(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142403
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】複合製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B23K 20/12 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
B23K20/12 360
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049310
(22)【出願日】2022-03-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】山田 奨
(72)【発明者】
【氏名】三鴨 賢一
(72)【発明者】
【氏名】服部 啓一
(72)【発明者】
【氏名】佐野 元紀
(72)【発明者】
【氏名】山越 晶太
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167AA06
4E167AA07
4E167AA08
4E167AA13
4E167AA22
4E167BG06
4E167BG22
4E167BG25
4E167BG27
(57)【要約】
【課題】摩擦攪拌接合用のツールが引き抜かれた部分の接合強度が従来よりも向上した複合製品の製造方法を提供する。
【解決手段】本実施形態の蓋付ケース10の製造方法では、摩擦撹拌接合を行うためにプローブ52が、ケース本体30及び蓋体20の被接合部の始点Sから終点Fまで移動した後、終点Fで折り返して摩擦攪拌接合部40内を逆方向に移動しながら徐々に引き抜かれるので、接合ライン40におけるプローブ52の引抜孔が従来より浅くなるか無くなり、部分的な接合強度の低下が抑えられると共に、蓋付ケース10のうち開口32Kの閉塞部分のシールの信頼性が向上する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材(30)と、前記第1部材(30)に摩擦攪拌接合される第2部材(20)とを備える複合製品(10)の製造方法において、
摩擦攪拌接合用の回転するツール(50)が、前記第1部材(30)及び前記第2部材(20)の被接合部の始点(S)から終点(F)まで移動して接合ライン(40)が形成された後、前記ツール(50)が前記終点(F)で折り返して前記接合ライン(40)内を移動しながら徐々に前記接合ライン(40)から引き抜かれる複合製品(10)の製造方法。
【請求項2】
前記第1部材(30)のうち前記第2部材(20)が重ねられる第1面(32M)には、前記第2部材(20)にて閉塞される第1開口(32K)が備えられ、
前記第1部材(30)及び前記第2部材(20)の前記被接合部は、前記第1開口(32K)の開口縁に沿った閉ループ状をなしている請求項1に記載の複合製品(10)の製造方法。
【請求項3】
前記ツール(50)のプローブ(52)のうち前記第1開口(32K)から離れた側の周面速度の向きは、前記プローブ(52)が前記始点(S)から前記終点(F)に移動するときの移動の向きと一致し、前記プローブ(52)が前記終点(F)で折り返して移動するときの移動の向きと逆向きになる請求項2に記載の複合製品(10)の製造方法。
【請求項4】
前記摩擦撹拌接合を終えた後で、前記接合ライン(40)が露出する前記第2部材(20)又は、前記第1部材(30)及び前記第2部材(20)の表面が平面加工される請求項1から3の何れか1の請求項に記載の複合製品(10)の製造方法。
【請求項5】
前記第1部材(30)の外面には、前記第1面(32M)の前記開口縁に段付き状に陥没した陥没部(32)が形成され、
前記第2部材(20)は、前記陥没部(32)に受容されて前記第1部材(30)の外面から突出する状態で摩擦撹拌接合され、
前記摩擦撹拌接合後に、前記第2部材(20)の外面と前記第1部材(30)の外面とが面一になるように前記第2部材(20)が加工される請求項2から4の何れか1の請求項に記載の複合製品(10)の製造方法。
【請求項6】
前記ツール(50)が前記終点(F)で折り返して移動し始めてから前記接合ライン(40)から前記ツール(50)のプローブ(52)の先端が離れる迄の平均の勾配(θ)は、10°以下である請求項1から5の何れか1の請求項に記載の複合製品(10)の製造方法。
【請求項7】
