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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142270
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】検知回路及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/02 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
H04L25/02 303B
H04L25/02 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049090
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】卯尾 豊明
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029JJ03
5K029KK26
(57)【要約】
【課題】一つの実施形態は、絶縁素子の劣化を高精度に検知できる検知回路及び通信システムを提供することを目的とする。
【解決手段】一つの実施形態によれば、第1の絶縁素子と第2の絶縁素子と第1の送信テスト回路と第2の送信テスト回路と受信テスト回路とを有する検知回路が提供される。第1の送信テスト回路は、第1の絶縁素子に接続される。第2の送信テスト回路は、第2の絶縁素子に接続される。受信テスト回路は、第1の絶縁素子及び第2の絶縁素子にそれぞれ接続される。受信テスト回路は、第1の絶縁素子の電圧と第2の絶縁素子の電圧との差分に応じた検知信号を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁素子と、
第2の絶縁素子と、
前記第1の絶縁素子に接続された第1の送信テスト回路と、
前記第2の絶縁素子に接続された第2の送信テスト回路と、
前記第1の絶縁素子及び前記第2の絶縁素子にそれぞれ接続され、前記第1の絶縁素子の電圧と前記第2の絶縁素子の電圧との差分に応じた検知信号を出力する受信テスト回路と、
を備えた検知回路。
【請求項2】
前記第1の送信テスト回路、前記第2の送信テスト回路、前記受信テスト回路は、前記第1の絶縁素子及び前記第2の絶縁素子の1次側又は2次側に接続される
請求項1に記載の検知回路。
【請求項3】
前記第1の送信テスト回路は、前記第1の絶縁素子の1次側に接続される出力ノードを有し、
前記第2の送信テスト回路は、前記第2の絶縁素子の1次側に接続される出力ノードを有し、
前記受信テスト回路は、前記第1の絶縁素子の2次側に接続される第1の入力ノードと前記第2の絶縁素子の2次側に接続される第2の入力ノードとを有する
請求項1に記載の検知回路。
【請求項4】
前記第1の送信テスト回路は、第1のテスト信号を前記第1の絶縁素子に送信し、
前記第2の送信テスト回路は、前記第1のテスト信号に対応する第2のテスト信号を前記第2の絶縁素子に送信する
請求項2に記載の検知回路。
【請求項5】
前記受信テスト回路は、前記第1の絶縁素子の電圧と前記第2の絶縁素子の電圧との差分が閾値以下である場合に、第1のレベルの前記検知信号を出力し、前記第1の絶縁素子の電圧と前記第2の絶縁素子の電圧との差分が前記閾値を超える場合に、第2のレベルの前記検知信号を出力する
請求項4に記載の検知回路。
【請求項6】
前記第1のテスト信号の周波数を第1の周波数に制御する制御回路をさらに備え、
前記第1の送信テスト回路は、前記第1の周波数を有する前記第1のテスト信号を前記第1の絶縁素子に送信し、
前記第2の送信テスト回路は、前記第1の周波数を有する前記第2のテスト信号を前記第2の絶縁素子に送信する
請求項5に記載の検知回路。
【請求項7】
前記第1のテスト信号についてトリミングされた第2の周波数を記憶する記憶回路をさらに備え、
前記第1の送信テスト回路は、前記第2の周波数を有する前記第1のテスト信号を前記第1の絶縁素子に送信し、
前記第2の送信テスト回路は、前記第2の周波数を有する前記第2のテスト信号を前記第2の絶縁素子に送信する
請求項5に記載の検知回路。
【請求項8】
前記第1の絶縁素子の1次側に配された第1の入力ノードと前記第2の絶縁素子の1次側に配された第2の入力ノードと前記第1の絶縁素子の2次側に配された第1の出力ノードと前記第2の絶縁素子の2次側に配された第2の出力ノードとを有する
請求項1に記載の検知回路と、
前記検知回路の前記第1の入力ノードと前記第2の入力ノードにそれぞれ接続された送信回路と、
前記検知回路の前記第1の出力ノードと前記第2の出力ノードにそれぞれ接続された受信回路と、
を備えた通信システム。
【請求項9】
前記送信回路は、第1の期間に非活性化され、第2の期間に動作可能であり、
前記第1の送信テスト回路、前記第2の送信テスト回路は、いずれも、前記第1の期間に動作し、前記第2の期間に非活性化される
請求項8に記載の通信システム。
【請求項10】
前記受信テスト回路は、前記第1の期間において、前記第1の絶縁素子の電圧と前記第2の絶縁素子の電圧との差分が閾値以下である場合に、第1のレベルの前記検知信号を出力し、前記第1の絶縁素子の電圧と前記第2の絶縁素子の電圧との差分が前記閾値を超える場合に、第2のレベルの前記検知信号を出力し、
前記送信回路は、前記第1のレベルの前記検知信号を受ける場合、前記第2の期間に信号送出の動作を行い、前記第2のレベルの前記検知信号を受ける場合、前記第2の期間に信号送出の動作を停止する
請求項9に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、検知回路及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
1次側及び2次側が互いに絶縁された絶縁素子は、経年劣化等によりその絶縁状態が劣化することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8782503号明細書
【特許文献2】米国特許第9224670号明細書
【特許文献3】米国特許第9274167号明細書
【特許文献4】米国特許第9335370号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2012/0153964号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】R. Yun, J. Sun, E. Gaalaas, B. Chen, “A Transformer-based Digital Isolator with 20kVPK Surge Capability and > 200kV/us Common Mode Transient Immunity”, 2016 Symposium on VLSI Circuits Digest of Technical Papers, pp15-17.
【非特許文献2】Thomas Kugelstadt, “New Digital Capacitive Isolator Training Guide ISO74xx & ISO75xx”, Texas Instruments, 2010.
【非特許文献3】Tom Bonifield, “High-voltage isolation quality and reliability for AMC130x”, Texas Instruments Technical Document, SSZY024.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一つの実施形態は、絶縁素子の経年劣化等を高精度に検知できる検知回路及び通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態によれば、第1の絶縁素子と第2の絶縁素子と第1の送信テスト回路と第2の送信テスト回路と受信テスト回路とを有する検知回路が提供される。第1の送信テスト回路は、第1の絶縁素子に接続される。第2の送信テスト回路は、第2の絶縁素子に接続される。受信テスト回路は、第1の絶縁素子及び第2の絶縁素子にそれぞれ接続される。受信テスト回路は、第1の絶縁素子の電圧と第2の絶縁素子の電圧との差分に応じた検知信号を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態にかかる検知回路を含む通信システムの構成を示す回路図。
図2】実施形態における異常検知のメカニズムを示す回路図。
図3】実施形態における劣化の有無に伴う絶縁素子の電圧の違いを示す図。
図4】実施形態の第1の変形例にかかる検知回路を含む通信システムの構成を示す図。
図5】実施形態の第2の変形例にかかる検知回路を含む通信システムの構成を示す図。
図6】実施形態の第3の変形例にかかる検知回路を含む通信システムの構成を示す図。
図7】実施形態の第4の変形例にかかる検知回路を含む通信システムの構成を示す図。
図8】実施形態の第4の変形例における異常検知のメカニズムを示す図。
図9】実施形態の第4の変形例におけるテスト信号が入力された絶縁素子の電圧を示す図。
図10】実施形態の第5の変形例におけるPOR(Power On Reset)回路を含む通信システムの構成を示す回路図。
図11】実施形態の第6の変形例におけるUVLO(Under Voltage Lock Out)回路を含む通信システムの構成を示す回路図。
