(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142315
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】風力発電装置と太陽光発電装置からなるハイブリッド型発電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20230928BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230928BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20230928BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20230928BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H02J3/38 150
H02J7/00 303B
H02J7/10 B
H02J7/35 B
H02J3/38 160
H02J3/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049165
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】522117118
【氏名又は名称】株式会社ウインド19
(71)【出願人】
【識別番号】511092295
【氏名又は名称】レンドリース・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100070530
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 泰之
(72)【発明者】
【氏名】酒谷 良典
(72)【発明者】
【氏名】合田 孝治
(72)【発明者】
【氏名】梶井 健二
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5G503AA06
5G503AA07
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA11
(57)【要約】
【課題】
広大な面積を必要とせずに安価に、太陽光と風力の長所を生かして理想的な自給自足の独立電源装置を提供するものである。
【解決手段】
太陽光パネル及び風力発電機で発生する直流電力をそれぞれのMTTP(最大電力追随装置)を介して出力される双方の電圧値を利用して、使用中の蓄電池の定格電圧に対して所定の倍率を乗算して得た電圧値を生成し、蓄電池に供給する様に構成された再生エネルギー発電システム。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置と太陽光発電装置と複数個の蓄電池群とで構成されているハイブリット型再生エネルギー発電システムであって、当該ハイブリット型再生エネルギー発電システムは、当該太陽光発電装置に接続されている第1のMTTP(最大電力点追随型)手段と当該風力発電装置に接続されている第2のMTTP(最大電力点追随型)手段と、当該第1のMTTP手段の出力手段と接続された第1の入力手段及び当該第2のMTTP手段の出力手段と接続された第2の入力手段とを有し、且つその出力手段(第3の出力手段)が当該蓄電池群の各蓄電池と接続されている出力電圧制御手段とで構成されており、然も、当該出力電圧制御手段は、当該第1及び第2のMTTP(最大電力点追随型)手段から当該第1及び第2の各入力手段にそれぞれ個別に入力される電圧値に基づいて、当該蓄電池群における単一の蓄電池の定格電圧に対して所定の倍率となる様に演算した電圧値を当該第3の出力手段から出力する様に構成されている事を特徴とするハイブリット型再生エネルギー発電システム。
【請求項2】
当該第2のMTTP(最大電力点追随型)手段には、AC-DCコンバーター機能が含まれている事を特徴とする請求項1に記載のハイブリット型再生エネルギー発電システム。
【請求項3】
当該所定の倍率は、1.1乃至1.8倍である事を特徴とする請求項1又は2に記載のハイブリット型再生エネルギー発電システム。
【請求項4】
当該所定の倍率は、1.1乃至1.3倍である事を特徴とする請求項3に記載のハイブリット型再生エネルギー発電システム。
【請求項5】
