(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142145
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
B66C 15/00 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
B66C15/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048872
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】小川 洋平
(72)【発明者】
【氏名】角尾 泰輔
【テーマコード(参考)】
3F204
【Fターム(参考)】
3F204AA04
3F204BA02
3F204CA05
3F204FA02
3F204FC10
(57)【要約】
【課題】本発明は、メンテナンス作業等の安全性を確保しつつ、昇降部材による昇降を容易かつ確実に行うことができる建設機械を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様に係る建設機械は、第1通路と、上記第1通路から下方に延びる昇降部材とを備える建設機械であって、上記第1通路に、上記昇降部材への連絡用の開口と、上記開口の周縁部に配置されたヒンジ軸を中心に回転可能で、上記開口を閉塞可能な蓋体とが設けられており、上記蓋体が、上記開口を閉塞する第1位置と、上記開口に対して上方に回転された第2位置とで保持可能に構成されており、上記蓋体が、上記第1位置における下面側に開閉用の取っ手を有しており、上記取っ手が、上記第2位置で、上記昇降部材用の手摺りとなるように設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通路と、
上記第1通路から下方に延びる昇降部材と
を備える建設機械であって、
上記第1通路に、上記昇降部材への連絡用の開口と、上記開口の周縁部に配置されたヒンジ軸を中心に回転可能で、上記開口を閉塞可能な蓋体とが設けられており、
上記蓋体が、上記開口を閉塞する第1位置と、上記開口に対して上方に回転された第2位置とで保持可能に構成されており、
上記蓋体が、上記第1位置における下面側に開閉用の取っ手を有しており、
上記取っ手が、上記第2位置で、上記昇降部材用の手摺りとなるように設けられる建設機械。
【請求項2】
上記取っ手が、上記第2位置で上記昇降部材の昇降方向に延びる把持部を有する請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
上記取っ手が、棒部材又はパイプ部材である請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
上記第1通路の側部に沿って落下防止用の柵体が配置されており、
上記蓋体が、上記第2位置で上記柵体に固定される請求項1、請求項2又は請求項3に記載の建設機械。
【請求項5】
上記柵体が、上記蓋体が第2位置に配置された状態で、上記取っ手に連続して配置される手摺り部を有する請求項4に記載の建設機械。
【請求項6】
上記昇降部材が階段部材である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項7】
上下方向に延びるポストと、
上記ポストに回転可能に支持される旋回フレームを有する旋回体と
を備えており、
上記第1通路が上記旋回フレームに配置されている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項8】
上記第1通路の下方に配置される第2通路をさらに備えており、
上記昇降部材が、上記第1通路と上記第2通路とを連絡するように設けられている請求項7に記載の建設機械。
【請求項9】
上記昇降部材及び上記第2通路が、上記第1通路と一体的に旋回するように上記旋回体に配置されている請求項8に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
上部旋回体を回転可能に支持するポストを備えるハイポスト仕様の建設機械が知られている。この建設機械としては、ポストから上部旋回体に至る通路を有するものが公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、ポストに設けられた中間ステップと上部旋回体に設けられた本体側ステップとが上階段によって昇降可能に連絡された構成が記載されている。特許文献1に記載されている建設機械は、本体側ステップが、床板部と、床板部の周縁部を取り囲んで設けられた棒状の手摺りとを有している。この建設機械は、床板部に、上階段に連絡するための開口が設けられており、この開口を通ってオペレータが本体側ステップに移動できるように構成されている。
