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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142330
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】膝関節用装着具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/02 20060101AFI20230928BHJP
   A41D 13/06 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A61F5/02 N
A41D13/06 105
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049186
(22)【出願日】2022-03-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】522119857
【氏名又は名称】後田 正徳
(74)【代理人】
【識別番号】100129986
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓生
(72)【発明者】
【氏名】後田 正徳
【テーマコード(参考)】
3B011
4C098
【Fターム(参考)】
3B011AA13
3B011AB08
3B011AC04
4C098AA01
4C098BB11
4C098BC03
4C098BC13
4C098BC39
4C098BC42
(57)【要約】      (修正有)
【課題】関節可動域に制限が生じて完全伸展不可能な関節へ使用した場合であっても、関節可動域のコントロールが可能であり、姿勢や取り付け状態によっても関節に負担が生じにくく、関節への負担を軽減する膝関節装着具を提供する。
【解決手段】左右一対の別体からなる装着穴付きのクッション材であって、前記クッション材は少なくとも、膝裏に対向する下構成材11、膝の左右側部それぞれに対向する内側部材12,及び外側部材13で一体構成された弾性素材からなり、クッション材の底部には、膝裏と対向する方向の底材の下端に、平坦な底部を有した棒状/板状の膝裏材2が内蔵される。膝裏材2は、クッション材の下構成材、内側部材12,外側部材13の弾性素材よりも低い弾性係数の弾性素材、又は硬質素材を有して構成され、左右のクッション材全体がそれぞれ自立可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横臥・就寝時に両足の膝にそれぞれ巻いて装着可能な、左右一対の別体からなる装着穴付きのクッション材からなる膝関節用装着具であって、
前記クッション材は少なくとも、膝裏に対向する下構成材、膝の左右側部それぞれに対向する内側部材,及び外側部材で一体構成された弾性素材からなり、
クッション材の底部には、膝裏と対向する方向の底材の下端に、平坦な底部を有した棒状/板状の膝裏材が内蔵され、
前記膝裏材は、クッション材の下構成材、内側部材,外側部材の弾性素材よりも低い弾性係数の弾性素材、又は硬質素材を有して構成され、
装着穴は、膝裏に対向する穴底部の穴幅よりも、ひざ頭に対向する穴上部の穴幅のほうが小さい上窄みの穴形状に成形され、かつ、穴底部が平坦に成形されてなり、
左右のクッション材が両膝にそれぞれ装着されたとき、左右それぞれの成形穴の穴上部が弾性変形した装着状態となることを特徴とする、膝関節用装着具。
【請求項2】
クッション材は、平坦な底面を有して膝裏に沿う下構成材と、下構成材の内側端部から屈曲して膝内側部に沿う内側部材と、下構成材の外側端部から屈曲して膝外側部に沿う外側部材と、内側部材及び外側部材の各上端から屈曲また環湾曲して膝前部に沿う上構成材とで一体構成された弾性素材からなり、
前記弾性素材は、
内部穴軸と正対する正面視にて、上構成材よりも下構成材の厚さがより大きく構成され、かつ、底部が平坦に構成された上下非対称形状からなると共に、
内側部材よりも外側部材の平均厚さがより大きく構成され、かつ底部が平坦に構成された左右非対称形状からなり、
左右の膝に一対装着し、膝裏材の底部を接地させた状態で、膝裏材を含む左右のクッション材全体がそれぞれ自立可能であることを特徴とする、請求項1に記載の膝関節用装着具。
【請求項3】
クッション材の弾性素材は、内部穴軸を左右方向とする側面視にて、上構成材よりも下構成材の厚さ及び奥行きがより大きく、かつ、底部が平坦な上下非対称形状からなることを特徴とする。さらにいえば、上辺より下辺の方が長い上窄みの略台形形状からなることを特徴とする、請求項1に記載の膝関節用装着具。
【請求項4】
クッション材の下構成材、内外側部材、及び上構成材で一体構成された弾性素材は低弾性の分散材を有さないフォーム材からなり、膝裏材の弾性素材は低弾性の分散材が分散構成されたチップ入りフォーム材からなることを特徴とする、請求項1に記載の膝関節用装着具。
【請求項5】
装着穴は、穴内の上部寄りの左右位置にそれぞれ、一つ又は一対以上の内突出部を有してなり、各穴の内突出部は下構成材方向又は穴中心方向を向いた突出形状からなり、装着状態では、各穴の内突出部が膝上部周辺の左右位置からそれぞれ弾性圧接すると共に、下構成材又は膝裏材が膝裏の左右方向に亘って圧接することを特徴とする、請求項1に記載の膝関節用装着具。
【請求項6】
装着穴は、膝表部寄りの装着位置が弾性開放可能であると共に、開放した左右の上構成材同士を近接方向に弾性繋止する繋止具が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の膝関節用装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