当該出力電圧制御手段は、少なくとも当該第1のMTTP手段からの出力が入力される第1の電圧調整回路と当該第2のMTTP手段からの出力が入力される第2の整流電圧調整回路を有すると共に、当該第1と第2の電圧調整回路からの出力を入力して、当該各蓄電池の定格出力電圧値に対して所定の倍率だけ高い電圧値を出力する様に設定された所定出力電圧値演算回路と当該演算回路から出力される電圧を当該蓄電池群に出力する為の出力端子とを含んでいる事を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のハイブリット型再生エネルギー発電システム。
【請求項6】
当該出力電圧制御手段の当該出力端子の正極端子部は、当該蓄電池群を構成する複数個の単一蓄電池の個々の正極端子部の全てと直接接続されており、一方、当該出力電圧制御手段の当該出力端子の負極端子部は、当該蓄電池群を構成する複数個の単一蓄電池の個々の負極端子部の全てと直接接続されている事を特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のハイブリット型再生エネルギー発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置と太陽光発電装置からなるハイブリッド型発電システムに関するものであり、特には、従来の風力発電装置と太陽光発電装置のそれぞれの欠点を克服し常時安定した電源を社会に提供することが可能なハイブリッド型発電システム技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電の安全性に疑問が呈されている昨今、再生可能エネルギーの有効活用は、地球温暖化防止と化石燃料枯渇の問題を抱えた現代社会にとって必要不可欠な課題となっている。
処で、当該再生可能エネルギーを活用した発電装置としては、太陽光発電装置と風力発電装置とが、従来から一般的に使用され且つ社会的に安定した再生可能エネルギー使用型発電装置として世界的に使用・普及されてきている。
【0003】
然しながら、当該太陽光発電装置の欠点とは、必要な電力量に応じて広い敷地が必要で、土地が多く占有されてしまうと言う根本的な問題を含んでおり、更には、太陽光線の角度によっては反射光によって付近住民に悪影響を与えてしまうこと或いは、曇り日、雨の日ならびに夜間には発電しないか、発電量が極端に低減してしまうという問題を抱えている。
【0004】
一方、風力発電装置に於いては、装置の大型化に伴って、装置自体の高額化、ローター回転制御の複雑化、周辺住民に対する高周波障害問題等が問題点として指摘されていると同時に、風のある時は発電するものの、風がないときは全く発電しないと言う欠点を有している。
更には、当該風力発電装置に於いては、強風時には、当該風力発電装置の保全を図る為に、敢えて、回転ブレードの回転を停止させる必要がある等の欠点も含んでいる。
【0005】
然しながら、当該風力発電装置も当該太陽光発電装置も、それぞれCO2を排出しないこと、一度建設してしまえば、無燃料で発電を起こし、特に災害発生時、電力会社の系統電源が遮断されたとしても独自の電源を発生することのメリットは大きい。
【0006】
一方、再生可能エネルギーとしては、水力発電、バイオマス発電、地熱発電、などがあげられ、現在その研究者も多く、次世代の再生可能エネルギーの研究は尽きないのが現状である。
【0007】
最近、独立電源として、太陽光発電装置の電力を蓄電池に蓄えて一日中安定した電力を確保しようという技術が確立されようとしているが、オール電化と言って電力需要の大きい需要家にはかなり大きな 敷地、費用が発生してしまう。
然しながら、独立電源を成立させようとすると、狭い敷地で大きな発電量があり蓄電池も最小化して安い費用で再生可能エネルギーによる独立電源化が望まれるのである。
【0008】
処で、太陽光発電装置及び風力発電装置に関しては、自然現象の影響を強く受けることから、各発電装置に於いては、常時一定の電力を出力する事は不可能で、時時刻刻と出力電力量は変化する事から、如何に安定した電力を効率良く取り出せるか否かがこれまでの技術開発上の中心的課題であった。
その結果、現段階に於いては、MTTPと称される最大電力点追随型制御機構を併用する事によって、当該各再生エネルギー型発電装置から効率的に電力を取り出す技術が主流となって来ている。
即ち、太陽光発電に関連するものとして、例えば、特開2022-009818号公報、特開2019-216547号公報、特開2018-132815号公報或いは特開平07-044251号公報等が知られており、一方、当該風力発電装置に関連するものとしては、例えば、特表2020-533514号公報、特開2016-082794号公報、特開2009-289570号公報或いは特開2009-091923号公報等が知られている。
