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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142157
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】ガスセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/18 20060101AFI20230928BHJP
   G01N 25/18 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G01N27/18
G01N25/18 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048891
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田邊 圭
【テーマコード(参考)】
2G040
2G060
【Fターム(参考)】
2G040AA02
2G040AB09
2G040BA02
2G040BA23
2G040CA02
2G040DA02
2G040DA12
2G040DA15
2G040EA02
2G040EC07
2G040GA05
2G060AA01
2G060AB03
2G060AB08
2G060AB09
2G060AE19
2G060AF07
2G060AG03
2G060AG10
2G060BA05
2G060BB02
2G060BB08
2G060BD08
2G060HB06
2G060JA01
2G060KA01
(57)【要約】
【課題】基板の変形に起因するセンサ素子の特性変動を抑制することを可能とするガスセンサを提供すること。
【解決手段】ガスセンサ1は、基板80と、基板80に固定されるセンサ素子10と、を有する。基板80の中心線C1と、基板80に固定されたセンサ素子10の中心線C3とは、斜めに交差している。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に固定されるセンサ素子と、を有し、
前記基板の中心線と、前記基板に固定された前記センサ素子の中心線とは、斜めに交差しているガスセンサ。
【請求項2】
前記基板の中心線と前記センサ素子の中心線とが交差する角度は、40度以上50度以下である請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記センサ素子の辺長は、前記基板の辺長の50%以下である請求項1または2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記基板に固定され、外部基板に接続可能なパッドをさらに有し、
前記基板において、前記パッドは、前記センサ素子とは反対側に配置されている請求項1~3のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項5】
前記パッドの設置面に垂直な方向に沿って、前記パッドと前記センサ素子の角部とは重なっている請求項4に記載のガスセンサ。
【請求項6】
前記パッドは、複数のパッドからなり、
前記センサ素子の角部は、隣接する前記パッドの間に配置されている請求項4に記載のガスセンサ。
【請求項7】
前記基板に固定され、前記センサ素子を覆う蓋体を有する請求項1~6のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項8】
前記蓋体の中心線と前記基板の中心線とは略平行である請求項7に記載のガスセンサ。
【請求項9】
前記センサ素子は、接着層を介して、前記基板に固定されている請求項1~8のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項10】
前記基板と前記センサ素子との間に介在し、前記センサ素子を制御する制御素子をさらに有し、
前記制御素子の中心線と前記センサ素子の中心線とは略平行である請求項1~8のいずれかに記載のガスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスセンサは、たとえばガスの漏洩を検知するための装置であり、家電機器、産業用機器あるいは環境モニタリング機器等に搭載される。たとえば特許文献1に記載されているように、ガスセンサは、センサ素子と、センサ素子が搭載される基板とを有する。
【0003】
センサ素子は、雰囲気中のガス濃度等に応じて物理的特性を変化させるセンサ感応体と、その物理的特性の変化を電気信号として取り出すための電極とを有する。基板は、印刷回路基板などで構成され、センサ素子やこれを制御する制御素子を保持しつつ、各種電子機器のモジュール基板などに固定される。
【0004】
ところで、この種のガスセンサでは、温度や湿度の影響により、基板に反りが生じる場合がある。特許文献1に記載のガスセンサのように、センサ素子の少なくとも一部が基板の角部に配置されている場合、基板の反りの影響により、電極間距離が変動し、センサ素子の特性が変動しやすいことが本発明者等により見出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-120698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、基板の変形に起因するセンサ素子の特性変動を抑制することを可能とするガスセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るガスセンサは、
基板と、
前記基板に固定されるセンサ素子と、を有し、
前記基板の中心線と、前記基板に固定された前記センサ素子の中心線とは、斜めに交差している。
【0008】
本発明に係るガスセンサでは、基板の中心線と、基板に固定されたセンサ素子の中心線とが、斜めに交差している。この場合、センサ素子は、基板の反りが相対的に小さい領域を指向するように、所定の向きで基板に固定される。そのため、基板(特に、基板の角部)の反りがセンサ素子に及びにくくなり、基板の反り部とセンサ素子との間の干渉が緩和される。これにより、センサ素子の変形(センサ感応部の歪み等)を防止し、センサ素子の特性変動を抑制することができる。
【0009】
