(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142427
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】駐車支援方法及び駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
B60W30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049339
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】赤浦 勝太
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BA60
3D241BB03
3D241CC02
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD12
3D241CD28
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DC31Z
(57)【要約】
【課題】本開示は、長時間にわたって自動駐車機能が中断される事態を防止することができる駐車支援方法及び駐車支援装置を提供する。
【解決手段】本開示に係る駐車支援方法は、ユーザによる教師走行に基づいて、車両の自動走行を行う駐車支援方法であって、記憶ステップと、制御ステップと、検知ステップと、判断ステップと、報知ステップとを含む。記憶ステップは、教師走行における走行経路に関する情報を記憶部に記憶させる。制御ステップは、記憶された走行経路に基づき、車両を制御する。検知ステップは、制御ステップを実行中に、障害物を検知する。判断ステップは、障害物を回避する回避経路を生成できるか否かを判断する。報知ステップは、回避経路を生成できない場合に、ユーザの通信端末に報知する。また、制御ステップは、通信端末からの自動走行の指示に基づき実行される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる教師走行に基づいて、車両の自動走行を行う駐車支援方法であって、
前記教師走行における走行経路に関する情報を記憶部に記憶させる記憶ステップと、
記憶された前記走行経路に基づき、前記車両を制御する制御ステップと、
前記制御ステップを実行中に、障害物を検知する検知ステップと、
前記障害物を回避する回避経路を生成できるか否かを判断する判断ステップと、
前記回避経路を生成できない場合に、前記ユーザの通信端末に報知する報知ステップと、
を含み、
前記制御ステップは、前記通信端末からの自動走行の指示に基づき実行される、
駐車支援方法。
【請求項2】
前記障害物が取り除かれたか否かを検知する第2検知ステップと、
前記障害物が取り除かれた場合、前記自動走行を再開する再開ステップと、
を更に含む、
請求項1に記載の駐車支援方法。
【請求項3】
前記報知ステップは、前記報知として、前記通信端末に、前記障害物を取り除くことを促すメッセージを表示させる処理を行う、
請求項1又は2に記載の駐車支援方法。
【請求項4】
前記通信端末には、スマートフォン又はタブレット端末が含まれる、
請求項3に記載の駐車支援方法。
【請求項5】
前記通信端末には、ユーザの自宅に設置され、家電を統括的に制御する管理システムに接続されるテレビが含まれる、
請求項3に記載の駐車支援方法。
【請求項6】
前記報知ステップは、前記報知として、スピーカ装置に、前記障害物を取り除くこと促す音声を発生させる処理を行う、
請求項1又は2に記載の駐車支援方法。
【請求項7】
前記スピーカ装置には、スマートフォン又はタブレット端末のスピーカが含まれる、
請求項6に記載の駐車支援方法。
【請求項8】
前記スピーカ装置には、ユーザの自宅に設置され、家電を統括的に制御する管理システムに接続されるテレビ及びオーディオ装置が含まれる、
請求項6に記載の駐車支援方法。
【請求項9】
センサ装置のセンサデータに基づいて、前記車両と前記障害物との接触を検知する第3検知ステップと、
前記車両と前記障害物との接触が検知された場合、前記車両と前記障害物とが衝突した旨を報知する第2報知ステップと、
を更に含む、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の駐車支援方法。
【請求項10】
ユーザによる教師走行に基づいて、車両の自動走行を行う駐車支援装置であって、
前記教師走行における走行経路に関する情報を記憶する記憶部と、
記憶された前記走行経路に基づき、前記車両の制御を実行する制御部と、
前記車両の制御の実行中に、障害物を検知する検知部と、
前記障害物を回避する回避経路を生成できるか否かを判断する判断部と、
