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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142215
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
A63F5/04 631
A63F5/04 620
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048980
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100135666
【弁理士】
【氏名又は名称】原 弘晃
(74)【代理人】
【識別番号】100131680
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 健一
(72)【発明者】
【氏名】市原 聖之
【テーマコード(参考)】
2C518
【Fターム(参考)】
2C518CA01
2C518DA06
2C518DA07
(57)【要約】
【課題】遊技性を向上させた遊技機を提供する。
【解決手段】BB1状態では、BB1状態の終了条件が成立するまで、シフト役を入賞させることができる役物非作動状態と、シフト役が入賞したことにより移行する役物作動状態との間で繰り返し移行可能であり、シフト役は、第1リールを最初に停止させる態様で停止操作が行われた場合には当該停止操作のタイミングに関わらず入賞し、第2リールまたは第3リールを最初に停止させる態様で停止操作が行われた場合には、当該停止操作のタイミングに応じて入賞する場合と入賞しない場合とが存在するように、当該シフト役の入賞形態を示す図柄組合せとして、図柄組合せ群Aと図柄組合せ群Bとを含む複数種類の図柄組合せが設定されている。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、
役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、
前記複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、前記内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、
特別役を抽選対象とした内部抽選を行う第1遊技状態と、特別役が入賞したことにより移行する第2遊技状態とを設定可能とする遊技状態制御手段と、を備え、
有効ライン上に役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが表示された場合に役が入賞する遊技機であって、
前記第2遊技状態では、当該第2遊技状態の終了条件が成立するまで、シフト役を入賞させることができる役物非作動状態と、シフト役が入賞したことにより移行する役物作動状態との間で繰り返し移行可能であり、
前記シフト役は、前記複数のリールのうち特定リールを最初に停止させる第1操作態様で停止操作が行われた場合には当該停止操作のタイミングに関わらず入賞し、第1操作態様とは最初に停止させるリールが異なる第2操作態様で停止操作が行われた場合には、当該停止操作のタイミングに応じて入賞する場合と入賞しない場合とが存在するように、当該シフト役の入賞形態を示す図柄組合せとして、第1図柄組合せと第2図柄組合せとを含む複数種類の図柄組合せが設定されており、
前記リール制御手段が、
前記役物非作動状態で前記シフト役が当選している状況において、前記第1操作態様で前記停止操作が行われた場合、前記第2図柄組合せを構成する図柄に優先して前記第1図柄組合せを構成する図柄を有効ライン上に表示させ、前記第2操作態様で前記停止操作が行われた場合、前記第1図柄組合せを構成する図柄に優先して前記第2図柄組合せを構成する図柄を有効ライン上に表示させる制御を行うことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から外周面に図柄が配列された複数のリールを備えた遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、メダルやパチンコ玉などの遊技媒体に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技価値を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者の回転開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、遊技者の停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で複数のリールを停止させる制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数のリールが停止した状態における有効ラインに表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の払い出しなどが行われる。
【0003】
そしてこの種の遊技機に関して、入賞に伴い遊技価値が付与される役である小役の入賞率を通常状態よりも上昇させることが可能なボーナス状態を、主たる遊技価値の獲得機能として設けており、ボーナス状態においてシフト役を入賞させることによって小役の当選確率を上昇させる遊技仕様が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-193717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年では、小役の入賞を補助する指示情報を提供することによって、小役の入賞確率を変動させ、指示情報を提供可能なAT状態において遊技価値を獲得しやすくする指示機能を有する遊技機が好評を博しており、市場においてボーナス状態を主たる遊技価値の獲得機能とする遊技機の提供数が減少傾向にある。このため、ボーナス状態を主たる遊技価値の獲得機能とする遊技仕様において遊技性を向上させて遊技者の関心を惹きつける新たな技術が望まれている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技性を向上させた遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、前記複数のリールを遊技毎に回転させ、停止操作を契機として、前記内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、特別役を抽選対象とした内部抽選を行う第1遊技状態と、特別役が入賞したことにより移行する第2遊技状態とを設定可能とする遊技状態制御手段と、を備え、有効ライン上に役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが表示された場合に役が入賞する遊技機であって、前記第2遊技状態では、当該第2遊技状態の終了条件が成立するまで、シフト役を入賞させることができる役物非作動状態と、シフト役が入賞したことにより移行する役物作動状態との間で繰り返し移行可能であり、前記シフト役は、前記複数のリールのうち特定リールを最初に停止させる第1操作態様で停止操作が行われた場合には当該停止操作のタイミングに関わらず入賞し、第1操作態様とは最初に停止させるリールが異なる第2操作態様で停止操作が行われた場合には、当該停止操作のタイミングに応じて入賞する場合と入賞しない場合とが存在するように、当該シフト役の入賞形態を示す図柄組合せとして、第1図柄組合せと第2図柄組合せとを含む複数種類の図柄組合せが設定されており、前記リール制御手段が、前記役物非作動状態で前記シフト役が当選している状況において、前記第1操作態様で前記停止操作が行われた場合、前記第2図柄組合せを構成する図柄に優先して前記第1図柄組合せを構成する図柄を有効ライン上に表示させ、前記第2操作態様で前記停止操作が行われた場合、前記第1図柄組合せを構成する図柄に優先して前記第2図柄組合せを構成する図柄を有効ライン上に表示させる制御を行う遊技機に関するものである。
【0008】
本発明では、シフト役の入賞形態を示す図柄組合せとして、第1図柄組合せと第2図柄組合せとを含む複数種類の図柄組合せが設定されており、役物非作動状態においてシフト役が当選している状況で停止操作の態様に応じて有効ライン上に表示させる図柄組合せの優先度が異なることによって、特定リールを最初に停止させる第1操作態様で停止操作が行われた場合には当該停止操作のタイミングに関わらず入賞し、第1操作態様とは最初に停止させるリールが異なる第2操作態様で停止操作が行われた場合には、当該停止操作のタイミングに応じて入賞する場合と入賞しない場合とが存在する。このため本発明では、役物非作動状態において、停止操作の順序に応じてシフト役の入賞率が変化する遊技仕様を実現して遊技性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の遊技機の外観構成を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態の遊技機の筐体内部の構成を示す斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態の遊技機の機能ブロックを説明する図である。
図4】本発明の第1実施形態の遊技機における内部抽選テーブルを説明する図である。
図5】本発明の第1実施形態の遊技機における内部抽選テーブルを説明する図である。
図6】本発明の第1実施形態の遊技機における小役の当選態様を説明する図である。
図7】本発明の第1実施形態の遊技機におけるリールの図柄配列を説明する図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る遊技機における遊技状態と入賞役との関係を説明する図である。
図9】本発明の第1実施形態の遊技機における入賞役と図柄組合せとの関係を説明する図である。
図10】本発明の第1実施形態の遊技機における入賞役と図柄組合せとの関係を説明する図である。
図11】本発明の第1実施形態の遊技機における遊技状態の遷移図である。
図12】本発明の第1実施形態の遊技機におけるシフト役とベルaとが当選している状況の当選役を示す図である。
図13】本発明の第1実施形態の遊技機におけるシフト役とベルaとが当選している状況の停止制御の手法を説明するための図である。
図14】本発明の第1実施形態の遊技機におけるシフト役とベルaとが当選している状況の停止制御の手法を説明するための図である。
図15】本発明の第1実施形態の遊技機におけるシフト役とベルaとが当選している状況の停止制御の手法を説明するための図である。
図16】本発明の第1実施形態の遊技機における各当選態様に対する乱数値の割り当て例と各遊技状態の出玉率を示す図である。
図17】本発明の第1実施形態の変形例に係る遊技機における小役の当選態様を示す図である。
図18】本発明の第2実施形態の遊技機の外観構成を示す斜視図である。
図19】本発明の第2実施形態の遊技機の筐体内部の構成を示す斜視図である。
図20】本発明の第2実施形態の遊技機の機能ブロックを説明する図である。
図21】本発明の第2実施形態の遊技機における内部抽選テーブルを説明する図である。
図22】本発明の第2実施形態の遊技機における小役の当選態様を説明する図である。
図23】本発明の第2実施形態の遊技機における小役の当選態様を説明する図である。
図24】本発明の第2実施形態の遊技機におけるリールの図柄配列を説明する図である。
図25】本発明の第2実施形態に係る遊技機におけるストップボタンの押下順序と入賞役との関係を説明する図である。
図26】本発明の第2実施形態に係る遊技機におけるストップボタンの押下順序と入賞役との関係を説明する図である。
図27】本発明の第2実施形態に係る遊技機におけるストップボタンの押下順序と入賞役との関係を説明する図である。
図28】本発明の第2実施形態の遊技機における入賞役と図柄組合せとの関係を説明する図である。
図29】本発明の第2実施形態の遊技機における入賞役と図柄組合せとの関係を説明する図である。
図30】本発明の第2実施形態の遊技機における入賞役と図柄組合せとの関係を説明する図である。
図31】本発明の第2実施形態の遊技機における入賞役と図柄組合せとの関係を説明する図である。
図32】本発明の第2実施形態の遊技機における入賞役と図柄組合せとの関係を説明する図である。
図33】本発明の第2実施形態の遊技機における遊技状態の遷移図である。
図34】本発明の第2実施形態の遊技機における演出状態の遷移図である。
図35】本発明の第2実施形態の遊技機における遊技区間の遷移図である。
図36】本発明の第2実施形態の遊技機における打順特殊役の役構成を示す図である。
図37】本発明の第2実施形態の遊技機における打順特殊役に関する停止制御の手法を説明する図である。
図38】本発明の第2実施形態の遊技機における打順特殊役に関する停止制御の手法を説明する図である。
図39】本発明の第2実施形態の遊技機における打順特殊役に関する停止制御の具体例を説明する図である。
図40】本発明の第2実施形態の変形例に係る遊技機におけるリールの図柄配列を説明する図である。
図41】本発明の第2実施形態の変形例に係る遊技機における入賞役と図柄組合せとの関係を説明する図である。
図42】本発明の第2実施形態の変形例に係る遊技機における打順特殊役の構成およびストップボタンの押下順序と入賞役との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また各実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
(第1実施形態)
1-1.構成
図1は、本発明の実施形態に係る遊技機の外観構成を示す斜視図である。また図2は、本発明の実施形態に係る遊技機の内部構成(リールユニットを除く)を示す斜視図である。
【0012】
本実施形態の遊技機は、いわゆるスロットマシンあるいは回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
【0013】
本実施形態の遊技機は、収納箱BX、上部前面扉UD、および下部前面扉DDからなる箱形の筐体内に第1リールR1~第3リールR3(複数のリール)からなるリールユニットが収められている。また収納箱BX内のリールユニット収納スペースPSの下部には、電源装置を内蔵し、電源スイッチES、設定変更キーシリンダKS、設定変更ボタンSB等の各種スイッチが備えられた電源ユニットEUおよびメダルの払出装置としてのホッパーユニットHPが収められている。ホッパーユニットHPは、遊技に供するメダルを貯蔵するメダル貯蔵タンクMTと、ステッピングモータからなる払出モータ(図示省略)と払出モータに軸支された回転ディスク(図示省略)とを備えており、回転ディスクが払出モータによって回転駆動されて、1枚単位でメダルを払い出すことができるように構成されている。またホッパーユニットHPは、メダル貯蔵タンクMTにおけるメダルの貯蔵量が一定に達すると、余剰メダルがキャッシュボックスCBに送り出されるようになっている。また本実施形態の遊技機の筐体内には、例えば、リールユニット収納スペースPSの上方にメイン基板MAINが取り付けられているとともに、リールユニット収納スペースPSの側方にサブ基板SUBが取り付けられており、これらの制御基板(メイン基板MAIN、サブ基板SUB)には、CPU(演算手段の一例)、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM(一時記憶手段の一例)等を搭載して遊技機の動作を制御することができるようになっている。なお本実施の形態では、電源ユニットEUに設定変更キーシリンダKSや設定変更ボタンBSが設けられているが、メイン基板MAINの表面に設定変更キーシリンダKSや設定変更ボタンBSを設けるようにしてもよい。
【0014】
図1に示す第1リールR1~第3リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で21の領域(各領域を「コマ」と称する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。また第1リールR1~第3リールR3は、ステッピングモータ(リール駆動手段:図示省略)に軸支されており、それぞれステッピングモータの軸周りに回転駆動され、ステッピングモータの駆動パルスのパルス数やパルス幅などを制御することによって、コマ単位(所定の回転角度単位、所定の回転量単位)で停止可能に設けられている。すなわち本実施形態の遊技機では、ステッピングモータが制御基板から供給された駆動パルスに応じて第1リールR1~第3リールR3を回転駆動し、制御基板から全相励磁の駆動パルスが供給されると、ステッピングモータの回転が停止することに伴って第1リールR1~第3リールR3が停止する。
【0015】
上部前面扉UDと下部前面扉DDとは個別に開閉可能に設けられており、上部前面扉UDには第1リールR1~第3リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能にする表示窓DWが設けられている。第1リールR1~第3リールR3の停止状態では、第1リールR1~第3リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)を遊技機の正面から表示窓DWを通じて観察できるようになっている。
【0016】
また本実施形態の遊技機では、表示窓DWを通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによって有効ラインが設定される。なお本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数が1枚または3枚に設定され、規定投入数に相当するメダルが投入されると、第1リールR1の上段、第2リールR2の中段、および第3リールR3の下段によって構成される有効ラインL1と、第1リールR1~第3リールR3のそれぞれの中段によって構成される有効ラインL2と、第1リールR1~第3リールR3のそれぞれの下段によって構成される有効ラインL3とが有効化される。
【0017】
そして遊技結果は表示窓DW内の有効ラインに停止表示された図柄組合せによって判断され、有効ライン上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合には、その役が入賞したものとしてホッパーユニットHPからメダルの払い出し等が行われる。
【0018】
また上部前面扉UDには、遊技情報表示部DSおよび区間表示器SECが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、BB状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計等の各種遊技情報が表示される。また区間表示器SECは、内蔵されるLEDの消灯および点灯によって有利区間に滞在しているか否かを報知するものである。
【0019】
また上部前面扉UDには、遊技演出を行うための液晶ディスプレイLCDが設けられている。この液晶ディスプレイLCDには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像(または画像)が表示される。また本実施形態の遊技機では、上部前面扉UDや下部前面扉DDに対して、遊技演出を行うためのスピーカSPが複数設けられている。このスピーカSPからは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
【0020】
また下部前面扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うためのベットボタン(投入操作手段)B0、第1リールR1~第3リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる操作を行うためのスタートレバー(遊技開始操作手段)SL、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1~第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる操作を行うためのストップボタン(停止操作手段)B1~B3などが設けられている。
【0021】
本実施形態の遊技機では、遊技者がメダルをメダル投入口MIに投入するか、ベットボタンB0を押下する操作を行うことで、第1リールR1~第3リールR3の回転制御を開始することが可能な準備状態にセットされる。そして、遊技者がスタートレバーSLを押下すると、制御基板において第1リールR1~第3リールR3をステッピングモータの駆動により回転開始させるとともに、乱数値を用いた内部抽選が行われ、第1リールR1~第3リールR3の回転速度が所定の速度まで上昇したことを条件に、ストップボタンB1~B3の押下操作が許可(有効化)される。
【0022】
その後、遊技者が任意のタイミングでストップボタンB1~B3を押下していくと、ストップボタンB1~B3のそれぞれに内蔵されているストップスイッチ(停止信号出力手段:例えば、フォトセンサ、導通センサ、圧力センサなど)がオン動作を行い、制御基板に入力されるリール停止信号をオフ状態からオン状態へ変化させる。
【0023】
また遊技者が任意のタイミングで押下状態にあるストップボタンB1~B3を解放すると、ストップボタンB1~B3それぞれに対応するストップスイッチがオフ動作を行い、制御基板に入力されるリール停止信号をオン状態からオフ状態に変化させる。
【0024】
そして制御基板は、ストップボタンB1~B3の押下タイミング及び解放タイミングに応じて信号状態が変化するリール停止信号のオフ状態からオン状態への変化に基づいて、内部抽選の結果に応じた停止位置で第1リールR1~第3リールR3を停止させる。
【0025】
また下部前面扉DDの下部には、メダル払い出し口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがホッパーユニットHPからメダル払い出し口MOを通じてメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。なお遊技の結果に応じてメダルが払い出される場合に、メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、払出数の一部あるいは全部に相当するメダルを、クレジット上限枚数(本実施形態では50枚)を限度としてクレジットし、メダルのクレジット数の変化に伴って遊技情報表示部DSの7セグメント表示器からなるクレジット表示器の表示値を変化させる動作を行う。
【0026】
図3は、本実施形態の遊技機の機能ブロック図である。
【0027】
本実施形態の遊技機は、遊技制御手段(メイン基板MAINおよびサブ基板SUB)100によって制御される。遊技制御手段100は、電源スイッチESの作動により電源ユニットEUから電力が供給されて起動し、メダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240、設定変更許可スイッチ250、設定変更スイッチ260等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット310、ホッパーユニット(払出装置)HP、表示装置330、音響装置340等の出力手段の動作制御を行う。遊技制御手段100の機能は各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所与のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0028】
そして遊技制御手段100は、設定変更手段103、投入受付手段105、乱数発生手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態制御手段170、演出制御手段180、遊技情報記憶手段190a、演出情報記憶手段190bを含む。なお本実施形態では、設定変更手段103、投入受付手段105、乱数発生手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、および遊技状態制御手段170は、メイン基板MAINのCPUが各種のプログラムを実行することによって実現され、演出制御手段180は、サブ基板SUBのCPUが各種のプログラムを実行することによって実現される。また遊技情報記憶手段190aは、メイン基板MAINに搭載されているメインROMおよびメインRAMによって構成され、演出情報記憶手段190bは、サブ基板SUBに搭載されているサブROMおよびサブRAMによって構成されている。またメイン基板MAINのCPUが実行する各種のプログラムは、遊技情報記憶手段190aのメインROMに記憶されており、サブ基板SUBのCPUが実行する各種のプログラムは、演出情報記憶手段190bのサブROMに記憶されている。
【0029】
設定変更手段103は、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられた設定値記憶領域1913に記憶されている設定値を変更する制御を行う。本実施形態では、電源投入時の設定変更許可スイッチ250の状態に応じて遊技モードで起動される場合と設定変更モードで起動される場合とが切り替えられるようになっており、設定変更キーシリンダKSに設定キーが挿入されて初期位置から時計回りに設定キーが回されると設定変更許可スイッチ250の信号状態がオン状態となり、この状態で電源スイッチESが作動することにより電源ユニットEUから電力が供給されると、設定変更手段103が、遊技機を設定変更モードで起動する。そして本実施形態では、設定1~設定6までの6段階の設定値の中から設定値を選択することができるようになっており、設定1から順に設定6に向かって出玉率の期待値が高くなるように内部抽選の当選確率が変動するようになっている。なお本実施形態では、設定1<設定2<設定3<設定4<設定5<設定6の順で設定値の高低を表現する。
【0030】