【0005】
このような建設機械では、本体側ステップ上でメンテナンス作業を行うことがある。しかしながら、特許文献1に記載されているような従来の構成においては、開口を避けた位置をメンテナンス時の足場とすることを要する。その結果、この建設機械では、所望の姿勢でメンテナンス作業を行い難い場合がある。
【0006】
上記不都合に鑑みて、本発明は、メンテナンス作業等の安全性を確保しつつ、昇降部材による昇降を容易かつ確実に行うことができる建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る建設機械は、第1通路と、上記第1通路から下方に延びる昇降部材とを備える建設機械であって、上記第1通路に、上記昇降部材への連絡用の開口と、上記開口の周縁部に配置されたヒンジ軸を中心に回転可能で、上記開口を閉塞可能な蓋体とが設けられており、上記蓋体が、上記開口を閉塞する第1位置と、上記開口に対して上方に回転された第2位置とで保持可能に構成されており、上記蓋体が、上記第1位置における下面側に開閉用の取っ手を有しており、上記取っ手が、上記第2位置で、上記昇降部材用の手摺りとなるように設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る建設機械は、メンテナンス作業等の安全性を確保しつつ、昇降部材による昇降を容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る建設機械を示す模式的背面図である。
【
図3】
図3は、
図1の建設機械における第1通路と第2通路との連絡部分を示す模式的斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の建設機械において第1位置に配置されている蓋体を下方側から見た模式的斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1の建設機械において第2位置に配置されている蓋体を旋回フレームの回転軸側から見た模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本発明の一態様に係る建設機械は、第1通路と、上記第1通路から下方に延びる昇降部材とを備える建設機械であって、上記第1通路に、上記昇降部材への連絡用の開口と、上記開口の周縁部に配置されたヒンジ軸を中心に回転可能で、上記開口を閉塞可能な蓋体とが設けられており、上記蓋体が、上記開口を閉塞する第1位置と、上記開口に対して上方に回転された第2位置とで保持可能に構成されており、上記蓋体が、上記第1位置における下面側に開閉用の取っ手を有しており、上記取っ手が、上記第2位置で、上記昇降部材用の手摺りとなるように設けられる。
【0012】
当該建設機械によると、オペレータ等は、上記蓋体を上記第2位置に保持することで上記昇降部材によって昇降することができると共に、上記蓋体を上記第1位置に保持することで上記蓋体を足場としてメンテナンス作業を行うことができる。当該建設機械は、上記蓋体が、上記第1位置における下面側に上記取っ手を有しているので、オペレータ等は、上記取っ手を把持して上記蓋体を上記第2位置に容易に揺動できると共に、この蓋体を上記第2位置に保持した状態で、上記取っ手を上記昇降部材用の手摺りとして使用することができる。従って、当該建設機械は、メンテナンス作業等の安全性を確保しつつ、上記昇降部材による昇降を容易かつ確実に行うことができる。
【0013】
上記取っ手が、上記第2位置で上記昇降部材の昇降方向に延びる把持部を有するとよい。このように、上記取っ手が、上記第2位置で上記昇降部材の昇降方向に延びる把持部を有することによって、上記取っ手を上記昇降部材用の手摺りとして用いやすい。
【0014】
上記取っ手が、棒部材又はパイプ部材であるとよい。このように、上記取っ手が、棒部材又はパイプ部材であることによって、上記取っ手を把持することで上記蓋体を容易に開閉できると共に、上記取っ手を上記昇降部材用の手摺りとして用いやすい。
【0015】
上記第1通路の側部に沿って落下防止用の柵体が配置されており、上記蓋体が、上記第2位置で上記柵体に固定されるとよい。このように、上記第1通路の側部に沿って落下防止用の柵体が配置されており、上記蓋体が、上記第2位置で上記柵体に固定されることによって、上記蓋体を上記第2位置で容易に固定できると共に、上記蓋体がオペレータ等の移動の妨げになり難い。
