(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142237
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】通信装置、及び、通信方法
(51)【国際特許分類】
H04B 1/401 20150101AFI20230928BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H04B1/401
H04L27/26 310
H04L27/26 410
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049028
(22)【出願日】2022-03-24
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5Gに向けたテラヘルツ帯を活用した端末拡張型無線通信システム実現のための研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】湯田 泰明
(72)【発明者】
【氏名】眞木 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 利昭
【テーマコード(参考)】
5K011
【Fターム(参考)】
5K011BA04
5K011DA02
5K011DA12
5K011DA15
5K011DA27
5K011JA01
(57)【要約】
【課題】無線波形を適切に設定する。
【解決手段】通信装置は、信号の送信又は受信に使用する無線周波数帯に応じて、前記信号の無線波形を設定する制御回路と、前記無線波形の設定に基づいて、前記信号の送信又は受信を行う通信回路と、を具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号の送信又は受信に使用する無線周波数帯に応じて、前記信号の無線波形を設定する制御回路と、
前記無線波形の設定に基づいて、前記信号の送信又は受信を行う通信回路と、
を具備する通信装置。
【請求項2】
前記制御回路は、第1の無線周波数帯を使用する場合に、前記無線波形の設定として、前記信号に対するDiscrete Fourier Transform(DFT)処理を行い、前記第1の無線周波数帯より低い第2の無線周波数帯を使用する場合に、前記無線波形の設定として、前記信号に対する前記DFT処理を行わない、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御回路は、第1の無線周波数帯を使用する場合に、前記無線波形の設定として、前記信号に対するCyclic Prefix(CP)の付加を行わず、前記第1の無線周波数帯より低い第2の無線周波数帯を使用する場合に、前記無線波形の設定として、前記信号に対する前記CPの付加を行う、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御回路は、第1の無線周波数帯を使用する場合に、前記無線波形の設定として、前記信号に対するwindowing処理を行わず、前記第1の無線周波数帯より低い第2の無線周波数帯を使用する場合に、前記無線波形の設定として、前記windowing処理を行う、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記制御回路は、第1の無線周波数帯を使用する場合に、前記無線波形の設定として、前記信号に対するInverse Fast Fourier Transform(IFFT)処理を行わず、前記第1の無線周波数帯より低い第2の無線周波数帯を使用する場合に、前記無線波形の設定として、前記信号に対する前記IFFT処理を行う、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記無線周波数帯における通信の伝搬環境に基づいて、前記信号の無線波形を設定する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記無線周波数帯において用いるアンテナ指向性に基づいて、前記信号の無線波形を設定する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
前記制御回路は、前記無線周波数帯において用いるサブキャリア間隔に基づいて、前記信号の無線波形を設定する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
前記制御回路は、前記無線周波数帯において用いるCyclic Prefix(CP)長に基づいて、前記信号の無線波形を設定する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項10】
通信装置は、
信号の送信又は受信に使用する無線周波数帯に応じて、前記信号の無線波形を設定し、
前記無線波形の設定に基づいて、前記信号の送信又は受信を行う、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置、及び、通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
5G NR(New Radio access technology)を始めとするセルラー無線通信において、ベースバンドの無線波形(waveform)を用いた通信が行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP TS 38.300, V15.3.0 “NR; NR and NG-RAN Overall Description; Stage 2 (Release 16)”, 2021-06
