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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142161
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048898
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】林 宗儒
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC01
5F157BH11
5F157DB02
5F157DB45
(57)【要約】
【課題】余分な撥液物質だけを基板から除去できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、基板保持部13と、除去部材151とを備える。基板保持部13は、処理液を弾くことの可能な撥液物質が少なくとも本体表面周縁部501及び端面部51に付着した基板を保持しつつ回転させる。除去部材151は、基板Wの回転中において、基板Wの端面部51における径方向RDの側面部515に対して離隔しつつ、少なくとも基板Wの本体表面周縁部501に接触することで、撥液物質を除去することの可能な除去剤を、本体表面周縁部501に付着した撥液物質に接触させる。基板Wの本体表面周縁部501は、基板本体50の表面A1のうちの周縁領域を示す。基板Wの端面部51は、基板本体50よりも径方向RD外側の端面領域を示す。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を弾くことの可能な撥液物質が少なくとも本体表面周縁部及び端面部に付着した基板を保持しつつ回転させる基板保持部と、
前記基板の回転中において、前記基板の前記端面部における径方向の側面部に対して離隔しつつ、少なくとも前記基板の前記本体表面周縁部に接触することで、前記撥液物質を除去することの可能な除去剤を、前記本体表面周縁部に付着した前記撥液物質に接触させる除去部材と
を備え、
前記基板の前記本体表面周縁部は、基板本体の表面のうちの周縁領域を示し、
前記基板の前記端面部は、前記基板本体よりも径方向外側の端面領域を示す、基板処理装置。
【請求項2】
前記除去部材は、
前記基板の回転中において、前記基板の前記側面部に対して離隔しつつ、少なくとも前記基板の前記本体表面周縁部に接触することで、前記本体表面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる第1接触部と、
前記基板の回転中において、前記基板の前記側面部に対して離隔しつつ、少なくとも前記基板の本体裏面周縁部に接触することで、前記本体裏面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる第2接触部と
を含み、
前記基板の前記本体裏面周縁部は、前記基板本体の裏面のうちの周縁領域を示す、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1接触部は、
前記基板の回転中において、前記本体表面周縁部に接触することで、前記本体表面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる第1外側接触部と、
前記第1外側接触部の内側に配置され、前記基板の回転中において、前記基板の前記端面部における表面縁部に接触することで、前記表面縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる第1内側接触部と
を含み、
前記端面部の前記表面縁部は、前記基板の表面側において、前記端面部のうち、前記本体表面周縁部よりも径方向外側に位置する領域であって、前記側面部よりも径方向内側に位置する領域を示し、
前記第2接触部は、
前記基板の回転中において、前記基板の前記本体裏面周縁部に接触することで、前記本体裏面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる第2外側接触部と、
前記第2外側接触部の内側に配置され、前記基板の回転中において、前記基板の前記端面部における裏面縁部に接触することで、前記裏面縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる第2内側接触部と
を含み、
前記端面部の前記裏面縁部は、前記基板の裏面側において、前記端面部のうち、前記本体裏面周縁部よりも径方向外側に位置する領域であって、前記側面部よりも径方向内側に位置する領域を示す、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1外側接触部は、前記本体表面周縁部に接触する平坦面を有し、
前記第1内側接触部は、前記表面縁部に接触する傾斜面を有し、
前記第2外側接触部は、前記本体裏面周縁部に接触する平坦面を有し、
前記第2内側接触部は、前記裏面縁部に接触する傾斜面を有する、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1内側接触部と前記第2内側接触部との間隔は拡縮可能である、請求項3又は請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第1接触部と前記第2接触部との間から、不活性ガスを吐出する不活性ガス吐出部を更に備える、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記除去部材は、前記基板の前記側面部に対して離隔しつつ、自転しながら、少なくとも前記本体表面周縁部に接触する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記除去部材の少なくとも一部は、前記基板の前記端面部に存在するノッチに進入し、前記ノッチの底点に接触する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記除去部材を前記基板の径方向内側に向けて付勢する付勢機構を更に備える、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記除去部材に対して前記除去剤を供給する除去剤供給部を更に備える、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
撥液物質を除去することの可能な除去剤を前記撥液物質に接触させる除去部材を使用する基板処理方法であって、
前記撥液物質が少なくとも本体表面周縁部及び端面部に付着した基板を保持しつつ回転させる工程と、
前記基板の回転中において、前記基板の前記端面部における径方向の側面部に対して前記除去部材を離隔させつつ、少なくとも前記基板の前記本体表面周縁部に前記除去部材を接触させることで、前記本体表面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる工程と
を含み、
前記基板の前記本体表面周縁部は、基板本体の表面のうちの周縁領域を示し、
前記基板の前記端面部は、前記基板本体よりも径方向外側の端面領域を示す、基板処理方法。
【請求項12】
前記除去部材は、一定方向に間隔をあけて並んだ第1接触部と第2接触部とを含み、
前記除去剤を前記撥液物質に接触させる前記工程では、第1接触動作と第2接触動作とを実行し、
前記第1接触動作は、前記基板の回転中において、前記基板の前記側面部に対して前記第1接触部を離隔させつつ、少なくとも前記基板の前記本体表面周縁部に前記第1接触部を接触させることで、前記本体表面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる動作であり、
前記第2接触動作は、前記基板の回転中において、前記基板の前記側面部に対して前記第2接触部を離隔させつつ、少なくとも前記基板の本体裏面周縁部に前記第2接触部を接触させることで、前記本体裏面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる動作であり、
前記基板の前記本体裏面周縁部は、前記基板本体の裏面のうちの周縁領域を示す、請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記第1接触部は、第1外側接触部と、前記第1外側接触部の内側に配置される第1内側接触部とを含み、
前記除去剤を前記撥液物質に接触させる前記工程では、前記第1接触動作として、第1本体接触動作と第1端面接触動作とを実行し、
前記第1本体接触動作は、前記基板の回転中において、前記第1外側接触部を前記本体表面周縁部に接触させることで、前記本体表面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる動作であり、
前記第1端面接触動作は、前記基板の回転中において、前記第1内側接触部を前記基板の前記端面部における表面縁部に接触させることで、前記表面縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる動作であり、
前記端面部の前記表面縁部は、前記基板の表面側において、前記端面部のうち、前記本体表面周縁部よりも径方向外側に位置する領域であって、前記側面部よりも径方向内側に位置する領域を示し、
前記第2接触部は、第2外側接触部と、前記第2外側接触部の内側に配置される第2内側接触部とを含み、
前記除去剤を前記撥液物質に接触させる前記工程では、前記第2接触動作として、第2本体接触動作と第2端面接触動作とを実行し、
前記第2本体接触動作は、前記基板の回転中において、前記第2外側接触部を前記基板の前記本体裏面周縁部に接触させることで、前記本体裏面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる動作であり、
前記第2端面接触動作は、前記基板の回転中において、前記第2内側接触部を前記基板の前記端面部における裏面縁部に接触させることで、前記裏面縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる動作であり、
前記端面部の前記裏面縁部は、前記基板の裏面側において、前記端面部のうち、前記本体裏面周縁部よりも径方向外側に位置する領域であって、前記側面部よりも径方向内側に位置する領域を示す、請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記第1外側接触部は、前記本体表面周縁部に接触する平坦面を有し、
前記第1内側接触部は、前記表面縁部に接触する傾斜面を有し、
前記第2外側接触部は、前記本体裏面周縁部に接触する平坦面を有し、
前記第2内側接触部は、前記裏面縁部に接触する傾斜面を有する、請求項13に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記第1内側接触部と前記第2内側接触部との間隔は拡縮可能である、請求項13又は請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記除去剤を前記撥液物質に接触させる前記工程では、前記第1接触部と前記第2接触部との間から、不活性ガスを吐出する、請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記除去剤を前記撥液物質に接触させる前記工程では、前記基板の前記側面部に対して前記除去部材を離隔させつつ、前記除去部材を自転させながら、少なくとも前記本体表面周縁部に前記除去部材を接触させる、請求項11から請求項16のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記除去剤を前記撥液物質に接触させる前記工程では、前記除去部材の少なくとも一部は、前記基板の前記端面部に存在するノッチに進入し、前記ノッチの底点に接触する、請求項11から請求項17のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記除去剤を前記撥液物質に接触させる前記工程では、前記除去部材を前記基板の径方向内側に向けて付勢する、請求項18に記載の基板処理方法。
【請求項20】
前記除去部材に対して前記除去剤を供給する工程を更に含む、請求項11から請求項19のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された基板処理装置は、基板の周縁部に液状の被覆剤を塗布して、基板の周縁部に付着した塵を液状の被覆剤によって覆う。そして、基板周縁部に付着した塵を覆う被覆剤を硬化させることで、塵を硬化された被覆剤の内部に捕捉する。したがって、被覆剤を基板の周縁部から除去することで、基板の周縁部から塵を除去することができる。さらに、基板の周縁部に被覆剤を塗布した後に、基板表面にフォトレジストを塗布するため、基板の周縁部では、フォトレジストは被覆剤の上に塗布される。したがって、基板の周縁部から被覆剤を除去した際には、被覆剤の上に塗布されたフォトレジストも被覆剤とともに基板の周縁部から除去される。こうして、塵およびフォトレジストを基板の周縁部から同時に除去できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-74126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の基板処理装置では、除去機構は、被覆剤を窒素ガスで吹き飛ばして被覆剤とともにフォトレジストを除去する。従って、基板に付着した全ての被覆剤が除去される。一方、本願の発明者は、処理液を弾くことの可能な撥液物質について、余分な撥液物質だけを除去することについて鋭意研究を重ねた。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、余分な撥液物質だけを基板から除去できる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、基板保持部と、除去部材とを備える。基板保持部は、処理液を弾くことの可能な撥液物質が少なくとも本体表面周縁部及び端面部に付着した基板を保持しつつ回転させる。除去部材は、前記基板の回転中において、前記基板の前記端面部における径方向の側面部に対して離隔しつつ、少なくとも前記基板の前記本体表面周縁部に接触することで、前記撥液物質を除去することの可能な除去剤を、前記本体表面周縁部に付着した前記撥液物質に接触させる。前記基板の前記本体表面周縁部は、基板本体の表面のうちの周縁領域を示す。前記基板の前記端面部は、前記基板本体よりも径方向外側の端面領域を示す。
