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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142284
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】パルス出力モニタ装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
H05H1/46 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049110
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(71)【出願人】
【識別番号】522119053
【氏名又は名称】株式会社アスカM・S・T
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱石 悟
(72)【発明者】
【氏名】森川 優子
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084BB21
2G084CC03
2G084CC04
2G084CC05
2G084CC08
2G084CC09
2G084CC33
2G084DD55
2G084EE12
2G084EE17
2G084HH05
2G084HH07
2G084HH22
2G084HH26
2G084HH43
2G084HH54
2G084HH56
(57)【要約】
【課題】インピーダンス整合器の出力端等における電圧を用いて、適切にパルス出力に関する情報を検知するパルス出力モニタ装置を提供する。
【解決手段】パルス出力モニタ装置5では、第1基準波形生成部51および第2基準波形生成部52が、第1基準波形WF1および第2基準波形WF2を生成する。期間内電圧波形生成部53が期間内電圧波形を生成する。第1類似度演算部54は、第1基準波形WF1と期間内電圧波形との類似度を演算する。また、第2類似度演算部55は、第2基準波形WF2と期間内電圧波形との類似度を演算する。第1判定部56および第2判定部57は、類似度に基づいて、パルス出力の立ち上がりタイミングおよびパルス出力の立ち下りタイミングを判定し、出力部58は、パルス出力の立ち上がりタイミングおよびパルスの立ち下がりタイミングに基づいてパルス出力に関する情報を出力する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電源装置から負荷に対して出力する進行波電圧の電圧波形の包絡線の形状がパルス状であるパルス出力を行う場合に、パルス出力に関する情報を出力するパルス出力モニタ装置であって、
前記高周波電源装置と前記負荷との間の位置における電圧を検出する電圧検出器と、
前記進行波電圧の電圧波形の包絡線の形状を定めるパルス指令信号の立ち上がりタイミング近傍の第1期間において前記電圧検出器で検出した電圧情報に基づいて、立ち上がりタイミングでの基準波形となる第1基準波形を生成する第1基準波形生成部と、
前記パルス指令信号の立ち下がりタイミング近傍の第2期間において前記電圧検出器で検出した電圧情報に基づいて、立ち下がりタイミングでの基準波形となる第2基準波形を生成する第2基準波形生成部と、
予め定めた時間周期毎に、前記電圧検出器で検出した電圧情報に基づいて所定期間内の電圧波形を生成する期間内電圧波形生成部と、
予め定めた時間周期毎に、前記第1基準波形と前記期間内電圧波形生成部で生成した電圧波形との類似度を演算する第1類似度演算部と、
予め定めた時間周期毎に、前記第2基準波形と前記期間内電圧波形生成部で生成した電圧波形との類似度を演算する第2類似度演算部と、
前記第1類似度演算部で演算した類似度に基づいて、前記電圧検出器の位置におけるパルス出力の立ち上がりタイミングを判定する第1判定部と、
前記第2類似度演算部で演算した類似度に基づいて、前記電圧検出器の位置におけるパルス出力の立ち下がりタイミングを判定する第2判定部と、
前記第1判定部の判定結果と前記第2判定部の判定結果とに基づいて、パルス出力に関する情報を出力する出力部と、
を備えるパルス出力モニタ装置。
【請求項2】
前記第1基準波形生成部は、複数回に亘って検出した電圧情報に基づいて、前記第1基準波形を生成し、
前記第2基準波形生成部は、複数回に亘って検出した電圧情報に基づいて、前記第2基準波形を生成する、
請求項1に記載のパルス出力モニタ装置。
【請求項3】
前記第1期間は、パルス指令信号の立ち上がりタイミングから予め定めた第1の調整時間だけずらしたタイミングから始まり、予め定めた第1の検出時間が経過したときに終了し、
前記第2期間は、パルス指令信号の立ち下がりタイミングから予め定めた第2の調整時間だけずらしたタイミングから始まり、予め定めた第2の検出時間が経過したときに終了する、
請求項1または請求項2に記載のパルス出力モニタ装置。
【請求項4】
前記期間内電圧波形生成部は、
前記第1期間と同じ時間を有する期間内で検出した電圧情報に基づいて、前記期間内での電圧波形を生成する第1期間内電圧波形生成部と、
