(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142467
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】作業機械及びシリンダカバー
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20230928BHJP
F15B 15/14 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
E02F9/00 Z
F15B15/14 355
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049396
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹林 圭文
(72)【発明者】
【氏名】岡 大輔
【テーマコード(参考)】
3H081
【Fターム(参考)】
3H081AA02
3H081BB02
3H081CC24
3H081CC29
3H081DD24
3H081HH01
(57)【要約】
【課題】製造誤差や取付誤差に起因する摩耗や騒音の発生を防止可能なシリンダカバーを備える作業機械を提供する。
【解決手段】作業機械は、車体と、車体に支持されて動作する作業装置と、シリンダチューブに対してシリンダロッドが伸縮することによって、連結された作業装置を回動させる油圧シリンダと、油圧シリンダを保護するシリンダカバーとを備え、シリンダカバー(10)は、シリンダロッドに取り付けられた第1カバー(11)と、シリンダチューブに取り付けられたガイド部材にガイドされて、シリンダロッドの伸縮方向にスライド可能な第2カバー(12)と、第1カバー(11)及び第2カバー(12)を、伸縮方向に延びる回動軸線周りに回動自在に連結する連結部材(13)とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、前記車体に支持されて動作する作業装置と、シリンダチューブに対してシリンダロッドが伸縮することによって、連結された前記作業装置を回動させる油圧シリンダと、前記油圧シリンダを保護するシリンダカバーとを備える作業機械において、
前記シリンダカバーは、
前記シリンダロッドに取り付けられた第1カバーと、
前記シリンダチューブに取り付けられたガイド部材にガイドされて、前記シリンダロッドの伸縮方向にスライド可能な第2カバーと、
前記第1カバー及び前記第2カバーを、前記伸縮方向に延びる回動軸線周りに回動自在に連結する連結部材とを有することを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記連結部材は、樹脂またはゴムで構成されていることを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械において、
前記伸縮方向に直交する前記第1カバーの幅方向の寸法は、前記第2カバーに向かって第1寸法から前記第1寸法より長い第2寸法に徐々に大きくなり、
前記第2カバー及び前記連結部材の前記幅方向の寸法は、前記第2寸法であることを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1に記載の作業機械において、
前記第1カバーは、
前記伸縮方向に延びる第1保護部と、
前記第1保護部の端部から突出し、前記伸縮方向に貫通する第1貫通孔が形成された第1鍔部とを有し、
前記第2カバーは、
前記伸縮方向に延びる第2保護部と、
前記第2保護部の端部から突出し、前記伸縮方向に貫通する第2貫通孔が形成された第2鍔部とを有し、
前記連結部材は、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に挿通された状態で、前記第1カバーと前記第2カバーとを連結することを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項1に記載の作業機械において、
前記第1カバーは、
前記伸縮方向に延びる第1保護部と、
前記第1保護部の端部から突出し、前記伸縮方向に貫通する第1貫通孔が形成された第1鍔部とを有し、
前記第2カバーは、
前記伸縮方向に延びる第2保護部と、
前記第2保護部の端部から突出し、前記伸縮方向に貫通する第2貫通孔が形成された第2鍔部とを有し、
前記連結部材は、前記第1鍔部及び前記第2鍔部を互いに係合させ、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に挿通させた状態で、前記第1カバーと前記第2カバーとを連結することを特徴とする作業機械。
【請求項6】
