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特開2023-142399結露管理装置、結露管理方法、結露管理プログラム、及び結露管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142399
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】結露管理装置、結露管理方法、結露管理プログラム、及び結露管理システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/52 20180101AFI20230928BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20230928BHJP
   F24F 110/12 20180101ALN20230928BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20230928BHJP
   F24F 110/22 20180101ALN20230928BHJP
   F24F 110/66 20180101ALN20230928BHJP
【FI】
F24F11/52
F24F110:10
F24F110:12
F24F110:20
F24F110:22
F24F110:66
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049300
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】522120129
【氏名又は名称】株式会社エデルプ
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100200333
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 真二
(72)【発明者】
【氏名】松岡 祐作
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA16
3L260CA12
3L260CA13
3L260CA17
3L260CA32
3L260CA35
3L260GA17
(57)【要約】
【課題】結露の発生を推測すると共に、結露の発生を推測した状況に関する情報を提供可能な結露管理装置、結露管理方法、結露管理プログラム、及び結露管理システムを提供する。
【解決手段】屋内での結露の発生を管理するために使用される結露管理装置であって、屋内を含む周囲環境に関する情報である基本環境情報から環境情報を取得する環境情報取得部と、環境情報から抽出される判定用環境情報に基づいて、屋内での結露の発生を推測する推測処理を行う結露判定部と、環境情報及び推測処理において結露が発生すると推測される場合に環境情報から取得される結露情報を対象とした選択を行い、得られた選択情報を用いて、提供情報を生成する情報生成部と、を備える。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内での結露の発生を管理するために使用される結露管理装置であって、
前記屋内を含む周囲環境に関する情報である基本環境情報から環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記環境情報から抽出される判定用環境情報に基づいて、前記屋内での結露の発生を推測する推測処理を行う結露判定部と、
前記環境情報及び前記推測処理において結露が発生すると推測される場合に前記環境情報から取得される結露情報を対象とした選択を行い、得られた選択情報を用いて、提供情報を生成する情報生成部と、を備えることを特徴とする結露管理装置。
【請求項2】
前記結露判定部が、湿り空気線図を用いて前記推測処理を行う請求項1に記載の結露管理装置。
【請求項3】
前記結露情報が、前記推測処理で用いられる前記判定用環境情報が検出された時刻情報を含む請求項1又は2に記載の結露管理装置。
【請求項4】
前記基本環境情報及び前記環境情報が、前記屋内の温度、湿度及び揮発性有機化合物の濃度並びに屋外の温度及び湿度を含み、
前記判定用環境情報が、前記屋内の温度及び湿度並びに前記屋外の温度を含む請求項1乃至3のいずれかに記載の結露管理装置。
【請求項5】
屋内での結露の発生を管理するために行なわれる結露管理方法であって、
前記屋内を含む周囲環境に関する情報である基本環境情報から環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記環境情報から抽出される判定用環境情報に基づいて、前記屋内での結露の発生を推測する推測処理を行う結露判定ステップと、
前記環境情報及び前記推測処理において結露が発生すると推測される場合に前記環境情報から取得される結露情報を対象とした選択を行い、得られた選択情報を用いて、提供情報を生成する情報生成ステップと、を有することを特徴とする結露管理方法。
【請求項6】
コンピュータに、請求項5に記載の結露管理方法を実行させるための結露管理プログラム。
【請求項7】
屋内での結露の発生を管理するために使用される結露管理システムであって、
前記屋内を含む周囲環境に関する情報である基本環境情報を検出する環境情報検出装置と、
前記基本環境情報を入力し、提供情報を生成する結露管理装置と、を備え、
前記結露管理装置が、
前記基本環境情報から環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記環境情報から抽出される判定用環境情報に基づいて、前記屋内での結露の発生を推測する推測処理を行う結露判定部と、
前記環境情報及び前記推測処理において結露が発生すると推測される場合に前記環境情報から取得される結露情報を対象とした選択を行い、得られた選択情報を用いて、前記提供情報を生成する情報生成部と、を具備することを特徴とする結露管理システム。
【請求項8】