【0009】
然しながら、これらの公知技術に於いては何れも、当該太陽光発電装置に於いて単に、MTTP装置を採用している技術のみが開示されているに過ぎず、風力発電との組み合わせからなるハイブリッド型発電装置に関しては何らの言及もないばかりか、当該MTTP装置をさらに発展させる様な新規な技術思想は全く見当たらないのである。
同様に、当該風力発電装置於いても、何れも風力発電装置に単に、MTTP装置を採用している技術のみが開示されているに過ぎず、太陽光発電との組み合わせからなるハイブリッド型発電装置に関しては何らの言及もないばかりか、当該MTTP装置をさらに発展させる様な新規な技術思想は全く見当たらないのである。
【0010】
その他、当該太陽光発電装置と当該風力発電装置とを組み合わせたハイブリッド型発電装置に関しては、幾つかの紹介事例が報告されてはいるが、そのほとんどは、単に双方の発電装置を単に併合して使用しているに過ぎないのであって、併用されている当該太陽光発電装置或は当該風力発電装置の組み合わせから如何にして、効率的な電力を取り出せるかという有機的な結合技術に関しては全くの記載も示唆も見られないのである。
【0011】
更に、上記従来技術に関連して、現段階に於いてあまり表面化されていない技術上の問題点とし、当該太陽光発電装置或は当該風力発電装置に於いて、当該再生エネルギーにより出力された電力を複数個の蓄電池を併用して蓄電するシステムが一般的使用されているが、当該各発電装置の稼動中に、当該各蓄電池のそれぞれに均一に電力が蓄積されず、負荷に対する電力供給に際し、効率的且つ安定的な電力を供給する事が出来ないと言う問題が存在する。
然も、現段階では、上記した事象の発生の原因が正確には把握されていないのが現状である。
そこで本発明では、上記した様な従来の再生可能エネルギーを使用した発電装置に於ける種々の問題点の存在に鑑み、当該各問題点を解決する為に、風力発電装置と太陽光発電装置とを併用した、公知の技術では叶わない、全天候型でハイブリッド形式の発電システムで、且つ狭く不自由な場所でも、安価に建設できる発電効率の高い再生可能エネルギーを使用した発電装置を開発したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2022-009818号公報
【特許文献2】特開2019-216547号公報
【特許文献3】特開2018-132815号公報
【特許文献4】特開平07-044251号公報
【特許文献5】特表2020-533514号公報
【特許文献6】特開2016-082794号公報
【特許文献7】特開2009-289570号公報
【特許文献8】特開2009-091923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本願発明は、上記した従来技術に於ける問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、当該従来技術の問題点を解消し、広大な面積を必要とせずに安価に、太陽光と風力の長所を生かして理想的な独立電源装置としてのハイブリット型再生エネルギー発電システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記した目的を達成するために、基本的には、以下に示すような技術思想を採用するものである。
即ち、本発明は、風力発電装置と太陽光発電装置と複数個の蓄電池群とで構成されているハイブリット型再生エネルギー発電システムであって、当該ハイブリット型再生エネルギー発電システムは、当該太陽光発電装置に接続されている第1のMTTP(最大電力点追随型)手段と当該風力発電装置に接続されている第2のMTTP(最大電力点追随型)手段と、当該第1のMTTP手段の出力手段と接続された第1の入力手段及び当該第2のMTTP手段の出力手段と接続された第2の入力手段とを有し、且つその出力手段(第3の出力手段)が当該蓄電池群の各蓄電池と接続されている出力電圧制御手段とで構成されており、然も、当該出力電圧制御手段は、当該第1及び第2のMTTP(最大電力点追随型)手段から当該第1及び第2の各入力手段にそれぞれ個別に入力される電圧値に基づいて、当該蓄電池群における単一の蓄電池の定格電圧値に対して所定の倍率となる様に演算した電圧値を当該第3の出力手段から出力する様に構成されている事を特徴とするハイブリット型再生エネルギー発電システムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上記のような基本的な技術構成を採用しているので、上記した多くの技術的問題点を抱えている太陽光発電装置と風力発電装置とをハイブリッド化して、狭い空間で使用可能であると同時に全天候型に近い、多くの発電力を発生する独立電源装置を社会に提供することが可能となる。