シリンダチューブ、及び前記シリンダチューブに対して伸縮可能なシリンダロッドを有する油圧シリンダを保護するシリンダカバーにおいて、
前記シリンダロッドに取り付けられた第1カバーと、
前記シリンダロッドの伸縮方向にスライド可能に前記シリンダチューブに取り付けられた第2カバーと、
前記第1カバー及び前記第2カバーを、前記伸縮方向に延びる回動軸線周りに回動自在に連結する連結部材とを有することを特徴とするシリンダカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧シリンダを備える作業機械及び油圧シリンダを保護するシリンダカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車体と、車体に支持されて動作する作業装置と、作業装置を起伏させる油圧シリンダとを備える作業機械が知られている。このような作業機械には、油圧シリンダが他の部材と衝突して損傷するのを防止するために、シリンダカバーが取り付けられることがある(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に記載のシリンダカバーは、一端がシリンダロッドに固定され、他端がシリンダチューブに取り付けられたガイド部材にガイドされて、シリンダロッドの伸縮方向にスライド可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシリンダカバーの構成では、部品の製造誤差や組付け誤差があると、シリンダカバーとガイド部材との摺接部分に偏荷重が負荷されて、摩耗したり騒音が生じたりするという課題がある。
【0006】
本発明は、上記した実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造誤差や取付誤差に起因する摩耗や騒音の発生を防止可能なシリンダカバーを備える作業機械及びシリンダカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、車体と、前記車体に支持されて動作する作業装置と、シリンダチューブに対してシリンダロッドが伸縮することによって、連結された前記作業装置を回動させる油圧シリンダと、前記油圧シリンダを保護するシリンダカバーとを備える作業機械において、前記シリンダカバーは、前記シリンダロッドに取り付けられた第1カバーと、前記シリンダチューブに取り付けられたガイド部材にガイドされて、前記シリンダロッドの伸縮方向にスライド可能な第2カバーと、前記第1カバー及び前記第2カバーを、前記伸縮方向に延びる回動軸線周りに回動自在に連結する連結部材とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、製造誤差や取付誤差に起因する摩耗や騒音の発生を防止したシリンダカバーを備える作業機械及びシリンダカバーを得ることができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】第1実施形態に係るシリンダカバーを示す図である。
【
図3】ブームシリンダが伸長したときのシリンダカバーの斜視図及び側面図である。
【
図4】ブームシリンダが縮小したときのシリンダカバーの斜視図及び側面図である。
【
図5】第2実施形態に係るシリンダカバーを示す図である。
【
図6】第3実施形態に係るシリンダカバーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
本発明に係る油圧ショベル1(作業機械)の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、作業機械の具体例は油圧ショベル1に限定されず、ホイールローダ、クレーン、ダンプトラック等でもよい。また、本明細書中の前後左右は、特に断らない限り、油圧ショベル1に搭乗して操作するオペレータの視点を基準としている。
【0011】
図1は、油圧ショベル1の斜視図である。
図1に示すように、油圧ショベル1は、下部走行体2と、下部走行体2により支持された上部旋回体3とを備える。下部走行体2及び上部旋回体3は、車体の一例である。
【0012】
下部走行体2は、左右一対のクローラを備える。そして、走行モータ(図示省略)の回転が伝達されて左右一対のクローラが回転すると、油圧ショベル1が走行する。但し、下部走行体2は、クローラに代えて、装輪式であってもよい。また、下部走行体2の前端には、排土ブレード8が取り付けられている。排土ブレード8は、排土シリンダ(図示省略)の伸縮によって回動(起伏)する作業装置の他の例である。
【0013】