前記回避経路を生成できない場合に、前記ユーザの通信端末に報知する報知部と、
を備え、
前記制御部は、前記通信端末からの自動走行の指示に基づいて、前記車両の制御を実行する、
駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車支援方法及び駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の駐車の際に自動運転により車両を移動させる駐車支援の技術が知られている。このような駐車支援技術の1つとして、自動車の運転者が、頻繁に駐車する駐車スペース、特に自宅の車庫に、任意の位置から駐車するときに、運転者を確実に支援する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の運転者支援装置は、自動車の周囲に存在する物体を検知し、かつ、当該物体を車両が回避することができない場合、当該物体が取り除かれるまで自動駐車機能が中断されることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る駐車支援方法は、ユーザによる教師走行に基づいて、車両の自動走行を行う駐車支援方法であって、記憶ステップと、制御ステップと、検知ステップと、判断ステップと、報知ステップとを含む。記憶ステップは、教師走行における走行経路に関する情報を記憶部に記憶させる。制御ステップは、記憶された走行経路に基づき、車両を制御する。検知ステップは、制御ステップを実行中に、障害物を検知する。判断ステップは、障害物を回避する回避経路を生成できるか否かを判断する。報知ステップは、回避経路を生成できない場合に、ユーザの通信端末に報知する。また、制御ステップは、通信端末からの自動走行の指示に基づき実行される。
【0006】
本開示による方法に関する好ましい実施形態、およびその利点は、本開示による駐車支援装置にも同様に当てはまり、また本開示による自動車にも同様に当てはまる。
【0007】
本開示のさらなる特徴は、特許請求の範囲、図面、および図の説明から明らかになると思う。上記の説明、および下記の図の説明における全ての特徴、および特徴の組み合わせ、および/または図だけに示している特徴および特徴の組み合わせを、それぞれ実施することができるだけでなく、他と組み合わせて、またはそれら独自でも使用することができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示における駐車支援装置によれば、長時間にわたって自動駐車機能が中断される事態を防止することができる。
【0009】
以下、本開示の好ましい実施形態例を、添付の図面を参照して、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る駐車支援システムのネットワーク構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る駐車支援装置が備える機能を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る駐車支援装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、その他の実施形態に係る駐車支援装置が備える機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態の駐車支援装置を備える駐車支援システムの利用シーンとしては、自宅の駐車場に車両を駐車する場合であって、ユーザが車両を降車した後に車両が自動で駐車を実行するシーンを例示する。
【0012】
当該シーンにおいては、ユーザは駐車場内の所定の位置で降車した後、ユーザの通信端末を介して、車両に自動駐車の実行を指示する。ユーザは指示が完了すると家に入り、車両は駐車位置へ向けて自動駐車を実行する。しかしながら、車両が自動駐車を実行中、駐車経路上に回避できない障害物が存在すると、車両は自動駐車を中断し停車してしまう。更に、ユーザは家に入っている為、車両が自動駐車を中断し停車している状況を認識することができないといった課題があった。
【0013】
(第1の実施形態)
「駐車支援システム1の構成」
図1は、第1の実施形態に係る駐車支援システム1のネットワークN構成の一例を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る駐車支援システム1は、車両100、通信端末200を有する。車両100と通信端末200とは、ネットワークNにより相互に接続される。ネットワークNは、インターネット等の公衆ネットワーク、携帯電話網の無線ネットワーク、VPN(Virtual Private Network)等の専用ネットワーク、LAN(Local Area Network)等のネットワークを含む。
