(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142013
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20230928BHJP
E02F 3/36 20060101ALI20230928BHJP
E02F 3/38 20060101ALI20230928BHJP
E02F 9/14 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
E02F9/00 H
E02F3/36 C
E02F3/36 A
E02F3/38 A
E02F9/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048662
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 開
【テーマコード(参考)】
2D012
2D015
【Fターム(参考)】
2D012DA01
2D012EA01
2D015BA02
(57)【要約】
【課題】アタッチメントに作動油を供給するための油路を適切に配置する。
【解決手段】第2ブーム12は、第1ブームの先端に、第1ブームに対して左右方向に回転可能に連結されている。第3ブラケット13は、第2ブーム12の先端に、第2ブーム12に対して左右方向に回転可能に連結されている。第1アタッチメント油路100は、アームの先端に連結可能なアタッチメントに作動油を供給する。第2ブーム12の外表面は、上方に向く上面12Uと左側方に向く左側面12Lとを有している。第1アタッチメント油路100は、第2ブーム12の上面12Uから左側面12Lに沿って下方へ延び、さらに左側面12Lから上面12Uを越えて上方に延びるように配設されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に上下方向に回転可能に連結された第1ブームと、
前記第1ブームの先端に、前記第1ブームに対して左右方向に回転可能に連結された第2ブームと、
前記第2ブームの先端に、前記第2ブームに対して左右方向に回転可能に連結されたブラケットと、
前記ブラケットに上下方向に回転可能に連結されたアームと、
前記アームの先端に連結可能なアタッチメントに作動油を供給するアタッチメント油路とを備え、
前記第2ブームの外表面は、上方に向く上面と側方に向く側面とを有し、
前記アタッチメント油路は、前記上面から前記側面に沿って下方へ延び、さらに前記側面から前記上面を越えて上方に延びるように配設されている、作業機械。
【請求項2】
前記アタッチメント油路は、前記上面から前記側面に沿って下方へ延びるパイプ部と、前記側面から前記上面を越えて上方に延びるホース部とを有する、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記パイプ部と前記ホース部とが接続されており、前記ホース部が前記パイプ部よりも前記車体から離れて配設されている、請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記ホース部は、前記第2ブームと前記ブラケットとの連結部を跨いで延びる、請求項2または請求項3に記載の作業機械。
【請求項5】
伸縮することで前記アームを前記ブラケットに対して上下に動作させ、前記上面に対向する対向面を有する、アームシリンダと、
前記対向面に取り付けられた機器と、をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項6】
前記機器は、前記アームの作動を防止する落下防止弁である、請求項5に記載の作業機械。
【請求項7】
伸縮することで前記第2ブームを前記第1ブームに対して左右に動作させるオフセットシリンダをさらに備え、
前記オフセットシリンダは、シリンダチューブと、前記シリンダチューブに対して前記シリンダチューブの長手方向に往復移動可能に前記シリンダチューブに支持されたロッドとを有し、
前記第2ブームを側方から見て、前記アタッチメント油路と前記ロッドとが重なる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項8】
伸縮することで前記アームに対する前記アタッチメントの姿勢を変えるアタッチメントシリンダと、
前記アタッチメントシリンダに作動油を供給するシリンダ油路と、をさらに備える、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005-61041号公報(特許文献1)には、オフセット動作される作業装置を備えた油圧ショベルにおいて、スティックの先端部に装着されるアタッチメントに作動油を供給するアタッチメント用配管として、ロアブーム部材からアッパブーム部材、シリンダサポート部材およびスティックの一側面に沿ってアタッチメント用油圧ホースを配設し、アタッチメント用油圧ホースの先端からスティックの背面を乗越えてスティックの他側面まで定形チューブを配設することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
油圧駆動されるアタッチメントを作業機の先端に連結可能な作業機械においては、アタッチメントに作動油を供給するための油路を、作業機の先端まで適切に配置することが求められる。
【0005】