特に、本発明は、受風面積が200m2 以下の小型風力発電装置を使用する再生エネルギーを使用した発電装置の構成に技術的な特徴を有し、且つ、本発明は、所謂ONグリッドシステムに適用可能であるものの、所謂OFFグリッドシステムに使用する場合には、抜群の性能を発揮できると言う作用効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明に係るハイブリット型再生エネルギー発電システム全体の外観形状の一具体例を示す正面図である。
【
図2】
図2は、発明に係るハイブリット型再生エネルギー発電システム全体の概要を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、発明に係る風力発電装置と太陽光発電装置とを組み合わせたハイブリット型発電システムに於ける構成の一例を説明するブロック図である。
【
図4】
図4は、従来のハイブリット型発電装置に於ける技術上の問題点を説明するブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る出力電圧制御手段の構成の概要を説明するブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る出力電圧制御手段の構成の一例を示す拡大図ブロック図である。
【
図7】
図7は、本発明に係る出力電圧制御手段の更に詳細な構成の一例を示す拡大図ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る当該ハイブリット型再生エネルギー発電システムの具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
即ち、
図2及び
図3は、本発明に係るハイブリット型再生エネルギー発電システムの外観形状とその内部システム構成の一具体例の構成を示す図であって、図中、風力発電装置2と太陽光発電装置4と複数個の蓄電池群9とで構成されているハイブリット型再生エネルギー発電システム1であって、当該ハイブリット型再生エネルギー発電システム1は、当該太陽光発電装置4に接続されている第1のMTTP(最大電力点追随型)手段11と当該風力発電装置に接続されている第2のMTTP(最大電力点追随型)手段12と、当該第1のMTTP手段11の出力手段21と接続された第1の入力手段23及び当該第2のMTTP手段12の出力手段22と接続された第2の入力手段24とを有し、且つその出力手段(第3の出力手段)25が当該蓄電池群9の各蓄電池と接続されている出力電圧制御手段13とで構成されており、然も、当該出力電圧制御手段13は、当該第1及び第2のMTTP(最大電力点追随型)手段11,12から当該第1及び第2の各入力手段23,24に個別に入力される電圧値に基づいて、当該蓄電池群9における単一の蓄電池(91,92,93・・・9n)の定格電圧に対して所定の倍率となる様に演算した電圧値を当該第3の出力手段25から出力する様に構成されている事を特徴とするハイブリット型再生エネルギー発電システム1が示されている。
【0018】
つまり、本発明に於いては、上記目的を達成する為に、太陽光発電で発生する直流電力と風力発電で発生する交流電力を、例えば適宜の整流装置で融合させて、蓄電池に蓄電し、必要に応じてインバータを介して100V、200V、400V等の安定した電源を一般負荷として活用することができる再生エネルギー発電システムであり、更には、当該風力発電装置は小型或は中型の発電装置を採用すると共に、当該太陽光発電装置に於いては、ソーラーパネルの総面積を出来るだけ少ない範囲に限定し、狭い区域において必要な電力を安定的に得られる、省スペース型全天候式再生エネルギー発電システムを提供するものである。
此処で、本発明に関連する従来一般的に知られている太陽光発電装置と風力発電装置とで構成されたハイブリット型再生エネルギー利用の発電システムの構成例を説明する。
【0019】
即ち、
