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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142362
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】容器及び容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 1/00 20060101AFI20230928BHJP
   F16J 12/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
F17C1/00 Z
F16J12/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049236
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】593166462
【氏名又は名称】サムテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143085
【弁理士】
【氏名又は名称】藤飯 章弘
(71)【出願人】
【識別番号】521238487
【氏名又は名称】株式会社MJOLNIR SPACEWORKS
(72)【発明者】
【氏名】三島 慎一
(72)【発明者】
【氏名】阪口 善樹
【テーマコード(参考)】
3E172
3J046
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA09
3E172BA01
3E172BB05
3E172BB12
3E172BB17
3E172BC05
3E172BC06
3E172BC08
3E172CA12
3E172CA14
3E172CA22
3E172DA90
3E172FA01
3E172KA02
3J046AA01
3J046AA20
3J046BA02
3J046BB10
3J046BD20
3J046DA05
3J046EA00
(57)【要約】
【課題】損傷が生じることを効果的に抑制しつつ内部構造体を安定的に支持することができる容器、及び、当該容器の製造方法を提供する。
【解決手段】円筒形状を有する胴部、ドーム形状を有し前記胴部の両端に設けられるドーム部、及び、前記各ドーム部の頂部に形成されて内外を連通する連通孔を有し、前記胴部の軸線に沿って形成される筒状の第1口金部並びに第2口金部を有する容器本体と、前記容器本体の内部に収容される内部構造体とを備えており、前記内部構造体は、前記胴部の軸線に沿って一端側に設けられる自由軸部と、前記胴部の軸線に沿って他端側に設けられる固定軸部とを備えており、前記自由軸部は、前記胴部の軸線に沿って移動可能なように前記第1口金部側において支持されており、前記固定軸部は、その表面に形成される係合部を介して、前記第2口金部の前記連通孔に固定支持されており、前記第2口金部における前記連通孔の内周面の少なくとも一部は、前記係合部に係合する塑性変形部を備えていることを特徴とする容器。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状を有する胴部、ドーム形状を有し前記胴部の両端に設けられるドーム部、及び、前記各ドーム部の頂部に形成されて内外を連通する連通孔を有し、前記胴部の軸線に沿って形成される筒状の第1口金部並びに第2口金部を有する容器本体と、前記容器本体の内部に収容される内部構造体とを備えており、
前記内部構造体は、前記胴部の軸線に沿って一端側に設けられる自由軸部と、前記胴部の軸線に沿って他端側に設けられる固定軸部とを備えており、
前記自由軸部は、前記胴部の軸線に沿って移動可能なように前記第1口金部側において支持されており、
前記固定軸部は、その表面に形成される係合部を介して、前記第2口金部の前記連通孔に固定支持されており、
前記第2口金部における前記連通孔の内周面の少なくとも一部は、前記係合部に係合する塑性変形部を備えていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記係合部は、前記固定軸部の表面に形成される凸状体又は凹状体であることを特徴とする請求項1に記載の容器
【請求項3】
前記係合部は、前記固定軸部の周方向に沿って環状に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記係合部は、前記固定軸部の軸方向に沿って複数形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
円筒形状を有する胴部の一端側にドーム形状のドーム部、及び、該ドーム部の頂部に形成されて内外を連通する連通孔を有し、前記胴部の軸線に沿って形成される筒状の口金部を有する片側加工容器と、前記片側加工容器の内部に収容され、前記胴部の軸線に沿って一端側に設けられる自由軸部及び前記胴部の軸線に沿って他端側に設けられる固定軸部を有する内部構造体とを準備する主要部品準備ステップと、
前記内部構造体を前記片側加工容器内に収容し、前記内部構造体が有する前記自由軸部を、前記胴部の軸線に沿って移動可能なように前記口金部側において支持するとともに、前記内部構造体が有する前記固定軸部を仮支持して、前記内部構造体を両端で支持する内部構造体支持ステップと、
前記片側加工容器の前記口金部が形成された側と反対側の胴部に縮径加工を施すことにより、前記内部構造体が有する前記固定軸部を内周面で支持するための他の筒状の口金部を頂部に有するドーム状のドーム部を形成して両側加工容器を形成する両側加工容器形成ステップとを備えており、
