(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142048
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
H05K3/46 G
H05K3/46 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048715
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 俊樹
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA04
5E316AA12
5E316AA32
5E316CC04
5E316CC08
5E316CC09
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5E316CC12
5E316CC13
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5E316CC32
5E316CC37
5E316CC38
5E316DD12
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5E316EE08
5E316EE33
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5E316FF13
5E316FF14
5E316FF17
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG22
5E316GG23
5E316HH33
(57)【要約】
【課題】歩留まりの高い配線基板の製造方法の提供。
【解決手段】実施形態の配線基板の製造方法は、第1支持板に第1接着層を介して金属膜を形成することと、金属膜と接する第1面及び第1面と反対側の第2面を備える第1配線構造体WS1を形成することと、第2面に第2接着層を介して第2支持板を貼着することと、第1接着層と金属膜とを分離することと、金属膜を除去して第1面を露出させることと、第2配線構造体WS2を用意することと、第1面を第2配線構造体WS2の最外面に接続させることと、第2接着層と第2面とを分離し、第2支持板及び第2接着層を除去することと、を含んでいる。第2支持板を貼着することは、第2支持板と第2接着層との接着強さを、第2接着層と第2面との接着強さよりも大きくすることと、第2接着層と第2面との接着強さを、第1接着層と金属膜との接着強さよりも大きくすることと、を含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1支持板を用意し、前記第1支持板の表面に第1接着層を形成することと、
前記第1接着層の前記第1支持板と反対側に金属膜を形成することと、
前記金属膜の前記第1接着層と反対側に、交互に積層された導体層及び絶縁層を有し、前記金属膜と接する第1面及び前記第1面と反対側の第2面を備える第1配線構造体を形成することと、
前記第2面に第2接着層を介して第2支持板を貼着することと、
前記第1接着層と前記金属膜とを分離し、前記第1支持板及び前記第1接着層を除去することと、
前記金属膜を除去して前記第1面を露出させることと、
第2配線構造体を用意することと、
前記第1面を前記第2配線構造体の最外面に接続させることと、
前記第2接着層と前記第2面とを分離し、前記第2支持板及び前記第2接着層を除去することと、
を含む、配線基板の製造方法であって、
前記第2支持板を貼着することは、
前記第2支持板と前記第2接着層との接着強さを、前記第2接着層と前記第2面との接着強さよりも大きくすることと、
前記第2接着層と前記第2面との接着強さを、前記第1接着層と前記金属膜との接着強さよりも大きくすることと、を含む。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記第1配線構造体は、複数の導体層、及び、複数の芯材を含んでいない絶縁層によって構成されている。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記第2配線構造体は前記最外面に前記第1配線構造体を収容する開口を有しており、前記第1配線構造体は前記開口の底面に接続される。
【請求項4】
請求項3記載の配線基板の製造方法であって、前記第1配線構造体は、前記第1配線構造体の側面及び上面の全域が露出するように、前記開口内に配置される。
【請求項5】
請求項3記載の配線基板の製造方法であって、前記第1配線構造体の前記第2面は複数の第2面側導体パッドを有し、前記第2配線構造体の最外面は複数の接続要素を有し、前記第1配線構造体は、前記複数の第2面側導体パッドの上面が、前記複数の接続要素の上面と略面一となるように、前記開口内に配置される。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記第1配線構造体の前記第2面は、複数の部品搭載領域を構成する複数の第2面側導体パッドを有しており、前記導体層は、前記複数の部品搭載領域のうち隣り合う部品搭載領域に含まれる第2面側導体パッド同士を接続する。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記第1配線構造体が有する前記導体層は、前記絶縁層に形成された溝を充填する導体によって形成される。
