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特開2023-141971横型連続伝導伝熱式乾燥機の運転方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141971
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】横型連続伝導伝熱式乾燥機の運転方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 3/24 20060101AFI20230928BHJP
   F26B 25/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
F26B3/24
F26B25/00 A ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048584
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000149310
【氏名又は名称】株式会社大川原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(74)【代理人】
【識別番号】100217168
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 岳身
(72)【発明者】
【氏名】八木 翼
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AB03
3L113AB05
3L113AC05
3L113AC16
3L113AC45
3L113AC48
3L113AC49
3L113AC58
3L113AC63
3L113AC67
3L113AC83
3L113AC87
3L113BA02
3L113BA36
3L113CA03
3L113CA08
3L113CB22
3L113CB34
3L113DA07
3L113DA22
3L113DA26
(57)【要約】
【課題】 被処理物の投入量は一定にしながら、乾燥機内における滞留品の増減に応じた排出量制御の精度を上げ、滞留品量を自動的に調節して、安定した乾燥運転が可能となる新規な横型連続伝導伝熱式乾燥機の運転方法の開発を技術課題とした。
【解決手段】伝熱部材11の回転方向に掻き上げられる本体シェル10内における滞留品P2の滞留レベルの測定値と、排気温度の測定値と、伝熱部材11を駆動するためのモータM1の負荷電流の測定値と、のうちの何れか複数の測定値を条件部とし、溢出口102の閉時間を結論部とし、本体シェル10内滞留品P2の量を調節するファジィ制御を行うことを特徴として成る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱部材を具えた軸体を本体シェル内に配し、この軸体の内部に加熱用蒸気を流すとともに回転させ、
前記本体シェル内に投入口から投入された被処理物を、本体シェル内に滞留させつつ前記軸体とともに回転する伝熱部材に接触させて乾燥させ、得られた乾燥品を溢出口から排出する横型連続伝導伝熱式乾燥機の運転方法において、
前記伝熱部材の回転方向に掻き上げられる本体シェル内における滞留品の滞留レベルの測定値と、
排気温度の測定値と、
前記伝熱部材を駆動するためのモータの負荷電流の測定値と、のうちの何れか複数の測定値を条件部とし、
前記溢出口の閉時間を結論部とし、
本体シェル内滞留品の量を調節するファジィ制御を行うことを特徴とする横型連続伝導伝熱式乾燥機の運転方法。
【請求項2】
前記本体シェル内における滞留品の滞留レベルを二カ所以上で計測することを特徴とする請求項1記載の横型連続伝導伝熱式乾燥機の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は泥状・ケーク状・粉粒状等の材料の乾燥に好適な横型連続伝導伝熱式乾燥機に関するものであって、特に見掛け密度の変動が激しい被処理物の乾燥を好適に行うことのできる横型連続伝導伝熱式乾燥機の運転方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
近時、環境保全の取り組みが盛んになってきており、企業等にあっては、生ごみ、食品加工残渣等の一般廃棄物や、下水汚泥等を乾燥・濃縮して、減量・腐敗防止を図ったうえで再資源化や処分を行っている。
【0003】
このような汚泥等の乾燥に供される装置の一つとして、横型連続伝導伝熱式乾燥機1′がある。この装置は例えば図8に示すように、本体シェル10′内に多管式加熱管11′が具えられ、この多管式加熱管11′を、その内部に加熱用蒸気を流すとともに回転させ、このものに被処理物Pを接触させて水分を蒸発させる装置である。
そして投入口101′から本体シェル10′内に供給された被処理物Pは、リフタ117′によって掻き上げられ、乾燥が進行しながら溢出口102′側に移動するものであり、所望の水分値となった状態で溢出口102′からダクト102 ′を経由して、乾燥品Dとして外部に排出されることとなる。