前記両側加工容器形成ステップは、前記固定軸部の表面に形成される係合部に、前記他の口金部の内周面の少なくとも一部を塑性変形させて係合固定することを特徴とする容器の製造方法。
【請求項6】
円筒形状を有する胴部の一端側にドーム形状のドーム部、及び、該ドーム部の頂部に形成されて内外を連通する連通孔を有し、前記胴部の軸線に沿って形成される筒状の口金部を有する片側加工容器と、前記片側加工容器の内部に収容され、前記胴部の軸線に沿って一端側に設けられる自由軸部及び前記胴部の軸線に沿って他端側に設けられる固定軸部を有する内部構造体とを準備する主要部品準備ステップと、
前記内部構造体を前記片側加工容器内に収容し、前記内部構造体が有する前記固定軸部を、前記口金部における連通孔に挿入するとともに、前記内部構造体が有する前記自由端部を仮支持して、前記内部構造体を両端で支持する内部構造体支持ステップと、
前記口金部に縮径加工を施すことにより、前記内部構造体が有する前記固定軸部を前記口金部の内周面で固定支持する固定軸部固定ステップと、
前記片側加工容器の前記口金部が形成された側と反対側の胴部に縮径加工を施すことにより、前記内部構造体が有する前記自由軸部を、前記胴部の軸線に沿って移動可能なように支持する他の筒状の口金部を頂部に有するドーム状のドーム部を形成して両側加工容器を形成する両側加工容器形成ステップとを備えており、
前記固定軸部固定ステップは、前記固定軸部の表面に形成される係合部に、前記口金部の内周面の少なくとも一部を塑性変形させて係合固定することを特徴とする容器の製造方法。
【請求項7】
円筒形状を有する胴部の一端側にドーム形状のドーム部、及び、該ドーム部の頂部に形成されて内外を連通する連通孔を有し、前記胴部の軸線に沿って形成される筒状の口金部を有する片側加工容器と、前記片側加工容器の内部に収容され、前記胴部の軸線に沿って一端側に設けられる自由軸部及び前記胴部の軸線に沿って他端側に設けられる固定軸部を有する内部構造体と、前記自由軸部に対して相対移動可能な保持プラグと、を準備する主要部品準備ステップと、
前記内部構造体を前記片側加工容器内に収容し、前記内部構造体が有する前記固定軸部を、前記口金部における連通孔に挿入するとともに、前記内部構造体が有する前記自由端部を仮支持して、前記内部構造体を両端で支持する内部構造体支持ステップと、
前記口金部に縮径加工を施すことにより、前記内部構造体が有する前記固定軸部を前記口金部の内周面で固定支持する固定軸部固定ステップと、
前記内部構造体が有する前記自由軸部に前記保持プラグを相対移動可能に設置する保持プラグ設置ステップと、
前記片側加工容器の前記口金部が形成された側と反対側の胴部に縮径加工を施すことにより、前記内部構造体が有する前記自由軸部に設置される前記保持プラグを内周面で支持するための他の筒状の口金部を頂部に有するドーム状のドーム部を形成して両側加工容器を形成する両側加工容器形成ステップとを備えており、
前記固定軸部固定ステップは、前記固定軸部の表面に形成される係合部に、前記口金部の内周面の少なくとも一部を塑性変形させて係合固定することを特徴とする容器の製造方法。
【請求項8】
前記係合部は、前記固定軸部の表面に形成される凸状体又は凹状体であることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の容器の製造方法。
【請求項9】
前記係合部は、前記固定軸部の周方向に沿って環状に形成されることを特徴とする請求項5から8のいずれかに記載の容器の製造方法。
【請求項10】
前記係合部は、前記固定軸部の軸方向に沿って複数形成されていることを特徴とする請求項5から9のいずれかに記載の容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器及び容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な内部構造体を内部に収容した容器が知られている。例えば、気体を吸蔵する物質が充填された充填部材や、容器内の液体の揺れを防止する仕切り板、触媒が収容される触媒体を内部に収容した容器が知られている。このような容器における内部構造体(充填部材、仕切り板、触媒体等)の取り付け構造としては、内部構造体に設けられる軸部と容器とを溶接により固定する構造が広く用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-303956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、溶接によって固定された内部構造体を有する容器の場合、当該容器内部に高圧の液体が注入されて容器が膨張した場合や、容器内部の高圧の液体が外部に排出されて容器が収縮した場合の寸法変化が生じると、その寸法変化に伴って内部構造体も伸縮して、溶接による固定部分に応力集中が発生し、当該溶接部分に疲労破壊等の損傷が生じてしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は上記問題を解決すべくなされたものであり、損傷が生じることを効果的に抑制しつつ内部構造体を安定的に支持することができる容器、及び、当該容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、円筒形状を有する胴部、ドーム形状を有し前記胴部の両端に設けられるドーム部、及び、前記各ドーム部の頂部に形成されて内外を連通する連通孔を有し、前記胴部の軸線に沿って形成される筒状の第1口金部並びに第2口金部を有する容器本体と、前記容器本体の内部に収容される内部構造体とを備えており、前記内部構造体は、前記胴部の軸線に沿って一端側に設けられる自由軸部と、前記胴部の軸線に沿って他端側に設けられる固定軸部とを備えており、前記自由軸部は、前記胴部の軸線に沿って移動可能なように前記第1口金部側において支持されており、前記固定軸部は、その表面に形成される係合部を介して、前記第2口金部の前記連通孔に固定支持されており、前記第2口金部における前記連通孔の内周面の少なくとも一部は、前記係合部に係合する塑性変形部を備えていることを特徴とする容器。により達成される。
