(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142367
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】ワイヤレス電力伝送デバイス
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20230928BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20230928BHJP
H01F 38/14 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/10
H01F38/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049248
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】得居 通久
(72)【発明者】
【氏名】吉田 拓也
(57)【要約】
【課題】複数の充電対象機器を同時に充電することができ、平置き充電と縦置き充電の両方に対応可能な利便性の高いワイヤレス電力伝送デバイスを提供する。
【解決手段】ワイヤレス電力伝送デバイス1は、第1主面20a及び第2主面20bを有し、第1主面20aが倒伏姿勢となる第1ポジションと、第1主面20aが起立姿勢となる第2ポジションを変更可能に構成されたコイルユニット20と、コイルユニット20内に収容され、第1主面20aに対向する第1コイル21と、コイルユニット20が第2ポジションの際に第1主面20aから第1距離d
1離間して配置される対向面32を有する第1サポート部材30とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び第2主面を有し、前記第1主面が倒伏姿勢となる第1ポジションと、前記第1主面が起立姿勢となる第2ポジションを変更可能に構成されたコイルユニットと、
前記コイルユニット内に収容され、前記第1主面に対向する第1コイルと、
前記コイルユニットが前記第2ポジションの際に前記第1主面から第1距離離間して配置される対向面を有する第1サポート部材とを備えることを特徴とするワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項2】
前記コイルユニット内に収容され、前記第2主面に対向する第2コイルと、
前記コイルユニットが前記第2ポジションの際に前記第2主面から所定の第2距離離間して配置される対向面を有し、前記コイルユニットに固定された第2サポート部材をさらに備え、前記第2サポート部材は前記コイルユニットと連動する、請求項1に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項3】
前記第1コイルと前記第2コイルとの間に配置される導体と、前記第1コイルと前記導体との間に配置される第1磁性シートと、前記第2コイルと前記導体との間に配置される第2磁性シートとをさらに有する、請求項2に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項4】
前記コイルユニットの前記第1主面と前記第2主面との間の距離は、前記第1距離及び前記第2距離よりも短い、請求項2又は3に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項5】
前記第1コイル及び前記第2コイルは、平面視で縦横寸法が異なる平面コイルからなり、前記平面コイルの長手方向は前記第1主面及び前記第2主面の法線方向と直交し、且つ前記第2ポジションの際の起立方向と直交する方向を向くように前記コイルユニット内に収容される、請求項2乃至4のいずれか一項に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項6】
前記第2ポジションにおいて、前記第1コイル及び前記第2コイルの中心位置の高さは前記第2サポート部材の起立方向における先端部の高さよりも高い、請求項2乃至5のいずれか一項に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項7】
前記第1サポート部材は、前記第1距離を変更可能な弾性部材を備え、
前記第2サポート部材は、前記第2距離を変更可能な弾性部材を備える、請求項2乃至6のいずれか一項に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項8】
前記コイルユニットは、前記第1主面側に第1磁石を有し、
前記第1サポート部材は、前記コイルユニットが前記第2ポジションの際に前記第1磁石と対向する位置に第2磁石を有する、請求項2乃至7のいずれか一項に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項9】
前記コイルユニットは、前記第1磁石を複数有し、前記コイルユニットの前記第1主面及び前記第2主面の法線方向と直交し、且つ前記第2ポジションの際の起立方向と直交する方向の中央よりも両端側に近い位置に配置されている、請求項8に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項10】
