(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142445
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20230928BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01L21/306 J
H01L21/304 648G
H01L21/304 648K
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049363
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】青木 陸太
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴大
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 亨
(72)【発明者】
【氏名】続木 涼介
(72)【発明者】
【氏名】上前 昭司
【テーマコード(参考)】
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
5F043DD13
5F043EE07
5F043EE08
5F043EE28
5F043EE29
5F043EE30
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157CD34
5F157CE37
5F157CF42
5F157DB02
(57)【要約】
【課題】貯留槽に供給される成分液を速やかに制御できる。
【解決手段】基板処理装置(100)において、制御部(102)は、第1流量計(112b)の測定結果に基づいて第1成分液供給部(112)から第1配管(112a)を介して貯留槽(116)に供給された第1成分液の第1供給量を算出し、第2流量計(114b)の測定結果に基づいて第2成分液供給部(114)から第2配管を介して貯留槽(116)に供給された第2成分液の第2供給量を算出し、第1成分液供給部(112)が第1配管(112a)を介して第1成分を供給する期間および第2成分液供給部(114)が第2配管(114a)を介して第2成分を供給する期間の少なくとも一方の期間である成分液供給期間において、第1供給量および第2供給量に基づいて、第1成分液供給部(112)および第2成分液供給部(114)を制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配管を介して第1成分液を供給する第1成分液供給部と、
前記第1成分液が前記第1配管を流れる流量を測定する第1流量計と、
第2配管を介して第2成分液を供給する第2成分液供給部と、
前記第2成分液が前記第2配管を流れる流量を測定する第2流量計と、
前記第1成分液供給部から供給される前記第1成分液と、前記第2成分液供給部から供給される前記第2成分液とが混合された混合液を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽から供給された前記混合液によって基板を処理する基板処理ユニットと、
前記貯留槽内の前記混合液における対象成分の濃度を検知する濃度センサーと、
前記濃度センサーの検知結果に基づいて、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記第1流量計の測定結果に基づいて前記第1成分液供給部から前記第1配管を介して前記貯留槽に供給された前記第1成分液の第1供給量を算出し、
前記第2流量計の測定結果に基づいて前記第2成分液供給部から前記第2配管を介して前記貯留槽に供給された前記第2成分液の第2供給量を算出し、
前記第1成分液供給部が前記第1配管を介して前記第1成分液を供給する期間および前記第2成分液供給部が前記第2配管を介して前記第2成分液を供給する期間の少なくとも一方の期間である成分液供給期間において、前記第1供給量および前記第2供給量に基づいて、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する、基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記成分液供給期間において、前記第1供給量および前記第2供給量に基づいて、前記第1配管を流れる前記第1成分液の流量および前記第2配管を流れる前記第2成分液の流量の少なくとも一方を制御する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1成分液供給部は、前記第1配管を流れる前記第1成分液の流量を開度に応じて調整可能なバルブを含み、
前記第2成分液供給部は、前記第2配管を流れる前記第2成分液の流量を開度に応じて調整可能なバルブを含み、
前記制御部は、前記成分液供給期間において、前記第1供給量および前記第2供給量に基づいて、前記第1成分液供給部の前記バルブおよび前記第2成分液供給部のバルブの少なくとも一方の開度を制御する、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1成分液供給部が前記貯留槽に前記第1成分液を供給せず、かつ、前記第2成分液供給部が前記貯留槽に前記第2成分液を供給しない成分液非供給期間において、前記濃度センサーの検知結果に基づいて、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する、請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1成分液供給部が前記第1配管を介して前記第1成分液を前記貯留槽に供給する第1供給期間にわたって、前記第1供給量を算出し、
前記第2成分液供給部が前記第2配管を介して前記第2成分液を前記貯留槽に供給する第2供給期間にわたって、前記第2供給量を算出する、請求項1から4のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1供給期間が開始する前に前記第1成分液が前記第1配管を介して流れ、
前記第1供給期間が終了した後に前記第1成分液が前記第1配管を介して流れ、
前記第2供給期間が開始する前に前記第2成分液が前記第2配管を介して流れ、
前記第2供給期間が終了した後に前記第2成分液が前記第2配管を介して流れるように、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1供給期間が前記第2供給期間と同時に開始し、前記第1供給期間が前記第2供給期間と同時に終了するように、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する、請求項5または6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1成分液供給部による前記第1成分液の供給を前記第2成分液供給部による前記第2成分液の供給と同時に開始し、前記第1成分液供給部による前記第1成分液の供給を前記第2成分液供給部による前記第2成分液の供給と同時に停止するように、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する、請求項1から7のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1供給量と前記第2供給量に基づいて前記貯留槽内の前記混合液における前記対象成分の濃度を算出した算出濃度が前記濃度センサーによって検知された前記濃度との差が閾値よりも大きい場合、前記第1成分液供給部、前記第2成分液供給部および前記基板処理ユニットの駆動を停止する、請求項1から8のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記第1成分液は、フッ酸を含み、
前記第2成分液は、希釈液を含む、請求項1から9のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項11】
第1成分液供給部が第1配管を介して貯留槽に第1成分液を供給する工程と、
前記第1成分液が前記第1配管を流れる流量を測定する第1流量測定工程と、
第2成分液供給部が第2配管を介して貯留槽に第2成分液を供給する工程と、
前記第2成分液が前記第2配管を流れる流量を測定する第2流量測定工程と、
第1成分液を供給する工程において供給された前記第1成分液と、前記第2成分液を供給する工程において供給された前記第2成分液とを前記貯留槽において混合した混合液を貯留する工程と、
前記貯留槽から供給された前記混合液によって基板を基板処理ユニットで処理する工程と、
前記貯留槽内の前記混合液に含まれる対象成分の濃度を濃度センサーで検知する工程と、
前記濃度センサーの検知結果に基づいて、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する検知制御工程と、
前記第1流量測定工程の測定結果に基づいて前記第1成分液供給部が第1配管を介して前記貯留槽に供給された前記第1成分液の第1供給量を算出する工程と、
前記第2流量測定工程の測定結果に基づいて前記第2成分液供給部が第2配管を介して前記貯留槽に供給された前記第2成分液の第2供給量を算出する工程と、
前記第1成分液供給部が前記第1配管を介して前記第1成分液を供給する期間および前記第2成分液供給部が前記第2配管を介して前記第2成分液を供給する期間の少なくとも一方の期間である成分液供給期間において、前記第1供給量および前記第2供給量に基づいて、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する算出制御工程と
を包含する、基板処理方法。
【請求項12】
前記算出制御工程は、前記成分液供給期間において、前記第1供給量および前記第2供給量に基づいて、前記第1配管を流れる前記第1成分液の流量および前記第2配管を流れる前記第2成分液の流量の少なくとも一方を制御する、請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記第1成分液供給部は、前記第1配管を流れる前記第1成分液の流量を開度に応じて調整可能なバルブを含み、
前記第2成分液供給部は、前記第2配管を流れる前記第2成分液の流量を開度に応じて調整可能なバルブを含み、
前記算出制御工程は、前記成分液供給期間において、前記第1供給量および前記第2供給量に基づいて、前記第1成分液供給部の前記バルブおよび前記第2成分液供給部のバルブの少なくとも一方の開度を制御する、請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記検知制御工程は、前記第1成分液供給部が前記貯留槽に前記第1成分液を供給せず、かつ、前記第2成分液供給部が前記貯留槽に前記第2成分液を供給しない期間において、前記濃度センサーの検知結果に基づいて、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する、請求項11から13のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記第1供給量を算出する工程において、前記第1成分液供給部が前記第1配管を介して前記第1成分液を前記貯留槽に供給する第1供給期間にわたって、前記第1供給量を算出し、
前記第2供給量を算出する工程において、前記第2成分液供給部が前記第2配管を介して前記第2成分液を前記貯留槽に供給する第2供給期間にわたって、前記第2供給量を算出する、請求項11から14のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記第1供給期間の開始前に、前記第1成分液供給部が前記第1配管を介して前記第1成分液を供給する第1成分液前供給工程と、
前記第1供給期間の終了後に、前記第1成分液供給部が前記第1配管を介して前記第1成分液を供給する第1成分液後供給工程と、
前記第2供給期間の開始前に、前記第2成分液供給部が前記第2配管を介して前記第2成分液を供給する第2成分液前供給工程と、
前記第2供給期間の終了後に、前記第2成分液供給部が前記第2配管を介して前記第2成分液を供給する第2成分液後供給工程と
をさらに包含する、請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記第1供給量を算出する工程および前記第2供給量を算出する工程において、