変形性膝関節症など、膝の関節に障害、怪我、劣化などの状態異常をきたしている場合や、大腿後面(ハムストリング)が硬いなどの症状がある等の場合に、装着者の膝関節に装着して用いる膝関節用の装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
変形性膝関節症など、関節異常或いは怪我や傷病などの症状を有している患者は、足を伸ばして座っているか、寝ているだけで膝関節に負担がかかってしまう。負担がかかった状態を継続すると、炎症を起こしたり、関節水腫が生じたりするなど、状態改善が遅れてしまうこととなる。
【0003】
このような膝関節を完全伸展できない患者への負担の軽減策として、従来は、膝裏に枕やクッションを入れるなどして対応していた。例えば従来、主に就寝時や休息時において、膝の下にあてたり、足首等を乗せたりする枕が開示される(特許文献1:意匠登録1103638「足枕」参照)。
【0004】
しかしながら、寝返りを打ったり姿勢を変えたりするときに位置がずれてしまったり、邪魔になって動きが制限されてしまうことがあった。
【0005】
また上記に関連し、従来、環状式保護クッション(特許文献2:実登31764286参照)が開示される。この環状式保護クッションは、スポンジ或いは高密度弾性ウレタン(形状記憶綿)等の弾性緩衝材料によって作製したクッション体を採用し、クッション体には支持部と、支持部の上部に位置し向き合う二つの保護部とを備え、保護部の間には人体四肢を納められる凹部を形成し、前記保護部の上端の間には径を縮小させ、凹部の幅を調整する伸縮口を形成する構造からなる。
【0006】
このクッションを用いて人体四肢患部を包み込むことで、四肢が衝撃を受けるのを防ぎ、また、患部及びその周囲を高くできるため、それらの箇所が長期間ベッドに接触することで生じる蒸暑さや褥瘡を防ぎ、便利に使用できる、とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】意匠登録1103638号公報
【特許文献2】実案登録第31764286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし前記環状式保護クッションは、環状形態の弾性緩衝材料を肩ひじ又は片側の膝に装着して包覆し、外部からの衝撃緩衝機能や通風放熱効果、褥瘡を防ぐものであって、左右一対で用いることを想定していなかった。このため、関節可動域に制限が生じて完全伸展不可能な関節へ使用した場合、関節可動域のコントロールができず、姿勢や取り付け状態によっては逆に関節に負担が生じる場合があった。
【0009】
また、変形性膝関節症など、膝に痛みや可動域の制限などの症状は、程度差こそあれ、片膝ではなく両膝に生じている場合が多いところ、前記従来のような保護クッションを左右の膝に装着したときには互いの構成部品が干渉して装着時の動きに制限が出てしまう。
【0010】
そこで本発明は、関節可動域に制限が生じて完全伸展不可能な関節へ使用した場合であっても、関節可動域のコントロールが可能であり、姿勢や取り付け状態によっても関節に負担が生じにくく、関節水腫や炎症の拡大を抑制することができる膝関節装着具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決すべく、本発明においては、以下の各手段を講じている。なお、各構成名称に続けて記載する数字列乃至アルファベット列は、各実施形態の構成の理解のために便宜的に付された符号であり、これによって構成の概念や形状を限定する趣旨ではない。
【0012】
[1](左右一対のクッション材からなり、膝裏材を内蔵し、上窄みの装着穴を有する点)
横臥・就寝時に両足の膝にそれぞれ巻いて装着可能な、左右一対の別体からなる装着穴(10)付きのクッション材であって、
前記クッション材は少なくとも、膝裏に対向する下構成材(11)、膝の左右側部それぞれに対向する内側部材(12),及び外側部材(13)で一体構成された弾性素材からなり、
クッション材の底部には、膝裏と対向する方向の底材の下端に、平坦な底部を有した棒状/板状の膝裏材(2)が内蔵され、
前記膝裏材(2)は、クッション材の下構成材、内側部材(12),外側部材(13)の弾性素材よりも低い弾性係数の弾性素材、又は硬質素材を有して構成され、クッション材の底面に近接した平坦な下面を有することを特徴とする。
また、前記装着穴は、膝裏に対向する穴底部の穴幅よりも、ひざ頭に対向する穴上部の穴幅のほうが小さい上窄みの穴形状に成形され、かつ、穴底部が平坦に成形されてなり、
左右のクッション材が両膝にそれぞれ装着されたとき、左右それぞれの成形穴の穴上部が弾性変形した装着状態となることを特徴とする。
【0013】
実施形態ではさらに、左右それぞれのクッション材の外形が、正面視にて左右非対称となるように成形され、かつ、装着穴の成形位置が、正面視にて左右非対称となるように内側部寄りに配置される。左右それぞれのクッション材を左右の各膝に装着した装着状態では、左右それぞれのクッション材の外形がそれぞれ左右非対称の形状に弾性変形する。
【0014】
また、左右別体のクッション材で構成され、各脚に装着された状態で膝裏材が接地面に近接して設置されるため、クッション材全体が安定した状態で自立する(例えば図1図3)。
【0015】
膝を上方に向けて足を伸ばした装着状態では、クッション材の底部が圧縮変形すると共に、膝裏材が床面と膝裏面との間に干渉し、クッション材が自立した安定状態となる(例えば図3)。
【0016】