図1は、本発明に係る当該ハイブリット型再生エネルギー発電システム1と外観上略同一の形状に形成された従来のハイブリット型再生エネルギー発電システムの例を示しており、適宜の支柱6の上端部に回転羽根部(ブレード)3を有する風力発電装置2が設けられていると同時に、その下端部に適宜の面積を有する太陽光パネルで構成された太陽光発電装置4が上下方向に配列されて当該支柱6に固定されている。
又、当該風力発電装置2と当該太陽光発電装置4で発生する直流及び交流電流は適宜の配線部7を介して適宜の制御装置8に送られて、その後、適宜の蓄電池群9に充電されるようになっている。
尚、
図1中、5は、上記した適宜の制御装置8と適宜の蓄電池群9を収納する為の適宜の箱体であり、30は、適宜の構成からなる風速計及び又は風向検出装置30である。
【0020】
そして、上記した従来例に於ける当該制御装置8’は、
図4で示す様に、MTTP(最大電力追随装置)のみで構成されており、具体的には、太陽光パネル4で発生された直流電力は、太陽光発電用MTTP(最大電力追随装置)11に入力され、一方、風力発電機2で発電された交流電力は風力発電用MTTP(最大電力追随装置)12に入力されて、そこから直接、直流電圧或は直流電力を蓄電池9に供給する形をとっている。
【0021】
更に、従来に於ける当該ハイブリット型発電装置に於いては、
図4に示す様に、蓄電池群9を構成する複数個の蓄電池91,92,93、・・・9nはその各正極端子部同士と又各負極端子部同士とを個別に並列的に接続させておき、そのうちのインバーター14に近接している一つの蓄電池91の当該正極端子部911と当該負極端子部912を当該インバーター14に接続させ、適宜の負荷100に電力を供給する様に設定されており、係る構成に於いて、当該当該制御装置8’に設けられた電圧或は電流若しくは電力等を出力する出力手段60の正極端子部60-1は、直接、当該蓄電池群9を構成する一つの蓄電池91の正極端子部911とのみ接続されており、一方、当該当該制御装置8’に設けられた当該出力手段60の負極端子部60-2は、直接、当該蓄電池群9を構成する一つの蓄電池91の負極端子部912とにのみ接続される様に構成されている。
【0022】
然しながら、係る従来例に於いては、当該太陽光発電用MTTP(最大電力追随装置)11から出力される電圧・電流或は電力や、当該風力発電用MTTP(最大電力追随装置)12から出力される電圧・電流或は電力は何れも時系列的にかなり変動するものであることは周知であり、更に当該太陽光発電用MTTP(最大電力追随装置)11から出力される電圧・電流或は電力と当該風力発電用MTTP(最大電力追随装置)12から出力される電圧・電流或は電力に差が発生すると、MTTP11およびMTTP12で出力される電圧・電流或は電力の内その値の高い方のみが蓄電池9に充電される傾向があり、目標とする適切な電力を充電する事が不可能であると言う問題点が存在している。
【0023】
更に、従来技術に於いては、
図4に示されている各蓄電池の配線方法では、それぞれの蓄電池の全てに均等に必要な電力が充電されないと言う別の問題も存在しており、各蓄電池のそれぞれに均等に必要な電力が充電される必要性が高まっていた。
つまり、
図4に於ける各蓄電池(91,92、・・・・9n)に示されている黒塗りの部分は、当該個々の蓄電池に充電される電力の量を視覚的に表したものであり、これによって、従来の技術に於ける一般的な配線形態に於いては、当該複数個の蓄電池からなるバッテリーシステムに於いて各蓄電池の配置位置によって、個々の蓄電池の充電状態が互いに大きく異なり、その為、従来の技術に於いては、均一で安定した所望の出力が得られないと言う欠点が存在していた。
【0024】
これに対し、本願発明は、上記した様な基本的な技術思想を採用する事によって、上記した多くの従来技術の問題点を解消し、再生エネルギーのみを利用した発電システムであって、小規模・小型でありながら、確実に所望する電源を安定的に出力できる経済的且つ環境に優しい、然も、独立型の電源とし使用可能なハイブリット型再生エネルギー発電システムを提供する事が可能となったのである。
処で、本発明に於ける使用する当該太陽光発電装置4は、従来公知の太陽光発電パネルを使用するものであり、特に本発明に於いて改良・開発したものではなく、当該太陽光パネルの必要面積も特に限定されるものではなく、当該ハイブリット型再生エネルギー発電システム1を設置する場所や経費の面から適切な面積を設定する事が可能である。
【0025】
一方、本発明に於いて使用される当該風力発電装置2の構成も特に限定されるものではなく、公知の風力発電装置を使用する事が可能である。
