(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141944
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】バックアップ電源装置及びバックアップ電源装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20230928BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20230928BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20230928BHJP
G05F 1/56 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H02J9/06 110
H02J1/00 309C
H02J7/34 G
G05F1/56 310C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048544
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅人
(72)【発明者】
【氏名】近田 尚章
【テーマコード(参考)】
5G015
5G165
5G503
5H430
【Fターム(参考)】
5G015FA10
5G015GB06
5G015HA03
5G015JA08
5G015JA32
5G015JA34
5G015JA35
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5G015JA55
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5G165AA08
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5H430GG08
5H430HH03
(57)【要約】
【課題】構成部品点数の顕著な増加を抑制しつつ、蓄電部電圧の降圧を適応的に実行することができる、バックアップ電源装置及びバックアップ電源装置の制御方法を提供する。
【解決手段】バックアップ電源装置は、外部電源からの給電により動作する給電対象装置に対し、前記外部電源の給電状態の非常時に給電を行うバックアップ電源装置であって、蓄電部と、前記蓄電部と前記給電対象装置とを接続する経路上に配置されるシリーズレギュレータと、前記外部電源の給電状態変化及び前記蓄電部の電圧変化に伴って前記シリーズレギュレータの出力電圧を多段階に変化させる制御回路と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源からの給電により動作する給電対象装置に対し、前記外部電源の給電状態の非常時に給電を行うバックアップ電源装置であって、
蓄電部と、
前記蓄電部と前記給電対象装置とを接続する経路上に配置されるシリーズレギュレータと、
前記外部電源の給電状態変化及び前記蓄電部の電圧変化に伴って前記シリーズレギュレータの出力電圧を多段階に変化させる制御回路と、
を備えるバックアップ電源装置。
【請求項2】
前記シリーズレギュレータは、前記経路上に配置される駆動素子を有し、
前記制御回路は、
通常時には、前記外部電源の電圧より低い第1定電圧を出力させ、
非常時かつ前記蓄電部の電圧が所定値を超過するときには、前記所定値以下かつ前記第1定電圧よりも高い第2定電圧を出力させ、
非常時かつ前記蓄電部の電圧が前記所定値を超過しないときには、前記蓄電部の電圧を出力させるよう、
前記駆動素子を制御する、
請求項1に記載のバックアップ電源装置。
【請求項3】
前記シリーズレギュレータは、前記経路上に配置されるトランジスタと、前記外部電源の給電状態変化及び前記蓄電部の電圧変化に伴って前記トランジスタのゲート電圧を多段階に変化させるゲート電圧調整回路と、を有する、
請求項1に記載のバックアップ電源装置。
【請求項4】
ゲート電圧調整回路は、出力側で前記トランジスタのゲートに接続され、前記ゲート電圧を制御するオペアンプと、前記出力電圧を分圧して前記オペアンプに入力する分圧回路と、を有し、
前記制御回路は、前記分圧回路の分圧比を、前記外部電源の給電状態変化に伴って変化させる、
請求項3に記載のバックアップ電源装置。
【請求項5】
前記分圧回路は、互いに直列接続され中間部に前記オペアンプが接続される第1抵抗部及び第2抵抗部を有し、
前記第1抵抗部及び前記第2抵抗部の少なくとも一方は、複数の抵抗素子と分圧抵抗制御用切替素子とを含み、
前記制御回路は、前記外部電源の給電状態が通常か非常かに応じて前記分圧抵抗制御用切替素子を制御して、前記複数の抵抗素子の合成抵抗値を変化させる、
請求項4に記載のバックアップ電源装置。
【請求項6】
前記経路上に配置された素子により出力電流を検出する電流検出回路をさらに有し、
前記制御回路は、前記電流検出回路の検出結果に基づいて前記外部電源の給電状態が通常か非常かを判定する、
請求項5に記載のバックアップ電源装置。
【請求項7】