また設定変更手段103は、設定変更モードにおいて設定変更ボタンSBを押下することにより設定変更スイッチ260が作動すると、設定変更スイッチ260からの入力信号を受け付ける毎に、設定値を設定1→設定2→・・・設定6→設定1→・・・の順序で設定値を変更し、スタートレバーSLの押下により作動するスタートスイッチ230からの遊技スタート信号に基づいて設定値を確定させて、確定された設定値を設定値記憶領域1913に記憶させる制御を行う。そして本実施形態では、設定変更キーシリンダKSに挿入された設定キーを初期位置に戻すことによって設定変更許可スイッチ250の信号状態をオフ状態に変更し設定変更モードから遊技モードへ移行させることができるようになっている。
【0031】
また本実施形態では、設定変更キーシリンダKSが初期位置にある状態で電源が投入されると、設定変更許可スイッチ260の信号状態がオフ状態であることに基づいて遊技モードで遊技機を起動する。そして本実施形態では、遊技モードでは遊技を行うことができるが、設定値の変更を行うことはできず、設定変更モードでは設定値の変更を行うことはできるが、遊技を行うことはできないようになっている。
【0032】
また設定変更手段103は、設定変更モードにおいて、遊技情報記憶手段190aのメインRAMの所定の記憶領域に記憶されている情報を初期化する初期化処理を行う。特に本実施の形態では、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに関して、抽選フラグ記憶領域1915および遊技状態記憶領域1916に記憶されている情報を設定変更モードにおける初期化処理によって初期化する。より詳細には、遊技情報記憶手段190aのメインRAMにおける抽選フラグ記憶領域1915および遊技状態記憶領域1916以外の記憶領域を情報保持領域として指定し、メインRAMの情報保持領域以外の記憶領域に記憶されている情報を初期化する。このため、メインRAMにおいて、設定値記憶領域1913およびクレジット情報記憶領域1914については情報保持領域として指定され、これらの記憶領域に記憶されている情報は、設定変更モードにおける初期化処理によっては初期化されずに保持されるようになっている。
【0033】
投入受付手段105は、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数(2枚または3枚)に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバーSL(遊技開始操作手段)に対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。なお本実施形態の遊技機では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、第1リールR1~第3リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。
【0034】
また本実施形態の遊技機では、メダル投入口MIにメダルが投入されると、メダル投入スイッチ210が作動することに伴って、投入受付手段105が、規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。また本実施形態の遊技機では、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられたクレジット情報記憶領域1914に最大で50枚分のメダルをクレジット記憶(貯留記憶)することが可能となっており、遊技機にメダルがクレジット記憶された状態で、ベットボタンB0が押下されると、ベットスイッチ220が作動することに伴って、投入受付手段105が、規定投入数を限度して、クレジット情報記憶領域1914にクレジット記憶されたメダルを投入状態に設定する。
【0035】
乱数発生手段110は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、0~65535までの65536個の乱数値を1周期中で重複することなく発生させる16ビット乱数回路によって発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0036】
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対する遊技開始操作(有効化されたスタートレバーSLへの最初の押下操作)により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理などを行う。
【0037】
抽選テーブル選択処理では、遊技情報記憶手段190aのメインROMに設けられたメイン抽選テーブル記憶領域1910に格納されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。本実施形態の遊技機では、メイン抽選テーブル記憶領域1910に、図4および図5に示すような7種類の内部抽選テーブル(内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル7)が記憶されている。そして各内部抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0~65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役、およびボーナスなどの各種の役やハズレ(不当選)が対応づけられている。なお本実施形態では、6段階の設定値に対して、設定値毎に8種類の内部抽選テーブルが用意されており、設定値に応じて内部抽選で一部の当選態様が得られる確率が異なっており、設定値が高くなるほど出玉率の期待値が高くなるように役と乱数値との対応関係が設定されている。
【0038】
なお本実施形態の遊技機では、小役として、小役1~小役9が用意されており、図6に示すように、小役の当選態様として、ベルa、ベルb、ベルc、チェリー、JAC1、JAC2、JAC3、およびJAC4が設定されている。なお本実施形態では、必要に応じて、ベルa、ベルb、およびベルcの各当選態様を総称して「ベル」と表記する場合があり、またJAC1、JAC2、JAC3、およびJAC4の各当選態様を総称して「JAC」と表記する場合がある。
【0039】
そして本実施形態では、内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル4において抽選対象となる小役の当選態様が同一であって小役の当選確率も同一であるが、内部抽選テーブル5~内部抽選テーブル7では抽選対象となる小役の当選態様が内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル4とは異なるとともに小役の当選確率は内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル4よりも高く設定されている。
【0040】
また本実施形態の遊技機では、リプレイが1種類のみ用意されており、内部抽選テーブル5~内部抽選テーブル7ではリプレイが抽選対象となっておらず、内部抽選テーブル3および内部抽選テーブル4においてリプレイの当選確率が内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2よりも高く設定されている。また内部抽選テーブル1と内部抽選テーブル2とはリプレイの当選確率が同一であり、内部抽選テーブル3と内部抽選テーブル4とはリプレイの当選確率が同一となっている。
【0041】
また本実施形態の遊技機では、ボーナスとして、第1ビッグボーナス(BB1:特別役の一例)、第2ビッグボーナス(BB2)、およびシフト役が用意されており、第1ビッグボーナス(BB1)および第2ビッグボーナス(BB2)は、内部抽選テーブル1において抽選対象となっており、シフト役は、内部抽選テーブル3および内部抽選テーブル5において抽選対象となっている。なお本実施形態では、内部抽選テーブル3と内部抽選テーブル5とにおいてシフト役の当選確率は同一である。また本実施形態では、ボーナスとして、第1ビッグボーナス(BB1)、第2ビッグボーナス(BB2)、およびシフト役が設けられているが、いずれのボーナスが当選した場合でも、そのボーナスの当選を契機としてリプレイの当選確率が変動することはない。特にBB1状態では、シフト役の入賞によってリプレイの当選確率が変動するが、シフト役の当選ではリプレイの当選確率が変動しない。
【0042】
また本実施形態の遊技機では、遊技状態として、通常状態、BB1成立状態、BB2成立状態、BB1状態(役物非作動状態、役物作動状態)、およびBB2状態が設定可能とされ、抽選テーブル選択処理では、遊技状態に応じて内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル7のいずれか1つを内部抽選で使用する内部抽選テーブルとして選択する。
【0043】
また本実施形態では、第1ビッグボーナス(BB1)について、設定値に応じて当選確率が変動するようになっている。例えば、設定値が高くなるほど第1ビッグボーナス(BB1)の当選確率が高くなる態様とすることができる。なお本実施形態では、小役、リプレイ、第2ビッグボーナス(BB2)、シフト役については設定値によらず当選確率が同一となっている。ただし、第1ビッグボーナス(BB1)以外の役についても設定値に応じて当選確率が変動する役が存在していてもよい。
【0044】
乱数判定処理では、スタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて、遊技毎に乱数発生手段110から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について遊技情報記憶手段190aのメインROMに設けられたメイン抽選テーブル記憶領域1910に記憶されている内部抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0045】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。本実施形態の遊技機では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。なお抽選フラグの設定情報は、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられた抽選フラグ記憶領域1915に格納される。
【0046】
また本実施形態の遊技機では、入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されている。前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、第1ビッグボーナス(BB1)、第2ビッグボーナス(BB2)、およびシフト役があり、小役およびリプレイは後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、例えば、内部抽選で第1ビッグボーナス(BB1)に当選すると、第1ビッグボーナス(BB1)の抽選フラグの当選状態を、第1ビッグボーナス(BB1)が入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき内部抽選手段120は、第1ビッグボーナス(BB1)の抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、小役およびリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、ボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0047】
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへの遊技開始操作により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて、ステッピングモータにより第1リールR1~第3リールR3の回転駆動を開始し、第1リールR1~第3リールR3が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)で定常回転しているリールに対応するストップボタンB1~B3(停止操作手段)を押下することによる停止操作を有効化する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1~第3リールR3を抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じた態様で停止させる制御を行う。
【0048】
そしてリール制御手段130は、ストップボタンB1~B3に対する停止操作が有効化された状態において、遊技者がストップボタンB1~B3を押下することによりストップスイッチ240が作動すると、ストップスイッチ240からのリール停止信号に基づいて、リールユニット310のステッピングモータへ全相励磁の駆動パルスを供給することにより、第1リールR1~第3リールR3の各リールを停止させる制御を行う。
【0049】
すなわちリール制御手段130は、ストップボタンB1~B3の各ボタンが押下される毎に、第1リールR1~第3リールR3のうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。なお本実施形態の遊技機では、ストップボタンB1を押下することが第1リールR1を停止させるための操作に対応し、ストップボタンB2を押下することが第2リールR2を停止させるための操作に対応し、ストップボタンB3を押下することが第3リールR3を停止させるための操作に対応する。すなわち本実施形態の遊技機では、ストップボタンB1~B3の押下順序が変化すると、第1リールR1~第3リールR3の停止順序が変化する。本実施形態では、必要に応じて、第1リールR1~第3リールR3のうち最初に停止するリールを第1停止リール、2番目に停止するリールを第2停止リール、最後に停止するリールを第3停止リールと称する場合がある。また本実施形態では、必要に応じて、第1停止リールに対応する停止操作を第1停止操作、第2停止リールに対応する停止操作を第2停止操作、第3停止リールに対応する停止操作を第3停止操作と称する場合がある。
【0050】
また本実施形態の遊技機では、第1リールR1~第3リールR3について、ストップボタンB1~B3が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールが停止するようになっている。そしてストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合には、回転している各リールの停止位置は、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに要するコマ数が0コマ~4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で決定される。そして、リール制御手段130は、ストップボタンB1~B3のうち押下操作が行われたストップボタンに対応する回転中のリールの外周面上において、内部抽選で当選した役に対応する図柄が、ストップボタンに対する押下操作が行われた時点で有効ライン上の表示位置に対して0コマ~4コマの範囲内に位置する場合に、抽選フラグが当選状態に設定されている役に対応する図柄が有効ライン上の表示位置に表示されるように、押下操作が行われたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御を行っている。
【0051】
そして本実施形態では、図7に示すように、リールユニット310を構成する第1リールR1~第3リールR3の外周面に対して、赤7図柄A「赤7A」、赤7図柄B「赤7B」、バー図柄「BAR」、特殊図柄A「SPA」、特殊図柄B「SPB」、ベル図柄A「BLA」、ベル図柄B「BLB」、スイカ図柄「WM」、リプレイ図柄「RP」、およびチェリー図柄「CH」が配列されており、押下検出位置から4コマ以内に存在する図柄を有効ライン上に引き込む場合には、各リールの外周面において4コマ以内の間隔で配列されている図柄について、ストップスイッチ240の作動時点(ストップボタンの押下が検出された時点)のリールの位置である押下検出位置に関わらずに、有効ライン上に表示させることができるようになっている。
【0052】
なお本実施形態の遊技機では、リールユニット310がフォトセンサからなるリールインデックス315を備えており、リール制御手段130は、リールが1回転する毎にリールインデックス315で検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックス315によって検出されるコマ)からの回転角度(ステッピングモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわちリール制御手段130は、ストップスイッチ240の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
【0053】
そしてリール制御手段130は、遊技情報記憶手段190aのメインROMに設けられた停止制御テーブル記憶領域1911に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定する。
【0054】
ここで停止制御テーブルでは、抽選フラグの設定状態に応じて、ストップスイッチ240の作動時点(ストップボタンの押下が検出された時点)におけるリールの位置である押下検出位置と実際の停止位置との対応関係が設定されている。なお停止制御テーブルでは、抽選フラグの設定状態に応じて、押下検出位置と、押下検出位置から実際の停止位置までの回転量を示す滑りコマ数との対応関係が設定されていてもよい。
【0055】
特に本実施形態の遊技機では、「リプレイ>ボーナス」かつ「ボーナス>小役」の順序で優先順位が定められており、2種類以上の役に関する抽選フラグが当選状態に設定されている場合に参照される停止制御テーブルでは、各役に対応付けられた優先順位に従って、優先順位の高い役が優先順位の低い役よりも優先的に入賞するように押下検出位置と停止位置との関係が設定されている。
【0056】
そして内部抽選でベルaが当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、遊技状態が通常状態、BB1成立状態、またはBB2成立状態である場合、停止操作の態様に関わらずに1枚小役(配当が1枚の小役)が入賞し、遊技状態がBB1状態である場合、停止操作の態様に関わらずに4枚小役(配当が4枚の小役)が入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定されている。
【0057】
また内部抽選でベルbが当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、遊技状態が通常状態である場合、停止操作の態様に関わらずに1枚小役が入賞し、遊技状態がBB1成立状態、BB2成立状態、またはBB1状態である場合、停止操作の態様に関わらずに4枚小役が入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定されている。
【0058】
また内部抽選でベルcが当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、通常状態、BB1成立状態、BB2成立状態、およびBB1状態のいずれにおいても、停止操作の態様に関わらずに4枚小役が入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定されている。
【0059】
本実施形態では、ベルの当選態様を得た場合における遊技状態と入賞する小役との対応関係は図8に示す通りである。ベルa、ベルb、ベルcは、いずれも4枚小役として小役3を含む当選態様であり、4枚小役が入賞する場合には、有効ライン上に小役3の入賞形態を示す図柄組み合わせが表示される。また、いずれのベルの当選態様も4枚小役と1枚小役とを含む当選態様であるが、4枚小役を入賞させる場合、入賞に伴うメダルの払出数が多くなる停止位置を優先する払出数優先制御を実現するように停止対象のリールの停止位置が決定され、1枚小役を入賞させる場合、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組み合わせの個数が多くなる停止位置を優先する個数優先制御を実現するように停止対象のリールの停止位置が決定される。
【0060】
また内部抽選でチェリーが当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、第1リールR1を停止させる際の押下検出位置に応じて、4枚小役が入賞する場合と、いずれの役も入賞しない場合(役の取りこぼし)とが存在するように押下検出位置に対する停止位置が設定されている。具体的には、第1リールR1を停止させる際に、チェリー図柄「CH」を引き込み範囲に含む押下検出位置であれば、4枚小役である小役4が入賞し、チェリー図柄「CH」を引き込み範囲に含まない押下検出位置であれば、役の取りこぼしが発生する。
【0061】
また内部抽選でJAC1またはJAC2が当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、ストップボタンB1~B3に対する停止操作の態様に関わらずに、13枚小役(配当が13枚の小役)が入賞するように押下検出位置に対する停止位置が決定される。
【0062】
また内部抽選でJAC3またはJAC4が当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、ストップボタンB1~B3に対する停止操作の態様に関わらずに、15枚小役(配当が15枚の小役)が入賞するように押下検出位置に対する停止位置が決定される。
【0063】
また内部抽選でリプレイが当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、ストップボタンB1~B3に対する停止操作の態様に関わらずにリプレイが入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定されている。
【0064】
またボーナス(第1ビッグボーナス(BB1)、第2ビッグボーナス(BB2)、シフト役)が当選している場合に参照される停止制御テーブルでは、ボーナスのみが当選している状況では、当選しているボーナスの入賞形態を構成する図柄を引き込み範囲に含む押下検出位置でストップボタンB1~B3に対する停止操作が行われると、当選しているボーナスが入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定されている。またボーナスが当選している場合に参照される停止制御テーブルでは、ボーナスに加えてリプレイが当選している状況では、リプレイの入賞が優先され、ストップボタンB1~B3に対する停止操作の態様に関わらずにリプレイが入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定されている。またボーナスが当選している場合に参照される停止制御テーブルでは、ボーナスに加えて小役が当選している状況では、当選しているボーナスの入賞が優先され、当選しているボーナスの入賞形態を構成する図柄を引き込み範囲に含む押下検出位置でストップボタンB1~B3に対する停止操作が行われると、当選しているボーナスが入賞し、ボーナスを入賞させることができない態様でストップボタンB1~B3に対する停止操作が行われると小役の入賞が可能となるように押下検出位置に対する停止位置が設定されている。ただし、遊技状態がBB1状態の役物作動状態である場合には、シフト役に加えて小役が当選している状況が発生しても、この状況において参照される停止制御テーブルでは、役物作動状態であることに基づいてストップボタンB1~B3に対する停止操作の態様に関わらずにシフト役の入賞を回避し、当選している小役の入賞が可能となるように押下検出位置に対する停止位置が設定されている。また遊技状態がBB1状態の役物非作動状態である場合、シフト役が当選している状況では、ストップボタンB1~B3の押下順序に応じてシフト役の入賞率が異なり、第1リールR1を最初に停止させる順序で停止操作が行われた場合には必ずシフト役が入賞するが、第2リールR2または第3リールR3を最初に停止させる順序で停止操作が行われた場合には、シフト役が入賞する場合とシフト役が入賞しない場合とが存在する。
【0065】
入賞判定手段140は、第1リールR1~第3リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、遊技情報記憶手段190aのメインROMに設けられた入賞判定テーブル記憶領域1912に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リールR1~第3リールR3の全てが停止した時点で有効ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かなどを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ライン上に表示された図柄組合せによって、図9および図10に示すように、第1ビッグボーナス(BB1)、第2ビッグボーナス(BB2)、シフト役、リプレイ、および小役1~小役9の入賞の有無が判定できるように入賞判定テーブルが用意されている。
【0066】
そして本実施形態の遊技機では、入賞判定手段140の判定結果に基づいて、役が入賞した場合に入賞時処理が実行される。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合には払出制御手段150によってメダルの払出制御処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160によってリプレイ処理が行われ、ボーナスが入賞した場合には遊技状態制御手段170によって遊技状態を移行させる遊技状態移行処理が行われる。
【0067】
払出制御手段150は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパーユニットHP(払出装置)に払い出させる制御を行う。