前記屋内の空気を調節する調節処理を制御する制御装置を更に備え、
前記結露判定部が、前記推測処理において結露が発生すると推測される場合に制御信号を出力し、
前記制御信号に基づいて、前記制御装置が前記調節処理を制御する請求項7に記載の結露管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結露の発生を管理するために使用される結露管理技術に関し、特に、屋内での結露の発生を管理するために使用される結露管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
屋内の窓ガラス等に寒い時期に発生する結露は、掃除が必要になるだけではなく、放置しておくと、カビやダニが発生して屋内の環境を悪化させて人体に影響を及ぼしたり、建材の腐食や錆により建物の耐久性や耐震性を低下させたりすることがあるので、発生しないように対策することが望ましい。
結露は、空気が冷やされて飽和水蒸気量(1mの空気中に含むことができる最大の水蒸気量)を超えてしまうことで発生するので、温度及び湿度を基に結露の発生を推測して、対策を取る方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、屋内湿度が設定値を超え、かつ、屋内温度が屋外温度より高い場合に、換気扇を作動して、結露の発生を防止する結露防止装置が提案されている。特許文献2では、屋内温度及び屋内相対湿度に基づいて露点温度を算出し、壁面温度が露点温度より低い場合に暖房運転を行い、壁面での結露の発生を回避する空気調和装置が提案されている。特許文献3では、本体に配置されたサーミスタ(温度検出手段)で検出された温度及び湿度センサで検出された湿度に基づいて湿り空気線図を用いて水蒸気量を算出し、算出された水蒸気量が飽和してしまい結露が生じる温度差を算出し、結露が生じやすい箇所に配置されたサーミスタで検出された温度と本体に配置されたサーミスタで検出された温度の温度差を算出し、算出された2つの温度差を比較し、結露が生じる温度差であると判断した場合、ファンを稼働させて屋内の空気を循環させる換気システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4-68936号公報
【特許文献2】特開平10-339496号公報
【特許文献3】特開2009-63251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~3の各装置及びシステムでは、検出される温度及び湿度を基に結露の発生を推測して、結露の発生を抑制すべく、屋内の換気や空気調和を行っているが、結露が発生すると推測した状況に関する情報が提供されていない。結露に対しては、発生を抑制すると共に、発生に関連する情報を取得することにより、今後の結露対策に活用することができる。
【0006】
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、結露の発生を推測すると共に、結露の発生を推測した状況に関する情報を提供可能な結露管理装置、結露管理方法、結露管理プログラム、及び結露管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 屋内での結露の発生を管理するために使用される結露管理装置であって、前記屋内を含む周囲環境に関する情報である基本環境情報から環境情報を取得する環境情報取得部と、前記環境情報から抽出される判定用環境情報に基づいて、前記屋内での結露の発生を推測する推測処理を行う結露判定部と、前記環境情報及び前記推測処理において結露が発生すると推測される場合に前記環境情報から取得される結露情報を対象とした選択を行い、得られた選択情報を用いて、提供情報を生成する情報生成部と、を備える結露管理装置。
<2> 前記結露判定部が、湿り空気線図を用いて前記推測処理を行う<1>に記載の結露管理装置。
<3> 前記結露情報が、前記推測処理で用いられる前記判定用環境情報が検出された時刻情報を含む<1>又は<2>に記載の結露管理装置。
<4> 前記基本環境情報及び前記環境情報が、前記屋内の温度、湿度及び揮発性有機化合物の濃度並びに屋外の温度及び湿度を含み、前記判定用環境情報が、前記屋内の温度及び湿度並びに前記屋外の温度を含む<1>から<3>のいずれかに記載の結露管理装置。
<5> 屋内での結露の発生を管理するために行なわれる結露管理方法であって、前記屋内を含む周囲環境に関する情報である基本環境情報から環境情報を取得する環境情報取得ステップと、前記環境情報から抽出される判定用環境情報に基づいて、前記屋内での結露の発生を推測する推測処理を行う結露判定ステップと、前記環境情報及び前記推測処理において結露が発生すると推測される場合に前記環境情報から取得される結露情報を対象とした選択を行い、得られた選択情報を用いて、提供情報を生成する情報生成ステップと、を有する結露管理方法。
<6> コンピュータに、<5>に記載の結露管理方法を実行させるための結露管理プログラム。
<7> 屋内での結露の発生を管理するために使用される結露管理システムであって、前記屋内を含む周囲環境に関する情報である基本環境情報を検出する環境情報検出装置と、前記基本環境情報を入力し、提供情報を生成する結露管理装置と、を備え、前記結露管理装置が、前記基本環境情報から環境情報を取得する環境情報取得部と、前記環境情報から抽出される判定用環境情報に基づいて、前記屋内での結露の発生を推測する推測処理を行う結露判定部と、前記環境情報及び前記推測処理において結露が発生すると推測される場合に前記環境情報から取得される結露情報を対象とした選択を行い、得られた選択情報を用いて、前記提供情報を生成する情報生成部と、を具備する結露管理システム。
