(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141952
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】現像装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048556
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥野 太一郎
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA02
2H077AA06
2H077AA12
2H077AA15
2H077AB02
2H077AB03
2H077AB14
2H077AB15
2H077AC02
2H077AD06
2H077AD14
2H077AD16
2H077CA11
2H077CA12
2H077EA03
2H077GA03
(57)【要約】
【課題】保持体の上方で一端が開口するダクト部の他端が供給部の上方で開口している構成と比して、ダクト部の一端から現像剤が排出されるのを抑制した現像装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像装置は、現像剤を保持する保持体と、現像剤を撹拌する撹拌部と、撹拌部から流入した現像剤を保持体に供給する供給部と、撹拌部の上方に設けられ、現像剤が充填されている充填部と、充填部の下部を塞ぐ塞ぎ部であって、除去されると充填部から撹拌部へ現像剤が落下する塞ぎ部と、充填部内の空間と保持体の上方とを繋いでいるダクト部と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を保持する保持体と、
前記現像剤を撹拌する撹拌部と、
前記撹拌部から流入した現像剤を前記保持体に供給する供給部と、
前記撹拌部の上方に設けられ、前記現像剤が充填されている充填部と、
前記充填部の下部を塞ぐ塞ぎ部であって、除去されると前記充填部から前記撹拌部へ前記現像剤が落下する前記塞ぎ部と、
前記充填部内の空間と前記保持体の上方とを繋いでいるダクト部と、
を備えた現像装置。
【請求項2】
前記充填部は、前記塞ぎ部が除去されると前記撹拌部のみに前記現像剤が落下するように配置されている請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記撹拌部は、一方向に延びる態様で筐体に形成された撹拌流路と、該撹拌流路に設けられ自軸周りに回転することで前記現像剤を自軸方向に搬送しながら撹拌する撹拌部材とを有し、
前記充填部は、少なくとも前記撹拌流路の前記一方向における全範囲の上に配置されている請求項2記載の現像装置。
【請求項4】
前記ダクト部は、前記充填部内の空間と前記保持体の上方とを前記撹拌流路の前記一方向における全範囲を含む範囲で繋いでいる請求項3記載の現像装置。
【請求項5】
前記充填部と前記ダクト部との間の空気の流れを遮断する遮断部であって、除去されると前記充填部から前記ダクト部へ空気が流れる前記遮断部をさらに備える請求項1~4の何れか1項記載の現像装置。
【請求項6】
前記塞ぎ部は、前記充填部の下向きの開口部を塞ぎ、引き抜かれて除去される第1のシール状部材であり、
前記遮断部は、前記充填部と前記ダクト部との境の開口部を塞ぎ、引き抜かれて除去される第2のシール状部材である請求項5記載の現像装置。
【請求項7】
前記第1のシール状部材と前記第2のシール状部材とは、一動作で除去可能に連結されている請求項6記載の現像装置。
【請求項8】
潜像を保持する像保持体と、
前記潜像を現像してトナー画像とする請求項1~7の何れか1項記載の現像装置と、
前記トナー画像を媒体に転写する転写装置と、
を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、新品現像剤を収容した上部室が、下部室と両室間に設けられた現像剤落下口に取り付けたシール部材を剥がすと連通し、該落下口を経て新品現像剤が上部室から下部室へ落下するようになっている現像装置であって、シール部材を剥がして新品現像剤が下部室へ落下した後に生じる空間を利用して圧抜き可能に構成された圧抜き構造が上部室に設けられた現像装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、現像装置の内圧上昇を抑制すると共に、小型化・ユニット化を容易とし、かつ、トナーの目詰り等により維持性に問題が有るフィルタ部との分離が容易な現像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-201528号公報