図12】実施形態の第7の変形例における入力回路を含む通信システムの構成を示す回路図。
図13】実施形態の第8の変形例におけるトリミング回路を含む通信システムの構成を示す回路図。
図14】実施形態の第9の変形例における受信テスト回路の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる通信システムを詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(実施形態)
実施形態にかかる検知回路は、絶縁素子の絶縁劣化を絶縁故障の予兆として検出するための工夫が施される。絶縁素子の絶縁劣化は、1次側及び2次側の絶縁性能が劣化した状態を指し、絶縁素子が絶縁故障(例えば短絡不良)に至る前の状態を指すものとする。
【0010】
検知回路3を含む通信システム1は、図1に示すように、絶縁素子31,32を含む。絶縁素子31,32は、それぞれ、グランド電位を絶縁して信号伝送をするガルバニック絶縁素子を含む。絶縁素子31,32は、それぞれ、例えば、絶縁トランスである。通信システム1は、ガルバニック絶縁素子の絶縁劣化を検出する。絶縁劣化を検出した場合、通信システム1は、信号伝送を停止すると共に絶縁劣化が検知されたことを示す検知信号をユーザーに向けて発出する。
【0011】
ガルバニック絶縁素子は、絶縁トランス(磁界結合)、絶縁容量(電界結合)のいずれでも良い。また、絶縁素子が各チップに2つあるダブル絶縁方式、どちらかの基板に1つの絶縁素子があるシングル絶縁方式のいずれでも良い。また、専用基板に絶縁素子があり、絶縁素子がない各チップを接続する方法でも良い。さらに、絶縁層は酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、ポリイミド膜のいずれでも良い。
【0012】
高電圧機器と低電圧機器を接続する場合に、ノイズの回り込みや感電の回避のため、ガルバニック絶縁素子が用いられる。ガルバニック絶縁素子は、入出力の電気的絶縁を確保しながら、電気信号を伝達する素子である。信号を伝達させるために用いる媒体としては、光、電界および磁界を選択する場合が多い。
【0013】
実施形態の説明に入る前に、本実施形態で検出する事を考えている絶縁素子の絶縁劣化モードを説明する。まず、絶縁素子が絶縁劣化する事によって、絶縁素子にリーク電流が流れるようになると仮定する。言い換えると、経年劣化した状態は、絶縁素子が等価的に容量(Ciso)と抵抗(RLeak)の並列モデルで近似する事が出来る。また、本システムでは絶縁素子に差動信号を伝送している場合を前提としている。そのため、絶縁トランスの場合は2つのトランスが、絶縁容量の場合は2つの容量が用いられている。絶縁素子の経年劣化は欠陥が内在しているところから進行するため2つの絶縁素子が「同時」に劣化する事は考えにくい。さらに、絶縁素子の劣化は徐々に進み、伝送信号と同じような時間間隔(例えば数ns以下)で急激に劣化する事は少ないと考えられる。
【0014】
このため、通信システム1は、複数の絶縁素子31,32が差動伝送系として構成され、絶縁素子31と絶縁素子32とが差動対を構成する。検知回路3は、図1に示すように、複数の絶縁素子31,32の劣化を両者の特性の差分で検出できるように構成される。例えば、検知回路3を含む通信システム1は、図1に示すように構成され得る。図1は、検知回路3を含む通信システム1の構成を示す回路図である。
【0015】
通信システム1は、送信回路2、受信回路4、検知回路3を有する。送信回路2は、信号源SSと検知回路3との間に配されている。通信システム1は、送信側チップ11、絶縁層13及び受信側チップ12の形態で実装されてもよい。この場合、送信側チップ11には、送信回路2、送信テスト回路33,34、受信テスト回路35、絶縁素子31の1次側部分(誘導素子311)、絶縁素子32の1次側部分(誘導素子321)が搭載される。受信側チップ12には、絶縁素子31の2次側部分(誘導素子312)、絶縁素子32の2次側部分(誘導素子322)、受信回路4が搭載される。送信側チップ11と受信側チップ12とは、絶縁層13を介して互いに絶縁されている。絶縁素子31の1次側部分と絶縁素子31の2次側部分とは、絶縁層13を介して互いに絶縁されている。絶縁素子32の1次側部分と絶縁素子32の2次側部分とは、絶縁層13を介して互いに絶縁されている。絶縁層13は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、ポリイミド膜のいずれでも良い。
【0016】
送信回路2は、差動ドライバ回路21を有する。差動ドライバ回路21は、例えば単相入力・差動出力型であり、入力ノード21aが信号源SSの出力ノードに電気的に接続され、正相出力ノード21bが検知回路3のP側の入力ノード3ipに電気的に接続され、逆相出力ノード21cが検知回路3のN側の入力ノード3inに電気的に接続されている。
【0017】
差動ドライバ回路21は、外部(例えば、上位のコントローラ)から入力ノード21dでディスエーブル信号DSを受け、信号源SSから入力ノード21aで信号VINを受ける。差動ドライバ回路21は、ディスエーブル信号DSがノンアクティブレベル(例えば、Lレベル)の場合、信号源SSから受けた信号VINに応じた差動信号VD+、VD-を生成し、それぞれ、絶縁素子31,32へ出力する。信号VINは高周波信号であり、差動信号VD+、VD-(図示せず)は、それぞれ、信号VINに応じた高周波信号である。差動ドライバ21は、ディスエーブル信号DSがアクティブレベル(例えば、Hレベル)の場合、ディスエーブルされ動作を停止する。
【0018】
また、差動ドライバ回路21は、受信テスト回路35から入力ノード21eで検知信号VBRを受ける。差動ドライバ回路21は、検知信号VBRがアクティブレベル(例えば、Hレベル)の場合、ディスエーブル信号DSのレベルに関わらず、動作を停止する。
【0019】
なお、信号源SSが差動で構成されていてもよい。その場合、差動ドライバ回路21は、差動入力・差動出力型の差動アンプであってもよい。差動ドライバ21は、正相入力ノードが信号源SSの正相出力ノードに電気的に接続され、逆相入力ノードが信号源SSの逆相出力ノードに電気的に接続され得る。
【0020】
受信回路4は、検知回路3と負荷回路LDとの間に配されている。受信回路4は、差動レシーバ回路41を有する。差動レシーバ41は、差動入力・単相出力型であり、正相入力ノード41aが検知回路3のP側の出力ノード30pに電気的に接続され、逆相入力ノード41bが検知回路3のN側の出力ノード30nに電気的に接続され、出力端子41cが負荷回路LDの入力ノードに電気的に接続されている。差動レシーバ回路41は、出力ノード41cが負荷回路LDに接続されている。
【0021】
差動レシーバ回路41は、絶縁素子31,32から、それぞれ、差動信号VD+、VD-を正相入力ノード41a、逆相入力ノード41bで受ける。差動レシーバ回路41は、差動信号VD+、VD-に応じた信号Voutを負荷回路LDへ出力する。
【0022】
なお、負荷回路LDが差動で構成されていてもよい。その場合、差動レシーバ回路41は、差動入力・差動出力型の差動アンプであってもよい。差動レシーバ41は、正相出力端子が負荷回路LDのP側の入力ノードに電気的に接続され、逆相出力端子が負荷回路LDのN側の入力ノードに電気的に接続され得る。
【0023】
検知回路3は、送信回路2及び受信回路4の間に接続される。検知回路3は、絶縁素子(第1の絶縁素子)31、絶縁素子(第2の絶縁素子)32、送信テスト回路(第1の送信テスト回路)33、送信テスト回路(第2の送信テスト回路)34、受信テスト回路35、容量素子CC1P、容量素子CC2P、容量素子CC1N、容量素子CC2N、抵抗素子RLP、抵抗素子RLNを有する。
【0024】
絶縁素子31は、1次側及び2次側が互いに電気的に絶縁される。絶縁素子31は、1次側に入力ノード31a、グランドノード31cを有し、2次側に出力ノード31b、グランドノード31dを有する。入力ノード31a及び出力ノード31bは、互いに電気的に絶縁される。グランドノード31c及びグランドノード31dは、それぞれグランド電位を有するが、互いに電気的に絶縁される。
【0025】
絶縁素子31は、例えば、グランド電位を絶縁して高周波信号を伝送するガルバニック絶縁素子である。絶縁素子31は、絶縁トランス313を含む。絶縁トランス313は、誘導素子311及び誘導素子312を有する。誘導素子311は、一端が入力ノード31aに接続され、他端がグランドノード31cに接続される。誘導素子312は、一端が出力ノード31bに接続され、他端がグランドノード31dに接続される。
【0026】
絶縁トランス313における誘導素子311及び誘導素子312は、互いに電気的に絶縁され、互いに磁気的に結合される。誘導素子311及び誘導素子312の間には、寄生容量CISOが存在する。誘導素子311の巻線方向と誘導素子312の巻線方向とは、入力ノード31aから誘導素子311の●に電流が流れ込むと、誘導素子311の●から出力ノード31bに電流が流れ出すような関係になっている。なお、誘導素子311と誘導素子321とは、電流経路に対して互いに巻線方向が逆方向になるように連結され、同一のグランドノードに接続されてもよい。その場合、誘導素子312と誘導素子322とは、電流経路に対して互いに巻線方向が同方向になっていることが望ましい。
【0027】
