(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142041
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】設定装置、プログラム、環境形成装置、及び設定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 17/00 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G01N17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048705
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100136353
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 建吾
(72)【発明者】
【氏名】松隈 修
(72)【発明者】
【氏名】門脇 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】岡澤 崇司
(72)【発明者】
【氏名】角 裕輝
(72)【発明者】
【氏名】有賀 美由紀
【テーマコード(参考)】
2G050
【Fターム(参考)】
2G050BA06
2G050BA10
2G050EA01
2G050EA02
(57)【要約】
【課題】オペレータによるデータ入力作業の作業効率を向上することが可能な設定装置を得る。
【解決手段】設定装置は、環境形成装置の運転を制御するための運転制御情報を設定する設定装置であって、前記環境形成装置が形成する環境条件を設定するための環境設定情報と、前記環境条件を負荷される対象物と外部制御装置との接続条件を設定するための接続設定情報とを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記環境設定情報と前記接続設定情報とに基づいて、前記運転制御情報を生成する処理部と、前記処理部が生成した前記運転制御情報を出力する出力部と、を備え、前記処理部は、前記環境条件の設定とは独立して前記接続条件を設定可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境形成装置の運転を制御するための運転制御情報を設定する設定装置であって、
前記環境形成装置が形成する環境条件を設定するための環境設定情報と、前記環境条件を負荷される対象物と外部制御装置との接続条件を設定するための接続設定情報とを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記環境設定情報と前記接続設定情報とに基づいて、前記運転制御情報を生成する処理部と、
前記処理部が生成した前記運転制御情報を出力する出力部と、
を備え、
前記処理部は、前記環境条件の設定とは独立して前記接続条件を設定可能である、設定装置。
【請求項2】
前記処理部は、一つの前記環境条件に対して前記接続条件を変化させて設定可能である、請求項1に記載の設定装置。
【請求項3】
前記接続設定情報は、前記対象物と前記外部制御装置とを接続する導通期間の設定情報と、前記対象物と前記外部制御装置とを接続しない遮断期間の設定情報とを含む、請求項1に記載の設定装置。
【請求項4】
前記接続設定情報は、前記導通期間と前記遮断期間との繰り返しの設定情報をさらに含む、請求項3に記載の設定装置。
【請求項5】
前記接続設定情報は、前記対象物と前記外部制御装置との接続制御が終了した後の接続条件を含む、請求項1~4のいずれか一つに記載の設定装置。
【請求項6】
環境形成装置の運転を制御するための運転制御情報を設定する設定装置に搭載されるプロセッサに、
前記環境形成装置が形成する環境条件を設定するための環境設定情報と、前記環境条件を負荷される対象物と外部制御装置との接続条件を設定するための接続設定情報とを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記環境設定情報と前記接続設定情報とに基づいて、前記運転制御情報を生成する処理ステップと、
前記処理ステップで生成した前記運転制御情報を出力する出力ステップと、
を実行させ、
前記処理ステップでは、前記環境条件の設定とは独立して前記接続条件を設定可能である、プログラム。
【請求項7】
対象物を収容する収容部と、
前記収容部内の環境を制御する環境制御部と、
を備える環境形成装置であって、
前記環境形成装置の運転を制御するための運転制御情報を設定する設定部をさらに備え、
前記設定部は、
前記環境形成装置が形成する環境条件を設定するための環境設定情報と、前記対象物と外部制御装置との接続条件を設定するための接続設定情報とを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記環境設定情報と前記接続設定情報とに基づいて、前記運転制御情報を生成する処理部と、