前記第2期間と同じ時間を有する期間内で検出した電圧情報に基づいて、前記期間内での電圧波形を生成する第2期間内電圧波形生成部と、
前記第1類似度演算部は、前記第1基準波形と前記第1期間内電圧波形生成部で生成した電圧波形との類似度を演算し、
前記第2類似度演算部は、前記第2基準波形と前記第2期間内電圧波形生成部で生成した電圧波形との類似度を演算する、
請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載のパルス出力モニタ装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記パルス指令信号、前記第1判定部の判定結果および前記第2判定部の判定結果に基づいて、パルス出力に関する情報を出力する、
請求項1乃至4のうちの何れか一項に記載のパルス出力モニタ装置。
【請求項6】
前記電圧検出器で検出した電圧情報は、フィルタを介して第1基準波形生成部、第2基準波形生成部および期間内電圧波形生成部に入力される、
請求項1乃至5のうちの何れか一項に記載のパルス出力モニタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、パルス出力に関する情報をモニタする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置は、高周波電源装置から供給された高周波電力を用いてプラズマ発生部でプラズマを発生させ、ウェハ等の加工対象物に対してエッチング等のプラズマ処理を行っている。
【0003】
通常は、高周波電源装置とプラズマ処理との間にインピーダンス整合器が配置されており、負荷となるプラズマ処理装置のプラズマ発生部に効率よく電力が供給されるようにしている。高周波電源装置の出力周波数は、例えば、13.56MHz、27.12MHz等の周波数帯域が用いられる。
【0004】
このようなプラズマ処理では、ガス種類、ガス流量、高周波電源装置から供給する高周波電力の大きさ等によってプラズマの状態が異なるので、それらが適切な状態となるように制御したり、異常の有無をモニタ(監視)している。
【0005】
そのために、例えば、プラズマ発生部の入力端やインピーダンス整合器の出力端等における電圧を検出し、検出した電圧情報に基づいて高周波電源装置から出力するパルス出力に関する情報(パルス周波数やデューティ比)をモニタする技術がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-91526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プラズマ発生部の入力端やインピーダンス整合器の出力端等における検出電圧に基づいてパルス出力に関する情報をモニタする場合、進行波電圧だけでなく、反射波電圧の影響を受けるため、検出電圧が多様な変化をしてしまう。その結果、パルス出力に関する情報をモニタすることが困難な場合がある。そこで、検出電圧に反射波電圧の影響がある場合でも、パルス出力に関する情報を出力できるパルス出力モニタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るパルス出力モニタ装置は、高周波電源装置から負荷に対して出力する進行波電圧の電圧波形の包絡線の形状がパルス状であるパルス出力を行う場合に、パルス出力に関する情報を出力するパルス出力モニタ装置であって、前記高周波電源装置と前記負荷との間の位置における電圧を検出する電圧検出器と、前記進行波電圧の電圧波形の包絡線の形状を定めるパルス指令信号の立ち上がりタイミング近傍の第1期間において前記電圧検出器で検出した電圧情報に基づいて、立ち上がりタイミングでの基準波形となる第1基準波形を生成する第1基準波形生成部と、前記パルス指令信号の立ち下がりタイミング近傍の第2期間において前記電圧検出器で検出した電圧情報に基づいて、立ち下がりタイミングでの基準波形となる第2基準波形を生成する第2基準波形生成部と、予め定めた時間周期毎に、前記電圧検出器で検出した電圧情報に基づいて所定期間内の電圧波形を生成する期間内電圧波形生成部と、予め定めた時間周期毎に、前記第1基準波形と前記期間内電圧波形生成部で生成した電圧波形との類似度を演算する第1類似度演算部と、予め定めた時間周期毎に、前記第2基準波形と前記期間内電圧波形生成部で生成した電圧波形との類似度を演算する第2類似度演算部と、前記第1類似度演算部で演算した類似度に基づいて、前記電圧検出器の位置におけるパルス出力の立ち上がりタイミングを判定する第1判定部と、前記第2類似度演算部で演算した類似度に基づいて、前記電圧検出器の位置におけるパルス出力の立ち下がりタイミングを判定する第2判定部と、前記第1判定部の判定結果と前記第2判定部の判定結果とに基づいて、パルス出力に関する情報を出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検出電圧に反射波電圧の影響がある場合でも、パルス出力に関する情報をモニタすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係るプラズマ処理システムの一構成例を示す図である。