【非特許文献2】山崎浩輔,大関武雄,天野良晃,村上隆秀,新保宏之,岸洋司,"PROPOSAL FOR A USER-CENTRIC RAN ARCHITECTURE TOWARDS BEYOND 5G", 信学技報, vol. 121, no. 189, SAT2021-43, pp. 4-10, 2021年10月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、無線波形を適切に設定する方法については検討の余地がある。
【0005】
本開示の非限定的な実施例では、無線波形を適切に設定できる通信装置及び通信方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例に係る通信装置は、信号の送信又は受信に使用する無線周波数帯に応じて、前記信号の無線波形を設定する制御回路と、前記無線波形の設定に基づいて、前記信号の送信又は受信を行う通信回路と、を具備する。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施例によれば、無線波形を適切に設定できる。
【0009】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
5G NRを始めとするセルラー無線通信において、例えば、無線周波数帯(例えば、キャリア周波数、周波数バンドとも呼ぶ)に依らずにシステムで定められるベースバンド無線波形(waveform、信号波形とも呼ぶ)を用いる通信が行われる。
【0013】
例えば、Long Term Evolution(LTE)において、下りリンクの無線波形には、cyclic prefix(CP)を付加するOFDM(以下、「CP-OFDM」と呼ぶ)が用いられ、上りリンクの無線波形には、CPを付加するDFT-S-OFDM(以下、「CP-DFT-S-OFDM」と呼ぶ)が用いられる。また、例えば、5G NRにおいて、下りリンクの無線波形には、CP-OFDMが用いられ、上りリンクの無線波形には、CP-OFDM又はCP-DFT-S-OFDMが用いられる(例えば、非特許文献1を参照)。
【0014】
なお、OFDMはOrthogonal Frequency Division Multiplexingの略であり、DFT-S-OFDMはDiscrete Fourier Transform - spread - OFDMの略である。また、DFT-S-OFDMは、Single Carrier - Frequency Division Multiple Access(SC-FDMA)と称されることもある。
【0015】
6Gシステム(第6世代移動通信システム)では、100GHz以上のテラヘルツ帯(或いは、サブテラヘルツ帯)の電波の活用が検討されている。例えば、非特許文献2では、端末近傍の通信にテラヘルツ波を用いるシステムが提案されている。
【0016】
6Gシステムでは、例えば、テラヘルツ帯に加えて、既存の周波数帯も使用するため、1GHz以下の周波数帯(サブギガ帯)からテラヘルツ帯(例えば300GHz帯)までの多様な無線周波数帯の電波が使用され得る。これら多様な無線周波数帯に対して、同一の無線波形を用いた通信を行うと様々な制限が生じる可能性がある。
【0017】
例えば、OFDMといったマルチキャリア伝送では、周波数選択性フェージング環境下での誤り率特性が良好であり、また、Multiple-Input Multiple Output(MIMO)伝送による高速伝送の実現が期待できる。その一方で、OFDMでは、信号の平均対ピーク電力比(PAPR:Peak to Average Power Ratio)が高く、パワーアンプ入力に対して大きなバックオフを取るため、例えば、パワーアンプの最大出力に対して十分に低い電力での送信が求められる。例えば、高い無線周波帯ほど伝搬減衰が大きく、また、低コストのパワーアンプによる高出力の実現は困難である。このため、無線波形としてOFDMを用いる場合、送信可能な電力が限定的になり、カバーエリアの低下を招きやすい。
【0018】
また、DFT-S-OFDMといったシングルキャリア伝送では、PAPRが低く、パワーアンプ入力に対して大きなバックオフを取らなくてよく、パワーアンプの最大出力に応じた高い電力での送信が可能であるため、広いカバーエリアを実現可能である。その一方で、シングルキャリア伝送では、周波数選択性フェージング環境における誤り率特性が劣化しやすく、スループットが限定的になりやすい。
【0019】
本開示の非限定的な一実施例では、例えば、多様な無線周波数帯のそれぞれにおいて使用する無線波形の信号を適切に設定(又は、生成)する方法について説明する。例えば、通信装置(例えば、基地局及び端末の少なくとも一つ)は、通信に使用する無線周波数帯に応じて無線波形を設定し、設定した無線波形のベースバンド信号を生成してよい。
【0020】
[通信システムの概要]
本開示の一実施の形態に係る通信システムは、少なくとも一つの通信装置100を備える。通信装置100は、例えば、基地局(例えば、gNBとも呼ぶ)でもよく、端末(例えば、user equipment(UE))でもよい。
【0021】
通信装置100は、例えば、複数の無線周波数帯の信号に対して、送信及び受信の少なくとも一つを行ってよい。
【0022】
図1は、通信装置100の一部の構成例を示すブロック図である。
図1に示す通信装置100において、制御部(例えば、制御回路に対応)は、信号の送信又は受信に使用する無線周波数帯に応じて、信号の無線波形を設定する。通信部(例えば、通信回路)は、無線波形の設定に基づいて、信号の送信又は受信を行う。
【0023】
[通信装置の構成例]
図2は、本実施の形態に係る通信装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
図2に示す符号化部101~Windowing処理部108、及び、CP除去部120~復号部127の少なくとも一つは、例えば、
図1に示す制御部に含まれてよい。また、
図2に示すDA変換部109~AD変換部119の少なくとも一つは、例えば、
図1に示す通信部に含まれてよい。
【0025】
<送信処理>