【0007】
本発明の一態様においては、前記除去部材は、第1接触部と、第2接触部とを含むことが好ましい。第1接触部は、前記基板の回転中において、前記基板の前記側面部に対して離隔しつつ、少なくとも前記基板の前記本体表面周縁部に接触することで、前記本体表面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させることが好ましい。第2接触部は、前記基板の回転中において、前記基板の前記側面部に対して離隔しつつ、少なくとも前記基板の本体裏面周縁部に接触することで、前記本体裏面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させることが好ましい。前記基板の前記本体裏面周縁部は、前記基板本体の裏面のうちの周縁領域を示すことが好ましい。
【0008】
本発明の一態様においては、前記第1接触部は、第1外側接触部と、第1内側接触部とを含むことが好ましい。第1外側接触部は、前記基板の回転中において、前記本体表面周縁部に接触することで、前記本体表面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させることが好ましい。第1内側接触部は、前記第1外側接触部の内側に配置され、前記基板の回転中において、前記基板の前記端面部における表面縁部に接触することで、前記表面縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させることが好ましい。前記端面部の前記表面縁部は、前記基板の表面側において、前記端面部のうち、前記本体表面周縁部よりも径方向外側に位置する領域であって、前記側面部よりも径方向内側に位置する領域を示すことが好ましい。前記第2接触部は、第2外側接触部と、第2内側接触部とを含むことが好ましい。第2外側接触部は、前記基板の回転中において、前記基板の前記本体裏面周縁部に接触することで、前記本体裏面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させることが好ましい。第2内側接触部は、前記第2外側接触部の内側に配置され、前記基板の回転中において、前記基板の前記端面部における裏面縁部に接触することで、前記裏面縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させることが好ましい。前記端面部の前記裏面縁部は、前記基板の裏面側において、前記端面部のうち、前記本体裏面周縁部よりも径方向外側に位置する領域であって、前記側面部よりも径方向内側に位置する領域を示すことが好ましい。
【0009】
本発明の一態様においては、前記第1外側接触部は、前記本体表面周縁部に接触する平坦面を有することが好ましい。前記第1内側接触部は、前記表面縁部に接触する傾斜面を有することが好ましい。前記第2外側接触部は、前記本体裏面周縁部に接触する平坦面を有することが好ましい。前記第2内側接触部は、前記裏面縁部に接触する傾斜面を有することが好ましい。
【0010】
本発明の一態様においては、前記第1内側接触部と前記第2内側接触部との間隔は拡縮可能であることが好ましい。
【0011】
本発明の一態様においては、基板処理装置は、不活性ガス吐出部を更に備えることが好ましい。不活性ガス吐出部は、前記第1接触部と前記第2接触部との間から、不活性ガスを吐出することが好ましい。
【0012】
本発明の一態様においては、前記除去部材は、前記基板の前記側面部に対して離隔しつつ、自転しながら、少なくとも前記本体表面周縁部に接触することが好ましい。
【0013】
本発明の一態様においては、前記除去部材の少なくとも一部は、前記基板の前記端面部に存在するノッチに進入し、前記ノッチの底点に接触することが好ましい。
【0014】
本発明の一態様においては、基板処理装置は、付勢機構を更に備えることが好ましい。付勢機構は、前記除去部材を前記基板の径方向内側に向けて付勢することが好ましい。
【0015】
本発明の一態様においては、基板処理装置は、除去剤供給部を更に備えることが好ましい。除去剤供給部は、前記除去部材に対して前記除去剤を供給することが好ましい。
【0016】
本発明の他の局面によれば、基板処理方法は、撥液物質を除去することの可能な除去剤を前記撥液物質に接触させる除去部材を使用する。基板処理方法は、前記撥液物質が少なくとも本体表面周縁部及び端面部に付着した基板を保持しつつ回転させる工程と、前記基板の回転中において、前記基板の前記端面部における径方向の側面部に対して前記除去部材を離隔させつつ、少なくとも前記基板の前記本体表面周縁部に前記除去部材を接触させることで、前記本体表面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる工程とを含む。前記基板の前記本体表面周縁部は、基板本体の表面のうちの周縁領域を示す。前記基板の前記端面部は、前記基板本体よりも径方向外側の端面領域を示す。
【0017】
本発明の一態様においては、前記除去部材は、一定方向に間隔をあけて並んだ第1接触部と第2接触部とを含むことが好ましい。前記除去剤を前記撥液物質に接触させる前記工程では、第1接触動作と第2接触動作とを実行することが好ましい。前記第1接触動作は、前記基板の回転中において、前記基板の前記側面部に対して前記第1接触部を離隔させつつ、少なくとも前記基板の前記本体表面周縁部に前記第1接触部を接触させることで、前記本体表面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる動作であることが好ましい。前記第2接触動作は、前記基板の回転中において、前記基板の前記側面部に対して前記第2接触部を離隔させつつ、少なくとも前記基板の本体裏面周縁部に前記第2接触部を接触させることで、前記本体裏面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる動作であることが好ましい。前記基板の前記本体裏面周縁部は、前記基板本体の裏面のうちの周縁領域を示すことが好ましい。
【0018】
本発明の一態様においては、前記第1接触部は、第1外側接触部と、前記第1外側接触部の内側に配置される第1内側接触部とを含むことが好ましい。前記除去剤を前記撥液物質に接触させる前記工程では、前記第1接触動作として、第1本体接触動作と第1端面接触動作とを実行することが好ましい。前記第1本体接触動作は、前記基板の回転中において、前記第1外側接触部を前記本体表面周縁部に接触させることで、前記本体表面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる動作であることが好ましい。前記第1端面接触動作は、前記基板の回転中において、前記第1内側接触部を前記基板の前記端面部における表面縁部に接触させることで、前記表面縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる動作であることが好ましい。前記端面部の前記表面縁部は、前記基板の表面側において、前記端面部のうち、前記本体表面周縁部よりも径方向外側に位置する領域であって、前記側面部よりも径方向内側に位置する領域を示すことが好ましい。前記第2接触部は、第2外側接触部と、前記第2外側接触部の内側に配置される第2内側接触部とを含むことが好ましい。前記除去剤を前記撥液物質に接触させる前記工程では、前記第2接触動作として、第2本体接触動作と第2端面接触動作とを実行することが好ましい。前記第2本体接触動作は、前記基板の回転中において、前記第2外側接触部を前記基板の前記本体裏面周縁部に接触させることで、前記本体裏面周縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる動作であることが好ましい。前記第2端面接触動作は、前記基板の回転中において、前記第2内側接触部を前記基板の前記端面部における裏面縁部に接触させることで、前記裏面縁部に付着した前記撥液物質に前記除去剤を接触させる動作であることが好ましい。前記端面部の前記裏面縁部は、前記基板の裏面側において、前記端面部のうち、前記本体裏面周縁部よりも径方向外側に位置する領域であって、前記側面部よりも径方向内側に位置する領域を示すことが好ましい。
【0019】
本発明の一態様においては、前記第1外側接触部は、前記本体表面周縁部に接触する平坦面を有することが好ましい。前記第1内側接触部は、前記表面縁部に接触する傾斜面を有することが好ましい。前記第2外側接触部は、前記本体裏面周縁部に接触する平坦面を有することが好ましい。前記第2内側接触部は、前記裏面縁部に接触する傾斜面を有することが好ましい。
【0020】
本発明の一態様においては、前記第1内側接触部と前記第2内側接触部との間隔は拡縮可能であることが好ましい。
【0021】
本発明の一態様においては、前記除去剤を前記撥液物質に接触させる前記工程では、前記第1接触部と前記第2接触部との間から、不活性ガスを吐出することが好ましい。
【0022】
本発明の一態様においては、前記除去剤を前記撥液物質に接触させる前記工程では、前記基板の前記側面部に対して前記除去部材を離隔させつつ、前記除去部材を自転させながら、少なくとも前記本体表面周縁部に前記除去部材を接触させることが好ましい。
【0023】
本発明の一態様においては、前記除去剤を前記撥液物質に接触させる前記工程では、前記除去部材の少なくとも一部は、前記基板の前記端面部に存在するノッチに進入し、前記ノッチの底点に接触することが好ましい。
【0024】
本発明の一態様においては、前記除去剤を前記撥液物質に接触させる前記工程では、前記除去部材を前記基板の径方向内側に向けて付勢することが好ましい。
【0025】
本発明の一態様においては、基板処理方法は、前記除去部材に対して前記除去剤を供給する工程を更に含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、余分な撥液物質だけを基板から除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置の内部を示す平面図である。
図2】本実施形態に係る撥液剤処理ユニットの内部を示す平面図である。
図3】本実施形態に係る撥液剤処理ユニットの内部を示す側面図である。
図4】本実施形態に係る基板を示す断面図である。
図5】本実施形態に係る基板の一部を示す平面図である。
図6】本実施形態に係る撥液物質除去方法の前段を示す図である。
図7】本実施形態に係る撥液物質除去方法の後段を示す図である。
図8】本実施形態に係るブラシを示す側面図である。
図9】本実施形態に係るブラシによる撥液物質の除去処理の一例を示す図である。
図10】本実施形態の変形例に係るブラシによる撥液物質の除去処理の一例を示す図である。
図11】本実施形態の別の変形例に係るブラシによる撥液物質の除去処理の一例を示す図である。
図12】本実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図13】本実施形態に係る基板を示す平面図である。
図14】本実施形態に係るブラシがノッチに接触している状態を示す平面図である。
図15】本実施形態に係るブラシ及びノッチを示す平面図である。
図16】本実施形態の第1変形例に係るブラシを示す断面図である。
図17】第1変形例に係るブラシによる撥液物質の除去処理の第1工程を示す図である。
図18】第1変形例に係るブラシによる撥液物質の除去処理の第2工程を示す図である。
図19】本実施形態の第2変形例に係るブラシによる撥液物質の除去処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図中、理解を容易にするために、X軸、Y軸、及び、Z軸を適宜図示している。X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交し、X軸及びY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。なお、「平面視」は、鉛直上方から対象を見ることを示す。また、「平面図」は、鉛直上方から対象を見たときの図面を示す。
【0029】