但し、本発明に於ける当該ハイブリット型再生エネルギー発電システム1に於いては、小型化されたシステムである事が大きな目標の一つである事から、当該風力発電装置2は、例えば、ブレード3が形成する受風面積が200m
2 以下の装置を使用することが望ましい具体例である。
そして、本発明に係る当該ハイブリット型再生エネルギー発電システム1の外観構造は、
図1に示される様な構造のものであっても良い事は言うまでもない。
その場合、当該システム1の全体の高さは20m以下であることが望まし具体例である。
【0026】
更に、本発明に於いて使用される当該第1のMTTP(最大電力点追随型)手段11と当該第2のMTTP(最大電力点追随型)手段12は、従来公知のMTTP(最大電力点追随型)機能を有する構造のものであれば使用する事が可能である。
一方、本発明と当該従来例との相違点の第1の構成は、当該第1のMTTP(最大電力点追随型)手段11の出力部21と当該第2のMTTP(最大電力点追随型)手段12の出力部22とは、直接当該蓄電池群9の正極端子部911及び負極端子部912とに個別に直接的に接続されてはおらず、
図2に示す通り、当該出力電圧制御手段13を介して当該蓄電池群9における各蓄電池と接続されている点であり、又、更に、本発明と当該従来例との相違点の第2の構成は、当該出力電圧制御手段13の出力端子部25の正極端子部25-1と負極端子部25-2が個別に、当該電池群9における各蓄電池(91,92,93・・・9n)の正極端子部Xnと負極端子部Ynとに個別に直接接続されているという配線構造を採用していることである。
又、本発明に於ける当該蓄電池群9を構成している複数個の蓄電池(91,92,93・・・9n)は、何れも同一の出力定格電圧を有するもので統一されている事が望ましい。
【0027】
此処で、本発明に係る電力の流れを
図2で説明する。
先ず、太陽光パネル4で発生する直流電力は太陽光装置用第1のMTTP(最大電力追随装置)11に送られて、直流電力で適宜の電圧に調整されて蓄電池側9に送電される。
一方、風力発電装置2で発電された交流電力は風力発電装置用第2のMTTP(最大電力追随装置)12に送られて、直流電力に変換された後に、適宜の電圧に調整されて蓄電池側9に送電される。
即ち、当該第2のMTTP(最大電力追随装置)12は、その機構内の何れかの部位で、風力発電装置で発生した交流電力を直流電力に変換する機構を内蔵しているものである。
【0028】
処で、当該第1のMTTP11及び当該第2のMTTP12から個別に出力されるDC電力は、DC電力とはいえ当該同一の電力内で時系列的にみて、かなり電圧、電流に差が存在していると同時に、当該第1のMTTP11及び当該第2のMTTP12から個別に出力されるDC電力間に於いてもかなりの電圧、電流に相違が存在する。
その為、従来に於いては、当該第1のMTTP11及び当該第2のMTTP12から個別に出力されるDC電力の内、何れかの電力、例えば、電圧の高い方の電力のみが当該蓄電池9に充電されることになり、他方の出力電力は、無駄に消費されてしまうという問題があり、そのために世界的にハイブリッド発電機が普及することなく今日に至っている。
【0029】
つまり、従来は本発明のような大規模な発電目的ではなく、街灯、案内板などの弱小電力にハイブリッド発電機を使用しているために、非効率で簡易的な技術でしかなく、その為に、所要な土地が狭く、大きな発電をするハイブリッド機が社会的に求められるも普及しなかったのである。
これに対し、本発明に於いては、100V、200V、400V等、所謂、家庭用独立電源、工場、病院、公園などの大電力を使用できるシステムとして利用する事を可能としたものである。
その上で、本発明に於いては、上記した様な出力電圧制御手段13を設け、当該出力電圧制御手段13を介して、当該出力電圧制御手段13から出力された直流電力を、個別の蓄電池9とそれぞれ直接に接続する回路を設定していて、蓄電池9によって偏った蓄電状態が発生することを防いでいる。
【0030】
これによって、本発明に於いては、蓄電池9からインバータ14に送電される際も同様に、個別の蓄電池9とそれぞれ直接に接続する回路を設定していて、蓄電池によって偏った放電をインバータ14に出力することを防いでいる。
更に、本発明に於いては、変動して発電する太陽光、風力発電で発電する電力を効率よく蓄電から放電までを実行することができるため24時間安定して電力供給をすることができるシステムを提供できるものである。
【0031】
