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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142023
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20230928BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230928BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20230928BHJP
   H01L 21/306 20060101ALN20230928BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 648E
H01L21/304 642A
H01L21/304 648A
B65G49/07 E
H01L21/306 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048681
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】天久 賢治
(72)【発明者】
【氏名】谷口 進一
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 旭紘
【テーマコード(参考)】
5F043
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F043BB27
5F043EE35
5F043EE36
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA12
5F131AA32
5F131AA33
5F131AA34
5F131BA18
5F131BA37
5F131BB13
5F131CA45
5F131DA02
5F131DA09
5F131DA22
5F131DA32
5F131DA43
5F131DA63
5F131DB72
5F131DB86
5F131EC22
5F131GA03
5F131GA22
5F131GA24
5F131GA27
5F131GA43
5F157AB03
5F157AB13
5F157AB34
5F157AB48
5F157AB51
5F157AB62
5F157CC21
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】複数の基板が汚染することを防止しつつ、搬送機構の構成の複雑化および部品点数の増加を抑制することが可能な基板処理装置を提供する。
【解決手段】キャリア9が、第1の搬送経路a3に沿って搬送される。そのキャリア9内の複数の基板に処理が行われる。第1の搬送経路a3の始点TA1に隣接して第1待機部230が設けられる。第1待機部230は、未処理の複数の基板が収容されたキャリア9を第1の搬送経路の始点TA1に渡す。第1の搬送経路a3の終点TA3に隣接して第2待機部240が設けられる。第2待機部240は、処理後の複数の基板が収容されたキャリア9を受け取る。そのキャリア9から複数の基板が取り出される。第2待機部240と第1待機部230とをつなぐ待機搬送経路b1から使用後のキャリア9が拾い上げられ、洗浄される。洗浄後のキャリア9は、待機搬送経路b1に戻される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板に予め定められた処理を行う基板処理装置であって、
前記複数の基板を収容可能に構成されたキャリアと、
前記キャリアを、予め定められた第1の搬送経路に沿って当該第1の搬送経路の始点から終点に向けて搬送する搬送機構と、
前記第1の搬送経路上に設けられ、前記複数の基板が前記キャリアに収容された状態で、当該キャリアに収容された前記複数の基板に前記予め定められた処理を行う処理ユニットと、
空の前記キャリアに前記基板処理装置に搬入される未処理の前記複数の基板を挿入する基板挿入部と、
前記第1の搬送経路の前記始点に隣り合うように設けられ、前記基板挿入部により未処理の前記複数の基板が収容された前記キャリアを支持し、前記第1の搬送経路の前記始点に渡すことが可能に構成された第1の待機部と、
前記第1の搬送経路の前記終点に隣り合うように設けられ、処理後の前記複数の基板が収容された前記キャリアを前記第1の搬送経路の前記終点から受け取り、支持することが可能に構成された第2の待機部と、
前記処理ユニットによる処理後の前記複数の基板が収容された前記キャリアから処理後の前記複数の基板を取り出す基板取り出し部と、
前記キャリアを洗浄するキャリア洗浄部とを備え、
前記キャリアが前記第2の待機部から前記第1の待機部まで搬送される予め定められた第2の搬送経路が形成され、
前記キャリア洗浄部は、前記基板取り出し部により処理後の前記複数の基板が取り出された後の空の前記キャリアを前記第2の搬送経路から拾い上げ、拾い上げられた前記キャリアを洗浄し、洗浄後の前記キャリアを前記第2の搬送経路に戻す、基板処理装置。
【請求項2】
前記キャリア洗浄部は、
前記キャリアを洗浄するための洗浄液を貯留する洗浄槽と、
前記キャリアを前記洗浄槽の洗浄液に浸漬することおよび前記洗浄液に浸漬された前記キャリアを前記洗浄液から引き上げることが可能に構成されたキャリア搬送装置とを含む、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記キャリア洗浄部は、洗浄後のキャリアを乾燥させるキャリア乾燥部をさらに含む、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記キャリア洗浄部は、洗浄後のキャリアを待機させるキャリア待機部をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記キャリア洗浄部は、空の前記キャリアを前記第2の搬送経路のうち前記第2の待機部から拾い上げる、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記キャリア洗浄部は、洗浄後の前記キャリアを前記第2の搬送経路のうち前記第1の待機部に戻す、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基板を処理槽で処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられる。
【0003】
このような基板処理装置として、複数の基板を処理槽に貯留された処理液に浸漬し、エッチング等の処理を行うバッチ式の基板処理装置がある。例えば、特許文献1に記載されたバッチ式の基板処理装置は、フープ保持部、基板処理部および搬入搬出機構を含む。フープ保持部は、フープ(FOUP:Front Opening Unified Pod)を保持可能に構成される。フープは、複数の基板が上下方向に所定ピッチで並ぶように、複数の基板を水平姿勢で保持しつつ収容可能に構成された収容器である。
【0004】
その基板処理装置においては、未処理の複数の基板が収容されたフープがフープ保持部に供給され、保持される。この状態で、搬入搬出機構が備えるハンドによりフープから複数の基板が取り出される。そのハンドは、複数枚の基板を一括して保持可能に構成されている。ハンドにより取り出された複数の基板は、複数の搬送機構および支持機構を介して基板処理部に渡される。
【0005】
基板処理部は、複数の処理槽および主搬送機構を有する。複数の処理槽の各々には、基板に所定の処理を行うための処理液が貯留されている。基板処理部に渡された未処理の複数の基板の各々は、主搬送機構により複数の処理槽のいずれかの上方の位置まで搬送される。主搬送機構も、上記のハンドと同様に、複数の基板を一括して保持可能に構成されている。
【0006】
複数の処理槽のいずれかの上方の位置まで搬送された複数の基板は、当該複数の基板の下方にある処理槽内の処理液に、一定時間浸漬され、引き上げられる。それにより、複数の基板に所定の処理が行われる。処理後の複数の基板は、基板処理部から取り出され、複数の搬送機構および支持機構を介してフープ保持部に保持された空のフープに挿入される。処理後の複数の基板が収容されたフープは、基板処理装置から搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-238945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、特許文献1に記載された基板処理装置においては、複数の基板が、複数の搬送機構の間で一体的に受け渡される。これらの複数の搬送機構は、複数の基板を一括して保持するために比較的複雑な構成を有する。このような複雑な構成は、複数の搬送機構に対する洗浄等のメンテナンス作業を煩雑化させる。
【0009】
また、上記の基板処理装置においては、複数の基板は、複数の搬送機構を含む基板処理装置の多数の構成要素の間で多数回受け渡される。そのため、フープから取り出された複数の基板の各々は、空のフープに挿入されるまでの間、多数の構成要素への接触および多数の構成要素からの離間を繰り返す。このような、複数の基板の各々に対する基板処理装置の多数の構成要素の接触および離間の繰り返しは、パーティクルの発生要因となる。
【0010】