前記第1供給期間は前記第2供給期間と同時に開始し、前記第1供給期間は前記第2供給期間と同時に終了する、請求項15または16に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記第1成分液前供給工程において前記第1成分液供給部による前記第1成分液の供給を前記第2成分液前供給工程において前記第2成分液供給部による前記第2成分液の供給と同時に開始し、
前記第1成分液後供給工程において前記第1成分液供給部による前記第1成分液の供給を前記第2成分液後供給工程において前記第2成分液供給部による前記第2成分液の供給と同時に停止する、請求項16に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記第1供給量と前記第2供給量に基づいて前記貯留槽内の前記混合液における対象成分の濃度を算出した算出濃度が前記濃度センサーによって検知された前記濃度との差が閾値よりも大きい場合、前記第1成分液供給部、前記第2成分液供給部および前記基板処理ユニットの駆動を停止する工程をさらに包含する、請求項11から18のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項20】
前記第1成分液を供給する工程において、前記第1成分液は、フッ酸を含み、
前記第2成分液を供給する工程において、前記第2成分液は、希釈液を含む、請求項11から19のいずれかに記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を処理する基板処理装置が知られている。基板処理装置は、半導体基板の処理に好適に用いられる。典型的には、基板処理装置は、処理液を用いて基板を処理する。
【0003】
例えば、処理液として複数種の成分液を混合した混合液が用いられることがある。この場合、複数の基板を均一に処理するために、混合タンク内の混合液の濃度を一定に維持することが検討されている(特許文献1)。特許文献1には、一定濃度の処理液を生成するために、フッ酸および純水混合タンクに供給する時間が同一になるように流量を制御した基板処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の基板処理装置でも、制御された流量が変動することがある。この場合、貯留槽内の混合液の濃度を適切に調整できない。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、貯留槽に供給される成分液を速やかに制御可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、第1配管を介して第1成分液を供給する第1成分液供給部と、前記第1成分液が前記第1配管を流れる流量を測定する第1流量計と、第2配管を介して第2成分液を供給する第2成分液供給部と、前記第2成分液が前記第2配管を流れる流量を測定する第2流量計と、前記第1成分液供給部から供給される前記第1成分液と、前記第2成分液供給部から供給される前記第2成分液とが混合された混合液を貯留する貯留槽と、前記貯留槽から供給された前記混合液によって基板を処理する基板処理ユニットと、前記貯留槽内の前記混合液における対象成分の濃度を検知する濃度センサーと、前記濃度センサーの検知結果に基づいて、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する制御部とを備え、前記制御部は前記第1流量計の測定結果に基づいて前記第1成分液供給部から前記第1配管を介して前記貯留槽に供給された前記第1成分液の第1供給量を算出し、前記第2流量計の測定結果に基づいて前記第2成分液供給部から前記第2配管を介して前記貯留槽に供給された前記第2成分液の第2供給量を算出し、前記第1成分液供給部が前記第1配管を介して前記第1成分液を供給する期間および前記第2成分液供給部が前記第2配管を介して前記第2成分液を供給する期間の少なくとも一方の期間である成分液供給期間において、前記第1供給量および前記第2供給量に基づいて、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する。
【0008】
ある実施形態では、前記制御部は、前記成分液供給期間において、前記第1供給量および前記第2供給量に基づいて、前記第1配管を流れる前記第1成分液の流量および前記第2配管を流れる前記第2成分液の流量の少なくとも一方を制御する。
【0009】
ある実施形態では、前記第1成分液供給部は、前記第1配管を流れる前記第1成分液の流量を開度に応じて調整可能なバルブを含み、前記第2成分液供給部は、前記第2配管を流れる前記第2成分液の流量を開度に応じて調整可能なバルブを含み、前記制御部は、前記成分液供給期間において、前記第1供給量および前記第2供給量に基づいて、前記第1成分液供給部の前記バルブおよび前記第2成分液供給部のバルブの少なくとも一方の開度を制御する。
【0010】
ある実施形態では、前記制御部は、前記第1成分液供給部が前記貯留槽に前記第1成分液を供給せず、かつ、前記第2成分液供給部が前記貯留槽に前記第2成分液を供給しない成分液非供給期間において、前記濃度センサーの検知結果に基づいて、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する。
【0011】
ある実施形態では、前記制御部は、前記第1成分液供給部が前記第1配管を介して前記第1成分液を前記貯留槽に供給する第1供給期間にわたって、前記第1供給量を算出し、前記第2成分液供給部が前記第2配管を介して前記第2成分液を前記貯留槽に供給する第2供給期間にわたって、前記第2供給量を算出する。
【0012】
ある実施形態では、前記制御部は、前記第1供給期間が開始する前に前記第1成分液が前記第1配管を介して流れ、前記第1供給期間が終了した後に前記第1成分液が前記第1配管を介して流れ、前記第2供給期間が開始する前に前記第2成分液が前記第2配管を介して流れ、前記第2供給期間が終了した後に前記第2成分液が前記第2配管を介して流れるように、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する。
【0013】
ある実施形態では、前記制御部は、前記第1供給期間が前記第2供給期間と同時に開始し、前記第1供給期間が前記第2供給期間と同時に終了するように、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する。
【0014】
ある実施形態では、前記制御部は、前記第1成分液供給部による前記第1成分液の供給を前記第2成分液供給部による前記第2成分液の供給と同時に開始し、前記第1成分液供給部による前記第1成分液の供給を前記第2成分液供給部による前記第2成分液の供給と同時に停止するように、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する。
【0015】
ある実施形態では、前記制御部は、前記第1供給量と前記第2供給量に基づいて前記貯留槽内の前記混合液における前記対象成分の濃度を算出した算出濃度が前記濃度センサーによって検知された前記濃度との差が閾値よりも大きい場合、前記第1成分液供給部、前記第2成分液供給部および前記基板処理ユニットの駆動を停止する。
【0016】
ある実施形態では、前記第1成分液は、フッ酸を含み、前記第2成分液は、希釈液を含む。
【0017】
本発明の別の局面によれば、基板処理方法は、第1成分液供給部が第1配管を介して貯留槽に第1成分液を供給する工程と、前記第1成分液が前記第1配管を流れる流量を測定する第1流量測定工程と、第2成分液供給部が第2配管を介して貯留槽に第2成分液を供給する工程と、前記第2成分液が前記第2配管を流れる流量を測定する第2流量測定工程と、第1成分液を供給する工程において供給された前記第1成分液と、前記第2成分液を供給する工程において供給された前記第2成分液とを前記貯留槽において混合した混合液を貯留する工程と、前記貯留槽から供給された前記混合液によって基板を基板処理ユニットで処理する工程と、前記貯留槽内の前記混合液に含まれる対象成分の濃度を濃度センサーで検知する工程と、前記濃度センサーの検知結果に基づいて、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する検知制御工程と、前記第1流量測定工程の測定結果に基づいて前記第1成分液供給部が第1配管を介して前記貯留槽に供給された前記第1成分液の第1供給量を算出する工程と、前記第2流量測定工程の測定結果に基づいて前記第2成分液供給部が第2配管を介して前記貯留槽に供給された前記第2成分液の第2供給量を算出する工程と、前記第1成分液供給部が前記第1配管を介して前記第1成分液を供給する期間および前記第2成分液供給部が前記第2配管を介して前記第2成分液を供給する期間の少なくとも一方の期間である成分液供給期間において、前記第1供給量および前記第2供給量に基づいて、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する算出制御工程とを包含する。
【0018】
ある実施形態では、前記算出制御工程は、前記成分液供給期間において、前記第1供給量および前記第2供給量に基づいて、前記第1配管を流れる前記第1成分液の流量および前記第2配管を流れる前記第2成分液の流量の少なくとも一方を制御する。
【0019】
ある実施形態では、前記第1成分液供給部は、前記第1配管を流れる前記第1成分液の流量を開度に応じて調整可能なバルブを含み、前記第2成分液供給部は、前記第2配管を流れる前記第2成分液の流量を開度に応じて調整可能なバルブを含み、前記算出制御工程は、前記成分液供給期間において、前記第1供給量および前記第2供給量に基づいて、前記第1成分液供給部の前記バルブおよび前記第2成分液供給部のバルブの少なくとも一方の開度を制御する。
【0020】
ある実施形態では、前記検知制御工程は、前記第1成分液供給部が前記貯留槽に前記第1成分液を供給せず、かつ、前記第2成分液供給部が前記貯留槽に前記第2成分液を供給しない期間において、前記濃度センサーの検知結果に基づいて、前記第1成分液供給部および前記第2成分液供給部を制御する。
【0021】
ある実施形態では、前記第1供給量を算出する工程において、前記第1成分液供給部が前記第1配管を介して前記第1成分液を前記貯留槽に供給する第1供給期間にわたって、前記第1供給量を算出し、前記第2供給量を算出する工程において、前記第2成分液供給部が前記第2配管を介して前記第2成分液を前記貯留槽に供給する第2供給期間にわたって、前記第2供給量を算出する。
【0022】
ある実施形態では、前記基板処理方法は、前記第1供給期間の開始前に、前記第1成分液供給部が前記第1配管を介して前記第1成分液を供給する第1成分液前供給工程と、前記第1供給期間の終了後に、前記第1成分液供給部が前記第1配管を介して前記第1成分液を供給する第1成分液後供給工程と、前記第2供給期間の開始前に、前記第2成分液供給部が前記第2配管を介して前記第2成分液を供給する第2成分液前供給工程と、前記第2供給期間の終了後に、前記第2成分液供給部が前記第2配管を介して前記第2成分液を供給する第2成分液後供給工程とをさらに包含する。
【0023】
ある実施形態では、前記第1供給量を算出する工程および前記第2供給量を算出する工程において、前記第1供給期間は前記第2供給期間と同時に開始し、前記第1供給期間は前記第2供給期間と同時に終了する。
【0024】
ある実施形態では、前記第1成分液前供給工程において前記第1成分液供給部による前記第1成分液の供給を前記第2成分液前供給工程において前記第2成分液供給部による前記第2成分液の供給と同時に開始し、前記第1成分液後供給工程において前記第1成分液供給部による前記第1成分液の供給を前記第2成分液後供給工程において前記第2成分液供給部による前記第2成分液の供給と同時に停止する。
【0025】
ある実施形態では、前記基板処理方法は、前記第1供給量と前記第2供給量に基づいて前記貯留槽内の前記混合液における対象成分の濃度を算出した算出濃度が前記濃度センサーによって検知された前記濃度との差が閾値よりも大きい場合、前記第1成分液供給部、前記第2成分液供給部および前記基板処理ユニットの駆動を停止する工程をさらに包含する。
【0026】
ある実施形態では、前記第1成分液を供給する工程において、前記第1成分液は、フッ酸を含み、前記第2成分液を供給する工程において、前記第2成分液は、希釈液を含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、貯留槽に供給される成分液を速やかに制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】本実施形態の基板処理装置における基板処理ユニットの模式図である。