絶縁素子32は、1次側及び2次側が互いに電気的に絶縁される。絶縁素子32は、1次側に入力ノード32a、グランドノード32cを有し、2次側に出力ノード32b、グランドノード32dを有する。入力ノード32a及び出力ノード32bは、互いに電気的に絶縁される。グランドノード32c及びグランドノード32dは、それぞれグランド電位を有するが、互いに電気的に絶縁される。
【0028】
絶縁素子32は、例えば、グランド電位を絶縁して高周波信号を伝送するガルバニック絶縁素子を含む。絶縁素子32は、絶縁トランス323を含む。絶縁トランス323は、誘導素子321及び誘導素子322を有する。誘導素子321は、一端が入力ノード32aに接続され、他端がグランドノード32cに接続される。誘導素子322は、一端が出力ノード32bに接続され、他端がグランドノード32dに接続される。
【0029】
絶縁トランス323における誘導素子321及び誘導素子322は、互いに電気的に絶縁され、互いに磁気的に結合される。誘導素子321及び誘導素子322の間には、寄生容量CISOが存在する。誘導素子321の巻線方向と誘導素子322の巻線方向とは、入力ノード32aから誘導素子321の●に電流が流れ込むと、誘導素子321の●から出力ノード32bに電流が流れ出すような関係になっている。
【0030】
送信テスト回路33は、入力ノード33aで外部(例えば、上位のコントローラ)から反転ディスエーブル信号DSBを受ける。反転ディスエーブル信号DSBは、ディスエーブル信号DSが論理反転された信号であり、Lアクティブの信号である。送信テスト回路33は、出力ノード33bが容量素子CC1Pを介して絶縁素子31の1次側に接続される。送信テスト回路33は、出力ノード33bが容量素子CC1Pを介して誘導素子311の一端に電気的に接続される。送信テスト回路33は、テスト信号iTEST(ω)を発生可能である。テスト信号iTEST(ω)は高周波信号である。
【0031】
送信テスト回路33は、反転ディスエーブル信号DSBがアクティブレベル(例えば、Lレベル)の場合、テスト信号iTEST(ω)を発生させ、絶縁素子31へ出力する。送信テスト回路33は、反転ディスエーブル信号DSがノンアクティブレベル(例えば、Hレベル)の場合、ディスエーブルされ動作を停止する。
【0032】
送信テスト回路34は、入力ノード34aで外部(例えば、上位のコントローラ)から反転ディスエーブル信号DSBを受ける。反転ディスエーブル信号DSBは、ディスエーブル信号DSが論理反転された信号であり、Lアクティブの信号である。送信テスト回路34は、出力ノード34bが容量素子CC1Nを介して絶縁素子32の1次側に接続される。送信テスト回路34は、出力ノード34bが容量素子CC1Nを介して誘導素子321の一端に電気的に接続される。送信テスト回路34は、テスト信号iTEST(ω)を発生可能である。テスト信号iTEST(ω)は高周波信号である。
【0033】
送信テスト回路34は、反転ディスエーブル信号DSBがアクティブレベル(例えば、Lレベル)の場合、テスト信号iTEST(ω)を発生させ、絶縁素子32へ出力する。送信テスト回路34は、反転ディスエーブル信号DSがノンアクティブレベル(例えば、Hレベル)の場合、ディスエーブルされ動作を停止する。
【0034】
受信テスト回路35は、入力ノード35aが容量素子CC1Pを介して絶縁素子31の1次側に接続され、入力ノード35bが容量素子CC1Nを介して絶縁素子32の1次側に接続され、出力ノード35cが外部(例えば、後段の回路)及び送信回路2の差動ドライバ回路21に接続される。受信テスト回路35は、入力ノード35aが容量素子CC1Pを介して誘導素子311の一端に電気的に接続され、入力ノード35bが容量素子CC1Nを介して誘導素子321の一端に電気的に接続される。
【0035】
受信テスト回路35は、絶縁素子31の電圧と絶縁素子32の電圧との差分に応じた検知信号VBRを出力する。受信テスト回路35は、絶縁素子31の電圧と絶縁素子32の電圧との差分が閾値以下である場合に、ノンアクティブレベル(たとえば、Lレベル)の検知信号VBRを出力する。受信テスト回路35は、絶縁素子31の電圧と絶縁素子32の電圧との差分が閾値を超える場合に、アクティブレベル(例えば、Hレベル)の検知信号VBRを出力する。検知信号VBRは、ノンアクティブレベルで絶縁故障の予兆が検出されていないことを示し、アクティブレベルで絶縁故障の予兆が検出されたことを示す。
【0036】
ノンアクティブレベルの検知信号VBRを受けると、送信回路2の差動ドライバ21は、ディスエーブル信号DSがノンアクティブレベルであれば信号送出の動作を行い、ディスエーブル信号DSがアクティブレベルであれば信号送出の動作を停止する。
【0037】
アクティブレベルの検知信号VBRを入力ノード21eで受けると、送信回路2の差動ドライバ21は、ディスエーブル信号DSのレベルに関わらず、信号送出の動作を停止する。
【0038】
容量素子CC1Pは、送信回路2、送信テスト回路33、受信テスト回路35と絶縁素子31との間に接続される。容量素子CC1Pは、一端が送信回路2の出力ノード21b、送信テスト回路33の出力ノード33b、受信テスト回路35の入力ノード35aに接続され、他端が絶縁素子31の入力ノード31aに接続される。
【0039】
容量素子CC2Pは、絶縁素子31及び抵抗素子RLPと受信回路4との間に接続される。容量素子CC2Pは、一端が絶縁素子31の出力ノード31b及び抵抗素子RLPの一端に接続され、他端が受信回路4の入力ノード41aに接続される。
【0040】
容量素子CC1Nは、送信回路2、送信テスト回路34、受信テスト回路35と絶縁素子32との間に接続される。容量素子CC1Nは、一端が送信回路2の出力ノード21c、送信テスト回路34の出力ノード34b、受信テスト回路35の入力ノード35bに接続され、他端が絶縁素子32の入力ノード32aに接続される。
【0041】
容量素子CC2Nは、絶縁素子32及び抵抗素子RLNと受信回路4との間に接続される。容量素子CC2Nは、一端が絶縁素子32の出力ノード32b及び抵抗素子RLNの一端に接続され、他端が受信回路4の入力ノード41bに接続される。
【0042】
抵抗素子RLPは、絶縁素子31及び容量素子CC2Pの間に接続される。抵抗素子RLPは、一端が絶縁素子31の出力ノード31bと容量素子CC2Pの一端とを接続するラインに接続され、他端がグランド電位に接続される。
【0043】
抵抗素子RLNは、絶縁素子32及び容量素子CC2Nの間に接続される。抵抗素子RLNは、一端が絶縁素子32の出力ノード32bと容量素子CC2Nの一端とを接続するラインに接続され、他端がグランド電位に接続される。
【0044】
通信システム1では、検知回路3が絶縁素子31,32の劣化を高精度に検出可能である。
【0045】
ディスエーブル信号DSがLレベルの場合、通信システム1は、通常モードで動作する。通常モードでは、送信テスト回路33,34がディスエーブルされ、送信回路2がイネーブルされる。通常モードでは、絶縁素子31,32(絶縁トランス313,314)を介して通信が実施される。入力信号が送信回路2で差動化され、絶縁素子31,32により差動信号を伝送し、差動型の受信回路4で信号を検出する事ができる。
【0046】
ディスエーブル信号DSがHレベルの場合、通信システム1は、テストモードで動作する。テストモードでは、送信テスト回路33,34がイネーブルされ、送信回路2がディスエーブルされる。テストモードでは、送信テスト回路33および送信テスト回路34から同一のテスト信号(例えば正弦波)iTEST(ω)を絶縁素子31および絶縁素子32に印可する。送信テスト回路33のテスト信号iTEST(ω)と送信テスト回路34のテスト信号iTEST(ω)とは、周波数及び位相が実質的に同じ信号であってもよい。
【0047】
絶縁素子31,32に経年劣化が発生していない場合、絶縁素子31,32の端子電圧は実質的に同じになるので、受信テスト回路35の入力差電圧は約0Vとなる。
【0048】
反対に、絶縁素子31,32の経年劣化が進んでいる場合、最も弱い箇所から経年劣化が進行するので、絶縁素子31と絶縁素子32の入力インピーダンスは異なってくる。そのため、送信テスト回路33および送信テスト回路34から同一周波数・同一振幅のテスト信号iTEST(ω)を入力した場合に、受信テスト回路35の入力差電圧が発生する。
【0049】
受信テスト回路35では、閾値を超える差電圧が入力されると、絶縁素子31又は絶縁素子32が経年劣化をしていると判断し、検知信号VBRを発出させる。検知信号VBRが発出されると、送信回路2を強制的に制御して信号伝送を停止させると共に、発出レベル(例えば、Hレベル)の検知信号VBRを外部(例えば、後段の回路)へ出力する。これにより、ユーザー側にデバイスの経年劣化を知らせることができる。
【0050】
なお、受信テスト回路35は2つの単相入力でも、1つの差動入力でもどちらでも良い。2つの単相入力の場合、それぞれの単相信号の最大値、平均値、実効値等々を比較する事で判別する事ができる。1つの差動信号の場合は比較が簡単であるが、送信テスト回路33および送信テスト回路34から送出される両信号は位相も揃っていることが望ましい。
【0051】
さて、実施形態の故障検知のメカニズムを詳しく見ていく。図2を用いて、絶縁トランス313,323における故障検知メカニズムを説明する。図2図1のP側の部分を抜き出したものである。
【0052】
