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特開2023-142050建具のパネル体の製造方法及び建具のパネル体
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  • 特開-建具のパネル体の製造方法及び建具のパネル体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142050
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】建具のパネル体の製造方法及び建具のパネル体
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/72 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
E06B3/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048717
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】小野 竜弥
(72)【発明者】
【氏名】古山 諄
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016HA06
2E016JA01
2E016KA05
2E016KA06
2E016LA01
2E016LB17
2E016LC02
2E016MA01
2E016MA11
2E016NA02
2E016NA05
2E016RA01
(57)【要約】
【課題】建具のパネル体の一対の面材の間に設けられるハニカムコアを加工せずに、パネル体の付属部品が取り付けられる取付孔の面材への加工を可能とする。
【解決手段】框体40は、ハニカムコア50の配置スペース5を囲み、付属部品の取付孔は、配置スペース5に開口して形成される。建具のパネル体3の製造方法は、ハニカムコア50を配置スペース5に配置する配置工程と、配置スペース5内で、取付孔の開口箇所60に空所用治具6を配置して、開口箇所60に空所を形成する空所形成工程と、一対の面材を互いの間に挟んだ框体40及びハニカムコア50に固定する固定工程と、一対の面材の少なくとも一方に、開口箇所60の空所に開口する取付孔を形成する孔形成工程と、を有する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハニカムコアの配置スペースを囲む框体を含む芯体が一対の面材の間に挟まれて、前記一対の面材の少なくとも一方に、付属部品の取付孔が前記配置スペースに開口して形成される建具のパネル体の製造方法であって、
前記ハニカムコアを前記配置スペースに配置する配置工程と、
前記配置スペース内で、前記取付孔の開口箇所に空所用治具を配置して、前記開口箇所から前記ハニカムコアを排除し、前記空所用治具を前記配置スペースから取り出して、前記開口箇所に前記ハニカムコアのない空所を形成する空所形成工程と、
前記開口箇所に前記空所を形成した状態で、前記一対の面材を互いの間に挟んだ前記框体及び前記ハニカムコアに固定する固定工程と、
前記一対の面材の少なくとも一方に、前記開口箇所の前記空所に開口する前記取付孔を形成する孔形成工程と、
を有する建具のパネル体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された建具のパネル体の製造方法において、
横桟を前記配置スペースに配置して前記框体の一対の縦框に接続し、
前記空所形成工程では、前記横桟が前記縦框に接続する箇所の前記配置スペースのコーナー部に前記空所用治具を配置して、前記配置スペースのコーナー部に位置する前記開口箇所に前記空所を形成する建具のパネル体の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載された建具のパネル体の製造方法において、
前記空所形成工程では、前記ハニカムコアのコーナー部を前記空所用治具の外方側に変形させて、前記空所を形成する建具のパネル体の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載された建具のパネル体の製造方法において、