【請求項8】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記第1配線構造体が有する前記導体層は、前記配線基板における最もライン幅及びライン間距離の小さい配線を含む。
【請求項9】
請求項8記載の配線基板の製造方法であって、前記導体層のライン幅の最小値は3.0μm以下であり、且つ、ライン間距離の最小値は3.0μm以下である。
【請求項10】
請求項8記載の配線基板の製造方法であって、前記導体層のアスペクト比は、1.8以上、且つ、6.0以下である。
【請求項11】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記第1支持板は無機材料で構成され、前記第2支持板は表面に銅箔を備える有機材料で構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、配線基板の製造方法が開示されている。特許文献1においては、支持体上にシード層を介して形成された第二配線基板が、支持体と反対側の表面を第一配線基板側に向けて接続される。第二配線基板と第一配線基板とが接合された後に、支持体はシード層を第二配線基板に付着させた状態で第二配線基板から剥離され、その後、シード層はエッチングにより除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている配線基板の製造方法においては、第二配線基板が第一配線基板に接合された後に、第二配線基板に付着するシード層を除去するエッチング処理が実施される。エッチングの作用が第一配線基板にも及び、望ましくない影響を与える場合があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板の製造方法は、第1支持板を用意し、前記第1支持板の表面に第1接着層を形成することと、前記第1接着層の前記第1支持板と反対側に金属膜を形成することと、前記金属膜の前記第1接着層と反対側に、交互に積層された導体層及び絶縁層を有し、前記金属膜と接する第1面及び前記第1面と反対側の第2面を備える第1配線構造体を形成することと、前記第2面に第2接着層を介して第2支持板を貼着することと、前記第1接着層と前記金属膜とを分離し、前記第1支持板及び前記第1接着層を除去することと、前記金属膜を除去して前記第1面を露出させることと、第2配線構造体を用意することと、前記第1面を前記第2配線構造体の最外面に接続させることと、前記第2接着層と前記第2面とを分離し、前記第2支持板及び前記第2接着層を除去することと、を含んでいる。前記第2支持板を貼着することは、前記第2支持板と前記第2接着層との接着強さを、前記第2接着層と前記第2面との接着強さよりも大きくすることと、前記第2接着層と前記第2面との接着強さを、前記第1接着層と前記金属膜との接着強さよりも大きくすることと、を含んでいる。
【0006】
本発明の実施形態によれば、配線基板の製造方法は、金属膜の除去による第1配線構造体の第1面の露出が、第1配線構造体が第2配線構造体に接続される前に実施されることを含んでいる。第1配線構造体から金属膜を除去する処理の影響が第2配線構造体へ及ぶことが防がれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態である製造方法により製造される配線基板の一例を示す断面図。
【
図2】本発明の一実施形態である製造方法により製造される配線基板の一例を示す
図1における、第1配線構造体の拡大図。
【
図3A】一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図3B】一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図3C】一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図3D】一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4A】一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4B】一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4C】一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4D】一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4E】一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4F】一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4G】一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4H】一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態の配線基板の製造方法により製造される配線基板が図面を参照しながら説明される。なお、以下、参照される図面においては、各構成要素の正確な比率を示すことは意図されておらず、本発明の特徴が理解され易いように描かれている。
