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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142247
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20230928BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20230928BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20230928BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20230928BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B41J2/175 501
B41J2/175 121
B41J2/165 205
B41J2/17 203
B41J2/18
B41J2/01 401
B41J2/175
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049048
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 徳昭
(72)【発明者】
【氏名】染手 隆志
(72)【発明者】
【氏名】矢野 佑幸
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 俊介
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA01
2C056EA25
2C056EB16
2C056EB21
2C056EB34
2C056EB50
2C056EC07
2C056EC16
2C056EC17
2C056EC18
2C056EC32
2C056EC56
2C056EC64
2C056EC65
2C056FA13
2C056HA46
2C056JC13
2C056KB04
2C056KB08
2C056KB09
2C056KB10
2C056KB14
2C056KB16
2C056KB35
2C056KB37
(57)【要約】
【課題】異なるインクへ置換する場合に、作業が簡便になり、インク消費量の削減及び所要時間の短縮を実現することが可能なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置1において、第1流路85は、サブタンク83から記録ヘッド52までインクが流通する。第2流路86は、記録ヘッド52からサブタンク83までインクが流通する。第3流路87は、第1流路85のインク流通方向に対して記録ヘッド52の上流側と、第2流路86のインク流通方向に対して記録ヘッド52の下流側とを連結する。第1開閉弁88は、第1流路85と第3流路87との連結部に配置される。第2開閉弁89は、第2流路86と第3流路87との連結部よりも第2流路86の上流側に配置される。第1開閉弁88は、三方弁で構成される。第2開閉弁89は、二方弁で構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを記録媒体上に吐出する複数のノズルが配置されるインク吐出面を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給される前記インクを収容するインクコンテナと、
前記インクコンテナから供給される前記インクを一時的に貯留するサブタンクと、
前記インクが前記サブタンクから流入し、前記記録ヘッドに向かって流出するとともに、前記インクに対して記録時にかかる記録圧力よりも高い保守圧力をかけることが可能なシリンジと、
前記サブタンクから前記シリンジを経て前記記録ヘッドまで前記インクが流通する第1流路と、
前記記録ヘッドから前記サブタンクまで前記インクが流通する第2流路と、
前記第1流路のインク流通方向に対して前記記録ヘッドの上流側と、前記第2流路のインク流通方向に対して前記記録ヘッドの下流側とを連結する第3流路と、
前記第1流路のインク流通方向に対して前記記録ヘッドの上流側と前記第3流路との連結部に配置される第1開閉弁と、
前記第2流路のインク流通方向に対して前記記録ヘッドの下流側と前記第3流路との連結部よりも前記第2流路の上流側に配置される第2開閉弁と、
を備え、
前記第1開閉弁は、三方弁で構成され、
前記第2開閉弁は、二方弁または三方弁で構成されることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記第2開閉弁は、三方弁で構成され、
前記第2開閉弁に接続される廃液流路と、
前記廃液流路のインク流通方向下流端に接続される廃液タンクと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記廃液流路において前記記録ヘッドの前記インク吐出面よりも高い位置に配置され、前記第2流路への前記インクの逆流を阻止する逆止弁を備えることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記サブタンク及び前記記録ヘッドは、前記ノズルの前記インクを吐出するノズル孔にメニスカス面が形成されるように、前記サブタンクの液面の高さと、前記インク吐出面の高さとの位置関係が規定され、配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記第1流路に配置され、前記インクを前記サブタンクから前記シリンジを経て前記記録ヘッドに供給する供給ポンプと、
前記第2流路に配置され、前記インクを前記記録ヘッドから前記サブタンクに循環させる循環ポンプと、