好ましくは、前記基板の中心線と前記センサ素子の中心線とが交差する角度は、40度以上50度以下である。この場合、センサ素子の大部分が、基板の反りが相対的に小さい領域に配置され、基板の反り部とセンサ素子との間の干渉を効果的に緩和することができる。
【0010】
好ましくは、前記センサ素子の辺長は、前記基板の辺長の50%以下である。この場合、センサ素子の小型化により、見かけ上、センサ素子が基板の外縁から離れた位置に配置される。そのため、基板の反りがセンサ素子に及びにくくなり、基板の反り部とセンサ素子との間の干渉をさらに緩和することができる。
【0011】
好ましくは、前記基板に固定され、外部基板に接続可能なパッドをさらに有し、前記基板において、前記パッドは、前記センサ素子とは反対側に配置されている。この場合、パッドの固定位置では、パッドが補強材として機能することにより、基板の変形(反り)そのものが抑えられる。そのため、基板の反り部とセンサ素子との間の干渉を防止し、基板の変形に起因するセンサ素子の特性変動を効果的に抑制することができる。
【0012】
好ましくは、前記パッドの設置面に垂直な方向に沿って、前記パッドと前記センサ素子の角部とは重なっている。この場合、これらの重複位置であるセンサ素子の近傍において、基板の反りが抑えられ、基板とセンサ素子との間の干渉を有効に防止することができる。
【0013】
前記パッドは、複数のパッドからなり、前記センサ素子の角部は、隣接する前記パッドの間に配置されていてもよい。隣接するパッド間では、パッドが固定されていない位置に比べて、基板の反りが抑えられる傾向にある。そのため、このような位置にセンサ素子の角部を配置することにより、基板とセンサ素子との間の干渉を有効に防止することができる。
【0014】
好ましくは、前記基板に固定され、前記センサ素子を覆う蓋体を有する。この場合、蓋体の固定位置では、蓋体の剛性により、基板の変形(反り)そのものが抑えられる。そのため、基板とセンサ素子との間の干渉を防止し、基板の変形に起因するセンサ素子の特性変動を効果的に抑制することができる。
【0015】
好ましくは、前記蓋体の中心線と前記基板の中心線とは略平行である。この場合、蓋体が基板と同様の姿勢で基板に固定される結果、蓋体の角部が基板の角部に対応する位置に配置される。そのため、蓋体(特に、蓋体の角部)の剛性により、基板の角部の反りが抑えられ、基板とセンサ素子との間の干渉を有効に防止することができる。
【0016】
前記センサ素子は、接着層を介して、前記基板に固定されていてもよい。このような構成とすることにより、センサ素子を簡易かつ安定的に基板に固定することができる。
【0017】
前記基板と前記センサ素子との間に介在し、前記センサ素子を制御する制御素子をさらに有し、前記制御素子の中心線と前記センサ素子の中心線とは略平行であってもよい。この場合、制御素子は、基板の反りが相対的に小さい領域を指向するように、所定の向きで基板に固定される。そのため、基板(特に、基板の角部)の反りが、制御素子に及びにくくなるとともに、基板の反りが、制御素子を介して、センサ素子に及びにくくなる。それゆえ、センサ素子の変形を防止し、センサ素子の特性変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るガスセンサの概略的な斜視図である。
図2図2は、図1に示すセンサ素子の平面図である。
図3図3は、図1に示すセンサ素子の分解斜視図である。
図4図4は、図2に示すセンサ素子のIV-IV線に沿う断面図である。
図5A図5Aは、図1に示すセンサ素子および基板の各々の中心線の関係を示す斜視図である。
図5B図5Bは、図5Aに示す基板に反りが生じたときの状態を示す斜視図である。
図6A図6Aは、図1に示すガスセンサの効果を示す図である。
図6B図6Bは、図1に示すガスセンサの効果を示す他の図である。
図7A図7Aは、本発明の第2実施形態に係るガスセンサの概略的な斜視図である。
図7B図7Bは、図7Aに示す基板に反りが生じたときの状態を示す斜視図である。
図8図8は、図7Aに示すガスセンサの効果を示す図である。
図9A図9Aは、センサ素子とパッドの位置関係の変形例を示す平面図である。
図9B図9Bは、センサ素子とパッドの位置関係の他の変形例を示す平面図である。
図10図10は、本発明の第3実施形態に係るガスセンサの概略的な斜視図である。
図11図11は、本発明の第4実施形態に係るガスセンサの概略的な斜視図である。
図12図12は、本発明の第5実施形態に係るガスセンサの概略的な斜視図である。
図13図13は、本発明の第6実施形態に係るガスセンサの概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るガスセンサ1は、たとえばガスの漏洩を検知するための装置であり、家電機器、産業用機器あるいは環境モニタリング機器等に搭載される。ガスセンサ1は、センサ素子10と、基板80とを有する。図面において、X軸およびY軸は、それぞれ基板80の直交する各辺に対応する軸であり、Z軸は、X軸およびY軸に直交する軸である。
【0021】
センサ素子10は、熱伝導式のセンサ素子であり、CO2、H2、HeあるいはCO等のガスを検知対象とする。図3に示すように、センサ素子10は、略直方体形状からなり、ベース20と、絶縁膜30a~30cと、熱源40と、電極50aおよび50bと、感応膜60と、パッド電極70a~70dとを有する。センサ素子10は、感応膜60などを両持ち梁状に固定するエアブリッジ構造を有する。
【0022】
ベース20は、中空の柱状体からなり、略リング形状を有する。ベース20をZ軸方向から見た形状は、正方形である。ただし、ベース20の平面視形状は、これに限定されず、長方形あるいはその他の多角形でもよい。また、ベース20の高さは、図3に示す高さに限定されるものではない。
【0023】
ベース20は、絶縁膜30a~30c等を支持可能な機械的強度を有していることが好ましい。また、ベース20は、エッチングなどの微細加工に適した材料で構成されていることが好ましい。ベース20を構成する材料としては、シリコン単結晶基板、サファイア単結晶基板、セラミック基板、石英基板あるいはガラス基板等が例示される。
【0024】
絶縁膜30a~30cは、絶縁性を有する材料で構成され、それぞれ同一の形状を有する。絶縁膜30a~30cは、膜体からなり、公知の成膜法(スパッタ法やCVD法等)によって作製される。絶縁層30a、絶縁層30bおよび絶縁層30cは、この順番で、ベース20の上面に積層される(図4参照)。絶縁膜30a~30cは、本体部31と、梁部32~35と、周縁部36と、孔部37とを有する。
