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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142210
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】樋部材の連結構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/068 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
E04D13/068 501A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048973
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今市 純也
(72)【発明者】
【氏名】濱▲崎▼ 慎一
(72)【発明者】
【氏名】平木 芳隆
(57)【要約】
【課題】施工性及び止水性に優れた樋部材の連結構造を提供する。
【解決手段】長手方向に連続する2本の樋部材と、前記2本の樋部材の間に介在されて当該2本の樋部材を連結する連結部材と、を有し、連結部材は、各々の樋部材の端と対向する2つの対向部を有する本体部と、各々の前記対向部に設けられて前記樋部材との間に挟持される定形の止水部材と、を有し、前記止水部材が圧縮された状態で前記2つの樋部材が連結されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に連続する2本の樋部材と、
前記2本の樋部材の間に介在されて当該2本の樋部材を連結する連結部材と、
を有し、
連結部材は、各々の樋部材の端と対向する2つの対向部を有する本体部と、
各々の前記対向部に設けられて前記樋部材との間に挟持される定形の止水部材と、
を有し、
前記止水部材が圧縮された状態で前記2つの樋部材が連結されていることを特徴とする樋部材の連結構造。
【請求項2】
請求項1に記載の樋部材の連結構造であって、
前記連結部材は、前記2本の樋部材のうちの一方の前記樋部材に、当該樋部材の長手方向に進入するビスにより取り付けられ、
前記2本の樋部材のうちの他方の前記樋部材は、前記連結部材に設けられた係合部と係合して前記連結部材側に引き寄せられて取り付けられていることを特徴とする樋部材の連結構造。
【請求項3】
請求項2に記載の樋部材の連結構造であって、
前記連結部材に設けられた前記止水部材と前記係合部との前記長手方向における間隔は、
前記他方の前記樋部材に設けられて前記係合部と係合する被係合部と、前記他方の前記樋部材における前記止水部材側の端との距離より狭いことを特徴とする樋部材の連結構造。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の樋部材の連結構造であって、
前記係合部は、前記連結部材に螺合されて、前記他方の樋部材を当該連結部材に固定するビスであることを特徴とする樋部材の連結構造。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の樋部材の連結構造であって、
前記係合部は、前記連結部材に設けられて、前記他方の樋部材に設けられた被係合部と係合する突起であることを特徴とする樋部材の連結構造。
【請求項6】
請求項5に記載の樋部材の連結構造であって、
前記突起は、係合される前記他方の樋部材を、前記連結部材側に案内する傾斜部を有していることを特徴とする樋部材の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本の樋部材を連結する樋部材の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、2本の雨樋(樋部材)を互いに突き合わせ、一方の雨樋の外周に設けられた複数の中空部に、連結具に設けられたロッド状の連結部の一端部を嵌入し、他方の雨樋の外周に設けられた複数の中空部に、連結具に設けられたロッド状の連結部の他端部を嵌入して、双方の雨樋の相互間に湿式のシーリング材を装填して、2本の雨樋を連結した雨樋の継足部構造は知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平03-48355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の雨樋の継足部構造は、連結具のロッド状の連結部を各樋部材が有する中空部に嵌入する作業、及び、双方の樋部材の相互間に湿式のシーリング材を装填する作業のいずれもが繁雑であり、施工性が悪いという課題があった。