<8> 前記屋内の空気を調節する調節処理を制御する制御装置を更に備え、前記結露判定部が、前記推測処理において結露が発生すると推測される場合に制御信号を出力し、前記制御信号に基づいて、前記制御装置が前記調節処理を制御する<7>に記載の結露管理システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明の結露管理装置、結露管理方法、結露管理プログラム、及び結露管理システムによれば、結露が発生すると推測した場合に結露情報を取得するので、結露情報を基に、結露発生推測時の情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る結露管理システム(第1実施形態)の構成例を示す図である。
図2】情報表示処理により提供情報を表示する画面の例を示す図である。
図3】情報表示処理により提供情報を表示する画面の例を示す図である。
図4】結露管理装置の構成例(第1実施形態)を示すブロック図である。
図5】湿り空気線図の例を示す図である。
図6】推測処理で使用される閾値の例を示す表である。
図7】推測処理での結露管理装置の動作例(第1実施形態)を示すフローチャートである。
図8】本発明に係る結露管理システム(第2実施形態)の構成例を示す図である。
図9】結露管理装置の構成例(第2実施形態)を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明では、屋内を含む周囲環境において検出される温度、湿度等の情報に基づいて、屋内で結露が発生する状況となっているかを推測する処理(推測処理)を行う。推測処理では、周囲環境において検出される温度、湿度等の周囲環境に関する情報(基本環境情報)から取得される情報(環境情報)の中から抽出された情報(判定用環境情報)を使用する。また、推測処理中に取得される環境情報及び推測処理において結露が発生すると推測された場合での推測処理に関連する情報(結露情報)を記憶しておき、これらの情報を選択できるようになっている。結露情報には、結露が発生すると推測されたときに使用された判定用環境情報が検出された時刻等が含まれる。そして、選択された情報(選択情報)を用いて、利用者に温度や湿度等の時間変化等の情報(提供情報)を提供する。
【0012】
このように、本発明では、環境情報及び結露情報に基づいて、利用者に情報を提供するので、利用者は結露が発生すると推測された状況での情報を取得することができる。
なお、本発明は、上述の推測処理を行う結露管理装置として実現しても良いし、結露管理装置に加え、基本環境情報を検出する装置(環境情報検出装置)等を備える結露管理システムとして実現しても良い。
【0013】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
図1に、本発明に係る結露管理装置を備える結露管理システムの構成例(第1実施形態)を示す。本実施形態の結露管理システム1は、屋内での結露の発生を管理するために使用されるシステムであり、結露が発生する状況となっているかを推測する推測処理等を行う結露管理装置10、基本環境情報を検出する屋内センサ21、22及び23並びに屋外センサ24(以下、屋内センサ及び屋外センサの総称を「センサ20」とする)を備える。
【0015】
結露管理装置10は、パソコン、タブレット、スマートフォン等の通信機能を有する汎用の情報機器で構成されており、各端末に搭載された専用のアプリケーション(アプリケーションプログラム)、または、専用のアプリケーションと汎用のアプリケーションの組み合わせ等により、後述の機能を実行する。結露管理装置10として、汎用の情報機器ではなく、専用機器を使用しても良い。
【0016】
屋内センサ21、22及び23は屋内に設置され、屋外センサ24は屋外に設置される。結露管理システム1は、基本環境情報として、屋内及び屋外の温度及び湿度、並びに屋内のVOC(Volatile Organic Compounds、揮発性有機化合物)の濃度(以下、「VOC濃度」とする)を使用し、屋内センサ21、22及び23は屋内の温度、湿度及びVOC濃度を検出し、屋外センサ24は屋外の温度及び湿度を検出する。基本環境情報のうち、結露管理システム1は、屋内及び屋外の温度並びに屋内の湿度を判定用環境情報として使用する。よって、推測処理は、屋内センサ21、22及び23から選択される1つの屋内センサと屋外センサ24で検出される基本環境情報を基に行うことになる。なお、センサ20として同じ装置を使用しても良いし、機能、構成等が異なる装置を使用しても良い。また、センサ20は1台で温度、湿度及びVOC濃度を検出するが、温度、湿度及びVOC濃度それぞれに特化して検出するセンサを組み合わせて、基本環境情報を検出するようにしても良い。
【0017】
結露管理システム1が取得する環境情報及び結露情報は膨大となる可能性があるので、外部に配置される情報記憶装置2にこれらの情報を記憶する。結露管理システム1の結露管理装置10と情報記憶装置2は、インターネット等で構成されるネットワーク3を介して接続される。情報記憶装置2として、専用の記憶装置を使用しても良いし、クラウドサービス等で使用される汎用の記憶サーバ等を使用しても良い。なお、情報記憶装置2の代わりに、結露管理システム1が環境情報及び結露情報を記憶する記憶装置を備えても良いし、結露管理装置10が環境情報及び結露情報を記憶する記憶部を備えても良い。情報記憶装置2、結露管理システム1の記憶装置及び結露管理装置10の記憶部を全て或いは任意の組合せで備えても良い。
【0018】
結露管理システム1の各装置の詳細について説明する。
センサ20は、センサ20周辺の温度、湿度及びVOC濃度を検出する。具体的には、屋内センサ21、22及び23は屋内の温度、湿度及びVOC濃度を検出し、屋外センサ24は屋外の温度及び湿度を検出する。検出する温度は乾球温度であり、湿度は相対湿度である。VOC濃度は、例えば、VOCガスが金属酸化物の表面の酸素と反応し、金属酸化物の表面に吸着している酸素量が変化し、酸素量が変化すると電気の流れ易さも変化することを利用して検出する。なお、それ以外の方法でVOC濃度を検出しても良い。
【0019】