ディスエーブル信号DSがHレベルの場合、送信回路2はディスエーブル動作状態となり、送信回路2の出力はHi-Z(ハイインピーダンス)になるのが望ましい。このような状態で、送信テスト回路33からテスト信号iTEST(ω)を出力すると、送信回路2の出力端子には流れず、大部分は絶縁トランス313に流れる。絶縁トランス313の入力インピーダンス(ZIN)は、誘導素子311のインダクタンス値L、誘導素子312のインダクタンスL、誘導素子311及び誘導素子312の結合係数k、誘導素子311及び誘導素子312間の寄生容量CISO、抵抗素子RLPの抵抗値RLP、誘導素子311及び誘導素子312間の絶縁リークパスの抵抗値RLeakに応じて決まる。
【0053】
絶縁トランス313の入力インピーダンスZINは、最大になるωが存在する。ωは、例えば、誘導素子311、寄生容量CISO、誘導素子312を含むループの共振周波数である。絶縁トランス313の絶縁劣化が進んでいる場合、等価的に、誘導素子311,312間に寄生容量CISOと並列に絶縁リークパスの抵抗RLeakが接続されるとみなすことができる。テスト信号iTEST(ω)の周波数ω=ωにすると、絶縁リークパスの抵抗値RLeakの変化を絶縁トランス313の電圧vMEAS(ω)の変化として高感度に検出する事ができる。
【0054】
図3には、テスト信号iTEST(ω)を入力した場合の絶縁トランス313の電圧vMEAS(ω)の例を示す。実線は絶縁素子31,32の経年劣化がない場合、一点鎖線は絶縁素子31,32の経年劣化が発生し、絶縁リークパスの抵抗値がRLeak=1kΩとなった場合である。図3より、絶縁素子31,32の経年劣化がない場合、ω=ωで共振するために絶縁素子の入力インピーダンスが高くなり、大きなvMEAS(ω)=v1になる。他方、経年劣化があり絶縁リークパスの抵抗値がRLeak=1kΩの場合はQ値が低下し、測定されるvMEAS(ω)=v2は小さな値となる。図3の例では、テスト信号iTEST(ω)の周波数ωをωとすることで、経年劣化がない場合の電圧v1と経年劣化がある場合の電圧v2との電圧差Δvを大きく確保できることが示される。電圧差Δvは、例えば、1kΩの短絡モードに対する100倍(40dB)のインピーダンス変化に相当する。受信テスト回路35で用いられる閾値は、電圧差Δvに応じて決められ得る。例えば、閾値は、Δv×α(0<α≦1)に決められ得る。
【0055】
図1の差動信号伝送系の場合、ω=ωであるテスト信号iTEST(ω)で絶縁素子31および絶縁素子32のテストを行うと、絶縁素子31,32のどちらかに経年劣化が発生した場合には、受信テスト回路35には大きな差電圧が入力される事がわかる。この結果、絶縁素子の経年劣化等による絶縁劣化を高感度に検出することができ、絶縁素子の絶縁故障の予兆を検知できる。
【0056】
なお、絶縁トランス313の負荷インピーダンスは抵抗素子RLPでなくても構わないし、絶縁トランス323の負荷インピーダンスは抵抗素子RLNでなくても構わない。また、結合容量(容量素子CC1P,CC1N)及び結合容量(容量素子CC2P,CC2N)は、省略されても構わない。
【0057】
以上のように、実施形態では、通信システム1の検知回路3において、2つの送信テスト回路33,34から2つの絶縁素子31,32へ同一のテスト信号を送信し、受信テスト回路35で2つの絶縁素子31,32の電圧の差分に応じた検知信号を出力する。受信テスト回路35は、2つの絶縁素子31,32の電圧の差分が閾値以下である場合に、劣化が発生していないことを示す(例えばLレベルの)検知信号を出力し、2つの絶縁素子31,32の電圧の差分が閾値を超える場合に、劣化が発生していることを示す(例えばHレベルの)検知信号を出力する。これにより、絶縁素子の劣化を絶縁故障の予兆として高精度に検出できる。絶縁素子31,32が絶縁トランス313,323である場合、共振現象を用いる事で絶縁素子31,32の劣化を高感度に検出する事ができる。
【0058】
例えば、絶縁素子において、1次側と2次側とをフォトカプラで光結合する場合、フォトカプラは、発光素子(例えば、発光ダイオード)と受光素子(例えば、フォトダイオード)との間にあるモールド樹脂で電気的絶縁を確保できる。樹脂が絶縁破壊する場合には、破壊に伴う熱で樹脂が爆発し、1次側と2次側が導通する破壊モードにはならない。このため、絶縁機能に対する信頼性が高い。
【0059】
しかしながら、複数の信号を伝送する場合には、信号の数だけフォトカプラを用いるため、コストが増大しやすい。さらに、1つのパッケージ内に複数の発光素子および複数の受光素子を実装するとクロストークの問題が発生し、組立が複雑になる事から、信頼性が低下しやすく、コストが増大しやすい。
【0060】
それに対して、本実施形態では、絶縁素子31,32は、信号伝送媒体として磁界を用いたものである。検知回路において、1次側と2次側とを絶縁素子31,32で磁気結合する構成が用いられる。磁界を伝送媒体とする場合、絶縁層の両端にコイルを形成した絶縁トランス313,323が用いられる。絶縁トランスは、チップ上のポリイミド層かチップの配線層の絶縁層を使う場合があるが、いずれの場合でも絶縁層の厚さは10~30μm程度であり、フォトカプラのモールド樹脂による絶縁間隔(400μm以上)に比べて1桁薄い絶縁層となる。このため、短絡故障等の絶縁故障を起こしやすい。
【0061】
それに対し、絶縁素子をカスケード接続してダブル絶縁方式で構成することが考えられる。本構成により、絶縁耐圧の改善が出来るが、依然としてフォトカプラの絶縁間隔より狭く、本質的な課題解決になっていない。そこで、本実施形態のように、絶縁素子31,32の劣化を絶縁故障に至る前の予兆として検知することが有効である。
【0062】
なお、図示しないが、検知回路3は、絶縁素子31が1次側と2次側との間で複数直列にカスケード接続されてもよく、絶縁素子32が1次側と2次側との間で複数直列にカスケード接続されてもよい。これにより、絶縁耐圧の改善が出来る。
【0063】
送信テスト回路33及び送信テスト回路34は、それぞれ、テスト信号iTEST(ω)を外部(例えば、上位のコントローラ)から受けてもよい。この場合、送信テスト回路33及び送信テスト回路34のそれぞれにおけるテスト信号iTEST(ω)を生成するための構成を省略でき、送信テスト回路33及び送信テスト回路34の構成を簡略化できる。
【0064】
送信回路2が受けるディスエーブル信号DSと送信テスト回路33及び送信テスト回路34のそれぞれが受ける反転ディスエーブル信号DSBの少なくとも一方は、外部(例えば、上位のコントローラ)から入力されてもよい。
【0065】
また、実施形態の第1の変形例として、通信システム1iは、図4に示すように構成されてもよい。図4は、実施形態の第1の変形例にかかる検知回路3iを含む通信システム1iの構成を示す図である。
【0066】
通信システム1iは、検知回路3(図1参照)に代えて検知回路3iを有する。検知回路3iでは、送信テスト回路33、送信テスト回路34および受信テスト回路35が受信回路4側に配される。通信システム1iは、送信側チップ1i1、絶縁層1i3及び受信側チップ1i2の形態で実装されてもよい。この場合、送信側チップ1i1には、送信回路2、インバータINV1、インバータINV2、絶縁素子DE、絶縁素子31の1次側部分(誘導素子311)、絶縁素子32の1次側部分(誘導素子321)が搭載される。受信側チップ1i2には、絶縁素子31の2次側部分(誘導素子312)、絶縁素子32の2次側部分(誘導素子322)、送信テスト回路33,34、受信テスト回路35、受信回路4が搭載される。送信側チップ1i1と受信側チップ1i2とは、絶縁層1i3を介して互いに絶縁されている。絶縁素子31の1次側部分と絶縁素子31の2次側部分とは、絶縁層1i3を介して互いに絶縁されている。絶縁素子32の1次側部分と絶縁素子32の2次側部分とは、絶縁層1i3を介して互いに絶縁されている。絶縁層1i3は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、ポリイミド膜のいずれでも良い。
【0067】
送信テスト回路33は、出力ノード33bが、受信回路4の差動レシーバ回路41の入力ノード41aに接続され、容量素子CC2Pを介して絶縁素子31の2次側に接続される。
【0068】
送信テスト回路34は、出力ノード34bが、受信回路4の差動レシーバ41の入力ノード41bに接続され、容量素子CC2Nを介して絶縁素子32の2次側に接続される。
【0069】
受信テスト回路35は、入力ノード35aが、受信回路4の差動レシーバ回路41の入力ノード41aに接続され、容量素子CC2Pを介して絶縁素子31の2次側に接続される。入力ノード35bが、受信回路4の差動レシーバ回路41の入力ノード41bに接続され、容量素子CC2Nを介して絶縁素子32の1次側に接続される。出力ノード35cが、外部(例えば、後段の回路)と受信回路4の差動レシーバ41の入力ノード41dとに接続される。
【0070】
絶縁素子31,32の劣化を検知する原理は、実施形態と同じである。ただし、受信回路4の入力インピーダンスが大きい場合、受信回路4の入力を制御しなくてもよい。
【0071】
受信テスト回路35は、テストモード動作において、絶縁素子31の電圧と絶縁素子32の電圧との差分が閾値以下である場合にノンアクティブレベルの検知信号VBRを出力し、絶縁素子31の電圧と絶縁素子32の電圧との差分が閾値を超える場合にアクティブレベルの検知信号VBRを出力する点は、実施形態と同様である。
【0072】
