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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142438
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】蓋体
(51)【国際特許分類】
   B65D 21/036 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
B65D21/036
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049355
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】河端 健
【テーマコード(参考)】
3E006
【Fターム(参考)】
3E006AA02
3E006BA01
3E006CA01
3E006DA04
3E006DB03
(57)【要約】
【課題】膨出部の破損を抑制することが求められている。
【解決手段】本開示の蓋体10には、上壁20に、外周部を膨出させた土手部21が設けられている。土手部21のうち長辺膨出部23の端部は、蓋体10の長手方向の途中位置に配され、端部壁24により閉塞されている。そして、長辺膨出部23の端部には、長辺膨出部23の上部壁21A、内側壁21B及び端部壁24に対して斜めに交差する内向傾斜壁25が備えられている。内向傾斜壁25は、長辺膨出部23の長手方向、幅方向及び高さ方向に対して傾斜し、上方及び斜め内側を向いている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視四角形で中空構造の蓋体であって、互いに平行に延びる断面四角形の1対の膨出部を上面の1対の外縁部に備える蓋体において、
前記膨出部の一端は、前記1対の外縁部の途中に位置して一端壁により閉塞され、
前記膨出部の一端部には、前記膨出部の上部壁、内側壁及び前記一端壁に対して斜めに交差して、前記膨出部の長手方向、幅方向及び高さ方向に対して傾斜する内向傾斜壁を備える蓋体。
【請求項2】
前記一端壁には、上端から下方に向かうにつれて、水平方向において前記上部壁から離れるように傾斜した一端傾斜部が備えられている請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記一端傾斜部は、蓋体の上面まで延びている請求項2に記載の蓋体。
【請求項4】
前記内向傾斜壁は、蓋体の上面まで延びている請求項1から3の何れか1の請求項に記載の蓋体。
【請求項5】
前記内向傾斜壁は、全体が一つの平面上又は湾曲面上に位置している請求項4に記載の蓋体。
【請求項6】
1対の第1外縁部に配され、前記内向傾斜壁を備える第1の前記膨出部と、1対の第2外縁部に配された第2の前記膨出部と、を備え、
前記内向傾斜壁は、前記第1の前記膨出部のうち一方の前記第2外縁部から遠い側の端部に配されかつ、前記一方の前記第2外縁部に配された前記第2の前記膨出部の前記内側壁より他方の前記第2外縁部側に配されている請求項1から5の何れか1の請求項に記載の蓋体。
【請求項7】
ブロー成形品である請求項1から6の何れか1の請求項に記載の蓋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中空構造の蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の蓋体として、互いに平行に延びる断面四角形の1対の膨出部を上面の1対の外縁部に備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-242249号公報(段落[0018]及び図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の蓋体においては、膨出部の破損を抑制することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、平面視四角形で中空構造の蓋体であって、互いに平行に延びる断面四角形の1対の膨出部を上面の1対の外縁部に備える蓋体において、前記膨出部の一端は、前記1対の外縁部の途中に位置して一端壁により閉塞され、前記膨出部の一端部には、前記膨出部の上部壁、内側壁及び前記一端壁に対して斜めに交差して、前記膨出部の長手方向、幅方向及び高さ方向に対して傾斜する内向傾斜壁を備える蓋体である。
【0006】
請求項2の発明は、前記一端壁には、上端から下方に向かうにつれて、水平方向において前記上部壁から離れるように傾斜した一端傾斜部が備えられている請求項1に記載の蓋体である。