前記空所形成工程では、前記配置スペースの縁部に前記空所用治具を配置し、前記ハニカムコアの縁部を前記空所用治具の外方側に変形させて、前記配置スペースの縁部に位置する前記開口箇所に前記空所を形成する建具のパネル体の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載された建具のパネル体の製造方法において、
前記孔形成工程では、前記一対の面材の両方に、同じ前記開口箇所の前記空所に開口する前記取付孔を形成する建具のパネル体の製造方法。
【請求項6】
ハニカムコアの配置スペースを囲む框体を含む芯体と、互いの間に前記芯体を挟む一対の面材と、前記一対の面材の少なくとも一方に前記配置スペースに開口して形成されて付属部品が取り付けられた取付孔と、を備えた建具のパネル体であって、
前記ハニカムコアは、前記配置スペースに前記取付孔の開口箇所から排除した状態に配置されて、前記配置スペース内の前記開口箇所に空所を形成し、
前記一対の面材は、互いの間に前記框体及び前記ハニカムコアを挟んで、前記框体及び前記ハニカムコアに固定され、
前記取付孔は、前記一対の面材の少なくとも一方に、前記開口箇所の前記空所に開口して形成された建具のパネル体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムコアと框体が一対の面材の間に挟まれた建具のパネル体の製造方法、及び、建具のパネル体に関する。
【背景技術】
【0002】
パネル体は、例えば、建具の障子、開閉体、又は、ドアパネルとして用いられている。パネル体の一対の面材は、芯体に固定されて、パネル体の両側の表面に設けられる。一対の面材の間にはハニカムコアが設けられることがあり、ハニカムコアが一対の面材の間に挟まれる。また、従来、ハニカム状のコア材が一対の面板の間に充填されて、付属部品であるドアハンドルが取り付けられたドアパネルが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来のドアパネルでは、ドアハンドルを取り付けるため、取付孔を一対の面板に形成する必要がある。ところが、取付孔の加工時には、取付孔の形成箇所で、コア材が面板とともに加工される。そのため、面板の加工屑とコア材の加工屑が混在した状態となり、加工屑の量も多くなる。また、加工屑がドアパネルの内部に残留する虞もある。コア材が紙製であるときには、コア材の加工面が粗くなり、加工屑がドアパネルの内部に残留する可能性も大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平3-47112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、建具のパネル体の一対の面材の間に設けられるハニカムコアを加工せずに、パネル体の付属部品が取り付けられる取付孔の面材への加工を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ハニカムコアの配置スペースを囲む框体を含む芯体が一対の面材の間に挟まれて、前記一対の面材の少なくとも一方に、付属部品の取付孔が前記配置スペースに開口して形成される建具のパネル体の製造方法であって、
前記ハニカムコアを前記配置スペースに配置する配置工程と、
前記配置スペース内で、前記取付孔の開口箇所に空所用治具を配置して、前記開口箇所から前記ハニカムコアを排除し、前記空所用治具を前記配置スペースから取り出して、前記開口箇所に前記ハニカムコアのない空所を形成する空所形成工程と、
前記開口箇所に前記空所を形成した状態で、前記一対の面材を互いの間に挟んだ前記框体及び前記ハニカムコアに固定する固定工程と、
前記一対の面材の少なくとも一方に、前記開口箇所の前記空所に開口する前記取付孔を形成する孔形成工程と、
を有する建具のパネル体の製造方法である。
また、本発明は、ハニカムコアの配置スペースを囲む框体を含む芯体と、互いの間に前記芯体を挟む一対の面材と、前記一対の面材の少なくとも一方に前記配置スペースに開口して形成されて付属部品が取り付けられた取付孔と、を備えた建具のパネル体であって、
前記ハニカムコアは、前記配置スペースに前記取付孔の開口箇所から排除した状態に配置されて、前記配置スペース内の前記開口箇所に空所を形成し、