また、シーリング材を装填する作業は、作業者の技量等により仕上がり状態に差が生じ、安定した止水性が得られない虞があるという課題があった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、施工性及び止水性に優れた樋部材の連結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために本発明の樋部材の連結構造は、長手方向に連続する2本の樋部材と、前記2本の樋部材の間に介在されて当該2本の樋部材を連結する連結部材と、を有し、連結部材は、各々の樋部材の端と対向する2つの対向部を有する本体部と、各々の前記対向部に設けられて前記樋部材との間に挟持される定形の止水部材と、を有し、前記止水部材が圧縮された状態で前記2つの樋部材が連結されていることを特徴とする樋部材の連結構造である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、施工性及び止水性に優れた樋部材の連結構造を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の樋部材の連結構造が適用される一実施形態のバルコニーを示す斜視図である。
図2図2(a)は、デッキ部における妻梁近傍を示す縦断面図であり、図2(b)は、デッキ部における根太近傍を示す縦断面図である。
図3】デッキ部における左側の部分を示す縦断面図である。
図4】左樋部材と連結部材とを示す斜視図である。
図5】連結部材が取り付けられた左樋部材と、右樋部材とを示す斜視図である。
図6】連結部材を示す斜視図である。
図7】連結部材を示す平面図である。
図8】連結部材における止水部材と螺合孔との間隔、右樋部材における係合孔及び挿通孔と止水部材側の端との距離を示す正面図である。
図9】連結部材による2本の樋部材の連結方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態に係る樋部材の連結構造として、図1に示すように、例えば、建物から張り出して設けられているバルコニー1が備える集合樋2をなす2本の樋部材20の連結構造を例に挙げ、図面を参照して説明する。本実施形態のバルコニー1は、建物3の外壁面3aから突出させて設けたデッキ部4と、デッキ部4の周囲上面に設けた手摺り部5と、を備えている。
【0009】
以下の説明においては、樋部材20が取り付けられている状態で、上下となる方向を上下方向、間口に沿う方向であり樋部材20の長手となる方向を長手方向または左右方向、バルコニー1が設けられている建物の内外方向を見込み方向として示す。また、樋部材20の連結構造を構成する各部材については単体の状態であっても、樋部材20が取り付けられている状態にて上下方向、長手方向または左右方向、見込み方向にて方向を特定して説明する。
【0010】
本実施形態のデッキ部4は、建物からほぼ水平に突出させた左右の妻梁40と、左右の妻梁40間の中央に配置され建物から突出する中間梁41と、左または右の妻梁40と中間梁41との先端部間に取り付けた前桁42と、左及び右の妻梁40と中間梁41との間に適宜間隔を空けて設けられた複数の根太43と、妻梁40、中間梁41、前桁42及び外壁面3aによって囲まれる領域に各々設けられたデッキ材44と、を備えている。
【0011】
デッキ部4は、建物の躯体をなす胴差し(不図示)に取り付けられている。図2図3に示すように、デッキ部4と胴差しとの間には胴差しカバー6が介在されており、胴差しカバー6は、デッキ部4の下側にて屋外側に延出される延出板部6aを有している。延出板部6aは、ほぼ水平に設けられ、デッキ部4の全長に亘って設けられている。延出板部6aの延出された先端部には、樋部材20が係止される係止部6bが設けられている。
【0012】
左及び右の妻梁40と中間梁41には、互いに対向する部位に見込み方向に沿って妻樋45がそれぞれ設けられている。妻樋45は、上方が開放された溝状をなし、妻梁40と中間梁41の長手方向のほぼ全長に亘り設けられている。各妻樋45の上部には、デッキ材44の左右方向の端が位置しており、デッキ材44状の水が、妻樋45内に流れるように構成されている。
【0013】