またクッション材の下構成材、内側部材、外側部材が、膝裏材よりも軟弾性の弾性素材で構成されるため、両膝同士を近づけたり膝を動かしたりする場合にも、互いの干渉による動きの制限や装着時の違和感が軽減される。
【0017】
例えば起き上がりの際、姿勢変更(寝返り)の際など、片膝を傾けたりして、ベッド、椅子などに接触当たったりした場合にも容易に弾性変形し、両膝への装着状態でありながら膝への負担が軽減され、かつ装着時の違和感が比較的少ないものとなった。
【0018】
[2](正面左右非対称形状をなす点)
クッション材は、平坦な底面を有して膝裏に沿う下構成材(11)と、下構成材の内側端部から屈曲して膝内側部に沿う内側部材(12)と、下構成材の外側端部から屈曲して膝外側部に沿う外側部材(13)と、内側部材及び外側部材の各上端から屈曲また環湾曲して膝前部に沿う上構成材(14)とで一体構成された弾性素材からなる。前記弾性素材は、内部穴軸と正対する正面視にて、上構成材よりも下構成材の厚さがより大きく構成され、かつ、底部が平坦に構成された上下非対称形状からなる。
【0019】
また、(正面視にて)内側部材よりも外側部材の平均厚さがより大きく構成され、かつ底部が平坦に構成された左右非対称形状からなり、
左右の膝に一対装着し、膝裏材(2)の底部を接地させた状態で、膝裏材を含む左右のクッション材全体がそれぞれ自立可能であることを特徴とする。
【0020】
なお上下位置で厚さが変化する可変厚さの場合は、例えば厚さの平均値で比較したときに、膝内側部よりも膝外側部の厚さがより大きい左右非対称形状からなる。
【0021】
[3](側面台形形状をなす点)
クッション材の弾性素材は、内部穴軸を左右方向とする側面視にて、上構成材よりも下構成材の厚さ及び奥行きがより大きく、かつ、底部が平坦な上下非対称形状からなることを特徴とする。さらにいえば、上辺より下辺の方が長い上窄みの略台形形状(対称台形又は非対称台形)からなることを特徴とする。
【0022】
[4](軟弾性素材とチップ入りフォーム材の組合せからなる点)
クッション材の下構成材、内外側部材、及び上構成材で一体構成された弾性素材は低弾性の分散材を有さないフォーム材からなり、膝裏材の弾性素材は低弾性の分散材が分散構成されたチップ入りフォーム材からなることを特徴とする。
【0023】
例えば、比較的高弾性係数の軟弾性材、例えばショア硬度30以下の軟弾性材からなり、装着者の足の重量に対して開放時の半分以下の厚さまで弾性圧縮する。
【0024】
左右一方の足に装着されたクッション材が、他の足に装着されたクッション材とぶつかりにくく、ぶつかって干渉した場合でも弾性変形しやすい。
【0025】
[5](上部左右の内突出部を設けた点)
装着穴10は、穴内の上部寄りの左右位置にそれぞれ、一つ又は一対以上の内突出部(41,42,43,431,432)を有してなり、各穴の内突出部は下構成材方向又は穴中心方向を向いた突出形状からなり、装着状態では、各穴の内突出部が膝頭(膝上部)周辺の左右位置からそれぞれ弾性圧接すると共に、下構成材又は膝裏材が膝裏の左右方向に亘って圧接することを特徴とする。
【0026】
例えば内突出部を正面視にて穴の左右角部に一対設けた場合、膝断面にて膝の皿の左右側部、膝裏部からなる三つ以上の範囲で圧接した三点圧接状態で装着することとなる(例えば後述の実施形態の図3b、図15b)。このような三点圧接状態では、不意に回転したりずれたりしにくくなるため、姿勢を変えたときでも安定した装着状態を保つことができ、膝関節に対する膝裏材2の位置や角度を安定的に維持することができる。
【0027】
[6](穴上部を弾性繋止させた点)
装着穴は、穴上部、すなわち膝表部寄りの装着位置が開放してなるか或いは弾性開放可能であると共に、開放した穴上部の左右の上構成材同士を近接方向に弾性繋止する繋止具(例えば、後述の実施形態で示す弾性ベルト51、左右の弾性素材からなる上構成材142,143同士を弾性伸長状態で繋ぐ一対のマグネット板145・146、互いに面係止する一対の面ファスナー52・53、スナップボタン63・63、その他一対のバックル構造等)が設けられることを特徴とする。
【0028】
特に後述の実施形態1、2では、左右の上構成材は合計長さがクッション材上部の全幅よりも短く設定され、開放状態にて装着穴10の穴上部が上方開口する(例えば図1図2図5図6)。このように上方開口した装着穴10の穴上部を塞ぐように左右の上構成材同士を弾性繋止することで、装着穴10が左右方向に弾性近接力を有して緊縮した装着状態となる。上構成材(142,143)には、弾性圧縮方向の弾性反力が生じるため、装着者の膝皿を左右から押さえた安定装着状態となる。
【0029】
[7](突出片を設けた点)
左右の各クッション材の上部又は内側部の構成材には、装着時の膝前方、すなわち正面視にて上方又は斜め上方へ突出する突出片が付属され、この突出片を掴むか係止して位置調整できることを特徴とする。
【0030】
装着状態の各装着具の突出片(ストラップ又は持ち手)をまとめて又はそれぞれ掴んで、前記係止具が係止状態を保った装着状態のまま装着者の膝の位置を動かすことができる。例えば、介護者が装着者の膝の位置を調整する場合にこの突出片を持って操作する。或いは、図に示すような係止具を用いてまた、装着解除した膝装着具を吊るして収容する際、この突出片をフック等に係止することもできる。
【0031】
特に、実施例1(片辺垂直の台形のクッション材、上下2段の幅違い装着穴、半円柱膝裏材)では膝表の左右と膝裏との3点領域で弾性圧着した装着状態となり、膝裏材が安定して膝裏に間接的に沿う状態となる。
【発明の効果】
【0032】
上記構成であれば、自立安定性に優れ、関節裏への膝関節装着具機能を有し、可動域に制限が生じた関節の過度な動きを抑制することができる。また、左右一対同時装着したときにも装着状態が安定し、互いに干渉してしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施例1の斜視図
