(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142204
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】慣性力センサ
(51)【国際特許分類】
G01C 19/5783 20120101AFI20230928BHJP
G01P 15/18 20130101ALI20230928BHJP
【FI】
G01C19/5783
G01P15/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048963
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】明石 照久
(72)【発明者】
【氏名】原田 翔太
【テーマコード(参考)】
2F105
【Fターム(参考)】
2F105BB01
2F105CD13
(57)【要約】
【課題】検出精度が改善された慣性力センサを提供する。
【解決手段】慣性力センサは、台座と、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第1ブロックと、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第2ブロックと、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第3ブロックと、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第4ブロックと、第1ブロック、第2ブロック、第3ブロック及び第4ブロックを物理的に連結させる連結体を備えている。この慣性力センサでは、第1ブロックと第2ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行な第1方向に並んで配置されており、第3ブロックと第4ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行であるとともに第1方向に直交する第2方向に並んで配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第1ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第2ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第3ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第4ブロックと、
第1ブロックの傾斜面に配置されている第1一軸慣性力センサと、
第2ブロックの傾斜面に配置されている第2一軸慣性力センサと、
第3ブロックの傾斜面に配置されている第3一軸慣性力センサと、
第4ブロックの傾斜面に配置されている第4一軸慣性力センサと、
第1ブロック、第2ブロック、第3ブロック及び第4ブロックを物理的に連結させる連結体と、
各一軸慣性力センサからの出力を演算する演算アルゴリズムと、演算アルゴリズムより得られた複数軸の慣性力を出力する出力アルゴリズムとを有する回路演算出力部と、を備えており、
第1ブロックと第2ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行な第1方向に並んで配置されており、
第3ブロックと第4ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行であるとともに第1方向に直交する第2方向に並んで配置されている、慣性力センサ。
【請求項2】
台座と、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有するとともに傾斜面とは異なる面に凹部が設けられている第1ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有するとともに傾斜面とは異なる面に凹部が設けられている第2ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有するとともに傾斜面とは異なる面に凹部が設けられている第3ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有するとともに傾斜面とは異なる面に凹部が設けられている第4ブロックと、
第1ブロックの傾斜面に配置されている第1一軸慣性力センサと、
第2ブロックの傾斜面に配置されている第2一軸慣性力センサと、
第3ブロックの傾斜面に配置されている第3一軸慣性力センサと、
第4ブロックの傾斜面に配置されている第4一軸慣性力センサと、
第1ブロック、第2ブロック、第3ブロック及び第4ブロックの凹部に嵌合する凸部を有し、全てのブロックを物理的に連結させる連結体と、
各一軸慣性力センサからの出力を演算する演算アルゴリズムと、演算アルゴリズムより得られた複数軸の慣性力を出力する出力アルゴリズムとを有する回路演算出力部と、を備えており、
第1ブロックと第2ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行な第1方向に並んで配置されており、
第3ブロックと第4ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行であるとともに第1方向に直交する第2方向に並んで配置されている、慣性力センサ。
【請求項3】
台座と、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有するとともに傾斜面とは異なる面に凹部及び基準凸部が設けられている第1ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有するとともに傾斜面とは異なる面に凹部及び基準凸部が設けられている第2ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有するとともに傾斜面とは異なる面に凹部及び基準凸部が設けられている第3ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有するとともに傾斜面とは異なる面に凹部及び基準凸部が設けられている第4ブロックと、
第1ブロックの傾斜面に配置されている第1一軸慣性力センサと、
第2ブロックの傾斜面に配置されている第2一軸慣性力センサと、
第3ブロックの傾斜面に配置されている第3一軸慣性力センサと、
第4ブロックの傾斜面に配置されている第4一軸慣性力センサと、
第1ブロック、第2ブロック、第3ブロック及び第4ブロックのうちの2個のブロックの凹部に嵌合する凸部を有し、ブロック同士を物理的に連結させる連結体と、
各一軸慣性力センサからの出力を演算する演算アルゴリズムと、演算アルゴリズムより得られた複数軸の慣性力を出力する出力アルゴリズムとを有する回路演算出力部と、を備えており、
第1ブロックと第2ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行な第1方向に並んで配置されており、
第3ブロックと第4ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行であるとともに第1方向に直交する第2方向に並んで配置されている、慣性力センサ。
【請求項4】
基準凸部は、連結体の表面に接触している請求項3に記載の慣性力センサ。
【請求項5】
基準凸部が、他のブロック基準凸部に接触している請求項3に記載の慣性力センサ。
【請求項6】
基準凸部が、各ブロックの表面に3個以上設けられている請求項3に記載の慣性力センサ。
【請求項7】
連結体は、第1連結体と第2連結体と第3連結体と第4連結体によって構成されており、
第1連結体は、第1ブロックと第3ブロックを連結しており、
第2連結体は、第2ブロックと第4ブロックを連結しており、
第3連結体は、第3ブロックと第2ブロックを連結しており、
第4連結体は、第4ブロックと第1ブロックを連結している、請求項2から6のいずれか一項に記載の慣性力センサ。
【請求項8】