図1には、製造される配線基板が有し得る構造の一例として、配線基板1の断面図が示されている。
【0009】
図1に示されるように、配線基板1は、絶縁層(コア絶縁層)101と、コア絶縁層101の両面に形成された導体層(コア導体層)102を含むコア基板100を有している。コア基板100の両面上には、それぞれ、絶縁層及び導体層が交互に積層されている。図示の例では、コア基板100の一方の面F1上には、絶縁層11及び導体層12が積層された第1ビルドアップ部10が形成されている。また、コア基板100の他方の面F2上には、絶縁層21及び導体層22が積層された第2ビルドアップ部20が形成されている。
【0010】
なお、本実施形態の配線基板の説明においては、コア絶縁層101から遠い側を、「上」、「上側」、「外側」、又は「外」と称し、コア絶縁層101に近い側を、「下」、「下側」、「内側」、又は「内」と称する。また、各構成要素において、コア基板100と反対側を向く表面は「上面」とも称され、コア基板100側を向く表面は「下面」とも称される。従って、配線基板1を構成する各要素の説明において、コア基板100から遠い側が「上側」、「上方」、「上層側」、「外側」、又は単に「上」もしくは「外」とも称され、コア基板100に近い側が「下側」、「下方」、「下層側」、「内側」、又は単に「下」もしくは「内」とも称される。
【0011】
第1ビルドアップ部10上には、導体層12及び導体層12の導体パターンから露出する絶縁層11を被覆する被覆層110が形成されている。第2ビルドアップ部20上には、導体層22及び導体層22の導体パターンから露出する絶縁層21を被覆する被覆層210が形成されている。被覆層110及び被覆層210は、例えば、配線基板1の最外の絶縁層を構成するソルダーレジスト層であり得る。
【0012】
被覆層110には開口110a、110bが形成されている。開口110a、110bは、被覆層110を厚さ方向に貫通する貫通孔であり、開口110aは導体によって充填され、開口110b内には配線構造体WS1が配置されている。配線構造体WS1は比較的微細な配線を含んでおり、比較的密度の高い回路配線を有し得る。開口110aを充填する導体は、配線基板1の最外の表面を構成し、配線基板1と外部の電子部品との接続に用いられ得る接続要素MPを構成する。接続要素MPは、例えば金属によって形成されるポスト(金属ポスト)であり得る。
【0013】
なお、配線構造体WS1は、コア基板100、第1及び第2ビルドアップ部10、20、被覆層110、210、及び接続要素MPから構成される配線構造と共に、配線基板1を構成している。配線構造体WS1は第1配線構造体WS1とも称される。配線基板1を構成する、第1配線構造体WS1以外の、コア基板100、第1及び第2ビルドアップ部10、20、被覆層110、210、及び接続要素MPから構成される配線構造は、第2配線構造体WS2とも称される。
【0014】
開口110b内に配置されている第1配線構造体WS1の上面は、接続要素MPと同様に、配線基板1の最外の表面を構成し、配線基板1と外部の電子部品との接続に用いられ得る接続用の導体パッドOPを有している。被覆層210には開口210aが形成され、開口210aからは第2ビルドアップ部20における最も外側の導体層22が有する導体パッド22pが露出している。
【0015】
図示の例では、第1配線構造体WSの最外面を構成する導体パッドOP、及び、第2配線構造体WS2の最外面を構成する接続要素MPは、配線基板1における外部の電子部品が接続され得る部品搭載面を構成している。図示される例では、導体パッドOPの上面と接続要素MPの上面とは、略面一の部品搭載面を構成している。また、配線基板1における、コア基板100に対して部品搭載面と反対側の、被覆層210及び開口210aから露出する導体パッド22pによって構成される面は、外部の配線基板(例えば任意の電気機器のマザーボード)などの外部要素に配線基板1自体が実装される場合に、外部要素に接続される接続面であり得る。導体パッド22pは、任意の基板、電気部品、又は機構部品などと接続され得る。
【0016】
第2配線構造体WS2を構成する絶縁層101、11、21は、それぞれ、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)又はフェノール樹脂などの絶縁性樹脂を用いて形成され得る。各絶縁層101、11、21は、ガラス繊維などの補強材(芯材)及び/又はシリカ、アルミナなどの無機フィラーを含んでいてもよい。ソルダーレジスト層であり得る被覆層110及び被覆層210は、例えば、感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを用いて形成され得る。
【0017】
コア基板100の絶縁層101には、コア基板100における一方の面F1を構成する導体層102と他方の面F2を構成する導体層102とを接続するスルーホール導体103が形成されている。スルーホール導体103は、コア基板100の一方の面F1及び他方の面F2に形成される2つの導体層102と一体的に形成されている。スルーホール導体103は、コア絶縁層101を貫く貫通孔103aの内壁に沿って形成されていて筒状の形体を有している。筒状のスルーホール導体103の内部は、例えば、エポキシ樹脂などの任意の樹脂を含む樹脂体103bで充填されている。また、絶縁層11、21のそれぞれには、絶縁層11、21それぞれを挟む導体層同士を接続するビア導体13、23が形成されている。
