(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142243
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20230928BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20230928BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01L29/78 652H
H01L29/78 652T
H01L29/78 653C
H01L29/78 652F
H01L29/78 652D
H01L29/06 301D
H01L29/06 301V
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049040
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】河野 洋志
(72)【発明者】
【氏名】田中 克久
(57)【要約】 (修正有)
【課題】短絡耐量を向上させる半導体装置を提供する。
【解決手段】MOSFET100は、炭化珪素層10の第1の面の側で第1の方向に延びるトレンチ内のゲート電極16a、bと、炭化珪素層の中で第1の方向に順に配置される第1導電型の第1の炭化珪素領域26a、第2導電形の第2の炭化珪素領域、第1導電形の第3、第4の炭化珪素領域、第1~第4の炭化珪素領域F1と第1の面との間に設けられ、第1の方向に順に配置され、第1~第4の炭化珪素領域よりも不純物濃度の高い第1導電形の第5の炭化珪素領域30a、第2導電形の第6、第8の炭化珪素領域、第1導電形の第7の炭化珪素領域、第5~第8の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられた第1導電形の第9の炭化珪素領域34、第9の炭化珪素領域と第1の面との間の第2導電形の第10の炭化珪素領域36a及び第9の炭化珪素領域と第1の面との間の第1導電形の第11の炭化珪素領域を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向及び前記第1の方向に直交する第2の方向に平行な第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有する炭化珪素層と、
前記炭化珪素層の中の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の方向に延びる第1のトレンチと、
前記炭化珪素層の中の前記第1の面の側に設けられ、前記第1のトレンチに対し前記第2の方向に設けられ、前記第1の方向に延びる第2のトレンチと、
前記第1のトレンチの中に設けられた第1のゲート電極と、
前記第2のトレンチの中に設けられた第2のゲート電極と、
前記第1のゲート電極と前記炭化珪素層との間に設けられた第1のゲート絶縁層と、
前記第2のゲート電極と前記炭化珪素層との間に設けられた第2のゲート絶縁層と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延びた第1導電型の第1の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第1の炭化珪素領域に対し前記第1の方向に位置する第2導電形の第2の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第2の炭化珪素領域に対し前記第1の方向に位置する第1導電形の第3の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第3の炭化珪素領域に対し前記第1の方向に位置する第2導電形の第4の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第1の炭化珪素領域に対し前記第1の面に垂直な第3の方向に位置し、前記第1のトレンチ及び前記第2のトレンチと前記第2の面との間に位置し、前記第1の炭化珪素領域の第1導電形不純物濃度よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第5の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第2の炭化珪素領域に対し前記第3の方向に位置し、前記第1のトレンチ及び前記第2のトレンチと前記第2の面との間に位置し、前記第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第6の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第3の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の炭化珪素領域に対し前記第3の方向に位置し、前記第1のトレンチ及び前記第2のトレンチと前記第2の面との間に位置し、前記第3の炭化珪素領域の第1導電形不純物濃度よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第7の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第4の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第4の炭化珪素領域に対し前記第3の方向に位置し、前記第1のトレンチ及び前記第2のトレンチと前記第2の面との間に位置し、前記第4の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第8の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第5の炭化珪素領域と前記第1の面との間、前記第6の炭化珪素領域と前記第1の面との間、前記第7の炭化珪素領域と前記第1の面との間、前記第8の炭化珪素領域と前記第1の面との間、前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの間に位置する第1導電形の第9の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第9の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの間に位置する第2導電形の第10の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第9の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの間に位置し、前記第9の炭化珪素領域の第1導電形不純物濃度よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第11の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層に対し前記第1の面の側に設けられ、前記第10の炭化珪素領域及び前記第11の炭化珪素領域に接する第1の電極と、
前記炭化珪素層に対し前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第5の炭化珪素領域と前記第7の炭化珪素領域との間の前記第1の方向の距離は、前記第1の炭化珪素領域と前記第3の炭化珪素領域との間の前記第1の方向の距離よりも小さい請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第11の炭化珪素領域は、前記第10の炭化珪素領域に対し前記第1の方向に位置し、
前記第10の炭化珪素領域は、前記第5の炭化珪素領域に対し前記第3の方向に位置し、
前記第11の炭化珪素領域は、前記第6の炭化珪素領域に対し前記第3の方向に位置する請求項1又は請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第9の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの間に位置し、前記第7の炭化珪素領域に対し前記第3の方向に位置する第2導電形の第12の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第9の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの間に位置し、前記第8の炭化珪素領域に対し前記第3の方向に位置する第1導電形の第13の炭化珪素領域とを、
更に備える請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第9の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第1の方向に延び、前記第1のトレンチと前記第10の炭化珪素領域との間に位置し、前記第1のトレンチと前記第11の炭化珪素領域との間に位置し、前記第1のトレンチと前記第12の炭化珪素領域との間に位置し、前記第1のトレンチと前記第13の炭化珪素領域との間に位置し、前記第10の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の低い第2導電形の第14の炭化珪素領域を、
更に備える請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
第1の方向及び前記第1の方向に直交する第2の方向に平行な第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有する炭化珪素層と、
前記炭化珪素層の中の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の方向に延びる第1のトレンチと、
前記炭化珪素層の中の前記第1の面の側に設けられ、前記第1のトレンチに対し前記第2の方向に設けられ、前記第1の方向に延びる第2のトレンチと、
前記第1のトレンチの中に設けられた第1のゲート電極と、
前記第2のトレンチの中に設けられた第2のゲート電極と、
前記第1のゲート電極と前記炭化珪素層との間に設けられた第1のゲート絶縁層と、