前記第1流路の前記供給ポンプと前記シリンジとの間、及び前記第2流路の前記記録ヘッドと前記循環ポンプとの間のそれぞれに配置され、前記第1流路内及び前記第2流路内の前記インクの圧力変動を緩和するダンパーと、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記サブタンクは、
前記インクコンテナから供給される前記インクを一時的に貯留する第1サブタンクと、
前記第1サブタンクから供給される前記インクを一時的に貯留する第2サブタンクと、
を含み、
前記インクを前記第1サブタンクから前記第2サブタンクに移動させる循環ポンプと、
前記第2サブタンク内を加圧し、前記インクを前記第2サブタンクから前記記録ヘッドに供給する加圧部と、
前記第1サブタンク内を減圧し、前記インクを前記記録ヘッドから前記第1サブタンクに循環させる減圧部と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、用紙等の記録媒体上にインクを吐出して画像を記録する記録ヘッドを備える。インクジェット記録装置は、例えば工場からの出荷時に、インク供給側を液漏れ防止のために空の状態とし、さらに記録ヘッド側に流路の品質担保のために輸送液を充填するといったことが行われる場合がある。このため、インクジェット記録装置では、インク供給側と記録ヘッド側とがカップリング等によって着脱可能になっている場合がある。
【0003】
特許文献1で開示された従来のインクジェット記録装置は、供給ユニットから記録ヘッドに供給されるインクが通過する供給経路と、記録ヘッドから供給ユニットに戻るインクが通過する循環経路とのそれぞれに、着脱可能なカップリングを備える。2つのカップリングそれぞれに接続する供給経路の上流側部分と、循環経路の下流側の部分とは、連通及び遮断が可能なバイパス経路によって接続されている。
【0004】
これにより、インクジェット記録装置の着荷時に、記録ヘッドを介することなく、バイパス経路を介してインクを供給ユニットに循環させて充填することができる。その後、2つのカップリングを接続して供給経路及び循環経路を連通させ、記録ヘッドの保存液をインクに置換することによって、記録ヘッドのインクに気泡が巻き込まれるのを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-171648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のインクジェット記録装置には、バイパス経路に、インク流路を開閉するクランプが設けられている。そして、異なるインクへ置換する場合に、インクが貯留されるサブインクタンク内のインク量を徐々に減らして置換作業を行うことになる。しかしながら、バイパス経路のインクを置換できないため、手作業でのクランプ開閉作業が何回も必要であった。また、置換時のインク消費量を減らすためには、供給ユニットからインクを抜く必要がある。このとき、記録ヘッド内のインクのメニスカス面の崩壊を防止するために、供給ユニットと記録ヘッドとを繋ぐカップリングを外し、吸引治具等によって別途インクを排出する必要があった。これらのように、異なるインクへ置換する場合に、手間がかかり、インク消費量が増加し、所要時間が増加することに課題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、異なるインクへ置換する場合に、作業が簡便になり、インク消費量の削減及び所要時間の短縮を実現することが可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のインクジェット記録装置は、記録ヘッドと、インクコンテナと、サブタンクと、シリンジと、第1流路と、第2流路と、第3流路と、第1開閉弁と、第2開閉弁と、を備える。前記記録ヘッドは、インクを記録媒体上に吐出する複数のノズルが配置されるインク吐出面を有する。前記インクコンテナは、前記記録ヘッドに供給される前記インクを収容する。前記サブタンクは、前記インクコンテナから供給される前記インクを一時的に貯留する。前記シリンジは、前記インクが前記サブタンクから流入し、前記記録ヘッドに向かって流出するとともに、前記インクに対して記録時にかかる記録圧力よりも高い保守圧力をかけることが可能である。前記第1流路は、前記サブタンクから前記シリンジを経て前記記録ヘッドまで前記インクが流通する。前記第2流路は、前記記録ヘッドから前記サブタンクまで前記インクが流通する。前記第3流路は、前記第1流路のインク流通方向に対して前記記録ヘッドの上流側と、前記第2流路のインク流通方向に対して前記記録ヘッドの下流側とを連結する。前記第1開閉弁は、前記第1流路のインク流通方向に対して前記記録ヘッドの上流側と前記第3流路との連結部に配置される。前記第2開閉弁は、前記第2流路のインク流通方向に対して前記記録ヘッドの下流側と前記第3流路との連結部よりも前記第2流路の上流側に配置される。前記第1開閉弁は、三方弁で構成される。前記第2開閉弁は、二方弁または三方弁で構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成によれば、第1開閉弁及び第2開閉弁を適切な手順で開閉することで、異なるインクへ置換する場合に、作業が簡便になり、インク消費量の削減及び所要時間の短縮を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態のインクジェット記録装置の概略断面正面図である。
図2図1のインクジェット記録装置の記録部周辺の平面図である。
図3】本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置のブロック図である。
