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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142279
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20230928BHJP
   H02M 7/06 20060101ALI20230928BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20230928BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20230928BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H02M3/28 Q
H02M7/06 E
H02J50/12
H02J50/90
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049102
(22)【出願日】2022-03-24
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「ミリ波帯におけるロボット等のワイヤフリー化に向けた無線制御技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 和司
(72)【発明者】
【氏名】清水 聡
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 和伸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義規
(72)【発明者】
【氏名】関屋 大雄
【テーマコード(参考)】
5G503
5H006
5H730
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503GB08
5H006CA07
5H006CB01
5H730AA14
5H730BB23
5H730BB43
5H730BB61
5H730CC01
5H730DD04
5H730EE02
5H730EE07
5H730ZZ01
5H730ZZ16
(57)【要約】
【課題】、1次側と2次側とが絶縁されている高効率な電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置100は、交流電力を整流して直流電力を出力する第1の整流器11と、第1の整流器11から出力された直流電力を交流電力に変換する負荷非依存のインバータ12と、コイルを有する共振回路を含んでおり、インバータ12によって変換された交流電力を非接触で送電する送電部13と、コイルを有する共振回路を含んでおり、送電部13から非接触で電力を受電する受電部21と、受電部21によって受電された交流電力を整流して直流電力を出力する第2の整流器22とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力を整流して直流電力を出力する第1の整流器と、
前記第1の整流器から出力された直流電力を交流電力に変換する負荷非依存のインバータと、
コイルを有する共振回路を含んでおり、前記インバータによって変換された交流電力を非接触で送電する送電部と、
コイルを有する共振回路を含んでおり、前記送電部から非接触で電力を受電する受電部と、
前記受電部によって受電された交流電力を整流して直流電力を出力する第2の整流器と、を備えた電力変換装置。
【請求項2】
前記送電部と前記受電部とは、それぞれが有するコイルの内部に共通して存在するコアを有していない、請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記送電部のコイルと前記受電部のコイルとは、両コイルが対面する位置と、両コイルが対面しない位置との間で位置関係を変更可能に構成されている、請求項1または請求項2記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電力を直流電力に変換する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交流電力を直流電力に変換する電力変換装置として、スイッチング方式のものが知られている。図6は、スイッチング方式の電力変換装置200の一例を示す図である。図6において、電力変換装置200は、交流電源1からの交流電力を整流する整流器201と、整流器201から出力された直流電力のオン・オフを繰り返すことによって交流電力を生成して変圧器203に出力するスイッチング素子202と、スイッチング素子202からの交流電力を変圧する変圧器203と、変圧器203から出力された変圧後の交流電力を整流し、整流後の直流電力を負荷30に出力する整流器204と、2次側の整流後の電圧と、所望の出力電圧との差を検出して1次側の制御回路206にフィードバックする電圧フィードバック回路205と、電圧フィードバック回路205からの出力に応じて、スイッチング素子202のオン・オフのデューティ比を調整する制御回路206とを備える。
【0003】