なお本明細書においては、横型連続伝導伝熱式乾燥機によって乾燥処理される汚泥等を被処理物Pと呼ぶものであり、横型連続伝導伝熱式乾燥機に投入されて一定の値にまで水分量が低下していないものを被処理物P1と呼び、一定の値よりも乾燥の進んだ被処理材Pを滞留品P2と呼ぶ。なお横型連続伝導伝熱式乾燥機内に位置する被処理物Pを総称するときには滞留品P2と呼ぶものである。
そして一般に横型連続伝導伝熱式の乾燥機は、機内の滞留品P2が伝熱部材11の表面と接触することで乾燥が進行するものであるため、乾燥効率を高めるために滞留品P2の滞留量が多い状態を維持して運転が行われるものであり、本体シェル10′の容量の半分程度の滞留品P2を本体シェル10′内に滞留させ、新たに投入された被処理材P1と混合してその含水率を低下させることにより、効率的な乾燥処理が行われる(図4参照)。
【0004】
そして被処理物Pの投入量が一定であり見掛け密度が一定のとき、すなわち本体シェル10′内に供給される被処理物Pの性状が一定のときには、滞留品P2の量と、多管式加熱管11′の駆動電流値との間に相関関係が認められている。このため、駆動電流値を監視して、その値に応じて溢出口102′から排出される滞留品P2の量を調節することにより、本体シェル10′内における滞留品P2の量を所望の値とすることができる。
なおこの本体シェル10′内における滞留品P2の量の調節は、溢出口102′に設けられた蓋部材102c′の開閉操作によって行うことができるものであり、開放時間を一例として2秒とし、閉鎖時間を一例として 1分、 2分、3分、4分、8分あるいは更に長時間閉鎖する手法が採られている。
【0005】
一方、被処理物Pが乾燥に伴い見掛け密度が大きく変動する性状の場合、本体シェル10内の滞留量が変動して乾燥品Pの排出量の変動も大きくなり、特に乾燥機の下流側の機器の動作に影響を及ぼすことになる。
この場合、上記駆動電流値を監視する手法においては、被処理物Pの投入量が一定であっても、本体シェル10′内に滞留している滞留品P2の性状が変化するため、体積変化を検知することができなかった。
すなわち、例えば本体シェル10′の容量に占める滞留品P2の割合を40%とする管理を行っていたときに、滞留品P2の重量が1000kgであり、その見掛け密度が300kg/m3 であった場合の伝熱部材の駆動電流値が50Aであったとする。
この状態から、新たに投入された被処理物Pの性状変化により、本体シェル10′内の滞留品P2の見掛け密度が600kg/m3 に変動したとすると、伝熱部材の駆動電流値が50Aのままであると、滞留品P2の重量を1000kgとする制御条件が継続されるため、本体シェル10′の容量に占める滞留品P2の割合は20%と大きく低下してまう。
このため被処理物Pの性状変化に伴う適切な運転を行うために、オペレータが本体シェル10′内を目視確認するとともに見掛け密度を測定し、駆動電流の設定値を一例として70Aに設定変更して、本体シェル10′の容量に占める滞留品P2の割合を40%となるようにするといった、設定主体のオペレーションが行われていた。
【0006】
そこで本出願人は、横型連続伝導伝熱式乾燥機1′において、滞留品P2の性状を把握するとともに、滞留品P2の性状により適合した多様な運転条件を設定することのできる新規な「伝導伝熱式乾燥機並び伝導伝熱式乾燥機の運転方法」を案出し既に特許出願に及んでいる(特許文献1参照)。
この発明は図9に示すように、本体シェル10′内において伝熱部材の回転方向に掻き上げられる滞留品P2の機内レベルを検出するための機内レベル検出機構13′を具えた横型連続伝導伝熱式乾燥機1′に関するものである。そして、この横型連続伝導伝熱式乾燥機1′を運転するにあたって、多管式加熱管11′を回転駆動するためのモータM1′に流れる電流値、本体シェル10′内における滞留品P2の機内レベル及び機内レベルの変移量のうちのいずれか一つまたは複数の状態に応じて、12のケースを想定し、各ケース毎に予め設定したように、本体シェル10′への被処理物Pの投入量または本体シェル10′からの乾燥品Dの排出量の何れか一方又は双方を制御するというものである。
【0007】
しかしながら、本体シェル10′の内部は多管式加熱管11′が回転している構造のため、レベル計での監視のみでは、滞留品P2の体積の把握が難しいこと、更に被処理物Pの見掛け密度の変動は、水分の高い被処理物Pの状態では投入時に大きな変化は無く、ある程度乾燥が進んだ時点で変化を生じるため、投入前での把握は非常に困難であること、更にまた汚泥等、横型連続伝導伝熱式乾燥機1′に供給されてくる被処理物Pの水分については、濃縮汚泥の濃度、脱水流量、凝集剤添加量等によって大きく変化するものであり、また乾燥施設には、様々な地区から被処理物Pが持ち込まれること等から、上記発明をもってしても、被処理物Pの性状変動に対応して、汚泥等の乾燥施設を安定して運用することが困難な事態が発生し得ることが顕在化した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-174044