図4図3のインクジェット記録装置のインク供給部周辺の説明図である。
図5図4のインク供給部のシリンジの断面図である。
図6図4のインク供給部の開閉弁の説明図である。
図7】本発明の第2実施形態のインクジェット記録装置のブロック図である。
図8図7のインクジェット記録装置のインク供給部周辺の説明図である。
図9図8のインク供給部のダンパーの断面図である。
図10】本発明の第3実施形態のインクジェット記録装置のブロック図である。
図11図10のインクジェット記録装置のインク供給部周辺の説明図である。
図12】本発明の第4実施形態のインクジェット記録装置のインク供給部周辺の説明図である。
図13】本発明の第5実施形態のインクジェット記録装置のインク供給部周辺の説明図である。
図14】本発明の第6実施形態のインクジェット記録装置のインク供給部周辺の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0012】
図1は、実施形態のインクジェット記録装置1の概略断面正面図である。図2は、図1のインクジェット記録装置1の記録部5周辺の平面図である。インクジェット記録装置1は、例えばインクジェット記録式のプリンターである。インクジェット記録装置1は、図1及び図2に示すように、装置本体2と、用紙供給部3と、用紙搬送部4と、記録部5と、乾燥部6と、制御部7と、を備える。
【0013】
用紙供給部3は、例えば装置本体2の下部に配置される。用紙供給部3は、複数枚の用紙(記録媒体)Sを収容し、記録時に用紙Sを1枚ずつ分離して送り出す。
【0014】
用紙搬送部4は、用紙供給部3の用紙搬送方向下流側に配置され、用紙供給部3から送り出された用紙Sを搬送する。用紙搬送部4は、用紙Sを記録部5及び乾燥部6へと搬送し、さらに記録、乾燥後の用紙Sを用紙排出部21に排出する。用紙搬送部4は、例えば反転搬送部4rを有する。両面記録が行われる場合、用紙搬送部4は、第1面の記録、乾燥後の用紙Sを反転搬送部4rに振り分け、さらに搬送方向を切り替えて表裏を反転させた用紙Sを再度、記録部5及び乾燥部6へと搬送する。
【0015】
用紙搬送部4は、第1ベルト搬送部41及び第2ベルト搬送部42を含む。第1ベルト搬送部41は、無端状に形成された第1搬送ベルト411を有する。第2ベルト搬送部42は、無端状に形成された第2搬送ベルト421を有する。第1ベルト搬送部41及び第2ベルト搬送部42は、第1搬送ベルト411及び第2搬送ベルト421それぞれの上側の外面(上面)に用紙Sを吸着保持して搬送する。第1ベルト搬送部41は、記録部5の下方に配置されて用紙Sを搬送する。第2ベルト搬送部42は、第1ベルト搬送部41に対して用紙搬送方向の下流側に位置し、乾燥部6に配置されて用紙Sを搬送する。
【0016】
記録部5は、用紙供給部3の用紙搬送方向下流側に位置し、第1ベルト搬送部41と対向配置される。記録部5は、第1搬送ベルト411の上面に吸着保持されて搬送される用紙Sに対向し、所定の間隔を空けて第1搬送ベルト411の上方に配置される。すなわち、記録部5は、用紙搬送部4によって搬送される用紙Sと対向する。
【0017】
記録部5は、図2に示すように、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色それぞれに対応したヘッドユニット51B、51C、51M、51Yを保持する。ヘッドユニット51B、51C、51M、51Yは、長手方向が用紙搬送方向Dcと直交する用紙幅方向Dwと平行になるように用紙搬送方向Dcに沿って並置される。なお、4つのヘッドユニット51B、51C、51M、51Yは基本的な構成が同じであるので、以下の説明では、特に限定する必要がある場合を除き、各色を表す「B」、「C」、「M」、「Y」の識別記号は省略することがある。
【0018】
各色のヘッドユニット51それぞれは、ライン型インクジェット方式の記録ヘッド52を有する。記録ヘッド52は、各色のヘッドユニット51それぞれにおいて、用紙幅方向Dwに沿って複数(例えば3つ(52a、52b、52c))が千鳥状に配列される。
【0019】
記録ヘッド52は、その底部に複数のインク吐出ノズル521を有する。複数のインク吐出ノズル521は、用紙幅方向Dwに沿って並べて配置され、用紙S上の記録領域の全域にわたってインクを吐出することができる。すなわち、記録ヘッド52は、インクを用紙S上に吐出する複数のインク吐出ノズル521が配置されるインク吐出面を有する。記録部5は、第1搬送ベルト411によって搬送される用紙Sに向かって4色のヘッドユニット51B、51C、51M、51Yそれぞれの記録ヘッド52から順次インクを吐出し、フルカラー画像またはモノクロ画像を用紙Sに記録する。
【0020】
乾燥部6は、記録部5に対して用紙搬送方向の下流側に配置され、第2ベルト搬送部42が設けられる。記録部5でインク画像が記録された用紙Sは、乾燥部6において第2搬送ベルト421に吸着保持されて搬送される間に、インクが乾燥される。
【0021】
制御部7は、CPU、記憶部、その他の電子回路及び電子部品を含む(いずれも不図示)。CPUは、記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、インクジェット記録装置1に設けられた各構成要素の動作を制御してインクジェット記録装置1の機能に係る処理を行う。用紙供給部3、用紙搬送部4、記録部5及び乾燥部6それぞれは、制御部7から個別に指令を受け、連動して用紙Sへの記録を行う。記憶部は、例えばプログラムROM(Read Only Memory)、データROMなどといった不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)のような揮発性の記憶装置との組み合わせで構成される。