図2】実施例1の正面中央断面、側面中央断面図
図3】実施例1の装着状態例(仰向け状態)の側面説明図、膝の仮想断面の正面説明図
図4】実施例1の装着状態例(横向き側臥状態)の側面説明図、腰の仮想断面の正面説明図
図5】実施例2の斜視図
図6】実施例2の正面図
図7図6のA-A断面図(a),B-B側面図(b)
図8】実施例3の正面図
図9】実施例3の平面図
図10図9のD-D側面図(a),E-E断面図(b)
図11】実施例3の装着状態例(仰向け状態)の側面説明図(a)、片膝をずらした装着状態(横向き側臥状態)の平面説明図(b)
図12】実施例3の装着状態例(横向き側臥状態)の背面説明図(c)、腰の仮想断面の正面説明図(d)
図13】実施例4の斜視図
図14】実施例5の斜視図
図15】実施例5のG-G断面図(a)、装着状態の膝の仮想断面の説明図(b)
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して実施形態に係る膝関節用装着具について説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。また、各構成名称に続けて記載する数字列乃至アルファベット列は、各実施形態の構成の理解のために便宜的に付された符号であり、これによって構成の概念や形状を限定する趣旨ではない。
【0035】
以下に説明する各実施形態に基づき、本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0036】
(実施形態1の膝関節用装着具の構成)
実施形態1の膝関節用装着具の構成について、図1図4に示す各図面の例を参照して説明する。本発明の実施形態1の膝関節用装着具は、左右分離構成された同一形状の一対の略直方体形状のクッション材1(1A,1B)からなる。各クッション材1(1A,1B)は正面視矩形、側面視台形、底面及び両側面が略平坦面からなると共に、正面から背面方向へ亘って、装着穴の上部が開放した上窄まりの2段幅の装着穴10を有する。装着穴10の下面は略平坦面を有し、上部よりも広い穴幅となっている(図1図2)。
【0037】
装着穴10の下部を構成するクッション材1の下構成材11には、他のクッション材よりも高反発の構成材からなる膝裏材2が内蔵され、膝関節に装着させて足をやや伸ばした状態において、この膝裏材2が膝裏と設置場所の床面との間に介在して干渉することで、膝関節への負担を低減する(図3)。
【0038】
装着穴10の上部は左右に開放する開放部を有し、クッション材1の上部は、前記開放部の左右に分離した上構成材142,143から構成される(図1図2)。左右の上構成材142,143は同一の弾性構成材からなると共に、左右の上構成材142,143の正面視横方向の長さ(全長)の合計はクッション材1の上部の全幅よりも短く設定される。また内側の上構成材142の外角部には、上部左右を互いに繋ぐ弾性ベルト51からなる弾性装着具が設けられる(図1図2)。弾性ベルト51の先端の下面、並びに外側の上構成材143の上面には、互いに面係止可能な一対の面ファスナー52,53が設けられる。また、弾性ベルト51の先端には厚板状の操作部55が設けられる。一端がクッション材1の内側の上構成材142に固定された弾性ベルト51の他端を、クッション材1の外側の上構成材143側へ亘らせて、一対の面ファスナー52、53を面係止させることで、左右の上構成材が弾性近接した状態で装着される(図3図4)。
【0039】
一方、装着穴10の左右上部には、正面視縦長直方体形状の内突出部が上角隅部に斜めに突設される(図1図2)。装着状態では、装着者の膝関節の膝皿左右から、膝関節中心寄りの斜めへの圧接力を弾性付勢するものとなっている(図3b、図4b)。
【0040】
クッション材1の底面を構成する下構成材11には、台形直方体のチップウレタン(チップ入りウレタンフォーム)からなる膝裏材2が、下構成材11の略半分以上の高さでかつ底面に接して内蔵される(図1図2)。膝裏材2は、下面が平坦面で構成され、クッション材1の底面と近接して平行配置されると共に、膝裏材2の構成材であるチップウレタンは、クッション材1の構成材である軟弾性ウレタンフォーム材と比べて弾性係数が小さく設定されていて、圧縮変形しにくく、かつ、軟弾性ウレタンフォーム材からなるクッション材1の残重量よりも高重量の硬質弾性材からなる。
【0041】
クッション材1は正面視縦長矩形の直方体の全体形状からなり、クッション材の上辺厚さは下辺厚さよりも小さく、側面視にて上窄まりの台形形状を構成する。内蔵された膝裏材2を除く残りの下構成材11、並びに内側部材12,外側部材13、上構成材142,143からなるクッション材1は、膝裏材2比較して容易に弾性圧縮する軟弾性ウレタンフォーム材の弾性構成材で一体構成される。
【0042】
クッション材1の全体形状は、底面、内側面、外側面がそれぞれ平坦面で構成されるため、装着時で膝を上に向けた場合、クッション材全体が自立安定して膝の向きを安定的に維持し、膝裏材が膝裏に当たると共に底部で安定接地する。一方、底面中央を除く残クッション材全体が軟弾性ウレタンフォーム材で構成されるため、装着状態のまま図3のように膝を傾けた場合や、図4のように横向きに側臥した場合には、接地面やもう一方の装着具によって容易に圧縮変形した状態となる。弾性変形部分(図3b、図4bのドット領域の部分)の弾性復帰力は比較的小さいため、装着時の違和感や、装着位置がずれたり回転したりすることがない。
【0043】