【
図3】本実施形態の基板処理装置における配管構成を示す模式図である。
【
図4】本実施形態の基板処理装置のブロック図である。
【
図5】本実施形態の基板処理方法のフロー図である。
【
図6】(a)および(c)は、第1処理液および第2処理液の流量の変化を示したグラフであり、(b)は、貯留槽内の混合液の濃度の時間変化を示すグラフである。
【
図7】本実施形態の基板処理方法のフロー図である。
【
図8】(a)および(b)は、貯留槽内の混合液の濃度の時間変化を示すグラフである。
【
図9】本実施形態の基板処理装置における配管構成を示す模式図である。
【
図10】本実施形態の基板処理装置における配管構成を示す模式図である。
【
図11】(a)および(b)は、第1処理液および第2処理液の流量の変化を示したグラフである。
【
図12A】本実施形態の基板処理方法のフロー図である。
【
図12B】本実施形態の基板処理方法のフロー図である。
【
図13】本実施形態の基板処理方法のフロー図である。
【
図14】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明による基板処理装置および基板処理方法の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。典型的には、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0030】
まず、
図1を参照して、本発明による基板処理装置100の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の基板処理装置100の模式的な平面図である。
【0031】
基板処理装置100は、基板Wを処理する。基板処理装置100は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去および洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0032】
基板Wは、半導体基板として用いられる。基板Wは、半導体ウエハを含む。例えば、基板Wは略円板状である。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを一枚ずつ処理する。
【0033】
図1に示すように、基板処理装置100は、複数の基板処理ユニット10と、処理液キャビネット110と、処理液ボックス120と、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIRおよびセンターロボットCRを制御する。制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。
【0034】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと基板処理ユニット10との間で基板Wを搬送する。基板処理ユニット10の各々は、基板Wに処理液を吐出して、基板Wを処理する。処理液は、薬液、洗浄液、除去液および/または撥水剤を含む。処理液キャビネット110は、処理液を収容する。なお、処理液キャビネット110は、ガスを収容してもよい。
【0035】
具体的には、複数の基板処理ユニット10は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(
図1では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の基板処理ユニット10(
図1では3つの基板処理ユニット10)を含む。処理液ボックス120は、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。処理液キャビネット110内の液体は、いずれかの処理液ボックス120を介して、処理液ボックス120に対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理ユニット10に供給される。また、処理液キャビネット110内のガスは、いずれかの処理液ボックス120を介して、処理液ボックス120に対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理ユニット10に供給される。
【0036】
基板処理装置100において、センターロボットCRおよび基板処理ユニット10の設置された領域と、処理液キャビネット110の設置された領域との間には、境界壁が配置される。
【0037】
典型的には、処理液キャビネット110は、処理液を調製するための貯留槽(タンク)を有する。処理液キャビネット110は、一種類の処理液のための貯留槽を有してもよく、複数種類の処理液のための貯留槽を有してもよい。また、処理液キャビネット110は、処理液を流通するためのポンプ、ノズルおよび/またはフィルターを有する。
【0038】
制御装置101は、基板処理装置100の各種動作を制御する。制御装置101により、基板処理ユニット10は基板Wを処理する。
【0039】
制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。制御部102は、プロセッサーを有する。制御部102は、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、制御部102は、汎用演算機を有してもよい。
【0040】
記憶部104は、データおよびコンピュータープログラムを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容および処理手順を規定する。
【0041】
記憶部104は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部104はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部102は、記憶部104の記憶しているコンピュータープログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
【0042】
次に、
図2を参照して、本実施形態の基板処理装置100における基板処理ユニット10を説明する。
図2は、基板処理装置100における基板処理ユニット10の模式図である。
【0043】
基板処理ユニット10は、チャンバー11と、基板保持部20と、処理液供給部30とを備える。チャンバー11は、基板Wを収容する。基板保持部20は、基板Wを保持する。
【0044】
チャンバー11は、内部空間を有する略箱形状である。チャンバー11は、基板Wを収容する。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型であり、チャンバー11には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー11内に収容され、チャンバー11内で処理される。チャンバー11には、基板保持部20および処理液供給部30のそれぞれの少なくとも一部が収容される。
【0045】
基板保持部20は、基板Wを保持する。基板保持部20は、基板Wの上面(表面)Waを上方に向け、基板Wの裏面(下面)Wbを鉛直下方に向くように基板Wを水平に保持する。また、基板保持部20は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。例えば、基板Wの上面Waには、リセスの形成された積層構造が設けられている。基板保持部20は、基板Wを保持したまま基板Wを回転させる。
【0046】
例えば、基板保持部20は、基板Wの端部を挟持する挟持式であってもよい。あるいは、基板保持部20は、基板Wを裏面Wbから保持する任意の機構を有してもよい。例えば、基板保持部20は、バキューム式であってもよい。この場合、基板保持部20は、非デバイス形成面である基板Wの裏面Wbの中央部を上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持する。あるいは、基板保持部20は、複数のチャックピンを基板Wの周端面に接触させる挟持式とバキューム式とを組み合わせてもよい。
【0047】
例えば、基板保持部20は、スピンベース21と、チャック部材22と、シャフト23と、電動モーター24と、ハウジング25とを含む。チャック部材22は、スピンベース21に設けられる。チャック部材22は、基板Wをチャックする。典型的には、スピンベース21には、複数のチャック部材22が設けられる。
【0048】
シャフト23は、中空軸である。シャフト23は、回転軸Axに沿って鉛直方向に延びている。シャフト23の上端には、スピンベース21が結合されている。基板Wは、スピンベース21の上方に載置される。
【0049】
スピンベース21は、円板状であり、基板Wを水平に支持する。シャフト23は、スピンベース21の中央部から下方に延びる。電動モーター24は、シャフト23に回転力を与える。電動モーター24は、シャフト23を回転方向に回転させることにより、回転軸Axを中心に基板Wおよびスピンベース21を回転させる。ハウジング25は、シャフト23および電動モーター24を取り囲んでいる。
【0050】
処理液供給部30は、基板Wに処理液を供給する。典型的には、処理液供給部30は、基板Wの上面Waに処理液を供給する。処理液供給部30の少なくとも一部は、チャンバー11内に収容される。
【0051】
処理液供給部30は、基板Wの上面Waに処理液を供給する。処理液は、いわゆる薬液を含んでもよい。薬液は、フッ酸を含む。例えば、フッ酸は、40℃以上70℃以下に加熱されてもよく、50℃以上60℃以下に加熱されてもよい。ただし、フッ酸は、加熱されなくてもよい。また、薬液は、水または燐酸を含んでもよい。
【0052】
さらに、薬液は、過酸化水素水を含んでもよい。また、薬液は、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)または王水(濃塩酸と濃硝酸との混合物)を含んでもよい。
【0053】
または、処理液は、いわゆる洗浄液(リンス液)を含んでもよい。例えば、洗浄液は、脱イオン水(Deionized Water:DIW)、炭酸水、電解イオン水、オゾン水、アンモニア水、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水、または、還元水(水素水)のいずれかを含んでもよい。
【0054】
処理液供給部30は、配管32と、ノズル34と、バルブ36とを含む。ノズル34は基板Wの上面Waに処理液を吐出する。ノズル34は、配管32に接続される。配管32には、供給源から処理液が供給される。バルブ36は、配管32内の流路を開閉する。ノズル34は、基板Wに対して移動可能に構成されていることが好ましい。
【0055】
バルブ36は、配管32内の流路を開閉する。バルブ36は、配管32の開度を調節して、配管32に供給される処理液の流量を調整する。具体的には、バルブ36は、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。
【0056】
ノズル34は移動可能であってもよい。ノズル34は、制御部102によって制御される移動機構にしたがって水平方向および/または鉛直方向に移動できる。なお、本明細書において、図面が過度に複雑になることを避けるために移動機構を省略していることに留意されたい。
【0057】
基板処理ユニット10は、カップ80をさらに備える。カップ80は、基板Wから飛散した処理液を回収する。カップ80は昇降する。例えば、カップ80は、処理液供給部30が基板Wに処理液を供給する期間にわたって基板Wの側方にまで鉛直上方に上昇する。この場合、カップ80は、基板Wの回転によって基板Wから飛散する処理液を回収する。また、カップ80は、処理液供給部30が基板Wに処理液を供給する期間が終了すると、基板Wの側方から鉛直下方に下降する。
【0058】
上述したように、制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。制御部102は、基板保持部20、処理液供給部30および/またはカップ80を制御する。一例では、制御部102は、電動モーター24、バルブ36および/またはカップ80を制御する。
【0059】
本実施形態の基板処理装置100は、半導体の設けられた半導体素子の作製に好適に用いられる。典型的には、半導体素子において、基材の上に導電層および絶縁層が積層される。基板処理装置100は、半導体素子の製造時に、導電層および/または絶縁層の洗浄および/または加工(例えば、エッチング、特性変化等)に好適に用いられる。