【0016】
上記柵体が、上記蓋体が第2位置に配置された状態で、上記取っ手に連続して配置される手摺り部を有するとよい。このように、上記柵体が、上記蓋体が第2位置に配置された状態で、上記取っ手に連続して配置される手摺り部を有することによって、上記昇降部材による昇降をより容易かつ確実に行うことができる。
【0017】
上記昇降部材が階段部材であるとよい。このように、上記昇降部材が階段部材であることによって、上記取っ手を用いてより容易かつ確実に昇降することができる。
【0018】
当該建設機械は、上下方向に延びるポストと、上記ポストに回転可能に支持される旋回フレームを有する旋回体とを備えており、上記第1通路が上記旋回フレームに配置されているとよい。当該建設機械は、上記ポスト及び上記旋回体を備えるようなハイポスト仕様の建設機械におけるメンテナンス作業の安全性を効果的に向上するのに適している。
【0019】
当該建設機械は、上記第1通路の下方に配置される第2通路をさらに備えており、上記昇降部材が、上記第1通路と上記第2通路とを連絡するように設けられているとよい。このように構成されることで、上記第1通路上でのメンテナンス作業等の安全性を確保しつつ、上記第1通路と上記第2通路との間の昇降を容易かつ確実に行うことができる。
【0020】
上記昇降部材及び上記第2通路が、上記第1通路と一体的に旋回するように上記旋回体に配置されているとよい。このように構成されることで、上記旋回体のメンテナンス作業、及び上記第1通路と上記第2通路との間の昇降をより容易かつ確実に行うことができる。
【0021】
なお、本発明において、「上」とは、建設機械を水平面に配置した状態における上を意味し、「下」とは、建設機械を水平面に配置した状態における下を意味する。
【0022】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0023】
<建設機械>
図1から
図3に示すように、当該建設機械10は、第1通路1と、第1通路1から下方に延びる昇降部材2とを備える。また、当該建設機械10は、第1通路1の下方に配置される第2通路3を備える。
図3に示すように、第1通路1には、昇降部材2への連絡用の開口11と、開口11の周縁部に配置されたヒンジ軸12を中心に回転可能で、開口11を閉塞可能な蓋体13とが設けられている。
【0024】
当該建設機械10は、上下方向に延びるポスト20と、ポスト20に回転可能に支持される旋回フレーム31を有する旋回体30(上部旋回体)とを備えている。当該建設機械10は、いわゆるハイポスト仕様の建設機械である。ポスト20の上端部には、旋回フレーム31を回転可能に支持するためのベアリング(不図示)が配置されている。なお、当該建設機械10において、ポスト20は、走行体(下部走行体)によって下方から支持されていてもよく、設置面に固定されていてもよい。また、当該建設機械10の種類としては、特に限定されるものではなく、例えばクレーン、油圧ショベル等が挙げられる。
【0025】
(旋回体)
旋回体30は、上述のようにポスト20に回転可能に支持される旋回フレーム31を有する。旋回フレーム31には、作業部材32、ガード33、キャブ34等が配置されている。作業部材32としては、特に限定されるものではなく、当該建設機械10の用途に応じて選択可能である。ガード33は、エンジン等の部材を内部に収容する構造体であり、その内部空間がエンジンルームを構成している。ガード33は、第1通路1に沿うように設けられており、開口11に隣接する位置を含んで配置されている。キャブ34は、オペレータが搭乗する運転室である。キャブ34は、第1通路1からアクセスできるように設けられており、本実施形態では、旋回フレーム31の右側前方(作業部材32が配置された側を「前」とした場合の右側前方)に配置されている。
【0026】
当該建設機械10は、第1通路1に設けられている上述の蓋体13を足場として、旋回体30、より詳しくは旋回体30のガード33内に配置された部材のメンテナンスを行うことができるように設けられている。以下、
図4及び
図5を参照しつつ、第1通路1、蓋体13、昇降部材2及び第2通路3の具体的な構成について説明する。
【0027】
(第1通路)
第1通路1は、フレーム1aと、このフレーム1aに配置される床部材1bとを含む。第1通路1には、フレーム1aによって画定される隙間として、オペレータ等が通過可能な上述の開口11が設けられている。
【0028】