【0018】
導体層102、12、22、ビア導体13、23、スルーホール導体103、接続要素MPは、銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成される。導体層102、12、22、ビア導体13、23、スルーホール導体103、接続要素MPは、例えば、銅箔などの金属箔、及び/又は、めっきもしくはスパッタリングなどで形成される金属膜によって構成され得る。導体層102、12、22、ビア導体13、23、スルーホール導体103、接続要素MPは、
図1では単層構造で示されているが、2つ以上の金属層を有する多層構造を有し得る。例えば、絶縁層101の表面上に形成されている導体層102は、金属箔層(好ましくは銅箔)、金属膜層(好ましくは無電解銅めっき膜)、及び電解めっき膜層(好ましくは電解銅めっき膜)を含む5層構造を有し得る。また、導体層12、22、ビア導体13、23、スルーホール導体103、並びに接続要素MPは、例えば、金属膜層及び電解めっき膜層を含む2層構造を有し得る。
【0019】
配線基板1が有する各導体層102、12、22は、所定の導体パターンを有するようにパターニングされている。図示の例では、第1ビルドアップ部10の最も外側の導体層12は複数の導体パッドP1、P2を有するパターンに形成されている。導体パッドP1には接続要素MPが接続されている。導体パッドP2は開口110bの底部に露出し、第1配線構造体WS1が有する導体パッドIPと電気的に接続されている。
【0020】
接続パッドOPの上面、及び、接続要素MPの上面を含む部品搭載面は、複数の部品搭載領域を有し、図示の例においては、部品搭載領域EA1、EA2、EA3を有している。部品搭載領域EA1、EA2、EA3はそれぞれ、電子部品E1、E2、E3が搭載されるべき領域に対応している。図示される例の配線基板1への外部の電子部品の搭載において、電子部品は第1配線構造体WS1と接続されると共に接続要素MPとも接続され得る。接続要素MPの上面、及び、導体パッドOPの上面は、例えば、はんだなどの導電性の接合材(図示せず)を外部の電子部品の接続パッドとの間に介して、外部の電子部品と電気的及び機械的に接続され得る。
【0021】
図示される例においては、第1配線構造体WS1の上面に形成されている複数の導体パッドOPは、3つの部品搭載領域EA1、EA2、EA3それぞれに位置している。すなわち、第1配線構造体WS1は、3つの部品搭載領域EA1、EA2、EA3に亘って配置されている。第1配線構造体WS1は、第1配線構造体WS1に接続され得る電子部品同士を電気的に接続し得る配線を有し得る。具体的には、図示される第1配線構造体WS1の15個の接続パッドOPのうち、平面方向における中央寄りの9個の導体パッドOPは第1の部品搭載領域EA1内に位置しているが、両端それぞれ3個の導体パッドOPは第2及び第3の部品搭載領域EA2、EA3内に位置している。
【0022】
これらの第1の部品搭載領域EA1内に位置する導体パッドOPと、隣り合う第2及び第3の部品搭載領域EA2、EA3内に位置している導体パッドOPとが、第1配線構造体WS1内の配線を介して電気的に接続され得る。配線基板1の使用において搭載される複数の電子部品同士が第1配線構造体WS1を介して電気的に接続され、これにより、配線基板1の使用において搭載され得る複数の電子部品を介する回路設計の自由度が向上する場合がある。
【0023】
配線基板1に搭載され得る電子部品E1、E2、E3としては、例えば、半導体集積回路装置やトランジスタなどの能動部品のような電子部品が例示される。図示される例において、電子部品E1は、例えば、論理回路を組み込んだロジックチップなどの集積回路、又は、MPU(Micro Processor Unit)などの処理装置であり、電子部品E2、E3は、例えば、HBM(High Bandwidth Memory)などのメモリ素子などであり得る。すなわち、配線基板1は、その使用においてMCM(Multi Chip Module)の形態を有し得る。
【0024】
なお、第1配線構造体WS1は、その熱膨張による、配線基板1を構成する第2配線構造体WS2の構成要素(特に接続要素MP及び導体パッドP1)への影響を抑制する観点から、側面及び上面の全体が露出するように開口110b内に配置されている。
【0025】
次いで、
図2を参照して、第1配線構造体WS1の構成について説明される。
図2は、
図1において1点鎖線で囲われている領域IIの拡大図である。被覆層110の開口110b内に配置される第1配線構造体WS1は、交互に積層される絶縁層31と導体層32とを有している。一層の絶縁層31を挟んで対向する導体層32同士はビア導体33によって接続されている。
【0026】
第1配線構造体WS1は、第1面A、及び、第1面Aと反対側の第2面Bを有している。図示の例において、第1面Aは、絶縁層31の表面(下面)及び導体層32の表面(下面)により構成されている。図示の例では、第1面Aを構成する導体層32は導体パッドIPを含んでおり、導体パッドIPは導電性の接合材(例えば、はんだ)であるバンプBPを介して、導体パッドP2に接続されている。導体パッドP2は、その表面に、例えば、Ni、Pd、Auの3層で構成される保護膜(図示せず)を有し、バンプBPは、例えば保護膜の最表面を構成するAu層と接合され得る。なお、第1面Aを構成する導体パッドIPは、第1面側導体パッドIPとも称される。