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような背景からなされたものであって、被処理物の投入量は一定にしながら、乾燥機内における滞留品の増減に応じた排出量制御の精度を上げ、滞留品量を自動的に調節して、安定した乾燥運転が可能となる新規な横型連続伝導伝熱式乾燥機の運転方法の開発を技術課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち請求項1記載の横型連続伝導伝熱式乾燥機の運転方法は、伝熱部材を具えた軸体を本体シェル内に配し、この軸体の内部に加熱用蒸気を流すとともに回転させ、前記本体シェル内に投入口から投入された被処理物を、本体シェル内に滞留させつつ前記軸体とともに回転する伝熱部材に接触させて乾燥させ、得られた乾燥品を溢出口から排出する横型連続伝導伝熱式乾燥機の運転方法において、前記伝熱部材の回転方向に掻き上げられる本体シェル内における滞留品の滞留レベルの測定値と、排気温度の測定値と、前記伝熱部材を駆動するためのモータの負荷電流の測定値と、のうちの何れか複数の測定値を条件部とし、前記溢出口の閉時間を結論部とし、本体シェル内滞留品の量を調節するファジィ制御を行うことを特徴として成るものである。
【0011】
また請求項2記載の横型連続伝導伝熱式乾燥機の運転方法は、前記請求項1記載の要件に加え、前記本体シェル内における滞留品の滞留レベルを二カ所以上で計測することを特徴として成るものである。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0012】
まず請求項1記載の発明によれば、本体シェル内における滞留品の機内レベルの測定値、排気温度の測定値、伝熱部材を駆動するためのモータの負荷電流の測定値を条件部とすることで、滞留品の滞留量を精度良く把握することができる。このため、横型連続伝導伝熱式乾燥機の運転にあたり、オペレータによる本体シェル内の目視確認、見掛け密度の測定、駆動電流設定値の設定変更を要する設定主体のオペレーションから脱却し、監視主体のオペレーションに移行することができる。そして、設定変更ミスや操作ミスを無くすとともに、被処理物の見掛け密度変動時や水分変動時にも滞留品量を所望の値に保つことができることで、安定した運転が可能となる。
【0013】
また請求項2記載の発明によれば、レベル計を複数設置することにより、乾燥機(本体シェル)内に位置する滞留品の滞留レベルを精度良く把握することができる。
またレベル計が複数設置されることにより、乾燥機(本体シェル)内に回転物(多管式加熱管)が有る事での測定誤差を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の適用対象である横型連続伝導伝熱式乾燥機並びに周辺機器を示す骨格図である。
図2】横型連続伝導伝熱式乾燥機を一部透視して示す正面図である。
図3】横型連続伝導伝熱式乾燥機を一部透視して示す左側面図及び右側面図である。
図4】本体シェルにおける機内レベル検出機構周辺を一部拡大して示す横断面図である。
図5-1】ファジィ推論の条件部とされる、「滞留レベルL1」のメンバーシップ関数を示すグラフである。
図5-2】ファジィ推論の条件部とされる、「滞留レベルL2」のメンバーシップ関数を示すグラフである。
図5-3】ファジィ推論の条件部とされる、「排気温度T1」のメンバーシップ関数を示すグラフである。
図5-4】ファジィ推論の条件部とされる、「負荷電流A1」のメンバーシップ関数を示すグラフである。
図6-1】条件部を「滞留レベルL1」、「滞留レベルL2」及び「排気温度T1」、結論部を「蓋部材閉時間DT1」としたファジィ推論のルールを示す表である。
図6-2】条件部を「滞留レベルL1」、「滞留レベルL2」及び「負荷電流A1」、結論部を「蓋部材閉時間DT1」としたファジィ推論のルールを示す表である。
図6-3】条件部を「排気温度T1」及び「負荷電流A1」、結論部を「蓋部材閉時間DT1」としたファジィ推論のルールを示す表である。
図7】機内レベル検出機構が三基設けられた横型連続伝導伝熱式乾燥機を一部透視して示す正面図である。
図8】特許文献1に示された既存の横型連続伝導伝熱式乾燥機を一部透視して示す正面図である。
図9】既存の横型連続伝導伝熱式乾燥機を一部透視して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の「横型連続伝導伝熱式乾燥機の運転方法」の最良の形態は以下の実施例に示すとおりであるが、この実施例に対して本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
【実施例0016】
本発明の適用対象である横型連続伝導伝熱式乾燥機1は、泥状・ケーク状・粉粒状等の被処理物Pの乾燥に好適な装置であって、被処理物Pに含まれる水分等の揮発分を蒸発させながら滞留させることにより乾燥品Dを得るための装置である。
以下、横型連続伝導伝熱式乾燥機1及び周辺機器について説明した後、本発明の運転方法について説明する。
前記横型連続伝導伝熱式乾燥機1は図2、3に示すように、機枠F上に具えられた本体シェル10内に、伝熱部材である多管式加熱管11が具えられ、この多管式加熱管11を、その内部に加熱用蒸気Vを流すとともに回転させ、被処理物Pを本体シェル10内に滞留させつつ多管式加熱管11に接触させて乾燥を行う乾燥機である。
【0017】
前記本体シェル10は、一例として図3に示すように長楕円状の横断面を有する中空部材であり、投入口101、溢出口102、キャリヤガス口103、排気口104が形成される。
以下、本明細書においては、溢出口102側(図1、2中、右側)を「後」、「後方」と称し、その逆側を「前」、「前方」と称するものとする。
