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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142221
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/16 20060101AFI20230928BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B62B3/16
B62B5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048987
(22)【出願日】2022-03-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・2022年1月18日 まっすぐ段積みできるキャリー第3弾(岐阜プラスチック工業株式会社発行) にて公開 ・2022年1月18日~https://butsuryumarche.shop/shopdetail/000000004610/(物流マルシェ) https://daika.b-smile.jp/products/detail.php?product_id=1820(ダイカオンライン) にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 義久
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050CC01
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG01
(57)【要約】
【課題】台車が上下に段積みされた状態で、下側の台車に対して、上側の台車が横ずれしにくい台車を提供する。
【解決手段】台車1は、積載物を載置するための台部2と、キャスター部3と、を備える。台部2は、横方向に延びて上面が辺支持面41となる梁部42を有する複数の辺部材4と、複数の辺部材4と連結する複数のコーナー部材5とによって構成される。キャスター部3は、各コーナー部材5の下面に取り付けられる。コーナー部材5は、上面が隅支持面56となる横片51と、横片51の外側の端縁から上方に延出する縦片52と、を有する。縦片52は、積載物が外方に移動するのを規制する。横片51は、キャスター部3の車輪部31を収納する凹部54と、車輪部31が移動するのを規制する突出部544と、を有する。突出部544は、凹部54の中心部に形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に延びて上面が辺支持面となる梁部を有する複数の辺部材と、前記複数の辺部材と連結する複数のコーナー部材とによって構成され、積載物を載置するための台部と、
前記各コーナー部材の下面に取り付けられるキャスター部と、を備えた台車において、
前記コーナー部材は、
上面が隅支持面となる横片と、
前記横片の外側の端縁から上方に延出し、前記積載物が外方に移動するのを規制する縦片と、を有し、
前記横片は、
前記キャスター部の車輪部を収納する凹部と、
前記凹部の中心部に形成され、前記車輪部が移動するのを規制する突出部と、を有する、
台車。
【請求項2】
前記凹部の上下方向の長さは、前記縦片の上下方向の長さよりも短い、
請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記台車が上下に段積みされた状態で、下側の台車の縦片の上端の位置は、上側の台車の水平方向における車輪部の最も突出している外周部分の位置よりも高くなるように設けられている、
請求項1または2に記載の台車。
【請求項4】
前記台車が上下に段積みされた状態の移動時に、上側の台車の複数の車輪部のうち、少なくとも一つの車輪部の外周面が下側の台車の縦片の一部に接触するように構成されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の台車。
【請求項5】
前記台車が上下に段積みされた状態の移動時に、下側の台車の凹部と縦片との間には、上側の台車の車輪部が載置されない領域を形成している、
請求項4に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の辺部材と、複数の辺部材を連結するコーナー部材と、コーナー部材の下面に取り付けられる回動自在なキャスター部と、を備えた台車が知られている(例えば特許文献1参照)。辺部材は、横方向に延びて上面が積載物の載置面となる。また、コーナー部材は、上面が積載物の載置面となる。
【0003】
