(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142425
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】移動端末試験システム及び移動端末試験方法
(51)【国際特許分類】
H04B 17/15 20150101AFI20230928BHJP
H04B 17/29 20150101ALI20230928BHJP
H04W 24/06 20090101ALI20230928BHJP
【FI】
H04B17/15
H04B17/29
H04W24/06
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049336
(22)【出願日】2022-03-25
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高 武杰
(72)【発明者】
【氏名】珍部 涼太
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067LL08
(57)【要約】
【課題】各パラメータの相互影響をユーザに意識させることなく、移動端末の3GPP規格に準拠したコンフォーマンステストを容易に実行することができる移動端末試験システム及び移動端末試験方法を提供する。
【解決手段】入力された1以上のパラメータの値に応じて他のパラメータの値を算出するパラメータ算出部22aと、入力されたパラメータの値、及び、パラメータ算出部22aにより算出されたパラメータの値が3GPP規格に準じているか否かを判断する規格準拠判断部22bと、3GPP規格に準じていないパラメータの値を3GPP規格に準じる値に調整するパラメータ調整部22cと、規格準拠判断部22bにより3GPP規格に準じていると判断された値を有するパラメータと、パラメータ調整部22cにより調整された値を有するパラメータとの少なくとも一方を用いて、テストケースの合否判定基準値を算出する合否判定基準値算出部22dと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末(200)の3GPP規格で規定されたコンフォーマンステストにおけるテストケースの試験を実行する移動端末試験システム(1)であって、
前記テストケースの試験を実行するための複数のパラメータのうちのいくつかに値を入力するためのパラメータ入力部(26)と、
前記パラメータ入力部により入力された1以上のパラメータの値に応じて、他のパラメータの値を算出するパラメータ算出部(22a)と、
前記パラメータ入力部により入力されたパラメータの値、及び、前記パラメータ算出部により算出されたパラメータの値が3GPP規格に準じているか否かを判断する規格準拠判断部(22b)と、
前記規格準拠判断部により3GPP規格に準じていないと判断されたパラメータの値を、3GPP規格に準じる値に調整するパラメータ調整部(22c)と、
前記規格準拠判断部により3GPP規格に準じていると判断された値を有するパラメータと、前記パラメータ調整部により調整された値を有するパラメータとの少なくとも一方を含む複数のパラメータを用いて、テストケースの合否判定基準値を算出する合否判定基準値算出部(22d)と、を備えることを特徴とする移動端末試験システム。
【請求項2】
前記パラメータ入力部により入力可能な3GPP規格に準じたパラメータの値を表示部(27)に選択可能に表示させる表示制御部(25)を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の移動端末試験システム。
【請求項3】
移動端末(200)の3GPP規格で規定されたコンフォーマンステストにおけるテストケースの試験を実行する移動端末試験方法であって、
前記テストケースの試験を実行するための複数のパラメータのうちのいくつかに値を入力するためのパラメータ入力ステップ(S12~S15,S27,S28)と、
前記パラメータ入力ステップにより入力された1以上のパラメータの値に応じて、他のパラメータの値を算出するパラメータ算出ステップ(S17,S18,S25,S26)と、
前記パラメータ入力ステップにより入力されたパラメータの値、及び、前記パラメータ算出ステップにより算出されたパラメータの値が3GPP規格に準じているか否かを判断する規格準拠判断ステップ(S16,S19,S30)と、
前記規格準拠判断ステップにより3GPP規格に準じていないと判断されたパラメータの値を、3GPP規格に準じる値に調整するパラメータ調整ステップ(S20~S23)と、
前記規格準拠判断ステップにより3GPP規格に準じていると判断された値を有するパラメータと、前記パラメータ調整ステップにより調整された値を有するパラメータとの少なくとも一方を含む複数のパラメータを用いて、テストケースの合否判定基準値を算出する合否判定基準値算出ステップ(S34)と、を含むことを特徴とする移動端末試験方法。
【請求項4】
前記パラメータ入力ステップにより入力可能な3GPP規格に準じたパラメータの値を表示部(27)に選択可能に表示させる表示制御ステップ(S11,S13,S14,S27,S28)を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の移動端末試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末試験システム及び移動端末試験方法に関し、特に、移動端末と通信接続可能な疑似基地局機能を有し、移動端末の3GPP規格に準拠したコンフォーマンステストを実行する移動端末試験システム及び移動端末試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各国でミリ波帯の周波数を運用する5Gのサービスが開始され、5Gスマートフォンなどの5G用移動端末の生産が本格化している。5G用移動端末の設計開発会社又はその製造工場においては、5G用移動端末が備えている無線通信アンテナを介して送信電波の出力レベルや受信感度を測定し、5G用移動端末が所定の基準を満たしているか否かを判定する性能試験が行われる。
