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特開2023-142343情報処理装置、金銭収納装置、会計システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142343
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、金銭収納装置、会計システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20230928BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G07G1/12 321C
G07G1/00 321Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049208
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板倉 克幸
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142BA04
3E142CA17
3E142FA48
3E142GA16
3E142GA32
3E142HA03
(57)【要約】
【課題】より簡素な構成の金銭収納装置に対するより簡易な制御で金銭を出し入れしやすくすることができる情報処理装置、金銭収納装置、会計システム、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】会計の内容に係る会計情報に基づいて、会計において客から支払われた金銭が貨幣のみであるという条件が満たされるか否かを判別し、条件が満たされると判別された場合には、紙幣が収納された紙幣収納部を開放させずに貨幣が収納された貨幣収納部を開放させる処理部を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
会計の内容に係る会計情報に基づいて、前記会計において客から支払われた金銭が貨幣のみであるという条件が満たされるか否かを判別し、
前記条件が満たされると判別された場合には、紙幣が収納された紙幣収納部を開放させずに貨幣が収納された貨幣収納部を開放させる
処理部を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、
前記会計情報に基づいて、前記会計において客から支払われた金銭の総額が、流通している紙幣の最小の額面価格未満であるか否かを判別し、
前記金銭の総額が、流通している紙幣の前記最小の額面価格未満であると判別された場合には、前記条件が満たされると判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記会計情報は、前記会計において客から支払われた金銭が貨幣のみであることを表すユーザ操作がなされたか否かに係る情報を含み、
前記処理部は、
前記会計情報に基づいて、前記ユーザ操作がなされたと判別された場合には、前記条件が満たされると判別する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記会計情報に基づいて、前記会計の決済方式が現金による決済であるか否かを判別し、
前記会計の決済方式が現金による決済であると判別され、かつ、前記条件が満たされないと判別された場合には、前記貨幣収納部及び前記紙幣収納部を開放させる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、
前記会計情報に基づいて、前記会計の決済方式が現金による決済であるか否かを判別し、
前記会計の決済方式が現金による決済以外の方式であると判別された場合には、前記貨幣収納部及び前記紙幣収納部を開放させない
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記貨幣収納部は、前記貨幣収納部及び前記紙幣収納部を有する金銭収納装置が水平面に載置されている載置状態において、前記紙幣収納部の鉛直方向下方に位置する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記貨幣収納部は、前記載置状態において水平となる向きの第1軸を中心に回動可能であり、
前記紙幣収納部は、前記載置状態において水平となる向きの第2軸を中心に回動可能であり、
前記処理部は、
前記貨幣収納部が閉じている状態から、前記第1軸を中心に回動させることで貨幣第1収納部を開放させ、
前記紙幣収納部が閉じている状態から、前記第2軸を中心に回動させることで前記紙幣収納部を開放させる
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記貨幣収納部と、
前記紙幣収納部と
を備えることを特徴とする金銭収納装置。
【請求項9】
貨幣が収納された貨幣収納部、及び紙幣が収納された紙幣収納部を有する金銭収納装置と、
会計の内容に係る会計情報に基づいて、前記会計において客から支払われた金銭が貨幣のみであるという条件が満たされるか否かを判別し、
前記条件が満たされると判別された場合には、前記紙幣収納部を開放させずに前記貨幣収納部を開放させる
処理部を有する情報処理装置と、
を備えることを特徴とする会計システム。
【請求項10】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
会計の内容に係る会計情報に基づいて、前記会計において客から支払われた金銭が貨幣のみであるという条件が満たされるか否かを判別し、
前記条件が満たされると判別された場合には、紙幣が収納された紙幣収納部を開放させずに貨幣が収納された貨幣収納部を開放させる
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
会計の内容に係る会計情報に基づいて、前記会計において客から支払われた金銭が貨幣のみであるという条件が満たされるか否かを判別する処理、
前記条件が満たされると判別された場合には、紙幣が収納された紙幣収納部を開放させずに貨幣が収納された貨幣収納部を開放させる処理、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、金銭収納装置、会計システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、会計において受け渡される金銭を収納する金銭収納装置が知られている。金銭収納装置では、会計時に金銭を出し入れしやすくするための種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、会計における釣銭の金額を算出し、釣銭が貨幣のみである場合に、釣銭の金額分の貨幣を自動的に払い出し、釣銭が紙幣を含む場合に、さらに紙幣収納部を自動的に開放する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-69570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、貨幣を自動的に払い出すための機構及び制御が必要となる。このため、装置の構成及び制御が複雑化し、装置の大型化や製造コストの上昇に繋がるという課題がある。
【0005】
この発明の目的は、より簡素な構成の金銭収納装置に対するより簡易な制御で金銭を出し入れしやすくすることができる情報処理装置、金銭収納装置、会計システム、情報処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置は、
会計の内容に係る会計情報に基づいて、前記会計において客から支払われた金銭が貨幣のみであるという条件が満たされるか否かを判別し、
前記条件が満たされると判別された場合には、紙幣が収納された収納部を開放させずに貨幣が収納された貨幣収納部を開放させる
処理部を備えることを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る金銭収納装置は、
前記情報処理装置と、
前記貨幣収納部と、
前記紙幣収納部と
を備えることを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る会計システムは、
貨幣が収納された貨幣収納部、及び紙幣が収納された紙幣収納部を有する金銭収納装置と、
会計の内容に係る会計情報に基づいて、前記会計において客から支払われた金銭が貨幣のみであるという条件が満たされるか否かを判別し、
前記条件が満たされると判別された場合には、前記紙幣収納部を開放させずに前記貨幣収納部を開放させる