【0022】
<第1実施形態>
続いて、第1実施形態のインクジェット記録装置1のインク供給部8の構成について、図3から図6を用いて説明する。図3は、本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置1のブロック図である。図4は、図3のインクジェット記録装置1のインク供給部8周辺の説明図である。図5は、図4のインク供給部8のシリンジ84の断面図である。図6は、図4のインク供給部8の開閉弁の説明図である。
【0023】
第1実施形態のインクジェット記録装置1は、インク供給部8を備える。インク供給部8は、4色のヘッドユニット51ごとに個別に設けられる。以下の説明では、各色を表す識別記号の記載を省略する。インク供給部8とヘッドユニット51との間は、着脱可能なカップリング11によって連結される。カップリング11内には、接続状態においてインク流路を開放し、分離状態においてインク流路を閉鎖する弁部材(不図示)が内蔵されている。
【0024】
インク供給部8は、インクコンテナ81と、コンテナポンプ82と、サブタンク83と、シリンジ84と、第1流路85と、第2流路86と、第3流路87と、第1開閉弁88と、第2開閉弁89と、を備える。さらに、インク供給部8は、第4流路90と、第3開閉弁91と、第4開閉弁92と、第5開閉弁93と、を備える。
【0025】
インクコンテナ81は、装置本体2に対して着脱可能に設けられる。インクコンテナ81は、記録ヘッド52に供給されるインクを収容する。
【0026】
コンテナポンプ82は、インクコンテナ81のインク流通方向下流側に配置される。コンテナポンプ82は、インクコンテナ81内のインクを吸引し、サブタンク83に向かって吐出する。コンテナポンプ82の動作は、制御部7によって制御される。
【0027】
サブタンク83は、コンテナポンプ82のインク流通方向下流側に配置される。サブタンク83は、インクコンテナ81から供給されるインクを一時的に貯留する。サブタンク83には、インク量センサー(不図示)が設けられる。インク量センサーは、例えば光学式、静電容量式、電極式、差圧式、フロート式などのセンサーを含み、サブタンク83内のインク量を検出する。
【0028】
制御部7は、サブタンク83のインク量センサーの検出信号を受信する。インク量センサーによって検出されたサブタンク83内のインク量が所定値より低くなると、制御部7は、コンテナポンプ82を制御し、インクコンテナ81からサブタンク83にインクを供給する。インクコンテナ81からサブタンク83へのインクの供給量は、例えばコンテナポンプ82の駆動時間によって制御される。コンテナポンプ82の駆動時間が一定時間経過しても、インク量センサーによって検出されたサブタンク83内のインク量が所定値より高くならない場合、制御部7は、インクコンテナ81内のインク量が空であると判定する。
【0029】
なお、サブタンク83及び記録ヘッド52は、インク吐出ノズル521のインクを吐出するノズル孔にメニスカス面が形成されるように、サブタンク83の液面の高さと、インク吐出面の高さとの位置関係が規定され、配置される。
【0030】
シリンジ84は、サブタンク83のインク流通方向下流側であって、記録ヘッド52のインク流通方向上流側に配置される。シリンジ84は、インクがサブタンク83から流入し、記録ヘッド52に向かって流出する。図5に示すように、シリンジ84は、筒部841と、プランジャ842と、を有する。
【0031】
筒部841は、軸線が上下方向に延びるように配置された円筒形状である。筒部841の上端は開口している。筒部841下端は閉塞されており、第1流路85の、サブタンク83側から延びる第1導管851と、記録ヘッド52に向かって延びる第2導管852とが接続される。第1導管851及び第2導管852は、筒部841内と連通している。
【0032】
プランジャ842は、筒部841の上端開口から筒部841の内部に差し込まれている。プランジャ842は、軸部842aと、ガスケット部842bと、を有する。軸部842aは、軸線が上下方向に延びるように形成される。ガスケット部842bは、軸部842aの下端に配置される。ガスケット部842bは、筒部841の内周面に沿って延びる円筒形状であり、外周面が筒部841の内周面に密着する。これにより、筒部841内のインクは、ガスケット部842bよりも上側に漏れ出さない。
【0033】
プランジャ842の径方向中心部には、第4流路90の第4導管901が挿入されている。第4導管901は、筒部841内と連通している。筒部841内、すなわちシリンジ84内のインクよりも上方、且つガスケット部842bよりも下方に滞留する空気は、第4導管901を介して上方に排出される。
【0034】
なお、第4流路90は、シリンジ84からサブタンク83まで延びる。第4流路90は、シリンジ84内の空気をサブタンク83まで排出する空気流路である。第3開閉弁91は、第4流路90の第4導管901上に配置される。第3開閉弁91は、第4流路90を開閉する。第3開閉弁91は、例えば電磁弁で構成され、制御部7によって開閉が制御される。制御部7は、シリンジ84内の空気の排出時に第3開閉弁91を開放する。
【0035】
軸部842aの側面には、ラック842cが形成される。ラック842cは、上下方向に沿って複数の歯が並置され、シリンジ駆動ギヤ843が噛み合う。シリンジ駆動ギヤ843は、シリンジモーター844(図3参照)に接続され、シリンジモーター844から動力を得て正逆両方向に回転される。シリンジ駆動ギヤ843が正逆両方向に回転することで、プランジャ842は、上下方向に沿って往復移動が可能である。シリンジモーター844の動作は、制御部7によって制御される。
【0036】