さらに、複数の基板に接触する複数の構成要素が汚染していると、汚染物質がそれらの構成要素から複数の基板に転写し、複数の基板の清浄度が著しく低下する。そこで、複数の基板に接触する複数の構成要素の各々を洗浄することが考えられる。しかしながら、上記の複数の構成要素にそれぞれ対応する複数の洗浄機構を基板処理装置に設けると、基板処理装置の構成が複雑化するとともに部品点数が増加する。
【0011】
こうした問題への対処方法として、複数の基板を収容可能なキャリアにまとめて収容し、複数の基板を一括して搬送することが考え得る。
【0012】
しかしながら、複数の基板または処理槽から汚染物質がキャリアに転写されることにより、キャリア自体が汚染される問題がある。このキャリア上の汚染物質は、基板に転写されることにより基板の品質を低下させる要因となる。
【0013】
また、キャリアに付着した処理液がキャリアの表面に作用することにより、キャリアの表面を劣化させる問題もある。また、処理液がめっき液の場合、キャリア表面にめっきが付着して成長するという問題が生じ得る。
【0014】
このように、従来の基板処理技術においては、キャリアの汚染またはキャリアの変質という問題に適切に対処するための構成および方法が提供されていない。
【0015】
そこで、本発明の目的は、複数の基板が汚染することを防止しつつ、搬送機構の構成の複雑化および部品点数の増加を抑制することが可能な基板処理装置を提供することである。
【0016】
また、本発明の別の目的は、複数の基板を収容可能に構成されたキャリアの劣化を防ぐために、キャリアの表面を洗浄し、キャリアの表面状態をリセットすることが可能な基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)本発明の一局面に従う基板処理装置は、複数の基板に予め定められた処理を行う基板処理装置であって、複数の基板を収容可能に構成されたキャリアと、キャリアを、予め定められた第1の搬送経路に沿って当該第1の搬送経路の始点から終点に向けて搬送する搬送機構と、第1の搬送経路上に設けられ、複数の基板がキャリアに収容された状態で、当該キャリアに収容された複数の基板に予め定められた処理を行う処理ユニットと、空のキャリアに基板処理装置に搬入される未処理の複数の基板を挿入する基板挿入部と、第1の搬送経路の始点に隣り合うように設けられ、基板挿入部により未処理の複数の基板が収容されたキャリアを支持し、第1の搬送経路の始点に渡すことが可能に構成された第1の待機部と、第1の搬送経路の終点に隣り合うように設けられ、処理後の複数の基板が収容されたキャリアを第1の搬送経路の終点から受け取り、支持することが可能に構成された第2の待機部と、処理ユニットによる処理後の複数の基板が収容されたキャリアから処理後の複数の基板を取り出す基板取り出し部と、キャリアを洗浄するキャリア洗浄部とを備え、キャリアが第2の待機部から第1の待機部まで搬送される予め定められた第2の搬送経路が形成され、キャリア洗浄部は、基板取り出し部により処理後の複数の基板が取り出された後の空のキャリアを第2の搬送経路から拾い上げ、拾い上げられたキャリアを洗浄し、洗浄後のキャリアを第2の搬送経路に戻す。
【0018】
その基板処理装置においては、搬入された未処理の複数の基板が基板挿入部により空のキャリアに挿入される。未処理の複数の基板を収容するキャリアが、第1の待機部に支持され、第1の搬送経路の始点に渡される。第1の搬送経路の始点から終点に向けて、複数の基板を収容するキャリアが搬送される。この場合、搬送機構は、複数の基板が収容されたキャリアを搬送することにより、複数の基板を一体的に取り扱うことができる。そのため、搬送機構は、複数の基板を一体的かつ直接的に保持するための煩雑な構成を要しない。キャリアが第1の搬送経路の始点から終点まで搬送される間に、キャリアに収容された複数の基板には、処理ユニットにより予め定められた処理が行われる。
【0019】
処理後の複数の基板を収容するキャリアは、第1の搬送経路の終点から第2の待機部に受け取られ、第2の待機部に支持される。処理後の複数の基板は、基板取り出し部によりキャリアから取り出される。空のキャリアは、第2の搬送経路上を第2の待機部から第1の待機部まで搬送される。この搬送途中で、空のキャリアは、第2の搬送経路から拾い上げられ、キャリア洗浄部により洗浄される。また、洗浄された空のキャリアは、第2の搬送経路に戻される。この場合、第2の搬送経路を通して第1の待機部に搬送された洗浄後の空のキャリアを、未処理の複数の基板を挿入するために用いることができる。このように、キャリアを再利用することができるので、多数のキャリアを用意する必要がない。また、再利用されるキャリアが洗浄されるので、キャリアを再利用することによる複数の基板の汚染が防止される。
【0020】
これらの結果、複数の基板が汚染することを防止しつつ、搬送機構の構成の複雑化および部品点数の増加を抑制することが可能になる。
【0021】
さらに、上記の構成によれば、複数の基板の処理に用いられるキャリアを、複数の基板の処理に使用されるごとに洗浄することができる。それにより、複数の基板の処理ごとに、キャリアの表面状態がリセットされるので、汚染または腐食等によるキャリアの劣化を抑制することも可能である。
【0022】
(2)キャリア洗浄部は、キャリアを洗浄するための洗浄液を貯留する洗浄槽と、キャリアを処理槽の洗浄液に浸漬することおよび洗浄液に浸漬されたキャリアを洗浄液から引き上げることが可能に構成されたキャリア搬送装置とを含んでもよい。
【0023】
この場合、キャリア洗浄部においては、キャリアを洗浄槽内の洗浄液に一定時間浸漬させることにより、簡単な構成および簡単な方法でキャリアを洗浄することができる。
【0024】
(3)キャリア洗浄部は、洗浄後のキャリアを乾燥させるキャリア乾燥部をさらに含んでもよい。この場合、洗浄後のキャリアに塵埃が付着しにくい。それにより、洗浄後のキャリアの清浄度の低下が抑制される。
【0025】
(4)キャリア洗浄部は、洗浄後のキャリアを待機させるキャリア待機部をさらに含んでもよい。この場合、洗浄後のキャリアをキャリア洗浄部に待機させることができる。それにより、洗浄後のキャリアを適切なタイミングで第2の搬送経路に戻すことができる。
【0026】
(5)キャリア洗浄部は、空のキャリアを第2の搬送経路のうち第2の待機部から拾い上げてもよい。この場合、第2の待機部は第2の搬送経路の始点に位置するので、複数の基板の処理に用いられた使用後のキャリアが、洗浄されていない状態で第2の搬送経路の広い範囲に渡って搬送されることが防止される。したがって、第2の搬送経路の汚染が抑制される。
【0027】
(6)キャリア洗浄部は、洗浄後のキャリアを第2の搬送経路のうち第1の待機部に戻してもよい。この場合、第1の待機部は第2の搬送経路の終点に位置するので、洗浄後のキャリアは第2の搬送経路の広い範囲に渡って搬送されない。したがって、洗浄後のキャリアの清浄度を低下させることなく、当該キャリアに、未処理の複数の基板を収容させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、複数の基板が汚染することを防止しつつ、搬送装置の構成の複雑化および部品点数の増加を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の基本構成を示す模式的平面図である。
図2図1のA-A線における基板処理装置の模式的断面図である。
図3図1の基板処理装置において用いられるキャリアの平面図である。
図4図3のキャリアの一方側面図である。
図5図4のB-B線におけるキャリアの断面図である。
図6図1の基板処理装置における複数の基板およびキャリアの搬送経路を説明するための図である。
図7図1の基板処理装置における複数の基板およびキャリアの搬送経路を説明するための図である。
図8図1の基板処理装置における複数の基板およびキャリアの搬送経路を説明するための図である。
図9】他の実施の形態に係る基板処理装置の基本構成を示す模式的平面図である。
図10図9の基板処理装置の模式的一方側面図である。
図11】さらに他の実施の形態に係る基板処理装置の基本構成を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、基板とは、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。また、以下に説明する基板は、平面視で矩形状を有する。
【0031】
<1>基板処理装置の構成
(1)全体構成および方向の定義
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の基本構成を示す模式的平面図である。図2は、図1のA-A線における基板処理装置1の模式的断面図である。図1および図2に示すように、基板処理装置1は、主として基板搬入搬出ブロック100、中継ブロック200、処理ブロック300および洗浄ブロック400を備える。
【0032】
ここで、図1および図2以降の所定の図には、基板処理装置1の各構成要素の位置関係を明確にするために、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。また、各方向において矢印が向かう方向を+方向とし、その+方向とは反対の方向を-方向とする。以下の説明においては、単にX方向と呼ぶ場合、そのX方向は、+X方向および-X方向を含むものとする。また、単にY方向と呼ぶ場合、そのY方向は、+Y方向および-Y方向を含むものとする。また、単にZ方向と呼ぶ場合、そのZ方向は、+Z方向および-Z方向を含むものとする。