処理部を有する情報処理装置と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理方法は、
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
会計の内容に係る会計情報に基づいて、前記会計において客から支払われた金銭が貨幣のみであるという条件が満たされるか否かを判別し、
前記条件が満たされると判別された場合には、紙幣が収納された紙幣収納部を開放させずに貨幣が収納された貨幣収納部を開放させる
ことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、
コンピュータに、
会計の内容に係る会計情報に基づいて、前記会計において客から支払われた金銭が貨幣のみであるという条件が満たされるか否かを判別する処理、
前記条件が満たされると判別された場合には、紙幣が収納された紙幣収納部を開放させずに貨幣が収納された貨幣収納部を開放させる処理、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より簡素な構成の金銭収納装置に対するより簡易な制御で金銭を出し入れしやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】会計システムの構成を示す図である。
図2】下段ドロア及び上段ドロアが開放された状態の金銭収納装置を示す図である。
図3】上段ドロアが閉じられ、下段ドロアが開放された状態の金銭収納装置を示す図である。
図4】閉状態における下段ドロア及び上段ドロアを+X方向から見た図である。
図5】下段開放状態における下段ドロア及び上段ドロアを+X方向から見た図である。
図6】全開放状態における下段ドロア及び上段ドロアを+X方向から見た図である。
図7】情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図8】金銭収納装置の機能構成を示すブロック図である。
図9】商品登録画面の例を示す図である。
図10】決済画面の例を示す図である。
図11】貨幣決済ボタンにより貨幣限定条件が判別される場合の決済画面の例を示す図である。
図12】会計処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
<会計システムの概要>
図1は、会計システム100の構成を示す図である。
本実施形態の会計システム100は、情報処理装置1及び金銭収納装置2を備える。会計システム100は、客に商品を販売したりサービスを提供したりする店舗などに設けられる。会計システム100のユーザは、例えば店舗の店員である。
【0015】
金銭収納装置2は、店舗に設置されて会計に用いられる。金銭収納装置2は、会計に係る情報の表示、及びレシート等の印刷を行う表示印字部25と、貨幣(硬貨)が収納された下段ドロア26(貨幣収納部)と、紙幣が収納された上段ドロア27(紙幣収納部)などを備える。図1では、下段ドロア26及び上段ドロア27が閉じられた状態(以下、「閉状態」と記す)の金銭収納装置2が描かれている。
【0016】
情報処理装置1は、会計システム100のユーザが所持して操作する端末装置であり、本実施形態ではスマートフォンである。ただし、これに限られず、情報処理装置1は、タブレット型端末、ノート型のPC(パーソナルコンピュータ)、又は据置型のPC等であってもよい。情報処理装置1は、金銭収納装置2との間で無線又は有線によるデータ通信(本実施形態では、ブルートゥース(登録商標)による近距離無線通信)が可能である。情報処理装置1には、会計に係る各種処理を実行するためのアプリケーションプログラム(プログラム;以下、「会計アプリ131(図7参照)」と記す)がインストールされている。情報処理装置1は、会計アプリ131上で(すなわち、会計アプリ131が実行されている状態において)、ユーザ操作に応じて、会計の対象となる商品の登録、及び代金の決済等の処理を実行する。また、情報処理装置1は、これらの処理の実行と並行して、金銭収納装置2に制御信号を送信し、実行中の処理の状況に応じた各種動作を行うように金銭収納装置2を制御する。
【0017】
例えば、情報処理装置1は、金銭収納装置2に制御信号を送信することで、表示印字部25により、会計に係る各種情報を表示させたり、レシートを印刷させたりする。
また、情報処理装置1は、金銭収納装置2に制御信号を送信することで、下段ドロア26及び/又は上段ドロア27を開放させる。これにより、金銭収納装置2への金銭の出し入れが必要な状況下で自動的に下段ドロア26及び/又は上段ドロア27が開放され、ユーザは、預かり金(会計において客から支払われた金銭)を収納したり、釣銭を取り出して客に渡したりすることができる。下段ドロア26及び/又は上段ドロア27の開放動作の制御の詳細については後述する。
【0018】
<金銭収納装置の構成>
以下、図1図6を参照して金銭収納装置2の構成について詳細に説明する。
このうち図2は、下段ドロア26及び上段ドロア27が開放された状態(以下、「全開放状態」と記す)の金銭収納装置2を示す図である。
また、図3は、上段ドロア27が閉じられ、下段ドロア26が開放された状態(以下、「下段開放状態」と記す)の金銭収納装置2を示す図である。
【0019】
図1図3に示すように、金銭収納装置2は、筐体24を有し、この筐体24に、上述した表示印字部25、下段ドロア26が取り付けられている。
筐体24は、略矩形状の底面Saと、底面Saがなす略矩形状における対向する2辺に連なり底面Saに垂直な略等脚台形状の2つの側面Sb、Scと、側面Sb、Scがなす台形の上底同士に連なる略矩形の上面Sdと、側面Sb、Scがなす台形の斜辺同士に連なる前面Seと、を有する。このうち前面Seは、会計時に客に向かう面である。筐体24には、上面Sdから前面Seにかけて開口を有する凹部242が設けられており、表示印字部25は、凹部242に嵌合するように筐体24に着脱可能に装着されている。ただし、これに限られず、表示印字部25は、筐体24に固定されていてもよい。筐体24のうち前面Seとは反対側(背面側)は開口部241となっており、この開口部241に、下段ドロア26及び上段ドロア27が設けられている。
【0020】
以下では、底面Saに垂直、かつ図1における上方向に向かう方向をZ方向とする。また、Z方向及び側面Sb、Scに垂直、かつ側面Sbから側面Scに向かう方向をX方向とする。また、X方向及びZ方向に垂直、かつ前面Seから開口部241に向かう方向をY方向とする。X方向及びY方向は、金銭収納装置2が水平面に載置されている載置状態において水平となる。筐体24のうちの、Y方向について中央より-Y方向側に、凹部242及び表示印字部25が設けられている。また、筐体24のうちの、Y方向について中央より+Y方向側に、下段ドロア26及び上段ドロア27が設けられている。
【0021】
表示印字部25は、会計に係る情報を表示する表示部251(図8参照)と、レシート等を印刷する印字部252(図8参照)とを有する。表示部251は、前面Se側に図示しない表示画面を有する。表示部251は、例えば液晶ディスプレイとすることができるが、これに限られない。印字部252は、例えば、感熱紙である印字紙に対して熱を加えることにより印字するサーマルヘッドを有する。
【0022】
下段ドロア26は、金銭収納装置2が水平面に載置されている載置状態において、上段ドロア27の鉛直方向下方に位置する。下段ドロア26は、X方向に平行な第1軸26aを中心に回動する。この回動は、第1軸26aを中心とする双方向の回転を含む。下段ドロア26は、図2及び図3に示すように、第1開口部26bを有し、第1軸26aを中心に回動することにより、上段ドロア27と第1開口部26bとの位置関係を変化させて第1開口部26bを開閉させることが可能である。第1開口部26bが開いている状態において、第1開口部26bから貨幣を投入することで下段ドロア26の内部に貨幣を収納することができる。また、収納された貨幣を第1開口部26bから取り出すことができる。本明細書では、第1開口部26bが開くように下段ドロア26を回動させることを、「下段ドロア26を開放させる」と記し、第1開口部26bが閉じるように下段ドロア26を回動させることを、「下段ドロア26を閉じる」と記す。
【0023】