図2】パルス指令信号と、Vpp検出電圧の波形の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係るパルス出力モニタ装置を含む一構成例を示す図である。
図4】第1基準波形WF1を生成する際のパルス指令信号と調整時間及び検出時間との関係を示す図である。
図5】期間内電圧波形の一例を示す図である。
図6】第1類似度の一例を示す図である。
図7】パルス出力に関する情報を出力する処理手順を示すフローチャートである。
図8】第2の実施形態に係るパルス出力モニタ装置を含む他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に関するパルス出力モニタ装置は、例えば、プラズマ処理システムの構成部位の一つとして用いられるものであり、以下にその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るプラズマ処理システムの一構成例を示す模式図である。プラズマ処理システムは、半導体整合プロセスにおけるエッチング等のプラズマ処理を行う場合に用いられ、例えば、高周波電源装置1、整合器2、およびプラズマ負荷3を含む。
【0013】
プラズマ処理装置のようなプラズマ負荷3は、プラズマが発生するプラズマチャンバー(図示せず)を備え、高周波電源装置1から供給された高周波電力によって、当該プラズマチャンバー内でプラズマを発生させ、半導体整合プロセスにおけるエッジング等のプラズマ処理を行う。
【0014】
整合器2は、高周波電源装置1とプラズマ負荷3との間に介装される。整合器2は、プラズマ負荷3において時々刻々と変動する負荷のインピーダンスに対応するために、整合器2の入力端から負荷側を見たインピーダンスが所定値(例えば高周波電源装置1の出力インピーダンスの50Ω)になるように、例えば内部に設けたコンデンサの容量を変化させる。これにより、高周波電源装置1側のインピーダンスとプラズマ負荷3側のインピーダンスとをマッチングさせて、プラズマ負荷3からの反射波電力の抑制を行う。なお、整合器2は必須の構成でなく、プラズマ負荷3と高周波電源装置1とを直結してもよい。
【0015】
高周波電源装置1は、例えば、400kHz、2MHz、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、60MHz等の工業用のRF帯(RadioFrequency)の周波数の電圧成分を有する高周波電力を出力する交流電源であり、出力インピーダンスは、例えば50Ω等の規定の値に設定されている。高周波電源装置1から出力された高周波電力は、整合器2を介してプラズマ負荷3に供給される。高周波電源装置1は、入力された直流電圧を所定の直流電圧に変換し出力した出力電圧を、例えばインバータ回路によって所定の高周波交流電圧(RF電圧)に変換して出力する。また、高周波電源装置1は、高周波電源装置1を制御する制御装置を備わっており、例えば、出力する高周波電力(進行波電力)の電力値または出力電圧(進行波電圧)の電圧値等が目標値となるように出力が制御される。なお、高周波電源装置1からプラズマ負荷3に向かう高周波電力を進行波電力といい、その電圧成分を進行波電圧という。また、プラズマ負荷3で反射して高周波電源装置1に向かう高周波電力を反射波電力といい、その電圧成分を反射波電圧という。
【0016】
高周波電源装置1から出力する高周波電力(進行波電力)の形態として、出力電圧(進行波電圧)がHigh期間とLow期間とを交互に繰り返すパルス出力と呼ばれる形態がある。例えば、プラズマ負荷3に供給される電力が、High期間では1000W、Low期間では0Wとなるように、高周波電源装置1の出力電圧が制御される。もちろん、Low期間は0Wよりも大きな電力値であってもよい。
【0017】
このようなパルス出力を行う場合、高周波電源装置1の制御装置は、パルス周期及びデューティ比を予め設定する。高周波電源装置1の制御装置は、パルス周期及びデューティ比に基づいて、例えば矩形状のパルス指令信号を生成する。高周波電源装置1は、パルス指令信号に基づいて変調した高周波電力(進行波電力)を出力する。高周波電源装置1の制御装置は、パルス指令信号を後述するパルス出力モニタ装置5に出力する。なお、パルス指令信号によって、進行波電圧の電圧波形の包絡線の形状が定まる。
【0018】
上述のようなプラズマ処理システムでは、ガス種類、ガス流量、高周波電源装置1から供給する高周波電力の大きさ等によってプラズマの状態が異なるので、それらが適切な状態となるように制御したり、異常の有無をモニタ(監視)したりすることがある。
【0019】
その対象の1つとして、プラズマ負荷3における電圧がある。ただし、プラズマ負荷3における電圧を直接検出することが困難なので、プラズマ負荷3の入力端や整合器2の出力端等の検出可能な箇所に検出器を設けて、電圧を検出している。この電圧をVpp検出電圧、検出器をVpp検出器とする。なお、Vpp検出器は、電圧検出器の一例である。
【0020】
高周波電源装置1から出力する高周波電力(進行波電力)の形態として、上述のように、出力電圧(進行波電圧)がHigh期間とLow期間とを交互に繰り返すパルス出力と呼ばれる形態がある。例えば、プラズマ負荷3に供給される電力が、High期間では1000W、Low期間では0Wとなるように、高周波電源装置1の出力電圧が制御される。Low期間は0Wよりも大きな電力値であってもよい。