整流器201は、例えば、ダイオードブリッジと、ダイオードブリッジによって全波整流された直流電力を平滑化するコンデンサとを有している。整流器204は、例えば、ダイオードと、ダイオードによって半波整流された直流電力を平滑化するコンデンサとを有している。制御回路206は、電圧フィードバック回路205の出力に応じて、スイッチング素子のオン・オフのデューティ比を調整することによって、変圧器203に出力される電流を変化させ、2次側の直流電力が所望の電圧になるように調整する。このような電力変換装置200によって、負荷30に所望の電圧の直流電力を供給することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交流電力を直流電力に変換する電力変換装置については、安全性の観点から、1次側と2次側との絶縁が要求されると共に、より高い変換効率が求められている。従来の電力変換装置200では、変換の効率を高めるためには、変圧器203の結合係数を大きくする必要がある。変圧器203の結合係数を大きくするためには、1次側の巻線と2次側の巻線とを近接して配置することが求められる。一方、安全規格上の要求から、変圧器203では、1次側の巻線と2次側の巻線との絶縁が要求される。また、巻線に通常のエナメル線を使用することはできないため、1次側の巻線と2次側の巻線との間に絶縁テープを配置する必要があり、変圧器203を構成するための工程が煩雑になるという問題があった。また、変圧器203の結合係数を大きくするためには、コアについても、高透磁率であり、飽和磁束密度の高い材料が要求されることになり、さらに、コアを高い精度で成形する必要があり、コアが高コストになるという問題があった。
【0005】
また、電力変換装置200の1次側と2次側とを絶縁するためには、電圧フィードバック回路205についても絶縁する必要があり、例えば、電圧フィードバック回路205においてフォトカプラを用いて1次側と2次側とを絶縁することが行われるが、フォトカプラで用いられるLEDは、電力変換装置200の他の構成要素と比較して寿命が短いため、電力変換装置200の寿命もそれに応じて短くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものであり、1次側と2次側とが絶縁されている高効率な電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による電力変換装置は、交流電力を整流して直流電力を出力する第1の整流器と、第1の整流器から出力された直流電力を交流電力に変換する負荷非依存のインバータと、コイルを有する共振回路を含んでおり、インバータによって変換された交流電力を非接触で送電する送電部と、コイルを有する共振回路を含んでおり、送電部から非接触で電力を受電する受電部と、受電部によって受電された交流電力を整流して直流電力を出力する第2の整流器と、を備えたものである。
【0008】
このような構成により、送電部のコイル及び受電部のコイルが明確に分離されていることになり、従来例のように絶縁テープなどで1次側のコイルと2次側のコイルとの絶縁を行う必要がなくなり、煩雑な工程が不要になるというメリットがある。また、負荷非依存のインバータを用いることによって、ソフトスイッチングが達成されることになり、高効率な電力の変換を実現することができるため、例えば、送電側のコイル及び受電側のコイルにおいて分離したコアを用いたとしても、従来例と同様の効率を実現することができるようになる。さらに、負荷非依存のインバータと、非接触電力伝送を行う送電部及び受電部とを備えることによって、1次側と2次側とを完全に分離して絶縁することができると共に、電圧フィードバック回路が不要になるため、LEDを含むフォトカプラを用いなくてもよいことになり、従来例の電力変換装置よりも寿命を延ばすことができる。
【0009】
また、本発明の一態様による電力変換装置では、送電部と受電部とは、それぞれが有するコイルの内部に共通して存在するコアを有していなくてもよい。
【0010】
このような構成により、例えば、送電部及び受電部のコイルの部分を簡易な構成とすることができる。また、送電部及び受電部のコイルを、別々のコアの周囲に巻線を巻回することによって構成したり、コアを用いないで構成したりしても、全体としての効率が高いため、例えば、従来の電力変換装置と同程度の効率の電力変換装置を実現することができる。
【0011】
また、本発明の一態様による電力変換装置では、送電部のコイルと受電部のコイルとは、両コイルが対面する位置と、両コイルが対面しない位置との間で位置関係を変更可能に構成されていてもよい。
【0012】
このような構成により、例えば、送電部及び受電部の両コイルが対面する位置となるようにすることによって、交流電力を直流電力に変換することができる。また、送電部及び受電部の両コイルが対面しない位置とすると共に、送電部のコイルの近傍に、非接触で電力を受電する機器の受電側のコイルを配置することによって、その機器に直接、非接触で電力を供給することができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様による電力変換装置によれば、非接触で送受電を行う送電部及び受電部と、負荷非依存のインバータとを備えていることによって、1次側と2次側との絶縁を実現できると共に、負荷に依存しない一定の電圧を出力することができる。さらに、負荷非依存のインバータを用いることによって、ソフトスイッチングを実現でき、より高効率な交流直流変換を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態による電力変換装置の構成を示すブロック図
図2A】同実施の形態による電力変換装置の構成の一例を示す回路図
図2B】同実施の形態による電力変換装置の構成の一例を示す回路図
図3】同実施の形態における送電側及び受電側のコイルの一例を示す図
図4】同実施の形態におけるヒンジを介して接続された送電側及び受電側ユニットの一例を示す図