図2及び図3に示すように、下段ドロア26の内部には、仕切板262によって互いに仕切られた6つの貨幣収納領域261a~261fが設けられている。また、下段ドロア26には、紙幣を収納するための領域が設けられていない。本実施形態では、貨幣収納領域261a~261fがX方向に沿って一列に並んでいる。ただし、これに限られず、例えば貨幣収納領域261a~261fが2行3列等のマトリクス状に並んでいる構成などとしてもよい。6つの貨幣収納領域261a~261fには、それぞれ、6種類の貨幣Ca~Cfのうちの1種類が収納される。日本国で流通している貨幣は6種類であるため、金銭収納装置2を日本国で用いる場合には、下段ドロア26に全種類の貨幣を収納することができる。例えば、貨幣収納領域261a~261fに、順に、貨幣Caとしての1円貨幣、貨幣Cbとしての5円貨幣、貨幣Ccとしての10円貨幣、貨幣Cdとしての50円貨幣、貨幣Ceとしての100円貨幣、及び貨幣Cfとしての500円貨幣を収納することができる。貨幣を種類別に収納できるように、貨幣収納領域261の数は、金銭収納装置2を使用する国において流通している貨幣の種類の数と同一か、当該数以上とすることが好ましい。下段ドロア26は、着脱可能な内部ケースを有していてもよく、この内部ケースに貨幣収納領域261a~261fが設けられていてもよい。これにより、貨幣を内部ケースごと下段ドロア26から取り出すことができる。仕切板262は、下段ドロア26が閉じているとき、及び開放されているときのいずれにおいても、貨幣収納領域261a~261fの各々に収納された貨幣が隣接する領域に混入しないような高さ及び形状で設けられている。なお、図3では、貨幣収納領域261a~261f及び仕切板262の構造を見やすくするために、貨幣Ca~Cfの記載を省略している。
【0024】
上段ドロア27は、第1軸26aに平行な第2軸27aを中心に回動する。この回動は、第2軸27aを中心とする双方向の回転を含む。上段ドロア27は、図2に示すように、第2開口部27bを有し、第2軸27aを中心に回動することにより、第2開口部27bを塞ぐ部材(ここでは、筐体24のうちの上面Sdをなす部分)と第2開口部27bとの位置関係を変化させて第2開口部27bを開閉させることが可能である。第2開口部27bが開いている状態において、第2開口部27bから紙幣や金券を投入することで上段ドロア27の内部に紙幣や金券を収納することができる。また、収納された紙幣や金券を第2開口部27bから取り出すことができる。本明細書では、第2開口部27bが開くように上段ドロア27を回動させることを、「上段ドロア27を開放させる」とも記し、第2開口部27bが閉じるように上段ドロア27を回動させることを、「上段ドロア27を閉じる」とも記す。
【0025】
図2に示すように、上段ドロア27の内部には、仕切板272によって互いに仕切られた3つの紙幣収納領域271a~271cと、商品券等の金券などを収納可能な金券収納領域273とが設けられている。また、上段ドロア27には、貨幣を収納するための領域が設けられていない。紙幣収納領域271a~271cは、紙幣を、長手方向がX方向に略平行となるような向きで収納することができるようになっている。本実施形態では、紙幣収納領域271a~271cがZ方向に積層されており、3つの紙幣収納領域271a~271cの+X方向側に、X方向に垂直な仕切板272により仕切られた1つの金券収納領域273が設けられている。ただし、これに限られず、例えば紙幣収納領域271a~271c及び金券収納領域273がX方向に配列されていてもよい。3つの紙幣収納領域271a~271cには、それぞれ、3種類の紙幣Ba~Bcのうちの1種類が収納される。例えば、紙幣収納領域271a~271cに、順に、紙幣Baとしての千円札、紙幣Bbとしての五千円札、及び紙幣Bcとしての一万円札を収納することができる。なお、紙幣収納領域271をもう一段設けて、二千円札を収納可能としてもよい。紙幣を種類別に収納できるように、紙幣収納領域271の数は、金銭収納装置2を使用する国において流通している紙幣の種類の数と同一か、当該数以上とすることが好ましい。上段ドロア27は、着脱可能な内部ケースを有していてもよく、この内部ケースに紙幣収納領域271及び/又は金券収納領域273が設けられていてもよい。これにより、紙幣及び/又は金券を内部ケースごと上段ドロア27から取り出すことができる。紙幣収納領域271a~271c及び金券収納領域273は、上段ドロア27が閉じているとき、及び開放されているときのいずれにおいても、収納された紙幣や金券がこぼれないような形状で設けられている。
【0026】
下段ドロア26及び上段ドロア27は、図1に示す閉状態にあるときには、回動不能な保持状態とされている(ロックされている)。金銭収納装置2は、情報処理装置1から、下段ドロア26のロックを解除するための制御信号を受信すると、下段ドロア26を、回動可能な保持解除状態に切り替える(すなわち、下段ドロア26のロックを解除する)。また、金銭収納装置2は、情報処理装置1から、上段ドロア27のロックを解除するための制御信号を受信すると、上段ドロア27を、回動可能な保持解除状態に切り替える(すなわち、上段ドロア27のロックを解除する)。下段ドロア26及び上段ドロア27は、後述するトーションばね(図示略)により、開放される方向に付勢されている。よって、下段ドロア26及び上段ドロア27は、保持状態から保持解除状態に切り替えられると、トーションばねの付勢力により、開放される方向に自動的に回動する。下段ドロア26及び上段ドロア27には、このときの回動の勢いが付き過ぎないように負荷を与える図示しないダンパーが設けられており、これらのダンパーの作用によって、回動の速度が一定以下の速度に保たれるようになっている。保持状態と保持解除状態との間の切り替えは、ロック切替機構28(図4~6、8参照)により行われる。
【0027】
以下、保持解除状態に切り替わったときに下段ドロア26及び上段ドロア27を回動させるための構成、及びロック切替機構28の構成について説明する。
図4は、閉状態における下段ドロア26及び上段ドロア27を+X方向から見た図である。
図5は、下段開放状態における下段ドロア26及び上段ドロア27を+X方向から見た図である。
図6は、全開放状態における下段ドロア26及び上段ドロア27を+X方向から見た図である。
【0028】
図4に示すように、下段ドロア26は、X方向に延びる軸部材264を有する。軸部材264は、筐体24に対して回動可能な状態で筐体24に取り付けられている。これにより、下段ドロア26は、軸部材264の中心軸に相当する第1軸26aを中心に回動することができる。図4に示す閉状態では、下段ドロア26の第1底面267が、XY平面に平行な筐体24の内部底面243(図1参照)に当接している。下段ドロア26は、第1底面267とは角度が異なる第2底面268をさらに有する。第2底面268は、図5に示す下段開放状態において内部底面243に当接する。
【0029】
下段ドロア26の側壁の外面(+X方向に向く面)には、軸部材264の近傍にトーションばね収納部265が設けられている。トーションばね収納部265には、図示しないトーションばねが、下段ドロア26の側壁に付勢力を及ぼす状態で格納されている。トーションばねが側壁に及ぼす付勢力の向きは、第1開口部26bが開く方向に下段ドロア26を回動させる向きである。
【0030】
下段ドロア26には、閉状態において第1底面267の-Y方向側の端部から-Y方向に延びる第1突起部266が設けられている。閉状態では、第1突起部266は、ロック切替機構28が有する第1保持部材281により、+Z方向への移動が規制されるように保持されている。すなわち、下段ドロア26は、トーションばねによる付勢に抗して第1保持部材281によりロックされている。
【0031】
また、図4に示すように、上段ドロア27は、X方向に延びる軸部材274を有する。軸部材274は、筐体24に対して回動可能な状態で筐体24に取り付けられている。これにより、上段ドロア27は、軸部材274の中心軸に相当する第2軸27aを中心に回動することができる。
【0032】
上段ドロア27の側壁の外面(+X方向に向く面)には、軸部材274の近傍にトーションばね収納部275が設けられている。トーションばね収納部275には、図示しないトーションばねが、上段ドロア27の側壁に付勢力を及ぼす状態で格納されている。トーションばねが側壁に及ぼす付勢力の向きは、第2開口部27bが開く方向に上段ドロア27を回動させる向きである。
【0033】
上段ドロア27のうち、閉状態において-Y方向に向く背壁面には、-Y方向に延びる第2突起部276が設けられている。閉状態では、第2突起部276は、ロック切替機構28が有する第2保持部材282により、+Z方向への移動が規制されるように保持されている。すなわち、下段ドロア26は、トーションばねによる付勢に抗して第2保持部材282によりロックされている。
【0034】
ロック切替機構28は、第1保持部材281と、第2保持部材282と、第1保持部材281を駆動する第1保持部材駆動部283と、第2保持部材282を駆動する第2保持部材駆動部284と、を有する。