前記第2のゲート電極と前記炭化珪素層との間に設けられた第2のゲート絶縁層と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第1の方向に延びた第1導電型の第1の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第1の方向に延び、前記第1の炭化珪素領域に対し前記第2の方向に位置する第2導電形の第2の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第1の方向に延び、前記第2の炭化珪素領域に対し前記第2の方向に位置する第1導電形の第3の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第1の方向に延び、前記第3の炭化珪素領域に対し前記第2の方向に位置する第2導電形の第4の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第4の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第1のトレンチ及び前記第2のトレンチと前記第2の面との間に位置し、前記第1の炭化珪素領域の第1導電形不純物濃度よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第5の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第4の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第1のトレンチ及び前記第2のトレンチと前記第2の面との間に位置し、前記第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第6の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第4の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第1のトレンチ及び前記第2のトレンチと前記第2の面との間に位置し、前記第1の炭化珪素領域の第1導電形不純物濃度よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第7の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第4の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第1のトレンチ及び前記第2のトレンチと前記第2の面との間に位置し、前記第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第8の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第5の炭化珪素領域と前記第1の面との間、前記第6の炭化珪素領域と前記第1の面との間、前記第7の炭化珪素領域と前記第1の面との間、前記第8の炭化珪素領域と前記第1の面との間、前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの間に位置する第1導電形の第9の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第9の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの間に位置する第2導電形の第10の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第9の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの間に位置し、前記第9の炭化珪素領域の第1導電形不純物濃度よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第11の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層に対し前記第1の面の側に設けられ、前記第10の炭化珪素領域及び前記第11の炭化珪素領域に接する第1の電極と、
前記炭化珪素層に対し前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、
を備える半導体装置。
【請求項7】
前記第11の炭化珪素領域は、前記第10の炭化珪素領域に対し前記第1の方向に位置し、
前記第10の炭化珪素領域は、前記第5の炭化珪素領域に対し前記第1の面に垂直な第3の方向に位置し、
前記第11の炭化珪素領域は、前記第6の炭化珪素領域に対し前記第3の方向に位置する請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1のトレンチは、前記第1の炭化珪素領域に対し前記第1の面に垂直な第3の方向に位置し、
前記第9の炭化珪素領域は、前記第2の炭化珪素領域に対し前記第3の方向に位置する請求項6記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の炭化珪素領域と前記第4の炭化珪素領域との間の前記第2の方向の距離は、前記第5の炭化珪素領域と前記第8の炭化珪素領域との間の前記第1の方向の距離よりも大きい請求項6又は請求項7記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス用の材料として炭化珪素(SiC)が期待されている。炭化珪素はシリコンと比較して、バンドギャップが約3倍、破壊電界強度が約10倍、熱伝導率が約3倍と優れた物性を有する。この特性を活用すれば、例えば、高耐圧、低損失かつ高温動作可能なMetal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(MOSFET)を実現することができる。
【0003】
縦型のMOSFETにおいて、低いオン抵抗を実現するために、トレンチの中にゲート電極を設けるトレンチゲート構造が適用される。トレンチゲート構造を適用することで、単位面積あたりのチャネル面積が増加し、オン抵抗が低減される。
【0004】
MOSFETを用いて駆動される負荷に短絡が生じると、MOSFETに大電流が流れMOSFETが破壊に至る。MOSFETが破壊に至るまでの時間は短絡耐量と称される。MOSFETの信頼性を向上させる観点から、短絡耐量を向上させることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、短絡耐量の向上が可能な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の半導体装置は、第1の方向及び前記第1の方向に直交する第2の方向に平行な第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面とを有する炭化珪素層と、前記炭化珪素層の中の前記第1の面の側に設けられ、前記第1の方向に延びる第1のトレンチと、前記炭化珪素層の中の前記第1の面の側に設けられ、前記第1のトレンチに対し前記第2の方向に設けられ、前記第1の方向に延びる第2のトレンチと、前記第1のトレンチの中に設けられた第1のゲート電極と、前記第2のトレンチの中に設けられた第2のゲート電極と、前記第1のゲート電極と前記炭化珪素層との間に設けられた第1のゲート絶縁層と、前記第2のゲート電極と前記炭化珪素層との間に設けられた第2のゲート絶縁層と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延びた第1導電型の第1の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第1の炭化珪素領域に対し前記第1の方向に位置する第2導電形の第2の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第2の炭化珪素領域に対し前記第1の方向に位置する第1導電形の第3の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第3の炭化珪素領域に対し前記第1の方向に位置する第2導電形の第4の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第1の炭化珪素領域に対し前記第1の面に垂直な第3の方向に位置し、前記第1のトレンチ及び前記第2のトレンチと前記第2の面との間に位置し、前記第1の炭化珪素領域の第1導電形不純物濃度よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第5の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第2の炭化珪素領域に対し前記第3の方向に位置し、前記第1のトレンチ及び前記第2のトレンチと前記第2の面との間に位置し、前記第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第6の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第3の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の炭化珪素領域に対し前記第3の方向に位置し、前記第1のトレンチ及び前記第2のトレンチと前記第2の面との間に位置し、前記第3の炭化珪素領域の第1導電形不純物濃度よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第7の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の方向に延び、前記第4の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第4の炭化珪素領域に対し前記第3の方向に位置し、前記第1のトレンチ及び前記第2のトレンチと前記第2の面との間に位置し、前記第4の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第8の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第5の炭化珪素領域と前記第1の面との間、前記第6の炭化珪素領域と前記第1の面との間、前記第7の炭化珪素領域と前記第1の面との間、前記第8の炭化珪素領域と前記第1の面との間、前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの間に位置する第1導電形の第9の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第9の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの間に位置する第2導電形の第10の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第9の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第1のトレンチと前記第2のトレンチとの間に位置し、前記第9の炭化珪素領域の第1導電形不純物濃度よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第11の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層に対し前記第1の面の側に設けられ、前記第10の炭化珪素領域及び前記第11の炭化珪素領域に接する第1の電極と、前記炭化珪素層に対し前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図9】第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図。
【
図10】第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図。
【
図11】第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図。
【
図12】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図13】第3の実施形態の半導体装置の模式平面図。
【
図14】第4の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図15】第4の実施形態の半導体装置の模式平面図。
【
図16】第4の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図17】第4の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図18】第4の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図19】第4の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図20】第4の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図21】第4の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図22】第5の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図23】第5の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0010】
