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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142238
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】通信装置、及び、通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/401 20150101AFI20230928BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H04B1/401
H04L27/26 310
H04L27/26 410
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049029
(22)【出願日】2022-03-24
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5Gに向けたテラヘルツ帯を活用した端末拡張型無線通信システム実現のための研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞木 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】西尾 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】湯田 泰明
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 利昭
【テーマコード(参考)】
5K011
【Fターム(参考)】
5K011BA04
5K011DA02
5K011DA06
5K011DA12
5K011DA15
5K011DA27
5K011JA01
(57)【要約】
【課題】無線通信の性能を向上する。
【解決手段】通信装置は、条件に応じて、第1の無線周波数帯を用いる第1の通信、及び、第1の無線周波数帯より低い第2の無線周波数帯を用いる第2の通信のそれぞれの有効化及び無効化を設定する制御回路と、有効化及び無効化の設定に従って、第1の通信又は第2の通信を行う通信回路と、を具備する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
条件に応じて、第1の無線周波数帯を用いる第1の通信、及び、前記第1の無線周波数帯より低い第2の無線周波数帯を用いる第2の通信のそれぞれの有効化及び無効化を設定する制御回路と、
前記有効化及び無効化の設定に従って、前記第1の通信又は前記第2の通信を行う通信回路と、
を具備する通信装置。
【請求項2】
前記条件は、前記通信装置に設定される無線通信に関するパラメータに基づく、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記パラメータは、通信帯域幅、無線波形、送信電力、サブキャリア間隔、シンボル長、及び、変調符号化方式の少なくとも一つを含む、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記条件は、前記通信装置の伝搬特性に基づく、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記伝搬特性は、前記通信装置における通信が見通し環境であるか否かであり、
前記制御回路は、前記見通し環境である場合に、前記第1の通信の有効化を設定し、前記見通し環境ではない場合に、前記第2の通信の有効化を設定する、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記伝搬特性は、前記通信装置における通信の遅延波の遅延量または遅延分散量であり、
前記制御回路は、前記遅延量または前記遅延分散量が閾値以上の場合に、前記第1の通信の有効化を設定し、前記遅延量または前記遅延分散量が閾値未満の場合に、前記第2の通信の有効化を設定する、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項7】
前記条件は、前記通信装置におけるアンテナゲインに基づき、
前記制御回路は、前記アンテナゲインが閾値以上の場合に前記第1の通信の有効化を設定し、前記アンテナゲインが閾値未満の場合に前記第2の通信の有効化を設定する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
前記条件は、キャリアセンスの結果に基づき、
前記制御回路は、前記第1の無線周波数帯及び前記第2の無線周波数帯のうち、前記キャリアセンスによって使用可能と判断された無線周波数帯に対応する通信の有効化を設定する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
前記通信装置は、端末であり、
前記条件は、基地局からの指示に基づく、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項10】
前記通信装置は、端末であり、
前記条件は、前記通信装置に設定される無線通信に関するパラメータ、前記通信装置の伝搬特性、前記通信装置におけるアンテナの指向性、キャリアセンスの結果、及び、基地局からの指示の少なくとも一つに基づく、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項11】
前記制御回路に含まれるベースバンド処理を行う回路は、前記第1の通信及び前記第2の通信に共通する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項12】
前記制御回路は、前記第1の無線周波数帯に対応する信号を生成する第1の局部発振器と、前記第2の無線周波数帯に対応する信号を生成する第2の局部発振器とを含む、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項13】
前記制御回路は、前記第1の無線周波数帯に対応する第1の信号を生成する第1の局部発振器と、前記第2の無線周波数帯に対応する第2の信号を生成する第2の局部発振器とを含み、
前記第2の無線周波数帯に対応するアップコンバータは、前記第1の通信及び前記第2の通信に共通し、
前記第1の信号は、前記第1の無線周波数帯と前記第2の無線周波数帯との差分の周波数に対応する、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項14】
前記制御回路は、前記第1の無線周波数帯に対応する第1の信号を生成する局部発振器と、前記第1の信号の周波数を分周して、前記第2の無線周波数帯に対応する第2の信号を生成する分周器とを含む、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項15】
前記制御回路は、前記第1の無線周波数帯に対応する第1の信号を生成する局部発振器と、前記第1の信号の周波数を分周して、前記第2の無線周波数帯に対応する第2の信号を生成する分周器とを含み、
前記第2の無線周波数帯に対応するアップコンバータは、前記第1の通信及び前記第2の通信に共通し、
前記第1の信号は、前記第1の無線周波数帯と前記第2の無線周波数帯との差分の周波数に対応する、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項16】
前記制御回路は、前記第1の無線周波数帯に対応する信号と前記第2の無線周波数帯に対応する信号とを切り替えて出力する局部発振器を含む、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項17】
通信装置は、
条件に応じて、第1の無線周波数帯を用いる第1の通信、及び、前記第1の無線周波数帯より低い第2の無線周波数帯を用いる第2の通信のそれぞれの有効化及び無効化を設定し、
前記有効化及び無効化の設定に従って、前記第1の通信又は前記第2の通信を行う、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置、及び、通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
5G NR(New Radio access technology)を始めとするセルラー無線通信において、ベースバンドの無線波形(waveform)を用いた通信が行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】山崎浩輔,大関武雄,天野良晃,村上隆秀,新保宏之,岸洋司,"PROPOSAL FOR A USER-CENTRIC RAN ARCHITECTURE TOWARDS BEYOND 5G", 信学技報, vol. 121, no. 189, SAT2021-43, pp. 4-10, 2021年10月.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、無線通信の性能を向上する方法については検討の余地がある。
【0005】