第1通路1は、概略水平方向(当該建設機械10を水平面に配置した状態における水平方向)に延びている。第1通路1は、旋回フレーム31に配置されている。第1通路1は、旋回フレーム31の側方(より詳しくは、作業部材32が配置された側を「前」とした場合の右側の側方)で、前後方向に延びている。このように設けられることで、第1通路1は、旋回フレーム31上で、キャブ34にアクセスするための通路として形成されている。なお、当該建設機械10において、第1通路1の配置は特に限定されるものではなく、旋回フレーム31の左側の側方に設けられていてもよく、旋回フレーム31の左右両側に設けられていてもよい。
【0029】
第1通路1の側部には、落下防止用の柵体14が配置されている。柵体14は、第1通路1の側部に沿って延びている。より詳しくは、柵体14は、第1通路1の左右方向における外側の側部に沿って延びている。なお、当該建設機械10では、第1通路1の左右方向における内側の側部には、柵体14は配置されていなくてもよい。当該建設機械10では、第1通路1の内側には、上述のガード33が配置されている。そのため、ガード33内に配置された部材のメンテナンスを容易に行う観点からは、ガード33を第1通路1に近接して配置し、ガード33自体を落下防止用の部材として用いることが好ましい。
【0030】
柵体14は、手摺り部14aを有する。手摺り部14aは、後述するように蓋体13が第2位置P2に配置された状態で、蓋体13に設けられている取っ手15に連続するように配置されている。より詳しく説明すると、手摺り部14aは、蓋体13が第2位置P2に配置されている状態で蓋体13と重なり合う部分には設けられておらず、蓋体13とは重ならない位置で、かつ蓋体13に近接する位置から取っ手15に連続するように延びている。この手摺り部14aは、蓋体13に設けられている取っ手15と合わせて、昇降部材2を昇降する際にオペレータ等が使用する手摺りとして機能する。当該建設機械10は、柵体14が、第2位置P2における取っ手15に連続して配置される手摺り部14aを有することで、昇降部材2による昇降をより容易かつ確実に行うことができる。また、当該建設機械10は、柵体14が、蓋体13と重なり合う部分には手摺り部14aを有していないので、手摺り部14aが蓋体13を第2位置P2に保持する妨げとならない。そのため、蓋体13を柵体14に当接するように容易に保持することができ、その結果取っ手15と手摺り部14aとを近接して配置しやすい。
【0031】
手摺り部14aは、蓋体13が第2位置P2に配置されている状態で取っ手15と平行に延びる部分を有していることが好ましい。また、この部分は、手摺り部14aの下端部を含む位置に設けられていることが好ましい。このように構成されることで、昇降部材2による昇降をより容易かつ確実に行うことができる。
【0032】
(蓋体)
蓋体13は、例えば平面視矩形状である。蓋体13は、その外縁に沿って設けられるフレーム13aと、このフレーム13aに配置される床部材13bとを含む。
図4及び
図5に示すように、蓋体13は、開口11を閉塞する第1位置P1と、開口11に対して上方に回転された第2位置P2とで保持可能に構成されている。
【0033】
蓋体13は、第1位置P1において、例えば開口11の下側の周縁に配置されるフランジ、支持板、支持パッド等の支持部材によって下方から支持される。これによって、蓋体13は、第1位置P1よりも下方に回転することが防止される。また、蓋体13は、第2位置P2において、例えばフックやピン等の係止部材によって柵体14に固定される。上記支持部材及び上記係止部材の具体的な構成や、材質は特に限定されない。当該建設機械10は、蓋体13が、第2位置P2で柵体14に固定されることで、蓋体13を第2位置P2で容易に固定できると共に、蓋体13がオペレータ等の移動の妨げになり難い。
【0034】
蓋体13は、第1位置P1と第2位置P2とで略直交するように配置される。すなわち、第1位置P1と第2位置P2との間の回転角度は略90°である。
【0035】
蓋体13は、第1位置P1における下面側に開閉用の取っ手15を有する。取っ手15は、第2位置P2で、昇降部材2用の手摺りとなるように設けられている。つまり、取っ手15は、蓋体13を第1位置P1と第2位置P2との間で回転させる際の持ち手として機能すると共に、昇降部材2を昇降する際の手摺りとしても機能する。このように、取っ手15を蓋体13の開閉用、兼手摺り用として設けることで、部品点数の増加を抑えて建設機械10全体の簡素化を図ることができる。
【0036】
図5に示すように、取っ手15は、第2位置P2で昇降部材2の昇降方向に延びる把持部15aを有する。このように構成されていることで、取っ手15を昇降部材2用の手摺りとして用いやすい。
【0037】