【特許文献2】特開2006-250973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、保持体の上方で一端が開口するダクト部の他端が供給部の上方で開口している構成と比して、ダクト部の一端から現像剤が排出されるのを抑制することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様の現像装置は、現像剤を保持する保持体と、前記現像剤を撹拌する撹拌部と、前記撹拌部から流入した現像剤を前記保持体に供給する供給部と、前記撹拌部の上方に設けられ、前記現像剤が充填されている充填部と、前記充填部の下部を塞ぐ塞ぎ部であって、除去されると前記充填部から前記撹拌部へ前記現像剤が落下する前記塞ぎ部と、前記充填部内の空間と前記保持体の上方とを繋いでいるダクト部と、を備える。
【0007】
本開示の第2態様の現像装置は、前記充填部は、前記塞ぎ部が除去されると前記撹拌部のみに前記現像剤が落下するように配置されている。
【0008】
本開示の第3態様の現像装置は、第2態様の現像装置において、前記撹拌部は、一方向に延びる態様で筐体に形成された撹拌流路と、該撹拌流路に設けられ自軸周りに回転することで前記現像剤を自軸方向に搬送しながら撹拌する撹拌部材とを有し、前記充填部は、少なくとも前記撹拌流路の前記一方向における全範囲の上に配置されている。
【0009】
本開示の第4態様の現像装置は、第3態様の現像装置において、前記ダクト部は、前記充填部内の空間と前記保持体の上方とを前記撹拌流路の前記一方向における全範囲を含む範囲で繋いでいる。
【0010】
本開示の第5態様の現像装置は、第1態様から第4態様の何れか1つの態様の現像装置において、前記充填部と前記ダクト部との間の空気の流れを遮断する遮断部であって、除去されると前記充填部から前記ダクト部へ空気が流れる前記遮断部をさらに備える。
【0011】
本開示の第6態様の現像装置は、第5態様の現像装置において、前記塞ぎ部は、前記充填部の下向きの開口部を塞ぎ、引き抜かれて除去される第1のシール状部材であり、前記遮断部は、前記充填部と前記ダクト部との境の開口部を塞ぎ、引き抜かれて除去される第2のシール状部材である。
【0012】
本開示の第7態様の現像装置は、第6態様の現像装置において、前記第1のシール状部材と前記第2のシール状部材とは、一動作で除去可能に連結されている。
【0013】
本開示の第8態様の画像形成装置は、潜像を保持する像保持体と、前記潜像を現像してトナー画像とする第1態様から第7態様の何れか1項記載の現像装置と、前記トナー画像を媒体に転写する転写装置と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本開示の第1態様の現像装置によれば、保持体の上方で一端が開口するダクト部の他端が供給部の上方で開口している構成と比して、ダクト部の一端から現像剤の成分が排出されるのが抑制される。
【0015】
本開示の第2態様の現像装置によれば、充填部から供給部にも現像剤が落下する構成と比して、ダクト部の一端から現像剤の成分が排出されるのが抑制される。
【0016】
本開示の第3態様の現像装置によれば、充填部が撹拌流路の延びる方向の一部にだけ配置されている構成と比して、ダクト部の一端から現像剤の成分が排出されるのが抑制される。
【0017】
本開示の第4態様の現像装置によれば、ダクト部が撹拌流路の延びる方向の一部だけで充填部内の空間と保持体の上方とを繋ぐ態様と比して、ダクト部の一端から現像剤の成分が排出されるのが抑制される。
【0018】
本開示の第5態様の現像装置によれば、充填部に充填されている現像剤がダクト部の開口から外部に排出されない。
【0019】
本開示の第6態様の現像装置によれば、遮断部が塞ぎ部と異なる構造である場合と比して、塞ぎ部及び遮断部の除去の際の誤操作が抑制される。
【0020】