【0007】
また、上記容器において、前記係合部は、前記固定軸部の表面に形成される凸状体又は凹状体であることが好ましい。
【0008】
また、前記係合部は、前記固定軸部の周方向に沿って環状に形成されることが好ましい。
【0009】
また、前記係合部は、前記固定軸部の軸方向に沿って複数形成されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明の前記目的は、円筒形状を有する胴部の一端側にドーム形状のドーム部、及び、該ドーム部の頂部に形成されて内外を連通する連通孔を有し、前記胴部の軸線に沿って形成される筒状の口金部を有する片側加工容器と、前記片側加工容器の内部に収容され、前記胴部の軸線に沿って一端側に設けられる自由軸部及び前記胴部の軸線に沿って他端側に設けられる固定軸部を有する内部構造体とを準備する主要部品準備ステップと、前記内部構造体を前記片側加工容器内に収容し、前記内部構造体が有する前記自由軸部を、前記胴部の軸線に沿って移動可能なように前記口金部側において支持するとともに、前記内部構造体が有する前記固定軸部を仮支持して、前記内部構造体を両端で支持する内部構造体支持ステップと、前記片側加工容器の前記口金部が形成された側と反対側の胴部に縮径加工を施すことにより、前記内部構造体が有する前記固定軸部を内周面で支持するための他の筒状の口金部を頂部に有するドーム状のドーム部を形成して両側加工容器を形成する両側加工容器形成ステップとを備えており、前記両側加工容器形成ステップは、前記固定軸部の表面に形成される係合部に、前記他の口金部の内周面の少なくとも一部を塑性変形させて係合固定することを特徴とする容器の製造方法により達成される。
【0011】
また、本発明の前記目的は、円筒形状を有する胴部の一端側にドーム形状のドーム部、及び、該ドーム部の頂部に形成されて内外を連通する連通孔を有し、前記胴部の軸線に沿って形成される筒状の口金部を有する片側加工容器と、前記片側加工容器の内部に収容され、前記胴部の軸線に沿って一端側に設けられる自由軸部及び前記胴部の軸線に沿って他端側に設けられる固定軸部を有する内部構造体とを準備する主要部品準備ステップと、前記内部構造体を前記片側加工容器内に収容し、前記内部構造体が有する前記固定軸部を、前記口金部における連通孔に挿入するとともに、前記内部構造体が有する前記自由端部を仮支持して、前記内部構造体を両端で支持する内部構造体支持ステップと、前記口金部に縮径加工を施すことにより、前記内部構造体が有する前記固定軸部を前記口金部の内周面で固定支持する固定軸部固定ステップと、前記片側加工容器の前記口金部が形成された側と反対側の胴部に縮径加工を施すことにより、前記内部構造体が有する前記自由軸部を、前記胴部の軸線に沿って移動可能なように支持する他の筒状の口金部を頂部に有するドーム状のドーム部を形成して両側加工容器を形成する両側加工容器形成ステップとを備えており、前記固定軸部固定ステップは、前記固定軸部の表面に形成される係合部に、前記口金部の内周面の少なくとも一部を塑性変形させて係合固定することを特徴とする容器の製造方法により達成される。
【0012】
また、本発明の前記目的は、円筒形状を有する胴部の一端側にドーム形状のドーム部、及び、該ドーム部の頂部に形成されて内外を連通する連通孔を有し、前記胴部の軸線に沿って形成される筒状の口金部を有する片側加工容器と、前記片側加工容器の内部に収容され、前記胴部の軸線に沿って一端側に設けられる自由軸部及び前記胴部の軸線に沿って他端側に設けられる固定軸部を有する内部構造体と、前記自由軸部に対して相対移動可能な保持プラグと、を準備する主要部品準備ステップと、前記内部構造体を前記片側加工容器内に収容し、前記内部構造体が有する前記固定軸部を、前記口金部における連通孔に挿入するとともに、前記内部構造体が有する前記自由端部を仮支持して、前記内部構造体を両端で支持する内部構造体支持ステップと、前記口金部に縮径加工を施すことにより、前記内部構造体が有する前記固定軸部を前記口金部の内周面で固定支持する固定軸部固定ステップと、前記内部構造体が有する前記自由軸部に前記保持プラグを相対移動可能に設置する保持プラグ設置ステップと、前記片側加工容器の前記口金部が形成された側と反対側の胴部に縮径加工を施すことにより、前記内部構造体が有する前記自由軸部に設置される前記保持プラグを内周面で支持するための他の筒状の口金部を頂部に有するドーム状のドーム部を形成して両側加工容器を形成する両側加工容器形成ステップとを備えており、前記固定軸部固定ステップは、前記固定軸部の表面に形成される係合部に、前記口金部の内周面の少なくとも一部を塑性変形させて係合固定することを特徴とする容器の製造方法により達成される。
【0013】
また、上記容器の製造方法において、前記係合部は、前記固定軸部の表面に形成される凸状体又は凹状体であることが好ましい。
【0014】
また、前記係合部は、前記固定軸部の周方向に沿って環状に形成されることが好ましい。
【0015】
また、前記係合部は、前記固定軸部の軸方向に沿って複数形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、損傷が生じることを効果的に抑制しつつ内部構造体を安定的に支持することができる容器、及び、当該容器の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る容器の一例を示す概略構成断面図である。