本開示の非限定的な実施例では、無線通信の性能を向上できる通信装置及び通信方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例に係る通信装置は、条件に応じて、第1の無線周波数帯を用いる第1の通信、及び、前記第1の無線周波数帯より低い第2の無線周波数帯を用いる第2の通信のそれぞれの有効化及び無効化を設定する制御回路と、前記有効化及び無効化の設定に従って、前記第1の通信又は前記第2の通信を行う通信回路と、を具備する。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施例によれば、無線通信の性能を向上できる。
【0009】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】通信装置の一部の構成例を示すブロック図
図2】通信装置の構成例を示すブロック図
図3】通信装置の構成例を示すブロック図
図4】通信装置の構成例を示すブロック図
図5】通信装置の構成例を示すブロック図
図6】通信装置の構成例を示すブロック図
図7】通信装置の動作例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
5G NRを始めとするセルラー無線通信において、マイクロ波帯及びミリ波帯の電波が活用されている。6Gシステム(第6世代移動通信システム)では、更に、100GHz以上のテラヘルツ帯(或いは、サブテラヘルツ帯)の電波の活用が検討されている。例えば、非特許文献1では、端末近傍の通信にテラヘルツ波を用いるシステムが提案されている。
【0013】
例えば、非特許文献1において検討される通信(以下、「第1の通信」と呼ぶ)では、端末(又は、ユーザ端末とも呼ぶ)は、端末近傍の中継デバイス(例えば、中継器)を経由して、基地局と通信する。第1の通信において、端末と中継デバイスとの間の通信は、例えば、テラヘルツ帯又は300GHz帯といった比較的高い無線周波数(例えば、周波数バンド、キャリア周波数とも呼ぶ)を用いる無線通信でよい。なお、第1の通信において、中継デバイスと基地局との間の通信は、例えば、ミリ波帯又は30GHz帯といった比較的低い無線周波数を用いる無線通信であり得る。
【0014】
また、例えば、何らかの理由により第1の通信が困難である状況において、他の通信(以下、「第2の通信」)として、端末は、端末近傍の基地局と直接通信することがあり得る。第2の通信において、端末と基地局との間の通信は、例えば、ミリ波帯又は30GHz帯といった比較的低い無線周波数を用いる無線通信であり得る。
【0015】
端末は、例えば、第1の通信及び第2の通信の両方に対応する能力(capability)を備えることが求められることがあり得る。
【0016】
ここで、端末の回路構成として、第1の通信に対応する回路、及び、第2の通信に対応する回路をそれぞれ独立に備えることがあり得る。このような回路構成では、端末の製造コスト又は回路規模が増大し得る。したがって、第1の通信と第2の通信との間において、実装する回路は可能な限り共通化又は再利用することが望ましい。
【0017】
また、第1の通信及び第2の通信のそれぞれの有効化及び無効化を設定する方法については十分に検討されていない。
【0018】
本開示の非限定的な一実施例では、例えば、第1の通信及び第2の通信に対応する端末の回路構成を簡易化する方法、及び、第1の通信及び第2の通信のそれぞれの有効化及び無効化を適切に設定する方法について説明する。
【0019】
[通信システムの概要]
本開示の一実施の形態に係る通信システムは、少なくとも一つの通信装置100を備える。通信装置100は、例えば、基地局(例えば、gNBとも呼ぶ)でもよく、端末(例えば、user equipment(UE))でもよい。
【0020】
通信装置100は、例えば、第1の通信及び第2の通信のそれぞれにおける送信及び受信の少なくとも一つを行ってよい。
【0021】
なお、以下では、一例として、第1の通信は、テラヘルツ帯又は300GHz帯を用いる無線通信でよく、第2の通信は、ミリ波帯又は30GHz帯を用いる無線通信でよい。
【0022】
図1は、通信装置100の一部の構成例を示すブロック図である。図1に示す通信装置100において、制御部(例えば、制御回路に対応)は、条件に応じて、第1の無線周波数帯を用いる第1の通信、及び、第1の無線周波数帯より低い第2の無線周波数帯を用いる第2の通信のそれぞれの有効化及び無効化を設定する。通信部(例えば、通信回路に対応)は、有効化及び無効化の設定に従って、第1の通信又は第2の通信を行う。
【0023】
[通信装置の構成例]
図2は、本実施の形態に係る通信装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
図2に示す通信装置100において、上側の構成部(例えば、符号化部101~Power Amplifier(PA)113)は、信号の送信処理を行う「送信部」を構成し、下側の構成部(例えば、Low Noise Amplifier(LNA)115~復号部127)は、信号の受信処理を行う「受信部」を構成する。
【0025】
また、通信装置100は、送信部及び受信部に対して、局部発振器(LO:Local Oscillator)の信号(例えば、LO信号と呼ぶ)を出力するLO供給部150を備える。
【0026】
図2に示す符号化部101~Windowing処理部108、CP除去部120~復号部127、及び、LO供給部150の少なくとも一つは、例えば、図1に示す制御部に含まれてよい。また、図2に示すDA変換部109~AD変換部119の少なくとも一つは、例えば、図1に示す通信部に含まれてよい。
【0027】
<送信処理>
図2において、符号化部101、変調部102、Precoding部103、Discrete Fourier Transform(DFT)部104、リソースマッピング部105、Inverse Fast Fourier Transform(IFFT)部106、Cyclic Prefix(CP)付加部107及びWindowing処理部108は「ベースバンド処理部」に含まれてよい。なお、図2において、DA変換部109、Low Pass Filter(LPF)110、アップコンバータ(Up-converter(UPC))111、Band Pass Filter(BPF)112、Power Amplifier(PA)113及びデュプレクサ114は「アナログ・radio frequency(RF)処理部」(図示せず)に含まれてよい。
【0028】
また、図2において、UPC111、BPF112、PA113及びデュプレクサ114のそれぞれは、複数の通信(例えば、第1の通信及び第2の通信を含む)に個別に備えてよい。図2に示す例では、第1の通信に対して、UPC111-1(UPC1とも呼ぶ)、BPF112-1(BPF1とも呼ぶ)、PA113-1(PA1とも呼ぶ)、及び、デュプレクサ114-1を備え、第2の通信に対して、UPC111-2(UPC2とも呼ぶ)、BPF112-2(BPF2とも呼ぶ)、PA113-2(PA2とも呼ぶ)、及び、デュプレクサ114-2を備えてよい。
【0029】
また、例えば、DFT部104、IFFT部106、CP付加部107及びWindowing処理部108の少なくとも一つの処理は、送信される信号の無線波形に応じて省略されてもよい。
【0030】
また、各無線周波数帯において複数のアンテナを用いたMIMO伝送を行う場合、図2に示すPrecoding部103以降の処理は、アンテナ系統毎に行われてもよい。
【0031】
図2において、符号化部101は、例えば、ターボ符号、Low Dencity Parity Check(LDPC)符号、及びポーラ符号といった符号化方式を用いて、信号に対して誤り訂正符号化を行う。
【0032】
変調部102は、例えば、符号化後のビット列に対して、Quadrature phase shift keying(QPSK)及び16-Quadrature amplitude modulation(16QAM)といったIQコンスタレーションにマッピングし、変調シンボルを生成する。
【0033】
Precoding部103は、例えば、変調部102から入力される変調シンボルに対して、MIMO送信のためのプリコーディング処理(例えば、変調シンボルへの重みづけ処理)を行う。なお、通信装置100がMIMO送信を行わない場合、Precoding部103は処理を行わなくてよい。
【0034】
DFT部104は、例えば、Precoding部103から入力される信号に対して、DFT処理(DFT spreading又はDFT precodingとも呼ばれる)を行う。
【0035】
リソースマッピング部105は、DFT処理後の信号を、送信に用いる周波数リソース(例えば、サブキャリア又はリソースブロック(RB:Resource Block)へマッピングする。
【0036】
IFFT部106は、例えば、周波数リソースにマッピングされた信号に対してIFFT処理を行う。
【0037】
CP付加部107は、例えば、IFFT後の信号の一部(例えば、OFDMシンボルの後部)のサンプルを先頭へコピーすることにより、CPを付加する。