台座と、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有し、傾斜面と異なる面に金属パッドが設けられている第1ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有し、傾斜面と異なる面に金属パッドが設けられている第2ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有し、傾斜面と異なる面に金属パッドが設けられている第3ブロックと、
台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有し、傾斜面と異なる面に金属パッドが設けられている第4ブロックと、
第1ブロックの傾斜面に配置されている第1一軸慣性力センサと、
第2ブロックの傾斜面に配置されている第2一軸慣性力センサと、
第3ブロックの傾斜面に配置されている第3一軸慣性力センサと、
第4ブロックの傾斜面に配置されている第4一軸慣性力センサと、
各ブロックの金属パッドに溶接される金属製の接続パッドが設けられており、第1ブロック、第2ブロック、第3ブロック及び第4ブロックを物理的に連結させる連結体と、
各一軸慣性力センサからの出力を演算する演算アルゴリズムと、演算アルゴリズムより得られた複数軸の慣性力を出力する出力アルゴリズムとを有する回路演算出力部と、を備えており、
第1ブロックと第2ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行な第1方向に並んで配置されており、
第3ブロックと第4ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行であるとともに第1方向に直交する第2方向に並んで配置されている、慣性力センサ。
【請求項9】
第1ブロック、第2ブロック、第3ブロック及び第4ブロックが、同形状である請求項1から8のいずれか一項に記載の慣性力センサ。
【請求項10】
第1ブロック、第2ブロック、第3ブロック及び第4ブロックが、同じ樹脂材料で形成されている請求項1から9のいずれか一項に記載の慣性力センサ。
【請求項11】
連結体が、各ブロックと同じ樹脂材料で形成されている請求項1から10のいずれか一項に記載の慣性力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、慣性力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、3個の物理量センサを備える物理量センサモジュールが開示されている。具体的には、特許文献1では、3個の三角柱ブロックの各々の表面に物理量センサを形成し、3個のブロックを、各物理量センサが互いに異なる方向を向くように基板に取り付けてる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、3個のブロックを基板に固定するため、各センサ間の相対的な位置を設計通りにすることが難しい。各センサの相対位置が設計値からずれると、検知精度が低下する。そのため、複数のセンサを用いて物理量を検知するセンサモジュールにおいては、高精度の検知を行うために、各センサの相対位置を高精度に制御することが必要である。本明細書は、検出精度が改善された慣性力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示する慣性力センサの第1形態は、台座と、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第1ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第2ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第3ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有する第4ブロックと、第1ブロックの傾斜面に配置されている第1一軸慣性力センサと、第2ブロックの傾斜面に配置されている第2一軸慣性力センサと、第3ブロックの傾斜面に配置されている第3一軸慣性力センサと、第4ブロックの傾斜面に配置されている第4一軸慣性力センサと、第1ブロック、第2ブロック、第3ブロック及び第4ブロックを物理的に連結させる連結体と、各一軸慣性力センサからの出力を演算する演算アルゴリズムと、演算アルゴリズムより得られた複数軸の慣性力を出力する出力アルゴリズムとを有する回路演算出力部と、を備えている。また、この慣性力センサでは、第1ブロックと第2ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行な第1方向に並んで配置されており、第3ブロックと第4ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行であるとともに第1方向に直交する第2方向に並んで配置されている。
【0006】
上記慣性力センサは、各ブロックが連結体によって連結されている。そのため、各ブロックの相対位置、すなわち、各一軸慣性力センサの相対位置を設計値通りに位置決めすることができる。なお、上記慣性力センサは、各一軸慣性力センサが各ブロックの傾斜面に配置されており、第1ブロックと第2ブロックが第1方向に並んで対向配置され、第3ブロックと第4ブロックが第2方向(第1方向に直交する方向)に並んで対向配置されている。そのため、上記慣性力センサは、3軸角速度を検知することができる。
【0007】
本明細書で開示する慣性力センサの第2形態は、台座と、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有するとともに傾斜面とは異なる面に凹部が設けられている第1ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有するとともに傾斜面とは異なる面に凹部が設けられている第2ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有するとともに傾斜面とは異なる面に凹部が設けられている第3ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有するとともに傾斜面とは異なる面に凹部が設けられている第4ブロックと、第1ブロックの傾斜面に配置されている第1一軸慣性力センサと、第2ブロックの傾斜面に配置されている第2一軸慣性力センサと、第3ブロックの傾斜面に配置されている第3一軸慣性力センサと、第4ブロックの傾斜面に配置されている第4一軸慣性力センサと、第1ブロック、第2ブロック、第3ブロック及び第4ブロックの凹部に嵌合する凸部を有し、全てのブロックを物理的に連結させる連結体と、各一軸慣性力センサからの出力を演算する演算アルゴリズムと、演算アルゴリズムより得られた複数軸の慣性力を出力する出力アルゴリズムとを有する回路演算出力部と、を備えている。また、この慣性力センサでは、第1ブロックと第2ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行な第1方向に並んで配置されており、第3ブロックと第4ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行であるとともに第1方向に直交する第2方向に並んで配置されている。
【0008】
上記慣性力センサは、連結体に設けられた凸部に各ブロックに設けられた凹部を嵌め込むことにより、各ブロックを連結体に固定している。その結果、各ブロックが連結体によって連結され、各ブロックの相対位置(各一軸慣性力センサの相対位置)を設計値通りに位置決めすることができる。上記慣性力センサも、各一軸慣性力センサが各ブロックの傾斜面に配置されており、第1ブロックと第2ブロックが第1方向に並んで対向配置され、第3ブロックと第4ブロックが第2方向(第1方向に直交する方向)に並んで対向配置されている。そのため、上記慣性力センサは、3軸角速度を検知することができる。
【0009】