ノンアクティブレベルの検知信号VBRを受けると、受信回路4の差動レシーバ回路41は、信号出力の動作を行い、アクティブレベルの検知信号VBRを受けると、受信回路4の差動レシーバ回路41は、信号出力の動作を停止する。これにより、絶縁故障の予兆が検出されたことに応じて、受信回路の出力信号が不定になることを回避できる。
【0073】
図4に示す構成では、差動ドライバ回路21の入力ノード21dと送信テスト回路33,34の入力のノード33a,34aとの間にインバータINV1,INV2及び絶縁素子DEが直列に接続されていてもよい。絶縁素子DEは、それぞれ、入力側と出力側とが電気的に絶縁されており、入力側から出力側へ信号を伝送可能である。
【0074】
これにより、送信回路2のディスエーブル信号DSと送信テスト回路33,34の反転ディスエーブル信号DSBとの同期をとることができ、通常モードとテストモードとの切り替えを適切に行うことができる。
【0075】
また、実施形態の第2の変形例として、通信システム1jは、図5に示すように構成されてもよい。図5は、実施形態の第2の変形例にかかる検知回路3jを含む通信システム1jの構成を示す図である。
【0076】
通信システム1jは、複数の絶縁素子31,32が複数の単相伝送系として構成される。通信システム1jは、送信回路2、検知回路3、受信回路4(図1参照)に代えて、複数の送信回路2j-1,2j-2、検知回路3j、複数の受信回路4j-1,4j-2を有する。通信システム1jは、送信側チップ1j1、絶縁層1j3及び受信側チップ1j2の形態で実装されてもよい。この場合、送信側チップ1j1には、送信回路2j-1,2j-2、制御回路36j、送信テスト回路33,34、受信テスト回路35、絶縁素子31の1次側部分(誘導素子311)、絶縁素子32の1次側部分(誘導素子321)が搭載される。受信側チップ1j2には、絶縁素子31の2次側部分(誘導素子312)、絶縁素子32の2次側部分(誘導素子322)、受信回路4j-1,4j-2が搭載される。送信側チップ1j1と受信側チップ1j2とは、絶縁層1j3を介して互いに絶縁されている。絶縁素子31の1次側部分と絶縁素子31の2次側部分とは、絶縁層1j3を介して互いに絶縁されている。絶縁素子32の1次側部分と絶縁素子32の2次側部分とは、絶縁層1j3を介して互いに絶縁されている。絶縁層1j3は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、ポリイミド膜のいずれでも良い。
【0077】
各送信回路2jは、単相入力・単相出力型の単相ドライバ21jを有する。各送信回路2j―1,2j-2の単相ドライバ21jは、入力ノード21aが信号源SS-1,SS-2の出力ノードに電気的に接続され、出力ノード21bが容量素子CC1P,CC1Nを介して絶縁素子31,32に電気的に接続される。各受信回路4j-1,4j-2は、単相入力・単相出力型の単相レシーバ41jを有する。受信回路4j-1,4j-2の単相レシーバ41jは、入力ノード41aが容量素子CC2P,CC2Nを介して絶縁素子31,32に電気的に接続され、出力ノード41cが負荷回路LD-1,LD-2に電気的に接続される。
【0078】
これにより、各送信回路2j―1,2j-2は、単相信号VS1,VS2を送信し、検知回路3jの各絶縁素子31,32は、単相信号VS1,VS2を伝送し、各受信回路4j-1,4j-2は、単相信号VS1,VS2を受信する。すなわち、複数の単相伝送系でそれぞれ信号伝送が行われる。
【0079】
一方、絶縁素子の劣化検出には2つの絶縁素子の特性の差分が用いられる。2つの絶縁素子31,32の入力ノード31a,32aは、容量素子CC1P,CC1Nを介して、2つの送信テスト回路33、34の出力ノード33b,34bに接続され、受信テスト回路35の2つの入力ノード35a,35bに接続される。例えば、2つの送信テスト回路33、34から2つの絶縁素子31,32に位相・周波数が略等しいテスト信号iTEST(ω)を送信し、受信テスト回路35で絶縁素子31,32の電圧の差分を検出する。受信テスト回路35は、絶縁素子31,32の電圧の差分が閾値以下である場合に、絶縁故障の予兆が検出されていないことを示すレベルの検知信号VBRを出力し、絶縁素子31,32の電圧の差分が閾値を超える場合に、絶縁故障の予兆が検出されたことを示すレベルの検知信号VBRを出力する点は、実施形態と同様である。本構成を取ることで、複数の単相伝送系が構成される通信システム1jにおいても、絶縁素子31,32の劣化検出が可能となる。
【0080】
なお、通信システム1jが通常モードにおいて一方の単相信号VS1を伝送するが他方の単相信号VS2を伝送しない場合、送信回路2j-2、絶縁素子32、受信回路4j-2をダミーの構成としてもよい。送信回路2j-2をディスエーブル状態のままにする事で、通信システム1jは、通常モード及びテストモードをそれぞれ実施可能である。
【0081】
また、実施形態の第3の変形例として、通信システム1kは、図6に示すように構成されてもよい。図6は、実施形態の第3の変形例にかかる検知回路3kを含む通信システム1kの構成を示す図である。
【0082】
通信システム1kは、検知回路3(図1参照)に代えて検知回路3kを有する。検知回路3kでは、制御回路36kをさらに有する。通信システム1kは、送信側チップ1k1、絶縁層1k3及び受信側チップ1k2の形態で実装されてもよい。この場合、送信側チップ1k1には、送信回路2、送信テスト回路33,34、受信テスト回路35、絶縁素子31の1次側部分(誘導素子311)、絶縁素子32の1次側部分(誘導素子321)が搭載される。受信側チップ1k2には、絶縁素子31の2次側部分(誘導素子312)、絶縁素子32の2次側部分(誘導素子322)、受信回路4が搭載される。送信側チップ1k1と受信側チップ1k2とは、絶縁層1k3を介して互いに絶縁されている。絶縁素子31の1次側部分と絶縁素子31の2次側部分とは、絶縁層1k3を介して互いに絶縁されている。絶縁素子32の1次側部分と絶縁素子32の2次側部分とは、絶縁層1k3を介して互いに絶縁されている。絶縁層1k3は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、ポリイミド膜のいずれでも良い。
【0083】
制御回路36kは、入力ノード36aで反転ディスエーブル信号DSBを受け、出力ノード36bが送信テスト回路33の制御ノード33c、送信テスト回路34の制御ノード34cおよび受信テスト回路35の制御ノード35cに接続される。これにより、制御回路36kは、送信テスト回路33、送信テスト回路34および受信テスト回路35のそれぞれに制御信号を供給して制御できる。
【0084】
例えば、劣化の有無で電圧の差が大きく出るようにするためには、図3に示すように、テスト信号の周波数を特定の周波数ωにすることが有効である。周波数ωは、例えば、誘導素子311、寄生容量CISO、誘導素子312を含むループの共振周波数である。
【0085】
しかしながら、共振周波数は、それぞれ、素子の製造ばらつきの影響を受けて素子の特性がばらつくことがある。
【0086】
例えば、誘導素子311、寄生容量CISO、誘導素子312を含むループの共振周波数がωであり、誘導素子321、寄生容量CISO、誘導素子322を含むループの共振周波数がω1であるとする。この場合、図6に示す制御回路36kは、送信テスト回路33を制御し、周波数ωのテスト信号iTEST(ω)が送信テスト回路33から絶縁素子31へ供給されるようにする。制御回路36kは、送信テスト回路34を制御し、周波数ωのテスト信号iTEST(ω)が送信テスト回路34から絶縁素子32へ供給されるようにする。
【0087】
ここで、ωはωより小さく、ZIN(ω)>ZIN(ω)とする。パラメータΔZIN=ZIN(ω1)-ZIN(ω0)を定義し、パラメータΔZINに応じた絶縁トランス313,323の差電圧ΔvMEASを定義すると、絶縁トランス313,323の経年劣化具合によってパラメータΔZINの大きさが変化し、絶縁トランス313,323の差電圧ΔvMEASが変化する。受信テスト回路35は、差電圧ΔvMEASの標準値からの変化量が閾値を超えたか否かに応じて、絶縁トランス313,323の経年変化を検出できる。
【0088】
また、実施形態の第4の変形例として、通信システム1nは、図7に示すように構成されてもよい。図7は、実施形態の第4の変形例にかかる検知回路3nを含む通信システム1nの構成を示す図である。
【0089】
実施形態~実施形態の第3の変形例では、絶縁素子として絶縁トランスを想定しているが、絶縁容量に対しても絶縁素子の経年劣化を検出する事ができる。
【0090】
通信システム1nにおいて、絶縁素子31nは、絶縁トランス313(図1参照)に代えて絶縁容量313nを有し、寄生容量CSPをさらに有する。通信システム1nは、送信側チップ1n1、絶縁層1n3及び受信側チップ1n2の形態で実装されてもよい。この場合、送信側チップ1n1には、送信回路2、送信テスト回路33,34、絶縁素子31の1次側部分(誘導素子311)、絶縁素子32の1次側部分(誘導素子321)が搭載される。受信側チップ1n2には、受信テスト回路35、絶縁素子31の2次側部分(誘導素子312)、絶縁素子32の2次側部分(誘導素子322)、受信回路4が搭載される。送信側チップ1n1と受信側チップ1n2とは、絶縁層1n3を介して互いに絶縁されている。絶縁素子31の1次側部分と絶縁素子31の2次側部分とは、絶縁層1n3を介して互いに絶縁されている。絶縁素子32の1次側部分と絶縁素子32の2次側部分とは、絶縁層1n3を介して互いに絶縁されている。絶縁層1n3は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、ポリイミド膜のいずれでも良い。