前記処理部が生成した前記運転制御情報を出力する出力部と、
を有し、
前記処理部は、前記環境条件の設定とは独立して前記接続条件を設定可能である、環境形成装置。
【請求項8】
環境形成装置の運転を制御するための運転制御情報を設定する設定方法であって、
前記環境形成装置が形成する環境条件を設定するための環境設定情報と、前記環境条件を負荷される対象物と外部制御装置との接続条件を設定するための接続設定情報とを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記環境設定情報と前記接続設定情報とに基づいて、前記運転制御情報を生成する処理ステップと、
前記処理ステップで生成した前記運転制御情報を出力する出力ステップと、
を備え、
前記処理ステップでは、前記環境条件の設定とは独立して前記接続条件を設定可能である、設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定装置、プログラム、環境形成装置、及び設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術に係る設定装置が、例えば下記特許文献1に開示されている。オペレータは、操作端末の表示部に表示された設定画面へのデータ入力によって、プログラム運転の各試験ステップに関する環境条件(温度又は湿度等)を設定する。設定装置は、操作端末から取得した環境条件に基づいて、プログラム運転を制御するための運転制御情報を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
環境試験においては、試験対象物への電流印加等のために、電源装置等の外部制御装置が環境試験装置に接続される場合がある。この場合、オペレータは、上記の環境条件とともに、外部制御装置と試験対象物との接続条件を、操作端末へのデータ入力によって設定する。接続条件としては、外部制御装置と試験対象物との間のリレーのオン又はオフが設定される。
【0005】
従来の設定装置では、各試験ステップに対して接続条件をオン及びオフの一方にしか設定できない。従って、試験対象物への電流印加のオン又はオフを短時間で繰り返すような試験を実行する場合には、たとえ環境条件が一定であったとしても、電流印加のオン又はオフの切り替えに合わせて試験ステップを細かく区切る必要がある。その結果、試験ステップ数の増大に起因してオペレータによるデータ入力作業が煩雑となり、作業効率が低下する。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、オペレータによるデータ入力作業の作業効率を向上することが可能な、設定装置、プログラム、環境形成装置、及び設定方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る設定装置は、環境形成装置の運転を制御するための運転制御情報を設定する設定装置であって、前記環境形成装置が形成する環境条件を設定するための環境設定情報と、前記環境条件を負荷される対象物と外部制御装置との接続条件を設定するための接続設定情報とを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記環境設定情報と前記接続設定情報とに基づいて、前記運転制御情報を生成する処理部と、前記処理部が生成した前記運転制御情報を出力する出力部と、を備え、前記処理部は、前記環境条件の設定とは独立して前記接続条件を設定可能である。
【0008】
本態様によれば、処理部は、環境条件の設定とは独立して接続条件を設定可能である。そのため、複数の試験ステップを有するプログラム運転においては、環境条件の変更に合わせて試験ステップを区切れば良く、接続条件の切り替えに合わせて試験ステップを細かく区切る必要がないため、オペレータによるデータ入力作業の効率化を図ることができる。また、環境条件の環境値が一定である定値運転においては、環境条件とは独立した接続条件の設定により、試験対象物への電流印加のオン又はオフ等を任意に切り替えることが可能であるため、細密な環境試験を行うことができる。
【0009】
上記態様において、前記処理部は、一つの前記環境条件に対して前記接続条件を変化させて設定可能である。
【0010】
本態様によれば、プログラム運転においては一つの試験ステップに対して接続条件を変化させて設定でき、定値運転においては一定の環境値に対して接続条件を変化させて設定できるため、細密な環境試験を行うことが可能となる。
【0011】
上記態様において、前記接続設定情報は、前記対象物と前記外部制御装置とを接続する導通期間の設定情報と、前記対象物と前記外部制御装置とを接続しない遮断期間の設定情報とを含む。
【0012】