【0025】
本体部31は、Z軸方向から見て略矩形状を有する。本体部31は、ベース20の中空部(貫通孔)の上方に配置され、ベース20の内周よりも内側に位置する。本体部31の形状は、図3に示す形状に限定されず、長方形、その他の多角形、円形あるいは楕円形等であってもよい。周縁部36は、ベース20の形状に対応する略リング形状を有し、ベース20の上面に固定される。周縁部36は、本体部31との間に所定の間隔をあけつつ、本体部31の外周を囲むように配置される。
【0026】
梁部32~35は、本体部31と周縁部36との間に位置し、それぞれ本体部31の4つの角部と周縁部36の4つの角部とを接続している。梁部32~35は、ベース20の中空部(貫通孔)の上方において、本体部31を支持する。本体部31と周縁部36との間には、梁部32~35で仕切られた4つの孔部37が形成されている。なお、梁部の数は、4つに限定されるものではない。
【0027】
絶縁膜30a~30cの各々の厚みは、特に限定されないが、たとえば0.05~1.5μmである。絶縁膜30a~30cを構成する材料としては、酸化シリコンあるいは窒化シリコン等が例示される。絶縁膜30a~30cは、同一の材料で構成されていることが好ましい。絶縁膜30a~30cの界面において、密着性が向上し、絶縁膜30a~30cの機械的強度を確保することができるからである。なお、絶縁膜30a~30cは、異なる材料で構成されていてもよい。
【0028】
熱源40は、絶縁膜30aと絶縁膜30bとの間に配置される(図4参照)。熱源40は、対象ガスの検知時において、感応膜60の温度を所定温度(動作温度)まで加熱するためのものである。熱源40は、膜体からなり、公知の成膜法によって作製される。熱源40は、熱源本体41と、引出部42および43とを有する。
【0029】
図2に示すように、熱源本体41は、ミアンダパターンを有し、絶縁膜30aの本体部31の上面に配置されている。熱源本体41をミアンダパターンとすることにより、感応膜60を均質に加熱することができる。また、センサ素子10は、エアブリッジ構造を有するため、感応膜60の加熱時において、熱源40の消費電力を抑えることができる。なお、熱源40の形状は、たとえばエッチング(パターニング)によって付与される。絶縁膜30a~30c等についても同様である。
【0030】
引出部42は、熱源本体41の一端に接続されており、絶縁膜30a(図3)上において、梁部35を介して、周縁部36の位置まで延在している。引出部43は、熱源本体41の他端に接続されており、絶縁膜30a上において、梁部33を介して、周縁部36の位置まで延在している。
【0031】
熱源40は、比較的高い融点を有する導電性材料で構成されていることが好ましい。熱源40を構成する材料としては、モリブデン、白金、金、タングステン、タンタル、パラジウム、イリジウム、または上記の元素のうち1種以上を含む合金が例示される。特に、高精度なドライエッチング(イオンミリングなど)が可能であり、耐腐食性が高い白金が好ましい。熱源40を白金で構成する場合、絶縁膜30aと熱源40との間にチタンなどからなる密着層を形成することが好ましい。
【0032】
図3に示すように、電極50aおよび50bは、それぞれ屈曲形状を有し、絶縁膜30bの上に配置される。電極50aおよび50bは、センサ感応体60の物理的特性(抵抗値)の変化を電気信号として取り出すためのものである。電極50aおよび50bは、膜体からなり、公知の成膜法によって作製される。
【0033】
図2に示すように、電極50aと電極50bとは、本体部31上において、対向して配置されている。電極50aの一部は、梁部32を介して、周縁部36の位置まで延在している。また、電極50bの一部は、梁部34を介して、周縁部36の位置まで延在している。
【0034】
電極50aおよび50bは、比較的高い融点を有する導電性材料で構成されていることが好ましい。電極50aおよび50bを構成する材料としては、モリブデン、白金、金、タングステン、タンタル、パラジウム、イリジウム、または上記の元素のうち1種以上を含む合金が例示される。
【0035】
図3に示すように、感応膜60は、雰囲気中のガス濃度等に応じて放熱特性を変化させるとともに、その放熱特性の変化に応じて抵抗値を変化させる性質を有する。感応膜60は、サーミスタ膜や白金膜等で構成されており、公知の成膜法によって作製される。サーミスタ膜を構成する材料としては、複合金属酸化物、アモルファスシリコン、ポリシリコンあるいはゲルマニウム等が例示される。
【0036】
感応膜60は、本体部61と、梁部62~65とを有する。感応膜60の本体部61は、絶縁膜30a~30cの本体部31と対応する形状(好ましくは同一形状)を有する。感応膜60の梁部62~65は、絶縁膜30a~30cの梁部32~35と対応する形状(好ましくは同一形状)を有する。それゆえ、Z軸方向に関して、本体部61は、本体部31と対応する位置に配置され、梁部62~65は、梁部32~35と対応する位置に配置される。
【0037】
本体部61は、電極50aおよび50bと接するように配置され、電極50aおよび50bに電気的に接続されている。感応膜60と電極50aおよび50bとは、一体となって、絶縁膜30bと絶縁膜30cとの間に配置される(図4参照)。
【0038】
電極パッド70a~70dは、それぞれ絶縁膜30cの周縁部36の4つの角部に固定されている。電極パッド70a~70dは、たとえばメッキ、リフトオフ法あるいは金属ペースト印刷等の方法により形成される。電極パッド70aは、スルーホール(図示略)を介して、電極50aの端部に電気的に接続されている。電極パッド70bは、スルーホール(図示略)を介して、熱源40の引出部43の端部に電気的に接続されている。電極パッド70cは、スルーホール(図示略)を介して、電極50bの端部に電気的に接続されている。電極パッド70dは、スルーホール(図示略)を介して、熱源40の引出部42の端部に電気的に接続されている。
【0039】
電極パッド70a~70dは、たとえばワイヤボンディングにより、それぞれ外部回路(図示略)に電気的に接続される。たとえば、外部回路は、電極パッド70bおよび70dを介して、熱源40に電力を供給する。また、外部回路は、電極パッド70aおよび70cを介して、感応膜60の抵抗値の変化を電気信号として取得する。
【0040】