ところで、特許文献1に示す台車にあっては、複数の台車を収納する際に、台車を同じ向きに積み上げて保管していた。しかしながら、特許文献1に示す台車では、台車を積み上げた際に、上側の台車のキャスター部の車輪が回動自在に回転することで、上側の台車が水平方向に移動しやすくなり、下側の台車に対して上側の台車が横ずれしやすいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3189533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、台車が上下に段積みされた状態で、下側の台車に対して上側の台車が横ずれしにくい台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る一形態の台車は、積載物を載置するための台部と、キャスター部と、を備える。前記台部は、横方向に延びて上面が辺支持面となる梁部を有する複数の辺部材と、前記複数の辺部材と連結する複数のコーナー部材とによって構成される。前記キャスター部は、前記各コーナー部材の下面に取り付けられる。前記コーナー部材は、上面が隅支持面となる横片と、前記横片の外側の端縁から上方に延出する縦片と、を有する。前記縦片は、前記積載物が外方に移動するのを規制する。前記横片は、前記キャスター部の車輪部を収納する凹部と、前記車輪部が移動するのを規制する突出部と、を有する。前記突出部は、前記凹部の中心部に形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る台車にあっては、台車が上下に段積みされた状態で、下側の台車に対して上側の台車が横ずれしにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る台車の斜め上方より見た斜視図である。
図2図2は、同上の台車の斜め上方より見た分解斜視図である。
図3図3は、同上の台車の平面図である。
図4図4は、同上の台車の側断面図である。
図5図5は、同上の台車を段積みした状態を示す側断面図である。
図6図6は、同上の台車の凹部とキャスター部の関係を示す概略的な平面図である。
図7図7は、同上の台車のコーナー部材の変形例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、台車に関する。以下、本発明に係る台車を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0010】
一実施形態に係る台車について、図1図5に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、台車1は、台部2と、キャスター部3と、を備える。台部2は、上面に積載物が載置される。図3に示すように、台部2は、平面視矩形状をしており、一辺は概ね30cm~100cmである。平面視における台部2の中央部には、上下に貫通する貫通部20が形成されている。以下では、台車1について、積載物が載置される方を上方とし、その反対を下方としている。また、台車1について、台部2の長辺に沿う方向を長辺方向とし、台部2の短辺に沿う方向を短辺方向としている。本実施形態では、台車1の平面視における形状は、短辺方向の中央を通る長辺方向に沿った線を中心として対称である。また、台車1の平面視における形状は、長辺方向の中央を通る短辺方向に沿った線を中心として対称である。
【0011】
キャスター部3は、コーナー部材5の下面に取り付けられる。図4に示すように、キャスター部3は、車輪部31と、車輪部31を吊り下げ支持する支持部32と、を有する。車輪部31は、車輪軸311と、タイヤ312と、を有する。タイヤ312はゴム製であることが好ましいが、特に限定されない。支持部32は、上片321と、旋回軸323と、を有する。
【0012】
上片321は、矩形板状である。上片321は、コーナー部材5の下面に固定されている。上片321は、旋回軸323の上端が連結される。旋回軸323は、上片321に対して略鉛直の軸回りに旋回する。旋回軸323の両端には、一対の連結片322が下方に延びている。一対の連結片322の下端の間には、略水平に架け渡される車輪軸311が連結される。これにより、連結片322に連結された車輪部31が旋回可能となる。車輪軸311は、車輪部31が回転自在に支持される。キャスター部3は、車輪部31の方向が旋回軸323の軸回りに旋回し、かつ、車輪部31が車輪軸311の軸回りに回転する構造である。
【0013】
図4に示すように、キャスター部3の車輪部31の中心は、旋回軸323の中心軸CL1に対して偏心した中心軸CL2上に位置する。キャスター部3の旋回軸323の中心軸CL1の上には、突出部544の中心軸CL3が位置する。また、キャスター部3の車輪軸311の中心軸CL2上には、後述する凹部54の底面542が位置する。このようなキャスター部3は、従来公知であり、様々な公知のキャスターが適宜利用可能である。