本態様によれば、対象物と外部制御装置との導通期間又は遮断期間を、接続設定情報によって任意に設定することが可能となる。
【0013】
上記態様において、前記接続設定情報は、前記導通期間と前記遮断期間との繰り返しの設定情報をさらに含む。
【0014】
本態様によれば、導通期間と遮断期間との繰り返しの回数等を、接続設定情報によって任意に設定することが可能となる。
【0015】
上記態様において、前記接続設定情報は、前記対象物と前記外部制御装置との接続制御が終了した後の接続条件を含む。
【0016】
本態様によれば、環境形成装置と外部制御装置との接続制御が終了した後の接続条件を、接続設定情報によって任意に設定することが可能となる。
【0017】
本発明の一態様に係るプログラムは、環境形成装置の運転を制御するための運転制御情報を設定する設定装置に搭載されるプロセッサに、前記環境形成装置が形成する環境条件を設定するための環境設定情報と、前記環境条件を負荷される対象物と外部制御装置との接続条件を設定するための接続設定情報とを取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得した前記環境設定情報と前記接続設定情報とに基づいて、前記運転制御情報を生成する処理ステップと、前記処理ステップで生成した前記運転制御情報を出力する出力ステップと、を実行させ、前記処理ステップでは、前記環境条件の設定とは独立して前記接続条件を設定可能である。
【0018】
本態様によれば、処理ステップでは、環境条件の設定とは独立して接続条件を設定可能である。そのため、複数の試験ステップを有するプログラム運転においては、環境条件の変更に合わせて試験ステップを区切れば良く、接続条件の切り替えに合わせて試験ステップを細かく区切る必要がないため、オペレータによるデータ入力作業の効率化を図ることができる。また、環境条件の環境値が一定である定値運転においては、環境条件とは独立した接続条件の設定により、試験対象物への電流印加のオン又はオフ等を任意に切り替えることが可能であるため、細密な環境試験を行うことができる。
【0019】
本発明の一態様に係る環境形成装置は、対象物を収容する収容部と、前記収容部内の環境を制御する環境制御部と、を備える環境形成装置であって、前記環境形成装置の運転を制御するための運転制御情報を設定する設定部をさらに備え、前記設定部は、前記環境形成装置が形成する環境条件を設定するための環境設定情報と、前記対象物と外部制御装置との接続条件を設定するための接続設定情報とを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記環境設定情報と前記接続設定情報とに基づいて、前記運転制御情報を生成する処理部と、前記処理部が生成した前記運転制御情報を出力する出力部と、を有し、前記処理部は、前記環境条件の設定とは独立して前記接続条件を設定可能である。
【0020】
本態様によれば、処理部は、環境条件の設定とは独立して接続条件を設定可能である。そのため、複数の試験ステップを有するプログラム運転においては、環境条件の変更に合わせて試験ステップを区切れば良く、接続条件の切り替えに合わせて試験ステップを細かく区切る必要がないため、オペレータによるデータ入力作業の効率化を図ることができる。また、環境条件の環境値が一定である定値運転においては、環境条件とは独立した接続条件の設定により、試験対象物への電流印加のオン又はオフ等を任意に切り替えることが可能であるため、細密な環境試験を行うことができる。
【0021】
本開示の一態様に係る設定方法は、環境形成装置の運転を制御するための運転制御情報を設定する設定方法であって、前記環境形成装置が形成する環境条件を設定するための環境設定情報と、前記環境条件を負荷される対象物と外部制御装置との接続条件を設定するための接続設定情報とを取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得した前記環境設定情報と前記接続設定情報とに基づいて、前記運転制御情報を生成する処理ステップと、前記処理ステップで生成した前記運転制御情報を出力する出力ステップと、を備え、前記処理ステップでは、前記環境条件の設定とは独立して前記接続条件を設定可能である。
【0022】
本態様によれば、処理ステップでは、環境条件の設定とは独立して接続条件を設定可能である。そのため、複数の試験ステップを有するプログラム運転においては、環境条件の変更に合わせて試験ステップを区切れば良く、接続条件の切り替えに合わせて試験ステップを細かく区切る必要がないため、オペレータによるデータ入力作業の効率化を図ることができる。また、環境条件の環境値が一定である定値運転においては、環境条件とは独立した接続条件の設定により、試験対象物への電流印加のオン又はオフ等を任意に切り替えることが可能であるため、細密な環境試験を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、オペレータによるデータ入力作業の作業効率を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係る環境試験システムの全体構成を示す図である。