さらに図4(a)に示すように、クッション材1の上部の厚さは下部の厚さよりも小さく、側面視にて上窄まりの台形形状をなすため、両膝にそれぞれ装着したまま膝同士をずらすことで、左右の膝に装着した装着具が互いに干渉しない状態を容易に作り出すことができる(図4(a))。
【0044】
クッション材1の内側面には、ルーブ部56付きの弾性バンド51が縫合され、弾性バンド51の上部が先側に伸長してその端部55がクッション材の外側面寄りの上部に亘って、面ファスナー52,53によって面装着される。ループ部56はクッション材の内側角部に形成された環状布からなる。例えば、図2(a)に示すようなフォーク部6Eを先端に有した引掛け部材6をループ部56に挿入して引掛けて引き揚げるか吊るすことができる。
【0045】
(実施形態2の膝関節用装着具の構成)
実施形態2の膝関節用装着具の構成について、図5図7に示す各図面の例を参照して説明する。本発明の実施形態2の膝関節用装着具は、左右分離構成された対称形状の一対の略直方体形状のクッション材1からなる。各クッション材1は正面視縦長矩形、側面視台形からなり、底面、及び両側面12S,13Sが略平坦面からなる(図5図6図7)。
【0046】
正面視にて内側部材12の構成材幅12Wは外側部材13の構成材幅13Wよりも太い。外側部材13の構成材幅13Wの平均幅は、内側部材12の構成材幅12Wの120~150%の範囲内となるように設定される(図6)。
【0047】
また、クッション材1の正面から背面方向へ亘って、穴上部中央が開放(142E,143E)した上窄まりの装着穴10を有する。穴上部中央の開放部(142E,143E)の両側の上構成材142,143には、下方へ僅かに突出する内突出部41が形成される。装着穴10の穴上部の両角部には傾斜面を有する内突出部(42,43)が形成される。また、装着穴10の穴下部は、両角部がアール状に湾曲成形された略平坦面を有する。クッション材1の下部の厚さは上部の厚さよりも大きく設定され、側面視台形の外形をなすため、装着穴10においても、上部よりも下部のほうが大きい奥行きに設定される(図7a)。
【0048】
実施形態2の膝裏材2は、上面が半円状に突出した横向き半円柱形状の弾性体からなり、クッション材1の下構成材11の下部を横向き半円形状にくり抜いて接着されることで、クッション材1の下構成材11の下部に内蔵される。膝裏材2の下部は厚さ方向の弾性を有する底布11Bで覆われる。
【0049】
実施形態2の上構成材142、143は上面に覆布54が貼り合わされる。実施形態2の弾性バンド51はクッション材1の上面であって内角部の近傍にて、片側の覆布54と折り返し可能に一体連結される。弾性バンド51と覆布54との折り返し部をクッション材1の内側角部として、内側の上構成材142の外辺付近に固定されてなる(図5図6)。外側の上構成材143の上面に固定される面ファスナー53は、覆布54に埋め込まれて表面部のみが露出するように形成される(図5図6図7)。他の特記しない構成及び使用方法は実施形態1と同様である。
【0050】
(実施形態3の膝関節用装着具の構成)
実施形態3の膝関節用装着具の構成について、図8図12に示す各図面の例を参照して説明する。本発明の実施形態3の膝関節用装着具は、左右分離構成された対称形状の一対の略台形柱形状のクッション材1からなる。各クッション材1は正面視にて内側面が垂直に起立した片傾斜台形(図8)、側面視にて片側面が垂直に起立した片傾斜台形(図10)からなり、底面の幅及び奥行きがそれぞれ、上面の幅及び奥行きよりも2割~5割増しで大きく設定される。正面視にて外側面は上部から斜め外下方へ向かう外傾斜面からなり、外側面の上角部、下角部、及び内側面の上角部は円弧のアール面で形成される(図8)。
【0051】
実施形態3の装着穴10は上窄まりの2段穴形状からなる。具体的には、装着穴10は、正面視にて比較的広い下穴幅W101の横長長円形状からなる下部穴101と、比較的狭い上穴幅W102の略矩形形状からなる上部穴102と、が上下に連なって形成される(図10)。上部穴の左右の下角部は正面視四分の一円弧からなる内突出部42,43が形成される。内突出部42、43は一定曲率の曲面からなる凸面で斜め下方を向いて突出形成された弾性材からなり、装着状態で、膝の皿の両側部に弾性圧接する(図11d)。
【0052】
クッション材1の上構成材142、143はそれぞれ四角柱の先端部を有し、各先端には相互磁着するマグネット板145,146が設けられる。互いに対向した左右の上構成材142,143の各先端同士が面当接し、磁着連結によって連結されることで装着状態が維持される(図8)。
【0053】
実施形態3の半円柱の膝裏材2は下面が平坦面となっている。この平坦面は下構成材11の底面と平行で、クッション材1の底面の上部近傍に位置する。本実施形態の膝関節装着具を、伸展しきれずに少し曲がった状態の膝関節に装着したとき、膝裏材2の円柱状の湾曲凸面が、ひざ裏に均等にあたってひざ裏側にできる空間を塞ぐと共に、側面視にて凸状曲面の1点を中心とした領域が膝裏に接することで、膝関節装着具の側面視装着角度を安定させることができる(図12a)。また、左右の膝に一つずつ装着し、横向きの側臥姿勢になった場合でも、隣接する膝関節装着具に干渉して装着位置や装着角度がずれたりしにくいものとなっている(図12b)。
【0054】
また、クッション材1の内側面の上角部にはループベルト56が止めバンド57内に挿入されて正面視斜め上方を向いて設けられる。ループベルト56を持つか器具で引掛けて引き揚げたり吊るしたりすることができる。装着状態では例えば介護者が装着状態の装着具のループベルト56を掴むことで、装着者の膝の位置を動かすことができる(図12d、図12b参照)。
【0055】