屋内センサ21、22及び23は、屋内で結露が発生しやすい箇所に設置する。結露は、温度差が大きいところや、湿気が多くて空気が滞留しやすいところで発生し易いので、そのような箇所に屋内センサを設置する。結露が発生する箇所として窓ガラスが一般的に知られているので、窓ガラスの近辺に屋内センサを設置する他に、玄関ドア、押入れ、家具の裏側等にも結露が発生することがあるので、そのような箇所に屋内センサを設置しても良い。結露管理装置10の近辺に屋内センサを設置しても良い。屋外センサ24は、外部の温度及び湿度を適切に検出できる箇所、例えば窓ガラスの外側近辺に設置する。
【0020】
センサ20は、温度、湿度及びVOC濃度それぞれを検出するセンサ部を備え、各部が検出したデータを格納した基本環境情報を所定の時間間隔で結露管理装置10に出力する。屋内センサ21、22及び23は基本環境情報Ibe1、Ibe2及びIbe3をそれぞれ出力し、屋外センサ24は基本環境情報Ibe4を出力する。基本環境情報Ibe1、Ibe2及びIbe3には温度、湿度及びVOC濃度の検出データが格納され、基本環境情報Ibe4には温度及び湿度の検出データが格納される。更に、センサ20は、データを検出した時刻(年、月、日、時、分及び秒)(以下、「検出時刻」とする)を基本環境情報に格納する。なお、屋内センサ21、22及び23並びに屋外センサ24として同じ装置を使用し、出力する基本環境情報に格納する検出データの種類も同じ、即ち基本環境情報Ibe4にもVOC濃度の検出データを格納するようにして、結露管理装置10において必要な検出データのみを基本環境情報から抽出するようにしても良い。
【0021】
センサ20は、結露管理装置10と有線又は無線で接続している。有線で接続する場合、有線ケーブル等を使用して接続する他に、センサ20がUSB(Universal Serial Bus)端子を備え、結露管理装置10がUSBポートを有し、USB端子をUSBポートに挿入することにより接続しても良い。無線で接続する場合は、一般的に使用されている近距離間データ通信での無線通信技術等を使用する。
【0022】
センサ20が基本環境情報を出力する時間間隔は変更可能であり、設定可能な時間間隔は、例えば5秒、1分、10分、1時間等である。なお、センサ20は固定の時間間隔で基本環境情報を出力し、結露管理装置10が、入力する基本環境情報を間引いて使用することにより、基本環境情報を取得する時間間隔(以下、「取得時間間隔」とする)を変更するようにしても良い。この場合、取得時間間隔は、センサ20が基本環境情報を出力する時間間隔の倍数となる。
なお、本実施形態では3つの屋内センサと1つの屋外センサを設置しているが、設置する屋内センサ及び屋外センサの数は任意に設定可能である。
結露管理装置10は、結露発生状況を推測する推測処理の他に、環境情報及び結露情報から選択される選択情報等から生成される提供情報を表示する処理(以下、「情報表示処理」とする)を行う。
【0023】
ここで、情報表示処理において、結露管理装置10が備えるディスプレイ等の表示手段に表示される画面の例について説明する。図2及び図3は、情報表示処理により提供情報を表示する画面の例を示す図である。
【0024】
結露管理装置10は、情報表示処理により、最新の温度及び湿度の検出データの表示(以下、「温湿度データ表示」とする)、最新のVOC濃度の検出データの表示(以下、「VOCデータ表示」とする)、温度及び湿度の時間変化を示すグラフの表示(以下、「温湿度グラフ表示」とする)、及びVOC濃度の時間変化を示すグラフの表示(以下、「VOCグラフ表示」とする)を行う。更に、温湿度グラフ表示には、各センサでの温度及び湿度の時間変化を示すグラフの表示(以下、「個別温湿度グラフ表示」とする)と、推測処理のために選択された2つのセンサでの温度及び湿度の時間変化を示すグラフの表示(以下、「選択温湿度グラフ表示」とする)がある。
【0025】
結露管理装置10の動作開始時の初期画面では、温湿度データ表示が行われる。図2(A)は温湿度データ表示の画面の例を示しており、センサ20の各センサで検出された最新の温度(気温)及び湿度が表示される。図2(A)において、センサ名である「屋外センサ」、「屋内センサ1」、「屋内センサ2」及び「屋内センサ3」が、それぞれ屋外センサ24、屋内センサ21、22及び23に対応し、各センサが検出した温度及び湿度がセンサ名の右隣の表示スペース102に表示される。
【0026】
センサ名の左隣に表示されている正方形のボックス101は推測処理のために選択されたセンサを示しており、チェックが付いているセンサの検出データが推測処理に使用される。結露管理システム1の利用者は、ボックス101をタッチ又はクリック(以下、総称して「タッチ操作」とする)することにより、センサを選択することができる。但し、屋外センサ24は推測処理に必ず使用されるので、チェックを外すことができなくなっている。図2(A)では屋外センサ24及び屋内センサ22が推測処理のために選択されている。利用者のタッチ操作前での屋内センサの選択は、結露管理装置10の動作開始時に結露管理装置10が最も早く入力した基本環境情報を出力した屋内センサを選択することにより行われる。
【0027】
表示スペース102をタッチ操作すると、画面が変わり、その表示スペースに対応するセンサを対象とした個別温湿度グラフ表示が行われる。図3に個別温湿度グラフ表示の画面の例を示す。図3に示されているグラフでは、横軸が時刻で縦軸が温度及び湿度である。表示する温度及び湿度の時間間隔(以下、「表示時間間隔」とする)は変更可能で、例えば1時間、2時間、8時間、24時間、1月、1年等を表示時間間隔とすることができ、グラフはそれに合わせて表示される。
【0028】
表示スペース102の右隣に表示されている歯車マーク103は、各センサの設定を確認及び変更するときに使用するものである。歯車マーク103をタッチ操作すると、その歯車マーク103に対応するセンサ(歯車マーク103と同じ欄に表示されているセンサ名のセンサ)の設定画面に遷移し、設定の確認及び変更を行うことができる。センサの設定として、例えばセンサ名等がある。