本開示では、アタッチメントに作動油を供給するための油路を適切に配置できる、作業機械が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従うと、車体と、車体に上下方向に回転可能に連結された第1ブームと、第1ブームの先端に、第1ブームに対して左右方向に回転可能に連結された第2ブームと、第2ブームの先端に、第2ブームに対して左右方向に回転可能に連結されたブラケットと、ブラケットに上下方向に回転可能に連結されたアームと、アームの先端に連結可能なアタッチメントに作動油を供給するアタッチメント油路とを備える、作業機械が提案される。第2ブームの外表面は、上方に向く上面と、側方に向く側面とを有している。アタッチメント油路は、上面から側面に沿って下方へ延び、さらに側面から上面を越えて上方に延びるように配設されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の作業機械によれば、アタッチメントに作動油を供給するための油路を適切に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】第2ブームに対するアタッチメント油路の配置を示す斜視図である。
【
図3】第2ブームに対するアタッチメント油路の配置を示す異なる角度から見た斜視図である。
【
図4】第2ブームが右方へオフセットしたときの、第2ブームを側方から見た図である。
【
図5】第2ブームが左方へオフセットしたときの、第2ブームを側方から見た図である。
【
図6】アームをダンプさせたときの第2ブームに対するアームシリンダの配置を示す側面図である。
【
図7】アームの先端に取り付けられたアタッチメントを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
図1は、実施形態に基づく作業機械の一例としての油圧ショベル1の外観図である。実施形態においては、作業機械として、オフセット仕様の油圧ショベル1を例に挙げて説明する。
【0011】
図1に示されるように、油圧ショベル1は、作業機10と、旋回体30と、走行体40とを主に備えている。作業機10は、油圧により作動する。旋回体30と走行体40とは、油圧ショベル1の車体を構成している。走行体40は、左右一対の履帯42と、一対の走行モータ44とを有している。走行モータ44は、走行体40の駆動源として設けられている。走行モータ44は、油圧により作動する油圧モータである。
【0012】
油圧ショベル1の動作時には、走行体40、より具体的には履帯42が、地面に接触している。走行体40は、履帯42の回転により地面を走行可能である。なお、走行体40が履帯42の代わりに車輪(タイヤ)を有していてもよい。
【0013】
走行体40は、排土板50を有している。排土板50は、履帯42の前方に設置されており、油圧ショベル1の車幅方向に延びている。排土板50は、履帯42を支持するフレームに取り付けられている。排土板50を使用して、油圧ショベル1は、排土作業、地均し作業などが可能となっている。
【0014】
旋回体30は、走行体40の上に配置され、かつ走行体40により支持されている。旋回体30は、走行体40に対して相対移動可能である。旋回体30は、旋回フレーム31を有している。
【0015】
旋回フレーム31は、走行体40上に、旋回サークル部を介して取り付けられている。旋回サークル部は、平面視した油圧ショベル1の車体の略中央部に配置されている。旋回サークル部は、円環状の概略形状を有しており、内周面に旋回用の内歯を有している。この内歯と噛み合うピニオンが、図示しない旋回モータに装着されている。旋回モータは、油圧モータであってもよいし、電動モータであってもよい。
【0016】
旋回フレーム31は、旋回サークル部の中心の旋回軸を中心として走行体40に対して旋回可能に、走行体40に搭載されている。旋回モータから駆動力が伝達されて旋回サークル部が回転することにより、旋回フレーム31が走行体40に対して相対回転可能とされている。
【0017】
旋回体30は、キャブ32を有している。キャブ32は、旋回フレーム31に搭載されている。油圧ショベル1の乗員(オペレータ)は、このキャブ32に搭乗して、油圧ショベル1を操縦する。キャブ32は、作業機10の左側に配置されている。キャブ32と作業機10とは、左右に並んで配置されている。
【0018】
キャブ32には、オペレータが着座する運転席が設けられている。オペレータは、キャブ32内において油圧ショベル1を操作可能である。オペレータは、キャブ32内において、作業機10の操作が可能であり、走行体40に対する旋回体30の旋回操作が可能であり、また走行体40による油圧ショベル1の走行操作が可能である。油圧ショベル1は、本開示ではキャブ32内から操作されるが、油圧ショベル1から離れた場所から無線により遠隔操作されてもよい。
【0019】
実施形態においては、キャブ32内の運転席に着座したオペレータを基準として、油圧ショベル1における各部の位置関係について説明する。前後方向とは、運転席に着座したオペレータの前後方向をいう。運転席に着座したオペレータに正対する方向が前方向であり、運転席に着座したオペレータの背後方向が後方向である。左右方向とは、運転席に着座したオペレータの左右方向をいう。運転席に着座したオペレータが正面に正対したときの右側、左側がそれぞれ右方向、左方向である。上下方向とは、運転席に着座したオペレータの上下方向をいう。運転席に着座したオペレータの足元側が下側、頭上側が上側である。
【0020】
前後方向において、旋回体30から作業機10が突き出している側が前方向であり、前方向と反対方向が後方向である。前方向を視て左右方向の右側、左側がそれぞれ右方向、左方向である。上下方向において地面のある側が下側、空のある側が上側である。
【0021】
旋回体30は、エンジンが収容されるエンジンルーム34と、旋回体30の後部に設けられるカウンタウェイトとを有している。エンジンルーム34には、駆動力を発生するエンジン、エンジンの発生する駆動力を受けて油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプなどが配置されている。エンジン、油圧ポンプなどは、旋回フレーム31に搭載されている。
【0022】
作業機10は、旋回体30に搭載されており、旋回体30によって支持されている。作業機10は、第1ブーム11と、第2ブーム12と、第3ブラケット(「ブラケット」の一例に対応する)13と、アーム14と、バケット15とを有している。バケット15は、先端部に複数の刃を有してもよく、先端部がストレート形状の鋼板で形成されていてもよい。