前記一対の面材は、互いの間に前記框体及び前記ハニカムコアを挟んで、前記框体及び前記ハニカムコアに固定され、
前記取付孔は、前記一対の面材の少なくとも一方に、前記開口箇所の前記空所に開口して形成された建具のパネル体である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、建具のパネル体の一対の面材の間に設けられるハニカムコアを加工せずに、パネル体の付属部品が取り付けられる取付孔を面材に加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の建具を示す正面図である。
図2】第1実施形態の建具のパネル体を示す正面図である。
図3】第1実施形態の建具のパネル体を示す縦断面図である。
図4】第1実施形態の建具のパネル体の製造手順を示す図である。
図5】第1実施形態の建具のパネル体の製造手順を示す図である。
図6】第1実施形態の建具のパネル体の製造手順を示す図である。
図7】第2実施形態の建具を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の建具のパネル体の製造方法、及び、建具のパネル体の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形他の建具のパネル体は、建具に設けられる建具用のパネル状部材であり、本実施形態の建具のパネル体の製造方法により製造される。建具は、製造されたパネル体とともに建物に設置される。以下、引戸とドアの2つの建具のパネル体を例にとり、第1実施形態と第2実施形態について順に説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の建具1を示す正面図であり、建物に設置された建具1の概略構成を示している。
図示のように、建具1は、引戸の一例である片引戸であり、建物の室内に設置される。また、建具1は、建物に設置される枠体2と、枠体2の開口部2Aに配置された開閉可能なパネル体3を備えている。枠体2及び建具1は、建物の壁部の開口部に設置される。
【0011】
なお、建物に設けた建具1及びパネル体3を正面からみたときに、上下となる方向が上下方向であり、左右となる方向が左右方向である。図1では、上下方向は鉛直方向であり、左右方向は水平方向である。このように、建具1及びパネル体3に関する方向は、建物に設けた状態での方向で特定する。また、パネル体3の厚み方向は、建物に設けたパネル体3を正面からみたときに、前後となる方向(建具1の奥行方向)であり、図1では、左右方向に直交する水平方向である。
【0012】
枠体2は、開口枠(戸枠)であり、互いに組み合わされた複数の枠10、11(上枠10、一対の縦枠11)を有し、上枠10と一対の縦枠11により、方形状の開口部2Aを形成している。上枠10と縦枠11は、枠体2を構成する枠材である。上枠10は、枠体2の上部に位置する横枠であり、枠体2の開口部2Aの上縁部に沿って左右方向(横方向)に延びる。一対の縦枠11は、枠体2の左右の側部に位置する側枠であり、枠体2の開口部2Aの左右の側縁部に沿って上下方向(縦方向)に延びる。上枠10と左右の縦枠11の端部同士が接続されて、3つの枠10、11が枠組みされている。
【0013】
パネル体3は、方形状の扉体(戸パネル)であり、枠体2に移動可能に連結されている。パネル体3は、枠体2の開口部2Aで、左右方向にスライドして移動する。これにより、パネル体3は、枠体2の開口部2Aを閉鎖する閉鎖位置と枠体2の開口部2Aを開放する開放位置との間で移動して、閉鎖位置と開放位置に配置される。パネル体3により、枠体2の開口部2Aが開閉される。
【0014】
図2は、第1実施形態の建具1のパネル体3を示す正面図である。図3は、第1実施形態の建具1のパネル体3を示す縦断面図であり、図2のX-X線で切断したパネル体3の断面を示している。図3では、パネル体3の構造を模式的に示している。
図示のように、パネル体3は、一対の面材20と、一対の面材20の間に挟まれた芯体30と、パネル体3に付属する付属部品4と、付属部品4が取り付けられた取付孔21を備えている。一対の面材20は、パネル体3の板状の表面材(面板)であり、パネル体3の厚み方向Rの両側の表面に配置されている。
【0015】