画面下部に表示されている「グラフ」と表記されているボタン(以下、「グラフボタン」とする)106は、選択された2つのセンサを対象とした選択温湿度グラフ表示が行うためのボタンである。グラフボタン106をタッチ操作すると、画面が変わり、ボックス101にチェックが付いているセンサの温度及び湿度の図3に示されるようなグラフが2つ表示される。
【0029】
画面右上に表示されている縦3点リーダ107は、センサ20に共通の設定を確認及び変更するときに使用するものである。縦3点リーダ107をタッチ操作すると、共通の設定画面に遷移し、設定の確認及び変更を行うことができる。共通の設定として、例えば取得時間間隔、表示時間間隔等がある。
画面下部に表示されている「温湿度」と表記されているボタン(以下、「温湿度ボタン」とする)104と「VOC」と表記されているボタン(以下、「VOCボタン」とする)105は、温湿度データ表示とVOCデータ表示とを切り替えるために使用されるボタンである。温湿度データ表示のときにVOCボタン105をタッチ操作すると、VOCデータ表示に切り替わり、VOCデータ表示のときに温湿度ボタン104をタッチ操作すると、温湿度データ表示に切り替わる。
【0030】
VOCデータ表示の画面の例を図2(B)に示す。VOCデータ表示の画面では、センサ名の右隣の表示スペース102に各センサの最新のVOC濃度が表示される。
VOCデータ表示の画面において、表示スペース102をタッチ操作すると、画面が変わり、その表示スペースに対応するセンサを対象としたVOCグラフ表示が行われる。但し、屋外センサ24のVOC濃度の検出データはないので、「屋外センサ」の右隣の表示スペース102をタッチ操作しても、VOCグラフ表示は行われない。VOCグラフ表示では、図3に示される個別温湿度グラフ表示でのグラフと同様なグラフが、縦軸をVOC濃度とし、横軸の時間間隔は個別温湿度グラフ表示と同じ表示時間間隔で表示される。なお、VOC濃度だけではなく、温度及び/又は湿度を表示しても良い。
【0031】
VOCデータ表示の画面において、グラフボタン106をタッチ操作すると、上述のように屋外センサ24のVOC濃度の検出データはないので、ボックス101にチェックが付いている屋内センサのみを対象としたVOCグラフ表示が行われる。
温湿度データ表示及びVOCデータ表示において、推測処理にて結露が発生すると推測された場合、利用者に屋内の換気を促すために、その旨を示す表示を行う。例えば、図2(C)に示されるように、画面の左上に「換気」と表記されたボックス108を表示する。図2(C)は、温湿度データ表示において結露が発生すると推測された場合の表示例である。
【0032】
結露管理装置10の構成例を図4に示す。結露管理装置10として汎用の情報機器を使用しており、図4には、本実施形態に関わる構成要素のみを示している。
結露管理装置10は、環境情報取得部11、情報入出力管理部12、結露判定部13、情報生成部14、入力部15及び表示部16を備え、推測処理は結露判定部13が主となって、情報表示処理は情報生成部14が主となって行われる。
【0033】
入力部15及び表示部16は、結露管理装置10が有する汎用の入力処理及び表示処理を行う。即ち、入力部15は、結露管理装置10が備えるタッチパネルやキーボード等の入力手段と連携して利用者からの入力を受け付け、入力信号Sipを出力する。表示部16は、結露管理装置10が備える表示手段と連携して、表示部16に入力された情報を表示する。
【0034】
環境情報取得部11は、屋内センサ21、22及び23並びに屋外センサ24から出力される基本環境情報Ibe1、Ibe2、Ibe3及びIbe4をそれぞれ入力し、環境情報Ien1、Ien2、Ien3及びIen4(以下、これらの総称を「環境情報Ien」とする)を出力する。環境情報取得部11は、基本環境情報Ibe1、Ibe2及びIbe3に格納されている温度、湿度及びVOC濃度の検出データ並びにそれらの検出時刻を抽出し、環境情報Ien1、Ien2及びIen3にそれぞれ格納し、基本環境情報Ibe4に格納されている温度及び湿度の検出データ並びにそれらの検出時刻を抽出し、環境情報Ien4に格納する。更に、センサ20の各センサに他のセンサと区別可能な固有の識別子(以下、「センサID」とする)を付与し、環境情報IenにセンサIDも格納する。例えば、屋内センサ21、22及び23並びに屋外センサ24にそれぞれ1、2、3及び4のセンサIDを付与し、環境情報Ien1、Ien2、Ien3及びIen4にセンサIDとして1、2、3及び4をそれぞれ格納する。なお、基本環境情報に検出時刻が格納されていない場合、環境情報取得部11は、基本環境情報を入力した時刻を検出時刻として環境情報Ienに格納する。
【0035】
情報入出力管理部12は、他の部や装置に対する環境情報等の情報の入出力を管理する。
情報入出力管理部12は、環境情報Ien1、Ien2、Ien3及びIen4を入力し、これらを記憶しておくために、情報記憶装置2に出力する。具体的には、環境情報Ien1、Ien2及びIen3に格納されている検出時刻、センサID並びに温度、湿度及びVOC濃度の検出データと、環境情報Ien4に格納されている検出時刻、センサID並びに温度及び湿度の検出データを情報記憶装置2に記憶させる。
また、情報入出力管理部12は、入力する環境情報Ienから推測処理に使用する判定用環境情報Ijeを抽出する。上述のように、結露管理システム1は屋内及び屋外の温度並びに屋内の湿度を判定用環境情報として使用し、これらの基となる基本環境情報を検出するセンサ20は、情報表示処理にて選択されたセンサ20であるから、情報表示処理を行う情報生成部14から出力される、選択されたセンサ20の情報(例えばセンサID)(以下、「選択センサ情報」とする)Iesに基づいて判定用環境情報Ijeを抽出する。例えば、推測処理にて使用されるセンサ20が図2に示されるように屋内センサ22及び屋外センサ24の場合、環境情報Ien2中の温度及び湿度の検出データと、環境情報Ien4中の温度の検出データを判定用環境情報Ijeに格納する。判定用環境情報Ijeは結露判定部13に出力される。
【0036】