前記コイルユニットが前記第1ポジションの際に、前記コイルユニットの一部と前記第2サポート部材を収容可能な収容空間を有するデバイス本体(第4部材)をさらに備える、請求項2乃至9のいずれか一項に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項11】
前記デバイス本体は、前記第1コイル及び前記第2コイルを送電コイルとして駆動する駆動回路を収容する、請求項10に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項12】
前記第2サポート部材は、前記コイルユニットの前記第2主面と反対側に第3磁石を有し、
前記デバイス本体は、前記コイルユニットが前記第1ポジションの際に前記第3磁石と対向する位置に第4磁石を有する、請求項10又は11に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【請求項13】
前記第3磁石と前記第4磁石は反発し合う極性の向きで配置される、請求項12に記載のワイヤレス電力伝送デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤレス電力伝送デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどのモバイル機器のバッテリーを充電する充電器としてワイヤレス充電器が知られている。ワイヤレス充電器によれば、ケーブル接続なしで電子機器を充電することができるので、非常に便利である。
【0003】
ワイヤレス充電器に関し、例えば特許文献1には、持ち運び可能な電子機器を保持するホルダ内に収容された無接点給電器により電子機器を充電することが記載されている。電子機器はいわゆる平置きの状態で充電される。また特許文献2には、使用者端末が据え置かれる部分のチルト機能を用いて、複数の使用者端末を効率良く充電することができる無線充電装置が記載されている。
【0004】
特許文献3は、電磁誘導を利用した非接触の給電によって2台の電子機器を同時に充電可能な充電装置が記載されている。この充電装置は、充電台のキャビネットに形成された2つの収容部を有する。2つの収容部の各々には、1つの携帯型電子機器が収容され、各携帯型電子機器の受電コイルは、給電コイルを挟んで対向して配置される。
【0005】
特許文献4には、第1コイルアンテナとディスプレイを内蔵する第1本体部と、第2コイルアンテナを内蔵する第2本体部とがヒンジ部を介して接続され、第1本体部を第2本体部と重ねた状態のときに、第1コイルアンテナと第2コイルアンテナとの間に金属層が介在するように構成された電子機器が記載されている。
【0006】
特許文献5には、多層基板の第1面に渦巻き形状の第1コイルが形成され、第1面と反対側の第2面に渦巻き形状の第2コイルが形成され、第1コイルと第2コイルとの間に誘電正接が大きな層が設けられた、いわゆるデュアルコイルタイプの電力伝送コイルユニットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-75875号公報
【特許文献2】特開2021-13292号公報
【特許文献3】特開2013-158148号公報
【特許文献4】国際公開第2018/092569号
【特許文献5】特開2015-121377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、スマートフォンをはじめとするバッテリー搭載機器の普及により、充電対象機器を複数台所持する人が増えている。またそれらの機器を充電する際、充電中の用途に応じて、平置きで充電したい場合や縦置きで充電したい場合など、要求される充電方法も様々であり、これら様々なニーズに応えることができる多機能なワイヤレス電力伝送デバイスが求められている。
【0009】
したがって、本開示の目的は、複数の充電対象機器を同時に充電することができ、平置き充電と縦置き充電の両方に対応可能な利便性の高いワイヤレス電力伝送デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本開示による一実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイスは、第1主面及び第2主面を有し、第1主面が倒伏姿勢となる第1ポジションと、第1主面が起立姿勢となる第2ポジションを変更可能に構成されたコイルユニットと、コイルユニット内に収容され、第1主面に対向する第1コイルと、コイルユニットが第2ポジションの際に第1主面から第1距離離間して配置される対向面を有する第1サポート部材とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、複数の充電対象機器を同時に充電することができ、平置き充電と縦置き充電の両方に対応可能な利便性の高いワイヤレス電力伝送デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の一実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイスの構成を示す略斜視図であって、コイルユニットが倒伏姿勢の状態を示している。