【0003】
このような性能試験の中には、移動端末や基地局装置が3GPP(3rd Generation Partnership Project)規格に準拠しているか否かを確認するコンフォーマンステストがある。コンフォーマンステストでは、試験目的、合否判定基準、試験条件、Test IDで識別される試験項目、及び試験手順が定義されたテストケース(Test Case:TC)が実行される。
【0004】
特許文献1には、連続して実行される複数のテストケース間で重複する処理項目の実行を省略することにより、試験時間を短縮する処理手順が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
移動端末のコンフォーマンステストにおける各テストケースは、それぞれが測定に必要な多くのパラメータを有している。例えば、試験環境(Test Environment)、周波数(Test Frequency、Operating Band、Downlink Frequency、Uplink Frequency、Downlink Point A、Uplink Point A)、試験帯域幅BW(Test Channel Bandwidth、Test EN-DC bandwidth combination)、SCS(Subcarrier Spacing)、SSB(Synchronization Signal/PBCH Block)などのパラメータが3GPPで規定されている。特許文献1に開示されたようなコンフォーマンステストに対応したテストシステムでは、これらのパラメータに応じて、基地局の疑似信号が発生されるとともに、測定対象の移動端末のRF評価項目の合否判定基準値が決まる。
【0007】
特許文献1に開示されたようなコンフォーマンステストに対応した試験システム及びシステムソフトウェアにおいては、画面上に上記のようなパラメータの初期値が表示される。各パラメータは完全に独立しておらず、お互いに影響し合うことがある。3GPPに規定された条件以外で試験を行う場合には、ユーザがいずれかのパラメータを修正することになるが、この場合には3GPP規格に準じるようにその他のパラメータや合否判定基準値を変更する必要が生じうる。しかしながら、ユーザに3GPP規格への深い理解がないと、移動端末と疑似基地局との接続ができなかったり、合否判定基準値が不適切になったりするなど、正確な測定結果を得られなくなる場合がある。そのため、従来の試験システムは、原因究明や再設定の試行錯誤の手間がかかるなど、ユーザに大きな労力を課してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、各パラメータの相互影響をユーザに意識させることなく、移動端末の3GPP規格に準拠したコンフォーマンステストを容易に実行することができる移動端末試験システム及び移動端末試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る移動端末試験システムは、移動端末の3GPP規格で規定されたコンフォーマンステストにおけるテストケースの試験を実行する移動端末試験システムであって、前記テストケースの試験を実行するための複数のパラメータのうちのいくつかに値を入力するためのパラメータ入力部と、前記パラメータ入力部により入力された1以上のパラメータの値に応じて、他のパラメータの値を算出するパラメータ算出部と、前記パラメータ入力部により入力されたパラメータの値、及び、前記パラメータ算出部により算出されたパラメータの値が3GPP規格に準じているか否かを判断する規格準拠判断部と、前記規格準拠判断部により3GPP規格に準じていないと判断されたパラメータの値を、3GPP規格に準じる値に調整するパラメータ調整部と、前記規格準拠判断部により3GPP規格に準じていると判断された値を有するパラメータと、前記パラメータ調整部により調整された値を有するパラメータとの少なくとも一方を含む複数のパラメータを用いて、テストケースの合否判定基準値を算出する合否判定基準値算出部と、を備える構成である。
【0010】
この構成により、本発明に係る移動端末試験システムは、ユーザにより変更されたパラメータと、ユーザにより変更されたパラメータに基づいて算出されたパラメータとが3GPP規格に準じていない場合には、それらのパラメータを3GPP規格に準じる値に調整するように構成されている。この構成により、本発明に係る移動端末試験システムは、ユーザが各パラメータの相互影響を意識せずに自由にパラメータを変更することを可能にして、移動端末の3GPP規格に準拠したコンフォーマンステストを容易に実行することができる。つまり、本発明に係る移動端末試験システムは、ユーザが3GPP規格を深く理解していなくても、試験したい条件の構築や変更を容易にするとともに、移動端末と疑似基地局との接続を確実に行った状態で、手間を生じることなく正確な測定結果を得ることを可能にする。また、本発明に係る移動端末試験システムは、3GPP規格に準じた各種パラメータを用いて、テストケースの合否判定基準値を自動算出することができる。
【0011】
また、本発明に係る移動端末試験システムは、前記パラメータ入力部により入力可能な3GPP規格に準じたパラメータの値を表示部に選択可能に表示させる表示制御部を更に備える構成であってもよい。
【0012】
この構成により、本発明に係る移動端末試験システムは、各種パラメータに設定可能な3GPP規格に準じた値を表示部に選択可能に表示させるため、ユーザが3GPP規格を深く理解していなくても、3GPP規格に準じた適切なパラメータの変更が可能となる。