【0060】
なお、
図2に示した基板処理ユニット10では、処理液供給部30は、1種類の処理液を供給可能である。ただし、本実施形態はこれに限定されない。処理液供給部30は、複数種類の処理液を供給してもよい。例えば、処理液供給部30は、用途の異なる複数種類の処理液を基板Wに順次供給可能であってもよい。あるいは、処理液供給部30は、用途の異なる複数種類の処理液を基板Wに同時に供給可能であってもよい。
【0061】
次に、
図1~
図3を参照して、本実施形態の基板処理装置100における配管構成を説明する。
図3は、本実施形態の基板処理装置100における配管構成を示す模式図である。
【0062】
図3に示すように、基板処理装置100は、第1成分液供給部112と、第2成分液供給部114と、貯留槽116と、配管117と、濃度センサー118とを備える。第1成分液供給部112、第2成分液供給部114、貯留槽116および濃度センサー118は、いずれも処理液キャビネット110内に配置される。
【0063】
第1成分液供給部112は、第1成分液を供給する。第1成分液供給部112から供給された第1成分液は、貯留槽116まで流れて貯留槽116に貯留される。
【0064】
第2成分液供給部114は、第2成分液を供給する。第2成分液供給部114から供給された第2成分液は、貯留槽116まで流れて貯留槽116に貯留される。
【0065】
貯留槽116において第1成分液および第2成分液が混合されて混合液となる。混合液は、基板処理ユニット10における処理液として用いられる。なお、混合液は、第1成分液および第2成分液が混合された状態のまま含有しなくてもよい。混合液は、第1成分液および第2成分液の混合によって反応した結果物であってもよい。
【0066】
また、第1成分液および第2成分液のうちの一方は、第1成分液および第2成分液のうちの他方に希釈されて用いられてもよい。例えば、第1成分液および第2成分液の一方は薬液であり、第1成分液および第2成分液の他方は希釈液であってもよい。
【0067】
第1成分液供給部112は、第1配管112aと、第1流量計112bと、バルブ112cとを含む。第1配管112aには、供給源から第1成分液が供給される。第1流量計112bは、第1配管112aに配置される。第1流量計112bは、第1配管112aを流れる第1成分液の流量を測定する。
【0068】
バルブ112cは、第1配管112a内の流路を開閉する。バルブ112cは、第1配管112aの開度を調節して、第1配管112aを流れる第1成分液の流量を調整する。具体的には、バルブ112cは、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。
【0069】
バルブ112cは、モーターニードルバルブであってもよい。例えば、第1流量計112bの測定結果に基づいてバルブ112cの開度を調整することによって、第1配管112aを流れる処理液の流量を調整してもよい。
【0070】
第2成分液供給部114は、第2配管114aと、第2流量計114bと、バルブ114cとを含む。第2配管114aには、供給源から第2成分液が供給される。第2流量計114bは、第2配管114aに配置される。第2流量計114bは、第2配管114aを流れる第2成分液の流量を測定する。
【0071】
バルブ114cは、第2配管114a内の流路を開閉する。バルブ114cは、第2配管114aの開度を調節して、第2配管114aを流れる処理液の流量を調整する。具体的には、バルブ114cは、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。
【0072】
バルブ114cは、モーターニードルバルブであってもよい。例えば、第2流量計114bの測定結果に基づいてバルブ114cの開度を調整することによって、第2配管114aを流れる処理液の流量を調整してもよい。
【0073】
貯留槽116には、第1配管112aを流れた第1成分液が供給される。また、貯留槽116には、第2配管114aを流れた第2成分液が供給される。このため、貯留槽116において、第1成分液および第2成分液が混合される。貯留槽116は、第1配管112aを流れた第1成分液と第2配管114aを流れた第2成分液とを混合した混合液を貯留する。
【0074】
配管117は、貯留槽116と配管32とを接続する。詳細には、配管117は、貯留槽116と配管32a~32cとを接続する。貯留槽116に貯留された混合液は、配管117および配管32を流れて基板処理ユニット10に供給される。
【0075】
濃度センサー118は、貯留槽116に貯留された混合液内の対象成分の濃度を検知する。濃度センサー118は、第1成分液内の所定成分の濃度を検知してもよい。または、濃度センサー118は、第2成分液内の所定成分の濃度を検知してもよい。あるいは、濃度センサー118は、混合液内における対象成分の濃度を検知してもよい。一例では、濃度センサー118は、第1成分液および第2成分液の混合によって新たに生成される対象成分の濃度を検知してもよい。なお、本明細書において、混合液内における対象成分の濃度を単に「混合液の濃度」と記載することがある。
【0076】
基板処理ユニット10は、基板処理ユニット10a~10cを含む。典型的には、基板処理ユニット10a~10cは、同一の形状および同一の機能を有する。基板処理ユニット10aは、処理液供給部30aを有する。
図2に示したように、処理液供給部30aは、配管32aと、ノズル34aと、バルブ36aとを含む。ノズル34aは基板Wの上面Waに処理液を吐出する。ノズル34aは、配管32aに接続される。配管32aには、供給源から処理液が供給される。バルブ36aは、配管32a内の流路を開閉する。ノズル34aは、基板Wに対して移動可能に構成されていることが好ましい。
【0077】
同様に、基板処理ユニット10bは、処理液供給部30bを有する。処理液供給部30bは、配管32bと、ノズル34bと、バルブ36bとを含む。また、基板処理ユニット10cは、処理液供給部30cを有する。処理液供給部30cは、配管32cと、ノズル34cと、バルブ36cとを含む。
【0078】
本実施形態の基板処理装置100では、第1配管112aを流れる第1成分液の流量を検知する第1流量計112bの測定結果から貯留槽116に供給された第1成分液の供給量を算出し、第2配管114aを流れる第2成分液の流量を検知する第2流量計114bの測定結果から貯留槽116に供給された第2成分液の供給量を算出する。このため、濃度センサー118が貯留槽116の混合液の濃度を検知するよりも前に、第1配管112aを流れる第1成分液の供給量および第2配管114aを流れる第2成分液の供給量に基づいて、第1成分液供給部112および第2成分液供給部114を制御できる。また、仮に、濃度センサー118が故障しても、貯留槽116内の混合液の濃度が意図に反して制御されることを抑制できる。
【0079】
また、基板処理装置100では、貯留槽116において、第1成分液および第2成分液が混合した混合液を処理液として基板処理ユニット10に供給できる。
【0080】
本実施形態の基板処理装置100は、半導体の設けられた半導体素子の作製に好適に用いられる。典型的には、半導体素子において、基材の上に導電層および絶縁層が積層される。基板処理装置100は、半導体素子の製造時に、導電層および/または絶縁層の洗浄および/または加工(例えば、エッチング、特性変化等)に好適に用いられる。
【0081】
次に、
図1~
図4を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図4は、基板処理装置100のブロック図である。
【0082】
図4に示すように、制御装置101は、基板処理装置100の各種動作を制御する。制御装置101は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部20、処理液供給部30およびカップ80を制御する。具体的には、制御装置101は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部20、処理液供給部30およびカップ80に制御信号を送信することによって、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持部20、処理液供給部30およびカップ80を制御する。
【0083】
また、記憶部104は、コンピュータープログラムおよびデータを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容、処理手順および基板処理条件を規定する。制御部102は、記憶部104の記憶しているコンピュータープログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
【0084】
制御部102は、インデクサーロボットIRを制御して、インデクサーロボットIRによって基板Wを受け渡しする。
【0085】
制御部102は、センターロボットCRを制御して、センターロボットCRによって基板Wを受け渡しする。例えば、センターロボットCRは、未処理の基板Wを受け取って、複数のチャンバー11のうちのいずれかに基板Wを搬入する。また、センターロボットCRは、処理された基板Wをチャンバー11から受け取って、基板Wを搬出する。
【0086】
制御部102は、基板保持部20を制御して、基板Wの回転の開始、回転速度の変更および基板Wの回転の停止を制御する。例えば、制御部102は、基板保持部20を制御して、基板保持部20の回転速度を変更することができる。具体的には、制御部102は、基板保持部20の電動モーター24の回転速度を変更することによって、基板Wの回転速度を変更できる。
【0087】
制御部102は、処理液供給部30のバルブ36を制御して、バルブ36の状態を開状態と閉状態とに切り替えることができる。具体的には、制御部102は、処理液供給部30のバルブ36を制御して、バルブ36を開状態にすることによって、ノズル34に向かって配管32内を流れる処理液を通過させることができる。また、制御部102は、処理液供給部30のバルブ36を制御して、バルブ36を閉状態にすることによって、ノズル34に向かって配管32内を流れる処理液の供給を停止させることができる。
【0088】
制御部102は、カップ80を制御して基板Wに対してカップ80を移動させてもよい。具体的には、制御部102は、処理液供給部30が基板Wに処理液を供給する期間にわたって基板Wの側方にまで鉛直上方にカップ80を上昇させる。また、制御部102は、処理液供給部30が基板Wに処理液を供給する期間が終了すると、基板Wの側方から鉛直下方にカップ80を下降させる。
【0089】
コンピュータープログラムの実行により、制御部102は、第1供給量算出部102aおよび第2供給量算出部102bとして機能する。第1供給量算出部102aは、第1流量計112bの測定結果から、第1配管112aを流れて貯留槽116に供給される第1処理液の供給量を算出する。第2供給量算出部102bは、第2流量計114bの測定結果から、第2配管114aを流れて貯留槽116に供給される第2処理液の供給量を算出する。このため、制御部102は、第1供給量算出部102aおよび第2供給量算出部102bを備える。
【0090】
本実施形態の基板処理装置100は、半導体素子を形成するために好適に用いられる。例えば、基板処理装置100は、積層構造の半導体素子として用いられる基板Wを処理するために好適に利用される。半導体素子は、いわゆる3D構造のメモリ(記憶装置)である。一例として、基板Wは、NAND型フラッシュメモリとして好適に用いられる。
【0091】
次に、
図1~
図5を参照して、本実施形態の基板処理方法を説明する。
図5は、本実施形態の基板処理方法のフロー図である。
【0092】
図5に示すように、ステップS110において、第1成分液および第2成分液の供給を開始する。ここでは、第1成分液供給部112は、第1配管112aを介して貯留槽116への第1成分液の供給を開始する。また、第2成分液供給部114は、第2配管114aを介して貯留槽116への第2成分液の供給を開始する。
【0093】
制御部102は、バルブ112cおよびバルブ114cを開くように第1成分液供給部112および第2成分液供給部114を制御する。なお、第1成分液供給部112において貯留槽116に供給する予定の第1成分液の供給量、第2成分液供給部114において貯留槽116に供給する予定の第2成分液の供給量、ならびに、貯留槽116に供給される混合液の液量および濃度があらかじめ設定されていることが好ましい。