妻樋45の前桁42側の端部には、底部に設けられた開口に呼び樋46が接続されており、呼び樋46は、建物側に延出されている。建物側には、外壁に沿って胴差しカバー6に係止されて根太43に固定された集合樋2をなす樋部材20が設けられている。樋部材20は、左または右の妻梁40と中間梁41との間にそれぞれ1本ずつ設けられており、2本の樋部材20は、長手方向に連ねられて連結部材7により連結されて集合樋2をなしている。建物側に延出された呼び樋46は、建物側の端が集合樋2の上方に配置され、各妻樋45に流入した雨水などが、呼び樋46を通って集合樋2に流れ、集合樋2をなす一方の樋部材20の端部に連結された縦樋47から外部に排出される。
【0014】
樋部材20は、押し出し成形により製造された押し出し成形部材である。樋部材20は、見込み方向に間隔を空けて対面し、建物側の壁部をなす内壁部21及び建物とは反対側(以下、反建物側という)の壁部をなす外壁部22と、内壁部21と外壁部22との下端同士を繋ぐ底部23とを有している。内壁部21と外壁部22とには、互いに対向する側に突出させて、樋部材20の端部を塞ぐ端部キャップ8及び連結部材7を固定する皿ビス9が螺合されるビス螺合部20aがそれぞれ設けられている。尚、端部キャップ8及び連結部材7を固定するビスは、必ずしも皿ビスでなくとも構わない。
【0015】
図4図5に示すように、内壁部21の上端は、建物側に向かって延出された内延出部21aを有しており、内延出部21aは、胴差しカバー6の先端部に設けられた係止部6bに係止される。連結される2本の樋部材20のうちの一方に配置される樋部材20の内壁部21には、他方の樋部材20と連結される側の端部に、連結部材7と係合される係合孔21bが設けられている。本実施形態においては、右側の樋部材(以下、右樋部材ともいう)20の左側の端部に矩形状をなす係合孔21bが設けられている。
【0016】
外壁部22の上端は、反建物側に向かってほぼ水平に延出された板状の外板部22aを有しており、外板部22aは、根太43の下面に当接されて根太43にビス止めされる。右樋部材20における外壁部22の左側の端部には、連結部材7と接合するビス10が挿通される挿通孔22bが設けられている。
連結部材7は、図6図7に示すように、左右に配置されるが固定される本体部70と、本体部70と各樋部材20との間に各々介在されて圧縮される止水部材71とを有している。
【0017】
本体部70は、2つの樋部材20において、雨水等が流れる溝状の流路を連通する開口70aを備え、左右の樋部材20の内壁部21、外壁部22及び底部23と対向する部位を有する板状の連結板部70bと、連結板部70bの建物側の縁の上端部に設けられ、右樋部材20に設けられた被係合部としての係合孔21bと係合する係合片70cと、連結板部70bの反建物側の縁の上端部に設けられ、右樋部材20に設けられた挿通孔22bに挿通されたビス10により右樋部材20が固定される固定部70dと、を有している。
【0018】
連結板部70bは、各樋部材20の内壁部21と対向する内対向部70eと、外壁部22と対向する外対向部70fと、底部23と対向する底対向部70gとがU字状をなし、内対向部70eの上部側と外対向部70fの上部側とが接続部70hで繋がり、囲まれた部分が開口70aをなしている。接続部70hの建物側及び反建物側にそれぞれ、右樋部材20と対向する面側が皿もみされて皿ビス9が挿通される皿もみ孔70iが設けられている。ここで、各樋部材20の内壁部21と対向する内対向部70e、外壁部22と対向する外対向部70f、底部23と対向する底対向部70gを有する連結板部70bの両面が、各々の樋部材の端と対向する2つの対向部に相当する。
【0019】
内対向部70e及び外対向部70fは、接続部70hよりも上方に延出されており、内対向部70eの建物側の上端は右側に延出され、水平面をなす係合片70cが設けられている。係合片70cは、右側の端部が反建物側に突出する突起としての突出部70jを有している。突出部70jは、突出している先端側の左側の縁が、建物側に向かって連結板部70bとの間隔が漸次狭くなる傾斜部70kを有しており、傾斜部70kの建物側に連結板部70bとほぼ平行をなす平行縁部70lとを有している。突出部70jの左右方向の幅W1は、右樋部材20の内壁部21に設けられた係合孔21bの左右方向の幅W2(図8)より狭く形成されている。
【0020】
外対向部70fの建物側の上部は右側に延出され、鉛直面をなす固定部70dが設けられている。固定部70dは、連結される右樋部材20の外壁部22の内面に当接され、外壁部22に設けられた挿通孔22bに挿通されたビス10が螺合される螺合孔70mを有している。