【0033】
(2)基板搬入搬出ブロック100
基板搬入搬出ブロック100は、複数のフープ棚110、フープ搬送装置111,112、オープナ120,130、基板受渡ロボット140,150、2個のフープ載置部190および制御部160(図2)を含む。また、基板搬入搬出ブロック100は、基板処理装置1の外壁の一部を構成する端面部101、一方側面部102および他方側面部103を有する。端面部101は、-X方向を向く基板処理装置1の一端部に位置し、X方向に直交する。一方側面部102および他方側面部103は、Y方向において互いに対向するように、平面視で端面部101の両端部から+X方向に平行に延びている。
【0034】
2個のフープ載置部190は、端面部101から-X方向に突出するように設けられている。各フープ載置部190は、複数の基板を多段に収容するフープ(FOUP:Front Opening Unified Pod)8を載置可能に構成されている。端面部101においては、各フープ載置部190に対応する部分に、フープ8をX方向に通過させるための図示しない通路開口部が形成されている。
【0035】
フープ8には、そのフープ8の内部空間から基板を取り出すため、およびそのフープ8の内部空間に基板を挿入するための開口部が形成されている。また、フープ8は、その開口部を開閉するための蓋を含む。フープ8の開口部は、フープ8の搬送時および待機時に閉塞され、フープ8に対する基板の取り出し時および挿入時に開放される。図1および図2では、フープ8と後述するキャリア9とが明確に区別できるように、フープ8にハッチングが付され、キャリア9にドットパターンが付されている。図1の例では、Y方向に並ぶ2個のフープ載置部190のうち一方のフープ載置部190にフープ8が載置され、他方のフープ載置部190にフープ8が載置されていない。フープ8の数やフープ棚110の配列は、装置設計仕様に応じて適宜変更してもよい。
【0036】
複数のフープ棚110は、端面部101から+X方向に所定距離離間した位置で、互いに離間するように設けられている。本例では、16個のフープ棚110が、Z方向およびY方向に平行な面内で4行4列で並ぶように、図示しない固定部材により固定されている。各フープ棚110は、フープ8を載置可能に構成されている。図1の例では、最上段に位置する4個のフープ棚110のうち3個のフープ棚110の各々にフープ8が載置され、残りの1個のフープ棚110にフープ8が載置されていない。
【0037】
2つのオープナ120,130は、複数のフープ棚110から+X方向に所定距離離間した位置で、互いに離間するように設けられている。本例では、2つのオープナ120,130が、Y方向に並ぶように、図示しない固定部材により固定されている。一方のオープナ120は一方側面部102の近傍に位置し、他方のオープナ130は他方側面部103の近傍に位置する。各オープナ120,130は、フープ8を載置可能かつ載置されたフープ8の蓋を開閉可能に構成されている。図1の例では、一方のオープナ120にフープ8が載置され、他方のオープナ130にフープ8が載置されていない。
【0038】
基板受渡ロボット140は、+X方向においてオープナ120に隣り合うように設けられている。基板受渡ロボット140は、Z方向の軸の周りで回転可能かつZ方向に移動可能(昇降可能)に構成されている。基板受渡ロボット140には、1または複数の基板を受け渡すためのハンドが設けられている。ハンドは、多関節型アームにより支持され、水平方向に進退可能となっている。基板受渡ロボット140は、未処理の基板が収容されたフープ8がオープナ120に載置された状態で、そのフープ8から基板を取り出し、取り出した基板を中継ブロック200内に配置された後述するキャリア9内に挿入するために用いられる。
【0039】
基板受渡ロボット150は、+X方向においてオープナ130に隣り合うように設けられている。基板受渡ロボット150は、基板受渡ロボット140と同じ構成を有する。基板受渡ロボット150は、空のフープ8がオープナ130に載置された状態で、中継ブロック200内に配置された後述するキャリア9から基板を取り出し、取り出した基板をオープナ130上のフープ8内に挿入するために用いられる。
【0040】
フープ搬送装置111は、X方向における端面部101と複数のフープ棚110との間に位置する。フープ搬送装置111は、フープ8を把持可能に構成された図示しない把持部を有し、その把持部をY方向に移動させることおよびZ方向に移動させることが可能に構成されている。これにより、フープ搬送装置111は、2つのフープ載置部190のいずれかと、複数のフープ棚110のいずれかとの間でフープ8を搬送する。
【0041】
フープ搬送装置112は、X方向における複数のフープ棚110と2つのオープナ120,130との間に位置する。フープ搬送装置112は、フープ搬送装置111と同じ構成を有する。フープ搬送装置112は、複数のフープ棚110のいずれかと、2つのオープナ120,130のいずれかとの間でフープ8を搬送する。
【0042】
制御部160(図2)は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)およびRAM(ランダムアクセスメモリ)を含むコンピュータ等からなり、基板処理装置1内の各構成要素の動作を制御する。
【0043】
(3)中継ブロック200
中継ブロック200は、主として2個のキャリア支持部210,220、第1待機部230、第2待機部240および待機搬送装置250を備える。キャリア支持部210は、+X方向において基板搬入搬出ブロック100の基板受渡ロボット140に隣り合うように設けられている。また、キャリア支持部210は、複数の基板を多段に収容するキャリア9を支持可能に構成されている。キャリア9の詳細は後述する。さらに、キャリア支持部210は、キャリア9を支持するとともに、支持されたキャリア9の姿勢を変更可能に構成されている。キャリア9の姿勢を変更するためのキャリア支持部210の構成の詳細については後述する。なお、図1の例では、キャリア支持部210上にキャリア9が支持されている。
【0044】
キャリア支持部220は、+X方向において基板搬入搬出ブロック100の基板受渡ロボット150に隣り合うように設けられている。また、キャリア支持部220は、キャリア支持部210と同じ構成を有する。なお、図1の例では、キャリア支持部220上にキャリア9は支持されていない。
【0045】
第1待機部230は、+X方向においてキャリア支持部210に隣り合うように設けられている。また、第1待機部230は、キャリア9を支持可能に構成されている。さらに、第1待機部230は、当該第1待機部230に支持されるキャリア9をキャリア支持部210に渡すこと、およびキャリア支持部210に支持されるキャリア9をキャリア支持部210から受け取ることが可能に構成されている。
【0046】
第2待機部240は、+X方向においてキャリア支持部220に隣り合うように設けられている。また、第2待機部240は、キャリア9を支持可能に構成されている。さらに、第2待機部240は、当該第2待機部240に支持されるキャリア9をキャリア支持部220に渡すこと、およびキャリア支持部220に支持されるキャリア9をキャリア支持部220から受け取ることが可能に構成されている。
【0047】
待機搬送装置250は、第1待機部230と第2待機部240との間に設けられている。待機搬送装置250は、キャリア9を保持可能かつ第1待機部230と第2待機部240との間でY方向に移動可能に構成されている。待機搬送装置250は、例えば第2待機部240に支持されたキャリア9を第1待機部230に搬送する。
【0048】
(4)処理ブロック300
処理ブロック300は、第1搬送部310、第2搬送部320および処理部330を含む。第1搬送部310および処理部330は、この順で+Y方向に並び、中継ブロック200から+X方向に並列に延びるように設けられている。第2搬送部320は、Y方向に延びるように形成され、第1搬送部310の+X方向を向く端部と、処理部330の+X方向を向く端部とをつないでいる。
【0049】
以下の説明では、X方向に延びる第1搬送部310の両端部のうち-X方向を向く一方の端部を適宜第1の端部TA1と呼び、+X方向を向く他方の端部を適宜第2の端部TA2と呼ぶ。また、X方向に延びる処理部330の両端部のうち-X方向を向く一方の端部を適宜第3の端部TA3と呼び、+X方向を向く他方の端部を適宜第4の端部TA4と呼ぶ。
【0050】
第1搬送部310は、主搬送装置311および2つの副搬送装置312A,312Bを含む。主搬送装置311は、可動ステージ311aおよびガイドレール311bを含む。ガイドレール311bは、第1搬送部310の第1の端部TA1から第2の端部TA2に延びように設けられている。可動ステージ311aは、ガイドレール311b上でX方向に移動可能かつキャリア9を載置可能に構成されている。主搬送装置311は、ガイドレール311b上で可動ステージ311aをX方向に移動させる図示しない駆動機構をさらに備える。それにより、主搬送装置311は、中継ブロック200に近接する第1の端部TA1で可動ステージ311aにキャリア9が載置された場合に、載置されたキャリア9を第2搬送部320に近接する第2の端部TA2まで+X方向に搬送する。
【0051】