情報入出力管理部12は、結露判定部13による推測処理の判定結果Rjに基づいて結露情報Idcを取得する。つまり、判定結果Rjが、結露が発生するとの推測の場合、推測処理に使用した判定用環境情報Ijeの基である環境情報Ien中のセンサID、検出時刻並びに温度、湿度及びVOC濃度の検出データを結露情報Idcとする。例えば、推測処理にて使用されるセンサ20が屋内センサ22及び屋外センサ24の場合、環境情報Ien2中のセンサID、検出時刻並びに温度、湿度及びVOC濃度の検出データと、環境情報Ien4中のセンサID並びに温度及び湿度の検出データが結露情報Idcに格納される。情報入出力管理部12は、結露情報Idcを記憶しておくために、情報記憶装置2に出力する。
【0037】
情報入出力管理部12は、情報記憶装置2に記憶されている環境情報Ien及び結露情報Idcから、情報生成部14からの指示情報Iisに対応する情報を選択情報Ielとして取得し、情報生成部14に出力する。指示情報Iis及び選択情報Ielの詳細は、後述の情報生成部14の説明において記載する。
【0038】
結露判定部13は、判定用環境情報Ijeを用いて推測処理を行う。推測処理は、図5に示されるような湿り空気線図に基づいて行なわれる。
湿り空気線図とは、線図上に乾球/湿球温度/露点温度、絶対/相対湿度、エンタルピ等を記入し、その中から2つの値を求めることにより、湿り空気の状態が分かるようにした線図のことである。結露判定部13は、この湿り空気線図を基にした推測処理として、例えば、屋内湿度の所定の範囲毎に屋内温度及び屋外温度の差(以下、「内外温度差」とする)の閾値を設定し、検出された内外温度差が、検出された屋内湿度に対する閾値を超えた場合、結露が発生すると推測し、閾値以下の場合、結露が発生しないと推測する処理を行う。結露判定部13は、判定用環境情報Ijeに格納された屋内センサ検出の温度及び湿度を屋内温度及び屋内湿度として使用し、屋外センサ24検出の温度を屋外温度として使用することにより、推測処理を行う。閾値として、例えば図6に示されるような値を使用する。
【0039】
結露判定部13は、結露が発生すると推測した場合、判定結果Rjを「結露発生」とし、結露は発生しないと推測した場合、判定結果Rjを「結露未発生」として出力する。
情報生成部14は情報表示処理を行う。上述のように情報表示処理では、温湿度データ表示、VOCデータ表示、個別温湿度グラフ表示、選択温湿度グラフ表示及びVOCグラフ表示が行われる。なお、情報生成部14は、各センサの設定及び共通の設定の確認及び変更のための設定画面の表示及び設定の変更のための処理(以下、「設定処理」とする)も行うが、これらは、一般に行われる設定処理と同様な処理にて行われるので、詳細な説明は省略する。
【0040】
情報生成部14は、推測処理のために選択されたセンサの情報である選択センサ情報Iesを生成する。屋外センサ24は推測処理にて常に使用されるので、その情報は選択センサ情報Iesに盛り込まれている。屋内センサに関する情報は、画面上のボックス101のタッチ操作が行われた場合は、そのタッチ操作に基づいて選択センサ情報Iesに盛り込まれるが、タッチ操作が行われる前は、動作開始時に結露管理装置10に最も早く入力された基本環境情報を出力した屋内センサを選択することにより、選択センサ情報Iesに盛り込まれる。環境情報取得部11は、基本環境情報Ibe1、Ibe2、Ibe3及びIbe4を入力した順番で、環境情報Ien1、Ien2、Ien3及びIen4を出力し、情報入出力管理部12は、環境情報Ien1、Ien2、Ien3及びIen4を、入力した順番で出力するようにして、環境情報Ien1、Ien2、Ien3及びIen4の入力順番により、情報生成部14が結露管理装置10に最も早く入力された基本環境情報を出力した屋内センサを把握できるようにする。
温湿度データ表示では、情報生成部14は、情報入出力管理部12から出力される環境情報Ien(Ien1~Ien4)を入力し、環境情報Ienからセンサ20の各センサの温度及び湿度の検出データを取得し、選択センサ情報Iesと共に提供情報Iofに格納する。提供情報Iofは表示部16に出力され、図2(A)に示されるような画面が表示される。
【0041】
温湿度データ表示において、ボックス101に対してタッチ操作が行われた場合、その情報が入力部15から入力信号Sipとして情報生成部14に出力されるので、情報生成部14は入力信号Sipに基づいて選択センサ情報Iesを生成する。選択センサ情報Iesは、上述のように、提供情報Iofに格納されると共に、情報入出力管理部12に出力される。
【0042】
温湿度データ表示において、歯車マーク103に対してタッチ操作が行われた場合、その情報が入力部15から入力信号Sipとして情報生成部14に出力されるので、情報生成部14はタッチ操作に対応したセンサに対する設定処理を行う。同様に、縦3点リーダ107に対してタッチ操作が行われた場合、その情報が入力部15から入力信号Sipとして情報生成部14に出力されるので、情報生成部14は共通の設定処理を行う。
【0043】
温湿度データ表示において、表示スペース102に対してタッチ操作が行われた場合、その情報が入力部15から入力信号Sipとして情報生成部14に出力されるので、情報生成部14は入力信号Sipに基づいて個別温湿度グラフ表示を行う。同様に、グラフボタン106に対してタッチ操作が行われた場合、その情報が入力部15から入力信号Sipとして情報生成部14に出力されるので、情報生成部14は、選択センサ情報Iesに基づいて、選択温湿度データ表示を行う。
【0044】
温湿度データ表示において、VOCボタン105に対してタッチ操作が行われた場合、その情報が入力部15から入力信号Sipとして情報生成部14に出力されるので、情報生成部14はVOCデータ表示を行う。
【0045】
VOCデータ表示では、情報生成部14は、情報入出力管理部12から入力した環境情報Ienからセンサ20の各センサのVOC濃度の検出データを取得し、選択センサ情報Iesと共に提供情報Iofに格納する。提供情報Iofは表示部16に出力され、図2(B)に示されるような画面が表示される。