【0068】
ホッパーユニットHPは、払出制御手段150によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニットHPには、メダルを1枚払い出す毎に作動する払出メダル検出スイッチ325が備えられており、払出制御手段150は、払出メダル検出スイッチ325からの入力信号に基づいてホッパーユニットHPから実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。
【0069】
なおメダルのクレジット記憶(貯留記憶)が許可されている場合には、ホッパーユニットHPによって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられたクレジット情報記憶領域1914に記憶されているクレジット数(クレジット記憶されたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0070】
リプレイ処理手段160は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち本実施形態の遊技機では、リプレイが入賞した場合には、次回の遊技を行わせるために必要な規定投入数に相当する枚数のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、規定投入数に対応する有効ラインを設定した状態で次回のスタートレバーSLに対する遊技開始操作を待機する。
【0071】
遊技状態制御手段170は、図11(A)および図11(B)に示すように、通常状態、BB1成立状態、BB2成立状態、BB1状態(役物非作動状態、役物作動状態)、およびBB2状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。本実施形態では、滞在している遊技状態を示す情報は、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられた遊技状態記憶領域1916に格納される。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0072】
通常状態(第1遊技状態の一例)は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、規定投入数が3枚に設定され、通常状態からはBB1成立状態、BB2成立状態、BB1状態、およびBB2状態への移行が可能となっている。具体的には、通常状態において、第1ビッグボーナス(BB1)が当選し、かつ第1ビッグボーナス(BB1)が入賞しなかった場合にBB1成立状態へ移行する。また通常状態において、第2ビッグボーナス(BB2)が当選し、かつ第2ビッグボーナス(BB2)が入賞しなかった場合にBB2成立状態へ移行する。また通常状態において、第1ビッグボーナス(BB1)が当選し、かつ第1ビッグボーナス(BB1)が入賞した場合にBB1状態に移行する。また通常状態において、第2ビッグボーナス(BB2)が当選し、かつ第2ビッグボーナス(BB2)が入賞した場合にBB2状態に移行する。また通常状態では、図4および図5に示す内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル7のうち、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定され、かつ第1ビッグボーナス(BB1)および第2ビッグボーナス(BB2)が抽選対象として設定されている内部抽選テーブル1を参照した内部抽選が行われる。
【0073】
BB1成立状態は、内部抽選で第1ビッグボーナス(BB1)に当選した遊技において第1ビッグボーナス(BB1)が入賞しなかったことを契機として移行する遊技状態で、規定投入数が3枚に設定される。BB1成立状態では、図4および図5に示す内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル7のうち、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定され、かつ第1ビッグボーナス(BB1)および第2ビッグボーナス(BB2)がいずれも抽選対象から除外された内部抽選テーブル2を参照した内部抽選が行われる。
【0074】
またBB1成立状態では、第1ビッグボーナス(BB1)が入賞するまで第1ビッグボーナス(BB1)に対応する抽選フラグが当選状態に維持され、第1ビッグボーナス(BB1)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技状態制御手段170は、遊技状態をBB1成立状態からBB1状態へ移行させる。
【0075】
BB1状態(第2遊技状態の一例)は、第1ビッグボーナス(BB1)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態であり、図11(B)に示すように、BB1状態の終了条件が成立するまで、役物非作動状態および役物作動状態の間で遊技状態が移行するようになっている。BB1状態では、図4および図5に示す内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル7のうち内部抽選テーブル3~内部抽選テーブル6のいずれかを参照した内部抽選が行われる。本実施形態では、役物非作動状態および役物作動状態のそれぞれにおいて、シフト役が抽選対象となった内部抽選が行われるシフト非内部中と、シフト役の当選が持ち越されているシフト内部中とが存在し、説明の便宜上、役物非作動状態のシフト非内部中を役物非作動状態A、役物非作動状態のシフト内部中を役物非作動状態B、役物作動状態のシフト非内部中を役物作動状態A、役物作動状態のシフト内部中を役物作動状態Bと称して説明を進める。
【0076】
役物非作動状態Aは、第1ビッグボーナス(BB1)の入賞によってBB1状態が開始される際に設定される遊技状態で、役物非作動状態Aでは、規定投入数が3枚に設定され、BB1状態で使用される内部抽選テーブル3~内部抽選テーブル6のうち内部抽選テーブル3を参照した内部抽選が行われる。本実施形態では、内部抽選テーブル3においてシフト役が抽選対象となっているとともに、小役の抽選態様および当選確率については内部抽選テーブル2と同一となっている。また内部抽選テーブル3では、シフト役が必ずリプレイと重複して当選し、リプレイの当選確率は内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2よりも高く、約1/2.0に設定されている。
【0077】
また本実施形態では、役物非作動状態Aにおいて、先に述べたようにシフト役を抽選対象とした内部抽選が行われ、シフト役が当選し、かつシフト役が入賞しなかった場合、役物非作動状態Bに移行する。なお本実施形態では、役物非作動状態Aにおいてシフト役が必ずリプレイと重複して当選し、シフト役が当選した遊技では、優先順位の高いリプレイが必ず入賞することによってシフト役が入賞しない。
【0078】
役物非作動状態Bは、役物非作動状態であって、かつシフト役の当選が持ち越されている遊技状態であり、役物非作動状態Bでは、規定投入数が3枚に設定され、BB1状態で使用される内部抽選テーブル3~内部抽選テーブル6のうち内部抽選テーブル4を参照した内部抽選が行われる。本実施形態では、内部抽選テーブル4において、シフト役が抽選対象から除外され、小役およびリプレイの当選確率については内部抽選テーブル3と同一となっている。
【0079】
また本実施形態では、役物非作動状態Bにおいて、小役の当選態様を得た遊技、または内部抽選の結果がハズレであった遊技において、シフト役が入賞可能となっており、シフト役が入賞した場合、役物作動状態Aに移行する。
【0080】
また役物非作動状態に滞在している状況でBB1状態の終了条件(後述にて説明)が成立した場合、BB1状態の終了に伴って役物非作動状態は終了する。
【0081】
役物作動状態Aは、シフト役が入賞したことによって移行する遊技状態であり、規定投入数が1枚に設定され、BB状態で使用される内部抽選テーブル3~内部抽選テーブル6のうち内部抽選テーブル5を参照した内部抽選が行われる。本実施形態では、内部抽選テーブル5においてシフト役が抽選対象となっているとともに、小役の抽選態様は内部抽選テーブル3および内部抽選テーブル4とは異なり、小役の当選確率については内部抽選テーブル3および内部抽選テーブル4よりも高くなっている。また内部抽選テーブル5では、JAC3またはJAC4のいずれかが必ず当選するとともに、シフト役が必ずJAC4と重複して当選し、リプレイは抽選対象となっていない。
【0082】
また本実施形態では、役物作動状態Aにおいて、先に述べたようにシフト役を抽選対象とした内部抽選が行われ、シフト役が当選し、かつシフト役が入賞しなかった場合、役物作動状態Bに移行する。なお本実施形態では、役物作動状態Aにおいてシフト役が当選しても役物作動状態であることに基づいてシフト役の入賞が回避されるように停止制御が行われるため、シフト役が当選した遊技でシフト役が入賞することはない。
【0083】
役物作動状態Bは、役物作動状態であって、かつシフト役の当選が持ち越されている遊技状態であり、役物作動状態Bでは、規定投入数が1枚に設定され、BB状態で使用される内部抽選テーブル3~内部抽選テーブル6のうち内部抽選テーブル6を参照した内部抽選が行われる。本実施形態では、内部抽選テーブル6において、シフト役が抽選対象から除外され、小役の当選確率については内部抽選テーブル5と同一となっている。
【0084】
また本実施形態では、役物作動状態Bにおいてシフト役の当選が持ち越されているが、役物作動状態であることに基づいてシフト役の入賞が回避されるように停止制御が行われるためシフト役が入賞することはない。
【0085】
上記のようにBB1状態では、役物非作動状態において小役とシフト役とが重複して当選している場合にシフト役の入賞を優先して停止位置を決定するボーナス優先制御が行われシフト役が入賞可能であるが、役物作動状態においてもシフト役が当選し、小役とシフト役とが重複して当選している状況が存在するが、役物作動状態では遊技状態が役物作動状態であることに基づいて如何なる操作態様で停止操作が行われてもシフト役が入賞することはない。
【0086】
また役物作動状態では、通常状態において当選する最大配当の小役である4枚小役よりもさらに配当の高い15枚小役である小役1を新たに用意し、小役1を抽選対象に含めた内部抽選を行っているのでメダルの獲得期待値が役物非作動状態に比べて飛躍的に向上する。
【0087】
また役物作動状態は、小役の入賞回数と遊技回数とによって終了条件が成立したか否かが判断され、本実施形態では、小役の入賞回数が8回に達するか、遊技回数が8回に達すると役物作動状態の終了条件が成立する。この小役の入賞回数および遊技回数は役物作動状態Aおよび役物作動状態Bを通算して判断される。遊技状態制御手段170は、役物作動状態の終了条件が成立した場合に、BB1状態の終了条件(後述にて説明)が成立していなければ、役物作動状態を終了させて役物非作動状態へ復帰させる制御を行う。本実施形態では、シフト役の抽選フラグの設定状態(当選状態/非当選状態)が役物非作動状態へ復帰する際にも引き継がれ、役物作動状態Aにおいて役物作動状態の終了条件が成立した場合、役物非作動状態Aに復帰し、役物作動状態Bにおいて役物作動状態の終了条件が成立した場合、役物非作動状態Bに復帰する。また役物作動状態に滞在している状況でBB1状態の終了条件が成立した場合、役物作動状態の終了条件が成立していなくてもBB1状態の終了に伴って役物作動状態は終了する。
【0088】
BB1状態では、役物作動状態ではリプレイが抽選対象とはならないが、役物作動状態が終了して役物非作動状態に復帰すると、役物作動状態の終了に伴ってリプレイの当選確率が変動してリプレイが再び抽選対象となった内部抽選が行われる。この場合、役物非作動状態では通常状態よりもリプレイの当選確率が高くなっている。
【0089】
BB1状態では、BB1状態での遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、予め定められた所定枚数(例えば、285枚)を超えるメダルが払い出されると、遊技状態制御手段170は、BB1状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる制御を行う。なお本実施形態では、BB1状態における払出数についてのカウント情報、ならびに役物作動状態における小役の入賞回数および遊技回数についてのカウント情報は遊技状態記憶領域1916に記憶される。また本実施形態では、BB1状態の終了時においてシフト役の抽選フラグが当選状態に設定されている場合には、BB1状態の終了に伴ってシフト役の抽選フラグは非当選状態にリセットされる。
【0090】
BB2成立状態は、内部抽選で第2ビッグボーナス(BB2)に当選した遊技において第2ビッグボーナス(BB2)が入賞しなかったことを契機として移行する遊技状態で、規定投入数が3枚に設定される。BB2成立状態では、図4および図5に示す内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル7のうち、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定され、かつ第1ビッグボーナス(BB1)および第2ビッグボーナス(BB2)がいずれも抽選対象から除外された内部抽選テーブル2を参照した内部抽選が行われる。
【0091】
またBB2成立状態では、第2ビッグボーナス(BB2)が入賞するまで第2ビッグボーナス(BB2)に対応する抽選フラグが当選状態に維持され、第2ビッグボーナス(BB2)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技状態制御手段170は、遊技状態をBB2成立状態からBB2状態へ移行させる。
【0092】
BB2状態は、第2ビッグボーナス(BB2)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態であり、規定投入数が3枚に設定される。BB2状態では、図4および図5に示す内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル7のうち、内部抽選テーブル7を参照した内部抽選が行われる。本実施形態では、内部抽選テーブル7において、小役の抽選態様は内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2とは異なり、小役の当選確率については内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2よりも高くなっている。また内部抽選テーブル7では、JAC1またはJAC2のいずれかが必ず当選するとともに、リプレイは抽選対象となっていない。なおBB2状態ではシフト役を用いないため、BB1状態のような役物非作動状態は存在せず、役物作動状態に対応する遊技が終了条件の成立まで継続する。
【0093】
BB2状態では、BB2状態での遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、予め定められた所定枚数(例えば、117枚)を超えるメダルが払い出されると、遊技状態制御手段170は、BB2状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる制御を行う。なお本実施形態では、BB2状態における払出数についてのカウント情報は遊技状態記憶領域1916に記憶される。
【0094】
演出制御手段180は、演出情報記憶手段190bのサブROMに設けられた演出データ記憶領域1925に記憶されている演出データに基づいて、表示装置330(演出装置の一例)を用いて行う表示演出や音響装置340(演出装置の一例)を用いて行う音響演出に関する制御を行う。例えば、メダルの投入やベットボタンB0、スタートレバーSL、ストップボタンB1~B3に対する操作、遊技状態の変動などの遊技イベントの発生に応じてランプやLEDを点灯あるいは点滅させたり、液晶ディスプレイLCDの表示内容を変化させたり、スピーカSPから音を出力させたりすることにより、遊技の進行状況に応じて、遊技を盛り上げたり、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。遊技において実行される演出の内容は、演出情報記憶手段190bのサブROMに設けられたサブ抽選テーブル記憶領域1926に記憶されている演出抽選テーブルを、遊技状態、演出状態、内部抽選の結果等に応じて参照して決定される。なお本実施形態では、サブROMの演出データ記憶領域1925から遊技の進行状況等に応じた画像データをサブRAMに設けられたイメージバッファ1927に読み込んで、イメージバッファ1927に読み込まれた画像データに基づく画像が液晶ディスプレイLCDに出力され、サブROMの演出データ記憶領域1925から遊技の進行状況等に応じたサウンドデータをサブRAMに設けられたサウンドバッファ1928に読み込んで、サウンドバッファ1928に読み込まれたサウンドデータに基づく音がスピーカSPから出力されるようになっている。
【0095】
なお本実施形態の機能ブロック構成は、コンピュータシステム(ゲームシステムを含む)に関しても適用することができる。これらのシステムでは、本実施形態の遊技制御手段100としてコンピュータを機能させるプログラムを、CD、DVD等の情報記憶媒体あるいはインターネット上のWebサーバからネットワークを介してダウンロードすることによって、その機能を実現することができる。また上記コンピュータシステムでは、メダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240等は、キーボードやポインティングデバイス(マウス等)、タッチパネル、あるいはコントローラなどの操作手段に対してそれらの機能を仮想的に割り当てることにより実現することができる。また上記コンピュータシステムでは、リールユニット310、ホッパーユニットHPなどは必須の構成要件ではなく、これらの装置ユニットは、ディスプレイ(表示装置330)に表示出力される画像の制御によってそれらの機能を仮想的に実現することができる。
【0096】
1-2.本実施形態の手法
本実施の形態では、第1ビッグボーナス(BB1)の入賞によって移行するBB1状態において、BB1状態の終了条件が成立するまで、シフト役を入賞させることができる役物非作動状態と、シフト役の入賞によって移行する役物作動状態との間で繰り返し移行させ、役物非作動状態でシフト役が当選している状況で、停止操作の順序に応じてシフト役の入賞率を異ならせる手法を採用している。
【0097】
図12は、役物非作動状態でシフト役が当選している状況において、ベルaの当選態様を得た場合に当選している役を示す図である。
【0098】
本実施の形態では、シフト役が当選している状況で、ベルaの当選態様を得た場合、シフト役、小役3、小役5、小役6、小役7、および小役8が当選しており、ボーナスを小役に優先して入賞させる制御則(以下、ボーナス優先制御と略す場合がある)に従って、シフト役がベルaに含まれる各小役に優先して入賞するように第1リールR1~第3リールR3を停止させる制御が行われる。
【0099】
特に本実施の形態では、シフト役の入賞形態を示す図柄組合せとして、第1リールR1を最初に停止させる打順1,2に沿って停止操作が行われた場合に優先的に表示される図柄組合せA群と、第2リールR2または第3リールR3を最初に停止させる打順3~6に沿って停止操作が行われた場合に優先的に表示される図柄組合せB群(打順1,2でも表示される場合あり)とが設定されており、停止操作の順序に応じて、図柄組合せA群または図柄組合せB群のいずれの図柄組合せを構成する図柄を優先的に有効ライン上に表示させるかを切り替えている。
【0100】
まず第1停止リールが第1リールR1である場合について説明する。第1リールR1~第3リールR3のそれぞれが回転している状況でストップボタンB1が押下され、図13(A)に示すように、第1リールR1に対する第1停止操作の押下検出位置が3番であった場合、第1リールR1を最初に停止させることから、シフト役の入賞形態を示す図柄組合せのうち、図柄組合せA群に属する図柄組合せを構成する図柄を有効ライン上に表示させるように第1リールR1の停止位置を決定する。例えば、図13(B)に示すように、0番のベル図柄B「BLB」が中段に表示される停止位置で第1リールR1を停止させる。図13(B)に示す態様で第1リールR1を停止させた場合、図13(C)に示すように、シフト役およびベルaに関して、入賞可能な当選役は、シフト役、小役3、および小役7となり、特にシフト役については、図柄組合せA群に属する図柄組合せが表示可能であるが、図柄組合せB群に属する図柄組合せが表示不可能となる。
【0101】
第2停止リールおよび第3停止リールについては、ボーナス優先制御によってシフト役の入賞形態を構成する図柄が優先的に有効ライン上に表示される。図13に示す例では、図柄組合せA群に属する図柄組合せが表示可能であって、第2リールR2に割り当てられているチェリー図柄「CH」と、第3リールR3に割り当てられているリプレイ図柄「RP」とは、いずれも押下検出位置に関わらずに有効ライン上に表示可能な位置関係で配列されているため、第2停止操作および第3停止操作の態様に関わらずに、図13(D)に示すようなシフト役が入賞する態様で第2リールR2および第3リールR3の停止位置が決定される。
【0102】
次に第1停止リールが第2リールR2である場合について説明する。本実施の形態では、第1停止リールが第2リールR2である場合、シフト役が入賞する場合と、シフト役が入賞しない場合とが存在する。
【0103】
第1リールR1~第3リールR3のそれぞれが回転している状況でストップボタンB2が押下され、図14(A)に示すように、第2リールR2に対する第1停止操作の押下検出位置が3番であった場合、第2リールR2を最初に停止させることから、シフト役の入賞形態を示す図柄組合せのうち、図柄組合せB群に属する図柄組合せを構成する図柄を有効ライン上に表示させるように第2リールR2の停止位置を決定する。例えば、図14(B)に示すように、3番のベル図柄A「BLA」が中段に表示される停止位置で第2リールR2を停止させる。図14(B)に示す態様で第2リールR2を停止させた場合、図14(C)に示すように、シフト役およびベルaに関して、入賞可能な当選役は、シフト役、小役3、および小役8となり、特にシフト役については、図柄組合せB群に属する図柄組合せが表示可能であるが、図柄組合せA群に属する図柄組合せが表示不可能となる。
【0104】
第2停止リールおよび第3停止リールについて、ボーナス優先制御によってシフト役の入賞形態を構成する図柄が優先的に有効ライン上に表示されるが、図柄組合せB群に属する図柄組合せに関して、第1リールR1に割り当てられている赤7図柄A「赤7」および赤7図柄B「赤7B」は、所定の押下検出位置で停止操作が行われなければ有効ライン上に表示させることができない位置関係で配列されているため、第1リールR1を停止させる停止操作のタイミングに応じてシフト役の入賞の成否が決定される。
【0105】
例えば、第1リールR1に関する押下検出位置が赤7図柄A「赤7A」または赤7図柄B「赤7B」を引き込み範囲に含むものであった場合(押下検出位置が0番、1番、7番~11番、または18番~20番のいずれかである場合)にはシフト役が入賞可能となり、図14(D)に示すようなシフト役が入賞する態様で第1リールR1および第3リールR3の停止位置が決定される。
【0106】
また例えば、第1リールR1に関する押下検出位置が赤7図柄A「赤7A」または赤7図柄B「赤7B」を引き込み範囲に含むものでない場合(押下検出位置が2番~6番または12番~17番のいずれかである場合)にはシフト役が入賞不可能となり、それに伴ってベルaに含まれる小役のうち、入賞可能性があって、かつ配当が最も高い小役3の入賞形態を構成する図柄を有効ライン上に表示するように制御され、図14(E)に示すような小役3が入賞する態様で第1リールR1および第3リールR3の停止位置が決定される。
【0107】
最後に第1停止リールが第3リールR3である場合について説明する。本実施の形態では、第1停止リールが第3リールR3である場合も、シフト役が入賞する場合と、シフト役が入賞しない場合とが存在する。
【0108】
第1リールR1~第3リールR3のそれぞれが回転している状況でストップボタンB2が押下され、図15(A)に示すように、第3リールR3に対する第1停止操作の押下検出位置が3番であった場合、第3リールR3を最初に停止させることから、シフト役の入賞形態を示す図柄組合せのうち、図柄組合せB群に属する図柄組合せを構成する図柄を有効ライン上に表示させるように第3リールR3の停止位置を決定する。例えば、図15(B)に示すように、1番のベル図柄A「BLA」が中段に表示される停止位置で第3リールR3を停止させる。図15(B)に示す態様で第3リールR3を停止させた場合、図15(C)に示すように、シフト役およびベルaに関して、入賞可能な当選役は、シフト役、小役3、および小役7となり、特にシフト役については、図柄組合せB群に属する図柄組合せが表示可能であるが、図柄組合せA群に属する図柄組合せが表示不可能となる。
【0109】
第2停止リールおよび第3停止リールについて、ボーナス優先制御によってシフト役の入賞形態を構成する図柄が優先的に有効ライン上に表示されるが、既述のように、第1リールR1を停止させる停止操作のタイミングに応じてシフト役の入賞の成否が決定される。
【0110】
例えば、第1リールR1に関する押下検出位置が赤7図柄A「赤7A」または赤7図柄B「赤7B」を引き込み範囲に含むものであった場合にはシフト役が入賞可能となり、図15(D)に示すようなシフト役が入賞する態様で第1リールR1および第3リールR3の停止位置が決定される。
【0111】