【0091】
絶縁容量313nは、一端が送信テスト回路33n及び送信回路2に接続され、他端が受信テスト回路35n及び受信回路4に接続される。寄生容量CSPは、一端が絶縁容量313nの他端と抵抗素子RLPの一端とを接続するラインに接続され、他端がグランド電位に接続される。
【0092】
絶縁素子32nは、絶縁トランス323(図1参照)に代えて絶縁容量323nを有し、寄生容量CSNをさらに有する。絶縁容量323nは、一端が送信テスト回路34n及び送信回路2に接続され、他端が受信テスト回路35n及び受信回路4に接続される。寄生容量CSNは、一端が絶縁容量323nの他端と抵抗素子RLNの一端とを接続するラインに接続され、他端がグランド電位に接続される。
【0093】
絶縁容量313n及び絶縁容量323nは、それぞれ、絶縁層の両端に金属板を配することで構成可能である。絶縁層の厚さは、例えば10~30μmであり、フォトカプラのモールド樹脂による絶縁間隔(400μm以上)に比べて1桁薄い絶縁層となり得る。
【0094】
実施形態の第4の変形例では、2つの絶縁容量31n,32nが差動伝送系として構成され、送信テスト回路33n,34nを送信側、受信テスト回路35nを受信側にもっていく事で、実施形態と同様に、絶縁故障の予兆を検知できる。
【0095】
ディスエーブル信号DSがLレベルの場合、送信テスト回路33n,34n及び受信テスト回路35nがディスエーブルされ、送信回路2がイネーブルされ、絶縁容量313n,323nを介して通信が実施される。
【0096】
ディスエーブル信号DSがHレベルの場合、送信テスト回路33n,34n及び受信テスト回路35nがイネーブルされ、送信回路2がディスエーブルされ、テストモード動作となる。テストモード動作では、送信テスト回路33nおよび送信テスト回路34nから同一のテスト信号vTEST(ω)を絶縁素子33nおよび絶縁素子34nに印可する。
【0097】
絶縁素子33n,34nが良好な場合、絶縁素子33n,34nの出力電圧はほぼ同じになるので、受信テスト回路35nの差電圧は約0Vとなる。
【0098】
片方の絶縁素子(絶縁素子33n又は絶縁素子34n)で絶縁リークが発生すると、それに応じた差電圧が受信テスト回路35nに入力される。受信テスト回路35nでは、閾値を超える差電圧が入力されると、受信回路4から負荷LDへ不要な出力Voutがでないように制御する。
【0099】
さて、実施形態の第4の変形例の故障検知のメカニズムを詳しく見ていく。図8を用いて、絶縁容量における故障検知メカニズムを説明する。図8は、図7のP側の部分を抜き出したものである。
【0100】
ディスエーブル信号DSがHレベルの場合、送信回路2はディスエーブル動作状態となり、送信回路2の出力はHi-Z(ハイインピーダンス)になるのが望ましい。このような状態で、送信テスト回路33nからテスト信号vTEST(ω)を出力すると、送信回路2の出力端子には流れず、大部分は絶縁容量313nに流れる。テスト信号vTEST(ω)は、周波数ωに依存する電圧信号であってもよい。
【0101】
テスト信号vTEST(ω)は1次側から絶縁容量313nを通して2次側へ伝達され、受信テスト回路35nでテスト電圧vMEAS(ω)を受ける。絶縁容量313nの伝達関数Hは、C1/CSP/RLP/RLeakで決まり、低周波の伝達関数Hは、絶縁リークパスの抵抗値RLeakによって大きく変化する。
【0102】
このため、絶縁リークパスの抵抗値RLeakを応答信号vMEAS(ω)の変化として検出する事ができる。検出感度はテスト信号vTESTの周波数ωが低いほど高いが、通常のシステムではCMTI対策としてハイパスフィルタHPF(C1とRLP)を入れているので、テスト信号vTESTの周波数ωが低いと応答信号vMEASのレベルは小さくなる。このため、テスト信号vTESTの周波数ωは、検出感度が要求レベルを満たしつつ応答信号vMEASのレベルが適切なレベルになるように決められ得る。
【0103】
図9には、テスト信号vTEST(ω)を入力した場合の応答信号vMEAS(ω)の例を示す。図9では、実線で、絶縁素子の経年劣化がない場合を示し、一点鎖線で、絶縁素子の経年劣化が発生しRLeak=10kΩとなった場合を示す。
【0104】
図9に示すように、経年劣化がない場合の絶縁素子の場合、低周波帯の周波数Fでの伝達関数が小さな値となり、検出される電圧v11は、小さなレベルになる。RLeak=10kΩの場合は、低周波帯の周波数Fで伝達関数が大きな値になり、検出される電圧v12は、大きなレベルになる。図9の例では、10kΩの短絡モードを5倍(14dB)のインピーダンス変化に対応した差電圧Δv10として検出する事ができる。
【0105】
図7の差動信号伝送系の場合、テスト信号vTEST(ω)で絶縁素子31nおよび絶縁素子32nのテストを行うと、片方の絶縁素子(絶縁素子31n又は絶縁素子32n)に経年劣化が発生した場合には、受信テスト回路35nには大きな差電圧Δv10が入力される事がわかる。この結果、絶縁素子の経年劣化を高感度に検出する事ができ、絶縁素子の絶縁故障の予兆検知を行う事ができる。また、受信テスト回路35nでは、閾値を超える差電圧Δv10が入力されると受信テスト回路35nから負荷回路LDへ不要な出力がでないように制御する。
【0106】
絶縁容量313n,323nの負荷インピーダンスは抵抗でなくても構わない。
【0107】
このように、絶縁素子31n,32nとして絶縁容量313n,323nを用いた場合、低周波帯の周波数ω=Fを有するテスト信号vTEST(ω)を用いる事で、絶縁素子31n,32nの劣化を高感度に検出する事が出来る。さらに、テスト信号vTEST(ω)の周波数ωを変化させることでも、絶縁素子31n,32nの経年劣化を高感度に検出する事が出来る。
【0108】
また、実施形態の第5の変形例として、通信システム1pは、図10に示すようなPOR(Power On Reset)回路5pでディスエーブル信号DSが生成されてもよい。図10は、実施形態の第5の変形例におけるPOR回路5pを含む通信システム1pの構成を示す回路図である。
【0109】
通信システム1pは、通信システム1(図1参照)に比べて、POR回路5p、電子回路6p、電子回路7p、インバータINV1、インバータINV2をさらに有する。通信システム1pは、送信側チップ1p1、絶縁層1p3及び受信側チップ1p2の形態で実装されてもよい。この場合、送信側チップ1p1には、POR回路5p、電子回路6p、送信回路2、インバータINV1、インバータINV2、送信テスト回路33,34、受信テスト回路35、絶縁素子31の1次側部分(誘導素子311)、絶縁素子32の1次側部分(誘導素子321)が搭載される。受信側チップ1p2には、POR回路8p、絶縁素子31の2次側部分(誘導素子312)、絶縁素子32の2次側部分(誘導素子322)、受信回路4、電子回路7pが搭載される。送信側チップ1p1と受信側チップ1p2とは、絶縁層1p3を介して互いに絶縁されている。絶縁素子31の1次側部分と絶縁素子31の2次側部分とは、絶縁層1p3を介して互いに絶縁されている。絶縁素子32の1次側部分と絶縁素子32の2次側部分とは、絶縁層1p3を介して互いに絶縁されている。絶縁層1p3は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、ポリイミド膜のいずれでも良い。
【0110】
POR回路5pは、通信システム1pの電源起動時に、電源電圧が所定の電圧(例えば、推奨電圧)で所定時間安定してから通信システム1pの初期化をする回路である。所定時間は、通信システム1pの電源安定化に要する時間として予め実験的に決められてもよい。
【0111】
POR回路5pは、電源端子PS1と送信回路2、検知回路3、及び電子回路6pとの間に接続される。POR回路5pは、入力ノード5p1が電源端子PS1に接続され、出力ノード5p2が電子回路6pに接続され、出力ノード5p3が送信回路2に接続されるとともにインバータINV1,INV2経由で送信テスト回路33,34に接続される。電子回路6pは、送信回路2の入力側に接続される。
【0112】
POR回路8pは、電源端子PS2と受信回路4及び電子回路7pとの間に接続される。POR回路8pは、入力ノード8p1が電源端子PS2に接続され、出力ノード8p2が電子回路7pに接続される。電子回路7pは、受信回路4の出力側に接続される。
【0113】
通信システム1pにおいて、ディスエーブル信号DSの発出期間は、POR回路5pに基づく。POR回路5pは、外部から電源端子PS1を介して入力ノード5p1で受ける電源電圧を監視する。POR回路8pは、外部から電源端子PS2を介して入力ノード8p1で受ける電源電圧を監視する。
【0114】
POR回路5pは、電源起動時において、入力ノード5p1で受ける電源電圧が所定の電圧(例えば、推奨電圧範囲の下限値)に達して所定時間が経過するとリセットパルス信号RST1を発出して、電子回路6pはリセットされる。
【0115】
POR回路8pは、電源起動時において、入力ノード8p1で受ける電源電圧が所定の電圧(例えば、推奨電圧範囲の下限値)に達して所定時間が経過するとリセットパルス信号RST2を発出して、電子回路7pはリセットされる。
【0116】