図2において、符号化部101、変調部102、Precoding部103、DFT部104、リソースマッピング部105、Inverse Fast Fourier Transform(IFFT)部106、CP付加部107及びWindowing処理部108の処理を「ベースバンド信号処理」と呼んでよい。また、
図2において、DA変換部109、Low Pass Filter(LPF)110、アップコンバータ(Up-converter(UPC))111、Band Pass Filter(BPF)112、Power Amplifier(PA)113及びデュプレクサ114の処理を「アナログ・radio frequency(RF)処理」と呼んでよい。
【0026】
また、
図2において、DFT部104、リソースマッピング部105、IFFT部106、CP付加部107及びWindowing処理部108は、無線波形を生成する「無線波形生成部150」に含まれてよい。無線波形生成部150に含まれる各構成部の処理は、例えば、図示しない制御部の指示に従って省略されてもよい。例えば、通信装置100(例えば、制御部)は、信号の送信に使用する無線周波数帯(例えば、テラヘルツ帯及びミリ波帯)に応じて、無線波形生成部150に含まれる各構成部の処理を行うか否かを決定してもよい(一例については後述する)。
【0027】
また、
図2において、UPC111、BPF112、PA113及びデュプレクサ114のそれぞれは、送信に使用される無線周波数帯に個別に備えてよい。
図2に示す例では、低周波数帯(例えば、ミリ波帯)に対して、UPC111-1、BPF112-1、PA113-1、及び、デュプレクサ114-1を備え、高周波数帯(例えば、テラヘルツ帯)に対して、UPC111-2、BPF112-2、PA113-2、及び、デュプレクサ114-2を備えてよい。、
【0028】
また、各無線周波数帯において複数のアンテナを用いたMIMO伝送を行う場合、
図2に示すPrecoding部103以降の処理は、アンテナ系統毎に行われてもよい。
【0029】
図2において、符号化部101は、例えば、ターボ符号、Low Density Parity Check(LDPC)符号、及びポーラ符号といった符号化方式を用いて、信号に対して誤り訂正符号化を行う。
【0030】
変調部102は、例えば、符号化後のビット列に対して、Quadrature phase shift keying(QPSK)及び16-Quadrature amplitude modulation(16QAM)といったIQコンスタレーションにマッピングし、変調シンボルを生成する。
【0031】
Precoding部103は、例えば、変調部102から入力される変調シンボルに対して、MIMO送信のためのプリコーディング処理(例えば、変調シンボルへの重みづけ処理)を行う。なお、通信装置100がMIMO送信を行わない場合、Precoding部103は処理を行わなくてよい。
【0032】
DFT部104は、例えば、Precoding部103から入力される信号に対して、DFT処理(DFT spreading又はDFT precodingとも呼ばれる)を行う。
【0033】
リソースマッピング部105は、DFT処理後の信号を、送信に用いる周波数リソース(例えば、サブキャリア又はリソースブロック(RB:Resource Block)へマッピングする。
【0034】
IFFT部106は、例えば、周波数リソースにマッピングされた信号に対してIFFT処理を行う。
【0035】
CP付加部107は、例えば、IFFT後の信号の一部(例えば、OFDMシンボルの後部)のサンプルを先頭へコピーすることにより、CPを付加する。
【0036】
Windowing処理部108は、CP付加後の信号(例えば、OFDMシンボル)に対してwindowing処理を行う。windowing処理は、例えば、OFDMシンボル間の非連続性による帯域外輻射電力を低減するための処理である。windowing処理には、例えば、Root Raised Cosine波形の窓関数を用いてもよい。また、Windowing処理部108は、例えば、隣接OFDMシンボル同士でオーバーラップさせるWOLA(Weighted OverLap and Add)処理を行ってもよい。
【0037】
DA変換部109は、無線波形生成部150(例えば、Windowing処理部108)から入力される信号(無線波形)に対して、デジタル・アナログ変換を行う。
【0038】
LPF110は、例えば、DA変換部109から入力される信号の所望の低域成分を通過させるLPF処理を行う。
【0039】
UPC111は、例えば、LPF110から入力される信号の周波数を送信周波数へアップコンバートする。なお、UPC111は、例えば、複数段のアップコンバータを用いてもよい。
【0040】
BPF112は、例えば、UPC111から入力される信号に対して、所望の帯域成分を通過させるフィルタ処理を行う。
【0041】
PA113は、例えば、BPF112から入力される信号を所望の送信電力へ増幅させる。
【0042】
デュプレクサ114は、送信と受信との切り替えを行う。送信と受信とは、例えば、Time Division Duplex(TDD)フレームの上りリンクと下りリンクとの切り替えタイミングにおいて切り替えられてよい。
【0043】
<受信処理>
図2において、デュプレクサ114、Low Noise Amplifier(LNA)115、BPF116、ダウンコンバータ(Down-converter(DNC))117、LPF118、AD変換部119の処理を「アナログ・RF処理」と呼んでよい。また、
図2において、CP除去部120、Fast Fourier Transform(FFT)部121、リソースデマッピング部122、Inverse Discrete Fourier Transform(IDFT)部123、チャネル推定部124、MIMO受信処理部125、復調部126及び復号部127の処理を「ベースバンド信号処理」と呼んでよい。
【0044】
また、