ここで前記投入口101は、本体シェル10上部の複数個所に形成されるものであり、一例として図1、2中、本体シェル10の前側上部に形成される排気口104の前方に第一の分散投入口101aが形成される。また、本体シェル10の後側上部に形成されるキャリヤガス口103の前方に、第二の分散投入口101b、第三の分散投入口101cが形成される。
なおこれら投入口101、キャリヤガス口103及び排気口104の設置個所並びに排気口104の数については、本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更することができるものである。
【0018】
また前記本体シェル10及び多管式加熱管11は、水平な状態で機枠Fに設置されるか、または溢出口102側がいくぶん低くなるように傾斜して機枠Fに設置される。
更にまた前記本体シェル10は二重ジャケット構造とされ、投入口101aの下方付近に形成される蒸気供給口106から、溢出口102の下方に形成されるドレン口107に至る蒸気の通過経路が形成されるものであり、本体シェル10内を昇温することができるような構成が採られている。なお、このような二重ジャケット構造に替えてトレース配管等を設置することもできる。
【0019】
また前記溢出口102は、本体シェル10に形成された方形の開口部を、下部から上部に向かって順に、幅十数cm程度の複数の板材102aで塞ぐことにより、所望の高さ寸法で形成することができるものである。そして乾燥品Dはこの板材102aを乗り越えて本体シェル10外に排出されてゆくこととなる。
このような構成が採られることから、板材102aを高く積み上げれば、溢出口102の開口は上部に狭くしか開かないため、本体シェル10内の滞留品P2の量が多くなる。逆に板材102aが少なければ開口は広くなり、本体シェル10内の滞留品P2の量は少なくなる。
また前記溢出口102を塞ぐ蓋部材102cが具えられており、溢出口102が蓋部材102cにより塞がれている「閉状態」では、本体シェル10から乾燥品Dが排出されることはなく、一方、溢出口102が蓋部材102cにより塞がれていない「開状態」では、本体シェル10から乾燥品Dが排出される。そして本体シェル10内の滞留品P2の量は、制御盤4からの制御信号により調整される蓋部材102cの「閉」、「開」動作の繰り返しの時間間隔に応じて増減することとなる。
なお前記蓋部材102cは、適宜シリンダやリンク機構を具えて構成される不図示の開閉機構により溢出口102に対して接近離反するように構成される。
【0020】
また前記溢出口102を覆うようにダクト102bが外装されるものであり、このダクト102bの下部に形成される排出口109の前段にロータリーバルブ、二重ダンパ排出装置等が具えられる。更に本体シェル10の側面にはメンテナンス用の側面開口108が形成されており、定常時には蓋体によって閉鎖されている。
【0021】
また前記多管式加熱管11は、複数のチューブを円筒状に配して成る伝熱部材としての熱管束116の両側部に鏡板112を具えるとともに、この鏡板112の中心に軸体113を具えて成り、前記機枠Fに具えた軸受ブロック114によって軸体113を回転可能に支持して成るものである。なお多管式加熱管11を回転させるための駆動装置として機枠Fに対してにモータM1が具えられる。
そして前記軸体113の両端にはロータリージョイント115(115a、115b)が取り付けられ、熱管束116と接続される。また軸体113と本体シェル10との間には、外気との遮断のためのシール機構が設けられている。
なお熱管束116の側周部には、複数のリフタ117及び適宜の角度を持たせた送り羽根118が取り付けられたアングル111が多数(この実施例では12本)具えられるものであり、これらによって被処理物Pは掻き上げられて前記熱管束116に接触するとともに投入口101側から溢出口102側に進むこととなる。
【0022】
また図示は省略するが、横型連続伝導伝熱式乾燥機1には蒸気発生装置が併設されるものであり、U字形、直管形、ヘリカルコイル形等適宜の装置が適用される。そしてこの蒸気発生装置から前記横型連続伝導伝熱式乾燥機1におけるロータリージョイント115a及び蒸気供給口106に管路が接続される。
また、キャリヤガスCがキャリヤガス口103より本体シェル10内に供給される。そして多管式加熱管11の加熱により被処理物Pから揮発する揮発成分は、前記キャリヤガスCにより排気口104を経て本体シェル10外に運び去られる。このキャリヤガスCには、前記揮発成分の他に、被処理物Pから発生する微粉も含まれるため、排気口104以降のキャリヤガスCの流れる経路上に、後述する集塵装置3が具えられる。
【0023】
更に前記排気口104付近には、排気ガスG1の温度を計測するための排気ガス温度センサ121が具えられており、測定結果は制御盤4に送信される。
更に制御盤4には、前記多管式加熱管11を回転させるためのモータM1の消費電流(負荷電流)の値と、下記機内レベル検出機構13によって検出される本体シェル10内における滞留品P2の機内レベルの値が送信される。
【0024】
次いで機内レベル検出機構13について説明すると、この機構は図4に示すように、外部から本体シェル10内に挿通状態とされるスライド自在のロッド131を具え、このロッド131の下端部が被処理物Pの表層部と接することにより、被処理物Pの高さ位置の変動に伴って上下動するように構成されたものである。この様な構成が採られることにより、前記ロッド131の上下位置により外部から被処理物Pの高さ位置(本体シェル10内における滞留品P2の機内レベル)を認知することが可能とされる。