本明細書で開示する慣性力センサの第3形態は、台座と、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有するとともに傾斜面とは異なる面に凹部及び基準凸部が設けられている第1ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有するとともに傾斜面とは異なる面に凹部及び基準凸部が設けられている第2ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有するとともに傾斜面とは異なる面に凹部及び基準凸部が設けられている第3ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有するとともに傾斜面とは異なる面に凹部及び基準凸部が設けられている第4ブロックと、第1ブロックの傾斜面に配置されている第1一軸慣性力センサと、第2ブロックの傾斜面に配置されている第2一軸慣性力センサと、第3ブロックの傾斜面に配置されている第3一軸慣性力センサと、第4ブロックの傾斜面に配置されている第4一軸慣性力センサと、第1ブロック、第2ブロック、第3ブロック及び第4ブロックのうちの2個のブロックの凹部に嵌合する凸部を有し、ブロック同士を物理的に連結させる連結体と、各一軸慣性力センサからの出力を演算する演算アルゴリズムと、演算アルゴリズムより得られた複数軸の慣性力を出力する出力アルゴリズムとを有する回路演算出力部と、を備えている。また、この慣性力センサでは、第1ブロックと第2ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行な第1方向に並んで配置されており、第3ブロックと第4ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行であるとともに第1方向に直交する第2方向に並んで配置されている。
【0010】
上記慣性力センサも、連結体に設けられた凸部にブロックに設けられた凹部を嵌め込むことにより、ブロックを連結体に固定し、ブロック同士の相対位置(各一軸慣性力センサの相対位置)を設計値通りに位置決めすることができる。さらに、上記慣性力センサは、各ブロックに基準凸部が設けられている。そのため、各ブロックを連結体に固定したときに、各ブロックの基準凸部が設けられている面について、連結体あるいは他のブロックとの接触面積を低減することができる。その結果、各ブロックが接触する相手側の面の面精度が低くても、その面精度の影響を受けにくくすることができる。すなわち、各ブロックが接触する相手側の面の面精度に係わらず、各ブロックの位置決めを高精度に行うことができる。なお、上記慣性力センサも、各一軸慣性力センサが各ブロックの傾斜面に配置されており、第1ブロックと第2ブロックが第1方向に並んで対向配置され、第3ブロックと第4ブロックが第2方向(第1方向に直交する方向)に並んで対向配置されている。そのため、上記慣性力センサは、3軸角速度を検知することができる。
【0011】
上記第3形態の慣性力センサにおいて、基準凸部は、連結体の表面に接触していてよい。各ブロックの位置が連結体表面の面精度の影響を受けにくくなり、各ブロックの位置決めを高精度に行うことができる。あるいは、基準凸部は、他のブロック基準凸部に接触していてもよい。換言すると、各ブロック同士が、基準凸部を介して接触していてよい。この場合、各ブロックの位置が各ブロック表面の面精度の影響を受けにくくなり、各ブロックの位置決めを高精度に行うことができる。なお、上記第3形態の慣性力センサにおいて、基準凸部が、各ブロックの表面に3個以上設けられていてよい。各ブロックが、接触する相手側の面と3点以上で接触するため、各ブロックの位置が安定する。
【0012】
上記第2又は第3形態の慣性力センサにおいて、連結体は、第1連結体と第2連結体と第3連結体と第4連結体によって構成されていてよい。この場合、第1連結体は、第1ブロックと第3ブロックを連結しており、第2連結体は、第2ブロックと第4ブロックを連結しており、第3連結体は、第3ブロックと第2ブロックを連結しており、第4連結体は、第4ブロックと第1ブロックを連結していてよい。このような複数(4個)の連結体を用いる形態であっても、ブロック同士の相対位置を設計値通りに位置決めすることができる。
【0013】
本明細書で開示する慣性力センサの第4形態は、台座と、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有し、傾斜面と異なる面に金属パッドが設けられている第1ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有し、傾斜面と異なる面に金属パッドが設けられている第2ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有し、傾斜面と異なる面に金属パッドが設けられている第3ブロックと、台座に取り付けられ、台座の表面に対して傾斜している傾斜面を有し、傾斜面と異なる面に金属パッドが設けられている第4ブロックと、第1ブロックの傾斜面に配置されている第1一軸慣性力センサと、第2ブロックの傾斜面に配置されている第2一軸慣性力センサと、第3ブロックの傾斜面に配置されている第3一軸慣性力センサと、第4ブロックの傾斜面に配置されている第4一軸慣性力センサと、各ブロックの金属パッドに溶接される金属製の接続パッドが設けられており、第1ブロック、第2ブロック、第3ブロック及び第4ブロックを物理的に連結させる連結体と、各一軸慣性力センサからの出力を演算する演算アルゴリズムと、演算アルゴリズムより得られた複数軸の慣性力を出力する出力アルゴリズムとを有する回路演算出力部と、を備えている。また、この慣性力センサでは、第1ブロックと第2ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行な第1方向に並んで配置されており、第3ブロックと第4ブロックは、双方の傾斜面同士が内向き又は外向きになるように、台座の表面に平行であるとともに第1方向に直交する第2方向に並んで配置されている。
【0014】
上記慣性力センサも、各ブロックが連結体によって連結されている。そのため、各ブロックの相対位置、すなわち、各一軸慣性力センサの相対位置を設計値通りに位置決めすることができる。また、金属パットと接続バッドが溶接されるため、各ブロックを連結体に強固に固定することができる。各ブロックを連結体に連結した後(各ブロックが位置決めされた後)、各ブロックの相対位置が変化することを抑制することもできる。なお、上記慣性力センサは、各一軸慣性力センサが各ブロックの傾斜面に配置されており、第1ブロックと第2ブロックが第1方向に並んで対向配置され、第3ブロックと第4ブロックが第2方向(第1方向に直交する方向)に並んで対向配置されている。そのため、上記慣性力センサは、3軸角速度を検知することができる。
【0015】
上記第1から第4形態の慣性力センサにおいて、第1ブロック、第2ブロック、第3ブロック及び第4ブロックが、同形状であってよい。慣性力センサの構成部品の種類を少なくすることができ、慣性力センサの製造コストを低減することができる。
【0016】
上記第1から第4形態の慣性力センサにおいて、第1ブロック、第2ブロック、第3ブロック及び第4ブロックが、同じ樹脂材料で形成されていてよい。樹脂材料を用いることにより、各ブロックの重量が低減し、慣性力センサを軽量化することができる。また、樹脂材料を用いることにより、複雑な形状のブロックであっても、簡単に精度よく形成することができる。
【0017】
また、上記第1から第4形態の慣性力センサにおいて、連結体が、各ブロックと同じ樹脂材料で形成されていてよい。連結体を樹脂材料で形成することによっても、慣性力センサを軽量化することができる。また、連結体と各ブロックの材料(樹脂材料)が共通化され、慣性力センサを製造するための材料種類を少なくすることができ、慣性力センサの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図4】ブロックセンサを連結体に接続している状態を示す。
【
図6】3軸角速度の測定原理を説明するための図を示す。
【
図7】慣性力センサの3軸角速度の検知特性を示す。
【
図8】慣性力センサの3軸角速度の検知特性を示す。
【
図9】慣性力センサの3軸角速度の検知特性を示す。
【
図11】第2実施例の慣性力センサの斜視図を示す。
【
図14】ブロックセンサを連結体に接続している状態を示す。
【
図15】第3実施例の慣性力センサの斜視図を示す。
【
図17】ブロックセンサを連結体に接続している状態を示す。