装着穴10は下面が略平坦面からなると共に、装着穴の中央上部が弾性開放可能である。装着穴の下部は両隅部がアール状に湾曲成形された略平坦面を有し、上部よりも大きい奥行きとなっている。外側部材13の幅W13は内側部材12の幅W12よりも1.5倍程度大きく設定され、上構成材の幅は外側部材13の幅W13よりも大きく、かつ内側部材12の幅W12よりも小さく設定される。これにより、ループベルト56を掴んで内側方へ曲げて引っ張ることで、内側部材12が容易に弾性屈曲し、装着穴10の中央上部を弾性開放させることができる。他の特記しない構成及び使用方法は実施例と同様である。
【0056】
(実施形態4の膝関節用装着具の構成)
実施形態4の膝関節用装着具の構成について、図13に示す図面の例を参照して説明する。本発明の実施形態4の膝関節用装着具は、左右分離構成された対称形状の一対の略横長直方体形状のクッション材1からなる。各クッション材1は正面視にて横長長方形、側面視にて縦長長方形からなり、内側辺のクッション材の最小幅が、外側辺のクッション幅の最小幅の約半分に設定される。装着穴は正面視にて横長長円形状からなり、クッション材の上部寄り、かつ内側辺寄りに形成される。
【0057】
膝裏材2は剛体の横向き半円柱からなり、クッション材1の下構成材11の幅方向に亘って下部に収容される。半円柱形状の径すなわち奥行き方向の長さは、クッション材1の下構成材11の奥行きよりも30%程度小さく設定される。側面視片傾斜台形の垂直辺側の垂直面(図9の向かって下側の面)を前面としたとき、膝裏材2は、奥行き方向中央よりもやや前方寄りの位置に内蔵される。
【0058】
実施形態4の装着穴10は正面視横長円形状からなり、上部中央位置が左右に分かれて開放される。この開放部分では、内側の上構成材142の先端部と、外側の上構成材143の先端部とが互いに対向すると共に、各先端部は上方に突出した突出片592,593を有して、上方に面積拡大した大型の先端面を構成する。この互いに対向する大型の先端面の各面内には、互いに嵌め合わせ連結可能なスナップボタン62,63が設けられる。各スナップボタン62,63は、外側の上構成材143と内側の上構成材142とを弾性伸長させた弾性伸長状態にして緊結する。
【0059】
装着穴10の左右の上角部には、斜め下方へ球冠状に突出した内突出部43が一対装着される。内突出部43は具体的には、短円柱状のベース帯で周部を巻回された弾性材の半球体からなり、クッション材の装着穴の角部に埋め込み固定される。半球体の径は膝裏材の径よりも一回り小さく、装着者の膝の皿の両側部の点領域を指圧した状態で装着される。
【0060】
(実施形態5の膝関節用装着具の構成)
実施形態5の膝関節用装着具の構成について、図14図15に示す図面の例を参照して説明する。本発明の実施形態5の膝関節用装着具は、左右分離構成された対称形状の一対の平坦な略扁平球形状のクッション材本体の左右側部に、相互連結可能な弾性材の連結バンド112,113が固着されてなる。各クッション材本体は中央下部に、平坦な直方体の膝裏材2が収容される。
【0061】
膝裏材2は弾性係数がクッション材1の他の構成材よりも2倍~3倍の間に設定されたチップウレタン製の難圧縮性の弾性材からなり、軟弾性材のクッション材1の下部付近に収容される。連結バンド112,113は2連突形状からなる弾性の内突起421,431が先端付近の内面に突設され、装着時に膝の前面の両側部寄りに位置して圧接する(図15b)。
【0062】
上記各形態例の膝関節装着具を膝関節又は膝付近に装着することで、左右それぞれが地面に対して安定自立した装着状態となる。これにより、可動域が制限された膝関節を完全伸展状態としたときの負担、例えば仰向け状態での就寝時、又は伸屈座位の状態時、或いはこれらの状態から姿勢を変更したときや起き上がりのときに、干渉による動きの制限を最小限にとどめながら、膝関節にかかる負担を削減することができる。また、大腿後面(ハムストリングス)が硬い症状がある場合にも、膝関節又は膝付近に装着することで腰痛又は腰痛防止に寄与することができる。
【0063】
本発明の膝関節装着具の装着者として、変形性膝関節症など、膝の関節に障害、怪我、劣化などの状態異常をきたしている人、大腿後面(ハムストリング)が硬いなどの症状がある人等が挙げられるが、他の症状がある人や傷病者も装着者となり得る。仰向けになった状態、横向けになった状態のほか、ベッドや床の上で膝をやや伸ばして上体を起こして座った状態、椅子などに着座した状態のそれぞれで、膝に装着して安静時、就寝時又は治療時に使用することができる。また、装着者の左右の膝関節やその付近に一対装着して用いることが好ましいが、片側の膝にのみ装着することもできる。
【0064】
本発明によれば、膝裏を地面に正対させた正方向、略直交させた側方向のいずれも自立安定性があり、また、膝の皿の左右部分と膝裏ぜんたいの三領域の支持によって、装着状態で関節裏への膝関節装着具機能を維持することが可能となった。
【0065】
さらに、左右側部で厚さを可変させるとともに高弾性係数で易弾性収縮する素材を使用しているため、左右の両膝に一対で装着した場合でも互いの接触箇所、及び地面への設置個所で弾性圧縮変形し、装着時に違和感を生じにくいものとなった。
【0066】
上記のほか、実施例の各形態は各図又は明細書の説明に表わした内容に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更、一部構成要素の省略又は置換、一部構成要素群の抽出が可能である。
【符号の説明】
【0067】
装着穴(10)
下構成材(11)
内側部材(12)
外側部材(13)
上構成材(142,143)
膝裏材(2)
内突出部(41,42,43,431,432)