図2】(a)(b)共に、本発明に係る容器の内部に収容される内部構造体の一例を示す概略構成断面図である。
図3】(a)(b)共に、図1に示す容器が備える保持プラグ及び内部構造体における自由軸部の構造を説明するための要部拡大概略構成断面図である。
図4図1に示す容器が備える第2口金部及び内部構造体における固定軸部の構造を説明するための要部拡大概略構成断面図である。
図5】本発明に係る容器の製造方法を説明するためのブロック図である。
図6】片側加工容器の形成方法を説明するための説明図である。
図7】(a)は、本発明に係る容器の製造方法が有する内部構造体支持ステップを説明するための説明図であり、(b)は、本発明に係る容器の製造方法が有する両側加工容器形成ステップを説明するための説明図である。
図8】本発明に係る容器が備える保持プラグの変形例を説明するための概略構成断面図である。
図9】(a)(b)共に、本発明に係る容器が備える保持プラグの更なる変形例を説明するための概略構成断面図である。
図10】(a)(b)(c)共に、保持プラグや固定軸部が備える係合部の更なる変形例を説明するための概略構成断面図である。
図11】本発明に係る容器の他の製造方法を説明するためのブロック図である。
図12】本発明に係る容器の他の製造方法を説明するための説明図である。
図13】本発明に係る容器の他の変形例を説明するための概略構成要部拡大断面図である。
図14図13に示す容器の製造方法を説明するための説明図である。
図15図13に示す容器の他の製造方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る容器及び該容器の製造方法について添付図面を参照して説明する。なお、各図は、構成の理解を容易ならしめるために部分的に拡大・縮小している。
【0019】
本発明に係る容器1は、図1の概略構成断面図に示すように、容器本体2と、この容器本体2の内部に収容される内部構造体3を備える容器1である。ここで、容器本体2の内部に収容される内部構造体3は、構造体本体31と、当該構造体本体31の一端側に設けられる自由軸部32と、他端側に設けられる固定軸部33とを備えるように構成されている。自由軸部32及び固定軸部33は、容器本体2における胴部4の軸線方向に沿って伸びるように形成されている。内部構造体3の構造としては、図2(a)に示すように、構造体本体31の一方の面及び他方の面のそれぞれから自由軸部32及び固定軸部33が突設されるような構造であってもよく、或いは、図2(b)に示すように、単一のパイプ状部材上に構造体本体31を挿入固定されて形成されるような構造であってもよい。また、構造体本体31は、容器1の内部に収容されて使用されるものであれば特にその構造や機能は限定されない。例えば、気体を吸蔵する物質が充填された充填部材や、容器内の液体の揺れを防止する仕切り板を備える構造体、触媒が収容される触媒体等を例示することができる。
【0020】
本発明に係る容器1が有する容器本体2は、溶接またはボルト締結等による継ぎ目が存在しないシームレス構造として形成されており、両端部が端側に進むにつれて縮径した円筒状の形態を有している。具体的には、図1に示すように、円筒形状を有する胴部4、ドーム形状を有し胴部4の両端に設けられるドーム部5,6、及び、各ドーム部5,6の頂部に形成されて内外を連通する連通孔を有し、胴部4の軸線に沿って形成される筒状の第1口金部9並びに第2口金部10を有するように構成されている。なお、容器本体2は、円筒状の鋼鉄やアルミニウム合金等の素管に対して縮径加工を施すことにより容器形状に賦形して形成することができる。
【0021】
第1口金部9における連通孔は、保持プラグ11を固定支持し、当該保持プラグ11には、内部構造体3が有する自由軸部32が、胴部4の軸線に沿って移動可能(相対移動可能)なように支持される(第1口金部9側において自由端部32が、胴部4の軸線に沿って移動可能なように支持される)。この保持プラグ11の形態としては、第1口金部9における連通孔に固定され、内部構造体3が有する自由軸部32を胴部4の軸線に沿って移動可能とする構造であれば特に限定されないが、例えば、図3(a)に示すように、断面視円形の棒状体形状として形成することが好ましい。このような棒状体形状として保持プラグ11を構成する場合、例えば、内部構造体3が有する自由軸部32をパイプ状に形成することにより、該パイプ状自由軸部32の内腔に棒状体形状である保持プラグ11の端部を挿入配置することによって、内部構造体3が有する自由軸部32は、胴部4の軸線に沿って移動可能なように保持プラグ11に支持される。
【0022】
また、保持プラグ11によって第1口金部9における連通孔に固定する方法は、特に限定されず、溶接によって固定する方法や、第1口金部9の連通孔に保持プラグ11を螺合させて固定する方法を例示することができるが、以下のような方法により固定することが好ましい。すなわち、保持プラグ11の外径寸法よりも大きい内径寸法を有する連通孔を備えるように第1口金部9を構成し、当該第1口金部9の連通孔内に保持プラグ11を挿入し、その後、例えば、第1口金部9を縮径変形させることにより保持プラグ11を第1口金部9に設置固定することが好ましい。特に、図3(a)に示すように、縮径変形される第1口金部9に当接する保持プラグ11の外周面に係合部11aを形成し、第1口金部9の連通孔の内周面の少なくとも一部が、当該係合部11aに係合する塑性変形部9aを形成するように構成することが好ましい。このような係合部11aとしては、図3(a)に示すように、保持プラグ11の外周面に形成され、当該外周面から外方に突出する凸状体として形成する他、図3(b)に示すように保持プラグ11の外周面に形成される凹状体として構成することもできる。また、このような凸状体又は凹状体の係合部11aは、保持プラグ11の外周面の周方向に沿って環状に形成されることが好ましい。また、係合部11aは、保持プラグ11の長手方向(保持プラグ11の軸方向)に沿って所定間隔をあけて複数形成されていることが好ましい。ここで、第1口金部9における連通孔に挿入固定される保持プラグ11によって、第1口金部9における連通孔が密閉されて封止されることが好ましいが、別途、例えば、第1口金部9の外周部に雄ネジ部を形成し、当該雄ネジ部に封止プラグを螺合して第1口金部を封止するような構成を採用する場合には、必ずしも保持プラグ11によって第1口金部9における連通孔が封止されなくてもよい。