【0023】
作業機10は、ブームシリンダ21と、オフセットシリンダ22と、アームシリンダ23と、アタッチメントシリンダ24とを有している。ブームシリンダ21、オフセットシリンダ22、アームシリンダ23、およびアタッチメントシリンダ24のそれぞれは、作動油によって駆動される油圧シリンダである。エンジンルーム34内に収容され、エンジンで駆動される油圧ポンプから、油圧シリンダに作動油が供給される。
【0024】
第1ブーム11の基端部は、図示しないブームフートピンを介して、旋回体30に上下方向に回転可能に連結されている。ブームシリンダ21は、第1ブーム11の先端部と旋回体30とを第1ブーム11の下方で連結している。ブームシリンダ21は、第1ブーム11を動作させる。ブームシリンダ21の伸縮により、第1ブーム11は、ブームフートピンを中心に、旋回体30に対して上下方向に相対回転する。
【0025】
第2ブーム12の基端部は、第1オフセットピン19を介して、第1ブーム11の先端に連結されている。第2ブーム12は、第1オフセットピン19を中心に、第1ブーム11に対して左右方向に相対回転可能である。第3ブラケット13は、第2オフセットピン20を介して、第2ブーム12の先端に連結されている。第3ブラケット13は、第2オフセットピン20を中心に、第2ブーム12に対して左右方向に相対回転可能である。
【0026】
第1ブーム11の先端部と第3ブラケット13とは、リンクロッド25で連結されている。リンクロッド25とオフセットシリンダ22とは、第2ブーム12の左側に配置されている。オフセットシリンダ22は、第2ブーム12の基端部と第3ブラケット13とを連結している。オフセットシリンダ22の伸縮により、第3ブラケット13が、第1ブーム11に対して左右へ移動(オフセット)する。
【0027】
オフセットシリンダ22を縮めることにより、第2ブーム12が第1ブーム11に対して右方に傾くように動作し、これによりアーム14およびバケット15の位置が右側にオフセットする。オフセットシリンダ22を伸ばすことにより、第2ブーム12が第1ブーム11に対して左方に傾くように動作し、これによりアーム14およびバケット15の位置が左側にオフセットする。オフセットシリンダ22の伸縮により、第2ブーム12は、第1オフセットピン19を中心として第1ブーム11に対して相対回転して、左右方向に動作する。
【0028】
アーム14の基端部は、アーム連結ピン17を介して、第3ブラケット13に上下方向に回転可能に連結されている。アームシリンダ23は、シリンダ連結ピン27を介して第3ブラケット13に連結されているシリンダチューブと、先端がアーム14に連結されているロッドとを有している。アームシリンダ23は、アームを動作させる。アームシリンダ23の伸縮により、アーム14は、アーム連結ピン17を中心に、第3ブラケット13に対して上下方向に相対回転する。
【0029】
バケット15は、アタッチメント連結ピン18を介してアーム14の先端に連結されている。アタッチメントシリンダ24は、アーム14の基端部とバケット15とを連結している。アタッチメントシリンダ24は、バケット15を動作させる。アタッチメントシリンダ24の伸縮により、バケット15は、アタッチメント連結ピン18を中心に、アーム14に対して相対回転する。
【0030】
アームシリンダ23には、アーム作動油路300が接続されている。アーム作動油路300は、エンジンルーム34内の図示しない油圧ポンプからアームシリンダ23まで延びる作動油の経路である。アーム14を動作させるための作動油は、アーム作動油路300を経由して流れて、アームシリンダ23に供給される。
【0031】
アタッチメントシリンダ24には、シリンダ油路320が接続されている。シリンダ油路320は、エンジンルーム34内の図示しない油圧ポンプからアタッチメントシリンダ24まで延びる作動油の経路である。バケット15を動作させるための作動油は、シリンダ油路320を経由して流れて、アタッチメントシリンダ24に供給される。
【0032】
第2ブーム12は、内部に空間が形成されている中空筒状の形状を有している。シリンダ油路320は、第2ブーム12の内部の空間に配置されている。シリンダ油路320が第2ブーム12に内蔵されているので、障害物がシリンダ油路320に接触することが防止されている。
【0033】
実施形態の油圧ショベル1では、作業の種類に応じて、掘削用のバケット15に替えて、たとえばブレーカ、クラッシャ、グラップルなどの他の種類のアタッチメントを、アーム14の先端に連結可能である。
図7は、アーム14の先端に取り付けられたアタッチメントを示す側面図である。
図7に示される一例では、アーム14の先端に、
図1に示されるバケット15に替えて、アタッチメントの一例としてのブレーカ15Aが連結されている。
【0034】
ブレーカ15Aは、アタッチメント連結ピン18を介して、アーム14の先端に連結されている。シリンダ油路320を経由してアタッチメントシリンダ24に供給される作動油は、アタッチメントシリンダ24を伸縮させるために使用される。アタッチメントシリンダ24が伸縮することで、ブレーカ15Aはアタッチメント連結ピン18を回転中心としてアーム14に対して相対回転して、アーム14に対するブレーカ15Aの姿勢が変わる。
【0035】
油圧ショベル1は、このアタッチメントに作動油を供給するための、第1アタッチメント油路100と第2アタッチメント油路200とを備えている。第1アタッチメント油路100と第2アタッチメント油路200とのいずれか一方は、油圧ポンプからアタッチメントへ向かって流れる作動油の流路であり、いずれか他方は、アタッチメントから油圧ポンプへ戻る作動油の流路となる。アタッチメントが
図7に示されるブレーカ15Aの場合、第1アタッチメント油路100および第2アタッチメント油路200を経由してブレーカ15Aに供給される作動油は、ブレーカ15Aを振動させるために使用される。