【0007】
請求項3の発明は、前記一端傾斜部は、蓋体の上面まで延びている請求項2に記載の蓋体である。
【0008】
請求項4の発明は、前記内向傾斜壁は、蓋体の上面まで延びている請求項1から3の何れか1の請求項に記載の蓋体である。
【0009】
請求項5の発明は、前記内向傾斜壁は、全体が一つの平面上又は湾曲面上に位置している請求項4に記載の蓋体である。
【0010】
請求項6の発明は、1対の第1外縁部に配され、前記内向傾斜壁を備える第1の前記膨出部と、1対の第2外縁部に配された第2の前記膨出部と、を備え、前記内向傾斜壁は、前記第1の前記膨出部のうち一方の前記第2外縁部から遠い側の端部に配されかつ、前記一方の前記第2外縁部に配された前記第2の前記膨出部の前記内側壁より他方の前記第2外縁部側に配されている請求項1から5の何れか1の請求項に記載の蓋体である。
【0011】
請求項7の発明は、ブロー成形品である請求項1から6の何れか1の請求項に記載の蓋体である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の蓋体では、膨出部の一端部に、膨出部の上部壁、内側壁及び一端壁に対して斜めに交差する内向傾斜壁が形成されているので、上部壁、内側壁及び一端壁からなる角が角張っている場合よりも膨出部の破損を抑制することができる。特に、膨出部の一端が外縁部の途中に位置していると、1対の膨出部をガイドにして載置物をスライドさせる場合に、膨出部の一端の内側角部に載置物が当接して膨出部が破損することが考えられるが、本請求項1の蓋体によればそのような事態が防がれる。
【0013】
なお、例えば、載置物が下面に1対の膨出部の内側に嵌合する下面嵌合部を備え、載置物を蓋体上に載置すると載置物の下面の外縁部が1対の膨出部に当接し、下面嵌合部が蓋体の上面から浮いた状態で1対の膨出部の内側に嵌合する場合、載置物を蓋体上でスライドさせると、内向傾斜壁により載置物の下面の外縁部が1対の膨出部上に案内されると共に、載置物の下面嵌合部が1対の膨出部の内側に案内される。
【0014】
請求項2の蓋体では、一端壁に、上端から下方に向かうにつれて、水平方向において上部壁から離れるように傾斜した一端傾斜部が備えられているので、載置物を蓋体上でスライドさせるときに、内向傾斜壁より外側で載置物が膨出部の一端に当接しても、その力が上方に逃げやすくなり、膨出部が破損することが防がれる。
【0015】
請求項3の蓋体では、一端傾斜部が蓋体の上面まで延びているので、膨出部の下部で載置物が当接してもその力が上方に逃げやすくなり、膨出部の破損がより防がれる。
【0016】
請求項4の蓋体では、内向傾斜壁が蓋体の上面まで延びているので、膨出部の下部で載置物が当接してもその力が上方に逃げやすくなり、膨出部の破損がより防がれる。
【0017】
内向傾斜壁は、複数の平面又は湾曲面により構成されていてもよいし、請求項5の蓋体のように、一つの平面又は湾曲面により構成されていてもよい。
【0018】
請求項6の蓋体では、載置物を一方の第2外縁部に配された第2の膨出部に向けてスライドさせるときに、載置物のスライド方向がずれていると内向傾斜壁に当接して、正しい方向に案内される。そして、載置物が第2の膨出部に当接して載置物の載置が完了する。
【0019】
蓋体は、例えば、複数の射出成形品を組み合わせて製造されてもよいし、請求項7のようにブロー成形により製造されてもよい。ブロー成形により製造する場合、膨出部の角が薄くなりやすいところ、請求項1の蓋体のように、上部壁、内側壁及び一端壁に対して斜めに交差する内向傾斜壁を設けることで、載置物をスライドするとき当接しやすい膨出部の一端部が薄くなることが防がれ、膨出部の破損が防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示に係る蓋体を備える容器の斜視図
図2】容器本体の斜視図
図3】容器の拡大断面図
図4】容器本体の下側斜視図
図5】蓋体の斜視図
図6】蓋体の下側斜視図
図7】蓋体の斜視断面図
図8】容器同士が段積みされた状態の斜視図
図9】容器同士が段積みされた状態の断面図
図10】容器同士が段積みされた状態の拡大断面図
図11】容器のスライドスタック操作を説明するための斜視図
図12】容器のスライドスタック操作を説明するための斜視断面図
図13】容器のスライドスタック操作を説明するための断面図
図14】変形例に係る蓋体の拡大図
図15】変形例に係る蓋体のイメージ図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1から図13を参照して本開示の蓋体10を備える容器100について説明する。図1に示すように、容器100は、平面視長方形の容器本体50と、容器本体50の上面開口50Kを閉塞する蓋体10と、を備える。容器本体50と蓋体10とは、共に中空構造をなし(図3参照)、内部空間に断熱材(例えば発泡ウレタン等)を充填可能になっている。