【0094】
なお、第1成分液供給部112が第1成分液の供給を開始するタイミングは、第2成分液供給部114が第2成分液の供給を開始するタイミングと同じであっても、異なってもよい。また、第1成分液供給部112が第1成分液の供給を開始するタイミングは、第2成分液供給部114が第2成分液の供給を開始するタイミングよりも早くても、遅くてもよい。
【0095】
ステップS120において、第1成分液および第2成分液の流量を測定する。第1流量計112bは、第1配管112aを流れる第1成分液の流量を測定する。第2流量計114bは、第2配管114aを流れる第2成分液の流量を測定する。
【0096】
ステップS130において、第1成分液の供給量および第2成分液の供給量を算出する。第1供給量算出部102aは、第1成分液の流量の測定結果に基づいて、第1成分液の供給量を算出する。第2供給量算出部102bは、第2成分液の流量の測定結果に基づいて、第2成分液の供給量を算出する。
【0097】
ステップS140において、第1成分液の供給量および第2成分液の供給量に基づいて、第1成分液供給部112および/または第2成分液供給部114を制御する。制御部102は、第1成分液の供給量および第2成分液の供給量に基づいて、第1成分液供給部112からの第1成分液の供給および/または第2成分液供給部114からの第2成分液の供給を制御する。
【0098】
例えば、第1成分液供給部112および第2成分液供給部114の少なくとも一方により、第1成分液の流量および/または第2成分液の流量を調整する。制御部102は、第1成分液の供給量および第2成分液の供給量に基づいて、第1成分液の流量および/または第2成分液の流量を制御する。
【0099】
一例では、第2成分液の供給量に対して第1成分液の供給量が比較的少ない場合、制御部102は、第1成分液の流量が増加するか、および/または、第2成分液の流量が低下するように第1成分液供給部112および第2成分液供給部114の少なくとも一方を制御する。例えば、制御部102は、第1成分液供給部112のバルブ112cの開度を増やすか、および/または、第2成分液供給部114のバルブ114cの開度を減らす。または、制御部102は、第1成分液を供給する時間を延長するか、および/または、第2成分液を供給する時間を短縮するように第1成分液供給部112および第2成分液供給部114の少なくとも一方を制御する。例えば、制御部102は、第1成分液供給部112のバルブ112cが開いている時間を増加するか、および/または、第2成分液供給部114のバルブ114cが開いている時間を減らす。もちろん、制御部102は、第1成分液供給部112の流量および供給時間、第2成分液供給部114の流量および供給時間のいずれかを調整してもよい。
【0100】
または、第2成分液の供給量に対して第1成分液の供給量が比較的多い場合、制御部102は、第1成分液の流量が低下するか、および/または、第2成分液の流量が増加するように第1成分液供給部112および第2成分液供給部114の少なくとも一方を制御する。例えば、制御部102は、第1成分液供給部112のバルブ112cの開度を減らすか、および/または、第2成分液供給部114のバルブ114cの開度を増やす。または、制御部102は、第1成分液を供給する時間を短縮するか、および/または、第2成分液を供給する時間を増加するように第1成分液供給部112および第2成分液供給部114の少なくとも一方を制御する。例えば、制御部102は、第1成分液供給部112のバルブ112cが開いている時間を減らすか、および/または、第2成分液供給部114のバルブ114cが開いている時間を増やす。この場合も、制御部102は、第1成分液供給部112の流量および供給時間、第2成分液供給部114の流量および供給時間のいずれかを調整してもよい。
【0101】
あるいは、第1成分液の供給量および第2成分液の供給量の比率を所定の範囲内に調整できない場合、制御部102は、第1成分液供給部112、第2成分液供給部114および基板処理ユニット10の駆動を停止する。
【0102】
このように、ステップS140では、算出された第1供給量および第2供給量に基づいて第1成分液供給部112および第2成分液供給部114を制御する。本明細書においてこのような制御を算出制御工程と記載することがある。
【0103】
ステップS150において、貯留槽116への成分液の供給を完了するか否かを判定する。例えば、液量検知センサー(図示せず)が、貯留槽116内の混合液の液量を検知する。液量検知センサーは、液面センサーを含む。検知した液量が閾値よりも大きい場合、制御部102は、貯留槽116への成分液の供給を完了すると判定する。一方、検知した液量が閾値以下の場合、制御部102は、貯留槽116への成分液の供給を継続すると判定する。
【0104】
貯留槽116への成分液の供給を完了する場合(ステップS150においてYes)、処理は、ステップS160に進む。一方、貯留槽116への成分液の供給を完了しない場合(ステップS150おいてNo)、処理は、ステップS140に戻る。この場合、貯留槽116への成分液の供給が完了するまで、第1成分液の供給量および第2成分液の供給量に基づいて、第1成分液供給部112および/または第2成分液供給部114を制御する。
【0105】
ステップS160において、第1成分液および第2成分液の供給を停止する。ここでは、第1成分液供給部112は、第1配管112aを介して貯留槽116への第1成分液の供給を停止する。また、第2成分液供給部114は、第2配管114aを介して貯留槽116への第2成分液の供給を停止する。
【0106】
なお、第1成分液供給部112が第1成分液の供給を停止するタイミングは、第2成分液供給部114が第2成分液の供給を停止するタイミングと同じであっても、異なってもよい。また、第1成分液供給部112が第1成分液の供給を停止するタイミングは、第2成分液供給部114が第2成分液の供給を停止するタイミングよりも早くても、遅くてもよい。
【0107】
ステップS170において、基板Wの処理を開始する。基板処理ユニット10は、貯留槽116において第1成分液および第2成分液が混合された混合液を用いて基板Wの処理を開始する。処理は、ステップS172に進む。
【0108】
ステップS172において、貯留槽116内の混合液の液量が閾値よりも多いか否かを判定する。液量検知センサーが、貯留槽116内の混合液の液量を検知する。制御部102は、貯留槽116内の混合液の液量と閾値とを比較する。
【0109】
混合液の液量が閾値よりも大きい場合(ステップS172においてYes)、処理は、ステップS180に進む。一方、混合液の液量が閾値以下である場合(ステップS172においてNo)、処理は、ステップS110に戻る。このとき、制御部102は、貯留槽116に新たに供給される混合液の液量および濃度を設定することが好ましい。
【0110】
ステップS180において、貯留槽116内の混合液の濃度を検知する。濃度センサー118は、貯留槽116に貯留された混合液内の対象成分の濃度を検知する。
【0111】
ステップS182において、混合液の濃度が許容範囲にあるか否かを判定する。制御部102は、対象成分の濃度と記憶部104に記憶された許容範囲とを比較する。
【0112】
混合液の濃度が許容範囲内にない場合(ステップS182においてNo)、処理は、終了する。この場合、制御部102は、第1成分液供給部112、第2成分液供給部114および基板処理ユニット10の駆動を停止する。
【0113】
混合液の濃度が許容範囲内にある場合(ステップS182においてYes)、処理は、ステップS184に進む。
【0114】
ステップS184において、貯留槽116内の混合液の濃度を調整するか否かを判定する。制御部102は、混合液内の対象成分の濃度が正常範囲内にあるか否か判定することによって貯留槽116内の混合液の濃度を調整するか否かを判定する。例えば、対象成分の濃度が正常範囲内にある場合、制御部102は、貯留槽116内の混合液の濃度を調整しないと判定する。混合液の濃度が正常範囲内にない場合、制御部102は、貯留槽116内の混合液の濃度を調整すると判定する。
【0115】
対象成分の濃度を調整しないと判定される場合(ステップS184においてNo)、処理は、ステップS190に進む。一方、混合液の濃度を調整すると判定される場合(ステップS184においてYes)、処理は、ステップS110に戻る。このとき、制御部102は、貯留槽116に新たに供給される混合液の液量および濃度を算出することが好ましい。
【0116】
なお、ステップS182およびステップS184では、濃度センサー118によって測定された濃度に基づいて第1成分液供給部112、第2成分液供給部114を含む基板処理装置100を制御する。本明細書において、このように濃度センサー118によって測定された濃度を利用して制御する工程を検知制御工程と記載することがある。
【0117】
ステップS190において、基板処理を終了するか否かを判定する。基板処理を終了しない場合(ステップS190おいてNo)、処理は、ステップS180に戻る。その後、ステップS180において混合液の濃度を検知する。ここでは、基板処理が終了するまで、混合液の濃度が許容範囲か、および、混合液の濃度を調整するかを繰り返し判定する。一方、基板処理を終了する場合(ステップS190においてYes)、処理は、終了する。
【0118】
以上のようにして、本実施形態では、第1成分液および第2成分液を混合した混合液を処理液として基板Wを処理する。本実施形態では、第1成分液および第2成分液が貯留槽116に供給される間、第1成分液の流量および/または第2成分液の流量を制御する。このため、第1成分液および第2成分液が貯留槽116において混合されて、混合液に対する第1成分液または第2成分液における対象成分の濃度が濃度センサー118に検知される前に、第1成分液供給部112および第2成分液供給部114を制御できる。また、第1成分液および第2成分液が貯留槽116に供給されない期間では、濃度センサー118において検知された濃度に基づいて第1成分液供給部112および第2成分液供給部114を制御する。これにより、高精度に第1成分液供給部112および第2成分液供給部114を制御できる。
【0119】
次に、
図1~
図6を参照して、本実施形態の基板処理装置100における配管構成を説明する。
図6(a)および
図6(c)は、第1処理液の流量および第2処理液の流量の時間変化を示したグラフであり、
図6(b)は、貯留槽116内の混合液の濃度の時間変化を示すグラフである。
【0120】
図6(a)において、第1流量計112bは、第1成分液の流量Vaを測定する。ここでは、説明が過度に複雑化することを避けるために、バルブ112cの開閉に応じて第1成分液の流量Vaはパルス状に変化している。この場合、時間Ta1においてバルブ112cを開くと、第1成分液が第1配管112aを流れ始め、第1成分液の流量Vaが増加する。
【0121】
一方、時間Ta2においてバルブ112cを閉じると、第1配管112a内の第1成分液の流れが停まり、第1成分液の流量Vaは低下する。このように、第1成分液は、時間Ta1から時間Ta2までの第1供給期間Paにわたって第1配管112aを流れる。
【0122】
制御部102は、第1成分液の流量Vaの時間変化に基づいて、第1成分液の供給量Saを算出する。本明細書において、第1成分液の供給量を第1供給量Saと記載することがある。第1供給量算出部102aは、第1成分液の流量Vaの時間変化に基づいて、第1供給量Saを算出する。第1供給量算出部102aは、第1成分液の流量Vaの時間変化を積分することによって第1供給量Saを算出できる。例えば、第1供給量算出部102aは、第1成分液の流量Vaを積算することによって第1供給量Saを算出できる。
【0123】
同様に、第2流量計114bは、第2成分液の流量Vbを測定する。ここでは、説明が過度に複雑化することを避けるために、バルブ114cの開閉に応じて第2成分液の流量Vbはパルス状に変化している。この場合、時間Tb1においてバルブ114cを開くと、第2成分液が第2配管114aを流れ始め、第2成分液の流量Vbが増加する。
【0124】
一方、時間Tb2においてバルブ114cを閉じると、第2配管114a内の第2成分液の流れが停まり、第2成分液の流量Vbは低下する。このように、第2成分液は、時間Tb1から時間Tb2までの第2供給期間Pbにわたって第2配管114aを流れる。
【0125】