【
図2】
図2は、本開示の一実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイスの構成を示す略斜視図であって、コイルユニットが起立姿勢の状態を示している。
【
図3】
図3は、コイルユニットの構成を示す略断面図である。
【
図4】
図4は、ワイヤレス電力伝送デバイスの略側面断面図であって、コイルユニットが水平姿勢の状態を示している。
【
図5】
図5は、ワイヤレス電力伝送デバイスの略側面断面図であって、コイルユニットが起立姿勢の状態を示している。
【
図6】
図6は、磁石の設置位置を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、第1サポート部材及び第2サポート部材の変形例を示す略側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の好ましい実施態様について詳細に説明する。
【0014】
図1及び
図2は、本開示の一実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイスの構成を示す略斜視図であって、
図1はコイルユニットが倒伏姿勢の状態、
図2はコイルユニットが起立姿勢の状態をそれぞれ示している。
【0015】
図1及び
図2に示すように、本実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイス1は、デバイス本体10と、デバイス本体10に対して回動自在に設けられたコイルユニット20とを備えている。コイルユニット20にはワイヤレス給電用の平面ループコイル(送電コイル)が内蔵されており、デバイス本体10には、例えば送電コイルの駆動回路15など、送電コイルを除いたワイヤレス電力伝送デバイス1の構成に必要な要素の一部が収容されている。
【0016】
コイルユニット20は、略矩形の板状の可動部材である。コイルユニット20はその長手方向と直交する幅方向の一端部(基端部)が回転支持軸20xによって軸支されており、これにより回転支持軸20xを中心に回動することができる。すなわち、コイルユニット20はデバイス本体10に対して折り畳み可能に構成されている。
【0017】
図1のようにコイルユニット20を折り畳んだ状態では、デバイス本体10の上面10aに設けられた収容空間10c(キャビティ)内にコイルユニット20が収容され、このときコイルユニット20の一方の主面(第1主面20a)とデバイス本体10の上面10aが面一となるように構成されている。コイルユニット20が倒伏姿勢のときには、コイルユニット20の第1主面20a上にスマートフォンなどの充電対象機器を平置きして充電することができる。なお、デバイス本体10の上面10aが水平面に対して平行となるように設置される場合、コイルユニット20の倒伏姿勢は水平姿勢となる。
【0018】
一方、
図1の倒伏姿勢(第1ポジション)の状態からコイルユニット20の先端部を持ち上げると、
図2のようにコイルユニット20は回転支持軸20xを中心に90°回転して起立姿勢(第2ポジション)となる。コイルユニット20が起立姿勢のときには、充電対象機器を縦置きの状態でワイヤレス充電を行うことができる。コイルユニット20の起立姿勢は、必ずしも垂直である必要はなく、少し斜めに傾いていてもよい。ただし、両面充電を実施する場合には、コイルユニット20が直立したほうがよい。
【0019】
詳細は後述するが、デバイス本体10の上面10aには第1サポート部材30が設けられている。第1サポート部材30は、コイルユニット20が起立姿勢のときに第1主面20a側に縦置きされる充電対象機器を保持する役割を果たす。第1サポート部材30は、コイルユニット20の回転支持軸20xから見てコイルユニット20の収容空間10cとは反対側の端部寄りに設けられている。
【0020】
また、第1主面20aと反対側の面であるコイルユニット20の第2主面20bには第2サポート部材40が設けられている。第2サポート部材40は、コイルユニット20が起立姿勢のときに第2主面20b側に縦置きされる充電対象機器を保持する役割を果たす。第1サポート部材30と異なり、第2サポート部材40はコイルユニット20に固定されているので、コイルユニット20と一緒に回動し、コイルユニット20が倒伏姿勢のときには収容空間10c内に収容される。すなわち、第2サポート部材40は、コイルユニット20と連動する。
【0021】
図3は、コイルユニット20の構成を示す略断面図である。
【0022】
図3に示すように、コイルユニット20は、第1主面20a及び第2主面20bを有する薄型のコイルケース20Cと、コイルケース20C内に収容され、第1主面20aに対向する第1コイル21と、コイルケース20C内に収容され、第2主面20bに対向する第2コイル22と、第1コイル21と第2コイル22との間に設けられた導体シート23と、第1コイル21と導体シート23との間に設けられた第1磁性シート24と、第2コイル22と導体シート23との間に設けられた第2磁性シート25とを有する。本実施態様において、第1コイル21と第2コイル22は実質的に同一形状および同一サイズであるが、互いに異なる形状又は異なるサイズであってもよい。