【0013】
また、本発明に係る移動端末試験方法は、移動端末の3GPP規格で規定されたコンフォーマンステストにおけるテストケースの試験を実行する移動端末試験方法であって、前記テストケースの試験を実行するための複数のパラメータのうちのいくつかに値を入力するためのパラメータ入力ステップと、前記パラメータ入力ステップにより入力された1以上のパラメータの値に応じて、他のパラメータの値を算出するパラメータ算出ステップと、前記パラメータ入力ステップにより入力されたパラメータの値、及び、前記パラメータ算出ステップにより算出されたパラメータの値が3GPP規格に準じているか否かを判断する規格準拠判断ステップと、前記規格準拠判断ステップにより3GPP規格に準じていないと判断されたパラメータの値を、3GPP規格に準じる値に調整するパラメータ調整ステップと、前記規格準拠判断ステップにより3GPP規格に準じていると判断された値を有するパラメータと、前記パラメータ調整ステップにより調整された値を有するパラメータとの少なくとも一方を含む複数のパラメータを用いて、テストケースの合否判定基準値を算出する合否判定基準値算出ステップと、を含む構成である。
【0014】
また、本発明に係る移動端末試験方法は、前記パラメータ入力ステップにより入力可能な3GPP規格に準じたパラメータの値を表示部に選択可能に表示させる表示制御ステップを更に含む構成であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、各パラメータの相互影響をユーザに意識させることなく、移動端末の3GPP規格に準拠したコンフォーマンステストを容易に実行することができる移動端末試験システム及び移動端末試験方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る移動端末試験システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】3GPP規格38.508-1のC.1節で定義されているPoint A、SSB、F
carrierの1つのチャネルにおける位置関係を示す図である。
【
図3】3GPP規格38.521-1の6.1節で定義されているRB Allocationの一部を示す表である。
【
図4】本発明の実施形態に係る移動端末試験システムで取り扱われる複数のパラメータのうちのいくつかの相互関係を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る移動端末試験システムを用いる移動端末試験方法の処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図5のフローチャートにおけるステップS1の処理の詳細を示すフローチャート(その1)である。
【
図7】
図5のフローチャートにおけるステップS1の処理の詳細を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る移動端末試験システム及び移動端末試験方法の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0018】
図1に示す本実施形態に係る移動端末試験システム1は、主に疑似基地局として動作して、移動端末200の3GPP規格で規定されたコンフォーマンステストにおけるテストケースの試験を実行するものであり、試験実行部10と、制御装置20と、を備える。
【0019】
試験実行部10は、疑似基地局部11と、結合器12と、測定装置100と、を有する。疑似基地局部11は、制御装置20の制御により、移動端末200との間で無線通信接続又は有線通信接続を行い、呼接続・シグナリングメッセージのやり取りを行う。また、疑似基地局部11は、移動端末200との通信の状態などを制御装置20に出力する。疑似基地局部11と移動端末200とは、RFポートとして機能する結合器12と不図示のRFケーブル等を介して結合されている。
【0020】
測定装置100は、移動端末200の送受信特性を測定するものである。測定装置100は、移動端末200の送信特性として、例えば、送信電力、エラーベクトル振幅(Error Vector Magnitude:EVM)、IQコンスタレーション、スペクトラム等を測定可能である。また、測定装置100は、移動端末200の受信特性として、例えば、パケットエラーレート(Packet Error Rate:PER)やフレーム受信レート(Frame Reception Rate:FRR)等を測定可能である。
【0021】
制御装置20は、テストケース記憶部21と、試験実行制御部22と、表示制御部25と、操作部26と、表示部27と、を備える。
【0022】
テストケース記憶部21は、3GPP規格に準拠したコンフォーマンステストのテストケースの一覧と、試験条件や試験項目などのテストケースごとの複数のパラメータと、を記憶している。
【0023】
試験条件は、移動端末200が送受信するRF信号の周波数、強度、及び位相に関する試験を行うために、測定装置100に設定される条件である。試験条件のパラメータは、例えば、試験環境(Test Environment)、周波数(Test Frequency、Operating Band、Downlink Frequency、Uplink Frequency、Downlink Point A、Uplink Point A)、試験帯域幅BW(Test Channel Bandwidth、Test EN-DC bandwidth combination)、SCS(Subcarrier Spacing)、SSB(Synchronization Signal/PBCH Block)などである。
【0024】
図2は、3GPP規格38.508-1のC.1節で定義されているPoint A、SSB(SS/PBCH Block)、キャリアの中心周波数F