また例えば、第1リールR1に関する押下検出位置が赤7図柄A「赤7A」または赤7図柄B「赤7B」を引き込み範囲に含むものでない場合にはシフト役が入賞不可能となり、それに伴ってベルaに含まれる小役のうち、入賞可能性があって、かつ配当が最も高い小役3の入賞形態を構成する図柄を有効ライン上に表示するように制御され、図15(E)に示すような小役3が入賞する態様で第1リールR1および第3リールR3の停止位置が決定される。
【0112】
以上では、シフト役が当選している状況で小役の当選態様を得た場合について説明したが、シフト役のみが当選している状況では、第1リールR1を最初に停止させる順序で停止操作が行われた場合には必ずシフト役が入賞し、第2リールR2または第3リールR3を最初に停止させる順序で停止操作が行われた場合には、第1リールR1に関する押下検出位置に応じてシフト役が入賞する場合と、いずれの役も入賞しない場合とが存在するように制御される。すなわちシフト役のみが当選している状況においてシフト役を入賞させることができない場合には、他に入賞可能性のある当選役が存在しないため、いずれの役も入賞しない。また図12図15によって説明した例では、ベルaが当選した場合の制御であったが、ベルbやベルcが当選した場合についても同様の手法で制御され、シフト役を入賞させることができない場合には、小役3が入賞する。
【0113】
このように本実施の形態では、シフト役の入賞形態を示す図柄組合せとして、図柄組合せA群と、図柄組合せB群とを設定し、BB1状態の役物非作動状態においてシフト役が当選している状況で停止操作の順序に応じて有効ライン上に表示させる図柄組合せの優先度が異なることによって、第1リールR1を最初に停止させる態様で停止操作が行われた場合には必ずシフト役が入賞し、第2リールR2または第3リールR3を最初に停止させる態様で停止操作が行われた場合には、第1リールR1に関する停止操作のタイミングに応じてシフト役が入賞する場合とシフト役が入賞しない場合とが存在する。このため本実施の形態では、BB1状態の役物非作動状態において、停止操作の順序に応じてシフト役の入賞率が変化する遊技仕様を実現して遊技性を向上させることができる。
【0114】
例えば、停止操作の順序に応じてシフト役の入賞率を変化させることによってBB1状態でのメダルの獲得数の調整を行わせることが可能となる。本実施の形態におけるBB1状態は、終了条件が成立するまで役物非作動状態と役物非作動状態よりもメダルを獲得しやすい役物作動状態との間で繰り返し移行し、終了条件がメダルの払出数の合計によって設定されているため、役物非作動状態での小役の入賞が最終的なメダルの獲得数に影響することがある。
【0115】
具体的には、BB1状態は、285枚を超えるメダルの払い出しによって終了し、役物非作動状態では小役の入賞による最大の払出数が4枚であるのに対して、役物作動状態では小役の入賞による最大の払出数が15枚である。このため、役物非作動状態では小役を入賞させず、役物作動状態で15枚小役を入賞させることによって、最も効率よくメダルを獲得することができる。しかしながら、BB1状態の開始当初においてシフト役が当選するまでに小役の当選態様を得る場合があり、例えば、ベルaが当選すると、停止操作の態様に関わらずに4枚小役が入賞してしまう。すると、15枚小役を20回入賞させてBB1状態を終了させる場合に比べてメダルの獲得数が減ってしまうという事態が発生する。そこで役物非作動状態においてシフト役が当選していてもシフト役の入賞を回避して4枚小役を入賞させることでメダルの払出数の合計を調整してBB1状態でのメダルの獲得数を増加させることができる。例えば、役物非作動状態において4枚小役が1回入賞した場合には、4枚小役をあと2回入賞させた方が最終的なメダルの獲得数が増加する。このように本実施の形態によれば、ボーナス優先制御を利用して停止操作の態様に関わらずにシフト役を入賞させる遊技仕様に比べて、BB1状態でのメダルの払い出し状況を考慮してメダルの獲得数の調整を行うという遊技性を付加することができる。
【0116】
また本実施の形態では、BB1状態の役物非作動状態において専ら入賞する小役は小役3となっており、ベル図柄A「BLA」やベル図柄B「BLB」によって構成されるベル揃いの図柄組合せが有効ラインL2に表示される態様で小役3が入賞する。そしてシフト役の入賞形態を示す図柄組合せに関して、図柄組合せB群については第2リールR2および第3リールR3に割り当てられている図柄が小役3の入賞形態を構成する図柄と共通しているため、BB1状態の役物非作動状態において第2リールR2または第3リールR3を最初に停止させる場合、ボーナス優先制御によってシフト役の入賞が優先される仕様であっても小役の入賞の可能性を残した停止態様を出現させることができる。
【0117】
なおシフト役が当選している状況において、第1リールR1を最初に停止させる場合に、図柄組合せB群に属する図柄組合せによってシフト役が入賞する場合が存在していてもよい。例えば、第1リールR1を最初に停止させる際に、図柄組合せA群を構成する図柄と図柄組合せB群を構成する図柄とを、いずれも有効ライン上に表示させる態様で第1リールR1を停止させた場合、第2停止操作および第3停止操作の態様に応じて、図柄組合せA群によってシフト役が入賞する場合と、図柄組合せB群によってシフト役が入賞する場合とがあるように第2リールR2および第3リールR3の停止位置を決定するようにしてもよい。このようにしてもシフト役が当選している状況において、第1リールR1を最初に停止させる態様で停止操作が行われればシフト役が必ず入賞し、第2リールR2または第3リールR3を最初に停止させる態様で停止操作が行われればシフト役が入賞する場合とシフト役が入賞しない場合とが存在する制御を実現することができる。
【0118】
またシフト役が当選している状況において、第1リールR1を最初に停止させる場合に、図柄組合せA群を構成する図柄と図柄組合せB群を構成する図柄とがいずれも押下検出位置に対する引き込み範囲内含まれる場合に、図柄組合せA群を構成する図柄および図柄組合せB群を構成する図柄の双方を有効ライン上に表示してもよいし、図柄組合せA群を構成する図柄を有効ライン上に表示しつつ図柄組合せB群を構成する図柄を有効ライン上に表示しない態様で第1リールR1を停止させるようにしてもよい。前者によればシフト役が入賞する態様の表示バリエーションを豊富にすることができ、後者によれば第1リールR1を停止させた時点でシフト役の入賞時に表示される図柄組合せ群を絞り込むことができる。
【0119】
また本実施形態では、通常状態よりもメダルを獲得しやすいボーナス状態として、BB1状態とBB2状態とを設けており、これらのボーナス状態を主たるメダルの獲得機能とする遊技仕様となっている。
【0120】
本実施形態のような主たるメダルの獲得機能がボーナス状態に依存している遊技仕様では、メダルの獲得機能に関する設計において、役物比率や連続役物比率(以下、役物比率等と略す)といった性能指標を規則で予め定められた基準を下回るようにすること、規則で予め定められた範囲に出玉率が収まることなどが要求され、出玉率に関しては特に範囲の上限を超えないようにすることが重要となってくる。
【0121】
そこで本実施形態では、BB1状態に関して、通常状態とは小役の当選確率が同一の役物非作動状態でシフト役が入賞したことによって、通常状態よりも小役の当選確率が高い役物作動状態へ移行する仕様となっている。このようなシフト役を利用して小役の当選確率を高めた遊技を行わせるボーナス状態では、役物作動状態での遊技におけるメダルの払い出し分が、役物比率等における役物によるメダルの払い出しとして計算され、役物非作動状態での遊技におけるメダルの払い出し分は含まれない。このため、BB1状態を、終了条件が成立するまで役物非作動状態と役物作動状態との間で繰り返し移行可能であるボーナス状態とすることでシフト役を利用しない場合に比べて役物比率等を低く抑えることができる。
【0122】
また本実施形態では、第1ビッグボーナス(BB)の入賞によってリプレイの当選確率が上昇し、BB1状態の役物非作動状態では、通常状態よりもリプレイの当選確率が高い内部抽選が行われる。そしてBB1状態の役物非作動状態では、シフト役が新たに抽選対象に加わるとともに、シフト役はリプレイと重複して当選する。このため役物非作動状態においてシフト役が当選した場合、その遊技ではリプレイが重複して当選しているため、シフト役が入賞することはない。
【0123】
また本実施形態では、BB1状態の役物非作動状態において、内部抽選で小役の当選態様を得た場合、いずれの小役の当選態様においても必ず規定投入数を超えるメダルの払い出しがある4枚小役が含まれるようになっている。またBB1状態の役物非作動状態では、内部抽選の結果がハズレとなる場合が存在するが、ハズレとなる結果を得る確率は極めて低く設定されている。
【0124】
すなわち本実施形態のBB1状態の役物非作動状態では、リプレイまたは小役のいずれかが、ほぼ毎遊技において当選しており、小役が当選した場合には必ず規定投入数を超える配当4枚小役が当選していることになる。本実施形態の遊技仕様では、役物非作動状態のほぼ毎遊技においてリプレイまたは4枚小役が当選している状況を形成することが、いわゆるシミュレーション試験における出玉率等の性能指標を低く抑えることに有効に機能する。
【0125】
上記のシミュレーション試験は、出玉率などの各種の性能指標を出玉シミュレーションによって求めて、出玉シミュレーションで得られた性能指標が規則で定められた基準を満たしているか否かを判断する試験である。シミュレーション試験では、リプレイが当選した場合には必ずリプレイが入賞し、小役が当選した場合には当該遊技で最もメダルの増加が見込める遊技結果をシミュレートする。このため本実施形態の遊技仕様に関する出玉シミュレーションでは、BB1状態の役物非作動状態において、リプレイが当選した場合にはシフト役が重複して当選していてもリプレイが入賞し、小役が当選した場合にはシフト役が当選している状況であってもメダルの増加が見込める4枚小役が入賞するという挙動をシミュレートし、役物非作動状態で内部抽選の結果がハズレとなりシフト役のみが当選した状況に限ってシフト役が入賞して役物作動状態へ移行することになる。
【0126】
そして本実施形態では、BB1状態の役物非作動状態での内部抽選でハズレとなる抽選結果を得る確率を極めて低く設定したことにより、上記シミュレーション試験ではBB1状態における役物非作動状態の滞在率が極めて高くなる挙動がシミュレートされる。
【0127】
ところで、本実施形態では、小役とボーナスとが重複して当選している状況において、ボーナスの入賞を優先して停止位置を決定する制御、いわゆるボーナス優先制御が採用されている。このため本実施形態の遊技仕様によるBB1状態での遊技を市場において遊技者が体験する場合、役物非作動状態ではシフト役が当選した以降、小役の当選態様を得た遊技においてシフト役の入賞を優先する停止制御によってシフト役を入賞させることができる。このため市場での実際の挙動としては、BB1状態において役物作動状態に頻繁に移行することが可能となっている。
【0128】
また本実施形態では、役物非作動状態だけではなく、役物作動状態においてもシフト役を抽選対象とする内部抽選が行われる。役物作動状態では役物非作動状態とは異なり、遊技状態が役物作動状態であることに基づいてシフト役の入賞が回避される制御が行われ、役物作動状態においてシフト役が入賞することはない。またBB1状態において役物作動状態が終了して役物非作動状態に移行する場合、シフト役の抽選状態が引き継がれるようになっている。このためBB1状態では、役物作動状態においてシフト役が当選すると、役物作動状態が終了して役物非作動状態に移行するまでシフト役が当選した状態が持ち越されることになり、役物非作動状態に移行した時点で既にシフト役に当選している状況となるため、役物作動状態への移行が速やかになる。すなわち本実施形態では、BB1状態において役物作動状態でシフト役を抽選対象とした内部抽選を行って、シフト役の当選した状態を役物非作動状態へ引き継ぐことができるようにしたことで役物作動状態の滞在率を向上させることができる。
【0129】
このように本実施形態では、BB1状態に関して、シミュレーション試験での挙動は役物非作動状態の滞在率が高くなり、市場における実際の遊技者による遊技では役物作動状態の滞在率が高くなる挙動を示すため、BB1状態でのメダルの獲得数がシミュレーション試験と市場とにおいて異なり、市場においてBB1状態でメダルを多く獲得できる遊技仕様を実現することができる。
【0130】
例えば、図16(A)は、本実施形態の遊技仕様について、各当選態様に対する乱数値の割り当ての具体例を示すものである。図16(A)に示す例によれば、市場での実際の遊技における各遊技状態の出玉率(期待値)と、シミュレーション試験(SIM)での出玉シミュレーションによる各遊技状態の出玉率との関係は、図16(B)に示す通りとなる。なお市場における出玉率の計算においては、リプレイ入賞時の扱いを3枚払い出しかつ次遊技3枚投入とし、シミュレーション試験における出玉率の計算においては、リプレイ入賞時の扱いを0枚払い出しかつ次遊技0枚投入としている。
【0131】
図16(B)に示すように、市場における出玉率とシミュレーション試験における出玉率とは、通常状態、BB1成立状態、BB2成立状態、およびBB1状態の役物非作動状態において違いがある。
【0132】
まず通常状態(図中の状態1)では、ベルaおよびベルbについて、市場では1枚小役しか入賞しないのに対して、シミュレーション試験では最大払い出しとなる4枚小役が入賞したものとする扱いをするため、市場における出玉率がシミュレーション試験における出玉率よりも低くなる。
【0133】
またBB1成立状態(図中の状態2)では、ベルaについて、市場では1枚小役しか入賞しないのに対して、シミュレーション試験では最大払い出しとなる4枚小役が入賞したものとする扱いをするため、市場における出玉率がシミュレーション試験における出玉率よりも低くなる。
【0134】
またBB1状態の役物非作動状態A(図中の状態3)では、小役の当選態様を得た場合についての挙動は市場とシミュレーション試験とで同じであるが、シミュレーション試験ではリプレイ入賞時の扱いが先に述べたように市場とは異なるため、その関係でシミュレーション試験の出玉率が市場の出玉率よりも高くなる。
【0135】
またBB1状態の役物非作動状態B(図中の状態4)では、市場の出玉率とシミュレーション試験の出玉率とが大きく相違するが、これはシミュレーション試験では小役の当選態様を得た場合に当該遊技でメダルの増加が見込める4枚小役が入賞する挙動をシミュレートするのに対して、市場では小役の当選時においてボーナス優先制御によってシフト役が入賞することが想定される関係で、市場の出玉率がシミュレーション試験の出玉率よりも極端に低くなる。
【0136】
そしてBB1状態の役物作動状態A(図中の状態5)、役物作動状態B(図中の状態6)、BB2状態(図中の状態7)については、市場の出玉率とシミュレーション試験の出玉率とは等しくなる。これは、市場とシミュレーション試験のいずれにおいても小役の当選態様を得た場合に15枚小役または13枚小役が入賞する挙動となるためである。なお本実施形態では、BB1状態の役物作動状態においてシフト役を抽選対象とする内部抽選を行うが、シフト役が当選しても役物作動状態において当該シフト役が入賞することはないため、シフト役の当選の有無が役物作動状態での出玉率に直接的な影響を及ぼさない。
【0137】
そして本実施形態の遊技仕様では、BB1状態に関して、市場では役物作動状態の滞在率が高く、シミュレーション試験では役物非作動状態の滞在率が高くなっている。その結果、図16に示す例におけるBB1状態でのメダルの平均獲得数は、市場では終了条件となる約285枚を超える払い出しのうちそのほとんどを役物作動状態で得ることになるため約263枚となるのに対して、シミュレーション試験では終了条件となる約285枚を超える払い出しのうちそのほとんどを役物非作動状態で得ることになるため約83枚となる。
【0138】
以上に述べた本実施形態では、メダルの獲得性能に関する各種の設計指標を規則で定められた基準内に収めつつ、メダルの獲得性能が高水準の遊技仕様を実現することができ、遊技機の設計自由度を向上させることができる。具体的には、BB1状態の挙動がシミュレーション試験において役物非作動状態の滞在率が高くなることで役物比率や連続役物比率といった性能指標を低く抑えることができ、またBB1状態のメダルの平均獲得数がシミュレーション試験において低くなることから規則で定められた出玉率の上限を超えない設計が容易となる。一方、市場ではBB1状態において役物作動状態の滞在率が高くなる挙動を示すのでBB1状態のメダルの平均獲得数が高水準となる。また本実施形態の遊技仕様では、通常状態での出玉率を低めに設計することも可能であるため、メダルの獲得推移に大きな起伏を与えることができるようになり、遊技の興趣を向上させることができる。
【0139】
また本実施形態では、BB1状態の役物非作動状態において、極めて低確率であるが内部抽選の結果がハズレとなる場合が存在するが、シフト役の入賞により役物作動状態へ移行することはシミュレーション試験における出玉率が上昇するので役物非作動状態での内部抽選ではハズレを設けないようにしてもよい。すなわちBB1状態の役物非作動状態では、小役またはリプレイのいずれかが必ず当選する構成としてもよい。このようにすれば、役物非作動状態においてシフト役のみが当選している状況が発生しないため、シミュレーション試験において役物作動状態へ移行することがないため、設計上の役物比率を飛躍的に下げることができる。
【0140】
また本実施形態では、図16(B)に示すように、市場における通常状態の出玉率の期待値が低いので、いわゆる試射試験(実際の遊技機の挙動による各種の性能指標を確認する試験)の役物比率が規則で定められた基準を満たしにくい。このため、BB1成立状態やBB2成立状態において出玉率の期待値を上昇させて役物比率を低く抑えている。特に本実施形態ではボーナスと小役との間の優先順位が「ボーナス>小役」であるため、BB1成立状態やBB2成立状態においてボーナスの入賞を優先することで小役が入賞しにくくなる。その結果、BB1成立状態やBB2成立状態の出玉率の期待値が下がりやすいという不都合があるが、BB1成立状態およびBB2成立状態においてベルbの当選時に通常状態とは停止制御の態様を異ならせて4枚小役を入賞可能とすることで役物比率に関する不都合を解消することができる。またBB1状態の役物非作動状態において通常状態とは異なりベルaおよびベルbについて4枚小役が入賞可能となることも同様の理由である。
【0141】
またBB2状態では、規定投入数が3枚であるが、BB2状態でのみ抽選対象となる小役2を含んだ当選態様(JAC1およびJAC2)が存在する。この小役2は、同じく規定投入数が3枚である通常状態やBB1成立状態、BB2成立状態での小役の最大配当が4枚となっているため、配当が13枚の小役2をBB2状態において新たに抽選対象に加えることでBB2状態でのメダルの獲得性能を向上させる効果を発揮する。
【0142】
また本実施形態では、BB1状態の役物非作動状態Bにおいてシフト役が停止操作の態様に応じて入賞を回避することができるようになっている。具体的には、役物非作動状態Bにおいて小役とシフト役とが重複して当選している状況において、第1リールR1を最初に停止させる操作順序で停止操作を行った場合にはシフト役が必ず入賞するが、第2リールR2または第3リールR3を最初に停止させる操作順序で停止操作を行った場合には、第1停止リールにおいてベル図柄A「BLA」を有効ライン上に表示させる停止制御を行い、第1リールR1を停止させる停止操作のタイミングに応じてシフト役が入賞する場合と小役3が入賞する場合とが発生する。本実施形態では、小役とボーナスとが重複して当選している場合にはボーナスの入賞を優先する仕様であり、役物非作動状態Bにおいて必ずシフト役が入賞するようにしてしまうと、実質的に小役の抽選が無意味になってしまうためである。ただし役物非作動状態Bにおいてシフト役が停止操作の態様に関わらず入賞可能となるように、シフト役の入賞形態を示す図柄組み合わせを設定するようにしてもよい。
【0143】
また本実施形態におけるBB2状態は、シフト役を用いないものであったが、BB2状態においてもシフト役を用いて役物非作動状態でシフト役が入賞すると役物作動状態へ移行するようにしてもよい。
【0144】
また本実施形態では、BB1状態の役物非作動状態のみならず役物作動状態においてもシフト役を抽選対象とした内部抽選を実行可能としているので、役物作動状態に関して、役物作動状態の終了条件が成立するまでにシフト役の当選を高確率で達成することができ、役物作動状態が終了して役物非作動状態に移行した後も早期に役物作動状態に復帰しやすい。ただしBB1状態において役物非作動状態でのみシフト役を抽選対象とした内部抽選を行い、役物作動状態ではシフト役を抽選対象とはしない内部抽選を行うようにしてもよい。
【0145】
また本実施形態では、BB1状態の役物作動状態Aでのシフト役の当選時、および役物作動状態Bにおいて、小役とボーナスとの間の優先順位を「ボーナス>小役」であっても遊技状態が役物作動状態であることに基づいてシフト役の入賞を回避する停止制御を行っている。このため役物作動状態ではシフト役が入賞することがなく、役物作動状態の終了条件が成立するのは、多くの場合、役物作動状態Bに滞在している状況になるので、役物非作動状態への復帰後、速やかに役物作動状態へ移行しやすい状況を形成することができる。
【0146】
また本実施形態は、BB1状態の役物非作動状態において内部抽選の結果がハズレとなる場合が存在している仕様であるが、シミュレーション試験でのBB1状態の挙動に関して、役物非作動状態の滞在率は役物非作動状態での内部抽選でハズレを得る確率に大きく影響されるため、BB1状態の役物非作動状態において内部抽選でハズレとなる場合を設ける場合、その確率は極めて低くなるようにすることが好ましい。
【0147】
また本実施形態では、BB1状態においてシフト役と小役とが重複して当選している状況ではシフト役の入賞を優先して停止位置を決定する制御、いわゆるボーナス優先制御を行っているので、BB1状態の役物非作動状態において内部抽選の結果がハズレとなることが極めて低確率でしか発生しない構成であってもシフト役の入賞を速やかに達成することができる。その結果、市場における実際の遊技において、BB1状態に関して役物作動状態の滞在率を高くすることができBB1状態のメダルの平均獲得数を向上させることができる。なおBB1状態においてボーナス優先制御ではなく、シフト役と小役とが重複して当選している状況で小役の入賞を優先して停止位置を決定する制御、いわゆる小役優先制御を行うようにしてもよい。この場合、シフト役と小役とが重複して当選していても小役の取りこぼしが可能な構成として小役の入賞を回避する操作態様で停止操作を行うことによってシフト役が入賞するようにすることができる。
【0148】
また本実施形態では、通常状態、BB1成立状態、BB2成立状態、およびBB1状態の役物非作動状態において当選し得る小役のうち最大の配当は4枚となっていたが、5枚以上の配当の小役が当選する当選態様が存在していてもよい。すなわち通常状態において抽選対象となる小役の当選態様として、規定投入数をNとした場合、配当がN+1以上の小役を含む小役の当選態様を設けることができる。例えば、規定投入数が3枚である場合に、配当が4枚の小役を含む当選態様や、配当が5枚の小役を含む当選態様や、配当が6枚の小役を含む当選態様などが存在していてもよい。ただし配当の高い小役を抽選対象に含めるとBB1状態における役物非作動状態のメダルの獲得性能が上昇する結果、シミュレーション試験での出玉率が上昇する。このため、5枚以上の配当の小役を含む当選態様が得られる確率は他の小役の当選態様(例えば、ベルa、ベルb、ベルcなど)に比べて低く設定されていることが好ましい。
【0149】
また本実施形態では、BB1成立状態およびBB2成立状態において、通常状態では1枚小役が入賞するように停止制御されるベルbについて4枚小役が入賞するように停止制御の態様を変更している。このようにすれば、いわゆる試射試験でのBB1成立状態およびBB2成立状態での遊技のメダルの獲得性能を向上させて規則で定められた出玉率の下限を下回らないような好適な調整が可能となる。さらにBB1成立状態およびBB2成立状態の遊技のメダルの獲得性能が向上することから役物比率の低減効果を得ることもできる。すなわち通常状態では1枚小役しか入賞させることができない小役の当選態様の一部または全部についてBB1成立状態やBB2成立状態において4枚小役を入賞させることができるように停止制御の態様を変更するようにしてもよい。
【0150】
また本実施形態では、BB1状態の役物非作動状態においてベルa~ベルcの全てについて4枚小役が入賞するようにして、通常状態とは停止制御の態様が異なっていたが、BB1状態の役物非作動状態ではベルa~ベルcの一部または全部について通常状態とは同一の態様で停止制御が行われる当選態様が存在していてもよい。本実施形態のように通常状態とは異なる停止制御の態様を採用して4枚小役を入賞するようにすれば、役物非作動状態でのメダルの獲得性能が向上するため、BB1状態でのメダルの獲得期待値を上昇させることができ、またBB1状態での役物非作動状態でのメダルの獲得性能を上昇させることで連続役物比率の低減効果を得ることもできる。
【0151】
また本実施形態では、通常状態、BB1状態の役物非作動状態の規定投入数は3枚として、BB1状態の役物作動状態の規定投入数を1枚としたが、BB1状態の役物作動状態の規定投入数を2枚としてもよい。BB1状態の役物作動状態の規定投入数を、通常状態やBB1状態の役物非作動状態とは異なるものとすることで、役物作動状態でのメダルの投入数の低減によるBB1状態のメダルの平均獲得枚数を上昇させる効果を得られ、また規定投入数の変更により小役の配当を変更して役物作動状態のメダルの獲得性能を向上させることができる。
【0152】
また本実施形態では、BB1状態の役物非作動状態Bにおいてボーナス優先制御であってもシフト役は特定の操作態様で停止操作を行うことでシフト役の入賞を回避できる構成となっている。このようにすれば、役物非作動状態の滞在期間が延びることにより小役の入賞によるメダルの獲得数が増加するため連続役物比率の低減効果を得ることができる。
【0153】