【0021】
連結板部70bの各樋部材20の端と対向する部位、すなわち、連結板部70bにおける内対向部70e、外対向部70f及び底対向部70gと接続部70hとに、弾性を有する合成樹脂製の止水部材71が設けられている。止水部材71は、例えば、EPDM製のシート材から形成され、一体に形作られた定形の止水部材71であり、連結板部70bの両面にそれぞれ貼り付けられている。
【0022】
連結部材7は、図4に示すように、左側の樋部材(以下、左樋部材ともいう)20の端部に、連結板部70bの左側の面に設けられている止水部材71が当接された状態で、皿もみ孔70iに右側から挿通された皿ビス9が左樋部材20のビス螺合部20aに螺合されて取り付けられる。このとき、連結板部70bの左側の面に設けられている止水部材71が、左樋部材20の右側の端に押圧されて圧縮される。本実施形態においては、左樋部材20が一方の樋部材に相当し、右樋部材20が他方の樋部材に相当する。
【0023】
図7図8に示すように、止水部材71が連結板部70bに貼り付けられた状態で、止水部材71の右側の表面71aと平行縁部70lとの間隔W3は、右樋部材20の内壁部21に設けられた係合孔21bの左側の縁21cと右樋部材20の左側の端20bとの距離L1より短く、また、連結板部70bの右側の面70nと平行縁部70lとの間隔W4は、係合孔21bの左側の縁21cと右樋部材20の左側の端20bとの距離L1より長く形成されている。
【0024】
このため、右樋部材20の係合孔21bに連結部材7の係合片70cを挿通させると、係合孔21bの左側の縁21cと、係合片70cの傾斜部70kとが係合し、右樋部材20は、傾斜部70kに案内されて左側に移動しつつ係合孔21bの左側の縁21cが平行縁部70lに当接する位置に配置される。このとき、連結板部70bの右側の面70nに設けられている止水部材71が、右樋部材20の左側の端20bに押圧されて圧縮される。
【0025】
また、止水部材71が、連結板部70bに貼り付けられた状態で、止水部材71の右側の表面71aと螺合孔70mに螺合されることにより連結部材7に設けられたビス10のねじ部における左側の縁10aとの間隔W5は、右樋部材20の外壁部22に設けられた挿通孔22bの左側の縁22cと右樋部材20の左側の端20bとの距離L2より短く、また、連結板部70bの右側の面70nと螺合孔70mに螺合されたビス10のねじ部における左側の縁10aとの間隔W6は、挿通孔22bの左側の縁22cと右樋部材20の左側の端20bとの距離L2より長く形成されている。
【0026】
このため、右樋部材20の挿通孔22bに挿通したビス10を螺合孔70mに螺合すると、ビス10のねじ部における左側の縁10aにより、挿通孔22bの左側の縁22cが左方向に押圧されつつビス10が締め込まれて、右樋部材20が連結部材7に固定される。このとき、連結板部70bの右側の面70nに設けられている止水部材71が、右樋部材20の左側の端20bに押圧されて圧縮される。ここで、突出部70j、及び、連結部材7の螺合孔70mに螺合されたビス10が、連結部材に設けられた係合部に相当し、係合孔21b及び挿通孔22bが係合部と係合する被係合部に相当する。
【0027】
本実施形態の集合樋2の取り付け方法は、まず、図4に示すように、左樋部材20の右側の端に連結部材7を皿ビス9により取り付けておく。このとき、連結部材7の左側に設けられている止水部材71が左樋部材20の端に押圧されて圧縮されることにより、左樋部材20と連結部材7との間が止水される。また、このとき、左樋部材20の左側の端に端部キャップ8を取り付けておいてもよい。
【0028】
次に、図9(a)に示すように、連結部材7が取り付けられた左樋部材20の内延出部21aを胴差しカバー6の係止部6b(図2)に係止し、外板部22aを根太43の下面にビス止めして左樋部材20を取り付ける。
【0029】
次に、図9(b)に示すように、右樋部材20の左側の端20bを、連結部材7に近付けて配置し、係合孔21bに連結部材7の突出部70jを挿入して、突出部70jの平行縁部70lに係合孔21bの左側の縁21cを当接させると共に、右樋部材20の外壁部22の内面に連結部材7の固定部70dを当接させる。
【0030】
その後、図9(c)に示すように、挿通孔22bにビス10を挿通し、固定部70dの螺合孔70mに螺合して、右樋部材20を連結部材7に固定して左樋部材20と連結する。このとき、連結部材7の右側に設けられている止水部材71が右樋部材20の端20bに押圧されて圧縮されることにより、右樋部材20と連結部材7との間が止水される。このように、左樋部材20と右樋部材20とが、連結部材7を介して止水された状態で連結される。