上部旋回体3は、旋回モータ(図示省略)によって旋回可能に下部走行体2に支持されている。上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム5と、旋回フレーム5の前方中央に上下方向に回動可能に取り付けられたフロント作業機4(作業装置)と、旋回フレーム5の中央に配置されたキャブ(運転席)7と、旋回フレーム5の後部に配置されたカウンタウェイト6とを主に備える。
【0014】
フロント作業機4は、上部旋回体3に回動(起伏)可能に支持されたブーム4aと、ブーム4aの先端に回動可能に支持されたアーム4bと、アーム4bの先端に回動可能に支持されたバケット4cと、ブーム4aを駆動させるブームシリンダ4dと、アーム4bを駆動させるアームシリンダ4eと、バケット4cを駆動させるバケットシリンダ4fとを含む。カウンタウェイト6は、フロント作業機4との重量バランスを取るためのもので、上面視円弧形状を成す重量物である。
【0015】
ブームシリンダ4dは、一端(
図3のシリンダチューブ23)が上部旋回体3に回動可能に連結され、他端(
図3のシリンダロッド24)がブーム4aに回動可能に連結されている。そして、シリンダチューブ23に対してシリンダロッド24が伸縮することによって、上部旋回体3に対してブーム4aが回動(起伏)する。
【0016】
より詳細には、ブームシリンダ4dは、シリンダチューブ23と、シリンダロッド24とを有する。シリンダチューブ23は、基端部が上部旋回体3に回動可能に連結され、先端に開口(以下、「先端開口」と表記する。)が形成されている。シリンダロッド24は、先端開口を通じてシリンダチューブ23に挿入されている。そして、シリンダロッド24は、シリンダチューブ23に対する作動油の給排によって、伸縮方向に移動可能に構成されている。
【0017】
また、アームシリンダ4eは、一端がブーム4aに回動可能に連結され、他端がアーム4bに回動可能に連結されている。そして、アームシリンダ4eが伸縮することによって、ブーム4aに対してアーム4bが回動する。さらに、バケットシリンダ4fは、一端がアーム4bに回動可能に連結され、他端がバケット4cに回動可能に連結されている。そして、バケットシリンダ4fが伸縮することによって、アーム4bに対してバケット4cが回動する。
【0018】
ブームシリンダ4d、アームシリンダ4e、バケットシリンダ4f、及び排土シリンダは、油圧ポンプ(図示省略)から供給される作動油によって、フロント作業機4を回動させる油圧シリンダの一例である。
【0019】
キャブ7には、油圧ショベル1を操作するオペレータが搭乗する内部空間が形成されている。キャブ7の内部空間には、オペレータが着席するシートと、シートに着席したオペレータにより操作される操作装置が配置されている。操作装置は、油圧ショベル1を動作させるためのオペレータの操作を受け付ける。オペレータによって操作装置が操作されることによって、下部走行体2が走行し、上部旋回体3が旋回し、フロント作業機4が動作する。なお、操作装置の具体例としては、レバー、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、スイッチ等が挙げられる。
【0020】
ブームシリンダ4dには、シリンダカバー10が取り付けられている。シリンダカバー10は、ブームシリンダ4dを保護する。より詳細には、シリンダカバー10は、ブームシリンダ4dを挟んでブーム4aと反対側に配置されている。但し、シリンダカバー10は、ブームシリンダ4dを保護するものに限定されず、他の油圧シリンダ(アームシリンダ4e、バケットシリンダ4f、排土シリンダ等)を保護してもよい。
【0021】
図2は、第1実施形態に係るシリンダカバー10を示す図である。
図3は、ブームシリンダ4dが伸長したときのシリンダカバー10の斜視図及び側面図である。
図4は、ブームシリンダ4dが縮小したときのシリンダカバー10の斜視図及び側面図である。なお、
図2において、左上図はシリンダカバー10をブームシリンダ4d側から見た図、右図は左上図を矢印Aから見た側面図、左下図は左上図のB-Bにおける断面図である。
【0022】
シリンダカバー10は、全体として、ブームシリンダ4dの伸縮方向(以下、単に「伸縮方向」と表記する。)に長い長尺板状の外形を呈する。本明細書において、伸縮方向に直交する二方向のうち、シリンダカバー10の厚み方向を単に「厚み方向」と表記し、シリンダカバー10の幅方向を単に「幅方向」と表記する。
図2に示すように、シリンダカバー10は、第1カバー11と、第2カバー12と、連結部材13と、一対のキャップ14a、14bとを主に備える。
【0023】
第1カバー11は、伸縮方向及び幅方向に拡がる板状の部材である。第1カバー11は、例えば、金属材料で形成される。第1カバー11には、厚み方向に貫通する貫通孔15、16a、16bが形成されている。貫通孔15は、伸縮方向における第2カバー12と反対側の端部において、幅方向の中央に形成されている。貫通孔16a、16bは、伸縮方向における第2カバー12側の端部において、幅方向に離間した位置に形成されている。