【0014】
台部2は、複数の辺部材4と、複数の辺部材4を連結する複数のコーナー部材5と、を有する。本実施形態では、台部2は、平面視長方形の枠状をしているため、台部2は、四個の辺部材4と、四個のコーナー部材5と、を有している。
【0015】
辺部材4は、横方向(台車1が水平面に載置された状態での水平方向)に延びて上面が積載物を支持する辺支持面41となる梁部42を有する。本実施形態では、台部2は、辺部材4として、長辺に沿う二個の長辺部材43と、短辺に沿う二個の短辺部材44を有する。
【0016】
二個の長辺部材43は、短辺方向の中央を通る長辺方向に沿った線を中心として、互いに反転している点を除いて、同一である。長辺部材43は、アングル材430を有する。アングル材430は、縦片431と、梁部42となる横片432と、を有し、金属により形成される。横片432の上面は、積載物を支持する辺支持面41となる。
【0017】
縦片431は、横片432の外側(平面視における台部2の外端側)の端縁より上方に延出する。縦片431は、横片432の上面に載置される積載物が外方に移動して横片432より落下しないように、積載物が外方に移動するのを規制する規制部(言い換えると落下防止部)として機能する。また、このような縦片431が一体に形成されることにより、積載物が載置される横片432及び台車1全体の曲げ剛性が向上して横片432(台車1)がたわみにくくなると共に、台車1の衝撃に対する強度が向上する。
【0018】
二個の短辺部材44は、長辺方向の中央を通る短辺方向に沿った線を中心として互いに反転している点を除いて、同一である。短辺部材44は、長辺部材43と同様に、アングル材440を有する。アングル材440は、縦片441と、梁部42となる横片442と、を有し、金属により形成される。横片442の上面は、積載物を支持する辺支持面41となる。
【0019】
縦片441は、横片442の外側(平面視における台部2の外端側)の端縁より上方に延出する。縦片441は、横片442の上面に載置される積載物が外方に移動して横片442より落下しないように、積載物が外方に移動するのを規制する規制部(言い換えると落下防止部)として機能する。また、このような縦片441が一体に形成されることにより、積載物が載置される横片442及び台車1全体の曲げ剛性が向上して横片442(台車1)がたわみにくくなると共に、台車1の衝撃に対する強度が向上する。
【0020】
コーナー部材5は、短辺部材44と長辺部材43を連結する。コーナー部材5は、平面視における台部2の四つの角に配置される。
【0021】
コーナー部材5は、短辺方向の中央を通る長辺方向に沿った線を中心として互いに反転している点を除いて、同一である。また、コーナー部材5は、長辺方向の中央を通る短辺方向に沿った線を中心として互いに反転している点を除いて、同一である。コーナー部材5は、横片51と、縦片52と、を有し、樹脂により形成される。
【0022】
図1図3に示すように、横片51は、切欠部53と、凹部54と、を有する。コーナー部材5の横片51は、平面視三角形状をしている。横片51の上面は、積載物を支持する隅支持面56となる。なお、本実施形態では、横片51の隅支持面56(上面)は、直接的に積載物を支持する。
【0023】
コーナー部材5の縦片52は、コーナー部材5の横片51の外側(平面視における台部2の外端側)の端縁より上方に延出する。縦片52は、横片51の上面に載置される積載物が外方に移動して横片51より落下しないように、積載物が外方に移動するのを規制する規制部(言い換えると落下防止部)として機能する。また、このような縦片52が一体に形成されることにより、積載物が載置される横片51及び台車1全体の曲げ剛性が向上して横片51(台車1)がたわみにくくなると共に、台車1の衝撃に対する強度が向上する。なお、本実施形態では、縦片52の規制部(内側面)は、直接的に積載物が外方に移動するのを規制する。
【0024】
縦片52には、下方に開口する溝部55が形成される。具体的には、縦片52のうちの台部2の長辺方向に沿う部分には、下方に開口する溝部55が形成され、この溝部55に長辺部材43の縦片431が挿入される。また、縦片52のうちの台部2の短辺方向に沿う部分には、下方に開口する溝部55が形成され、この溝部55に短辺部材44の縦片441が挿入される。
【0025】