また、以下の説明において、n+、n、n-及び、p+、p、p-の表記を用いる場合、これらの表記は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちn+はnよりもn型の不純物濃度が相対的に高く、n-はnよりもn型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、p+はpよりもp型の不純物濃度が相対的に高く、p-はpよりもp型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n+型、n-型を単にn型、p+型、p-型を単にp型と記載する場合もある。
【0011】
不純物濃度は、例えば、Secondary Ion Mass Spectrometry(SIMS)により測定することが可能である。また、不純物濃度の相対的な高低は、例えば、Scanning Capacitance Microscopy(SCM)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。また、不純物領域の深さ等の距離は、例えば、SIMSで求めることが可能である。また。不純物領域の幅や深さ等の距離は、例えば、SCM像から求めることが可能である。
【0012】
トレンチの形状、絶縁層の厚さ等は、例えば、Transmission Electron Microscope(TEM)の画像上で計測することが可能である。
【0013】
なお、本明細書中でp型の炭化珪素領域の「p型不純物濃度」とは、当該領域のp型不純物濃度から当該領域のn型不純物濃度を引いた正味(net)のp型不純物濃度を意味する。また、n型の炭化珪素領域の「n型不純物濃度」とは、当該領域のn型不純物濃度から当該領域のp型不純物濃度を引いた正味(net)のn型不純物濃度を意味する。
【0014】
また、本明細書中、特定の領域の不純物濃度とは、別段の定義がない場合は、該当する領域の中央部の不純物濃度で代表させる。
【0015】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、第1の方向及び第1の方向に直交する第2の方向に平行な第1の面と、第1の面に対向する第2の面とを有する炭化珪素層と、炭化珪素層の中の第1の面の側に設けられ、第1の方向に延びる第1のトレンチと、炭化珪素層の中の第1の面の側に設けられ、第1のトレンチに対し第2の方向に設けられ、第1の方向に延びる第2のトレンチと、第1のトレンチの中に設けられた第1のゲート電極と、第2のトレンチの中に設けられた第2のゲート電極と、第1のゲート電極と炭化珪素層との間に設けられた第1のゲート絶縁層と、第2のゲート電極と炭化珪素層との間に設けられた第2のゲート絶縁層と、炭化珪素層の中に設けられ、第2の方向に延びた第1導電型の第1の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第2の方向に延び、第1の炭化珪素領域に対し第1の方向に位置する第2導電形の第2の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第2の方向に延び、第2の炭化珪素領域に対し第1の方向に位置する第1導電形の第3の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第2の方向に延び、第3の炭化珪素領域に対し第1の方向に位置する第2導電形の第4の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第2の方向に延び、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第1の炭化珪素領域に対し第1の面に垂直な第3の方向に位置し、第1のトレンチ及び第2のトレンチと第2の面との間に位置し、第1の炭化珪素領域の第1導電形不純物濃度よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第5の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第2の方向に延び、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第2の炭化珪素領域に対し第3の方向に位置し、第1のトレンチ及び第2のトレンチと第2の面との間に位置し、第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第6の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第2の方向に延び、第3の炭化珪素領域と前記第1の面との間に位置し、前記第3の炭化珪素領域に対し前記第3の方向に位置し、第1のトレンチ及び第2のトレンチと第2の面との間に位置し、第3の炭化珪素領域の第1導電形不純物濃度よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第7の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第2の方向に延び、第4の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第4の炭化珪素領域に対し第3の方向に位置し、第1のトレンチ及び第2のトレンチと第2の面との間に位置し、第4の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第8の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第5の炭化珪素領域と第1の面との間、第6の炭化珪素領域と第1の面との間、第7の炭化珪素領域と第1の面との間、第8の炭化珪素領域と第1の面との間、第1のトレンチと第2のトレンチとの間に位置する第1導電形の第9の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第9の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第1のトレンチと第2のトレンチとの間に位置する第2導電形の第10の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第9の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第1のトレンチと第2のトレンチとの間に位置し、第9の炭化珪素領域の第1導電形不純物濃度よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第11の炭化珪素領域と、炭化珪素層に対し第1の面の側に設けられ、第10の炭化珪素領域及び第11の炭化珪素領域に接する第1の電極と、炭化珪素層に対し第2の面の側に設けられた第2の電極と、を備える。
【0016】
以下、第1導電型がp型、第2導電型がn型の場合を例に説明する。
【0017】
図1は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図1は、
図2のAA’断面である。
【0018】
図2は、第1の実施形態の半導体装置の模式平面図である。
図2は、
図1の第1の面(
図1中のF1)における平面図である。
【0019】
図3は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図3は、
図2のBB’断面である。
【0020】
図4は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図4は、
図2のCC’断面である。
【0021】
図5は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図5は、
図2のDD’断面である。
【0022】
図6は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図6は、
図2のEE’断面である。
【0023】
図7は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図7は、
図1のFxにおける断面である。
【0024】
図8は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図8は、
図1のFyにおける断面である。
【0025】
第1の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたトレンチゲート型の縦型のMOSFET100である。MOSFET100は、電子をキャリアとするnチャネル型のMOSFETである。
【0026】
MOSFET100は、スーパージャンクション構造(以下「SJ構造」とも称する)を備える。SJ構造は、p型半導体領域とn型半導体領域とを交互に配列させた構造である。p型半導体領域とn型半導体領域を空乏化させることで高い耐圧を実現する。同時に、高不純物濃度領域に電流を流すことで低いオン抵抗を実現できる。
【0027】
MOSFET100は、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、第1のゲート電極16a、第2のゲート電極16b、第1のゲート絶縁層18a、第2のゲート絶縁層18b、層間絶縁層20、第1のトレンチ22a、及び第2のトレンチ22bを備える。
【0028】
炭化珪素層10の中には、n+型のドレイン領域24、n型のバッファ領域25、p-型の第1のpピラー領域26a(第1の炭化珪素領域)、p-型の第2のpピラー領域26b(第3の炭化珪素領域)、n-型の第1のnピラー領域28a(第2の炭化珪素領域)、n-型の第2のnピラー領域28b(第4の炭化珪素領域)、n-型の第3のnピラー領域28c、p型の第1のpコントロール領域30a(第5の炭化珪素領域)、p型の第2のpコントロール領域30b(第7の炭化珪素領域)、n型の第1のnコントロール領域32a(第6の炭化珪素領域)、n型の第2のnコントロール領域32b(第8の炭化珪素領域)、n型の第3のnコントロール領域32c、p型のボディ領域34(第9の炭化珪素領域)、n型のソース領域35(第14の炭化珪素領域)、n+型の第1のnコンタクト領域36a(第10の炭化珪素領域)、n+型の第2のnコンタクト領域36b(第12の炭化珪素領域)、p+型の第1のpコンタクト領域38a(第11の炭化珪素領域)、p+型の第2のpコンタクト領域38b(第13の炭化珪素領域)、p+型の第3のpコンタクト領域38c、が設けられる。
【0029】
以下、第1のゲート電極16a及び第2のゲート電極16bを総称して、ゲート電極16と表現する場合がある。また、第1のゲート絶縁層18a及び第2のゲート絶縁層18bを総称して、ゲート絶縁層18と表現する場合がある。また、第1のトレンチ22a及び第2のトレンチ22bを総称して、トレンチ22と表現する場合がある。
【0030】
以下、第1のpピラー領域26a及び第2のpピラー領域26bを総称して、pピラー領域26と表現する場合がある。また、第1のnピラー領域28a、第2のnピラー領域28b、及び第3のnピラー領域28cを総称して、nピラー領域28と表現する場合がある。また、第1のpコントロール領域30a、第2のpコントロール領域30bを総称して、pコントロール領域30と表現する場合がある。また、第1のnコントロール領域32a、第2のnコントロール領域32b、及び第3のnコントロール領域32cを総称して、nコントロール領域32と表現する場合がある。また、第1のnコンタクト領域36a、第2のnコンタクト領域36bを総称して、nコンタクト領域36と表現する場合がある。また、第1のpコンタクト領域38a、第2のpコンタクト領域38b、及び第3のpコンタクト領域38cを総称して、pコンタクト領域38と表現する場合がある。