本開示の第7態様の現像装置によれば、遮断部と塞ぎ部とが独立して除去される構成と比して、塞ぎ部及び遮断部の除去の際の作業が容易である。
【0021】
本開示の第8態様の画像形成装置によれば、保持体の上方で一端が開口するダクト部の他端が供給部の上方で開口している現像装置を備えた構成と比して、現像剤の成分による汚れが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の内部の全体構成を示すレイアウト図である。
【
図2】実施形態に係る現像装置を手前側から視た断面図であり、ヒートシール除去前の状態を示す図である。
【
図3】実施形態に係る現像装置を手前側から視た断面図であり、ヒートシール除去後の状態を示す図である。
【
図4】実施形態に係る現像装置の撹拌部及び供給部の構成を示す模式図である。
【
図5】実施形態に係る現像装置の撹拌部、充填部、及びダクト部の構成を示す模式図である。
【
図6】実施形態に係る現像装置の撹拌部、充填部、及びヒートシールの構成を示す模式図である。
【
図7】実施形態に係る現像装置の充填部、ダクト部、及びヒートシールの構成を示す模式図である。
【
図8】実施形態に係る現像装置の2つのヒートシールの連結する連結部材を示す模式図である。
【
図9】実施形態に係る現像装置の筐体内部の空気の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施形態に係る現像装置、及び画像形成装置の一例について、
図1から
図9を用いて説明する。各図に示す矢印Hは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Dは水平方向であって装置奥行方向を示し、矢印Wは水平方向であって装置幅方向を示す。
【0024】
(画像形成装置の全体構成)
図1に示すように、実施形態に係る画像形成装置10は、記録媒体としてのシート材Pが収容される収容部14と、収容部14に収容されたシート材Pを搬送する搬送部16と、搬送部16によって搬送されるシート材Pに画像形成を行う画像形成部20とを有する。
【0025】
〔収容部〕
収容部14は、画像形成装置10の装置本体10Aから装置奥行方向の手前側に引き出し可能な収容部材26を有し、収容部材26にシート材Pが積載される。さらに、装置本体10Aは、収容部材26に積載されたシート材Pを、搬送部16を構成する搬送経路28に送り出す送出ロール30を有する。
【0026】
〔搬送部〕
搬送部16は、シート材Pが搬送される搬送経路28に沿って、シート材Pを搬送する複数の搬送ロール(符号省略)を有する。
【0027】
〔画像形成部〕
画像形成部20には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kが備えられている。なお、以後の説明では、Y、M、C、Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y、M、C、Kを省略して記載することがある。また、各色の画像形成ユニット18は、装置本体10Aに対して夫々着脱可能とされている。
【0028】
また、各色の画像形成ユニット18は、像保持体の一例である、図中矢印B方向に回転する感光体ドラム36と、感光体ドラム36の表面を帯電する帯電部材38とを有する。
【0029】
さらに、画像形成ユニット18は、帯電した感光体ドラム36に露光光を照射する露光装置42と、露光光を照射することで形成された静電潜像を現像してトナー画像として可視化する現像装置40とを有する。
【0030】
また、画像形成部20は、図中矢印A方向に周回する無端状の無端ベルト22と、無端ベルト22が巻き掛けられている補助ロール52、張力付与ロール54、及び駆動ロール56とを有する。さらに、画像形成部20は、各色の画像形成ユニット18によって形成されたトナー画像を無端ベルト22に転写する一次転写ロール44を有する。
【0031】
また、画像形成部20は、無端ベルト22に転写されたトナー画像をシート材Pに転写する二次転写ロール46を有する。そして、無端ベルト22、補助ロール52、張力付与ロール54、駆動ロール56、及び一次転写ロール44を含んで、転写装置32が構成されている。さらに、画像形成部20は、トナー画像が転写されたシート材Pを加熱・加圧して、トナー画像をシート材Pに定着する定着装置50を有する。
【0032】