前記ゲート電圧調整回路は、前記トランジスタのゲートとグランドとの接続状態を導通状態と非導通状態との間で切り替えて、前記トランジスタのオン抵抗を変化させるオン抵抗制御用切替素子を有し、
前記制御回路は、前記ゲートとグランドとの接続状態を、通常時には非導通状態としかつ非常時には前記蓄電部の電圧に応じて非導通状態又は導通状態のいずれかとするよう、前記オン抵抗制御用切替素子を制御する、
請求項3に記載のバックアップ電源装置。
【請求項8】
前記トランジスタは、p型電界効果トランジスタであり、
前記制御回路は、前記ゲートとグランドとの接続状態を、非常時かつ前記蓄電部の電圧が所定値を超過しないときには導通状態とする、
請求項7に記載のバックアップ電源装置。
【請求項9】
外部電源からの給電により動作する給電対象装置に対し、前記外部電源の給電状態の非常時に給電を行うバックアップ電源装置の制御方法であって、
蓄電部と前記給電対象装置とを接続する経路上のシリーズレギュレータの出力電圧を、前記外部電源の給電状態変化及び前記蓄電部の電圧変化に伴って多段階に変化させる、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップ電源装置及びバックアップ電源装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部電源から給電対象装置への給電が不能となる停電時等の非常時に備えて、蓄電池を有するバックアップ電源装置が給電対象装置に接続される場合がある。バックアップ電源装置は、例えば停電時等、外部電源に代わって給電対象装置に給電を行う。
【0003】
蓄電池を含む蓄電部を有する従来の電源装置として、蓄電部の電圧を給電対象装置に直接出力しないものが知られている。例えば特許文献1に記載の電源装置では、レギュレータによりバッテリ電圧を昇圧又は降圧して目標電圧を生成する。
【0004】
バックアップ電源装置の場合、例えば非停電時には、蓄電部の電圧(以下「蓄電部電圧」という)が、外部電源の電圧(以下、蓄電部電圧と区別して「電源電圧」という)よりも低い電圧まで降圧される。このようにして、非停電時には、バックアップ電源装置から出力される電圧(出力電圧)が電源電圧よりも低く保たれ、非停電時の蓄電池の使用頻度を低減させ、蓄電池の劣化を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、バックアップ電源装置に、例えば多数の蓄電池を設けることで大容量化された蓄電部が搭載される場合があり、このような場合は一般に、蓄電部電圧が高くなる。そして、蓄電部電圧が高くなると、電源電圧との差が拡大して、非停電時に必要な、降圧前後の電圧差(降圧量)が増大する場合がある。但し、蓄電部電圧の降圧量増大のために例えば降圧用の素子(例えばダイオード)の個数を多数設けることは、バックアップ電源装置の構成部品点数の顕著な増加につながり、装置サイズや電力ロスが増大するおそれもあるので、望ましくない。
【0007】
また、蓄電部電圧が高くなると、蓄電部電圧と給電対象装置の定格電圧との差も増大し、その結果、停電時に必要な降圧量、つまり蓄電部電圧から定格電圧までの降圧量が増大する場合がある。
【0008】
すなわち、蓄電部電圧から出力電圧への降圧を、状況の変化に対応して適応的に実行することが、求められる。
【0009】
本開示の目的は、構成部品点数の顕著な増加を抑制しつつ、蓄電部電圧の降圧を適応的に実行することができる、バックアップ電源装置及びバックアップ電源装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示のバックアップ電源装置は、外部電源からの給電により動作する給電対象装置に対し、前記外部電源の給電状態の非常時に給電を行うバックアップ電源装置であって、蓄電部と、前記蓄電部と前記給電対象装置とを接続する経路上に配置されるシリーズレギュレータと、前記外部電源の給電状態変化及び前記蓄電部の電圧変化に伴って前記シリーズレギュレータの出力電圧を多段階に変化させる制御回路と、を備える。
【0011】
本開示のバックアップ電源装置の制御方法は、外部電源からの給電により動作する給電対象装置に対し、前記外部電源の給電状態の非常時に給電を行うバックアップ電源装置の制御方法であって、蓄電部と前記給電対象装置とを接続する経路上のシリーズレギュレータの出力電圧を、前記外部電源の給電状態変化及び前記蓄電部の電圧変化に伴って多段階に変化させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、構成部品点数の顕著な増加を抑制しつつ、蓄電部電圧の降圧を適応的に実行することができる、バックアップ電源装置及びバックアップ電源装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係るバックアップ電源装置を示す回路図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るバックアップ電源装置による電圧制御の一例を説明するタイミングチャートである。
【
図3】
