装置20の上方に配置されてもよい。具体的に、複数の脱臭装置50,50,…50が処理装置20の上面に並んで配置されてもよい。このことにより、処理装置20の上方のデッドスペースを有効利用でき、排水処理ユニット1をよりコンパクト化できる。
【0080】
排水処理ユニット1は、1つの脱臭装置50を有していてもよい。この場合、排気管57は、ケーシング51の上面に接続される。
【0081】
配管30は、タンク21上面のうち整流槽23および好気消化槽24の上方であればどこに接続されてもよい。
【0082】
地下空間Sは、建屋の地下に形成されていればよく、建屋の真下のみの範囲に形成されていてもよいし、建屋の真下からはみ出して形成されてもよい。
【0083】
脱臭装置50の脱臭材52bは、多孔性のセラミックや樹脂などで構成されてもよい。このことで、脱臭層52bの流出を抑えることができる。
【0084】
前述の実施形態では、集合住宅2に対して排水処理ユニット1を適用する場合について説明したが、これはディスポーザ3が配設された個別住宅に対して、排水処理ユニット1を導入することを排除しない。
【0085】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0086】
ここに開示された技術は、排水処理システムを設置するために有用である。
【符号の説明】
【0087】
1 排水処理ユニット
20 処理装置
30 配管
40 ファン
50 脱臭装置
51 ケーシング
52a 赤玉土層(流出抑制材)
52b 脱臭層(脱臭材)
57 排気管
S 地下空間(対象空間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7