【0023】
第2口金部10における連通孔は、内部構造体3が有する固定軸部33を支持固定する機能を有する部分である。第2口金部10における連通孔に支持固定される固定軸部33の形態は、断面視円形の中空のパイプ状体として形成されることが好ましい。固定軸部33は、図4に示すように、その表面に形成される係合部33aを備えており、当該係合部33aを介して第2口金部10の連通孔に密着固定支持される。第2口金部10における連通孔の内周面の少なくとも一部は、係合部33aに係合する塑性変形部10aを備えるように構成される。この固定軸部33の表面に形成される係合部33aの構成は、上述の保持プラグ11の外周面に形成される係合部11aと同様であり、固定軸部33の表面に形成され、当該表面から外方に突出する凸状体として形成する他、固定軸部33の表面に形成される凹状体として構成することもできる。また、このような係合部33aは、固定軸部33の表面の周方向に沿って環状に形成されることが好ましい。また、係合部は、固定軸部33の軸方向に沿って所定間隔をあけて複数形成されていることが好ましい。
【0024】
なお、パイプ状体として形成される固定軸部33の側面には貫通孔33bが形成されており、また、当該固定軸部33が支持固定される第2口金部10には継手(図示せず)を介して配管が接続しており、当該配管及び固定軸部33に形成される貫通孔33bを介して、容器1内への流体の供給、又は、容器1に貯蔵される流体を外部に排出することができるように構成されている。
【0025】
本発明に係る上記容器1は、以下に説明する製造方法により製造することができる。すなわち、図5のブロック図に示すように、主要部品準備ステップS1と、保持プラグ固定ステップS2と、内部構造体支持ステップS3と、両側加工容器形成ステップS4とを備える製造方法により製造することができる。
【0026】
主要部品準備ステップS1は、円筒形状を有する胴部Z4の一端側にドーム形状のドーム部Z5、及び、該ドーム部Z5の頂部に形成されて内外を連通する連通孔Z6を有し、胴部Z4の軸線に沿って形成される筒状の口金部Z7を有する片側加工容器Z3と、口金部Z7の連通孔Z6に固定される保持プラグ11と、片側加工容器Z3の内部に収容され、胴部Z4の軸線に沿って一端側に設けられる自由軸部32及び胴部4の軸線に沿って他端側に設けられる固定軸部33を有する内部構造体3とを準備する工程である。
【0027】
ここで、片側加工容器Z3は、例えば、図6に示すように、鋼鉄やアルミニウム合金等の長尺な円筒パイプから必要な長さを切り出されて形成される短素管材Z1を図示しないマンドレルに外嵌合して取り付け、成型ローラもしくはリング状の金型で短素管材Z1の外周面を圧接させることで、その外周面をしごき、これにより胴部Z4が形成された長素管材Z2を形成した後、該長素管材Z2の外周面を図示しないチャック装置で保持して回転させ、成型ローラを片側開口端近傍から開口端にかけて、口絞りを行い、ドーム部5および口金部Z7を形成することにより得られる。なお、保持プラグ11及び内部構造体3としては、上述の構成の物を使用することができる。
【0028】
保持プラグ固定ステップS2は、片側加工容器Z3における口金部Z7の連通孔Z6に保持プラグ11を挿入して固定する工程である。この保持プラグ固定ステップS2においては、断面視円形の棒状体形状の保持プラグ11を、口金部Z7の連通孔Z6に挿入して溶接によって固定する方法、或いは、口金部9の連通孔Z6に保持プラグ11を螺合させて固定する方法を採用してもよいが、上述の図3(a)(b)に示すように、外周面に係合部11a(凸状体、或いは、凹状体として形成される係合部11a)を備える棒状の保持プラグ11を、口金部Z7の連通孔Z6内に挿入し、その後、スピニング加工等の縮径加工を口金部Z7に施して該口金部Z7の連通孔Z6を縮径変形させることにより、保持プラグ11を口金部Z7に設置固定することが好ましい。このような方法で保持プラグ11を口金部Z7に設置固定することにより、口金部Z79の連通孔Z6の内周面の一部が、係合部11aに係合する塑性変形部Z8を形成して、保持プラグ11が口金部Z7に強固に固定されることになる。なお、保持プラグ11を口金部Z7の連通孔Z6内に設置する際に、口金部Z7に対する当該保持プラグ11の位置ずれが発生しないように、別途図示しない支持装置により保持プラグ11を支持しながら、保持プラグ固定ステップS2を実施することが好ましい。
【0029】
内部構造体支持ステップS3は、図7に示すように、片側加工容器Z3の内部に内部構造体3を収容し、内部構造体3が有する自由軸部32を、胴部Z4の軸線に沿って移動可能なように保持プラグ11に支持するとともに、内部構造体3が有する固定軸部33を仮支持して、内部構造体3を両端で支持する工程である。また、片側加工容器Z3の胴部Z4の外周面はチャック装置で保持される。ここで、本実施形態においては、保持プラグ11は棒状体として形成されているため、内部構造体3が有する自由軸部32はパイプ状に構成されており、当該パイプ状の自由軸部32における内腔に保持プラグ11を挿入することにより、自由軸部32は、胴部Z4に対して移動可能に保持プラグ11に支持される。また、内部構造体3が有する固定軸部33を仮支持する方法は特に限定されないが、例えば、図7(a)に示すように、支持ロッド50とプレス装置51とで押圧することにより、内部構造体3が有する固定軸部33を支持することができる。