横片51の下面には、辺部材4の梁部42の端部が挿入される切欠部53が形成される。具体的には、横片51の下面のうち、長辺部材43の縦片431が挿入される溝部55に沿う部分には、長辺部材43の横片432が挿入される切欠部53が形成される。また、横片51の下面のうち、短辺部材44の縦片441が挿入される溝部55に沿う部分には、短辺部材44の横片442が挿入される切欠部53が形成される。
【0026】
縦片52の溝部55に辺部材4の縦片431,441が挿入され、コーナー部材5の横片51の切欠部53に辺部材4の横片432,442が挿入された状態で、コーナー部材5を介して辺部材4にリベット(不図示)等を打ち込むことにより、コーナー部材5と辺部材4とが固定される。これにより、台部2が構成される。
【0027】
図4に示すように、横片51の隅支持面56には、凹部54が形成される。凹部54は、隅支持面56の一部に形成される。凹部54は、隅支持面56から一段凹んだ部分である。本実施形態では、凹部54は、平面視において円状である。凹部54は、傾斜面541と、底面542と、貫通孔543と、突出部544と、を有する。凹部54は、横片51の上面に載置される車輪部31を収納するための収納部(車輪収納部)として機能する。
【0028】
凹部54の傾斜面541は、隅支持面56の内周縁から凹部54の中心に向かって傾斜する面である。傾斜面541は、凹曲面となっている。
【0029】
凹部54の底面542は、傾斜面541の下端から水平方向に連続した平面である。底面542は、平面視における円環状である。底面542は、凹部54に収納された車輪部31が載置される。
【0030】
底面542の下方には、上述したように、キャスター部3の車輪軸311が位置する。図6に示すように、旋回軸323の軸回りに旋回する車輪部31は、底面542の円弧状の軌跡に沿って旋回する。これにより、車輪部31を凹部54に収納することができる。
底面542から隅支持面56までの上下の長さ(凹部54の上下方向の長さ)L1は、隅支持面56から縦片52の上端までの上下の長さ(縦片52の上下方向の長さ)L2よりも短い。底面542には、貫通孔543と、突出部544と、が設けられている。
【0031】
凹部54の貫通孔543は、底面542のうち、突出部544以外の一部に形成される。貫通孔543は、底面542を上下に貫通するように形成される。貫通孔543は、例えば、凹部54に溜まった水や砂等を排出するために設けられる。
【0032】
凹部54の突出部544は、底面542の中央部に位置する。突出部544は、底面542から上方に延出している。本実施形態では、突出部544は、円錐台形状である。突出部544は、底面542に載置される車輪部31が外方に移動して凹部54より脱輪しないように、車輪部31が外方に移動するのを規制する規制部(言い換えると脱輪防止部)として機能する。底面542から突出部544の上端までの上下の長さ(突出部544の上下方向の長さ)L3は、凹部54の上下方向の長さL1よりも短い。具体的には、凹部54の上下方向の長さL1に対して突出部544の上下方向の長さL3は、1/2程度である。突出部544は、傾斜面545を有する。
【0033】
突出部544の傾斜面545は、底面542から連続し、径方向内側に向かって上方に傾斜する面である。傾斜面545は、凹曲面となっている。傾斜面545は、底面542に載置された車輪部31のタイヤ312が当接する。
【0034】
突出部544の下方には、上述したように、キャスター部3の上片321に対して車輪部31の方向を旋回可能とする旋回軸323が位置する。これにより、図6に示すように、旋回するキャスター部3の車輪部31が任意の方向を向いていても、車輪部31のタイヤ312が、傾斜面545に接触する。このため、車輪部31が車輪軸311の軸回りに回転するのを規制する。
【0035】
図4に示すように、キャスター部3の車輪部31の下端から車輪軸311までの上下の長さ(車輪部31の半径の長さ)L4は、底面542から縦片441の上端までの上下の長さ(凹部54の上下方向の長さL1+縦片52の上下方向の長さL2)L5よりも短い。つまり、縦片52の上端の位置は、水平方向における車輪部31の最も突出している外周部分の位置よりも高くなるように設けられている。このように、車輪部31が最も突出している外周部分の位置よりも縦片52の上端の位置が高くなるように設けられていることで、車輪部31が台部2よりも外方に移動して脱輪しないように、車輪部31が外方に移動するのを規制する。
【0036】
次に、台車1が段積みされた状態の移動時について説明する。
【0037】
