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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141969
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】地上局アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/08 20060101AFI20230928BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20230928BHJP
   H01Q 3/24 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H04B7/08 022
H04B7/06 042
H04B7/06 954
H04B7/08 802
H01Q3/24
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048582
(22)【出願日】2022-03-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-11
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、総務省、「電波資源拡大のための研究開発」における「5.7GHz帯における高効率周波数利用技術の研究開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】314012087
【氏名又は名称】株式会社光電製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】黒川 大輝
(72)【発明者】
【氏名】茂木 智広
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA02
5J021AB05
5J021AB06
5J021DB04
5J021FA13
5J021FA31
5J021GA02
5J021HA03
5J021JA05
(57)【要約】
【課題】地上局の設置位置を正確に把握すると同時に、アンテナの向いている方向を、正確かつ容易に把握可能にする。
【解決手段】本発明の地上局アンテナ装置は、無人飛行体に搭載された情報収集機器と通信する。地上局アンテナ装置は、指向性を有する第1アンテナ、位置・姿勢情報取得部、保持具を備える。位置・姿勢情報取得部は、第1アンテナの位置情報、方位情報、仰角情報を含む情報を取得する。保持具は、あらかじめ定めた相対位置になるように、第1アンテナと位置・姿勢情報取得部を保持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人飛行体に搭載された情報収集機器と通信する地上局アンテナ装置であって、
指向性を有する第1アンテナと、
前記第1アンテナの位置情報、方位情報、仰角情報を含む情報を取得する位置・姿勢情報取得部と、
あらかじめ定めた相対位置になるように、前記第1アンテナと前記位置・姿勢情報取得部を保持する保持具と
を備える地上局アンテナ装置。
【請求項2】
請求項1記載の地上局アンテナ装置であって、
前記第1アンテナは、スロットアレーアンテナである
ことを特徴とする地上局アンテナ装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の地上局アンテナ装置であって、
前記第1アンテナは、垂直方向のビーム幅が狭いアンテナであり、
垂直方向のビーム幅が広い第2アンテナと、
アンテナ切替部
も備え、
前記アンテナ切替部は、前記情報収集機器からの受信状態に応じて、前記第1アンテナで受信した信号と、前記第2アンテナで受信した信号を切り替える
ことを特徴とする地上局アンテナ装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の地上局アンテナ装置であって、
前記第1アンテナは、垂直方向のビーム幅が狭いアンテナであり、
垂直方向のビーム幅が広い第2アンテナと、
アンテナ切替部
も備え、
前記アンテナ切替部は、前記無人飛行体との距離に応じて、前記第1アンテナで受信した信号と、前記第2アンテナで受信した信号を切り替える
ことを特徴とする地上局アンテナ装置。
【請求項5】
請求項3または4記載の地上局アンテナ装置であって、
前記アンテナ切替部は、前記情報収集機器への送信信号は、受信した信号を使用しているアンテナに対応したアンテナから送信する
ことを特徴とする地上局アンテナ装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の地上局アンテナ装置であって、
前記保持具の向きを変更する駆動部も備え、
前記駆動部は、前記第1アンテナのビームの方向を、前記無人飛行体に追従させる
ことを特徴とする地上局アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体に搭載された情報収集機器と通信する地上局アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無人飛行体(例えば、ドローン)の活用する場は急速に広がり、目視外飛行や自動運行時の安全確保、そして効率的な監視、警備への活用の為にも、高精細な映像の無線伝送(生中継)が必要とされている。また、無線に求められる伝送距離は、より遠方からでも伝送可能な事が望まれる。ドローンの飛行は、航空法で基本的に高度150m未満に制限される(非特許文献1)。また、正確に位置、方位などの情報を得る技術として、非特許文献2,3などの技術が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】国土交通省、“航空安全:無人飛行機の飛行ルール”,[令和4年3月13日検索]、インターネット<https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html>.
【非特許文献2】日本財団図書館、“平成15年度 通信講習用 船舶電気装備技術講座(レーダー、AIS・VDR・GPS編)”,[令和4年3月12日検索]、インターネット<https://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2003/00139/contents/0049.htm>.