【0038】
Windowing処理部108は、CP付加後の信号(例えば、OFDMシンボル)に対してwindowing処理を行う。windowing処理は、例えば、OFDMシンボル間の非連続性による帯域外輻射電力を低減するための処理である。windowing処理には、例えば、Root Raised Cosine波形の窓関数を用いてもよい。また、Windowing処理部108は、例えば、隣接OFDMシンボル同士でオーバーラップさせるWOLA(Weighted OverLap and Add)処理を行ってもよい。また、windowing処理の代わりに、filtering処理が行われてもよいし、周波数帯域を限定するための他の波形成形処理でもよい。
【0039】
DA変換部109は、ベースバンド処理部(例えば、Windowing処理部108)から入力されるベースバンド信号(無線波形)に対して、デジタル・アナログ変換を行う。
【0040】
LPF110は、例えば、DA変換部109から入力される信号の所望の低域成分を通過させるLPF処理を行う。
【0041】
UPC111は、例えば、LO供給部150から入力される信号に基づいて、LPF110から入力される信号の周波数を送信周波数へアップコンバートする。なお、UPC111は、例えば、複数段のアップコンバータを用いてもよい。
【0042】
BPF112は、例えば、UPC111から入力される信号に対して、所望の帯域成分を通過させるフィルタ処理を行う。
【0043】
PA113は、例えば、BPF112から入力される信号を所望の送信電力へ増幅させる。
【0044】
デュプレクサ114は、送信と受信との切り替えを行う。送信と受信とは、例えば、Time Division Duplex(TDD)フレームの上りリンクと下りリンクとの切り替えタイミングにおいて切り替えられてよい。
【0045】
<受信処理>
図2において、CP除去部120、Fast Fourier Transform(FFT)部121、リソースデマッピング部122、Inverse Discrete Fourier Transform(IDFT)部123、チャネル推定部124、MIMO受信処理部125、復調部126及び復号部127は「ベースバンド処理部」に含まれてよい。なお、図2において、デュプレクサ114、LNA115、BPF116、ダウンコンバータ(Down-converter(DNC))117、LPF118、AD変換部119は、「アナログ・RF処理部」(図示せず)に含まれてよい。
【0046】
また、図2において、デュプレクサ114、LNA115、BPF116、DNC117のそれぞれは、複数の通信(例えば、第1の通信及び第2の通信を含む)に個別に備えてよい。図2に示す例では、第1の通信に対して、デュプレクサ114-1、LNA115-1(LNA1とも呼ぶ)、BPF116-1(BPF1とも呼ぶ)、及び、DNC117-1(DNC1とも呼ぶ)を備え、第2の通信に対して、デュプレクサ114-2、LNA115-2(LNA2とも呼ぶ)、BPF116-2(BPF2とも呼ぶ)、及び、DNC117-2(DNC2とも呼ぶ)を備えてよい。
【0047】
また、例えば、CP除去部120、FFT部121、IDFT部123の少なくとも一つの処理は、受信される信号の無線波形に応じて省略されてもよい。
【0048】
図2において、デュプレクサ114から出力される受信信号はLNA115へ入力される。
【0049】
LNA115は、デュプレクサ114から入力される受信信号を増幅する。
【0050】
BPF116は、LNA115から入力される信号に対して、所望の帯域成分を通過させるフィルタ処理を行う。
【0051】
DNC117は、LO供給部150から入力される信号に基づいて、BPF116から入力される信号の周波数をダウンコンバートする。
【0052】
LPF118は、DNC117から入力される信号の所望の低域成分を通過させるLPF処理を行う。
【0053】
AD変換部119は、LPF118から入力される信号に対して、アナログ・デジタル変換を行う。
【0054】
CP除去部120は、AD変換部119から入力される信号に付加されたCPの除去を行う。
【0055】
FFT部121は、CP除去部120から入力される信号に対して、FFT処理(例えば、時間成分から周波数成分への変換)を行う。
【0056】
リソースデマッピング部122は、FFT部121から入力される信号を用いて、データが割り当てられる周波数リソース(例えば、サブキャリア又はリソースブロック)の信号を抽出する。
【0057】
IDFT部123は、リソースデマッピング部122から入力される信号に対して、IDFT処理を行う。
【0058】
チャネル推定部124は、例えば、FFT後の信号に含まれる参照信号(例えば、reference signal(RS))を用いてチャネル(伝搬路)変動の推定を行う。
【0059】
MIMO受信処理部125は、例えば、チャネル推定部124から入力されるチャネル推定結果に基づいて、IDFT部123から入力される信号に対してチャネル等化を含むMIMO受信処理を行い、多重される各ストリーム信号を検出する。なお、MIMO伝送が行われない場合、MIMO受信処理部は、チャネル等化を行い、ストリーム信号の検出を行わなくてもよい。
【0060】
復調部126は、QPSK及び16QAMといった変調方式によって変調された変調シンボルをビット列へ変換する。
【0061】
復号部127は、LDPC符号といった符号化方式によって符号化されたビット列の復号処理を行う。
【0062】
[通信装置の構成例]
次に、通信装置100(例えば、端末)の構成例について説明する。
【0063】
なお、図2に示すベースバンド処理部の構成(例えば、送信部における符号化部101、変調部102、Precoding部103、DFT部104、リソースマッピング部105、IFFT部106、CP付加部107及びWindowing処理部108、及び、受信部におけるCP除去部120、FFT部121、リソースデマッピング部122、IDFT部123、チャネル推定部124、MIMO受信処理部125、復調部126及び復号部127)は一例であり、これに限定されない。例えば、図2に示すベースバンド処理部の構成の一部は備えなくてもよく、また、他の構成部が含まれてもよい。後述する図では、ベースバンド処理部の内部構成を省略して説明する場合もある。
【0064】
<構成例1A>
構成例1Aにおける通信装置100の構成は、例えば、図2に示す構成でよい。
【0065】
(1)送信部の構成:
図2に示すように、例えば、ベースバンド処理部によって生成されるベースバンド信号は、DA変換部109によってアナログ信号に変換され、LPF110を通過した後、UPC111-1(UPC1)及びUPC111-2(UPC2)に分岐して入力される。
【0066】
このように、図2に示す構成例1Aでは、例えば、通信装置100の送信処理を行う回路のうち、ベースバンド処理部、DA変換部109、及び、LPF110を構成する回路は、第1の通信及び第2の通信に対して共通化されてよい。
【0067】
UPC111(例えば、UPC1及びUPC2)に入力される送信信号の周波数は、後述するLO供給部150から供給されるLO信号に基づいて、第1の通信及び第2の通信のそれぞれに対応する周波数(例えば、送信周波数)に変換される。周波数変換された信号は、各通信(又は、各周波数)に対応するBPF112(例えば、BPF1及びBPF2)を経て、PA113(例えば、PA1及びPA2)で増幅され、デュプレクサ114によってアンテナ側に出力された後、各周波数に対応するアンテナ(例えば、アンテナ1及びアンテナ2)によって放射される。
【0068】
(2)受信部の構成:
図2に示すように、各アンテナ(例えば、アンテナ1及びアンテナ2)で受信した信号は、デュプレクサ114によって各LNA115(例えば、LAN1及びLNA2)に出力される。各通信(又は、各周波数)に対応するLNA115に入力される信号は、増幅され、BPF116(例えば、BPF1及びBPF2)を経て、DNC117(例えば、DNC1及びDNC2)に入力される。
【0069】
各DNC117に入力される受信信号は、後述するLO供給部150から供給されるLO信号に基づいて、ベースバンド信号の周波数に変換される。周波数変換された信号は、LPF118を経た後、AD変換部119によってデジタル信号に変換され、ベースバンド処理部に入力される。
【0070】
このように、図2に示す構成例1Aでは、例えば、通信装置100の受信処理を行う回路のうち、ベースバンド処理部、AD変換部119、及び、LPF118を構成する回路は、第1の通信及び第2の通信に対して共通化されてよい。
【0071】
(3)LO供給部150の構成:
図2に示すように、LO供給部150は、例えば、各通信(又は、各無線通信帯)に対応するUPC111(UPC1及びUPC2)及びDNC117(DNC1及びDNC2)に対して、各通信に使用する周波数に対応するLO信号を供給する。
【0072】