副搬送装置312Aおよび副搬送装置312Bは、X方向における第1搬送部310の第1の端部TA1および第2の端部TA2にそれぞれ設けられる。副搬送装置312Aは、キャリア支持部210に未処理の基板を収容するキャリア9が支持された場合に、当該キャリア9を第1の端部TA1に配置された主搬送装置311の可動ステージ311a上に載置する。また、副搬送装置312Aは、第1待機部230からキャリア支持部210へと空のキャリア9を搬送する。一方、副搬送装置312Bは、キャリア9が載置された可動ステージ311aが第2の端部TA2まで移動した場合に、当該キャリア9を第2搬送部320の後述する搬送装置321に渡す。
【0052】
ここで、図2に示すように、第1搬送部310は、基板処理装置1の設置面から+Z方向(上方)に離間した位置に設けられる。それにより、第1搬送部310の-Z方向(下方)に位置する空間は、後述する処理部330をメンテナンスするためのメンテナンス空間MS1として利用可能となる。そのため、本実施の形態に係る基板処理装置1においては、図1に示すように、平面視で第1搬送部310が処理部330のメンテナンス空間MS1に重なる。後述する図8では、メンテナンス空間MS1において、第1搬送部310の下方で処理部330に対するメンテナンス作業を行う作業者WPが示される。
【0053】
第2搬送部320は、搬送装置321を含む。搬送装置321は、キャリア9を支持するとともに、支持されたキャリア9の姿勢を変更可能に構成されている。キャリア9の姿勢を変更するための搬送装置321の構成の詳細については後述する。さらに、搬送装置321は、Y方向に移動可能に構成されている。これにより、第2搬送部320は、第1搬送部310の第2の端部TA2近傍で副搬送装置312Bからキャリア9を受け取ることができる。また、第2搬送部320は、副搬送装置312Bから受け取ったキャリア9の姿勢を変更し、当該キャリア9を処理部330の第4の端部TA4近傍の位置まで移動させることができる。
【0054】
処理部330は、複数(本例では5個)の液処理ユニット331、乾燥ユニット332および(本例では3個)複数の主搬送装置333A,333B,333Cを含む。複数の液処理ユニット331および乾燥ユニット332は、乾燥ユニット332が第3の端部TA3に位置するようにX方向に並んでいる。
【0055】
複数の主搬送装置333A,333B,333Cは、この順で第3の端部TA3から第4の端部TA4に向かって+X方向に延びる一の直線上に並ぶように設けられている。各主搬送装置333A,333B,333Cは、キャリア9を保持可能に構成されるとともに、保持されたキャリア9を複数の液処理ユニット331および乾燥ユニット332間で搬送することが可能に構成されている。中継ブロック200から最も遠い位置にある主搬送装置333Cは、第2搬送部320において処理部330の近傍にキャリア9が搬送される場合に、当該キャリア9を受け取る。また、主搬送装置333Cは、受け取ったキャリア9を複数の液処理ユニット331のいずれかに搬送する。
【0056】
複数の液処理ユニット331の各々は、1または複数の処理槽331aおよびリフタ331bを備える。本例の各液処理ユニット331は、2つの処理槽331aを備える。各処理槽331aは、当該処理槽331aの上方の位置からキャリア9を挿入および取り出し可能に構成されている。また、処理槽331aには、キャリア9に収容される複数の基板を洗浄するための処理液(薬液またはリンス液)が貯留されている。
【0057】
各液処理ユニット331のリフタ331bは、キャリア9を保持可能に構成されている。また、リフタ331bは、複数の主搬送装置333A,333B,333Cのいずれかからキャリア9を受け取ること、および複数の主搬送装置333A,333B,333Cのいずれかにキャリア9を渡すことが可能に構成されている。さらに、リフタ331bは、当該液処理ユニット331の2つの処理槽331aの各々について、処理液へのキャリア9の浸漬、および処理液からのキャリア9の引き上げが可能に構成されている。これにより、未処理の基板が収容されたキャリア9が処理部330に渡されることにより、当該キャリア9に収容された複数の基板が1または複数の処理液に所定時間浸漬され、複数の基板に共通の処理が行われる。
【0058】
乾燥ユニット332は、中継ブロック200から最も近い位置にある主搬送装置333Aにより搬送されるキャリア9に乾燥処理を行う。この乾燥処理により、キャリア9内に収容された複数の基板が乾燥する。乾燥処理後のキャリア9は、中継ブロック200から最も近い位置にある主搬送装置333Aにより中継ブロック200の第2待機部240に渡される。
【0059】
ここで、複数の液処理ユニット331の複数の処理槽331aには、基板に行われるべき複数の処理にそれぞれ対応する複数の処理液が、基板に行われるべき処理の順で-X方向に並ぶように貯留される。図2の制御部160は、主搬送装置333A,333B,333Cの各々に対して、キャリア9を保持する状態で-X方向に移動することを許容し、キャリア9を保持する状態で+X方向に移動することを制限する。この場合、複数のキャリア9が複数の主搬送装置333A,333B,333Cにより搬送される際に、一のキャリア9と他のキャリア9とが互いに逆方向に移動することによる干渉の発生が抑制される。また、キャリア9が処理部330内でX方向に往復移動しないので、処理部330におけるキャリア9の搬送経路の長さが、処理部330のX方向の長さを超えない。
【0060】
図1に点線で示すように、処理ブロック300およびその近傍の領域においては、上記のメンテナンス空間MS1に加えて、処理部330の+Y方向側にさらなるメンテナンス空間MS2が形成されている。このように、Y方向において処理部330を挟み込むように2つのメンテナンス空間MS1,MS2が形成されることにより、処理部330に対する十分な大きさのメンテナンス空間が確保されている。
【0061】
(5)洗浄ブロック400
洗浄ブロック400は、洗浄搬送装置410およびキャリア洗浄ユニット420を含む。キャリア洗浄ユニット420は、基板搬入搬出ブロック100および中継ブロック200の側方(+Y方向)の位置でX方向に延びるように設けられている。また、キャリア洗浄ユニット420は、X方向に並ぶように設けられた1または複数(本例では3個)のキャリア洗浄槽421、1または複数(本例では1個)のキャリア乾燥部422および1または複数(本例では2個)のキャリア待機部423を含む。
【0062】
1または複数のキャリア洗浄槽421、1または複数のキャリア乾燥部422および1または複数の複数のキャリア待機部423の各々は、当該、槽、乾燥部または待機部の上方の位置からキャリア9を挿入および取り出し可能に構成されている。また、1または複数のキャリア洗浄槽421の各々には、キャリア9を洗浄するための処理液(薬液またはリンス液)が貯留されている。1または複数のキャリア乾燥部422の各々は、挿入されたキャリア9に乾燥処理を行う。
【0063】
洗浄搬送装置410は、空のキャリア9を、中継ブロック200の第2待機部240、1または複数のキャリア洗浄槽421、1または複数のキャリア乾燥部422および1または複数のキャリア待機部423の間で搬送可能に構成されている。洗浄ブロック400においては、空のキャリア9が複数のキャリア洗浄槽421間で搬送され、1または複数のキャリア洗浄槽421のうちいずれかのキャリア洗浄槽421に貯留された処理液に浸漬される。それにより、処理ブロック300において複数の基板の処理に用いられた後の空のキャリア9が洗浄される。
【0064】
洗浄後のキャリア9は、1または複数のキャリア乾燥部422のうちいずれかのキャリア乾燥部422に搬送され、乾燥処理が行われる。乾燥後のキャリア9は、1または複数のキャリア待機部423のうちいずれかのキャリア待機部423に搬送され、保持される。その後、中継ブロック200における複数の基板の受け入れのタイミングに応じて洗浄搬送装置410によりキャリア待機部423から取り出され、中継ブロック200の第2待機部240に搬送される。
【0065】
<2>キャリア9の構成およびキャリア9の姿勢
図3図1の基板処理装置1において用いられるキャリア9の平面図であり、図4図3のキャリア9の一方側面図であり、図5図4のB-B線におけるキャリア9の断面図である。図3図5に示すように、キャリア9は、4つのフレーム部材10a,10b,10c,10dを含む。
【0066】
フレーム部材10a,10bの各々は、略正方形の板状部材で形成され、処理対象となる基板よりも大きい外形を有する。フレーム部材10a,10bの各々の中央部分には、4つの開口部13が形成されている。フレーム部材10c,10dの各々は、略長方形の板状部材で形成されている。フレーム部材10c,10dの長辺の長さは、フレーム部材10a,10bの一辺の長さにほぼ等しい。
【0067】
フレーム部材10a,10bは、互いに対向した状態で離間するように配置されている。フレーム部材10aの一側辺とフレーム部材10bの一側辺とをつなぐようにフレーム部材10cが設けられている。フレーム部材10aの他側辺とフレーム部材10bの他側辺とをつなぐようにフレーム部材10dが設けられている。この状態で、フレーム部材10c,10dも互いに対向配置されている。これにより、キャリア9は角筒形状を有する。
【0068】