図1に示すように、基板80は、印刷回路基板などで構成され、各種電子機器のモジュール基板(図示略)などに固定される。基板80は、略平板形状を有する板体で構成されているが、たとえばセンサ素子10を内蔵するためのパッケージ基板であってもよい。図4に示すように、ベース20の底面は、接着層90を介して、基板80の上面に接続(固定)されている。
【0041】
図5Aに示すように、基板80は、4つの側部80s1~80s4と、4つの角部80c1~80c4とを有する。角部80c1~80c4の各々が為す角度は、略90度であるが、これ限定されるものではない。
【0042】
また、センサ素子10は、4つの側部10s1~10s4と、4つの角部10c1~10c4とを有する。角部10c1~10c4の各々が為す角度は、略90度であるが、これ限定されるものではない。角部10c1とは、側部10s1と側部10s3との交差部10x(図5A)、およびその近傍のことをいう。たとえば、角部10c1は、交差部10xを中心として、側部10s1および10s3のいずれか長い方の長さの好ましくは30%の範囲、さらに好ましくは20%の範囲をいう。角部10c2~10c4についても同様にして定義される。以下で説明するように、本実施形態では、基板80に対するセンサ素子10の固定態様に顕著な特徴がある。
【0043】
すなわち、本実施形態では、センサ素子10の側部10s1と、基板80の側部80s1とは、平行に配置されてはいない。側部10s1は、側部80s1(あるいは、X軸)に対して、所定の角度を為すように配置されている。側部10s1(側部10s1の長手方向に平行な直線)と側部80s1(側部80s1の長手方向に平行な直線)とが為す角度θ1は、好ましくは0°<θ1<90°であり、より好ましく10°<θ1<80°であり、さらに好ましくは30°<θ1<60°であり、特に好ましくは40°<θ1<50°である。
【0044】
また、センサ素子10の側部10s1と、基板80の側部80s4とは、直交するように配置されてはいない。側部10s1は、側部80s4(あるいは、Y軸)に対して、所定の角度θ2を為すように配置されている。角度θ2の好ましい範囲は、角度θ1の好ましい範囲と同様である。本実施形態では、角度θ2は、基板80の角部80c4の角度(たとえば、略90°)と上述した角度θ1との差分に対応する。
【0045】
また、センサ素子10の側部10s3と、基板80の側部80s3とは、平行に配置されてはいない。側部10s3は、側部80s3(あるいは、Y軸)に対して、所定の角度を為すように配置されている。側部10s3(側部10s3の長手方向に平行な直線)と側部80s3(側部80s3の長手方向に平行な直線)とが為す角度θ3は、好ましくは0°<θ3<90°であり、より好ましく10°<θ3<80°であり、さらに好ましくは30°<θ3<60°であり、特に好ましくは40°<θ3<50°である。本実施形態では、角度θ3は、角度θ1と同一である。
【0046】
また、センサ素子10の側部10s3と、基板80の側部80s1とは、直交するように配置されてはいない。側部10s3は、側部80s1(あるいは、X軸)に対して、所定の角度θ4を為すように配置されている。角度θ4の好ましい範囲は、角度θ3の好ましい範囲と同様である。本実施形態では、角度θ4は、基板80の角部80c1の角度(たとえば、略90°)と上述した角度θ3との差分に対応する。
【0047】
また、本実施形態では、基板80の中心線C1と、基板80に固定されたセンサ素子10の中心線C3とは、斜めに交差している。また、基板80の中心線C1と、基板80に固定されたセンサ素子10の中心線C4とは、斜めに交差している。また、基板80の中心線C2と、基板80に固定されたセンサ素子10の中心線C3とは、斜めに交差している。また、基板80の中心線C2と、基板80に固定されたセンサ素子10の中心線C4とは、斜めに交差している。
【0048】
なお、基板80の中心線C1は、基板80の側部80s1または80s2に沿って延在し、基板80を二分する直線である。また、基板80の中心線C2は、基板80の側部80s3または80s4に沿って延在し、基板80を二分する直線である。また、センサ素子10の中心線C3は、センサ素子10の側部10s1または10s2に沿って延在し、センサ素子10を二分する直線である。また、センサ素子10の中心線C4は、センサ素子10の側部10s3または10s4に沿って延在し、センサ素子10を二分する直線である。
【0049】
このように、基板80の中心線(中心線C1およびC2の少なくとも一方)とセンサ素子10の中心線(中心線C3およびC4の少なくとも一方)とが斜めに交差している場合、以下に説明する効果を得ることができる。
【0050】
すなわち、図5Bに示すように、基板80には、温度や湿度の影響により、角部80c1~80c4に近い位置ほど相対的に大きな反りが生じる傾向がある。そのため、角部80c1~80c4の周辺には、それぞれ反り部81が形成され得る。
【0051】
仮に、図5Aに示す基板80の中心線C1(C2)と、センサ素子10の中心線C3(C4)とが平行である場合、センサ素子10の角部10c1~10c4が、図5Bに示す基板80の角部80c1~80c4の周辺に配置されることになる。そのため、角部80c1~80c4の周辺の反り部81と、センサ素子10(特に、角部10c1~10c4)とが干渉し、基板80とセンサ素子10の特性が変動するおそれがある。なお、このセンサ素子10の特性変動は、反り部81とセンサ素子10との干渉により、感応膜60(図3)に歪みが生じて電極50aおよび50b(図3)の電極間距離が変動し、これにより電気信号として取り出される感応膜60の抵抗値の変化量が本来の値からずれた値となる結果として生じ得る。
【0052】
他方で、本実施形態では、図5Aに示すように、たとえば基板80の中心線C1(C2)とセンサ素子10の中心線C3(C4)とが斜めに交差している。そのため、図5Bに示すように、センサ素子10は、基板80の反りが相対的に小さい領域を指向するように、所定の向きで基板80に固定される。すなわち、基板80において、角部80c1~80c4の周辺に存在する反り部81よりも内側(基板80の中心側)には、相対的に小さな反りが生じる非反り部82が存在する。センサ素子10は、非反り部82を指向するように(非反り部82に収容されるように)、基板80に固定される。
【0053】
そのため、基板80(特に、角部80c1~80c4の周辺)の反りがセンサ素子10に及びにくくなり、角部80c1~80c4の周辺の反り部81とセンサ素子10との間の干渉が緩和される。これにより、センサ素子10の変形(感応膜60の歪み等)を防止し、センサ素子10の特性変動を抑制することができる。