【0022】
図2及び図3に示すように、容器本体50は、下側部材51と上側部材60とを組付けてなる。下側部材51は、外側底壁52の外縁から外側壁53が起立した箱形をなしている。上側部材60は、下側部材51の外側底壁52の上方に位置する内側底壁62の外縁から内側壁63が起立し、内側壁63の上端から側方に張り出した上端壁64と、上端壁64の外縁部から垂下した嵌合部65と、を有している。容器本体50の短辺部の上端壁64は容器本体50の長辺部の上端壁64よりも幅広になっている。
【0023】
上側部材60の嵌合部65は、内側嵌合壁65Aと外側嵌合壁65Bとからなる二重構造になっていてる。この内側嵌合壁65Aと外側嵌合壁65Bとの間に下側部材51の外側壁53の上端部が嵌合することで、下側部材51に上側部材60が組付けられて、中空構造の容器本体50となる。
【0024】
上側部材60の内側壁63の上端部には、上方部分の開口を下方部分の開口よりも大きくする段差部63Aが形成されている。また、下側部材51の短辺側の外側壁53の横方向の中央部は、上端寄り位置から下端にかけて陥没した陥没部54となっている。下側部材51には、この陥没部54の上端奥側(内側)を上方に延長して、指掛け部55が形成されている(図4参照)。
【0025】
図3及び図4に示すように、容器本体50の下面(外側底壁52)には、下面嵌合部52Kが形成されている。下面嵌合部52Kは、外側底壁52の外縁部より内側の平面視四角形の部分全体を下方へ膨出させてなる。なお、下面嵌合部52Kの下面には、格子状に延びた補強リブ52Lが形成されている。
【0026】
図5に示される蓋体10は、ブロー成形品であり、中空構造の長方形板になっている。図3及び図6に示すように、蓋体10の下壁11には、下方へ膨出した蓋嵌合部12が形成されている。蓋嵌合部12の平面形状は、容器本体50の上面開口50K(上側部材60の内側壁63における段差部63Aより上方部分の開口)と対応する形状になっている。
【0027】
蓋嵌合部12は、外縁に沿って延び、容器本体50の上面開口50Kの内側に嵌合する嵌合枠12Aと、嵌合枠12Aの内側の嵌合部構成部12Bと、を有している。嵌合枠12Aは断面角溝状になっていて、嵌合部構成部12Bは、蓋体10の長手方向に延びる帯板が角度を変えて短手方向で複数連なった蛇腹状になっている。嵌合枠12Aの下端は、嵌合部構成部12Bの下端よりも下方に位置している。
【0028】
図3に示すように、蓋体10を容器本体50に装着すると、蓋嵌合部12が容器本体50の上面開口50Kの内側に嵌合し、閉塞状態が安定する。このとき、蓋嵌合部12の嵌合枠12Aの下端が容器本体50の段差部63Aに近接する。つまり、段差部63Aより下方部分が容器本体50の収容スペースとなっていて、作業者は、段差部63Aを目印にして、収容量を調整することができる。
【0029】
また、図1及び図6に示すように、蓋体10の長手方向の両端部には、下壁11と側壁15との稜線部分を内側へ陥没させた持ち手部16が形成されている。この持ち手部16に手をかけることにより、蓋体10が容器本体50から取り外しやすくなる。
【0030】
さて、図3及び図5に示すように、蓋体10の上壁20には、外周部を膨出させた土手部21が設けられている。土手部21は、断面略四角形状をなし、上部壁21Aと内側壁21Bと外側壁21Cとを有している。上部壁21Aは水平に延び、内側壁21Bは略鉛直に延び、外側壁21Cは、蓋体10の側壁15から面一に延びたのち湾曲している。
【0031】
土手部21のうち蓋体10の短辺(特許請求の範囲中の「第2外縁部」に相当する)上に配された短辺膨出部22(特許請求の範囲中の「第2の膨出部」に相当する)は、蓋体10の長辺(特許請求の範囲中の「第1外縁部」に相当する)上に配された長辺膨出部23(特許請求の範囲中の「第1の膨出部」に相当する)よりも幅広になっている。
【0032】
土手部21には、1対の長辺部分における両端部に、それぞれ凹部21Mが形成されている。凹部21Mは、土手部21を内外方向で開放し、その底面は、蓋体10の上面(土手部21より内側の上面)と面一になっている。なお、この凹部21Mには、図示しないバンドを受容可能になっていて、容器100をバンドで止めたときに、バンドがずれることが抑制される。また、蓋体10の洗浄時に凹部21Mから水を排出することが可能となる。
【0033】