【
図18】第4実施例の慣性力センサの斜視図を示す。
【
図20】ブロックセンサを連結体に接続している状態を示す。
【
図21】第5実施例の慣性力センサの斜視図を示す。
【
図22】ブロックセンサを連結体に接続している状態を示す。
【
図23】第6実施例の慣性力センサの斜視図を示す。
【
図25】ブロックセンサを連結体に接続している状態を示す。
【
図26】ブロックセンサを連結体に接続している状態を示す。
【
図27】
図23のC27-C27線に沿った断面であり、ブロックセンサの接触状態を詳細に説明する図を示す。
【
図28】面精度測定の測定箇所を説明するための図を示す。
【
図29】面精度測定の測定箇所を説明するための図を示す。
【
図31】第7実施例の慣性力センサの斜視図を示す。
【
図33】第8実施例の慣性力センサの斜視図を示す。
【
図37】ブロックセンサを連結体に接続している状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施例)
図1から
図4を参照し、慣性力センサ60について説明する。
図1に示すように、慣性力センサ60は、台座2と、連結体3と、第1ブロックセンサ10aと、第2ブロックセンサ10bと、第3ブロックセンサ10cと、第4ブロックセンサ10dを備えている。第1ブロックセンサ10aは、第1ブロック4aと、第1ジャイロセンサ6aを備えている。第2ブロックセンサ10bは、第2ブロック4bと、第2ジャイロセンサ6bを備えている。第3ブロックセンサ10cは、第3ブロック4cと、第3ジャイロセンサ6cを備えている。第4ブロックセンサ10dは、第4ブロック4dと、第4ジャイロセンサ6dを備えている。第1ジャイロセンサ6aは第1一軸慣性力センサの一例であり、第2ジャイロセンサ6bは第2一軸慣性力センサの一例であり、第3ジャイロセンサ6cは第3一軸慣性力センサの一例であり、第4ジャイロセンサ6dは第4一軸慣性力センサの一例である。ブロックセンサ10a~10dは、連結体3に固定(実装)されている。また、連結体3は、台座2の表面に固定(実装)されている。ブロック4a~4dは同じ材料で形成されており、ブロックセンサ10a~10dは実質的に同じ構造を有している。詳細は後述するが、慣性力センサ60は、x軸周り、y軸周り及びz軸周りの角速度を検知する3軸角速度(ジャイロ)センサである。
【0020】
台座2の表面は、x-y平面に平行である。そして、第1ブロックセンサ10aと第2ブロックセンサ10bは、x軸方向に並んで対向して配置されている。x軸方向は、第1方向の一例である。具体的には、第1ブロック4aと第2ブロック4bの傾斜面22(
図2を参照)同士が、内向きになるようにx軸方向に並んで対向して配置されている。また、第3ブロックセンサ10cと第4ブロックセンサ10dは、y軸方向に並んで対向して配置されている。y軸方向は、第2方向の一例である。すなわち、第3ブロック4cと第4ブロック4dの傾斜面22同士が、内向きになるようにy軸方向に並んで対向して配置されている。
【0021】
上述したように、ブロックセンサ10a~10dは実質的に同じ構造を有している。そのため、以下の説明では、ブロックセンサ10a~10dで共通する特徴を説明する場合、ブロックセンサ10a~10d及びブロックセンサ10a~10dを構成する部品に付した参照番号のうち、アルファベットの添字を省略することがある。
【0022】
図2は、ブロック4の各面を示している。(a)は斜視図を示し、(b)は正面図を示し、(c)は背面図を示し、(d)は底面図を示し、(e)右側面図を示し、(f)は左側面図を示している。ブロック4は、連結体3の表面に接触する底面20と、底面20に対して傾斜している傾斜面22と、底面20に対して直交している背面28、右側面26及び左側面24を有している。底面20、傾斜面22及び背面28は四角形であり、右側面26及び左側面24は三角形である。具体的には、背面28は、底面20の一辺と、傾斜面22の四辺のうちの底面20からの距離が最も遠い一辺を含んでいる。右側面26及び左側面24は、底面20の一辺と、傾斜面22の四辺のうちの底面20からの距離が変化している一辺を含んでいる。傾斜面22には、ジャイロセンサ6が配置されている。なお、底面20と傾斜面22が成す角度(傾斜面22)の傾斜角は、およそ45度である。また、ブロック4は、LCP(Liquid Crystal Polymer)樹脂製である。
【0023】
図3は、連結体3の斜視図を示している。連結体3には、4個の凹部3a~3dが形成されている。凹部3a~3dは四角形であり、各ブロック4a~4dの底面20のサイズとほぼ等しい。凹部3aには第1ブロック4aが嵌め込まれ、凹部3bには第2ブロック4bが嵌め込まれ、凹部3cには第3ブロック4cが嵌め込まれ、凹部3dには第4ブロック4dが嵌め込まれる。具体的には、
図4に示すように、連結体3の凹部3a~3dにブロック4a~4dを嵌め込み、連結体3を台座2に固定(実装)する。ブロック4a~4dは、連結体3に形成された凹部3a~3dの位置にそれぞれ固定される。連結体3を用いることによって、ブロック4a~4dの互いの相対位置を、高精度に制御することができる。なお、連結体3も、LCP樹脂製である。
【0024】
図5を参照し、ブロックセンサ10の構造をより詳細に説明する。ジャイロセンサ6は、はんだ30によって、ブロック4の傾斜面22に固定されている。また、傾斜面22には、複数の電子部品(チップ抵抗、チップコンデンサ等)32、及びFPC(Flexible Printed Circuits)36が嵌め込まれたソケット34もはんだ(図示省略)によって固定されている。ジャイロセンサ6及び電子部品32は、はんだを介して配線40に接続されており、FPC36を介してブロックセンサ10の外部に設けられている回路演算出力部(図示省略)に接続されている。配線40は、傾斜面22の表面にMID(Molded Interconnect Device)技術を用いて形成された金属製の薄膜であり、LCP樹脂表面の表面改質によってブロック4の傾斜面22に直接形成されている。
【0025】
ジャイロセンサ6は1軸の角速度を検知する。具体的には、ジャイロセンサ6は、搭載面(傾斜面22)に直交するZ方向の角速度を検知するいわゆるZ軸ジャイロセンサである。ジャイロセンサ6は、QFN(Quad Flat Non lead package)構造である。ジャイロセンサ6の電源とGNDは、上述した回路演算出力部より供給される。また、ジャイロセンサ6の検知信号は、回路演算出力部に出力される。
【0026】
なお、ブロック4の材料として、LCP樹脂に代え、例えば金属を用いることもできる。ブロック4の材料として金属を用いる場合は、配線パターンを形成したプリント基板上にジャイロセンサ6、電子部品32及びソケット34を実装し、そのプリント基板をブロック4に搭載する。
【0027】
上記したように、慣性力センサ60は、x軸、y軸及びz軸の3軸の角速度を検知することができる。以下、慣性力センサ60が3軸角速度を検知する測定原理について説明する。
【0028】
図6は、(a)x軸方向に並ぶ2個のブロックセンサ(ブロックセンサ10a,10b)と、(b)y軸方向に並ぶ2個のブロックセンサ(ブロックセンサ10c,10d)を模式的に示している。連結体3と第1ジャイロセンサ6aが成す角度θ1、連結体3と第2ジャイロセンサ6bが成す角度θ2、連結体3と第3ジャイロセンサ6cが成す角度θ3、連結体3と第4ジャイロセンサ6dが成す角度θ4で示している。
【0029】
例えば、慣性力センサ60にx軸周りの角速度「ωx」が印加された場合、第1ジャイロセンサ6aには「-ωx」が印加され、第2ジャイロセンサ6bには「ωx」が印加される(a)。また、この場合、第3ジャイロセンサ6c及び第4ジャイロセンサ6dには、「ωx」が印加されない。第3ブロック4c及び第4ブロック4dがy軸方向に並んで配置されているので、他軸であるx軸周りの角速度に対して不感だからである。
【0030】
また、慣性力センサ60にy軸周りの角速度「ωy」が印加された場合、第3ジャイロセンサ6cには「-ωy」が印加され、第4ジャイロセンサ6dには「ωy」が印加される(b)。また、この場合、第1ジャイロセンサ6a及び第2ジャイロセンサ6bには、「ωy」が印加されない。第1ブロック4a及び第2ブロック4bがx軸方向に並んで配置されているので、他軸であるy軸周りの角速度に対して不感だからである。