図1図12を参照して、本発明の実施形態に係る基板処理装置100を説明する。まず、図1を参照して、基板処理装置100を説明する。図1は、基板処理装置100の内部を示す平面図である。図1に示す基板処理装置100は、基板Wを処理する。基板Wには、例えば、複数の構造物を含むパターンが形成されている。
【0030】
基板Wは、例えば、半導体ウェハ(例えば、シリコンウェハ)、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、又は、太陽電池用基板である。以下、一例として、基板Wは、シリコンウェハである。
【0031】
図1に示すように、基板処理装置100は、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、複数の処理ユニット1と、制御装置2と、複数の流体ボックス3と、薬液キャビネット4と、撥液剤処理ユニット5とを備える。
【0032】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと処理ユニット1との間、インデクサーロボットIRと撥液剤処理ユニット5との間、又は、処理ユニット1と撥液剤処理ユニット5との間で基板Wを搬送する。撥液剤処理ユニット5は、基板Wに撥液剤を塗布する。撥液剤は、処理液を弾くことの可能な撥液物質を含む液体である。そして、撥液剤処理ユニット5は、基板Wに付着した撥液物質のうち、余分な撥液物質を基板Wから除去する。撥液剤処理ユニット5の詳細は後述する。
【0033】
処理ユニット1の各々は、処理液によって基板Wを処理する。処理ユニット1の各々は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型の装置である。具体的には、処理ユニット1は表面用ノズル7及び裏面用ノズル8を含む。表面用ノズル7は、基板Wの表面(上面)と裏面(下面)とのうち、基板Wの表面に処理液を供給して、基板Wの表面を処理する。裏面用ノズル8は、基板Wの裏面に処理液を供給して、基板Wの裏面を処理する。
【0034】
処理液は、薬液又はリンス液である。薬液は基板Wを処理するための液体である。薬液は、例えば、希フッ酸(DHF)、フッ酸(HF)、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、燐酸(H3PO4)、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(例えば、クエン酸、シュウ酸)、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)、アンモニア過酸化水素水混合液(SC1)、塩酸過酸化水素水混合液(SC2)、イソプロピルアルコール(IPA)、界面活性剤、又は、腐食防止剤である。
【0035】
リンス液は、薬液、薬液による処理後副産物、及び/又は、異物を、基板Wから洗い流すための液体である。リンス液は、例えば、脱イオン水(DIW:Deionized Water)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、または、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水である。
【0036】
所定数の処理ユニット1(図1の例では3つの処理ユニット1)が鉛直方向に積層されて1つのタワーTWを構成している。ただし、図1の例では、複数のタワーTW(図1の例では4つのタワーTW)のうち、1つのタワーTWは、1つの処理ユニット1に代えて1つの撥液剤処理ユニット5を含む。複数のタワーTWは、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置される。なお、撥液剤処理ユニット5の配置は、特に限定されず、例えば、撥液剤処理ユニット5は、基板処理装置100における専用スペースに配置されていてもよいし、基板処理装置100の外部に配置されていてもよい。また、基板処理装置100は、複数の撥液剤処理ユニット5を備えていてもよい。
【0037】
複数の流体ボックス3の各々は流体機器を収容する。複数の流体ボックス3は、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。薬液キャビネット4は薬液を収容する。薬液キャビネット4内の薬液は、いずれかの流体ボックス3を介して、流体ボックス3に対応するタワーTWに含まれる全ての処理ユニット1に供給される。
【0038】
制御装置2は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、処理ユニット1、流体ボックス3、薬液キャビネット4、及び、撥液剤処理ユニット5を制御する。制御装置2は、例えば、コンピューターである。
【0039】
制御装置2は、制御部21と、記憶部22とを含む。制御部21は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含む。記憶部22は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。具体的には、記憶部22は、半導体メモリー等の主記憶装置と、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置とを含む。記憶部22は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。記憶部22は、非一時的コンピューター読取可能記憶媒体の一例に相当する。
【0040】
次に、図2を参照して、撥液剤処理ユニット5を説明する。図2は、撥液剤処理ユニット5の内部を示す平面図である。図2に示すように、撥液剤処理ユニット5は、チャンバー11と、スピンチャック13と、撥液物質除去機構15と、除去剤供給部17と、液受け部19と、撥液剤塗布部31と、リンス液供給部33とを備える。撥液物質除去機構15は、ブラシ151と、揺動アーム152とを含む。除去剤供給部17は、除去剤ノズル171と、バルブ172と、配管173とを含む。撥液剤塗布部31は、撥液剤ノズル311と、アーム312とを含む。リンス液供給部33は、リンス液ノズル331を含む。制御部21は、スピンチャック13、撥液物質除去機構15、除去剤供給部17、撥液剤塗布部31、及び、リンス液供給部33を制御する。
【0041】
チャンバー11は略箱形状を有する。チャンバー11は、スピンチャック13、撥液物質除去機構15、除去剤ノズル171、液受け部19、撥液剤塗布部31、撥液剤ノズル311、及び、リンス液ノズル331を収容する。
【0042】
スピンチャック13は、基板Wを保持しつつ基板Wを回転させる。具体的には、スピンチャック13は、基板Wを略水平に保持しつつ、基板Wを回転軸線AX1の周りに回転させる。スピンチャック13は、本発明の「基板保持部」の一例に相当する。
【0043】
撥液剤塗布部31は、塗布位置P3において、基板Wの径方向RD外側の端面部51に撥液剤を塗布する。端面部51は、基板Wのうち回転軸線AX1の周りの略円環状の部分である。具体的には、撥液剤塗布部31は、塗布位置P3において、基板Wの径方向RD外側の端面部51に対して、撥液剤ノズル311によって撥液剤を吐出する。本実施形態では、径方向RDは水平方向に略平行である。また、径方向RDは、回転軸線AX1に直交する。径方向RDは、回転軸線AX1に対する径方向と捉えることもできる。なお、回転軸線AX1の周りの円周方向を周方向CDと記載する場合がある。周方向CDは、基板Wの周方向と捉えることもできる。
【0044】
塗布位置P3は、基板Wの端面部51の上方の位置を示す。一方、待機位置P4は、塗布位置P3よりも径方向RD外側の位置を示す。つまり、待機位置P4は、基板Wから径方向RDに離隔した位置を示す。
【0045】
撥液剤は撥液物質を含む液体である。具体的には、撥液剤は、撥液物質を含む溶液である。撥液物質は、基板Wを処理する処理液を弾くことの可能な物質である。つまり、撥液物質は、基板Wよりも処理液を弾く性質を有する物質である。撥液物質は、撥液性を有する。撥液性とは、液体を弾く性質のことである。例えば、接触角が90度以上の物質は、撥液物質である。
【0046】
撥液剤は、溶媒と、溶質としての撥液物質との混合物である。溶媒は、例えば、水である。水は、例えば、リンス液と同じ液体である。撥液物質は、例えば、高分子化合物である。撥液物質は、好ましくは、非フッ素系撥液物質である。一例ではあるが、撥液物質として、日華化学製のネオシード(登録商標)を使用できる。なお、撥液剤は、ワックスであってもよい。
【0047】
撥液物質は、例えば、撥水物質である。撥水物質は、水を弾くことの可能な物質である。つまり、撥水物質は、基板Wよりも水を弾く性質を有する物質である。撥水物質は、撥水性を有する。撥水性とは、水を弾く性質のことである。例えば、接触角が90度以上の物質は、撥水物質である。この場合の水は、例えば、リンス液と同じ液体である。撥液物質として、撥水物質を使用する場合、処理液が水溶液である場合に有効である。なお、撥液物質が撥水物質である場合は、撥液剤は撥水剤である。
【0048】
撥液物質は、例えば、シリコン系撥液物質であってもよしい、アクリル系撥液物質であってもよい。シリコン系撥液物質は、シリコン自体、および、シリコンを含む化合物に撥液性を付与する。シリコン系撥液物質は、例えば、シランカップリング剤である。シランカップリング剤は、例えば、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)、TMS(テトラメチルシラン)、フッ素化アルキルクロロシラン、アルキルジシラザン、および非クロロ系疎水化剤の少なくとも一つを含む。非クロロ系疎水化剤は、例えば、ジメチルシリルジメチルアミン、ジメチルシリルジエチルアミン、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、N,N-ジメチルアミノトリメチルシラン、N-(トリメチルシリル)ジメチルアミンおよびオルガノシラン化合物の少なくとも一つを含む。
【0049】
なお、撥液物質は、例えば、メタル系撥液物質であってもよい。メタル系撥液物質は、金属自体、および、金属を含む化合物に対して撥液性を付与する。メタル系撥液物質は、例えば、疎水基を有するアミン、および有機シリコン化合物の少なくとも一つを含む。
【0050】
撥液物質除去機構15は、基板Wに吐出された撥液剤が乾燥された後、除去位置P1において、基板Wに付着した撥液物質の除去処理を、除去剤が含浸されたブラシ151を使用して実行する。除去処理とは、基板Wに付着した撥液物質を基板Wから分離する処理のことである。この場合、「分離」は、例えば、基板Wのうち撥液物質の付着した部分を除去剤によって研磨することで、撥液物質を基板Wから分離することを示す。ただし、「分離」は、例えば、基板Wに付着した撥液物質を除去剤によって溶解することで、撥液物質を基板Wから分離することであってもよい。
【0051】
除去位置P1は、基板Wの端面部51に対して径方向RDに面する位置を示す。一方、待機位置P2は、除去位置P1よりも径方向RD外側の位置を示す。つまり、待機位置P2は、基板Wから径方向RDに離隔した位置を示す。待機位置P2の下方には、液受け部19が配置される。液受け部19は、例えば、ポットである。
【0052】
除去剤は、撥液物質を除去するための液体である。換言すれば、除去剤は、撥液物質を基板Wから分離するための液体である。除去剤は、例えば、研磨剤を含む液体である。研磨剤は、例えば、酸化セリウムである。除去剤として、例えば、プロスタッフ社製の「キイロビン(登録商標)」を使用できる。なお、撥液物質を基板Wから除去(分離)できる限りにおいては、除去剤に含まれる研磨剤の種類は特に限定されない。また、除去剤は、撥液物質を基板Wから除去(分離)できる限りにおいては、例えば、撥液物質を溶解させる成分を含む液体であってもよい。
【0053】
リンス液供給部33は、基板Wに付着した撥液物質に対する除去処理が実行された後に、リンス液によって基板Wを洗浄する。つまり、リンス液供給部33は、除去処理が実行された後に、基板Wから分離された撥液物質をリンス液によって洗い流す。具体的には、リンス液供給部33は、除去処理が実行された後に、基板Wの径方向RD外側部分(端面部51を含む)に対して、リンス液ノズル331によってリンス液を吐出する。
【0054】
除去剤供給部17は、待機位置P2において、撥液物質除去機構15のブラシ151に対して除去剤を供給する。従って、本実施形態によれば、除去剤をブラシ151に効果的に含浸させることができる。ブラシ151は、本発明の「除去部材」の一例に相当する。
【0055】
ブラシ151は、例えば、略円柱形状を有する。ブラシ151は、例えば、弾性を有する。ブラシ151は、例えば、多孔質物質を含む。この場合、例えば、ブラシ151は、スポンジ状であってもよい。ブラシ151は、撥液性を有することが好ましい。撥液剤が基板Wに転移し易くなるからである。ブラシ151の素材は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、又は、PFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)である。なお、例えば、ブラシ151は、複数の部材を組み合わせて構成されてもよいし、複数の毛を含んでいてもよい。
【0056】
具体的には、除去剤供給部17の除去剤ノズル171が、待機位置P2に位置するブラシ151に対して除去剤を吐出する。その結果、除去剤がブラシ151に含浸する。
【0057】