図5】同実施の形態におけるヒンジを介して接続された送電側及び受電側ユニットの一例を示す図
図6】従来の電力変換装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による電力変換装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による電力変換装置は、非接触電力伝送によって送電側と受電側との間で電力を伝送すると共に、1次側において負荷非依存のインバータを用いたものである。
【0016】
図1は、本実施の形態による電力変換装置100の構成を示すブロック図であり、図2Aは、電力変換装置100の構成の一例を示す回路図である。電力変換装置100は、交流電力を直流電力に変換するものであり、1次側のユニットである送電側ユニット10と、2次側のユニットである受電側ユニット20とを備える。送電側ユニット10は、交流電源1からの交流電力を整流して直流電力を出力する第1の整流器11と、第1の整流器11からの直流電力を交流電力に変換する負荷非依存のインバータ12と、変換後の交流電力を非接触で送電する送電部13とを備える。受電側ユニット20は、送電側ユニット10の送電部13から送電された交流電力を非接触で受電する受電部21と、受電部21からの交流電力を整流した直流電力を負荷30に出力する第2の整流器22とを備える。なお、送電部13と受電部21との間での非接触電力伝送は、例えば、磁界共鳴方式によって行われてもよい。その共鳴(共振)の形態として、後述するように、直列共振や並列共振を適宜、組み合わせて用いるものとする。
【0017】
第1の整流器11は、例えば、図2Aで示されるように、交流電力を整流するためのダイオードブリッジ11aと、整流後の電圧を平滑化するためのコンデンサ11bとを有していてもよい。なお、結果として、交流電力を直流電力に変換できるのであれば、第1の整流器11の構成は問わない。
【0018】
インバータ12は、第1の整流器11から出力された直流電力を交流に変換して送電部13に出力する。なお、このインバータ12は、負荷非依存のインバータである。負荷非依存のインバータについては、例えば、次の非特許文献1を参照されたい。一例として、インバータ12は、図2Aで示される回路であってもよい。図2Aで示されるインバータ12は、負荷非依存であり、電圧が一定となるクラスEのインバータである。負荷非依存のインバータ12では、電圧が0である時に電界効果トランジスタであるスイッチング素子12aがオン・オフを切り替えることになる。そのため、スイッチの切り替わりの際に、コンデンサ12bにたまっている電荷が一気に放電することによって生じる損失を回避することができ、高効率の変換を実現することができる。このように、電圧が0である時にスイッチを切り替える場合には、インバータ12は、直流電力を、送電部13の共振回路の共振周波数と一致する周波数の交流電力に変換することになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】S. Aldhaher, D. C. Yates, P. D. Mitcheson, "Load-independent class E/EF inverters and rectifiers for MHz-switching applications," IEEE Trans. Power Electron., vol.33, no.10, pp. 8270-8287, October 2018
【0020】
送電部13は、コイルを有する共振回路を含んでおり、インバータ12によって交流に変換された電力を、非接触で受電側ユニット20の受電部21に送電する。送電部13が有する共振回路は、例えば、直列または並列に接続されたコイルとコンデンサとを有していてもよい。一例として、送電部13は、図2Aで示されるように、コンデンサ13aとコイル13bとが直列に接続された直列共振のものであってもよい。
【0021】
受電部21は、コイルを有する共振回路を含んでおり、送電側ユニット10の送電部13から非接触で電力を受電する。受電部21が有する共振回路は、例えば、直列または並列に接続されたコイルとコンデンサとを有していてもよい。受電された電力は、整流器22に出力される。一例として、受電部21は、図2Aで示されるように、コンデンサ21aとコイル21bとが並列に接続された並列共振のものであってもよい。なお、送電部13から受電部21に非接触電力伝送が行われる際に、従来の電力変換装置200における変圧器203と同様に、交流電圧が変換されてもよい。この変圧は、第2の整流器22の出力を所望の直流電圧とするために行われてもよい。この変圧は、通常、降圧である。
【0022】
送電側のコイル13bと受電側のコイル21bとはそれぞれ、例えば、円筒形状のものであってもよい。また、非接触電力伝送を行う際には、一例として、図3で示されるように両コイル13b,21bが対面する位置となってもよい。両コイル13b,21bが対面する位置である場合には、両コイル13b,21bの中心軸が同一直線上に位置しており、また、コイル13bの一端とコイル21bの一端とが近接するように両コイル13b,21bが配置されることが好適である。なお、図3では、コイル13bの巻線は、コア13cの周囲に巻回されており、コイル21bの巻線は、コア21cの周囲に巻回されている。したがって、コイル13b,21bは、それぞれ別々のコア13c,21cの周囲に巻線を巻回することによって構成されており、送電部13及び受電部21は、コイル13b,21bの内部に共通して存在するコアを有していないことになる。このように、コイル13b,21bの内部に共通して存在するコアがない場合には、それに応じて伝送効率が低下する可能性があるが、本実施の形態による電力変換の方式では、インバータ12でのスイッチング損失が低いため、例えば、全体として従来の電力変換と同様の効率を実現することもできる。