また本実施形態では、シフト役を用いないボーナス状態としてBB2状態が設けられているが、BB2状態を設けなくてもよい。BB2状態のようなシフト役を用いないボーナス状態を設ける場合には、シミュレーション試験での出玉率が上昇してしまうため、シフト役を用いないボーナス状態のメダルの獲得期待値はBB1状態のようにシフト役を用いるボーナス状態よりも低く設定されていることが好ましい。
【0154】
また本実施形態では、ボーナスと小役とが重複して当選している状況においてボーナスの入賞を優先して停止位置を決定するボーナス優先制御を採用していたが、ボーナスと小役とが重複して当選している状況において小役の入賞を優先して停止位置を決定する小役優先制御を採用してもよい。小役優先制御を採用した場合、BB1成立状態、BB2成立状態、BB1状態の役物非作動状態Bの滞在が延びるため、いわゆる試射試験の出玉率の下限を下回る事態が発生することを防ぐことができる。さらにBB1成立状態、BB2成立状態、BB1状態の役物非作動状態における小役の入賞によるメダルの獲得が増加することによって、いわゆる試射試験の役物比率を低減させる効果を得ることができる。なお小役優先制御を採用する場合、BB1状態の役物非作動状態Bにおいて小役が当選した場合、シフト役の入賞形態と小役の入賞形態とに共通する図柄を優先的に有効ライン上に表示させ、シフト役を入賞可能とする停止制御を行うことが好ましい。
【0155】
またBB1状態の役物作動状態において当選する小役の当選態様として、図17(A)に示すように、JAC5とJAC6とを設けるようにしてもよい。
【0156】
本例では、JAC5が当選した場合、第1リールR1を最初に停止させる操作順序(打順1,2)に沿って停止操作が行われると15枚小役が入賞し、第2リールR2または第3リールR3を最初に停止させる操作順序(打順3~打順6)に沿って停止操作が行われると1枚小役が入賞する。またJAC6が当選した場合、停止操作の態様に関わらずに15枚小役が入賞する。
【0157】
上記実施形態では、ボーナス優先制御を採用している関係上、BB1成立状態において第1ビッグボーナス(BB1)が入賞しやすい。この点が出玉率の上限について規則で定められた基準の適合に対する懸念材料となっている。
【0158】
そこで本例では、遊技者が主に採用する可能性が高い操作順序である打順1,2である場合に限って15枚小役を入賞させることができるJAC5を設けて、操作順序をランダムとした場合はBB1状態の役物作動状態でのメダルの獲得期待値を低下させる機能を発揮させ、出玉率の上限の基準を満たしやすいものとすることができる。またJAC6については、BB1状態の役物作動状態において変則押し(打順3~打順6)のみで遊技をした場合であっても出玉率が著しく低いものとならないようにする機能を発揮する。
【0159】
また上記実施形態の仕様では、BB1状態の終了条件は、285枚を超える払い出しが行われたことであるため、15枚小役を20回入賞させる場合がBB1状態でのメダルの獲得数が最大となる。しかしながら、BB1状態が開始されてから役物非作動状態においてシフト役が入賞するまでの間に4枚小役の入賞が発生し得る。このため、BB1状態において4枚小役が1度でも入賞すると15枚小役を入賞させることができる回数が減少してしまい、その結果、4枚小役が入賞しなかった場合に比べてメダルの獲得数が減ってしまう。
【0160】
そこで、図17(B)に示す例では、変則押し(打順3~打順6)において、11枚のメダルの払い出しを受けることが可能な小役の当選態様として、JAC5aを設けており、役物非作動状態において4枚小役を入賞させた回数の分だけ11枚小役を入賞させれば、BB1状態でのメダルの払出数の合計を15枚の倍数に調整することができ、4枚小役の入賞が発生してもメダルの獲得数の減少を抑えることができるようになる。
【0161】
なおJAC5aが当選した場合に入賞可能となる11枚小役については特定の押下検出位置で停止操作を行うことで11枚小役の入賞が達成でき、特定の押下検出位置で停止操作が行われなかった場合には1枚小役が入賞するように構成することが好ましい。このようにすれば役物作動状態の遊技に関する技術介入度が向上し、ランダムに停止操作を行った場合のメダルの平均獲得数を低下させるという効果を発揮する。ただしJAC5aの当選時には変則押しをすれば必ず11枚小役が入賞する構成であってもよい。またJAC6の当選態様については省略することも可能であり、その場合には、役物作動状態の各遊技においてメダルの獲得数の調整の機会を付与することができる。
【0162】
またリプレイの入賞時の扱いを0枚払い出しかつ0枚投入とし(条件1)、シフト役が単独で当選している場合とシフト役と重複して当選している小役の最大配当が規定投入数以下の場合はシフト役が入賞し(条件2)、シフト役と重複して当選している小役の最大配当が規定投入数より多い場合は小役が入賞し(条件3)、シフト役がリプレイと重複して当選している場合(役物非作動状態Bでリプレイが当選した場合を含む)はリプレイが入賞し(条件4)、小役のみが当選した場合にはメダルの払出数が最大となる態様で小役が入賞し(条件5)、役物作動状態ではシフト役が当選しても当該役物作動状態ではシフト役が入賞しない(条件6)と仮定してBB1状態の出玉率を算出した結果、役物非作動状態B(役物作動状態のシフト内部中)の出玉率が220%を下回っていてもよい。なお本実施形態では、役物作動状態においてシフト役を抽選対象としている関係で、条件6も考慮してBB1状態の出玉率を算出しているが、役物作動状態においてシフト役を抽選対象としない場合には条件6は不要である。役物非作動状態のシフト内部中においてメダルを増加させる場合、BB1状態の終了条件として設定された払出数に達するまでの遊技回数が多くなることで、役物作動状態のシフト内部中の出玉率が、いわゆる短時間試験の出玉率上限(400Gで220%)を超える設計ではBB1状態が連荘した場合に、その出玉率上限を超えた出玉率になってしまうおそれがあるからである。なお役物非作動状態のシフト内部中の出玉率が220%を下回ることについては、上記条件1~条件6の少なくとも1つについては当該条件に対応する状況が発生しない遊技仕様(例えば、役物非作動状態Aにおいてシフト役が単独で当選することがない遊技仕様など)にも適用することができる。
【0163】
また上記条件1~条件6の仮定でBB1状態の出玉率を算出した結果、役物非作動状態B(役物作動状態のシフト内部中)の出玉率が150%を下回っていてもよい。この場合についても役物作動状態においてシフト役を抽選対象としない場合には条件6は不要である。役物非作動状態のシフト内部中においてメダルを増加させる場合、BB1状態の終了条件として設定された払出数に達するまでの遊技回数が多くなることで、役物作動状態のシフト内部中の出玉率が、いわゆる新中期試験の出玉率上限(1600Gで150%)を超える設計ではBB1状態が連荘した場合に、その出玉率上限を超えた出玉率になってしまうおそれがあるからである。なお役物非作動状態のシフト内部中の出玉率が150%を下回ることについては、上記条件1~条件6の少なくとも1つについては当該条件に対応する状況が発生しない遊技仕様(例えば、役物非作動状態Aにおいてシフト役が単独で当選することがない遊技仕様など)にも適用することができる。
【0164】
また上記条件1~条件6の仮定でBB1状態の出玉率を算出した結果、BB1状態の出玉率が220%を下回っていてもよい。この場合についても役物作動状態においてシフト役を抽選対象としない場合には条件6は不要である。BB1状態の出玉率が、いわゆる短時間試験の出玉率上限(400Gで220%)を超える設計ではBB1状態が連荘した場合に、その出玉率上限を超えた出玉率になってしまうおそれがあるからである。なおBB1状態の出玉率が220%を下回ることについては、上記条件1~条件6の少なくとも1つについては当該条件に対応する状況が発生しない遊技仕様(例えば、役物非作動状態Aにおいてシフト役が単独で当選することがない遊技仕様など)にも適用することができる。
【0165】
また上記条件1~条件6の仮定でBB1状態の出玉率を算出した結果、BB1状態の出玉率が150%を下回っていてもよい。この場合についても役物作動状態においてシフト役を抽選対象としない場合には条件6は不要である。BB1状態の出玉率が、いわゆる新中期試験の出玉率上限(1600Gで150%)を超える設計ではBB1状態が連荘した場合に、その出玉率上限を超えた出玉率になってしまうおそれがあるからである。なおBB1状態の出玉率が150%を下回ることについては、上記条件1~条件6の少なくとも1つについては当該条件に対応する状況が発生しない遊技仕様(例えば、役物非作動状態Aにおいてシフト役が単独で当選することがない遊技仕様など)にも適用することができる。
【0166】
また本実施形態では、遊技を行う際にメダル等の遊技媒体を投入し、役の入賞によって遊技媒体を払い出すようにした遊技機であったが、遊技媒体を用いずに電子的情報としての遊技価値を消費または付与することによって遊技を行わせるようにしてもよい。例えば、遊技機または遊技機に接続される外部ユニットにおいて遊技者の所有する遊技価値の情報を記憶することができるようにして、遊技価値の数を減算することによって遊技価値を消費することを遊技媒体の投入に置き換え、遊技価値の数を加算することによって遊技価値を付与することを遊技媒体の払い出しに置き換えた構成としてもよい。
【0167】
(第2実施形態)
2-1.構成
図18は、本発明の実施形態に係る遊技機の外観構成を示す斜視図である。また図19は、本発明の実施形態に係る遊技機の内部構成(リールユニットを除く)を示す斜視図である。
【0168】
本実施形態の遊技機は、いわゆるスロットマシンあるいは回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
【0169】
本実施形態の遊技機は、収納箱BX、上部前面扉UD、および下部前面扉DDからなる箱形の筐体内に第1リールR1~第3リールR3(複数のリール)からなるリールユニットが収められている。また収納箱BX内のリールユニット収納スペースPSの下部には、電源装置を内蔵し、電源スイッチES、設定変更キーシリンダKS、設定変更ボタンBS等の各種スイッチが備えられた電源ユニットEUおよびメダルの払出装置としてのホッパーユニットHPが収められている。ホッパーユニットHPは、遊技に供するメダルを貯蔵するメダル貯蔵タンクMTと、ステッピングモータからなる払出モータ(図示省略)と払出モータに軸支された回転ディスク(図示省略)とを備えており、回転ディスクが払出モータによって回転駆動されて、1枚単位でメダルを払い出すことができるように構成されている。またホッパーユニットHPは、メダル貯蔵タンクMTにおけるメダルの貯蔵量が一定に達すると、余剰メダルがキャッシュボックスCBに送り出されるようになっている。また本実施形態の遊技機の筐体内には、例えば、リールユニット収納スペースPSの上方にメイン基板MAINが取り付けられているとともに、リールユニット収納スペースPSの側方にサブ基板SUBが取り付けられており、これらの制御基板(メイン基板MAIN、サブ基板SUB)には、CPU(演算手段の一例)、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM(一時記憶手段の一例)等を搭載して遊技機の動作を制御することができるようになっている。なお本実施の形態では、電源ユニットEUに設定変更キーシリンダKSや設定変更ボタンBSが設けられているが、メイン基板MAINの表面に設定変更キーシリンダKSや設定変更ボタンBSを設けるようにしてもよい。
【0170】
図18に示す第1リールR1~第3リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(各領域を「コマ」と称する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。また第1リールR1~第3リールR3は、ステッピングモータ(リール駆動手段:図示省略)に軸支されており、それぞれステッピングモータの軸周りに回転駆動され、ステッピングモータの駆動パルスのパルス数やパルス幅などを制御することによって、コマ単位(所定の回転角度単位、所定の回転量単位)で停止可能に設けられている。すなわち本実施形態の遊技機では、ステッピングモータが制御基板から供給された駆動パルスに応じて第1リールR1~第3リールR3を回転駆動し、制御基板から全相励磁の駆動パルスが供給されると、ステッピングモータの回転が停止することに伴って第1リールR1~第3リールR3が停止する。
【0171】
上部前面扉UDと下部前面扉DDとは個別に開閉可能に設けられており、上部前面扉UDには第1リールR1~第3リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能にする表示窓DWが設けられている。第1リールR1~第3リールR3の停止状態では、第1リールR1~第3リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)を遊技機の正面から表示窓DWを通じて観察できるようになっている。
【0172】
また本実施形態の遊技機では、表示窓DWを通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによって有効ラインが設定される。なお本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数が3枚に設定され、規定投入数に相当するメダルが投入されると、第1リールR1の上段、第2リールR2の中段、および第3リールR3の下段によって構成される有効ラインL1が有効化される。
【0173】
そして遊技結果は表示窓DW内の有効ラインに停止表示された図柄組合せによって判断され、有効ライン上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合には、その役が入賞したものとしてホッパーユニットHPからメダルの払い出し等が行われる。
【0174】
また上部前面扉UDには、遊技情報表示部DSおよび区間表示器SECが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、BB状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計等の各種遊技情報が表示される。また区間表示器SECは、内蔵されるLEDの消灯および点灯によって有利区間に滞在しているか否かを報知するものである。
【0175】
また上部前面扉UDには、遊技演出を行うための液晶ディスプレイLCDが設けられている。この液晶ディスプレイLCDには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の映像(または画像)が表示される。また本実施形態の遊技機では、上部前面扉UDや下部前面扉DDに対して、遊技演出を行うためのスピーカSPが複数設けられている。このスピーカSPからは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
【0176】
また下部前面扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うためのベットボタン(投入操作手段)B0、第1リールR1~第3リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる操作を行うためのスタートレバー(遊技開始操作手段)SL、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1~第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる操作を行うためのストップボタン(停止操作手段)B1~B3などが設けられている。
【0177】
本実施形態の遊技機では、遊技者がメダルをメダル投入口MIに投入するか、ベットボタンB0を押下する操作を行うことで、第1リールR1~第3リールR3の回転制御を開始することが可能な準備状態にセットされる。そして、遊技者がスタートレバーSLを押下すると、制御基板において第1リールR1~第3リールR3をステッピングモータの駆動により回転開始させるとともに、乱数値を用いた内部抽選が行われ、第1リールR1~第3リールR3の回転速度が所定の速度まで上昇したことを条件に、ストップボタンB1~B3の押下操作が許可(有効化)される。
【0178】
その後、遊技者が任意のタイミングでストップボタンB1~B3を押下していくと、ストップボタンB1~B3のそれぞれに内蔵されているストップスイッチ(停止信号出力手段:例えば、フォトセンサ、導通センサ、圧力センサなど)がオン動作を行い、制御基板に入力されるリール停止信号をオフ状態からオン状態へ変化させる。
【0179】
また遊技者が任意のタイミングで押下状態にあるストップボタンB1~B3を解放すると、ストップボタンB1~B3それぞれに対応するストップスイッチがオフ動作を行い、制御基板に入力されるリール停止信号をオン状態からオフ状態に変化させる。
【0180】
そして制御基板は、ストップボタンB1~B3の押下タイミング及び解放タイミングに応じて信号状態が変化するリール停止信号のオフ状態からオン状態への変化に基づいて、内部抽選の結果に応じた停止位置で第1リールR1~第3リールR3を停止させる。
【0181】
また下部前面扉DDの下部には、メダル払い出し口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがホッパーユニットHPからメダル払い出し口MOを通じてメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。なお遊技の結果に応じてメダルが払い出される場合に、メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、払出数の一部あるいは全部に相当するメダルを、クレジット上限枚数(本実施形態では50枚)を限度としてクレジットし、メダルのクレジット数の変化に伴って遊技情報表示部DSの7セグメント表示器からなるクレジット表示器の表示値を変化させる動作を行う。
【0182】
図20は、本実施形態の遊技機の機能ブロック図である。
【0183】
本実施形態の遊技機は、遊技制御手段(メイン基板MAINおよびサブ基板SUB)100によって制御される。遊技制御手段100は、電源スイッチESの作動により電源ユニットEUから電力が供給されて起動し、メダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240、設定変更許可スイッチ250、設定変更スイッチ260等の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいてリールユニット310、ホッパーユニット(払出装置)HP、表示装置330、音響装置340等の出力手段の動作制御を行う。遊技制御手段100の機能は各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所与のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0184】
そして遊技制御手段100は、設定変更手段103、投入受付手段105、乱数発生手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態制御手段170、AT制御手段175、演出制御手段180、遊技情報記憶手段190a、演出情報記憶手段190bを含む。なお本実施形態では、設定変更手段103、投入受付手段105、乱数発生手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、およびAT制御手段175は、メイン基板MAINのCPUが各種のプログラムを実行することによって実現され、演出制御手段180は、サブ基板SUBのCPUが各種のプログラムを実行することによって実現される。また遊技情報記憶手段190aは、メイン基板MAINに搭載されているメインROMおよびメインRAMによって構成され、演出情報記憶手段190bは、サブ基板SUBに搭載されているサブROMおよびサブRAMによって構成されている。またメイン基板MAINのCPUが実行する各種のプログラムは、遊技情報記憶手段190aのメインROMに記憶されており、サブ基板SUBのCPUが実行する各種のプログラムは、演出情報記憶手段190bのサブROMに記憶されている
設定変更手段103は、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられた設定値記憶領域1913に記憶されている設定値を変更する制御を行う。本実施形態では、電源投入時の設定変更許可スイッチ250の状態に応じて遊技モードで起動される場合と設定変更モードで起動される場合とが切り替えられるようになっており、設定変更キーシリンダKSに設定キーが挿入されて初期位置から時計回りに設定キーが回されると設定変更許可スイッチ250の信号状態がオン状態となり、この状態で電源スイッチESが作動することにより電源ユニットEUから電力が供給されると、設定変更手段103が、遊技機を設定変更モードで起動する。そして本実施形態では、設定1~設定6までの6段階の設定値の中から設定値を選択することができるようになっており、設定1から順に設定6に向かって出玉率の期待値が高くなるように内部抽選の当選確率が変動するようになっている。なお本実施形態では、設定1<設定2<設定3<設定4<設定5<設定6の順で設定値の高低を表現する。
【0185】
また設定変更手段103は、設定変更モードにおいて設定変更ボタンBSを押下することにより設定変更スイッチ260が作動すると、設定変更スイッチ260からの入力信号を受け付ける毎に、設定値を設定1→設定2→・・・設定6→設定1→・・・の順序で設定値を変更し、スタートレバーSLの押下により作動するスタートスイッチ230からの遊技スタート信号に基づいて設定値を確定させて、確定された設定値を設定値記憶領域1913に記憶させる制御を行う。そして本実施形態では、設定変更キーシリンダKSに挿入された設定キーを初期位置に戻すことによって設定変更許可スイッチ250の信号状態をオフ状態に変更し設定変更モードから遊技モードへ移行させることができるようになっている。
【0186】
また本実施形態では、設定変更キーシリンダKSが初期位置にある状態で電源が投入されると、設定変更許可スイッチ260の信号状態がオフ状態であることに基づいて遊技モードで遊技機を起動する。そして本実施形態では、遊技モードでは遊技を行うことができるが、設定値の変更を行うことはできず、設定変更モードでは設定値の変更を行うことはできるが、遊技を行うことはできないようになっている。
【0187】
また設定変更手段103は、設定変更モードにおいて、遊技情報記憶手段190aのメインRAMの所定の記憶領域に記憶されている情報を初期化する初期化処理を行う。特に本実施の形態では、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに関して、抽選フラグ記憶領域1915、遊技状態記憶領域1916、演出状態記憶領域1917、ATストック数カウンタ1918、ATゲーム数カウンタ1919、CZゲーム数カウンタ1921、第1クリアカウンタ1922、および第2クリアカウンタ1923に記憶されている情報を設定変更モードにおける初期化処理によって初期化する。より詳細には、遊技情報記憶手段190aのメインRAMにおける抽選フラグ記憶領域1915、遊技状態記憶領域1916、演出状態記憶領域1917、ATストック数カウンタ1918、ATゲーム数カウンタ1919、CZゲーム数カウンタ1921、第1クリアカウンタ1922、および第2クリアカウンタ1923以外の記憶領域を情報保持領域として指定し、メインRAMの情報保持領域以外の記憶領域に記憶されている情報を初期化する。このため、メインRAMにおいて、設定値記憶領域1913およびクレジット情報記憶領域1914については情報保持領域として指定され、これらの記憶領域に記憶されている情報は、設定変更モードにおける初期化処理によっては初期化されずに保持されるようになっている。
【0188】
投入受付手段105は、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数(3枚)に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバーSL(遊技開始操作手段)に対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。なお本実施形態の遊技機では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、第1リールR1~第3リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。
【0189】
また本実施形態の遊技機では、メダル投入口MIにメダルが投入されると、メダル投入スイッチ210が作動することに伴って、投入受付手段105が、規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。また本実施形態の遊技機では、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられたクレジット情報記憶領域1914に最大で50枚分のメダルをクレジット記憶(貯留記憶)することが可能となっており、遊技機にメダルがクレジット記憶された状態で、ベットボタンB0が押下されると、ベットスイッチ220が作動することに伴って、投入受付手段105が、規定投入数を限度して、クレジット情報記憶領域1914にクレジット記憶されたメダルを投入状態に設定する。
【0190】
乱数発生手段110は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、0~65535までの65536個の乱数値を1周期中で重複することなく発生させる16ビット乱数回路によって発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0191】