【0054】
以上で説明した効果を有効に得る観点では、図5Aに示す基板80の中心線C1(C2)とセンサ素子10の中心線C3(C4)とが交差する角度θ5は、好ましくは0°<θ5<90°であり、より好ましく10°<θ5<80°であり、さらに好ましくは30°<θ5<60°であり、特に好ましくは40°<θ5<50°である。
【0055】
特に、40°<θ5<50°である場合、図5Bに示すように、センサ素子10の大部分が、基板80の反りが相対的に小さい非反り部82に配置される。そのため、基板80の角部80c1~80c4の周辺の反り部81と、センサ素子10との間の干渉を効果的に緩和することができる。
【0056】
図6Aに示すように、実施例(θ5=45°)では、比較例(θ5=0°)に比べて、センサ素子10のZ軸方向への変位量ΔZが減少している。これは、センサ素子10が基板80の反り(反り部81)の影響を効果的に回避できていることを示している。これより、実施例では、基板80とセンサ素子10との間の干渉を効果的に緩和することができることが分かる。
【0057】
センサ素子10の辺長L1(図1)は、基板80の辺長L2(図1)の60%以下であることが好ましく、基板80の辺長L2の50%以下であることがさらに好ましい。この場合、センサ素子10の小型化により、見かけ上、センサ素子10が基板80の外縁から離れた位置(基板80の中心側)に配置される。そのため、基板80の反りがセンサ素子10に及びにくくなり、基板80の反り部81とセンサ素子10との間の干渉をさらに緩和することができる。
【0058】
図6Bに示すように、辺長L2に対する辺長L1の割合(L1/L2)を60%から20%まで低減していくと、センサ素子10のZ軸方向への変位量ΔZが徐々に減少していく。これは、センサ素子10が基板80の反り(反り部81)の影響を効果的に回避できていることを示している。これより、辺長L2に対する辺長L1の割合を60%以下とすることにより、基板80とセンサ素子10との間の干渉を効果的に緩和することができることが分かる。なお、図6Bに示す測定結果は、基板80の辺長L2については変えずに、センサ素子10の辺長L1を変化させたときに得られたものである。
【0059】
第2実施形態
図7Aに示す本発明の第2実施形態に係るガスセンサ1Aは、以下に示す点を除いて、第1実施形態のガスセンサ1と同様の構成を有する。以下では、第1実施形態のガスセンサ1と重複する部材には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0060】
ガスセンサ1Aは、センサ素子10および基板80に加えて、複数のパッド100を有する。パッド100は、基板80に設けられており、モジュール基板110に接続可能に構成されている。パッド100は、基板80において、センサ素子10とは反対側、すなわち基板80の底面80bに固定されている。なお、モジュール基板110は、携帯電話などの各種電子機器、空調機器あるいは環境モニタリング装置等に具備されるものである。
【0061】
パッド100は、導電材料で構成され、たとえばメッキあるいは金属ペースト印刷等の方法により形成される。パッド100を構成する材料としては、金、アルミあるいは銅などの金属が例示される。パッド100の厚みは、たとえば1~100μmである。パッド100の形状は、Z軸方向から見て、矩形(正方形)であるが、長方形、その他の多角形、円形あるいは楕円形等であってもよい。
【0062】
パッド100は、たとえばハンダにより、モジュール基板110のランドパターン(図示略)に電気的に接続される。また、パッド100は、たとえばワイヤボンディングにより、センサ素子10の電極パッド70a~70d(図2)に電気的に接続される。なお、基板80の上面には、スルーホールを介してパッド100に電気的に接続された上面パッドを設けておくことが好ましい。この場合、センサ素子10の電極パッド70a~70と、基板80の上面パッドとをワイヤボンディングにより物理的に接続することにより、電極パッド70a~70dとパッド100とを電気的に接続することができる。あるいは、パッド100と電極パッド70a~70dとは、スルーホールを介して、電気的に接続されていてもよい。
【0063】
基板80の底面80bにおいて、側部80s1(あるいは、側部80s2)に対応する位置には、複数(本実施形態では、3つ)のパッド100が、基板80の外周縁部に沿って配置されている。側部80s1(あるいは、側部80s2)に対応する位置において、これらのパッド100は、基板80の外周縁部の延在方向の略中央部に配置されているが、延在方向の一方側に偏在していてもよい。また、パッド100の数は、3つに限定されず、1つ、2つ、あるいは4つ以上であってもよい。
【0064】
また、基板80の底面80bにおいて、側部80s3(あるいは、側部80s4)に対応する位置には、複数(本実施形態では、3つ)のパッド100が、基板80の外周縁部に沿って配置されている。側部80s3(あるいは、側部80s4)に対応する位置において、これらのパッド100は、基板80の外周縁部の延在方向の略中央部に配置されているが、延在方向の一方側に偏在していてもよい。また、パッド100の数は、3つに限定されず、1つ、2つ、あるいは4つ以上であってもよい。
【0065】
側部80s1~80s4の各々に対応する位置に配置された複数(3つ)のパッド100のうち、いずれか1つ(あるいは、少なくとも1つ)のパッド100が、センサ素子10の電極パッド70a~70d(図2)に電気的に接続されてもよい。この場合、残りのパッド100は、電極パッド70a~70dとの電気的接続に寄与しないダミーのパッドとして機能する。
【0066】
パッド100の向きは、図7Aに示すパッド100の向きに限定されるものではない。たとえば、パッド100の角部が基板80の中心部を指向するように、パッド100は、所定の向きで、基板80に固定されてもよい。また、たとえば、図7Aに示すパッド100の向きを、Z軸を回転軸として、40度~50度回転させた向きとしてもよい。
【0067】
本実施形態では、側部80s1(あるいは、側部80s2)に対応する位置において、パッド100の設置面(基板80の底面80b)に垂直な方向であるZ軸方向に沿って(パッド100の設置面に垂直な方向であるZ軸方向から見て、あるいは平面視において)、パッド100とセンサ素子100の角部10c1(あるいは、角部10c3)とが重なっている。換言すれば、Z軸方向に関して、パッド100は、センサ素子100の角部10c1(あるいは、角部10c3)に対応する位置に配置されている。