具体的には、一例として耐衝撃性・耐熱性に優れたエンジニアリングプラスチックやガラス等の透明素材によって形成されたケーシング130にスリーブ132が内嵌され、このスリーブ132の中穴132aに挿通されたロッド131が上下動できるように具えられて成るものである。
なおケーシング130を長手方向の適宜の個所で分割自在とすることにより、スリーブ132をケーシング130内の長手方向の好適な位置に設置することが可能となる。
【0025】
記ロッド131の上部付近には、抜け落ち防止のためのストッパ133が具えられ、一方、ロッド131の下端部には、ロッド131の被処理物Pへの沈み込みを防止するための機構としての当接片135が具えられる。
この当接片135は、図4に示すような円錐台状のものの他、角錐、球形状等、実質的にロッド131の底面を拡張して被処理物Pとの接触面積を増大させることにより、ロッド131が下方から持ち上げられて来る被処理物P中に沈み込むのを防止することができる形態が採られる。因みに稼動中の伝導伝熱式乾燥機1において、下水汚泥を被処理物Pとした際の試験では、当接片135の下面にかかる圧力が2.2kg/cm2 程度であればロッド131及び当接片135が被処理物P中に沈み込んでしまうことなく、被処理物Pの機内レベルを正確に検出することができることが確認されている。
なおロッド131及び当接片135の素材としては、SUS等の金属の他、シリコーン、フッ素樹脂あるいはこれらを組み合わせたもの等が採用し得る。
【0026】
また前記ロッド131の上下位置の検出を行うためのセンサSが具えられる。この実施例では一例として、ケーシング130の外部且つスリーブ132の上方部分に、送受光式のセンサSが具えられるものであり、一例として上下方向に五基のセンサS1、S2、S3、S4、S5が配列されるようにした。
そして一例として、機内レベル検出機構13の最下部のS1がオンになる瞬間の状態が、本体シェル10内の被処理物Pの滞留量(滞留レベル)が20%になるように設定される。
同様に、センサS2がオンになる瞬間の状態が、本体シェル10内の被処理物Pの滞留量(滞留レベル)が30%になるように設定される。
同様に、センサS3がオンになる瞬間の状態が、本体シェル10内の被処理物Pの滞留量(滞留レベル)が40%になるように設定される。
同様に、センサS4がオンになる瞬間の状態が、本体シェル10内の被処理物Pの滞留量(滞留レベル)が50%になるように設定される。
同様に、センサS5がオンになる瞬間の状態が、本体シェル10内の被処理物Pの滞留量(滞留レベル)が60%になるように設定される。
ここで機内レベル検出機構13のロッド131は、多管式加熱管11が回転してリフタ117などにより被処理物Pが持ち上げられる動きをするため、比較的頻繁に上下動することとなる。そのためセンサS1~S5のいずれかの範囲で各センサSのオンとオフが比較的頻繁に生ずるものとなり、具体的に本体シェル10内の被処理物Pの高さを求めるに際しては、ある一定の時間内におけるセンサSのオン時間の積算値と、センサSがオンとなる瞬間の滞留レベルの値を用いて、一定時間内の平均値としての滞留レベル(滞留量)を制御盤4内において算出している。
【0027】
なお前記ロッド131が金属製である場合には、センサSとして非接触式の近接センサあるいは静電容量式のセンサを採用することもできる。
またケーシング130が透明素材によって形成されることから、ケーシング130の側周部にゲージを付することにより、目視によってもロッド131の上下位置を確認することができるようにしてもよい。
【0028】
また前記ロッド131のスライド箇所にはエアパージ機構が具えられ、本体シェル10内の雰囲気の外部流出を防止することができるように構成される。具体的には、ケーシング130の上部または側周部にパージエア供給口130aが形成され、ここに適宜のポンプからパージエアを供給することにより、このパージエアがスリーブ132の中穴132aを通過して本体シェル10内に流入することとなり、本体シェル10内の雰囲気及び臭気の外部流出が防止される。更に粉塵や蒸気がケーシング130内に流入することを防ぐため、ケーシング130が透明素材である場合、ロッド131の動きや位置を目視して確認することが妨げられない。
【0029】
そしてこの実施例では図1、2に示すように、前記機内レベル検出機構13は複数具えられるものであり、多管式加熱管11の前方側(駆動側)における、投入口101aと排気口104との間に、一基目の機内レベル検出機構13Aが具えられるようにした。
更にこの実施例では、多管式加熱管11の後方側(従動側)における、投入口101cとキャリヤガス口103との間に二基目の機内レベル検出機構13Bが具えられるようにした。
【0030】
次に図1に示されているように、横型連続伝導伝熱式乾燥機1の周辺機器として設けられる投入装置2、集塵装置3、制御盤4、脱臭炉5、熱交換器6、減圧弁7、流量調整弁8及び熱交換器9について説明する。