土手部21の短辺部分は、短辺膨出部22が全体に延びている一方、土手部21の長辺部分は、凹部21Mによりそれぞれ3つの長辺膨出部23に分断されている。3つの長辺膨出部23のうち両端の長辺膨出部23は、短辺膨出部22と連絡している。換言すれば、両端の長辺膨出部23は、短辺膨出部22の両端から蓋体10の長手方向に延びていて、その端部は、短辺膨出部22の内側壁21Bよりも蓋体10の長手方向の内側に位置している。
【0034】
次に、長辺膨出部23の各端部の形状について説明する。図5及び図7に示すように、長辺膨出部23の端部は、蓋体10の短手方向に延びた端部壁24(特許請求の範囲中の「一端壁」及び「一端傾斜部」に相当する)により閉塞されている。端部壁24は、その上端から蓋体10の上面(凹部21Mの底面)まで、下方に向かうにつれて、水平方向において上部壁21Aから離れるように傾斜している。
【0035】
ここで、本実施形態の蓋体10では、長辺膨出部23の端部に、上部壁21A、内側壁21B及び端部壁24に対して斜めに交差する内向傾斜壁25が備えられている。内向傾斜壁25は、上部壁21Aの端部となる上辺25Aと、内側壁21Bの端部となる内側辺25Bと、端部壁24の端部となる外側辺25Cと、蓋体10の上面に位置する下辺25Dと、を有した四角形状で、長辺膨出部23の長手方向、幅方向及び高さ方向に対して傾斜し、上方及び斜め内側を向いている。なお、内向傾斜壁25は、全体が平面上に配されているが、その外縁部(上部壁21A、内側壁21B、端部壁24及び蓋体10の上面との連絡部分)は湾曲している。
【0036】
この内向傾斜壁25により、長辺膨出部23の端部は、上部壁21A、内側壁21B及び端部壁24を延長して交わる角部(図7中の符号R)を含むように5面体を切り欠いた形状になっている。
【0037】
図8及び図9に示すように、容器100同士を段積みすると、上側の容器100における容器本体50の下面嵌合部52Kが、下側の容器100における蓋体10の土手部21の内側に嵌合し、上下の容器100の横ずれが規制される。また、図10に示すように、容器100同士を段積みすると、容器本体50の下面(外側底壁52)の外縁部が蓋体10の土手部21の上部壁21Aに当接して支持され、容器本体50の下面嵌合部52Kの下端が蓋体10の上面(上壁20)から浮いた状態となる。
【0038】
容器100の段積みは、上側の容器100を下側の容器100に対して真上から下ろして行うこともできるが、上側の容器100を下側の容器100に対してスライドさせて行うこと(所謂「スライドスタック操作」)もできる。以下、容器100のスライドスタック操作について詳説する。
【0039】
まず、作業者は、上側の容器100を、長手方向の一端部を僅かに下げた傾斜姿勢にしてその下端部を、下側の容器100の長手方向の途中部分に突き当てる。このとき、例えば、上側の容器100の一端部を下側の容器100の中央の長辺膨出部23同士が対向する部分に下ろすと、上側の容器100の下面(外側底壁52)の外縁の一端部が下側の容器100の長辺膨出部23の上部壁21Aに当接する。また、上側の容器100の下面嵌合部52Kの一端部は、対向する長辺膨出部23の間に嵌合しかつ、下側の容器100の蓋体10の上面(上壁20)から浮いた状態となる。
【0040】
そして、作業者は、上側の容器100を下側の容器100の一端側の短辺膨出部22に向けて押し、上側の容器100をスライドさせる。このとき、上側の容器100の下面嵌合部52Kの一端部が、対向する長辺膨出部23同士の間に嵌合してスライドのガイドとなるので、スライド時の横ずれが規制される。なお、上側の容器100のスライドは、上側の容器100の他端部を持ち上げた状態で行われてもよいし、上側の容器100の下面嵌合部52Kを下側の容器100の他端側の短辺膨出部22に支持させた状態でスライドさせてもよい。
【0041】
上側の容器100の一端部が、中央の長辺膨出部23の一端部に到達すると、その後、上側の容器100のうち長辺膨出部23の上部壁21Aの一端部に当接する部分が他端側へずれて、上側の容器100の一端部が下がっていく。そして、図11及び図12に示すように、上側の容器100の下面嵌合部52Kの一端部が下側の容器100の蓋体10の上面(上壁20)に当接する状態になる。
【0042】
さらに上側の容器100を一端側へスライドさせると、上側の容器100の下面外縁の一端部が一端側の長辺膨出部23の端部に当接する。そのままスライドさせると、端部壁24及び内向傾斜壁25が上方を向くように傾斜しているので、その傾斜に案内されて、上側の容器100の下面外縁の一端部が長辺膨出部23に乗り上がる(図13参照)。そして、上側の容器100の下面嵌合部52Kが一端部の長辺膨出部23同士の間に嵌合する。このとき、スライド方向がずれていて、下面嵌合部52Kの一端部が内向傾斜壁25に当接すると、内向傾斜壁25の内側に向けた傾斜によって下面嵌合部52Kが内側へ案内されて、スライド方向が修正される。