carrierの1つのチャネルにおける位置関係を示している。
【0025】
試験項目は、Test IDで識別され、変調方式(OFDM)、リソースブロック配置(RB Allocation、RB Allocation Pattern)などの試験パラメータで定義される。各試験項目は、上記の試験条件のパラメータの組合せごとに実行される。
【0026】
図3は、3GPP規格38.521-1の6.1節で定義されているRB Allocationの一部を示す表である。BW(Channel Bandwidth)/SCS/OFDMの各値、並びに、8つのRB Allocation Pattern(Edge_Full_Left、Edge_Full_Right、Edge_1RB_Left、Edge_1RB_Right、Outer_Full、Inner_Full、Inner_1RB_Left、Inner_1RB_Right)の中から1つのパターンが定まれば、RB Allocationが定まる。
【0027】
図4は、本実施形態に係る移動端末試験システム1で取り扱われる複数のパラメータのうちのいくつかの相互関係を示している。まず、Operating Bandが定まると、それをサポートするSCSとBWの1以上の組合せが定まる。さらに、Operating BandとSCSが定まると、Downlink Frequency(以下、「DL Frequency」とも記載する)とUplink Frequency(以下、「UL Frequency」とも記載する)の範囲が定まる。
【0028】
SSBは、Operating Band、SCS、BW、DL Frequencyの各値に応じて定まる。Downlink Point A(以下、「DL Point A」とも記載する)とUplink Point A(以下、「UL Point A」とも記載する)は、SCS、BW、DL Frequency、UL Frequencyの各値に応じて定まる。RB Allocationは、SCS、BW、OFDM、RB Allocation Patternの各値に応じて定まる。
【0029】
そして、テストケースの合否判定基準値は、Operating Band、BW、DL Frequency、UL Frequency、OFDM、RB Allocationの各値に応じて定まる。
【0030】
表示制御部25は、画像を表示部27に表示させるものであり、試験実行制御部22の指示により画像の生成と表示の制御を行うようになっている。また、表示制御部25は、操作部26に入力された情報に基づいて表示部27の表示を変更させたり、操作部26に入力された情報を試験実行制御部22に送信したりする。
【0031】
表示制御部25は、操作部26により入力可能な3GPP規格に準じたパラメータの値を、表示部27において操作部26により選択可能に表示させることも可能である。例えば、表示制御部25は、操作部26により入力されたOperating Bandに応じたSCS(15kHz/30kHz/60kHz)の各値を、表示部27において操作部26により選択可能に表示させてもよい。また、例えば、表示制御部25は、操作部26により入力されたOperating BandとSCSの組合せに応じたBW(5MHz~100MHz)の各値を、表示部27において操作部26により選択可能に表示させてもよい。また、例えば、表示制御部25は、OFDM(DFT-s/CP)やRB Allocation Pattern(Edge_Full_Left/Edge_Full_Right/Edge_1RB_Left/Edge_1RB_Right/Outer_Full/Inner_Full/Inner_1RB_Left/Inner_1RB_Right)の各値を、表示部27において操作部26により選択可能に表示させてもよい。
【0032】
操作部26は、ユーザによる操作入力を受け付けるためのものであり、例えば表示部27の表示画面に対応する入力面への接触操作による接触位置を検出するためのタッチセンサを備えるタッチパネルで構成される。あるいは、操作部26は、キーボード又はマウスのような入力デバイスを含んで構成されてもよい。操作部26への操作入力は、表示制御部25により検知されるようになっている。
【0033】
操作部26は、テストケースの試験を実行するための複数のパラメータのうちのいくつかにユーザが値を入力するためのパラメータ入力部を構成する。例えば、操作部26により、Operating Band、SCS、BW、DL Frequency、OFDM、及びRB Allocation Patternなどのパラメータに値を入力することが可能である。
【0034】
表示部27は、液晶ディスプレイやCRT等の表示機器で構成され、表示制御部25による表示制御に基づき、測定装置100による移動端末200に対するテストケースの試験の測定に関わる設定画面や試験結果などの各種表示内容を表示画面に表示するようになっている。さらに、表示部27は、各種条件を設定するためのボタン、ソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象の表示を行うようになっている。
【0035】
試験実行制御部22は、ユーザによる操作部26への操作入力によりコンフォーマンステストの実行が選択されると、テストケース記憶部21に記憶されているテストケースの一覧を読み出し、テストケースの一覧を表示制御部25を介して表示部27に表示させる。さらに、試験実行制御部22は、ユーザによる操作部26への操作入力により一覧から選択されたテストケースの試験の測定を測定装置100に実行させる制御を行う。
【0036】
また、試験実行制御部22は、パラメータ算出部22aと、規格準拠判断部22bと、パラメータ調整部22cと、合否判定基準値算出部22dと、合否判定部22eと、を含む。