構成例1Aでは、例えば、図2に示すように、LO151-1(「LO1」とも呼ぶ)は、第1の通信の周波数に対応するLO信号を生成し、UPC1及びDNC1へLO信号を供給する。また、LO151-2(「LO2」とも呼ぶ)は、第2の通信の周波数に対応するLO信号を生成し、UPC2及びDNC2へLO信号を供給する。例えば、第1の通信に対応するLO1は、比較的高い周波数(例えば、テラヘルツ帯又は300GHz帯)のLO信号をUPC1及びDNC1へ供給してよい。また、例えば、第2の通信に対応するLO2は、比較的低い周波数(例えば、ミリ波帯又は30GHz帯)のLO信号をUPC2及びDNC2へ供給してよい。
【0073】
制御部152は、例えば、LO1及びLO2を制御することにより、第1の通信及び第2の通信のそれぞれの有効化及び無効化の設定を制御してよい。例えば、制御部152は、通信装置100(例えば、端末)が第1の通信を有効化する場合には、LO1を有効化してもよく、通信装置100(例えば、端末)が第2の通信を有効化する場合には、LO2を有効化してもよい。また、例えば、制御部152は、通信装置100(例えば、端末)が第1の通信を無効化する場合には、LO1を無効化してもよく、通信装置100(例えば、端末)が第2の通信を無効化する場合には、LO2を無効化してもよい。
【0074】
構成例1Aでは、図2に示すように、第1の通信及び第2の通信に対してLO151が独立に設けられる。これにより、通信装置100は、第1の通信及び第2の通信のそれぞれに対するLO信号による周波数の柔軟な設定が可能である。また、構成例1Aでは、第1の通信と第2の通信とを同時に有効化できるので、通信装置100は、第1の通信及び第2の通信を同時に行うことができる。
【0075】
また、構成例1Aでは、UPC111及びDNC117が第1の通信及び第2の通信のそれぞれに対して独立に設けられるため、例えば、通信装置100は、無効化される通信に対応するUPC111及びDNC117を動作させなくてよい。よって、通信装置100の消費電力を低く抑えることができる。
【0076】
<構成例1B>
図3は、構成例1Bに係る通信装置100aの構成例を示すブロック図である。なお、図3では、通信装置100aの受信部、PA113、及び、デュプレクサ114の図示を省略する。
【0077】
構成例1Bでは、図3に示すように、構成例1Aと同様に、通信装置100aの送信処理を行う回路のうち、ベースバンド処理部、DA変換部109、及び、LPF110を構成する回路は、第1の通信及び第2の通信に対して共通化されてよい。
【0078】
構成例1Bでは、図3に示すように、更に、第2の通信(又は、第2の通信に対応する無線周波数帯)に対応するUPC111-2(UPC2)及びBPF112-2(BPF2)は、第1の通信及び第2の通信に共通化されてよい。
【0079】
例えば、通信装置100aにおいて、LPF処理後の送信信号は、UPC111-2(UPC2)に入力され、第2の通信に対応する周波数に変換されてよい。第2の通信に対応する周波数に変換された信号は、例えば、BPF112-2(BPF2)を通過した後、第1の通信に対応する処理部(例えば、UPC111-1)と、第2の通信に対応する処理部(例えば、図示しないPA113-2)に分岐して入力されてよい。
【0080】
分岐された信号のうち一方は、第2の通信に対応するアンテナによって放射される。また、分岐された信号のうち他方は、UPC111-1に入力され、第1の通信に対応する周波数に変換されてよい。第1の通信に対応する周波数に変換された信号は、例えば、BPF112-1を通過した後、第1の通信に対応するアンテナによって放射される。
【0081】
図3において、LO供給部150は、構成例1Aと同様、第1の通信(又は、第1の通信の無線周波数帯)に対応するLO信号を生成するLO151-1(例えば、LO1)、及び、第2の通信(又は、第2の通信の無線周波数帯)に対応するLO信号を生成するLO151-2(例えば、LO2)を備える。
【0082】
また、制御部152は、構成例1Aと同様、例えば、LO151-1(LO1)及びLO151-2(LO2)を制御することにより、第1の通信及び第2の通信のそれぞれの有効化及び無効化の設定を制御してよい。
【0083】
例えば、制御部152は、通信装置100a(例えば、端末)が第1の通信及び第2の通信の両方を有効化する場合には、LO1及びLO2の両方を有効化してもよい。また、例えば、制御部152は、通信装置100aが第1の通信及び第2の通信の両方を無効化する場合には、少なくともLO2を無効化してもよく、またはLO1及びLO2の両方を無効化してもよい。
【0084】
また、例えば、制御部152は、通信装置100aが第1の通信を有効化し、第2の通信を無効化する場合には、LO1及びLO2の両方を有効化してもよい。また、例えば、制御部152は、通信装置100aが第1の通信を無効化し、第2の通信を有効化する場合には、LO1を無効化し、LO2を有効化してもよい。
【0085】
構成例1Bでは、図3に示すように、第1の通信及び第2の通信に対して、LO151が独立に設けられる。これにより、構成例1Aと同様、通信装置100aは、第1の通信及び第2の通信のそれぞれに対するLO信号による周波数の柔軟な設定が可能である。また、構成例1Bでは、第1の通信と第2の通信とを同時に有効化できるので、構成例1Aと同様、通信装置100aは、第1の通信及び第2の通信を同時に行うことができる。
【0086】
また、構成例1Bでは、第1の通信に対応する信号は、UPC111-2及びUPC111-1による2段階のアップコンバートにより生成される。例えば、UPC111-1は、UPC111-2によって第2の通信に対応する周波数に変換された信号に対して、第1の通信に対応する周波数と第2の通信に対応する周波数との差分の周波数変換を行ってよい。例えば、LO151-1は、第1の通信に対応する周波数と第2の通信に対応する周波数との差分の周波数のLO信号をUPC111-1へ供給してよい。
【0087】
これにより、LO151-1(LO1)からUPC111-1(UPC1)に供給されるLO信号の周波数は、構成例1Aと比較して低くてもよい。このため、構成例1Bでは、構成例1Aと比較して簡易な回路により通信装置100aを実装可能である。
【0088】
なお、通信装置100aにおいて、図示を省略した受信部のベースバンド処理部、AD変換部119、LPF118、DNC117、BPF116といった構成部は、構成例1Bの送信部と同様に、第1の通信及び第2の通信に対して共通化されてもよい。
【0089】
<構成例2A>
図4は、構成例2Aに係る通信装置100bの構成例を示すブロック図である。なお、図4では、通信装置100bの受信部、PA113、及び、デュプレクサ114の図示を省略する。
【0090】
構成例2Aでは、図4に示すように、構成例1Aと同様に、通信装置100bの送信処理を行う回路のうち、ベースバンド処理部、DA変換部109、及び、LPF110を構成する回路は、第1の通信及び第2の通信に対して共通化されてよい。
【0091】
構成例2Aでは、図4に示すように、LO供給部160を備えてよい。LO供給部160は、例えば、LO161(例えば、LOとも呼ぶ)、分周器162、及び、制御部163を備えてよい。
【0092】
LO161は、例えば、第1の通信に使用する周波数に対応するLO信号を生成し、UPC111-1(UPC1)にLO信号を供給する。また、LO161は、LO信号を分周器162に出力する。
【0093】
分周器162は、例えば、LO161から入力されるLO信号の周波数(第1の通信に対応する周波数)を分周して、第2の通信に対応する周波数の信号を生成する。分周器162は、生成した信号をUPC111-2(UPC2)へ供給する。
【0094】
このように、構成例2Aでは、通信装置100bは単一のLOを備え、UPC1に対して、第1の通信に対応する周波数のLO信号がそのまま供給され、UPC2に対して、LO信号(LO出力)が分周器162によって分周された信号(第2の通信に対応する周波数の信号)が供給される。
【0095】
制御部163は、例えば、LO161を制御することにより、第1の通信及び第2の通信のそれぞれの有効化及び無効化の設定を制御してよい。例えば、制御部163は、通信装置100b(例えば、端末)が第1の通信を有効化する場合には、LO161によるUPC111-1へのLO信号の出力を有効化してよい。また、例えば、制御部163は、通信装置100bが第2の通信を有効化する場合には、LO161による分周器162へのLO信号の出力を有効化してよい。また、例えば、制御部163は、通信装置100bが第1の通信を無効化する場合には、LO161によるUPC111-1へのLO信号の出力を無効化してよい。また、例えば、制御部163は、通信装置100が第2の通信を無効化する場合には、LO161による分周器162へのLO信号の出力を無効化してよい。
【0096】
構成例2Aでは、例えば、実装されるLOの個数(例えば、1個)は、構成例1A(例えば、2個)と比較して少ない。また、構成例2Aでは、LOの個数が低減する代わりに、LOと比較して簡易な構成の分周器162が実装される。これにより、構成例2Aでは、構成例1Aと比較して、通信装置100bの実装における複雑度(例えば、回路規模)を低減できる。また、構成例2Aでは、構成例1Aと同様、第1の通信と第2の通信とを同時に有効化できるので、通信装置100bは、第1の通信及び第2の通信を同時に行うことができる。