【0031】
炭化珪素層10は、単結晶のSiCである。炭化珪素層10は、例えば、4H-SiCである。
【0032】
炭化珪素層10は、第1の面(
図1中“F1”)と、第1の面に対向する第2の面(
図1中“F2”)とを備える。以下、第1の面F1を表面、第2の面F2を裏面とも称する。なお、以下、「深さ」とは、第1の面F1を基準とする深さを意味する。
【0033】
図1、
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、及び
図8中、第1の方向及び第2の方向は、第1の面F1及び第2の面F2に平行である。第3の方向は、第1の面F1及び第2の面F2に垂直である。第2の方向は第1の方向に垂直である。
【0034】
第1の面F1は、例えば、(0001)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。すなわち、法線が[0001]方向のc軸に対し0度以上8度以下傾斜した面である。言い換えれば、(0001)面に対するオフ角が0度以上8度以下である。また、第2の面F2は、例えば、(000-1)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。
【0035】
(0001)面はシリコン面と称される。(000-1)面はカーボン面と称される。第1の面F1及び第2の面F2の傾斜方向は、例えば、[11-20]方向である。[11-20]方向は、a軸方向である。
図1では、例えば、図中に示す第2の方向がa軸方向である。
【0036】
第1のトレンチ22a及び第2のトレンチ22bは、炭化珪素層10の中の第1の面F1の側に設けられる。第1のトレンチ22a及び第2のトレンチ22bは、
図2に示すように第1の方向に延びる。第1のトレンチ22a及び第2のトレンチ22bを含む複数のトレンチが、第2の方向に繰り返し配置される。トレンチの第2の方向の繰り替えしピッチは、例えば、1.0μm以上5.0μm以下である。第1のトレンチ22a及び第2のトレンチ22bの深さは、例えば、1μm以上2μm以下である。
【0037】
第1のトレンチ22a及び第2のトレンチ22bは、炭化珪素層10の第1の面F1に設けられた凹部である。
【0038】
第1のゲート電極16aは、第1のトレンチ22aの中に設けられる。第1のゲート電極16aは、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。第1のゲート電極16aは、第1の方向に延びる。
【0039】
第2のゲート電極16bは、第2のトレンチ22bの中に設けられる。第2のゲート電極16bは、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。第2のゲート電極16bは、第1の方向に延びる。
【0040】
ゲート電極16は、導電層である。ゲート電極16は、例えば、p型不純物又はn型不純物を含む多結晶質シリコンである。
【0041】
第1のゲート絶縁層18aは、第1のゲート電極16aと炭化珪素層10との間に設けられる。第1のゲート絶縁層18aは、少なくとも、ソース領域35、ボディ領域34、pコントロール領域30、及びnコントロール領域32の各領域と、第1のゲート電極16aとの間に設けられる。
【0042】
第2のゲート絶縁層18bは、第2のゲート電極16bと炭化珪素層10との間に設けられる。第2のゲート絶縁層18bは、少なくとも、ソース領域35、ボディ領域34、pコントロール領域30、及びnコントロール領域32の各領域と、第2のゲート電極16bとの間に設けられる。
【0043】
ゲート絶縁層18は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、又は、酸化アルミニウムを含む。ゲート絶縁層18は、例えば、上記材料のいずれかを含む膜の積層膜である。ゲート絶縁層18は、例えば、窒素を含む酸化シリコンを含む。
【0044】
層間絶縁層20は、第1のゲート電極16a及び第2のゲート電極16bの上に設けられる。層間絶縁層20は、第1のゲート電極16a及び第2のゲート電極16bと、ソース電極12との間に設けられる。層間絶縁層20は、例えば、酸化シリコンを含む。
【0045】
n+型のドレイン領域24は、炭化珪素層10の裏面側に設けられる。ドレイン領域24は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。ドレイン領域24のn型不純物濃度は、例えば、5×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0046】
n型のバッファ領域25は、ドレイン領域24上に設けられる。バッファ領域25は、ドレイン領域24と炭化珪素層10の表面との間に設けられる。
【0047】
バッファ領域25は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。バッファ領域25のn型不純物濃度は、ドレイン領域24のn型不純物濃度より低い。バッファ領域25のn型不純物濃度は、例えば、5×1017cm-3以上5×1019cm-3以下である。
【0048】
p
-型の第1のpピラー領域26aは、バッファ領域25と炭化珪素層10の表面との間に設けられる。
図7に示すように、第1のpピラー領域26aは、第2の方向に延びる。
【0049】
n
-型の第1のnピラー領域28aは、バッファ領域25と炭化珪素層10の表面との間に設けられる。
図7に示すように、第1のnピラー領域28aは、第2の方向に延びる。また、第1のnピラー領域28aは、第1のpピラー領域26aに対して第1の方向に位置する。第1のnピラー領域28aは、第1のpピラー領域26aに接する。
【0050】
p
-型の第2のpピラー領域26bは、バッファ領域25と炭化珪素層10の表面との間に設けられる。
図7に示すように、第2のpピラー領域26bは、第2の方向に延びる。第2のpピラー領域26bは、第1のnピラー領域28aに対して第1の方向に位置する。第2のpピラー領域26bは、第1のnピラー領域28aに接する。
【0051】
n
-型の第2のnピラー領域28bは、バッファ領域25と炭化珪素層10の表面との間に設けられる。
図7に示すように、第2のnピラー領域28bは、第2の方向に延びる。また、第2のnピラー領域28bは、第2のpピラー領域26bに対して第1の方向に位置する。第2のnピラー領域28bは、第2のpピラー領域26bに接する。
【0052】
n
-型の第3のnピラー領域28cは、バッファ領域25と炭化珪素層10の表面との間に設けられる。
図7に示すように、第3のnピラー領域28cは、第2の方向に延びる。また、第3のnピラー領域28cは、第1のpピラー領域26aに対して第1の方向に位置する。第3のnピラー領域28cは、第1のpピラー領域26aに接する。第3のnピラー領域28cと第1のnピラー領域28aとの間に、第1のpピラー領域26aが位置する。
【0053】
pピラー領域26は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。pピラー領域26のp型不純物濃度は、例えば、5×1015cm-3以上5×1017cm-3以下である。
【0054】
nピラー領域28は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。nピラー領域28のn型不純物濃度は、バッファ領域25のn型不純物濃度より低い。nピラー領域28のn型不純物濃度は、例えば、5×1015cm-3以上5×1017cm-3以下である。
【0055】
複数のpピラー領域26と複数のnピラー領域28が、第1の方向に交互に配置される。複数のpピラー領域26と複数のnピラー領域28が、SJ構造を形成する。SJ構造は、MOSFET100の耐圧を向上させる機能を有する。
【0056】
pピラー領域26とnピラー領域28の第1の方向の繰り返しピッチ(
図7中のP1)は、例えば、1.0μm以上5.0μm以下である。
【0057】
p型の第1のpコントロール領域30aは、第1のpピラー領域26aと炭化珪素層10の表面との間に位置する。第1のpコントロール領域30aは、第1のpピラー領域26aに対し、第3の方向に位置する。
【0058】
図8に示すように、第1のpコントロール領域30aは、第2の方向に延びる。第1のpコントロール領域30aは、トレンチ22と炭化珪素層10の裏面との間に位置する。第1のpコントロール領域30aは、例えば、第1のトレンチ22aの底面及び第2のトレンチ22bの底面に接する。
【0059】
n型の第1のnコントロール領域32aは、第1のnピラー領域28aと炭化珪素層10の表面との間に位置する。第1のnコントロール領域32aは、第1のnピラー領域28aに対し、第3の方向に位置する。
【0060】
図8に示すように、第1のnコントロール領域32aは、第2の方向に延びる。また、第1のnコントロール領域32aは、第1のpコントロール領域30aに対し、第1の方向に位置する。第1のnコントロール領域32aは、第1のpコントロール領域30aに接する。
【0061】
第1のnコントロール領域32aは、トレンチ22と炭化珪素層10の裏面との間に位置する。第1のnコントロール領域32aは、第1のトレンチ22aの底面及び第2のトレンチ22bの底面に接する。
【0062】
p型の第2のpコントロール領域30bは、第2のpピラー領域26bと炭化珪素層10の表面との間に位置する。第2のpコントロール領域30bは、第2のpピラー領域26bに対し、第3の方向に位置する。
【0063】
図8に示すように、第2のpコントロール領域30bは、第2の方向に延びる。第2のpコントロール領域30bは、第1のnコントロール領域32aに対し、第1の方向に位置する。第2のpコントロール領域30bは、第1のnコントロール領域32aに接する。
【0064】
第2のpコントロール領域30bは、トレンチ22と炭化珪素層10の裏面との間に位置する。第2のpコントロール領域30bは、例えば、第1のトレンチ22aの底面及び第2のトレンチ22bの底面に接する。
【0065】
n型の第2のnコントロール領域32bは、第2のnピラー領域28bと炭化珪素層10の表面との間に位置する。第2のnコントロール領域32bは、第2のnピラー領域28bに対し、第3の方向に位置する。
【0066】
図8に示すように、第2のnコントロール領域32bは、第2の方向に延びる。また、第2のnコントロール領域32bは、第2のpコントロール領域30bに対し、第1の方向に位置する。第2のnコントロール領域32bは、第2のpコントロール領域30bに接する。
【0067】
第2のnコントロール領域32bは、トレンチ22と炭化珪素層10の裏面との間に位置する。第2のnコントロール領域32bは、第1のトレンチ22aの底面及び第2のトレンチ22bの底面に接する。
【0068】
n型の第3のnコントロール領域32cは、第3のnピラー領域28cと炭化珪素層10の表面との間に位置する。第3のnコントロール領域32cは、第3のnピラー領域28cに対し、第3の方向に位置する。
【0069】
図8に示すように、第3のnコントロール領域32cは、第2の方向に延びる。また、第3のnコントロール領域32cは、第1のpコントロール領域30aに対し、第1の方向に位置する。第3のnコントロール領域32cは、第1のpコントロール領域30aに接する。
【0070】
第3のnコントロール領域32cは、トレンチ22と炭化珪素層10の裏面との間に位置する。第3のnコントロール領域32cは、第1のトレンチ22aの底面及び第2のトレンチ22bの底面に接する。