【0021】
このようなパルス出力を行う場合、時間軸で若干の遅れが生じるが、パルス出力のHigh期間であればVpp検出器で検出されるVpp検出電圧の電圧値も大きく(High期間)、パルス出力のLow期間であればVpp検出器で検出されるVpp検出電圧の電圧値も小さく(Low期間)なるはずである。すなわち、パルス出力の指令値の大小関係とVpp検出電圧の電圧値の大小関係とは一致するはずである。
【0022】
しかし、実際には、パルス出力の指令値の大小関係とVpp検出電圧の電圧値の大小関係とが異なる場合がある。
【0023】
図2は、パルス指令信号と、Vpp検出電圧の波形の一例を示す図である。
図2(a)は、高周波電源装置1が生成するパルス指令信号を示す。また、図2(b)は、あるプロセスにおけるVpp検出器で検出される電圧波形の一例である。図2(a)に示す波形の包絡線の形状と、図2(b)に示す波形の包絡線の形状は、類似している。
【0024】
図2(c)は、図2(b)とは異なるプロセスにおけるVpp検出電圧の波形の一例を示す。図2(c)に示すように、パルス出力のHigh期間のときにVpp検出器で検出されるVpp検出電圧が小さく、パルス出力のLow期間のときにVpp検出器で検出されるVpp検出電圧が大きくなる場合がある。
【0025】
この理由は、Vpp検出器の位置において、高周波電源装置1から出力されてプラズマ負荷3に向かう電圧(進行波電圧)とプラズマ負荷3から高周波電源装置1に向かう電圧(反射波電圧)とが合成された定在波としてVpp検出器で検出されるため、反射の度合い(反射係数)、進行波電圧の位相と反射波電圧の位相との関係によってVpp検出電圧が変化するためと考えられる。
【0026】
例えば、進行波電圧の位相と反射波電圧の位相との関係が一定であっても、進行波電圧を打ち消すように反射波電圧が作用する場合は、Vpp検出電圧の検出値は小さくなる。反対に、進行波電圧を増幅するように反射波電圧が作用する場合は、Vpp検出電圧の検出値は大きくなる。その結果、図2(c)に示すように、パルス出力の指令値の大小関係とVpp検出電圧値の大小関係とは一致しない場合が生じうる。
このような場合でも、Vpp検出電圧の波形の包絡線の形状が一定の形状パターンを繰り返すのであれば、それ自体は問題ではなく、エッチング等のプラズマ処理の結果の良否が重要となる。
【0027】
上記のような現象だけでなく、Vpp検出電圧の波形の包絡線の形状が一定ではなく、時間とともに変化する現象が確認されている。例えば、反射係数の大きさが同じであったとしても、進行波電圧の位相と反射波電圧の位相との関係が、時間の経過とともに変化すれば、Vpp検出電圧は時間の経過とともに変化する。これに、反射係数が時間の経過とともに変化すれば、Vpp検出電圧は多様な変化をし得る。
【0028】
さらに、2つの高周波電源装置を用い、負荷に異なる周波数の高周波電力を供給する場合は、他方の周波数の高周波電力の影響により反射波電圧が大きくなりやすいので、Vpp検出電圧は更に多様な変化をし得る。
【0029】
そうなると、Vpp検出電圧に基づいて、制御を行ったり、異常の有無をモニタ(監視)したりする等を行う際に問題が生じる。例えば、正しくパルス出力が行われているかをVpp検出電圧によって判別することができない場合が発生しうる。そのため、本実施形態にかかるプラズマシステムでは、Vpp検出電圧が多様な変化をする場合であっても、以下に示すパルス出力モニタ装置5によって、負荷におけるパルス出力に関する情報をモニタし、その情報を出力する。
【0030】
図3は、第1の実施形態に係るパルス出力モニタ装置を含む一構成例を示す図である。図3に示す構成は、例えば、整合器2に含まれる。整合器2は、Vpp検出器21、フィルタ22、およびパルス出力モニタ装置5を含む。整合器2には、その他にも、例えば、インピーダンス整合を行うために必要な可変コンデンサ等が含まれるが、ここでは省略している。
パルス出力モニタ装置5は、第1基準波形生成部51、第2基準波形生成部52、期間内電圧波形生成部53、第1類似度演算部54、第2類似度演算部55、第1判定部56、第2判定部57、および出力部58を備える。なお、パルス出力モニタ装置5は、整合器2に内蔵せずに外部に設けられてもよい。
【0031】
パルス出力モニタ装置5は、RAM(RandomAccessMemory)又はROM(ReadOnlyMemory)等の記憶部(図示せず)を備えたMPU(Micro-processingunit)、システムLSI(Large-ScaleIntegration)又はFPGA(Field-ProgrammableGateArray)を含み、記憶部に記憶してあるプログラム及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行う。パルス出力モニタ装置5は、プログラムを実行することにより、第1基準波形生成部51、第2基準波形生成部52、期間内電圧波形生成部53、第1類似度演算部54、第2類似度演算部55、第1判定部56、第2判定部57、および出力部58として機能する。
