IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン軽金属株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ケース体の止水締結構造 図1
  • 特開-ケース体の止水締結構造 図2
  • 特開-ケース体の止水締結構造 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141965
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】ケース体の止水締結構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20230928BHJP
   F16B 37/14 20060101ALI20230928BHJP
   F16J 15/06 20060101ALI20230928BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20230928BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20230928BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20230928BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
F16B37/14 A
F16J15/06 M
F16J15/06 C
F16J15/10 K
F16J15/10 C
H01M50/204 101
H01M50/244 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048577
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】五之治 巧
【テーマコード(参考)】
3D235
3J040
5H040
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB22
3D235BB25
3D235CC13
3D235CC15
3D235DD35
3D235EE64
3D235HH03
3J040AA17
3J040BA02
3J040EA16
3J040FA05
3J040HA23
5H040AA32
5H040AS07
5H040AY03
5H040CC12
5H040CC20
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】ケース体に締結孔を設けることで、直接的に支持部材にこのケース体を締結しても、その止水性に優れるケース体の止水締結構造の提供を目的とする。
【解決手段】止水性を有するケース体と前記ケース体を支持する支持部材とを備え、前記ケース体に締結孔を有し、前記締結孔を介してボルト部材及び袋ナット部材を用いて前記支持部材に前記ケース体を締結支持してあり、前記ボルト部材と袋ナット部材のうち、少なくとも一方側締結部であって前記締結孔の周囲部をシールするシール材を配設してあることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
止水性を有するケース体と前記ケース体を支持する支持部材とを備え、
前記ケース体に締結孔を有し、前記締結孔を介してボルト部材及び袋ナット部材を用いて前記支持部材に前記ケース体を締結支持してあり、
前記ボルト部材と袋ナット部材のうち、少なくとも一方側締結部であって前記締結孔の周囲部をシールするシール材を配設してあることを特徴とするケース体の止水締結構造。
【請求項2】
前記ボルト部材又は袋ナット部材の少なくとも一方の締結部は平面部を有し、前記平面部にOリングを予め装着した装着部を有していることを特徴とする請求項1記載のケース体の止水締結構造。
【請求項3】
前記支持部材は前記袋ナット部材の挿入孔を有し、
前記袋ナット部材は前記挿入孔に予め挿入保持させてあることを特徴とする請求項1又は2記載のケース体の止水締結構造。
【請求項4】
前記袋ナット部材に設けた平面部に前記Oリングを配置してあり、
前記ケース体の外側支持面を、袋ナット部材を挿入保持させてある支持部材に配置し、
前記ケース体の内側に固定部材を配置し、
前記固定部材と前記支持部材との間に前記ケース体の締結孔周囲部を挟持するように前記袋ナット部材に前記固定部材側からボルト部材を締結してあることを特徴とする請求項3記載のケース体の止水締結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース体の内部への止水を図りながら、このケース体を直接的に支持部材に固定できるケース体の締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリット自動車等の分野にては、駆動源として二次電池が搭載されているが、近年航続距離の長距離化の要求に応じるために搭載量の大型化が進んでいる。
これらの二次電池や、それらを制御するための電子機器類を車両に搭載するには、外部から充分に止水する必要がある。
特に、これらの電池や電子機器等をケース体内に収納し、車室外に搭載するためには、止水機能を有することが必須となる。
これまでは、ケース体の外側に溶接等にてブラケット類を取り付けることで、このブラケット等を介して車体側に支持固定することが検討されている。
しかし、そのような構造では外部から衝撃や振動等の荷重を受けた場合に、ブラケットの溶接部や締結部に入力荷重が集中してしまい、ケース体の支持強度が不充分になる恐れがあった。
本発明者は、ケース体を支持部材に直接的に締結できないか検討した結果、本発明に至った。
【0003】
例えば特許文献1には、筐体に部品を取り付ける際に筐体にネジ孔を設けるとともに、このネジ孔をOリングを介してネジと袋ナットで止水する構造を開示するが、ケース体を支持部材に直接的に止水締結することができないものである。
特許文献2には、アクチュエータのハウジングの内面に固定されたスタットボルトを介して、モジュレータハウジングのフランジ部を袋ナットで連結する技術を開示するが、ケース体の止水締結構造に適用できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国実開平5-89939号公報