制御部102は、第2成分液の流量Vbの時間変化に基づいて、第2成分液の供給量Sbを算出する。本明細書において、第2成分液の供給量を第2供給量Sbと記載することがある。第2供給量算出部102bは、第2成分液の流量Vbの時間変化に基づいて、第2供給量Sbを算出する。第2供給量算出部102bは、第2成分液の流量Vbの時間変化を積分することによって第2供給量Sbを算出できる。例えば、第2供給量算出部102bは、第2成分液の流量Vbを積算することによって第2供給量Sbを算出できる。
【0126】
成分液供給期間P1は、第1供給期間Paおよび第2供給期間Pbを含む。成分液供給期間P1は、第1成分液および第2成分液が貯留槽116に供給される期間である。ここでは、成分液供給期間P1は、第1成分液および第2成分液のうちの一方が貯留槽116に供給されてから、第1成分液および第2成分液のうちの他方が貯留槽116に供給されるまでの期間を示す。なお、成分液供給期間P1は、第1成分液が貯留槽116に供給される期間と第2成分液が貯留槽116に供給される期間との間に第1成分液および第2成分液のいずれも貯留槽116に供給されない期間を含んでもよい。また、成分液供給期間P1は、第1成分液および第2成分液のうちの一方が貯留槽116に供給された後で第1成分液および第2成分液のいずれも貯留槽116に供給されない期間を含んでもよい。
【0127】
なお、成分液供給期間P1において貯留槽116には、第1成分液および第2成分液の少なくとも一方が供給される。このため、成分液供給期間P1において貯留槽116内の混合液の濃度および液量の少なくとも一方が変動する。
【0128】
成分液非供給期間P2は、第1成分液および第2成分液のいずれも貯留槽116に供給されない期間である。典型的には、成分液非供給期間P2は、第1供給期間Paおよび第2供給期間Pbのうちの遅く終了する方が終了した後にすぐに開始してもよい。ただし、成分液非供給期間P2は、第1供給期間Paおよび第2供給期間Pbのうちの遅く終了する方が終了した後から、所定期間経過した後に開始してもよい。
【0129】
なお、第1供給量算出部102aおよび第2供給量算出部102bは、成分液供給期間P1において第1供給量および第2供給量を算出できる。このため、制御部102は、成分液供給期間P1において、第1供給量および第2供給量に基づいて第1成分液供給部112および第2成分液供給部114を制御できる。例えば、第1供給量および第2供給量の割合が所定の値よりもずれた場合、制御部102は、成分液供給期間P1において、第1供給量および第2供給量に基づいて第1成分液供給部112および第2成分液供給部114を制御できる。
【0130】
図6(b)は、貯留槽116内の混合液の濃度を濃度センサー118で測定した測定結果の時間変化を示す。濃度センサー118に測定された濃度は、成分液供給期間P1ではなく成分液非供給期間P2に変化する。
【0131】
図6(a)と
図6(b)との比較から理解されるように、濃度センサー118は、貯留槽116内の混合液の濃度を測定する。典型的には、第1配管112aにおける第1流量計112bから貯留槽116まで所定の距離があり、第2配管114aにおける第2流量計114bから貯留槽116まで所定の距離がある。また、貯留槽116において第1成分液および第2成分液が混合された後で、混合液の濃度が濃度センサー118に測定されるまでにタイムラグがある。このため、第1供給量および第2供給量を利用することにより、貯留槽116内の混合液の状況を、濃度センサー118によって測定するよりも早く取得できる。
【0132】
なお、
図6(a)では、第1供給期間Paおよび第2供給期間Pbは重なっていないが、本実施形態はこれに限定されない。
【0133】
図6(c)に示すように、第1供給期間Paおよび第2供給期間Pbは重なってもよい。例えば、第1供給期間Paは、第2供給期間Pbと同じタイミングで開始し、第2供給期間Pbと同じタイミングで終了してもよい。この場合、時間Tc1においてバルブ112cを開くと、第1成分液が第1配管112aを流れ始め、第1成分液の流量Vaが増加する。また、時間Tc1においてバルブ112cとともにバルブ114cを開くと、第2成分液が第2配管114aを流れ始め、第2成分液の流量Vbが増加する。
【0134】
一方、時間Tc2においてバルブ112cを閉じると、第1配管112a内の第1成分液の流れが停まり、第1成分液の流量Vaは低下する。また、時間Tc2においてバルブ112cとともにバルブ114cを閉じると、第2配管114a内の第2成分液の流れが停まり、第2成分液の流量Vbは低下する。
【0135】
なお、
図1~
図6を参照した説明では、制御部102は、主として、第1成分液の供給量および第2成分液の供給量に基づいて、第1成分液供給部112および第2成分液供給部114を制御したが、本実施形態はこれに限定されない。制御部102は、貯留槽116内に貯留された混合液の液量および濃度、第1成分液の供給量、第2成分液の供給量に基づいて、混合液の濃度を算出してもよい。
【0136】
次に、
図1~
図7を参照して、本実施形態の基板処理装置100における配管構成を説明する。
図7は、本実施形態の基板処理方法のフロー図である。なお、
図7のフロー図は、第1成分液の供給量および第2成分液の供給量から混合液の濃度を算出する点を除いて、
図5に示したフロー図と同様であり、冗長を避ける目的で重複する説明を省略する。
【0137】
図7に示すように、ステップS110~ステップS130は、
図5のステップS110~ステップS130と同様である。ステップS130の後、処理は、ステップS132に進む。
【0138】
ステップS132において、混合液の濃度を算出する。制御部102は、第1供給量および第2供給量に基づいて、貯留槽116に追加される混合液の濃度を算出してもよい。第1供給量算出部102aによって算出された第1供給量、および、第2供給量算出部102bによって算出された第2供給量から、新たに追加される混合液の濃度を算出できる。本明細書において、新たに追加される混合液の濃度を追加算出濃度と記載することがある。
【0139】
あるいは、制御部102は、貯留槽116に追加される混合液の濃度(追加算出濃度)および液量に加えて、現在の貯留槽116内の混合液の濃度および液量に基づいて、今回の混合液を追加した後の貯留槽116内の混合液の濃度を算出してもよい。次に、処理は、ステップS140に進む。ステップS140以降は、
図5のステップS140以降と同様である。
【0140】
本実施形態では、制御部102は、第1供給量算出部102aによって算出された第1供給量、および、第2供給量算出部102bによって算出された第2供給量に基づいて、貯留槽116に追加される混合液または貯留槽116に追加された後の混合液の濃度を算出できる。これにより、貯留槽116内の混合液を制御する濃度の基準を利用して、混合液を調整できる。
【0141】
次に、
図1~
図8を参照して、本実施形態の基板処理装置100における配管構成を説明する。
図8(a)および
図8(b)は、貯留槽116内の混合液の濃度の時間変化を示すグラフである。
【0142】
図8(a)に示すように、濃度は、目標値Gvに設定される。理想的には、成分液供給期間P1において、濃度は目標値Gvに維持される。ただし、実際には、濃度は、目標値Gvに対して若干変動することが多い。なお、成分液供給期間P1において、目標値Gv自体が変化してもよい。
【0143】
混合液の濃度には、許容範囲が設定されている。ここでは、許容範囲は、下限閾値Th1から上限閾値Th2内である。混合液の濃度が下限閾値Th1よりも低い場合、制御部102は、混合液の濃度を異常と判断して基板処理装置100の駆動を停止する。また、混合液の濃度が上限閾値Th2以上である場合も、制御部102は、混合液の濃度を異常と判断して基板処理装置100の駆動を停止する。反対に、濃度が許容範囲内である場合(すなわち、濃度が、下限閾値Th1以上であり上限閾値Th2よりも小さい場合)、制御部102は、基板処理装置100の駆動を継続する。
【0144】
例えば、下限閾値Th1および上限閾値Th2は、目標値Gvに対して所定の値だけシフトした値として設定されてもよい。
【0145】
また、濃度には、正常範囲が設定されている。ここでは、正常範囲は、下限閾値Thaから上限閾値Thb内である。濃度が下限閾値Thaよりも低い場合、制御部102は、濃度が上昇するように基板処理装置100を駆動する。また、濃度が上限閾値Thb以上である場合、制御部102は、濃度が低下するように基板処理装置100を駆動する。
【0146】
例えば、下限閾値Thaおよび上限閾値Thbは、目標値Gvに対して所定の値だけシフトした値として設定されてもよい。
【0147】
貯留槽116に供給される第1成分液および第2成分液の流量が変動すると、貯留槽116内の混合液の濃度が変動する。例えば、混合液の濃度が下限閾値Thaよりも低下すると、制御部102は、バルブ112cの開度を変更して、混合液の濃度を増加させる。一方、混合液の濃度が上限閾値Thb以上になると、制御部102は、バルブ112cの開度を変更して、混合液の濃度を低下させる。
【0148】
例えば、混合液の濃度が下限閾値Thaよりも低くなると、制御部102は、第1配管112aの開度が増加するようにバルブ112cを制御する。また、濃度が上限閾値Thb以上になると、制御部102は、第1配管112aの開度が低下するようにバルブ112cを制御する。なお、バルブ112cの開度を増加した結果、濃度が目標値Gvに戻る場合、制御部102は、バルブ112cの開度を戻すようにバルブ112cを制御してもよい。
【0149】
図8(b)に、追加算出濃度Caを濃度センサー118によって測定された濃度Csと併せて示す。上述したように、追加算出濃度Caは、新たに追加される混合液の濃度を示す。追加算出濃度Caは、濃度センサー118によって測定された濃度Csよりも時間的に早く変動する。このため、追加算出濃度Caにより、貯留槽116に供給される混合液の状況を速やかに把握できる。
【0150】
また、本実施形態によれば、仮に、第1供給量算出部102aによって算出された第1供給量、および、第2供給量算出部102bによって算出された第2供給量から算出された濃度が、追加算出濃度Ca1に示すように上限閾値Th2を超えた場合、速やかに第1成分液供給部112、第2成分液供給部114および基板処理ユニット10の駆動を停止できる。これにより、基板処理装置100におけるトラブルの発生を抑制できる。
【0151】
なお、第1供給量と第2供給量を利用して貯留槽116内の混合液における対象成分の濃度を算出する場合、算出した濃度(算出濃度)は、濃度センサー118によって検知された濃度(検知濃度)と比較することが好ましい。例えば、算出濃度と検知濃度との差が閾値よりも大きい場合、制御部102は、第1成分液供給部112、第2成分液供給部114および基板処理ユニット10の駆動を停止してもよい。
【0152】
なお、
図3に示した基板処理装置100では、第1配管112aおよび第2配管114aは互いに分離されていたが、本実施形態はこれに限定されない。第1配管112aは第2配管114aと接続してもよい。また、
図3に示した基板処理装置100では、貯留槽116の混合液は、循環経路において循環されてもよい。
【0153】
次に、
図1~
図9を参照して、本実施形態の基板処理装置100における配管構成を説明する。
図9は、本実施形態の基板処理装置100における配管構成を示す模式図である。
図9の基板処理装置100は、主に、第1成分液供給部112および第2成分液供給部114がそれぞれ2種のバルブを有すること、第1配管112aが第2配管114aと接続すること、濃度センサー118が循環流路に配置されていること、貯留槽116の混合液が循環可能であること、および、処理液供給部が流量計をさらに備えるとともにバルブ36が2種のバルブを有することを除いて、
図3に示した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避ける目的で重複する説明を省略する。
【0154】
図9に示すように、基板処理装置100は、第1成分液供給部112、第2成分液供給部114、貯留槽116および濃度センサー118を有する。ここでは、第1成分液供給部112は、フッ酸を供給する。また、第2成分液供給部114は、希釈液を供給する。例えば、希釈液は、水または脱イオン水(Deionized Water:DIW)を含む。
【0155】
第1成分液供給部112は、第1配管112aと、第1流量計112bと、バルブ112cとを含む。第2成分液供給部114は、第2配管114aと、第2流量計114bと、バルブ114cとを含む。
【0156】