更に具体的には、除去剤ノズル171には、配管173が接続される。配管173は、除去剤を除去剤ノズル171に供給する。配管173には、バルブ172が配置される。バルブ172は、配管173の流路を閉塞又は開放する。制御部21は、バルブ172が配管173の流路を開放するように、バルブ172を制御する。その結果、バルブ172が配管173の流路を開放するため、除去剤ノズル171は除去剤をブラシ151に向けて吐出する。ブラシ151に含浸されなかった除去剤は、液受け部19に落下し、液受け部19に溜る。
【0058】
次に、図3を参照して撥液剤処理ユニット5を詳細に説明する。図3は、撥液剤処理ユニット5の内部を示す側面図である。図3に示すように、撥液剤処理ユニット5において、スピンチャック13は、真空吸着式チャックである。具体的には、スピンチャック13は、スピン軸131と、スピンベース132と、スピンモータ133とを含む。スピン軸131は、略鉛直方向に沿って延びる。スピンベース132は、略円板形状を有し、スピン軸131の上端に取り付けられる。そして、スピンベース132は、略水平な姿勢で基板Wを保持する。図3の例では、スピンベース132は、基板Wを略水平な姿勢で基板Wの裏面を吸着して保持する。スピンモータ133は、スピン軸131と同軸に結合された回転軸を有する。そして、スピンモータ133は、基板Wがスピンベース132に保持された状態で、スピン軸131の回転軸線AX1の周りに基板Wを回転させる。
【0059】
撥液剤処理ユニット5は、加熱部20を更に備える。加熱部20は、制御部21による制御の下、基板Wの裏面側から、基板Wの径方向RD外側部分を加熱する。加熱部20は、スピンチャック13よりも径方向RD外側に配置される。加熱部20は、基板Wよりも下方に配置される。具体的には、加熱部20は、基板Wの径方向RD外側部分の下方に配置される。図3の例では、加熱部20は、回転軸線AX1の周りに延びる略円環形状を有する。加熱部20は、例えば、ヒーターである。なお、回転軸線AX1に沿った方向を軸方向ADと記載する場合がある。軸方向ADは、基板Wに直交し、鉛直方向に略平行である。
【0060】
撥液物質除去機構15は、制御部21による制御の下、ブラシ151を水平方向に沿って揺動させたり、ブラシ151を昇降させたりする。撥液物質除去機構15は、ブラシ151を除去位置P1(図2)と待機位置P2(図2)との間で移動させる。ブラシ151の詳細は後述する。
【0061】
具体的には、撥液物質除去機構15は、揺動アーム152と、揺動機構153と、昇降機構154と、アーム基軸155とを含む。揺動アーム152の水平方向一方側の先端には、ブラシ151が取り付けられる。そして、揺動アーム152は、ブラシ151を略水平方向に沿って揺動させたり、ブラシ151を昇降させたりする。
【0062】
更に具体的には、揺動機構153は、制御部21による制御の下、揺動アーム152を揺動軸線AX3の周りに略水平方向に沿って揺動させる。詳細には、アーム基軸155の上端部が、揺動アーム152の水平方向他方側に結合される。揺動機構153の駆動力は、アーム基軸155に入力される。揺動機構153の駆動力をアーム基軸155に入力することで、アーム基軸155を往復回転させて、揺動アーム152を、アーム基軸155を支点に揺動させる。揺動機構153は、例えば、モーターを含む。
【0063】
また、昇降機構154は、制御部21による制御の下、揺動アーム152を昇降させる。詳細には、アーム基軸155に、昇降機構154が結合されている。昇降機構154は、アーム基軸155を上下動させて、アーム基軸155と一体的に揺動アーム152を上下動させる。昇降機構154は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与えるモーターとを含む。
【0064】
具体的には、揺動アーム152は、アーム本体156と、支持軸157と、自転機構158とを含む。アーム本体156は、中空であり、略水平方向に延びる。アーム本体156は、揺動機構153によって略水平方向に沿って揺動する。アーム本体156は、昇降機構154によって昇降する。支持軸157は、アーム本体156の水平方向一方側に位置し、略水平方向に突出する。自転機構158は、支持軸157に支持される。自転機構158の下端部には、ブラシ151が取り付けられる。
【0065】
自転機構158は、制御部21による制御の下、回転軸線AX2の周りにブラシ151を回転させる。つまり、自転機構158は、ブラシ151を自転させる。具体的には、自転機構158は、ブラシモーター160と、軸部161と、第1固定部C1と、第2固定部C2とを含む。
【0066】
ブラシモーター160の出力軸は、軸部161に固定される。軸部161は、鉛直下方に向けて延びている。つまり、軸部161は、軸方向ADに沿って下方に延びている。軸部161の下部には、第1固定部C1及び第2固定部C2が取り付けられる。第1固定部C1及び第2固定部C2は、ブラシ151を軸部161に固定する。ブラシモーター160は、軸部161を回転させることで、第1固定部C1及び第2固定部C2と共にブラシ151を回転軸線AX2の周りに回転させる。本実施形態では、回転軸線AX2は回転軸線AX1と略平行である。従って、回転軸線AX1に対する軸方向ADは、回転軸線AX2に略平行である。よって、軸方向ADは、回転軸線AX2に対する軸方向と捉えることもできる。
【0067】
また、揺動アーム152は付勢機構159を更に含む。付勢機構159は、制御部21による制御の下、支持軸157及び自転機構158を介して、ブラシ151を基板Wの径方向RD内側に向けて付勢する。具体的には、付勢機構159は、基板Wの端面部51に対するブラシ151の径方向RDの押し圧を予め設定された押し圧に保持する。押し圧は、径方向RDにおいて端面部51にブラシ151を押し付けるときの圧力である。例えば、付勢機構159は、エアシリンダーによって支持軸157を径方向RDに沿って駆動することで、ブラシ151を基板Wの径方向RD内側に向けて付勢する。
【0068】
撥液剤塗布部31は、撥液剤ノズル311及びアーム312に加えて、回動軸313と、ノズル移動機構314と、バルブ315と、配管316とを更に含む。撥液剤ノズル311には、配管316が接続される。配管316は、撥液剤を撥液剤ノズル311に供給する。配管316には、バルブ315が配置される。バルブ315は、配管316の流路を閉塞又は開放する。制御部21は、バルブ315が配管316の流路を開放するように、バルブ315を制御する。その結果、バルブ315が配管316の流路を開放するため、撥液剤ノズル311は、撥液剤を基板Wの端面部51に向けて吐出する。
【0069】
ノズル移動機構314は、アーム312及び回動軸313を介して、撥液剤ノズル311を塗布位置P3(図2)と待機位置P4(図2)との間で移動する。
【0070】
具体的には、アーム312は略水平方向に沿って延びる。アーム312の先端部には撥液剤ノズル311が取り付けられる。アーム312は回動軸313に結合される。回動軸313は、略鉛直方向に沿って延びる。ノズル移動機構314は、回動軸313を略鉛直方向に沿った回動軸線のまわりに回動させて、アーム312を略水平面に沿って回動させる。その結果、撥液剤ノズル311が略水平面に沿って移動する。例えば、ノズル移動機構314は、回動軸313を回動軸線のまわりに回動させるアーム揺動モーターを含む。アーム揺動モーターは、例えば、サーボモータである。また、ノズル移動機構314は、回動軸313を略鉛直方向に沿って昇降させて、アーム312を昇降させる。その結果、撥液剤ノズル311が略鉛直方向に沿って移動する。例えば、ノズル移動機構314は、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与えるアーム昇降モーターとを含む。アーム昇降モーターは、例えば、サーボモータである。
【0071】
リンス液供給部33は、リンス液ノズル331に加えて、バルブ332と、配管333とを更に含む。リンス液ノズル331には、配管333が接続される。配管333は、リンス液をリンス液ノズル331に供給する。配管333には、バルブ332が配置される。バルブ332は、配管333の流路を閉塞又は開放する。制御部21は、バルブ332が配管333の流路を開放するように、バルブ332を制御する。その結果、バルブ332が配管333の流路を開放するため、リンス液ノズル331は、リンス液を、基板Wの径方向RD外側部分(端面部51を含む)に向けて吐出する。
【0072】
次に、図4及び図5を参照して、基板Wの詳細を説明する。図4は、基板Wを示す断面図である。図4では、基板Wの径方向RD外側部分の断面を拡大して示している。図5は、基板Wの一部を示す平面図である。図5では、基板Wの径方向RD外側部分の表面A1を拡大して示している。
【0073】
図4及び図5に示すように、基板Wは、本体50(以下、「基板本体50」と記載)と、端面部51とを有する。基板本体50は、基板Wのうち端面部51を除く部分を示す。換言すれば、基板本体50は、基板Wのうち端面部51よりも径方向RD内側部分を示す。更に換言すれば、基板本体50は、基板Wのうち径方向RDに沿った略平坦な部分を示す。基板本体50には、パターンが形成されている。例えば、基板Wの表面A1側において、基板本体50にパターンが形成されている。なお、例えば、基板Wの裏面A2側において、基板本体50にパターンが形成されていてもよい。基板本体50は、略円板形状を有する。なお、図5では、理解の容易のために、基板本体50と端面部51との境界を破線で示している。
【0074】
具体的には、基板本体50は、本体表面周縁部501及び本体裏面周縁部502を含む。本体表面周縁部501は、基板本体50の表面A1のうちの周縁領域を示す。本体裏面周縁部502は、基板本体50の裏面A2のうちの周縁領域を示す。本体表面周縁部501及び本体裏面周縁部502の各々は、回転軸線AX1(図2)の周りの略円環状の領域である。本体表面周縁部501及び本体裏面周縁部502の各々の径方向RDの幅は、例えば、1mm以上4mm以下である。
【0075】
端面部51は、基板Wのうち基板本体50よりも径方向RD外側の部分を示す。換言すれば、端面部51は、基板Wのうち基板本体50よりも径方向RD外側の端面領域を示す。更に換言すれば、端面部51は、基板Wのうち本体表面周縁部501及び本体裏面周縁部502よりも径方向RD外側の端面領域を示す。端面部51は、表面縁部511と、表面肩部512と、側面部515と、裏面肩部514と、裏面縁部513とを有する。
【0076】
表面縁部511は、基板Wの表面A1と裏面A2とのうちの表面A1側において、端面部51のうち、基板本体50よりも径方向RD外側に位置する領域であって、側面部515よりも径方向RD内側に位置する領域である。
【0077】
表面縁部511は、回転軸線AX1(図2)の周りの略円環状の領域である。表面縁部511は、平面視において、基板本体50(具体的には本体表面周縁部501)を周方向CDに囲む。表面縁部511は、断面視において、本体表面周縁部501から表面肩部512に向かって基板本体50の表面A1に対して傾斜する傾斜面を含む。表面縁部511は、本体表面周縁部501に対して傾斜角度θ1を有する。表面縁部511は、本体表面周縁部501と表面肩部512とを接続する。
【0078】
表面肩部512は、表面A1側において、端面部51のうち、表面縁部511よりも径方向RD外側に位置する領域であって、側面部515よりも径方向RD内側に位置する領域である。
【0079】
表面肩部512は、回転軸線AX1(図2)の周りの略円環状の領域である。表面肩部512は、平面視において、表面縁部511を周方向CDに囲む。表面肩部512は、断面視において、表面縁部511から側面部515に向かって湾曲している湾曲面を含む。表面肩部512は、表面縁部511と側面部515とを接続する。
【0080】
裏面縁部513は、裏面A2側において、端面部51のうち、基板本体50よりも径方向RD外側に位置する領域であって、側面部515よりも径方向RD内側に位置する領域である。
【0081】
裏面縁部513は、回転軸線AX1(図2)の周りの略円環状の領域である。裏面縁部513は、平面視において、基板本体50(具体的には本体裏面周縁部502)を周方向CDに囲む。裏面縁部513は、断面視において、本体裏面周縁部502から裏面肩部514に向かって基板本体50の裏面A2に対して傾斜する傾斜面を含む。裏面縁部513は、本体裏面周縁部502に対して傾斜角度θ2を有する。例えば、傾斜角度θ2は傾斜角度θ1と略同一である。裏面縁部513は、本体裏面周縁部502と裏面肩部514とを接続する。
【0082】
裏面肩部514は、裏面A2側において、端面部51のうち、裏面縁部513よりも径方向RD外側に位置する領域であって、側面部515よりも径方向RD内側に位置する領域である。
【0083】
裏面肩部514は、回転軸線AX1(図2)の周りの略円環状の領域である。裏面縁部513は、平面視において、裏面縁部513を周方向CDに囲む。裏面肩部514は、断面視において、裏面縁部513から側面部515に向かって湾曲している湾曲面を含む。裏面肩部514は、裏面縁部513と側面部515とを接続する。
【0084】