【0035】
第1保持部材281及び第2保持部材282は、+Y方向に延びる棒状の部材である。第1保持部材281の-Y方向側の端部は、第1保持部材駆動部283に取り付けられており、第2保持部材282の-Y方向側の端部は、第2保持部材駆動部284に取り付けられている。第1保持部材281及び第2保持部材282の+Y方向側の先端近傍は、先端に近いほど+Z方向の高さが減少するようなテーパー部となっている。図4に示すように、第1保持部材281は、閉状態において、+Y方向の先端部における-Z方向に向く面が、下段ドロア26の第1突起部266の+Z方向に向く面に係合することにより、下段ドロア26を閉状態に保持する。また、第2保持部材282は、閉状態において、+Y方向の先端部における-Z方向に向く面が、上段ドロア27の第2突起部276の+Z方向に向く面に係合することにより、上段ドロア27を閉状態に保持する。図4に示す第1保持部材281及び第2保持部材282の位置を、以下では「係合位置」と記す。第1保持部材281及び第2保持部材282は、図示しない付勢部材(例えば、第1保持部材281及び第2保持部材282の周りに巻き回された圧縮コイルばね)によって+Y方向に付勢されており、図示しないストッパーにより係合位置で係止されている。
【0036】
第1保持部材駆動部283は、第1保持部材281をY方向に沿って移動させる図示略のソレノイドを有する。ソレノイドは、第1保持部材281に固定されY方向に延びる棒状の鉄心と、鉄心の-Y方向側に設けられた固定磁極と、鉄心及び固定磁極の周りに設けられたコイルと、コイルに駆動電流を流す回路と、を有する。コイルに駆動電流が流れると、鉄心が磁化されて固定磁極に向かって-Y方向に移動する。これにより、鉄心に繋がる第1保持部材281が、付勢部材による付勢力に抗して-Y方向に移動する。
【0037】
同様に、第2保持部材駆動部284は、第2保持部材駆動部284をY方向に沿って移動させる図示略のソレノイドを有する。ソレノイドは、第2保持部材282に固定されY方向に延びる棒状の鉄心と、鉄心の-Y方向側に設けられた固定磁極と、鉄心及び固定磁極の周りに設けられたコイルと、コイルに駆動電流を流す回路と、を有する。コイルに駆動電流が流れると、鉄心が磁化されて固定磁極に向かって-Y方向に移動する。これにより、鉄心に繋がる第2保持部材282が、付勢部材による付勢力に抗して-Y方向に移動する。
【0038】
図4に示す状態から、第1保持部材駆動部283のソレノイドに駆動電流が供給されて第1保持部材281が-Y方向に移動すると、図5に示すように、第1保持部材281と第1突起部266との係合が解除される。これにより、下段ドロア26は、回動可能な保持解除状態となり、トーションばねの付勢力によって、第2底面268が筐体24の内部底面243に当接するまで回動する。これにより、図5に示す下段開放状態となる。
【0039】
図5に示す下段開放状態から、第2保持部材駆動部284のソレノイドに駆動電流が供給されて第2保持部材282が-Y方向に移動すると、図6に示すように、第2保持部材282と第2突起部276との係合が解除される。これにより、上段ドロア27は、回動可能な保持解除状態となり、トーションばねの付勢力によって、図示しないストッパーにより係止されるまで回動する。これにより、図6に示す全開放状態となる。
なお、図4に示す閉状態から、第1保持部材281及び第2保持部材282をともに-Y方向に移動させて下段ドロア26及び上段ドロア27を保持解除状態に切り替えることで、閉状態から図6に示す全開放状態に直接遷移させることができる。
【0040】
下段ドロア26の回動が開始された後に第1保持部材駆動部283のコイルへの駆動電流の供給が停止されると、鉄心の磁化が解消され、第1保持部材281が付勢部材の付勢力により+Y方向に移動して係止位置に復帰する。同様に、上段ドロア27の回動が開始された後に第2保持部材駆動部284のコイルへの駆動電流の供給が停止されると、鉄心の磁化が解消され、第2保持部材282が付勢部材の付勢力により+Y方向に移動して係止位置に復帰する。
【0041】
開放状態の下段ドロア26を、開放時とは逆方向に押圧することで、下段ドロア26を閉じることができる。下段ドロア26を閉じる方向に押圧すると、下段ドロア26の第1突起部266の-Z方向に向いた面が、第1保持部材281の先端のテーパー部における+Z方向に向いた面に当接し、付勢部材の付勢力に抗して第1保持部材281を-Y方向に押圧する。第1突起部266が第1保持部材281よりも-Z方向側まで移動すると、第1保持部材281の第1突起部266による押圧が解除されて、付勢部材の付勢力により第1保持部材281が+Y方向に係合位置まで移動する。これにより、第1突起部266が第1保持部材281に係合し、保持状態となる。
【0042】
同様に、開放状態の上段ドロア27を、開放時とは逆方向に押圧することで、上段ドロア27を閉じることができる。上段ドロア27を閉じる方向に押圧すると、上段ドロア27の第2突起部276の-Z方向に向いた面が、第2保持部材282の先端のテーパー部における+Z方向に向いた面に当接し、付勢部材の付勢力に抗して第2保持部材282を-Y方向に押圧する。第2突起部276が第2保持部材282よりも-Z方向側まで移動すると、第2保持部材282の第2突起部276による押圧が解除されて、付勢部材の付勢力により第2保持部材282が+Y方向に係合位置まで移動する。これにより、第2突起部276が第2保持部材282に係合し、保持状態となる。
【0043】
このようにして、ロック切替機構28は、下段ドロア26及び上段ドロア27の状態を、保持状態及び保持解除状態との間で切り替える。
なお、停電や故障などにより第1保持部材駆動部283及び第2保持部材駆動部284による電気的な制御が不能となった場合に、下段ドロア26及び上段ドロア27を開放させることができるように、第1保持部材281及び第2保持部材282を手動で移動させることが可能となっていてもよい。例えば、第1保持部材281及び第2保持部材282に取り付けられ、筐体24の外部(例えば底面Sa)に露出した保持部材を、ユーザが-Y方向に移動させることで、第1保持部材281及び第2保持部材282を-Y方向に移動させることが可能となっていてもよい。
【0044】
<情報処理装置の機能構成>
図7は、情報処理装置1の機能構成を示すブロック図である。
情報処理装置1は、CPU11(Central Processing Unit)と、RAM12(Random Access Memory)と、記憶部13と、表示部14と、操作部15と、通信部16と、バス1bなどを備える。情報処理装置1の各部は、バス1bを介して接続されている。
【0045】
CPU11は、記憶部13に記憶されている会計アプリ131等のプログラムを読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、情報処理装置1の動作を制御するプロセッサ(処理部)である。なお、情報処理装置1は、複数のプロセッサ(例えば、複数のCPU)を有していてもよく、本実施形態のCPU11が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合には、複数のプロセッサにより処理部が構成される。この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0046】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0047】
記憶部13は、コンピュータとしてのCPU11により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、会計アプリ131等のプログラム及び各種データを記憶する。記憶部13は、例えばSSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを含む。会計アプリ131等のプログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部13に格納されている。記憶部13に記憶されるデータとしては、会計の内容に係る会計データ132がある。会計データ132には、会計対象として登録された商品やサービスに係る情報(商品名、商品コード及び価格等)、登録された商品の価格を加算した小計の金額、客から預かった預かり金、小計及び預かり金の金額から算出された釣銭の金額などが会計時に記憶される。会計データ132に含まれる情報は、「会計の内容に係る会計情報」の一態様である。
【0048】
表示部14は、液晶ディスプレイなどの表示装置を備え、CPU11からの表示制御信号に従って表示装置において各種表示を行う。