台車1が上下に段積みされた状態で台車1が長手方向に移動すると、上側の台車1の四個の車輪部31が進行方向とは反対側を向くように旋回する。ここで、台車1が上下に段積みされた状態で進行方向を前方とし、その反対側を後方とする。台車1が上下に段積みされた状態で上側の台車1の四個の車輪部が後方を向いて旋回する。このとき、四個の車輪部31のうち、後方の二個の車輪部31の外周部分が下側の台車1の縦片52の一部に接触するように構成されている。台車1が上下に段積みされた状態の移動時に、下側の台車1の縦片52は、下側の台車1の凹部54に収納された上側の台車1の車輪部31が外方に移動して下側の台車1の台部2より脱輪しないように、上側の台車1の車輪部31が外方に移動するのを規制する規制部(言い換えると脱輪防止部)としても機能する。
【0038】
台車1が上下に段積みされた状態で台車1が短手方向に移動すると、上側の台車1の四個の車輪部31が進行方向とは反対側を向くように旋回する。ここで、台車1が上下に段積みされた状態で進行方向を前方とし、その反対側を後方とする。台車1が上下に段積みされた状態の移動時に、上側の台車1の四個の車輪部が後方を向いて旋回する。このとき、四個の車輪部31のうち、後方の二個の車輪部31の外周部分が下側の台車1の縦片52の一部に接触するように構成されている。台車1が上下に段積みされた状態の移動時に、下側の台車1の縦片52は、下側の台車1の凹部54に収納された上側の台車1の車輪部31が外方に移動して下側の台車1の台部2より脱輪しないように、上側の台車1の車輪部31が外方に移動するのを規制する規制部(言い換えると脱輪防止部)としても機能する。
【0039】
台車1が上下に段積みされた状態の移動時に、下側の台車1の横片51には、上側の台車1の車輪部31が載置されない領域57を形成している。上側の台車1の車輪部31が載置されない領域57は、横片51の上面のうち、横片51の上面に形成された凹部54以外の部分である。具体的には、上側の台車1の車輪部31が載置されない領域57は、下側の台車1の凹部54と縦片52との間の部分(上側の台車1の車輪部31が下側の台車1の縦片52の一部に接触した状態で、下側の台車1の凹部54と縦片52との間に形成された上側の台車1の車輪部31が載置されない空間部分)である。
【0040】
以上説明した本実施形態の台車1では、上側の台車1の車輪部31を下側の台車1の凹部54に収納したうえで、下側の台車1の突出部544によって、上側の台車1の車輪部31を移動することを抑えて、下側の台車1に対して、上側の台車1が横ずれしにくくなる。
【0041】
また、本実施形態の台車1では、凹部54は、旋回する車輪部31に沿って形成されているため、車輪部31の向く方向を考慮しなくても凹部54に収納することができる。
【0042】
また、本実施形態の台車1では、突出部544の下方には、キャスター部3の上片321に対して旋回可能となる旋回軸323が位置することで、旋回するキャスター部3の車輪部31が任意の方向を向いていても、傾斜面545に接触するため、車輪部31が車輪軸311の軸回りに回転するのを規制することができる。
【0043】
次に、変形例について説明する。
【0044】
台部2には、上下に貫通する貫通部20が形成されなくてもよい。
【0045】
台部2の形状は、平面視正方形状であってもよいし、平面視矩形状でなくてもよく、特に限定されない。また、台部2及び台車1の形状は、左右対称でなくてもよい。台部2の大きさは、特に限定されない。
【0046】
台部2の全てを樹脂により形成してもよい。また、台部2の全てを金属により形成してもよい。
【0047】
キャスター部3の形状、大きさは限定されない。
【0048】
辺部材4とコーナー部材5とが台部2として一体に形成されてもよい。
【0049】
辺部材4は、アングル材430,440を有するものに限定されず、また、辺部材4の形状、大きさ、材質等も限定されない。
【0050】
コーナー部材5の形状、大きさ、材質等は限定されない。
【0051】
コーナー部材5の凹部54の形状、大きさは限定されず、凹部54は、車輪部31の旋回範囲の大きさに応じた形状であればよい。
【0052】
凹部54の他例を図7に示す。この他例では、側面視における凹部54の底面、つまり底面542が湾曲している。底面542は、車輪部31の外周面に近い形状である。このように、底面542を車輪部31の外周面に近い形状とすることで、台車1が上下に段積みされた状態で、下側の台車1の凹部54に収納された上側の台車1の車輪部31の移動が抑制されて、上側の台車1が横ずれしにくくなる。
【0053】
横片51の上面の車輪部31が載置されない領域57には、隅支持面56から上方に突出する突出部や、隅支持面56から下方に一段凹んだ凹部が設けられてもよい。
【0054】
コーナー部材5の突出部544の形状、大きさは限定されない。
【0055】
突出部544は、凹部54の底面542の中央部に形成されるものに限定されず、突出部544は、少なくとも底面542の一部に形成されていればよい。