【0068】
また、側部80s3(あるいは、側部80s4)に対応する位置において、パッド100の設置面(基板80の底面80b)に垂直な方向であるZ軸方向に沿って(パッド100の設置面に垂直な方向であるZ軸方向から見て、あるいは平面視において)、パッド100とセンサ素子100の角部10c2(あるいは、角部10c4)とは重なっている。換言すれば、Z軸方向に関して、パッド100は、センサ素子100の角部10c2(あるいは、角部10c4)に対応する位置に配置されている。
【0069】
側部80s1に対応する位置において、センサ素子10の角部10c1は、基板80の外縁部に配置された3つのパッド100のうち、中央のパッド100に対してZ軸方向に沿って重なっているが、他のパッド100に対してZ軸方向に沿って重なっていてもよい。センサ素子10の角部10c2~10c4についても同様である。なお、角部10c1がいずれのパッド100に対してZ軸方向に沿って重なるかは、たとえば、センサ素子10の中心線C3(図5A)と基板80の中心線C1(図5A)との交差角度に依存する。
【0070】
また、センサ素子10の角部10c1は、複数のパッド100に対してZ軸方向に沿って重なっていてもよい。また、センサ素子10の角部10c1を構成する側部10s1および側部10s3の交差部が、パッド100に対してZ軸方向に沿って重なっていることが好ましい。ただし、当該交差部がパッド100に対してZ軸方向に沿って重なっていることは必須ではなく、当該交差部の近傍が、パッド100に対してZ軸方向に沿って重なっていてもよい。センサ素子10の角部10c2~10c4についても同様である。
【0071】
たとえば、図9Aに示すように、センサ素子10の角部10c1を構成する側部10s1および側部10s3の交差部10xが、隣接する一方のパッド100と他方のパッド100との間に配置されていてもよい。この場合、交差部10xの近傍が、隣接する少なくとも一方のパッド100の角部あるいはその近傍に対して、Z軸方向に沿って重なっていることが好ましい。なお、図9Bに示すように、交差部10xの近傍は、隣接するいずれのパッド100の角部あるいはその近傍に対して、Z軸方向に沿って重なっていなくてもよい。
【0072】
センサ素子10の角部10cは、Z軸方向から見て(平面視において)、好ましくはパッド100の面積の10%以上に重なっており、より好ましくはパッド100の面積の30%以上に重なっており、さらに好ましくはパッド100の面積の50%以上に重なっており、特に好ましくはパッド100の面積の70%以上に重なっている。センサ素子10の角部10c2~10c4についても同様である。なお、必ずしも、センサ素子10の角部10c2~10c4の全てが、Z軸方向に沿ってパッド100と重なっている必要はない。
【0073】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、本実施形態では、基板80の底面80bにパッド100が固定されている。そのため、パッド100の固定位置では、パッド100が補強材として機能することにより、基板80の変形(反り)そのものが抑えられ、基板80の反り部81(図7B)とセンサ素子10との間の干渉を有効に防止することができる。
【0074】
また、本実施形態では、Z軸方向に沿って、センサ素子10の角部10c1~10c4とパッド100とが重複している。そのため、図7Bに示すように、これらの重複位置であるセンサ素子10の近傍(角部10c1~10c4の近傍)において、基板80の反りが抑えられる。その結果、基板80の角部80c1~80c4の周辺の反り部81の範囲が縮小するとともに、その内側の非反り部82の範囲が拡大する。これにより、基板80とセンサ素子10との間の干渉を有効に防止し、センサ素子10の変形、さらにはセンサ素子10の特性変動を効果的に抑制することができる。
【0075】
図8に示すように、図7Aに示す態様で基板80の底面80bにパッド100を固定した実施例(図8:Example)では、基板80の底面80bにパッド100を固定していない比較例(図8:Comparative Example)に比べて、センサ素子10のZ軸方向への変位量ΔZが顕著に減少している。これは、センサ素子10が基板80の反り(反り部81)の影響を効果的に回避できていることを示している。これより、Z軸方向に沿って、パッド100とセンサ素子10の角部10c1~c4とを重複させることにより、基板80とセンサ素子10との間の干渉を効果的に緩和することができることが分かる。なお、図8に示す測定では、基板80の中心線C1(図5A)とセンサ素子10の中心線C3(図5A)とが交差する角度θ5を45°とした。
【0076】
また、図9Bに示すように、隣接する一方のパッド100と他方のパッド100との間の位置では、パッド100が固定されていない位置に比べて、基板80の反りが小さくなる。そのため、Z軸方向に沿って、センサ素子10の角部10c1~10c4とパッド100とが重複していなくても、角部10c1~10c4が、隣接する一方のパッド100と他方のパッド100との間に配置されている場合、基板80とセンサ素子10との間の干渉を防止することができる。
【0077】
第3実施形態
図10に示す本発明の第3実施形態に係るガスセンサ1Bは、以下に示す点を除いて、第1実施形態のガスセンサ1と同様の構成を有する。以下では、第1実施形態のガスセンサ1と重複する部材には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0078】
ガスセンサ1Bは、センサ素子10および基板80に加えて、蓋体120を有する。蓋体120は、主として、センサ素子10を保護するためのものであり、基板80に設けられている。蓋体120は、基板80において、センサ素子10が固定される側、すなわち基板80の上面80uに固定されている。蓋体120は、たとえば接着層を介して、基板80の上面80uに接続される。
【0079】
蓋体120は、金属材料で構成された金属キャップであり、たとえばステンレス、ニッケルあるいはアルミなどの金属や合金で構成されている。ただし、蓋体120は、有機材料で構成された絶縁性キャップでもよい。
【0080】