【0097】
また、構成例2Aでは、UPC111が第1の通信及び第2の通信のそれぞれに対して独立に設けられるため、例えば、通信装置100bは、無効化される通信に対応するUPC111を動作させなくてよい。よって、通信装置100の消費電力を低く抑えることができる。
【0098】
なお、通信装置100bにおいて、図示を省略した受信部のベースバンド処理部、AD変換部119、LPF118といった構成部は、構成例2Aの送信部と同様に、第1の通信及び第2の通信に対して共通化されてもよい。また、通信装置100bにおいて、第1の通信に対応するDNC117-1には、LO161から、第1の通信に対応する周波数のLO信号が供給され、第2の通信に対応するDNC117-2には、分周器162から、第2の通信に対応する周波数の信号が供給されてもよい。
【0099】
<構成例2B>
図5は、構成例2Bに係る通信装置100cの構成例を示すブロック図である。なお、図5では、通信装置100aの受信部、PA113、及び、デュプレクサ114の図示を省略する。
【0100】
構成例2Bでは、図5に示すように、構成例2Aと同様に、通信装置100cの送信処理を行う回路のうち、ベースバンド処理部、DA変換部109、及び、LPF110を構成する回路は、第1の通信及び第2の通信に対して共通化されてよい。
【0101】
構成例2Bでは、図5に示すように、更に、構成例1Bと同様、第2の通信(又は、第2の通信に対応する無線周波数帯)に対応するUPC111-2(UPC2)及びBPF112-2(BPF2)は、第1の通信及び第2の通信に共通化されてよい。
【0102】
また、構成例2Bでは、構成例2Aと同様、通信装置100cは、単一のLO161及び分周器162を備えてよい。例えば、UPC1に対して、第1の通信に対応する周波数のLO信号がそのまま供給され、UPC2に対して、LO信号(LO出力)が分周器162によって分周された信号(第2の通信に対応する周波数の信号)が供給される。
【0103】
制御部163は、例えば、LO161を制御することにより、第1の通信及び第2の通信のそれぞれの有効化及び無効化の設定を制御してよい。
【0104】
例えば、制御部163は、通信装置100c(例えば、端末)が第1の通信及び第2の通信の両方を有効化する場合には、LO161によるUPC1及び分周器162の両方へのLO信号の出力を有効化してよい。また、例えば、制御部163は、通信装置100cが第1の通信及び第2の通信の両方を無効化する場合には、少なくともLO161による分周器162へのLO信号の出力を無効化してもよく、またはLO161によるUPC1及び分周器162の両方へのLO信号の出力を無効化してよい。
【0105】
また、例えば、制御部163は、通信装置100cが第1の通信を有効化し、第2の通信を無効化する場合には、LO161によるUPC1及び分周器162の両方へのLO信号の出力を有効化してもよい。また、例えば、制御部163は、通信装置100cが第1の通信を無効化し、第2の通信を有効化する場合には、LO161による分周器162へのLO信号の出力を有効化し、LO161によるUPC1へのLO信号の出力を無効化してもよい。
【0106】
構成例2Bでは、例えば、実装されるLOの個数(例えば、1個)は、構成例1B(例えば、2個)と比較して少ない。また、構成例2Bでは、LOの個数が低減する代わりに、LOと比較して簡易な構成の分周器162が実装される。これにより、構成例2Bでは、構成例1Bと比較して、通信装置100cの実装における複雑度(例えば、回路規模)を低減できる。また、構成例2Bでは、構成例1Bと同様、第1の通信と第2の通信とを同時に有効化できるので、通信装置100cは、第1の通信及び第2の通信を同時に行うことができる。
【0107】
また、構成例2Bでは、第1の通信に対応する信号は、UPC111-2及びUPC111-1による2段階のアップコンバートにより生成される。例えば、UPC111-1は、UPC111-2によって第2の通信に対応する周波数に変換された信号に対して、第1の通信に対応する周波数と第2の通信に対応する周波数との差分の周波数変換を行ってよい。例えば、LO161は、第1の通信に対応する周波数と第2の通信に対応する周波数との差分の周波数のLO信号をUPC111-1へ供給してよい。
【0108】
これにより、LO161(LO)からUPC111-1(UPC1)に供給されるLO信号の周波数は、構成例2Aと比較して低くてもよい。このため、構成例2Bでは、構成例2Aと比較して簡易な回路により通信装置100cを実装可能である。
【0109】
なお、通信装置100cにおいて、図示を省略した受信部のベースバンド処理部、AD変換部119、LPF118、DNC117、BPF116といった構成部は、構成例2Bの送信部と同様に、第1の通信及び第2の通信に対して共通化されてもよい。また、通信装置100cにおいて、第1の通信に対応するDNC117-1には、LO161から、第1の通信に対応する周波数のLO信号が供給され、第2の通信に対応するDNC117-2には、分周器162から、第2の通信に対応する周波数の信号が供給されてもよい。
【0110】
また、構成例2A及び構成例2Bでは、分周器を用いる場合について説明したが、これに限定されず、例えば、分周器の代わりに、逓倍器を使用してもよい。逓倍器を使用する場合、LOの出力がUPC2及びDNC2に直接供給されてもよく、逓倍器の出力がUPC1及びDNC1に供給されてもよい。これにより、LOの出力周波数を低く抑えることができ、通信装置100b又は通信装置100cの実装における複雑度を低減できる。
【0111】
<構成例3>
図6は、構成例3に係る通信装置100dの構成例を示すブロック図である。なお、図6では、通信装置100dの受信部、PA113、及び、デュプレクサ114の図示を省略する。
【0112】
構成例3では、図6に示すように、構成例1A及び構成例2Aと同様に、通信装置100dの送信処理を行う回路のうち、ベースバンド処理部、DA変換部109、及び、LPF110は、第1の通信及び第2の通信に対して共通化されてよい。
【0113】
構成例3では、図6に示すように、LO供給部170を備えてよい。LO供給部170は、例えば、LO171(例えば、LOとも呼ぶ)、及び、制御部172を備えてよい。
【0114】
LO171は、例えば、第1の通信に使用する周波数に対応するLO信号を生成し、UPC111-1(UPC1)にLO信号を供給し、第2の通信に使用する周波数に対応するLO信号を生成し、UPC111-2(UPC2)にLO信号を供給してよい。LO171は、例えば、制御部172の指示に従って、第1の通信に対応するLO信号と第2の通信に対応するLO信号とを切り替えて出力してよい。
【0115】
このように、構成例3は、単一のLOを備える。また、LO171は、複数の周波数の出力に対応する。
【0116】
制御部172は、例えば、LO171を制御することにより、第1の通信及び第2の通信のそれぞれの有効化及び無効化の設定を制御してよい。例えば、制御部172は、通信装置100d(例えば、端末)が第1の通信を有効化する場合には、LO171によるUPC111-1へのLO信号の出力を有効化してよい。また、制御部172は、例えば、通信装置100dが第2の通信を有効化する場合には、LO171によるUPC111-2へのLO信号の出力を有効化してよい。また、例えば、制御部172は、通信装置100dが第1の通信を無効化する場合には、LO171によるUPC111-1へのLO信号の出力を無効化してよい。また、例えば、制御部172は、通信装置100dが第2の通信を無効化する場合には、LO171によるUPC111-2へのLO信号の出力を無効化してよい。
【0117】
このように、構成例3では、LO供給部170は、単一のLO171によって、第1の通信及び第2の通信の何れか一方に対応する周波数のLO信号を供給してよい。
【0118】
構成例3では、例えば、実装されるLOの個数(例えば、1個)は、構成例1A及び構成例1B(例えば、2個)と比較して少ない。これにより、構成例3では、構成例1A及び構成例1Bと比較して、通信装置100dの実装における複雑度(例えば、回路規模)を低減できる。
【0119】
また、構成例3によれば、例えば、構成例2A及び構成例2Bと比較して、分周器を実装しなくてよいので、通信装置100dの実装における複雑度を低減できる。
【0120】
なお、通信装置100dにおいて、図示を省略した受信部のベースバンド処理部、AD変換部119、LPF118といった構成部は、構成例3の送信部と同様に、第1の通信及び第2の通信に対して共通化されてもよい。また、通信装置100dにおいて、第1の通信に対応するDNC117-1には、LO171から、第1の通信に対応する周波数のLO信号が供給され、第2の通信に対応するDNC117-2には、LO171から、第2の通信に対応する周波数の信号が供給されてもよい。
【0121】