【0030】
両側加工容器形成ステップS4は、内部構造体3を胴部Z4の内側にセットした状態で片側加工容器Z3の残りの端面を加工して両側加工容器1を形成する工程である。具体的には、片側加工容器Z3の口金部Z7が形成された側と反対側の胴部Z4にスピニング加工装置52等を用いて縮径加工を施すことにより、内部構造体3が有する固定軸部33を内周面で支持するための他の筒状の口金部Z9を頂部に有するドーム状のドーム部Z10を形成する。この両側加工容器形成ステップS4を経て、内部に内部構造体3を有する容器1が形成される。固定軸部33の表面には、凸状体又は凹状体として構成される係合部33aが設けられているため、縮径加工により、固定軸部33を内周面で支持するための他の口金部Z9を形成する際に、当該口金部Z9の内周面の一部が、固定軸部33の表面に形成される係合部33aに塑性変形して係合するため、固定軸部33が他の口金部Z9に強固に密接固定されることになる。なお、両側加工容器形成ステップS4の後工程として、必要に応じ、熱処理ステップを施し容器1の耐疲労強度を向上させるようにしてもよい。
【0031】
本発明に係る容器1は、上述のように、容器本体2の内部に設置される内部構造体3に対する容器本体2の支持構造を、片側自由端構造(内部構造体3の自由軸部32が保持プラグ11に対して移動可能な構造)として構成しているため、容器内部に高圧の液体が注入されて容器本体2が膨張した場合や、容器内部の高圧の液体が外部に排出されて容器本体2が収縮した場合の寸法変化(容器本体2の軸線方向寸法の変化)を吸収することができ、内部構造体3を支持する部分である第1口金部9や第2口金部10に上記寸法変化に伴う応力集中が生じることを回避することができる。
【0032】
また、内部構造体3が有する固定軸部33の表面には、凸状体や凹状体として形成される係合部33aが設けられており、この係合部33aに、第2口金部10における内周面の少なくとも一部が塑性変形して係合する構造を有しているため、固定軸部33と第2口金部10とは互いに強固に安定的に密接固定され、固定軸部33が第2口金部10から抜け出てしまうことを確実に防止することができる。
【0033】
同様に、保持プラグ11の外周面には、凸状体や凹状体として形成される係合部11aが設けられており、この保持プラグ11に形成される係合部11aに、第1口金部9における内周面の少なくとも一部が塑性変形して係合する構造を有しているため、保持プラグ11と第1口金部9とは互いにに強固に密接固定され、保持プラグ11が第1口金部9から抜け出てしまうことを確実に防止することができる。
【0034】
固定軸部33や保持プラグ11に形成される係合部33a,11aとして、周方向に沿って形成される環状の形態を採用することにより、より一層強固に、固定軸部33と第2口金部10とを、保持プラグ11と第1口金部9とを固定することが可能となる。また、この係合部33a,11aを、固定軸部33の軸方向や、保持プラグ11の長手方向(保持プラグ11の軸方向)に沿って所定間隔をあけて複数形成することにより、固定軸部33と第2口金部10との間での固定力、保持プラグ11と第1口金部9との間での固定力をより増加させることができる、なお、係合部33a,11aの形態として、固定軸部33や保持プラグ11の外周面の周囲をらせん状に巻回した態様の凸状体や凹状体を採用することもできるが、らせん状に形成する場合、第2口金部10や第1口金部9を縮径変形させて、第2口金部10や第1口金部9の内周面の一部を係合部に係合して塑性変形する際に、塑性変形部分がらせん状の係合部に沿って固定軸部33や保持プラグ11の軸方向に流れてしまい、第2口金部10に対する固定軸部33の位置や、第1口金部9に対する保持プラグ11の位置がずれてしまう場合も生じるため、係合部33a,11aの形態としては、固定軸部33や保持プラグ11の外周面の周方向に沿って環状に形成される係合部を、固定軸部33の軸方向や保持プラグ11の長手方向(保持プラグ11の軸方向)に沿って所定間隔をあけて複数形成するように構成することが好ましい。
【0035】
また、本発明に係る容器1の製造方法によれば、容器内部に高圧の液体が注入されて容器本体2が膨張した場合や、容器内部の高圧の液体が外部に排出されて容器本体2が収縮した場合の寸法変化(容器本体2の軸線方向寸法の変化)を吸収することができ、内部構造体3を支持する部分に上記寸法変化に伴う応力集中が生じることを回避することができる容器1を効率よく製造することができる。また、本発明に係る容器1の製造方法によれば、内部構造体3が有する固定軸部33の表面に形成される係合部33aに、第2口金部10における内周面の少なくとも一部を塑性変形して係合させて、互いに強固に安定的に密接固定される支持構造を有する容器1を得ることができる。
【0036】
以上、本発明の一実施形態に係る容器1及び当該容器1の製造方法について説明したが、その具体的構成は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態においては、保持プラグ11の形態として、断面視円形の棒状体形状を例示したが、例えば、図8に示すように、第1口金部9における連通孔に挿入固定されるプラグ本体111と、当該プラグ本体111の挿入側先端部に形成される収容凹部112とを備えるように保持プラグ11を構成することもできる。このような構成で保持プラグ11を構成する場合、例えば、内部構造体3が有する自由軸部32の先端側を収容凹部112内に挿入配置することによって、内部構造体3が有する自由軸部32は、胴部4の軸線に沿って移動可能なように保持プラグ11に支持されることになる。なお、この収容凹部112の内周面の内径は、自由軸部32の先端部と摺接可能な大きさとすることが好ましい。