【0037】
パラメータ算出部22aは、操作部26により入力された1以上のパラメータの値に応じて、他のパラメータの値を算出するようになっている。例えば、パラメータ算出部22aは、操作部26により入力されたOperating Band、SCS、BW、DL Frequencyの各値に基づいて、3GPP規格38.508-1のC.3節に記載されている手順で、SSBの中心周波数FSSref(以下、「SSB値」とも記載する)を算出する。また、例えば、パラメータ算出部22aは、3GPP規格38.521-1のC.3節に記載されている手順でDL Point A及びUL Point Aの値を算出する。
【0038】
規格準拠判断部22bは、操作部26により入力されたパラメータの値、及び、パラメータ算出部22aにより算出されたパラメータの値が3GPP規格に準じているか否かを判断するようになっている。例えば、規格準拠判断部22bは、操作部26により入力されたDL Frequencyが3GPP規格38.521-1のTable 5.4.2.3-1に記載された値を遵守しているか否かを判断する。また、例えば、規格準拠判断部22bは、現在設定されているDL Frequencyをキャリアの中心周波数Fcarrierとみなしたときに、そのキャリアのチャネルに収まる有効なSSBがあるか否かを判断する。
【0039】
パラメータ調整部22cは、規格準拠判断部22bにより3GPP規格に準じていないと判断されたパラメータの値を、3GPP規格に準じる値に調整するようになっている。例えば、パラメータ調整部22cは、規格準拠判断部22bにより、DL Frequencyが3GPP規格38.521-1のTable 5.4.2.3-1に記載された値を遵守していないと判断された場合には、このTable 5.4.2.3-1に記載された値に合わせてDL Frequencyを調整する。また、例えば、パラメータ調整部22cは、規格準拠判断部22bにより、キャリアのチャネルに収まる有効なSSBがないと判断された場合には、3GPP規格38.508-1のC.3節に記載されている手順でDL Frequencyを調整する。
【0040】
合否判定基準値算出部22dは、規格準拠判断部22bにより3GPP規格に準じていると判断された値を有するパラメータと、パラメータ調整部22cにより調整された値を有するパラメータとの少なくとも一方を含む複数の各種パラメータを用いて、テストケースの合否判定基準値を算出するようになっている。なお、合否判定基準値は、テストケースによって、閾値で与えられる場合や、許容範囲で与えられる場合がある。例えば、合否判定基準値算出部22dは、規格準拠判断部22bにより3GPP規格に準じていると判断されたか、又は、パラメータ調整部22cにより調整された、Operating Band、BW、DL Frequency、UL Frequency、OFDM、RB Allocationの各値に基づいて、合否判定基準値を算出する。
【0041】
合否判定部22eは、測定装置100による測定結果と合否判定基準値に基づいて、テストケースの試験結果が合格(PASS)であるか不合格(FAIL)であるかを判定するようになっている。
【0042】
試験実行制御部22は、例えばCPU、ROM、RAM、HDDなどを含むマイクロコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等で構成され、移動端末試験システム1を構成する上記各部の動作を制御するようになっている。また、試験実行制御部22は、ROM等に記憶された所定のプログラムをRAMに移してCPUで実行することにより、パラメータ算出部22a、規格準拠判断部22b、パラメータ調整部22c、合否判定基準値算出部22d、及び合否判定部22eの少なくとも一部をソフトウェア的に構成することが可能である。なお、パラメータ算出部22a、規格準拠判断部22b、パラメータ調整部22c、合否判定基準値算出部22d、及び合否判定部22eの少なくとも一部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのディジタル回路で構成することも可能である。あるいは、パラメータ算出部22a、規格準拠判断部22b、パラメータ調整部22c、合否判定基準値算出部22d、及び合否判定部22eの少なくとも一部は、ディジタル回路によるハードウェア処理と所定のプログラムによるソフトウェア処理とを適宜組み合わせて構成することも可能である。
【0043】
以下、移動端末試験システム1を用いる移動端末試験方法について、
図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0044】
まず、試験実行制御部22は、ユーザによる操作部26への操作入力に応じて、テストケースの実行に必要な各種パラメータと合否判定基準値の設定を行う(ステップS1)。このステップS1の処理の詳細については後述する。
【0045】
次に、試験実行制御部22は、疑似基地局部11と移動端末200との間でリンク(呼)を確立させる(ステップS2)。
【0046】
次に、試験実行制御部22は、Test IDで識別される試験項目の試験の測定を、ステップS1で設定された各種パラメータの組合せで測定装置100に実行させる(ステップS3)。
【0047】
合否判定部22eは、測定装置100による測定結果に基づいて、ステップS3で実行された試験項目の試験結果がPASSであるかFAILであるかを判定する(ステップS4)。
【0048】
試験実行制御部22は、ステップS1で設定された各種パラメータの組合せにおいて未実行の試験項目の試験が残っているか否かを判断する(ステップS5)。ステップS1で設定された各種パラメータの組合せにおいて未実行の試験項目の試験が残っている場合には、再びステップS3以降の処理が実行される。一方、ステップS1で設定された各種パラメータの組合せにおいて全ての試験項目の試験が完了した場合には、ステップS6の処理が実行される。