繋止具(51、52,53,145,146)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横臥・就寝時に両足の膝にそれぞれ巻いて装着可能な、左右一対の別体からなる装着穴付きのクッション材からなる膝関節用装着具であって、
前記クッション材は少なくとも、膝裏に対向する下構成材、膝の左右側部それぞれに対向する内側部材,及び外側部材で一体構成された弾性素材からなり、
クッション材の底部には、膝裏と対向する方向の底材の下端に、平坦な底部を有した棒状/板状の膝裏材が内蔵され、
前記膝裏材は、クッション材の下構成材、内側部材,外側部材の弾性素材よりも大きい弾性係数の弾性素材を有して構成され、
装着穴は、膝裏に対向する穴底部の穴幅よりも、ひざ頭に対向する穴上部の穴幅のほうが小さい上窄みの穴形状に成形され、かつ、穴底部が平坦に成形されてなり、
左右のクッション材が両膝にそれぞれ装着されたとき、左右それぞれの成形穴の穴上部が弾性変形した装着状態となることを特徴とする、膝関節用装着具。
【請求項2】
クッション材は、平坦な底面を有して膝裏に沿う下構成材と、下構成材の内側端部から屈曲して膝内側部に沿う内側部材と、下構成材の外側端部から屈曲して膝外側部に沿う外側部材と、内側部材及び外側部材の各上端から屈曲また環湾曲して膝前部に沿う上構成材とで一体構成された弾性素材からなり、
前記弾性素材は、
内部穴軸と正対する正面視にて、上構成材よりも下構成材の厚さがより大きく構成され、かつ、底部が平坦に構成された上下非対称形状からなると共に、
内側部材よりも外側部材の平均厚さがより大きく構成され、かつ底部が平坦に構成された左右非対称形状からなり、
左右の膝に一対装着し、膝裏材の底部を接地させた状態で、膝裏材を含む左右のクッション材全体がそれぞれ自立可能であることを特徴とする、請求項1に記載の膝関節用装着具。
【請求項3】
クッション材の弾性素材は、内部穴軸を左右方向とする側面視にて、上構成材よりも下構成材の厚さ及び奥行きがより大きく、かつ、底部が平坦な上下非対称形状からなることを特徴とする請求項1に記載の膝関節用装着具。
【請求項4】
クッション材の下構成材、内外側部材、及び上構成材で一体構成された弾性素材は低弾性の分散材を有さないフォーム材からなり、膝裏材の弾性素材は低弾性の分散材が分散構成されたチップ入りフォーム材からなることを特徴とする、請求項1に記載の膝関節用装着具。
【請求項5】
装着穴は、穴内の上部寄りの左右位置にそれぞれ、一つ又は一対以上の内突出部を有してなり、各穴の内突出部は下構成材方向又は穴中心方向を向いた突出形状からなり、装着状態では、各穴の内突出部が膝上部周辺の左右位置からそれぞれ弾性圧接すると共に、下構成材又は膝裏材が膝裏の左右方向に亘って圧接することを特徴とする、請求項1に記載の膝関節用装着具。
【請求項6】
装着穴は、膝表部寄りの装着位置が弾性開放可能であると共に、開放した左右の上構成材同士を近接方向に弾性繋止する繋止具が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の膝関節用装着具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
[1](左右一対のクッション材からなり、膝裏材を内蔵し、上窄みの装着穴を有する点)
横臥・就寝時に両足の膝にそれぞれ巻いて装着可能な、左右一対の別体からなる装着穴(10)付きのクッション材であって、
前記クッション材は少なくとも、膝裏に対向する下構成材(11)、膝の左右側部それぞれに対向する内側部材(12),及び外側部材(13)で一体構成された弾性素材からなり、
クッション材の底部には、膝裏と対向する方向の底材の下端に、平坦な底部を有した棒状/板状の膝裏材(2)が内蔵され、
前記膝裏材(2)は、クッション材の下構成材、内側部材(12),外側部材(13)の弾性素材よりも大きい弾性係数の弾性素材を有して構成され、クッション材の底面に近接した平坦な下面を有することを特徴とする。
また、前記装着穴は、膝裏に対向する穴底部の穴幅よりも、ひざ頭に対向する穴上部の穴幅のほうが小さい上窄みの穴形状に成形され、かつ、穴底部が平坦に成形されてなり、
左右のクッション材が両膝にそれぞれ装着されたとき、左右それぞれの成形穴の穴上部が弾性変形した装着状態となることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
例えばショア硬度30以下の軟弾性材からなり、装着者の足の重量に対して開放時の半分以下の厚さまで弾性圧縮する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
装着穴10の下部を構成するクッション材1の下構成材11には膝裏材2が内蔵され、膝関節に装着させて足をやや伸ばした状態において、この膝裏材2が膝裏と設置場所の床面との間に介在して干渉することで、膝関節への負担を低減する(図3)。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
クッション材1の底面を構成する下構成材11には、台形直方体のチップウレタン(チップ入りウレタンフォーム)からなる膝裏材2が、下構成材11の略半分以上の高さでかつ底面に接して内蔵される(図1図2)。膝裏材2は、下面が平坦面で構成され、クッション材1の底面と近接して平行配置されると共に、膝裏材2の構成材であるチップウレタンは圧縮変形しにくく、かつ、軟弾性ウレタンフォーム材からなるクッション材1の残重量よりも高重量の硬質弾性材からなる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