以下に、上記した様な、本発明に於ける特徴的技術思想である当該出力電圧制御手段13の構成並びに動作について、
図2、
図5及び
図6を参照しながら詳細に説明する。
即ち、本発明に於ける当該出力電圧制御手段13は、基本的には、当該第1のMTTP手段11の出力手段21と接続された第1の入力手段23及び当該第2のMTTP手段12の出力手段22と接続された第2の入力手段24とを有し、且つその出力手段(第3の出力手段)25が当該蓄電池群9の各蓄電池と接続されている構成を有するものであり、更に、当該出力電圧制御手段13は、当該第1及び第2のMTTP(最大電力点追随型)手段11,12から当該第1及び第2の各入力手段23,24にそれぞれ個別に入力される電圧値に基づいて、当該蓄電池群9における単一の蓄電池(91,92,93、・・・9n)の定格電圧値Vtに対して所定の倍率(R)となる様に演算した電圧値Vr(=Vt×R)を当該出力手段25から出力する様に構成されているものである。
【0032】
更に、本発明に於いて使用される当該出力電圧制御手段13の更に具体的な構成例を説明するならば、
図5及び
図6に示されている通り、当該出力電圧制御手段13は、少なくとも当該第1のMTTP手段11からの出力が入力される第1の電圧調整回路31と当該第2のMTTP手段12からの出力が入力される第2の整流電圧調整回路32を有すると共に、当該第1と第2の電圧調整回路31,32からの出力を入力して、当該各蓄電池9の定格出力電圧値Vtに対して所定の倍率Rだけ高い電圧値Vrを出力する様に設定されたと当該演算回路35と、当該新たに演算により設定された当該電圧値Vrを当該蓄電池群9に出力する為の第3の出力手段25とを含む出力電圧制御回路33を含んでいるものである。
【0033】
更に、本発明に於いては、当該出力電圧制御回路33には、更に、当該第1の電圧調整回路31と当該第2の電圧調整回路32からの出力を入力して、当該入力された双方の電圧値を微調整して当該双方の入力電圧を略同じ電圧値レベルに調整する電圧微調整回路34が含まれていることも望ましい具体例である。
本発明に於いて使用される当該第1の電圧調整回路31と当該第2の整流電圧調整回路32は、上記した通り、何れのMTTP回路11,12から出力される直流電圧値は、何れも時系列的にかなりの変動を有しているため、それらを出来るだけ均一な電圧値レベルに修正する必要があるために設けられているものであり、例えば適宜の整流機能を有する回路手段等を使用する事が可能である。
勿論本発明に於いては、電流値で上記の調整を行う事が可能である事は言うまでもない。
【0034】
処で、本願発明者は、本発明に於ける様な再生エネルギーを利用した発電システムにおいて、発生して電気エネルギーを蓄電池に充電するに際し、当該発生した電力を効率よく、略100%を当該蓄電池9に充電する事が出来ず、その為、多くのエネルギーロスが発生していると言う問題が存在する事を知徳し、その改善の為に鋭意努力し、多数の実験を繰り返し行った結果、使用されている所定の蓄電池9の出力定格電圧値Vtよりも高い電圧値Vrで充電する事によって、発生電力の略100%の電力を充電する事が可能となるという知見を得たものである。
本願発明者は、更に検討した結果、所望の蓄電池9の当該出力定格電圧値Vtに対して、所定の倍率だけ高くした電圧値Vrに設定して充電する事により、上記した目的が完全に達成すると言う知見をえたものである。
本願発明者は更に多数の実験結果から、当該所定の倍率Rは、1.1乃至1.8倍である事が好ましい事を知徳したものである。
【0035】
更に、本願発明者の検討によれば、当該所定の倍率は、1.1乃至1.3倍である事がより好ましい具体例である事が判明したものである。
本発明に使用される当該蓄電池9としては特に限定されるものではないが、例えば家庭用であれば、100V,30Aという一般的な家庭用では、蓄電池からインバータを経由して100Vで使用する場合は、蓄電池の定格電圧値は、24V或は12Vのものが採用され、工場用であれば、200Vの動力電源で使用する場合は、48V乃至144Vの定格電圧値を持った蓄電池が使用されることになる。
例えば、本発明に於いて使用されている当該蓄電池の定格電圧が48Vtである場合に、充電する為の出力電圧を当該定格電圧が48Vt の1.12倍に設定した場合には、当該出力電圧値を58.56Vに昇圧させて出力させるものであり、又、同じく、当該蓄電池の定格電圧が12Vtである場合には、当該出力電圧値を14.64Vに昇圧させて出力させるものである。