【0036】
図2および
図3は、第2ブーム12に対する第1アタッチメント油路100および第2アタッチメント油路200の配置を示す斜視図である。
図2および
図3には、第2ブーム12と第3ブラケット13との連結部の周辺を、それぞれ異なる角度から見た図が示されている。
【0037】
第2ブーム12は、略角筒状の形状を有している。第2ブーム12の外表面は、上方に向く上面12Uと、下方に向く下面12B(
図6)と、左方に向く左側面12Lと、右方に向く右側面12Rとを有している。
【0038】
下面12Bは、第2ブーム12の外表面のうち、履帯42が接触する地面に向く面である。上面12Uは、第2ブーム12の外表面のうち、上空に向く面である。上面12Uと下面12Bとは、互いに反対側の第2ブーム12の外表面である。上面12Uは、アームシリンダ23に対向する面である。
図1に示される、第2ブーム12が全体として地面と平行に延びている状態で、下面12Bは下方向を向いており、上面12Uは上方向を向いている。
【0039】
旋回体30に対する第1ブーム11の回転に伴って、第2ブーム12も旋回体30に対して上下方向に回転する。上面12Uおよび下面12Bは、作業機10の姿勢の変化によって、上下方向に対して傾斜するように配置されることがある。
【0040】
左側面12Lと右側面12Rとは、互いに反対側の第2ブーム12の外表面である。左側面12Lと右側面12Rとは、上面12Uに連結される上縁と、下面12Bに連結される下縁とを有している。上面12Uと下面12Bとは、左側面12Lに連結される左縁と、右側面12Rに連結される右縁とを有している。
【0041】
第2ブーム12は、第1オフセットピン19を中心に、第1ブーム11に対して左右に相対回転する。左側面12Lおよび右側面12Rは、作業機10の姿勢の変化によって、左右方向に対して傾斜するように配置されることがある。
【0042】
第1アタッチメント油路100は、第1パイプ部110と、第2ホース部120と、第3パイプ部130と、第4ホース部140と、第5パイプ部150と、第6ホース部160と、第7パイプ部170とを有している。第1パイプ部110、第3パイプ部130、第5パイプ部150および第7パイプ部170は、比較的硬質の材料で形成されており、たとえば金属材料製、典型的には圧力配管用鋼管である。第2ホース部120、第4ホース部140および第6ホース部160は、比較的軟質の材料で形成されており、たとえばゴム製または樹脂製である。
【0043】
第1パイプ部110、第3パイプ部130、第5パイプ部150および第7パイプ部170は、剛性を有している。第1パイプ部110、第3パイプ部130、第5パイプ部150および第7パイプ部170は、作業機10を構成するリンク部材のいずれかに沿って配置されている。第1アタッチメント油路100のうち、作業機10の動作時にも変形量が小さい箇所に、第1パイプ部110、第3パイプ部130、第5パイプ部150および第7パイプ部170が設けられている。
【0044】
第2ホース部120、第4ホース部140および第6ホース部160は、柔軟性を有している。第2ホース部120、第4ホース部140および第6ホース部160は、作業機10を構成するリンク部材を接続する関節の位置に配置されている。第1アタッチメント油路100のうち、作業機10の動作時に変形量が大きい箇所に、第2ホース部120、第4ホース部140および第6ホース部160が設けられている。
【0045】
具体的に、第1パイプ部110は、第1ブーム11の外表面に沿って延びるように配設されている。第1パイプ部110は、第1ブーム11の上面に沿って配設されている。
【0046】
第1パイプ部110の遠位端に、第2ホース部120の近位端が接続されている。作業機10に沿って延びる方向において、第2ホース部120は、第1パイプ部110よりも旋回体30から離れて配設されている。なお本明細書中の説明において、作業機10に沿って延びる方向における基端側(旋回体30に第1ブーム11が連結される側)を「近位」といい、作業機10に沿って延びる方向における先端側(バケット15またはアタッチメントが配置される側)を「遠位」という。アーム14の近位端は、アーム14がアーム連結ピン17を介して第3ブラケット13に連結される、アーム14の基端である。アーム14の遠位端は、アタッチメント(バケット15、ブレーカ15Aなど)がアタッチメント連結ピン18を介してアーム14に連結される、アーム14の先端である。作業機10の姿勢によっては、ブームフートピンとアーム14の遠位端との距離が、ブームフートピンとアーム14の近位端との距離よりも、小さくなることがある。
【0047】
第2ホース部120は、第1ブーム11から第2ブーム12に亘って配設されている。第2ホース部120は、第1ブーム11と第2ブーム12との連結部である第1オフセットピン19を跨いで、第1ブーム11の先端から第2ブーム12側へ延びている。第2ホース部120は、第1ブーム11の上面に沿って延び、第1オフセットピン19を越えて、第2ブーム12の上面12Uに沿って延びるように配設されている。
【0048】
第2ホース部120の遠位端に、第3パイプ部130の近位端が接続されている。作業機10に沿って延びる方向において、第3パイプ部130は、第2ホース部120よりも旋回体30から離れて配設されている。第3パイプ部130は、第2ブーム12の上面12Uに沿い、左方に曲がって第2ブーム12の左側面12Lに沿うように配設されている。第3パイプ部130は、第2ブーム12の上面12Uから左側面12Lに沿って下方に延びている。第3パイプ部130は、第2ブーム12の上面12Uから左側面12Lまで、第2ブーム12の外表面に沿って延びている。
【0049】