【0014】
「車両100の構成」
車両100は、車体と、車体に所定方向に沿って配置された2対の車輪とを備える。2対の車輪は、1対のフロントタイヤ及び1対のリアタイヤを備える。
【0015】
フロントタイヤは、本実施形態における第1の車輪の一例である。また、リアタイヤは、本実施形態における第2の車輪の一例である。なお、車両100は、4つの車輪を備えるが、車輪の数はこれに限定されるものではない。例えば、車両100は2輪車であっても良い。
【0016】
車体は、車輪に結合され、車輪によって移動可能である。この場合、2対の車輪が配置される所定方向が車両100の走行方向(移動方向)となる。車両100は、ギアの切り替え等により前進または後退することができる。また、車両100は、操舵により右左折することもできる。
【0017】
車体の所定の端部には、超音波等の音波の送受波を行う送受波部110(
図2参照)が配置される。例えば、フロントバンパーには1つ以上の送受波部110が配置され、リアバンパーには1つ以上の送受波部110が配置される。以下、フロントバンパーに配置された送受波部110とリアバンパーに配置された送受波部110を特に限定しない場合には、単に送受波部110という。また、車両100は、撮像装置120、操舵アクチュエータ130、エンジンアクチュエータ140、ブレーキアクチュエータ150、駐車支援装置160(
図2参照)を備える。
【0018】
送受波部110は、一例として、測距センサである。測距センサは、一例として、超音波ソナーである。例えば、超音波ソナーは、車両100が駐車場内を走行している場合に、超音波を照射し、反射されて検出された反射波に基づいて、車両100の周囲に存在する障害物までの距離を検出する。そして、超音波ソナーは、障害物までの距離に基づいて障害物の輪郭点を算出し、輪郭点に基づき、障害物の特徴点を検出する。なお、測距センサは、超音波センサに限らず、例えば、ミリ波レーダまたはLiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)であってもよい。
【0019】
撮像装置120は、一例として、可視光カメラである。車両100は、車両100の前方を撮像する第1の撮像装置、車両100の後方を撮像する第2の撮像装置、車両100の左側方を撮像する第3の撮像装置、および車両100の右側方を撮像する第4の撮像装置を備える。以下、第1の撮像装置、第2の撮像装置、第3の撮像装置、および第4の撮像装置を特に区別しない場合には単に撮像装置120という。また、詳細は後述するが、撮像装置120は、例えば、車両100の周囲に存在する物体の特徴点を検出し、車両100と特徴点との位置関係から、車両100の現在位置を推定する用途に適用される。撮像装置120は、撮像した画像信号を駐車支援装置160に出力する。なお、撮像装置120は、可視光カメラに限らず、例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラであってもよい。また、撮像する画像は、静止画であっても動画であってもよい。また、撮像装置120は、車両100に内蔵されたカメラであっても良いし、車両100に後付けされたドライブレコーダのカメラ等であっても良い。尚、車両100の現在位置を推定するためのセンサとして、撮像装置120に代えて、測距センサとしての超音波センサ、LiDAR、又は、レーダ等が用いられてもよい。
【0020】
操舵アクチュエータ130は、後述する駐車支援装置160の出力に基づき、車両100の操舵角を調節する。駐車支援装置160は、操舵アクチュエータ130に目標操舵角を送信することで操舵角を制御する。駐車支援装置160は、操舵アクチュエータ130を制御することで車両100の走行時の旋回曲率を制御する。エンジンアクチュエータ140は、駐車支援装置160の出力に基づき、エンジンに対する燃料および空気の供給量を調節する。ブレーキアクチュエータ150は、駐車支援装置160の出力に基づき、車輪の制動力を調節する。
【0021】
車両100には、駐車支援装置160が搭載される。駐車支援装置160は、車両に搭載可能な情報処理装置であり、例えば、車両100の内部に設けられたECU(Electronic Control Unit)、もしくはOBU(On Board Unit)である。あるいは、駐車支援装置160は、車両100のダッシュボード付近に設置された外付けの装置であっても良い。なお、駐車支援装置160はカーナビゲーション装置等を兼ねても良い。
【0022】
図2は、第1の実施形態に係る車両100が備える駐車支援装置160が備える機能を示すブロック図である。