【0027】
第2面Bは導体層32の表面(上面)及び導体層32のパターンから露出する絶縁層31の表面(上面)によって構成されている。第2面Bを構成する導体層32は導体パッドOPを有している。導体パッドOPの表面には、例えば、図示されるように、ニッケル層N及び錫層Sを含むめっき層Pが形成され得る。なお、第1配線構造体WS1の第2面Bが備える導体パッドOPは第2面側導体パッドOPとも称される。
【0028】
絶縁層31は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの絶縁性樹脂を用いて形成され得る。絶縁層31は、フッ素樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリエステル樹脂(PE)、変性ポリイミド樹脂(MPI)のうちのいずれかを含んでもよい。導体層32、及び、ビア導体33を構成する導体としては、銅やニッケルなどが例示され、好ましくは、銅が用いられる。図示の例では、第1面Aを構成する導体層32はめっき膜層(好ましくは電解銅めっき膜)epの単層で構成されており、その他の導体層32、及び、ビア導体33は、金属膜層(好ましくは無電解銅めっき膜層)np、及びめっき膜層(好ましくは電解銅めっき膜)epを含む2層構造を有している。
【0029】
図1を参照して上述されたように、図示される15個の導体パッドOPのうち、中央寄りの9個の導体パッドOPは部品搭載領域EA1内に位置し、紙面左側の3つの導体パッドOPは部品搭載領域EA2に位置し、紙面右側の3つの導体パッドOPは部品搭載領域EA3に位置している。すなわち、配線基板1の使用において、中央寄りの9個の導体パッドOPは外部の電子部品E1と接続され、紙面左側の3つの導体パッドOPは外部の電子部品E2と接続され、紙面右側の3つの導体パッドOPは外部の電子部品E3と接続され得る。
【0030】
第1の部品搭載領域EA1に配置されている導体パッドOPと、第2及び第3の部品搭載領域EA2、EA3に配置されている導体パッドOPとは、配線BWを介して電気的に接続される。この構成により、配線基板1はその使用において、配線構造体WSを介して、複数の外部の電子部品同士を電気的に接続し得る。具体的には、図示されるように3つの電子部品E1、E2、E3が搭載される場合において、隣り合う電子部品同士のそれぞれは第1配線構造体WS1を介して電気的に接続され、電子部品E2及び電子部品E1、並びに、電子部品E1及び電子部品E3は電気的に接続され得る。
【0031】
なお、第1配線構造体WS1は、開口110b内への配置において、第1面Aと開口110bの底面との間に、アンダーフィル用絶縁フィルムUFを介して設置され得る。アンダーフィル用絶縁フィルムUFはエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を含み得る熱硬化性のNCF(Non Conductive Film)であり得る。アンダーフィル用絶縁フィルムUFが第1配線構造体WS1と開口110bの底面との間に介在することで、物理的応力(熱応力や物理的外力)に対する第1配線構造体WS1の導体パッドP2への接続信頼性が向上する場合がある。
【0032】
図2に示される例においては、第1配線構造体WS1は、埋込配線の形態を有する配線層を有し得る。具体的には、複数の導体層32のうち任意の導体層32が下側の絶縁層31内に形成された溝を充填する導体で構成された、絶縁層に埋没する埋込配線の形態を有している。埋込配線の形態を有する配線層32は、比較的パターン幅及びパターン間距離の小さい微細配線FWを有し得る。微細配線FWは配線基板1を構成する配線において最も小さいパターン幅及びパターン間距離を有し得る。
【0033】
なお、図示される例では、第1配線構造体WS1が有する複数の(5層の)導体層32のうち、3層の配線層32が埋込配線の形態を有し、その内の1層が微細配線FWを備えているが、複数の配線層32のそれぞれが微細配線FWを備え得る。配線構造体WSが有する埋込配線の形態を有する配線層の数は限定されない。
【0034】
第1配線構造体WS1が有する微細配線FWは、
図1を参照して上述された、第2配線構造体WS2における導体層102、12、22が有する配線のパターン幅及びパターン間距離よりも、小さいパターン幅及びパターン間距離を有する。具体的には、例えば、微細配線FWのライン幅は、その最小値が3.0μm以下であり、ライン間距離の最小値は3.0μm以下である。第1配線構造体WS1が微細配線FWを有することで、第1配線構造体WS1内の配線によって搬送され得る電気信号に対応した、より適切な特性を有する配線が提供される場合がある。また、第1配線構造体WS1内における配線の密度が向上し、配線設計の自由度が向上する場合があると考えられる。なお、同様の観点から、微細配線FWを有する導体層32のアスペクト比は、1.8以上、且つ、6.0以下であることが好ましく、さらには、配線構造体WSが有するすべての配線層32のアスペクト比が1.8以以上、且つ、6.0以下に形成されていることが好ましい。
【0035】