【特許文献2】日本国実開平5-64032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ケース体に締結孔を設けることで、直接的に支持部材にこのケース体を締結しても、その止水性に優れるケース体の止水締結構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るケース体の止水締結構造は、止水性を有するケース体と前記ケース体を支持する支持部材とを備え、前記ケース体に締結孔を有し、前記締結孔を介してボルト部材及び袋ナット部材を用いて前記支持部材に前記ケース体を締結支持してあり、前記ボルト部材と袋ナット部材のうち、少なくとも一方側締結部であって前記締結孔の周囲部をシールするシール材を配設してあることを特徴とする。
【0007】
ここでケース体とは、内部に複数の二次電池(電池モジュール,電池パック)や、各種電子機器等を収納し、内部を止水する必要があるものをいう。
支持部材は、ケース体を締結支持するための部材をいい、ケース体を車両に搭載する場合には、車両を構成する構造部材やこの構造部材に連結した各種支持部材をいう。
【0008】
本発明においてボルト部材とは、オネジ部を有するものであれば、いわゆるネジやボルトに限定されない趣旨であり、袋ナット部材とは有底メネジ孔を有するものであれば、いわゆる六角袋ナットや円形袋ナット等に限定されない趣旨である。
【0009】
ケース体に設けた締結孔を用いて、このケース体を支持部材に止水締結する際に、ボルト部材と袋ナット部材のうち、少なくとも一方の締結部にケース体に設けた締結孔の周囲部をシールするためのシール部材を有していればよいが、この際にボルト部材又は袋ナット部材の少なくとも一方の締結部は平面部を有し、前記平面部にOリングを予め装着した装着部を有していると、締結時にOリングの位置合せが不要になる。
【0010】
また、本発明において、支持部材は前記袋ナット部材の挿入孔を有し、前記袋ナット部材は前記挿入孔に予め挿入保持させてあってもよい。
このようにすると、支持部材側に袋ナット部材を予め保持させてあるので、ケース体の取付作業が容易になる。
【0011】
本発明において、具体的な止水締結構造として、袋ナット部材に設けた平面部に前記Oリングを配置してあり、前記ケース体の外側支持面を、袋ナット部材を挿入保持させてある支持部材に配置し、前記ケース体の内側に固定部材を配置し、前記固定部材と前記支持部材との間に前記ケース体の締結孔周囲部を挟持するように前記袋ナット部材に前記固定部材側からボルト部材を締結してあってもよい。
このようにすると、固定部材と支持部材とで挟み込むようにして、ケース体を締結支持するので、外部からの入力荷重も分散されるので、ケース体の締結支持強度が向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るケース体の止水締結構造にあっては、ケース体に直接的に締結孔を設けても、その部分の止水性に優れる。
これにより、ケース体の外側にブラケット類を接合する必要がなく、ケース体の外部に取付部材を有していない点で、ケース体の取付スペースの省スペース化を図ることができ、このブラケット類を接合する溶接等の作業が不要であり、一般的に接合強度が弱くなる溶接部に外力が集中する恐れも無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る止水締結構造例を示す。
図2】ケース体を締結支持させる支持部材及び固定部材の例を示す。
図3】本発明に係る袋ナット部材の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るケース体の止水締結構造の例として、図2に示した電池ケースを車両側の支持部材に締結する例で説明するが、止水性が必要なケース体であれば各種電子機器等、ケース体の目的や構造に限定はない。
【0015】
図2に示した例は、複数の二次電池及びその制御用電子機器類を内部に収納するケース体1を車両の底部外側に複数の支持部材3にて締結支持する例である。
ケース体1は、周囲壁部1cとその底部を塞ぐ底板1aを有し、ケース体1の開口上部も図示を省略した蓋体等にて内部が止水される。
ケース体1の底板1aに複数の締結孔1bを有している。
図2に示した支持部材3の例は、複数の支持部材3と複数のパネル部材4とを連結してあり、車両の底部側から加わる入力荷重からケース体1を保護する機能も有している。
支持部材3は、断面中空形状のフレーム材になっている。
ケース体1の内側には、複数の電池等を固定収納することになるので、電池等を固定する機能を兼用させた固定部材2を用いて、ケース体1を支持部材3に締結支持させた例になっていて、固定部材2は中空断面形状のフレーム材にした例となっている。
【0016】
図1に、ケース体1(底板1a)の止水締結部分の断面図を示す。
中空フレーム状の支持部材3に、開口部3b及び挿入孔3aを形成し、この挿入孔3aに図3に斜視図を示した袋ナット部材11の挿入部11bを挿入し、圧入部11cにてこの袋ナット部材11を圧入保持させた例になっている。
固定部材2も中空フレーム状にした例であり、ボルト部材13を挿入する固定開口部2bと、固定孔2aとを形成してある。
【0017】
袋ナット部材11は、外形が円形状で円柱状の挿入部11bの上面が平面状の締結部11aになっていて、この締結部に形成したリング溝状の装着部11dにOリングからなるシール部材12を装着してある。
袋ナット部材11の上面中央部に、有底メネジ孔からなるネジ部11eを形成してある。
ボルト部材13は、相対的に外形が大きい頭部13aと、それよりも外径が小さい軸部13bからなり、この軸部13bの外周にネジ部13cを形成してある。
【0018】
支持部材3に、圧入保持させてある袋ナット部材11のネジ部11eに、ケース体1の締結孔1bが一致するように、このケース体1を配置し、さらにケース体1の内側から締結孔1bと固定部材2の固定孔2aを一致させ、ボルト部材13のネジ部(オネジ部)13cを固定孔2aから挿入し、袋ナット部材11のねじ部(メネジ部)11eに締め付けることで、止水締結される。
本実施例では、支持部材3とケース体1の底面との間に隙間dを形成し、この部分の排水性を向上させた例になっている。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明に係るケース体の止水締結構造は、内部への止水性が要求される各種ケース体の支持部材への取付構造として広く利用できる。
【符号の説明】
【0020】
1 ケース体
1b 締結孔
2 固定部材
2a 固定孔
2b 固定開口部
3 支持部材
3a 挿入孔
3b 開口部
11 ナット部材
11a 締結部
11b 挿入部
11c 圧入部
11d 装着部
11e ネジ部
12 シール部材
13 ボルト部材
13a 頭部
13b 軸部
13c ネジ部
図1
図2
図3