【0071】
pコントロール領域30は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。pコントロール領域30のp型不純物濃度は、pピラー領域26のp型不純物濃度よりも高い。pコントロール領域30のp型不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上5×1018cm-3以下である。
【0072】
nコントロール領域32は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。nコントロール領域32のn型不純物濃度は、nピラー領域28のn型不純物濃度より高い。nコントロール領域32のn型不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0073】
複数のpコントロール領域30と複数のnコントロール領域32が、第1の方向に交互に配置される。複数のpコントロール領域30と複数のnコントロール領域32は、MOSFET100の短絡耐量を向上させる機能を有する。
【0074】
複数のpコントロール領域30は、トレンチ22の底面に対向する。pコントロール領域30は、ゲート絶縁層18の信頼性を向上させる機能を有する。
【0075】
pコントロール領域30とnコントロール領域32の第1の方向の繰り返しピッチ(
図8中のP2)は、pピラー領域26とnピラー領域28の第1の方向の繰り返しピッチ(
図7中のP1)と等しい。pコントロール領域30とnコントロール領域32の第1の方向の繰り返しピッチは、例えば、1.0μm以上5.0μm以下である。
【0076】
p型のボディ領域34は、pコントロール領域30と炭化珪素層10の表面との間に位置する。p型のボディ領域34は、nコントロール領域32と炭化珪素層10の表面との間に位置する。ボディ領域34は、第1のトレンチ22aと第2のトレンチ22bとの間に位置する。ボディ領域34は、第1の方向に延びる。
【0077】
ボディ領域34は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。ボディ領域34のp型不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上5×1018cm-3以下である。
【0078】
ボディ領域34の深さは、トレンチ22の深さよりも浅い。ボディ領域34の深さは、例えば、0.5μm以上1.0μm以下である。
【0079】
ボディ領域34はMOSFET100のチャネル領域として機能する。例えば、MOSFET100のオン動作時に、ボディ領域34のゲート絶縁層18と接する領域に電子が流れるチャネルが形成される。ボディ領域34のゲート絶縁層18と接する領域が、チャネル形成領域となる。
【0080】
n型のソース領域35は、ボディ領域34と炭化珪素層10の表面との間に設けられる。ソース領域35は、
図2に示すように、第1の方向に延びる。
【0081】
ソース領域35は、第1のトレンチ22aに沿って設けられる。ソース領域35は、第2のトレンチ22bに沿って設けられる。
【0082】
ソース領域35は、第1のゲート絶縁層18aに沿って設けられる。ソース領域35は、第2のゲート絶縁層18bに沿って設けられる。ソース領域35は、ゲート絶縁層18に接する。
【0083】
ソース領域35は、トレンチ22とnコンタクト領域36との間に位置する。ソース領域35は、トレンチ22とpコンタクト領域38との間に位置する。nコンタクト領域36は2つのソース領域35に挟まれる。また、pコンタクト領域38は、2つのソース領域35に挟まれる。
【0084】
ソース領域35は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。ソース領域35のn型不純物濃度は、nコンタクト領域36のn型不純物濃度より低い。ソース領域35のn型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上5×1019cm-3以下である。
【0085】
n+型の第1のnコンタクト領域36aは、ボディ領域34と炭化珪素層10の表面との間に位置する。第1のnコンタクト領域36aは、第1のトレンチ22aと第2のトレンチ22bとの間に位置する。
【0086】
図4に示すように、第1のnコンタクト領域36aは、第1のpコントロール領域30aに対し、第3の方向に位置する。第1のnコンタクト領域36aは、第1のpコントロール領域30aの直上に位置する。
【0087】
p
+型の第1のpコンタクト領域38aは、ボディ領域34と炭化珪素層10の表面との間に位置する。第1のpコンタクト領域38aは、第1のトレンチ22aと第2のトレンチ22bとの間に位置する。
図2に示すように、第1のpコンタクト領域38aは、第1のnコンタクト領域36aに対し、第1の方向に位置する。
【0088】
図4に示すように、第1のpコンタクト領域38aは、第1のnコントロール領域32aに対し、第3の方向に位置する。第1のpコンタクト領域38aは、第1のnコントロール領域32aの直上に位置する。
【0089】
n
+型の第2のnコンタクト領域36bは、ボディ領域34と炭化珪素層10の表面との間に位置する。第2のnコンタクト領域36bは、第1のトレンチ22aと第2のトレンチ22bとの間に位置する。
図2に示すように、第2のnコンタクト領域36bは、第1のpコンタクト領域38aに対し、第1の方向に位置する。
【0090】
図4に示すように、第2のnコンタクト領域36bは、第2のpコントロール領域30bに対し、第3の方向に位置する。第2のnコンタクト領域36bは、第2のpコントロール領域30bの直上に位置する。
【0091】
p
+型の第2のpコンタクト領域38bは、ボディ領域34と炭化珪素層10の表面との間に位置する。第2のpコンタクト領域38bは、第1のトレンチ22aと第2のトレンチ22bとの間に位置する。
図2に示すように、第2のpコンタクト領域38bは、第2のnコンタクト領域36bに対し、第1の方向に位置する。
【0092】
図4に示すように、第2のpコンタクト領域38bは、第2のnコントロール領域32bに対し、第3の方向に位置する。第2のpコンタクト領域38bは、第2のnコントロール領域32bの直上に位置する。
【0093】
p
+型の第3のpコンタクト領域38cは、ボディ領域34と炭化珪素層10の表面との間に位置する。
図2に示すように、第3のpコンタクト領域38cは、第1のnコンタクト領域36aに対し、第1の方向に位置する。
【0094】
図4に示すように、第3のpコンタクト領域38cは、第3のnコントロール領域32cに対し、第3の方向に位置する。第3のpコンタクト領域38cは、第3のnコントロール領域32cの直上に位置する。
【0095】
nコンタクト領域36は、例えば、リン(P)をn型不純物として含む。nコンタクト領域36のn型不純物濃度は、ソース領域35のn型不純物濃度より高い。nコンタクト領域36のn型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0096】
pコンタクト領域38は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。pコンタクト領域38のp型不純物濃度は、ボディ領域34のp型不純物濃度よりも高い。pコンタクト領域38のp型不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0097】
複数のnコンタクト領域36とpコンタクト領域38が、第1の方向に交互に配置される。複数のnコンタクト領域36とpコンタクト領域38は、MOSFET100のコンタクト抵抗を低減し、MOSFET100のオン抵抗を低減する機能を有する。
【0098】
nコンタクト領域36とpコンタクト領域38の第1の方向の繰り返しピッチは、例えば、pコントロール領域30とnコントロール領域32の第1の方向の繰り返しピッチと等しい。
【0099】
pコントロール領域30の第3の方向に、nコンタクト領域36が位置する。nコンタクト領域36は、pコントロール領域30の直上に設けられる。
【0100】
nコントロール領域32の第3の方向に、pコンタクト領域38が位置する。pコンタクト領域38は、nコントロール領域32の直上に設けられる。
【0101】
pコントロール領域30の第3の方向に設けられるnコンタクト領域36の第1の面F1における面積は、例えば、pコントロール領域30の第3の方向に設けられるpコンタクト領域38の第1の面F1における面積よりも大きい。
【0102】
nコントロール領域32の第3の方向に設けられるpコンタクト領域38の第1の面F1における面積は、例えば、nコントロール領域32の第3の方向に設けられるnコンタクト領域36の第1の面F1における面積よりも大きい。
【0103】
ソース電極12は、炭化珪素層10の表面の側に設けられる。ソース電極12は、炭化珪素層10の表面上に設けられる。ソース電極12は、例えば、nコンタクト領域36及びpコンタクト領域38に接する。
【0104】
ソース電極12は、金属を含む。ソース電極12を形成する金属は、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。ソース電極12は、例えば、nコンタクト領域36及びpコンタクト領域38に接する部分に、コンタクト抵抗の低抵抗化のための金属シリサイドを含んでも構わない。金属シリサイドは、例えば、ニッケルシリサイドである。
【0105】
ソース電極12と、nコンタクト領域36及びpコンタクト領域38との接続は、例えば、オーミック接続である。
【0106】
ドレイン電極14は、炭化珪素層10の裏面の側に設けられる。ドレイン電極14は、炭化珪素層10の裏面上に設けられる。ドレイン電極14は、ドレイン領域24に接する。
【0107】
ドレイン電極14は、例えば、金属又は金属半導体化合物である。ドレイン電極14は、例えば、ニッケルシリサイド(NiSi)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、及び、金(Au)から成る群から選ばれる材料を含む。
【0108】
次に、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0109】
MOSFET100は、トレンチ22の中にゲート電極16が設けられたトレンチゲート構造が適用される。トレンチゲート構造を適用することで、単位面積あたりのチャネル面積が増加し、MOSFET100のオン抵抗が低減される。
【0110】
また、MOSFET100は、SJ構造を備える。MOSFET100のオフ動作時に、SJ構造の中で空乏層が第1の方向に広がる。したがって、MOSFET100の耐圧が向上する。
【0111】
MOSFETを用いて駆動される負荷に短絡が生じると、MOSFETに大電流が流れMOSFETが破壊に至る。MOSFETが破壊に至るまでの時間は短絡耐量と称される。MOSFETの信頼性を向上させる観点から、短絡耐量を向上させることが望まれる。
【0112】
MOSFET100は、MOSFET100のオン動作時の電流経路となるnピラー領域28の上に、nピラー領域28よりもn型不純物濃度の高いnコントロール領域32を備える。すなわち、MOSFET100は、n型不純物濃度が高く電気抵抗がnピラー領域28よりも低いnコントロール領域32を備える。
【0113】
負荷に短絡が生じMOSFET100に大電流が流れた場合、nコントロール領域32とnピラー領域28の界面近傍での発熱が大きくなる。これは、nコントロール領域32とnピラー領域28の界面近傍で電気抵抗が上昇するためである。
【0114】