まず前記投入装置2について説明すると、このものは一例としてホッパ20の底部にスクリューコンベヤ20aを具えて構成されるものであり、その排出口は横型連続伝導伝熱式乾燥機1における、分散投入口101a、分散投入口101b、分散投入口101cに接続される。なお分散投入口101a、分散投入口101bと投入装置2との間にはバルブ21、バルブ22が設けられる。
また前記スクリューコンベヤ20aはインバータモータM2を駆動源とするものである。
またこのスクリューコンベヤ20aに代えて、モーノポンプ(登録商標)等の一軸偏心ねじポンプ等を適用することもできる。
【0031】
また前述したように、本体シェル10における排気口104から排出される排気ガスG1中に含まれる粉塵を除去するための集塵装置3が具えられるものであり、サイクロン式、バグフィルタ式等適宜の機器が採用される。
【0032】
更にこの集塵装置3の次段に、排気ガスG1を燃焼させることにより脱臭処理を施すための脱臭炉5が具えられる。この脱臭炉5は、炉本体50内に、バーナ51によって燃料を燃焼させることにより生成された高温の燃焼ガスを供給し、給気口52から炉本体50内に供給される排気ガスG1を加熱・燃焼させて脱臭処理を行い、脱臭処理の施された排気ガスG2として排気口53から排出する機器である。そして排気口53付近の炉本体50の内部温度を測定するための温度センサ54が具えられている。また前記バーナ51への燃料供給ラインに調量弁55が設けられる。
【0033】
更に脱臭炉5の次段には熱交換器6が具えられ、排気口53から排出された排気ガスG2中の熱を、給気口52に供給される前の排気ガスG1中に採り込むことができるように構成されている。
【0034】
また前記ロータリージョイント115aには多管式加熱管11を加熱するための加熱用蒸気Vが供給されるものであり、この加熱用蒸気Vは、減圧弁7と流量調整弁8とが具えられた蒸気配管経路から供給される。
なお加熱用蒸気Vの圧力は、被処理物Pの性状に応じて0.1から0.7MPaG(温度としては120~170℃に相当)程度に調整される。
また加熱用蒸気Vの蒸気配管経路は減圧弁7の前段で分岐しており、この分岐路は熱交換器9に接続され、昇温した外気をキャリヤガスCとしてキャリヤガス口103に供給できるように構成されている。またこの分岐路は蒸気供給口106にも接続され、本体シェル10内を昇温することができるように構成されている。
【0035】
本発明が適用される横型連続伝導伝熱式乾燥機1並びに周辺機器は、一例として上述したように構成されるものであり、以下この装置の作動態様と併せて本発明の「横型連続伝導伝熱式乾燥機の運転方法」について説明する。
【0036】
(1)乾燥機の準備
まず被処理物Pの投入に先立って、横型連続伝導伝熱式乾燥機1における多管式加熱管11及び本体シェル10を昇温しておくものであり、ロータリージョイント115a及び蒸気供給口106に加熱用蒸気Vを供給した後、モータM1を起動して多管式加熱管11を回転させる。そしてロータリージョイント115aに供給された加熱用蒸気Vは熱管束116を通過しながら多管式加熱管11を昇温し、やがてドレンとなって他端側のロータリージョイント115bから外部に排出される。また蒸気供給口106に供給された加熱用蒸気Vは本体シェル10を昇温し、やがてドレンとなってドレン口107から外部に排出される。
なお、ロータリージョイント115b側の鏡板112内には図示していないサイホン管が具えられ、ロータリージョイント115bから排出されるドレンの流れる経路には図示していないスチームトラップが具えられる。また、ドレン口107から排出されるドレンの流れる経路にも図示していないスチームトラップが具えられる。
【0037】
(2)被処理物の乾燥
次いで投入口101に被処理物P(一例として70~80%W.B.)
を投入するものであり、このものは送り羽根118の作用によって前方から後方に移動し、更にリフタ117によって掻き上げられて熱管束116等と接触し、この際、熱を受けて乾燥が進行するものである。なお鏡板112内は加熱用蒸気Vで満たされているため、鏡板112の表面部もまた被処理物Pの乾燥に有効に作用する。
そして乾燥が進んだ被処理物Pは、通常、水分値約15%W.B.となった状態で溢出口102から流出し、乾燥品Dとして排出口109から外部に排出される。
なお既に述べているが、横型連続伝導伝熱式乾燥機1に投入されて一定の値にまで水分量が低下していない被処理物Pを被処理物P1と呼び、一定の値よりも乾燥の進んだ被処理物Pを滞留品P2と呼ぶ。
【0038】
上記被処理物Pの乾燥に際しての立ち上げ運転は、本体シェル10内が空の状態から開始される場合は、投入口101から徐々に被処理物Pが投入され、乾燥されつつ本体シェル10内が、一定の値にまで水分量が低下していない被処理物P1と、一定の値よりも乾燥の進んだ滞留品P2とにより所定の滞留量に達してから、あるいは品温が所定の温度に達するまで行われ、その後に本発明の運転方法が実行される。
また立ち上げ運転としては、本体シェル10内が空でない状態、例えば、乾燥運転を中断した後に再開する場合、あるいは、予め水分を低下させた所定量の被処理物Pを本体シェル10内に投入してから、本来の被処理物P(予め水分を低下させていない)を投入する場合などもあり、同様に滞留量あるいは所定の品温を指標として本発明の運転方法が実行される。
【0039】