【0037】
また、図9(a)に示すように、第1口金部9における連通孔に挿入固定されるプラグ本体111と、当該プラグ本体111の軸線に沿って形成される貫通孔に螺合されるスクリュー体113とを備えるように保持プラグ11を構成することもできる。このような構成で保持プラグ11を形成する場合、貫通孔に螺合されるスクリュー体113の先端部(挿入側先端部)は、連通孔に挿入固定されるプラグ本体111から突出する寸法として構成される。このような保持プラグ11を採用する場合も、例えば、内部構造体3が有する自由軸部32をパイプ状に形成することにより、該パイプ状自由軸部32の内腔にスクリュー体113の先端部を挿入配置することによって、内部構造体3が有する自由軸部32は、胴部4の軸線に沿って移動可能なように保持プラグ11に支持される。また、プラグ本体111の挿入側先端部には、図9(b)に示すように、パイプ状自由軸部32の先端部が収容される収容凹部112を備えるように構成してもよい。この収容凹部112の内周面の内径は、自由軸部32の先端部と摺接可能な大きさとすることが好ましい。このような収容凹部112を備えることにより、内部構造体3が有する自由軸部32をより安定的に支持することが可能となる。
【0038】
また、保持プラグ11や固定軸部33の表面に形成される係合部の形態としては、上述の構造に限定されるものではなく、例えば、凸状体及び凹状体の両方を備えるように構成してもよい。また、図10に示すように、断面視(長手軸に対して垂直な方向の断面)において、二面幅構造を有する形状(図10(a))やスプライン形状(図10(b))、セレーション形状(図10(c))等を有するように構成してもよい。
【0039】
また、上記容器の製造方法に係る実施形態においては、片側加工容器Z3の口金部Z7における連通孔Z6に保持プラグ11を挿入固定した後、内部構造体3が有する自由軸部32を、胴部Z4の軸線に沿って移動可能なように保持プラグ11に支持するようにして片側加工容器Z3の内部に内部構造体3を収容し、片側加工容器Z3の口金部Z7が形成された側と反対側の胴部Z4に対して縮径加工を施すことにより、内部構造体3が有する固定軸部33を内周面で支持する他の筒状の口金部Z9を形成するように構成しているが、このような製造方法に限定されない。具体的に説明すると、例えば、図11のブロック図に示すように主要部品準備ステップS11と、内部構造体支持ステップS12と、固定軸部固定ステップS13と、保持プラグ設置ステップS14と、両側加工容器形成ステップS15とを備えるように構成してもよい。
【0040】
主要部品準備ステップS11は、円筒形状を有する胴部Z4の一端側にドーム形状のドーム部Z5、及び、該ドーム部Z5の頂部に形成されて内外を連通する連通孔Z6を有し、胴部Z4の軸線に沿って形成される筒状の口金部Z7を有する片側加工容器Z3と、片側加工容器Z3の内部に収容され、胴部Z4の軸線に沿って一端側に設けられる自由軸部32及び胴部Z4の軸線に沿って他端側に設けられる固定軸部33を有する内部構造体3と、内部構造体3が有する自由軸部32に対して相対移動可能な保持プラグ11とを準備する工程である。
【0041】
ここで、片側加工容器Z3は、上述の方法により得ることができ、また、保持プラグ11及び内部構造体3としては、上述の構成の物を使用することができる。
【0042】
内部構造体支持ステップS12は、図12(a)に示すように、片側加工容器Z3の内部に内部構造体3を収容し、内部構造体3が有する固定軸部33を、口金部Z7における連通孔Z6に挿入するとともに、内部構造体3が有する自由端部32を仮支持して、内部構造体3を両端で支持する工程である。また、片側加工容器Z3の胴部Z4の外周面はチャック装置(図示せず)で保持される。また、内部構造体3が有する自由軸部32を仮支持する方法は特に限定されないが、例えば、図12(a)に示すように、支持ロッド50とプレス装置51とで押圧することにより、内部構造体3が有する自由軸部32を支持することができる。
【0043】
固定軸部固定ステップS13は、スピニング加工装置52等を用いて縮径加工を口金部Z7に施すことにより、口金部Z7の連通孔Z6を縮径変形させ、その内周面で固定軸部33を固定支持する工程である。固定軸部33の表面には、凸状体又は凹状体として構成される係合部33aが設けられているため、縮径加工により、口金部Z7の内周面の一部が、固定軸部33の表面に形成される係合部33aに塑性変形して係合するため、固定軸部33が口金部Z7に強固に密接固定されることになる。
【0044】
保持プラグ設置ステップS14は、図12(b)に示すように、内部構造体3が有する自由軸部32に保持プラグ11を相対移動可能に設置する工程である。本例においては、保持プラグ11は棒状体として形成されているため、内部構造体3が有する自由軸部32をパイプ状に構成し、当該パイプ状の自由軸部32における内腔に保持プラグ11を挿入することにより、保持プラグ11と自由軸部32とは、相対移動可能に構成される。なお、保持プラグ11としては、上述の図3(a)(b)に示すように、外周面に係合部11a(凸状体、或いは、凹状体として形成される係合部11a)を備える棒状の保持プラグ11を用いることが好ましい。ここで、この保持プラグ設置ステップS14を実施するタイミングは特に限定されず、上記固定軸部固定ステップS13が終了した段階で実施してもよく、或いは、上記内部構造体支持ステップS12を実施する前段階において実施し、固定軸部固定ステップS13を行う段階ですでに保持プラグ11を自由軸部32に設置した状態となるようにしてもよい。上記内部構造体支持ステップS12を実施する前段階において保持プラグ設置ステップS14を実施する場合には、内部構造体3が有する自由軸部32に設置された保持プラグ11を、支持ロッド50とプレス装置51とで押圧することにより、内部構造体3が有する自由軸部32側を支持することになる。