【0056】
台車1が上下に段積みされた状態の移動時に、上側の台車1の四個の車輪部31のうち、二個の車輪部31の外周部分が縦片の一部に接触するように構成されていたが、これに限定されず、上側の台車1の四個の車輪部31のうち、少なくとも一個の車輪部31の外周部分が下側の台車1の縦片52の一部に接触するように構成されてもよい。
【0057】
(まとめ)
以上説明した一実施形態及びその変形例の台車1のように、第一態様の台車1は、下記の構成を備える。
【0058】
すなわち、第一態様の台車1は、積載物を載置するための台部2と、キャスター部3と、を備える。台部2は、横方向に延びて上面が辺支持面41となる梁部42を有する複数の辺部材4と、複数の辺部材4と連結する複数のコーナー部材5とによって構成される。キャスター部3は、各コーナー部材5の下面に取り付けられる。コーナー部材5は、上面が隅支持面56となる横片51と、横片51の外側の端縁から上方に延出する縦片52と、を有する。縦片52は、積載物が外方に移動するのを規制する。横片51は、キャスター部3の車輪部31を収納する凹部54と、車輪部31が移動するのを規制する突出部544と、を有する。突出部544は、凹部54の中心部に形成される。
【0059】
上記構成を備える第一態様の台車1では、車輪部31を収納する凹部54と、凹部54の中心部に車輪部31を移動するのを規制する突出部544が設けられることで、下側の台車1に対して上側の台車1の横ずれがしにくい。
【0060】
また、上述した第一実施形態及びその変形例の台車1のように、第二態様の台車1は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0061】
すなわち、第二態様の台車1では、凹部54の上下方向の長さは、縦片52の上下方向の長さよりも短い。
【0062】
上記構成を備える第二態様の台車1では、下側の台車1に対して上側の台車1の横ずれがしにくい。
【0063】
また、上述した一実施形態及びその変形例の台車1のように、第三態様の台車1は、第一又は第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0064】
すなわち、第三態様の台車1では、台車1が上下に段積みされた状態で、下側の台車1の縦片52の上端の位置は、上側の台車1の水平方向における車輪部31の最も突出している外周部分の位置よりも高くなるように設けられている。
【0065】
上記構成を備える第三態様の台車1では、縦片52が車輪部31の最も突出している外周部分の位置よりも高くなるように設けられることで、車輪部31が台部2よりも外方に移動して脱輪しないように、車輪部31が外方に移動するのを規制する。
【0066】
また、上述した第一実施形態及びその変形例の台車1のように、第四態様の台車1は、第一から第三のいずれか1つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0067】
すなわち、第四態様の台車1では、台車1が上下に段積みされた状態の移動時に、上側の台車1の複数の車輪部31のうち、少なくとも一つの車輪部31の外周面が下側の台車1の縦片52の一部に接触するように構成されている。
【0068】
上記構成を備える第四態様の台車1では、上下に台車が1段積みされた状態の移動時に、車輪部31が台部2よりも外方に移動して脱輪しないように、車輪部31が外方に移動するのを規制する。
【0069】
また、上述した第一実施形態及びその変形例の台車1のように、第五態様の台車1は、第四態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0070】
すなわち、第五態様の台車1では、台車1が上下に段積みされた状態の移動時に、下側の台車1の凹部54と縦片52との間には、上側の台車1の車輪部31が載置されない領域57を形成している。
【0071】
上記構成を備える第五態様の台車1では、上下に台車1が段積みされた状態の移動時に、下側の台車1に対して上側の台車1が横ずれしにくく、車輪部31が脱輪しにくい。
【0072】
以上、本開示を添付図面に示す形態に基づいて説明したが、本開示は上記形態の一例にすぎず、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 台車
2 台部
3 キャスター部
31 車輪部
4 辺部材
41 辺支持面
42 梁部
5 コーナー部材
51 横片
52 縦片
54 凹部
56 隅支持面
57 領域
544 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7