図2に示すように、第1の実施形態の駐車支援装置160は記憶部161、抽出部162、位置推定部163、制御部164および通信部165を備える。
【0023】
記憶部161は、車両100の運転者により車両100を駐車開始位置から駐車スペースに駐車した際に得られた走行情報を記憶する。より具体的には、記憶部161は、車両100を駐車開始位置から駐車スペースに駐車した際に得られた走行情報を記憶する。なお、運転者が手動運転によって駐車開始位置から駐車スペースまで車両100を移動させる走行を教師走行とも称する。また教師走行時の走行情報を教師データとも称する。教師データは、教師走行時の駐車スペースの目標駐車位置、教師走行時の速度、教師走行時の操舵角、教師走行時の制動動作、教師走行時の走行経路(以下、教師経路とも称する)に関する情報、教師走行中に撮像された駐車スペースの周辺画像から抽出された特徴点情報を含む。ここで教師走行時の走行経路に関する情報には、経路上の位置座標、経路長、最小旋回半径、切り返し位置等の情報が含まれる。なお、教師走行は後進に限定されず、前進、もしくは前進と後退の両方を含むものであっても良い。
【0024】
また、運転者が車両を後進させて車庫(駐車スペース)に入庫させた教師経路を、車庫から経路を逆にたどることにより、出庫時の教師経路として用いることができる。
【0025】
抽出部162は、撮像装置120が撮像した周辺画像から特徴点を抽出する。抽出部162による特徴点の抽出の手法は特に限定されるものではなく、公知の手法を適用してよい。例えば、抽出部162は、FAST(Features from Accelerated Segment Test)またはORB (Oriented FAST and Rotated BRIEF)等の手法により特徴点を抽出する。
【0026】
位置推定部163は、抽出部162によって抽出された特徴点と、記憶部161が記憶した教師データに記憶されている特徴点とを受信する。位置推定部163は、パターンマッチングや特徴量探索等を用いて、撮像装置120が撮像した撮像画像から抽出された特徴点と、教師データに記憶されている特徴点とを照合する。そして、位置推定部163は、撮像画像から抽出された特徴点で、かつ教師データに記憶されている特徴点と照合することができた特徴点のうち数個の特徴点をランダムに選択して、これらの数個の特徴点のカメラ画像内における位置と、当該数個の特徴点の実空間における三次元位置と、に基づいて、車両100の現在位置を推定する。
【0027】
制御部164は、エンジンアクチュエータ140、ブレーキアクチュエータ150、操舵アクチュエータ130を制御する。つまり、制御部164は、車両100の操舵、制動、および加減速を制御することにより、車両100を制御することができる。さらに、制御部164は、通信端末200からの指示に基づき、現在位置情報および教師データを用いて自動走行(記憶型自動駐車)を実行する。一例として、制御部164は、通信部165を介して通信端末200から駐車指示を受信した場合、教師データに基づき、駐車開始位置から駐車スペースに車両100が移動するように制御する。なお、制御部164は、駐車開始位置から駐車スペースに車両100が移動したことが完了した通知である入庫完了情報を後述の通信部165を介して、通信端末200に送信してもよい。
【0028】
上述の通り、本実施形態において、記憶型自動駐車は、駐車開始位置から駐車スペースへの車両の入庫、または、駐車スペースから駐車開始位置への車両の出庫に適用される。
【0029】
なお、制御部164は、車両100が教師経路から外れた場合に、フィードバック制御により、車両100を走行経路に戻すように移動させる。例えば、制御部164は、位置推定部163によって推定された車両100の現在位置に基づいて、車両100の位置と教師経路との差異を推定し、当該差異を小さくするように車両100を走行させる。フィードバック制御を行う理由としては、記憶型自動駐車を開始した際の車両100の位置が、教師経路の初期位置と一致しない場合があるためである。また、制御部164は、教師データに基づいて、車両100の教師経路を変更しても良い。
【0030】
制御部164は、駐車制御中に、送受波部110、撮像装置120、またはその他の車載センサ等により障害物を検出した際には、検出した障害物を回避するための回避経路を含むように走行経路を修正してもよい。ここで回避経路は、一例として、障害物近傍から障害物を迂回し、再度走行経路に合流する経路であればよい。なお、回避経路の経路生成に関しては既存の手法を用いればよい。また、障害物は、一例として、自転車、遊具、生物などがあげられる。なお、この場合に、ユーザに対して、障害物を検知したが、当該障害物を回避して自動駐車を継続した旨の通知を行ってもよい。
【0031】