以上、通信装置100の構成例、及び、第1の通信及び第2の通信の有効化及び無効化を制御する例について説明した。なお、通信装置100の構成は、上述した構成例に限定されず、他の構成でもよい。
【0122】
次に、通信装置100(例えば、制御部152)による、第1の通信及び第2の通信の有効化及び無効化の設定に関する動作例について説明する。
【0123】
通信装置100は、例えば、条件に応じて、第1の通信及び第2の通信のそれぞれの有効化及び無効化を設定してよい。そして、通信装置100は、有効化及び無効化の設定に従って、第1の通信及び第2の通信を行ってよい。
【0124】
以下、通信装置100の動作例1~6について説明する。
【0125】
なお、通信装置100aの制御部152、通信装置100b又は100cの制御部163、通信装置100dの制御部172も以下の動作例と同様に制御を行ってよい。
【0126】
<動作例1>
動作例1では、上述した条件は、通信装置100に設定される無線通信に関するパラメータに基づいてよい。
【0127】
通信装置100(例えば、端末)は、例えば、無線通信のパラメータの値に従って、第1の通信(例えば、テラヘルツ帯を用いる無線通信)、及び、第2の通信(例えば、ミリ波帯を用いる無線通信)のそれぞれの有効化及び無効化を設定してよい。
【0128】
ここで、無線通信のパラメータには、通信帯域幅、waveform(無線波形)、送信電力、サブキャリア間隔(SCS:subcarrier spacing)、シンボル長、変調多値数、符号化率、が挙げられる。なお、無線通信のパラメータは、これらのパラメータに限定されず、他のパラメータでもよい。
【0129】
例えば、通信装置100は、通信帯域幅が閾値より広い場合、第1の通信の有効化を設定してよい。これにより、通信装置100は、テラヘルツ帯における比較的広い帯域幅を有効に活用した高速通信が可能となる。その一方で、通信装置100は、通信帯域幅が閾値より狭い場合、第2の通信の有効化を設定してもよい。これにより、通信装置100は、ミリ波帯における比較的狭い帯域幅に適した通信が可能となる。
【0130】
また、例えば、通信装置100は、waveformがDFT-s-OFDMである場合、第1の通信の有効化を設定してもよい。これにより、通信装置100は、DFT-s-OFDMの「最大送信電力が比較的高い」という特性を活かした、減衰の大きいテラヘルツ帯通信の特性を補った通信が可能となる。その一方で、例えば、通信装置100は、waveformがCP-OFDMである場合、第2の通信の有効化を設定してもよい。これにより、通信装置100は、CP-OFDMの「遅延波に対する耐性が比較的高い」という特性を活かした、遅延波の影響が比較的大きいミリ波帯の特性を補った通信が可能となる。
【0131】
なお、OFDMはorthogonal Frequency Division Multiplexingの略であり、DFT-s-OFDMはDiscrete Fourier Transform - spread - OFDMの略である。また、DFT-s-OFDMは、single carrier - frequency division multiple access(SC-FDMA)と称されることもある。また、OFDMの代わりに、マルチキャリア伝送に対応する他のwaveformでもよい。また、DFT-s-OFDMの代わりに、シングルキャリア伝送に対応する他のwaveformでもよい。
【0132】
また、例えば、通信装置100は、送信電力が閾値以上の場合、第1の通信の有効化を設定してもよい。これにより、通信装置100は、減衰の大きいテラヘルツ帯の特性を送信電力によって補う通信が可能となる。その一方で、例えば、通信装置100は、送信電力が閾値未満の場合、第2の通信の有効化を設定してもよい。ミリ波帯では減衰が少ないため、通信装置100の送信電力が小さくても、受信電力の低減を抑制できる。
【0133】
また、例えば、通信装置100は、SCSが閾値(例えば、120kHz)以上の場合、又は、シンボル長(又は、CP長)が閾値以下の場合、第1の通信の有効化を設定してもよい。これにより、通信装置100は、位相雑音の影響が比較的大きいテラヘルツ帯の特性を補った通信が可能となる。その一方で、例えば、通信装置100は、SCSが閾値(例えば、120kHz)より狭い場合、又は、シンボル長(又は、CP長)が閾値よりも長い場合、第2の通信の有効化を設定してもよい。これにより、通信装置100は、遅延波の影響が比較的大きいミリ波帯の特性を補った通信が可能となる。
【0134】
また、例えば、通信装置100は、変調多値数が閾値(例えば、4)以下の場合、又は、符号化率が閾値以下の場合、第1の通信の有効化を設定してもよい。これにより、通信装置100は、テラヘルツ帯における比較的広い帯域幅を有効に活用し、符号化率の低い高速通信が可能となる。その一方で、例えば、通信装置100は、変調多値数が閾値(例えば、4)よりも高い場合、又は、符号化率が閾値よりも高い場合、第2の通信の有効化を設定してもよい。これにより、通信装置100は、ミリ波帯における比較的狭い帯域幅、例えば、高い符号化率に適した通信が可能となる。
【0135】
なお、通信装置100は、上述した第1の通信の有効化設定に関する条件を満たさない場合に、第1の通信の無効化を設定してもよい。同様に、通信装置100は、上述した第2の通信の有効化設定に関する条件を満たさない場合に、第2の通信の無効化を設定してもよい。
【0136】
<動作例2>
動作例2では、上述した条件は、通信装置100の伝搬特性(又は、伝搬環境)に基づいてよい。
【0137】
通信装置100は、例えば、伝搬特性に従って、第1の通信(例えば、テラヘルツ帯を用いる無線通信)、及び、第2の通信(例えば、ミリ波帯を用いる無線通信)のそれぞれの有効化及び無効化を設定してもよい。
【0138】
通信装置100の伝搬特性は、例えば、通信装置100における通信が見通し環境(LOS:Line of Sight)であるか否かでもよく、通信装置100における遅延波の影響(例えば、通信の遅延波の遅延量、または遅延波の遅延分散量)でもよい。
【0139】
例えば、通信装置100は、第1の通信における通信相手(例えば、中継デバイス)に対して、見通し環境(LOS)である場合、第1の通信の有効化を設定してよい。これにより、通信装置100は、減衰の大きいテラヘルツ帯の特性を補った通信が可能となる。その一方で、例えば、通信装置100は、第1の通信における通信相手(例えば、中継デバイス)に対して見通し環境でない場合(例えば、見通し外環境(NLOS:Non Line of Sight))、第2の通信の有効化を設定してもよい。これにより、ミリ波帯では減衰が少ないため、見通し環境でない場合にも、通信装置100から送信される信号の受信電力の低下を抑制できる。
【0140】
なお、通信装置100は、例えば、見通し外環境の場合に、第1の通信の無効化を設定してもよい。また、例えば、通信装置100は、見通し環境の場合に、第2の通信の有効化を設定してもよく、無効化を設定してもよい。
【0141】
また、例えば、通信装置100は、遅延波の影響が大きい場合(例えば、遅延波の遅延量または遅延分散量が閾値以上の場合)、第1の通信の有効化を設定してよい。これにより、通信装置100は、遅延波の影響を大きく受けにくいテラヘルツ帯を用いた通信が可能となる。その一方で、例えば、通信装置100は、遅延波の影響が小さい場合(例えば、遅延波の遅延量または遅延分散量が閾値未満の場合)、第2の通信の有効化を設定してよい。これにより、通信装置100は、減衰の小さいミリ波帯での通信が可能となる。
【0142】
なお、通信装置100は、遅延波の影響が小さい場合に、第1の通信を無効化に設定してもよく、有効化に設定してもよい。また、通信装置100は、例えば、遅延波の影響が大きい場合に、第2の通信を無効化に設定してもよい。
【0143】
<動作例3>
動作例3では、上述した条件は、通信装置100におけるアンテナの指向性(又は、ビームの指向性)に基づいてよい。
【0144】
通信装置100は、例えば、送信アンテナ又は受信アンテナの指向性に従って、第1の通信(例えば、テラヘルツ帯を用いる無線通信)、及び、第2の通信(例えば、ミリ波帯を用いる無線通信)のそれぞれの有効化及び無効化を設定してもよい。
【0145】
例えば、送信アンテナ又は受信アンテナの指向性が有る場合又は強い場合(例えば、ビームが細い場合)、第1の通信の有効化を設定してよい。これにより、強い指向性により受信電力が改善し、通信装置100は、減衰の大きいテラヘルツ帯の特性を補った通信が可能となる。
【0146】
その一方で、送信アンテナ又は受信アンテナの指向性が無い場合又は弱い場合(例えば、ビームが太い場合)、第2の通信の有効化を設定してよい。これにより、通信装置100は、減衰の少ないミリ波帯による通信が可能となる。
【0147】
なお、アンテナ指向性はアンテナゲインとして表されてもよい。例えば、通信装置100は、アンテナゲインが閾値以上の場合にアンテナ指向性が強いと判断し、アンテナゲインが閾値未満の場合にアンテナ指向性が弱いと判断してもよい。
【0148】