用紙Sへの画像記録時には、インクに対して水頭圧の作用によって記録圧力がかかっている。これに対し、例えばメンテナンス時等に、制御部7は、シリンジモーター844によってプランジャ842を下方に高速で移動させ、シリンジ84内からインクを押し出すことで、記録圧力よりも高い保守圧力をインクにかけることができる。すなわち、シリンジ84は、インクに対して用紙Sへの記録時にかかる記録圧力よりも高い保守圧力をかけることが可能である。
【0037】
第1流路85は、サブタンク83からシリンジ84を経て記録ヘッド52までインクが流通するインク流路である。第1流路85は、サブタンク83からシリンジ84まで延びる第1導管851と、シリンジ84から記録ヘッド52まで延びる第2導管852と、を含む。
【0038】
第4開閉弁92は、第1流路85の第1導管851上の、シリンジ84よりもインク流通方向上流側に配置される。なお、第1導管851は、例えばゴム製等のチューブであって、曲げたり、撓ませたりして、変形させることができる。図6に示すように、第4開閉弁92は、開閉カム92aと、開閉モーター(不図示)と、を有する。
【0039】
開閉カム92aは、第1導管851に隣接する。開閉カム92aは、第1導管851の軸線方向から見て楔形状に形成される。開閉カム92aは、第1導管851の軸線と平行な回転軸線を中心として回転可能に支持される。開閉カム92aは、開閉モーターによって回転されて揺動し、楔形状の先端側が第1導管851に対して接触、離間する。
【0040】
第4開閉弁92を開放状態にする場合、制御部7は、開閉モーターを制御して開閉カム92aを回転させ、開閉カム92aを第1導管851と接触しない、若しくは第1導管851を変形させない角度にする。これにより、第4開閉弁92の箇所において、第1導管851内をインクが流通する。第4開閉弁92を閉鎖状態にする場合、制御部7は、開閉モーターを制御して開閉カム92aを回転させ、開閉カム92aを第1導管851と接触させ、第1導管851を押し潰す角度にする。これにより、第4開閉弁92の箇所において、第1導管851内のインクの流通が阻止される。第4開閉弁92は、サブタンク83とシリンジ84との間の第1流路85を開閉する。
【0041】
第5開閉弁93は、第1流路85の第2導管852上に配置される。第5開閉弁93の構成及び動作は、上で説明した第4開閉弁92と同様であり、ここでは説明を省略する。第5開閉弁93は、制御部7によって開閉が制御される。第5開閉弁93は、シリンジ84と記録ヘッド52との間の第1流路85を開閉する。
【0042】
第2流路86は、記録ヘッド52からサブタンク83までインクが流通するインク流路である。第2流路86は、記録ヘッド52からサブタンク83まで延びる第3導管861を含む。
【0043】
第3流路87は、第1流路85のインク流通方向に対して記録ヘッド52の上流側と、第2流路86のインク流通方向に対して記録ヘッド52の下流側とを連結する。詳細に言えば、第3流路87は、インク供給部8内の、カップリング11の近傍において、第1流路85の第2導管852と、第2流路86の第3導管861とを連結する。
【0044】
第1開閉弁88は、第3流路87の一方側の連結部に配置される。詳細に言えば、第1開閉弁88は、第1流路85のインク流通方向に対して記録ヘッド52の上流側と第3流路87との連結部に配置される。第1開閉弁88は、三方弁で構成される。第1開閉弁88の2つの開口は第1流路85に連通し、もう1つの開口は第3流路87に連通する。第1開閉弁88は、例えば電磁弁で構成され、制御部7によって開閉が制御される。
【0045】
例えば、用紙Sへの記録時、第1開閉弁88は、第1流路85をシリンジ84側から記録ヘッド52に向かってインクが流通する方向に開放される。また、異なるインクへ置換時、第1開閉弁88は、インク流路のどの領域のインクを置換するかによって、開閉が切り換えられる。例えば、第3流路87のインクを置換する場合、第1開閉弁88は、第1流路85から第3流路87にインクが流入するように切り換えられる。記録ヘッド52のインクを置換する場合、第1開閉弁88は、第1流路85を記録ヘッド52に向かってインクが流入するように切り換えられる。
【0046】
第2開閉弁89は、第3流路87の他方側の連結部近傍に配置される。詳細に言えば、第2開閉弁89は、第2流路86のインク流通方向に対して記録ヘッド52の下流側と第3流路87との連結部よりも第2流路86の上流側に配置される。本実施形態において、第2開閉弁89は、二方弁で構成される。第2開閉弁89の2つの開口は第2流路86に連通する。第2開閉弁89は、例えば電磁弁で構成され、制御部7によって開閉が制御される。
【0047】
例えば、用紙Sへの記録時、第2開閉弁89は開放され、第2流路86を記録ヘッド52側からサブタンク83に向かってインクが流通する。また例えば、異なるインクへ置換時、第2開閉弁89は閉鎖される。
【0048】
上記構成によれば、異なるインクへ置換する場合に、三方弁で構成した第1開閉弁88におけるインクの流通と、二方弁で構成した第2開閉弁89におけるインクの流通とを適宜切り換えることができる。これにより、インクの置換作業が簡便になり、置換時のインク消費量の削減及び所要時間の短縮を実現することが可能になる。
【0049】
また、上記構成のように、水頭圧を利用して記録ヘッド52のノズル孔にメニスカス面が形成される方式のインクジェット記録装置1において、インクの置換作業が簡便になり、置換時のインク消費量の削減及び所要時間の短縮を実現することが可能になる。