(画像形成装置の作用)
画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0033】
先ず、電圧が印加された各色の帯電部材38は、各色の感光体ドラム36の表面を予め定められた電位で一様にマイナス帯電する。続いて、露光装置42は、外部から入力された画像データに基づいて帯電した各色の感光体ドラム36の表面に露光光を照射して静電潜像を形成することにより、データに対応した静電潜像を各色の感光体ドラム36の表面に形成する。さらに、各色の現像装置40は、この静電潜像を現像し、トナー画像として可視化する。
【0034】
また、各色の感光体ドラム36の表面に形成されたトナー画像は、一次転写ロール44によって周回する無端ベルト22に順番に転写される。一方、収容部材26から送出ロール30によって搬送経路28へ送り出されたシート材Pは、無端ベルト22と二次転写ロール46とが接触する転写位置Tへ送り出される。
【0035】
転写位置Tでは、シート材Pが無端ベルト22と二次転写ロール46との間で搬送されることで、無端ベルト22の外周面のトナー画像は、シート材Pに転写される。シート材Pの表面に転写されたトナー画像が、定着装置50によってシート材Pに定着される。そして、トナー画像が定着されたシート材Pは、装置本体10Aの外部へ排出される。
【0036】
(要部の構成)
〔現像装置〕
次に、
図2から
図9を適宜参照しながら、実施形態の現像装置40の具体的な構成について説明する。
【0037】
現像装置40は、
図2に示すように、現像剤Gが充填されている充填部72H及びダクト部72I等を備えた筐体72と、現像剤Gを保持する現像ロール60と、層厚規制部材62と、現像剤Gを撹拌する撹拌部80と、撹拌部80から流入した現像剤Gを現像ロール60に供給する供給部81と、を備えている。本実施形態における現像剤Gは、トナーとキャリアとを主成分とする二成分現像剤である。
【0038】
現像ロール60は、感光体ドラム36と対向して配置され、感光体ドラム36の表面に形成された静電潜像を現像剤Gにより現像して、トナー画像として可視化する。現像ロール60と感光体ドラム36との間には、現像ロール60から感光体ドラム36に現像剤Gを受け渡すための間隙(いわゆる、現像ギャップ)が形成されている。そして、現像ロール60は、断面円状のマグネットロール60Aと、マグネットロール60Aに被せられ、マグネットロール60Aの周りを回転する回転スリーブ60Bとを備えている。この回転スリーブ60Bは、図示しない駆動源から回転力が伝達されて、図中矢印C方向(時計方向)に回転するようになっている。なお、現像ロール60は、保持体の一例である。
【0039】
層厚規制部材62は、現像ロール60の表面に付着させる現像剤Gの層厚を規制する。
【0040】
筐体72は、感光体ドラム36の隣に配置されており、筐体72において、感光体ドラム36を臨む部分には、現像ロール60を露出させる開口部72Aが装置奥行方向に延びて形成されている。
【0041】
また、筐体72において、開口部72Aを挟んで感光体ドラム36の反対側には、現像ロール60が配置されている受渡路72Bが装置奥行方向に延びて形成されている。また、筐体72において、受渡路72Bの下方には、供給流路72Dが装置奥行方向に延びて形成されている。さらに、筐体72において、供給流路72Dの隣には、供給流路72Dに対し平行に位置する撹拌流路72Cが装置奥行方向に延びて形成されている。
【0042】
また、筐体72において、撹拌流路72Cと供給流路72Dとの間には、撹拌流路72Cと供給流路72Dとを仕切る仕切板72Eが、筐体72の底壁の内面から立ち上がって形成されている。
【0043】
また、
図4に示すように、筐体72において、撹拌流路72Cには撹拌オーガ66が配置されており、供給流路72Dには供給オーガ68が配置されている。
【0044】
撹拌部80は、撹拌オーガ66及び撹拌流路72Cにより構成されている。なお、撹拌オーガ66は、撹拌部材の一例である。また、供給部81は、供給オーガ68及び供給流路72Dにより構成されている。
【0045】
撹拌オーガ66は、装置奥行方向に延びている回転軸66Aと、回転軸66Aの外周面に形成されている螺旋状の撹拌羽根66Bと、を含んで構成されている。撹拌オーガ66は、回転軸66Aを軸として回転することで現像剤Gを軸方向に搬送しながら撹拌する。