【0049】
試験実行制御部22は、ステップS1で設定された各種パラメータの組合せでの試験項目の試験結果を、表示部27の表示画面に表示制御する(ステップS6)。
【0050】
以下、
図6及び
図7のフローチャートを参照しながら、ステップS1の処理の一例を説明する。
【0051】
まず、試験実行制御部22は、テストケース記憶部21に保存されている各種パラメータの初期値を読み込む(ステップS11)。また、試験実行制御部22は、読み込んだ各種パラメータを変更可能な状態で表示制御部25を介して表示部27に表示させる。例えば、表示制御部25は、3GPP規格に準じたOperating Bandの各値を表示部27において操作部26により選択可能に表示させる。
【0052】
次に、ユーザが、操作部26を介して、Operating Bandの値を選択入力する(ステップS12)。試験実行制御部22は、ユーザが操作部26を介して選択入力したOperating Bandの値をOperating Bandに設定する。
【0053】
次に、表示制御部25は、ステップS12で入力されたOperating BandにサポートされたSCS(15kHz/30kHz/60kHz)の各値を表示部27において操作部26により選択可能に表示させる。そして、ユーザが、操作部26を介して、SCSの値を選択入力する(ステップS13)。試験実行制御部22は、ユーザが操作部26を介して選択入力したSCSの値をSCSに設定する。
【0054】
次に、表示制御部25は、ステップS12,S13で入力されたOperating Band及びSCSの組合せに応じたBW(5MHz~100MHz)の各値を表示部27において操作部26により選択可能に表示させる。そして、ユーザが、操作部26を介して、BWの値を選択入力する(ステップS14)。試験実行制御部22は、ユーザが操作部26を介して選択入力したBWの値をBWに設定する。
【0055】
次に、ユーザが、操作部26を介して、有効範囲内のDL Frequencyの値を入力する(ステップS15)。ここで、DL Frequencyの有効範囲は、3GPP規格38.521-1のTable5.2-1に記載された周波数範囲である。試験実行制御部22は、ユーザが操作部26を介して入力したDL Frequencyの値をDL Frequencyに設定する。
【0056】
次に、試験実行制御部22の規格準拠判断部22bは、ステップS15で入力されたDL Frequencyの値が、3GPP規格38.521-1のTable5.4.2.3-1に示された「Downlink Range of NREF」を遵守するか否かを判断する(ステップS16)。ここで、DL FrequencyとNREFとの変換関係は、下記の式(1)及び(2)で表される。ここで、式(1)及び(2)におけるΔFGlobal、FREF-Offs、NREF-Offsの値、NREFの値の範囲は、3GPP規格38.521-1のTable 5.4.2.1-1に定義されている。
【0057】
DL Frequency = FREF = FREF-Offs + ΔFGlobal (NREF - NREF-Offs) ・・・(1)
NREF = (DL Frequency - FREF-Offs) / ΔFGlobal + NREF-Offs ・・・(2)
【0058】
NREFは、3GPP規格38.521-1のTable5.4.2.3-1に示されているように、Operating Bandに応じたステップサイズ(Step size)の離散的な整数値を取る。すなわち、ステップS16において試験実行制御部22は、ステップS15で入力されたDL Frequencyの値を式(2)に代入して得られる仮のNREFが、3GPP規格38.521-1のTable5.4.2.3-1に示された離散的な整数値に一致するか否かを判断する。
【0059】
仮のNREFが、3GPP規格38.521-1のTable5.4.2.3-1に示された離散的な整数値のいずれかに一致する場合には、試験実行制御部22は、後述するステップS18の処理を実行する。一方、仮のNREFが、3GPP規格38.521-1のTable5.4.2.3-1に示された離散的な整数値のいずれにも一致しない場合には、試験実行制御部22は、ステップS17の処理を実行する。
【0060】
ステップS17において試験実行制御部22のパラメータ算出部22aは、3GPP規格38.521-1の5.4節のTable5.4.2.3-1に示されたNREFの離散的な整数値のうち、ステップS16で算出された仮のNREFに最も近い値を用いて、式(1)からDL Frequencyの値を算出する。さらに、試験実行制御部22は、算出されたDL Frequencyの値をDL Frequencyに設定する(ステップS17)。
【0061】
例えば、Operating Bandがn38の場合に、有効範囲内のDL Frequencyの値の中から、2570.21MHzがユーザにより入力されているとする。このとき、式(2)によれば、対応するNREFは514042となるが、この値はTable5.4.2.3-1に示されたステップサイズが20の離散的な整数値には一致しない。この場合には、514042に最も近い514040がNREFとして式(1)に代入されて、2570.2MHzが新たなDL Frequencyとして算出及び設定される。
【0062】
ステップS18において試験実行制御部22のパラメータ算出部22aは、現在設定されているOperating Band、SCS、BW、DL Frequencyの値を用いて、3GPP規格38.508-1のC.3節に記載されている手順に従って、SSB値FSSrefを算出する(ステップS18)。
【0063】