図3は、実施形態に係るバックアップ電源装置の電圧制御動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、変形例1に係るバックアップ電源装置を示す回路図である。
【
図5】
図5は、変形例2に係るバックアップ電源装置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態に係るバックアップ電源装置について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
(回路構成)
図1は、実施形態に係るバックアップ電源装置100を示す回路図である。バックアップ電源装置100は、入出力端子191、192を介して外部電源1及び給電対象装置2と電気的に接続している。外部電源1は、例えば、商用の交流電力を直流電力に変換して出力する装置である。外部電源1は、給電対象装置に電力を供給する。給電対象装置2は、給電を受けて動作する装置である。給電対象装置2は、例えば、サーバ装置であってもよい。
【0016】
バックアップ電源装置100は、外部電源1の給電状態の非常時に、典型的には停電時に、給電対象装置2に給電を行う電源装置である。
【0017】
バックアップ電源装置100は、蓄電部110、シリーズレギュレータ130、及び、制御回路140を備えている。制御回路140は、蓄電部110の電圧、及び、外部電源1の給電状態の変化に基づいて、シリーズレギュレータ130の出力電圧を多段階に制御する。
【0018】
蓄電部110は、電力供給経路PLを介して入出力端子191、192に接続されている。電力供給経路PLは、蓄電部110に蓄電されている電力を給電対象装置2に供給する供給路である。
【0019】
蓄電部110は、蓄電池111を備えている。本実施形態では、
図1に例示するように、蓄電部110は、1つの蓄電池111を備えている。よって、本実施形態では、蓄電部電圧は、蓄電池111の電圧と等価である。なお、蓄電部110は、蓄電池111を複数個備えていてもよい。例えば、蓄電部110は、直列接続された10個の蓄電池111を備えていてもよい。蓄電部110が蓄電池111を複数個備えている場合、蓄電部電圧は、複数の蓄電池111の合成電圧に相当する。
【0020】
蓄電池111は、例えば、ニッケル水素蓄電池及びリチウムイオン蓄電池などの二次電池である。
【0021】
バックアップ電源装置100は、電流検出回路120を備えている。電流検出回路120は、電力供給経路PLを流れる電流を測定することで、バックアップ電源装置100の出力電流を検出し、検出結果を制御回路140に出力する。
【0022】
電流検出回路120は、例えば、抵抗素子121及びオペアンプ122を備えている。抵抗素子121は、電力供給経路PL上に配置されている。抵抗素子121の両端の電圧がオペアンプ122の2つの入力端子それぞれに入力されると、オペアンプ122は電圧差に基づく信号を制御回路140に出力する。
【0023】
シリーズレギュレータ130は、電力供給経路PL上に配置されており、蓄電部電圧の入力を受け、制御回路140による制御の下、出力電圧として所定の電圧を出力する。本実施形態では、シリーズレギュレータ130の出力電圧は、給電対象装置2に出力されるので、バックアップ電源装置100の出力電圧と同じものを指す。
【0024】
シリーズレギュレータ130は、駆動素子131及びゲート電圧調整回路132を備えている。
【0025】
駆動素子131は、トランジスタである。
図1には、駆動素子131が、p型電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)であることが示されている。駆動素子131は、電力供給経路PL上に配置されており、オン抵抗に応じて出力電圧が変化する。
【0026】
ゲート電圧調整回路132は、制御回路140の制御の下、駆動素子131のゲート電圧を多段階に変化させる。このゲート電圧の変化により、駆動素子131のオン抵抗が変化する。
【0027】
ゲート電圧調整回路132は、分圧回路133、基準電源137、切替素子150、オペアンプ160、及び、切替素子170を備えている。
【0028】
分圧回路133は、駆動素子131のドレイン側からフィードバックされた出力電圧を分圧してオペアンプ160に入力する回路であり、抵抗素子134~136を備えている。
【0029】
抵抗素子134は、駆動素子131のドレイン側からオペアンプ160の非反転入力端子に対するフィードバック経路上に配置されている。本実施形態では、1つの抵抗素子134で第1抵抗部を構成する。
【0030】
抵抗素子135は、抵抗素子134と直列接続されており、オペアンプ160の非反転入力端子及びグランドに接続されている。なお、抵抗素子134及び抵抗素子135の中間部がオペアンプ160の非反転入力端子に接続されている。
【0031】
抵抗素子136は、抵抗素子135と並列に接続されている。また、抵抗素子136は、切替素子150を介してグランドに接続するとともに、オペアンプ160の非反転入力端子に接続されている。本実施形態では、抵抗素子135及び抵抗素子136で第2抵抗部を構成する。