【0046】
供給オーガ68は、装置奥行方向に延びている回転軸68Aと、回転軸68Aの外周面に形成されている螺旋状の供給羽根68Bと、を含んで構成されている。供給オーガ68は、回転軸68Aを軸として回転することで現像剤Gを軸方向に搬送しながら、現像ロール60に現像剤Gを供給する。
【0047】
また、筐体72において、仕切板72Eの装置奥行方向の手前側の端部に隣接して撹拌流路72Cと供給流路72Dとを繋ぐ第一繋ぎ口72Fが形成されている。また、筐体72において、仕切板72Eの装置奥行方向の奥側の端部に隣接して撹拌流路72Cと供給流路72Dとを繋ぐ第二繋ぎ口72Gが形成されている。これにより、撹拌流路72Cと供給流路72Dと第一繋ぎ口72Fと第二繋ぎ口72Gとで、現像剤Gが循環する循環路が形成されている。
【0048】
本実施形態では、図示しない駆動源から撹拌オーガ66及び供給オーガ68に対して回転力が伝達され、撹拌オーガ66及び供給オーガ68が回転することにより、
図4に矢印Fにて示す方向に現像剤Gが循環する構成とされている。
【0049】
また、
図5に示すように、筐体72において、充填部72Hは、少なくとも撹拌流路72Cの装置奥行方向における全範囲の上に配置されている。なお、撹拌流路72Cは、
図4において矢印Lで示すように、仕切板72Eで仕切られている範囲である。充填部72Hの装置奥行方向における長さは、撹拌流路72Cの装置奥行方向における長さL以上となるように構成されている。
【0050】
また、筐体72において、充填部72Hの側面には、充填部72H内の空間と現像ロール60の上方とを繋いでいるダクト部72Iが装置奥行方向に延びて形成されている。ダクト部72Iは、充填部72H内の空間と現像ロール60の上方とを撹拌流路72Cの装置奥行方向における全範囲を含む範囲で繋いでいる。すなわち、ダクト部72Iの装置奥行方向における長さは、撹拌流路72Cの装置奥行方向における長さL以上となるように構成されている。
【0051】
また、現像装置40は、出荷後であって使用場所への設置前(例えば輸送中)などの使用開始前においては、充填部72Hの下部を塞ぐヒートシール76、及び、充填部72Hからダクト部72Iの開口72Kへの空気の流れを遮断するヒートシール77を備えている。なお、ヒートシール76は、塞ぎ部及び第1のシール状部材の一例である。また、ヒートシール77は、遮断部及び第2のシール状部材の一例である。
【0052】
現像装置40は、
図2に示すように、ヒートシール76及びヒートシール77が除去される前の状態においては、充填部72Hに現像剤Gが充填されている。また、現像装置40は、
図3に示すように、使用時にはヒートシール76及びヒートシール77が除去される。これにより、充填部72Hに格納されていた現像剤Gが撹拌部80に落下し、供給部81を介して現像ロール60に供給されるようになる。また、充填部72Hからダクト部72Iの開口72Kへ、空気が流れるようになる。
【0053】
ヒートシール76は、
図6に示すように、現像剤Gが充填されている充填部72Hと撹拌部80との間に備えられた、一例としてポリエチレンで作製されたフィルムである。このヒートシール76は、充填部72Hと撹拌部80との間を塞ぐことにより、輸送中に現像剤Gが充填部72Hから撹拌部80に漏れることを防ぐ構成とされている。
【0054】
ヒートシール76は、例えば筐体72に形成されている矩形枠状を成すヒートシールの溶着部72Lに、二重折りされた状態で熱溶着されている。溶着部72L上に折り返されたヒートシール76の端部76Aは、筐体72の手前側の端部からはみ出している。そして、ヒートシール76は、筐体72の手前側の端部からはみ出している端部76Aが引っ張られると、溶着部72Lから剥がされつつ筐体72の外側に引き出されるようになっている。ヒートシール76が筐体72から除去されると、充填部72Hから撹拌部80へ現像剤Gが落下する。
【0055】
ヒートシール77は、
図7に示すように、現像剤Gが充填されている充填部72Hとダクト部72Iとの間に備えられた、一例としてポリエチレンで作製されたフィルムである。このヒートシール77は、充填部72Hとダクト部72Iとの間を塞ぐことにより、輸送中に現像剤Gが充填部72Hからダクト部72Iに漏れることを防ぐ構成とされている。