角筒形状を有するキャリア9の一方の端部に形成される矩形の開口部は、キャリア9内に基板を挿入するため、およびキャリア9から基板を取り出すための基板出入口12として機能する。キャリア9の他方の端部には、フレーム部材10aとフレーム部材10bとの間をつなぐようにかつフレーム部材10cとフレーム部材10dとの間で分散配置されるように、複数(本例では6個)の支持片11が設けられている。
【0069】
各支持片11は、長尺状の板部材で構成され、フレーム部材10c,10dと平行に設けられている。また、各支持片11には、キャリア9に収容される複数の基板の外縁の一部を挿入可能な図示しない複数の溝が予め定められた基準ピッチで形成されている。各支持片11に形成される溝の数は、キャリア9に収容されるべき基板の数に等しい。
【0070】
フレーム部材10c,10dの互いに対向する2つの面の各々には、複数の突出部prが形成されている。複数の突出部prは、フレーム部材10c,10dの長辺の方向に延びるとともに、短辺の方向に上記の基準ピッチで並ぶように形成されている。これにより、互いに隣り合う各2つの突出部prの間には、基板の外縁を挿入可能な溝が形成されている。
【0071】
上記のように、図1の基板処理装置1においては、適宜キャリア9の姿勢が変更される。ここで、上記の構成を有するキャリア9について、複数の支持片11が下端部に位置しかつフレーム部材10a,10bが鉛直方向に平行に維持される姿勢を鉛直姿勢と呼ぶ。一方、フレーム部材10a,10bが鉛直方向に直交するように維持される姿勢を水平姿勢と呼ぶ。
【0072】
空のキャリア9に複数の基板を挿入する場合には、水平姿勢にあるキャリア9の基板出入口12からキャリア9の内部に複数の基板が挿入される。このとき、各基板の外縁のうち両側部(互いに対向する二辺の部分)がフレーム部材10cの複数の突出部prのうちのいずれか2つの間およびフレーム部材10dの複数の突出部prのうちのいずれか2つの間に挿入される。これにより、複数の基板が収容されたキャリア9が水平姿勢にある場合、各基板は、当該基板の両側部が複数の突出部prにより支持された状態で保持される。一方、複数の基板が収容されたキャリア9が鉛直姿勢にある場合、各基板は、当該基板の下端部の複数の部分が複数の支持片11の複数の溝に嵌め込まれた状態で保持される。
【0073】
上記のように、キャリア9が水平姿勢にある場合、収容される複数の基板の各々は、両側部全体が複数の突出部prにより支持される。一方、キャリア9が鉛直姿勢にある場合、収容される複数の基板の各々は、当該基板の下端部における複数の部分が複数の支持片11により局所的に支持される。そのため、キャリア9が水平姿勢にある場合には、キャリア9が鉛直姿勢にある場合に比べて、収容される各基板の外縁に加わる負荷(各基板の自重による負荷)が低減される。
【0074】
本実施の形態に係るキャリア9は、水平姿勢にある時の当該キャリア9の鉛直方向の寸法(高さ)が鉛直姿勢にある時の当該キャリア9の鉛直方向の寸法(高さ)よりも小さくなるように、形成されている。
【0075】
<3>基板処理装置における複数の基板およびキャリア9の搬送経路
図6図8は、図1の基板処理装置1における複数の基板およびキャリア9の搬送経路を説明するための図である。図6には、図1と同様に、基板処理装置1の模式的平面図が示される。図7には、図1の基板処理装置1を一の方向に見た模式的外観斜視図が示される。図8には、図1の基板処理装置1を他の方向に見た模式的外観斜視図が示される。なお、図7および図8では、図1の洗浄ブロック400の図示を省略している。さらに、図6図8では、図8のメンテナンス空間MS1を除いて、図1のメンテナンス空間MS1,MS2の図示も省略している。
【0076】
一のフープ8に収容された未処理の複数の基板Wに一連の処理を行う場合を想定する。この場合、一のフープ8は、基板搬入搬出ブロック100に搬入されることにより、図6に示すように、オープナ120に載置され、蓋が開かれる。また、中継ブロック200のキャリア支持部210上に空のキャリア9が水平姿勢で支持される。このとき、キャリア9の基板出入口12(図5)は、フープ8に対向するように-X方向を向く。この状態で、基板受渡ロボット140により、一のフープ8から未処理の複数の基板Wが取り出され、キャリア9に挿入される。この場合の複数の基板Wの搬送経路が、図6図8に太い点線の矢印a1で示される。
【0077】
その後、空になった一のフープ8は、蓋が閉じられ、フープ搬送装置112により保持されて、複数のフープ棚110のいずれかに載置される。一方、複数の基板Wが収容されたキャリア9は、キャリア支持部210により受け取られ、第1搬送部310の副搬送装置312Aにより主搬送装置311の可動ステージ311a上に載置される。この場合のキャリア9の搬送経路が、図6図8に太い実線の矢印a2で示される。
【0078】
次に、可動ステージ311a上に載置されたキャリア9は、中継ブロック200の近傍位置(第1の端部TA1)から第2搬送部320の近傍位置(第2の端部TA2)まで+X方向に水平姿勢で搬送される。図8の吹き出しBA3内に、第1搬送部310の主搬送装置311により搬送されるキャリア9の状態が示される。
【0079】
その後、第2搬送部320の近傍位置に到達したキャリア9は、第1搬送部310の副搬送装置312Bにより第2搬送部320の搬送装置321に渡される。そこで、搬送装置321に渡されたキャリア9は、搬送装置321により姿勢が水平姿勢から鉛直姿勢に変更される。図7の吹き出しBA2内に、搬送装置321におけるキャリア9の姿勢変更の状態が模式的に示される。
【0080】
図7の吹き出しBA2に示すように、搬送装置321は、可動台座322およびキャリア保持具323を含む。可動台座322は、第2搬送部320内でY方向に移動可能に設けられている。キャリア保持具323は、第1保持部323aおよび第2保持部323bから構成される。第1保持部323aは、水平姿勢にあるときのキャリア9の下端部を保持可能な矩形の平板形状を有する。また、第2保持部323bは、鉛直姿勢にあるときのキャリア9の下端部を保持可能な矩形の平板形状を有する。
【0081】
第1保持部323aおよび第2保持部323bは、第1保持部323aの一辺と第2保持部323bの一辺とが互いに接するようにかつ2つの保持部が互いに直交するように接続されている。可動台座322は、第1保持部323aおよび第2保持部323bがともにY方向に平行となるように、かつキャリア保持具323がY方向に延びる軸の周りで回転可能となるように、キャリア保持具323の一部を保持する。
【0082】
搬送装置321は、さらに可動台座322上でキャリア保持具323の回転角度を調整可能な図示しない駆動部を有する。これにより、第1搬送部310から水平姿勢のキャリア9を受け取る場合に、キャリア保持具323は、第1保持部323aが水平となりかつ第2保持部323bが鉛直となるように回転角度が調整される。その後、キャリア保持具323上に水平姿勢のキャリア9が受け取られると、キャリア保持具323は、第1保持部323aが鉛直となりかつ第2保持部323bが水平となるように回転角度が調整される。これにより、キャリア9の姿勢が水平姿勢から鉛直姿勢に変更される。
【0083】
搬送装置321は、さらに第2搬送部320において可動台座322をY方向に移動させる図示しない駆動部を有する。これにより、鉛直姿勢で維持されたキャリア9は、第1搬送部310の近傍位置から処理部330の近傍位置まで+Y方向に鉛直姿勢で搬送される。
【0084】
その後、処理部330の近傍位置に到達したキャリア9は、搬送装置321から処理部330の主搬送装置333Cにより受け取られる。主搬送装置333Cにより受け取られたキャリア9は、当該主搬送装置333Cおよび他の主搬送装置333B,333Aにより1または複数の液処理ユニット331のいずれかに搬送され、鉛直姿勢が維持された状態で各種処理液に所定期間浸漬される。これにより、キャリア9内に収容される複数の基板Wに、浸漬された処理液に応じた処理が行われる。図8の吹き出しBA4内に、処理部330の主搬送装置333A,333B,333Cにより搬送されるキャリア9の状態が示される。
【0085】
図8の吹き出しBA4に示すように、各主搬送装置333A,333B,333Cは、可動支持柱333aおよび一対のチャック部材333bを含む。可動支持柱333aは、X方向に移動可能にかつZ方向に移動可能(昇降可能)に複数の液処理ユニット331の側方(+Y方向側)に設けられている。可動支持柱333aの上端部から液処理ユニット331の上方に延びるように一対のチャック部材333bが設けられている。一対のチャック部材333bは、鉛直姿勢のキャリア9を挟んで保持することが可能に構成されている。さらに、各主搬送装置333A,333B,333Cは、一対のチャック部材333bによりキャリア9を保持すること、および一対のチャック部材333bからキャリア9を解放することを切替可能な図示しない駆動部を有する。これにより、複数の主搬送装置333A,333B,333Cと複数の液処理ユニット331との間でキャリア9の受け渡しが行われる。
【0086】
その後、処理液による処理後の複数の基板Wを収容するキャリア9は、さらに中継ブロック200に近接する乾燥ユニット332に搬送される。それにより、キャリア9およびキャリア9内の複数の基板Wが乾燥ユニット332により乾燥される。上記のように、処理ブロック300におけるキャリア9の一連の搬送経路が、図6図8に太い実線の矢印a3で示される。