前記ツール(50)が前記終点(F)で折り返して移動し始めてから前記ツール(50)のショルダー(51)が前記第2部材(20)から離れる迄の平均の勾配(θ)は、10°以下である請求項1から5の何れか1の請求項に記載の複合製品(10)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の部材を接合して備える複合製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の複合製品の製造方法として、摩擦攪拌接合により複数の部材を接合する製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-040100(段落[0008]及び
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の製造方法にて製造される複合製品には、摩擦攪拌接合用のツールが引き抜かれた部分に、そのツールのプローブの軸長と略同一の深さの引抜孔が形成され、部分的に接合強度が低下するという問題があり、その対策が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、第1部材(30)と、前記第1部材(30)に摩擦攪拌接合される第2部材(20)とを備える複合製品(10)の製造方法において、摩擦攪拌接合用の回転するツール(50)が、前記第1部材(30)及び前記第2部材(20)の被接合部の始点(S)から終点(F)まで移動して接合ライン(40)が形成された後、前記ツール(50)が前記終点(F)で折り返して前記接合ライン(40)内を移動しながら徐々に前記接合ライン(40)から引き抜かれる複合製品(10)の製造方法である。
【0006】
請求項2の発明は、前記第1部材(30)のうち前記第2部材(20)が重ねられる第1面(32M)には、前記第2部材(20)にて閉塞される第1開口(32K)が備えられ、前記第1部材(30)及び前記第2部材(20)の前記被接合部は、前記第1開口(32K)の開口縁に沿った閉ループ状をなしている請求項1に記載の複合製品(10)の製造方法である。
【0007】
請求項3の発明は、前記ツール(50)のプローブ(52)のうち前記第1開口(32K)から離れた側の周面速度(V1)の向きは、前記プローブ(52)が前記始点(S)から前記終点(F)に移動するときの移動の向きと一致し、前記プローブ(52)が前記終点(F)で折り返して移動するときの移動の向きと逆向きになる請求項2に記載の複合製品(10)の製造方法である。
【0008】
請求項4の発明は、前記摩擦撹拌接合を終えた後で、前記接合ライン(40)が露出する前記第2部材(20)又は、前記第1部材(30)及び前記第2部材(20)の表面が平面加工される請求項1から3の何れか1の請求項に記載の複合製品(10)の製造方法である。
【0009】
請求項5の発明は、前記第1部材(30)の外面には、前記第1面(32M)の前記開口縁に段付き状に陥没した陥没部(32)が形成され、前記第2部材(20)は、前記陥没部(32)に受容されて前記第1部材(30)の外面から突出する状態で摩擦撹拌接合され、前記摩擦撹拌接合後に、前記第2部材(20)の外面と前記第1部材(30)の外面とが面一になるように前記第2部材(20)が加工される請求項2から4の何れか1の請求項に記載の複合製品(10)の製造方法である。
【0010】
請求項6の発明は、前記ツール(50)が前記終点(F)で折り返して移動し始めてから前記接合ライン(40)から前記ツール(50)のプローブ(52)の先端が離れる迄の平均の勾配(θ)は、10°以下である請求項1から5の何れか1の請求項に記載の複合製品(10)の製造方法である。
【0011】
請求項7の発明は、前記ツール(50)が前記終点(F)で折り返して移動し始めてから前記ツール(50)のショルダー(51)が前記第2部材(20)から離れる迄の平均の勾配(θ)は、10°以下である請求項1から5の何れか1の請求項に記載の複合製品(10)の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の複合製品(10)の製造方法では、摩擦撹拌接合を行うためにツール(50)が、第1部材(30)及び第2部材(20)の被接合部の始点(S)から終点(F)まで移動した後、終点(F)で折り返して接合ライン(40)内を逆方向に移動しながら徐々に引き抜かれるので、接合ライン(40)におけるツール(50)のプローブ(52)の引抜孔が従来より浅くなるか無くなり、部分的な接合強度の低下が抑えられる。
【0013】
ここで、プローブ(52)が接合ライン(40)から引き抜かれるときの勾配(θ)は、例えば、3~20°が好ましく、10°以下(即ち、3~10°)がより好ましい。その勾配(θ)は、プローブ(52)の先端が接合ライン(40)から離れるまでの勾配(θ)であってもよいし(請求項6の発明)、ツール(50)のショルダー(51)が接合ライン(40)から離れるまでの勾配(θ)であってもよい(請求項7の発明)。さらに、勾配(θ)が徐々に大きくなるように変化させてもよい。具体的には、ショルダー(51)が接合ライン(40)から離れるまでの第1の勾配(θ)に対し、そこからプローブ(52)の先端が接合ライン(40)から離れるまでの第2の勾配(θ)を大きくしてもよい。