なお、実施形態の配線基板の製造方法によって製造される第1配線構造体WS1は、埋込配線の形態を有する導体層を備える態様に限定されない。第1配線構造体WS1を構成する導体層32のすべては、直下の層(例えば、絶縁層31)の上面から上側に向けて突出する態様を有し得る。このような態様においても、導体層32は、上述された微細配線層FWに関して説明されたライン幅、ライン間距離、及び、アスペクト比と同等の寸法を有し得る。
【0036】
続いて、
図3A~
図4Hを参照して、
図1に示される配線基板1が製造される場合を例に、一実施形態である配線基板の製造方法が説明される。配線基板1は、第2配線構造体WS2を用意し、製造される第1配線構造体WS1を第2配線構造体WS2に接続させることによって形成され得る(
図1参照)。先ず、
図3A~
図3Dを参照して、第2配線構造体WS2の用意、及び、第1配線構造体WS1の第2配線構造体WS2への接続の概要について説明される。
【0037】
先ず、
図3Aに示されるように、コア基板100が用意される。コア基板100の用意では、例えば、コア絶縁層101の表面に金属箔が設けられた両面銅張積層板が用意される。この両面銅張積層板に貫通孔103aが例えばドリル加工によって形成される。貫通孔103aの内壁及び金属箔の上面に、例えば無電解めっき膜が形成され、この無電解めっき膜の上に、この無電解めっき膜を給電層として用いて電解めっき膜が形成される。この結果、図においては単層で示されているが、無電解めっき膜及び電解めっき膜の2層構造を有し、貫通孔103aの内壁を被覆するスルーホール導体103が形成される。
【0038】
貫通孔103aの内壁に形成されるスルーホール導体103の内側には、例えばエポキシ樹脂を注入することによって、スルーホール導体103の内部が樹脂体103bで充填される。充填された樹脂体103bが固化された後、樹脂体103b及び電解めっき膜の上面に、さらに無電解めっき膜及び電解めっき膜が形成される。この結果、図では単層で示されているが、金属箔、無電解めっき膜、電解めっき膜、無電解めっき膜、及び電解めっき膜の5層構造を有する導体層102が、絶縁層101の両面に形成される。そしてサブトラクティブ法によって導体層102をパターニングすることによって所定の導体パターンを備えるコア基板100が得られる。
【0039】
続いて、
図3Bに示されるように、コア基板100の一方の面F1側において、所望の層数の絶縁層11及び導体層12が積層されることで、第1ビルドアップ部10が形成される。コア基板100の他方の面F2側では、所望の層数の絶縁層21及び導体層22が積層されることで、第2ビルドアップ部20が形成される。例えば各絶縁層11、21は、フィルム状の絶縁性樹脂を、コア基板100上に熱圧着することによって形成される。導体層12、22は、絶縁層11、21に例えばレーザー光によって形成され得る開口13a、23aを充填するビア導体13、23と同時に、セミアディティブ法などの任意の導体パターンの形成方法を用いて形成され得る。
【0040】
第1ビルドアップ部10における最外の導体層12は、複数の導体パッドP1、P2を含むパターンに形成される。第2ビルドアップ部20における最外の導体層22は、導体パッド22pを含むパターンに形成される。導体パッドP1、P2、導体パッド22pの表面には、例えば、無電解めっきにより、ニッケル層、パラジウム層、及び金層の3層を含む保護層(図示せず)がめっき法により形成され得る。
【0041】
次いで、
図3Cに示されるように、第1ビルドアップ部10上に被覆層110が形成され、第2ビルドアップ部20上には被覆層210が形成される。被覆層110には、導体パッドP1を露出させる開口110a、及び、導体パッドP2を露出させる開口110bが形成される。被覆層210には導体パッド22pを露出させる開口210aが形成される。例えば、スプレーコーティング、カーテンコーティング、又はフィルム貼り付けなどによって、感光性を有するエポキシ樹脂膜が形成されることで被覆層110、210が形成され、露光及び現像により開口110a、110b、210aが形成され得る。
【0042】
続いて、開口110a内が導体によって充填され、接続要素MPが形成される。接続要素MPは、上述したビア導体13、23及び導体層12、22の形成と同じく、例えばセミアディティブ法により形成され得る。なお、接続要素MPの形成は、導体パッドP1上への無電解めっきのみによって行われてもよい。第2接続構造体WS2の用意が完了する。
【0043】
次いで、
図3Dに示されるように、開口110b内に第1配線構造体WS1が設置される。第1配線構造体WS1は、その第1面Aを第1ビルドアップ部10側に向け、絶縁層11と第1面Aとの間にアンダーフィル用絶縁フィルムUFを介在させて設置され得る。この第1接続構造体WS1の第2接続構造体WS2への接続は、詳しくは後述されるように、第1接続構造体WS1の表面から不要な金属膜のエッチングによる除去が完了した状態で実施される。
【0044】
続いて、
図4A~
図4Hを参照して、
図2に示される第1配線構造体WS1の製造、及び、具体的な第1配線構造体WS1と第2配線構造体WS2との接続について説明される。第1配線構造体WS1の製造について、先ず、