本発明に於いて使用される蓄電池9は特に限定されるものではなく、従来公知の蓄電池を使用する事が可能であり、使用される個々の蓄電池の定格電圧値を別途検出してそれに所定の倍率Rを掛けた電圧値を演算して出力するようにするものである。
【0036】
本発明に於いて、上記した制御を実行する為の手順としては、例えば、以下の様な方式が考えられる。
例えば、
図7に示す様に、当該所定出力電圧値演算回路35に複数種類の蓄電池9の製品名と出力定格電圧値Vtを記憶したルックアップテーブル62と複数種類の当該所望の倍率値Rを記憶したルックアップテーブル63と、前記した当該電圧微調整回路34からの出力を入力する入力手段61とを設け、適宜に配置された演算手段(CPU)64の制御機能を使用して、選択された蓄電池の定格電圧値Vtを当該ルックアップテーブル62から読み出すと共に、好ましい値として設定した倍率値Rを当該ルックアップテーブル63から選択して読み出し、それらの選択された情報に基づき、当該所定出力電圧値演算回路35内の設けられた電圧値変更処理回路36に於いて、当該電圧微調整回路34から入力された電圧値を所望の電圧値Vrに変更して、当該蓄電池9側に出力するようにする事も可能である。
【0037】
尚、当該電圧値変更処理回路36は適宜の昇圧回路や降圧回路等で構成されていることが望ましい。
又、当該ルックアップテーブル63は当該所望の倍率値Rとして、例えば、1.10,1.12、1.15、1.18、1.20、1.22・・・・・1.80の様に記憶されている事が望ましい具体例である。
本願発明者の実験によれば、当該所望の倍率Rとして、1.15倍を選択した場合がより好ましい効果を得る事が出来た。
【0038】
次に、本願発明者は、上記した様な、発生した電力を全ての蓄電池9に効率よく且つ均一に蓄電されず、目標の電力が確保できなかったという問題についても鋭意検討した結果、当該発電システムと当該複数個の蓄電池からなる蓄電池群9との間の電気的接続方法に原因があることを知徳し、その配線方法を多くの実験により調査検討した結果、
図3に示される様に、当該出力電圧制御手段13の当該出力端子部25の正極端子部25-1は、当該蓄電池群9を構成する複数個の単一蓄電池(91,92、・・・・9n)の個々の正極端子部Xの全てと直接接続されており、一方、当該出力電圧制御手段13の当該出力25の負極端子部25-2は、当該蓄電池群9を構成する複数個の単一蓄電池(91,92、・・・・9n)の個々の負極端子部Yの全てと直接接続される様に配線する事が望ましい事が判明したのである。
【0039】
更に、本発明に於いては、当該各蓄電池9から所望のインバーター回路14を介して所望の付加装置100に給電擦る際には、
図3に示すとおり、当該複数個の蓄電池9の各正極端子部Xの全てを接続させた配線101を直接当該インバーター回路14の正極端子部103と接続し、同様に、当該複数個の蓄電池9の各負極端子部Yの全てを接続させた配線102を直接当該インバーター回路14の負極端子部104と接続する様に配線するものである。
係る構成を採用することにより、個別の蓄電池9にバランスよく蓄電されるため、従来のように偏った蓄電にならず、安定した電源を長時間にわたってインバータより出力するのである。
【符号の説明】
【0040】
1…ハイブリット型再生エネルギー発電システム
2…風力発電装置
3…ブレード
4…太陽光発電装置
5…制御装置箱
6…支柱
7…配電線
8…出力電圧制御手段
9…蓄電池群
91,92,93、・・・・9n…蓄電池
11 …太陽光発電用第1のMTTP
12…風力発電用第2のMTTP
13…出力電圧制御手段
14…インバーター
21…第1のMTTP手段の出力手段
22…第2のMTTP手段12の出力手段
23…出力手段21と接続された第1の入力手段
24…出力手段22と接続された第2の入力手段
25…出力手段
25-1…出力端子部25の正極端子部
25-2…出力25の負極端子部
31…第1の電圧調整回路
32…第2の電圧調整回路
33…出力電圧制御回路
34…電圧微調整回路
35…演算回路、所定出力電圧値演算回路
36…電圧値変更処理回路
60…出力手段
60-1…正極端子
60-2…負極端子
61…入力手段
62…ルックアップテーブル
63…ルックアップテーブル
64…演算手段(CPU)
100…付加装置
101…配線
102…配線
103…インバーター回路14の正極端子部
104…インバーター回路14の負極端子部
X…単一蓄電池(91,92、・・・・9n)の個々の正極端子部
Y…複数個の単一蓄電池(91,92、・・・・9n)の個々の負極端子部