リセット状態の解除に応じて、POR回路5pは、ディスエーブル信号DSを発出する。POR回路5pは、アクティブレベルのディスエーブル信号DSを生成して送信回路2、インバータINV1、インバータINV2へ供給する。送信回路2は、アクティブレベルのディスエーブル信号DSに応じてディスエーブルされ、送信テスト回路33,34は、それぞれ、ディスエーブル信号DSがインバータINV1,INV2で論理反転された反転ディスエーブル信号DSBを受ける。送信テスト回路33,34は、アクティブレベル(例えば、Lレベル)の反転ディスエーブル信号DSBに応じて、イネーブルされ、テスト信号を絶縁素子31,32(図1参照)に送信する。これにより、検知回路3は、絶縁素子31,32の絶縁故障の予兆の検知を実施する。
【0117】
絶縁故障の予兆が検知されなければ、受信テスト回路35から検知信号VBRが発出されない。また、電子回路6pから送信回路2へ信号が入力され、送信回路2から絶縁素子31,32を通して受信回路4へ信号が伝送され、受信回路4から電子回路7pへ信号が出力される。
【0118】
絶縁故障の予兆が検知されれば、受信テスト回路35から検知信号VBRが発出される。アクティブレベルの検知信号VBRに応じて、絶縁素子31,32を通した信号伝送が行われない。
【0119】
このように、通信システム1pでは、電源起動時における内部回路のリセットが解除される期間に絶縁故障の予兆を検知でき、検知結果に応じて信号伝送を行うので、適切に信号伝送を行うことができる。
【0120】
また、実施形態の第6の変形例として、通信システム1rは、図11に示すようなUVLO(Under Voltage Lock Out)回路5rでディスエーブル信号DSが生成されてもよい。図11は、実施形態の第6の変形例におけるUVLO回路5rを含む通信システム1rの構成を示す回路図である。
【0121】
通信システム1rは、通信システム1(図1参照)に比べて、UVLO回路5r、電子回路6p、電子回路7p、インバータINV1、インバータINV2をさらに有する。通信システム1rは、送信側チップ1r1、絶縁層1r3及び受信側チップ1r2の形態で実装されてもよい。この場合、送信側チップ1r1には、UVLO回路5r、電子回路6p、送信回路2、インバータINV1、インバータINV2、送信テスト回路33,34、受信テスト回路35、絶縁素子31の1次側部分(誘導素子311)、絶縁素子32の1次側部分(誘導素子321)が搭載される。受信側チップ1r2には、UVLO回路8r、絶縁素子31の2次側部分(誘導素子312)、絶縁素子32の2次側部分(誘導素子322)、受信回路4、電子回路7pが搭載される。送信側チップ1r1と受信側チップ1r2とは、絶縁層1r3を介して互いに絶縁されている。絶縁素子31の1次側部分と絶縁素子31の2次側部分とは、絶縁層1r3を介して互いに絶縁されている。絶縁素子32の1次側部分と絶縁素子32の2次側部分とは、絶縁層1r3を介して互いに絶縁されている。絶縁層1r3は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、ポリイミド膜のいずれでも良い。
【0122】
UVLO回路5rは、通信システム1rの電源電圧を監視し、電源電圧が所定の電圧(例えば、推奨電圧)よりも低くなると内部回路をロックアウトする回路である。
【0123】
UVLO回路5rは、電源端子PS1と送信回路2、検知回路3、及び電子回路6pとの間に接続される。UVLO回路5rは、入力ノード5r1が電源端子PS1に接続され、出力ノード5r2が電子回路6pに接続され、出力ノード5r3が送信回路2に接続されるとともにインバータINV1,INV2経由で送信テスト回路33,34に接続される。電子回路6pは、送信回路2の入力側に接続される。
【0124】
UVLO回路8rは、電源端子PS2と受信回路4及び電子回路7pとの間に接続される。UVLO回路8rは、入力ノード8r1が電源端子PS2に接続され、出力ノード8r2が電子回路7pに接続される。電子回路7pは、受信回路4の出力側に接続される。
【0125】
通信システム1rにおいて、ディスエーブル信号DSの発出期間は、UVLO回路5rに基づく。UVLO回路5rは、外部から電源端子PS1を介して入力ノード5r1で受ける電源電圧を監視する。UVLO回路8rは、外部から電源端子PS2を介して入力ノード8r1で受ける電源電圧を監視する。
【0126】
UVLO回路5rは、通信システム1rの動作中において、入力ノード5r1で受ける電源電圧が所定の電圧(例えば、推奨電圧)よりも低くなると、ロックアウト信号UVLO1を発出する。UVLO回路5rは、アクティブレベルのロックアウト信号UVLO1を出力ノード5r2から電子回路6p等の内部回路へ供給する。これにより、UVLO回路5rは、電子回路6p等の内部回路をロックアウトしてその誤動作を防止できる。
【0127】
UVLO回路8rは、通信システム1rの動作中において、入力ノード8r1で受ける電源電圧が所定の電圧(例えば、推奨電圧)よりも低くなると、ロックアウト信号UVLO2を発出する。UVLO回路8rは、アクティブレベルのロックアウト信号UVLO2を出力ノード8r2から電子回路7p等の内部回路へ供給する。これにより、UVLO回路8rは、電子回路7p等の内部回路をロックアウトしてその誤動作を防止できる。
【0128】
UVLO回路5rは、入力ノード5r1で受ける電源電圧が所定の電圧(例えば、推奨電圧)以上に回復するとロックアウト信号UVLO1を解除する。UVLO回路5rは、ノンアクティブレベルのロックアウト信号UVLO1を出力ノード5r2から電子回路6p等の内部回路へ供給する。これにより、UVLO回路5rは、電子回路6p等の内部回路のロックアウトを解除できる。
【0129】
UVLO回路8rは、入力ノード8r1で受ける電源電圧が所定の電圧(例えば、推奨電圧)以上に回復するとロックアウト信号UVLO2を解除する。UVLO回路8rは、ノンアクティブレベルのロックアウト信号UVLO2を出力ノード8r2から電子回路7p等の内部回路へ供給する。これにより、UVLO回路8rは、電子回路7p等の内部回路のロックアウトを解除できる。
【0130】
ロックアウトの解除に応じて、UVLO回路5rは、ディスエーブル信号DSを発出する。UVLO回路5rは、アクティブレベルのディスエーブル信号DSを送信回路2、インバータINV1、インバータINV2へ供給する。送信回路2は、アクティブレベルのディスエーブル信号DSに応じてディスエーブルされ、送信テスト回路33,34は、それぞれ、ディスエーブル信号DSがインバータINV1,INV2で論理反転された反転ディスエーブル信号DSBを受ける。送信テスト回路33,34は、アクティブレベル(例えば、Lレベル)の反転ディスエーブル信号DSBに応じて、イネーブルされ、テスト信号を絶縁素子31,32(図1参照)に送信する。これにより、検知回路3は、絶縁素子31,32の絶縁故障の予兆の検知を実施する。
【0131】
また、実施形態の第7の変形例として、通信システム1sは、図12に示すような入力回路5sでディスエーブル信号DSが生成されてもよい。図12は、実施形態の第7の変形例における入力回路5sを含む通信システム1sの構成を示す回路図である。
【0132】
通信システム1sは、通信システム1(図1参照)に比べて、入力回路5s、電子回路6p、電子回路7p、インバータINV1、インバータINV2をさらに有する。通信システム1sは、送信側チップ1s1、絶縁層1s3及び受信側チップ1s2の形態で実装されてもよい。この場合、送信側チップ1s1には、入力回路5s、電子回路6p、送信回路2、インバータINV1、インバータINV2、送信テスト回路33,34、受信テスト回路35、絶縁素子31の1次側部分(誘導素子311)、絶縁素子32の1次側部分(誘導素子321)が搭載される。受信側チップ1s2には、絶縁素子31の2次側部分(誘導素子312)、絶縁素子32の2次側部分(誘導素子322)、受信回路4、電子回路7pが搭載される。送信側チップ1s1と受信側チップ1s2とは、絶縁層1s3を介して互いに絶縁されている。絶縁素子31の1次側部分と絶縁素子31の2次側部分とは、絶縁層1s3を介して互いに絶縁されている。絶縁素子32の1次側部分と絶縁素子32の2次側部分とは、絶縁層1s3を介して互いに絶縁されている。絶縁層1s3は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、ポリイミド膜のいずれでも良い。
【0133】
入力回路5sは、制御信号ENが入力される回路である。入力回路5sは、制御端子ENと送信回路2、検知回路3、との間に接続される。入力回路5sは、入力ノード5s1が制御端子ENに接続され、入力ノード5s4が受信テスト回路35に接続され、出力ノード5s3が送信回路2に接続されるとともにインバータINV1,INV2経由で送信テスト回路33,34に接続される。電子回路6pは、送信回路2の入力側に接続される。電子回路7pは、受信回路4の出力側に接続される。
【0134】
通信システム1sにおいて、ディスエーブル信号DSの発出期間は、入力回路5sに基づく。入力回路5sは、外部から制御端子ENを介して入力ノード5s1で受ける制御信号ENを監視する。入力回路5sは、制御信号ENのレベルがノンアクティブレベル・アクティブレベルであることに応じて、ディスエーブル信号DSを発出・解除することができる。
【0135】