第3パイプ部130の遠位端に、第4ホース部140の近位端が接続されている。作業機10に沿って延びる方向において、第4ホース部140は、第3パイプ部130よりも旋回体30から離れて配設されている。第4ホース部140は、第2ブーム12から第3ブラケット13に亘って配設されている。第4ホース部140は、第2ブーム12と第3ブラケット13との連結部である第2オフセットピン20を跨いで、第2ブーム12の先端から第3ブラケット13側へ延びている。第4ホース部140は、第2ブーム12の左側面12Lから上面12Uを越えて上方に延びている。第4ホース部140は、第2ブーム12の左側面12Lに沿って上方に向かって延び、右方に曲がって第2ブーム12の長手方向に延び、第2オフセットピン20を越えて、第3ブラケット13の内部に延びるように配設されている。
【0050】
図1および後述する
図6に示されるように、第4ホース部140のうち第2ブーム12の上面12Uよりも上方にある一部は、第3パイプ部130のうち第2ブーム12の上面12Uよりも上方にある一部よりも、第2ブーム12の上面12Uから離れて配置されている部分を有している。第2ブーム12の上面12Uに直交する方向における、第4ホース部140のうち上面12Uよりも上方にある部分と上面12Uとの最大距離は、第3パイプ部130のうち上面12Uよりも上方にある部分と上面12Uとの最大距離よりも、大きくなっている。
【0051】
第4ホース部140の遠位端に、第5パイプ部150の近位端が接続されている。作業機10に沿って延びる方向において、第5パイプ部150は、第4ホース部140よりも旋回体30から離れて配設されている。第5パイプ部150は、第3ブラケット13の上方に、左右方向に延びるように配設されている。
【0052】
第5パイプ部150の遠位端に、第6ホース部160の近位端が接続されている。作業機10に沿って延びる方向において、第6ホース部160は、第5パイプ部150よりも旋回体30から離れて配設されている。第6ホース部160は、第3ブラケット13からアーム14に亘って配置されている。第6ホース部160は、第3ブラケット13とアーム14との連結部であるアーム連結ピン17を跨いで、第3ブラケット13からアーム14側へ延びている。第6ホース部160は、第3ブラケット13の左側面に沿い、アーム連結ピン17を越えて、アーム14の左側面に沿って延びるように配設されている。
【0053】
第6ホース部160の遠位端に、第7パイプ部170の近位端が接続されている。作業機10に沿って延びる方向において、第7パイプ部170は、第6ホース部160よりも旋回体30から離れて配設されている。第6ホース部160は、第5パイプ部150に接続される近位端から第7パイプ部170に接続される遠位端まで、全体として緩やかに湾曲している。第7パイプ部170は、アーム14の左側面に沿って配設されている。
【0054】
第1アタッチメント油路100は、
図7に示される第8ホース部180をさらに有している。第8ホース部180は、第7パイプ部170の遠位端に接続されている近位端と、ブレーカ15A(
図7に示されるアタッチメントの一例)に接続されている遠位端とを有している。第8ホース部180は、アーム14とブレーカ15Aとの連結部であるアタッチメント連結ピン18を跨いで、アーム14からブレーカ15A側へ伸びている。
【0055】
第2アタッチメント油路200は、第1パイプ部210と、第2ホース部220と、第3パイプ部230と、第4ホース部240と、第5パイプ部250と、第6ホース部260と、第7パイプ部270とを有している。第1パイプ部210、第3パイプ部230、第5パイプ部250および第7パイプ部270は、たとえば金属材料製、典型的には圧力配管用鋼管である。第2ホース部220、第4ホース部240および第6ホース部260は、たとえばゴム製または樹脂製である。
【0056】
第1パイプ部210、第3パイプ部230、第5パイプ部250および第7パイプ部270は、剛性を有している。第1パイプ部210、第3パイプ部230、第5パイプ部250および第7パイプ部270は、作業機10を構成するリンク部材のいずれかに沿って配置されている。第2アタッチメント油路200のうち、作業機10の動作時にも変形量が小さい箇所に、第1パイプ部210、第3パイプ部230、第5パイプ部250および第7パイプ部270が設けられている。
【0057】
第2ホース部220、第4ホース部240および第6ホース部260は、柔軟性を有している。第2ホース部220、第4ホース部240および第6ホース部260は、作業機10を構成するリンク部材を接続する関節の位置に配置されている。第2アタッチメント油路200のうち、作業機10の動作時に変形量が大きい箇所に、第2ホース部220、第4ホース部240および第6ホース部260が設けられている。
【0058】
具体的に、第1パイプ部210は、第1ブーム11の外表面に沿って延びるように配設されている。第1パイプ部210は、第1ブーム11の上面に沿って配設されている。
【0059】
第1パイプ部210の遠位端に、第2ホース部220の近位端が接続されている。作業機10に沿って延びる方向において、第2ホース部220は、第1パイプ部210よりも旋回体30から離れて配設されている。第2ホース部220は、第1ブーム11から第2ブーム12に亘って配設されている。第2ホース部220は、第1ブーム11と第2ブーム12との連結部である第1オフセットピン19を跨いで、第1ブーム11の先端から第2ブーム12側へ延びている。第2ホース部220は、第1ブーム11の上面に沿って延び、第1オフセットピン19を越えて、第2ブーム12の上面12Uに沿って延びるように配設されている。
【0060】
第2ホース部220の遠位端に、第3パイプ部230の近位端が接続されている。作業機10に沿って延びる方向において、第3パイプ部230は、第2ホース部220よりも旋回体30から離れて配設されている。第3パイプ部230は、第2ブーム12の上面12Uに沿い、右方に曲がって第2ブーム12の右側面12Rに沿うように配設されている。第3パイプ部230は、第2ブーム12の上面12Uから右側面12Rに沿って下方に延びている。第3パイプ部130は、第2ブーム12の上面12Uから右側面12Rまで、第2ブーム12の外表面に沿って延びている。