【0014】
また、被接合部の形状は、どのような形状でもよいが、請求項2のように、第1部材(30)の第1開口(32K)が第2部材(20)にて閉塞され、第1開口(32K)の開口縁に沿った閉ループ状に第1部材(30)及び第2部材(20)の摩擦攪拌接合されるものに本開示の複合製品(10)に製造方法を利用すれば、第1開口(32K)の閉塞部分のシールの信頼性が向上する。
【0015】
ここで、プローブ(52)が徐々に引き抜かれるときに通過する部分では、接合ライン(40)の幅方向の一方の側部と他方の側部とで接合強度が相違する。これに対し、請求項3の発明のように、プローブ(52)のうち第1開口(32K)から離れた側の周面速度(V1)の向きが、プローブ(52)が始点(S)から終点(F)に移動するときにその移動の向きと一致し、プローブ(52)が終点(F)で折り返して移動するときにその移動の向きと逆向きになるようにすると、それとは逆にした場合に比べて、接合ライン(40)の幅方向のうち第1開口(32K)に近い側の一方の側部の接合強度が高くなり、シールの信頼性も高くなる。
【0016】
請求項4の発明では、摩擦撹拌接合後、接合ライン(40)が露出する第2部材(20)又は、第1部材(30)及び第2部材(20)が平面加工されるので、外観品質が向上する。この場合、請求項5の発明のように第2部材(20)のうち予め削り代分を第1部材(30)から突出させておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の一実施形態に係る蓋付ケースの分解斜視図
【
図4】
図3の蓋付ケースのA-A断面における(A)摩擦攪拌接合前の断面図、(B)摩擦攪拌接合中の断面図
【
図5】
図3の蓋付ケースのB-B断面においてプローブが接合ラインから引き抜かれる過程を示す断面図
【
図7】第2実施形態の蓋付ケースの
図3のA-A断面における(A)摩擦攪拌接合前の断面図、(B)摩擦攪拌接合中の断面図
【
図8】試験品5の(A)平面加工前、(B)平面加工後の上方から見た写真
【
図9】試験品2の(A)平面加工前、(B)平面加工後の上方から見た写真
【
図10】
図3のA-A断面における(A)試験品4、(B)試験品1、(C)試験品2、(D)試験品3の断面写真
【
図11】
図3のB-B断面における(A)試験品4、(B)試験品1、(C)試験品2、(D)試験品3の断面写真
【
図12】(A)試験品6の断面写真、(B)試験品6に耐圧試験を行った後の断面写真、(C)試験品7に耐圧試験を行った後の断面写真
【
図13】試験品7の(A)平面加工前、(B)平面加工後の上方から見た写真、(C)試験品7に耐圧試験を行った後の断面写真
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、
図1~
図6を参照して、本開示の第1実施形態の複合製品の製造方法を利用した蓋付ケース10の製造方法について説明する。
図1に示された蓋付ケース10は、例えば、自動車部品であって、特許請求の範囲の「第1部材」としてのケース本体30と、そのケース本体30の開口32Kを閉塞する特許請求の範囲の「第2部材」としての蓋体20とを有する。
【0019】
蓋体20は、例えばアルミニウムの板状の圧延材であり、四隅が丸みを帯びた横長の長方形をなしている。ケース本体30は、例えば、アルミニウムのダイカスト品であって、全体が直方体状をなし、直方体状の収容部35を備える。そのケース本体30の上面31には、収容部35の上面開口32Nの開口縁に、段付き状に陥没した陥没部32が形成されている。換言すれば、陥没部32の底面32Mに収容部35の開口32Kが形成されている。また、陥没部32の平面形状は、蓋体20の平面形状と略同一になっていて、蓋体20は陥没部32に収まった状態で開口32Kを閉塞する。さらに、蓋付ケース10の製造前の状態では、蓋体20の板厚は、陥没部32の深さより厚くなっている。これにより、
図4(A)に示すように、陥没部32の底面32Mに蓋体20の底面が重ねられた状態で蓋体20の上面20Jがケース本体30の上面31から突出する。
【0020】