制御部164は、検出した障害物を回避する回避経路を生成できない場合、車両100を停車させ、後述する通信部165を介し通信端末200に信号を送信する。ここで回避経路を生成できない場合としては、障害物を回避し走行した場合、壁に衝突してしまうケースなどがある。言い換えると、駐車スペースまたは教師経路の外部が、壁や樹木などに囲まれる駐車場のような、教師経路の外部に車両100が走行可能なスペースがない場合に制御部164は、回避経路を生成できないと判断すればよい。なお、車両100が走行可能なスペースが存在するか否かを判断する手段としては、測距センサなどを用いて壁までの距離を算出するといった既存の手法を用いればよい。また、回避経路を走行した場合の車両100と教師経路の外部の障害物との距離が所定距離未満(一例として30cm)の場合、制御部164は、回避経路を生成できないと判断してもよい。また、別の一例として、駐車スペース内に障害物が存在する場合、駐車を完了させることが出来ないため、制御部164は、駐車スペースに駐車可能な経路を生成できないと判断してもよい。
【0032】
制御部164は、回避経路を生成できない場合、または、駐車スペースに駐車可能な経路を生成できない場合、ユーザに対して障害物を取り除くよう報知を行う。例えば、制御部164は、ユーザの通信端末200に通信部165を介して通信し、「自動駐車実行中に回避できない物体を検知しました。物体を取り除いてください」等のメッセージを送信することにより報知を行う。なお、メッセージは、通信端末200のディスプレイに表示されてもよいし、音声で読み上げられてもよい。
【0033】
通信部165は、通信端末200と通信し、通信端末200から自動駐車を実行する指示を受信する。また、通信部165は、自動駐車を実行中に車両100が停車したこと又は車両100の近傍に障害物が存在することを示す情報を通信端末200に送信する。
【0034】
「通信端末200の構成」
通信端末200は、ユーザが使用する通信端末である。通信端末200としては、例えば、スマートフォンやタブレット端末等が挙げられる。通信端末200は、ネットワークNを介して、車両100と通信している。また、通信端末200は、車両100に関する自動駐車のシステムを表示する。ユーザは通信端末200を操作することで、車両100を降車した後においても、車両100を遠隔操作することが可能である。つまり、ユーザは通信端末200を操作することで、車両100の外から自動駐車の実行を指示することができる。
【0035】
次に、本実施形態に係る駐車支援装置160が実行する処理について説明する。
図3は、本実施形態に係る駐車支援装置160が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0036】
まず、制御部164は、自動駐車の実行指示を受付ける(ステップS1)。具体的には、制御部164は、ユーザから通信端末200を介し、自動駐車の実行指示を受付ける。
【0037】
次いで、制御部164は、自動駐車制御を開始する(ステップS2)。具体的には、制御部164は、教師データに基づき、駐車開始位置となる車両100の現在位置から駐車スペースに車両100が移動するように車両100を制御する。
【0038】
次いで、制御部164は、自動駐車の実行中、車両100の周囲に障害物が存在するか否かを継続的に検知する(ステップS3)。具体的には、制御部164は、送受波部110のセンサデータ又は撮像装置120が撮像した撮像画像に基づいて、車両100の周囲に障害物が存在するか否かを検知する。
【0039】
障害物を検知した場合(ステップS3:Yes)、制御部164は、自動駐車を停止する(ステップS4)。次いで、制御部164は、回避経路を生成できるか否かを判断する(ステップS5)。例えば、制御部164は、回避経路の候補となる経路を生成し、当該経路を走行した場合の車両100と教師経路の外部の障害物との距離が所定距離未満であるか否かに基づいて、回避経路が生成できるか否かを判断する。
【0040】
回避経路を生成できないと判断した場合(ステップS5:No)、制御部164は、ユーザに物体を取り除くよう促す報知を行う(ステップS7)。例えば、制御部164は、ユーザの通信端末200へ物体を取り除くよう促すメッセージを送信し、本処理を終了する。
【0041】
一方、ステップS5で回避経路を生成できると判断した場合(ステップS5:Yes)、制御部164は、障害物を回避する回避経路を生成する(ステップS6)。そして、制御部164は、ステップS2の処理に戻り、自動駐車制御を再開する。
【0042】