バルブ112cは、供給バルブ112c1と、流量調整バルブ112c2とを含む。供給バルブ112c1および流量調整バルブ112c2は、第1配管112aに配置される。供給バルブ112c1は、第1配管112aを開放または閉塞して、貯留槽116に対する第1成分液の供給開始と供給停止とを切り替える。供給バルブ112c1は、例えば、リリーフバルブである。
【0157】
流量調整バルブ112c2は、第1配管112aを流れる第1成分液の流量を調整する。流量調整バルブ112c2は、例えば、モーターニードルバルブである。
【0158】
バルブ114cは、供給バルブ114c1と、流量調整バルブ114c2とを含む。供給バルブ114c1および流量調整バルブ114c2は、第2配管114aに配置される。供給バルブ114c1は、第2配管114aを開放または閉塞して、貯留槽116に対する第2成分液の供給開始と供給停止とを切り替える。供給バルブ114c1は、例えば、リリーフバルブである。
【0159】
流量調整バルブ114c2は、第2配管114aを流れる第2成分液の流量を調整する。流量調整バルブ114c2は、例えば、モーターニードルバルブである。
【0160】
基板処理装置100は、第1配管112aおよび第2配管114aと接続する配管113を有する。配管113は、第1配管112aの一端および第2配管114aの一端と接続する。第1配管112aおよび第2配管114aは、配管113の一端と接続する。
【0161】
配管113には、第1成分液、第2成分液および混合液のいずれかが流れる。例えば、バルブ112cを開いてバルブ114cを閉じた場合、配管113には第1成分液が流れる。または、バルブ112cを閉じてバルブ114cを開いた場合、配管113には第2成分液が流れる。あるいは、バルブ112cおよびバルブ114cの両方を開いた場合、配管113には混合液が流れる。
【0162】
第1成分液は、第1配管112aおよび配管113を介して貯留槽116に流れる。第2成分液は、第2配管114aおよび配管113を介して貯留槽116に流れる。なお、第1成分液および第2成分液が同時に配管113を流れる場合、第1配管112aを流れた第1成分液および第2配管114aを流れた第2成分液は、配管113において混合される。
【0163】
基板処理装置100では、貯留槽116の混合液が循環経路において循環できる。配管117の一端は、貯留槽116と接続し、配管117の他端は、貯留槽116と接続する。これにより、貯留槽116の混合液は、配管117を介して循環できる。貯留槽116の混合液が循環することにより、濃度センサー118は、混合液の濃度を安定的に測定できる。濃度センサー118は、循環流路に配置される。
【0164】
処理液供給部30は、配管32、ノズル34およびバルブ36に加えて流量計38を備える。詳細には、処理液供給部30aは、配管32a、ノズル34aおよびバルブ36aに加えて流量計38aを備える。処理液供給部30bは、配管32b、ノズル34bおよびバルブ36bに加えて流量計38bを備える。処理液供給部30cは、配管32c、ノズル34cおよびバルブ36cに加えて流量計38cを備える。
【0165】
バルブ36aは、供給バルブ36a1と、流量調整バルブ36a2とを含む。供給バルブ36a1および流量調整バルブ36a2は、配管32aに配置される。供給バルブ36a1は、配管32aを開放または閉塞して、貯留槽116に対する第1成分液の供給開始と供給停止とを切り替える。供給バルブ36a1は、例えば、リリーフバルブである。流量調整バルブ36a2は、配管32aを流れる第1成分液の流量を調整する。流量調整バルブ36a2は、例えば、モーターニードルバルブである。
【0166】
同様に、バルブ36bは、供給バルブ36b1と、流量調整バルブ36b2とを含む。また、バルブ36cは、供給バルブ36c1と、流量調整バルブ36c2とを含む。
【0167】
なお、
図4および
図9に示した基板処理装置100では、第1配管112aを流れる第1処理液および第2配管114aを流れる第2処理液は、すべて貯留槽116に供給されたが、本実施形態はこれに限定されない。第1配管112aを流れる第1処理液および第2配管114aを流れる第2処理液は、選択的に貯留槽116に供給されずに廃棄されてもよい。
【0168】
次に、
図1~
図10を参照して、本実施形態の基板処理装置100における配管構成を説明する。
図10は、本実施形態の基板処理装置100における配管構成を示す模式図である。なお、
図10の基板処理装置100は、第1成分液、第2成分液および混合液を廃棄するための廃液機構をさらに備える点を除いて、
図9に示した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避ける目的で重複する説明を省略する。
【0169】
図10に示すように、基板処理装置100は、第1成分液供給部112、第2成分液供給部114、貯留槽116、配管117および濃度センサー118に加えて、廃液槽119をさらに備える。廃液槽119は、処理液キャビネット110内に配置される。
【0170】
廃液槽119には、第1成分液供給部112から第1成分液が流入し、第2成分液供給部114から第2成分液が流入する。
【0171】
配管113は、第1配管112aと第2配管114aとの接続点と貯留槽116とを連絡する。配管113にはバルブ113aが配置される。バルブ113aは、配管113内の流路を開閉する。バルブ113aは、配管113の開度を調節して、配管113を流れる第1成分液、第2成分液および混合液のいずれかの流量を調整する。
【0172】
配管113には、配管113dが接続される。配管113と配管113dとの接続箇所は、バルブ113aよりも上流側に位置する。配管113dは、配管113と廃液槽119とを連絡する。
【0173】
貯留槽116の底部には、配管119aが接続される。配管119aにはバルブ119bが配置される。バルブ119bは、配管119a内の流路を開閉する。配管119aは、貯留槽116と廃液槽119とを連絡する。
【0174】
本実施形態によれば、第1成分液、第2成分液および混合液を選択的に廃液槽119に流入できる。
【0175】
なお、
図6(a)および
図6(c)に示したグラフでは、第1成分液の流量Vaおよび第2成分液の流量Vbは、矩形状に変化したが、本実施形態はこれに限定されない。実際には、バルブ112cおよびバルブ114cを閉状態から開状態に変化させると、第1成分液の流量Vaおよび第2成分液の流量Vbは徐々に増加することがある。また、バルブ112cおよびバルブ114cを開状態から閉状態に変化させると、第1成分液の流量Vaおよび第2成分液の流量Vbは徐々に減少することがある。この場合、第1成分液の流量Vaおよび第2成分液の流量Vbの変化の大きい部分は、貯留槽116に供給せずに廃棄してもよい。
【0176】
次に、
図1~
図11を参照して、本実施形態の基板処理装置100における配管構成を説明する。
図11(a)および
図11(b)は、第1処理液および第2処理液の流量の変化を示したグラフである。
【0177】
図11(a)に示すように、第1成分液の流量Vaは、時間とともに変化する。ここでは、第1流量計112bは、第1成分液の流量Vaを測定する。バルブ112cが開くと、第1成分液の流量Vaは時間とともに増加する。その後、バルブ112cが完全に開くと、第1成分液の流量Vaはピークを示す。ここでは、第1成分液の流量Vaは変動する。その後、バルブ112cを閉じると、第1成分液の流量Vaは徐々に減少する。
【0178】
同様に、第2成分液の流量Vbは、時間とともに変化する。ここでは、第2流量計114bは、第2成分液の流量Vbを測定する。バルブ114cが開くと、第2成分液の流量Vbは時間とともに増加する。その後、バルブ114cが完全に開くと、第2成分液の流量Vbはピークを示す。ここでは、第2成分液の流量Vbは変動する。その後、バルブ114cを閉じると、第2成分液の流量Vbは徐々に減少する。
【0179】
なお、
図11(a)に示すように、制御部102がバルブ112cを開いても、第1成分液の流量Vaが速やかに立ち上がらず、制御部102がバルブ112cを閉じても、第1成分液の流量Vaが速やかに立ち下がらないことがある。同様に、制御部102がバルブ114cを開いても第2成分液の流量Vbは速やかに立ち上がらず、制御部102がバルブ114cを閉じても第2成分液の流量Vbが速やかに立ち下がらないことがある。
【0180】
この場合、第1供給量算出部102aは、第1成分液の流量Vaが所定値を超えてから第1供給量としてカウントしてもよい。また、第1供給量算出部102aは、制御部102がバルブ112cを閉じる信号を出力してから第1供給量としてカウントしなくてもよい。
【0181】
同様に、第2供給量算出部102bは、第2成分液の流量Vbが所定値を超えてから第2供給量としてカウントしてもよい。また、第2供給量算出部102bは、制御部102がバルブ112cを閉じる信号を出力してから第2供給量としてカウントしなくてもよい。この場合、第1供給量算出部102aが供給量の算出を開始するタイミングとともに、バルブ113bを閉じてバルブ113aを開けてもよい。
【0182】
図11(b)に示すように、第1供給量算出部102aは、第1成分液の流量Vaの時間変化に基づいて、第1供給量Saを算出する。第1供給量算出部102aは、時間T1から時間T2までの範囲内で第1成分液の流量Vaの時間変化を積分することによって第1供給量Saを算出できる。例えば、第1供給量算出部102aは、第1成分液の流量Vaを積算することによって第1供給量Saを算出できる。
【0183】
同様に、第2供給量算出部102bは、第2成分液の流量Vbの時間変化に基づいて、第2供給量Sbを算出する。第2供給量算出部102bは、時間T1から時間T2までの範囲内で第2成分液の流量Vbの時間変化を積分することによって第2供給量Sbを算出できる。例えば、第2供給量算出部102bは、第2成分液の流量Vbを積算することによって第2供給量Sbを算出できる。
【0184】
このように、第1供給量算出部102aおよび第2供給量算出部102bは、第1成分液の流量Vaおよび第2成分液の流量Vbについて、ある時間T1からの値から別の時間T2までの値を、第1供給量Saおよび第2供給量Sbの算出の根拠としてもよい。
【0185】
なお、この場合、バルブ112cおよびバルブ114cが開き始めてから時間T1までの間に第1配管112aを流れた第1成分液および第2配管114aを流れた第2成分液は、貯留槽116に流れることなく廃液槽119に流れることになる。本明細書において、第1供給量算出部102aおよび第2供給量算出部102bが第1供給量Saおよび第2供給量Sbの算出に用いる第1成分液の流量Vaおよび第2成分液の流量Vbの前において、第1成分液および第2成分液を貯留槽116に流すことなく廃液槽119に流すことをプレドレインと記載することがある。
【0186】
典型的には、プレドレイン時において、第1成分液の流量Vaおよび第2成分液の流量Vbの変化が比較的大きい。このため、第1供給量算出部102aおよび第2供給量算出部102bは、プレドレイン時の第1成分液の流量Vaおよび第2成分液の流量Vbを第1供給量Saおよび第2供給量Sbにカウントしないことが好ましい。例えば、プレドレイン期間は、1秒以上5秒以下である。
【0187】
例えば、プレドレインでは、時間T1よりも前に第1成分液供給部112は第1成分液を第1配管112aに供給する。本明細書において、第1成分液供給部112によるこの工程を第1成分液前供給工程と記載することがある。同様に、プレドレインでは、時間T1よりも前に第2成分液供給部114は第2成分液を第2配管114aに供給する。本明細書において、第2成分液供給部114によるこの工程を第2成分液前供給工程と記載することがある。
【0188】
また、制御部102がバルブ112cおよびバルブ114cを閉める信号を出力した時間T2から第1成分液の流量Vaおよび第2成分液の流量Vbがゼロになるまでの間、第1配管112aを流れる第1成分液および第2配管114aを流れる第2成分液は、貯留槽116に流れることなく廃液槽119に流れる。本明細書において、第1供給量算出部102aおよび第2供給量算出部102bが第1供給量Saおよび第2供給量Sbの算出に用いる第1成分液の流量Vaおよび第2成分液の流量Vbの後に、第1成分液および第2成分液を貯留槽116に流すことなく廃液槽119に流すことをポストドレインと記載することがある。
【0189】
典型的には、ポストドレイン時において、第1成分液の流量Vaおよび第2成分液の流量Vbの変化は比較的大きい。このため、第1供給量算出部102aおよび第2供給量算出部102bは、ポストドレイン時の第1成分液の流量Vaおよび第2成分液の流量Vbを第1供給量Saおよび第2供給量Sbにカウントしないことが好ましい。例えば、ポストドレイン期間は、1秒以上5秒以下である。