図4Aに示されるように、例えばガラスなどの無機材料で構成される基板であり、表面の平坦性が良好な第1支持板GS1が用意される。第1支持板GS1の一方の表面には、金属膜mfが第1接着層AL1を介して形成(貼着)される。第1接着層AL1には、例えばガラス基板である第1支持板GS1とは比較的強固に接着し、金属膜mfとは第1支持板GS1に対する接着強さよりも弱い接着強さで接着する接着剤が使用され得る。例えば、第1接着層ALは、第1支持板GS1に接して比較的大きい接着強さで接着する例えばポリイミド樹脂を含む接合層、及び、金属膜mfと密着し強固には接着しない例えばアクリル樹脂を含む粘着層を含む、2層構造を有する場合がある。
【0045】
なお、本明細書での配線基板の説明における「接着強さが強い」とは引張り接着強さ及びせん断接着強さの両方において、その値が大きいことを意味し、「接着強さが弱い」とは、引張り接着強さ及びせん断接着強さの両方において、その値が小さいことを意味している。
【0046】
なお、第1配線構造体の製造の説明においては、第1支持板GS1に近い側は「下」もしくは「下側」と称され、第1支持板GS1から遠い側は「上」もしくは「上側」と称される。従って、配線構造体を構成する各要素における第1支持板GS1側を向く面は「下面」と称され、第1支持板GS1と反対側と向く面は「上面」とも称される。
【0047】
次いで、
図4Bに示されるように、金属膜層mf上に、その導体パターンとして導体パッドIPを含む導体層32が形成される。導体層32の形成においては、例えばめっきレジストが金属膜mf上に形成され、めっきレジストに導体パッドIPのパターンの形成領域に応じた開口が例えばフォトリソグラフィ技術により形成される。次いで、金属膜mfをシード層とする電解めっきにより開口内に電解めっき膜が形成される。電解めっき膜の形成後めっきレジストが除去される。
【0048】
続いて導体パッドIPを備える導体層32を覆う絶縁層31が積層される。絶縁層31としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などを含み、ガラス繊維などの芯材を含んでいない、フィルム状の絶縁性樹脂が用いられ得る。フィルム状の絶縁性樹脂には、フッ素樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリエステル樹脂(PE)、変性ポリイミド樹脂(MPI)が用いられてもよい。
【0049】
次いで、
図4Cに示されるように、第1支持板GS1の上側に、必要な層数の絶縁層31及び導体層32が積層され、第1配線構造体WS1の第2面Bまでが形成される。第1面A及び第2面Bを有する第1配線構造体WS1の積層構造が完成する。図示の例では、第1配線構造体WS1を構成するすべての絶縁層31が、芯材を含まないフィルム状の絶縁性樹脂により形成される。また、絶縁層31上への導体層32の形成においては、任意の導体層32が、下側の絶縁層31に埋没する埋込配線の形態を有するように形成され得る。図示の例では、第1配線構造体WS1を構成する5層の導体層32の内、厚さ方向において中央寄りの3層の導体層32が埋込配線の形態を有するように形成される。
【0050】
具体的には、埋込配線の形態を有する導体層32の形成では、絶縁層31に対して、例えばエキシマレーザーを使用したレーザー加工により形成される溝の内側、及び、絶縁層31の上面に、金属膜層、及び、金属膜層をシード層として形成される電解めっき膜層が形成される。電解めっき膜層及び金属膜層の一部は、絶縁層31の上面が露出するまで、例えば、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により除去され、埋込配線の形態を有する導体層32が形成される。レーザー加工により形成される溝は、溝を充填する導体によって形成される配線のライン幅が3.0μm以下の最小値を有し、ライン間距離が3.0μm以下の最小値を有するように形成され得る。
【0051】
なお、図示される例においては、第1配線構造体WS1の最も上側の導体層32は、例えば、セミアディティブ法によって、複数の導体パッド(第2面側導体パッド)OPを含むパターンに形成される。導体パッドOPの上面には、例えば、ニッケル層N及び錫層Sを含むめっき層Pが形成され得る。このようにして形成される、第1配線構造体WS1が有し得る導体層32に含まれる配線は、1.8以上、且つ、6.0以下のアスペクト比を有するように形成され得る。また、複数の導体パッド(第2面側導体パッド)OPは、第1配線構造体WS1を構成する導体層32に含まれる配線によって、互いに電気的に接続されるように形成され得る。具体的には、配線基板の使用において、異なる電子部品に接続され得る導体パッドOP同士が電気的に接続され得るように、導体層32は、その導体パターンとして導体パッドOP同士の接続を介在する配線BWを有するように形成され得る。
【0052】
次いで、
図4Dに示されるように、第1配線構造体WS1の第2面B側に第2支持板GS2が取り付けられる。図示されるように、第2支持板GS2としては、例えば、ガラス繊維やアラミド繊維などの芯材に絶縁性樹脂を含浸させた有機層ORの両面に銅箔cfが積層された両面銅張積層板が用いられ得る。第2支持板GS2は、銅箔cfと、第1配線構造体WS1の第2面Bとの間に第2接着層AL2を介在させて貼着される。なお、第2接着層AL2は、第1配線構造体WS1の第2面Bとの接着強さが、第2支持板GS2(具体的には、銅箔cf)の下面との接着強さよりも弱く接着される。例えば、第2接着層AL2が、第1接着層AL1について上述されたような、接合層及び粘着層の2層構造を有する場合には、接合層は銅箔cfと比較的強い接着強さで接着され、粘着層は第1配線構造体WS1の第2面Bと比較的弱い接着強さで接着され得る。