【
図3】データ処理部が実行する設定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】環境条件の入力画面の一例を簡略化して示す図である。
【
図5】接続条件の入力画面の一例を簡略化して示す図である。
【
図6】データ入力された入力画面の一例を簡略化して示す図である。
【
図7】接続条件の入力画面の一例を簡略化して示す図である。
【
図8】操作端末の表示部に表示される設定画面の一例を簡略化して示す図である。
【
図9】第1の変形例に係る環境試験装置の構成を示す図である。
【
図10】第2の変形例に係る環境試験装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る環境試験システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、環境試験システムは、設定装置1、環境試験装置2、外部制御装置3、操作端末4、及び通信ネットワーク5を備えている。
【0027】
通信ネットワーク5は、IP等の任意の通信方式に対応した、インターネット又はイントラネット等の任意の通信網である。
【0028】
設定装置1は、通信ネットワーク5に接続されたサーバ装置等である。
【0029】
環境試験装置2は、環境形成装置の一例であり、本実施形態の例では、通信ネットワーク5に接続された温湿度試験装置である。温湿度試験装置は、対象物Wに対して温度ストレス及び湿度ストレスを印加することによって、対象物Wの性能等を評価する。但し、環境形成装置は熱処理装置等であっても良い。
【0030】
環境試験装置2は、制御部11、環境制御部12、収容部13、及び接続部14を有している。制御部11は、CPU等のプロセッサを用いて構成される。環境制御部12は、加熱装置、冷却装置、加湿装置、及び除湿装置等を用いて構成される。収容部13は、断熱性の筐体によって囲まれたチャンバであり、内部に対象物Wが収容される。接続部14は、制御部11によってオン又はオフが制御されるリレーを用いて構成される。対象物Wは、例えば、回路基板等の電子部品である。なお、接続部14は、環境試験装置2の一部として構成されずに、環境試験装置2と外部制御装置3との間に配置されても良い。
【0031】
外部制御装置3は、対象物Wを外部から制御する制御装置であり、本実施形態の例では、対象物Wへ電流印加を行うための電源装置である。外部制御装置3は、接続部14が有するリレーを介して、対象物Wに外部接続される。制御部11は、リレーをオンすることによって外部制御装置3と対象物Wとを接続し(つまり導通状態とし)、リレーをオフすることによって外部制御装置3と対象物Wとの接続を解除する(つまり遮断状態とする)。
【0032】
操作端末4は、通信ネットワーク5に接続されたパーソナルコンピュータ等である。操作端末4は、キーボード又はマウス等の入力部21と、CPU等の処理部22と、液晶ディスプレイ等の表示部23とを有している。
【0033】
図2は、設定装置1の構成を示す図である。
図2に示すように、設定装置1は、バスを介して相互に接続された、データ処理部31、データ通信部32、及びデータ記憶部33を有している。データ処理部31は、CPU等のプロセッサを用いて構成される。データ通信部32は、IP等の通信ネットワーク5の通信方式に対応した通信モジュールを用いて構成される。データ記憶部33は、HDD、SSD、又は半導体メモリ等の、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体を用いて構成される。データ記憶部33には、プログラム50が記憶されている。データ記憶部33から読み出したプログラム50をCPUが実行することによって実現される機能として、データ処理部31は、取得部41、処理部42、及び出力部43を有している。
【0034】
図3は、データ処理部31が実行する設定処理の流れを示すフローチャートである。
【0035】
まず、ステップSP11において、取得部41は、環境設定情報及び接続設定情報を取得する。環境設定情報は、環境試験装置2が環境制御部12によって収容部13内に形成する環境条件を設定するための情報である。環境条件は、本実施形態の例では温度条件及び湿度条件である。接続設定情報は、対象物Wと外部制御装置3との接続条件を設定するための情報である。接続条件は、対象物Wと外部制御装置3との間のリレーのオン又はオフの設定情報である。後述するように、環境設定情報及び接続設定情報は、オペレータによる入力部21を用いたデータ入力によって操作端末4に入力され、操作端末4から通信ネットワーク5を介して設定装置1に送信される。取得部41は、データ通信部32が操作端末4から受信した環境設定情報及び接続設定情報を、データ通信部32から取得する。