【0061】
第3パイプ部230の遠位端に、第4ホース部240の近位端が接続されている。作業機10に沿って延びる方向において、第4ホース部240は、第3パイプ部230よりも旋回体30から離れて配設されている。第4ホース部240は、第2ブーム12から第3ブラケット13に亘って配設されている。第4ホース部240は、第2ブーム12と第3ブラケット13との連結部である第2オフセットピン20を跨いで、第2ブーム12の先端から第3ブラケット13側へ延びている。第4ホース部240は、第2ブーム12の右側面12Rから上面12Uを越えて上方に延びている。第4ホース部240は、第2ブーム12の右側面12Rに沿って上方に向かって延び、左方に曲がって第2ブーム12の長手方向に延び、第2オフセットピン20を越えて、第3ブラケット13の内部に延びるように配設されている。
【0062】
図1および後述する
図6に示されるように、第4ホース部240のうち第2ブーム12の上面12Uよりも上方にある一部は、第3パイプ部230のうち第2ブーム12の上面12Uよりも上方にある一部よりも、第2ブーム12の上面12Uから離れて配置されている部分を有している。第2ブーム12の上面12Uに直交する方向における、第4ホース部240のうち上面12Uよりも上方にある部分と上面12Uとの最大距離は、第3パイプ部230のうち上面12Uよりも上方にある部分と上面12Uとの最大距離よりも、大きくなっている。
【0063】
第4ホース部240の遠位端に、第5パイプ部250の近位端が接続されている。作業機10に沿って延びる方向において、第5パイプ部250は、第4ホース部240よりも旋回体30から離れて配設されている。第5パイプ部250は、第3ブラケット13の上方に、左右方向に延びるように配設されている。
【0064】
第5パイプ部250の遠位端に、第6ホース部260の近位端が接続されている。作業機10に沿って延びる方向において、第6ホース部260は、第5パイプ部250よりも旋回体30から離れて配設されている。第6ホース部260は、第3ブラケット13からアーム14に亘って配置されている。第6ホース部260は、第3ブラケット13とアーム14との連結部であるアーム連結ピン17を跨いで、第3ブラケット13からアーム14側へ延びている。第6ホース部260は、第3ブラケット13の右側面に沿い、アーム連結ピン17を越えて、アーム14の右側面に沿って延びるように配設されている。
【0065】
第6ホース部260の遠位端に、第7パイプ部270の近位端が接続されている。作業機10に沿って延びる方向において、第7パイプ部270は、第6ホース部260よりも旋回体30から離れて配設されている。第6ホース部260は、第5パイプ部250に接続される近位端から第7パイプ部270に接続される遠位端まで、全体として緩やかに弧状を描くように湾曲している。第7パイプ部270は、アーム14の右側面に沿って配設されている。
【0066】
図示されないが、第2アタッチメント油路200は、第1アタッチメント油路100の第8ホース部180と同様の、第8ホース部をさらに有している。第8ホース部は、第7パイプ部270の遠位端に接続されている近位端と、ブレーカ15A(
図7に示されるアタッチメントの一例)に接続されている遠位端とを有している。第8ホース部は、アーム14とブレーカ15Aとの連結部であるアタッチメント連結ピン18を跨いで、アーム14からブレーカ15A側へ伸びている。
【0067】
第2ブーム12の周囲において、第1アタッチメント油路100と第2アタッチメント油路200とは、三次元的な経路を形成している。第3パイプ部130,230の、第2ホース部120,220に接続される近位端は、第2ブーム12の上面12Uに対向する位置にある。第3パイプ部130,230の、第4ホース部140,240に接続される遠位端は、それぞれ第2ブーム12の左側面12L、右側面12Rに対向する位置にある。第3パイプ部130と第3パイプ部230とは、二叉に分かれて配置されている。第3パイプ部130と第4ホース部140との連結部において、第1アタッチメント油路100は屈曲している。第3パイプ部230と第4ホース部240との連結部において、第2アタッチメント油路200は屈曲している。
【0068】
第1アタッチメント油路100と第2アタッチメント油路200とは、第2ブーム12の長手方向において第2ブーム12の全体に亘って延びるように配設されている。第2ブーム12の長手方向において、第2ブーム12の上面12Uに第1アタッチメント油路100および第2アタッチメント油路200が対向しておらず、上面12Uが露出している部分がある。
【0069】
各ホース部は、上述した通り軟質の材料で形成されている。ホース材料を保護するために、各ホース部を外周から覆う保護材が設けられてもよい。この保護材は、たとえば、金属材料製のワイヤであってもよく、比較的硬質の樹脂材料製であってもよい。
【0070】
図4は、第2ブーム12が右方へオフセットしたときの、第2ブーム12を左側方から見た図である。
図5は、第2ブーム12が左方へオフセットしたときの、第2ブーム12を左側方から見た図である。
【0071】
図4,5に示されるように、オフセットシリンダ22は、シリンダチューブ22Aと、ロッド22Bとを有している。シリンダチューブ22Aは、中空筒状の形状を有しており、内部にピストンを収容している。ロッド22Bは、シリンダチューブ22Aに支持されている。ロッド22Bは、シリンダチューブ22A内のピストンに連結された第1端と、シリンダチューブ22Aの外部に配置され第3ブラケット13に連結されている第2端とを有している。ロッド22Bは、シリンダチューブ22Aの端面を貫通して配置されており、シリンダチューブ22Aに対してシリンダチューブ22Aの長手方向に往復移動可能である。
【0072】
ロッド22Bは、シリンダチューブ22Aの端部からシリンダチューブ22Aの外部に突出する長さを変更可能に構成されている。オフセットシリンダ22は、ロッド22Bの往復移動に伴って、その全体の長さを伸縮可能に構成されている。