【0032】
Vpp検出器21は、整合器2の出力端等のプラズマ負荷3に近い位置に設けられる。Vpp検出器21は、設置位置における電圧を検出し、検出した電圧情報をフィルタ22へ出力する。例えば、電圧の振幅情報である。アナログの検出信号として出力してもよいし、図示しないA/D変換器でデジタルの検出信号に変換した後に出力してもよい。
【0033】
フィルタ22は、ノイズを除去するものであり、Vpp検出電圧の波形のノイズを除去して、Vpp検出電圧の情報を第1基準波形生成部51、第2基準波形生成部52、及び期間内電圧波形生成部53へ出力する。
なお、フィルタ22の入力信号がアナログの検出信号であればアナログのフィルタが採用され、フィルタ22の入力信号がデジタルの検出信号であればデジタルのフィルタが採用される。フィルタ22の出力は、第1基準波形生成部51、第2基準波形生成部52、及び期間内電圧波形生成部53に向けて出力されるため、アナログのフィルタの場合は、図示しないA/D変換器でデジタルの検出信号に変換した後に出力される。
【0034】
<基準波形の生成>
第1基準波形生成部51は、パルス指令信号の立ち上がりタイミング近傍の第1期間においてVpp検出器21で検出した電圧情報に基づいて、立ち上がりタイミングでの基準波形となる第1基準波形WF1を生成する。生成した第1基準波形WF1は、第1類似度演算部54に向けて出力される。第1基準波形WF1は、例えば、Vpp検出電圧の波形の包絡線によって表される。
また、第2基準波形生成部52は、パルス指令信号の立ち下がりタイミング近傍の第2期間においてVpp検出器21で検出した電圧情報に基づいて、立ち下がりタイミングでの基準波形となる第2基準波形WF2を生成する。生成した第2基準波形WF2は、第2類似度演算部55に向けて出力する。第2基準波形WF2は、例えば、Vpp検出電圧の波形の包絡線によって表される。
【0035】
第1基準波形生成部51および第2基準波形生成部52は、例えば、高周波電源装置1の制御装置からパルス指令信号を受信する。また、第1基準波形生成部51および第2基準波形生成部52は、例えば、高周波電源装置1の制御装置から調整時間Tadjおよび検出時間Tdetを受信する。調整時間Tadjおよび検出時間Tdetは、予め定められたパラメータである。また、調整時間Tadjは、正の値だけでなく、負または0値でも対応可能である。
【0036】
第1期間は、パルス指令信号の立ち上がりタイミングから調整時間Tadjだけずらしたタイミングから始まり、検出時間Tdetが経過したときに終了する。
第1基準波形生成部51は、第1期間において検出したVpp検出電圧の情報を図示しない記憶手段に記憶し、第1期間が終了した後、記憶された情報を読み出して、第1基準波形WF1を生成する。記憶された情報を読み出すタイミングや第1基準波形WF1を生成するタイミングは、状況に応じて設定される。
【0037】
第2期間は、パルス指令信号の立ち下がりタイミングから調整時間Tadjだけずらしたタイミングから始まり、検出時間Tdetが経過したときに終了する。
第2基準波形生成部52は、第2期間において検出したVpp検出電圧の情報を図示しない記憶手段に記憶し、第2期間が終了した後、記憶された情報を読み出して、第2基準波形WF2を生成する。記憶された情報を読み出すタイミングや第1基準波形WF1を生成するタイミングは、状況に応じて設定される。
【0038】
次に、図4を用いて、調整時間Tadjおよび検出時間Tdetについて更に説明する。
図4は、第1基準波形WF1を生成する際のパルス指令信号と調整時間Tadj及び検出時間Tdetとの関係を示す図である。
図4(a)は、調整時間Tadjが負の場合の例である。第1基準波形生成部51は、パルス指令信号の立ち上がり時よりも調整時間Tadjだけ先に検出を開始し、検出時間Tdetの時間だけVpp検出電圧の検出を行い、検出したVpp検出電圧の情報に基づいて、図4(a)に示すような破線領域に対応する第1基準波形WF1を生成する。
【0039】
図4(b)は、調整時間Tadjが0の場合の例である。第1基準波形生成部51は、パルス指令信号の立ち上がり時と同時に検出を開始し、検出時間Tdetの時間だけVpp検出電圧の検出を行い、検出したVpp検出電圧の情報に基づいて、図4(b)に示すような破線領域に対応する第1基準波形WF1を生成する。
【0040】
図4(c)は、調整時間Tadjが正の場合の例である。第1基準波形生成部51は、パルス指令信号の立ち上がり時から調整時間Tadjだけ経過したときに検出を開始し、検出時間Tdetの時間だけVpp検出電圧の検出を行い、検出したVpp検出電圧の情報に基づいて、図4(c)に示すような破線領域に対応する第1基準波形WF1を生成する。
【0041】
このように調整時間Tadj及び検出時間Tdetを用いると、第1基準波形WF1の領域を調整できるので、後述する類似判定に適した第1基準波形WF1を生成できる。また、調整時間Tadj及び検出時間Tdetは、パルス出力のパルス周波数、デューティ比(デューティサイクル)等によって適切な時間が異なるので、パルス出力の状況等に応じて適宜設定すればよい。例えば、図4(a)のようにする方が適している状況もあれば、図4(b)のようにする方が適している状況もあると考えられる。