【0056】
ヒートシール77は、例えば充填部72Hの内面において、充填部72Hとダクト部72Iとの開口部72Jの周縁部に、二重折りされた状態で熱溶着されている。溶着部上に折り返されたヒートシール77の端部77Aは、筐体72の手前側の端部からはみ出している。そして、ヒートシール77は、筐体72の手前側の端部からはみ出している端部77Aが引っ張られると、溶着部から剥がされつつ筐体72の外側に引き出されるようになっている。ヒートシール77が筐体72から除去されると、充填部72Hからダクト部72Iへ空気が流れるようになる。
【0057】
また、
図8に示すように、ヒートシール76の端部76Aとヒートシール77の端部77Aとは、筐体72の外側において、一動作で除去可能に連結部材78により連結されている。
【0058】
以上説明した現像装置40は、装置本体10Aに対し着脱可能とされており、例えば、現像剤G中のトナーを消費すると、新品に交換されるようになっている。
【0059】
(現像装置の作用)
現像装置40では、次のようにして感光体ドラム36の現像が行われる。先ず、現像装置40の使用時にはヒートシール76及びヒートシール77が除去される。これにより、充填部72Hに格納されていた現像剤Gは、撹拌部80に落下した後、撹拌部80の撹拌流路72C、供給部81の供給流路72D、第一繋ぎ口72F、及び、第二繋ぎ口72Gからなる循環路を循環するようになる。また、現像ロール60の回転に伴って筐体72の内部に流入した空気が、受渡路72B、供給流路72D、第一繋ぎ口72F及び第二繋ぎ口72G、撹拌流路72Cを経由して、充填部72Hからダクト部72Iの開口72Kへ流れるようになる。
【0060】
現像剤Gは、受渡路72Bにおいて、供給部81から現像ロール60に供給される。現像ロール60は、感光体ドラム36と対向して配置され、感光体ドラム36の表面に形成された静電潜像を現像剤Gにより現像して、トナー画像として可視化する。
【0061】
感光体ドラム36の現像時には、現像装置40では、現像ロール60の回転により空気が筐体72の内部に引き込まれ、筐体72の内部の圧力が高まる。そのため、筐体72は、ダクト部72Iの開口72Kから、筐体72の内部の圧力を逃がすように構成されている。
【0062】
また、感光体ドラム36の現像時には、現像ロール60から落下して供給流路72Dに戻される現像剤Gが供給流路72Dにおいて搬送される現像剤Gと衝突して、現像剤Gに含まれるトナーが拡散し、いわゆるトナークラウドが発生する。供給部81の上方と開口72Kとを繋ぐダクト部を備えた比較例では、トナークラウドは、筐体72の内部の圧力を逃がす際に、一部がダクト部の内表面に付着するものの、ダクト部の開口72Kから筐体72の外部に漏出し易い。
【0063】
本実施形態の現像装置40では、筐体72を上述のように構成しているため、筐体72の内部の圧力を逃がす際に、トナークラウドを含む受渡路72Bの空気は、
図9において矢印FCに示すように、供給部81の供給流路72D、第一繋ぎ口72F及び第二繋ぎ口72G、撹拌部80の撹拌流路72C、充填部72H、ダクト部72Iの順に通過し、開口72Kから排出される。
【0064】
ここで、本実施形態の現像装置40では、ダクト部72Iが充填部72Hと開口72Kとを繋ぐため、上記の比較例と比してダクト部の内表面が広い。このため、本実施形態の現像装置40では、供給部81の上方と開口72Kとを繋ぐダクト部を備えた上記比較例と比して、ダクト部72Iの一端の開口72Kからトナークラウドが排出されるのが抑制される。
【0065】
また、本実施形態の現像装置40では、充填部72Hは撹拌流路72Cのみに現像剤Gを落下させる。すなわち、現像ロール60の回転に伴って筐体内部72に流入した空気は、撹拌流路72C及び充填部72Hを経由してダクト部72Iから外部に排出され、排出までの流路長が長い。このため、本実施形態の現像装置40では、充填部72Hから供給流路72Dにも現像剤Gが落下する構成と比して、ダクト部72Iの一端の開口72Kからトナークラウドが排出されるのが抑制される。
【0066】
また、本実施形態の現像装置40では、充填部72Hは、少なくとも撹拌流路72Cの装置奥行方向における全範囲の上に配置されている。このため、充填部72Hが装置奥行方向における撹拌流路72Cの一部にだけ配置されている構成と比して、ダクト部72Iの一端の開口72Kからトナークラウドが排出されるのが抑制される。