また、通信装置100は、例えば、送信アンテナ又は受信アンテナの指向性が無い場合又は弱い場合に、第1の通信の無効化を設定してもよく、送信アンテナ又は受信アンテナの指向性が有る場合又は強い場合に、第2の通信の無効化を設定してもよい。
【0149】
<動作例4>
動作例4では、上記条件は、アンライセンスバンド(又は、shared spectrumと呼ぶ)におけるキャリアセンスの結果に基づいてよい。
【0150】
通信装置100は、例えば、アンライセンスバンドにおけるキャリアセンスの結果に従って、第1の通信(例えば、テラヘルツ帯を用いる無線通信)、及び、第2の通信(例えば、ミリ波帯を用いる無線通信)のそれぞれの有効化及び無効化を設定してもよい。
【0151】
なお、キャリアセンスは、例えば、Listen Before Talk(LBT)、Channel Clear Assessment(CCA)とも呼ばれる。
【0152】
例えば、通信装置100は、アンライセンスバンドであるテラヘルツ帯、及び、アンライセンスバンドであるミリ波帯の両方において、キャリアセンスを実施してよい。通信装置100は、例えば、第1の通信に対応するテラヘルツ帯及び第2の通信に対応するミリ波帯のうち、キャリアセンスによって使用可能と判断された無線周波数帯に対応する通信の有効化を設定してよい、
【0153】
制御部152は、例えば、キャリアセンスの結果、テラヘルツ帯における或る帯域が使用可能である(例えば、idle、又は、busyではない)と判断した場合、第1の通信の有効化を設定してよい。または、制御部152は、例えば、キャリアセンスの結果、ミリ波帯における或る帯域が使用可能であると判断した場合、第2の通信の有効化を設定してよい。これにより、通信装置100は、他の無線通信機器による干渉が少ない帯域における通信が可能となる。
【0154】
その一方で、制御部152は、例えば、キャリアセンスの結果、テラヘルツ帯における或る帯域が利用可能でない(例えば、busy)と判断した場合、第1の通信の無効化を設定してよい。または、制御部152は、例えば、キャリアセンスの結果、ミリ波帯における或る帯域が利用可能でないと判断した場合、第2の通信の無効化を設定してよい。これにより、通信装置100から送信される信号が他の無線通信機器に与える干渉を防止できる。
【0155】
なお、通信装置100は、例えば、キャリアセンスによって使用不可と判断された無線周波数帯に対応する通信の無効化を設定してもよい。
【0156】
<動作例5>
動作例5では、上述した条件は、基地局から通信装置100(例えば、端末)への指示に基づいてよい。
【0157】
通信装置100(例えば、端末)は、例えば、基地局から与えられる(又は、通知される)指示に従って、第1の通信(例えば、テラヘルツ帯を用いる無線通信)、及び、第2の通信(例えば、ミリ波帯を用いる無線通信)のそれぞれの有効化及び無効化を設定してもよい。
【0158】
例えば、基地局から通信装置100(例えば、端末)に与えられる指示は、明示的な指示でよい。例えば、基地局から通信装置100へ与えられる制御信号は、第1の通信及び第2の通信の少なくとも一つの有効化及び無効化の設定を明示的に指示してもよい。なお、制御信号は、例えば、Radio Resource Control(RRC)、Medium Access Control(MAC)、及び、Downlink Control Information(DCI)の少なくとも一つでもよい。
【0159】
例えば、図7に示すように、制御信号は2ビットで与えられ、各ビットが、第1の通信及び第2の通信の有効化及び無効化の組み合わせに対応してもよい。
【0160】
動作例5では、通信装置100(例えば、端末)が行う通信の種類(例えば、第1の通信及び第2の通信)の選択は、基地局によって判断されるため、通信装置100は、通信種類の選択を判断しなくてよく、通信装置100における処理量(例えば、計算量)を低減できる。
【0161】
または、基地局から通信装置100(例えば、端末)に与えられる指示は、暗黙的な指示でもよい。例えば、基地局から通信装置100へ与えられる制御信号によって指示される無線通信のパラメータ(例えば、通信帯域幅、waveform、SCS、シンボル長、MCS、送信電力等)、伝搬環境、送受信アンテナの指向性、キャリアセンスの結果といった他の値と、第1の通信及び第2の通信の有効化及び無効化の設定とが関連付けられてもよい。これにより、通信種類の選択を通知するための制御信号のオーバヘッドを削減できる。
【0162】
<動作例6>
動作例6では、通信装置100(例えば、端末)は、例えば、上記動作例1~5で説明した「無線通信のパラメータ」、「伝搬特性」、「キャリアセンスの結果」、「送受信アンテナの指向性」、「基地局による指示又は他の情報」のうち1つ又は複数に基づいて、第1の通信(例えば、テラヘルツ帯を用いる無線通信)、及び、第2の通信(例えば、ミリ波帯を用いる無線通信)のそれぞれの有効化及び無効化を設定してもよい。
【0163】
例えば、第1の通信及び第2の通信の有効化及び無効化の設定の判断には、人工知能 (AI:Artificial Intelligence)、機械学習、人工ニューラルネットワーク(ANN:Artificial Neural Network)、深層学習(deep learning)といった機能が用いられてもよい。これにより、通信装置100は、様々な条件に基づいて、最適な通信方法を判断(又は、選択、設定)できる。
【0164】
<他の動作例>
なお、上述した動作例1~6で説明した条件は一例であり、第1の通信及び第2の通信の有効化及び無効化の設定に関する動作はこれらに限定されない。
【0165】
例えば、通信装置100は、上述した「第1の通信の有効化を設定する」と条件によって、第2の通信の有効化を設定してもよく、上述した「第2の通信の有効化を設定する」条件によって、第1の通信の有効化を設定してもよい。
【0166】
また、例えば、上述した動作例とは反対に、通信装置100は、「第1の通信を実施する」又は「第2の通信を実施する」という条件に従って、「無線通信のパラメータ又は送受信アンテナの指向性」を制御してもよい。
【0167】
例えば、通信装置100は、第1の通信を実施する場合、広い通信帯域幅を設定してもよく、waveformをDFT-s-OFDMに設定してもよく、大きい送信電力を設定してもよく、強い送受信アンテナの指向性を設定してもよい。これにより、減衰の比較的強いテラヘルツ帯でも、通信装置100の信号に対する受信電力が改善し、通信品質が改善する。
【0168】
または、通信装置100は、例えば、第1の通信を実施する場合、広いSCSを設定してもよい。これにより、位相雑音の影響が比較的大きいテラヘルツ帯においても、通信装置100は、位相雑音の影響を抑制して通信が可能となる。
【0169】
また、例えば、通信装置100は、第2の通信を実施する場合、長いスロット長又はCP長を設定してもよい。これにより、遅延波による影響が比較的大きいミリ波帯においても、通信装置100は、遅延波の影響を抑制して通信が可能となる。また、例えば、各スロットの処理にかかる時間が長くなり、処理速度を低く抑えられる。
【0170】
または、通信装置100は、例えば、第2の通信を実施する場合、弱い送受信アンテナの指向性を設定してもよい。これにより、送受信アンテナの制御が比較的容易となり、通信装置100の実装が容易となる。
【0171】
以上、通信装置100による、第1の通信及び第2の通信の有効化及び無効化の設定に関する動作例について説明した。
【0172】
このように、本実施の形態では、通信装置100は、条件に応じて、第1の通信(例えば、第1の無線周波数帯を使用する通信)、及び、第2の通信(例えば、第1の無線周波数帯より低い第2の無線周波数帯を使用する通信)のそれぞれの有効化及び無効化を設定する。これにより、通信装置100は、条件に応じた無線周波数帯の通信により、スループット及びカバレッジ性能の向上が可能である。よって、本実施の形態によれば、無線通信の性能を向上できる。
【0173】
また、通信装置100では、例えば、第1の通信及び第2の通信に使用する一部の回路は共通化される。よって、本実施の形態によれば、通信装置100は、例えば、無線周波数帯に個別の処理部を備えなくてよく、構成を簡易化でき、通信装置100(例えば、端末)の製造コスト又は回路規模を低減できる。
【0174】
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
【0175】
なお、上述した実施の形態では、制御部152は、局部発振器(LO)を制御することにより、第1の通信及び第2の通信の有効化及び無効化を設定する例について説明した。本開示の非限定的な実施例では、他の例として、制御部152は、各通信に対応する他の回路(例えば、コンバータ、増幅器、フェーズドアレイ、アンテナ、分周器等)を制御することにより、各通信の有効化及び無効化を設定してもよい。
【0176】
また、上述した実施の形態において、第1の通信及び第2の通信のうち、一方の通信を有効化する場合に他方の通信を無効化してもよい。または、第1の通信及び第2の通信の両方の通信を有効化してもよい。
【0177】