【0046】
VOCデータ表示において、ボックス101、歯車マーク103及び縦3点リーダ107に対してタッチ操作が行われた場合、情報生成部14は、温湿度データ表示の場合と同様の処理を行う。
【0047】
VOCデータ表示において、表示スペース102に対してタッチ操作が行われた場合、情報生成部14は入力部15からの入力信号Sipに基づいてVOCグラフ表示を行う。同様に、グラフボタン106に対してタッチ操作が行われた場合、情報生成部14は、選択センサ情報Iesに基づいて、VOCグラフ表示を行う。
【0048】
VOCデータ表示において、温湿度ボタン104に対してタッチ操作が行われた場合、情報生成部14は温湿度データ表示を行う。
【0049】
温湿度データ表示及びVOCデータ表示において、結露判定部13からの判定結果Rjを入力した場合、情報生成部14は判定結果Rjの内容を確認する。そして、判定結果Rjが「結露発生」の場合、図2(C)に示されるようなボックス108を表示するための情報を提供情報Iofに格納して表示部16に出力することにより、画面に表示させる。
【0050】
個別温湿度グラフ表示では、情報生成部14は、入力信号Sipに基づいて、対象とするセンサを特定し、その情報(例えばセンサID)を指示情報Iisとして情報入出力管理部12に出力する。情報入出力管理部12は、指示情報Iisに基づいて、情報記憶装置2に記憶された、対象とするセンサが検出した温度及び湿度の検出データを選択情報Ielとして入力し、情報生成部14に出力する。選択情報Ielを入力した情報生成部14は、選択情報Ielに基づいて、温度及び湿度の時間変化を示すグラフを表示するための情報を生成し、提供情報Iofとして表示部16に出力する。
【0051】
選択温湿度グラフ表示では、情報生成部14は、選択センサ情報Iesから選択されたセンサを特定し、その情報を指示情報Iisとして情報入出力管理部12に出力する。情報入出力管理部12は、指示情報Iisに基づいて、情報記憶装置2に記憶された、選択された各センサが検出した温度及び湿度の検出データを選択情報Ielとして入力し、情報生成部14に出力する。情報生成部14は、選択情報Ielに基づいて、選択された各センサが検出した温度及び湿度の時間変化を示すグラフを表示するための情報を生成し、提供情報Iofとして表示部16に出力する。
【0052】
VOCグラフ表示では、情報生成部14は、表示スペース102に対してタッチ操作が行われた場合は入力信号Sipに基づいて、グラフボタン106に対してタッチ操作が行われた場合は選択センサ情報Iesに基づいて、対象とするセンサを特定し、その情報を指示情報Iisとして情報入出力管理部12に出力する。情報入出力管理部12は、指示情報Iisに基づいて、情報記憶装置2に記憶された、対象とするセンサが検出したVOC濃度の検出データを選択情報Ielとして入力し、情報生成部14に出力する。選択情報Ielを入力した情報生成部14は、選択情報Ielに基づいて、VOC濃度の時間変化を示すグラフを表示するための情報を生成し、提供情報Iofとして表示部16に出力する。
【0053】
このような結露管理装置10の構成において、推定処理での結露管理装置10の動作例を図7のフローチャートを参照して説明する。なお、エラーが発生した場合の動作等の汎用的な動作の説明は省略する。
【0054】
環境情報取得部11は、センサ20の各センサから出力される基本環境情報Ibe1、Ibe2、Ibe3及びIbe4を順次入力し(ステップS10)、必要な情報を抽出及び付加して、環境情報Ien1、Ien2、Ien3及びIen4を情報入出力管理部12に順次出力する。
【0055】
情報入出力管理部12は環境情報Ienを順次入力し、情報生成部14及び情報記憶装置2に順次出力する(ステップS20)。情報記憶装置2は環境情報Ienを記憶する。
情報生成部14は、画面上のボックス101のタッチ操作が行われた場合は、そのタッチ操作に対応した入力部15からの入力信号Sipに基づいて、タッチ操作が行われていない場合は、動作開始時の環境情報Ienの入力順番に基づいて、選択センサ情報Iesを生成する(ステップS30)。選択センサ情報Iesは情報入出力管理部12に出力される。
情報入出力管理部12は、選択センサ情報Iesに基づいて、環境情報Ienから推測処理に使用する判定用環境情報Ijeを抽出し、結露判定部13に出力する(ステップS40)。
【0056】
結露判定部13は、判定用環境情報Ijeから屋内湿度及び内外温度差を算出し、図6に示されるような閾値を用いて、推測処理を行う(ステップS50)。そして、推測処理の結果(「結露発生」、「結露未発生」)を判定結果Rjとして情報入出力管理部12及び情報生成部14に出力する。
判定結果Rjを入力した情報入出力管理部12は、判定結果Rjが「結露発生」の場合(ステップS60)、環境情報Ienから結露情報Idcを取得し、情報記憶装置2に出力する(ステップS70)。情報記憶装置2は結露情報Idcを記憶する。判定結果Rjが「結露未発生」の場合(ステップS60)、情報入出力管理部12は結露情報Idcの取得及び出力を行わない。
以上の動作が、結露管理装置10に基本環境情報が入力されるタイミングで繰り返し行われる。なお、選択センサ情報の生成(ステップS30)は、選択センサ情報の内容が変わらなければ、スキップしても良い。
【0057】
情報表示処理での結露管理装置10の動作は、例えば、上述の推測処理での動作例における情報入出力管理部12からの環境情報Ienの出力及び結露判定部13からの判定結果Rjの出力、並びに入力部15からの入力信号Sipの出力に応じた、上述の各部の説明のような、情報入出力管理部12、情報生成部14及び表示部16が連動した動作である。
【0058】
本実施形態に対して、例えば以下のような変形が可能である。