芯体30は、パネル体3の芯となる部分(芯材)であり、パネル体3の厚み方向Rにおいて、一対の面材20の間に配置されている。一対の面材20は、パネル体3の厚み方向Rにおいて、芯体30の両側に位置し、互いの間に芯体30を挟んで配置されている。面材20は、接着剤により、芯体30の両面に接着されて、芯体30に接合されている。これにより、一対の面材20が、それぞれ芯体30に固定される。芯体30の両面は、芯体30におけるパネル体3の厚み方向Rの両側に位置する面であり、面材20により覆われている。
【0016】
芯体30は、一対の面材20の間に挟まれた框体40、横桟41、及び、ハニカムコア50を有している。框体40は、フレーム状の芯材であり、一対の面材20の間で、面材20の外周の縁部(外周部)に沿って配置されている。横桟41は、左右方向に延びる横材(横芯)である。ハニカムコア50は、ハニカム構造の芯材であり、ハニカム状に形成されている。横桟41及びハニカムコア50は、框体40の内側に配置されて、それぞれ框体40の内側に収容されている。芯体30の框体40、横桟41、及び、ハニカムコア50は、パネル体3の厚み方向Rの厚みを比較したときに、互いに同じ厚みに形成されている。一対の面材20は、互いの間に框体40、横桟41、及び、ハニカムコア50を挟んで、框体40、横桟41、及び、ハニカムコア50に固定されている。
【0017】
框体40は、ハニカムコア50の配置スペース5を形成している。配置スペース5は、ハニカムコア50の配置用のスペースであり、ハニカムコア50は、一対の面材20の間で、配置スペース5に配置されている。配置スペース5は、框体40の内側の空間であり、框体40により、框体40の内側に区画されている。框体40は、配置スペース5及び配置スペース5内のハニカムコア50を囲む。配置スペース5は、框体40をパネル体3の厚み方向Rに貫通する開口であり、パネル体3の厚み方向Rの両方向に向かって開放されている。一対の面材20は、互いの間に配置スペース5を挟んで、配置スペース5を全体にわたって覆う。配置スペース5は、パネル体3の厚み方向Rの両側で、面材20により塞がれる。
【0018】
付属部品4は、パネル体3に取り付けられた取付部品であり、パネル体3に付属して設けられている。取付孔21は、付属部品4の取付用の孔であり、一対の面材20のうちの少なくとも一方の面材20(一方の面材20、又は、両方の面材20)に貫通して形成されている。付属部品4は、一対の面材20のうちの少なくとも一方の面材20の取付孔21及び少なくとも一方の面材20に取り付けられている。取付孔21は、一対の面材20の少なくとも一方に、配置スペース5に開口して形成されている。
【0019】
ここでは、付属部品4は、パネル体3の引手であり、一対の面材20の両方に取り付けられて、パネル体3の厚み方向Rの両側に設けられている。そのため、付属部品4の取付孔21は、一対の面材20の両方に形成されている。取付孔21は、面材20の配置スペース5を覆う部分をパネル体3の厚み方向Rに貫通して、面材20の両面に開口する。パネル体3の厚み方向Rにおいて、取付孔21は、パネル体3の外部及び配置スペース5に開口して、パネル体3の外部及び配置スペース5に向かって開放されている。
【0020】
図4図6は、第1実施形態の建具1のパネル体3の製造手順を示す図であり、製造の各段階のパネル体3を正面からみて示している。
図示のように、框体40は、方形状に形成されたフレームであり、互いに組み合わされた複数の框42~44(上框42、下框43、一対の縦框44)を有している。上框42、下框43、及び、一対の縦框44は、框体40を構成する框材である。上框42と下框43は、框体40の上部と下部に位置する横框であり、配置スペース5の上縁部と下縁部に沿って左右方向に延びる。一対の縦框44は、框体40の左右の側部に位置する側框であり、配置スペース5の左右の側縁部に沿って上下方向に延びる。上框42、下框43、及び、左右の縦框44の端部同士が接続されて、4つの框42~44が枠組みされている。
【0021】
上框42と下框43は、一対の横材(横芯)であり、一対の縦框44は、一対の縦材(縦芯)である。框体40は、上框42、下框43、及び、一対の縦框44により、方形状の配置スペース5を形成している。1つの横桟41を配置スペース5に配置して框体40の一対の縦框44に接続している。横桟41は、配置スペース5を左右方向に横断して、一対の縦框44に架け渡され、配置スペース5を上下方向に区画している。