【0036】
次に、ステップSP12において、処理部42は、取得部41がステップSP11で取得した環境設定情報及び接続設定情報に基づいて、環境試験装置2の運転を制御するための運転制御情報を生成する。後述する入力画面61内の確定ボタンがオペレータによって押下されると、その旨の操作情報が操作端末4から設定装置1に送信される。処理部42は、取得部41が当該操作情報を取得したことにより、編集中の入力画面61の設定内容を確定させることによって運転制御情報を生成する。環境試験装置2は、複数の試験ステップを有するプログラム運転を実行可能である。プログラム運転においては、各試験ステップに関して設定された環境条件と、環境条件の設定とは独立して設定された接続条件とが、運転制御情報に含まれる。また、環境試験装置2は、環境条件の環境値が一定である定値運転を実行可能である。定値運転においては、環境値が一定である環境条件と、環境条件の設定とは独立して設定された接続条件とが、運転制御情報に含まれる。ここで、「独立して設定可能」とは、一つの環境条件に対してリレーのオン又はオフを複数設定可能、つまり、一つの環境条件に対して接続条件を変化させて設定可能という意味である。なお、オペレータによる全ての操作が完了した後に運転制御情報の生成を行う処理手順(ステップSP11の後にステップSP12が一度だけ実行される)に代えて、オペレータによって操作がなされる度にその操作内容を運転制御情報に逐次反映させる処理手順(ステップSP11とステップSP12とが交互に繰り返し実行される)であっても良い。後述する第1及び第2の変形例についても同様である。
【0037】
次に、ステップSP13において、出力部43は、処理部42がステップSP12で生成した運転制御情報を出力する。出力部43から出力された運転制御情報は、データ通信部32から通信ネットワーク5を介して環境試験装置2に送信される。制御部11は、受信した運転制御情報に基づいて、環境制御部12及び上記リレーの動作を制御する。
【0038】
図4は、環境条件の入力画面61の一例を簡略化して示す図である。
図4には、プログラム運転における入力画面61の例を示している。入力画面61の画像データは、設定装置1から通信ネットワーク5を介して操作端末4に送信され、入力画面61は、操作端末4の表示部23に表示される。オペレータは、入力部21のキーボード操作又はマウス操作等によって、入力画面61へのデータ入力を行う。
【0039】
入力欄71には、プログラム運転を構成する複数の試験ステップのうち、設定対象である試験ステップの番号が入力される。
【0040】
入力欄72には、当該試験ステップにおける温度の設定値が入力される。
【0041】
選択欄73では、当該試験ステップにおける温度勾配制御の有無が選択される。
【0042】
入力欄74には、温度勾配制御を行う場合の温度変化率の設定値が入力される。
【0043】
入力欄75には、当該試験ステップにおける湿度の設定値が入力される。
【0044】
選択欄76では、当該試験ステップにおける湿度勾配制御の有無が選択される。
【0045】
選択欄77では、当該試験ステップにおける湿度制御の有無が選択される。
【0046】
選択欄78では、当該試験ステップにおけるさらし時間制御の有無が選択される。
【0047】
入力欄79には、当該試験ステップにおける試験時間の設定値が入力される。
【0048】
「ステップ詳細」と表示されたアイコン80は、当該試験ステップにおける詳細項目を設定する際にクリック操作等によって選択される。当該試験ステップに関して後述する接続条件の入力画面62を呼び出す際も、アイコン80が選択される。
【0049】
設定値表示欄81~83には、連続する3つの試験ステップの各々に関する、設定済みの代表的な設定値が表示される。
【0050】
グラフ表示欄84には、設定された環境条件に対応する環境値の推移を表すグラフが表示される。
【0051】
図5は、プログラム運転における接続条件の入力画面62の一例を簡略化して示す図である。オペレータは、入力画面61のアイコン80を選択することによって、入力画面62を呼び出すことができる。入力画面62の画像データは、設定装置1から通信ネットワーク5を介して操作端末4に送信され、入力画面62は、操作端末4の表示部23に表示される。オペレータは、入力部21のキーボード操作又はマウス操作等によって、入力画面62へのデータ入力を行う。
【0052】