図2において、CP除去部120、FFT部121、リソースデマッピング部122、IDFT部123、チャネル推定部124及びMIMO受信処理部125は、無線波形に関する処理を行う「無線波形処理部160」に含まれてよい。無線波形処理部160に含まれる各構成部の処理は、例えば、図示しない制御部の指示に従って省略されてもよい。例えば、通信装置100(例えば、制御部)は、信号の受信に使用する無線周波数帯(例えば、テラヘルツ帯及びミリ波帯)に応じて、無線波形処理部160に含まれる各構成部の処理を行うか否かを決定してもよい(一例については後述する)。
【0045】
また、
図2において、デュプレクサ114、LNA115、BPF116、DNC117のそれぞれは、受信に使用される無線周波数帯に個別に備えてよい。
図2に示す例では、低周波数帯(例えば、ミリ波帯)に対して、デュプレクサ114-1、LNA115-1、BPF116-1、及び、DNC117-1を備え、高周波数帯(例えば、テラヘルツ帯)に対して、デュプレクサ114-2、LNA115-2、BPF116-2、及び、DNC117-2を備えてよい。
【0046】
図2において、デュプレクサ114から出力される受信信号はLNA115へ入力される。
【0047】
LNA115は、デュプレクサ114から入力される受信信号を増幅する。
【0048】
BPF116は、LNA115から入力される信号に対して、所望の帯域成分を通過させるフィルタ処理を行う。
【0049】
DNC117は、BPF116から入力される信号の周波数をダウンコンバートする。
【0050】
LPF118は、DNC117から入力される信号の所望の低域成分を通過させるLPF処理を行う。
【0051】
AD変換部119は、LPF118から入力される信号に対して、アナログ・デジタル変換を行う。
【0052】
CP除去部120は、AD変換部119から入力される信号に付加されたCPの除去を行う。
【0053】
FFT部121は、CP除去部120から入力される信号に対して、FFT処理(例えば、時間成分から周波数成分への変換)を行う。
【0054】
リソースデマッピング部122は、FFT部121から入力される信号を用いて、データが割り当てられる周波数リソース(例えば、サブキャリア又はリソースブロック)の信号を抽出する。
【0055】
IDFT部123は、リソースデマッピング部122から入力される信号に対して、IDFT処理を行う。
【0056】
チャネル推定部124は、例えば、FFT後の信号に含まれる参照信号(例えば、reference signal(RS))を用いてチャネル(伝搬路)変動の推定を行う。
【0057】
MIMO受信処理部125は、例えば、チャネル推定部124から入力されるチャネル推定結果に基づいて、IDFT部123から入力される信号に対してチャネル等化を含むMIMO受信処理を行い、多重される各ストリーム信号を検出する。なお、MIMO伝送が行われない場合、MIMO受信処理部は、チャネル等化を行い、ストリーム信号の検出を行わなくてもよい。
【0058】
復調部126は、QPSK及び16QAMといった変調方式によって変調された変調シンボルをビット列へ変換する。
【0059】
復号部127は、LDPC符号といった符号化方式によって符号化されたビット列の復号処理を行う。
【0060】
[通信装置の動作例]
次に、通信装置100の動作例について説明する。
【0061】
一例として、通信装置100の無線波形生成部150の動作例について説明する。
【0062】
無線波形生成部150の各処理部(例えば、DFT部104、IFFT部106、CP付加部107、及び、Windowing処理部108)の動作の有無は、送信に使用される無線周波数帯に応じて設定されてよい。例えば、無線波形生成部150の各処理部の動作は、送信に使用される無線周波数帯に応じて異なってもよい。よって、例えば、送信に使用される無線周波数帯に応じて、無線波形生成部150において生成される無線波形は異なってよい。
【0063】
以下では、一例として、通信装置100が送信に使用する無線周波数帯として、テラヘルツ波(例えば、高周波数帯の一例)、及び、ミリ波(例えば、低周波数帯の一例)を用いる場合について説明する。
【0064】
例えば、無線波形生成部150は、テラヘルツ波を使用する場合に、無線波形の設定として、送信信号に対するIFFT処理を行わず、ミリ波を使用する場合に、無線波形の設定として、送信信号に対するIFFT処理を行ってよい。これにより、テラヘルツ波を使用する場合には、サブキャリアを用いない伝送となり、ミリ波を使用する場合には、サブキャリアを用いる伝送となる。よって、テラヘルツ波を使用する場合には、ミリ波を使用する場合と比較して、PAPRの低減が可能となる。
【0065】
また、例えば、無線波形生成部150は、テラヘルツ波を使用する場合に、無線波形の設定として、送信信号に対するDFT処理を行い、ミリ波を使用する場合に、無線波形の設定として、送信信号に対するDFT処理を行わなくてよい。これにより、テラヘルツ波を使用する場合には、マルチキャリア伝送となり、ミリ波を使用する場合には、シングルキャリア伝送となる。よって、ミリ波を使用する場合には、テラヘルツ波を使用する場合と比較して、PAPRの低減が可能となる。
【0066】
また、例えば、無線波形生成部150は、テラヘルツ波を使用する場合に、無線波形の設定として、送信信号に対するCPの付加を行わず、ミリ波を使用する場合に、無線波形の設定として、送信信号に対するCPの付加を行ってよい。これにより、ミリ波を使用する場合には、テラヘルツ波を使用する場合と比較して、CP付加により遅延波(マルチパス)に対する耐性が向上する。
【0067】
また、例えば、無線波形生成部150は、テラヘルツ波を使用する場合に、無線波形の設定として、送信信号に対するwindowing処理を行わず、ミリ波を使用する場合に、無線波形の設定として、windowing処理を行ってよい。これにより、ミリ波を使用する場合には、テラヘルツ波を使用する場合と比較して、帯域外輻射電力が低減される(或いは、より狭い帯域への輻射となる)。