把持部15aは直線状である。把持部15aは、蓋体13と間隔を空けて、かつ蓋体13と平行に延びている。取っ手15は、把持部15aと、把持部15aの端部と蓋体13とに接続される一対の接続部15bとを有する。取っ手15は、全体としてU字状であり、より詳しくは角U字(コ字状)である。なお、「角U字状」とは、角部が丸められている形状を含む。
【0038】
把持部15aは、第1位置P1において第1通路1を幅方向に横断するように延びている。把持部15aは、例えば第1位置P1において第1通路1の幅方向に対向するフレーム13a間に掛け渡されるように延びている。把持部15aがこのように設けられていることで、把持部15aを昇降部材2用の手摺りとして容易に用いることができる。
【0039】
取っ手15は、例えば棒部材又はパイプ部材である。この構成によると、取っ手15を把持することで蓋体13を容易に開閉できると共に、取っ手15を昇降部材2用の手摺りとして用いやすい。なお、「棒」及び「パイプ」とは、部分的に湾曲している構成を含む。
【0040】
上述のように、取っ手15は、第2位置P2において手摺り部14aと連続して配置される。つまり、蓋体13が第2位置P2に配置された状態で、手摺り部14aは、把持部15aと間隔を空けて、かつ把持部15aの上端部分から連続して把持部15aの延在方向に延びるように配置される。
【0041】
(昇降部材)
昇降部材2は、第1通路1の開口11に連絡するように設けられている。この構成によると、昇降部材2を第1通路1の直下に配置でき、昇降部材2を第1通路1よりも外側に張り出して設けることを要しない。その結果、建設機械10全体のコンパクト化を図ることができる。また、この構成によると、張り出し部分を補強するための部材を設けなくてもよいので、部品点数を削減できると共に、通路の安全性を確保しやすい。
【0042】
昇降部材2は、階段部材である。すなわち、昇降部材2は、昇降方向に沿って配置される複数の踏み板2aを有する。この構成によると、取っ手15を昇降部材2用の手摺りとして効果的に機能させることができる。その結果、取っ手15を用いてより容易かつ確実に昇降することができる。
【0043】
また、当該建設機械10は、昇降部材2が階段部材であることで、昇降部材2に適度な傾斜を持たせることができ、これにより開口11の大きさが大きくなり過ぎることを抑制できる。その結果、取っ手15による蓋体13の開閉を容易に行うことができ、蓋体13をメンテナンス時の足場として容易に用いることができる。
【0044】
さらに、当該建設機械10は、昇降部材2が階段部材であることで、昇降部材2の片側のみに昇降部材用の手摺りを設けることで、この昇降部材2を容易に昇降することができる。従って、この構成によると、オペレータ等は、手摺りと反対側の手を昇降動作以外に用いることができる。その結果、昇降時の安全性をより高めることができると共に、工具の持ち運び等が容易になる。
【0045】
昇降部材2は、第1通路1の延在する方向に向けて傾斜している。換言すると、平面視において、昇降部材2は、第1通路1と平行な方向に延びている。この構成によると、蓋体13が第2位置P2に配置されている状態で、取っ手15がオペレータ等の進行方向に対して側方に位置するようになる。その結果、取っ手15を、昇降部材2用の手摺りとして用いやすい。
【0046】
昇降部材2は、第1通路1と第2通路3とを連絡するように設けられている。このように構成されることで、第1通路1上でのメンテナンス作業等の安全性を確保しつつ、第1通路1と第2通路3との間の昇降を容易かつ確実に行うことができる。
【0047】
(第2通路)
図3に示すように、第2通路3は、フレーム3aと、このフレーム3aに配置される床部材3bとを含む。第2通路3は、第1通路1に対して、鉛直方向(当該建設機械10を水平面に配置した状態における鉛直方向)に間隔を空けて配置されている。
【0048】
第2通路3は、平面視で第1通路1と直交する方向に延びていてもよい。このように構成されることで、例えば第2通路3と第1通路1とを含む通路全体を螺旋状又は部分螺旋状に設けやすくなる。その結果、建設機械10全体のコンパクト化を図ることができる。また、建設機械10全体において外側に張り出した部分を低減することで、通路の安全性を確保しやすい。
【0049】
昇降部材2及び第2通路3は、第1通路1と一体的に旋回するように旋回体30に配置されている。このように構成されることで、旋回体30のメンテナンス作業、及び第1通路1と第2通路3との間の昇降をより容易かつ確実に行うことができる。
【0050】
(その他の構成)