【0023】
第1コイル21は、コイルユニット20の第1主面20a側に置かれた充電対象機器の充電に用いられる送電コイルである。そのため、第1コイル21は、コイルユニット20が倒伏姿勢のときと起立姿勢のときの両方で使用される。
【0024】
第2コイル22は、第2主面20b側に置かれた充電対象機器の充電に用いられる送電コイルである。そのため、第2コイル22は、コイルユニット20が起立姿勢のときのみ使用され、倒伏姿勢のときには使用されない。コイルユニット20が倒伏姿勢のときには、第2コイル22は収容空間10c内に収容された状態となる。
【0025】
第1コイル21と第2コイル22との間には導体シート23が設けられているので、第1コイル21と第2コイル22の相互干渉を防止して複数の充電対象機器を安定的に充電することができる。さらに、第1コイル21から発生する磁束の磁路を構成する第1磁性シート24が第1コイル21と導体シート23との間に設けられ、第2コイル22から発生する磁束の磁路を構成する第2磁性シート25が第2コイル22と導体シート23との間に設けられているので、充電効率を高めることができる。
【0026】
本実施態様において、第1コイル21及び第2コイル22の各々は、基材26の表裏両面にCuなどの良導体からなる導体パターンである平面コイルパターンをそれぞれ形成し、2つの平面コイルパターンを直列接続することで単一のコイルを構成したものである。平面コイルパターンは、コイル軸を中心に導体パターンを平面状に複数ターン周回させたものであり、例えば基材26の表裏両面の2つの平面コイルパターンの内周端同士が接続される。但し、第1コイル21及び第2コイル22の各々は、単一の平面コイルパターンから構成されていても構わない。この構成により、大きなインダクタンスを持つ非常に薄型のコイルを実現できる。基材26の材料については特に限定されないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂などの透明又は半透明なフレキシブル絶縁材料を用いることができる。また、基材26は、ガラスクロスにエポキシ系樹脂が含浸されたフレキシブル基板であっても構わない。
【0027】
また、第1コイル21及び第2コイル22は、平面視で縦横寸法が異なる概略的に長円形状又は楕円形状の平面ループコイル(平面コイル)からなり、平面ループコイルの長軸方向はコイルユニット20の回転支持軸20xの延在方向(X方向)と平行である。すなわち、第1コイル21及び第2コイル22は、その長手方向が第1主面20a及び第2主面20bの法線方向と直交し、且つ起立姿勢の際に起立方向と直交する方向を向くようにコイルケース20C内に収容される。なお、第1コイル21及び第2コイル22は長円形状又は楕円形状以外の平面視で縦横寸法が異なる形状であっても構わない。第1コイル21及び第2コイル22の縦寸法は、コイルユニット20が起立姿勢にあるときの上下方向(起立方向)の寸法として、また第1コイル21及び第2コイル22の横寸法は、起立方向と直交する方向、すなわち、コイルユニット20が起立姿勢にあるときの水平方向の寸法として、それぞれ定義される。
【0028】
図4及び
図5は、ワイヤレス電力伝送デバイスの略側面断面図であって、
図4はコイルユニットが倒伏姿勢の状態、
図5はコイルユニットが起立姿勢の状態をそれぞれ示している。
【0029】
図4及び
図5に示すように、コイルユニット20のコイルケース20Cの基端部はデバイス本体10上に軸支されており、回転支持軸20xを中心に回動自在に構成されている。
図4に示すように、コイルユニット20が倒伏姿勢のときには、コイルユニット20の第1主面20aがデバイス本体10の上面10aと面一となるため、スマートフォン等の充電対象機器2をコイルユニット20の第1主面20a上に平置きして充電することができる。
【0030】
デバイス本体10の上面10aには第1サポート部材30が立設されている。第1サポート部材30は、コイルユニット20の回転支持軸20xから見てコイルユニット20の収容空間10cとは反対側であってデバイス本体10の外周端近くに設けられている。そのため、コイルユニット20が起立した状態において、第1コイル21の中心位置の高さは、第1サポート部材30の起立方向における先端係合部31の高さよりも高い。これにより、充電対象機器2Aを第1サポート部材30にセットしたときに充電対象機器2Aの中心が第1コイル21の中心に近づくので、充電対象機器2Aを安定的に保持しながら効率良く充電することができる。
【0031】
第1サポート部材30の先端係合部31は、コイルユニット20が起立姿勢のときに第1主面20aから距離d1(第1距離)だけ離間した位置に設置される対向面32を有し、第1主面20aとの間で充電対象機器2Aの側端部を保持する。これにより、コイルユニット20の第1主面20a側に載置される充電対象機器2Aの起立姿勢が維持される。なお、第1サポート部材30とコイルユニット20の第1主面20aとの間で充電対象機器2Aの下端部を保持しても構わない。
【0032】