なお、底面32Mは、特許請求の範囲の「第1面」に相当し、開口32Kは、特許請求の範囲の「第1開口」に相当する。また、本実施形態では、特許請求の範囲の「第1部材」及び「第2部材」に相当するケース本体30及び蓋体20は、ダイカスト品と圧延材であるが、それに限定されるものではなく、共にダイカスト品であってもよいし、共に圧延材でもよい。また、第1部材及び第2部材の材質は、アルミニウムに限定されるものではなく、銅、チタン、マグネシウム、アルミニウム合金、銅合金、チタン合金、マグネシウム合金、樹脂等であってもよい。
【0021】
蓋体20は、ケース本体30に摩擦攪拌接合される。その摩擦攪拌接合に使用される一例の摩擦攪拌接合システム100が
図2に概念的に示されている。この摩擦攪拌接合システム100は、例えば、接合用ロボット101A、切削用ロボット101B、及び、治具103を備える。切削用ロボット101Bの先端部には、減速機付きのモータ102Bが取り付けられ、そのモータ102Bから垂下する回転出力軸(図示せず)に平面加工用の切削工具107が固定されている。また、接合用ロボット101Aの先端部にも、減速機付きのモータ102Aが取り付けられ、そのモータ102Aから垂下する回転出力軸(図示せず)には接合用ツール50が固定されている。
【0022】
接合用ツール50は、円柱状のショルダー51の下面の中心からそれより小径の円柱状のプローブ52が垂下した構造をなしている。プローブ52の外周面には、図示しない螺旋状の凹凸部が形成されている。そして、その螺旋状の凹凸部によりプローブ52の周囲の材料が、プローブ52の先端側に送り込まれる回転向きになるように接合用ツール50がモータ102Aによって回転駆動される。なお、プローブ52の形状は、これに限られず、例えば、円柱状や、断面多角形状や、突起や溝のある断面形状等が挙げられる。
【0023】
治具103は、テーブル103Aの上面にクランプ103Bを備えた構造をなしている。そして、テーブル103Aの上面に蓋付ケース10が二次元的に位置決めされた状態で載置され、蓋付ケース10のケース本体30の外縁部がクランプ103Bにて上方から押さえられてテーブル103Aに固定される。
【0024】
摩擦攪拌接合システム100の図示しないコントローラのメモリには、蓋付ケース10を製造するための生産プログラムが記憶されている。そして、コントローラのCPUが生産プログラムを実行することで接合用ロボット101A及び切削用ロボット101Bが動作し、蓋体20がケース本体30に摩擦攪拌接合されると共に、その後、蓋体20の上面が平面加工されて蓋付ケース10が製造される。
【0025】
具体的には、生産プログラムは、摩擦攪拌接合を行うときに、接合用ツール50の回転中心が、
図3に示すように蓋体20の側面21より僅かに内側で、蓋体20の外縁部に沿った閉ループ状のルートR1を移動するように作成されている。そのルートR1から蓋体20の側面21迄の距離は、プローブ52の半径より僅かに小さく設定され、プローブ52の外周面が陥没部32の内側面にわずかに接触するように設定されている。また、ルートR1を移動中の接合用ツール50の深さは、
図4(B)に示すように、ショルダー51の端面が、ケース本体30の上面31と面一となるか、又は、ケース本体30の上面31に僅かに入り込み、プローブ52の先端が、蓋体20とケース本体30の上下方向の重ね合わせ面上かそれより僅かに下方に位置する深さ(以下、これを「第1深さ」という)に設定されている。即ち、本実施形態では、ケース本体30と蓋体20の上下の重ね合わせ面と水平方向の突き合わせ面との両方を含む範囲を被接合部とする所謂、突合わせ重ね接合の摩擦攪拌接合が行われるように設定されている。
【0026】
生産プログラムの実行前は、接合用ツール50及び切削工具107が、治具103上の蓋付ケース10の上方領域から離れた原点位置に配置されている。また、ルートR1の一箇所がルートR1の始点S、兼、終点Fとして設定されていて、生産プログラムが実行されると、接合用ロボット101Aが動作して、接合用ツール50が、原点位置から始点Sの真上となる待機位置に移動し(
図4(A)参照)、そこでモータ102Aが起動されて接合用ツール50が回転駆動される。
【0027】
次いで、接合用ツール50が、待機位置から蓋付ケース10に対する前述の第1深さとなる位置まで降下する。そして、接合用ツール50が第1深さを維持した状態でルートR1に倣って開口32Kの回りを回るように移動する。このとき、
図3の上部に示されているように、プローブ52のうち開口32Kから離れた側の周面速度V1の向きが、プローブ52の移動の向きと一致するように、プローブ52が開口32K回りを移動する。
【0028】
接合用ツール50のプローブ52は、上述した条件で始点Sから終点Fに向かって移動し、その通過後には、蓋体20を構成する金属とケース本体30を構成する金属とが攪拌されて一体になった摩擦攪拌接合部として、閉ループ状をなした接合ライン40(
図4(B),
図5,