【非特許文献3】株式会社光電製作所、“ポータブルGPSコンパス:KPC-30”,[令和4年3月12日検索]、インターネット<https://www.koden-electronics.co.jp/jp/industrial/kpc-30>.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仮に5km先、高度150mのドローンは、地平線から約2度に位置し、通信品質に大きく影響を与えるマルチパスは地面反射が支配的となる。それを踏まえ遠方のドローンとの無線信号を送受信する地上局用のアンテナには、垂直面の指向性を極端に絞り込んだ特性を有し、常にターゲットとなるドローンへそのビームの方向を向け続けられることが必要になる。また、ドローン搭載アンテナは、送信出力が無線規格やバッテリ消費電力の制約で上げられないことから、小型軽量で利得の高い指向性アンテナを搭載し、地上局へ常にビームの方向を向け続け得る制御機構を有することが求められる。すなわちドローンと対向する地上局とは、互いの位置を正確に把握し、それぞれのアンテナ指向性を対向先に正確に向け続けられる仕組みを有することが望まれる。ただし、ドローンを飛行させる状況を考えると、必要時に適切な現場に移動して地上局を設置することが一般的であり、移動しない地上局は稀である。
【0005】
本発明は、このような地上局設置環境と求められるアンテナ特性を鑑みてなされたもので、地上局の設置位置を正確に把握すると同時に、アンテナの向いている方向を、正確かつ容易に把握可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の地上局アンテナ装置は、無人飛行体に搭載された情報収集機器と通信する。地上局アンテナ装置は、指向性を有する第1アンテナ、位置・姿勢情報取得部、保持具を備える。位置・姿勢情報取得部は、第1アンテナの位置情報、方位情報、仰角情報を含む情報を取得する。保持具は、あらかじめ定めた相対位置になるように、第1アンテナと位置・姿勢情報取得部を保持する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の地上局アンテナ装置によれば、保持具は、第1アンテナの指向性を考慮したあらかじめ定めた位置関係になるように、第1アンテナと位置・姿勢情報取得部を保持する。したがって、地上局の設置位置を正確に把握すると同時に、アンテナの向いている方向を、正確かつ容易に把握可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の地上局アンテナ装置の機能構成例を示す図。
図2】受信用の第1アンテナ、位置・姿勢情報取得部、保持具を備えた第1受信地上局101を示す図。
図3図2のAの部分の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例0010】
図1に本発明の地上局アンテナ装置の機能構成例を示す。地上局アンテナ装置100は、無人飛行体に搭載された情報収集機器(図示していない)と通信する。地上局アンテナ装置100は、指向性を有する第1アンテナ110,115、位置・姿勢情報取得部120,125、保持具130,135を備える。受信用の第1アンテナ110と送信用の第1アンテナ115はクロストークを避けるため距離を離す必要がある。したがって、受信用と送信用は別々の保持具130,135に保持させればよい。情報収集機器とは、カメラなどの機器であり、情報収集機器から得る情報の方が多く、情報収集機器を制御するための情報は少ない。
【0011】
図2は、受信用の第1アンテナ110、位置・姿勢情報取得部120、保持具130を備えた第1受信地上局101である。図3は、図2のAの部分の拡大図である。送信用の第1送信地上局102も同様の構成にすればよい。図2に示した第1受信地上局101の場合、第1アンテナ110の向きは、無人飛行体(図示していない)の位置を確認しながら手動で調整する。同様に、第1送信地上局102の向きも手動で調整すればよい。なお、受信可能な情報量を増やす技術として、MIMO(multiple-input and multiple-output)などの技術を利用してもよい。垂直偏波用の受信アンテナと水平偏波用の受信アンテナを別体とするのであれば、垂直偏波用の第1受信地上局と水平偏波用の第1受信基地局を用意すればよい。
【0012】
第1アンテナ110,115は指向性を有する。指向性の程度は、無人飛行体が飛行する環境、地上局アンテナ装置からの距離などに応じて適宜選択すればよい。例えば、海上、農地などの水平方向に障害物がない環境では、垂直方向に長手方向が向くように配置したスロットアレーアンテナのように、水平方向のビーム幅が広く、垂直方向のビーム幅が狭いアンテナを用いればよい。地面反射によるマルチパスを回避しやすいからである。図2,3に示した第1アンテナ110は、垂直方向に長手方向が向くように配置したスロットアレーアンテナの例である。例えば、ビルが多数ある都会、渓谷などの水平方向に障害物がある環境では、パラボラアンテナのように、垂直方向にも水平方向にもビーム幅が狭いアンテナを用いればよい。ただし、ビーム幅が狭いアンテナを用いると、無人飛行体を精度よく追従する必要がある。パラボラアンテナほどの高い指向性が求められない場合は、八木アンテナなどを用いればよい。アンテナの種類は適宜決めればよいが、垂直方向に長手方向が向くように配置したスロットアレーアンテナのように、水平方向のビーム幅が広く、垂直方向のビーム幅が狭いアンテナは、多くの環境での利用が期待できる。
【0013】
位置・姿勢情報取得部120,125は、第1アンテナ110,115の位置情報、方位情報、仰角情報を含む情報を取得する。位置・姿勢情報取得部120,125には、非特許文献2,3に示したGPSコンパスを用いればよい。