入力選択欄91では、複数(この例では6個)の条件入力欄の各々に時間の設定値が入力されるとともに、各入力された設定時間内におけるリレーの動作設定(リレーのオン又はオフ)が選択される。但し、設定可能な条件入力欄の数は6個に限らず、任意の複数であれば良い。このように一つの試験ステップにおける入力画面62において、一つの試験ステップ中のリレーのオン期間及びオフ期間を、環境条件の設定とは独立して設定することが可能である。
【0053】
入力選択欄92には、複数(この例では2個)の繰り返しパターンが入力され、リレーのオン及びオフの繰り返しの設定が行われる。但し、設定可能な繰り返しパターンの数は2個に限らず、1以上の任意の数であれば良い。具体的に、入力選択欄92では、繰り返し制御の有無が選択されるとともに、入力選択欄91に含まれる複数の条件のうち、繰り返しの先頭とする条件及び末尾とする条件の各々の番号が入力される。また、入力選択欄92では、設定した条件を当該試験ステップが終了するまで繰り返し継続するか、指定回数だけ繰り返し継続するかが選択される。指定回数の継続が選択された場合には、繰り返しの回数が入力される。繰り返し回数は、複数に限らず1回、すなわち、1回のみ設定した条件を実行するものとしてもよい。
【0054】
グラフ表示欄93には、設定された接続条件に対応するリレーのオン又はオフの推移を表すグラフが表示される。
【0055】
図6は、データ入力された入力画面62の一例を簡略化して示す図である。
【0056】
入力選択欄91において、条件入力欄1には10分のオフ期間が設定され、条件入力欄2には10分のオン期間が設定され、条件入力欄3には10分のオフ期間が設定され、条件入力欄4には5分のオフ期間が設定され、条件入力欄5には5分のオン期間が設定され、条件入力欄6には5分のオフ期間が設定されている。
【0057】
入力選択欄92において、繰り返しパターン1として、条件入力欄2から条件入力欄3までの条件を3回繰り返すことが設定され、繰り返しパターン2として、条件入力欄5から条件入力欄6までの条件を試験ステップの終了まで繰り返すことが設定されている。
【0058】
入力選択欄91,92への上記のデータ入力の結果、グラフ表示欄93には、0~10分の期間ではオフとなり、10~70分の期間では10分のオンと10分のオフとが3回繰り返され、70~75分の期間ではオフとなり、75分以降の期間では5分のオンと5分のオフとが試験ステップの終了まで繰り返される形状のグラフが表示されている。
【0059】
図7は、定値運転における接続条件の入力画面63の一例を簡略化して示す図である。入力選択欄91,92及びグラフ表示欄93は、
図5に示した入力画面62と同様である。
【0060】
入力選択欄94では、環境試験装置2と外部制御装置3との接続制御が終了した後の接続条件として、オン、オフ、及び最終維持のいずれかが選択される。入力選択欄94でオンが選択された場合には、入力選択欄91,92に基づく接続制御の終了後は、リレーは強制的にオンに設定される。入力選択欄94でオフが選択された場合には、接続制御の終了後は、リレーは強制的にオフに設定される。入力選択欄94で最終維持が選択された場合には、接続制御の終了後は、リレーは接続制御の終了時点での状態が維持される。
【0061】
なお、定値運転に関する入力画面63において入力選択欄94が省略されても良く、あるいは、プログラム運転に関する入力画面62において入力選択欄94が追加されても良い。また、本実施形態の例では、一つの環境試験装置2においてプログラム運転及び定値運転を切り替えて実行可能であるが、プログラム運転のみを実行可能な環境試験装置、又は定値運転のみを実行可能な環境試験装置であっても良い。さらに、プログラム運転及び定値運転の双方を実行可能な環境試験装置2においては、環境条件又は接続条件に関して、プログラム運転と定値運転とで異なる入力画面が使用されても良いし、共通の入力画面が使用されても良い。
【0062】
図8は、操作端末4の表示部23に表示される設定画面64の一例を簡略化して示す図である。設定画面64では、環境試験装置2と外部制御装置3との接続条件を複数設定可能である。この例では6個の接続設定1~6を設定可能であるが、これに限定されない。各接続設定1~6において、接続条件の独立制御を行うか否かをオペレータが選択できるようになっている。独立制御のオンが選択された場合には、上記実施形態で説明した通り、処理部42は環境条件の設定とは独立して接続条件を設定可能である。独立制御のオフが選択された場合には、従来技術と同様に、処理部42は、プログラム運転においては、各試験ステップに対して接続条件をオン及びオフの一方に設定し、定値運転においては、全期間に関して接続条件をオン及びオフの一方に設定するか、設定したいオンオフ条件に応じて定値運転をステップに分割する。
【0063】
図9は、第1の変形例に係る環境試験装置2の構成を示す図である。