図6参照)が形成されていく。ここで、従来の蓋付ケース10の製造方法では、接合用ツール50が終点Fに到達したら、接合用ツール50が真上に引き抜かれるように生産プログラムが作られる。
【0029】
これに対し、本実施形態の蓋付ケース10の製造方法では、
図5に示すように接合用ツール50が終点Fで折り返して接合ライン40内を斜め上方に移動して徐々に接合ライン40から引き抜かれるように生産プログラムが作られている。ここで、接合用ツール50が終点Fで折り返して斜め上方に移動する際の勾配θは、例えば、3~20°が好ましく、10°以下(即ち、3~10°)がより好ましい。なお、
図5には、プローブ52の先端面の中心がルートR1に倣って終点Fの手前から終点Fまで移動してくるまでの軌跡K1と、終点Fから抜けていくときの軌跡K2とが示されている。
【0030】
また、接合用ツール50は、終点Fで折り返して移動するので、前述したプローブ52の開口32Kから離れた側の周面速度V1の向きは、プローブ52の移動の向きと逆向きになり、プローブ52の開口32Kに近い側の周面速度V1の向きが、プローブ52の移動の向きと一致する。
【0031】
接合用ツール50は、プローブ52の先端面が蓋付ケース10から上方に離間したら前述の原点位置に戻り、接合用ツール50の回転が止められる。そして、切削用ロボット101Bが動作し、切削工具107が回転駆動されて、蓋体20及び接合ライン40のうちケース本体30の上面31から突出する部分を切除するように平面加工が行われる。また、その平面加工が終了すると切削工具107が原点位置に戻されて回転を止められ、生産プログラムが終了する。
【0032】
蓋付ケース10及び摩擦攪拌接合システム100の構成に関する説明は以上である。蓋付ケース10は、摩擦攪拌接合システム100を用いて以下のように製造される。
【0033】
先ずは、ケース本体30の収容部35に図示しない被冷却体、例えば、電気部品等が収容され、収容部35の開口縁の陥没部32に蓋体20が受容される(
図3(A)参照)。そして、ケース本体30が治具103に保持され、摩擦攪拌接合システム100の生産プログラムが実行される。すると、接合用ロボット101Aが動作し、接合用ツール50が回転した状態でルートR1の始点Sから終点Fまで移動して摩擦攪拌接合を行いながら開口32Kの回りを一周回る。そして、接合用ツール50は、終点Fに到達すると折り返して接合ライン40内を斜め上方に移動し、徐々に接合ライン40から引き抜かれる。
【0034】
その後、切削用ロボット101Bが動作し、蓋体20及び接合ライン40のうちケース本体30の上面31から突出する部分が切除され、ケース本体30の上面31と蓋体20の上面と接合ライン40の上面とを含む蓋付ケース10全体の上面が面一の平坦になるように加工される。そして、治具103から蓋付ケース10が取り外され、蓋付ケース10が完成する。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の蓋付ケース10の製造方法では、摩擦撹拌接合を行うためにプローブ52が、ケース本体30及び蓋体20の被接合部の始点Sから終点Fまで移動した後、終点Fで折り返して接合ライン40内を逆方向に移動しながら徐々に引き抜かれるので、接合ライン40におけるプローブ52の引抜孔が従来より浅くなるか無くなり、部分的な接合強度の低下が抑えられると共に、蓋付ケース10のうち開口32Kの閉塞部分のシールの信頼性が向上する。
【0036】
ここで、プローブ52が徐々に引き抜かれるときに通過する部分では、接合ライン40の幅方向の一方の側部と他方の側部とでは接合強度が相違する。これに対し、本実施形態では、プローブ52のうち開口32Kから離れた側の周面速度V1の向きが、プローブ52が終点Fで折り返して移動するときにその移動の向きと逆向きになるようにすることで、接合ライン40の幅方向のうち開口32Kに近い側の一方の側部の接合強度が高くなり、この点においても上述のシールの信頼性が高くなる。
【0037】
さらには、本実施形態の蓋付ケース10の製造方法では、摩擦撹拌接合後、接合ライン40が露出する蓋付ケース10の上面が平面加工されるので外観品質が向上する。
【0038】
なお、プローブ52が始点Sから移動して始点Sと同じ終点Fに到達したら、折り返さずに始点Sの先方の接合ライン40内を斜め上方に移動して接合ライン40から引き抜かれるようにしてもよい。このようにしても接合ライン40におけるプローブ52の引抜孔が従来より浅くなるか無くなる。しかしながら、本実施形態のようにプローブ52が終点Fで折り返して接合ライン40を斜め上方に移動して接合ライン40から引き抜かれるようにした場合の方が、プローブ52は、余熱が多い接合ライン40内を進むことができ、プローブ52の通過部分が攪拌された材料により埋められ易くなり、接合ライン40による接合強度が高くなる。