【0049】
操作部15は、表示部14の表示画面に重ねられて設けられたタッチパネル、物理ボタン、マウスなどのポインティングデバイス、及びキーボードなどの入力装置のうち少なくとも1つを有し、入力装置に対する入力操作に応じた操作情報をCPU11に出力する。本実施形態の情報処理装置1は、入力装置としてタッチパネルを有する。
【0050】
通信部16は、ネットワークカード又は通信モジュール等により構成され、金銭収納装置2との間で所定の通信規格(本実施形態ではブルートゥース)に従ってデータの送受信を行う。
【0051】
<金銭収納装置の機能構成>
図8は、金銭収納装置2の機能構成を示すブロック図である。
金銭収納装置2は、CPU21と、RAM22(Random Access Memory)と、記憶部23と、表示部251及び印字部252を有する表示印字部25と、第1保持部材駆動部283及び第2保持部材駆動部284を有するロック切替機構28と、通信部29と、バス2bなどを備える。金銭収納装置2の各部は、バス2bを介して接続されている。
【0052】
CPU21は、記憶部23に記憶されているプログラム231を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、金銭収納装置2の動作を制御するプロセッサである。なお、金銭収納装置2は、複数のプロセッサ(例えば、複数のCPU)を有していてもよく、本実施形態のCPU21が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0053】
CPU21は、通信部29を介して情報処理装置1から、表示印字部25に表示や印刷を行わせるための制御信号を受信すると、表示印字部25に対して表示部251による表示や印字部252による印刷を行わせるための制御信号を出力する。
また、CPU21は、通信部29を介して情報処理装置1から、下段ドロア26及び/又は上段ドロア27のロックを解除するための制御信号を受信すると、ロック切替機構28に対して、第1保持部材駆動部283及び/又は第2保持部材駆動部284のソレノイドを動作させるための制御信号を出力する。
【0054】
RAM22は、CPU21に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0055】
記憶部23は、コンピュータとしてのCPU21により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、プログラム231及び各種データを記憶する。記憶部23は、例えばSSD等の不揮発性メモリを含む。プログラム231は、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部23に格納されている。
【0056】
表示印字部25は、CPU21から送信された制御信号に従って、表示部251により各種情報の表示を行わせ、印字部252によりレシート等を印刷させる。
【0057】
ロック切替機構28は、CPU21から送信された制御信号に従って、第1保持部材駆動部283のソレノイドに駆動電流を供給して第1保持部材281を-Y方向に移動させ、第2保持部材駆動部284のソレノイドに駆動電流を供給して第2保持部材282を-Y方向に移動させる。
【0058】
通信部29は、ネットワークカード又は通信モジュール等により構成され、情報処理装置1との間で所定の通信規格(本実施形態ではブルートゥース)に従ってデータの送受信を行う。
【0059】
<会計システムの動作>
次に、会計システム100の、会計時の動作について説明する。
会計時には、情報処理装置1の表示部14に、会計対象の商品やサービスを登録するための商品登録画面14aが表示される。
【0060】
図9は、商品登録画面14aの例を示す図である。
商品登録画面14aには、情報表示領域141と、ホームボタン142と、商品登録ボタン143と、メニュー切替ボタン144と、会計ボタン145などが表示されている。このうち、ホームボタン142、商品登録ボタン143、メニュー切替ボタン144、及び会計ボタン145を選択する操作(各ボタンに対応する位置への指等の接触操作)を行うことで、各ボタンに対応する処理を実行させることができる。図9に示す商品登録画面14aは例示であり、これに限られない。
【0061】
情報表示領域141には、登録された商品の名称、価格、会計の小計、預かり金の金額(図10参照)、及び釣銭の金額(図10参照)といった、会計に係る各種情報が表示される。
ホームボタン142を選択する操作を行うことで、図示しない所定のホーム画面に遷移させることができる。
商品登録ボタン143は、店舗において提供している複数の商品に対応して複数設けられている。いずれかの商品登録ボタン143を選択する操作を行うことで、選択した商品登録ボタン143に対応付けられている商品を、会計の対象商品として登録することができる。登録された商品の商品名及び価格は、情報表示領域141に表示される。図9に示す例では、単価590円の「単品A」、及び単価290円の「ドリンクB」が、会計対象の商品として登録されている。また、商品登録ボタン143を選択する操作が行われると、登録された商品に係る情報(商品名、商品コード及び価格等)が、会計データ132に記憶される。
メニュー切替ボタン144を選択する操作を行うことで、商品登録画面14aに表示させる商品登録ボタン143を、別の商品の商品登録ボタン143に切り替えることができる。すなわち、商品登録ボタン143のページを切り替えることができる。
会計ボタン145を選択する操作を行うことで、商品の登録を終了し、会計の締め操作を行う決済画面14bに遷移させることができる。また、会計ボタン145を選択する操作が行われると、会計対象として登録された商品の価格を加算した小計の金額が算出され、会計データ132に記憶される。
【0062】
図10は、決済画面14bの例を示す図である。
決済画面14bには、情報表示領域141と、ホームボタン142と、テンキー146と、現金決済ボタン147と、貨幣決済ボタン148と、キャッシュレス決済ボタン149などが表示されている。このうちホームボタン142、テンキー146、現金決済ボタン147、貨幣決済ボタン148、及びキャッシュレス決済ボタン149を選択する操作を行うことで、各ボタンに対応する処理を実行させることができる。図10に示す決済画面14bは例示であり、これに限られない。
【0063】
テンキー146は、例えば、現金による決済を行う場合に、客から預かった預かり金の金額を入力するために用いられる。
現金決済ボタン147は、現金による代金の決済を実行する場合、すなわち、会計の決済方式が現金による決済である場合に選択される。
貨幣決済ボタン148は、貨幣のみを含む現金による代金の決済を実行する場合に選択される。
キャッシュレス決済ボタン149は、会計の決済方式が現金による決済以外のキャッシュレス決済方式である場合に選択される。図10の決済画面14bでは、クレジットカードによる決済を行う「クレジット」、各種電子マネーによる決済を行う「電子マネー」、及びQRコード(登録商標)による決済を行う「QR」の3つのキャッシュレス決済ボタン149が表示されている。これらのうちいずれかのキャッシュレス決済ボタン149を選択する操作を行うことで、対応するキャッシュレス決済方式による代金の決済を実行することができる。
テンキー146、現金決済ボタン147、貨幣決済ボタン148及びキャッシュレス決済ボタン149を選択する操作に応じて、会計の決済方式や預かり金の金額に係る情報がCPU11に送信される。これらの会計の決済方式や預かり金の金額に係る情報は、「会計の内容に係る会計情報」の一態様である。また、「会計情報」は、預かり金が貨幣のみであることを表すユーザ操作(貨幣決済ボタン148を選択する操作)がなされたか否かに係る情報を含む。
【0064】
テンキー146により預かり金が入力された状態で現金決済ボタン147を選択する操作を行うことで、現金による代金の決済を行うことができる。現金決済ボタン147が選択されると、会計データ132に記憶されている小計の金額、及び預かり金の金額に基づいて、釣銭の金額が算出されて情報表示領域141に表示される。また、預かり金及び釣銭の金額が会計データ132に記憶される。また、客との間で受け渡される金銭の種類に応じて、金銭収納装置2の下段ドロア26及び/又は上段ドロア27が開放される。
【0065】