【0087】
処理済みの複数の基板Wが収容されたキャリア9は、主搬送装置333Aにより乾燥ユニット332から中継ブロック200のキャリア支持部220に搬送され、キャリア支持部220により支持される。この場合のキャリア9の搬送経路が、図6図8に太い点線の矢印a4で示される。
【0088】
そこで、キャリア支持部220に渡されたキャリア9は、キャリア支持部220により姿勢が鉛直姿勢から水平姿勢に変更される。図7の吹き出しBA1内に、キャリア支持部220におけるキャリア9の姿勢変更の状態が模式的に示される。
【0089】
図7の吹き出しBA1に示すように、キャリア支持部220は、中継ブロック200内に固定された固定台座211およびキャリア保持具212を含む。キャリア保持具212は、第1保持部212aおよび第2保持部212bから構成される。第1保持部212aは、水平姿勢にあるときのキャリア9の下端部を保持可能な矩形の平板形状を有する。また、第2保持部212bは、鉛直姿勢にあるときのキャリア9の下端部を保持可能な矩形の平板形状を有する。
【0090】
第1保持部212aおよび第2保持部212bは、第1保持部212aの一辺と第2保持部212bの一辺とが互いに接するようにかつ2つの保持部が互いに直交するように接続されている。固定台座211は、第1保持部212aおよび第2保持部212bがともにY方向に平行となるように、かつキャリア保持具212がY方向に延びる軸の周りで回転可能となるように、キャリア保持具212の一部を保持する。
【0091】
キャリア支持部220は、さらに固定台座211上でキャリア保持具212の回転角度を調整可能な図示しない駆動部を有する。これにより、乾燥ユニット332から鉛直姿勢のキャリア9を受け取る場合に、キャリア保持具212は、第2保持部212bが水平となりかつ第1保持部212aが鉛直となるように回転角度が調整される。その後、キャリア保持具212上に鉛直姿勢のキャリア9が受け取られると、キャリア保持具212は、第2保持部212bが鉛直となりかつ第1保持部212aが水平となるように回転角度が調整される。これにより、キャリア9の姿勢が鉛直姿勢から水平姿勢に変更される。このとき、キャリア9の基板出入口12(図5)は-X方向を向く。
【0092】
複数の基板Wが収容されたキャリア9が水平姿勢でキャリア支持部220に支持される際には、基板搬入搬出ブロック100のオープナ130に、空のフープ8が載置される。また、当該フープ8の蓋が開かれる。この状態で、基板受渡ロボット150により、キャリア9から処理後の複数の基板Wが取り出され、オープナ130上のフープ8に挿入される。この場合の複数の基板Wの搬送経路が、図6図8に太い点線の矢印a5で示される。
【0093】
その後、処理後の複数の基板Wが収容されたフープ8は、蓋が閉じられ、フープ搬送装置112により保持されて、複数のフープ棚110のいずれかに載置される。また、そのフープ8は、フープ搬送装置111によりフープ載置部190に搬送され、基板処理装置1から搬出される。一方、キャリア支持部220において空になったキャリア9は、そのキャリア9の姿勢がキャリア支持部220により水平姿勢から再度鉛直姿勢に変更される。キャリア支持部220において鉛直姿勢に戻された空のキャリア9は、主搬送装置333Aで搬送され、第2待機部240に受け取られる。
【0094】
空のキャリア9は、新たな複数の基板Wに処理を行うために再利用することが好ましい。そこで、第2待機部240により支持された空のキャリア9は、例えば待機搬送装置250により第1待機部230に搬送され、第1待機部230により支持される。さらに、第1待機部230からキャリア支持部210に渡される。このように、中継ブロック200には、使用後のキャリア9を再利用するためのキャリア9の搬送経路が設定されている。第1待機部230から第2待機部240に至るキャリア9の搬送経路(以下、待機搬送経路と呼ぶ。)が、図6に太い二点鎖線の矢印b1で示される。
【0095】
上記のように、使用後の空のキャリア9を再利用する場合、処理対象となる新たな複数の基板Wの清浄度の低下を抑制するために、キャリア9は再利用される前に洗浄されることが好ましい。そこで、本実施の形態においては、第2待機部240によりキャリア支持部220から受け取られた空のキャリア9は、鉛直姿勢が維持されつつ洗浄ブロック400の洗浄搬送装置410によりキャリア洗浄ユニット420に搬送される。換言すれば、使用後の空のキャリア9は、待機搬送経路のうち第2待機部240の部分から拾い上げられる。この場合のキャリア9の搬送経路が、図6に太い一点鎖線の矢印c1で示される。
【0096】
キャリア洗浄ユニット420においては、さらに1または複数のキャリア洗浄槽421、1または複数のキャリア乾燥部422および1または複数のキャリア待機部423の間で洗浄搬送装置410によりキャリア9が搬送される。それにより、使用後のキャリア9に洗浄処理および乾燥処理が行われる。また、洗浄処理後かつ乾燥処理後のキャリア9が、1または複数のキャリア待機部423のいずれかに収容される。各キャリア洗浄槽421、各キャリア乾燥部422および各キャリア待機部423においては、キャリア9の鉛直姿勢が維持される。
【0097】
新たな他のフープ8に収容された未処理の複数の基板Wに一連の処理を行う場合を想定する。この場合、洗浄ブロック400のキャリア待機部423に収容された清浄なキャリア9は、新たなキャリア9として洗浄搬送装置410によりキャリア洗浄ユニット420から第2待機部240に搬送される。換言すれば、洗浄後の空のキャリア9は、新たなキャリア9として待機搬送経路のうち第2待機部240の部分に戻される。この場合の新たなキャリア9の搬送経路が、図6に太い一点鎖線の矢印c2で示される。
【0098】
第2待機部240に渡された新たなキャリア9は、鉛直姿勢が維持されつつ待機搬送経路に沿って待機搬送装置250により第1待機部230に搬送される(上記の図6の太い二点鎖線の矢印b1参照)。また、第1待機部230により支持される。第1待機部230は、当該第1待機部230に支持される新たなキャリア9をキャリア支持部210に渡す。そこで、キャリア支持部210に渡された新たなキャリア9は、未処理の複数の基板Wを受け入れるために、キャリア支持部210により姿勢が鉛直姿勢から水平姿勢に変更される。
【0099】
上記のように、中継ブロック200内の2つのキャリア支持部210,220は同じ構成を有する。それにより、キャリア支持部210においては、図7の吹き出しBA1内に示されるように、新たなキャリア9の姿勢が変更される。その後、新たな他のフープ8に収容された未処理の複数の基板Wが、水平姿勢にある新たなキャリア9内に挿入される。
【0100】
未処理の複数の基板Wが収容された新たなキャリア9は、図6図8に示される一連の矢印a2,a3,a4で示される搬送経路に沿って搬送される。それにより、新たなキャリア9に収容された複数の基板Wに一連の処理が行われる。
【0101】
<4>効果
(1)上記の基板処理装置1においては、空のキャリア9がキャリア支持部210に支持された状態で、搬入されたフープ8内の未処理の複数の基板Wが基板受渡ロボット140により空のキャリア9に挿入される。未処理の複数の基板Wが収容されたキャリア9は、第1待機部230により受け取られる。さらに、そのキャリア9は、処理ブロック300の第1の端部TA1に受け取られる。処理ブロック300においては、キャリア9は、図6の矢印a3の搬送経路上で第1の端部TA1から第3の端部TA3に向かって搬送される。キャリア9が処理ブロック300内を搬送される間に、キャリア9に収容された複数の基板Wには、各種液処理ユニット331および乾燥ユニット332により予め定められた処理が行われる。
【0102】
この場合、処理ブロック300内の複数の搬送装置(311,321,333A,333B,333C)の各々は、複数の基板Wが収容されたキャリア9を搬送することにより、複数の基板Wを一体的に取り扱うことができる。そのため、複数の搬送装置(311,321,333A,333B,333C)の各々は、複数の基板Wを一体的かつ直接的に保持するための煩雑な構成を要しない。
【0103】
処理後の複数の基板Wが収容されたキャリア9は、処理ブロック300の第3の端部TA3から第2待機部240に渡され、第2待機部240に支持される。さらに、処理後の複数の基板Wが収容されたキャリア9は、キャリア支持部220に渡され、支持される。空のフープ8がオープナ130に載置された状態で、処理後の複数の基板Wは、基板受渡ロボット150によりキャリア9から取り出され、空のフープ8に挿入される。
【0104】
処理後の複数の基板Wが取り出された空のキャリア9は、例えば、図6の矢印b1の搬送経路(待機搬送経路)に沿って第2待機部240から第1待機部230に搬送される。それにより、キャリア9の再利用が可能である。
【0105】
ここで、上記の基板処理装置1は、洗浄ブロック400を備える。洗浄ブロック400の洗浄搬送装置410は、待機搬送経路上の空のキャリア9を、当該待機搬送経路から拾い上げ、キャリア洗浄ユニット420に搬送する。キャリア洗浄ユニット420においては、使用後の空のキャリア9が洗浄される。また、洗浄された空のキャリア9は、再度待機搬送経路に戻される。待機搬送経路に戻されたキャリア9は、当該待機搬送経路に沿って第1待機部230に搬送される。この場合、第1待機部230に搬送された洗浄後の空のキャリア9を、未処理の複数の基板Wを挿入するために用いることができる。