側面部515は、基板Wの径方向RDの最も外側に位置する。側面部515は、回転軸線AX1(図2)の周りの略円環状の領域である。側面部515は、平面視において、表面肩部512及び裏面肩部514を周方向CDに囲む。側面部515は、断面視において、表面肩部512から裏面肩部514に向かって延びる平坦面を含む。側面部515は、回転軸線AX1の周りに略円筒形状を有する。側面部515は、表面肩部512と裏面肩部514とを接続する。
【0085】
ここで、図4に示すように、例えば、基板Wの軸方向ADの厚みdは765μmである。また、例えば、表面肩部512の曲率半径は270μm、側面部515の軸方向ADの長さL0は228μm、裏面肩部514の曲率半径は238μmである。また、例えば、長さL1は314μm、長さL2は323μmである。長さL1は、表面縁部511の径方向RD内側端部から、表面肩部512の径方向RD外側端部(側面部515)までの径方向RDに沿った距離を示す。長さL2は、裏面縁部513の径方向RD内側端部から、裏面肩部514の径方向RD外側端部(側面部515)までの径方向RDに沿った距離を示す。また、例えば、表面縁部511の傾斜角度θ1は22.3度、裏面縁部513の傾斜角度θ2は23.3度である。
【0086】
なお、以下に示す図6図11及び図16図19では、表面肩部512及び裏面肩部514を簡略化して直線で示している。
【0087】
次に、図6及び図7を参照して、本実施形態に係る撥液物質除去方法を説明する。撥液物質除去方法は、本実施形態に係る基板処理方法の一部を構成する。図6及び図7は、本実施形態に係る撥液物質除去方法を示す図である。図6及び図7では、図面を見易くするために、ブラシ151については側面を示し、基板Wについては断面を示している。
【0088】
図6及び図7に示すように、撥液物質除去方法は、工程S100、工程S200、工程S300、工程S400、及び、工程S500を含む。
【0089】
まず、図6に示すように、工程S100において、待機位置P2にて、除去剤ノズル171は、自転中のブラシ151に向けて除去剤87を吐出する。その結果、ブラシ151に除去剤87が含浸する。特に、工程S100では、自転機構158(図3)がブラシ151を自転させているので、除去剤87がブラシ151に均等に染み込む。図6では、除去剤ノズル171は、回転軸線AX2に交差する方向に除去剤87を吐出している。具体的には、除去剤ノズル171は、回転軸線AX2に略直交する方向に除去剤87を吐出している。また、揺動アーム152(図3)は、ブラシ151を軸方向ADに沿って移動(昇降)させる。従って、除去剤ノズル171が固定されている場合でも、ブラシ151の全体に除去剤87を吐出できる。その結果、ブラシ151の全体に除去剤を効果的に含浸できる。なお、ノズル移動機構314と同様の機構によって、除去剤ノズル171を移動(昇降)できるようにしてもよい。
【0090】
次に、工程S200において、塗布位置P3にて、撥液剤ノズル311は、回転中の基板Wの端面部51に撥液剤81を吐出することで、基板Wの端面部51に撥液剤81を塗布する。この場合、基板Wに向けて撥液剤81を吐出するため、撥液剤81は、端面部51だけでなく、本体表面周縁部501にも付着する。また、撥液剤81は、本体裏面周縁部502に回り込む場合もある。
【0091】
次に、工程S300において、加熱部20は、基板Wの下方から、回転中の基板Wの径方向RD外側部分を加熱することで、工程S200で塗布された撥液剤81を乾燥させる。その結果、撥液剤81から溶媒が蒸発し、撥液物質82が基板Wの端面部51、本体表面周縁部501、及び、本体裏面周縁部502に付着する。つまり、撥液剤81が乾燥して、撥液剤81中の撥液物質82が、基板Wの端面部51、本体表面周縁部501、及び、本体裏面周縁部502に付着する。
【0092】
次に、図7に示すように、工程S400において、除去位置P1にて、ブラシ151は、回転中の基板Wの側面部515、表面肩部512、及び、裏面肩部514に対して離隔しつつ、回転中の基板Wの本体表面周縁部501、表面縁部511、裏面縁部513、及び、本体裏面周縁部502に接触することで、本体表面周縁部501、表面縁部511、裏面縁部513、及び、本体裏面周縁部502に付着した撥液物質82(工程S300)に除去剤87を接触させる。その結果、側面部515、表面肩部512、及び、裏面肩部514に撥液物質82を残しつつ、本体表面周縁部501、表面縁部511、裏面縁部513、及び、本体裏面周縁部502に付着した撥液物質82が、除去剤87によって除去される。つまり、側面部515、表面肩部512、及び、裏面肩部514に撥液物質82を残しつつ、本体表面周縁部501、表面縁部511、裏面縁部513、及び、本体裏面周縁部502に付着した撥液物質82が、本体表面周縁部501、表面縁部511、裏面縁部513、及び、本体裏面周縁部502から分離される。その結果、本実施形態によれば、余分な撥液物質82だけを基板Wから除去(分離)できる。
【0093】
好ましくは、工程S400では、自転機構158(図3)がブラシ151を自転させる。この場合、ブラシ151は、回転中の基板Wの側面部515、表面肩部512、及び、裏面肩部514に対して離隔しつつ、自転しながら、回転中の基板Wの本体表面周縁部501、表面縁部511、裏面縁部513、及び、本体裏面周縁部502に接触する。その結果、本実施形態によれば、より効果的に余分な撥液物質82を基板Wから除去(分離)できる。
【0094】
図7の例では、基板Wとブラシ151との接触位置において、基板Wの回転方向とブラシ151の自転方向とは逆である。従って、余分な撥液物質82をより確実に基板Wから除去(分離)できる。なお、基板Wとブラシ151との接触位置において、基板Wの回転方向とブラシ151の自転方向とが同じであってもよい。
【0095】
次に、工程S500において、リンス液ノズル331は、回転中の基板Wにリンス液86を吐出することで、基板Wから分離された余分な撥液物質82を基板Wから洗い流す。その後、基板Wの回転によって、基板Wに付着したリンス液が乾燥される。
【0096】
例えば、リンス液ノズル331は、本体表面周縁部501及び端面部51にリンス液86を吐出する。なお、リンス液ノズル331は、基板Wの表面A1全体にリンス液86を吐出してもよい。また、基板Wの表面A1からだけでなく、基板Wの裏面A2からリンス液を吐出してもよい。
【0097】
例えば、工程S500の後、側面部515、表面肩部512、及び、裏面肩部514に撥液物質82が付着した基板Wは、処理ユニット1(図1)に搬入される。そして、裏面用ノズル8(図1)が、基板Wの裏面A2に処理液を吐出する。この場合、基板Wの側面部515、表面肩部512、及び、裏面肩部514に付着した撥液物質82が処理液を弾くので、処理液が基板Wの裏面A2から表面A1に回り込むことを抑制できる。その結果、基板Wの表面A1に形成されたパターンが裏面A2に吐出された処理液の影響を受けることを抑制できる。
【0098】
ここで、基板Wの側面部515、表面肩部512、及び、裏面肩部514に付着した撥液物質82は高分子化合物である。従って、撥液物質82を除去する作業は不要である。なぜなら、撥液物質82は、側面部515、表面肩部512、及び、裏面肩部514に存在するに過ぎないからである。
【0099】
以上、図7を参照して、除去剤を撥液物質に接触させる工程の一例として工程S400を説明した。ただし、次のような変形も可能である。
【0100】
すなわち、スピンチャック13(図3)は、撥液物質が少なくとも本体表面周縁部501及び端面部51に付着した基板Wを保持しつつ回転させる。そして、ブラシ151は、基板Wの回転中において、基板Wの端面部51における径方向RDの側面部515に対して離隔しつつ、少なくとも基板Wの本体表面周縁部501に接触することで、撥液物質を除去することの可能な除去剤を、本体表面周縁部501に付着した撥液物質に接触させる。その結果、側面部515に撥液物質82を残しつつ、少なくとも、本体表面周縁部501に付着した撥液物質82が、除去剤87によって除去される。つまり、側面部515に撥液物質82を残しつつ、少なくとも、本体表面周縁部501に付着した撥液物質82が、本体表面周縁部501から分離される。その結果、本実施形態によれば、余分な撥液物質82だけを基板Wから除去(分離)できる。
【0101】
好ましくは、ブラシ151は、基板Wの側面部515に対して離隔しつつ、自転しながら、少なくとも本体表面周縁部501に接触する。この場合、少なくとも本体表面周縁部501から、より効果的に撥液物質82を除去(分離)できる。
【0102】
また、本体裏面周縁部502に撥液物質が付着している場合もある。この場合、スピンチャック13は、撥液物質が、本体表面周縁部501、本体裏面周縁部502、及び端面部51に付着した基板Wを保持しつつ回転させる。そして、ブラシ151は、基板Wの回転中において、基板Wの側面部515に対して離隔しつつ、少なくとも基板Wの本体表面周縁部501及び本体裏面周縁部502に接触することで、除去剤を、本体表面周縁部501及び本体裏面周縁部502に付着した撥液物質に接触させる。その結果、側面部515に撥液物質82を残しつつ、少なくとも、本体表面周縁部501及び本体裏面周縁部502に付着した撥液物質82が、除去剤87によって除去される。つまり、余分な撥液物質82だけを基板Wから除去(分離)できる。
【0103】
好ましくは、ブラシ151は、基板Wの側面部515に対して離隔しつつ、自転しながら、少なくとも本体表面周縁部501及び本体裏面周縁部502に接触する。この場合、少なくとも本体表面周縁部501及び本体裏面周縁部502から、より効果的に撥液物質82を除去(分離)できる。
【0104】
次に、図8を参照して、ブラシ151の詳細を説明する。図8は、ブラシ151を示す側面図である。図8に示すように、ブラシ151は、第1接触部B1と、第2接触部B2とを含む。第1接触部B1と第2接触部B2とは、一定方向に間隔をあけて並んでいる。図8の例では、第1接触部B1と第2接触部B2とは、軸方向ADに間隔をあけて並んでいる。
【0105】
第1接触部B1は、第1外側接触部B11と、第1内側接触部B12とを含む。第1外側接触部B11は、略円柱形状又は略円板形状を有する。第1外側接触部B11は、第1嵌合部55を有する。第1嵌合部55は、略円柱状又は略円板状の空間を含む。第1外側接触部B11は、平坦面B14を含む。平坦面B14は、回転軸線AX2の周りに略円環形状を有する。平坦面B14は、第1外側接触部B11の下端面である。
【0106】
第1固定部C1は、第1外側接触部B11の上面に固定される。また、第1固定部C1は、軸部161に固定される。
【0107】
第1内側接触部B12は、第1外側接触部B11の内側に配置される。第1内側接触部B12は、第1非接触部41と、第1傾斜接触部43とを有する。第1非接触部41は、略円柱形状又は略円板形状を有する。第1非接触部41は、第1嵌合部55に嵌合して、第1外側接触部B11の内部に固定される。第1傾斜接触部43は、略逆円錐台形状を有する。第1傾斜接触部43は、第1外側接触部B11から第2接触部B2に向かって突出している。第1傾斜接触部43は傾斜面B13を有する。傾斜面B13は、平坦面B14に対して傾斜している。傾斜面B13は、平坦面B14に対して傾斜角度θ1を有する。傾斜面B13の傾斜角度θ1は、表面縁部511の傾斜角度θ1(図4)と略同じである。傾斜面B13は、略逆切頭円錐面である。
【0108】
第2接触部B2は、第2外側接触部B21と、第2内側接触部B22とを含む。第2外側接触部B21は、略円柱形状又は略円板形状を有する。第2外側接触部B21は、第2嵌合部56を有する。第2嵌合部56は、略円柱状又は略円板状の空間を含む。第2外側接触部B21は、平坦面B24を含む。平坦面B24は、回転軸線AX2の周りに略円環形状を有する。平坦面B24は、第2外側接触部B21の上端面である。
【0109】
第2固定部C2は、第2外側接触部B21の下面に固定される。また、第2固定部C2は、軸部161に固定される。
【0110】
第2内側接触部B22は、第2外側接触部B21の内側に配置される。第2内側接触部B22は、第2非接触部42と、第2傾斜接触部44とを有する。第2非接触部42は、略円柱形状又は略円板形状を有する。第2非接触部42は、第2嵌合部56に嵌合して、第2外側接触部B21の内部に固定される。第2傾斜接触部44は、略円錐台形状を有する。第2傾斜接触部44は、第2外側接触部B21から第1接触部B1に向かって突出している。第2傾斜接触部44は傾斜面B23を有する。傾斜面B23は、平坦面B24に対して傾斜している。傾斜面B23は、平坦面B24に対して傾斜角度θ2を有する。傾斜面B23の傾斜角度θ2は、表面縁部511の傾斜角度θ2(図4)と略同じである。傾斜面B23は、略切頭円錐面である。
【0111】
第1外側接触部B11の平坦面B14と第2外側接触部B21の平坦面B24とは、軸方向ADに間隔をあけて対向している。また、第1内側接触部B12の傾斜面B13と第2内側接触部B22の傾斜面B23とは、軸方向ADに間隔をあけて対向している。本実施形態では、第1接触部B1と第2接触部B2とは、仮想平面PLに対して対称である。仮想平面PLは、回転軸線AX2に直交する仮想平面であり、対向軸部161aの軸方向ADの中点を通る。また、本実施形態では、傾斜角度θ1と傾斜角度θ2とは略同じである。
【0112】
なお、第1外側接触部B11と第1内側接触部B12とは、一体的に構成されていてもよい。第2外側接触部B21と第2内側接触部B22とは、一体的に構成されていてもよい。
【0113】