【0032】
基準電源137は、出力電圧の制御を行う上での基準電圧を、オペアンプ160の反転入力端子に出力する電源である。基準電圧は、給電対象装置2の定格電圧、及び、外部電源1の電圧等に応じて決定される。
【0033】
本実施形態では、
図1に例示するように、切替素子150は、n型電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)である。切替素子150は、ソースが抵抗素子136、ドレインがグランド、及び、ゲートが制御回路140にそれぞれ接続されている。切替素子150のゲートに電圧が印加されると、それに基づくゲートドレイン間電圧Vgdに起因して切替素子150が非導通状態から導通状態に変化する。
【0034】
切替素子150が非導通状態と導通状態との間で切り替えられることで、抵抗素子135と抵抗素子136との合成抵抗値(以下、単に「合成抵抗値」ということもある)が変化する。合成抵抗値の変化に伴い、分圧回路133の分圧比が変化する。その結果、オペアンプ160の非反転入力端子に入力される電圧が変化する。
【0035】
オペアンプ160は、反転入力端子及び非反転入力端子に入力された電圧の電圧差に基づく電圧を出力する。オペアンプ160の出力端子は、駆動素子131のゲートに接続されている。なお、オペアンプ160の出力端子と駆動素子131のゲートと間に抵抗素子184が配置されていてもよい。
【0036】
本実施形態では、
図1に例示するように、切替素子170は、n型電界効果トランジスタである。切替素子170は、ソースが駆動素子131のゲート、ドレインがグランド、及び、ゲートが制御回路140にそれぞれ接続されている。切替素子170のゲートに電圧が印加されると、それに基づくゲートドレイン間電圧Vgdに起因して切替素子170が非導通状態から導通状態に変化する。
【0037】
切替素子170が非導通状態と導通状態との間で切り替わることで、駆動素子131のゲートのグランドに対する非接続及び接続が切り替わる。駆動素子131のゲートがグランドに接続されると、駆動素子131のゲートソース間電圧Vgsが極めて大きくなり、その結果、駆動素子131のオン抵抗が極めて小さくなる。
【0038】
なお、駆動素子131のソースとゲートとの間に抵抗素子185が配置されていてもよい。
【0039】
制御回路140は、電流検出回路120からの信号に基づいて、外部電源1の給電状態を判定する。また、制御回路140は、蓄電部電圧を検出する。そして、制御回路140は、外部電源1の給電状態の変化及び蓄電部電圧に基づいて、切替素子150、170を、導通状態と非導通状態との間で切り替える。
【0040】
(出力電圧制御)
以下、バックアップ電源装置100の出力電圧制御について説明する。ここでは一例として、電源電圧Vdが12V、給電対象装置2の定格電圧Vsが14V、及び、バックアップ電源装置100が充電率100%のときの蓄電部電圧Vuの最大値VMが14.5Vであると仮定する。なお、電源電圧Vdの一例として挙げた12Vは外部電源1の仕様に基づく固定値である。停電状態となれば外部電源1から出力される電圧がほぼ0Vとなり又は12Vから著しく低下することは、言うまでもない。
【0041】
図2は、バックアップ電源装置100による電圧制御を説明するタイミングチャートである。実線は蓄電部電圧Vuの変化、一点鎖線(太線)は駆動素子131のゲート電圧Vgの変化、破線(太線)は出力電圧Voutの変化をそれぞれ示している。
【0042】
通常時、すなわち、非停電時、外部電源1は電源電圧Vdで給電対象装置2に給電を行っている。バックアップ電源装置100が充電率100%である場合、蓄電部電圧Vuは14.5V(最大値VM)であり、電源電圧Vd(12V)よりも高い。このため、制御回路140は、出力電圧Voutを電源電圧Vd未満に制御する。出力電圧Voutが電源電圧Vd未満とされるため、バックアップ電源装置100から電流は出力されない。すなわち、非停電時、出力電流Ioutはほぼ0Aである。
【0043】
具体的には、制御回路140は、例えば、切替素子150を非導通状態にする。オペアンプ160の非反転入力端子及び反転入力端子には、それぞれ、分圧回路133の分圧比に基づく電圧、及び、基準電源137からの基準電圧がそれぞれ入力される。そして、オペアンプ160は、分圧回路133の分圧比に基づく電圧と基準電圧との差に基づく電圧を出力する。オペアンプ160の出力電圧は、抵抗素子184を通して駆動素子131のゲートに入力される。ちなみに、非停電時、制御回路140は、切替素子170を常時、非導通状態にする。切替素子170が導通状態となるとオペアンプ160から駆動素子131にゲート電圧が印加されなくなるからである。
【0044】
このゲート電圧により、駆動素子131による導通状態が制御されている。ここで説明する出力電圧制御の一例では、出力電圧Voutは、電源電圧Vd未満の一定電圧値V1(例えば、11V)に制御されている(
図2を参照)。
【0045】