【0022】
框体40内の配置スペース5は、横桟41により、2つの配置スペース5A、5B(上配置スペース5A、下配置スペース5B)に区画されている。上配置スペース5Aは、横桟41の上方に区画される配置スペース5であり、下配置スペース5Bは、横桟41の下方に区画される配置スペース5である。横桟41は、上配置スペース5Aと下配置スペース5Bの間に位置している。
【0023】
ハニカムコア50は、紙製のペーパーハニカムコアであり、構成材51により形成されている。また、ハニカムコア50は、多数の筒状のセル52の集合体である。構成材51は、ハニカムコア50を構成する紙製の帯材であり、ハニカム状に組み合わされて、ハニカム構造を構成している。セル52は、環状(筒状)の構成材51により、中空形状に形成されており、空隙53を有している。空隙53は、セル52及びハニカムコア50をパネル体3の厚み方向Rに貫通して、パネル体3の厚み方向Rの両方向に向かって開放されている。構成材51は、セル52の壁材であり、セル52の空隙53を囲む。
【0024】
ハニカムコア50及び多数のセル52は、配置スペース5内に充填され、多数のセル52は、上下方向及び左右方向に並列して集合する。セル52の形状は、特に限定されず、セル52は、パネル体3の厚み方向Rからみて、環状(例えば、六角形状、方形状、三角形状、その他の多角形状、円形状、楕円形状)に形成される。このように、ハニカムコア50のセル52は、筒部であればよく、様々な形状の筒状に形成可能である。ここでは、セル52は、パネル体3の厚み方向Rからみて方形状に形成された角筒部である。
【0025】
パネル体3の製造時には、框体40を組み立てて、横桟41を框体40に取り付ける。また、框体40を作業台の上に乗せる。続いて、ハニカムコア50を框体40の配置スペース5内に入れて、ハニカムコア50を配置スペース5内に広げて配置する。これにより、ハニカムコア50を配置スペース5の全体にわたって配置して、配置スペース5をハニカムコア50で埋める。その際、ハニカムコア50を横桟41の上方と下方の配置スペース5(上配置スペース5A、下配置スペース5B)のそれぞれに配置して、ハニカムコア50を配置スペース5に収容する。横桟41は、上配置スペース5A内のハニカムコア50(上ハニカムコア)と下配置スペース5B内のハニカムコア50(下ハニカムコア)の間に挟まれて配置される。
【0026】
次に、配置スペース5内で、面材20に形成する取付孔21の開口箇所60に空所用治具6を配置する(図4参照)。取付孔21の開口箇所60は、配置スペース5における取付孔21が開口する箇所である。空所用治具6は、配置スペース5に空所7を形成するための治具(空所形成部材)であり、取付孔21よりも大きく形成されている。空所用治具6を用いて、空所用治具6の配置される箇所(配置箇所)に位置するハニカムコア50(構成材51)を排除する。これにより、取付孔21の開口箇所60からハニカムコア50を排除する。その状態で、空所用治具6を配置スペース5及び取付孔21の開口箇所60から取り出して、取付孔21の開口箇所60に、ハニカムコア50のない空所7を形成する(図5参照)。
【0027】
空所用治具6により、取付孔21の開口箇所60に空所7を確保する。空所7は、取付孔21よりも大きく形成される。ハニカムコア50及び構成材51は、空所用治具6及び空所7の周囲に位置する。図4図5では、空所用治具6及び空所7の周囲に位置する構成材51を模式的に鎖線で示している。
【0028】
空所7の形成時には、配置スペース5内の取付孔21の開口箇所60からハニカムコア50の構成材51を排除しつつ、取付孔21の開口箇所60に空所用治具6を配置する。その際、構成材51を空所用治具6の配置箇所から押し退けて、構成材51及びハニカムコア50を空所用治具6の外周部に沿って変形させる。また、空所用治具6の配置箇所に位置する構成材51の一部又は全部をハニカムコア50から除去してもよい。構成材51及びハニカムコア50を空所用治具6の外方側に変形させて、構成材51及びハニカムコア50を空所用治具6の周囲に配置する。
【0029】