蓋体120は、有底筒形状を有し、センサ素子10を全体的に覆うように、基板80に固定されている。蓋体120は、上部120uと、側部120s1~120s4と、角部120c1~120c4とを有する。上部120uは、略矩形状からなり、センサ素子10の上方に配置されている。上部120uとセンサ素子10の上面との間には、所定の隙間が形成されていることが好ましい。また、上部120uには、蓋体120の内側の空間に外部雰囲気を流入させるための通気孔が形成されていることが好ましい。
【0081】
側部120s1~120s4は、略矩形状からなり、それぞれ基板80の側部80s1~80s4に対応する位置において、基板80の外縁部に配置されている。側部120s1~120s4は、それぞれ基板80の側部80s1~80s4に対して略平行に配置されている。側部120s1~120s4は、基板80の外周よりも内側に配置されているが、基板80の外周上に配置されていてもよい。
【0082】
側部120s1~120s4の板厚は、たとえば基板80の板厚と同等以上であることが好ましい。この場合、後述するように、蓋体120(側部120s1~120s4)による基板80の反りを抑え込む作用を効果的に得ることができる。
【0083】
角部120c1~120c4は、それぞれ基板80の角部80c1~80c4に対応する位置に配置されている。蓋体120の内側には、上部120uと、側部120s1~120s4とで囲まれた凹部(空間)が形成されている。この凹部の内部には、センサ素子10を収容することが可能となっている。
【0084】
本実施形態では、基板80の中心線C1と、基板80に固定された蓋体120の中心線C5とが略平行となっている。また、基板80の中心線C2と、基板80に固定された蓋体120の中心線C6とが略平行となっている。また、蓋体120の中心線C5と、基板80に固定されたセンサ素子10の中心線C3とは、斜めに交差している。また、蓋体120の中心線C6と、基板80に固定されたセンサ素子10の中心線C4とは、斜めに交差している。
【0085】
なお、蓋体120の中心線C5は、蓋体120の側部120s1または120s2に沿って延在し、蓋体120を二分する直線である。また、蓋体120の中心線C6は、蓋体120の側部120s3または120s4に沿って延在し、蓋体120を二分する直線である。
【0086】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、本実施形態では、蓋体120の固定位置である基板80の外縁部において、蓋体120の剛性により、基板80の変形(反り)そのものが抑えられる。そのため、基板80とセンサ素子10との間の干渉を有効に防止し、基板80の変形に起因するセンサ素子10の特性変動を効果的に抑制することができる。
【0087】
特に、本実施形態では、蓋体120の中心線C5(C6)と基板80の中心線C1(C2)とが略平行となっている。そのため、蓋体120が基板80と同様の姿勢(向き)で基板80に固定される結果、蓋体120の角部120c1~120c4が、それぞれ基板80の角部80c1~80c4に対応する位置に配置される。そのため、蓋体120(特に、角部120c1~120c4)の剛性により、基板80の角部80c1~80c4の反りが抑えられ、基板80とセンサ素子10との間の干渉を有効に防止することができる。
【0088】
第4実施形態
図11に示す本発明の第4実施形態に係るガスセンサ1Cは、以下に示す点を除いて、第2実施形態のガスセンサ1Aおよび第3実施形態のガスセンサ1Bと同様の構成を有する。以下では、これらのガスセンサ1Aおよび1Bと重複する部材には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0089】
ガスセンサ1Cは、第2実施形態のガスセンサ1Aと、第3実施形態のガスセンサ1Bとを組み合わせた構成を有する。すなわち、ガスセンサ1Cは、センサ素子10および基板80に加えて、複数のパッド100と、蓋体120とを有する。
【0090】
基板80の側部80s1(あるいは、側部80s2)に対応する位置では、3つのパッド100が、Z軸方向に沿って蓋体120の側部120s1(あるいは、側部120s2)に近接して配置されている。これらのパッド100は、Z軸方向に沿って(Z軸方向から見て、あるいは平面視において)、蓋体120の側部120s1(あるいは、側部120s2)と重なっていてもよい。
【0091】
また、基板80の側部80s3(あるいは、側部80s4)に対応する位置では、3つのパッド100が、Z軸方向に沿って蓋体120の側部120s3(あるいは、側部120s4)に近接して配置されている。これらのパッド100は、Z軸方向に沿って(Z軸方向から見て、あるいは平面視において)、蓋体120の側部120s3(あるいは、側部120s4)と重なっていてもよい。
【0092】
本実施形態では、第2実施形態および第3実施形態の各々で得られる効果を両立することができる。すなわち、パッド100および蓋体120の各々による補強材としての機能により、特に、基板80の角部80c1~80c4、およびZ軸方向に関してセンサ素子10の角部10c1~10c4に対応する位置において、基板80の反りを効果的に抑制することができる。
【0093】
第5実施形態
図12に示す本発明の第5実施形態に係るガスセンサ1Dは、以下に示す点を除いて、第3実施形態のガスセンサ1Bと同様の構成を有する。以下では、第3実施形態のガスセンサ1Bと重複する部材には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0094】
ガスセンサ1Dは、センサ素子10、基板80および蓋体120に加えて、2つのセンサ素子10aおよび10bと、制御素子130とを有する。センサ素子10aおよび10bの一方は、たとえば、測定対象ガスの濃度によって抵抗値が変化する検知用のセンサ素子として機能する。センサ素子10aおよび10bの他方は、たとえば、測定対象ガスの濃度によって抵抗値が変化しない参照用のセンサ素子として機能する。
【0095】
センサ素子10aおよび10bは、制御素子130の上面に固定されている。ただし、センサ素子10aおよび10bの固定態様はこれに限定されるものではなく、センサ素子10aおよび10bは、基板80の上に、制御素子130と並列に配置されていてもよい。なお、基板80に対するセンサ素子10aおよび10bの固定の向き(姿勢)は、いずれも基板80に対するセンサ素子10(図5A)の固定の向き(姿勢)と同様の関係となっている。