【0068】
図3は、無線波形生成部150の各処理部(例えば、DFT部104、IFFT部106、CP付加部107、及び、Windowing処理部108)の動作の有無の例(動作例1~4)を示す。
【0069】
図3において、「〇」は、該当する処理部が動作を実施することを表し、「×」は、該当する処理部が動作を実施しないことを表す。
【0070】
<動作例1>
動作例1では、例えば、DFT処理は実施されず、IFFT処理、CP付加及びWindowing処理は実施される。
【0071】
動作例1では、DFT処理が実施されず、IFFT処理が実施されることにより、周波数領域のリソース(例えば、サブキャリア)にマッピングされたデータ信号が時間領域信号へ変換されて送信される。よって、動作例1では、通信装置100は、送信信号をOFDM信号(例えば、マルチキャリア信号)として送信する。
【0072】
また、動作例1では、CP付加により遅延波(マルチパス)に対する耐性が向上し、windowing処理により帯域外輻射電力が低減される。
【0073】
なお、動作例1では、マルチキャリア伝送であるので、シングルキャリア伝送と比較して、PAPRが高く、送信出力が制限されやすい。このため、動作例1は、例えば、伝搬減衰がより小さいケース、遅延分散がより大きいケース、或いは、使用可能な周波数帯域がより限定的である可能性のあるケースへの適用が好ましい。このため、動作例1は、例えば、無線周波数が低い場合に適用されてよい。
【0074】
<動作例2>
動作例2では、DFT処理、IFFT処理、CP付加、及び、Windowing処理の全てが実施される。
【0075】
動作例2では、IFFT処理の前にDFT処理が行われることにより、各サブキャリアにマッピングされたデータ信号の周波数成分が時間領域信号へ再び変換される。よって、動作例2では、通信装置1は、送信信号をシングルキャリア信号として送信する。
【0076】
また、動作例2では、CP付加により遅延波(マルチパス)に対する耐性が向上し、windowing処理により帯域外輻射電力が低減される(或いは、より狭い帯域への輻射となる)。
【0077】
動作例2は、例えば、遅延分散がより大きいケース、或いは、使用可能な周波数帯域がより限定的である可能性のあるケースへの適用が好ましい。また、動作例2は、シングルキャリア伝送であるため、マルチキャリア伝送と比較して、PAPRを抑制できるので、動作例1と比較して、無線周波数がより高い場合に適用されてよい。
【0078】
<動作例3>
動作例3では、DFT処理及びIFFT処理が実施され、CP付加及びWindowing処理は実施されない。
【0079】
動作例3では、動作例2と同様にシングルキャリア伝送となる。また、動作例3では、CP付加及びWindowing処理が行われないため、遅延波(マルチパス)に対する耐性が低く、帯域外輻射電力が大きくなりやすい(或いは、より広い帯域への輻射となりやすい)。このため、動作例3は、遅延分散がより小さいケース、或いは、使用可能な周波数帯域がより広いケースへの適用が好ましい。
【0080】
よって、動作例3は、動作例1及び動作例2と比較して、無線周波数がより高い場合に適用されてよい。
【0081】
<動作例4>
動作例4では、DFT処理、IFFT処理、CP付加、及び、Windowing処理の何れの処理も実施されない。
【0082】
よって、動作例4では、通信装置100は、データ信号を時間領域の信号系列としてそのまま送信する。このため、動作例4では、送信信号は、CP付加及びwindowing処理が行われないシングルキャリア信号となる。
【0083】
また、動作例4では、動作例3と同様、遅延波(マルチパス)に対する耐性が低く、帯域外輻射電力が大きくなりやすい(或いは、より広い帯域への輻射となりやすい)。このため、動作例4は、遅延分散がより小さいケース、或いは、使用可能な周波数帯域がより広いケースへの適用が好ましい。よって、動作例4は、動作例1及び動作例2と比較して、無線周波数がより高い場合に適用されてよい。
【0084】
また、動作例4は、DFT処理及びIFFT処理を行わない、例えば、サブキャリアを用いた伝送ではないため、動作例3と比較して、PAPRを低減可能である。よって、動作例4は、例えば、動作例3と比較して、無線周波数が高い場合に適用されてよい。
【0085】
また、動作例4は、DFT処理及びIFFT処理を行わないため、消費電力の低減が可能である。例えば、信号帯域幅が広帯域であるほど、DFT処理及びIFFT処理の消費電力が高くなりやすい。よって、動作例4は、動作例1~3と比較して、より広帯域の帯域幅が使用され得る無線周波数が高い場合に適用されてよい。
【0086】
以上、動作例1~4について説明した。
【0087】
一例として、無線波形生成部150は、ミリ波(例えば、24GHz~72GHz)の無線周波数帯を使用する場合には動作例1の処理により無線波形を生成し、テラヘルツ波(例えば、100GHz以上)の無線周波数帯を使用する場合には動作例2~4の何れかの処理により無線波形を生成してよい。
【0088】
または、無線波形生成部150は、例えば、ミリ波の無線周波数帯を使用する場合には動作例1又は動作例2の処理により無線波形を生成し、テラヘルツ波の無線周波数帯を使用する場合には動作例3又は動作例4の処理により無線波形を生成してよい。
【0089】
または、無線波形生成部150は、例えば、サブ6GHz帯(例えば、100MHz~6GHz)の無線周波数を使用する場合には動作例1の処理により無線波形を生成し、ミリ波の無線周波数帯を使用する場合には動作例2の処理により無線波形を生成し、テラヘルツ波の無線周波数帯を使用する場合には動作例3又は動作例4の処理により無線波形を生成してよい。
【0090】
なお、送信に使用される無線周波数帯と、当該無線周波数帯において用いる無線波形(例えば、