【0014】
保持具130,135は、あらかじめ定めた相対位置になるように、第1アンテナ110,115と位置・姿勢情報取得部120,125を保持する。「あらかじめ定めた相対位置」は、第1アンテナ110,115の指向性、電波の特性への影響を考慮して決めればよい。図2,3の例では、第1アンテナ110の背面側にある程度の距離をおいて配置している。図2,3の例では背面だが、下側などの電波に影響を与えにくい位置でもよい。
【0015】
第1アンテナ110,115が、垂直方向のビーム幅が狭いアンテナの場合は、地上局アンテナ装置100は、垂直方向のビーム幅が広い第2アンテナ210,215とアンテナ切替部150も備えればよい。第2受信地上局201は、第2アンテナ210、保持具230を有する。第2送信地上局202は、第2アンテナ215、保持具235を有する。第2アンテナ210,215には、パッチアンテナのように指向性が低いアンテナを用いれば、垂直方向のビーム幅を広くできる。無線飛行体が遠方、例えば、5km先、高度150mにある場合は地平線から約2度だが、無線飛行体までの距離が短いときは水平線からの角度は大きくなる。したがって、アンテナを切り替える必要がある。なお、第2アンテナ210,215はビーム幅が広いので、第2受信地上局201と第2送信地上局202は、位置・姿勢情報取得部220,225を備えなくてもよい。
【0016】
アンテナ切替部150は、情報収集機器からの受信状態に応じて、もしくは、無人飛行体との距離に応じて、第1アンテナで受信した信号と第2アンテナで受信した信号を切り替える。アンテナ切替部150は、情報収集機器への送信信号は、受信した信号を使用しているアンテナに対応したアンテナから送信する。「対応したアンテナ」とは、受信用のアンテナに対応した送信用のアンテナを意味している。アンテナ切替部150は、第1アンテナ110で受信している信号を出力している場合は、第1アンテナ115から送信する。アンテナ切替部150は、第2アンテナ210で受信している信号を出力している場合は、第2アンテナ215から送信する。
【0017】
第1受信地上局101と第1送信地上局102は、保持具130,135の向きを変更する駆動部140,145も備えればよい。駆動部140,145は、第1アンテナ110,115のビームの方向を、無人飛行体に追従させる。地上局アンテナ装置100は、無人飛行体に搭載されたGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)の情報も取得する。また、地上局アンテナ装置100は、位置・姿勢情報取得部120,125から、位置情報、方位情報、仰角情報を含む情報を取得する。駆動部140,145は、これらの情報に基づいて、第1アンテナ110,115のビームの方向を、無人飛行体に追従させればよい。
【0018】
第2受信地上局201と第2送信地上局202は、保持具230,235の向きを変更する駆動部240,245も備えてもよいが、第2アンテナ210,215はビーム幅が広いので駆動部240,245を備えなくてもよい。
【0019】
地上局アンテナ装置100によれば、保持具130,135は、第1アンテナ110,115の指向性を考慮したあらかじめ定めた位置関係になるように、第1アンテナ110,115と位置・姿勢情報取得部120,125を保持する。したがって、地上局の設置位置を正確に把握すると同時に、アンテナの向いている方向を、正確かつ容易に把握可能にすることができる。
【符号の説明】
【0020】
100 地上局アンテナ装置
101 第1受信地上局
102 第1送信地上局
110,115 第1アンテナ
120,125,220,225 位置・姿勢情報取得部
130,135,230,235 保持具
140,145,240,245 駆動部
150 アンテナ切替部
201 第2受信地上局
202 第2送信地上局
210,215 第2アンテナ
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人飛行体に搭載された情報収集機器と通信する地上局アンテナ装置であって、
垂直方向のビーム幅が狭い第1アンテナと、
垂直方向のビーム幅が広い第2アンテナと、
前記第1アンテナの位置情報、方位情報、仰角情報を含む情報を取得する位置・姿勢情報取得部と、
あらかじめ定めた相対位置になるように、前記第1アンテナと前記位置・姿勢情報取得部を保持する保持具と
アンテナ切替部
を備え
前記アンテナ切替部は、前記情報収集機器からの受信状態に応じて、前記第1アンテナで受信した信号と、前記第2アンテナで受信した信号を切り替える
ことを特徴とする地上局アンテナ装置。
【請求項2】
請求項1記載の地上局アンテナ装置であって、
当該地上局アンテナ装置は、移動して設置する装置である
ことを特徴とする地上局アンテナ装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の地上局アンテナ装置であって、
前記第1アンテナは、スロットアレーアンテナである
ことを特徴とする地上局アンテナ装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の地上局アンテナ装置であって、
前記アンテナ切替部は、前記情報収集機器への送信信号は、受信した信号を使用しているアンテナに対応したアンテナから送信する
ことを特徴とする地上局アンテナ装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の地上局アンテナ装置であって、
前記保持具の向きを変更する駆動部も備え、
前記駆動部は、前記第1アンテナのビームの方向を、前記無人飛行体に追従させる
ことを特徴とする地上局アンテナ装置。