【0050】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態のインクジェット記録装置1のインク供給部8の構成について、図7から図9を用いて説明する。図7は、本発明の第2実施形態のインクジェット記録装置1のブロック図である。図8は、図7のインクジェット記録装置1のインク供給部8周辺の説明図である。図9は、図8のインク供給部8のダンパー96の断面図である。なお、第2実施形態の基本的な構成は、先に説明した第1実施形態と同じであるので、共通する構成要素には前と同じ符号または同じ名称を付してその説明を省略する場合がある。
【0051】
第2実施形態のインクジェット記録装置1は、インク供給部8を備える。インク供給部8は、インクコンテナ81と、コンテナポンプ82と、サブタンク83と、供給ポンプ94と、循環ポンプ95と、ダンパー96と、シリンジ84と、第1流路85と、第2流路86と、第3流路87と、第1開閉弁88と、第2開閉弁89と、を備える。さらに、インク供給部8は、第4流路90と、第3開閉弁91と、第4開閉弁92と、第5開閉弁93と、第5流路97と、リリーフ弁98と、を備える。
【0052】
供給ポンプ94は、第1流路85の、サブタンク83のインク流通方向下流側に配置される。供給ポンプ94は、インクをサブタンク83から記録ヘッド52に供給する。供給ポンプ94としては、例えばチューブポンプ、ダイヤフラムポンプなどの液体用のポンプから選択することができる。供給ポンプ94の動作は、制御部7によって制御される。
【0053】
循環ポンプ95は、第2流路86の、記録ヘッド52のインク流通方向下流側に配置される。循環ポンプ95は、インクを記録ヘッド52からサブタンク83に循環させる。循環ポンプ95としては、例えばチューブポンプ、ダイヤフラムポンプなどの液体用のポンプから選択することができる。循環ポンプ95の動作は、制御部7によって制御される。
【0054】
記録ヘッド52へのインクの供給、及びインクの循環に関して、インクにかかる圧力を検出する圧力センサーS1、S2が第1流路85及び第2流路86に設けられる。圧力センサーS1は、第1流路85の、記録ヘッド52のインク流通方向上流側に配置される。圧力センサーS2は、第2流路86の、記録ヘッド52のインク流通方向下流側に配置される。制御部7は、圧力センサーS1、S2の検出信号に基づき、供給ポンプ94及び循環ポンプ95の動作をアナログ的にリアルタイムで制御する。
【0055】
また、第1流路85の第1導管851上と、第2流路86の第3導管861上には、第4流路90の第4導管901上には、逆止弁CV1、CV2、CV3が配置される。逆止弁CV1、CV2は、第1流路85及び第2流路86のインク流通方向に対し、下流側から上流側へのインクの逆流を防止する。逆止弁CV3は、第4流路90の空気流通方向に対し、下流側から上流側への空気の逆流を防止する。
【0056】
ダンパー96は、第1流路85の供給ポンプ94とシリンジ84との間、及び第2流路86の記録ヘッド52と循環ポンプ95との間のそれぞれに配置される。詳細に言えば、第1のダンパー96は、第1流路85の第1導管851上の、供給ポンプ94よりもインク流通方向下流側、且つ逆止弁CV1よりもインク流通方向上流側に配置される。また詳細に言えば、第2のダンパー96は、第2流路86の第3導管861上の、逆止弁CV2よりもインク流通方向下流側、且つ循環ポンプ95よりもインク流通方向上流側に配置される。
【0057】
例えば、第1流路85上の第1のダンパー96は、図9に示すように、ダンパー室961と、フィルム962と、を有する。ダンパー室961は、例えば水平方向にインクが流通する第1流路85に対し、上方に向かって凸となる空隙部を有する。ダンパー室961と上下方向に対向する第1流路85の下側壁部は開口している。フィルム962は、第1流路85の開口85aを覆うように第1流路85の下側壁部に配置される。フィルム962は、可撓性を有し、弾性変形が可能である。フィルム962は、ダンパー室961内のインクの圧力変動に応じて変形し、ダンパー室961の容積を変化させる。なお、第2流路86上の第2のダンパー96も同じ構成である。
【0058】
ダンパー96は、第1流路85内及び第2流路86内のインクの圧力変動を緩和する。これにより、インクの脈動による記録ヘッド52への負荷を抑制することができる。なお、ポンプの振幅周期に追従するために、ばね等の弾性部材を利用した構成となっていることが望ましい。
【0059】
第5流路97は、第1流路85の供給ポンプ94よりもインク流通方向下流側と、第4流路90の第3開閉弁91よりも空気流通方向下流側とを連結する。
【0060】
リリーフ弁98は、第5流路97に配置される。リリーフ弁98は、第1流路85側の流路内圧が所定圧力に達した場合に開放される。これにより、インク流路に異常が発生した場合に、導管に過剰な圧力がかからないようにすることができる。そして、装置内へのインクの漏洩を防止することが可能である。
【0061】
そして、インクジェット記録装置1は、三方弁で構成した第1開閉弁88と、二方弁で構成した第2開閉弁89とを備える。
【0062】
上記構成によれば、インクジェット記録装置1は、供給ポンプ94と、循環ポンプ95と、ダンパー96とを備え、2つのポンプを用いてインクを循環させる。そして、このインク循環方式のインクジェット記録装置1において、インクの置換作業が簡便になり、置換時のインク消費量の削減及び所要時間の短縮を実現することが可能になる。
【0063】
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態のインクジェット記録装置1のインク供給部8の構成について、図10及び図11を用いて説明する。図10は、本発明の第3実施形態のインクジェット記録装置1のブロック図である。図11は、図10のインクジェット記録装置1のインク供給部8周辺の説明図である。なお、第3実施形態の基本的な構成は、先に説明した第1実施形態と同じであるので、共通する構成要素には前と同じ符号または同じ名称を付してその説明を省略する場合がある。