次に、試験実行制御部22の規格準拠判断部22bは、ステップS18で算出されたSSB値FSSrefが、現在設定されているDL Frequencyをキャリアの中心周波数Fcarrierとみなしたときに、そのキャリアのチャネルにSSBが収まる有効な値であるか否かを判断する(ステップS19)。
【0064】
ステップS18で算出されたSSB値FSSrefが有効な値である場合には、試験実行制御部22は、後述するステップS24の処理を実行する。一方、ステップS18で算出されたSSB値FSSrefが有効な値でない場合には、試験実行制御部22は、ステップS20の処理を実行する。
【0065】
ステップS20において試験実行制御部22のパラメータ調整部22cは、3GPP規格38.508-1のC.3節に記載されている手順で、NREFを1ステップサイズだけシフトすることによりDL Frequencyの値を調整する(ステップS20)。
【0066】
次に、試験実行制御部22のパラメータ調整部22cは、ステップS20でのDL Frequencyの調整回数が、3GPP規格38.508-1のC.3節に規定された調整回数に到達したか否かを判断する(ステップS21)。
【0067】
ステップS20でのDL Frequencyの調整回数が、3GPP規格38.508-1のC.3節に規定された調整回数に到達した場合には、試験実行制御部22のパラメータ調整部22cは、後述するステップS23の処理を実行する。一方、ステップS20でのDL Frequencyの調整回数が、3GPP規格38.508-1のC.3節に規定された調整回数に到達していない場合には、試験実行制御部22のパラメータ調整部22cは、ステップS22の処理を実行する。
【0068】
ステップS22において試験実行制御部22のパラメータ調整部22cは、ステップS20で調整された値をDL Frequencyに再設定し(ステップS22)、再びステップS18の処理を実行する。
【0069】
例えば、ユーザが操作部26を介して入力したDL Frequencyの値が2617MHz、Operating Bandの値がn38、BWの値が5MHz、SCSの値が15kHzであるとき、ステップS18で算出されたSSB値FSSrefは、ステップS19で無効であると判断される。この場合、ステップS20でDL Frequencyの値は1ステップサイズだけシフトされたNREFに相当する2616.9MHzに調整される。この調整後のDL Frequencyの値を用いて再びステップS18で算出されたSSB値FSSrefは、2617.35MHzとなり、ステップS19で有効であると判断される。
【0070】
ステップS23において試験実行制御部22のパラメータ調整部22cは、ステップS15でユーザが操作部26を介して入力したDL Frequencyの値が不適切な値である旨を、表示制御部25を介して表示部27に表示させて、一連の処理を終了する。
【0071】
ステップS24において試験実行制御部22は、ステップS19で有効な値であると判断されたSSB値FSSrefをSSBに設定する(ステップS24)。
【0072】
次に、試験実行制御部22のパラメータ算出部22aは、3GPP規格38.521-1の5.4節のTable 5.4.4-1に従って、現在設定されているDL Frequencyに対応するUL Frequencyの値を算出する。さらに、試験実行制御部22は、算出されたUL Frequencyの値をUL Frequencyに設定する(ステップS25)。
【0073】
次に、試験実行制御部22のパラメータ算出部22aは、現在設定されているSCS、BW、DL Frequency、UL Frequencyの各値に基づいて、3GPP規格38.521-1のC.3節に記載されている手順でDL Point A及びUL Point Aを算出する。さらに、試験実行制御部22は、算出されたDL Point A及びUL Point Aの値をDL Point A及びUL Point Aに設定する(ステップS26)。
【0074】
次に、表示制御部25は、3GPP規格に準じたOFDMの各値を表示部27において操作部26により選択可能に表示させる。そして、ユーザが、操作部26を介して、OFDMの値を選択入力する(ステップS27)。試験実行制御部22は、ユーザが操作部26を介して選択入力したOFDMの値をOFDMに設定する。
【0075】
次に、表示制御部25は、RB Allocation Patternを表示部27において操作部26により選択可能に表示させる。そして、ユーザが、操作部26を介して、RB Allocation Patternを選択入力する(ステップS28)。
【0076】
次に、試験実行制御部22は、ステップS28で入力されたRB Allocation Patternが、3GPP規格に定義されたパターンであるか、あるいは、ユーザ定義のパターンであるかを判断する(ステップS29)。
【0077】
ステップS28で入力されたRB Allocation Patternが3GPP規格に定義されたパターンである場合には、試験実行制御部22は、後述するステップS32の処理を実行する。一方、ステップS28で入力されたRB Allocation Patternがユーザ定義のパターンである場合には、試験実行制御部22は、ステップS30の処理を実行する。
【0078】
ステップS30において試験実行制御部22の規格準拠判断部22bは、ステップS28で入力されたユーザ定義のRB Allocation Patternにおいて、現在設定されているBW、SCS、OFDMの各値に応じたRB Allocationが適切な値であるか否かを判断する(ステップS30)。ここで、適切なRB Allocationとは、RB Allocationのフォーマット「LCRB@RBstart」において、LCRBが1以上の値であるとともに、LCRB、RBstart、及びLCRB+RBstartが上記のOuter_FullのLCRBを超えないRB Allocationである。