【0045】
両側加工容器形成ステップS15は、内部構造体3を胴部Z4の内側にセットした状態で片側加工容器Z3の残りの端面を加工して両側加工容器を形成する工程であり、片側加工容器Z3の口金部Z7が形成された側と反対側の胴部Z4にスピニング加工装置52等を用いての縮径加工を施すことにより、図12(c)に示すように、内部構造体3が有する自由軸部32に設置される保持プラグ11の外周面を内周面で支持するための他の筒状の口金部Z9を頂部に有するドーム状のドーム部Z10を形成する。この両側加工容器形成ステップS15を経て、内部に内部構造体3を有する容器1が形成される。保持プラグ11の表面には、凸状体又は凹状体として構成される係合部11aが設けられているため、縮径加工により、保持プラグ11を内周面で支持するための他の口金部Z9を形成する際に、当該他の口金部Z9の内周面の一部が、保持プラグ11の表面に形成される係合部11aに塑性変形して係合するため、保持プラグ11が他の口金部Z9に強固に固定されることになる。なお、保持プラグ11を他の口金部Z9内に設置する際に、口金部Z9に対する当該保持プラグ11の位置ずれが発生しないように、別途図示しない支持装置により保持プラグ11を支持しながら、両側加工容器形成ステップS15を実施することが好ましい。また、両側加工容器形成ステップS15の後工程として、必要に応じ、熱処理ステップを施し容器1の耐疲労強度を向上させるようにしてもよい。このような製造方法であっても、上述の効果を奏することができる。
【0046】
また、上記実施形態においては、第1口金部9における連通孔に保持プラグ11を固定支持し、当該保持プラグ11に対して、内部構造体3が有する自由軸部32が胴部4の軸線に沿って移動可能(相対移動可能)なように支持される構造を備えているが、このような構造に特に限定されず、内部構造体3が有する自由軸部32が、第1口金部9側において、胴部4の軸線に沿って移動可能(相対移動可能)なように支持される態様であれば、如何様な構造でも採用することができる。例えば、図13の概略構成要部拡大断面図に示すように、第1口金部9における連通孔内において、内部構造体3が有する自由軸部32が摺動可能に支持されるような構造を採用することができる。このような構造を採用する場合、例えば、第1口金部9の外周部に雄ネジ部を形成し、当該雄ネジ部に封止プラグを螺合して第1口金部を封止するような構成を採用する。また、自由端部32の形態としては、パイプ状、或いは、中実棒状を採用することができる。自由端部32をパイプ状として形成する場合には、当該自由端部32の側面に貫通孔(図示せず)し、当該貫通孔を介して、容器1内への流体の供給、又は、容器1に貯蔵される流体を外部に排出することができるように構成してもよい。
【0047】
また、図13に示す態様にて容器を製造する場合、例えば、図5に示すブロック図を参照して、保持プラグ固定ステップS2を省略するとともに、図14に示すように、片側加工容器Z3の内部に内部構造体3を収容し、内部構造体3が有する自由軸部32を、胴部Z4の軸線に沿って移動可能なように口金部Z7の連通孔Z8内に挿入して、当該口金部Z7において自由端部32を支持するとともに、内部構造体3が有する固定軸部33を仮支持して、内部構造体3を両端で支持するように内部構造体支持ステップS3を構成する。その後に行われる両側加工容器形成ステップS4を上述の通り実施することにより、容器本体2の内部に設置される内部構造体3に対する容器本体2の支持構造を、片側自由端構造(内部構造体3の自由軸部32が第1口金部9の連通孔に対して移動可能な構造)とする容器を得ることができる。
【0048】
また、図11のブロック図や図12にて示されるように、内部構造体3が有する固定軸部33を、片側加工容器Z3が有する口金部Z7における連通孔Z6に挿入して容器を製造する場合には、図11にて示される保持プラグ固定ステップS14を省略するとともに、図15に示すように、片側加工容器Z3の口金部Z7が形成された側と反対側の胴部Z4にスピニング加工装置52等を用いての縮径加工を施すことにより、内部構造体3が有する自由軸部32を、胴部Z4の軸線に沿って移動可能なように支持する他の筒状の口金部Z9を頂部に有するドーム状のドーム部Z10を形成して両側加工容器を得るように両側加工容器形成ステップを構成する。
【符号の説明】
【0049】
1 容器
2 容器本体
3 内部構造体
31 構造体本体
32 自由軸部
33 固定軸部
33a 係合部
4 胴部
5,6 ドーム部
7,8 連通孔
9 第1口金部
9a 塑性変形部
10 第2口金部
10a 塑性変形部
11 保持プラグ
11a 係合部
111 プラグ本体
112 収容凹部
113 スクリュー体
Z1 短素管材
Z2 長素管材
Z3 片側加工容器
Z4 胴部
Z5 ドーム部
Z6 連通孔
Z7 口金部
Z8 塑性変形部
Z9 他の口金部
Z10 ドーム部
S1 主要部品準備ステップ
S2 保持プラグ固定ステップ
S3 内部構造体支持ステップ
S4 両側加工容器形成ステップ
S11 主要部品準備ステップ
S12 内部構造体支持ステップ
S13 固定軸部固定ステップ
S14 保持プラグ設置ステップ
S15 両側加工容器形成ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15