【0039】
[第2実施形態]
図7には、本開示の第2実施形態の蓋付ケース10Vが示されている。以下、この蓋付ケース10Vについて、第1実施形態と相違する点に関してのみ説明する。この蓋付ケース10Vの製造前の状態では、蓋体20の板厚は、
図7(A)に示すように、陥没部32の深さの略2倍の大きさとなっている。そして、前記第1実施形態と同様に、プローブ52をルートR1の始点Sから終点Fまで移動させて摩擦攪拌接合を行いながら開口32Kの回りを一周させ、終点Fに到達すると折り返して接合ライン40内を斜め上方に移動させて徐々に接合ライン40から引き抜くと、接合ライン40の引抜孔の深さは、
図7(B)のように、ケース本体30の上面31よりも浅くなる。この構成によれば、蓋体20及び接合ライン40のうちケース本体30の上面31から突出する部分を切除する平面加工を行えば、より一層引抜孔を残さず除去することができ、外観品質を向上させることができる。
【0040】
<実施例>
上記実施形態の蓋付ケース10を、以下の条件で摩擦攪拌接合を行って、試験品1~7として製造し、外観品質、接合品質の評価実験を行った。
(1)試験品1~3:上記実施形態の勾配θを、3.4°,6.6°、10°としたもの。
(2)試験品4:プローブ52を終点Fで水平に折り返して移動し、真っ直ぐ上方に引き抜いたもの。
(3)試験品5:プローブ52を終点Fで真上に引き抜いたもの。
(4)試験品6:プローブ52のうち開口32Kから離れた側の周面速度V1の向きが、プローブ52の移動の向きと一致するように、プローブ52が開口32K回りを移動して閉ループの接合ライン40を形成し、その後逆方向に移動させなかったもの。
(5)試験品7:プローブ52のうち開口32Kから離れた側の周面速度V1の向きが、プローブ52の移動の向きと逆向きになるように、プローブ52が開口32K回りを移動して閉ループの接合ライン40を形成し、その後逆方向に移動させなかったもの。
【0041】
[実験結果]
図8は、試験品5の写真であり、
図9は、試験品2の写真である。
図8(A)、
図9(A)は、接合ライン40を形成後、プローブ52を引き抜いた状態を上方から見た写真であり、
図8(A)では、プローブ52の先端面が蓋付ケース10から離間した位置(以下、離脱点Dという)に引抜孔が残ることが確認できた。一方、
図9(A)では、離脱点Dに明確な引抜孔が形成されないことが確認できた。なお、
図9(A)から、プローブ52が接合ライン40内を逆戻りした部分に、プローブ52の通過痕が溝状欠陥のように残っていることも確認できた。
【0042】
また、
図8(B)、
図9(B)は、プローブ52を引き抜いた後、接合ライン40が露出する蓋付ケース10の上面を平面加工した状態を上方から見た写真である。
図8(B)では、平面加工しても離脱点Dの引抜孔は消えず、接合ライン40の深い位置まで引抜孔が形成されていることが確認できた。一方、
図9(B)では、引抜孔は残らず、また、溝状欠陥のように残っていた通過痕も除去され、凹凸のない平面が形成されていることが確認できた。以上のことから、接合ライン40を形成後、プローブ52を引き抜くときに、従来のように真上に引き抜かれるよりも徐々に引き抜く方が、離脱点Dに引抜孔が浅くなるか無くなるので接合強度が低下せず、しかも、接合ライン40の表面を切削することで、外観品質が向上することが分かった。
【0043】
図10及び
図11は、試験品1~4の写真である。
図10は、平面加工前の、接合ライン40を終点Fから5mmの位置でカットした断面写真であり、
図11は、平面加工前の、終点Fから離脱点Dの間の接合ライン40の断面写真である。試験品4は、勾配θが0°であって、終点Fから離脱点Dの間でプローブ52は引き抜かれない。従って、終点Fから離脱点Dの間で、プローブ52の通過溝は軟化した蓋体20とケース本体30により埋められていることが確認できた。これに対して、試験品1~3では、勾配θが小さくなるにつれて、プローブ52の引抜孔が浅くなることが確認できた。また、試験品3の引抜孔の深さが、ケース本体30の上面31と略同じか少し深いことから、平面加工しても表面に引抜孔が残る可能性があることが分かった。以上のことから、勾配θは、10°以下がより好ましいことが分かった。
【0044】
図12(A)は、試験品6の断面写真である。試験品6では、接合ライン40の幅方向のうち開口32Kに近い側の蓋体20の板厚が減少していることが確認出来た。この試験品6に対して、所定の耐圧試験を行って、蓋体20に負荷をかけると、