図3に示す動作例1~4の何れかによって生成される無線波形)との関連付けは、上述した例に限定されず、他の関連付けでもよい。
【0091】
例えば、無線波形生成部150は、送信に使用する無線周波数が高いほど、
図3に示す動作例1~4のうち高い番号の動作例に従って無線波形を生成してもよい。
【0092】
このように、本実施の形態では、通信装置100は、送信に使用する周波数帯(例えば、キャリア周波数)に応じて、送信信号の無線波形を設定する。これにより、通信装置100は、送信に使用する無線周波数帯に適した無線波形を用いてデータ信号の伝送が可能になるので、スループット及びカバレッジ性能の向上が可能である。
【0093】
また、通信装置100は、例えば、
図3に示すように、無線波形生成部150の各処理部における処理の有無(On又はOff)を、送信に使用する無線周波数帯(又は、生成する無線波形)に応じて切り替える。このため、通信装置100では、無線波形を生成するための処理部(例えば、無線波形生成部150)は、異なる複数の無線周波数帯に対して共通化される。よって、本実施の形態によれば、通信装置100は、例えば、無線周波数帯に個別の処理部を備えなくてよく、構成を簡易化できる。また、通信装置100は、無線周波数帯に応じた処理の有無の切替により、簡素な処理によって、使用する無線周波数帯に適した無線波形の生成が可能になる。
【0094】
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
【0095】
(変形例1)
変形例1では、通信装置100における通信(使用する無線周波数帯における通信)の伝搬環境に基づいて無線波形(例えば無線波形生成部150の動作)が設定されてもよい。
【0096】
例えば、通信システムにおいて想定される伝搬環境として、見通し環境(LOS:Line of Sight)では、伝搬減衰は少なく、また、遅延波(マルチパス)の遅延量は小さく数も少ない傾向にある。
【0097】
その一方で、通信システムにおいて想定される伝搬環境として、見通し外環境(NLOS:Non Line of Sight)では、回折波又は反射波による通信となるため、伝搬減衰は大きく、また、遅延波の遅延量は大きく数も多い傾向にある。
【0098】
このため、例えば、通信装置100は、見通し環境ではマルチキャリア(OFDM)伝送である動作例1によって無線波形を生成し、見通し外環境ではシングルキャリア伝送である動作例2~4の何れかによって無線波形を生成してもよい。
【0099】
または、通信装置100は、例えば、見通し環境では、上述した無線周波数の高い場合の動作例(例えば、
図3において番号がより高い動作例)を適用し、見通し外環境では、上述した無線周波数の低い場合の動作例(例えば、
図3において番号がより低い動作例)を適用してもよい。
【0100】
換言すると、通信装置100は、見通し環境では、上述したテラヘルツ波を使用する場合と同様の動作を行い、見通し外環境では、上述したミリ波を使用する場合と同様の動作を行ってもよい。
【0101】
<変形例2>
変形例2では、通信装置100が使用する無線周波数帯において用いるアンテナ指向性に基づいて無線波形(例えば、無線波形生成部150)の動作が設定されてもよい。
【0102】
例えば、アンテナ指向性が強いほど(例えば、生成されるビームが細いほど)、通信装置100は、より大きな送信電力(アンテナからの放射電力)で送信可能である。また、例えば、アンテナ指向性が強いほど、遅延波の遅延量は小さく数も少なくなる傾向にある。
【0103】
このため、例えば、通信装置100は、アンテナ指向性が強い場合(又は、強い指向性アンテナを用いる場合)には、マルチキャリア(OFDM)伝送である動作例1によって無線波形を生成し、アンテナ指向性が弱い場合(又は、弱い指向性アンテナを用いる場合)には、シングルキャリア伝送である動作例2~4の何れかによって無線波形を生成してもよい。
【0104】
または、通信装置100は、例えば、アンテナ指向性が強い場合には、上述した無線周波数の高い場合の動作例(例えば、
図3において番号がより高い動作例)を適用し、アンテナ指向性が弱い場合には、上述した無線周波数の低い場合の動作例(例えば、
図3において番号がより低い動作例)を適用してもよい。
【0105】
換言すると、通信装置100は、アンテナ指向性が強い場合には、上述したテラヘルツ波を使用する場合と同様の動作を行い、アンテナ指向性が弱い場合には、上述したミリ波を使用する場合と同様の動作を行ってもよい。
【0106】
なお、アンテナ指向性はアンテナゲインとして表されてもよい。例えば、通信装置100は、アンテナゲインが閾値以上の場合にアンテナ指向性が強いと判断し、アンテナゲインが閾値未満の場合にアンテナ指向性が弱いと判断してもよい。例えば、通信装置100は、アンテナゲインに応じて、無線波形を生成する動作を設定してもよい。
【0107】
<変形例3>
変形例3では、通信装置100が使用する無線周波数帯において用いるサブキャリア間隔(SCS:Subcarrier Spacing)に基づいて無線波形(例えば、無線波形生成部150の動作)が設定されてもよい。
【0108】
例えば、サブキャリア間隔が狭いほど、OFDMシンボル長が長く、長いCPの使用が可能となる。その一方で、サブキャリア間隔が広いほど、OFDMシンボル長が短く、長いCPの使用が困難になりやすい。
【0109】
このため、例えば、通信装置100は、サブキャリア間隔が狭い場合(例えば、サブキャリア間隔が閾値未満の場合)には、CPを付加する動作例1又は動作例2によって無線波形を生成し、サブキャリア間隔が広い場合(例えば、サブキャリア間隔が閾値以上の場合)には、CPを付加しない動作例3又は動作例4によって無線波形を生成してもよい。
【0110】
例えば、通信装置100は、サブキャリア間隔が広い場合には、上述したテラヘルツ波を使用する場合と同様の動作を行い、サブキャリア間隔が狭い場合には、上述したミリ波を使用する場合と同様の動作を行ってもよい。
【0111】