【0067】
また、本実施形態の現像装置40では、ダクト部72Iは、充填部72H内の空間と現像ロール60の上方とを撹拌流路72Cの装置奥行方向における全範囲を含む範囲で繋いでいる。このため、ダクト部72Iが装置奥行方向における撹拌流路72Cの一部だけで充填部内の空間と現像ロール60の上方とを繋ぐ態様と比して、ダクト部72Iの一端の開口72Kからトナークラウドが排出されるのが抑制される。
【0068】
また、本実施形態の現像装置40では、出荷後であって使用場所への設置前(例えば輸送中)などの使用開始前においては、充填部72Hからダクト部72Iの開口72Kへの空気の流れを遮断するヒートシール77を備えている。このため、使用場所への設置前においては、充填部72Hに充填されている現像剤Gがダクト部72Iの一端の開口72Kから外部に排出されない。
【0069】
また、本実施形態の現像装置40では、遮断部であるヒートシール77が、塞ぎ部であるヒートシール76と同じ構造である。このため、遮断部が塞ぎ部と異なる構造である場合と比して、塞ぎ部及び遮断部の除去の際の誤操作が抑制される。
【0070】
また、本実施形態の現像装置40では、塞ぎ部であるヒートシール76と遮断部であるヒートシール77とは、一動作で除去可能に連結部材78により連結されている。このため、遮断部と塞ぎ部とが独立して除去される構成と比して、塞ぎ部及び遮断部の除去の際の作業が容易である。
【0071】
また、本実施形態の画像形成装置10では、上記比較例による現像装置と比してトナークラウドの排出が抑制された現像装置40を備えているため、上記比較例による現像装置を備えた構成と比して、トナークラウドによる汚れが抑制される。
【0072】
(変形例)
なお、本開示に係る現像装置40の構成は、上述の説明に限られない。
【0073】
例えば、上述の説明においては、充填部72Hは、ヒートシール76が除去されると撹拌部80のみに現像剤Gが落下するように配置されていたが、撹拌部80及び供給部81に現像剤Gが落下するように配置してもよい。
【0074】
また、上述の説明においては、撹拌部80は、撹拌オーガ66及び撹拌流路72Cにより構成されていたが、撹拌部80の構成は上記に限定されない。同様に、供給部81は、供給オーガ68及び供給流路72Dにより構成されていたが、供給部81の構成は上記に限定されない。
【0075】
また、上述の説明においては、ダクト部72Iは、充填部72H内の空間と現像ロール60の上方とを撹拌流路72Cの装置奥行方向における全範囲を含む範囲で繋いでいる態様であったが、ダクト部72Iの構成は上記に限定されない。
【0076】
また、上述の説明においては、現像装置40は、ヒートシール77を輸送時に備えていたが、これに限られない。例えば、上述の構成に変えて、ヒートシール77を有していない構成としてもよい。
【0077】
また、上述の説明においては、塞ぎ部としてヒートシール76を備え、遮断部としてヒートシール77を備えていたが、塞ぎ部及び遮断部の構成は上記に限定されず、他の態様としてもよい。
【0078】
また、上述の説明においては、ヒートシール76の端部76Aとヒートシール77の端部77Aとは筐体72の外側において連結部材78により連結されていたが、両者が個別に除去される構成としてもよい。
【0079】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0080】
10 画像形成装置
10A 装置本体
14 収容部
16 搬送部
18 画像形成ユニット
20 画像形成部
40 現像装置
42 露光装置
50 定着装置
60 現像ロール
60A マグネットロール
60B 回転スリーブ
62 層厚規制部材
66 撹拌オーガ
66A 回転軸
66B 撹拌羽根
68 供給オーガ
68A 回転軸
68B 供給羽根
72 筐体
72A 開口部
72B 受渡路
72C 撹拌流路
72D 供給流路
72E 仕切板
72F 第一繋ぎ口
72G 第二繋ぎ口
72H 充填部
72I ダクト部
72J 開口部
72K 開口
72L 溶着部
76 ヒートシール
76A 端部
77 ヒートシール
77A 端部
78 連結部材
80 撹拌部
81 供給部
G 現像剤