また、撥液剤処理ユニット5(図3)は、不活性ガス供給部35を更に備える。不活性ガス供給部35は、第1接触部B1と第2接触部B2との間から、不活性ガスを供給する。不活性ガスは、例えば、窒素又はアルゴンである。具体的には、不活性ガス供給部35は、不活性ガス吐出部353と、配管352と、バルブ351とを備える。不活性ガス吐出部353は、第1接触部B1と第2接触部B2との間から、軸部161の外方に向かって不活性ガスを吐出する。不活性ガス吐出部353は、例えば、ノズルである。
【0114】
具体的には、不活性ガス吐出部353には、配管352が接続される。配管352は、不活性ガスを不活性ガス吐出部353に供給する。配管352には、バルブ351が配置される。バルブ351は、配管352の流路を閉塞又は開放する。制御部21は、バルブ351が配管352の流路を開放するように、バルブ351を制御する。その結果、バルブ351が配管352の流路を開放するため、不活性ガス吐出部353は、不活性ガスを吐出する。
【0115】
更に具体的には、不活性ガス吐出部353は、対向軸部161aに配置される。対向軸部161aは、軸部161のうち、第1接触部B1と第2接触部B2との間に位置する部分である。軸部161は、例えば、第1接触部B1及び第2接触部B2を軸方向ADに貫通している。
【0116】
次に、図9を参照して、ブラシ151による撥液物質82の除去処理の一例を説明する。図9は、ブラシ151による撥液物質の除去処理の一例を示す図である。図9では、図面を分かり易くするために、ブラシ151については側面を示し、基板Wについては断面を示している。また、図面を簡略にするために、断面を示す斜線を省略している。
【0117】
図9に示すように、第1接触部B1は、基板Wの回転中において、基板Wの側面部515に対して離隔しつつ、少なくとも基板Wの本体表面周縁部501に接触することで、本体表面周縁部501に付着した撥液物質に除去剤を接触させる。つまり、第1接触部B1に含浸された除去剤が本体表面周縁部501及び撥液物質に転移される。従って、側面部515に撥液物質82を残しつつ、除去剤によって本体表面周縁部501から撥液物質を除去(分離)できる。
【0118】
一方、第2接触部B2は、基板Wの回転中において、基板Wの側面部515に対して離隔しつつ、少なくとも基板Wの本体裏面周縁部502に接触することで、本体裏面周縁部502に付着した撥液物質に除去剤を接触させる。つまり、第2接触部B2に含浸された除去剤が本体裏面周縁部502及び撥液物質に転移される。従って、側面部515に撥液物質82を残しつつ、除去剤によって本体裏面周縁部502から撥液物質を除去(分離)できる。
【0119】
具体的には、第1外側接触部B11は、基板Wの回転中において、本体表面周縁部501に接触することで、本体表面周縁部501に付着した撥液物質に除去剤を接触させる。つまり、第1外側接触部B11に含浸された除去剤が本体表面周縁部501及び撥液物質に転移される。従って、除去剤によって本体表面周縁部501から撥液物質を効果的に除去(分離)できる。
【0120】
また、第1内側接触部B12は、基板Wの回転中において、基板Wの端面部51における表面縁部511に接触することで、表面縁部511に付着した撥液物質に除去剤を接触させる。つまり、第1内側接触部B12に含浸された除去剤が表面縁部511及び撥液物質に転移される。従って、除去剤によって表面縁部511から撥液物質を効果的に除去(分離)できる。
【0121】
一方、第2外側接触部B21は、基板Wの回転中において、基板Wの本体裏面周縁部502に接触することで、本体裏面周縁部502に付着した撥液物質に除去剤を接触させる。つまり、第2外側接触部B21に含浸された除去剤が本体裏面周縁部502及び撥液物質に転移される。従って、除去剤によって本体裏面周縁部502から撥液物質を効果的に除去(分離)できる。
【0122】
また、第2内側接触部B22は、基板Wの回転中において、基板Wの端面部51における裏面縁部513に接触することで、裏面縁部513に付着した撥液物質に除去剤を接触させる。つまり、第2内側接触部B22に含浸された除去剤が裏面縁部513及び撥液物質に転移される。従って、除去剤によって裏面縁部513から撥液物質を効果的に除去(分離)できる。
【0123】
更に具体的には、第1外側接触部B11の平坦面B14は、本体表面周縁部501に接触する。従って、第1外側接触部B11に含浸されている除去液が、平坦面B14を介して、本体表面周縁部501に付着した撥液物質に接触する。そして、本体表面周縁部501に付着した撥液物質は、例えば、除去液及び平坦面B14によって研磨されて、本体表面周縁部501から分離する。このように、本体表面周縁部501からより効果的に撥液物質を除去できる。
【0124】
また、第1内側接触部B12の傾斜面B13は、表面縁部511に接触する。従って、第1内側接触部B12に含浸されている除去液が、傾斜面B13を介して、表面縁部511に付着した撥液物質に接触する。そして、表面縁部511に付着した撥液物質は、例えば、除去液及び傾斜面B13によって研磨されて、表面縁部511から分離する。このように、表面縁部511からより効果的に撥液物質を除去できる。傾斜面B13は、表面縁部511に沿って傾斜している。
【0125】
一方、第2外側接触部B21の平坦面B24は、本体裏面周縁部502に接触する。従って第2外側接触部B21に含浸されている除去液が、平坦面B24を介して、本体裏面周縁部502に付着した撥液物質に接触する。そして、本体裏面周縁部502に付着した撥液物質は、例えば、除去液及び平坦面B24によって研磨されて、本体裏面周縁部502から分離する。このように、本体裏面周縁部502からより効果的に撥液物質を除去できる。
【0126】
また、第2内側接触部B22の傾斜面B23は、裏面縁部513に接触する。従って、第2内側接触部B22に含浸されている除去液が、傾斜面B23を介して、裏面縁部513に付着した撥液物質に接触する。そして、裏面縁部513に付着した撥液物質は、例えば、除去液及び傾斜面B23によって研磨されて、裏面縁部513から分離する。このように、裏面縁部513からより効果的に撥液物質を除去できる。傾斜面B23は、裏面縁部513に沿って傾斜している。
【0127】
以上、図9を参照して説明した除去処理を実行した結果、基板Wの本体表面周縁部501と表面縁部511と裏面縁部513と本体裏面周縁部502とから撥液物質を除去しつつも、基板Wの端面部51の表面肩部512と側面部515と裏面肩部514とに撥液物質82を残すことができる。
【0128】
また、対向軸部161aは、基板Wの端面部51に付着した撥液物質82に対して、径方向RDaに間隔をあけて対向する。径方向RDaは、回転軸線AX2に対する径方向を示し、回転軸線AX2に直交する。不活性ガス吐出部353は、対向軸部161aから径方向RDa外側に向けて不活性ガスを吐出する。その結果、撥液物質82が不活性ガスに曝され、撥液物質82の酸化を防止できる。
【0129】
なお、第1内側接触部B12(具体的には傾斜面B13)は、基板Wの回転中において、基板Wの端面部51における表面縁部511及び表面肩部512に接触することで、表面縁部511及び表面肩部512に付着した撥液物質に除去剤を接触させてもよい。この場合、除去剤によって表面縁部511及び表面肩部512から撥液物質を効果的に除去(分離)できる。一方、第2内側接触部B22(具体的には傾斜面B23)は、基板Wの回転中において、基板Wの端面部51における裏面縁部513及び裏面肩部514に接触することで、裏面縁部513及び裏面肩部514に付着した撥液物質に除去剤を接触させてもよい。この場合、除去剤によって裏面縁部513及び裏面肩部514から撥液物質を効果的に除去(分離)できる。
【0130】
この場合、例えば、制御部21は付勢機構159(図3)による付勢力(押し圧)を調整し、ブラシ151の第1内側接触部B12及び第2内側接触部B22を弾性変形させることで、ブラシ151の第1内側接触部B12を、表面縁部511及び表面肩部512に接触させるとともに、ブラシ151の第2内側接触部B22を、裏面縁部513及び裏面肩部514に接触させる。
【0131】
次に、図10を参照して、変形例に係るブラシ151Aによる撥液物質82の除去処理の一例を説明する。図10は、ブラシ151Aによる撥液物質の除去処理の一例を示す図である。図10では、図面を分かり易くするために、ブラシ151Aについては側面を示し、基板Wについては断面を示している。また、図面を簡略にするために、断面を示す斜線を省略している。
【0132】
図10に示すように、第1接触部B1は第1内側接触部B12aを含む。第1内側接触部B12aの傾斜面B13は、表面縁部511の上側領域a1に接触し、表面縁部511の下側領域b1には接触しない。従って、上側領域a1に付着した撥液物質だけが除去され、下側領域b1に付着した撥液物質は残る。
【0133】
一方、第2接触部B2は第2内側接触部B22aを含む。第2内側接触部B22aの傾斜面B13は、裏面縁部513の下側領域a2に接触し、裏面縁部513の上側領域b2には接触しない。従って、下側領域a2に付着した撥液物質だけが除去され、上側領域b2に付着した撥液物質は残る。
【0134】
以上、図10を参照して説明した除去処理を実行した結果、基板Wの本体表面周縁部501と表面縁部511の上側領域a1と裏面縁部513の下側領域a2と本体裏面周縁部502とから撥液物質を除去しつつも、基板Wの端面部51の表面縁部511の下側領域b1と表面肩部512と側面部515と裏面肩部514と裏面縁部513の上側領域b2とに撥液物質82を残すことができる。
【0135】
なお、第1外側接触部B11と第1内側接触部B12aとは、一体的に構成されていてもよい。第2外側接触部B21と第2内側接触部B22aとは、一体的に構成されていてもよい。
【0136】
次に、図11を参照して、別の変形例に係るブラシ151Bによる撥液物質82の除去処理の一例を説明する。図11は、ブラシ151Bによる撥液物質の除去処理の一例を示す図である。図11では、図面を分かり易くするために、ブラシ151Bについては側面を示し、基板Wについては断面を示している。また、図面を簡略にするために、断面を示す斜線を省略している。
【0137】
図11に示すように、第1接触部B1は、第1外側接触部B11を有し、第1内側接触部B12(図9)を有していない。つまり、第1接触部B1の構成は第1外側接触部B11の構成と同じである。この場合、第1接触部B1は第1嵌合部55(図9)を有していなくてもよい。そして、第1接触部B1の平坦面B14が、基板Wの端面部51に対して離隔しつつ、本体表面周縁部501に接触する。従って、本体表面周縁部501に付着した撥液物質だけが除去される。
【0138】
一方、第2接触部B2は、第2外側接触部B21を有し、第2内側接触部B22(図9)を有していない。つまり、第2接触部B2の構成は第2外側接触部B21の構成と同じである。この場合、第2接触部B2は第2嵌合部56(図9)を有していなくてもよい。そして、第1接触部B1の平坦面B24が、基板Wの端面部51に対して離隔しつつ、本体裏面周縁部502に接触する。従って、本体裏面周縁部502に付着した撥液物質だけが除去される。
【0139】
以上、図11を参照して説明した除去処理を実行した結果、基板Wの本体表面周縁部501と本体裏面周縁部502とから撥液物質を除去しつつも、基板Wの端面部51の全体に撥液物質82を残すことができる。
【0140】
次に、図1図3及び図12を参照して、本実施形態に係る基板処理方法を説明する。基板処理方法は、撥液物質を除去することの可能な除去剤を撥液物質に接触させるブラシ151を使用する。基板処理方法は撥液物質除去方法を含んでいる。図12は、本実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。図12に示すように、基板処理方法は工程S1~工程S13を含む。工程S1~工程S13は基板処理装置100によって実行される。
【0141】
まず、図2図3、及び、図10に示すように、工程S1において、除去剤供給部17は、待機位置P2に位置するブラシ151を自転させながらブラシ151に対して除去剤を供給する。具体的には、制御部21は、ブラシ151が自転するように、自転機構158を制御する。その結果、自転機構158はブラシ151を自転させる。更に、制御部21は、除去剤をブラシ151に供給するように、除去剤供給部17を制御する。その結果、除去剤供給部17は、ブラシ151に除去剤を供給する。なお、ブラシ151の自転と除去剤の供給とは同時に実行されてもよいし、自転が先で除去剤の供給が後でもよいし、自転が後で除去剤の供給が先でもよい。なお、ブラシ151への除去剤の供給が完了すると、自転機構158はブラシ151の自転を停止する。
【0142】
次に、図1及び図10に示すように、工程S2において、制御部21は、基板Wを撥液剤処理ユニット5に搬入するように、センターロボットCRを制御する。その結果、センターロボットCRは、基板Wを撥液剤処理ユニット5に搬入し、基板Wをスピンチャック13に保持させる。
【0143】
次に、図2図3、及び、図10に示すように、工程S3において、制御部21は、基板Wを回転するように、スピンチャック13を制御する。その結果、スピンチャック13は、基板Wを回転させる。
【0144】