【0023】
また、図3では、送電側のコイル13bと受電側のコイル21bとにそれぞれ分離したコア13c,21cが存在している場合について示しているが、両コイル13b,21bは、コアのないコイルであってもよい。この場合には、送電側のコイル13b、及び受電側のコイル21bは、例えば、樹脂製のボビンに巻線が巻回されることによって構成されたものであり、両者が対面するように配置された状態で非接触電力伝送が行われてもよい。このように、コアのないコイルを用いた非接触電力伝送では、結合係数が低下するため、それに応じて伝送効率が低下する可能性があるが、本実施の形態による電力変換の方式は、インバータ12でのスイッチング損失が低いため、例えば、全体として従来の電力変換と同様の効率を実現することもできる。
【0024】
なお、本実施の形態では、コイル13b,21bに共通したコアが存在しない場合について主に説明するが、両コイル13b,21bの内部には、コイル13bの内部からコイル21bの内部まで延びる、両者に共通したコアが配置されていてもよい。例えば、送電側のコイル13bの巻線が巻回されたボビンの中心の孔と、受電側のコイル21bの巻線が巻回されたボビンの中心の孔とを通るように共通のコアが配置されてもよい。コアの材料は特に限定されないが、例えば、フェライトやアモルファス合金、けい素鋼板などであってもよく、または、その他の材料であってもよい。
【0025】
第2の整流器22は、非接触電力伝送され、受電部21によって受電された交流電力を整流して直流電力を出力する。この直流電力は、負荷30で用いられる。第2の整流器22は、入力インピーダンスにリアクタンス成分を持たないものが好適である。一例として、第2の整流器22は、図2Aで示される回路であってもよい。図2Aの回路図で示される整流器22は、電圧駆動型であり、出力電圧が一定となるクラスDの整流器である。
【0026】
負荷30には、第2の整流器22から出力された直流電力が供給される。負荷30は、直流電力の供給対象となるものであれば特に限定されないが、例えば、PCやPCの周辺機器、バッテリなどであってもよい。電力変換装置100は、特に限定されないが、例えば、商用電源などの交流電源1からの交流電力を直流電力に変換して電子機器等の負荷30に直流電力を供給するACアダプタ等であってもよい。
【0027】
次に、1次側及び2次側の共振形態の選択について説明する。本実施の形態による電力変換装置100では、送電側ユニット10が有するインバータ12が負荷非依存のインバータであるため、受電側ユニット20の第2の整流器22の出力は電圧一定または電流一定となるが、交流直流変換の目的から、第2の整流器22の出力が電圧一定となることが求められる。ここで、本発明者は、鋭意研究の結果、非接触電力伝送において、送電側の送電モードと、送電部13の共振形態(1次側の共振形態)と、受電部21の共振形態(2次側の共振形態)と、受電側の整流器のタイプと、受電側の受電モードとに、次表で示される関係があることを見出した。次表におけるIDは、送電モード等の組み合わせを識別するためのものである。なお、送電モードは、送電側ユニット10におけるインバータ12の出力形態である。また、受電モードは、受電側ユニット20における第2の整流器22の出力形態である。
【表1】
【0028】
図2Aで示される電力変換装置100は、ID1の組み合わせになっている。一方、ID2~4の組み合わせの電力変換装置100でも、同様の交流直流の変換を実現することができる。図2A以外の回路図の一例として、図2Bの回路図について簡単に説明する。図2Bで示される電力変換装置100は、ID2の組み合わせになっている。図2Bで示される回路図では、インバータ12は、負荷非依存であり、電流が一定となるクラスEFのインバータである。また、第2の整流器22は、電流駆動型であり、出力電圧が一定となるクラスDの整流器である。なお、図2Bの回路図では、送電部13及び受電部21は共に直列共振である。
【0029】
ID3の組み合わせの電力変換装置100では、図2Aのインバータ12を採用し、送電部13は並列共振、受電部21は直列共振として、図2Bの第2の整流器22を採用すればよいことになる。また、ID4の組み合わせの電力変換装置100では、図2Bのインバータ12を採用し、送電部13及び受電部21は並列共振として、図2Aの第2の整流器22を採用すればよいことになる。
【0030】
次に、送電部13のコイル13bと受電部21のコイル21bとの位置関係が変更可能になっている電力変換装置100の一例について、図4図5を参照して説明する。図4図5は、送電部13と受電部21との位置関係を変更することができる電力変換装置100の外観を示す斜視図である。図4図5で示される電力変換装置100では、送電側ユニット10と受電側ユニット20とがヒンジ40によって接続されている。送電側ユニット10は、商用電源などの交流電源1に接続するための電源コード10aを有している。図4で示される状態では、送電部13のコイル13bと、受電部21のコイル21bとが対面する位置となっており、両コイル13b,21b間で非接触電力伝送を行うことができるものとする。そのため、例えば、電源コード10aが交流電源1に接続されている場合に、受電側ユニット20に設けられた出力端子20aと負荷30とをUSBケーブルなどのケーブルで繋ぐことによって、負荷30に直流電力を供給することができる。