次に、右樋部材20の内延出部21aを胴差しカバー6の係止部6bに係止し、外板部22aを根太43の下面にビス止めして右樋部材20を取り付ける。
【0031】
本実施形態の樋部材20の連結構造によれば、2本の樋部材20の間に介在されて当該2本の樋部材20を連結する連結部材7は、本体部70の両面に設けられ各々の樋部材20の端20bと対向する、内対向部70e、外対向部70f、底対向部70gに設けられて樋部材20との間に挟持される止水部材71が圧縮された状態で2つの樋部材20が連結されるので、連結された状態で、各々の樋部材20と連結部材7との間が止水される。このとき、止水部材71は、本体部70に設けられた定形の止水部材71なので、湿式シール材のように施工現場で充填する必要はなく、2本の樋部材20を連結部材7で連結するだけで、容易に止水することが可能である。このため、施工性及び止水性に優れた樋部材20の連結構造を提供することが可能である。
【0032】
また、連結部材7は、左樋部材20に、当該樋部材20の長手方向に進入する皿ビス9により取り付けられるので、連結部材7を左樋部材20に取り付けるだけで、本体部70と左樋部材20との間に介在される止水部材71を圧縮することが可能である。また、右樋部材20は、連結部材7側に設けられた係合部としての突出部70j、及び、固定部70dに設けられた螺合孔70mに螺合されたビス10と係合して連結部材7側に引き寄せられて取り付けられるので、連結部材7の突出部70j及び連結部材7に螺合されたビス10と右樋部材20とを係合することにより、本体部70と右樋部材20との間に介在される止水部材71を圧縮することが可能である。このため、本体部70と各々の樋部材20の間にて、各々止水部材71を圧縮することができるので、より確実に止水性を備えることが可能である。
【0033】
また、連結部材7に設けられた止水部材71の表面71aと平行縁部70lとの間隔W3は、右樋部材20に設けられた係合孔21bの左側の縁21cと、右樋部材20の止水部材71側の端20bとの距離L1より狭く、止水部材71の表面71aと螺合孔70mに螺合されることにより連結部材7に設けられたビス10のねじ部における左側の縁10aとの間隔W5は、右樋部材20に設けられた挿通孔22bの左側の縁22cと、右樋部材20の止水部材71側の端20bとの距離L2より狭いので、突出部70jを係合孔21bと係合させ、係合孔21bを挿通させたビス10を螺合孔70mに螺合するだけで、右樋部材20の止水部材71側の端20bにより止水部材71を押圧して圧縮することができる。このため、突出部70jを係合孔21bと係合させ、係合孔21bを挿通させたビス10を螺合孔70mに螺合するだけで、止水部材71を確実に圧縮することが可能である。
【0034】
また、右樋部材20と係合する係合片20cの突出部70jは、係合される右樋部材20を、連結部材7側に案内する傾斜部70kを有しているので、突出部70jが係合孔21bとが係合する際には、傾斜部70kにより右樋部材20が連結部材7側に案内される。このため、突出部70jと係合孔21bとを係合させるだけで、より容易に止水部材71を圧縮することができるので、より施工性に優れている。
【0035】
上記実施形態においては、左樋部材20に連結部材7が長手方向に進入する皿ビス9により取り付けられる例について説明したが、右樋部材20に連結部材7が長手方向に進入する皿ビス9により取り付けられても構わない。
【0036】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
【0037】
長手方向に連続する2本の樋部材と、前記2本の樋部材の間に介在されて当該2本の樋部材を連結する連結部材と、を有し、連結部材は、各々の樋部材の端と対向する2つの対向部を有する本体部と、各々の前記対向部に設けられて前記樋部材との間に挟持される定形の止水部材と、を有し、前記止水部材が圧縮された状態で前記2つの樋部材が連結されていることを特徴とする樋部材の連結構造である。
【0038】