【0073】
ロッド22Bがシリンダチューブ22Aから突出する長さが小さくなることで、オフセットシリンダ22が収縮し、第2ブーム12は第1ブーム11に対して右方に傾き、アーム14およびバケット15が第1ブーム11に対して右側にオフセットする。オフセットシリンダ22の長さが最小のときの作業機10の配置と作業機10に対する第1アタッチメント油路100の配置とが、
図4に示される。
【0074】
ロッド22Bがシリンダチューブ22Aから突出する長さが大きくなることで、オフセットシリンダ22が伸長し、第2ブーム12は第1ブーム11に対して左方に傾き、アーム14およびバケット15が第1ブーム11に対して左側にオフセットする。オフセットシリンダ22の長さが最大のときの作業機10の配置と作業機10に対する第1アタッチメント油路100の配置とが、
図5に示される。
【0075】
図4,5に示されるように、第2ブーム12を左側方から見て、第1アタッチメント油路100とオフセットシリンダ22のロッド22Bとが重なっている。具体的に、第1アタッチメント油路100のうち、第3パイプ部130の一部と、
図4,5では図示を省略されている第4ホース部140の一部とが、オフセットシリンダ22の伸縮量にかかわらず、オフセットシリンダ22のロッド22Bの一部と重なっている。第3パイプ部130と第4ホース部140とは、オフセットシリンダ22のロッド22Bよりも、第2ブーム12の左側面12Lに近く配設されている。
【0076】
図6は、アーム14をダンプさせたときの第2ブーム12に対するアームシリンダ23の配置を示す側面図である。アームシリンダ23は、対向面23Sを有している。対向面23Sは、作業機10の全体がほぼ前後方向に延びるように配置されている状態で、第2ブーム12の上面12Uに対向する(
図1,5も併せて参照)。対向面23Sに、機器が取り付けられている。具体的に、対向面23Sに、落下防止弁28が取り付けられている。落下防止弁28に、落下防止弁28にパイロット圧油を供給する弁油路310が接続されている。
【0077】
落下防止弁28は、アーム作動油路300から作動油が漏出する事象が発生した場合に、アームシリンダ23からの作動油の流出を防止する。アームシリンダ23内の油圧を保持することで、アーム14の作動が防止される。これにより、バケット15の自由落下が防止される。アーム14の先端に吊り荷を吊り下げ可能なアームクレーン仕様で油圧ショベル1が使用される場合には、予期せず吊り荷が動くことが防げられる。
【0078】
図6に示される配置では、
図1と比較して、アーム14は、ダンプ方向(油圧ショベル1の旋回体30から離れる方向。
図1,6に示される左側方視においては、アーム連結ピン17回りの時計回り方向)に移動している。このアーム14の移動に伴って、アームシリンダ23は、シリンダ連結ピン27を回転中心として、第3ブラケット13に対して相対回転している。アームシリンダ23の対向面23Sが、第2ブーム12の上面12Uに接近している。
【0079】
図1~3を参照して説明した通り、第2ブーム12の上面12Uに第1アタッチメント油路100および第2アタッチメント油路200が対向していない部分がある。
図6に示されるように、対向面23Sに取り付けられた落下防止弁28および弁油路310と、第1アタッチメント油路100および第2アタッチメント油路200とは、アームシリンダ23の対向面23Sが第2ブーム12の上面12Uに接近しても互いに干渉しないように配置されている。
【0080】
第3パイプ部130,230および第4ホース部140,240は、第2ブーム12の左側面12L、右側面12Rに沿って延び第2ブーム12の上面12Uに沿って延びない部分を有している。第3パイプ部130,230および第4ホース部140,240は、第2ブーム12の上面12Uに対向していない部分を有している。第3パイプ部130と第4ホース部140との連結部、および、第3パイプ部230と第4ホース部240との連結部は、第2ブーム12の長手方向において、落下防止弁28とほぼ同じ位置に配置されている。
【0081】
第3パイプ部130と第4ホース部140との連結部は、第2ブーム12の左側面12Lに沿って配置されており、左側面12Lに対向して配置されている。第3パイプ部230と第4ホース部240との連結部は、第2ブーム12の右側面12Rに沿って配置されており、右側面12Rに対向して配置されている。第3パイプ部130,230と第4ホース部140,240との連結部は、第2ブーム12の上面12Uに対向していない。これにより、第2ブーム12の上面12Uに、アームシリンダ23がシリンダ連結ピン27を中心として回転する際に、落下防止弁28および弁油路310が他の機器と干渉せずに移動できるための、空間が確保されている。
【0082】
上述した説明と一部重複する記載もあるが、本実施形態の油圧ショベル1の特徴的な構成および作用効果についてまとめて記載すると、以下の通りである。
【0083】
図1に示されるように、油圧ショベル1は、第1アタッチメント油路100を備えている。
図2,3に示されるように、第2ブーム12は、上方に向く上面12Uと、左側方に向く左側面12Lとを有している。第1アタッチメント油路100は、第2ブーム12の上面12Uから左側面12Lに沿って下方へ延び、さらに左側面12Lから上面12Uを越えて上方に延びるように配設されている。
【0084】
アタッチメント油路が第2ブーム12の全体に亘って上面12Uに沿って配置されていると、作業機10のオフセットに伴う左右への移動を吸収するために、アタッチメント油路に大きく弛む部分を設けておくことになる。この弛み部分が、作業機10の他の部分に干渉したり、弛み部分同士が接触したりする可能性がある。
【0085】