または、通信装置100は、例えば、サブキャリア間隔が広い場合には、動作例1の変形として、CP付加を行わない動作(例えば、DFT処理及びCP付加が実施されず、IFFT処理及びwindowing処理が実施される処理)によって無線波形を生成してもよい。
【0112】
<変形例4>
変形例4では、通信装置100が使用する無線周波数帯において用いるCP長に基づいて無線波形(例えば、無線波形生成部150の動作)が設定されてもよい。
【0113】
例えば、遅延波(マルチパス)の遅延量の大きい伝搬環境ほど、長いCP長が使用されやすく、遅延量の小さい伝搬環境ほど、短いCP長が使用されやすい。
【0114】
このため、例えば、変形例1と同様の理由により、通信装置100は、CP長が長い場合(例えば、CP長が閾値以上の場合)には、マルチキャリア(OFDM)伝送である動作例1によって無線波形を生成し、CP長が短い場合(例えば、CP長が閾値未満の場合)には、シングルキャリア伝送である動作例2~4の何れかによって無線波形を生成してもよい。
【0115】
例えば、通信装置100は、CP長が短い場合には、上述したテラヘルツ波を使用する場合と同様の動作を行い、CP長が長い場合には、上述したミリ波を使用する場合と同様の動作を行ってもよい。
【0116】
以上、変形例1~4について説明した。
【0117】
なお、上述した実施の形態、及び、変形例1~4の少なくとも2つを組み合わせてもよい。例えば、各周波数帯において適用される無線波形は、伝搬環境又は通信装置100の設定(例えば、アンテナゲイン、サブキャリア間隔又はCP長)といった所定の条件に応じて設定(又は、切り替え、変更)されてもよい。
【0118】
例えば、実施の形態1で説明した、使用される無線周波数帯と、変形例1で説明した伝搬環境との組み合わせに応じて、無線波形を決定してもよい。例えば、通信装置100は、ミリ波を用いる場合の見通し環境と見通し外環境と、テラヘルツ波を用いる場合の見通し環境と見通し外環境とでそれぞれ異なる無線波形を生成してもよい。
【0119】
また、
図3において、動作例1は「OFDM(又は、CP OFDM)」、動作例2及び動作例3は「DFT-S-OFDM」或いは「SC-FDMA」、動作例4は「Single Carrier(SC)」と呼んでもよい。また、動作例2は「CP DFT-S-OFDM」又は「CP SC-FDMA」と呼び、動作例3は「CP-less DFT-S-OFDM」又は「CP-less SC-FDMA」と呼んでもよい。
【0120】
また、ミリ波帯は「Frequency range 2(FR2)」の周波数と読み替えてもよい。また、サブ6GHz帯は「Frequency range 1(FR1)」の周波数と読み替えてもよい。
【0121】
また、無線周波数はキャリア周波数と呼ぶこともある。
【0122】
また、通信装置100が使用する周波数帯の個数は、2個又は3個に限定されず、4個以上の周波数帯でもよい。例えば、無線波形生成部150は、4個以上の周波数帯のそれぞれにおいて生成する無線波形を、周波数帯に個別に設定してもよい。周波数帯は、例えば、3GPP TS38.104 V17.4.0に記載のOperating band(n1やn2など)であってもよい。
【0123】
また、上記実施の形態では、通信装置100の送信側の動作について説明したが、通信装置100は、受信側(例えば、無線波形処理部160)においても、受信に使用する無線周波数帯に応じて、無線波形処理を行ってもよい。例えば、通信装置100は、受信する信号に使用される無線周波数帯に応じて、信号に適用される無線波形を判断(又は、想定)してよい。例えば、
図3に示す動作例1の場合、無線波形処理部160は、CP除去、FFT処理を実施し、IDFT処理を実施しなくてもよい。また、例えば、
図3に示す動作例2の場合、無線波形処理部160は、CP除去、FFT処理、及び、IDFT処理を実施してよい。また、例えば、
図3に示す動作例3の場合、無線波形処理部160は、CP除去を実施せず、FFT処理及びIDFT処理を実施してよい。また、例えば、
図3に示す動作例4の場合、無線波形処理部160は、CP除去、FFT処理及びIDFT処理を実施しなくてよい。
【0124】
また、通信装置100において、送信及び受信にそれぞれ使用する周波数帯、又は、周波数帯の個数は異なってもよい。
【0125】
また、
図3に示す動作例は一例であって、無線波形生成部150の動作は、
図3に示す動作に限定されない。例えば、無線波形生成部150は、DFT処理及びwindowing処理を実施せずに、IFFT処理及びCP付加を実施してもよい。または、例えば、無線波形生成部150は、DFT処理、CP付加及びwindowing処理を実施せずに、IFFT処理を実施してもよい。
【0126】
また、windowing処理の代わりに、filtering処理が行われてもよいし、周波数帯域を限定するための他の波形成形処理でもよい。
【0127】
また、上記実施の形態では、無線周波数帯の例として、テラヘルツ波及びミリ波について説明したが、これに限定されず、通信装置100における送信又は受信に使用される周波数帯は、他の周波数帯でもよく他の周波数帯の組み合わせでもよい。
【0128】
また、
図2に示すベースバンド処理を行う構成(例えば、符号化部101、変調部102、Precoding部103、DFT部104、リソースマッピング部105、IFFT部106、CP付加部107及びWindowing部108、CP除去部120、FFT部121、リソースデマッピング部122、IDFT部123、チャネル推定部124、MIMO受信処理部125、復調部126及び復号部127)は一例であり、これに限定されない。例えば、
図2に示すベースバンド処理を行う構成の一部は備えなくてもよく、また、他の構成部が含まれてもよい。
【0129】
また、通信装置100において、各周波数帯で使用する無線波形の設定(又は、設定の有無)は、通信装置100に対して他の装置から明示的又は暗黙的に通知(又は、設定)されてもよく、通信装置100に予め設定されてもよく、規格において予め規定されてもよい。