【0031】
慣性力センサ60にz軸周りの角速度「ω
z」が印加された場合、全てのジャイロセンサ6a~6dに「ω
z」が印加される。すなわち、z軸周りの角速度「ω
z」については、全てのジャイロセンサ6a~6dが検知可能である。なお、ジャイロセンサ6a~6dは、
図5のように表面に直交するZ方向(S1,S2,S3,S4方向)周りの角速度を検出するジャイロセンサ(Z軸ジャイロセンサ)である。すなわち、第1ジャイロセンサ6aの主軸(検知軸)はS1方向であり、第2ジャイロセンサ6bの主軸はS2方向であり、第3ジャイロセンサ6cの主軸はS3方向であり、第4ジャイロセンサ6dの主軸はS4方向である。
【0032】
慣性力センサ60に角速度「ωx」,「ωy」及び「ωz」が印加された場合、各ジャイロセンサ6a~6dの主軸に角速度が印加されることが必要である。そのため、例えば、各ジャイロセンサ6a~6dの出力信号を各々S1,S2,S3,S4とすると、各出力信号は、下記式(1)で表すことができる。また、下記式(1)を行列式で表すと、下記式(2)となる。慣性力センサ60は、下記式(1)または(2)に基づいて、3軸角速度を検出することができる。
【0033】
【0034】
慣性力センサ60は、連結体3を用いることによってブロック4a~4dの相対位置を高精度に制御できるので、上述した式(1)、(2)に基づいて、3軸角速度を高精度に検知することができる。
【0035】
次に、
図7~
図9を参照し、慣性力センサ60について、3軸角速度の検知特性を説明する。
図7は、慣性力センサ60をz軸周りに回転させたときの、各軸(x軸、y軸、z軸)の角速度の検出値を示している(
図1も参照)。
図8は、慣性力センサ60をy軸周りに回転させたときの、各軸(x軸、y軸、z軸)の角速度の検出値を示している。
図9は、慣性力センサ60をy軸周りに回転させたときの、各軸(x軸、y軸、z軸)の角速度の検出値を示している。各図において、横軸は入力の回転速度で、各軸回りの入力を示し、縦軸はセンサ出力を示している。また、x軸の角速度を「〇」、y軸の角速度を「△」、z軸の角速度を「□」で示している。
図7~9に示すように、慣性力センサ60は、主軸の角速度は回転速度に応じてほぼ線形に検知することができ、他軸の検出値はほぼ「ゼロ」であった。この結果は、慣性力センサ60が、3軸角速度を高精度に検知できることを示している。
【0036】
次に、
図10を参照し、慣性力センサ60の内部構成について説明する。慣性力センサ60は、センシング部50と、回路演算出力部52と、温度センサ部54を備えている。センシング部50は、ブロックセンサ10等の実装構造である。回路演算出力部52は、センシング部50から入力されたセンサ出力を演算し、センサ信号を外部に出力する。温度センサ部54は、慣性力センサ60の温度をモニタする。回路演算出力部52は、(1)センサ出力の取り込み、(2)3軸化演算処理アルゴリズム、(3)軸間直交度補正アルゴリズム、(4)感度補正アルゴリズム、(5)温度特性補正アルゴリズム、(6)3軸出力処理アルゴリズム、といった6機能を有する。
【0037】
3軸化演算処理アルゴリズムは、上述した式(1)または(2)を用いて、3軸角速度を検出する。軸間直交度補正アルゴリズムは、固定部に対するブロックセンサの実装誤差を補正し、軸間直交性を所定値以下に補正する機能を有する。感度補正アルゴリズムは、軸間直交度補正アルゴリズムによって補正されたことによりセンサの感度が低下することを補正する機能を有する。温度特性補正アルゴリズムは、温度センサ部54における測定結果に基づき、感度を温度に応じて補正する機能を有する。3軸出力処理アルゴリズムは、各アルゴリズムで処理されて得らえた3軸角速度を、センサ信号として外部出力する機能を有する。また、回路演算出力部52は、慣性力センサ60の外部のDC電源56の出力を、センシング部50及び温度センサ部54に供給する。さらに、回路演算出力部52は、SPI通信によって、センシング部50から角速度の測定結果を受け取り、温度センサ部54から温度測定結果を受け取る。
【0038】
なお、慣性力センサ60では、一軸慣性力センサとしてZ軸ジャイロセンサを用いているが、Z軸ジャイロセンサに代えて、Z軸加速度センサ(Gセンサ)、X軸ジャイロセンサ、X軸加速度センサを用いた場合でも、各センサの相対位置を高精度に調整することができ、検知精度が向上した慣性力センサを得ることができる。また、一軸慣性力センサに代え、二軸慣性力センサ(例えば、Z軸ジャイロセンサとZ軸加速度センサ、X軸ジャイロセンサとZ軸ジャイロセンサ、X軸加速度センサとZ軸加速度センサ)を用いた場合でも、検知精度が向上した慣性力センサを得ることができる。
【0039】
(第2実施例)
図11から
図14を参照し、慣性力センサ160について説明する。慣性力センサ160は、慣性力センサ60の変形例であり、連結体103及びブロック104a~104dの形状が、慣性力センサ60の連結体3及びブロック4a~4dの形状と異なる。以下の説明では、慣性力センサ160について、慣性力センサ60と実質的に同じ構造については、慣性力センサ60に付した参照番号を付すことによって説明を省略することがある。
【0040】
第1ブロックセンサ110aは、第1ブロック104aと、第1ジャイロセンサ6aを備えている。第2ブロックセンサ110bは、第2ブロック104bと、第2ジャイロセンサ6bを備えている。第3ブロックセンサ110cは、第3ブロック104cと、第3ジャイロセンサ6cを備えている。第4ブロックセンサ110dは、第4ブロック104dと、第4ジャイロセンサ6dを備えている。ブロックセンサ110a~110dは、連結体103に固定され、連結体103は台座2の表面に固定されている。ブロック104a~104dは同じ材料で形成されており、ブロックセンサ110a~110dは実質的に同じ構造を有している。
【0041】
第1ブロックセンサ110aと第2ブロックセンサ110bはx軸方向に並んで対向して配置されており、第3ブロックセンサ110cと第4ブロックセンサ110dはy軸方向に並んで対向して配置されている。すなわち、第1ブロック104aと第2ブロック104bの傾斜面22(
図12を参照)同士が内向きになるようにx軸方向に並んで対向して配置されており、第3ブロック104cと第4ブロック104dの傾斜面22同士が内向きになるようにy軸方向に並んで対向して配置されている。
【0042】
図12は、ブロック104の斜視図(a)、正面図(b)、背面図(c)、底面図(d)、右側面図(e)、左側面図(f)を示している。ブロック104の底面20、傾斜面22及び背面28は四角形であり、右側面26及び左側面24は三角形である。また、ブロック104では、背面28に凹部31が形成されており、底面20に凹部33が形成されている。凹部33は、後述する連結体103の凸部103a~103dと嵌合する。なお、ブロック104は、LCP樹脂製である。
【0043】
図13は、連結体103の斜視図を示している。連結体103の表面103sには、4個の凸部103a~103dが形成されている。凸部103a~103dの形状は、各ブロック104a~104dの凹部33の形状及びサイズとほぼ等しい。凸部103aは第1ブロック104aの凹部33と嵌合し、凸部103bは第2ブロック104bの凹部33と嵌合し、凸部103cは第3ブロック104cの凹部33と嵌合し、凸部103dは第4ブロック104dの凹部33と嵌合する。
【0044】
図14に示すように、慣性力センサ160では、連結体103の凸部103a~103dにブロック104a~104dを嵌め込み、連結体103を台座2に固定(実装)する。ブロック104a~104dを凸部103a~103dに嵌め込むと、ブロック104a~104dの底面20が連結体103の表面103sに面接触する。ブロック104a~104dは、連結体103に形成された凸部103a~103dの位置に固定される。連結体103を用いることによって、ブロック104a~104dの互いの相対位置を、高精度に制御することができる。なお、連結体3も、LCP樹脂製である。
【0045】
(第3実施例)
図15から