仮に、nコントロール領域32が存在しない場合、負荷に短絡が生じMOSFET100に大電流が流れた場合、ボディ領域34とnピラー領域28の界面近傍での発熱が大きくなる。MOSFET100は、nコントロール領域32を設けることで、負荷に短絡が生じた場合の発熱箇所を、炭化珪素層10の深い位置に移動させることができる。よって、例えば、発熱によるソース電極12の溶融が抑制され、MOSFET100の短絡耐量が向上する。
【0115】
また、以降で説明するように、MOSFET100は、nコントロール領域32の直上に、pコンタクト領域38が位置することで、短絡耐量が向上する。
【0116】
図9、
図10、及び
図11は、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図である。
図9はMOSFET100のAA’断面、
図10はMOSFET100の第1の面F1、
図11はMOSFET100のDD’断面である。
図9、
図10、及び
図11には、負荷に短絡が生じMOSFET100に大電流が流れる場合の電流経路を黒矢印で示す。
【0117】
図9に示すように、電流は、nピラー領域28から、nコントロール領域32を通って、ボディ領域34がゲート絶縁層18と接するチャネル領域を流れ、ソース領域35に達する。低濃度のソース領域35とソース電極12のコンタクト抵抗は高いため、電流はソース領域35の上からソース電極12に抜けにくい。
【0118】
ソース領域35の第2の方向にpコンタクト領域38が隣接する部分では、電流は、
図10及び
図11に示すように、pコンタクト領域38を迂回するようにソース領域35を第1の方向に流れる。そして、電流は、
図10に示すように、ソース領域35からnコンタクト領域36に流れる。その後、電流は、nコンタクト領域36の上からソース電極12に抜ける。
【0119】
負荷に短絡が生じMOSFET100に大電流が流れる場合、電流経路がソース領域35で狭窄されることになる。したがって、MOSFET100の飽和電流が抑制される。よって、MOSFET100の短絡耐量が向上する。
【0120】
仮に、MOSFET100とは異なり、nコントロール領域32の直上に、nコンタクト領域36が位置する場合、ソース領域35に達した電流は、pコンタクト領域38を迂回せず、ソース領域35に隣接するnコンタクト領域36に流れる。したがって、電流経路がソース領域35で狭窄されることはなく、MOSFET100の飽和電流は抑制されない。
【0121】
また、MOSFET100は、
図5に示すようにnコントロール領域32の第1の方向の両側にpコントロール領域30を備える。pコントロール領域30を設けることで、MOSFET100のオフ動作時に、nコントロール領域32からボディ領域34のチャネル形成領域へ延びる空乏層の幅が抑制される。したがって、MOSFET100のショートチャネル効果が抑制され、オフリーク電流が低減する。よって、例えば、MOSFET100のボディ領域34の深さを浅くすることができる。
【0122】
MOSFET100の短絡耐量を向上させる観点から、nコントロール領域32の第3の方向に設けられるpコンタクト領域38の第1の面F1における面積は、nコントロール領域32の第3の方向に設けられるnコンタクト領域36の第1の面F1における面積よりも大きいことが好ましい。
【0123】
MOSFET100のオン抵抗を低減する観点から、pコントロール領域30の第3の方向に設けられるnコンタクト領域36の第1の面F1における面積は、例えば、pコントロール領域30の第3の方向に設けられるpコンタクト領域38の第1の面F1における面積よりも大きいことが好ましい。
【0124】
MOSFET100の短絡耐量を向上させる観点から、pコンタクト領域38の第1の方向の幅は、nコンタクト領域36の第1の方向の幅よりも大きいことが好ましい。
【0125】
MOSFET100のオン抵抗を低減する観点から、nコンタクト領域36の第1の方向の幅は、pコンタクト領域38の第1の方向の幅よりも大きいことが好ましい。
【0126】
以上、第1の実施形態によれば、短絡耐量の向上が可能なMOSFETが実現できる。
【0127】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置は、第5の炭化珪素領域と第7の炭化珪素領域との間の第1の方向の距離は、第1の炭化珪素領域と第3の炭化珪素領域との間の第1の方向の距離よりも小さい点で、第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態と重複する内容については一部記述を省略する場合がある。
【0128】
図12は、第2の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図12は、第1の実施形態の
図5に対応する図である。
【0129】
第2の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたトレンチゲート型の縦型のMOSFET200である。MOSFET200は、電子をキャリアとするnチャネル型のMOSFETである。
【0130】
第1のpコントロール領域30aと第2のpコントロール領域30bの間の第1の方向の距離(
図12中のd1)は、第1のpピラー領域26aと第2のpピラー領域26bの間の第1の方向の距離(
図12中のd2)よりも小さい。言い換えれば、第1のnコントロール領域32aの第1の方向の幅は、第1のnピラー領域28aの第1の方向の幅よりも小さい。nコントロール領域32の第1の方向の幅は、nピラー領域28の第1の方向の幅よりも小さい。
【0131】
MOSFET200は、nコントロール領域32の第1の方向の幅が、nピラー領域28の第1の方向の幅よりも小さい。このため、負荷に短絡が生じMOSFET200に大電流が流れる場合、電流経路がnコントロール領域32で狭窄されることになる。したがって、MOSFET200の飽和電流が抑制される。よって、MOSFET100に比べ更に短絡耐量が向上する。
【0132】
以上、第2の実施形態によれば、短絡耐量の向上が可能なMOSFETが実現できる。
【0133】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体装置は、第10の炭化珪素領域が第1の方向に延び、第11の炭化珪素領域が第1の方向に延び、第11の炭化珪素領域は第10の炭化珪素領域に対し第2の方向に位置する点で、第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態と重複する内容については一部記述を省略する場合がある。
【0134】
図13は、第3の実施形態の半導体装置の模式平面図である。
図13は、第1の実施形態の
図2に対応する図である。
【0135】
第3の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたトレンチゲート型の縦型のMOSFET300である。MOSFET300は、電子をキャリアとするnチャネル型のMOSFETである。
【0136】
n+型の第1のnコンタクト領域36a(第10の炭化珪素領域)は、第1の方向に延びる。p+型の第1のpコンタクト領域38a(第11の炭化珪素領域)は、第1の方向に延びる。第1のpコンタクト領域38aは、第1のnコンタクト領域36aに対し第2の方向に位置する。
【0137】
MOSFET300は、第1の実施形態のMOSFET100と同様、MOSFET300のオン動作時の電流経路となるnピラー領域28の上に、nピラー領域28よりもn型不純物濃度の高いnコントロール領域32を備える。すなわち、MOSFET300は、n型不純物濃度が高く電気抵抗がnピラー領域28よりも低いnコントロール領域32を備える。
【0138】
したがって、負荷に短絡が生じた場合の発熱箇所を、炭化珪素層10の深い位置に移動させることができる。よって、例えば、発熱によるソース電極12の溶融が抑制され、MOSFET300の短絡耐量が向上する。
【0139】
以上、第3の実施形態によれば、短絡耐量の向上が可能なMOSFETが実現できる。
【0140】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体装置は、第1の方向及び第1の方向に直交する第2の方向に平行な第1の面と、第1の面に対向する第2の面とを有する炭化珪素層と、炭化珪素層の中の第1の面の側に設けられ、第1の方向に延びる第1のトレンチと、炭化珪素層の中の第1の面の側に設けられ、第1のトレンチに対し第2の方向に設けられ、第1の方向に延びる第2のトレンチと、第1のトレンチの中に設けられた第1のゲート電極と、第2のトレンチの中に設けられた第2のゲート電極と、第1のゲート電極と炭化珪素層との間に設けられた第1のゲート絶縁層と、第2のゲート電極と炭化珪素層との間に設けられた第2のゲート絶縁層と、炭化珪素層の中に設けられ、第1の方向に延びた第1導電型の第1の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第1の方向に延び、第1の炭化珪素領域に対し第2の方向に位置する第2導電形の第2の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第1の方向に延び、第2の炭化珪素領域に対し第2の方向に位置する第1導電形の第3の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第1の方向に延び、第3の炭化珪素領域に対し第2の方向に位置する第2導電形の第4の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第2の方向に延び、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第3の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第4の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第1のトレンチ及び第2のトレンチと第2の面との間に位置し、第1の炭化珪素領域の第1導電形不純物濃度よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第5の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第2の方向に延び、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第3の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第4の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第1のトレンチ及び第2のトレンチと第2の面との間に位置し、第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第6の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第2の方向に延び、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第3の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第4の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第1のトレンチ及び第2のトレンチと第2の面との間に位置し、第1の炭化珪素領域の第1導電形不純物濃度よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第7の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第2の方向に延び、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第3の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第4の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第1のトレンチ及び第2のトレンチと第2の面との間に位置し、第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第8の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第5の炭化珪素領域と第1の面との間、第6の炭化珪素領域と第1の面との間、第7の炭化珪素領域と第1の面との間、第8の炭化珪素領域と第1の面との間、第1のトレンチと第2のトレンチとの間に位置する第1導電形の第9の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第9の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第1のトレンチと第2のトレンチとの間に位置する第2導電形の第10の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第9の炭化珪素領域と第1の面との間に位置し、第1のトレンチと第2のトレンチとの間に位置し、第9の炭化珪素領域の第1導電形不純物濃度よりも第1導電形不純物濃度の高い第1導電形の第11の炭化珪素領域と、炭化珪素層に対し第1の面の側に設けられ、第10の炭化珪素領域及び第11の炭化珪素領域に接する第1の電極と、炭化珪素層に対し第2の面の側に設けられた第2の電極と、を備える。