本実施態様では、第1コイル21は、その長手方向が第1主面20a及び第2主面20bの法線方向と直交し、且つ起立姿勢の際に起立方向と直交する方向を向くようにコイルケース20C内に収容されているため、充電対象機器2Aの側端部を保持する場合は、充電対象機器2Aがコイルユニット20の回転支持軸20xの延在方向(X方向)に位置ずれしたとしても充電効率の低下が抑制される。
【0033】
本実施態様では、第1サポート部材30の先端係合部31がコイルユニット20の第1主面20aに向かって突出する部分を備えているが、この点は必須ではない。すなわち、充電対象機器2Aの側端部又は下端部がデバイス本体10の上面10aに接する状態で第1サポート部材30とコイルユニット20の第1主面20aとの間で充電対象機器2Aを保持するように構成しても構わない。また、ワイヤレス電力伝送デバイス1が車両のコンソールボックスに適用される場合、第1サポート部材30は車両のコンソールボックスにおける内壁から構成されていても構わない。
【0034】
本実施態様において、コイルユニット20の第1主面20a側には磁石51(第1磁石)が設けられており、また第1サポート部材30側にも磁石51に対応する磁石52(第2磁石)が設けられている。磁石52は、コイルユニット20が起立姿勢のときに磁石51に対向する位置に設けられる。コイルユニット20が起立姿勢のときに磁石51,52間で吸引力を発生させることにより、コイルユニット20の起立姿勢を安定化させることができる。
【0035】
図6に示すように、磁石51はコイルユニット20側に複数設けられることが好ましく、コイルケース20Cの幅方向(X方向)の中央よりも両端側に近い左右両側の位置にそれぞれ配置されていることが好ましい。すなわち、磁石51は、コイルユニット20の第1主面20a及び第2主面20bの法線方向と直交し、且つ起立姿勢の際に起立方向と直交する方向の中央よりも両端側に近い位置に配置されている。磁石52も第1サポート部材30側の磁石51と対向する位置に磁石51と同数設けられていることが好ましい。本実施態様においては、一対の磁石51,52がコイルケース20Cの幅方向の一方および他方の端部付近にそれぞれ設けられている。
【0036】
コイルユニット20の第2主面20bには第2サポート部材40が設けられている。第2サポート部材40は、コイルユニット20の中心よりも回転支持軸20xの近くに設けられている。そのため、コイルユニット20が起立した状態において、第2コイル22の中心位置の高さは、第2サポート部材40の起立方向における先端係合部41の高さよりも高い。これにより、充電対象機器2Bを第2サポート部材40にセットしたときに充電対象機器2Bの中心が第2コイル22の中心に近づくので、充電対象機器2Bを安定的に保持しながら効率良く充電することができる。
【0037】
第2サポート部材40の先端係合部41は、コイルユニット20が起立姿勢のときに第2主面20bから所定の距離d2(第2距離)だけ離間した位置に設置される対向面42を有し、第2主面20bとの間で充電対象機器2の側端部を保持する。これにより、コイルユニット20の第2主面20b側に設置される充電対象機器2Bの起立姿勢が維持される。なお、第2サポート部材40とコイルユニット20の第2主面20bとの間で充電対象機器2Bの下端部を保持しても構わない。
【0038】
本実施態様において、コイルユニット20の第2主面20b側には磁石53(第3磁石)が設けられており、またデバイス本体10にも磁石53に対応する磁石54(第4磁石)が設けられている。磁石53は第2サポート部材40の端面に設けられていることが好ましく、磁石54は、コイルユニット20が倒伏姿勢のときに磁石53に対向する位置に設けられる。磁石53と磁石54は互いに引き付けあう極性の向きで配置されてもよく、磁石53と磁石54は互いに反発しあう極性の向きで配置されてもよい。前者の場合には、倒伏姿勢を安定化させてコイルユニット20の意図しない立ち上がりを防止することができ、コイルユニット20を折り畳んだ状態の安定化を図ることができる。また後者の場合には、コイルユニット20が倒伏姿勢のときに磁石53,54間で反発力を発生させることにより、デバイス本体10からのコイルユニット20の立ち上げを円滑にすることができる。さらに後者の場合には、コイルユニット20が起立姿勢の状態から倒伏姿勢の状態に折り畳むときに磁石53,54間で反発力を発生させることにより、コイルユニット20がデバイス本体10に接触して破損することが抑制される。
【0039】
図6に示すように、磁石53はコイルユニット20側に複数設けられることが好ましく、第2サポート部材40の幅方向(X方向)の中央よりも両端側に近い左右両側の位置にそれぞれ配置されていることが好ましい。すなわち、磁石53は、第2サポート部材40において、コイルユニット20の第1主面20a及び第2主面20bの法線方向と直交し、且つ起立姿勢の際に起立方向と直交する方向の中央よりも両端側に近い位置に配置されている。磁石54もデバイス本体10側に磁石53と同数設けられていることが好ましい。本実施態様においては、一対の磁石53,54が第2サポート部材40の幅方向の一方および他方の端部付近にそれぞれ設けられている。
【0040】