その後、時刻T1に、外部電源1の停電が発生すると、外部電源1からの出力電圧がほぼ0Vとなり又は12Vから著しく低下して、出力電圧Voutとの大小関係が逆転するため、出力電流Ioutが電力供給経路PLを流れ始める。なお、出力電流Ioutが増加し始まると、蓄電部電圧Vuが最大値VMから低下し始まる。さらに、蓄電部電圧Vuの低下に伴い、ゲート電圧Vgが低下する。
【0046】
そして、時刻T2で、出力電流Ioutが閾値Ithに達し、制御回路140は、外部電源1の給電状態が非常状態、つまり、停電状態であると判定する。閾値Ithは、例えば、バックアップ電源装置100から給電対象装置2に給電が行われるときの最大電流値未満、かつ、0Aよりも高い値である。このとき、蓄電部110から給電対象装置2に給電を行うために、制御回路140は、出力電圧Voutを、定格電圧Vsを超えない程度に大きくする。
【0047】
具体的には、制御回路140は、例えば、切替素子150を非導通状態から導通状態に切り替える。切替素子150が非導通状態から導通状態に切り替わることで、抵抗素子135及び抵抗素子136の合成抵抗値が変化する。それに伴い、分圧回路133における分圧比が変化し、オペアンプ160の非反転入力端子に入力される電圧が変化する。その結果、オペアンプ160から出力される電圧が変化するので、駆動素子131のゲート電圧Vgが段階的に低下する。
【0048】
ゲート電圧Vgの低下に伴い、駆動素子131の導通状態が変化する。具体的には、駆動素子131のオン抵抗が小さくなる。よって、出力電圧Voutが定格電圧Vs以下の一定電圧値V2(例えば、13.6V)に増加し、維持される。なお、一定電圧値V2は、定格電圧Vs以下かつ一定電圧値V1よりも高ければよく、例えば、定格電圧Vsと同じ値(14V)であってもよい。
【0049】
これにより、定格電圧Vsを超えない程度の電圧で定電圧制御されるとともに、バックアップ電源装置100から給電対象装置2に対する給電が開始される。
【0050】
なお、時刻T2において、制御回路140は、切替素子150の非導通状態と導通状態との切り替えを行うこと以外の手法で、切替素子150のオン抵抗を変化させてもよい。切替素子150のオン抵抗が変化すると、抵抗素子135及び抵抗素子136の合成抵抗値が変化し、分圧回路133の分圧比が変化する。その結果、オペアンプ160の非反転入力端子に対して入力される電圧が変化する。
【0051】
時刻T2以降、給電対象装置2に対する給電に伴い、蓄電部電圧Vuは次第に低下する。また、蓄電部電圧Vuの低下に伴い、駆動素子131のゲート電圧Vgも次第に低下する。
【0052】
時刻T3に、蓄電部電圧Vuが定格電圧Vsとなる。すなわち、蓄電部電圧Vuを出力電圧Voutとして出力したとしても、出力電圧Voutが定格電圧Vsを超えることがない状況となる。このとき、制御回路140は、蓄電部電圧Vuを直接出力電圧Voutとして出力するように、切替素子170を制御する。
【0053】
具体的には、制御回路140は、切替素子170を非導通状態から導通状態に切り替える。これにより、駆動素子131のゲートがグランドに接続するようになる。すなわち、駆動素子131のゲート電圧Vgが0Vになる。よって、駆動素子131のゲートソース間電圧Vgsが蓄電部電圧Vuと一致する。
【0054】
ゲートソース間電圧Vgsが大きいほど、駆動素子131のオン抵抗が小さくなるので、駆動素子131のゲート電圧Vgが0Vとなることで、駆動素子131のオン抵抗が極めて小さい値となる。すなわち、駆動素子131のソースドレイン間を導通する電流が大きくなる。よって、蓄電部電圧Vuが直接的に出力電圧Voutとしてシリーズレギュレータ130から出力されるようになる。
【0055】
図3は、バックアップ電源装置100の出力電圧制御動作を示すフローチャートの一例である。
【0056】
まず、ステップS1において、制御回路140は、バックアップ電源装置100が外部電源1及び給電対象装置2に接続されたか否かを判定する。バックアップ電源装置100が外部電源1及び給電対象装置2に接続されていない場合(ステップS1の“NO”)、出力電圧制御動作が終了する。バックアップ電源装置100が外部電源1及び給電対象装置2に接続されている場合(ステップS1の“YES”)、ステップS2に遷移する。
【0057】
ステップS2において、制御回路140は、電流検出回路120からの信号に基づいて、外部電源1の給電状態が非常であるか否かを判定する。例えば、電流検出回路120は、電流検出回路120からの信号を出力電流Ioutに読み替え、出力電流Ioutと閾値Ithとを比較する。そして、制御回路140は、出力電流Ioutが閾値Ith以下であった場合、給電状態が正常であると判定し、出力電流Ioutが閾値Ithを超過したしている場合、給電状態が非常であると判定する。
【0058】