また、上述した実施の形態では、通信装置100が2つの周波数帯に対応する2つの通信に対応する方法について説明したが、通信装置100が対応する通信の種類は、2種類に限定されない。例えば、3つ以上の種類の周波数帯に対応する3つ以上の通信に対応する方法に対して、上述した実施の形態と同様の動作が適用されてもよい。周波数帯は、例えば、3GPP TS38.104 V17.4.0に記載のOperating band(n1やn2など)であってもよい。
【0178】
また、上述した実施の形態では、第1の通信及び第2の通信にそれぞれ対応する回路の一部を共通化する例について説明したが、これに限定されず、例えば、第1の通信に対応する回路と、第2の通信に対応する回路とは、共通化されず、それぞれ独立に備えてもよい。この場合、通信装置100は、上述した各動作例の何れかに従って、第1の通信及び第2の通信の有効化及び無効化を設定してもよい。
【0179】
また、ミリ波帯は「Frequency range 2(FR2)」の周波数と読み替えてもよい。また、サブ6GHz帯は「Frequency range 1(FR1)」の周波数と読み替えてもよい。
【0180】
また、無線周波数はキャリア周波数と呼ぶこともある。
【0181】
無線周波数帯の例として、テラヘルツ帯及びミリ波帯について説明したが、これに限定されず、通信装置100における送信又は受信に使用される周波数帯は、他の周波数帯でもよく他の周波数帯の組み合わせでもよい。
【0182】
基地局は、gNodeB又はgNBと称されてよい。また、端末は、UEと称されてもよい。
【0183】
また、上述した実施の形態における「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0184】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0185】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0186】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0187】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置は無線送受信機(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信機は受信部と送信部、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信機(送信部、受信部)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0188】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0189】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0190】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0191】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0192】
本開示の一実施例に係る通信装置は、条件に応じて、第1の無線周波数帯を用いる第1の通信、及び、前記第1の無線周波数帯より低い第2の無線周波数帯を用いる第2の通信のそれぞれの有効化及び無効化を設定する制御回路と、前記有効化及び無効化の設定に従って、前記第1の通信又は前記第2の通信を行う通信回路と、を具備する。
【0193】
本開示の一実施例において、前記条件は、前記通信装置に設定される無線通信に関するパラメータに基づく。
【0194】
本開示の一実施例において、前記パラメータは、通信帯域幅、無線波形、送信電力、サブキャリア間隔、シンボル長、及び、変調符号化方式の少なくとも一つを含む。
【0195】
本開示の一実施例において、前記条件は、前記通信装置の伝搬特性に基づく。
【0196】
本開示の一実施例において、前記伝搬特性は、前記通信装置における通信が見通し環境であるか否かであり、前記制御回路は、前記見通し環境である場合に、前記第1の通信の有効化を設定し、前記見通し環境ではない場合に、前記第2の通信の有効化を設定する。
【0197】
本開示の一実施例において、前記伝搬特性は、前記通信装置における通信の遅延波の遅延量または遅延分散量であり、前記制御回路は、前記遅延量または前記遅延分散量が閾値以上の場合に、前記第1の通信の有効化を設定し、前記遅延量または前記遅延分散量が関閾値未満の場合に、前記第2の通信の有効化を設定する。
【0198】
本開示の一実施例において、前記条件は、前記通信装置におけるアンテナの指向性に基づき、前記制御回路は、前記指向性が有る場合に前記第1の通信の有効化を設定し、前記指向性が無い場合に前記第2の通信の有効化を設定する。
【0199】
本開示の一実施例において、前記条件は、キャリアセンスの結果に基づき、前記制御回路は、前記第1の無線周波数帯及び前記第2の無線周波数帯のうち、前記キャリアセンスによって使用可能と判断された無線周波数帯に対応する通信の有効化を設定する。
【0200】
本開示の一実施例において、前記通信装置は、端末であり、前記条件は、基地局からの指示に基づく。
【0201】
本開示の一実施例において、前記通信装置は、端末であり、前記条件は、前記通信装置に設定される無線通信に関するパラメータ、前記通信装置の伝搬特性、前記通信装置におけるアンテナの指向性、キャリアセンスの結果、及び、基地局からの指示の少なくとも一つに基づく。
【0202】
本開示の一実施例において、前記制御回路に含まれるベースバンド処理を行う回路は、前記第1の通信及び前記第2の通信に共通する。
【0203】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記第1の無線周波数帯に対応する信号を生成する第1の局部発振器と、前記第2の無線周波数帯に対応する信号を生成する第2の局部発振器とを含む。
【0204】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記第1の無線周波数帯に対応する第1の信号を生成する第1の局部発振器と、前記第2の無線周波数帯に対応する第2の信号を生成する第2の局部発振器とを含み、前記第2の無線周波数帯に対応するアップコンバータは、前記第1の通信及び前記第2の通信に共通し、前記第1の信号は、前記第1の無線周波数帯と前記第2の無線周波数帯との差分の周波数に対応する。
【0205】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記第1の無線周波数帯に対応する第1の信号を生成する局部発振器と、前記第1の信号の周波数を分周して、前記第2の無線周波数帯に対応する第2の信号を生成する分周器とを含む。
【0206】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記第1の無線周波数帯に対応する第1の信号を生成する局部発振器と、前記第1の信号の周波数を分周して、前記第2の無線周波数帯に対応する第2の信号を生成する分周器とを含み、前記第2の無線周波数帯に対応するアップコンバータは、前記第1の通信及び前記第2の通信に共通し、前記第1の信号は、前記第1の無線周波数帯と前記第2の無線周波数帯との差分の周波数に対応する。
【0207】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記第1の無線周波数帯に対応する信号と前記第2の無線周波数帯に対応する信号とを切り替えて出力する局部発振器を含む。
【0208】
本開示の一実施例に係る通信方法において、通信装置は、条件に応じて、第1の無線周波数帯を用いる第1の通信、及び、前記第1の無線周波数帯より低い第2の無線周波数帯を用いる第2の通信のそれぞれの有効化及び無効化を設定し、前記有効化及び無効化の設定に従って、前記第1の通信又は前記第2の通信を行う。
【産業上の利用可能性】
【0209】
本開示の一態様は、無線通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0210】
100,100a,100b,100c,100d 通信装置
101 符号化部
102 変調部
103 Precoding部
104 DFT部
105 リソースマッピング部
106 IFFT部
107 CP付加部
108 Windowing処理部
109 DA変換部
110,118 LPF
111 UPC
112,116 BPF
113 PA
114 デュプレクサ
115 LNA
117 DNC
119 AD変換部
120 CP除去部
121 FFT部
122 リソースデマッピング部
123 IDFT部
124 チャネル推定部
125 MIMO受信処理部
126 復調部
127 復号部
150,160,170 LO供給部
151,161,171 LO
152,163,172 制御部
162 分周器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7