図17を参照し、慣性力センサ260について説明する。慣性力センサ260は、慣性力センサ160の変形例であり、ブロック204a~204dの形状が、慣性力センサ160のブロック104a~104dの形状と異なる。以下の説明では、慣性力センサ260について、慣性力センサ160と実質的に同じ構造については、慣性力センサ160に付した参照番号を付すことによって説明を省略することがある。
【0046】
第1ブロックセンサ210aは、第1ブロック204aと、第1ジャイロセンサ6aを備えている。第2ブロックセンサ210bは、第2ブロック204bと、第2ジャイロセンサ6bを備えている。第3ブロックセンサ210cは、第3ブロック204cと、第3ジャイロセンサ6cを備えている。第4ブロックセンサ210dは、第4ブロック204dと、第4ジャイロセンサ6dを備えている。ブロックセンサ210a~210dは、連結体103に固定され、連結体103は台座2の表面に固定されている。ブロック204a~204dは同じ材料で形成されており、ブロックセンサ210a~210dは実質的に同じ構造を有している。
【0047】
第1ブロックセンサ210aと第2ブロックセンサ210bはx軸方向に並んで対向して配置されており、第3ブロックセンサ210cと第4ブロックセンサ210dはy軸方向に並んで対向して配置されている。すなわち、第1ブロック204aと第2ブロック204bの傾斜面22(
図16を参照)同士が内向きになるようにx軸方向に並んで対向して配置されており、第3ブロック204cと第4ブロック204dの傾斜面22同士が内向きになるようにy軸方向に並んで対向して配置されている。
【0048】
図16は、ブロック204の斜視図(a)、正面図(b)、背面図(c)、底面図(d)、右側面図(e)、左側面図(f)を示している。ブロック204の底面20、傾斜面22及び背面28は四角形であり、右側面26及び左側面24は三角形である。また、ブロック204では、背面28に凹部31が形成されており、凹部31の周りに4個の基準凸部35が形成されている。各基準凸部35は、背面28の四隅に形成されている。また、底面20に凹部33が形成されており、凹部33の周りに4個の基準凸部37が形成されている。各基準凸部37は、底面20の四隅に形成されている。後述するが、凹部33は、連結体103の凸部103a~103d(
図13を参照)と嵌合する。また、基準凸部37は、連結体103の表面103sに接触する。なお、ブロック204は、LCP樹脂製である。
【0049】
図17に示すように、慣性力センサ260では、連結体103の凸部103a~103dにブロック204a~204dを嵌め込み、連結体103を台座2に固定(実装)する。ブロック204a~204dを凸部103a~103dに嵌め込むと、ブロック204a~204dの基準凸部37が連結体103の表面103sに面接触する。換言すると、ブロック204a~204dの底面20のうち、基準凸部37以外の部分は連結体103の表面103sに接触しない。ブロック204a~204dに基準凸部37を設けることにより、連結体103の表面103sとブロック204a~204dの接触面積を大幅に減少させることができる。その結果、例えば、連結体103の表面103s、あるいは、ブロック204a~204dの底面20に反り等が生じた場合であっても、反り等の悪影響を受けにくい。慣性力センサ260は、基準凸部37と連結体103を接触させることにより、連結体103に対するブロック204a~204dの位置決めを高精度に制御することができる。
【0050】
(第4実施例)
図18から
図20を参照し、慣性力センサ360について説明する。慣性力センサ360は、慣性力センサ160の変形例であり、連結体303の形状、及び、ブロックセンサ110a~110dの配置方向が、慣性力センサ160と異なる。以下の説明では、慣性力センサ360について、慣性力センサ160と実質的に同じ構造については、慣性力センサ160に付した参照番号を付すことによって説明を省略することがある。
【0051】
慣性力センサ360では、第1ブロックセンサ110aと第2ブロックセンサ110bが、傾斜面22(
図12を参照)同士が内向きになるようにx軸方向に並んで対向して配置されている。また、第3ブロックセンサ110cと第4ブロックセンサ110dが、傾斜面22同士が内向きになるようにy軸方向に並んで対向して配置されている。すなわち、第1ブロック104aと第2ブロック104bの傾斜面22(
図12を参照)同士が内向きになるようにx軸方向に並んで対向して配置されており、第3ブロック104cと第4ブロック104dの傾斜面22同士が内向きになるようにy軸方向に並んで対向して配置されている。ブロックセンサ110a~110dは、連結体303に固定されている。また、ブロックセンサ110a~110d及び連結体303は、台座2の表面に固定されている。
【0052】
図19は、連結体303の斜視図を示している。連結体303は、直方体形状であり、各側面39a,39b,39c及び39dには、各々凸部303a,303b,303c及び303dが形成されている。凸部303a~303dの形状は、各ブロック104a~104dの背面28に形成されている凹部31の形状及びサイズとほぼ等しい。凸部303aは第1ブロック104aの凹部31と嵌合し、凸部303bは第2ブロック104bの凹部31と嵌合し、凸部303cは第3ブロック104cの凹部31と嵌合し、凸部303dは第4ブロック104dの凹部31と嵌合する。
【0053】
図20に示すように、慣性力センサ360では、連結体303の凸部303a~303dにブロック104a~104dを嵌め込む。ブロック104a~104dを凸部303a~303dに嵌め込むと、第1ブロック104aの背面28が連結体303の側面39aに面接触し、第2ブロック104bの背面28が連結体303の側面39bに面接触し、第3ブロック104cの背面28が連結体303の側面39cに面接触し、第4ブロック104dの背面28が連結体303の側面39dに面接触する。ブロック104a~104dは、連結体303に形成された凸部303a~303dの位置に固定される。連結体303を用いることによって、ブロック104a~104dの互いの相対位置を、高精度に制御することができる。なお、連結体303も、LCP樹脂製である。
【0054】
(第5実施例)
図21及び
図22を参照し、慣性力センサ460について説明する。慣性力センサ460は、慣性力センサ360の変形例であり、ブロックセンサ110a~110dに代えて、ブロックセンサ210a~210dを用いている。以下の説明では、慣性力センサ460について、慣性力センサ360と実質的に同じ構造については、慣性力センサ360に付した参照番号を付すことによって説明を省略することがある。
【0055】
慣性力センサ460では、第1ブロックセンサ210aと第2ブロックセンサ210bが、傾斜面22(
図16を参照)同士が外向きになるようにx軸方向に並んで対向して配置されている。また、第3ブロックセンサ210cと第4ブロックセンサ210dが、傾斜面22同士が外向きになるようにy軸方向に並んで対向して配置されている。ブロックセンサ210a~210dは、連結体303に固定されている。また、ブロックセンサ210a~210d及び連結体303は、台座2の表面に固定されている。
【0056】
図22に示すように、慣性力センサ460では、連結体303の凸部303a~303dにブロック204a~204dを嵌め込む。ブロック204a~204dを凸部303a~303dに嵌め込むと、ブロック204a~204dの基準凸部35が連結体303の側面39a~39dに面接触する。換言すると、ブロック204a~204dの背面28のうち、基準凸部35以外の部分は連結体303の側面303sに接触しない。ブロックセンサ210a~210dを連結体303に固定した後、ブロックセンサ210a~210d及び連結体303を、台座2の表面に固定する。ブロック204a~204dの底面20には、基準凸部37が設けられている(