【0079】
RB Allocationが適切な値である場合には、試験実行制御部22は、後述するステップS33の処理を実行する。一方、RB Allocationが適切な値でない場合には、試験実行制御部22は、ステップS31の処理を実行する。
【0080】
ステップS31において試験実行制御部22は、3GPP規格に定義されたデフォルトの8つのRB Allocation Patternのいずれかの中から、現在設定されているBW、SCS、OFDMの各値に応じた値をRB Allocationに設定する(ステップS31)。また、試験実行制御部22は、ユーザが操作部26を介して選択入力したRB Allocation Patternが不適切なパターンである旨を、表示制御部25を介して表示部27に表示させる。
【0081】
ステップS32において試験実行制御部22は、ステップS28で入力された3GPP規格に定義されたRB Allocation Patternにおいて、現在設定されているBW、SCS、OFDMの各値に応じた値をRB Allocationに設定する(ステップS32)。
【0082】
ステップS33において試験実行制御部22は、ステップS28で入力されたユーザ定義のRB Allocation Patternにおいて、現在設定されているBW、SCS、OFDMの各値に応じた値をRB Allocationに設定する(ステップS33)。
【0083】
次に、試験実行制御部22の合否判定基準値算出部22dは、3GPP規格38.521-1の6章/7章と、3GPP規格38.521-3の6章/7章に記載されている手順に従って、テストケースの合否判定基準値を算出する(ステップS34)。
【0084】
なお、上記の処理ステップのうち、ステップS12~S15,S27,S28は、テストケースの試験を実行するための複数のパラメータのうちのいくつかに値を入力するためのパラメータ入力ステップに相当する。また、ステップS11,S13,S14,S27,S28は、操作部26により入力可能な3GPP規格に準じたパラメータの値を表示部27に選択可能に表示させる表示制御ステップに相当する。
【0085】
また、上記の処理ステップのうち、ステップS17,S18,S25,S26は、パラメータ入力ステップにより入力された1以上のパラメータの値に応じて、他のパラメータの値を算出するパラメータ算出ステップに相当する。
【0086】
また、上記の処理ステップのうち、ステップS16,S19,S30は、パラメータ入力ステップにより入力されたパラメータの値、及び、パラメータ算出ステップにより算出されたパラメータの値が3GPP規格に準じているか否かを判断する規格準拠判断ステップに相当する。
【0087】
また、上記の処理ステップのうち、ステップS20~S23は、規格準拠判断ステップにより3GPP規格に準じていないと判断されたパラメータの値を、3GPP規格に準じる値に調整するパラメータ調整ステップに相当する。
【0088】
また、上記の処理ステップのうち、ステップS34は、規格準拠判断ステップにより3GPP規格に準じていると判断された値を有するパラメータと、パラメータ調整ステップにより調整された値を有するパラメータとの少なくとも一方を含む複数の各種パラメータを用いて、テストケースの合否判定基準値を算出する合否判定基準値算出ステップに相当する。
【0089】
以上説明したように、本実施形態に係る移動端末試験システム1は、ユーザにより変更されたパラメータと、ユーザにより変更されたパラメータに基づいて算出されたパラメータとが3GPP規格に準じていない場合には、それらのパラメータを3GPP規格に準じる値に調整するように構成されている。この構成により、本実施形態に係る移動端末試験システム1は、ユーザが各パラメータの相互影響を意識せずに自由にパラメータを変更することを可能にして、移動端末200の3GPP規格に準拠したコンフォーマンステストを容易に実行することができる。つまり、本実施形態に係る移動端末試験システム1は、ユーザが3GPP規格を深く理解していなくても、試験したい条件の構築や変更を容易にするとともに、移動端末200と基地局(疑似基地局部11)との接続を確実に行った状態で、手間を生じることなく正確な測定結果を得ることを可能にする。
【0090】
また、本実施形態に係る移動端末試験システム1は、ユーザにより変更されたパラメータに基づいて、DL Frequency、UL Frequency、DL Point A、UL Point A、及びSSBなどのパラメータを自動算出することができる。また、本実施形態に係る移動端末試験システム1は、Operating Band|SCS|BWや、BW|SCS|OFDM|RB Allocation Patternなどのパラメータの組合せについて、3GPP規格に準じた値を連動設定することができる。
【0091】
また、本実施形態に係る移動端末試験システム1は、3GPP規格に準じた各種パラメータを用いて、テストケースの合否判定基準値を自動算出することができる。
【0092】
また、本実施形態に係る移動端末試験システム1は、各種パラメータに設定可能な3GPP規格に準じた値を表示部27に選択可能に表示させるため、ユーザが3GPP規格を深く理解していなくても、3GPP規格に準じた適切なパラメータの変更が可能となる。
【符号の説明】
【0093】
1 移動端末試験システム
10 試験実行部
11 疑似基地局部
12 結合器
20 制御装置
21 テストケース記憶部
22 試験実行制御部
22a パラメータ算出部
22b 規格準拠判断部
22c パラメータ調整部
22d 合否判定基準値算出部
22e 合否判定部
25 表示制御部
26 操作部(パラメータ入力部)
27 表示部
100 測定装置
200 移動端末