給電状態が正常である場合(ステップS2の“NO”)、ステップS7に遷移して、制御回路140は、出力電圧Voutを電源電圧Vd未満に制御する。具体的には、制御回路140は、切替素子150を非導通状態とする。より具体的には、制御回路140は、切替素子150が元々導通状態であれば非導通状態に切り替え、切替素子150が元々非導通状態であればその非導通状態を維持する。よって、切替素子150が非導通状態のときの合成抵抗値と抵抗素子134との分圧比に基づく電圧がオペアンプ160の非反転入力端子に入力される。オペアンプ160は、分圧比に基づく電圧と基準電圧との差に基づく電圧を出力する。当該電圧は、抵抗素子184を通して、駆動素子131のゲートに入力される。ゲートに入力される電圧に基づいて、駆動素子131のオン抵抗が決まり、ひいては、シリーズレギュレータ130の出力電圧が決まる。例えば、出力電圧は、一定電圧値V1に定電圧制御される(
図2の時刻T1より前の時刻)。
【0059】
なお、給電状態が正常である場合(ステップS2の“NO”)、制御回路140は、切替素子170を常時、非導通状態とする。但し、制御回路140は、給電状態が正常であるとともに、蓄電部電圧Vuが電源電圧Vd未満であることを検出した場合に限り、切替素子170を非導通状態から導通状態に切り替えて、駆動素子131のゲートをグランドに接続させてもよい。すなわち、制御回路140は、蓄電部電圧Vuを出力電圧Voutとして出力させてもよい。
【0060】
その後、ステップS8において、制御回路140は、バックアップ電源装置100と外部電源1及び給電対象装置2との接続が解除されたか否かを判定する。バックアップ電源装置100と外部電源1及び給電対象装置2との接続が解除された場合(ステップS8の“YES”)、出力電圧制御動作が終了する。バックアップ電源装置100と外部電源1及び給電対象装置2とが接続されている場合(ステップS8の“NO”)、ステップS2に遷移する。
【0061】
給電状態が非常である場合(ステップS2の“YES”)、ステップS3において、制御回路140は、蓄電部電圧Vuが所定値を超過しているか否かを判定する。ここで、所定値とは、給電対象装置2の定格電圧Vsである。
【0062】
蓄電部電圧Vuが所定値を超過している場合(ステップS3の“YES”)、ステップS4に遷移して、制御回路140は、出力電圧Voutを所定値以下の一定電圧値V2に定電圧制御を行う。具体的には、制御回路140は、切替素子150を非導通状態から導通状態に変化させて、合成抵抗値を変化させる(
図2の時刻T2における制御)。切替素子150が元々導通状態にある場合は、制御回路140その導通状態を維持する。
【0063】
次いで、ステップS5において、制御回路140は、バックアップ電源装置100と外部電源1及び給電対象装置2との接続が解除されたか否かを判定する。バックアップ電源装置100と外部電源1及び給電対象装置2との接続が解除された場合(ステップS5の“YES”)、出力電圧制御動作が終了する。バックアップ電源装置100と外部電源1及び給電対象装置2とが接続されている場合(ステップS5の“NO”)、ステップS2に遷移する。
【0064】
蓄電部電圧Vuが所定値を超過していない場合(ステップS3の“NO”)、ステップS6に遷移して、制御回路140は、蓄電部電圧Vuを出力電圧Voutとして出力する。
【0065】
ステップS6において、制御回路140は、切替素子170を非導通状態から導通状態に切り替えて、駆動素子131のゲートをグランドに接続させる(
図2の時刻T3における制御と同様)。その後、ステップS5の処理が実行される。切替素子170が元々導通状態にある場合は、制御回路140はその導通状態を維持する。
【0066】
以上、説明した通り、本実施形態に係るバックアップ電源装置100は、蓄電部110と、蓄電部110と給電対象装置2とを接続する電力供給経路PLに配置されるシリーズレギュレータ130と、外部電源1の給電状態の変化及び蓄電部電圧Vuの変化に伴ってシリーズレギュレータ130の出力電圧Voutを多段階に変化させる制御回路140と、を備える。
【0067】
本実施形態に係るバックアップ電源装置100の制御方法は、蓄電部110と給電対象装置2とを接続する電力供給経路PL上のシリーズレギュレータ130の出力電圧Voutを、外部電源1の給電状態の変化及び蓄電部電圧Vuの変化に伴って多段階に変化させる。
【0068】
本実施形態によれば、電力供給経路PL上にシリーズレギュレータ130を配置し、このシリーズレギュレータ130の出力電圧を多段階に変化させることで、様々な状況に応じて、蓄電部電圧Vuの降圧を適応的に実行することができる。また、蓄電部電圧Vuの降圧のために多数のダイオードを直列接続する等の構成を採らないため、蓄電部電圧Vuの降圧に必要な構成部品点数の顕著な増加を抑制することができ、電力ロスや、装置規模の増大等も、抑制することができる。
【0069】
シリーズレギュレータ130は、電力供給経路PLに配置される駆動素子131を有する。そして、制御回路140は、通常時には、電源電圧Vdより低い第1定電圧(一定電圧値V1)を出力させ、非常時かつ蓄電部電圧Vuが所定値(外部電源1の定格電圧Vs)を超過するときには、所定値以下かつ一定電圧値V1よりも高い第2定電圧(一定電圧値V2)を出力させ、非常時かつ蓄電部電圧Vuが定格電圧Vsを超過しないときには、蓄電部電圧Vuを出力させるように、駆動素子131を制御する。