このような樋部材の連結構造によれば、2本の樋部材の間に介在されて当該2本の樋部材を連結する連結部材は、各々の樋部材の端と対向する2つの対向部に設けられて樋部材との間に挟持される止水部材が圧縮された状態で2つの樋部材が連結されているので、連結された状態で、各々の樋部材と連結部材との間が止水される。このとき、止水部材は、対向部に設けられた定形の止水部材なので、湿式シール材のように施工現場で充填する必要はなく、2本の樋部材を連結部材で連結するだけで、止水することが可能である。このため、施工性及び止水性に優れた樋部材の連結構造を提供することが可能である。
【0039】
かかる樋部材の連結構造であって、前記連結部材は、前記2本の樋部材のうちの一方の前記樋部材に、当該樋部材の長手方向に進入するビスにより取り付けられ、前記2本の樋部材のうちの他方の前記樋部材は、前記連結部材に設けられた係合部と係合して前記連結部材側に引き寄せられて取り付けられていることを特徴とする。
【0040】
このような樋部材の連結構造によれば、連結部材は、一方の樋部材には、当該樋部材の長手方向に進入するビスにより取り付けられるので、連結部材を一方の樋部材に取り付けるだけで、本体部と一方の樋部材との間に介在される止水部材を圧縮することが可能である。また、他方の樋部材は、連結部材に設けられた係合部と係合して連結部材側に引き寄せられて取り付けられているので、連結部材の係合部と他方の樋部材とを係合することにより間に介在される止水部材を圧縮することが可能である。このため、本体部と各々の樋部材の間にて、止水部材を圧縮することができるので、より確実に止水性を備えることが可能である。
【0041】
かかる樋部材の連結構造であって、前記連結部材に設けられた前記止水部材と前記係合部との前記長手方向における間隔は、前記他方の前記樋部材に設けられて前記係合部と係合する被係合部と、前記他方の前記樋部材における前記止水部材側の端との距離より狭いことを特徴とする。
【0042】
このような樋部材の連結構造によれば、連結部材に設けられた止水部材と係合部との、長手方向における間隔は、他方の樋部材に設けられた被係合部と、止水部材側の端との距離より狭いので、係合部が被係合部と係合すると、他方の樋部材の止水部材側の端により止水部材が押圧されて圧縮される。このため、連結部材の係合部と、他方の樋部材の被係合部とを係合させるだけで、止水部材を確実に圧縮することが可能である。
【0043】
かかる樋部材の連結構造であって、前記係合部は、前記連結部材に螺合されて、前記他方の樋部材を当該連結部材に固定するビスであることを特徴とする。
【0044】
このような樋部材の連結構造によれば、他方の樋部材は、他方の樋部材を連結部材に固定するビスにより、連結部材側に引き寄せられるので、他方の樋部材をビスにより連結部材に取り付けるだけで、止水部材を圧縮することが可能である。
【0045】
かかる樋部材の連結構造であって、前記係合部は、前記連結部材に設けられて、前記他方の樋部材に設けられた被係合部と係合する突起であることを特徴とする。
このような樋部材の連結構造によれば、他方の樋部材の被係合部を、連結部材に設けられた係合部と係合させることにより、他方の樋部材が連結部材側に引き寄せられるので、係合部と被係合部とを係合させるだけで、止水部材を圧縮することが可能である。
【0046】
かかる樋部材の連結構造であって、前記突起は、係合される前記他方の樋部材を、前記連結部材側に案内する傾斜部を有していることを特徴とする。
【0047】
このような樋部材の連結構造によれば、他方の樋部材と係合する突起は、係合される他方の樋部材を、連結部材側に案内する傾斜部を有しているので、被係合部とが係合する際には、傾斜部により他方の樋部材が連結部材側に案内される。このため、突起と被係合部とを係合させるだけで、より容易に止水部材を圧縮することができるので、より施工性に優れている。
【符号の説明】
【0048】
7 連結部材、9 皿ビス、10 ビス、10a ビスのねじ部における縁、
20 樋部材(左樋部材、右樋部材)、20b 樋部材の端、21b 係合孔、
21c 係合孔の左側の縁、22b 挿通孔、70 本体部、70b 連結板部、
70c 係合片、70d 固定部、70e 内対向部、70f 外対向部、
70g 底対向部、70j 突出部、70k 傾斜部、70l 平行縁部、
70m 螺合孔、71 止水部材、71a 止水部材の表面、
L1 係合孔の左側の縁と右樋部材の止水部材側の端との距離、
L2 挿通孔の左側の縁と右樋部材の止水部材側の端との距離、
W3 止水部材の表面と平行縁部との間隔、
W5 止水部材の表面と螺合孔に螺合されたビスとの間隔、
図1
図2
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図9