【0064】
第3実施形態のインクジェット記録装置1は、インク供給部8を備える。インク供給部8は、インクコンテナ81と、コンテナポンプ82と、サブタンク83と、循環ポンプ99と、加圧部101と、減圧部102と、シリンジ84と、第1流路85と、第2流路86と、第3流路87と、第1開閉弁88と、第2開閉弁89と、を備える。サブタンク83は、第1サブタンク83Aと、第2サブタンク83Bとを含む。
【0065】
第1サブタンク83Aは、コンテナポンプ82のインク流通方向下流側に配置される。第1サブタンク83Aは、インクコンテナ81から供給されるインクを一時的に貯留する。制御部7は、第1サブタンク83Aに設けられたインク量センサー(不図示)の検出信号に基づき、コンテナポンプ82を制御し、インクコンテナ81から第1サブタンク83Aにインクを供給する。
【0066】
循環ポンプ99は、第1サブタンク83Aのインク流通方向下流側に配置される。循環ポンプ99は、インクを第1サブタンク83Aから第2サブタンク83Bに移動させる。循環ポンプ99の動作は、制御部7によって制御される。
【0067】
第2サブタンク83Bは、循環ポンプ99のインク流通方向下流側に配置される。第2サブタンク83Bは、第1サブタンク83Aから供給されるインクを一時的に貯留する。第1サブタンク83Aの場合と同様に、制御部7は、第2サブタンク83Bに設けられたインク量センサー(不図示)の検出信号に基づき、循環ポンプ99を制御し、第1サブタンク83Aから第2サブタンク83Bにインクを移動させる。
【0068】
加圧部101は、第2サブタンク83Bに併設される。加圧部101は、第2サブタンク83B内を加圧し、インクを第2サブタンク83Bから記録ヘッド52に供給する。加圧部101の動作は、制御部7によって制御される。
【0069】
加圧部101は、加圧室1011と、加圧ポンプ1012と、加圧センサー1013と、加圧室開閉機構1014と、を備える。加圧室1011は、所定の容積を有し、第2サブタンク83Bと連通する。加圧ポンプ1012は、加圧室1011内に空気を流入させて加圧する。加圧センサー1013は、加圧室1011内の圧力を検出する。加圧室開閉機構1014は、加圧室1011内と大気との空気の流通経路を開閉する。
【0070】
制御部7は、加圧センサー1013の検出信号に基づき、加圧ポンプ1012及び加圧室開閉機構1014の動作をアナログ的にリアルタイムで制御する。この構成によれば、第2サブタンク83B内を好適に加圧することができ、インクを第2サブタンク83Bから記録ヘッド52に効率良く供給することが可能である。
【0071】
減圧部102は、第1サブタンク83Aに併設される。減圧部102は、第1サブタンク83A内を減圧し、インクを記録ヘッド52から第1サブタンク83Aに循環させる。減圧部102の動作は、制御部7によって制御される。
【0072】
減圧部102は、減圧室1021と、減圧ポンプ1022と、減圧センサー1023と、減圧室開閉機構1024と、を備える。減圧室1021は、所定の容積を有し、第1サブタンク83Aと連通する。減圧ポンプ1022は、減圧室1021内から空気を流出させて減圧する。減圧センサー1023は、減圧室1021内の圧力を検出する。減圧室開閉機構1024は、減圧室1021内と大気との空気の流通経路を開閉する。
【0073】
制御部7は、減圧センサー1023の検出信号に基づき、減圧ポンプ1022及び減圧室開閉機構1024の動作をアナログ的にリアルタイムで制御する。この構成によれば、第1サブタンク83A内を好適に減圧することができ、インクを記録ヘッド52から第1サブタンク83Aに効率良く循環させることが可能である。
【0074】
なお、加圧部101及び減圧部102は、上記の構成に限定されるわけではない。加圧部101及び減圧部102には、例えばレギュレーターを用いても良いし、負圧発生装置及び加圧ポンプを用いても良い。
【0075】
また、第1流路85は、第1サブタンク83Aから循環ポンプ99、第2サブタンク83B、及びシリンジ84を経て記録ヘッド52までインクが流通するインク流路である。第1流路85は、第2サブタンク83Bからシリンジ84まで延びる第1導管851と、シリンジ84から記録ヘッド52まで延びる第2導管852と、第1サブタンク83Aから第2サブタンク83Bまで延びる循環導管853と、を含む。循環導管853上には、逆止弁CV1が配置される。逆止弁CV1は、第1流路85のインク流通方向に対し、下流側から上流側へのインクの逆流を防止する。
【0076】
そして、インクジェット記録装置1は、三方弁で構成した第1開閉弁88と、二方弁で構成した第2開閉弁89とを備える。
【0077】
上記構成によれば、インクジェット記録装置1は、第1サブタンク83Aと、第2サブタンク83Bと、循環ポンプ99と、加圧部101と、減圧部102とを備え、2つのサブタンクを用いてインクを循環させる。そして、このインク循環方式のインクジェット記録装置1において、インクの置換作業が簡便になり、置換時のインク消費量の削減及び所要時間の短縮を実現することが可能になる。
【0078】
<第4実施形態>
続いて、第4実施形態のインクジェット記録装置1のインク供給部8の構成について、図12を用いて説明する。図12は、本発明の第4実施形態のインクジェット記録装置1のインク供給部8周辺の説明図である。なお、第4実施形態の基本的な構成は、先に説明した第1実施形態と同じであるので、共通する構成要素には前と同じ符号または同じ名称を付してその説明を省略する場合がある。
【0079】