入力回路5sは、制御信号ENのレベルがノンアクティブレベルであれば、ディスエーブル信号DSを発出する。入力回路5sは、アクティブレベルのディスエーブル信号DSを生成して送信回路2、インバータINV1、インバータINV2へ供給する。送信回路2は、アクティブレベルのディスエーブル信号DSに応じてディスエーブルされ、送信テスト回路33,34は、それぞれ、ディスエーブル信号DSがインバータINV1,INV2で論理反転された反転ディスエーブル信号DSBを受ける。送信テスト回路33,34は、アクティブレベル(例えば、Lレベル)の反転ディスエーブル信号DSBに応じて、イネーブルされ、テスト信号を絶縁素子31,32(図1参照)に送信する。これにより、検知回路3は、絶縁素子31,32の絶縁故障の予兆の検知を実施する。
【0136】
絶縁故障の予兆が検知されなければ、受信テスト回路35から検知信号VBRが発出されない。入力回路5sは、制御信号ENのレベルがアクティブレベルになるまで待機する。制御信号ENのレベルがアクティブレベルになると、入力回路5sは、送信テスト回路33,34をディスエーブルするとともに送信回路2をイネーブルして通常動作状態に移行させる。これにより、絶縁素子31,32を通した信号伝送が行われ得る。すなわち、信号が電子回路6pから送信回路2へ入力され、送信回路2から絶縁素子31,32を通して受信回路4へ信号が伝送され、受信回路4から電子回路7pへ信号が出力される。
【0137】
絶縁故障の予兆が検知されれば、受信テスト回路35から検知信号VBRが発出される。入力回路5sは、送信回路2をディスエーブル状態のままにする。これにより、絶縁素子31,32を通した信号伝送が行われない。
【0138】
このように、通信システム1sでは、制御信号ENのレベルがノンアクティブレベルであるアイドル期間に絶縁故障の予兆を検知でき、検知結果に応じた信号伝送を行うので、適切に信号伝送を行うことができる。
【0139】
また、実施形態の第8の変形例として、通信システム1tは、図13に示すようなトリミング回路5tを設けてもよい。図13は、実施形態の第8の変形例におけるトリミング回路5tを含む通信システム1tの構成を示す回路図である。
【0140】
通信システム1tは、例えば半導体チップとして実装され、出荷前の検査工程で送信テスト回路33,34のテスト信号の周波数をトリミング可能なように構成される。図13には、メモリを用いたトリミング方法を行う場合の構成が例示される。通信システム1tは、通信システム1(図1参照)に比べて、トリミング回路5t、電子回路6p、電子回路7p、複数のパッド電極PD1~PD5をさらに有する。通信システム1tは、送信側チップ1t1、絶縁層1t3及び受信側チップ1t2の形態で実装されてもよい。この場合、送信側チップ1t1には、電子回路6p、送信回路2、送信テスト回路33,34、受信テスト回路35、絶縁素子31の1次側部分(誘導素子311)、絶縁素子32の1次側部分(誘導素子321)が搭載される。受信側チップ1t2には、絶縁素子31の2次側部分(誘導素子312)、絶縁素子32の2次側部分(誘導素子322)、トリミング回路5tが搭載され、複数のパッド電極PD1~PD5が配される。送信側チップ1t1と受信側チップ1t2とは、絶縁層1t3を介して互いに絶縁されている。絶縁素子31の1次側部分と絶縁素子31の2次側部分とは、絶縁層1t3を介して互いに絶縁されている。絶縁素子32の1次側部分と絶縁素子32の2次側部分とは、絶縁層1t3を介して互いに絶縁されている。絶縁層1t3は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、ポリイミド膜のいずれでも良い。
【0141】
複数のパッド電極PD1~PD5は、それぞれ、テスタ100tに接続される。絶縁素子31,32は、テスタ100tによりそのインピーダンスが測定可能である。例えば、絶縁素子31における誘導素子312は、一端がパッド電極PD1を介してテスタ100tに接続され、他端がパッド電極PD2を介してテスタ100tに接続される。絶縁素子32における誘導素子322は、一端がパッド電極PD5を介してテスタ100tに接続され、他端がパッド電極PD2を介してテスタ100tに接続される。
【0142】
テスタ100tは、パッド電極PD1,PD2にプローブを接触させることなどでパッド電極PD1,PD2に接続される。
【0143】
テスタ100tからテスト信号(典型例は正弦波)が出力され、そのレスポンス(例えば電圧等)を検知することで、テスタ100tは、絶縁素子31のインピーダンスを測定する。この測定結果から、テスタ100tは、予想される共振周波数ωを計算する。
【0144】
同様に、テスタ100tは、パッド電極PD5,PD2にプローブを接触させることなどでパッド電極PD5,PD2に接続される。
【0145】
テスタ100tからテスト信号(典型例は正弦波)が出力され、そのレスポンス(例えば電圧等)を検知することで、テスタ100tは、絶縁素子32のインピーダンスを測定する。この測定結果から、テスタ100tは、予想される共振周波数ωを計算する。
【0146】
トリミング回路5tは、入力ノード5aがパッド電極PD3に接続され、入力ノード5bがパッド電極PD4に接続され、出力ノード5cが送信テスト回路33に接続され、出力ノード5dが送信テスト回路34に接続される。
【0147】
テスタ100tは、絶縁素子31について計算された共振周波数ωを供給するように、パッド電極PD3経由でトリミング回路5tへ供給する。トリミング回路5tは、共振周波数ωを絶縁素子31に関連付けた形で格納する。同様に、テスタ100tは、絶縁素子32について計算された共振周波数ωをパッド電極PD4経由でトリミング回路5tへ供給する。トリミング回路5tは、共振周波数ωを絶縁素子32に関連付けた形で格納する。
【0148】
例えば、テストモードになると、送信テスト回路33は、トリミング回路5tから共振周波数ωを読み出してテスト信号のiTEST(ω)の周波数ω=ωに設定し、送信テスト回路34は、トリミング回路5tから共振周波数ωを読み出してテスト信号のiTEST(ω)の周波数ω=ωに設定する。これにより、テスタ100tで計算された共振周波数とテスト信号の周波数とが概ね一致するようにすることができる。
【0149】
このように、通信システム1tは、送信テスト回路33,34のテスト信号の周波数をトリミングして、テスト信号に用いるべき適切な(例えば、最適な)周波数をトリミング回路5tに設定可能である。これにより、通信システム1tは、絶縁素子31,32の絶縁故障の予兆を安定的に検出することができる。
【0150】
なお、図13には、メモリを用いたトリミング方法を行う場合の構成が例示されるが、通信システム1tは、メモリを用いたトリミング方法に限定されず、様々なトリミング方法が適用可能である。例えば、通信システム1tに適用されるトリミング方法は、ツェナーザップトリミング方法、レーザートリミング方法、ヒューズブロートリミング方法などであってもよい。ツェナーザップトリミング方法は、複数のツェナーダイオードを選択的に高電圧の印加で破壊して短絡させることでトリミング値に相当する所望の電気特性を得るトリミング方法である。レーザートリミング方法は、複数のメタルを選択的にレーザーで切断することでトリミング値に相当する所望の電気特性を得るトリミング方法である。ヒューズブロートリミング方法は、複数のヒューズ回路が選択的に活性化されることでトリミング値に相当する所望の電気特性を得るトリミング方法である。
【0151】
また、実施形態の第9の変形例として、通信システム1における受信テスト回路35は、図14に示すように、オフセット幅(不感帯)を持った差動比較を行うように構成されてもよい。図14は、実施形態の第9の変形例における受信テスト回路35の動作を示す図であり、受信テスト回路35の入出力特性例を例示する。
【0152】
第9の変形例では、受信テスト回路35の入力は、差動電圧とされる。差動電圧は、例えば、誘導素子311の入力電圧v311と誘導素子321の入力電圧v321との差分である電圧差Δv(=v311-v321)であってもよい。電圧差Δvは、入力電圧v311が入力電圧v321より大きければ正の値となり、入力電圧v311が入力電圧v321より小さければ負の値となる。受信テスト回路35には、オフセット電圧+vおよび-v(v>0)が設けられる。受信テスト回路35は、電圧差Δvが+v以上もしくは-v以下になると、検知信号VBRを発出する。受信テスト回路35は、入力差電圧Δvが+vより小さいか-vより大きければ、ノンアクティブレベル(例えば、ローレベルV)の検知信号VBRを生成して出力する。受信テスト回路35は、電圧差Δvが+v以上もしくは-v以下であれば、アクティブレベル(例えば、ハイレベルV)の検知信号VBRを生成して出力する。
【0153】
図14に示すように、素子ばらつきによるテスト電圧としての差電圧ΔvTEST(ω)に対して不感帯(-v~+v)を設けることで、受信テスト回路35の安定動作を実現できる。なお、図14では入力を差動電圧としているが、2つの単相電圧を比較する場合(例えば、図5に示す受信テスト回路35の動作)も同様であることを有意願いたい。
【0154】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0155】
1,1i,1j,1k,1n,1p,1r,1s,1t 通信システム、3,3i,3j,3k,3n 検知回路、31,31n,32,32n 絶縁素子、33,33n,34,34n 送信テスト回路、35,35n 受信テスト回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14