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  • 特開-警報器 図1
  • 特開-警報器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142408
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】警報器
(51)【国際特許分類】
   G10K 9/15 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G10K9/15 G
G10K9/15 L
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049317
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000157485
【氏名又は名称】丸子警報器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕貴
(57)【要約】
【課題】固定コアの形状をナット形状にすることで、固定コアの製造コストを低減し安価で高性能な警報器を提供すること。
【解決手段】電磁コイル12および固定コア14を有する電磁石10と、電磁石10への通電・非通電状態を切り替える接点部20と、磁性材料からなる可動コア30に取り付けられた振動板40と、電磁石10、接点部20、可動コア30および振動板40を収容する本体部60と、を具備し、接点部20により電磁コイル12への通電状態および非通電状態が切り替えられることにより可動コア30および振動板40を振動させて警報音を発する警報器100であって、固定コア14は、本体部60の背面側に固定されていると共に本体部60の背面側において本体部60の外部に開口する雌ねじ部が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁コイルおよび固定コアを有する電磁石と、
前記電磁石への通電状態および非通電状態を切り替える接点部と、
磁性材料からなる可動コアに取り付けられた振動板と、
前記電磁石、前記接点部、前記可動コアおよび前記振動板を収容する本体部と、を具備し、
前記接点部により前記電磁コイルへの前記通電状態および前記非通電状態が切り替えられることにより前記可動コアおよび前記振動板を振動させて警報音を発する警報器であって、
前記固定コアには、前記本体部の背面側において前記本体部の外部に開口する雌ねじ部が形成されていることを特徴とする警報器。
【請求項2】
前記本体部の背面側には、前記雌ねじ部の位置に装着孔を有するステーが前記雌ねじ部に螺合する磁性材料からなるボルトによって固定されていることを特徴とする請求項1記載の警報器。
【請求項3】
前記雌ねじ部は前記固定コアを貫通する貫通孔に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の警報器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
周囲に対して注意喚起を促すために用いられる車両用保安部品の一つに電気式の警報器がある。このような警報器としては例えば、特許文献1(特許第6359923号公報)に開示されているような構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6359923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示されている警報器を含む従来技術における警報器の構成は、固定コアである鉄心の一部を背面側に突出させ、突出させた部分の外周面にねじ山が刻設された形態が採用されている。このような固定コアは磁性材料からなる丸棒を切削加工によって突出部を形成しているため、磁性材料に無駄が生じ固定コアの製造コストが高くなってしまうといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは次のとおりである。すなわち本発明は、固定コアの形状をナット形状にすることで、固定コアの製造コストを低減し安価で高性能な警報器の提供を目的とするものである。
【0006】
発明者が上記警報器の構成を実現すべく鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち本発明は、電磁コイルおよび固定コアを有する電磁石と、前記電磁石への通電状態および非通電状態を切り替える接点部と、磁性材料からなる可動コアに取り付けられた振動板と、前記電磁石、前記接点部、前記可動コアおよび前記振動板を収容する本体部と、を具備し、前記接点部により前記電磁コイルへの前記通電状態および前記非通電状態が切り替えられることにより前記可動コアおよび前記振動板を振動させて警報音を発する警報器であって、前記固定コアには、記本体部の背面側において前記本体部の外部に開口する雌ねじ部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
これにより、固定コアの形状をナット形状にすることで、固定コアの製造コストを低減し安価で高性能な警報器を提供することができる。
【0008】
また、前記本体部の背面側には、前記雌ねじ部の位置に装着孔を有するステーが前記雌ねじ部に螺合する磁性材料からなるボルトによって固定されていることが好ましい。
【0009】
これにより、警報器へのステーの取り付けが容易になると共に、警報器を適宜位置に固定することができる。
【0010】
また、前記雌ねじ部は前記固定コアを貫通する貫通孔に形成されていることが好ましい。
【0011】
これにより、固定コアにおける雌ねじ部の製造がより簡易になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明における警報器の構成によれば、固定コアの形状をナット形状にすることで、固定コアの製造コストを低減し安価で高性能な警報器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態における警報器の要部断面図である。
図2】本実施形態における警報器の概略組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態における警報器100について図1および図2に基づいて説明する。なお、説明を簡略化するため、図1および図2は、警報器100における一部の構成の表示を省略している。本実施形態における警報器100は、自動車や船舶等に代表される移動体に装着して用いられ、移動体に搭載されたバッテリ等から供給される電力により作動するいわゆる電気式の警報器100である。本実施形態における警報器100は、電磁コイル12および固定コア14を有する電磁石10、接点部20、磁性材料からなる可動コア30、振動板40およびバックヨーク50と、これらを収容する本体部60を有し、本体部60にはボルト70によってステー80が取り付けられている。
【0015】