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対する遊技開始操作(有効化されたスタートレバーSLへの最初の押下操作)により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理などを行う。
【0192】
抽選テーブル選択処理では、遊技情報記憶手段190aのメインROMに設けられたメイン抽選テーブル記憶領域1910に格納されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。本実施形態の遊技機では、メイン抽選テーブル記憶領域1910に、図21に示すような3種類の内部抽選テーブル(内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル3)が記憶されている。そして各内部抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0~65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役、およびボーナスなどの各種の役やハズレ(不当選)が対応づけられている。なお本実施形態では、6段階の設定値に対して、設定値毎に3種類の内部抽選テーブルが用意されており、設定値に応じて内部抽選で一部の当選態様が得られる確率が異なっており、設定値が高くなるほど出玉率の期待値が高くなるように役と乱数値との対応関係が設定されている。
【0193】
なお本実施形態の遊技機では、小役として、小役1~小役48が用意され、小役の当選態様として、図22および図23に示すように、打順ベルa群(打順ベルa1~打順ベルa6)、打順ベルb群(打順ベルb1~打順ベルb6)、打順ベルc群(打順ベルc1~打順ベルc6)、打順ベルd群(打順ベルd1~打順ベルd6)、打順ベルe群(打順ベルe1~打順ベルe6)、打順特殊役群(打順特殊役1~打順特殊役16:特定当選態様の一例)、弱チェリー、JAC1、およびJAC2が設定されている。
【0194】
また本実施形態の遊技機では、リプレイとして、リプレイ1~リプレイ7が用意され、リプレイの当選態様として、図23に示すように、通常リプレイa、通常リプレイb、スイカ、チャンス目a、チャンス目b、強チェリーが設定されている。
【0195】
また本実施形態の遊技機では、内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2において小役の当選確率が同一であって、内部抽選テーブル2では内部抽選テーブル1よりもリプレイの当選確率が高くなっており、内部抽選テーブル3ではリプレイが抽選対象となっておらず、また内部抽選テーブル3では内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2とは小役の抽選態様が異なっているともに、内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2よりも小役の当選確率が高くなっている。
【0196】
また本実施形態の遊技機では、ボーナスとして、ビッグボーナス(BB)が用意されており、ビッグボーナス(BB)は、内部抽選テーブル1において抽選対象となっている。
【0197】
また本実施形態の遊技機では、遊技状態として、通常状態、BB成立状態、およびBB状態が設定可能とされ、抽選テーブル選択処理では、遊技状態に応じて内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル3のいずれか1つを内部抽選で使用する内部抽選テーブルとして選択する。
【0198】
そして本実施形態では、ボーナスやリプレイの当選態様については、設定値によっては当選確率が変動しないようになっているが、小役については設定値に応じて一部の当選態様の当選確率が変動し、設定値が高くなるほどJAC1およびJAC2の当選確率が高くなっている。
【0199】
乱数判定処理では、スタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて、遊技毎に乱数発生手段110から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について遊技情報記憶手段190aのメインROMに設けられたメイン抽選テーブル記憶領域1910に記憶されている内部抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0200】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。本実施形態の遊技機では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。なお抽選フラグの設定情報は、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられた抽選フラグ記憶領域1915に格納される。
【0201】
また本実施形態の遊技機では、入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されている。前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、ビッグボーナス(BB)があり、小役およびリプレイは後者の持越不可フラグに対応づけられている。抽選フラグ設定処理では、例えば、内部抽選でビッグボーナス(BB)に当選すると、ビッグボーナス(BB)の抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナス(BB)が入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき内部抽選手段120は、ビッグボーナス(BB)の抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、小役およびリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、持越可能フラグに対応づけられているボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0202】
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへの遊技開始操作により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて、ステッピングモータにより第1リールR1~第3リールR3の回転駆動を開始し、第1リールR1~第3リールR3が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)で定常回転しているリールに対応するストップボタンB1~B3(停止操作手段)を押下することによる停止操作を有効化する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1~第3リールR3を抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じた態様で停止させる制御を行う。
【0203】
そしてリール制御手段130は、ストップボタンB1~B3に対する停止操作が有効化された状態において、遊技者がストップボタンB1~B3を押下することによりストップスイッチ240が作動すると、ストップスイッチ240からのリール停止信号に基づいて、リールユニット310のステッピングモータへ全相励磁の駆動パルスを供給することにより、第1リールR1~第3リールR3の各リールを停止させる制御を行う。
【0204】
すなわちリール制御手段130は、ストップボタンB1~B3の各ボタンが押下される毎に、第1リールR1~第3リールR3のうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。なお本実施形態の遊技機では、ストップボタンB1を押下することが第1リールR1を停止させるための操作に対応し、ストップボタンB2を押下することが第2リールR2を停止させるための操作に対応し、ストップボタンB3を押下することが第3リールR3を停止させるための操作に対応する。すなわち本実施形態の遊技機では、ストップボタンB1~B3の押下順序が変化すると、第1リールR1~第3リールR3の停止順序が変化する。
【0205】
また本実施形態の遊技機では、第1リールR1~第3リールR3について、ストップボタンB1~B3が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールが停止するようになっている。そしてストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合には、回転している各リールの停止位置は、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに要するコマ数が0コマ~4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で決定される。そして、リール制御手段130は、ストップボタンB1~B3のうち押下操作が行われたストップボタンに対応する回転中のリールの外周面上において、内部抽選で当選した役に対応する図柄が、ストップボタンに対する押下操作が行われた時点で有効ライン上の表示位置に対して0コマ~4コマの範囲内に位置する場合に、抽選フラグが当選状態に設定されている役に対応する図柄が有効ライン上の表示位置に表示されるように、押下操作が行われたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御を行っている。
【0206】
そして本実施形態では、図24に示すように、リールユニット310を構成する第1リールR1~第3リールR3の外周面に対して、赤7図柄「赤7」、バー図柄「BAR」、特殊図柄1「SP1」、特殊図柄2「SP2」、特殊図柄3「SP3」、リプレイ図柄「RP」、ベル図柄1「BL1」、ベル図柄2「BL2」、スイカ図柄「WM」、およびチェリー図柄「CH」が配列されており、押下検出位置から4コマ以内に存在する図柄を有効ライン上に引き込む場合には、各リールの外周面において4コマ以内の間隔で配列されている図柄について、ストップスイッチ240の作動時点(ストップボタンの押下が検出された時点)のリールの位置である押下検出位置(操作検出位置の一例)に関わらずに、有効ライン上に表示させることができるようになっている。なお本実施形態において押下検出位置は各リールの上段の表示位置となっている。
【0207】
なお本実施形態の遊技機では、リールユニット310がフォトセンサからなるリールインデックス315を備えており、リール制御手段130は、リールが1回転する毎にリールインデックス315で検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックス315によって検出されるコマ)からの回転角度(ステッピングモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわちリール制御手段130は、ストップスイッチ240の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
【0208】
またリール制御手段130は、遊技情報記憶手段190aのメインROMに設けられた停止制御テーブル記憶領域1911に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定する。
【0209】
ここで停止制御テーブルでは、抽選フラグの設定状態に応じて、ストップスイッチ240の作動時点(ストップボタンの押下が検出された時点)におけるリールの位置である押下検出位置と実際の停止位置との対応関係が設定されている。なお停止制御テーブルでは、抽選フラグの設定状態に応じて、押下検出位置と、押下検出位置から実際の停止位置までの回転量を示す滑りコマ数との対応関係が設定されていてもよい。
【0210】
また本実施形態の遊技機では、小役、リプレイ、およびボーナスに関して、「リプレイ>ボーナス」かつ「小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められており、各役に対応付けられた優先順位に従って、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄を含む停止位置が選択されるように停止制御テーブルが設定されている。
【0211】
また本実施形態の遊技機では、内部抽選で複数種類の小役に係る抽選フラグが当選状態に設定された場合に参照される停止制御テーブルでは、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数に応じて停止位置が設定されている場合(個数優先制御:第2の制御則の一例)と、小役について予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて停止位置が設定されている場合(払出数優先制御:第1の制御則の一例)とが存在し、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数に応じて停止位置が設定されている場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数が多くなる停止位置ほど優先されるように押下検出位置に対する停止位置が設定されており、メダルの払出数に応じて停止位置が設定されている場合には、有効ライン上の表示位置に表示されている図柄に対応する小役の配当に基づくメダルの払出数が多くなる停止位置(配当が多い小役を入賞させることができる停止位置)ほど優先されるように押下検出位置に対する停止位置が設定されている。ただし、メダルの払出数に応じて停止位置が設定されている場合に、メダルの払出数が同一となる複数の停止位置については、それぞれの停止位置の優先度合いは同一として扱われて押下検出位置に対する停止位置が設定され、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数に応じて停止位置が設定されている場合に、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数が同数となる複数の停止位置については、それぞれの停止位置の優先度合いは同一として扱われて押下検出位置に対する停止位置が設定されている。
【0212】
そして内部抽選で打順ベルa群(打順ベルa1~打順ベルa6)、打順ベルb群(打順ベルb1~打順ベルb6)、打順ベルc群(打順ベルc1~打順ベルc6)、打順ベルd群(打順ベルd1~打順ベルd6)、および打順ベルe群(打順ベルe1~打順ベルe8)が当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、図25および図26に示すように、それぞれの打順ベルに対して正解打順が設定されており、正解打順と異なる押下順序は不正解打順として扱われる。
【0213】
まず図25に示すように、打順ベルa群~打順ベルd群のいずれかに属する打順ベルが当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、正解打順でストップボタンB1~B3が押下されると、15枚小役または1枚小役が入賞するように(打順3~打順6が正解打順である際には取りこぼしの場合あり)、押下検出位置に対する停止位置が設定されており、不正解打順でストップボタンB1~B3が押下されると、1枚小役が入賞するように(打順3~打順6が不正解打順である際には取りこぼしの場合あり)、押下検出位置に対する停止位置が設定されている。
【0214】
また本実施形態では、打順ベルa群~打順ベルd群のいずれかに属する打順ベルの当選時において正解打順で停止操作が行われた場合に、正解打順における最初に停止するリールに対応する停止操作(以下、第1停止操作)の押下検出位置によって15枚小役が入賞するか否かが決定され、第1停止操作の押下検出位置が図24に示す第1押下位置または第2押下位置のいずれであるかによって15枚小役が入賞するか否かが決定される。具体的には、図25に示すように、打順ベルa群および打順ベルc群については、正解打順であって第1停止操作が第2押下位置である場合に15枚小役が入賞し、正解打順であっても第1停止操作が第1押下位置である場合には15枚小役が入賞せず、打順ベルb群および打順ベルd群については、正解打順であって第1停止操作が第1押下位置である場合に15枚小役が入賞し、正解打順であっても第1停止操作が第2押下位置である場合には15枚小役が入賞しない。
【0215】
次に図26に示すように、打順ベルe群に属する打順ベルが当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、正解打順でストップボタンB1~B3が押下されると、15枚小役が入賞するように、押下検出位置に対する停止位置が設定されており、不正解打順でストップボタンB1~B3が押下されると、1枚小役が入賞するように(打順3~打順6が不正解打順である際には取りこぼしの場合あり)、押下検出位置に対する停止位置が設定されている。なお打順ベルe群については打順ベルa群~打順ベルd群とは異なり、正解打順における第1停止操作について如何なる押下検出位置であっても15枚小役を入賞させることができるようになっている。
【0216】
また図25および図26に示すように、全ての打順ベルに関して、通常状態では全ての停止操作の順序が不正解打順として扱われ、BB成立状態である場合に限って正解打順として扱われる停止操作の順序と不正解打順として扱われる停止操作の順序とが存在するようになっている。このため通常状態では、BB成立状態で15枚小役を入賞可能な態様で停止操作が行われても1枚小役が入賞する。
【0217】
また、各打順ベルの当選時に関しては、正解打順では払出数優先制御によって15枚小役の入賞形態を構成する図柄が優先的に有効ライン上に表示され、不正解打順では個数優先制御によって1枚小役の入賞形態を構成する図柄が優先的に有効ライン上に表示されるように、各停止制御テーブルにおいて押下検出位置に対する停止位置が設定されている。
【0218】
また内部抽選で打順特殊役群(打順特殊役1~打順特殊役16)に属する打順特殊役が当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、図27に示すように、特定打順(打順特殊役毎に予め定められた操作順序)であって、かつ第1停止操作(特定打順において最初に停止させるリールに係る停止操作)の押下検出位置が特定押下位置(打順特殊役毎に予め定められた押下検出位置:特定操作位置の一例)でストップボタンB1~B3が押下されると、15枚小役(特定小役の一例)が入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定されており、特定打順であって、かつ第1停止操作の押下検出位置が非特定押下位置(特定押下位置とは異なる押下検出位置)でストップボタンB1~B3が押下されると1枚小役が入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定されており、非特定打順(特定打順とは異なる操作順序)でストップボタンB1~B3が押下されると、14枚小役が入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定されている。また図27に示す特定押下位置はストップボタンの押下時に上段に位置する図柄の番号を示しており、例えば、図27に示す打順特殊役1の特定押下位置である0番と16番とは、特定打順において最初に停止させる第1リールR1の押下検出位置について、0番のチェリー図柄「CH」または16番のスイカ図柄「WM」のいずれかが上段に位置する場合を示している。なお以下では、必要に応じて、打順特殊役の当選時に関して15枚小役を入賞させる停止操作の態様を特定操作態様と称する場合がある。
【0219】
また、打順特殊役の当選時に関しては、特定打順である場合、特定押下位置については払出優先制御で15枚小役の入賞形態を構成する図柄が優先的に有効ライン上に表示され、特定押下位置と異なる押下検出位置については個数優先制御で1枚小役の入賞形態を構成する図柄が優先的に有効ライン上に表示され、非特定打順である場合、個数優先制御で14枚小役の入賞形態を構成する図柄が優先的に有効ライン上に表示されるように、各停止制御テーブルにおいて押下検出位置に対する停止位置が設定されている。すなわち打順特殊役の当選時においては、特定操作態様である場合に限り払出優先制御を行い、特定操作態様ではない場合には個数優先制御を行っている。
【0220】
また、弱チェリー1が当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、小役48が小役29、小役32、小役43に優先して入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定されており、JAC1が当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、いずれかの15枚小役が必ず入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定されており、JAC1が当選した場合に参照される停止制御テーブルでは、いずれかの1枚小役が必ず入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定されている。
【0221】
また、通常リプレイa、通常リプレイb、スイカ、チャンス目a、チャンス目b、強チェリーといった各種のリプレイの当選態様については、停止操作の態様に関わらず当選態様に含まれているいずれかのリプレイが必ず入賞するように押下検出位置に対する停止位置が設定されている。
【0222】
またビッグボーナス(BB)については、通常状態においてビッグボーナス(BB)が単独で当選した場合のみ入賞可能であって、BB成立状態ではハズレが存在せず、必ずビッグボーナス(BB)よりも優先度の高い小役またはリプレイが重複して当選している関係でビッグボーナス(BB)が入賞しないように、停止制御テーブルにて押下検出位置に対する停止位置が設定されている。
【0223】
入賞判定手段140は、第1リールR1~第3リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、遊技情報記憶手段190aのメインROMに設けられた入賞判定テーブル記憶領域1912に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リールR1~第3リールR3の全てが停止した時点で有効ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かなどを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ライン上に表示された図柄組合せによって、図28図32に示すように、ビッグボーナス(BB)、リプレイ1~リプレイ7、および小役1~小役48の入賞の有無が判定できるように入賞判定テーブルが用意されている。
【0224】
そして本実施形態の遊技機では、入賞判定手段140の判定結果に基づいて、役が入賞した場合に入賞時処理が実行される。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合には払出制御手段150によってメダルの払出処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160によってリプレイ処理が行われ、ボーナスが入賞した場合には遊技状態制御手段170によって遊技状態を移行させる遊技状態移行処理が行われる。
【0225】
払出制御手段150は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパーユニットHP(払出装置)に払い出させる制御を行う。
【0226】
ホッパーユニットHPは、払出制御手段150によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニットHPには、メダルを1枚払い出す毎に作動する払出メダル検出スイッチ325が備えられており、払出制御手段150は、払出メダル検出スイッチ325からの入力信号に基づいてホッパーユニットHPから実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。
【0227】
なおメダルのクレジット記憶(貯留記憶)が許可されている場合には、ホッパーユニットHPによって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられたクレジット情報記憶領域1914に記憶されているクレジット数(クレジット記憶されたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0228】
リプレイ処理手段160は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち本実施形態の遊技機では、リプレイが入賞した場合には、次回の遊技を行わせるために必要な規定投入数に相当する枚数のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、規定投入数に対応する有効ラインを設定した状態で次回のスタートレバーSLに対する遊技開始操作を待機する。
【0229】
遊技状態制御手段170は、図33に示すように、通常状態、BB成立状態、およびBB状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行処理を行う。本実施形態では、滞在している遊技状態を示す情報は、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられた遊技状態記憶領域1916に格納される。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0230】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはBB成立状態またはBB状態への移行が可能となっている。具体的には、通常状態においてビッグボーナス(BB)が当選したが、ビッグボーナス(BB)が入賞しなかった場合にBB成立状態へ移行し、通常状態においてビッグボーナス(BB)が当選し、かつビッグボーナス(BB)が入賞した場合にBB状態へ移行する。また通常状態では、図21に示す内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル3のうち、リプレイの当選確率が約1/7.3以上に設定され、かつビッグボーナス(BB)が抽選対象として設定されている内部抽選テーブル1を参照して内部抽選が行われる。