【0053】
次いで、
図4Eに示されるように、第1支持板GS1が、第1配線構造体WS1から取り外される。第1支持板GS1の取り外しが実施される時点において、第1接着層AL1と金属膜mfとの接着強さは、第1接着層AL1と第1支持板GS1との接着強さよりも小さい。従って、第1支持板GS1の取り外しにおいては、第1支持板GS1及び第1接着層AL1が一体として、金属膜mfから剥離される。また、第1接着層AL1と金属膜mfとの接着強さは、第2接着層AL2と第1配線構造体WS1の第2面Bとの接着強さ、並びに、第2接着層AL2と第2支持板GS2(具体的には、銅箔cf)との接着強さ、よりも小さい。従って、第1配線構造体WS1が第2支持板GS2によって安定して保持された状態で、第1支持板GS1及び第1接着層AL1が第1配線構造体WS1(具体的には、金属膜mf)から取り外され得る。
【0054】
次いで、
図4Fに示されるように、第1配線構造体WS1の下面に露出する金属膜mfがエッチングにより除去される。金属膜mfの除去により、第1配線構造体WS1の、導体パッドIP及び絶縁層31の表面で構成される第1面Aが露出する。この金属膜mfをエッチングにより除去する工程は、後述される、第1配線構造体WS1の開口110b内への配置の前に実施される。従って、本実施形態の配線基板の製造方法では第1配線構造体WS1へのエッチングが第2配線構造体WS2に対して影響を及ぼし難い。比較的歩留まりの高い配線基板の製造方法が提供され得る。
【0055】
次いで、
図4Gに示されるように、露出する第1面側導体パッドIPの表面(下面)に、例えばはんだからなる接合材であるバンプBPが形成される。バンプBPが形成された後、アンダーフィル用絶縁フィルムUFが、バンプBP及び絶縁層31の下面を覆うように設けられる。アンダーフィル用絶縁フィルムUFは、例えば真空下でバンプBP及び絶縁層31の下面に貼り付けられる。
【0056】
続いて、第1配線構造体WS1は、図示されるように、第2支持板GS2に支持された状態で開口110b内に設置される。開口110bの平面方向における寸法は、第1配線構造体WS1の平面方向における寸法よりも大きく形成されており、第1配線構造体WS1は、その側面及び上面の全体が露出するように、比較的位置合わせが容易に開口110b内の所望の位置に配置され得る。第1配線構造体WS1の開口110b内への設置においては、バンプBPと導体パッドP2の位置が対応するように位置合わせされる。アンダーフィル用絶縁フィルムUFが流動性を有するが顕著に硬化を開始しない程度の温度(例えば60~150℃程度)に加熱された状態で、バンプBPと導体パッドP2が接触するまで、下方向に加圧される。その後、バンプBPの溶融温度まで加熱され、バンプBPと第2導体パッドP2との接合が完了する。
【0057】
次いで、
図4Hに示されるように、第2支持板GS2が第1配線構造体WS1から取り外される。第2支持板GS2の取り外しが実施される時点で、第2支持板GS2と第1配線構造体WS1の第2面Bとの間に介在する第2接着層AL2と第1配線構造体WS1の第2面Bとの接着強さは、第2支持板GS2(具体的には、銅箔cf)との接着強さよりも小さい。従って、第2支持板GS2と第2接着層AL2とが一体的に第1配線構造体WS1の第2面Bから取り外されて除去され得る。
【0058】
実施形態の配線基板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されない。第1配線構造体WS1から第1支持板GS1及び第1接着層AL1を除去する工程、第1配線構造体WS1を第2配線構造体WS2へ接続する工程、及び、第2支持板GS2及び第2接着層AL2を第1配線構造体WS1から除去する工程の順序、並びに、第1及び第2接着層AL1、AL2に関する接着強さの関係以外の条件や順序などは適宜変更され得る。現に製造される配線基板の構造に応じて、一部の工程が省略されてもよく、別の工程が追加されてもよい。また、実施形態の配線基板の製造方法によって製造される配線基板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。例えば、第2配線構造体WS2は、コア基板及びビルドアップ部を有する構造体に限定されない。例えば、第2配線構造体WS2は任意の数の樹脂絶縁層及び配線層を有する、コア基板を有さない配線構造体であり得る。
【符号の説明】
【0059】
1 配線基板
10 第1ビルドアップ部
20 第2ビルドアップ部
13、23、33 ビア導体
101、11、21、31 絶縁層
102、12、22、32 導体層
100 コア基板
103 スルーホール導体
110a、110b、210a 開口
WS1 配線構造体(第1配線構造体)
WS2 配線構造体(第2配線構造体)
P1、P2 導体パッド
OP 導体パッド(第2面側導体パッド)
IP 導体パッド(第1面側導体パッド)
MP 接続要素
UF アンダーフィル用絶縁フィルム
BP バンプ
EA1、EA2、EA3 部品搭載領域
E1、E2、E3 電子部品
GS1 第1支持板
GS2 第2支持板
mf 金属膜