次に、工程S4において、撥液剤塗布部31は、塗布位置P3において、回転中の基板Wの端面部51に向けて撥液剤を吐出する。具体的には、制御部21は、撥液剤ノズル311が回転中の基板Wの端面部51に撥液剤を吐出するように、バルブ315を制御する。その結果、バルブ315が配管316の流路を開放するため、撥液剤ノズル311は、基板Wの端面部51に撥液剤を吐出する。よって、基板Wの端面部51に撥液剤が塗布される。ただし、撥液剤ノズル311によって撥液剤の塗布が実行されるため、基板Wの本体表面周縁部501及び本体裏面周縁部502にも、撥液剤が塗布される。撥液剤の塗布が完了すると、撥液剤ノズル311は撥液剤の吐出を停止する。
【0145】
次に、工程S5において、スピンチャック13は、撥液物質が少なくとも本体表面周縁部501及び端面部51に付着した基板Wを保持しつつ回転させる。典型的には、スピンチャック13は、撥液物質が本体表面周縁部501と本体裏面周縁部502と端面部51とに付着した基板Wを保持しつつ回転させる。基板Wの回転は工程S3から継続している。そして、加熱部20は、基板Wの下方から、基板Wの径方向RD外側部分を加熱する。具体的には、制御部21は、基板Wを加熱するように、加熱部20を制御する。その結果、加熱部20は、基板Wを加熱し、基板Wに塗布された撥液剤を熱によって乾燥する。よって、基板Wの端面部51、本体表面周縁部501、及び、本体裏面周縁部502に、撥液剤に含まれた撥液物質が付着する。
【0146】
次に、工程S6において、ブラシ151は、自転しながら、回転中の基板Wに接触して、基板Wから余分な撥液物質を除去(分離)する。
【0147】
具体的には、制御部21は、ブラシ151が自転するように、自転機構158を制御する。その結果、自転機構158は、ブラシ151を自転させる。そして、制御部21は、ブラシ151が待機位置P2から除去位置P1に移動するように、揺動アーム152を制御する。従って、揺動アーム152はブラシ151を待機位置P2から除去位置P1に移動させる。その結果、ブラシ151は、必要な撥液物質を基板Wに残しつつ、基板Wから余分な撥液物質だけを除去する。余分な撥液物質の除去が完了すると、揺動アーム152はブラシ151を除去位置P1から待機位置P2に移動させるとともに、自転機構158はブラシ151の自転を停止する。
【0148】
詳細には、工程S6では、基板Wの回転中において、基板Wの端面部51における径方向RDの側面部515に対してブラシ151を離隔させつつ、少なくとも基板Wの本体表面周縁部501にブラシ151を接触させることで、本体表面周縁部501に付着した撥液物質に除去剤を接触させる。
【0149】
より詳細には、工程S6では、ブラシ151は、第1接触動作と第2接触動作とを実行する。第1接触動作は、基板Wの回転中において、基板Wの側面部515に対して第1接触部B1を離隔させつつ、少なくとも基板Wの本体表面周縁部501に第1接触部B1を接触させることで、本体表面周縁部501に付着した撥液物質にブラシ151を接触させる動作である。第2接触動作は、基板Wの回転中において、基板Wの側面部515に対して第2接触部B2を離隔させつつ、少なくとも基板Wの本体裏面周縁部502に第2接触部B2を接触させることで、本体裏面周縁部502に付着した撥液物質82に除去剤を接触させる動作である。
【0150】
より詳細には、工程S6では、第1接触動作として、第1本体接触動作と第1端面接触動作とを実行する。
【0151】
第1本体接触動作は、基板Wの回転中において、第1外側接触部B11を本体表面周縁部501に接触させることで、本体表面周縁部501に付着した撥液物質に除去剤を接触させる動作である。
【0152】
第1端面接触動作は、基板Wの回転中において、第1内側接触部B12を基板Wの端面部51における表面縁部511に接触させることで、表面縁部511に付着した撥液物質に除去剤を接触させる動作である。なお、第1端面接触動作は、基板Wの回転中において、第1内側接触部B12を基板Wの表面縁部511及び表面肩部512に接触させることで、表面縁部511及び表面肩部512に付着した撥液物質に除去剤を接触させる動作であってもよい。
【0153】
また、工程S6では、第2接触動作として、第2本体接触動作と第2端面接触動作とを実行する。
【0154】
第2本体接触動作は、基板Wの回転中において、第2外側接触部B21を基板Wの本体裏面周縁部502に接触させることで、本体裏面周縁部502に付着した撥液物質に除去剤を接触させる動作である。
【0155】
第2端面接触動作は、基板Wの回転中において、第2内側接触部B22を基板Wの端面部51における裏面縁部513に接触させることで、裏面縁部513に付着した撥液物質に除去剤を接触させる動作である。なお、第2端面接触動作は、基板Wの回転中において、第2内側接触部B22を基板Wの裏面縁部513及び裏面肩部514に接触させることで、裏面縁部513及び裏面肩部514に付着した撥液物質に除去剤を接触させる動作であってもよい。
【0156】
また、好ましくは、工程S6では、基板Wの側面部515に対してブラシ151を離隔させつつ、ブラシ151を自転させながら、少なくとも本体表面周縁部501にブラシ151を接触させる。更に好ましくは、工程S6では、基板Wの側面部515に対してブラシ151を離隔させつつ、ブラシ151を自転させながら、少なくとも本体表面周縁部501及び本体裏面周縁部502にブラシ151を接触させる。更に好ましくは、工程S6では、基板Wの側面部515と表面肩部512と裏面肩部514とに対してブラシ151を離隔させつつ、ブラシ151を自転させながら、本体表面周縁部501と表面縁部511と裏面縁部513と本体裏面周縁部502とにブラシ151を接触させる。更に好ましくは、工程S6では、基板Wの側面部515に対してブラシ151を離隔させつつ、ブラシ151を自転させながら、本体表面周縁部501と表面縁部511と表面肩部512と裏面肩部514と裏面縁部513と本体裏面周縁部502とにブラシ151を接触させる。
【0157】
また、好ましくは、工程S6では、ブラシ151の第1接触部B1と第2接触部B2との間から、撥液物質82に向けて不活性ガスを吐出する。
【0158】
次に、工程S7において、リンス液供給部33は、基板Wにリンス液を供給することで、工程S6で基板Wから除去(分離)された余分な撥液物質を基板Wから洗い流す。具体的には、制御部21は、リンス液ノズル331が回転中の基板Wにリンス液を吐出するように、バルブ332を制御する。その結果、バルブ332が配管333の流路を開放するため、リンス液ノズル331は、基板Wにリンス液を吐出する。
【0159】
次に、工程S8において、スピンチャック13は、基板Wを回転させることで、基板Wを乾燥する。基板Wの回転は工程S3から継続している。
【0160】
次に、工程S9において、制御部21は、基板Wの回転を停止するように、スピンチャック13を制御する。その結果、スピンチャック13は、基板Wの回転を停止する。
【0161】
次に、工程S10において、制御部21は、基板Wを撥液剤処理ユニット5から搬出するように、センターロボットCRを制御する。その結果、センターロボットCRは、基板Wを撥液剤処理ユニット5から搬出する。
【0162】
次に、工程S11において、制御部21は、撥液物質が側面部515に付着した基板W、又は、撥液物質が側面部515と表面肩部512と裏面肩部514とに付着した基板Wを、処理ユニット1に搬入するように、センターロボットCRを制御する。その結果、センターロボットCRは、基板Wを処理ユニット1に搬入する。
【0163】
次に、工程S12において、制御部21は、処理液によって基板Wを処理するように、処理ユニット1を制御する。その結果、処理ユニット1は、処理液によって基板Wを処理する。一例として、処理ユニット1の裏面用ノズル8(図1)は、処理液を基板Wの裏面A2に吐出することで、基板Wの裏面A2を処理する。他の例として、処理ユニット1の表面用ノズル7(図1)は、処理液を基板Wの表面A1に吐出することで、基板Wの表面A1を処理する。
【0164】
次に、工程S13において、制御部21は、基板Wを処理ユニット1から搬出するように、センターロボットCRを制御する。その結果、センターロボットCRは、基板Wを処理ユニット1から搬出する。そして、処理は終了する。
【0165】
以上、図12を参照して説明したように、本実施形態に係る基板処理方法によれば、基板Wの側面部515に対してブラシ151を離隔させつつ、余分な撥液物質を除去する(工程S6)。従って、基板Wの側面部515に撥液物質を残しつつ、余分な撥液物質を除去できる。
【0166】
また、本実施形態によれば、工程S12において、例えば、基板Wの裏面A2に処理液が吐出された場合であっても、処理液が基板Wの表面A1に回り込むことを抑制できる。なぜなら、工程S6では、余分な撥液物質だけが除去されるだけであり、基板Wの側面部515には撥液物質が付着しているからである。
【0167】
次に、図13を参照して、基板Wに形成されるノッチ52を説明する。図13は、基板Wを示す平面図である。図13に示すように、基板Wは、ノッチ52を有する場合がある。ノッチ52は、平面視において、基板Wの端面部51から径方向RD内側に窪む凹部である。ノッチ52の周方向CDの幅は、例えば、径方向RD内側ほど小さくなる。
【0168】
次に、図9及び図14を参照して、ノッチ52とブラシ151との関係を説明する。図14は、ブラシ151がノッチ52に接触している状態を示す平面図である。図14では、ブラシ151において、第1傾斜接触部43の最大部分MX1が示されている。また、第1外側接触部B11が二点鎖線で示される。
【0169】
図14に示すように、ブラシ151の少なくとも一部は、基板Wの端面部51に存在するノッチ52に進入し、ノッチ52の底点BMに接触する。従って、本実施形態によれば、端面部51、本体表面周縁部501、及び、本体裏面周縁部502の場合と同様に、ノッチ52のうちの撥液物質必要部分に撥液物質を残存させつつも、ノッチ52のうちの撥液物質不必要部分及びノッチ52近傍から、撥液物質を除去できる。撥液物質必要部分は、少なくとも、ノッチ52のうち側面部515に対応する部分を含む。撥液物質必要部分は、ノッチ52において、表面肩部512に対応する部分、裏面肩部514に対応する部分、表面縁部511に対応する部分、及び、裏面縁部513に対応する部分のうちの1以上を含んでいてもよい。撥液物質不必要部分は、ノッチ52のうち、撥液物質必要部分以外の部分である。
【0170】
図14の例では、平面視において、ブラシ151の第1傾斜接触部43の全体及び第2傾斜接触部44(図9)の全体がノッチ52に進入している。ただし、ブラシ151の第1傾斜接触部43及び第2傾斜接触部44がノッチ52の底点BMに接触する限りは、平面視において、第1傾斜接触部43の一部及び第2傾斜接触部44の一部がノッチ52に進入していてもよい。
【0171】
また、図14の例では、ブラシ151の直径2Rは、ノッチ52の周方向CDの最大幅Lよりも小さい。「R」は、平面視におけるブラシ151の半径を示す。図9に示すように、本実施形態では、ブラシ151の半径Rは、ブラシ151の第1傾斜接触部43の最大部分MX1の半径Rmxを示す。同様に、ブラシ151の直径2Rは、ブラシ151の第1傾斜接触部43の最大部分MX1の直径2Rmxを示す。また、図14の例では、ブラシ151の直径2Rは、ノッチ52の径方向RDの深さDよりも小さい。従って、平面視において、ブラシ151の第1傾斜接触部43の全体及び第2傾斜接触部44全体が、ノッチ52の内部に収まる。基板Wは、回転方向D1に回転するため、ブラシ151は、ノッチ52に対して相対的に移動する。従って、平面視において、ノッチ52の全体にわたって、撥液物質必要部分に撥液物質を残存させつつも、第1傾斜接触部43及び第2傾斜接触部44によって撥液物質不必要部分から撥液物質を除去できる。同様に、平面視において、ノッチ52近傍の全体にわたって、第1外側接触部B11及び第2外側接触部B21(図9)によって撥液物質を除去できる。
【0172】
特に、本実施形態では、付勢機構159(図3)は、ブラシ151を基板Wの径方向RD内側に向けて付勢する。従って、基板Wの回転によってブラシ151がノッチ52に位置した場合に、ブラシ151の第1傾斜接触部43及び第2傾斜接触部44は速やかにノッチ52に進入する。その結果、より確実に、ノッチ52の撥液物質不必要部分から撥液物質を除去できる。
【0173】
次に、図9図13及び図15を参照して、ブラシ151の半径Rの決定方法の一例を説明する。図13に示すように、ノッチ52の幅Lは、式(1)によって示される。式(1)において、「Rw」は、基板Wの半径を示す。「θ」は、ノッチ52に対する中心角を示す。中心角θの単位は、「度」である。
【0174】
L=2π×Rw×(θ/360) …(1)
【0175】
図15は、ブラシ151及びノッチ52を示す平面図である。図15では、ブラシ151において、第1傾斜接触部43の最大部分MX1が示されている。また、第1外側接触部B11が二点鎖線で示される。図15に示すように、ノッチ52の底点BMを原点0として、x座標及びy座標を定義する。そして、ノッチ52を放物線yで近似する。従って、ノッチ52は、式(2)によって示される。式(2)の係数aは、式(3)によって示される。
【0176】
y=a×x2 …(2)
a=y/x2=By/Ax2 …(3)
【0177】
放物線yの各点xにおける曲率半径Rcは、式(4)によって示される。「y1」は、式(2)の1回微分を示し、式(5)によって示される。「y2」は、式(2)の2回微分を示し、式(6)によって示される。
【0178】