【0130】
基地局は、gNodeB又はgNBと称されてよい。また、端末は、UEと称されてもよい。
【0131】
また、上述した実施の形態における「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0132】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0133】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0134】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0135】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置は無線送受信機(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信機は受信部と送信部、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信機(送信部、受信部)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0136】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0137】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0138】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0139】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0140】
本開示の一実施例に係る通信装置は、信号の送信又は受信に使用する無線周波数帯に応じて、前記信号の無線波形を設定する制御回路と、前記無線波形の設定に基づいて、前記信号の送信又は受信を行う通信回路と、を具備する。
【0141】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、第1の無線周波数帯を使用する場合に、前記無線波形の設定として、前記信号に対するDiscrete Fourier Transform(DFT)処理を行い、前記第1の無線周波数帯より低い第2の無線周波数帯を使用する場合に、前記無線波形の設定として、前記信号に対する前記DFT処理を行わない。
【0142】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、第1の無線周波数帯を使用する場合に、前記無線波形の設定として、前記信号に対するCyclic Prefix(CP)の付加を行わず、前記第1の無線周波数帯より低い第2の無線周波数帯を使用する場合に、前記無線波形の設定として、前記信号に対する前記CPの付加を行う。
【0143】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、第1の無線周波数帯を使用する場合に、前記無線波形の設定として、前記信号に対するwindowing処理を行わず、前記第1の無線周波数帯より低い第2の無線周波数帯を使用する場合に、前記無線波形の設定として、前記windowing処理を行う。
【0144】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、第1の無線周波数帯を使用する場合に、前記無線波形の設定として、前記信号に対するInverse Fast Fourier Transform(IFFT)処理を行わず、前記第1の無線周波数帯より低い第2の無線周波数帯を使用する場合に、前記無線波形の設定として、前記信号に対する前記IFFT処理を行う。
【0145】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記無線周波数帯における通信の伝搬環境に基づいて、前記信号の無線波形を設定する。
【0146】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記無線周波数帯において用いるアンテナ指向性に基づいて、前記信号の無線波形を設定する。
【0147】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記無線周波数帯において用いるサブキャリア間隔に基づいて、前記信号の無線波形を設定する。
【0148】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記無線周波数帯において用いるCyclic Prefix(CP)長に基づいて、前記信号の無線波形を設定する。
【0149】
本開示の一実施例に係る通信方法において、通信装置は、信号の送信又は受信に使用する無線周波数帯に応じて、前記信号の無線波形を設定し、前記無線波形の設定に基づいて、前記信号の送信又は受信を行う。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本開示の一態様は、無線通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0151】
100 通信装置
101 符号化部
102 変調部
103 Precoding部
104 DFT部
105 リソースマッピング部
106 IFFT部
107 CP付加部
108 Windowing処理部
109 DA変換部
110,118 LPF
111 UPC
112,116 BPF
113 PA
114 デュプレクサ
115 LNA
117 DNC
119 AD変換部
120 CP除去部
121 FFT部
122 リソースデマッピング部
123 IDFT部
124 チャネル推定部
125 MIMO受信処理部
126 復調部
127 復号部