ここでは、取付孔21は、面材20に、配置スペース5のコーナー部61に開口して形成される。そのため、取付孔21の開口箇所60は、配置スペース5のコーナー部61に位置している。配置スペース5のコーナー部61は、上配置スペース5A又は下配置スペース5B(ここでは、下配置スペース5B)で、横桟41が縦框44に接続する箇所に位置するコーナー部である。配置スペース5(下配置スペース5B)内で、横桟41が一方の縦框44に接続する箇所の配置スペース5のコーナー部61に空所用治具6を配置して、配置スペース5のコーナー部61に位置する取付孔21の開口箇所60に空所7を形成する。
【0030】
空所用治具6は、横桟41と縦框44に接触して、配置スペース5のコーナー部61に嵌まり、配置スペース5のコーナー部61を埋める。空所用治具6により、配置スペース5のコーナー部61に位置するハニカムコア50のコーナー部を取付孔21の開口箇所60から排除する。その際、ハニカムコア50のコーナー部(コーナー部の構成材51)を空所用治具6の外方側に変形させる。これにより、ハニカムコア50のコーナー部を空所用治具6の外周部に沿って変形させて、ハニカムコア50のコーナー部に凹部54を形成する。空所用治具6は、凹部54に嵌まる。空所用治具6を配置スペース5のコーナー部61及び凹部54から取り出して、配置スペース5のコーナー部61及びハニカムコア50のコーナー部に位置する取付孔21の開口箇所60に空所7を形成する。
【0031】
取付孔21の開口箇所60に空所7を形成する前又は後に、ハニカムコア50の縁部(縁部に位置する構成材51)の複数箇所を框体40と横桟41に取り付けて、ハニカムコア50を框体40と横桟41に固定する。ハニカムコア50の固定により、空所7が維持される。また、空所7の周囲に位置するハニカムコア50の構成材51を框体40の縦框44と横桟41に取り付けて、空所7を維持してもよい。ハニカムコア50は、配置スペース5に取付孔21の開口箇所60から排除した状態に配置されて、配置スペース5内の取付孔21の開口箇所60に空所7を形成する。
【0032】
取付孔21の開口箇所60に空所7を形成した状態で、框体40、ハニカムコア50、及び、横桟41を含む芯体30を一対の面材20の間に挟んで、一対の面材20を芯体30に固定する(図6参照)。これにより、一対の面材20を互いの間に挟んだ框体40、ハニカムコア50、及び、横桟41に固定する。面材20の固定時には、パネル体3の厚み方向Rの両側で、芯体30に接着剤を塗布し、芯体30を一対の面材20の間に配置する。芯体30を一対の面材20の間に挟んで、接着剤により、一対の面材20を芯体30に接合する。一対の面材20は、芯体30の框体40、ハニカムコア50、及び、横桟41の両面に接合されて固定される。
【0033】
次に、一対の面材20の少なくとも一方に、孔加工を施して、配置スペース5内の取付孔21の開口箇所60の空所7に向かって取付孔21を形成する。これにより、取付孔21は、一対の面材20の少なくとも一方に、取付孔21の開口箇所60の空所7に開口して形成される。また、取付孔21は、配置スペース5のコーナー部61に位置する取付孔21の開口箇所60の空所7に開口する。ハニカムコア50は、取付孔21の開口箇所60の外側に位置するため、取付孔21が空所7に開口しても、取付孔21に続いて加工されずに、取付孔21の周囲の位置に配置される。
【0034】
ここでは、一対の面材20の両方に、同じ取付孔21の開口箇所60の空所7に開口する取付孔21をそれぞれ形成する。一対の面材20の取付孔21は、共通の空所7に開口して形成される。これにより、パネル体3に貫通孔62が形成される。貫通孔62は、一対の面材20の取付孔21、及び、一対の面材20の取付孔21の間に位置する空所7からなり、パネル体3を厚み方向Rに貫通する。その後、一対の面材20の取付孔21のそれぞれに付属部品4を取り付けて、付属部品4を取付孔21に装着する。
【0035】