【0031】
一方、ヒンジ40を中心として受電側ユニット20を送電側ユニット10に対して回転させ、受電側ユニット20を折り返して図5のようにした場合には、送電側のコイル13bの端面10bと、受電側のコイル21bの端面20bとが離れることになり、両コイル13b,21bが対面しない位置となる。この場合には、両コイル13b,21bの間で非接触電力伝送を行うことはできないが、送電側のコイル13bの端面10b付近に、非接触で電力を受電する受電側の機器(例えば、ワイヤレス充電を行うことができるスマートフォンなどの電子機器など)を配置することによって、送電部13から直接、受電側の機器に非接触電力伝送を行ってもよい。この場合には、受電側の電子機器等は、例えば、受電部21及び第2の整流器22と同様の構成を有していてもよい。
【0032】
なお、コイル13b,21bの位置関係が変更可能である電力変換装置100の一例として、図4図5を参照して説明したが、コイル13b,21bが対面する位置と、コイル13b,21bが対面しない位置との間で、送電部13及び受電部21の位置関係を変更可能に構成されている電力変換装置100は、図4図5以外の構成であってもよいことは言うまでもない。例えば、送電側ユニット10と受電側ユニット20とが着脱可能になっていることによって、コイル13b,21bの位置関係が変更可能になっていてもよい。この場合にも、例えば、受電側ユニット20の取り外された送電側ユニット10のコイル13bの端面に、非接触で電力を受電する受電側の電子機器等を配置することによって、送電部13から直接、電子機器等に非接触電力伝送を行うようにしてもよい。また、この場合には、出力電圧に応じた複数の受電側ユニット20を用意しておき、負荷30に必要な電圧に応じた受電側ユニット20を送電側ユニット10に装着することによって、電力変換装置100から目的とする直流電圧が出力されるようにしてもよい。送電側ユニット10と受電側ユニット20とを着脱可能にする機構は特に限定されないが、例えば、スナップフィットや、ネジ、磁石、嵌合機構などであってもよい。また、コイル13b,21bの位置関係が変更可能である場合には、コイル13b,21bは、例えば、分離されたコアがそれぞれ配置されたものであってもよく、または、コアの存在しないものであってもよい。なお、ここでは、送電部13と受電部21との位置関係を変えることができる場合について説明したが、送電部13と受電部21との位置関係、すなわち両者のコイル13b,21bの位置関係は固定されていてもよい。
【0033】
以上のように、本実施の形態による電力変換装置100によれば、送電側のコイル13bと受電側のコイル21bとが明確に分離されているため、従来例のように絶縁テープなどで1次側のコイルと2次側のコイルとの絶縁を行う必要がなくなり、煩雑な工程が不要になるというメリットがある。また、負荷非依存のインバータを用いることによって、ソフトスイッチングが達成されることになり、高効率な電力の変換を実現することができるため、例えば、簡易なコアを用いたとしても、従来例と同様の効率を実現することができる。さらに、負荷非依存のインバータと、非接触電力伝送を行う送電部及び受電部とを備えることによって、1次側と2次側とを完全に分離して絶縁することができると共に、電圧フィードバック回路が不要になるため、LEDを含むフォトカプラを用いなくてもよいことになり、従来例の電力変換装置よりも寿命を延ばすことができる。
【0034】
また、送電部13及び受電部21が、送電側のコイル13bと受電側のコイル21bの内部に共通して存在するコアを有していない場合には、コイル13b,21bの構成を簡単にすることができる。また、送電部13及び受電部21が、両コイル13b,21bに共通して存在するコアを有していなくても、インバータ12におけるスイッチング損失が少ないため、例えば、全体として従来と同程度の効率を実現することもできる。
【0035】
さらに、送電部13及び受電部21のコイル13b,21bが対面する位置と、そうでない位置との間で位置関係を変更可能になっている場合には、例えば、両コイル13b,21bが対面しない状態において、送電側のコイル13bから、電子機器等に直接、非接触電力伝送を行うこともできるようになる。また、送電側ユニット10と受電側ユニット20とが着脱可能になっている場合には、出力電圧に応じて複数の種類の受電側ユニット20を用意することによって、所望の出力電圧に応じた受電側ユニット20を送電側ユニット10に装着することによって、所望の電圧を出力する電力変換装置200を実現することができる。
【0036】
なお、本実施の形態では、第1の整流器11、インバータ12、及び送電部13が送電側ユニット10に含まれており、受電部21、及び第2の整流器22が受電側ユニット20に含まれている場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。例えば、第1の整流器11、インバータ12、送電部13、受電部21、及び第2の整流器22は、2個のユニットに分かれていなくてもよい。
【0037】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0038】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
11 第1の整流器
12 インバータ
13 送電部
21 受電部
22 第2の整流器
100 電力変換装置
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6