【0042】
なお、詳細説明は省略するが、第2基準波形生成部52も同様に、パルス指令信号の立ち下がり時用の調整時間Tadj及び検出時間Tdetを用いて第2基準波形WF2を生成する。そのため、第1基準波形生成部51と同様に後述する類似判定に適した第2基準波形WF2を生成できる。
【0043】
また、第1基準波形生成部51は、複数回に亘ってVpp検出電圧を検出し、検出したVpp検出電圧の電圧情報に基づいて複数の基準波形を生成し、それらを例えば平均することによって第1基準波形WF1を生成してもよい。第2基準波形生成部52も同様に、複数回に亘ってVpp検出電圧を検出し、検出したVpp検出電圧の電圧情報に基づいて複数の基準波形を生成し、それらを例えば平均することによって第2基準波形を生成してもよい。何故ならば、Vpp検出電圧の波形は、ある程度の再現性はあるものの、毎回同じ波形ではないからである。このように平均化すると安定した第1基準波形WF1および第2基準波形WF2を生成することができる。
【0044】
なお、第1基準波形生成部51および第2基準波形生成部52は、複数回に亘って検出したVpp検出電圧の情報を図示しない記憶手段に記憶し、複数回の検出が終了した後、記憶された情報を読み出して、第1基準波形WF1および第2基準波形WF2を生成する。記憶された情報を読み出すタイミングや第1基準波形WF1および第2基準波形WF2を生成するタイミングは、状況に応じて設定される。
【0045】
第1基準波形WF1および第2基準波形WF2は、一度設定すればよいというものではなく、適宜、更新していく必要がある。例えば、パルス出力の100サイクルに1度の割合で更新を行う。どの程度の割合で更新するかは、状況に応じて設定される。
【0046】
<期間内電圧波形の生成>
期間内電圧波形生成部53は、フィルタ22の出力信号を入力し、予め定めた時間周期毎に、Vpp検出器21で検出した電圧情報に基づいて所定期間内の電圧波形(以下、期間内電圧波形という)を生成する。この期間内電圧波形は、例えば、Vpp検出電圧の波形の包絡線によって表される。期間内電圧波形は、第1類似度演算部54および第2類似度演算部55に向けて出力される。すなわち、図3に示した期間内電圧波形生成部53の場合、同一の期間内電圧波形が第1類似度演算部54および第2類似度演算部55に入力される。この場合、上記の所定期間は、第1期間および第2期間と同じ時間を有する期間となる。必然的に、第1期間と第2期間は、同じ時間を有する期間となる。
【0047】
図5は、期間内電圧波形の一例を示す図である。
図5(a)は、1番目の期間内電圧波形WFdet1を示す。図5(b)は、2番目の期間内電圧波形WFdet2を示す。図5(c)は、3番目の期間内電圧波形WFdet3を示す。図5(d)は、n番目の期間内電圧波形WFdetnを示す。
このように、期間内電圧波形生成部53は、あるタイミング(例えばパルス指令信号の立ち上がり時)を基準として、1番目の期間内電圧波形を生成した後、順次期間内電圧波形を生成する。
【0048】
図5に示すように、それぞれの期間内電圧波形は、パルス指令信号と時間軸が重なっている。図5の例では、説明を簡略化するために、検出時間Tdetの50%が重複するようにしているが、これに限定されない。重複度を高めてもよいし(例えば90%)、重複度を低くしてもよい(例えば10%)。基本的には、重複度を高めて、きめ細かくデータを取得した方が、精度が高まるが、演算負荷が高くなるので、状況に応じて重複度を定めればよい。
【0049】
なお、期間内電圧波形生成部53は、検出したVpp検出電圧の情報を図示しない記憶手段に記憶しておき、その後、記憶されたVpp検出電圧の情報を読み出して期間内電圧波形を生成する。記憶された情報を読み出すタイミングや期間内電圧波形を生成するタイミングは、状況に応じて設定される。
【0050】
<類似度の演算>
第1類似度演算部54は、予め定めた時間周期毎に、第1基準波形WF1と期間内電圧波形生成部53で生成した期間内電圧波形との類似度を演算する。
期間内電圧波形生成部53で生成される期間内電圧波形が図5のようであれば、第1類似度演算部54は、1番目~n番目の各期間内電圧波形と第1基準波形WF1との類似度を演算する。第1類似度演算部54は、演算した類似度を、第1類似度SM1(n)として第1判定部56へ出力する。ここで、「n」は検出タイミングである。
【0051】
第2類似度演算部55は、予め定めた時間周期毎に、第2基準波形WF2と期間内電圧波形生成部53で生成した期間内電圧波形との類似度を演算する。
期間内電圧波形生成部53で生成される期間内電圧波形が図5のようであれば、第2類似度演算部55は、1番目~n番目の各期間内電圧波形と第2基準波形WF2との類似度を演算する。第2類似度演算部55は、演算した類似度を、第2類似度SM2(n)として第2判定部57へ出力する。ここで、「n」は検出タイミングである。
【0052】
図6は、図5に示した期間内電圧波形を類似度演算対象とした場合に、第1類似度演算部54が演算した第1類似度SM1(n)の一例である。第2類似度演算部55は、第1類似度演算部54での処理と同様なので、ここでは説明を省略する。