【0231】
BB成立状態は、通常状態において内部抽選でビッグボーナス(BB)が当選したが、ビッグボーナス(BB)が入賞しなかったことを契機として移行する遊技状態で、図21に示す内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル3のうち、リプレイの当選確率が内部抽選テーブル1よりも高くなることでハズレ(不当選)が発生せず、ビッグボーナス(BB)が抽選対象から除外された内部抽選テーブル2を参照した内部抽選が行われる。
【0232】
またBB成立状態では、ビッグボーナス(BB)が入賞するまでビッグボーナス(BB)に対応する抽選フラグが当選状態に維持され、ビッグボーナス(BB)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技状態制御手段170は、遊技状態をBB成立状態からBB状態へ移行させる。
【0233】
BB状態は、ビッグボーナス(BB)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態であり、図21に示す内部抽選テーブル1~内部抽選テーブル3のうち、内部抽選テーブル1および内部抽選テーブル2とは小役の抽選態様が異なる内部抽選テーブル3を参照した内部抽選が行われる。
【0234】
またBB状態では、BB状態での遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、予め定められた所定枚数(例えば、200枚)を超えるメダルが払い出されたと判断されると、遊技状態制御手段170は、BB状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる制御を行う。なお本実施形態では、BB状態における払出数についてのカウント情報は遊技状態記憶領域1916に記憶される。
【0235】
AT制御手段175は、図34に示すように、非AT状態、AT低確状態、AT状態、およびCZ状態を含む複数種類の演出状態の間で演出状態を変化させており、所定条件下で演出状態をAT状態(アシストタイム状態)に設定し、ATゲーム数カウンタ1919の値に基づいてAT状態の終了条件の成否を判定して、AT状態の終了条件の成立に伴いAT状態を終了させる制御を行う。本実施形態では、滞在している演出状態を示す情報は、遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられた演出状態記憶領域1917に格納される。また本実施形態では、AT状態に滞在している場合に、AT制御手段175によって、打順ベルの当選時において遊技情報表示部DSに設けられた7セグメント表示器からなるメイン表示器300に正解打順等(正解打順および押下位置の少なくとも一方)に対応する情報(操作指示情報の一例)を表示することにより15枚小役(小役1~小役20)の入賞を補助する正解打順報知が行われるとともに、演出制御手段180によって、打順ベルの当選時において液晶ディスプレイLCDに正解打順等(正解打順および押下位置の少なくとも一方)に対応する画像を表示することにより15枚小役(小役1~小役20)の入賞を補助する入賞補助演出が行われ、非AT状態に滞在している遊技よりもメダルが獲得しやすいアシストタイム遊技(補助遊技の一例)を行うことができるようになっている。
【0236】
またAT制御手段175は、図35に示すように、通常区間(非有利区間)および有利区間を設定可能とし、通常区間では演出状態を初期状態である非AT状態に固定して有利区間移行抽選を行い、有利区間移行抽選に当選したことによって有利区間を開始して有利区間であることを条件に演出状態をAT状態に設定可能としている。そしてAT制御手段175は、通常区間の遊技において、遊技状態が通常状態またはBB成立状態である場合に、内部抽選で打順ベル1~打順ベル24、打順特殊役a群~打順特殊役d群に属する打順特殊役、弱チェリー、通常リプレイa、スイカ、チャンス目a、チャンス目b、または強チェリーのいずれかの当選態様が得られたことに基づいて有利区間移行抽選を行う。なお本実施形態では、通常状態またはBB成立状態において、JAC1を含む当選態様、通常リプレイbを含む当選態様、およびビッグボーナス(BB)を含む当選態様を得た場合については、有利区間移行抽選が行われないようになっている。
【0237】
有利区間移行抽選では、内部抽選のために取得した乱数値をメイン抽選テーブル記憶領域1910に記憶されている有利区間移行抽選テーブルと比較して、比較結果に応じて有利区間移行抽選に当選(有利区間当選)したか否かを判定する。有利区間移行抽選テーブルでは、有利区間移行抽選の実行契機となる各当選態様に対応づけられた内部抽選用の乱数値に対して、有利区間当選またはハズレが割り当てられており、内部抽選のために取得した乱数値が有利区間移行抽選の実行契機となる当選態様に対応づけられており、かつ有利区間移行抽選テーブルにおいて有利区間当選に対応づけられている場合に、有利区間移行抽選に当選したと判定される。
【0238】
そしてAT制御手段175は、通常区間において有利区間移行抽選に当選すると、有利区間移行抽選に当選したことに基づいて有利区間移行処理を行い、有利区間移行抽選に当選した遊技の次回の遊技から有利区間を開始させる。本実施形態では、有利区間移行抽選の結果が当選である場合に有利区間移行処理において演出状態をAT低確状態に移行させる。なお有利区間移行抽選の当選態様を2種類以上として有利区間移行処理において演出状態をAT低確状態またはAT状態のいずれに移行させるかを決定するようにしてもよい。
【0239】
そしてAT制御手段175は、有利区間において演出状態がAT低確状態またはCZ状態である場合に、毎遊技においてAT抽選を行う。通常状態では、内部抽選で打順ベルa群~打順ベルe群に属する打順ベル、打順特殊役群に属する打順特殊役、弱チェリー、通常リプレイa、通常リプレイb、スイカ、チャンス目a、チャンス目b、強チェリー、JAC1+ビッグボーナス(BB)、またはビッグボーナス(BB)のいずれかの当選態様を得たことに基づいてAT抽選が行われる。BB成立状態では、内部抽選で打順ベルa群~打順ベルe群に属する打順ベル、打順特殊役群に属する打順特殊役、弱チェリー、通常リプレイa、通常リプレイb、スイカ、チャンス目a、チャンス目b、強チェリー、またはJAC1のいずれかの当選態様を得たことに基づいてAT抽選が行われる。BB状態では、JAC1またはJAC2のいずれかの当選態様を得たこと、もしくは内部抽選の結果がハズレ(不当選)であったことに基づいてAT抽選が行われる。
【0240】
AT抽選では、内部抽選のために取得した乱数値をメイン抽選テーブル記憶領域1910に記憶されているAT抽選テーブルと比較して、比較結果に応じてAT抽選に当選したか否かを判定する。AT抽選テーブルでは、内部抽選用の乱数値に対して、AT当選またはハズレが割り当てられており、内部抽選のために取得した乱数値が、AT抽選テーブルにおいてAT当選に対応づけられている場合に、AT抽選に当選したと判定される。なお本実施形態では、AT低確状態とCZ状態とでは、AT当選が得られる確率が異なっており、CZ状態ではAT低確状態よりもAT当選が得られる確率が高く設定されている。また本実施形態では、図35に示すように、通常区間である場合にはAT抽選の実行が禁止されており、有利区間に滞在している状況に限ってAT抽選が実行されるようになっている。
【0241】
またAT制御手段170は、第1リールR1~第3リールR3に対する停止操作が有効化される前にAT抽選を行っており、打順特殊役の当選時のAT抽選については、第1停止操作が特定打順であって、かつ第1停止操作の押下検出位置が非特定押下位置であった場合にAT抽選を行い、第1停止操作が特定打順であって、かつ第1停止操作の押下検出位置が特定押下位置であった場合、今回遊技のペナルティとしてAT抽選の結果を無効とする無効処理を行う。またAT制御手段170は、打順特殊役の当選時において、第1停止操作が非特定打順であった場合にも無効処理を行う。無効処理では、例えば、AT抽選が行われなかったとする扱いをしてもよいし、AT抽選の結果を実際の結果に関わらずにハズレに書き換えるようにしてもよいし、第1停止操作以降のAT抽選の結果に基づく処理をキャンセルするようにしてもよい。また特殊当選役の当選時のみAT抽選の実行契機を第1停止操作後として、第1停止操作が特定打順であって、かつ第1停止操作の押下検出位置が特定押下位置でなかった場合にAT抽選を行い、第1停止操作が特定打順であって、かつ第1停止操作の押下検出位置が特定押下位置であった場合と、第1停止操作が非特定打順であった場合とについてはAT抽選を行わないようにしてもよい。また特殊当選役の当選時のみならずAT抽選の実行契機を第1停止操作後とするようにして、特殊当選役の当選時のみ第1停止操作の結果によってAT抽選の実行可否を判定するようにしてもよい。
【0242】
なお打順特殊役の当選時における停止操作の態様に応じたAT抽選に関する処理は、無効処理に限らず、AT抽選の有利度合いが異なるものであってもよく、例えば、停止操作の態様が1枚小役を入賞可能とするものである場合には、停止操作の態様が14枚小役または15枚小役を入賞可能とするものである場合よりも、有利なAT抽選が行われるものであってもよいし、停止操作の態様が1枚小役を入賞可能とするものである場合には、停止操作の態様が14枚小役または15枚小役を入賞可能とするものである場合よりも、不利なAT抽選が行われるものであってもよい。また打順特殊役の当選時であっても停止操作の態様に関わらずに有利度合いが同等のAT抽選が行われるようにしてもよい。
【0243】
そしてAT低確状態でのAT抽選の結果がAT当選であった場合、AT制御手段175は、演出状態をAT低確状態からAT状態に移行させる制御を行う。またAT制御手段175が、AT当選の抽選結果を得たことに基づいて、ATストック数カウンタ1918に一定値「1」を加算し、その遊技の終了に伴って演出状態をAT状態に移行させる際に、ATストック数カウンタ1920から一定値「1」を減算するともに、AT状態の終了条件となる遊技回数である50回に相当する値「50」をATゲーム数カウンタ1919に設定する。
【0244】
そしてAT制御手段175は、演出状態がAT状態であることに基づいてアシストタイム遊技を行わせ、アシストタイム遊技が行われる毎にATゲーム数カウンタ1919の値から遊技1回分に相当する一定値「1」を減算する。そして本実施形態では、AT状態において、打順ベルa群~打順ベルd群に属する打順ベルが当選すると正解打順と第1停止操作に係る押下位置を報知する正解打順報知および入賞補助演出が行われ、打順ベルe群に属する打順ベルが当選すると正解打順を報知する正解打順報知および入賞補助演出が行われる。
【0245】
また本実施形態では、AT制御手段175が、打順ベルa群~打順ベルd群に関する正解打順報知を行う場合に、メイン表示器300に正解打順と第1停止操作に係る押下位置に対応する情報が表示されるが、具体的には、正解打順と第1停止操作に係る押下位置との組合せ毎に操作指示番号が設定されており、メイン表示器300には7セグメント表示によって「01」(打順1かつ第2押下位置)、「02」(打順2かつ第2押下位置)、「03」(打順3かつ第2押下位置)、「04」(打順4かつ第2押下位置)、「05」(打順5かつ第2押下位置)、「06」(打順6かつ第2押下位置)、「07」(打順1かつ第1押下位置)、「08」(打順2かつ第1押下位置)、「09」(打順3かつ第1押下位置)、「10」(打順4かつ第1押下位置)、「11」(打順5かつ第1押下位置)、「12」(打順6かつ第1押下位置)のいずれかの操作指示番号が表示されるようになっている。
【0246】
また本実施形態では、AT制御手段175が、打順ベルe群に関する正解打順報知を行う場合に、メイン表示器300に正解打順に対応する情報が表示されるが、具体的には、正解打順毎に操作指示番号が設定されており、メイン表示器300には7セグメント表示によって「13」(打順3)、「14」(打順4)、「15」(打順5)、「16」(打順6)のいずれかの操作指示番号が表示されるようになっている。
【0247】
また本実施形態では、有利区間であって、演出状態がAT状態ではない場合、打順特殊役群に属する打順特殊役が当選すると特定打順を報知する特定打順報知および入賞補助演出が行われる。なお本実施形態では、有利区間であって、演出状態がAT状態である場合において、打順特殊役に関する特定打順報知および入賞補助演出は行われない。なおAT状態では非特定打順で停止操作が行われても遊技者に不利なペナルティ処理は行われないため、AT状態において打順特殊役の当選時に報知が行われなくても非特定打順で停止操作を行えば確実に14枚小役を入賞させて手持ちのメダルを増やすことができる。
【0248】
また本実施形態では、AT制御手段175が、特定打順報知を行う場合に、メイン表示器300に特定打順に対応する情報が表示されるが、具体的には、特定打順毎に操作指示番号が設定されており、メイン表示器300には7セグメント表示によって「13」(打順3)、「14」(打順4)、「15」(打順5)、「16」(打順6)のいずれかの操作指示番号が表示されるようになっている。なお本実施形態では、いずれの打順特殊役についても打順3、打順4、打順5、および打順6が特定打順となっているので、打順特殊役が当選した遊技で抽選にて定めた任意の操作指示番号がメイン表示器300に表示される。
【0249】
またAT制御手段175は、有利区間において演出状態がAT状態である場合に、内部抽選で弱チェリー、スイカ、チャンス目a、チャンス目b、または強チェリーが当選したことに基づいて上乗せ抽選を行う。上乗せ抽選では、内部抽選のために取得した乱数値をメイン抽選テーブル記憶領域1910に記憶されている上乗せ抽選テーブルと比較して、比較結果に応じて上乗せ抽選に当選したか否かを判定する。上乗せ抽選テーブルでは、上乗せ抽選の実行契機となる当選態様に対応づけられた内部抽選用の乱数値に対して、上乗せ当選またはハズレが割り当てられており、内部抽選のために取得した乱数値が弱チェリー、スイカ、チャンス目a、チャンス目b、または強チェリーのいずれかに対応づけられており、かつ上乗せ抽選テーブルにおいて上乗せ当選に対応づけられている場合に、上乗せ抽選に当選したと判定される。そして本実施形態では、AT制御手段175が、上乗せ抽選で上乗せ当選の抽選結果を得たことに基づいて、ATストック数カウンタ1918に一定値「1」を加算する。
【0250】
そしてAT制御手段175は、アシストタイム遊技が行われる毎に一定値ずつ減算されるATゲーム数カウンタ1919の値が初期値「0」に達すると、AT状態の終了条件が成立したと判断し、演出状態をCZ状態に設定する。なお本実施形態では、AT制御手段175が、演出状態をCZ状態に移行させる際に、CZ状態の終了条件となる遊技回数を50回に設定し、設定された遊技回数である50回に相当する値「50」をCZゲーム数カウンタ1921に設定する。
【0251】
また本実施形態におけるCZ状態では、打順ベルa群~打順ベルe群に属する打順ベルが当選しても正解打順報知や入賞補助演出が行われないため、遊技者の手持ちのメダルが緩やかに減少していく程度(出玉率の期待値が100%未満)のメダルの獲得性能となっている。また本実施形態においてAT状態のメダルの獲得性能は、CZ状態よりも十分に高くなっており、1遊技あたりのメダルの純増枚数が約8枚(出玉率の期待値が約367%)となっている。
【0252】
そしてAT制御手段175は、CZ状態で遊技が行われる毎にCZゲーム数カウンタ1921の値から遊技1回分に相当する一定値「1」を減算し、CZゲーム数カウンタ1921の値が初期値「0」に達すると、CZ状態の終了条件が成立したと判断し、ATストック数カウンタ1918の値に基づいて演出状態の移行先を決定する。具体的には、ATストック数カウンタ1918の値が初期値「0」より大きい値であれば、移行先の演出状態をAT状態に設定し、ATストック数カウンタ1918の値が初期値「0」である場合には、移行先の演出状態をAT低確状態に設定する。
【0253】
なおCZ状態では上記したようにAT抽選が行われるが、このAT抽選においてAT当選の抽選結果が得られてもATストック数カウンタ1918の値が増加するに留まり、有利区間に滞在している状況では少なくともCZ状態の終了条件(CZゲーム数カウンタ1921の値が初期値「0」に達すること)が成立するまでは他の演出状態へ移行することはない。ただし、CZ状態でAT抽選に当選した場合に、AT抽選に当選したことに基づいてCZ状態を終了させるようにしてもよい。
【0254】
また本実施形態では、AT制御手段175が、有利区間移行処理において遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられた第1クリアカウンタ1922の値を所定値「1」に設定して、有利区間では、1回の遊技が行われる毎に第1クリアカウンタ1922の値に1回分の遊技に相当する一定値(例えば、1)を加算するインクリメント更新を行い、第1クリアカウンタ1922の値がしきい値(例えば、1500)を超えた場合(第1クリアカウンタ1922の値が「1501」に達した場合)において有利区間の終了条件が成立したと判断する。本実施形態において第1クリアカウンタ1922の更新は各遊技における回転中のリールが全て停止した後に行われるようになっているが、各遊技において予め定まっていれば、いずれの契機で第1クリアカウンタ1922の更新を行うようにしてもよく、例えば、スタートレバーSLに対する遊技開始操作を更新契機とするようにしてもよい。
【0255】
また本実施形態では、AT制御手段175が、有利区間移行処理において遊技情報記憶手段190aのメインRAMに設けられた第2クリアカウンタ1923の値を初期値「0」に設定して、有利区間では、第2クリアカウンタ1923の値を各遊技でのメダルの差枚数によって更新し、メダルの払出数に相当する値(例えば、13枚のメダルの払い出しがあった場合には「13」とし、いずれの役も入賞せずに払い出しがなかった場合には「0」とする)から遊技に使用されたメダルの投入数(3枚)に相当する値「3」を減算して当該遊技における差枚数の演算結果を求めて、この演算結果を第2クリアカウンタ1923の値に加算する更新処理を行い、第2クリアカウンタ1923の値がしきい値(例えば、2400)を超えた場合にも有利区間の終了条件が成立したと判断する。なお第2クリアカウンタ1923の値は初期値「0」を下回らないように制御され、例えば、遊技開始時における第2クリアカウンタ1923の値が「2」であり、遊技を行った結果、いずれの役も入賞せずにメダルの払い出しがなかった場合には、その遊技における差枚数の演算結果が「-3」となり、第2クリアカウンタ1923の値に差枚数の演算結果を加算すると初期値「0」を下回ってしまうが、更新後の第2クリアカウンタ1923の値は初期値「0」を下限値としてカウントストップされるようになっている。また遊技においてリプレイの入賞があった場合には、リプレイの入賞した遊技で当該遊技の規定投入数に相当するメダルの払い出しがあったものとして取り扱って差枚数を求め、リプレイの入賞によって無償で提供される次回の遊技については実際のメダルの投入は行われていなくても当該遊技の規定投入数に相当するメダルの投入が行われたものとして取り扱って差枚数を求めるようになっている。
【0256】
また有利区間においては、有利区間の終了条件に該当しない限りは、遊技状態または演出状態の移行が発生しても第1クリアカウンタ1922および第2クリアカウンタ1923の更新が行われる。
【0257】
またAT制御手段175は、有利区間の終了に基づいて遊技情報記憶手段190aのメインRAMの所定の記憶領域に記憶されている情報を初期化する初期化処理を行う。特に本実施形態では遊技情報記憶手段190のメインRAMに関して、演出状態記憶領域1917、ATストック数カウンタ1918、ATゲーム数カウンタ1919、CZゲーム数カウンタ1921、第1クリアカウンタ1922、および第2クリアカウンタ1923に記憶されている情報を有利区間の終了に伴う初期化処理によって初期化する。より詳細には、遊技情報記憶手段190aのメインRAMにおける演出状態記憶領域1917、ATストック数カウンタ1918、ATゲーム数カウンタ1919、CZゲーム数カウンタ1921、第1クリアカウンタ1922、および第2クリアカウンタ1923以外の記憶領域を情報保持領域として指定し、メインRAMの情報保持領域以外の記憶領域に記憶されている情報を初期化する。このため有利区間の終了に伴う初期化処理が行われる場合においては、設定変更モードにおける初期化処理が行われる場合とは異なり、設定値記憶領域1913およびクレジット情報記憶領域1914に加えて、抽選フラグ記憶領域1915および遊技状態記憶領域1916についても情報保持領域として指定され、これらの記憶領域に記憶されている情報は、有利区間の終了に伴う初期化処理によっては初期化されずに保持されるようになっている。そして有利区間の終了に伴う初期化処理が行われると、演出状態が非AT状態に初期化されるとともに、ATストック数カウンタ1918、ATゲーム数カウンタ1919、CZゲーム数カウンタ1921、第1クリアカウンタ1922、および第2クリアカウンタ1923の値が初期値(例えば、0)に初期化されて通常区間に復帰するようになっている。
【0258】
そして本実施形態では、有利区間の終了に伴って初期化処理が実行されて通常区間に復帰するため、AT状態に滞在している状況において第1クリアカウンタ1922または第2クリアカウンタ1923の値がしきい値を超えた場合には、有利区間の終了に伴う初期化処理によってAT状態が強制終了して演出状態が非AT状態に初期化されるとともに、ATストック数カウンタ1918、ATゲーム数カウンタ1919、CZゲーム数カウンタ1921、第1クリアカウンタ1922、および第2クリアカウンタ1923の値が初期値(例えば、0)に初期化される。またその他の演出状態に滞在している状況において第1クリアカウンタ1922または第2クリアカウンタ1923の値がしきい値を超えた場合にも、有利区間の終了に伴う初期化処理によって現在滞在している演出状態が強制終了して演出状態が非AT状態に初期化されるとともに、ATストック数カウンタ1918、ATゲーム数カウンタ1919、CZゲーム数カウンタ1921、第1クリアカウンタ1922、および第2クリアカウンタ1923の値が初期値(例えば、0)に初期化される。なお本実施形態では、電源のオン/オフによって演出状態が初期化されることないが、設定変更モードで起動された場合に、設定変更モードにおいて初期化処理が行われた場合にも、演出状態が非AT状態に初期化されるとともに、ATストック数カウンタ1918、ATゲーム数カウンタ1919、CZゲーム数カウンタ1921、第1クリアカウンタ1922、および第2クリアカウンタ1923の値が初期値(例えば、0)に初期化される。
【0259】
また本実施形態では、通常区間での有利区間移行抽選の当選により有利区間が開始されて有利区間内において所定条件下で演出状態をAT状態に設定してアシストタイム遊技を行うようになっているが、AT状態が終了しても有利区間の終了条件が成立していない限りは有利区間が維持されるようになっている。すなわち本実施形態では、AT状態の終了後も有利区間が継続するため、演出状態がAT状態からAT状態とは異なる演出状態に移行しても有利区間に滞在している場合が存在する。
【0260】
またAT制御手段175は、有利区間が開始されたことに基づいて区間表示器SECに内蔵されているLEDを点灯して有利区間に滞在していることを報知し、有利区間の終了に基づいて区間表示器SECに内蔵されているLEDを消灯する制御を行っている。そして本実施形態では通常区間では区間表示器SECに内蔵されているLEDは消灯されているようになっているため、区間表示器SECの点灯状態を確認することで有利区間に滞在しているか否かを判断できるようになっている。
【0261】
そして本実施形態では、AT制御手段175が、第1クリアカウンタ1922の値に基づいて有利区間に滞在していることの報知である有利区間報知を開始または終了させるようになっている。例えば、有利区間に移行することに伴って第1クリアカウンタ1922に所定値「1」が設定された場合に、第1クリアカウンタ1922の値が初期値「0」より大きくなったこと(第1クリアカウンタ1922の値が初期値「0」ではないこと)に基づいて有利区間報知を開始させ、有利区間が終了して通常区間に移行することに伴って第1クリアカウンタ1922の値が初期値「0」に初期化された場合に、第1クリアカウンタ1922の値が初期値「0」となったことに基づいて有利区間報知を終了させる。
【0262】
なお区間表示器SECは、本実施形態のように専用に設ける必要はなく、メイン表示器300と兼用するようにしてもよい。例えば、7セグメント表示器の小数点等を表示するドット表示部の点灯・消灯を切り替えるによって有利区間に滞在しているか否かを示し、通常区間ではドット表示部を消灯し、有利区間ではドット表示部を点灯することで有利区間報知とするようにしてもよい。また有利区間が開始されると区間表示器SECに内蔵されているLEDが点灯して即座に有利区間に滞在していることが報知されるようになっているが、有利区間の開始から所定の遊技回数が消化されるまでは有利区間であることを報知しない非報知区間としたり、有利区間における最初の正解打順報知が実行されるまでは有利区間であることを報知しない非報知区間としたりするようにしてもよい。
【0263】