図16を参照)。そのため、ブロック204a~204dの基準凸部37が台座2に面接触し、基準凸部37以外の部分は台座2に接触しない。慣性力センサ460は、ブロック204a~204dと連結体303との接触面積、及び、ブロック204a~204dと台座2との接触面積を大幅に減少させることができる。その結果、連結体303の側面39a~39d、台座2の表面、あるいは、ブロック204a~204dに反り等の不具合が生じた場合であっても、反り等の悪影響を受けにくい。慣性力センサ260は、連結体103に対するブロック204a~204dの位置決め、及び、台座2に対するブロック204a~204dの位置決めを高精度に制御することができる。
【0057】
(第6実施例)
図23から
図26を参照し、慣性力センサ560について説明する。慣性力センサ560は、慣性力センサ460の変形例であり、連結体503及びブロック504a~504dの形状が、慣性力センサ460の連結体303及びブロック204a~204dの形状と異なる。以下の説明では、慣性力センサ560について、慣性力センサ460と実質的に同じ構造については、慣性力センサ460に付した参照番号を付すことによって説明を省略することがある。
【0058】
図23に示すように、第1ブロックセンサ510aは、第1ブロック504aと、第1ジャイロセンサ6aを備えている。第2ブロックセンサ510bは、第2ブロック504bと、第2ジャイロセンサ6bを備えている。第3ブロックセンサ510cは、第3ブロック504cと、第3ジャイロセンサ6cを備えている。第4ブロックセンサ510dは、第4ブロック504dと、第4ジャイロセンサ6dを備えている。詳細は後述するが、慣性力センサ560では、ブロックセンサ510cとブロックセンサ510dが、連結体503によって固定されている。そして、ブロックセンサ510a~510d同士が接触し、互いの相対位置が規定されている。ブロック504a~504dは同じ材料で形成されており、ブロックセンサ510a~510dは実質的に同じ構造を有している。第1ブロックセンサ510aと第2ブロックセンサ510bが、傾斜面22(
図24を参照)同士が外向きになるようにx軸方向に並んで対向して配置されている。また、第3ブロックセンサ510cと第4ブロックセンサ510dが、傾斜面22同士が外向きになるようにy軸方向に並んで対向して配置されている。
【0059】
図24は、ブロック504の斜視図(a)、正面図(b)、背面図(c)、底面図(d)、右側面図(e)、左側面図(f)を示している。ブロック504の底面20、傾斜面22及び背面28は四角形であり、右側面26及び左側面24は三角形である。また、ブロック504では、背面28に凹部31が形成されており、凹部31の周りに4個の基準凸部35が形成されている。各基準凸部35は、背面28の四隅に形成されている。底面20に凹部33が形成されており、凹部33の周りに4個の基準凸部37が形成されている。各基準凸部37は、底面20の四隅に形成されている。右側面26に凹部41が形成されており、凹部41の周りに3個の基準凸部39が形成されている。各基準凸部39は、右側面26の角部に形成されている。左側面24に凹部45が形成されており、凹部45の周りに3個の基準凸部43が形成されている。各基準凸部43は、左側面24の角部に形成されている。なお、ブロック504は、LCP樹脂製である。
【0060】
図25に示すように、慣性力センサ560では、まず、連結体503を用いて、第3ブロックセンサ510cと第4ブロックセンサ510dを固定する。連結体503は、ブロック504cの背面28に形成されている凹部31と、ブロック504dの背面28に形成されている凹部31(
図25には現れていない)に嵌合する形状を有している。そのため、連結体503をブロックセンサ510cの凹部31及びブロックセンサ510dの凹部31に嵌め込むことにより、第3ブロックセンサ510cと第4ブロックセンサ510dが固定される。ブロックセンサ510cとブロックセンサ510dが固定されたときに、連結体503は、ブロックセンサ510cの背面28の平坦部分とブロックセンサ510dの背面28の平坦部分の間に存在していない。そのため、ブロックセンサ510cの背面28及びブロックセンサ510dの背面28は、凹部31以外の部分では連結体503に接触していない。詳細は後述するが、ブロックセンサ510cの背面28の基準凸部35と、ブロックセンサ510dの背面28の基準凸部35が面接触することによって、ブロックセンサ510cとブロックセンサ510dの相対位置が規定される。
【0061】
次に、
図26に示すように、第3ブロックセンサ510cと第4ブロックセンサ510dに対して、第1ブロックセンサ510aと第2ブロックセンサ510bとを固定(実装)する。第1ブロックセンサ510aの背面28に、第3ブロックセンサ510cの基準凸部43と第4ブロックセンサ510dの基準凸部39が面接触する。そして、第1ブロックセンサ510aの背面28に設けられている基準凸部35が、第3ブロックセンサ510cの右側面26と第4ブロックセンサ510dの左側面24に面接触する。また、第2ブロックセンサ510bの背面28に設けられている基準凸部35(
図24を参照)が、第3ブロックセンサ510cの左側面24と第4ブロックセンサ510dの右側面26に面接触する。
【0062】
図27を参照し、ブロックセンサ510a~510dの接触状態をより詳細に説明する。
図27は、
図23のC27-C27線に沿った断面である。
図27に示すように、第3ブロック504cと第4ブロック504dは、両者の基準凸部35同士が面接触している。そのため、基準凸部35以外の部分では、第3ブロック504cの背面28と第4ブロック504dの背面28の間に隙間が設けられている。すなわち、第3ブロック504cと第4ブロック504dの基準凸部35同士を面接触させることにより、第3ブロック504cと第4ブロック504dの接触面積が大幅に減少させることができる。また、破線で示しているように、第1ブロック504aの基準凸部35が、第3ブロック504cの左側面24と第4ブロック504dの右側面26に面接触している。そのため、基準凸部35以外の部分では、第1ブロック504aの背面28と第3ブロック504cの左側面24及び第4ブロック504dの右側面26の間に隙間が設けられている。これにより、第1ブロック504aと第3ブロック504cと第4ブロック504dの接触面積も大幅に減少させることができる。同様に、第2ブロック504bと第3ブロック504cと第4ブロック504dの接触面積も大幅に減少させることができる。
【0063】
さらに、ブロック504a~504dの底面20に設けられている基準凸部37が、台座2の表面に面接触している。これにより、ブロック504a~504dの底面20と、台座2の表面の接触面積も大幅に減少させることができる。慣性力センサ560は、ブロック504a~504d同士の接触面積、及び、ブロック504a~504dと台座2の接触面積を減少させることができる。その結果、ブロック504a~504d、台座2に反り等が生じた場合であっても、反り等の悪影響を受けにくい。
【0064】
次に、
図28から
図30を参照し、ブロック504(504a~504d)に形成されている基準凸部の面精度について説明する。
図28及び
図29は測定箇所の説明をするための図であり、
図30は面精度の測定結果を示す。なお、
図28及び
図29は、測定位置を明確に説明するため、基準凸部のサイズを実際のサイズより大きく示している。
【0065】
まず、LCP樹脂を射出成形し、4個のブロック504を作製した。
図28に現れている右側面26において、底面20との共通辺の長さL1は12mmであり、背面28との共通辺の長さL2は12mmである。ブロック504の側面は略二等辺三角形であり、底面20に対する傾斜面22の傾斜角は45度である。
図29に現れている背面28において、底面20との共通辺の長さL3は14mmであった。また、基準凸部35,37,39及び43は全て同サイズの円錐台形状であり、先端の直径R1が0.5mm、高さH1は0.2mmであった。このブロック504の傾斜面22に、ジャイロセンサ6をはんだ接合した。
【0066】
次に、測定箇所について説明する。まず、ジャイロセンサ6及び基準凸部35,37,39及び43を利用し、5個の仮想面S1~S5を作成した。仮想面S1は、ジャイロセンサ6の表面である。仮想面S2は、底面20に設けられている4個の基準凸部37の先端を含む面である。仮想面S3は、背面28に設けられている4個の基準凸部35の先端を含む面である。仮想面S4は、右側面26に設けられている4個の基準凸部39の先端を含む面である。仮想面S3は、左側面24に設けられている4個の基準凸部343の先端を含む面である。