実施形態の油圧ショベル1では、アタッチメントに作動油を供給するための第1アタッチメント油路100が、第2ブーム12のまわりに三次元的に配設されている。作業機10のオフセット時に、第1アタッチメント油路100自身が三次元的に変形することで、左右への移動を容易に吸収できる。第1アタッチメント油路100の変形量も小さくなる。これにより、第1アタッチメント油路100に弛みを設けなくてもよくなり、最短経路で第1アタッチメント油路100を適切に配置することができる。加えて、第1アタッチメント油路100の取り回し性および保全性を向上することができる。
【0086】
図2,3に示されるように、第1アタッチメント油路100は、第3パイプ部130と、第4ホース部140とを有している。第3パイプ部130は、第2ブーム12の上面12Uから左側面12Lに沿って下方へ延びている。第4ホース部140は、第2ブーム12の左側面12Lから上面12Uを越えて上方に延びている。第3パイプ部130と第4ホース部140とによって、第1アタッチメント油路100を、第2ブーム12の上面12Uから左側面12Lに沿って下方へ延び、さらに左側面12Lから上面12Uを越えて上方に延びるように、確実に配設することができる。
【0087】
図2,3に示されるように、第3パイプ部130と第4ホース部140とが互いに接続されている。第4ホース部140が第3パイプ部130よりも旋回体30から離れて配置されている。第3パイプ部130を第2ブーム12に沿わせて配置し、第4ホース部140を第2ブーム12の先端に配置することで、作業機10のオフセット時に柔軟な第4ホース部140を変形させて左右への移動を容易に吸収することができる。
【0088】
図1~3に示されるように、第4ホース部140は、第2ブーム12と第3ブラケット13との連結部である第2オフセットピン20を跨いで延びている。作業機10のオフセット時に、第2オフセットピン20を中心に第3ブラケット13が第2ブーム12に対して左右方向に回転したとき、柔軟な第4ホース部140が第2オフセットピン20を跨ぐように配置されていることで、第4ホース部140を変形させて左右への移動を容易に吸収することができる。
【0089】
図5,6に示されるように、アームシリンダ23は、第2ブーム12の上面12Uに対向する対向面23Sを有している。アームシリンダ23の対向面23Sに、機器が取り付けられている。
【0090】
アームシリンダ23の上面ではなく対向面23Sに機器を取り付けることで、機器が外部と接触することが抑制される。
図6に示されるようにアーム14を前方へ移動させると、アームシリンダ23のボトム側が、第2ブーム12の上面12Uに近づく。実施形態の第1アタッチメント油路100は、第2ブーム12の上面12Uから左側面12Lに沿って下方へ延びている。第2ブーム12の上面12Uに沿って第1アタッチメント油路100が配置されない部分が形成されている。このようにして、アームシリンダ23に取り付けられる機器が、第1アタッチメント油路100と干渉しない配置を実現することができる。
【0091】
図5,6に示されるように、アームシリンダ23の対向面23Sに落下防止弁28を取り付けることで、落下防止弁28を外部から保護することができ、落下防止弁28と第1アタッチメント油路100との干渉を回避することができる。したがって、アーム作動油路300に不具合が発生した場合でも、アーム14の作動を確実に防止することができる。
【0092】
図4,5に示されるように、オフセットシリンダ22は、シリンダチューブ22Aと、ロッド22Bとを有している。ロッド22Bは、シリンダチューブ22Aに対してシリンダチューブ22Aの長手方向に往復移動可能に、シリンダチューブ22Aに支持されている。第2ブーム12を左側方から見て、第1アタッチメント油路100とロッド22Bとが重なっている。オフセットシリンダ22の伸縮によって、第2ブーム12の左側面12Lとオフセットシリンダ22との距離が変動するが、第2ブーム12の左側面12Lとロッド22Bとの間に第1アタッチメント油路100を配置することで、第1アタッチメント油路100とオフセットシリンダ22との干渉を防止することができる。
【0093】
図1,7に示されるように、油圧ショベル1は、伸縮することでアーム14に対するアタッチメント(バケット15、ブレーカ15A)の姿勢を変えるアタッチメントシリンダ24と、アタッチメントシリンダ24に作動油を供給するシリンダ油路320とを備えている。第1アタッチメント油路100とシリンダ油路320とを別々の構成として備え、第1アタッチメント油路100とシリンダ油路320とを異なる位置に配置することで、アタッチメントの動作時に第1アタッチメント油路100に振動が生じてもシリンダ油路320へは影響しない構成とすることができ、シリンダ油路320の信頼性を向上することができる。
【0094】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
1 油圧ショベル、10 作業機、11 第1ブーム、12 第2ブーム、12B 下面、12L 左側面、12R 右側面、12U 上面、13 第3ブラケット、14 アーム、15 バケット、15A ブレーカ、17 アーム連結ピン、18 アタッチメント連結ピン、19 第1オフセットピン、20 第2オフセットピン、21 ブームシリンダ、22 オフセットシリンダ、22A シリンダチューブ、22B ロッド、23 アームシリンダ、23S 対向面、24 アタッチメントシリンダ、25 リンクロッド、27 シリンダ連結ピン、28 落下防止弁、30 旋回体、31 旋回フレーム、32 キャブ、34 エンジンルーム、40 走行体、42 履帯、44 走行モータ、50 排土板、100 第1アタッチメント油路、110,210 第1パイプ部、120,220 第2ホース部、130,230 第3パイプ部、140,240 第4ホース部、150,250 第5パイプ部、160,260 第6ホース部、170,270 第7パイプ部、180 第8ホース部、200 第2アタッチメント油路、300 アーム作動油路、310 弁油路、320 シリンダ油路。