詳しくは、情報処理装置1のCPU11により、会計において客から支払われた金銭(預かり金)が貨幣のみであるという条件(以下、「貨幣限定条件」と記す)が満たされるか否かが判別される。貨幣限定条件が満たされる場合には、会計において受け渡される金銭、すなわち、客から支払われて受け取る金銭、及び客に渡す釣銭が、貨幣のみとなる。このため、貨幣限定条件が満たされると判別された場合には、情報処理装置1から金銭収納装置2に制御信号が送信されて、金銭収納装置2の上段ドロア27が閉じられた状態のまま、下段ドロア26のみが開放される。これにより、金銭収納装置2は、下段開放状態となる。この状態で、ユーザは、客から預かった預かり金を下段ドロア26に収納し、下段ドロア26から釣銭を取り出して客に渡すことができる。
【0066】
また、貨幣限定条件が満たされないと判別された場合、すなわち、会計において紙幣が受け渡される可能性があると判別された場合には、情報処理装置1から金銭収納装置2に制御信号が送信されて、金銭収納装置2の下段ドロア26及び上段ドロア27が開放される。これにより、金銭収納装置2は、全開放状態となる。この状態で、ユーザは、客から預かった預かり金を下段ドロア26及び上段ドロア27に収納し、下段ドロア26及び上段ドロア27から釣銭を取り出して客に渡すことができる。
【0067】
貨幣限定条件が満たされているか否かを判別する方法としては、以下の第1の方法及び第2の方法が挙げられる。
【0068】
第1の方法は、会計において客から預かった預かり金の総額が、流通している紙幣の最小の額面価格(日本国では、千円)未満であるか否かに基づいて判別する方法である。
預かり金の総額が紙幣の最小の額面価格未満である場合には、貨幣限定条件が満たされると判別される。預かり金の総額が紙幣の最小の額面価格未満である場合には、預かり金に紙幣が含まれることがなく、かつ、釣銭に紙幣が含まれることもないためである。
一方、預かり金の総額が紙幣の最小の額面価格以上である場合には、貨幣限定条件が満たされないと判別される。預かり金の総額が紙幣の最小の額面価格以上である場合には、預かり金に紙幣が含まれている可能性があり、かつ、釣銭が紙幣の最小の額面価格となって釣銭に紙幣が含まれる可能性もあるためである。
図10に示す例では、預かり金の総額が900円であるため、第1の方法によれば、貨幣限定条件がみたされると判別される。
【0069】
第2の方法は、預かり金が貨幣のみであることを表すユーザ操作がなされたか否かに基づいて判別する方法である。本実施形態において、預かり金が貨幣のみであることを表すユーザ操作は、貨幣決済ボタン148を選択する操作である。テンキー146により預かり金が入力された状態で貨幣決済ボタン148を選択する操作が行われると、預かり金の総額が紙幣の最小の額面価格未満であるか否かに関わらず、貨幣限定条件が満たされると判別される。
【0070】
図11は、貨幣決済ボタン148により貨幣限定条件が判別される場合の決済画面14bの例を示す図である。
図11に示す例では、小計が1240円であり、預かり金が1500円である。このように、預かり金の総額が紙幣の最小の額面価格以上であっても、預かり金に紙幣が含まれない場合がある。例えば、預かり金が500円貨幣3枚であるような場合である。このような場合に、貨幣決済ボタン148を選択することで、CPU11に、貨幣限定条件が満たされると判別させて、金銭収納装置2の下段ドロア26のみを開放させることができる。
【0071】
決済画面14bにおいてキャッシュレス決済ボタン149を選択する操作がなされ、キャッシュレス決済方式で決済が実行される場合には、会計において金銭が受け渡されることがない。このため、情報処理装置1から金銭収納装置2に対して、下段ドロア26及び上段ドロア27を開放させるための制御信号は送信されず、下段ドロア26及び上段ドロア27は閉じられたままとなる。
【0072】
<会計処理>
次に、上述の会計時の動作を実現するための会計処理について説明する。
図12は、会計処理の制御手順を示すフローチャートである。
会計処理は、会計システム100により会計が行われる場合に、情報処理装置1のCPU11により実行される。会計処理の開始時には、金銭収納装置2の下段ドロア26及び上段ドロア27が閉じられているものとする。
【0073】
会計処理が開始されると、CPU11は、ユーザ操作に応じて、会計対象の商品を登録する(ステップS101)。ここでは、CPU11は、図9に示す商品登録画面14aを表示部14に表示させ、商品登録画面14aにおける商品登録ボタン143の選択操作に応じて、選択された商品登録ボタン143に対応する商品に係る情報を会計データ132に登録する。
【0074】
CPU11は、ユーザによる商品登録が終了し、締め操作の開始要求がなされたか否かを判別する(ステップS102)。ここでは、CPU11は、ユーザにより、商品登録画面14aの会計ボタン145を選択する操作がなされた場合に、締め操作の開始要求がなされたと判別する。締め操作の開始要求がなされていないと判別された場合には(ステップS102で“NO”)、CPU11は、処理をステップS101に戻す。
【0075】
締め操作の開始要求がなされたと判別された場合には(ステップS102で“YES”)、CPU11は、会計対象として登録された商品の価格を加算した小計を算出して会計データ132に記憶させる。また、CPU11は、決済画面14bを表示部14に表示させ、ユーザによる締め操作を受け付ける(ステップS103)。ここで、締め操作とは、現金による決済の場合には、決済画面14bのテンキー146により預かり金が入力された状態で、現金決済ボタン147又は貨幣決済ボタン148を選択する操作であり、キャッシュレス決済の場合には、いずれかのキャッシュレス決済ボタン149を選択する操作である。CPU11は、現金決済ボタン147又は貨幣決済ボタン148を選択する操作がなされた場合には、テンキー146により入力された預かり金の総額を会計データ132に記憶させる。
【0076】
CPU11は、ユーザが行った締め操作に基づいて、決済方式が、現金による決済であるか否かを判別する(ステップS104)。決済方式が、現金による決済であると判別された場合には(ステップS104で“YES”)、CPU11は、会計データ132に基づいて、預かり金の総額が、流通している紙幣の最小の額面価格(ここでは、千円)未満であるか否かを判別する(ステップS105)。預かり金の総額が、紙幣の最小の額面価格以上であると判別された場合には(ステップS105で“NO”)、CPU11は、預かり金が貨幣のみであるか否かを判別する(ステップS106)。ここでは、CPU11は、ステップS103で受け付けられた締め操作が、テンキー146により預かり金が入力された状態で貨幣決済ボタン148を選択する操作であった場合に、預かり金が貨幣のみであると判別する。また、CPU11は、ステップS103で受け付けられた締め操作が、テンキー146により預かり金が入力された状態で現金決済ボタン147を選択する操作であった場合に、預かり金が貨幣のみではないと判別する。
【0077】
CPU11は、ステップS105において、預かり金の総額が、紙幣の最小の額面価格未満であると判別された場合(ステップS105で“YES”)、又は、ステップS106において、預かり金が貨幣のみであると判別された場合には(ステップS106で“YES”)、貨幣限定条件が満たされると判別する(ステップS107)。また、CPU11は、金銭収納装置2に対して制御信号を送信し、金銭収納装置2の上段ドロア27を開放させずに下段ドロア26を開放させる(ステップS108)。
【0078】
一方、ステップS106において、預かり金が貨幣のみではないと判別された場合には(ステップS106で“NO”)、CPU11は、貨幣限定条件が満たされないと判別する(ステップS109)。また、CPU11は、金銭収納装置2に対して制御信号を送信し、金銭収納装置2の下段ドロア26及び上段ドロア27を開放させる(ステップS110)。
【0079】
ステップS104において、決済方式が、現金による決済ではない(すなわち、キャッシュレス決済方式である)と判別された場合には(ステップS104で“NO”)、CPU11は、キャッシュレス決済ボタン149により指定された方式のキャッシュレス決済を実行する(ステップS111)。この場合には、CPU11は、下段ドロア26及び上段ドロア27を開放させるための制御信号を金銭収納装置2に送信しない。よって、下段ドロア26及び上段ドロア27は、閉じられた状態に維持される。
【0080】
ステップS108、S110、S111のいずれかが終了すると、CPU11は、金銭収納装置2に制御信号を送信し、会計の内容が記載されたレシートを表示印字部25により印刷させ(ステップS112)、会計処理を終了させる。
【0081】
<変形例>