演出制御手段180は、演出情報記憶手段190bのサブROMに設けられた演出データ記憶領域1926に記憶されている演出データに基づいて、表示装置330(演出装置の一例)を用いて行う表示演出や音響装置340(演出装置の一例)を用いて行う音響演出に関する制御を行う。例えば、メダルの投入やベットボタンB0、スタートレバーSL、ストップボタンB1~B3に対する操作、遊技状態の変動などの遊技イベントの発生に応じてランプやLEDを点灯あるいは点滅させたり、液晶ディスプレイLCDの表示内容を変化させたり、スピーカSPから音を出力させたりすることにより、遊技の進行状況に応じて、遊技を盛り上げたり、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。遊技において実行される演出の内容は、演出情報記憶手段190bのサブROMに設けられたサブ抽選テーブル記憶領域1927に記憶されている演出抽選テーブルを、遊技状態、演出状態、内部抽選の結果等に応じて参照して決定される。なお本実施形態では、サブROMの演出データ記憶領域1926から遊技の進行状況等に応じた画像データをサブRAMに設けられたイメージバッファ1928に読み込んで、イメージバッファ1928に読み込まれた画像データに基づく画像が液晶ディスプレイLCDに出力され、サブROMの演出データ記憶領域1926から遊技の進行状況等に応じたサウンドデータをサブRAMに設けられたサウンドバッファ1929に読み込んで、サウンドバッファ1929に読み込まれたサウンドデータに基づく音がスピーカSPから出力されるようになっている。
【0264】
そして演出制御手段180は、演出状態がAT状態である場合において、打順ベルa群~打順ベルd群に属する打順ベルの当選時に正解打順と第1停止操作に係る押下位置とを報知して15枚小役(小役1~小役20)の入賞を補助する入賞補助演出を表示装置330や音響装置340に実行させる制御を行う。
【0265】
また演出制御手段180は、演出状態がAT状態である場合において、打順ベルe群に属する打順ベルの当選時に正解打順を報知して15枚小役(小役3~小役6、小役9、小役10、小役15、小役16)の入賞を補助する入賞補助演出を表示装置330や音響装置340に実行させる制御を行う。
【0266】
また演出制御手段180は、有利区間であって演出状態がAT状態でない場合(AT低確状態やCZ状態に滞在している場合)には、打順特殊役群に属する打順特殊役の当選時に特定打順における第1停止操作の対象を報知して15枚小役(小役21)の入賞を補助する入賞補助演出を表示装置330や音響装置340に実行させる制御を行う。
【0267】
また演出制御手段180は、AT状態で遊技を行っている場合、またはCZ状態で遊技を行っている場合には、AT状態またはCZ状態が終了するまでの遊技回数の残数を液晶ディスプレイLCD等の表示装置330に表示させる残数表示演出を実行させる制御を行う。残数表示演出では遊技を行うことによってATゲーム数カウンタ1919やCZゲーム数カウンタ1921の値が減算されると、その減算分を反映するように遊技回数の残数も減っていくように表示内容が変更される。
【0268】
また演出制御手段180は、CZ状態において実行されたAT抽選でAT当選の抽選結果を得た場合に、CZ状態の最終遊技(CZゲーム数カウンタ1921の値が初期値「0」となる遊技)までAT状態への移行権利を有していることについての報知を保留し、CZ状態の最終遊技においてATストック数カウンタ1918の値が初期値「0」より大きい場合にはAT状態への移行権利を有していることを報知するAT確定演出を表示装置330や音響装置340に実行させる制御を行う。
【0269】
なお本実施形態の機能ブロック構成は、コンピュータシステム(ゲームシステムを含む)に関しても適用することができる。これらのシステムでは、本実施形態の遊技制御手段100としてコンピュータを機能させるプログラムを、CD、DVD等の情報記憶媒体あるいはインターネット上のWebサーバからネットワークを介してダウンロードすることによって、その機能を実現することができる。また上記コンピュータシステムでは、メダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240等は、キーボードやポインティングデバイス(マウス等)、タッチパネル、あるいはコントローラなどの操作手段に対してそれらの機能を仮想的に割り当てることにより実現することができる。また上記コンピュータシステムでは、リールユニット310、ホッパーユニットHPなどは必須の構成要件ではなく、これらの装置ユニットは、ディスプレイ(表示装置330)に表示出力される画像の制御によってそれらの機能を仮想的に実現することができる。
【0270】
2-2.本実施形態の手法
本実施の形態では、小役の当選態様として、打順特殊役群(打順特殊役1~打順特殊役16)が存在し、打順特殊役が当選した場合において、第1停止操作の押下検出位置が打順特殊役の種類に応じて予め定められた特定押下位置であるか否かに応じて打順特殊役に含まれる15枚小役の入賞の可否が変化するように停止制御の態様を異ならせる手法を採用している。以下では、打順特殊役5が当選した場合を例にとり、図36図39を参照しながら詳細に説明する。
【0271】
まず打順特殊役5の役構成について説明する。図36は、打順特殊役5を構成する小役の種類を示す図である。
【0272】
図36に示すように、打順特殊役5は、15枚小役(小役21)、14枚小役(小役22)、および4種類の1枚小役(小役23、小役29、小役46、小役47)によって構成されており、特定打順は打順3~打順6に設定され、特定押下位置は4番に設定されている。
【0273】
図37は、打順特殊役5が当選した遊技において第1リールR1を第1停止とする態様で停止操作が行われた場合を説明する図である。
【0274】
まず図37(A)に示すように、回転中の第1リールR1に関して、3番のリプレイ図柄「RP」が上段に位置する押下検出位置でストップボタンB1が押下されたとすると、打順特殊役5において第1リールR1を第1停止とする停止操作の順序は非特定打順に該当する。
【0275】
そして本実施の形態では、打順特殊役の当選時に第1停止操作が非特定打順であった場合、個数優先制御によって有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数が最も多くなるように停止位置が決定され、3番の押下検出位置に対する引き込み範囲内に存在する図柄では、ベル図柄1「BL1」を表示させた場合に図柄組合せの個数が7個で最も多くなり、図37(B)に示すように、2番のベル図柄1「BL1」を上段に表示する位置で第1リールR1を停止させる。この第1リールR1が停止した時点で、打順特殊役5に含まれる小役のうち入賞の可能性があるものは、小役22、小役23、および小役46となる。
【0276】
続いて、第2リールR2および第3リールR3を停止させる際には、払出数優先制御によってメダルの払出数が最も多くなるように停止位置が決定される。このため小役22、小役23、および小役46のうち最も配当の高い小役22の入賞が優先され、小役22の入賞形態を構成する図柄については、第2リールR2および第3リールR3において押下検出位置に関わらずに有効ライン上に表示可能な配列となっているため、図37(C)に示すように、小役22が入賞する態様で第2リールR2および第3リールR3が停止する。
【0277】
図38は、打順特殊役5が当選した遊技において第2リールR2を第1停止とする態様で停止操作が行われた場合を説明する図である。
【0278】
まず図38(A)に示すように、回転中の第2リールR2に関して、4番のバー図柄「BAR」が上段に位置する押下検出位置でストップボタンB2が押下されたとすると、打順特殊役5において第2リールR2を第1停止とする停止操作の順序は特定打順に該当する。
【0279】
そして本実施の形態では、打順特殊役の当選時に第1停止操作が特定打順であった場合、第1停止操作の押下検出位置が特定押下位置であるか否かによって制御の態様が異なる。打順特殊役5の特定押下位置は4番であり、図38(A)に示す例では、第1停止操作の押下検出位置が4番であることから特定押下位置に該当し、払出数優先制御によってメダルの払出数が最も多くなるように停止位置が決定される。ここで打順特殊役5に含まれる小役のうちで最も配当が高いのは15枚小役の小役21であり、図38(B)に示すように、3番のスイカ図柄「WM」を中段に表示する位置で第2リールR2が停止する。この第2リールR2が停止した時点で、打順特殊役5に含まれる小役のうち入賞の可能性があるものは、小役21および小役46となる。
【0280】
続いて、第1リールR1および第3リールR3を停止させる際には、払出数優先制御によってメダルの払出数が最も多くなるように停止位置が決定される。このため小役21および小役46のうち最も配当の高い小役21の入賞形態を構成するスイカ図柄「WM」の表示が優先され、小役21の入賞形態を構成するスイカ図柄「WM」については、第1リールR1および第3リールR3において押下検出位置に関わらずに有効ライン上に表示可能な配列となっているため、図38(C)に示すように、小役21が入賞する態様で第1リールR1および第3リールR3が停止する。
【0281】
次に図38(D)に示すように、回転中の第2リールR2に関して、3番のスイカ図柄「WM」が上段に位置する押下検出位置でストップボタンB2が押下されたとすると、この場合にも第2リールR2を第1停止とするので特定打順に該当する。
【0282】
そして図38(D)に示す例では、第1停止操作の押下検出位置が3番であることから特定押下位置には該当せず、個数優先制御によって有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数が最も多くなるように停止位置が決定される。ここで3番の押下検出位置に対する引き込み範囲内に存在する図柄では、スイカ図柄「WM」を表示させた場合に図柄組合せの個数が5個で最も多くなり、図38(E)に示すように、3番のスイカ図柄「WM」を中段に表示する位置で第2リールR2を停止させる。この第2リールR2が停止した時点で、打順特殊役5に含まれる小役のうち入賞の可能性があるものは、小役21および小役46となる。
【0283】
続いて、第1リールR1および第3リールR3を停止させる際には、個数優先制御によって有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数が最も多くなるように停止位置が決定される。このため第1リールR1を2番目に停止させる際には、図柄組合せの個数が2個となるベル図柄1「BL1」またはベル図柄2「BL2」の表示が優先され、第3リールR3を2番目に停止させる際には、図柄組合せの個数が2個となるチェリー図柄「CH」または特殊図柄2「SP2」の表示が優先される。そして第1リールR1では押下検出位置に関わらずにベル図柄1「BL1」またはベル図柄2「BL2」のいずれか一方を有効ライン上に表示可能な配列となっており、第3リールR3では押下検出位置に関わらずにチェリー図柄「CH」または特殊図柄2「SP2」のいずれか一方を有効ライン上に表示可能な配列となっているため、第1リールR1または第3リールR3のいずれかを2番目に停止した時点で小役46のみが入賞可能な状況となり、図38(F)に示すように、小役46が入賞する態様で第1リールR1および第3リールR3が停止する。
【0284】
図39は、打順特殊役5が当選した遊技において第3リールR3を第1停止とする態様で停止操作が行われた場合を説明する図である。
【0285】
まず図39(A)に示すように、回転中の第3リールR3に関して、4番のバー図柄「BAR」が上段に位置する押下検出位置でストップボタンB3が押下されたとすると、打順特殊役5において第3リールR3を第1停止とする停止操作の順序は特定打順に該当する。
【0286】
そして打順特殊役5の特定押下位置は4番であり、図39(A)に示す例では、第1停止操作の押下検出位置が4番であることから特定押下位置に該当し、払出数優先制御によってメダルの払出数が最も多くなるように停止位置が決定される。ここで打順特殊役5に含まれる小役のうちで最も配当が高いのは15枚小役の小役21であり、図39(B)に示すように、2番のスイカ図柄「WM」を下段に表示する位置で第3リールR3が停止する。この第3リールR3が停止した時点で、打順特殊役5に含まれる小役のうち入賞の可能性があるものは、小役21、小役22、および小役47となる。
【0287】
続いて、第1リールR1および第2リールR2を停止させる際には、払出数優先制御によってメダルの払出数が最も多くなるように停止位置が決定される。このため小役21、小役22、および小役47のうち最も配当の高い小役21の入賞形態を構成するスイカ図柄「WM」の表示が優先され、小役21の入賞形態を構成するスイカ図柄「WM」については、第1リールR1および第2リールR2において押下検出位置に関わらずに有効ライン上に表示可能な配列となっているため、図39(C)に示すように、小役21が入賞する態様で第1リールR1および第2リールR2が停止する。
【0288】
次に図39(D)に示すように、回転中の第3リールR3に関して、2番のスイカ図柄「WM」が上段に位置する押下検出位置でストップボタンB3が押下されたとすると、この場合にも第3リールR3を第1停止とするので特定打順に該当する。
【0289】
そして図39(D)に示す例では、第1停止操作の押下検出位置が2番であることから特定押下位置には該当せず、個数優先制御によって有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数が最も多くなるように停止位置が決定される。ここで2番の押下検出位置に対する引き込み範囲内に存在する図柄では、スイカ図柄「WM」を表示させた場合に図柄組合せの個数が7個で最も多くなり、図39(E)に示すように、2番のスイカ図柄「WM」を下段に表示する位置で第3リールR3を停止させる。この第3リールR3が停止した時点で、打順特殊役5に含まれる小役のうち入賞の可能性があるものは、小役21、小役22、および小役47となる。
【0290】
続いて、第1リールR1および第2リールR2を停止させる際には、個数優先制御によって有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの個数が最も多くなるように停止位置が決定される。このため第1リールR1を2番目に停止させる際には、図柄組合せの個数が2個となるチェリー図柄「CH」または特殊図柄2「SP2」の表示が優先され、第2リールR2を2番目に停止させる際には、図柄組合せの個数が2個となるチェリー図柄「CH」、特殊図柄2「SP2」、またはリプレイ図柄「RP」の表示が優先される。なお第3リールR3におけるリプレイ図柄「RP」は14枚小役である小役22の入賞形態を構成する図柄であるが、本実施の形態では、個数が同数である1枚小役の小役47の入賞を優先する。そして第1リールR1および第2リールR2では押下検出位置に関わらずにチェリー図柄「CH」または特殊図柄2「SP2」のいずれか一方を有効ライン上に表示可能な配列となっているため、第1リールR1または第2リールR2のいずれかを2番目に停止した時点で小役47のみが入賞可能な状況となり、図39(F)に示すように、小役47が入賞する態様で第1リールR1および第2リールR2が停止する。
【0291】
以上に述べた本実施の形態によれば、打順特殊役が当選した遊技において、第1停止操作の押下検出位置が特定押下位置であった場合には払出数優先制御でリールの停止位置を決定して15枚小役を入賞可能とし、第1停止操作の押下検出位置が特定押下位置とは異なる場合には個数優先制御でリールの停止位置を決定して15枚小役の入賞を回避する。このように打順特殊役が当選した遊技における15枚小役の入賞の可否が押下検出位置に影響されるため、特定押下位置の設定態様を変えるだけで15枚小役の入賞率をコントロールすることができるようになり、遊技機の設計自由度を向上させることができる。
【0292】
具体的には、本実施の形態では、16種類の打順特殊役に対して固有の特定押下位置が割り当てられており、特定押下位置の設定態様が16種類存在する。そして本実施の形態では、有利区間においてAT状態ではない場合の打順特殊役の当選時に特定打順を報知するが、特定押下位置については遊技者が知ることができない。このため本実施の形態では、打順特殊役の当選時における特定打順での15枚小役の入賞率の期待値を1/16にすることができる。そして特定押下位置の設定態様を本実施の形態よりも少ない構成とすることもでき、例えば、10種類の打順特殊役を設けて、各打順特殊役に2つずつの特定押下位置を固有に割り当てると、10種類の特定押下位置の設定態様を設けることができ、このようにすれば15枚小役の入賞率の期待値を1/10にすることができる。また特定押下位置の設定態様を本実施の形態よりも多い構成とすることもでき、例えば、20種類の打順特殊役を設けて、各打順特殊役に1つずつの特定押下位置を固有に割り当てると、20種類の特定押下位置の設定態様を設けることができ、このようにすれば15枚小役の入賞率の期待値を1/20にすることができる。このように本実施形態の手法によれば、特定押下位置の設定態様によって入賞率の期待値をコントロールすることができるので遊技機の設計自由度が向上する。また本実施の形態では、押下検出位置を利用して制御則を切り替えるようにしているので、出目(停止態様)の設計自由度の向上にも繋がる。
【0293】
本実施形態の手法は、入賞率をコントロールする対象役が、いずれのリールにおいても押下検出位置に関わらずに引き込み可能な入賞形態を示す図柄組合せが設定されている場合に最適であり、特定押下位置で停止操作が行われなかった場合に、個数優先制御で対象役よりも配当の低い役を引き込むことができるような役の組合せで当選することが好ましい。また打順特殊役の構成を決定するに当たって、入賞率をコントロールする対象役と特定押下位置でない場合に入賞させる役を固定できるので、役の数を徒に増やすことなく実現が可能であり、メモリ使用量の節約にも繋がる。
【0294】
なお本実施の形態では、打順特殊役の当選時における第1停止のリールにおいて特定押下位置であるか否かを判断して停止制御の態様を変化させる場合を例にとり説明をしたが、第2停止のリール(2番目に停止するリール)や第3停止のリール(3番目に停止するリール)において特定押下位置であるか否かを判断して停止制御の態様を変化させるようにしてもよい。
【0295】
また本実施の形態では、3本のリールのうち、最初に停止する1本のリールにおいて特定押下位置であるか否かを判断するようにしたが、2本以上の複数のリールにおいて特定押下位置であるか否かを判断して停止制御の態様を変化させるようにしてもよい。
【0296】
また本実施の形態では、特定押下位置であると判断された場合に払出数優先制御を適用し、特定押下位置ではないと判断された場合に個数優先制御を適用した例を説明したが、特定押下位置であると判断された場合に個数優先制御を適用し、特定押下位置ではないと判断された場合に払出数優先制御を適用するようにしてもよい。
【0297】
また本実施の形態で説明した例では、打順特殊役の当選時に第1停止操作が特定打順であるか否かの判断も加わっている。具体的には、第1停止操作が非特定打順である場合には払出数優先制御を行い、第1停止操作が特定打順である場合には、特定押下位置であれば払出数優先制御を行い、特定押下位置でなければ個数優先制御を行っている。しかしながら、本実施の形態のように、特定打順で第1停止操作を行う場合、特定押下位置である場合と特定押下位置ではない場合とにおいて、15枚小役と1枚小役とに共通する図柄を有効ライン上に表示させているため、特定打順における第1停止操作によって停止するリールについては、いずれの制御則を用いても停止結果は同様となる。このため、第1停止操作が非特定打順である場合には第1停止操作に対応するリールについて個数優先制御を行い、第1停止操作が特定打順である場合には第1停止操作に対応するリールについて払出数優先制御を行い、第2停止操作以降に停止するリールついては、第1停止操作が特定打順であって、かつ特定押下位置である場合に引き続き払出数優先制御を行い、第1停止操作が特定打順であって、かつ特定押下位置でない場合に個数優先制御に切り替えるようにしてもよい。
【0298】
また本実施の形態では、打順特殊役の当選時に特定打順を報知するが、特定押下位置については報知をしない場合を例に取り説明をしたが、特定押下位置を報知する態様を採用するようにしてもよい。また有利区間における打順特殊役の特定打順報知については、AT状態ではない場合に行うようにしたが、AT状態においても打順特殊役の特定打順報知を行うようにしてもよい。
【0299】
また本実施の形態では、リールの本数を3本とした場合について説明をしたが、リールの本数を4本とした構成であってもよい。また本実施形態では、1本のリールにつき20コマである場合について説明をしたが、1本のリールにつき21コマであったり、20コマ未満である構成であったりしてもよい。
【0300】
また本実施の形態では、遊技を行う際にメダル等の遊技媒体を投入し、役の入賞によって遊技媒体を払い出すようにした遊技機であったが、遊技媒体を用いずに電子的情報としての遊技価値を消費または付与することによって遊技を行わせるようにしてもよい。例えば、遊技機または遊技機に接続される外部ユニットにおいて遊技者の所有する遊技価値の情報を記憶することができるようにして、遊技価値の数を減算することによって遊技価値を消費することを遊技媒体の投入に置き換え、遊技価値の数を加算することによって遊技価値を付与することを遊技媒体の払い出しに置き換えた構成としてもよい。
【0301】
またAT抽選に関する処理について他の当選態様とは異なる打順特殊役の構成については、以下に説明するような態様での実施でもよい。以下では、図40図42を参照しながら説明する。
【0302】
まず図40は、本例において採用される第1リールR1~第3リールR3の図柄配列を示す図であり、この図柄配列の元で小役A~小役Fを図41に示すように構成する。図41における「ANY」とはリールに配列されているいずれの図柄でも良いことを示している。
【0303】
そして図42(A)に示すように、打順特殊役a~打順特殊役dを設け、これらの打順特殊役は、4種類の13枚小役(小役A~小役D)のうち1種類と、2種類の1枚小役(小役E、小役F)によって構成されている。
【0304】
各打順特殊役に関する停止操作に応じた入賞対象の役は、図42(B)に示す通りであり、各打順特殊役に対して特定打順(打順3~打順6)が設定され、特定打順に沿って停止操作が行われると、13枚小役が入賞し、非特定打順(特定打順とは異なる停止操作の順序)に沿って停止操作が行われると2種類の1枚小役が重複して入賞するようになっている。なお1枚小役が重複して入賞する場合については2枚のメダルが払い出されることになる。
【0305】
そして本例の場合においては、有利区間において演出状態がAT状態とは異なる場合に、非特定打順を報知して1枚小役の入賞を補助し、演出状態がAT状態である場合に、特定打順を報知して13枚小役の入賞を補助する。このようにすることで演出状態がAT状態とは異なる場合における13枚小役の入賞率を下げて、相対的にAT状態でのメダルの獲得率が高くなるような遊技仕様とすることができる。なお有利区間において演出状態がAT状態とは異なる場合(演出状態がAT低確状態またはCZ状態である場合)に、特定打順を報知して13枚小役の入賞を補助し、演出状態がAT状態である場合に、非特定打順を報知して1枚小役の入賞を補助する。
【0306】
AT低確状態またはCZ状態での打順特殊役の当選時におけるAT抽選に関する処理については、特定打順で停止操作が行われた場合にはAT抽選を行い、非特定打順で停止操作が行われた場合にはAT抽選を行わないようにする。すなわち打順特殊役の当選時に関しては1枚小役が入賞する場合にAT抽選を行い、13枚小役が入賞する場合にはAT抽選を行わないようにする。このように演出状態がAT状態とは異なる場合における特定打順で停止操作を行うことの有利性を持たせることで特定打順に沿った停止操作を行うことに対する動機付けを与えることができる。なお特定打順で停止操作が行われた場合(1枚小役が入賞する場合)にはAT抽選を行わず、非特定打順で停止操作が行われた場合(13枚小役が入賞する場合)にはAT抽選を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0307】
BX 収納箱、UD 前面上扉、DD 前面下扉、DW 表示窓、
L1~L3 有効ライン、DS 遊技情報表示部、LCD 液晶ディスプレイ、
SB 設定変更ボタン、KS 設定変更キーシリンダ、
EU 電源ユニット、ES 電源スイッチ、SP スピーカ、
PS リールユニット収納スペース、MAIN メイン基板、SUB サブ基板、
HP ホッパーユニット、MT メダル貯蔵タンク、CB キャッシュボックス、
R1 第1リール、R2 第2リール、R3 第3リール、
B0 ベットボタン、SL スタートレバー、B1~B3 ストップボタン、
MI メダル投入口、MO メダル払い出し口、MP メダル受け皿、
100 遊技制御手段、
103 設定変更手段、105 投入受付手段、110 乱数発生手段、
120 内部抽選手段、130 リール制御手段、140 入賞判定手段、
150 払出制御手段、160 リプレイ処理手段、170 遊技状態制御手段、
180 演出制御手段、
190a 遊技情報記憶手段、1910 メイン抽選テーブル記憶領域、
1911 停止制御テーブル記憶領域、1912 入賞判定テーブル記憶領域、
1913 設定値記憶領域、1914 クレジット情報記憶領域、
1915 抽選フラグ記憶領域、1916 遊技状態記憶領域、
190b 演出情報記憶手段、1925 演出データ記憶領域、
1926 サブ抽選テーブル記憶領域、
1927 イメージバッファ、1928 サウンドバッファ、
210 メダル投入スイッチ、220 ベットスイッチ、230 スタートスイッチ、
240 ストップスイッチ、250 設定変更許可スイッチ、
260 設定変更スイッチ、310 リールユニット、315 リールインデックス、
325 払出メダル検出スイッチ、330 表示装置、340 音響装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42