なお〔背景技術〕で述べたように、一般に横型連続伝導伝熱式の乾燥機は機内の被処理物Pが伝熱部材の表面と接触することで乾燥が進行するものであるため、機内の被処理物Pの滞留量が高い状態を維持しての運転が、乾燥の効率としては好ましいものであるが、被処理物Pの性状の変動が想定される場合は、乾燥機と周辺機器が安定して連続運転するために適度な滞留量に維持される必要があり、これが結果的に乾燥効率の良い運転となる。
被処理物Pが乾燥に伴い見掛け密度が大きく変動する性状の場合、本体シェル10内の滞留量が変動して乾燥品Dの排出量の変動も大きくなり、特に乾燥機の下流側の機器の動作に影響を及ぼすことになる。
そこで本出願人は、本体シェル10内における滞留品P2の機内レベル、排気温度及び伝熱部材を駆動するためのモータM1の負荷電流との間の相関性に着目し、これを本体シェル10内における滞留品P2の増減に応じた排出量制御の精度を上げ、滞留品P2の量を自動的に調節し、安定した乾燥運転ために利用するものである。
【0040】
(3)ファジィ制御
本発明では、本体シェル10内での被処理物Pの滞留量を適切な量に自動的に維持調節して乾燥効率の良い運転を行うと共に、乾燥品Dの排出量が乾燥機の下流側の機器の動作に大きな負荷を与えないようにも調節できるものでもあり、これがファジィ制御により成されるものである。
具体的には、伝熱部材たる多管式加熱管11の回転方向に掻き上げられる本体シェル10内における滞留品P2の「滞留レベル」の測定値と、滞留品P2の体積変化に伴って変化する「排気温度」の測定値と、滞留品P2の重量変化に伴って変化する、前記伝熱部材を駆動するためのモータのM1「負荷電流」の測定値とのうちの何れか複数の測定値を条件部とし、前記溢出口102の閉時間を結論部とするファジ制御が行われるものである。
【0041】
なお前記「滞留レベル」は、機内レベル検出機構13Aによって計測される「滞留レベルL1」及び機内レベル検出機構13Bによって計測される「滞留レベルL2」が用いられる。
また前記「排気温度」は、排気口104付近に設置された排気ガス温度センサ121によって計測される「排気温度T1」が用いられる。
また前記「負荷電流」は、前記多管式加熱管11(伝熱部材)を駆動するためのモータM1に流れる電流として計測される「負荷電流A1」が用いられる。
【0042】
(i)メンバーシップ関数の作成
まず、ファジィ推論の条件部とされる、「滞留レベルL1」、「滞留レベルL2」、「排気温度T1」及び「負荷電流A1」それぞれに対して、各項目の言語変数と属性に対するメンバーシップ関数が、図5-1、図5-2、図5-3、図5-4に示すように決定される。
このような属性の言語変数(ラベル)の数、及びこの言語変数に対するメンバーシップ関数は、経験則に基づいて決定されるものであり、被処理物Pの種類、物性、システムの規模や構成等によって適宜チューニングが行われる。
【0043】
(ii)属性と適合度の導出
そして前記メンバーシップ関数を用いて、属性毎の適合度が導出される。
具体的には、例えば滞留レベルL1の値が28%の場合、図5-1に示すメンバーシップ関数のグラフから、属性がNLで適合度が1.0であることが読み取られる。
同様に滞留レベルL2の値が37%の場合、図5-2に示すメンバーシップ関数のグラフから、属性がZRで適合度が1.0であることが読み取られる。
また排気温度T1の値が103℃の場合、図5-3に示すメンバーシップ関数のグラフから、属性がPLで適合度が1.0であることが読み取られる。
更にまた負荷電流A1の値が73Aの場合、図5-4に示すメンバーシップ関数のグラフから、属性がZRで適合度が1.0であることが読み取られる。
【0044】
(iii-1)パターンA:条件部を「滞留レベルL1」、「滞留レベルL2」及び「排気温度T1」とするファジィ推論
この実施例は具体的には、図6-1の表中、ルールNо.1~27として示されたものであり、「滞留レベルL1」、「滞留レベルL2」及び「排気温度T1」を条件部とし、溢出口102の「閉時間DT1」を結論部とするファジィ推論を行うものである。
【0045】
(iii-2)パターンB:条件部を「滞留レベルL1」、「滞留レベルL2及び「負荷電流A1」とするファジィ推論
この実施例は具体的には、図6-2)の表中、ルールNо.28~54として示されたものであり、「滞留レベルL1」、「滞留レベルL2及び「負荷電流A1」を条件部とし、溢出口102の「閉時間DT1」を結論部とするファジィ推論を行うものである。
【0046】
(iii-3)パターンC:条件部を排気温度T1」及び「負荷電流A1」とするファジィ推論
この実施例は具体的には、図6-3の表中、ルールNо.55~63として示されたものであり、「排気温度T1」及び「負荷電流A1」を条件部とし、溢出口102の「閉時間DT1」を結論部とするファジィ推論を行うものである。
【0047】
(iv) 結論部
次いで上記条件部の言語変数に対する結論部が決定されるものであり、一例として図6に示すルールに従って行われる。具体的には「閉時間DT1」の属性がZRとされる場合を基本運転とするものであり、この場合の「閉時間DT1」は3分間とされる。
そして「閉時間DT1」の属性がNSとされる場合の「閉時間DT1」は4分間とされ、更に「閉時間DT1」の属性がNLとされる場合の「閉時間DT1」は8分間とされる。
一方、「閉時間DT1」の属性がPSとされる場合の「閉時間DT1」は2分間とされ、更に「閉時間DT1」の属性がPLとされる場合の閉時間「閉時間DT1」は1分間とされる。