図1に示した設定装置1及び操作端末4の機能が、環境試験装置2に実装されている。環境試験装置2は、設定装置1と同様の機能を有する設定部15と、操作端末4と同様の機能を有する操作部16とを備えている。但し、環境試験装置2への操作部16の実装を省略し、操作端末4から通信ネットワーク5を介して設定部15に、環境設定情報及び接続設定情報を送信する構成としても良い。
【0064】
設定部15は、
図2と同様のデータ処理部31、データ通信部32、及びデータ記憶部33を有する。データ処理部31は、
図2と同様の取得部41、処理部42、及び出力部43を有する。データ通信部32は制御部11に接続される。データ処理部31は、環境試験装置2が有する制御部又はデータ処理部(不図示)と共通化されても良い。データ記憶部33は、環境試験装置2が有するデータ記憶部(不図示)と共通化されても良い。取得部41は、環境設定情報及び接続設定情報を取得し、処理部42は、取得部41が取得した環境設定情報と接続設定情報とに基づいて運転制御情報を生成し、出力部43は、処理部42が生成した運転制御情報を出力する。処理部42は、環境条件の設定とは独立して接続条件を設定可能である。出力部43から出力された運転制御情報は、データ通信部32を介して制御部11に入力される。制御部11は、入力された運転制御情報に基づいて、環境制御部12及び上記リレーの動作を制御する。
【0065】
操作部16は、
図1と同様の表示部23、処理部22、及び入力部21を有する。操作部16が有する表示部23、処理部22、及び入力部21は、環境試験装置2が有する表示部、処理部、及び入力部(不図示)とそれぞれ共通化されても良い。制御部11及び設定部15は、通信ネットワーク5を介して操作端末4に接続されても良い。すなわち、設定部15は、入力画面61~63及び設定画面64の画像データを操作端末4に送信し、操作端末4から環境設定情報及び接続設定情報を受信しても良い。なお、操作端末4及び通信ネットワーク5は省略されても良い。
【0066】
図10は、第2の変形例に係る環境試験装置2の構成を示す図である。
図1に示した設定装置1の機能が、操作端末4に実装されている。操作端末4は、設定装置1と同様の機能を有する設定部15を備えている。設定部15は、
図2と同様のデータ処理部31、データ通信部32、及びデータ記憶部33を有する。データ処理部31は、
図2と同様の取得部41、処理部42、及び出力部43を有する。データ処理部31は、操作端末4が有する処理部22と共通化されても良い。データ記憶部33は、操作端末4が有するデータ記憶部(不図示)と共通化されても良い。取得部41は、環境設定情報及び接続設定情報を取得し、処理部42は、取得部41が取得した環境設定情報と接続設定情報とに基づいて運転制御情報を生成し、出力部43は、処理部42が生成した運転制御情報を出力する。処理部42は、環境条件の設定とは独立して接続条件を設定可能である。出力部43から出力された運転制御情報は、データ通信部32及び通信ネットワーク5を介して制御部11に入力される。制御部11は、入力された運転制御情報に基づいて、環境制御部12及び上記リレーの動作を制御する。なお、操作端末4を通信ネットワーク5に接続するのではなく、操作端末4が有する設定部15が生成した運転制御情報をUSBメモリ等の記憶媒体に記憶させ、制御部11が当該記憶媒体から運転制御情報を読み出すようにしても良い。
【0067】
本実施形態によれば、処理部42は、環境条件の設定とは独立して接続条件を設定可能である。そのため、複数の試験ステップを有するプログラム運転においては、環境条件の変更に合わせて試験ステップを区切れば良く、接続条件の切り替えに合わせて試験ステップを細かく区切る必要がないため、オペレータによるデータ入力作業の効率化を図ることができる。また、環境条件の環境値が一定である定値運転においては、環境条件とは独立した接続条件の設定により、対象物Wへの電流印加のオン又はオフ等を任意に切り替えることが可能であるため、細密な環境試験を行うことができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、環境試験装置2と外部制御装置3との導通期間又は遮断期間を、接続設定情報によって任意に設定することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態によれば、導通期間と遮断期間との繰り返しの回数等を、接続設定情報によって任意に設定することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態によれば、環境試験装置2と外部制御装置3との接続制御が終了した後の接続条件を、接続設定情報によって任意に設定することが可能となる。
【符号の説明】
【0071】
1 設定装置
2 環境試験装置
3 外部制御装置
4 操作端末
11 制御部
12 環境制御部
13 収容部
31 データ処理部
33 データ記憶部
41 取得部
42 処理部
43 出力部
50 プログラム
W 対象物