【0096】
制御素子130は、基板80とセンサ素子10aおよび10bとの間に介在している。制御素子130は、センサ素子10aおよび10bを制御するための素子であり、半導体IC等によって構成されている。制御素子130は、センサ素子10aおよび10bから出力される電気信号に基づいて、その計測値を算出する制御回路を有する。
【0097】
本実施形態においても、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、本実施形態では、制御素子130の中心線C7とセンサ素子10aの中心線C3とが略平行となっている。また、制御素子130の中心線C8とセンサ素子10aの中心線C4とが略平行となっている。
【0098】
これに対応して、基板80の中心線C1と、基板80に固定された制御素子130の中心線C7とは、斜めに交差している。また、基板80の中心線C2と、基板80に固定された制御素子130の中心線C8とは、斜めに交差している。
【0099】
そのため、制御素子130は、基板80の反りが相対的に小さい領域(図5Bに示す非反り領域82)を指向するように、所定の向きで基板80に固定される。その結果、基板80(特に、基板80の角部80c1~80c4)の反りが、制御素子130に及びにくくなるとともに、基板80の反りが、制御素子130を介して、センサ素子10aおよび10bに及びにくくなる。これにより、センサ素子10aおよび10bの変形を防止し、センサ素子10aおよび10bの特性変動を抑制することができる。
【0100】
センサ素子10aまたは10bのX軸方向(あるいは、Y軸方向)の辺長は、制御素子130のX軸方向(あるいは、Y軸方向)の辺長の60%以下であることが好ましく、制御素子130のX軸方向(あるいは、Y軸方向)の辺長の50%以下であることがさらに好ましい。この場合、制御素子130に対するセンサ素子10の小型化により、基板80の反りが制御素子130を介してセンサ素子10aまたは10bに及ぶことを効果的に防止することができる。
【0101】
なお、制御素子130の中心線C7は、制御素子130の側部130s1または130s2に沿って延在し、制御素子130を二分する直線である。また、制御素子130の中心線C8は、制御素子130の側部130s3または130s4に沿って延在し、制御素子130を二分する直線である。
【0102】
第6実施形態
図13に示す本発明の第6実施形態に係るガスセンサ1Eは、以下に示す点を除いて、第4実施形態のガスセンサ1Cおよび第5実施形態のガスセンサ1Dと同様の構成を有する。以下では、これらのガスセンサ1Cおよび1Dと重複する部材には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0103】
ガスセンサ1Eは、第5実施形態のガスセンサ1D(図12)に、第4実施形態のガスセンサ1C(図11)の構成を適用したものである。すなわち、ガスセンサ1Eは、センサ素子10a、センサ素子10b、基板80、蓋体120および制御素子130に加えて、複数のパッド100を有する。
【0104】
本実施形態では、Z軸方向に沿って(Z軸方向から見て、あるいは平面視において)、基板80の側部80s1(あるいは、側部80s2)に対応する位置に配置されたパッド100と、制御素子130の角部130c1(あるいは、角部130c3)とが重なっている。換言すれば、Z軸方向に関して、パッド100は、制御素子130の角部130c1(あるいは、角部130c3)に対応する位置に配置されている。
【0105】
また、Z軸方向に沿って(Z軸方向から見て、あるいは平面視において)、基板80の側部80s3(あるいは、側部80s4)に対応する位置に配置されたパッド100と、制御素子130の角部130c2(あるいは、角部130c4)とが重なっている。換言すれば、Z軸方向に関して、パッド100は、制御素子130の角部130c2(あるいは、角部130c4)に対応する位置に配置されている。
【0106】
したがって、本実施形態では、特に、パッド100の補強材としての機能により、基板80の反りを効果的に抑制し、基板80と制御素子130(特に、角部130c1~130c4)との干渉を有効に防止することができる。その結果、基板80の反りが、制御素子130を介して、センサ素子10に及ぶことを有効に防止することができる。
【0107】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0108】
上記各実施形態において、基板80の形状は、Z軸方向から見て長方形であったが、特に限定されるものではない。基板80の形状は、たとえば、Z軸方向から見て正方形あるいはその他の多角形であってもよい。
【0109】
上記第5実施形態では、ガスセンサ1Dに2つのセンサ素子10aおよび10bが具備されていたが、センサ素子の数は1つ、あるいは3つ以上であってもよい。上記第6実施形態についても同様である。
【0110】
上記第6実施形態において、基板80の側部80s1~80s4に対応する位置において、Z軸方向に沿って(Z軸方向から見て、あるいは平面視において)、パッド100と、センサ素子10aまたは10bの角部とが重なっていてもよい。
【0111】
上記第1実施形態において、図5Aおよび図5Bに示すように、センサ素子10は基板80の上面に直接的に固定されていたが、他の部材を介して、間接的に固定されていてもよい。上記第2実施形態~第4実施形態についても同様である。
【0112】
上記第2実施形態において、図7Aに示すパッド100は、基板80の底面80bに直接的に固定されていたが、他の部材を介して、間接的に固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0113】
1,1A,1B,1C,1D,1E…ガスセンサ
10,10a,10b…センサ素子
20…ベース
30a~30c…絶縁膜
31…本体部
32~35…梁部
36…周縁部
37…孔部
40…熱源
41…熱源本体
42,43…引出部
50a,50b…電極
60…感応膜
61…本体部
62~65…梁部
70a~70d…パッド電極
80…基板
81…反り部
82…非反り部
90…接着層
100…パッド
110…モジュール基板
120…蓋部
130…制御素子
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13