図12(B)に示すように、板厚の薄い箇所の強度が弱いことが確認できた。これにより、蓋体20のうちケース本体30の収容部35の内圧の影響を受けやすい開口32Kに近い側の板厚が減少していると、接合強度が低下してしまうことが分かった。
【0045】
なお、耐圧試験は、予め定められた試験圧力の流体をケース本体30の収容部35に充填して、試験品内を加圧することによって、試験圧力に耐えることを確認するための試験である。また、耐圧試験時に試験品に充填する流体としては、水を用いている。
【0046】
これに対して、
図12(C)には、試験品7に前述の耐圧試験を行った後の断面写真が示されている。試験品7では、接合ライン40の幅方向のうち開口32Kから離れた側の板厚が減少している。この場合には、蓋体20に負荷をかけても内圧の影響を受けにくいことが分かった。以上のことから、プローブ52のうち開口32Kから離れた側の周面速度V1の向きが、移動の向きと逆向きになるようにすることで、接合ライン40の幅方向のうち開口32Kに近い側の接合強度が高くなることが分かった。
【0047】
図13は、試験品7の写真である。この試験品7では、接合ライン40の幅方向のうち開口32Kから離れた側の板厚が減少しているだけでなく、
図13(A),(C)から、蓋体20とケース本体30の突き合わせ部分に、溝状欠陥が発生していることが確認できた。この溝状欠陥は、
図13(B)に示すように、平面加工しても消えないことから、その欠陥が深いことが確認できた。以上のことから、ケース本体30及び蓋体20の被接合部の始点Sから終点Fまで移動するときに、プローブ52のうち開口32Kから離れた側の周面速度V1の向きが、プローブ52の移動の向きと一致するようにし、終点Fで折り返して接合ライン40内を逆方向に移動するときに、プローブ52のうち開口32Kから離れた側の周面速度V1の向きが、その移動の向きと逆向きになるようにすることで、接合ライン40の幅方向のうち開口32Kに近い側の接合強度が高くなることが分かった。
【0048】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態の製造方法で製造される複合製品は、自動車部品である蓋付ケース10であるが、自動車部品に限定されるものではなく、構造もケースに限定されるものではない。
【0049】
(2)前記実施形態では、プローブ52によって摩擦攪拌接合される被接合部が閉ループ状をなして始点Sと終点Fとが同じであったが、閉ループ状をなさず、始点Sと終点Fとが異なっていてもよい。例えば、被接合部が直線状、蛇行形状、渦巻き状になっていて、始点Sと終点Fとが異なっていてもよい。また、被接合部が閉ループ状をなして始点Sと終点Fとが異なっていてもよい。即ち、ルートR1上を移動したプローブ52が始点Sを通過した位置に終点Fを配置してもよい。
【0050】
(3)前記実施形態では、プローブ52が接合ライン40から抜ける際に移動する勾配θは、例えば3~20°で一定であるが、3~20°に限定されるものではなく、また、一定でなくてもよい。即ち、プローブ52が終点Fから離れるに従って勾配が徐々に大きくなるように曲線を描くように移動してもよいし、プローブ52が終点Fから離れた第1位置まで第1の勾配で斜め上方に直線状に移動し、第1位置から蓋付ケース10から抜け出るまで、第1の勾配より大きな第2の勾配で移動してもよいし、第1位置から真上にプローブ52が抜け出るように移動してもよい。
【0051】
(4)前記実施形態では、ケース本体30と蓋体20とが突合わせ重ね接合されるように摩擦攪拌接合が行われていたが、突合わせ接合、又は、重ね接合される場合に、本開示の技術を利用してもよい。また、前記実施形態では、摩擦攪拌接合前に蓋体20がケース本体30から突出した状態になるように形成しておいて、摩擦攪拌接合後に蓋体20、ケース本体30及び接合ライン40が面一になるように加工を行っていたが、摩擦攪拌接合前に蓋体20及びケース本体30の上面が面一になるようにしておいて、摩擦攪拌接合後に蓋付ケース10の上面全体を平面加工してもよい。また、摩擦攪拌接合後に平面加工しなくてもよい。
【0052】
(5)前記実施形態では、接合用ツール50は、接合用ロボット101Aの先端部に備えられていたが、FSW専用設備に備えられていてもよい。また、切削工具107も、切削用ロボット101Bの先端部に備えられていたが、FSW専用設備や汎用設備に備えられていてもよい。
【0053】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0054】
10 蓋付ケース(複合製品)
20 蓋体(第2部材)
30 ケース本体(第1部材)
32 陥没部
32K 開口(第1開口)
32M 底面(第1面)
40 接合ライン
50 接合用ツール(ツール)
51 ショルダー