【0048】
なお溢出口102の開時間は一例として2秒間に固定されるものであり、「閉時間DT1」のみが上述のファジィ推論の結論に従って変化させられるものである。
したがって、溢出口102は2秒間「開状態」とされた後、「閉状態」に移行するものであり、一定時間毎に上記ファジィ推論が実行され、その結論部である「閉時間DT1」の属性に応じて「閉状態」とされる時間が決定されるものである。
このため溢出口102の開閉状態は、一例として2秒間「開状態」、4分間「閉状態」、2秒間「開状態」、3分間「閉状態」、2秒間「開状態」、3分間「閉状態」、2秒間「開状態」、4分間「閉状態」といったように変化することとなる。
【0049】
また上述したファジィ推論は、パターンAのみで行う場合、パターンBのみで行う場合、パターンCのみで行う場合、パターンAとパターンBとを組み合わせて行う場合、パターンAとパターンCとを組み合わせて行う場合、パターンBとパターンCとを組み合わせて行う場合、パターンAとパターンBとパターンCとを組み合わせて行う場合が想定されるものであり、更にこれらのパターンの組合せをランダムに行うことも想定される。
【0050】
ここで一例として、パターンAとパターンCの組み合せについて説明する。
パターンAにおける滞留レベルL1が38%の場合に属性はZRであり適合度は1.0である。
このときの滞留レベルL2が42%であると、滞留レベルL2に関しての属性はZRであり適合度は1.0である。
そしてこのときの排気温度T1が92.5℃であると、排気温度T1に関しての属性のNLの適合度は0.5であり、ZRの適合度は0.25である。
この様な状態に対応するパターンAのルールはルールNo.13とNo.14であり、いずれも結論部はZRであるから、溢出口102の「閉時間」は3分間とされる。
一方、パターンCにおいて、負荷電流A1が80Aであると、負荷電流A1に関しての属性のNLの適合度は0.5であり、ZRの適合度は0.25である。
この様な状態に対応するパターンCのルールはルールNo.56、No.57、No.59及びNo.60であり、簡略化推論法で算出される溢出口102の「閉時間」は3.08分間とされる。
これらパターンAとパターンCのそれぞれの算出値(推論値)を利用し、本実施例では算術平均値の3.04分間を溢出口102の「閉時間」の設定値として運転が行われるものである。
【0051】
〔他の実施例〕
本発明は上述した実施例を基本となる実施例とするものであるが、本発明の技術的思想の範囲内で以下に示すようは変更をすることも可能である。
すなわち上記基本となる実施例では、多管式加熱管11の前方側(駆動側)における、分散投入口101aと排気口104との間に、一基目の機内レベル検出機構13Aが具えられ、更に多管式加熱管11の後方側(従動側)における、分散投入口101cとキャリヤガス口103との間に二基目の機内レベル検出機構13Bが具えられるようにしたが、これ以外の設置形態を採ることができる。
具体的には機内レベル検出機構13を三基以上設けるようにしてもよく、一例として図7に示すように、前記機内レベル検出機構13A、機内レベル検出機構13Bに加え、分散投入口101bと分散投入口101cとの間に、三基目の機内レベル検出機構13Cが具えらるような形態を採ることができる。
一方、機内レベル検出機構13を一基とすることも可能であり、この場合には多管式加熱管11の後方側(従動側)における、一例として分散投入口101cとキャリヤガス口103との間に機内レベル検出機構13を設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0052】
1 伝導伝熱式乾燥機
10 本体シェル
101 投入口
101a 分散投入口
101b 分散投入口
101c 分散投入口
102 溢出口
102a 板材
102b ダクト
102c 蓋部材
103 キャリヤガス口
104 排気口
106 蒸気供給口
107 ドレン口
108 側面開口
109 排出口
11 多管式加熱管(伝熱部材)
111 アングル
112 鏡板
113 軸体
114 軸受ブロック
115a ロータリージョイント
115b ロータリージョイント
116 熱管束
117 リフタ
118 送り羽根
121 排気ガス温度センサ
13 機内レベル検出機構
13A 機内レベル検出機構
13B 機内レベル検出機構
13C 機内レベル検出機構
130 ケーシング
130a パージエア供給口
131 ロッド
132 スリーブ
132a 中穴
133 ストッパ
135 当接片
2 投入装置
20 ホッパ
20a スクリューコンベヤ
21 バルブ
22 バルブ
3 集塵装置
4 制御盤
5 脱臭炉
50 炉本体
51 バーナ
52 給気口
53 排気口
54 温度センサ
55 調量弁
6 熱交換器
7 減圧弁
8 流量調整弁
9 熱交換器
C キャリヤガス
D 乾燥品
F 機枠
G1 排気ガス
G2 排気ガス
M1 モータ
M2 インバータモータ
P 被処理物
P1 被処理物
P2 滞留品(乾燥の進んだ被処理物)
S センサ
S1 センサ
S2 センサ
S3 センサ
S4 センサ
S5 センサ
V 加熱用蒸気
図1
図2
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7
図8
図9