【0067】
仮想面S1~S5について、3元座標測定器(PRISMO NAVI 7,カールツァイス(株)製)を用いて測定し、各仮想面S1~S5間の面角度を測定した。結果を
図30に示す。
図30に示すように、4個のブロック504の平均値は、何れの面角度とも理想角度に対して誤差0.05度未満であった。この結果より、ブロック504は、面角度が極めて良好であることが確認された。上述したように、慣性力センサ560では、基準凸部同士、あるいは、基準凸部とブロック504を接触させ、ブロック504a~504dの相対位置を規定している。ブロック504の面角度が極めて良好であることから、慣性力センサ560は、ブロック504a~504dの位置決め精度が極めて良好であることが分かる。
【0068】
(第7実施例)
図31及び
図32を参照し、慣性力センサ660について説明する。慣性力センサ660は、慣性力センサ560の変形例であり、連結体503に代え、連結体603を用いてブロック504a~504dを連結している。以下の説明では、慣性力センサ660について、慣性力センサ560と実質的に同じ構造については、慣性力センサ560に付した参照番号を付すことによって説明を省略することがある。
【0069】
図32に示すように、連結体603は、第1連結体603aと、第2連結体603bと、第3連結体603cと、第4連結体603dによって構成されている。連結体603a~603dは略L字形状である。また、連結体603a~603dは、全て同一形状である。
【0070】
図31に示すように、連結体603a~603dは、ブロック504a~504dの右側面26の凹部41、又は、左側面24の凹部45に嵌合し、2個のブロック504a~504dを連結している(
図24も参照)。具体的には、第1連結体603aは第1ブロック504aと第3ブロック504cを連結し、第2連結体603bは第2ブロック504bと第4ブロック504dを連結し、第3連結体603cは第3ブロック504cと第2ブロック504bを連結し、第4連結体603dは第4ブロック504dと第1ブロック504aを連結している。慣性力センサ660では、第1ブロックセンサ510aと第2ブロックセンサ510bが、傾斜面22同士が内向きになるようにx軸方向に並んで対向して配置されている。また、第3ブロックセンサ510cと第4ブロックセンサ510dが、傾斜面22同士が内向きになるようにy軸方向に並んで対向して配置されている。
【0071】
ブロック504a~504dは同一形状であり、連結体603a~603dも同一形状である。そのため、連結体603a~603dをブロック504a~504dの凹部41,45に嵌め込むと、隣り合うブロック504a~504d間の距離が等間隔に位置決めされる。また、ブロック504a~504dの底面20に基準凸部37が設けられているので(
図24も参照)、ブロック504a~504dの底面20と、台座2の表面の接触面積を大幅に減少させることができる(
図27も参照)。そのため、慣性力センサ660は、ブロック504a~504d、台座2に反り等が生じた場合であっても、反り等の悪影響を受けにくい。
【0072】
(第8実施例)
図33から
図37を参照し、慣性力センサ760について説明する。
図33に示すように、慣性力センサ760は、台座2と、連結体703と、第1ブロックセンサ710aと、第2ブロックセンサ710bと、第3ブロックセンサ710cと、第4ブロックセンサ710dを備えている。第1ブロックセンサ710aは、第1ブロック704aと、第1ジャイロセンサ6aを備えている。第2ブロックセンサ710bは、第2ブロック704bと、第2ジャイロセンサ6bを備えている。第3ブロックセンサ710cは、第3ブロック704cと、第3ジャイロセンサ6cを備えている。第4ブロックセンサ710dは、第4ブロック704dと、第4ジャイロセンサ6dを備えている。ブロックセンサ710a~710dは、連結体703に固定されている。また、連結体703は、台座2の表面に固定されている。ブロック704a~704dは同じ材料で形成されており、ブロックセンサ710a~710dは実質的に同じ構造を有している。
【0073】
第1ブロックセンサ710aと第2ブロックセンサ710bが、傾斜面22(
図34を参照)同士が内向きになるようにx軸方向に並んで対向して配置されている。また、第3ブロックセンサ710cと第4ブロックセンサ710dが、傾斜面22同士が内向きになるようにy軸方向に並んで対向して配置されている。
【0074】
図34は、ブロック704の斜視図(a)、正面図(b)、背面図(c)、底面図(d)、右側面図(e)、左側面図(f)を示している。ブロック704の底面20、傾斜面22及び背面28は四角形であり、右側面26及び左側面24は三角形である。また、ブロック704では、背面28に4個の基準凸部35が形成されている。各基準凸部35は、背面28の四隅に形成されている。また、底面20に4個の基準凸部37が形成されており、各基準凸部37は、底面20の四隅に形成されている。さらに、底面20に、2個の金属製のパッド51が形成されている。具体的には、パッド51は、MID技術を用いた表面改質によって形成されており、ニッケル主体のめっき膜である。なお、パッド51の最表面には、薄膜の金が形成されている。なお、ブロック704は、LCP樹脂製である。
【0075】
図35は、連結体703の平面図を示している。連結体703の表面に、2個の金属製の接続パッド71が、間隔をあけて8箇所に設けられている。パッド51と接続パッド71は、リフローによりはんだを介して機械的に接合される。なお、パッド51の最表面に薄膜の金が形成されているので、パッド51の表面をはんだが濡れ広がりやすい。また、接続パッド71の位置は、ブロックセンサ710a~710dを連結体703に固定したときに、ブロックセンサ710a~710dの位置が設計位置になるよう、高精度に位置決めされている。
図35中の破線で囲った位置が、ブロックセンサ710a~710dを固定する設計位置である。なお、連結体703の四隅のうちの2箇所に、貫通孔73が形成されている。貫通孔73は、ブロックセンサ710a~710dを連結体703に固定する際に使用するサポート治具75との位置合わせに用いられる。
【0076】
図38に示すように、サポート治具75は、枠状であり、中央に十字形の貫通孔77が形成されている。貫通孔77は、ブロックセンサ710a~710dを連結体703に固定する際に、ブロックセンサ710a~710dを位置決めするために用いられる。また、サポート治具75の四隅のうちの2箇所に、貫通孔79が形成されている。貫通孔79は、ブロックセンサ710a~710dを連結体703に固定する際に連結体703との位置合わせに用いられる。具体的には、
図37に示すように、固定ピン81を貫通孔79及び73に挿入し、サポート治具75と連結体703を位置合わせした状態で、貫通孔79にブロックセンサ710a~710dを通過させる。ブロックセンサ710a~710dは、貫通孔79によって位置決めされた状態で、連結体703とはんだ接合される。はんだ接合後、サポート治具75を連結体703から取り外す。
【0077】
なお、ブロック704a~704dの底面20に基準凸部37が形成されているので(
図34を参照)、基準凸部37が連結体703の表面と面接触し、ブロック704a~704dと連結体703の接触面積を大幅に減少させることができる。そのため、例えば、ブロック704a~704d、あるいは、連結体703に反り等が生じた場合であっても、反り等の悪影響を受けにくい。なお、慣性力センサ760では、ブロック704a~704dに代えて、ブロック204a~204d(
図16を参照)又はブロック504a~504d(
図24を参照)を用いることもできる。すなわち、ブロックの成形性を向上させるため、背面28及び/又は底面20に凹部を形成してもよい。
【0078】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0079】
2:台座
3:連結体
4:ブロック
6:一軸慣性力センサ
52:回路演算出力部
60:慣性力センサ