電磁石10は、ボビン12Aに導線12Bを巻回させてなる電磁コイル12と、鉄心に代表される磁性材料からなる固定コア14を有している。電磁コイル12は公知の構成を採用することができる。本実施形態における固定コア14は、警報器100の背面側に開口する雌ねじ部14Aが形成されていて、カシメにより本体部60の背面側(背面側部品64)に固定されている。本実施形態における雌ねじ部14Aは、図1に示すように固定コア14の部材厚さ方向に貫通させた孔の内周面にねじ山を刻設することにより形成されている。
【0016】
電磁石10への電流の供給は、バッテリに代表される図示しない電源装置および図示しない作動用スイッチにより行われる。使用者等により作動用スイッチが操作(押しボタンが押下)されると、電源装置からの電流が図示しない端子を介して接点部20に供給され、電磁コイル12への通電・非通電の切り替えが行われる。接点部20は固定接点板22、絶縁用ベーク板24および発条接点板26を有している。このような接点部20の構成は公知であるため、接点部20の各構成についての詳細な説明は省略する。
【0017】
発条接点板26は磁性材料からなるシャフトに代表される可動コア30に保持されている。可動コア30の初期位置は、図1に示すように固定コア14に対向する側の端部が固定コア14から所要間隔をあけた位置である。可動コア30の初期位置においては、発条接点板26の発条接点26Aが固定接点板22の固定接点22Aに当接しており、電磁コイル12に通電可能な状態になっている。また、可動コア30の固定コア14とは反対側の端部には座金42を介して振動板40が取り付けられている。そして、電磁コイル12の振動板40の側の面にはバックヨーク50が配設されており、電磁石10における磁界の発生効率が高められている。
【0018】
本体部60は、正面側部品62と背面側部品64を組み立てることにより形成されている。正面側部品62には背面側部品64に連通する貫通孔62Aが形成された隔壁62Bを有し、隔壁62Bの正面側の面には渦巻き状の音道62Cが一体形成されている。背面側部品64は、段付き椀形状に形成されており、最内底部には雌ねじ部14Aの位置に位置合わせされた連通孔64Aが穿設され、連通孔64Aから雌ねじ部14Aが本体部60の外部に開口(露出)した状態になっている。また、背面側部品64の外周縁平坦部64Bには振動板40の外周縁側の所要径方向範囲の部分が載置されている。このようにして形成された本体部60の内部で発生された空気の振動は、隔壁62Bに形成された貫通孔62Aから音道62Cを周回しながら増幅された後、警報器100の外部に警報音として放出される。
【0019】
警報器100の概略動作について説明する。使用者等により図示しない作動用スイッチをオンにする操作がなされると、電源装置からの電流が警報器100に供給される。このとき、発条接点板26(発条接点26A)と固定接点板22(固定接点22A)とは導通状態であるため、電磁コイル12が通電状態になり磁性材料である固定コア14が磁化される。すると固定コア14の磁力によって同じく磁性材料である可動コア30が発条接点板26と振動板40を弾性変形させながら固定コア14に引き寄せられ、やがて可動コア30は固定コア14に衝突し、衝突音が発生する。
【0020】
可動コア30が固定コア14に衝突した状態においては、発条接点板26と固定接点板22との導通が解除されて電磁コイル12が非通電状態になり、固定コア14による可動コア30の引き寄せ作用が解消される。すると、固定コア14側への可動コア30の移動に伴って弾性変形していた発条接点板26と振動板40が弾性変形に伴う弾性力により可動コア30を当初位置に戻し、再び発条接点板26と固定接点板22が導通することになる。以上のような電磁コイル12の通電状態と非通電状態を繰り返すことにより、可動コア30と固定コア14との衝突が繰り返し行われる。
【0021】
本実施形態における警報器100の背面側にはステー80が取り付けられ、警報器100を車両等の適宜位置に取り付けられる。ステー80の両端部には装着孔82がそれぞれ形成されており、一方の装着孔82の位置を本体部60の連通孔64Aに露出している固定コア14の雌ねじ部14Aの位置に位置合わせして、雌ねじ部14Aに螺合する磁性材料で形成されたボルト70により本体部60に取り付けられる。従来技術においては、警報器100の背面側に固定コア14の一部を突出させた突出部を形成した後に突出部を雄ねじ部に形成し、ステー80の装着孔82に雄ねじ部を挿入してナットにより固定する形態が採用されていた。このため、固定コア14の製造コストが高かったが、本実施形態の固定コア14の形態を採用することにより、固定コア14の製造コストが大幅に低減した。
【0022】
本実施形態における固定コア14の形態は、従来技術に比較してボルト70が螺合している部分の固定コア14の高磁性材料のボリュームが減少するため磁気性能の低減が懸念された。しかしながら、表皮効果により固定コア14の中央部分における高磁性材料のボリュームは磁気性能の低下にほとんど影響がなかった。このため、市販のボルト70のような磁性材料であっても使用上必要にして十分な磁気性能を得ることができた。
【0023】
以上に本実施形態に基づいて本発明に係る警報器100について詳細に説明したが、本発明は以上に示した実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、いわゆる渦巻ホーンと称される警報器100の形態を例示しているが、本発明は平型ホーンにも適用することが可能である。要は、電気式の警報器100において、固定コア14が本体部60の背面側に固定されていると共に本体部60の背面側で本体部60の外部に開口する雌ねじ部14Aが形成されていればよい。
【0024】
また、本実施形態においては、固定コア14の雌ねじ部14Aを固定コア14の厚さ方向に貫通させた形態を例示しているが、雌ねじ部14Aは貫通させた孔でなく凹穴状に形成した形態を採用することもできる。
【0025】
さらに、本実施形態における振動板40は、外周縁の径方向所要範囲部分が背面側部品64の外周縁平坦部64Bに載置された形態を例示しているが、この形態に限定されるものではない。振動板40は、外周縁の径方向所要範囲部分が正面側部品62と背面側部品64により挟持された形態を採用することもできる。
【0026】
そして以上の実施形態において説明した変形例等を適宜組み合わせた形態を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0027】
10:電磁石
12:電磁コイル,12A:ボビン,12B:導線,
14:固定コア,14A:雌ねじ部
20:接点部
22:固定接点板,22A:固定接点,24:絶縁用ベーク板,
26:発条接点板,26A:発条接点
30:可動コア
40:振動板
42:座金
50:バックヨーク
60:本体部
62:正面側部品,62A:貫通孔,62B:隔壁,62C:音道,
64:背面側部品,64A:連通孔,64B:外周縁平坦部
70:ボルト
80:ステー
82:装着孔
100:警報器
図1
図2