【0053】
第1類似度演算部54及び第2類似度演算部55は、例えば、正規化相互相関を用いて、類似度を演算する。正規化相互相関は、NCC(Normalized Cross-Correlation)やZNCC(Zero-mean Normalized Cross-Correlation)を適用することができる。
なお、本実施形態では、説明を簡略化するために、第1類似度演算部54は、類似度を1~10の10段階で演算するものとする。図6に示した例では、2番目の期間内電圧波形WFdet2の類似度が最も高いことを示している。
【0054】
第1判定部56は、第1類似度演算部54で演算した第1類似度SM1(1)~第1類似度SM1(n)のうち、類似度が一番高い第1類似度SM1(max)に対応する検出タイミングのときをパルスの立ち上がり時であると判定する。第1判定部56は、この第1類似度SM1(max)に関する情報を出力部58へ出力する。すなわち、第1判定部56は、パルスの立ち上がり時であると判定した検出タイミングと対応する類似度を出力部58へ出力する。
【0055】
図6に示した例では、2番目の期間内電圧波形WFdet2の類似度が一番高いので、2番目のタイミングで実際のVpp検出電圧が立ち上がったと推測できる。そのため、第1判定部56は、検出タイミングnが2番目であり、そのときの類似度が8であることを示す情報を出力部58へ出力する。
【0056】
第2判定部57は、第2類似度演算部55で演算した第1類似度SM1(1)~第2類似度SM2(n)のうち、類似度が一番高い第1類似度SM2(max)に対応する検出タイミングのときをパルスの立ち下がり時であると判定する。第2判定部57は、この第2類似度SM1(max)に関する情報を出力部58へ出力する。第2判定部57における処理は、第1判定部56と同様なので、図を用いた説明は省略する。
【0057】
<パルス出力に関する情報の出力>
出力部58は、第1判定部56から出力された第1類似度SM1(max)と、第2判定部57から出力された第2類似度SM2(max)とを入力する。
出力部58は、パルス出力の立ち上がりタイミングを、第1判定部56から出力された第1類似度SM1(max)が示すタイミングであると判断する。また、パルス出力の立ち下りタイミングを、第2判定部57から出力された第2類似度SM2(max)が示すタイミングであると判断する。そして、これらの情報に基づいてパルス出力の周波数(周期で表してもよい)と、パルス出力のデューティ比(パルス出力の周期に対するHigh期間の割合)とを出力する。なお、出力部58は、パルス出力の周波数とパルス出力のデューティ比のうち、いずれか1つだけを出力してもよい。
パルス出力の周波数とパルス出力のデューティ比は、第1判定部56の判定結果と第2判定部57の判定結果に基づく、パルス出力に関する情報の一例である。
【0058】
また、図3の点線矢印で示したように、出力部58は、パルス指令信号を高周波電源装置1から受信することができる。このようにすれば、実際のパルス出力の立ち上がりタイミングとパルス指令信号の立ち上がりタイミングとのズレ量が分かる。また、実際のパルス出力の立ち下がりタイミングとパルス指令信号の立ち下がりタイミングとのズレ量が分かる。そのため、出力部58は、これらの情報も出力することができる。
【0059】
出力部58から出力された情報は、例えば、高周波電源装置1やプラズマ処理システム全体を制御する制御装置に対して送られる。
【0060】
出力部58から出力された情報(例えば、パルス出力の周波数、デューティ比、上記立ち上がりタイミングでのズレ量、および、上記立ち下がりタイミングでのズレ量)の少なくとも1つをモニタすることによって、モニタ対象の情報が、時間の経過とともにどのように変化していくのかを知ることができる。また、このような情報を分析すれば、例えば、プラズマ処理装置のチャンバーにおけるパーティクル等による汚染度合いを推測することができる。これは、チャンバーのクリーニング時期を判断する目安となる。また、何らかの異常が発生していることを推測することができる。例えば、パルス出力のデューティ比が、当初に比べて基準値以上異なってくると、チャンバー内の汚染度合いが高くなっている可能性がある。もちろん、この情報だけで判断できない場合もあるが、1つの判断材料になり得る。
このように、出力部58から出力する情報は、プロセス管理上、重要なので、適切にパルス出力に関する情報をモニタできることは有用である。
【0061】
図7は、パルス出力モニタ装置5で実行するパルス出力に関する情報を出力する処理手順を示すフローチャートである。まず、第1基準波形生成部51および第2基準波形生成部52は、第1基準波形WF1および第2基準波形WF2を生成する(ステップS1)。続いて、期間内電圧波形生成部53は、予め定めた時間周期毎に、期間内電圧波形を生成する(ステップS2)。続いて、第1類似度演算部54は、第1基準波形WF1と、期間内電圧波形との類似度を演算する。また、第2類似度演算部55は、第2基準波形WF2と、期間内電圧波形との類似度を演算する(ステップS3)。
【0062】