以上説明したように、取付孔21を空所7に開口させて形成することで、ハニカムコア50を加工することなく、取付孔21を面材20に加工することができる。また、取付孔21の加工に伴い、面材20の加工屑のみが生じ、ハニカムコア50の加工屑は生じない。そのため、面材20の加工屑がハニカムコア50の加工屑に混ざることがなく、ハニカムコア50の加工屑がパネル体3の内部に残留することもない。取付孔21の開口箇所60の周囲に位置するハニカムコア50の構成材51により、面材20の加工屑を受けて、面材20の加工屑がパネル体3の内部に入るのを抑制することができる。面材20の加工屑がパネル体3の内部に入ったときでも、面材20の加工屑をパネル体3の内部から容易に除去することができる。
【0036】
横桟41により、一対の縦框44を拘束して、縦框44の左右方向の変形を抑制することができる。また、空所用治具6は、配置スペース5のコーナー部61に配置される。そのため、配置スペース5のコーナー部61に開口する取付孔21を形成するときに、空所用治具6を配置スペース5内の取付孔21の開口箇所60に正確かつ容易に配置して、取付孔21の開口箇所60に空所7を確実に形成することができる。ハニカムコア50のコーナー部を変形させることで、取付孔21の開口箇所60に空所7を容易に形成することもできる。
【0037】
一対の面材20のそれぞれの取付孔21は、同じ空所7に開口する。そのため、ハニカムコア50を加工せずに、一対の面材20の同じ箇所に取付孔21を容易に形成することができる。また、2つの取付孔21を含む貫通孔62をパネル体3に容易に形成することができる。
【0038】
なお、面材20の取付孔21は、配置スペース5のコーナー部61以外の箇所(例えば、縁部、縁部よりも中央部側の箇所)に開口して形成してもよい。配置スペース5の縁部は、配置スペース5における框体40又は横桟41に沿う部分である。取付孔21を配置スペース5の縁部に開口して形成する場合には、取付孔21の開口箇所60は、配置スペース5の縁部に位置する。また、空所7の形成時には、配置スペース5内で、配置スペース5の縁部に空所用治具6を配置する。空所用治具6は、框体40又は横桟41に接触する。
【0039】
空所用治具6により、配置スペース5の縁部に位置するハニカムコア50の縁部を取付孔21の開口箇所60から排除する。その際、ハニカムコア50の縁部(縁部の構成材51)を空所用治具6の外方側に変形させる。これにより、ハニカムコア50の縁部を空所用治具6の外周部に沿って変形させて、ハニカムコア50の縁部に凹部を形成する。空所用治具6は、凹部に嵌まる。空所用治具6を配置スペース5の縁部及び凹部から取り出して、配置スペース5の縁部及びハニカムコア50の縁部に位置する取付孔21の開口箇所60に空所7を形成する。取付孔21は、配置スペース5の縁部に位置する取付孔21の開口箇所60の空所7に開口する。ハニカムコア50の縁部の変形により、取付孔21の開口箇所60に空所7を容易に形成することができる。
【0040】
ハニカムコア50は、コーナー部及び縁部に設けられた開放部分を有している。ハニカムコア50の開放部分は、ハニカムコア50のコーナー部及び縁部でセル52の外側に位置する部分であり、ハニカムコア50の外方側に向かって開放されている。ハニカムコア50の開放部分では、構成材51がセル52からハニカムコア50の外方側に向かって突出して、構成材51により、開放空間が形成される。ハニカムコア50のコーナー部又は縁部に空所7を形成するときには、空所用治具6をハニカムコア50の開放部分(開放空間)に嵌めるようにしてもよい。この場合には、ハニカムコア50の開放部分を空所用治具6の外周部に沿って変形させて、ハニカムコア50の開放部分に空所7を形成する。
【0041】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態の建具1を示す正面図であり、建物に設置された建具1の概略構成を示している。
図示のように、建具1は、ドアであり、パネル体3は、ドアパネルである。パネル体3の付属部品4は、ハンドルであり、パネル体3を貫通して、取付孔21に取り付けられている。
【0042】
なお、建具1は、引戸とドア以外の建具であってもよく、パネル体3は、種々の建具のパネル体に用いることができる。また、付属部品4は、引手とハンドルに限定されず、パネル体3に付属する他の部品(例えば、錠、操作部品、小窓)であってもよい。1つの付属部品4を1つの取付孔21に取り付けてもよく、複数の付属部品4を1つの取付孔21に取り付けてもよい。1つの取付孔21を面材20に形成してもよく、複数の取付孔21を面材20に形成してもよい。横桟41を芯体30に設けないようにしてもよい。