また、ステップS3で、障害物を検知しなかった場合(ステップS3:No)、制御部164は、車両100の駐車が完了したかどうかをチェックする(ステップS8)。具体的には、制御部164は、送受波部110のセンサデータ又は撮像装置120により撮像された撮像画像に基づいて、駐車スペースに車両100が駐車したか否かを判断する。
【0043】
車両100の駐車が完了した場合(ステップS8:Yes)、制御部164は本処理を終了する。一方、車両100の駐車が完了していない場合(ステップS8:No)、自動駐車制御を続行し、ステップS3の処理に戻る。
【0044】
本実施形態の駐車支援システム1によれば、ユーザが家に入り、かつ、車両100が自動走行(記憶型自動駐車)を実行中、駐車経路上に回避できない障害物が存在し車両100が自動駐車を中断し停車した場合であっても、ユーザは、車両100が自動駐車を中断し停車している状況を認識することができる。そのため、ユーザは、障害物が存在する状況を早期に認識することができ、障害物を取り除くことができる。また、障害物が取り除かれたことにより、車両100は、自動走行(記憶型自動駐車)を再開し、駐車を完了させることができる。
【0045】
(その他の実施形態)
駐車支援装置160は、画像生成部170を更に備えてもよい。
図4は、その他の実施形態に係る車両100が備える駐車支援装置160が備える機能を示すブロック図である。画像生成部170は、表示装置に表示させる画像を生成する。画像生成部170は、撮像装置120が撮像した左側方画像、右側方画像、後方画像、前方画像の無限遠点を合わせて1つの無限遠点とし、1つの仮想視点から見たように4つの画像を視点変換した後、その4つの画像を合成して1枚の合成画像を生成する。画像生成部170は生成した合成画像を、通信部165を介しユーザの通信端末200に出力する。また、画像生成部170は合成画像に限らず、単一の撮像装置120が撮像した撮像画像をユーザの通信端末200に出力してもよい。
【0046】
制御部164は、ユーザに対して障害物を取り除くよう報知を行った後、車両100の周囲から物体が取り除かれたか否かを撮像装置120によって撮像された撮像画像に基づき継続的に判断してもよい。また、制御部164は、ユーザから障害物を取り除いた旨の入力を受付けることにより、障害物が取り除かれたかどうかを判断してもよい。さらに、制御部164は、障害物が取り除かれたことを検知した場合、自動駐車を再開する。一方、所定時間経過しても、障害物が取り除かれたことを検知できない場合、ユーザに対して再度報知を行ってもよい。
【0047】
制御部164は、通信部165を介して、家電や住宅設備を統括的に管理する管理システムと連携してもよい。その場合、テレビに障害物を取り除くよう促すメッセージを表示したり、スピーカから物体を取り除くよう促す音声を発したりすることによりユーザに報知を行ってもよい。また、制御部164は、通信部165を介して、ユーザが装着するARグラスと連携してもよい。その場合、ARグラスに障害物を取り除くよう促すメッセージを表示してもよい。また、制御部164は、通信部165を介して、ユーザが装着する補聴器と連携してもよい。その場合、補聴器から物体を取り除くよう促す音声を発したりすることによりユーザに報知を行ってもよい。
【0048】
車両100の自動駐車中に、小動物が急に飛び出してきた場合等には、制御部164によるハンドル操作やブレーキ操作が間に合わない可能性もある。したがって、車両100と飛び出してきた生物と接触してしまう可能性がある。
【0049】
そこで、制御部164は、送受波部110、撮像装置120、またはその他のセンサ(例えば、圧力センサ)等のセンサデータの情報に基づいて、車両100と生物との接触を検知し、接触を検知した場合には、直ちにユーザに対して、接触を検知した旨を報知してもよい。これにより、ユーザは、車両100と生物とが接触した場合に、速やかに車両100やその周囲の状況の確認行動を開始できる。
【0050】
また、例えば、制御部164は、撮像装置120等のセンサデータの情報に基づいて、車両100と接触した対象が人であることを検知した場合、ユーザへの報知と併せて、警察本部及び消防本部等に通報を行う緊急通報サービスを提供する事業者のサーバ装置等に、車両100と人とが接触した旨の通知を送信してもよい。これにより、車両100と人との接触事故が発生した場合に、速やかに被害者を救助するための活動を開始することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 駐車支援システム
100 車両
110 送受波部
120 撮像装置
130 操舵アクチュエータ
140 エンジンアクチュエータ
150 ブレーキアクチュエータ
160 駐車支援装置
161 記憶部
162 抽出部
163 位置推定部
164 制御部
165 通信部
170 画像生成部
200 通信端末
N ネットワーク