第4の実施形態の半導体装置は、第1の炭化珪素領域、第2の炭化珪素領域、第3の炭化珪素領域、及び第4の炭化珪素領域が、第1の方向に延びる点で、第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態と重複する内容については一部記述を省略する場合がある。
【0141】
以下、第1導電型がp型、第2導電型がn型の場合を例に説明する。
【0142】
図14は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図14は、
図15のAA’断面である。
【0143】
図15は、第4の実施形態の半導体装置の模式平面図である。
図15は、
図14の第1の面(
図14中のF1)における平面図である。
【0144】
図16は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図16は、
図15のBB’断面である。
【0145】
図17は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図17は、
図15のCC’断面である。
【0146】
図18は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図18は、
図15のDD’断面である。
【0147】
図19は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図19は、
図15のEE’断面である。
【0148】
図20は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図20は、
図14のFxにおける断面である。
【0149】
図21は、第4の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図21は、
図14のFyにおける断面である。
【0150】
第4の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたトレンチゲート型の縦型のMOSFET400である。MOSFET400は、電子をキャリアとするnチャネル型のMOSFETである。
【0151】
MOSFET400は、スーパージャンクション構造(以下「SJ構造」とも称する)を備える。
【0152】
MOSFET400は、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、第1のゲート電極16a、第2のゲート電極16b、第1のゲート絶縁層18a、第2のゲート絶縁層18b、層間絶縁層20、第1のトレンチ22a、及び第2のトレンチ22bを備える。
【0153】
炭化珪素層10の中には、n+型のドレイン領域24、n型のバッファ領域25、p-型の第1のpピラー領域26a(第1の炭化珪素領域)、p-型の第2のpピラー領域26b(第3の炭化珪素領域)、n-型の第1のnピラー領域28a(第2の炭化珪素領域)、n-型の第2のnピラー領域28b(第4の炭化珪素領域)、n-型の第3のnピラー領域28c、p型の第1のpコントロール領域30a(第5の炭化珪素領域)、p型の第2のpコントロール領域30b(第7の炭化珪素領域)、n型の第1のnコントロール領域32a(第6の炭化珪素領域)、n型の第2のnコントロール領域32b(第8の炭化珪素領域)、n型の第3のnコントロール領域32c、p型のボディ領域34(第9の炭化珪素領域)、n型のソース領域35(第14の炭化珪素領域)、n+型の第1のnコンタクト領域36a(第10の炭化珪素領域)、n+型の第2のnコンタクト領域36b(第12の炭化珪素領域)、p+型の第1のpコンタクト領域38a(第11の炭化珪素領域)、p+型の第2のpコンタクト領域38b(第13の炭化珪素領域)、p+型の第3のpコンタクト領域38c、が設けられる。
【0154】
以下、第1のゲート電極16a及び第2のゲート電極16bを総称して、ゲート電極16と表現する場合がある。また、第1のゲート絶縁層18a及び第2のゲート絶縁層18bを総称して、ゲート絶縁層18と表現する場合がある。また、第1のトレンチ22a及び第2のトレンチ22bを総称して、トレンチ22と表現する場合がある。
【0155】
以下、第1のpピラー領域26a及び第2のpピラー領域26bを総称して、pピラー領域26と表現する場合がある。また、第1のnピラー領域28a、第2のnピラー領域28b、及び第3のnピラー領域28cを総称して、nピラー領域28と表現する場合がある。また、第1のpコントロール領域30a、第2のpコントロール領域30bを総称して、pコントロール領域30と表現する場合がある。また、第1のnコントロール領域32a、第2のnコントロール領域32b、及びn型の第3のnコントロール領域32cを総称して、nコントロール領域32と表現する場合がある。また、第1のnコンタクト領域36a、第2のnコンタクト領域36bを総称して、nコンタクト領域36と表現する場合がある。また、第1のpコンタクト領域38a、第2のpコンタクト領域38b、及び第3のpコンタクト領域38cを総称して、pコンタクト領域38と表現する場合がある。
【0156】
p
-型の第1のpピラー領域26aは、バッファ領域25と炭化珪素層10の表面との間に設けられる。
図20に示すように、第1のpピラー領域26aは、第1の方向に延びる。
【0157】
第1のトレンチ22aは、例えば、第1のpピラー領域26aに対し第3の方向に位置する。第1のトレンチ22aは、例えば、第1のpピラー領域26aの直上に位置する。
【0158】
n
-型の第1のnピラー領域28aは、バッファ領域25と炭化珪素層10の表面との間に設けられる。
図20に示すように、第1のnピラー領域28aは、第1の方向に延びる。また、第1のnピラー領域28aは、第1のpピラー領域26aに対して第2の方向に位置する。第1のnピラー領域28aは、第1のpピラー領域26aに接する。
【0159】
ボディ領域34は、例えば、第1のnピラー領域28aに対し第3の方向に位置する。ボディ領域34は、例えば、第1のnピラー領域28aの直上に位置する。
【0160】
p
-型の第2のpピラー領域26bは、バッファ領域25と炭化珪素層10の表面との間に設けられる。
図20に示すように、第2のpピラー領域26bは、第1の方向に延びる。第2のpピラー領域26bは、第1のnピラー領域28aに対して第2の方向に位置する。第2のpピラー領域26bは、第1のnピラー領域28aに接する。
【0161】
第2のトレンチ22bは、第2のpピラー領域26bに対し第3の方向に位置する。第2のトレンチ22bは、第2のpピラー領域26bの直上に位置する。
【0162】
n
-型の第2のnピラー領域28bは、バッファ領域25と炭化珪素層10の表面との間に設けられる。
図20に示すように、第2のnピラー領域28bは、第1の方向に延びる。また、第2のnピラー領域28bは、第2のpピラー領域26bに対して第2の方向に位置する。第2のnピラー領域28bは、第2のpピラー領域26bに接する。
【0163】
ボディ領域34は、例えば、第2のnピラー領域28bに対し第3の方向に位置する。ボディ領域34は、例えば、第2のnピラー領域28bの直上に位置する。
【0164】
n
-型の第3のnピラー領域28cは、バッファ領域25と炭化珪素層10の表面との間に設けられる。
図20に示すように、第3のnピラー領域28cは、第1の方向に延びる。また、第3のnピラー領域28cは、第1のpピラー領域26aに対して第2の方向に位置する。第3のnピラー領域28cは、第1のpピラー領域26aに接する。第3のnピラー領域28cと第1のnピラー領域28aとの間に、第1のpピラー領域26aが位置する。
【0165】
pピラー領域26は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。pピラー領域26のp型不純物濃度は、例えば、5×1015cm-3以上5×1017cm-3以下である。
【0166】
nピラー領域28は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。nピラー領域28のn型不純物濃度は、バッファ領域25のn型不純物濃度より低い。nピラー領域28のn型不純物濃度は、例えば、5×1015cm-3以上5×1017cm-3以下である。
【0167】
複数のpピラー領域26と複数のnピラー領域28が、第2の方向に交互に配置される。複数のpピラー領域26と複数のnピラー領域28が、SJ構造を形成する。SJ構造は、MOSFET400の耐圧を向上させる機能を有する。
【0168】
pピラー領域26とnピラー領域28の第2の方向の繰り返しピッチ(
図20中のP1)は、例えば、1.5μm以上6μm以下である。
【0169】
p型の第1のpコントロール領域30aは、第1のpピラー領域26aと炭化珪素層10の表面との間、第1のnピラー領域28aと炭化珪素層10の表面との間、第2のpピラー領域26bと炭化珪素層10の表面との間、第2のnピラー領域28bと炭化珪素層10の表面との間に位置する。
【0170】
図21に示すように、第1のpコントロール領域30aは、第2の方向に延びる。第1のpコントロール領域30aは、トレンチ22と炭化珪素層10の裏面との間に位置する。第1のpコントロール領域30aは、例えば、第1のトレンチ22aの底面及び第2のトレンチ22bの底面に接する。
【0171】
n型の第1のnコントロール領域32aは、第1のpピラー領域26aと炭化珪素層10の表面との間、第1のnピラー領域28aと炭化珪素層10の表面との間、第2のpピラー領域26bと炭化珪素層10の表面との間、第2のnピラー領域28bと炭化珪素層10の表面との間に位置する。
【0172】
図21に示すように、第1のnコントロール領域32aは、第2の方向に延びる。また、第1のnコントロール領域32aは、第1のpコントロール領域30aに対し、第1の方向に位置する。第1のnコントロール領域32aは、第1のpコントロール領域30aに接する。
【0173】