本実施態様において、コイルケース20Cの厚さは非常に薄い。そのため、コイルケース20Cの第1主面20aと第2主面20bとの間の距離d3は、第1主面20aから第1サポート部材30までの第1距離d1及び第2主面20bから第2サポート部材40までの第2距離d2よりも短いことが好ましい。この構成によれば、コイルケース20Cの可動部の小型軽量化を図ることができる。
【0041】
図7は、第1サポート部材30及び第2サポート部材40の変形例を示す略側面断面図である。図示のように、第1サポート部材30及び第2サポート部材40は、その一部(例えば対向面32,42)がゴムなどの弾性部材33,43からなり、弾性変形することによって第1距離d
1及び第2距離d
2を変更可能であってもよい。充電対象機器2A,2Bの厚みは様々であるが、第1及び第2サポート部材30,40をフレキシブルな素材で構成することで、厚みの異なる様々な充電対象機器に対応でき、送受電間距離を変えることなく高効率且つ安定した充電を行うことができる。
【0042】
以上説明したように、本実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイス1は、デバイス本体10と、デバイス本体10に対して回動自在に取り付けられたコイルユニット20とを備え、コイルユニット20は、第1主面20a及び第2主面20bを有し、第1主面20aが倒伏姿勢となる第1ポジションと、第1主面20aが起立姿勢となる第2ポジションを変更可能に構成されており、コイルユニット20内には、第1主面20aに対向する第1コイル21と、第2主面20bに対向する第2コイル22が収容され、デバイス本体10は、コイルユニット20が第2ポジションの際に第1主面20aから所定の第1距離d1離間して配置される第1サポート部材30とを備える。そのため、平置き充電と縦置き充電の両方に対応可能な利便性の高いワイヤレス電力伝送デバイスを提供することができる。
【0043】
また、本実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイス1は、コイルユニット20が第2ポジションの際に第2主面20bから所定の第2距離d2離間して配置されるようにコイルユニット20に固定された第2サポート部材40を備える。そのため、コイルユニット20が第2ポジションの際に第1主面20a側と第2主面20b側の両方に充電対象機器を縦置きした状態での両面充電も可能であり、2つの充電対象機器を同時に充電することができる。
【0044】
以上、本開示の好ましい実施態様について説明したが、本開示は、上記の実施態様に限定されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本開示の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0045】
例えば、上記の実施態様においては、コイルユニット20内に第2主面20bと対向する第2コイル22が収容され、コイルユニット20の第2主面20bに第2サポート部材40を備えているが、これら第2コイル22及び第2サポート部材40は必須でない。また、上記の実施態様においては、コイルユニット20に磁石51,53が設けられ、第1サポート部材30に磁石52が設けられ、デバイス本体10に磁石54が設けられているが、これら磁石51~54は必須でない。
【0046】
本開示に係る技術には、以下の構成例が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0047】
本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスは、第1主面及び第2主面を有し、第1主面が倒伏姿勢となる第1ポジションと、第1主面が起立姿勢となる第2ポジションを変更可能に構成されたコイルユニットと、コイルユニット内に収容され、第1主面に対向する第1コイルと、コイルユニットが第2ポジションの際に第1主面から第1距離離間して配置される対向面を有する第1サポート部材とを備える。
【0048】
上述のワイヤレス電力伝送デバイスによれば、平置き充電と縦置き充電の両方に対応可能な利便性の高いワイヤレス電力伝送デバイスを提供することができる。
【0049】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、コイルユニット内に収容され、第2主面に対向する第2コイルと、コイルユニットが第2ポジションの際に第2主面から所定の第2距離離間して配置される対向面を有し、コイルユニットに固定された第2サポート部材をさらに備え、第2サポート部材はコイルユニットと連動していても構わない。これによれば、コイルユニットが第2ポジションの際に第1主面側と第2主面側の両方に充電対象機器を縦置きした状態での両面充電も可能であり、2つの充電対象機器を同時に充電することができる。
【0050】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、第1コイルと第2コイルとの間に配置される導体と、第1コイルと導体との間に配置される第1磁性シートと、第2コイルと導体との間に配置される第2磁性シートとをさらに有していてもよい。これによれば、第1コイルと第2コイルの相互干渉を防止して複数の充電対象機器を安定的に充電することができる。また、第1コイルと第2コイルによる充電効率を高めることができる。