【0070】
本実施形態によれば、電力供給経路PL上に駆動素子131を配置するだけで、様々な状況に応じて、出力電圧Voutを多段階に制御できる。
【0071】
例えば、バックアップ電源装置100が比較的大きい電池容量を有し、定格電圧Vsと蓄電部電圧Vuとの差が比較的大きい場合であっても、少ない部品点数で、通常時には、非停電時の蓄電池の使用頻度を低減させ、蓄電池の劣化を抑制するとともに、非常時には給電対象装置2に対する負担を軽減するように出力電圧を制御できる。
【0072】
シリーズレギュレータ130は、電力供給経路PL上に配置されるトランジスタ(駆動素子131)と、外部電源1の給電状態変化及び蓄電部電圧の変化に伴ってトランジスタ(駆動素子131)のゲート電圧を多段階に変化させるゲート電圧調整回路132と、を有する。
【0073】
すなわち、簡易的かつ安価な素子であるトランジスタを電力供給経路PL上に配置し、そのゲート電圧を、給電状態変化及び蓄電部電圧の変化に応じて変化させることで、様々な状況に応じて、出力電圧Voutを多段階に制御できる。
【0074】
電力供給経路PL上に配置する部品、例えば、蓄電部電圧の降圧のためのダイオードやトランジスタの数が多いほど、給電時のバックアップ電源装置の電力ロスが大きくなる。本実施形態によれば、電力供給経路PL上にトランジスタを配置して、そのゲート電圧を制御するだけで、出力電圧Voutを多段階に制御できるので、給電時のバックアップ電源装置100の電力ロスを低減できる。また、蓄電部電圧の降圧のためのダイオードやトランジスタの数が多ければ、バックアップ電源装置の装置規模が増大するおそれもあるが、本実施形態によれば、そのおそれもない。
【0075】
ゲート電圧調整回路132は、出力側でトランジスタ(駆動素子131)のゲートに接続され、ゲート電圧Vgを制御するオペアンプ160と、出力電圧Voutを分圧してオペアンプ160に入力する分圧回路133と、を有する。そして、制御回路140は、分圧回路133の分圧比を、外部電源1の給電状態の変化に伴って変化させる。
【0076】
よって、通常時には、出力電圧Voutを電源電圧Vd以下に維持するとともに、非常時には、給電対象装置2の定格電圧Vs以下に維持する制御を、アナログ的に実行できる。
【0077】
より具体的には、分圧回路133は、互いに直列接続され中間部にオペアンプ160が接続される一対の抵抗素子134、135と、抵抗素子135に並列接続される抵抗素子136と、を有する。また、ゲート電圧調整回路132は、抵抗素子136とグランドとの接続状態を導通状態と非導通状態との間で切り替えて、抵抗素子135と抵抗素子136との合成抵抗値を変化させる切替素子150を有する。さらに、制御回路140は、抵抗素子136とグランドとの接続状態を、通常時には非導通状態としかつ非常時には導通状態とするよう、切替素子150を制御する。
【0078】
すなわち、切替素子150の導通状態と非導通状態とを切り替えるという簡単な制御により、トランジスタ(駆動素子131)のゲート電圧を変化させることで、出力電圧Voutを多段階に変化させることができる。
【0079】
バックアップ電源装置100は、電力供給経路PLに配置された抵抗素子121により出力電流を検出する電流検出回路120を有する。また、制御回路140は、電流検出回路120の検出結果に基づいて外部電源1の給電状態が通常か非常かを判定する。
【0080】
よって、簡単かつ安価な回路構成で、外部電源1の給電状態の変化を検出できる。
【0081】
ゲート電圧調整回路132は、トランジスタ(駆動素子131)のゲートとグランドとの接続状態を導通状態と非導通状態との間で切り替えて、トランジスタ(駆動素子131)のオン抵抗を変化させる切替素子170を有する。また、制御回路140は、ゲートとグランドとの接続状態を、通常時には非導通状態としかつ非常時には蓄電部電圧Vuに応じて非導通状態又は導通状態のいずれかとするよう、切替素子170を制御する。
【0082】
切替素子170を導通状態とすることで、トランジスタ(駆動素子131)のゲートをグランドに接続し、ゲートソース間電圧を極めて大きくできる。これにより、トランジスタ(駆動素子131)のオン抵抗が極めて小さくなるので、バックアップ電源装置100から給電対象装置2に対する給電時に、トランジスタ(駆動素子131)での電力ロスを極力小さくできる。
【0083】
トランジスタ(駆動素子131)は、p型電界効果トランジスタである。制御回路140は、ゲートとグランドとの接続状態を、非常時かつ蓄電部電圧Vuが所定値(定格電圧Vs)を超過しないときには導通状態とする。
【0084】
よって、トランジスタ(駆動素子131)としてn型電界効果トランジスタを使用する場合と比べて、簡単な回路構成により、バックアップ電源装置100による給電時のトランジスタ(駆動素子131)での電力ロスを極力小さくできる。
【0085】
(変形例1)
以下、変形例1について、主に実施形態と異なる点を説明する。
図4は、変形例1に係るバックアップ電源装置100を示す回路図である。
【0086】