【0106】
上記のように、本実施の形態に係る基板処理装置1においては、キャリア9を再利用することができるので、多数のキャリア9を用意する必要がない。また、再利用されるキャリア9を洗浄することができるので、キャリア9を再利用することに起因する複数の基板Wの汚染が防止される。これらの結果、複数の基板Wが汚染することを防止しつつ、複数の搬送装置(311,321,333A,333B,333C)の構成の複雑化および部品点数の増加を抑制することが可能になる。
【0107】
さらに、上記の基板処理装置1によれば、複数の基板Wの処理に用いられるキャリア9を、複数の基板Wの処理に使用されるごとに洗浄することができる。それにより、複数の基板Wの処理ごとに、キャリア9の表面状態がリセットされるので、汚染または腐食等によるキャリア9の劣化を抑制することも可能である。
【0108】
(2)上記のように、キャリア洗浄ユニット420は、1または複数のキャリア洗浄槽421および洗浄搬送装置410を含む。1または複数のキャリア洗浄槽421の各々には、処理液が貯留されている。洗浄搬送装置410は、キャリア9を各キャリア洗浄槽421内の処理液に浸漬することおよびキャリア9を各キャリア洗浄槽421内から引き上げることが可能に構成されている。これにより、キャリア洗浄ユニット420においては、簡単な構成および簡単な方法でキャリア9を洗浄することが可能となっている。
【0109】
(3)キャリア洗浄ユニット420は、1または複数のキャリア乾燥部422を含む。これにより、キャリア洗浄槽421による洗浄後のキャリア9を、1または複数のキャリア乾燥部422により乾燥させることができる。それにより、洗浄後のキャリア9に塵埃が付着しにくくなる。したがって、洗浄後のキャリア9の清浄度の低下が抑制される。
【0110】
(4)キャリア洗浄ユニット420は、1または複数のキャリア待機部423を含む。これにより、洗浄後のキャリア9をキャリア洗浄ユニット420内に待機させることができる。したがって、洗浄後のキャリア9を適切なタイミングで待機搬送経路に戻すことができる。
【0111】
(5)上記の基板処理装置1においては、洗浄搬送装置410は、使用後の空のキャリア9を第2待機部240から拾い上げる。この場合、第2待機部240は、待機搬送経路の始点に位置するので、使用後のキャリア9が、洗浄されていない状態で待機搬送経路の広い範囲に渡って搬送されることが防止される。したがって、待機搬送経路の汚染が抑制される。
【0112】
<5>他の実施の形態
(1)上記実施の形態に係る基板処理装置1においては、キャリア洗浄ユニット420が、基板搬入搬出ブロック100および中継ブロック200の側方(+Y方向)の位置に設けられている。また、洗浄搬送装置410は、待機搬送経路のうち第2待機部240の部分から使用後のキャリア9を拾い上げ、第2待機部240の部分に洗浄後のキャリア9を戻す。しかしながら、本発明に係る基板処理装置1においては、キャリア洗浄ユニット420の配置は、上記の例に限定されない。また、待機搬送経路のうちキャリア9が拾い上げられる部分、および待機搬送経路のうちキャリア9が戻される部分は、上記の例に限定されない。
【0113】
図9は、他の実施の形態に係る基板処理装置1の基本構成を示す模式的平面図である。図10は、図9の基板処理装置1の模式的一方側面図である。図9および図10には、上記実施の形態に係る基板処理装置1の各図の例と同様に、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印が付されている。図10の模式的一方側面図は、図9の基板処理装置1を+Y方向に見た模式的一方側面図である。他の実施の形態に係る基板処理装置1のうち上記実施の形態に係る基板処理装置1と異なる点を説明する。
【0114】
本実施の形態に係る基板処理装置1においては、キャリア洗浄ユニット420が、基板搬入搬出ブロック100および中継ブロック200の側方(+Y方向)の位置に代えて処理ブロック300の第1搬送部310の下方の位置に設けられている。そのため、本例のキャリア洗浄ユニット420は、平面視で第1搬送部310に重なる。図9では、キャリア洗浄ユニット420の配置が理解しやすいように、処理ブロック300の第1搬送部310が点線で示される。
【0115】
また、本例のキャリア洗浄ユニット420は、中継ブロック200の第1待機部230に対して+X方向に隣り合うように配置されている。さらに、本例のキャリア洗浄ユニット420は、1または複数(本例では2個)のキャリア洗浄槽421、1または複数(本例では1個)のキャリア乾燥部422および1または複数(本例では2個)のキャリア待機部423を含む。1または複数のキャリア洗浄槽421、1または複数のキャリア乾燥部422および1または複数のキャリア待機部423は、中継ブロック200の第1待機部230から+X方向に並んでいる。
【0116】
キャリア洗浄ユニット420に付随して、洗浄搬送装置410が設けられている。洗浄搬送装置410は、X方向およびZ方向に移動することにより、第1待機部230、1または複数のキャリア洗浄槽421、1または複数のキャリア乾燥部422および1または複数のキャリア待機部423の間で基板Wを搬送することが可能である。
【0117】
この基板処理装置1においては、第2待機部240に支持される使用後のキャリア9は、待機搬送装置250により待機搬送経路に沿って第1待機部230に搬送される(図9の太い二点鎖線の矢印b1参照)。その後、第1待機部230により支持される空のキャリア9は、鉛直姿勢が維持されつつ洗浄搬送装置410によりキャリア洗浄ユニット420に搬送される。換言すれば、使用後の空のキャリア9は、待機搬送経路のうち第1待機部230の部分から拾い上げられ、キャリア洗浄ユニット420に搬送される。この場合のキャリア9の搬送経路が、図9および図10に太い一点鎖線の矢印d1で示される。
【0118】
キャリア洗浄ユニット420においては、上記実施の形態と同様に、使用後のキャリア9について、洗浄処理および乾燥処理が行われる。洗浄処理後および乾燥処理後のキャリア9は、1または複数のキャリア待機部423に保持され、待機状態となる。
【0119】
ここで、新たな他のフープ8に収容された未処理の複数の基板Wに一連の処理を行う場合を想定する。この場合、キャリア待機部423に保持された清浄なキャリア9は、新たなキャリア9として洗浄搬送装置410により第1待機部230に搬送される。換言すれば、洗浄後の空のキャリア9は、新たなキャリア9として待機搬送経路のうち第1待機部230の部分に戻される。この新たなキャリア9の搬送経路が、図9および図10に太い一点鎖線の矢印d2で示される。
【0120】
上記のように、図9および図10の基板処理装置1においても、複数の基板Wの処理にキャリア9が用いられるとともに、キャリア9が再利用される。さらに、使用後のキャリア9が洗浄される。したがって、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0121】
図9および図10の基板処理装置1においては、洗浄搬送装置410は、使用後の空のキャリア9を第1待機部230から拾い上げる。この場合、第1待機部230が待機搬送経路の終点に位置するので、洗浄後のキャリア9は待機搬送経路の広い範囲に渡って搬送されない。したがって、洗浄後のキャリア9の清浄度を低下させることなく、当該キャリア9に、未処理の複数の基板Wを収容させることができる。
【0122】
(2)キャリア洗浄ユニット420は、さらに図1および図9の基板処理装置1の例とは異なる部分に設けられてもよい。図11は、さらに他の実施の形態に係る基板処理装置1の基本構成を示す模式的平面図である。図11には、上記実施の形態に係る基板処理装置1の各図の例と同様に、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印が付されている。図11の基板処理装置1のうち上記実施の形態に係る基板処理装置1と異なる点を説明する。
【0123】
本例のキャリア洗浄ユニット420は、基板搬入搬出ブロック100および中継ブロック200の内部でX方向に延びるように設けられ、洗浄搬送装置410、1または複数(本例では2個)のキャリア洗浄槽421、1または複数(本例では1個)のキャリア乾燥部422および1または複数(本例では1個)のキャリア待機部423を含む。1または複数のキャリア洗浄槽421、1または複数のキャリア乾燥部422および1または複数のキャリア待機部423は、中継ブロック200内の待機搬送経路から-X方向に並んでいる。
【0124】
キャリア洗浄ユニット420に付随して、洗浄搬送装置410が設けられている。洗浄搬送装置410は、X方向およびZ方向に移動することにより、待機搬送経路、1または複数ののキャリア洗浄槽421、1または複数のキャリア乾燥部422および1または複数のキャリア待機部423の間で基板Wを搬送することが可能である。
【0125】
この基板処理装置1においては、待機搬送経路に沿って第2待機部240から第1待機部230に搬送される途中の空のキャリア9が洗浄搬送装置410により拾い上げられ、キャリア洗浄ユニット420に搬送される。この場合のキャリア9の搬送経路が、図11に太い一点鎖線の矢印e1で示される。
【0126】