続いて、第1判定部56および第2判定部57は、演算した類似度に基づいて、パルス出力の立ち上がりタイミングおよびパルス出力の立ち下りタイミングを判定する(ステップS4)。出力部58は、パルス出力の立ち上がりタイミングおよびパルスの立ち下がりタイミングに基づいてパルス出力に関する情報を出力する(ステップS5)。
【0063】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係るパルス出力モニタ装置を含む他の構成例を示す図である。
図8に示すパルス出力モニタ装置5aは、期間内電圧波形生成部53に、第1期間内電圧波形生成部531及び第2期間内電圧波形生成部532を備えている。この点に関して、第1の実施形態と異なる。
また、第1の実施形態では、第1基準波形生成部51および第2基準波形生成部52は、共通の調整時間Tadjおよび検出時間Tdetを入力していたが、第2の実施形態では、それぞれに専用の調整時間Tadjおよび検出時間Tdetを入力する。
より具体的には、第1基準波形生成部51は、第1期間用の調整時間Tadjとして第1調整時間Tadj1を入力し、第1期間用の検出時間Tdetとして第1検出時間Tdet1を入力する。第2基準波形生成部52は、第2期間用の調整時間Tadjとして第2調整時間Tadj2を入力し、第2期間用の検出時間Tdetとして第2検出時間Tdet2を入力する。
なお、パルス指令信号は、第2の実施形態でも第1基準波形生成部51と第2基準波形生成部52とで共通である。
【0064】
第1期間は、パルス指令信号の立ち上がりタイミングから第1調整時間Tadj1だけずらしたタイミングから始まり、第1検出時間Tdet1が経過したときに終了する。第1基準波形生成部51は、第1期間において検出したVpp検出電圧の情報を図示しない記憶手段に記憶し、第1期間が終了した後、記憶された情報を読み出して、第1基準波形WF1を生成する。記憶された情報を読み出すタイミングや第1基準波形WF1を生成するタイミングは、状況に応じて設定される。
【0065】
第2期間は、パルス指令信号の立ち下がりタイミングから第2調整時間Tadj2だけずらしたタイミングから始まり、第2検出時間Tdet2が経過したときに終了する。第2基準波形生成部52は、第2期間において検出したVpp検出電圧の情報を図示しない記憶手段に記憶し、第2期間が終了した後、記憶された情報を読み出して、第2基準波形WF2を生成する。記憶された情報を読み出すタイミングや第1基準波形WF1を生成するタイミングは、状況に応じて設定される。
【0066】
第1期間内電圧波形生成部531は、第1期間と同じ時間を有する期間内で検出した電圧情報に基づいて、その期間内での電圧波形(以下、第1期間内電圧波形という)を生成る。この第1期間内電圧波形は、例えば、Vpp検出電圧の波形の包絡線によって表される。生成した第1期間内電圧波形は、第1類似度演算部54に向けて出力される。
【0067】
第2期間内電圧波形生成部532は、第2期間と同じ時間を有する期間内で検出した電圧情報に基づいて、その期間内での電圧波形(以下、第2期間内電圧波形という)を生成する。この第2期間内電圧波形は、例えば、Vpp検出電圧の波形の包絡線によって表される。生成した第2期間内電圧波形は、第2類似度演算部55に向けて出力される。
【0068】
図8の期間内電圧波形生成部53の場合は、第1期間と第2期間は、同じ時間を有する期間であってもよいし、異なる時間を有する期間であってもよい。同じ時間を有する期間にすると、制御が簡素化できる。異なる時間を有する期間にすると、第1期間および第2期間に適した制御ができる。このように、期間内電圧波形生成部53が、第1期間内電圧波形生成部531と第2期間内電圧波形生成部532とに分かれていると、制御方法の選択肢を増やすことができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態(第1の実施形態、第2の実施形態)のパルス出力モニタ装置5は、パルス出力の立ち上がり時および立ち下がり時の電圧波形を基準波形として生成する。また、パルス出力中の期間内電圧波形を生成する。そして、当該基準波形と期間内電圧波形との類似度に基づいて、パルス出力の立ち上がりタイミングおよび立ち下りタイミングを判定するので、Vpp検出器で検出されるVpp検出電圧が反射波の電圧の影響を受けたとしても、適切にパルス出力に関する情報をモニタすることができる。パルス出力に関する情報は、例えば、パルス出力の周波数、パルス出力のデューティ比等である。これらの情報は、プロセス管理上、重要なので、適切にパルス出力に関する情報をモニタできることは有用である。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 高周波電源装置、2 整合器、3 プラズマ負荷、5 パルス出力モニタ装置、21 Vpp検出器、22 フィルタ、51 第1基準波形生成部、52 第2基準波形生成部、53 期間内電圧波形生成部、54 第1類似度演算部、55 第2類似度演算部、56 第1判定部、57 第2判定部、58 出力部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8