図4に示されているように、分圧回路133は、抵抗素子136、及び、切替素子150の組を複数備え、それらの組がオペアンプ160の非反転入力端子とグランドとの間で並列に接続されている。よって、変形例1では、抵抗素子135と複数の抵抗素子136とにより第2抵抗部が構成される。なお、
図4では、分圧回路133に、抵抗素子136及び切替素子150の組が2組設けられていることが示されているが、3組以上設けられていてもよい。
【0087】
変形例1によれば、制御回路140は、複数の切替素子150の通電状態及び非通電状態の切替を個別に制御することで、抵抗素子135と複数の抵抗素子136との合成抵抗値としてより多くの値を設定できる。よって、分圧回路133における分圧比としてより多くの値を設定することができる。
【0088】
(変形例2)
以下、変形例2について、主に実施形態と異なる点を説明する。
図5は、変形例2に係るバックアップ電源装置100を示す回路図である。
【0089】
図5に示されているように、分圧回路133は、抵抗素子136及び切替素子150に替えて、抵抗素子134と並列に接続する抵抗素子139及び切替素子180を備えていてもよい。その切替素子180は、電界効果トランジスタ等である。よって、変形例2では、抵抗素子134及び抵抗素子139により第1抵抗部が構成される。
【0090】
変形例2では、制御回路140は、通常時には導通状態とし、非常時には非導通状態とするよう切替素子180を制御する。これにより、フィードバック経路上の抵抗素子134と抵抗素子139との合成抵抗値を変更することができるので、分圧回路133の分圧比を変更できる。
【0091】
(その他の変形例)
実施形態及び上述の各変形例では、抵抗素子121を使用して出力電流を検出したが、ホール素子を使用して検出してもよい。ホール素子を使用する場合、抵抗素子121と比べて発熱しにくいので、バックアップ電源装置100の温度上昇を抑制できる。
【0092】
実施形態及び上述の各変形例では、閾値Ithが給電状態の判定に用いられている。閾値Ithが微小値に設定されてもよい。すなわち、制御回路140は、わずかでも出力電流Ioutが流れた場合に、外部電源1が非常状態、すなわち、停電状態にあると判定してもよい。また、制御回路140は、ユーザーの設定に応じて閾値Ithを変更してもよい。
【0093】
また、制御回路140が、停電を知らせる信号を所定の通信機器から受信したときに、外部電源1が停電状態にあると判定してもよい。
【0094】
制御回路140は、切替素子150の非導通状態と導通状態との切替制御だけでなく、外部電源1の電圧Vd、及び、給電対象装置2の定格電圧Vsの設定を受け付け、受付内容に基づいて上述の電圧値V1、V2を決定してもよい。すなわち、バックアップ電源装置100が接続する外部電源1の電圧Vd、及び、給電対象装置2の定格電圧Vsに応じて、通常時の出力電圧Voutの目標値(上述の電圧値V1)、及び、非常時の出力電圧Voutの目標値(上述の電圧値V2)を決定してもよい。
【0095】
このとき、抵抗素子136は、可変抵抗素子であってもよい。また、制御回路140は、可変抵抗の抵抗値を制御することで、電源電圧Vd、及び、給電対象装置2の定格電圧Vsに応じて、上述の電圧値V1、V2を変更してもよい。
【0096】
また、駆動素子131は、可変抵抗素子であってもよい。さらに言えば、駆動素子131は、n型電界効果トランジスタであってもよい。n型電界効果トランジスタの場合、ゲート電圧調整回路132は、駆動素子131のソース電圧よりも高電位のゲート電圧を印加するように構成される。これに対しp型電界効果トランジスタの場合は、ソース電圧に対してゲート電圧を小さくしてゲートソース間電圧を大きくすれば、オン抵抗を小さくできる。ここで、ゲート電圧を小さくする構成は、ゲート電圧を大きくする構成に比べて、比較的簡単な回路構成で実現しやすい。特に、本実施形態では、蓄電部電圧Vuを降圧せずそのまま出力電圧Voutとして出力しようとする場合がある。このとき、単純にゲートを接地させるだけでゲート電圧を容易に最小化することができる。この点で、本実施形態のように、電力供給経路PL上に配置する駆動素子131としてp型電界効果トランジスタを採用する構成は、有利である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示は、外部電源からの給電により動作する給電対象装置に対し、外部電源の給電状態の非常時に給電を行うバックアップ電源装置及びバックアップ電源装置の制御方法に好適に利用される。
【符号の説明】
【0098】
1 外部電源
2 給電対象装置
100 バックアップ電源装置
110 蓄電部
111 蓄電池
120 電流検出回路
121 抵抗素子
122 オペアンプ
130 シリーズレギュレータ
131 駆動素子
132 ゲート電圧調整回路
133 分圧回路
134~136、139 抵抗素子
137 基準電源
140 制御回路
150、170、180 切替素子
160 オペアンプ
184、185 抵抗素子
191、192 入出力端子
PL 電力供給経路