【0043】
上側の容器100をさらに奥側へスライドさせ、上側の容器100の下面嵌合部52Kの一端部が奥側の短辺膨出部22に当接したところで上側の容器100の他端部を下げると、上下の容器100が段積み状態になる。
【0044】
本実施形態の蓋体10の構成は以上である。次に、蓋体10の作用効果について説明する。上述したように、蓋体10は、上側の容器100を長手方向でスライドさせて、容器100同士を段積み可能となっている。
【0045】
ところで、上側の容器100をスライドさせる際に、下側の容器100の長辺膨出部23の端部に当接すると、その長辺膨出部23の端部が破損し蓋体10に穴が空いてしまうことが考えられる。これに対して本実施形態の蓋体10は、長辺膨出部23の端部に、上部壁21A、内側壁21B及び端部壁24に対して傾斜した内向傾斜壁25が形成されているので、長辺膨出部23の端部が角張っている場合よりも、長辺膨出部23の端部の破損が防がれる。
【0046】
さらに、内向傾斜壁25の傾斜により、上側の容器100の下面外縁の一端部が長辺膨出部23上に案内されると共に、上側の容器100の下面嵌合部52Kが対向する長辺膨出部23の間に案内されるので、容器100のスライドスタック作業がスムーズに行える。
【0047】
また、容器100の傾きや角部の丸みによっては、上側の容器100が内向傾斜壁25ではなく端部壁24に当接することも考えられるが、端部壁24も傾斜しているため、端部壁24の破損も防がれる。また、端部壁24によっても上側の容器100の下面外縁の一端部が長辺膨出部23上に案内される。しかも、内向傾斜壁25及び端部壁24は、蓋体10の上面まで延びているので、長辺膨出部23の下部で上側の容器100が当接してもその力が上方に逃げやすくなり、長辺膨出部23の破損がより防がれる。
【0048】
ところで、本実施形態の蓋体10は、ブロー成形により製造されている。ブロー成形品の場合、土手部21のように膨出している部分の角が薄くなりやすいところ、蓋体10のように、膨出している部分(長辺膨出部23)の端部に内向傾斜壁25を設けることで、容器100をスライドするとき当接しやすい端部が薄くなることが防がれ、長辺膨出部23の破損が防がれる。
【0049】
[他の実施形態]
(1)図14及び図15(丸みを省略したイメージ図)に示すように、端部壁24は、上部(図14及び図15中の「傾斜部24A」)のみが傾斜し、下部(図14及び図15中の「鉛直部24B」)は鉛直になっていてもよい。この場合、バンド(図示せず)を装着したときにそのバンドのズレが防がれる。
【0050】
(2)内向傾斜壁25全体が湾曲していてもよい。
【0051】
(3)内向傾斜壁25は、複数の面(平面であっても曲面であってもよい)から構成されていてもよい。
【0052】
(4)内向傾斜壁25の下端は、上部壁21Aと蓋体10の上面との中間の高さに位置していてもよい。つまり、長辺膨出部23の端部の下部では、内側壁21Bと端部壁24とが直接連絡されていてもよい。
【0053】
(5)土手部21の短辺部分も、複数の短辺膨出部22に分断されていてもよい。
【0054】
(6)容器100の下面全体が土手部21の内側に嵌合する構成であってもよい。
【0055】
(7)容器100の下面に下面嵌合部52Kが形成されていなくてもよい。また、容器100以外の載置物が、土手部21の内側に嵌合した状態で段積み可能であってもよい。
【0056】
(8)内向傾斜壁25は、外側壁21Cと隣接していてもよいし、外側壁21Cと隣接していなくてもよい。
【0057】
(9)長辺膨出部23及び短辺膨出部22の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、端の長辺膨出部23と短辺膨出部22とは連続していなくてもよいし、土手部21の短辺部分も複数の短辺膨出部22に分かれていてもよい。また、長辺膨出部2は、蓋体10の長手方向の中央部にのみ配されていてもよいし、端部にのみ配されていてもよい。
【0058】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0059】
10 蓋体
20 上壁
21 土手部
21A 上部壁
21B 内側壁
21C 外側壁
22 短辺膨出部(第2の膨出部)
23 長辺膨出部(第1の膨出部)
24 端部壁(一端壁、一端傾斜部)
25 内向傾斜壁
50 容器本体
52 外側底壁
52K 下面嵌合部
100 容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15