【0190】
例えば、ポストドレインでは、時間T2よりも後に第1成分液供給部112からの第1成分液が第2配管114aを流れる。本明細書において、このように第1成分液供給部112から第1成分液が流れる工程を第1成分液後供給工程と記載することがある。同様に、ポストドレインでは、時間T2よりも後に第2成分液供給部114からの第2成分液が第2配管114aを流れる。本明細書において、このように第2成分液供給部114から第2成分液が流れる工程を第2成分液後供給工程と記載することがある。
【0191】
次に、
図1~
図12Bを参照して、本実施形態の基板処理装置100における配管構成を説明する。
図12Aおよび
図12Bは、本実施形態の基板処理方法のフロー図である。なお、
図12Aおよび
図12Bのフロー図は、主としてプレドレインおよびポストドレインを行う点を除いて、
図7に示したフロー図と同様であり、冗長を避ける目的で重複する説明を省略する。
【0192】
図12Aに示すように、ステップS110aにおいて、プレドレインを開始する。ここでは、制御部102は、バルブ113aを閉じてバルブ113bを開ける。次に、処理は、ステップS110に進む。
【0193】
ステップS110において、第1成分液および第2成分液の供給を開始する。ここでは、第1成分液供給部112は、第1配管112aを介して第1成分液の供給を開始する。また、第2成分液供給部114は、第2配管114aを介して第2成分液の供給を開始する。制御部102は、第1成分液供給部112の供給バルブ112c1および流量調整バルブ112c2を開くとともに第2成分液供給部114の供給バルブ114c1および流量調整バルブ114c2を開く。これにより、第1成分液および第2成分液は、配管113dを介して廃液槽119に流れる。この場合、第1成分液が第1配管112aを流れ始めるタイミングと第2成分液が第2配管114aを流れ始めるタイミングを揃えることが好ましい。次に、処理は、ステップS110bに進む。
【0194】
ステップS110bにおいて、第1成分液および第2成分液の流量を測定する。第1流量計112bは、第1配管112aを流れる第1成分液の流量を測定する。第2流量計114bは、第2配管114aを流れる第2成分液の流量を測定する。次に、処理は、ステップS110cに進む。
【0195】
ステップS110cにおいて、第1成分液の流量Vaおよび第2成分液の流量Vbが条件を満たすかを判定する。詳細には、制御部102は、第1成分液の流量Vaが閾値を超えるか否か判定する。また、制御部102は、第2成分液の流量Vbが閾値を超えるか否か判定する。
【0196】
第1成分液の流量Vaおよび第2成分液の流量Vbが条件を満たす場合(ステップS110cにおいてYes)、処理は、ステップS110eに進む。一方、第1成分液の流量Vaおよび第2成分液の流量Vbのいずれかが条件を満たさない場合(ステップS110cにおいてNo)、処理は、ステップS110dに進む。
【0197】
ステップS110dにおいて、第1成分液の流量および第2成分液の流量に基づいて、第1成分液供給部112および/または第2成分液供給部114を制御する。例えば、第1成分液の流量が閾値よりも少ない場合、制御部102は、第1成分液の流量が増加するように第1成分液供給部112を制御する。例えば、制御部102は、第1成分液供給部112のバルブ112cの開度を増加させる。
【0198】
あるいは、第2成分液の流量が閾値よりも少ない場合、制御部102は、第2成分液の流量が増加するように第2成分液供給部114を制御する。例えば、制御部102は、第2成分液供給部114のバルブ114cの開度を増加させる。次に、処理は、ステップS110cに戻る。これにより、第1成分液の流量Vaおよび第2成分液の流量Vbが条件を満たすまで第1成分液供給部112および/または第2成分液供給部114が制御される。
【0199】
ステップS110eにおいて、第1成分液の流量および第2成分液の流量から配管113dを流れる混合液の濃度を算出する。例えば、制御部102は、第1成分液の流量および第2成分液の流量の比率に基づいて、配管113dを流れる混合液の濃度を算出する。次に、処理は、ステップS110fに進む。
【0200】
ステップS110fにおいて、算出した濃度(算出濃度)が条件を満たすか否かを判定する。例えば、制御部102は、算出濃度が正常範囲内にあるか否か判定する。
【0201】
算出濃度が条件を満たす場合(ステップS110fにおいてYes)、処理は、ステップS110hに進む。一方、算出濃度が条件を満たさない場合、処理は、ステップS110gに進む。
【0202】
ステップS110gにおいて、算出濃度に基づいて、第1成分液供給部112および/または第2成分液供給部114を制御する。一例では、第2成分液の流量に対して第1成分液の流量が比較的少ない場合、制御部102は、第1成分液の流量が増加するように第1成分液供給部112を制御する。例えば、制御部102は、第1成分液供給部112のバルブ112cの開度を増加させる。
【0203】
あるいは、第2成分液の流量に対して第1成分液の流量が比較的多い場合、制御部102は、第2成分液の流量が増加するように第2成分液供給部114を制御する。例えば、制御部102は、第2成分液供給部114のバルブ114cの開度を増加させる。次に、処理は、ステップS110fに戻る。これにより、配管113dを流れる混合液の濃度が条件を満たすまで第1成分液供給部112および/または第2成分液供給部114が制御される。
【0204】
ステップS110hにおいて、プレドレインを終了する。ここでは、制御部102は、バルブ113aを開けてバルブ113bを閉じる。これにより、第1成分液および第2成分液は、配管113を介して貯留槽116に流れる。次に、処理は、ステップS120に進む。ステップS120からステップS150までは
図7と同様である。
【0205】
ステップS150において、貯留槽116への成分液の供給を完了するか否かを判定する。例えば、貯留槽116内の混合液の液量を検知する液量検知センサーが貯留槽116内の混合液の液量を検知する。検知した液量が閾値よりも大きい場合、制御部102は、貯留槽116への成分液の供給を完了すると判定する。一方、検知した液量が閾値以下の場合、制御部102は、貯留槽116への成分液の供給を継続すると判定する。
【0206】
貯留槽116への成分液の供給を完了する場合(ステップS150においてYes)、処理は、ステップS160aに進む。一方、貯留槽116への成分液の供給を完了する場合(ステップS150おいてNo)、処理は、ステップS140に戻る。この場合、貯留槽116への成分液の供給が完了するまで、第1成分液の供給量および第2成分液の供給量に基づいて、第1成分液供給部112および/または第2成分液供給部114を制御する。
【0207】
ステップS160aにおいて、ポストドレインを開始する。ここでは、制御部102は、バルブ113aを閉じてバルブ113bを開ける。このとき、制御部102gは、第1成分液供給部112のバルブ112cおよび第2成分液供給部114のバルブ114cを閉じるように制御してもよい。次に、処理は、ステップS160に進む。
【0208】
ステップS160において、第1成分液および第2成分液の流れが停止する。ここでは、第1配管112aを介して貯留槽116への第1成分液の供給が停止する。また、第2配管114aを介して貯留槽116への第2成分液の供給が停止する。
【0209】
ステップS160bにおいて、ポストドレインを終了する。ここでは、制御部102は、バルブ113aおよびバルブ113bを閉じる。次に、処理は、ステップS170に進む。ステップS170からステップS190までは
図7と同様である。
【0210】
本実施形態によれば、第1成分液および第2成分液を貯留槽116に供給する前および後にプレドレインおよびポストドレインを行う。これにより、流量の変化が大きいプレドレイン期間およびポストドレイン期間の影響を避けて算出制御を行うため、高精度に第1成分液供給部112および第2成分液供給部114を制御できる。
【0211】
なお、
図1および
図2に示した基板処理装置100では、基板処理ユニット10は枚葉型であり、貯留槽116の混合液は、チャンバー11内の基板Wに供給されたが、本実施形態はこれに限定されない。基板処理ユニット10は、バッチ型であり、貯留槽116の混合液は、処理槽に供給されてもよい。
【0212】
次に、
図13を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図13は、基板処理装置100の模式図である。
【0213】
図13に示すように、基板処理装置100は、基板処理ユニット10として基板処理ユニット10A~10Cを備える。ここでは、基板処理ユニット10A~10Cは、バッチ型である。
【0214】
基板処理ユニット10Aは、処理槽40aと、リフター50aとを備える。処理槽40aは、基板Wを処理するための処理液を貯留する。処理槽40aに処理液として混合液が供給される。処理槽40aには、配管32aを介して貯留槽116の混合液が供給される。
【0215】
リフター50aは、基板Wを保持する。リフター50aによって保持された基板Wの主面の法線方向は水平方向に平行である。複数の基板Wは、水平方向に沿って一列に配列される。複数の基板Wは、水平方向に略平行に配列される。また、複数の基板Wの各々の法線は、水平方向に延びる。
【0216】
典型的には、リフター50aは、複数の基板Wをまとめて保持する。例えば、リフター50aは、基板Wを保持したまま鉛直方向に沿って鉛直上方または鉛直下方に移動する。
【0217】
基板処理ユニット10Bは、基板処理ユニット10Aと同様に、処理槽40bと、リフター50bとを備える。また、基板処理ユニット10Cは、基板処理ユニット10Aと同様に、処理槽40cと、リフター50cとを備える。
【0218】
本実施形態の基板処理装置100によれば、基板処理ユニット10がバッチ型であっても、貯留槽116に供給される成分液を速やかに制御できる。
【0219】
なお、
図13に示した基板処理装置100では、基板処理ユニット10がバッチ型であったが、本実施形態はこれに限定されない。貯留槽116が、バッチ型の処理槽であり、基板処理ユニット10として兼用されてもよい。
【0220】
次に、
図14を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図14は、基板処理装置100の模式図である。
【0221】
図14に示すように、基板処理装置100は、基板処理ユニット10として貯留槽116を備える。貯留槽116は、いわゆるバッチ型の処理槽として機能する。
【0222】
基板処理装置100は、貯留槽116と、リフター60とを備える。貯留槽116は、基板Wを処理するための処理液を貯留する。貯留槽116に処理液として混合液が供給される。貯留槽116には、第1配管112a、第2配管114aおよび配管113を介して第1成分液および第2成分液が供給される。
【0223】
リフター60は、基板Wを保持する。リフター60によって保持された基板Wの主面の法線方向は水平方向に平行である。複数の基板Wは、水平方向に沿って一列に配列される。複数の基板Wは、水平方向に略平行に配列される。また、複数の基板Wの各々の法線は、水平方向に延びる。
【0224】
典型的には、リフター60は、複数の基板Wをまとめて保持する。例えば、リフター60は、基板Wを保持したまま鉛直方向に沿って鉛直上方または鉛直下方に移動する。
【0225】
本実施形態の基板処理装置100によれば、貯留槽116がバッチ型の処理槽であっても、貯留槽116に供給される成分液を速やかに制御できる。
【0226】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0227】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0228】
10 基板処理ユニット
11 チャンバー
20 基板保持部
30 処理液供給部
100 基板処理装置
101 制御装置
102 制御部
102a 第1供給量算出部
102b 第2供給量算出部
104 記憶部
110 処理液キャビネット
112 第1成分液供給部
112a 第1配管
112b 第1流量計
112c バルブ
114 第2成分液供給部
114a 第2配管
114b 第2流量計
114c バルブ
120 処理液ボックス
W 基板