【0051】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、コイルユニットの第1主面と第2主面との間の距離は、第1距離及び第2距離よりも短くてもよい。これによれば、可動部であるコイルユニットの小型軽量化を図ることができる。
【0052】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、第1コイル及び第2コイルは、平面視で縦横寸法が異なる平面コイルからなり、平面コイルの長手方向は第1主面及び第2主面の法線方向と直交し、且つ第2ポジションの際の起立方向と直交する方向を向くようにコイルユニット内に収容されていてもよい。これによれば、充電対象機器に位置ずれが生じたとしても充電効率の低下が抑制される。
【0053】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、第2ポジションにおいて、第1コイル及び第2コイルの中心位置の高さは第2サポート部材の起立方向における先端部の高さよりも高くてもよい。これによれば、充電対象機器を第1サポート部材にセットしたときに充電対象機器の中心が第1コイルの中心に近づくので、充電対象機器を安定的に保持しながら効率良く充電することができる。
【0054】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、第1サポート部材は、第1距離を変更可能な弾性部材を備え、第2サポート部材は、第2距離を変更可能な弾性部材を備えていてもよい。これによれば、厚みの異なる様々な充電対象機器に対応でき、送受電間距離を変えることなく高効率且つ安定した充電を行うことができる。
【0055】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、コイルユニットは、第1主面側に第1磁石を有し、第1サポート部材は、コイルユニットが第2ポジションの際に第1磁石と対向する位置に第2磁石を有していてもよい。これによれば、コイルユニットが起立姿勢のときに磁石間で吸引力を発生させることにより、コイルユニットの起立姿勢を安定化させることができる。
【0056】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、コイルユニットは、第1磁石を複数有し、コイルユニットの第1主面及び第2主面の法線方向と直交し、且つ第2ポジションの際の起立方向と直交する方向の中央よりも両端側に近い位置に配置されていてもよい。これによれば、第1コイルが発生する磁界への影響が抑制される。
【0057】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、コイルユニットが第1ポジションの際に、コイルユニットの一部と第2サポート部材を収容可能な収容空間を有するデバイス本体をさらに備えていてもよい。これによれば、平置き充電の際に、充電対象機器を載置する面の段差の発生が抑制され、安定した充電を行うことができる。
【0058】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、デバイス本体は、第1コイル及び第2コイルを送電コイルとして駆動する駆動回路を収容してもよい。これによれば、可動部であるコイルユニットの小型軽量化を図ることができる。
【0059】
また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスにおいては、第2サポート部材は、コイルユニットの第2主面と反対側に第3磁石を有し、デバイス本体は、コイルユニットが第1ポジションの際に第3磁石と対向する位置に第4磁石を有していてもよい。この場合、第3磁石と第4磁石は反発し合う極性の向きで配置されていてもよい。第3磁石と第4磁石が互いに引き付けあう極性の向きで配置されると、倒伏姿勢を安定化させてコイルユニットの意図しない立ち上がりを防止することができ、コイルユニットを折り畳んだ状態の安定化を図ることができる。また、第3磁石と第4磁石が互いに反発しあう極性の向きで配置されると、コイルユニットを起立姿勢の状態から倒伏姿勢の状態に折り畳むときに磁石間で反発力を発生させることにより、コイルユニットがデバイス本体に接触して破損することが抑制される。
【符号の説明】
【0060】
1 ワイヤレス電力伝送デバイス
2,2A,2B 充電対象機器
10 デバイス本体
10a デバイス本体の上面
10c コイルユニットの収容空間
15 駆動回路
20 コイルユニット
20C コイルケース
20a 第1主面
20b 第2主面
20x 回転支持軸
21 第1コイル
22 第2コイル
23 導体シート
24 第1磁性シート
25 第2磁性シート
26 基材
30 第1サポート部材
31 第1サポート部材の先端係合部
32 第1主面との対向面
33 弾性部材
40 第2サポート部材
41 第2サポート部材の先端係合部
42 第2主面との対向面
43 弾性部材
51,52,53,54 磁石