上記実施形態では、金銭収納装置2とは別個に情報処理装置1が設けられている例を用いて説明したが、これに限られない。例えば、上記実施形態において情報処理装置1が実行していた機能を金銭収納装置2が実行できるようにし、情報処理装置1を省略してもよい。この場合には、金銭収納装置2が「情報処理装置」を備え、金銭収納装置2のCPU21が「処理部」に相当する。
また、金銭収納装置2とは別個に情報処理装置1を設ける場合においても、金銭収納装置2に、ユーザの操作を受け付ける操作部が設けられてもよい。
【0082】
<効果>
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置1は、CPU11(処理部)を備え、CPU11は、会計の内容に係る会計データ132に基づいて、会計において客から支払われた金銭(預かり金)が貨幣のみであるという貨幣限定条件(条件)が満たされるか否かを判別し、貨幣限定条件が満たされると判別された場合には、紙幣が収納された上段ドロア27を開放させずに貨幣が収納された下段ドロア26を開放させる。これにより、会計において受け渡される金銭が貨幣のみである場合に、貨幣が収納された下段ドロア26のみが開放され、紙幣が収納された上段ドロア27が開放されないようにすることができるため、必要な金銭(貨幣)を出し入れしやすくすることができる。また、高額の紙幣が収納された上段ドロア27を開放させる頻度を必要最小限に抑えることができるため、上段ドロア27の内部を他人に見られにくくすることができ、セキュリティを向上させることができる。また、使用しない上段ドロア27を閉じる手間を省くことができる。また、下段ドロア26を開放させる簡素な構成、及び簡易な制御により上記効果を実現することができる。
【0083】
また、CPU11は、会計情報としての会計データ132に基づいて、会計において客から支払われた金銭(預かり金)の総額が、流通している紙幣の最小の額面価格未満であるか否かを判別し、上記金銭の総額が、流通している紙幣の最小の額面価格未満であると判別された場合には、貨幣限定条件が満たされると判別する。これにより、簡易な方法で確実に、貨幣限定条件が満たされるか否かを判別することができる。
【0084】
また、会計情報は、貨幣決済ボタン148を選択する操作(会計において客から支払われた金銭が貨幣のみであることを表すユーザ操作)がなされたか否かに係る情報を含み、CPU11は、会計情報に基づいて、貨幣決済ボタン148を選択する操作がなされたと判別された場合には、貨幣限定条件が満たされると判別する。これにより、預かり金の総額が紙幣の最小の額面価格以上である場合であっても、貨幣限定条件が満たされるか否かを適切に判別することができる。
【0085】
また、CPU11は、会計情報としてのユーザ操作又は会計データ132に基づいて、会計の決済方式が現金による決済であるか否かを判別し、会計の決済方式が現金による決済であると判別され、かつ、貨幣限定条件が満たされないと判別された場合には、下段ドロア26及び上段ドロア27を開放させる。これにより、会計において紙幣が受け渡される可能性がある場合に、紙幣が収納された上段ドロア27を開放させて、必要な金銭の出し入れが可能な状態とすることができる。
【0086】
また、CPU11は、会計情報としてのユーザ操作又は会計データ132に基づいて、会計の決済方式が現金による決済であるか否かを判別し、会計の決済方式が現金による決済以外のキャッシュレス方式であると判別された場合には、下段ドロア26及び上段ドロア27を開放させない。これにより、会計において金銭の受け渡しがない場合に、下段ドロア26及び上段ドロア27を開放させないようにすることができる。よって、セキュリティをより向上させることができる。また、使用しない下段ドロア26及び上段ドロア27を閉じる手間を省くことができる。
【0087】
また、下段ドロア26は、下段ドロア26及び上段ドロア27を有する金銭収納装置2が水平面に載置されている載置状態において、上段ドロア27の鉛直方向下方に位置する。これにより、金銭収納装置2を設置するために必要な面積を小さくすることができる。よって、狭い店舗でも金銭収納装置2を設置しやすくすることができ、また、店舗のスペースを有効活用することができる。また、紙幣よりも重い貨幣を下段ドロア26に収納することで、安定した状態で金銭収納装置2を設置することができる。
【0088】
また、下段ドロア26は、載置状態において水平となる向きの第1軸26aを中心に回動可能であり、上段ドロア27は、載置状態において水平となる向きの第2軸27aを中心に回動可能であり、CPU11は、下段ドロア26が閉じている状態から、第1軸26aを中心に回動させることで下段ドロア26を開放させ、上段ドロア27が閉じている状態から、第2軸27aを中心に回動させることで上段ドロア27を開放させる。これにより、設置スペースを小さく抑えつつ、下段ドロア26の第1開口部26b、及び上段ドロア27の第2開放部27bを広く開けることができる。よって、貨幣や紙幣をより出し入れしやすくすることができる。
【0089】
また、変形例に係る金銭収納装置2は、情報処理装置と、下段ドロア26と、上段ドロア27とを備える。これにより、上記実施形態において情報処理装置1及び金銭収納装置2の組み合わせにより実行されていた各動作を、単体の金銭収納装置2で実現することができる。よって、会計システム100の構成を簡素化することができる。
【0090】
また、本実施形態に係る会計システム100は、貨幣が収納された下段ドロア26、及び紙幣が収納された上段ドロア27を有する金銭収納装置2と、CPU11(処理部)を有する情報処理装置1と、を備え、CPU11は、会計の内容に係る会計データ132に基づいて、会計において客から支払われた金銭(預かり金)が貨幣のみであるという貨幣限定条件(条件)が満たされるか否かを判別し、貨幣限定条件が満たされると判別された場合には、上段ドロア27を開放させずに下段ドロア26を開放させる。これにより、会計において受け渡される金銭が貨幣のみである場合に、貨幣が収納された下段ドロア26のみが開放され、紙幣が収納された上段ドロア27が開放されないようにすることができるため、必要な金銭(貨幣)を出し入れしやすくすることができる。また、高額の紙幣が収納された上段ドロア27を開放させる頻度を必要最小限に抑えることができるため、上段ドロア27の内部を他人に見られにくくすることができ、セキュリティを向上させることができる。また、使用しない上段ドロア27を閉じる手間を省くことができる。また、下段ドロア26を開放させる簡素な構成、及び簡易な制御により上記効果を実現することができる。
【0091】
また、本実施形態に係る情報処理方法は、コンピュータとしてのCPU11が実行する情報処理方法であって、会計の内容に係る会計データ132に基づいて、会計において客から支払われた金銭(預かり金)が貨幣のみであるという貨幣限定条件が満たされるか否かを判別し、貨幣限定条件が満たされると判別された場合には、紙幣が収納された上段ドロア27を開放させずに貨幣が収納された下段ドロア26を開放させる。これにより、会計において受け渡される金銭が貨幣のみである場合に、貨幣が収納された下段ドロア26のみが開放され、紙幣が収納された上段ドロア27が開放されないようにすることができるため、必要な金銭(貨幣)を出し入れしやすくすることができる。また、高額の紙幣が収納された上段ドロア27を開放させる頻度を必要最小限に抑えることができるため、上段ドロア27の内部を他人に見られにくくすることができ、セキュリティを向上させることができる。また、使用しない上段ドロア27を閉じる手間を省くことができる。また、下段ドロア26を開放させる簡素な構成、及び簡易な制御により上記効果を実現することができる。
【0092】
また、本実施形態に係るプログラムとしての会計アプリ131は、コンピュータとしてのCPU11に、会計の内容に係る会計データ132に基づいて、会計において客から支払われた金銭(預かり金)が貨幣のみであるという貨幣限定条件が満たされるか否かを判別する処理、貨幣限定条件が満たされると判別された場合には、紙幣が収納された上段ドロア27を開放させずに貨幣が収納された下段ドロア26を開放させる処理、を実行させる。これにより、会計において受け渡される金銭が貨幣のみである場合に、貨幣が収納された下段ドロア26のみが開放され、紙幣が収納された上段ドロア27が開放されないようにすることができるため、必要な金銭(貨幣)を出し入れしやすくすることができる。また、高額の紙幣が収納された上段ドロア27を開放させる頻度を必要最小限に抑えることができるため、上段ドロア27の内部を他人に見られにくくすることができ、セキュリティを向上させることができる。また、使用しない上段ドロア27を閉じるための不要な手間を省くことができる。また、下段ドロア26を開放させる簡素な構成、及び簡易な制御により上記効果を実現することができる。