【0043】
以上のとおり、パネル体の製造方法は、
ハニカムコアの配置スペースを囲む框体を含む芯体が一対の面材の間に挟まれて、前記一対の面材の少なくとも一方に、付属部品の取付孔が前記配置スペースに開口して形成される建具のパネル体の製造方法であって、
前記ハニカムコアを前記配置スペースに配置する配置工程と、
前記配置スペース内で、前記取付孔の開口箇所に空所用治具を配置して、前記開口箇所から前記ハニカムコアを排除し、前記空所用治具を前記配置スペースから取り出して、前記開口箇所に前記ハニカムコアのない空所を形成する空所形成工程と、
前記開口箇所に前記空所を形成した状態で、前記一対の面材を互いの間に挟んだ前記框体及び前記ハニカムコアに固定する固定工程と、
前記一対の面材の少なくとも一方に、前記開口箇所の前記空所に開口する前記取付孔を形成する孔形成工程と、
を有する建具のパネル体の製造方法である。
従って、建具のパネル体の一対の面材の間に設けられるハニカムコアを加工せずに、パネル体の付属部品が取り付けられる取付孔を面材に加工することができる。
【0044】
横桟を前記配置スペースに配置して前記框体の一対の縦框に接続し、
前記空所形成工程では、前記横桟が前記縦框に接続する箇所の前記配置スペースのコーナー部に前記空所用治具を配置して、前記配置スペースのコーナー部に位置する前記開口箇所に前記空所を形成する。
従って、配置スペースのコーナー部に開口する取付孔を形成するときに、空所用治具を配置スペース内の取付孔の開口箇所に正確かつ容易に配置して、取付孔の開口箇所に空所を確実に形成することができる。
【0045】
前記空所形成工程では、前記ハニカムコアのコーナー部を前記空所用治具の外方側に変形させて、前記空所を形成する。
従って、配置スペースのコーナー部に開口する取付孔を形成するときに、ハニカムコアのコーナー部の変形により、取付孔の開口箇所に空所を容易に形成することができる。
【0046】
前記空所形成工程では、前記配置スペースの縁部に前記空所用治具を配置し、前記ハニカムコアの縁部を前記空所用治具の外方側に変形させて、前記配置スペースの縁部に位置する前記開口箇所に前記空所を形成する。
従って、配置スペースの縁部に開口する取付孔を形成するときに、ハニカムコアの縁部の変形により、取付孔の開口箇所に空所を容易に形成することができる。
【0047】
前記孔形成工程では、前記一対の面材の両方に、同じ前記開口箇所の前記空所に開口する前記取付孔を形成する。
従って、ハニカムコアを加工せずに、一対の面材に取付孔を容易に形成することができる。また、2つの取付孔を含む貫通孔をパネル体に容易に形成することができる。
【0048】
建具のパネル体は、
ハニカムコアの配置スペースを囲む框体を含む芯体と、互いの間に前記芯体を挟む一対の面材と、前記一対の面材の少なくとも一方に前記配置スペースに開口して形成されて付属部品が取り付けられた取付孔と、を備えた建具のパネル体であって、
前記ハニカムコアは、前記配置スペースに前記取付孔の開口箇所から排除した状態に配置されて、前記配置スペース内の前記開口箇所に空所を形成し、
前記一対の面材は、互いの間に前記框体及び前記ハニカムコアを挟んで、前記框体及び前記ハニカムコアに固定され、
前記取付孔は、前記一対の面材の少なくとも一方に、前記開口箇所の前記空所に開口して形成された建具のパネル体である。
従って、建具のパネル体の一対の面材の間に設けられるハニカムコアを加工せずに、パネル体の付属部品が取り付けられる取付孔を面材に加工することができる。
【符号の説明】
【0049】
1・・・建具、2・・・枠体、2A・・・開口部、3・・・パネル体、4・・・付属部品、5・・・配置スペース、5A・・・上配置スペース、5B・・・下配置スペース、6・・・空所用治具、7・・・空所、10・・・上枠、11・・・縦枠、20・・・面材、21・・・取付孔、30・・・芯体、40・・・框体、41・・・横桟、42・・・上框、43・・・下框、44・・・縦框、50・・・ハニカムコア、51・・・構成材、52・・・セル、53・・・空隙、54・・・凹部、60・・・開口箇所、61・・・コーナー部、62・・・貫通孔、R・・・厚み方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7