さらに、左右側部で厚さを可変させるとともに易弾性収縮する素材を使用しているため、左右の両膝に一対で装着した場合でも互いの接触箇所、及び地面への設置個所で弾性圧縮変形し、装着時に違和感を生じにくいものとなった。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横臥・就寝時に両足の膝にそれぞれ巻いて装着可能な、左右一対の別体からなる装着穴付きのクッション材からなる膝関節用装着具であって、
前記クッション材は少なくとも、膝裏に対向する下構成材、膝の左右側部それぞれに対向する内側部材,及び外側部材で一体構成された弾性素材からなり、
クッション材の底部には、膝裏と対向する方向の底材の下端に、平坦な底部を有した棒状/板状の膝裏材が内蔵され、
前記膝裏材は、クッション材の下構成材、内側部材,外側部材の弾性素材よりも大きい弾性係数の弾性素材を有して構成され、
装着穴は、膝裏に対向する穴底部の穴幅よりも、ひざ頭に対向する穴上部の穴幅のほうが小さい上窄みの穴形状に成形され、かつ、穴底部が平坦に成形されてなり、
左右のクッション材が両膝にそれぞれ装着されたとき、左右それぞれの成形穴の穴上部が弾性変形した装着状態となることを特徴とする、膝関節用装着具。
【請求項2】
クッション材は、平坦な底面を有して膝裏に沿う下構成材と、下構成材の内側端部から屈曲して膝内側部に沿う内側部材と、下構成材の外側端部から屈曲して膝外側部に沿う外側部材と、内側部材及び外側部材の各上端から屈曲また環湾曲して膝前部に沿う上構成材とで一体構成された弾性素材からなり、
前記弾性素材は、
内部穴軸と正対する正面視にて、上構成材よりも下構成材の厚さがより大きく構成され、かつ、底部が平坦に構成された上下非対称形状からなると共に、
内側部材よりも外側部材の平均厚さがより大きく構成され、かつ底部が平坦に構成された左右非対称形状からなり、
左右の膝に一対装着し、膝裏材の底部を接地させた状態で、膝裏材を含む左右のクッション材全体がそれぞれ自立可能であることを特徴とする、請求項1に記載の膝関節用装着具。
【請求項3】
クッション材の弾性素材は、内部穴軸を左右方向とする側面視にて、上構成材よりも下構成材の厚さ及び奥行きがより大きく、かつ、底部が平坦な上下非対称形状からなることを特徴とする請求項1に記載の膝関節用装着具。
【請求項4】
クッション材の下構成材、内外側部材、及び上構成材で一体構成された弾性素材は低弾性の分散材を有さないフォーム材からなり、膝裏材の弾性素材は低弾性の分散材が分散構成されたチップ入りフォーム材からなることを特徴とする、請求項1に記載の膝関節用装着具。
【請求項5】
装着穴は、穴内の上部寄りの左右位置にそれぞれ、一つ又は一対以上の内突出部を有してなり、各穴の内突出部は下構成材方向又は穴中心方向を向いた突出形状からなり、装着状態では、各穴の内突出部が膝上部周辺の左右位置からそれぞれ弾性圧接すると共に、下構成材又は膝裏材が膝裏の左右方向に亘って圧接することを特徴とする、請求項1に記載の膝関節用装着具。
【請求項6】
装着穴は、膝表部寄りの装着位置が弾性開放可能であると共に、開放した左右の上構成材同士を近接方向に弾性繋止する繋止具が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の膝関節用装着具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
[1](左右一対のクッション材からなり、膝裏材を内蔵し、上窄みの装着穴を有する点)
横臥・就寝時に両足の膝にそれぞれ巻いて装着可能な、左右一対の別体からなる装着穴(10)付きのクッション材であって、
前記クッション材は少なくとも、膝裏に対向する下構成材(11)、膝の左右側部それぞれに対向する内側部材(12),及び外側部材(13)で一体構成された弾性素材からなり、
クッション材の底部には、膝裏と対向する方向の底材の下端に、平坦な底部を有した棒状/板状の膝裏材(2)が内蔵され、
前記膝裏材(2)は、クッション材の下構成材、内側部材(12),外側部材(13)の弾性素材よりも大きい弾性係数の弾性素材を有して構成され、クッション材の底面に近接した平坦な下面を有することを特徴とする。
また、前記装着穴は、膝裏に対向する穴底部の穴幅よりも、ひざ頭に対向する穴上部の穴幅のほうが小さい上窄みの穴形状に成形され、かつ、穴底部が平坦に成形されてなり、
左右のクッション材が両膝にそれぞれ装着されたとき、左右それぞれの成形穴の穴上部が弾性変形した装着状態となることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
例えばショア硬度30以下の軟弾性材からなり、装着者の足の重量に対して開放時の半分以下の厚さまで弾性圧縮する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
クッション材1の底面を構成する下構成材11には、台形直方体のチップウレタン(チップ入りウレタンフォーム)からなる膝裏材2が、下構成材11の略半分以上の高さでかつ底面に接して内蔵される(図1図2)。膝裏材2は、下面が平坦面で構成され、クッション材1の底面と近接して平行配置されると共に、膝裏材2の構成材であるチップウレタンは、クッション材1の構成材である軟弾性ウレタンフォーム材と比べて圧縮変形しにくく、かつ、軟弾性ウレタンフォーム材からなるクッション材1の残重量よりも高重量の硬質弾性材からなる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
さらに、左右側部で厚さを可変させるとともに、易弾性収縮する素材を使用しているため、左右の両膝に一対で装着した場合でも互いの接触箇所、及び地面への設置個所で弾性圧縮変形し、装着時に違和感を生じにくいものとなった。