【0093】
<その他>
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る情報処理装置、金銭収納装置、会計システム、情報処理方法及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、下段ドロア26及び上段ドロア27を保持状態と保持解除状態との間で切り替えるための機構は、上述したロック切替機構28を用いたものに限られない。例えば、下段ドロア26を磁力により保持状態の位置に保持する電磁石、及び上段ドロア27を磁力により保持状態の位置に保持する電磁石を設け、電磁石の磁力を切ることで保持解除状態に切り替える機構としてもよい。
【0094】
また、下段ドロア26及び上段ドロア27をトーションばねの付勢力により回動させる構成を例示したが、これに限られず、例えばモータなどの駆動力により下段ドロア26及び上段ドロア27を開閉させてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、金銭収納装置2が水平面に載置されている載置状態において、上段ドロア27の鉛直方向下方に下段ドロア26が位置する構成を例示したが、これに限られず、下段ドロア26及び上段ドロア27の位置関係は任意に変更してもよい。
【0096】
また、下段ドロア26は、第1軸26aを中心に回動して開放される構成に限られず、上段ドロア27は、第2軸27aを中心に回動して開放される構成に限られない。例えば、下段ドロア26及び上段ドロア27は、ロックが解除されたことに応じて、付勢部材により付勢されて水平方向に移動することで開放される構成であってもよい。
【0097】
また、預かり金の総額を、テンキー146による入力結果に基づいて判別する構成を例示したが、これに限られない。例えば、所定の位置に載置された預かり金の種別及び数を所定の検出装置(例えば、カメラ、及びカメラの撮影画像を解析する解析手段を備える装置)により検出し、その検出結果に基づいて預かり金の総額を判別してもよい。また、上記検出装置の検出結果に基づいて、貨幣限定条件が満たされるか否かを判別してもよい。上記検出装置の検出結果に係る情報は、会計の内容に係る会計情報の一態様である。
【0098】
また、以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部13のSSDを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、CD-ROM等の情報記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0099】
また、上記実施形態における情報処理装置1、金銭収納装置2及び会計システム100の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0100】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
会計の内容に係る会計情報に基づいて、前記会計において客から支払われた金銭が貨幣のみであるという条件が満たされるか否かを判別し、
前記条件が満たされると判別された場合には、紙幣が収納された紙幣収納部を開放させずに貨幣が収納された貨幣収納部を開放させる
処理部を備えることを特徴とする情報処理装置。
<請求項2>
前記処理部は、
前記会計情報に基づいて、前記会計において客から支払われた金銭の総額が、流通している紙幣の最小の額面価格未満であるか否かを判別し、
前記金銭の総額が、流通している紙幣の前記最小の額面価格未満であると判別された場合には、前記条件が満たされると判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
<請求項3>
前記会計情報は、前記会計において客から支払われた金銭が貨幣のみであることを表すユーザ操作がなされたか否かに係る情報を含み、
前記処理部は、
前記会計情報に基づいて、前記ユーザ操作がなされたと判別された場合には、前記条件が満たされると判別する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
<請求項4>
前記処理部は、
前記会計情報に基づいて、前記会計の決済方式が現金による決済であるか否かを判別し、
前記会計の決済方式が現金による決済であると判別され、かつ、前記条件が満たされないと判別された場合には、前記貨幣収納部及び前記紙幣収納部を開放させる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
<請求項5>
前記処理部は、
前記会計情報に基づいて、前記会計の決済方式が現金による決済であるか否かを判別し、
前記会計の決済方式が現金による決済以外の方式であると判別された場合には、前記貨幣収納部及び前記紙幣収納部を開放させない
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
<請求項6>
前記貨幣収納部は、前記貨幣収納部及び前記紙幣収納部を有する金銭収納装置が水平面に載置されている載置状態において、前記紙幣収納部の鉛直方向下方に位置する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
<請求項7>
前記貨幣収納部は、前記載置状態において水平となる向きの第1軸を中心に回動可能であり、
前記紙幣収納部は、前記載置状態において水平となる向きの第2軸を中心に回動可能であり、
前記処理部は、
前記貨幣収納部が閉じている状態から、前記第1軸を中心に回動させることで貨幣第1収納部を開放させ、
前記紙幣収納部が閉じている状態から、前記第2軸を中心に回動させることで前記紙幣収納部を開放させる
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
<請求項8>
請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記貨幣収納部と、
前記紙幣収納部と
を備えることを特徴とする金銭収納装置。
<請求項9>
貨幣が収納された貨幣収納部、及び紙幣が収納された紙幣収納部を有する金銭収納装置と、
会計の内容に係る会計情報に基づいて、前記会計において客から支払われた金銭が貨幣のみであるという条件が満たされるか否かを判別し、
前記条件が満たされると判別された場合には、前記紙幣収納部を開放させずに前記貨幣収納部を開放させる
処理部を有する情報処理装置と、
を備えることを特徴とする会計システム。
<請求項10>
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
会計の内容に係る会計情報に基づいて、前記会計において客から支払われた金銭が貨幣のみであるという条件が満たされるか否かを判別し、
前記条件が満たされると判別された場合には、紙幣が収納された紙幣収納部を開放させずに貨幣が収納された貨幣収納部を開放させる
ことを特徴とする情報処理方法。
<請求項11>
コンピュータに、
会計の内容に係る会計情報に基づいて、前記会計において客から支払われた金銭が貨幣のみであるという条件が満たされるか否かを判別する処理、
前記条件が満たされると判別された場合には、紙幣が収納された紙幣収納部を開放させずに貨幣が収納された貨幣収納部を開放させる処理、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0101】
1 情報処理装置
11 CPU(処理部)
12 RAM
13 記憶部
131 会計アプリ(プログラム)
132 会計データ(会計情報)
14 表示部
14a 商品登録画面
14b 決済画面
15 操作部
16 通信部
2 金銭収納装置
21 CPU
22 RAM
23 記憶部
231 プログラム
24 筐体
25 表示印字部
26 下段ドロア(貨幣収納部)
27 上段ドロア(紙幣収納部)
28 ロック切替機構
281 第1保持部材
282 第2保持部材
283 第1保持部材駆動部
284 第2保持部材駆動部
29 通信部
100 会計システム
241 開口部
242 凹部
243 内部底面
261a~261f 貨幣収納領域
262 仕切板
264 軸部材
265 トーションばね収納部
271a~271c 紙幣収納領域
272 仕切板
273 金券収納領域
274 軸部材
275 トーションばね収納部
Ba~Bc 紙幣
Ca~Cf 貨幣
Sa 底面
Sb 側面
Sb、Sc 側面
Sd 上面
Se 前面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12