第4実施形態のインクジェット記録装置1は、インク供給部8を備える。インク供給部8は、インクコンテナ81と、コンテナポンプ82と、サブタンク83と、シリンジ84と、第1流路85と、第2流路86と、第3流路87と、第1開閉弁88と、第2開閉弁89と、を備える。さらに、インクジェット記録装置1は、廃液流路103と、廃液タンク12と、を備える。
【0080】
なお、本実施形態において、第2開閉弁89は、三方弁で構成される。第2開閉弁89の2つの開口は第2流路86に連通し、もう1つの開口は廃液流路103に連通する。
【0081】
廃液流路103は、第2開閉弁89に接続される。すなわち、廃液流路103は、第2開閉弁89を介して第2流路86に連通する。
【0082】
廃液タンク12は、廃液流路103のインク流通方向下流端に接続される。すなわち、インクを含む廃液は、第2流路86から第2開閉弁89及び廃液流路103を介して廃液タンク12に送られる。
【0083】
上記構成によれば、インク供給部8と記録ヘッド52との間のインクの流通を遮断した状態で、インク供給部8内のインクを廃液タンク12に廃棄することができる。したがって、水頭圧を利用して記録ヘッド52のノズル孔にメニスカス面が形成される方式のインクジェット記録装置1において、インクの置換効率を向上させることができ、置換時のインク消費量の削減及び所要時間の短縮をより一層効果的に実現することが可能になる。
【0084】
また、インクジェット記録装置1は、逆止弁104を備える。逆止弁104は、廃液流路103上に配置される。詳細に言えば、逆止弁104は、廃液流路103において、記録ヘッド52のインク吐出面52fよりも高い位置に配置される。逆止弁104は、第2流路86へのインクの逆流を阻止する。この構成によれば、記録ヘッド52側のインクを、廃液タンク12に直接廃棄することができる。これにより、置換時のインク消費量の削減及び所要時間の短縮を効果的に実現することが可能になる。
【0085】
<第5実施形態>
続いて、第5実施形態のインクジェット記録装置1のインク供給部8の構成について、図13を用いて説明する。図13は、本発明の第5実施形態のインクジェット記録装置1のインク供給部8周辺の説明図である。なお、第5実施形態の基本的な構成は、先に説明した第2及び第4の実施形態と同じであるので、共通する構成要素には前と同じ符号または同じ名称を付してその説明を省略する場合がある。
【0086】
第5実施形態のインクジェット記録装置1は、インク供給部8を備える。インク供給部8は、インクコンテナ81と、コンテナポンプ82と、サブタンク83と、供給ポンプ94と、循環ポンプ95と、ダンパー96と、シリンジ84と、第1流路85と、第2流路86と、第3流路87と、第1開閉弁88と、第2開閉弁89と、を備える。さらに、インクジェット記録装置1は、廃液流路103と、逆止弁104と、廃液タンク12と、を備える。
【0087】
上記構成によれば、インク供給部8と記録ヘッド52との間のインクの流通を遮断した状態で、インク供給部8内のインクを廃液タンク12に廃棄することができる。したがって、2つのポンプを用いたインク循環方式のインクジェット記録装置1において、インクの置換効率を向上させることができ、置換時のインク消費量の削減及び所要時間の短縮をより一層効果的に実現することが可能になる。
【0088】
<第6実施形態>
続いて、第6実施形態のインクジェット記録装置1のインク供給部8の構成について、図14を用いて説明する。図14は、本発明の第6実施形態のインクジェット記録装置1のインク供給部8周辺の説明図である。なお、第6実施形態の基本的な構成は、先に説明した第3及び第4の実施形態と同じであるので、共通する構成要素には前と同じ符号または同じ名称を付してその説明を省略する場合がある。
【0089】
第6実施形態のインクジェット記録装置1は、インク供給部8を備える。インク供給部8は、インクコンテナ81と、コンテナポンプ82と、第1サブタンク83Aと、第2サブタンク83Bと、循環ポンプ99と、加圧部101と、減圧部102と、シリンジ84と、第1流路85と、第2流路86と、第3流路87と、第1開閉弁88と、第2開閉弁89と、を備える。さらに、インクジェット記録装置1は、廃液流路103と、逆止弁104と、廃液タンク12と、を備える。
【0090】
上記構成によれば、インク供給部8と記録ヘッド52との間のインクの流通を遮断した状態で、インク供給部8内のインクを廃液タンク12に廃棄することができる。したがって、2つのサブタンクを用いたインク循環方式のインクジェット記録装置1において、インクの置換効率を向上させることができ、置換時のインク消費量の削減及び所要時間の短縮をより一層効果的に実現することが可能になる。
【0091】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、インクジェット記録装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 インクジェット記録装置
5 記録部
7 制御部
8 インク供給部
11 カップリング
12 廃液タンク
52 記録ヘッド
81 インクコンテナ
82 コンテナポンプ
83 サブタンク
83A 第1サブタンク
83B 第2サブタンク
84 シリンジ
85 第1流路
86 第2流路
87 第3流路
88 第1開閉弁
89 第2開閉弁
90 第4流路
91 第3開閉弁
92 第4開閉弁
93 第5開閉弁
94 供給ポンプ
95 循環ポンプ
96 ダンパー
99 循環ポンプ
101 加圧部
102 減圧部
103 廃液流路
104 逆止弁
521 インク吐出ノズル
S 用紙(記録媒体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14