第1のnコントロール領域32aは、トレンチ22と炭化珪素層10の裏面との間に位置する。第1のnコントロール領域32aは、第1のトレンチ22aの底面及び第2のトレンチ22bの底面に接する。
【0174】
p型の第2のpコントロール領域30bは、第1のpピラー領域26aと炭化珪素層10の表面との間、第1のnピラー領域28aと炭化珪素層10の表面との間、第2のpピラー領域26bと炭化珪素層10の表面との間、第2のnピラー領域28bと炭化珪素層10の表面との間に位置する。
【0175】
図21に示すように、第2のpコントロール領域30bは、第2の方向に延びる。第2のpコントロール領域30bは、第1のnコントロール領域32aに対し、第1の方向に位置する。第2のpコントロール領域30bは、第1のnコントロール領域32aに接する。
【0176】
第2のpコントロール領域30bは、トレンチ22と炭化珪素層10の裏面との間に位置する。第2のpコントロール領域30bは、例えば、第1のトレンチ22aの底面及び第2のトレンチ22bの底面に接する。
【0177】
n型の第2のnコントロール領域32bは、第1のpピラー領域26aと炭化珪素層10の表面との間、第1のnピラー領域28aと炭化珪素層10の表面との間、第2のpピラー領域26bと炭化珪素層10の表面との間、第2のnピラー領域28bと炭化珪素層10の表面との間に位置する。
【0178】
図21に示すように、第2のnコントロール領域32bは、第2の方向に延びる。また、第2のnコントロール領域32bは、第2のpコントロール領域30bに対し、第1の方向に位置する。第2のnコントロール領域32bは、第2のpコントロール領域30bに接する。
【0179】
第2のnコントロール領域32bは、トレンチ22と炭化珪素層10の裏面との間に位置する。第2のnコントロール領域32bは、第1のトレンチ22aの底面及び第2のトレンチ22bの底面に接する。
【0180】
n型の第3のnコントロール領域32cは、第1のpピラー領域26aと炭化珪素層10の表面との間、第1のnピラー領域28aと炭化珪素層10の表面との間、第2のpピラー領域26bと炭化珪素層10の表面との間、第2のnピラー領域28bと炭化珪素層10の表面との間に位置する。
【0181】
図21に示すように、第3のnコントロール領域32cは、第2の方向に延びる。また、第3のnコントロール領域32cは、第1のpコントロール領域30aに対し、第1の方向に位置する。第3のnコントロール領域32cは、第1のpコントロール領域30aに接する。
【0182】
第3のnコントロール領域32cは、トレンチ22と炭化珪素層10の裏面との間に位置する。第3のnコントロール領域32cは、第1のトレンチ22aの底面及び第2のトレンチ22bの底面に接する。
【0183】
pコントロール領域30は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。pコントロール領域30のp型不純物濃度は、pピラー領域26のp型不純物濃度よりも高い。pコントロール領域30のp型不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上5×1018cm-3以下である。
【0184】
nコントロール領域32は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。nコントロール領域32のn型不純物濃度は、nピラー領域28のn型不純物濃度より高い。nコントロール領域32のn型不純物濃度は、例えば、5×1016cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0185】
複数のpコントロール領域30と複数のnコントロール領域32が、第1の方向に交互に配置される。複数のpコントロール領域30と複数のnコントロール領域32は、MOSFET400の短絡耐量を向上させる機能を有する。
【0186】
複数のpコントロール領域30は、例えば、トレンチ22の底面に対向する。pコントロール領域30は、ゲート絶縁層18の信頼性を向上させる機能を有する。
【0187】
pコントロール領域30とnコントロール領域32の第1の方向の繰り返しピッチ(
図21中のP2)は、例えば、pピラー領域26とnピラー領域28の第2の方向の繰り返しピッチ(
図20中のP1)と等しい。pコントロール領域30とnコントロール領域32の第1の方向の繰り返しピッチは、例えば、1.0μm以上5.0μm以下である。
【0188】
次に、第4の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0189】
トレンチゲート構造を適用することで、単位面積あたりのチャネル面積が増加し、MOSFET400のオン抵抗が低減される。
【0190】
また、MOSFET400は、SJ構造を備える。したがって、MOSFET400の耐圧が向上する。
【0191】
MOSFETを用いて駆動される負荷に短絡が生じると、MOSFETに大電流が流れMOSFETが破壊に至る。MOSFETが破壊に至るまでの時間は短絡耐量と称される。MOSFETの信頼性を向上させる観点から、短絡耐量を向上させることが望まれる。
【0192】
MOSFET400は、MOSFET400のオン動作時の電流経路となるnピラー領域28の上に、nピラー領域28よりもn型不純物濃度の高いnコントロール領域32を備える。MOSFET400は、nコントロール領域32を設けることで、負荷に短絡が生じた場合の発熱箇所を、炭化珪素層10の深い位置に移動させることができる。よって、発熱によるソース電極12の溶融が抑制され、MOSFET400の短絡耐量が向上する。
【0193】
また、MOSFET400は、nコントロール領域32の直上に、pコンタクト領域38が位置することで、短絡耐量が向上する。
【0194】
また、MOSFET400は、例えば、
図17に示すようにnコントロール領域32の第1の方向の両側にpコントロール領域30が設けられる。pコントロール領域30を設けることで、MOSFET400のオフ動作時に、nコントロール領域32からボディ領域34のチャネル形成領域へ延びる空乏層の幅が抑制される。したがって、MOSFET400のショートチャネル効果が抑制され、オフリーク電流が低減する。よって、例えば、MOSFET400のボディ領域34の深さを浅くすることができる。
【0195】
MOSFET400の短絡耐量を向上させる観点から、nコントロール領域32の第3の方向に設けられるpコンタクト領域38の第1の面F1における面積は、nコントロール領域32の第3の方向に設けられるnコンタクト領域36の第1の面F1における面積よりも大きいことが好ましい。
【0196】
MOSFET400のオン抵抗を低減する観点から、pコントロール領域30の第3の方向に設けられるnコンタクト領域36の第1の面F1における面積は、例えば、pコントロール領域30の第3の方向に設けられるpコンタクト領域38の第1の面F1における面積よりも大きいことが好ましい。
【0197】
MOSFET400の短絡耐量を向上させる観点から、pコンタクト領域38の第1の方向の幅は、nコンタクト領域36の第1の方向の幅よりも大きいことが好ましい。
【0198】
MOSFET400のオン抵抗を低減する観点から、nコンタクト領域36の第1の方向の幅は、pコンタクト領域38の第1の方向の幅よりも大きいことが好ましい。
【0199】
以上、第4の実施形態によれば、短絡耐量の向上が可能なMOSFETが実現できる。
【0200】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の半導体装置は、第1の炭化珪素領域と第4の炭化珪素領域との間の第2の方向の距離は、第5の炭化珪素領域と第8の炭化珪素領域との間の第1の方向の距離よりも大きい点で、第4の実施形態と異なっている。以下、第4の実施形態と重複する内容については一部記述を省略する場合がある。
【0201】
図22は、第5の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図22は、第4の実施形態の
図20に対応する図である。
【0202】
図23は、第5の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図23は、第4の実施形態の
図21に対応する図である。
【0203】
第5の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたトレンチゲート型の縦型のMOSFET500である。
【0204】
第1のpピラー領域26aと第2のnピラー領域28bとの間の第2の方向の距離(
図22中のP1)は、第1のpコントロール領域30aと第2のnコントロール領域32bとの間の第1の方向の距離(
図23中のP2)よりも大きい。例えば、第1のpピラー領域26aと第2のnピラー領域28bとの間の第2の方向の距離(
図22中のP1)は、第1のpコントロール領域30aと第2のnコントロール領域32bとの間の第1の方向の距離(
図23中のP2)の1.5倍以上である。
【0205】
pピラー領域26とnピラー領域28の第2の方向の繰り返しピッチ(
図22中のP1)は、pコントロール領域30とnコントロール領域32の第1の方向の繰り返しピッチ(
図23中のP2)よりも大きい。
【0206】
MOSFET500は、SJ構造の繰り返しピッチを大きくすることで、例えば、第4の実施形態のMOSFET400と比較してSJ構造の形成が容易となる。
【0207】
以上、第5の実施形態によれば、短絡耐量の向上が可能なMOSFETが実現できる。
【0208】
以上、第1ないし第5の実施形態では、炭化珪素の結晶構造として4H-SiCの場合を例に説明したが、本発明は6H-SiC、3C-SiC等、その他の結晶構造の炭化珪素に適用することも可能である。また、炭化珪素層10の表面に(0001)面以外の面を適用することも可能である。
【0209】
第1ないし第5の実施形態では、第1導電型がp型、第2導電型がn型の場合を例に説明したが、第1導電型をn型、第2導電型をp型とすることも可能である。
【0210】
第1ないし第5の実施形態では、p型不純物としてアルミニウム(Al)を例示したが、ボロン(B)を用いることも可能である。また、n型不純物として窒素(N)及びリン(P)を例示したが、砒素(As)、アンチモン(Sb)等を適用することも可能である。
【0211】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0212】
10 炭化珪素層
12 ソース電極(第1の電極)
14 ドレイン電極(第2の電極)
16a 第1のゲート電極
16b 第2のゲート電極
18a 第1のゲート絶縁層
18b 第2のゲート絶縁層
22a 第1のトレンチ
22b 第2のトレンチ
26a 第1のpピラー領域(第1の炭化珪素領域)
26b 第2のpピラー領域(第3の炭化珪素領域)
28a 第1のnピラー領域(第2の炭化珪素領域)
28b 第2のnピラー領域(第4の炭化珪素領域)
30a 第1のpコントロール領域(第5の炭化珪素領域)
30b 第2のpコントロール領域(第7の炭化珪素領域)
32a 第1のnコントロール領域(第6の炭化珪素領域)
32b 第2のnコントロール領域(第8の炭化珪素領域)
34 ボディ領域(第9の炭化珪素領域)
35 ソース領域(第14の炭化珪素領域)
36a 第1のnコンタクト領域(第10の炭化珪素領域)
36b 第2のnコンタクト領域(第12の炭化珪素領域)
38a 第1のpコンタクト領域(第11の炭化珪素領域)
38b 第2のpコンタクト領域(第13の炭化珪素領域)
100 MOSFET(半導体装置)
200 MOSFET(半導体装置)
300 MOSFET(半導体装置)
400 MOSFET(半導体装置)
500 MOSFET(半導体装置)
F1 第1の面
F2 第2の面