また、キャリア洗浄ユニット420による洗浄後のキャリア9が洗浄搬送装置410により待機搬送経路に戻される。この場合のキャリア9の搬送経路が、図11に太い一点鎖線の矢印e2で示される。待機搬送経路に戻されたキャリア9が第1待機部230に搬送されることにより、当該清浄なキャリア9を新たな複数の基板Wの処理に用いることができる。
【0127】
(3)上記実施の形態に係る洗浄ブロック400においては、1または複数のキャリア洗浄槽421には、キャリア9を処理液に浸漬させること、およびキャリア9を処理液から引き上げることが可能なリフタが設けられてもよい。この場合、キャリア洗浄ユニット420は、処理ブロック300の処理部330と同様に、複数のキャリア洗浄槽421に対してキャリア9の昇降が可能なリフタを備えてもよい。また、キャリア洗浄ユニット420は、複数のリフタの間でキャリア9を受け渡す主搬送装置を備えてもよい。
【0128】
(4)上記実施の形態に係る基板処理装置1においては、鉛直姿勢にあるキャリア9のフレーム部材10a,10bは鉛直方向に平行に維持されるとしているが、鉛直姿勢にあるキャリア9のフレーム部材10a,10bは鉛直方向に対して略平行に維持されてもよい。すなわち、鉛直姿勢にあるキャリア9は、収容される複数の基板Wを鉛直方向に平行となるようにまたは略平行となるように保持できればよい。
【0129】
また、上記実施の形態に係る基板処理装置1においては、水平姿勢にあるキャリア9のフレーム部材10a,10bは鉛直方向に直交するように維持されるとしているが、水平姿勢にあるキャリア9のフレーム部材10a,10bは鉛直方向に対して略直交するように維持されてもよい。すなわち、水平姿勢にあるキャリア9は、収容される複数の基板Wを水平方向に平行または略平行となるようにに保持できればよい。
【0130】
(5)上記実施の形態に係る基板処理装置1においては、中継ブロック200でキャリア支持部210と第1待機部230とが個別に設けられているが、本発明はこれに限定されない。第1待機部230にキャリア9の姿勢変更の機能を付加することが可能である場合、キャリア支持部210は設けられなくてもよい。
【0131】
また、上記実施の形態に係る基板処理装置1においては、中継ブロック200でキャリア支持部220と第2待機部240とが個別に設けられているが、本発明はこれに限定されない。第2待機部240にキャリア9の姿勢変更の機能を付加することが可能である場合、キャリア支持部220は設けられなくてもよい。
【0132】
(6)上記実施の形態に係る処理ブロック300の第2搬送部320においては、搬送装置321はキャリア9の姿勢変更の機能を有するとともにキャリア9の搬送の機能を有するが、本発明はこれに限定されない。第2搬送部320においては、上記の搬送装置321に代えて、キャリア9の姿勢変更の機能を有する構成要素と、キャリア9の搬送の機能を有する構成要素とが個別に設けられてもよい。
【0133】
(7)上記実施の形態に係る基板処理装置1においては、処理対象となる基板Wが平面視で矩形状を有するが、処理対象となる基板は、平面視で円形状を有してもよいし、平面視で三角形または五角形等の四角形以外の多角形状を有してもよい。
【0134】
(8)上記実施の形態に係るキャリア9は、水平姿勢で矩形の基板Wが収容された場合に矩形の基板Wの両側部を支持するが、本発明はこれに限定されない。キャリア9は、水平姿勢で基板Wの中央部を支持可能に構成されてもよい。
【0135】
(9)上記実施の形態に係る基板処理装置1においては、処理部330の複数の処理槽331aには、基板Wを洗浄するための処理液が貯留されるとしているが、本発明はこれに限定されない。処理部330の複数の処理槽331aの少なくとも一部には、基板Wにめっき処理を行うためのめっき液、または基板Wの表面状態を改質させるための液体等が、処理液として貯留されてもよい。このように、上記実施の形態は、本発明を複数の基板Wの洗浄処理に適用した例であるが、これに限らず、複数の基板Wのめっき処理または表面改質処理等の他の処理に本発明を適用してもよい。
【0136】
(10)上記実施の形態に係る基板処理装置1においては、洗浄ブロック400が第2待機部240から第1待機部230までの待機搬送経路から空のキャリア9を取り上げ、洗浄し、再度待機搬送経路に戻すが、本発明はこれに限定されない。洗浄ブロック400は、第2待機部240から第1待機部230までの待機搬送経路の一部を構成してもよい。
【0137】
具体的には、洗浄ブロック400は、例えば洗浄搬送装置410により第2待機部240から洗浄前の空のキャリア9を受け取り、キャリア洗浄ユニット420により洗浄し、洗浄後のキャリア9を第1待機部230に渡してもよい。あるいは、洗浄ブロック400は、例えば洗浄搬送装置410により第2待機部240と第1待機部230との間の位置から洗浄前の空のキャリア9を受け取り、キャリア洗浄ユニット420により洗浄し、洗浄後のキャリア9を第1待機部230に渡してもよい。
【0138】
これらの場合、洗浄ブロック400は、さらに洗浄前のキャリア9を受け取るための搬送装置と、洗浄後のキャリア9を渡すための搬送装置とを個別に備えてもよい。これにより、洗浄前のキャリア9を搬送するための構成と洗浄後のキャリア9を搬送するための構成とを共通に使用しないことにより、キャリア9とキャリア9を搬送するための構成との間の汚染物質の転写が防止される。その結果、中継ブロック200および洗浄ブロック400におけるキャリア9の清浄度の低下が抑制される。
【0139】
(11)上記実施の形態に係るキャリア9においては、フレーム部材10a,10bの各々の中央部分に4個の開口部13が形成されているが、本発明はこれに限定されない。フレーム部材10a,10bの各々の中央部分には、4個に限らず、1個、2個、3個または5個等の他の個数の開口部13が形成されてもよい。あるいは、フレーム部材10a,10bの各々の中央部分には、開口部13が形成されなくてもよい。さらに、フレーム部材10a,10bの形状は適宜設計変更してもよい。
【0140】
(12)上記実施の形態に係る主搬送装置333A,333B,333Cの各々においては、一対のチャック部材333bはX方向においてキャリア9を挟み込むことにより当該キャリア9を保持するが、本発明はこれに限定されない。一対のチャック部材333bはY方向においてキャリア9を挟み込むことにより当該キャリア9を保持してもよいし、水平面内でX方向およびY方向に交差する方向においてキャリア9を挟み込むことにより当該キャリア9を保持してもよい。
【0141】
<6>請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0142】
上記実施の形態においては、基板処理装置1が基板処理装置の例であり、キャリア9がキャリアの例であり、図6の矢印a3で示されるキャリア9の搬送経路が第1の搬送経路の例であり、第1搬送部310の第1の端部TA1が第1の搬送経路の始点の例であり、処理部330の第3の端部TA3が第1の搬送経路の終点の例であり、処理ブロック300の主搬送装置311,333A,333B,333Cおよび搬送装置321を含む構成要素群が搬送機構の例である。
【0143】
また、処理部330の複数の液処理ユニット331が処理ユニットの例であり、基板受渡ロボット140が基板挿入部の例であり、第1待機部230が第1の待機部の例であり、第2待機部240が第2の待機部の例であり、基板受渡ロボット150が基板取り出し部の例であり、洗浄ブロック400およびキャリア洗浄ユニット420がキャリア洗浄部の例である。
【0144】
また、図6の矢印b1で示されるキャリア9の待機搬送経路が第2の搬送経路の例であり、キャリア洗浄槽421が洗浄槽の例であり、洗浄搬送装置410がキャリア搬送装置の例であり、キャリア乾燥部422がキャリア乾燥部の例であり、キャリア待機部423がキャリア待機部の例である。
【符号の説明】
【0145】
1…基板処理装置,8…フープ,9…キャリア,10a,10b,10c,10d…フレーム部材,11…支持片,12…基板出入口,13…開口部,100…基板搬入搬出ブロック,101…端面部,102…一方側面部,103…他方側面部,110…フープ棚,111,112…フープ搬送装置,120,130…オープナ,140,150…基板受渡ロボット,160…制御部,190…フープ載置部,200…中継ブロック,210,220…キャリア支持部,211…固定台座,212,323…キャリア保持具,212a,323a…第1保持部,212b,323b…第2保持部,230…第1待機部,240…第2待機部,250…待機搬送装置,300…処理ブロック,310…第1搬送部,311,333A,333B,333C…主搬送装置,311a…可動ステージ,311b…ガイドレール,312A,312B…副搬送装置,320…第2搬送部,321…搬送装置,322…可動台座,330…処理部,331…液処理ユニット,331a…処理槽,331b…リフタ,332…乾燥ユニット,333a…可動支持柱,333b…チャック部材,400…洗浄ブロック,410…洗浄搬送装置,420…キャリア洗浄ユニット,421…キャリア洗浄槽,422…キャリア乾燥部,423…キャリア待機部,BA1,BA2,BA3,BA4…吹き出し,MS1,MS2…メンテナンス空間,TA1…第1の端部,TA2…第2の端部,TA3…第3の端部,TA4…第4の端部,W…基板,WP…作業者,pr…突出部
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11