当該建設機械10は、ポスト20の周面に沿って、第2通路3に連絡可能な第3通路21を有する。第3通路21は、ポストの周面を螺旋状又は部分螺旋状に巻回するように配置されている。第3通路21は、旋回体30を回転させた際に、第2通路3と接触しないように設けられている。
【0051】
<利点>
当該建設機械10によると、オペレータ等は、蓋体13を第2位置P2に保持することで昇降部材2によって昇降することができると共に、蓋体13を第1位置P1に保持することで蓋体13を足場としてメンテナンス作業を行うことができる。当該建設機械10は、蓋体13が、第1位置P1における下面側に取っ手15を有しているので、オペレータ等は、取っ手15を把持して蓋体13を第2位置P2に容易に揺動できると共に、この蓋体13を第2位置P2に保持した状態で、取っ手15を昇降部材2用の手摺りとして使用することができる。従って、当該建設機械10は、メンテナンス作業等の安全性を確保しつつ、昇降部材2による昇降を容易かつ確実に行うことができる。
【0052】
当該建設機械10は、上下方向に延びるポスト20と、ポスト20に回転可能に支持される旋回フレーム31を有する旋回体30とを備えており、第1通路1が旋回フレーム31に配置されているハイポスト仕様の建設機械として構成されることで、メンテナンス作業の安全性を効果的に向上することができる。
【0053】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0054】
上述のように、上記取っ手は、上記第2位置で上記昇降部材の昇降方向に延びる把持部を有することが好ましい。但し、当該建設機械において、取っ手の配置や個数は、上記実施形態に記載された構成に限定されない。例えば当該建設機械は、上記昇降部材用の手摺りとなるように、上記蓋部の下面側に、上記昇降方向に沿うように複数の取っ手を配置することも可能である。
【0055】
上記取っ手が上記把持部を有する場合であっても、上記取っ手は、上記把持部と上述の接続部とから構成されていなくてもよい。例えば上記取っ手は、上記把持部と上記接続部との間に、上記昇降部材の昇降方向以外の方向に延びる他の部分を有していてもよい。
【0056】
上記取っ手は、上記棒部材又は上記パイプ部材に限定されない。例えば上記取っ手は、上記把持部が紐部材であり、この紐部材が接続部間に掛け渡されている構成とすることも可能である。
【0057】
上記蓋体は、例えば上記第2位置で、上記旋回フレームに配置されているガード側に固定されるように設けられていてもよい。また、この場合、柵体にも別途手摺り部を配置することで、上記昇降部材の昇降時に両側に手摺りが配置された構成とすることも可能である。
【0058】
上記蓋体は、上記第1通路側からの開閉作業を容易にするための取っ手をさらに有していてもよい。
【0059】
上記柵体に配置される手摺り部は、上記蓋体の開閉の妨げとならないような場合であれば、上記第2位置に配置された状態の蓋体と重なり合う位置から延びていてもよい。また、上記取っ手を手摺りとして用いることで上記昇降部材の昇降を安全に行えるような場合であれば、上記柵体には、上記取っ手に連続する手摺り部が配置されていなくてもよい。
【0060】
上記昇降部材としては、梯子部材やスロープを用いることも可能である。但し、上記第1通路に設けられる開口の大きさが大きくなることを抑制すると共に、上記昇降部材による昇降をより安全に行う観点からは、上記昇降部材としては上述の階段部材が好ましい。
【0061】
上述のように当該建設機械は、ハイポスト仕様の建設機械として好適に設けられる。但し、当該建設機械の全体構成は、上記実施形態に記載された構成に限定されない。
【0062】
当該建設機械は、上記第1通路の下方に上記第2通路を有しなくてもよい。例えば上記昇降部材の下端部が下部走行体や設置面等に連絡されるように構成されていてもよい。また、上記第2通路を有する場合でも、この第2通路は上記旋回体に配置されていることを要しない。上記第2通路は、例えば上述のポストに配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の一態様に係る建設機械は、メンテナンス作業等の安全性を確保しつつ、昇降部材による昇降を容易かつ確実に行うのに適している。
【符号の説明】
【0064】
1 第1通路
1a、3a、13a フレーム
1b、3b、13b 床部材
2 昇降部材
2a 踏み板
3 第2通路
10 建設機械
11 開口
12 ヒンジ軸
13 蓋体
14 柵体
14a 手摺り部
15 取っ手
15a 把持部
15b 接続部
20 ポスト
21 第3通路
30 旋回体
31 旋回フレーム
32 作業部材
33 ガード
34 キャブ
P1 第1位置
P2 第2位置