Rc=(1+y123/2/y2 …(4)
y1=dy/dx …(5)
y2=dy/dx …(6)
【0179】
放物線yの原点0における曲率半径R0、つまり、ノッチ52の底点BMにおける曲率半径R0は、式(7)によって示される。つまり、式(7)において、x=0である。
【0180】
R0=(1+(2a)2×x23/2/2a=1/2a …(7)
【0181】
本実施形態では、原点0における曲率半径R0をブラシ151の半径Rに設定する。従って、ブラシ151の第1傾斜接触部43及び第2傾斜接触部44をノッチ52に確実に進入させることができる。その結果、ノッチ52の撥液物質不必要部分から、撥液物質を確実に除去できる。
【0182】
ここで、一例として、ブラシ151の半径Rの最大値Rmax及び最小値Rminを算出する。
【0183】
まず、最大値Rmaxを算出する。この場合、基板Wの半径Rw=150mm、中心角θ=2とすると、式(1)によって、ノッチ52の幅L=5.24mm、である。また、Ax=2.62mm、By=1.20mmとすると、式(3)によって、係数a=0.175、である。係数aを式(7)に代入すると、曲率半径R0の最大値は、2.86mm、となる。よって、ブラシ151の半径Rの最大値Rmaxを2.86mmに設定する。
【0184】
次に、最小値Rminを算出する。この場合、基板Wの半径Rw=150mm、中心角θ=1.5とすると、式(1)によって、ノッチ52の幅L=3.93mm、である。また、Ax=1.96mm、By=1.20mmとすると、式(3)によって、係数a=0.31、である。係数aを式(7)に代入すると、曲率半径R0の最小値は、1.61mm、となる。よって、ブラシ151の半径Rの最小値Rminを1.61mmに設定する。
【0185】
すなわち、例えば、ノッチ52の幅Lが3.93mm以上5.24mm以下である場合、ブラシ151の半径Rを1.61mm以上2.86mm以下に設定する。
【0186】
(第1変形例)
図16図18を参照して、本実施形態の第1変形例に係るブラシ151Cを説明する。第1変形例に係るブラシ151Cの第1内側接触部B12c及び第2内側接触部B22cが可動する点で、第1変形例は図8を参照して説明した実施形態と主に異なる。以下、第1変形例が実施形態と異なる点を主に説明する。
【0187】
図16は、第1変形例に係るブラシ151Cを示す断面図である。図16に示すように、第1外側接触部B11cは、内部空間SP1を有する。内部空間SP1は、第1内側接触部B12cを収容可能である。
【0188】
第1内側接触部B12cは、スライダー181及び本体185を含む。本体185はスライダー181の外周面に取り付けられる。スライダー181は略円筒形状を有する。スライダー181は軸部161に挿入されている。スライダー181は、軸部161において軸方向ADに沿って移動可能である。従って、第1内側接触部B12cは、軸部161において軸方向ADに沿って移動可能である。また、スライダー181は、軸部161とともに、回転軸線AX2の周りに回転する。この場合、スライダー181の係合部と軸部161の係合部とが係合している。スライダー181の係合部は、例えば、軸方向ADに延びる凸部であり、軸部161の係合部は、例えば、軸方向ADに延びる凹部である。
【0189】
内部空間SP1は、間隙GP1及び間隙GP2を含む。間隙GP1は、第1内側接触部B12cの上面71と第1外側接触部B11cの内部上面72との間の空間を示す。間隙GP2は、第1内側接触部B12cの外周面75と第1外側接触部B11cの内周面74との間の空間を示す。
【0190】
一方、第2外側接触部B21cは、内部空間SP2を有する。内部空間SP2は、第2内側接触部B22cを収容可能である。
【0191】
第2内側接触部B22cは、スライダー182及び本体186を含む。本体186はスライダー182の外周面に取り付けられる。スライダー182は略円筒形状を有する。スライダー182は軸部161に挿入されている。スライダー182は、軸部161において軸方向ADに沿って移動可能である。従って、第2内側接触部B22cは、軸部161において軸方向ADに沿って移動可能である。また、スライダー182は、軸部161とともに、回転軸線AX2の周りに回転する。スライダー182の構成はスライダー181の構成と同様である。
【0192】
内部空間SP2は、間隙GP3及び間隙GP4を含む。間隙GP3は、第2内側接触部B22cの上面91と第2外側接触部B21cの内部上面92との間の空間を示す。間隙GP4は、第2内側接触部B22cの外周面95と第2外側接触部B21cの内周面94との間の空間を示す。
【0193】
なお、第1例として、間隙GP1に、第1内側接触部B12cを下方に付勢する付勢部材を配置し、間隙GP3に、第2内側接触部B22cを上方に付勢する付勢部材を配置してもよい。付勢部材は、例えば、バネなどの弾性部材である。又は、第2例として、間隙GP1及び間隙GP3にそれぞれスペーサーを配置して、第1内側接触部B12c及び第2内側接触部B22cの位置を固定してもよい。第1例及び第2例では、対向軸部161aにおいて、第1内側接触部B12cの下方と、第2内側接触部B22cの上方とに、ストッパーを配置する。
【0194】
次に、図17及び図18を参照して、第1変形例に係るブラシ151Cによる撥液物質の除去処理を説明する。図17は、ブラシ151Cによる撥液物質の除去処理の第1工程S1000を示す図である。図18は、ブラシ151Cによる撥液物質の除去処理の第2工程S2000を示す図である。
【0195】
図17及び図18に示すように、第1工程S1000及び第2工程S2000では、スライダー181が下方に移動して、第1内側接触部B12c(具体的には第1傾斜接触部43)が、第1外側接触部B11cから下方に突出している。また、スライダー182が上方に移動して、第2内側接触部B22c(具体的には第2傾斜接触部44)が、第2外側接触部B21cから上方に突出している。
【0196】
まず、図17に示すように、第1工程S1000において、第1外側接触部B11cの平坦面B14が本体表面周縁部501の領域M2に接触し、第1内側接触部B12cの傾斜面B13が表面縁部511に接触する。その結果、領域M2及び表面縁部511に付着した撥液物質が除去液によって除去(分離)される。また、第1工程S1000においては、第2外側接触部B21cの平坦面B24が本体裏面周縁部502の領域N2に接触し、第2内側接触部B22cの傾斜面B23が裏面縁部513に接触する。その結果、領域N2及び表面肩部512に付着した撥液物質が除去液によって除去(分離)される。
【0197】
ただし、第1工程S1000の完了時では、本体表面周縁部501の領域M1及び本体裏面周縁部502の領域N1には、撥液物質85が残存している。
【0198】
そこで、第1工程S1000の完了後に、揺動アーム152(図3)は、方向DAにブラシ151Cを移動させる。方向DAは、径方向RD外側を向く方向を示す。具体的には、揺動アーム152は、領域M1及び領域N1に相当する距離だけ、方向DAにブラシ151Cを移動させる。
【0199】
なお、領域M1は、本体表面周縁部501の径方向RD内側部分を示し、領域M2は、本体表面周縁部501の径方向RD外側部分を示す。領域N1は、本体裏面周縁部502の径方向RD内側部分を示し、領域N2は、本体裏面周縁部502の径方向RD外側部分を示す。
【0200】
次に、図18に示すように、第2工程S2000において、第1外側接触部B11cの平坦面B14が本体表面周縁部501の領域M1に接触し、第1内側接触部B12cの傾斜面B13が表面縁部511から離隔する。その結果、領域M1に付着した撥液物質が除去液によって除去(分離)される。また、第2工程S2000においては、第2外側接触部B21cの平坦面B24が本体裏面周縁部502の領域N1に接触し、第2内側接触部B22cの傾斜面B23が裏面縁部513から離隔する。その結果、領域N1に付着した撥液物質が除去液によって除去(分離)される。
【0201】
以上の結果、第1変形例では、基板Wの側面部515、表面肩部512、及び、裏面肩部514に、撥液物質82が残存する。なお、第2工程S2000の後に、第1工程S1000が実行されてよい。
【0202】
また、第1変形例では、ブラシ151Cは、スライダー181、182を有している。従って、第1内側接触部B12cと第2内側接触部B22cとの軸方向ADの間隔は拡縮可能である。その結果、基板Wの端面部51の形状に合わせて、第1内側接触部B12c(傾斜面B13)及び第2内側接触部B22c(傾斜面B23)の軸方向ADの位置を設定できる。
【0203】
(第2変形例)
図19を参照して、本実施形態の第2変形例に係るブラシ151Dを説明する。第2変形例に係るブラシ151Dの第1内側接触部B12が表面縁部511及び表面肩部512の形状に沿っている点で、第2変形例は図8を参照して説明した実施形態と主に異なる。以下、第2変形例が実施形態と異なる点を主に説明する。
【0204】
図19は、第2変形例に係るブラシ151Dによる撥液物質の除去処理の一例を示す図である。図91では、図面を分かり易くするために、ブラシ151Dについては側面を示し、基板Wについては断面を示している。また、図面を簡略にするために、断面を示す斜線を省略している。
【0205】
図19に示すように、第1傾斜接触部43dは、第1接触面B15と、第2接触面B16とを有する。第1接触面B15は、表面縁部511に沿った形状を有している。従って、第1接触面B15が表面縁部511に接触することで、表面縁部511に付着した撥液物質が除去液によって除去(分離)される。第2接触面B16は、表面肩部512に沿った形状を有している。従って、第2接触面B16が表面肩部512に接触することで、表面肩部512に付着した撥液物質が除去液によって除去(分離)される。
【0206】
また、第2傾斜接触部44dは、第1接触面B25と、第2接触面B26とを有する。第1接触面B25は、裏面縁部513に沿った形状を有している。従って、第1接触面B25が裏面縁部513に接触することで、裏面縁部513に付着した撥液物質が除去液によって除去(分離)される。第2接触面B26は、裏面肩部514に沿った形状を有している。従って、第2接触面B26が裏面肩部514に接触することで、裏面肩部514に付着した撥液物質が除去液によって除去(分離)される。
【0207】
以上の結果、第2変形例では、基板Wの側面部515だけに、撥液物質82が残存する。
【0208】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0209】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0210】
(1)図3を参照して説明した実施形態(変形例を含む)では、ブラシ151は自転機構158によって自転した。ただし、ブラシ151は、基板Wに従動して自転してもよい。なお、ブラシ151は自転しなくてもよい。
【0211】
(2)図12を参照して説明した実施形態では、基板Wから余分な撥液物質を除去した後、処理ユニット1が処理液によって基板Wを処理した。ただし、基板Wから余分な撥液物質を除去した後、撥液剤処理ユニット5が、処理液によって基板Wを処理してもよい。この場合、撥液剤処理ユニット5が、処理液を基板Wに吐出するノズルを備える。例えば、撥液剤処理ユニット5が、表面用ノズル7及び/又は裏面用ノズル8を備えていてもよい。
【0212】
(3)図8図11及び図16図19を参照して説明したブラシ151、151A~151Dは、平坦面B14、B24及び傾斜面B13、B23、又は、平坦面B14、B24、第1接触面B15、B25、及び、第2接触面B16、B26を有していたが、余分な撥液物質を除去できる限りは、ブラシ151、151A~151Dの形状は特に限定されない。
【0213】
また、第1接触部B1及び第2接触部B2が別個のブラシを構成していてもよい。この場合、例えば、ブラシごとに軸部及び自転機構が設けられる。更に、第1外側接触部B11、第1内側接触部B12、第2外側接触部B21、及び、第2内側接触部B22が、それぞれ別個のブラシを構成していてもよい。この場合、例えば、ブラシごとに軸部及び自転機構が設けられる。
【0214】
(4)図3を参照して説明したスピンチャック13は、真空吸着式であったが、例えば、挟持式又はベルヌーイ式であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0215】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0216】
13 スピンチャック(基板保持部)
100 基板処理装置
151、151A~151D ブラシ(除去部材)
158 自転機構
159 付勢機構
353 不活性ガス吐出部
B1 第1接触部
B11 第1外側接触部
B12、B12a、B12c、B12d 第1内側接触部
B2 第2接触部
B21 第2外側接触部
B22、B22a、B22c、B22d 第2内側接触部
W 基板
図1
図2
図3
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図5
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図10
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図18
図19