情報表示処理での温湿度データ表示及びVOCデータ表示において、情報生成部14は情報入出力管理部12から出力される環境情報Ienを使用しているが、環境情報Ienが情報記憶装置2に記憶された後、記憶された環境情報Ienを読み出して使用しても良い。また、温湿度データ表示及びVOCデータ表示において、環境情報Ienに格納されている検出時刻を画面に表示するようにしても良い。
【0059】
結露管理システム1では屋外のVOC濃度は対象としていないが、屋外センサ24がVOC濃度を検出して、環境情報Ien4等に格納するようにしても良い。
【0060】
結露判定部13は推測処理の結果(「結露発生」、「結露未発生」)を判定結果Rjとして出力しているが、「結露発生」と判定した場合だけに判定結果を出力し、判定結果の出力の有無によって、「結露発生」か「結露未発生」かを判断するようにしても良い。この場合、判定結果は二値でなくて良い。また、情報生成部14は、判定結果Rjによって「結露発生」を検知しているが、情報入出力管理部12からの結露情報Idcの出力によって「結露発生」を検知しても良い。
【0061】
情報表示処理では、温度、湿度及びVOC濃度の最新の検出データや時間変化のグラフを表示しているが、情報生成部14が、情報記憶装置2に記憶されている環境情報及び結露情報から、例えば結露発生と頻繁に推測される時期や時刻、結露発生と長時間推測される時期や時刻等を算出し、提供情報Iofとして出力しても良い。結露発生と推測された時間とその間のVOC濃度を提供情報Iofとして出力して、両者の関係性を検討する情報として活用しても良い。
【0062】
本発明の他の実施形態について説明する。
【0063】
第1実施形態での結露管理システム1では、推測処理にて結露が発生すると推測された場合、利用者に屋内の換気を促すために、画面に「換気」と表記されたボックス108を表示するだけであるが、屋内に換気装置を設置し、換気装置を始動することにより屋内の空気を換気して、結露の発生を抑制することも可能である。
【0064】
この場合の結露管理システムの構成例(第2実施形態)を図8に示す。第2実実施形態での結露管理システム4は、図1に示される第1実施形態での結露管理システム1と比較すると、制御装置41及び換気装置42が追加され、結露管理装置10が結露管理装置30に替わっており、その他の装置は同じである。制御装置41は結露管理装置30及び換気装置42に接続している。
【0065】
換気装置42は屋内の空気の換気を行う装置である。換気装置42を動作させることにより、屋内の空気と屋外の空気の入れ替えを行い、屋内での結露の発生を抑制する。なお、換気装置42の代わりに、空気調和機を使用して、屋内での結露の発生を抑制するようにしても良い。
制御装置41は、結露管理装置30から出力される制御信号に応じて、換気装置42の始動及び停止の制御(調節処理)を行う。第2実施形態では、制御信号として、結露管理装置30での推測処理の結果である判定結果Rjを使用する。
【0066】
結露管理装置30の構成例を図9に示す。第2実施形態での結露管理装置30は、図4に示される第1実施形態での結露管理装置10と比較すると、結露判定部13から出力される判定結果Rjが、情報入出力管理部12及び情報生成部14に加えて、制御装置41に出力されている。
【0067】
制御装置41は、判定結果Rjが「結露発生」の場合、換気装置42を始動し、判定結果Rjが「結露未発生」の場合、換気装置42を停止する。制御装置41として、例えば換気装置42のプラグ(電源プラグ)と屋内のコンセント(電源コンセント)の間に介在し、内部のスイッチにより換気装置42への通電のオン/オフを切り替えるような装置を使用する。つまり、制御装置41は、判定結果Rjが「結露発生」の場合、換気装置42への通電をオンとすることにより換気装置42を始動し、判定結果Rjが「結露未発生」の場合、換気装置42への通電をオフとすることにより換気装置42を停止する。このような装置を制御装置41として使用することにより、換気装置42として、市販されている汎用の換気装置等を使用することが可能となる。
なお、制御信号として、判定結果Rjではなく、換気装置42を始動させるための始動信号と停止させるための停止信号を使用し、結露判定部は、推測処理の結果が「結露発生」のときに始動信号を出力し、「結露未発生」のときに停止信号を出力するようにしても良い。また、制御装置41の機能を換気装置に搭載し、換気装置に制御信号を直接入力し、換気装置自体が始動及び停止の制御を行うようにしても良い。
【0068】
第2実施形態では、換気装置42の始動及び停止を自動で行っているが、利用者の操作を経て、換気装置42の始動及び停止を行うようにしても良い。例えば、第1実施形態での情報表示処理において画面に表示される、「換気」と表記されたボックス108をタッチ操作に対応できるようにして、ボックス108のタッチ操作により、換気装置42の始動及び停止を行うようにしても良い。
【0069】
上述の実施形態での結露管理装置は、各構成要素の処理を、上述のようにプログラムとして実現することにより、コンピュータと(必要ならば)メモリの構成で実現可能である。各構成要素は専用IC(Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアでも実現可能である。また、上述の実施形態はシステム又は装置としての形態で説明されているが、本発明は、方法又はプログラムとしての形態を取ることも可能である。
なお、本発明は上記形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1、4 結露管理システム
2 情報記憶装置
3 ネットワーク
10、30 結露管理装置
11 環境情報取得部
12 情報入出力管理部
13 結露判定部
14 情報生成部
15 入力部
16 表示部
20 センサ
21、22、23 屋内センサ
24 屋外センサ
41 制御装置
42 換気装置
101、108 ボックス
102 表示スペース
103 歯車マーク
104 温湿度ボタン
105 VOCボタン
106 グラフボタン
107 縦3点リーダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9