52 プローブ
F 終点
S 始点
V1 周面速度
θ 勾配
【手続補正書】
【提出日】2022-08-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材(30)と、前記第1部材(30)に摩擦攪拌接合される第2部材(20)とを備える複合製品(10)の製造方法において、
摩擦攪拌接合用の回転するツール(50)が、前記第1部材(30)及び前記第2部材(20)の被接合部の始点(S)から終点(F)まで移動して接合ライン(40)が形成された後、前記ツール(50)が前記終点(F)で折り返して前記接合ライン(40)内を移動しながら徐々に前記ツール(50)のショルダー(51)が前記第2部材(20)から離れて斜め上方に移動しかつ、徐々に前記ツール(50)のプローブ(52)が前記接合ライン(40)から引き抜かれ、
前記ツール(50)が前記終点(F)で折り返して移動し始めてから前記プローブ(52)の先端が前記接合ライン(40)から離れる迄の平均の勾配(θ)は、10°以下である複合製品(10)の製造方法。
【請求項2】
前記第1部材(30)のうち前記第2部材(20)が重ねられる第1面(32M)には、前記第2部材(20)にて閉塞される第1開口(32K)が備えられ、
前記第1部材(30)及び前記第2部材(20)の前記被接合部は、前記第1開口(32K)の開口縁に沿った閉ループ状をなしている請求項1に記載の複合製品(10)の製造方法。
【請求項3】
前記ツール(50)のプローブ(52)のうち前記第1開口(32K)から離れた側の周面速度の向きは、前記プローブ(52)が前記始点(S)から前記終点(F)に移動するときの移動の向きと一致し、前記プローブ(52)が前記終点(F)で折り返して移動するときの移動の向きと逆向きになる請求項2に記載の複合製品(10)の製造方法。
【請求項4】
前記摩擦撹拌接合を終えた後で、前記接合ライン(40)が露出する前記第2部材(20)又は、前記第1部材(30)及び前記第2部材(20)の表面が平面加工される請求項1から3の何れか1の請求項に記載の複合製品(10)の製造方法。
【請求項5】
前記第1部材(30)の外面には、前記第1面(32M)の前記開口縁に段付き状に陥没した陥没部(32)が形成され、
前記第2部材(20)は、前記陥没部(32)に受容されて前記第1部材(30)の外面から突出する状態で摩擦撹拌接合され、
前記摩擦撹拌接合後に、前記第2部材(20)の外面と前記第1部材(30)の外面とが面一になるように前記第2部材(20)が加工される請求項2又は3に記載の複合製品(10)の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、第1部材(30)と、前記第1部材(30)に摩擦攪拌接合される第2部材(20)とを備える複合製品(10)の製造方法において、摩擦攪拌接合用の回転するツール(50)が、前記第1部材(30)及び前記第2部材(20)の被接合部の始点(S)から終点(F)まで移動して接合ライン(40)が形成された後、前記ツール(50)が前記終点(F)で折り返して前記接合ライン(40)内を移動しながら徐々に前記ツール(50)のショルダー(51)が前記第2部材(20)から離れて斜め上方に移動しかつ、徐々に前記ツール(50)のプローブ(52)が前記接合ライン(40)から引き抜かれ、前記ツール(50)が前記終点(F)で折り返して移動し始めてから前記プローブ(52)の先端が前記接合ライン(40)から離れる迄の平均の勾配(θ)は、10°以下である複合製品(10)の製造方法である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項5の発明は、前記第1部材(30)の外面には、前記第1面(32M)の前記開口縁に段付き状に陥没した陥没部(32)が形成され、前記第2部材(20)は、前記陥没部(32)に受容されて前記第1部材(30)の外面から突出する状態で摩擦撹拌接合され、前記摩擦撹拌接合後に、前記第2部材(20)の外面と前記第1部材(30)の外面とが面一になるように前記第2部材(20)が加工される請求項2又は3に記載の複合製品(10)の製造方法である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
ここで、プローブ(52)の先端が接合ライン(40)から離れるまでの勾配(θ)は、例えば、3~20°が好ましく、10°以下(即ち、3~10°)がより好ましい。なお、勾配(θ)は徐々に大きくなるように変化させてもよいし、ショルダー(51)が接合ライン(40)から離れるまでの第1の勾配(θ)に対し、そこからプローブ(52)の先端が接合ライン(40)から離れるまでの第2の勾配(θ)を大きくしてもよい。