【0024】
第1カバー11は、例えば貫通孔15に挿入されるボルト(図示省略)等によって、シリンダロッド24の先端部に取り付けられる。「シリンダロッド24の先端部」とは、シリンダロッド24のうち、ブームシリンダ4dが最も縮小してもシリンダチューブ23から露出する部分である。なお、シリンダロッド24に対する第1カバー11の取付方法は、前述の例に限定されない。
【0025】
第2カバー12は、伸縮方向において、第1カバー11からシリンダチューブ23側に離間した位置に配置されている。第2カバー12は、例えば、金属材料で形成される。そして、第2カバー12は、シリンダチューブ23の外側面に取り付けられたガイド部材25(
図3及び
図4参照)に沿って、シリンダチューブ23に対してスライド可能に構成されている。すなわち、ガイド部材25は、第2カバー12とシリンダチューブ23との間に配置される。第2カバー12は、保護部17と、一対の包持部18a、18bとで構成される。
【0026】
保護部17は、伸縮方向及び幅方向に拡がる板状の部分である。保護部17には、厚み方向に貫通する貫通孔19a、19bが形成されている。貫通孔19a、19bは、伸縮方向における第1カバー11側の端部において、幅方向に離間した位置に配置されている。一対の包持部18a、18bは、保護部17の幅方向の両端部において、伸縮方向に延設されている。包持部18a、18bは、保護部17の幅方向の両端部をブームシリンダ4d側に折り込むことによって、キャップ14a、14bを包持する部分である。
【0027】
キャップ14a、14bは、伸縮方向に延設される長尺棒状の部材である。キャップ14a、14bは、例えば、樹脂材料で形成されている。包持部18a、18bに包持されたキャップ14a、14bは、幅方向に対向して配置されている。また、幅方向におけるキャップ14a、14bの離間距離は、ガイド部材25の幅方向の寸法と同一か僅かに大きく設定されている。さらに、キャップ14a、14bの互いに対向する面は、包持部18a、18bから露出されている。そして、第2カバー12は、キャップ14a、14bでガイド部材25を挟むように配置される。
【0028】
連結部材13は、例えば、厚み方向から平面視したときに、長方形の外形を呈する板状の部材である。そして、連結部材13は、伸縮方向における第1カバー11及び第2カバー12の間に配置されている。また、連結部材13には、厚み方向に貫通する貫通孔20a、20b、21a、21bが形成されている。貫通孔20a、20bは、伸縮方向における第1カバー11側の端部において、幅方向に離間して形成されている。貫通孔21a、21bは、伸縮方向における第2カバー12側の端部において、幅方向に離間して形成されている。
【0029】
そして、連結部材13は、貫通孔16a、20a及び貫通孔16b、20bが連通するように、第1カバー11と重ね合わされる。また、連結部材13は、貫通孔19a、21a及び貫通孔19b、21bが連通するように、第2カバー12と重ね合わされる。そして、連通する貫通孔16a、20a、貫通孔16b、20b、貫通孔19a、21a、貫通孔19b、21bに挿入されたボルト22に、反対側からナット(図示省略)を螺合することによって、第1カバー11及び第2カバー12が連結部材13によって連結される。なお、第1実施形態に係る連結部材13は、第1カバー11及び第2カバー12よりブームシリンダ4d側に配置されている。
【0030】
なお、第1カバー11及び第2カバー12を連結部材13に取り付ける具体的な方法は、前述の例に限定されない。他の例として、貫通孔16a、16b、19a、19b、20a、20b、21a、21bの一部に挿入されたインサーナットにボルトを螺合させることによって、第1カバー11及び第2カバー12を連結部材13に取り付けてもよい。
【0031】
また、連結部材13は、弾性体(例えば、樹脂、ゴム等)で構成されている。これにより、連結部材13は、シリンダカバー10の幅方向及び厚み方向に中央を通って伸縮方向に延びる第1仮想線L1(回動軸線)を中心として、第1カバー11及び第2カバー12を回動自在に連結している。また、連結部材13は、第1カバー11及び第2カバー12を厚み方向に屈曲可能に連結している。
【0032】
さらに、第1カバー11の幅方向の寸法は、貫通孔15側から貫通孔16a、16b側(換言すれば、第2カバー12)に向かって、第1寸法W1から第2寸法W2に徐々に大きくなる(W1<W2)。一方、第2カバー12及び連結部材13の幅方向の寸法は、第2寸法W2に設定される。
【0033】
ブームシリンダ4dを伸長させると、シリンダロッド24が先端開口を通じてシリンダチューブ23から突出する向きに移動する。このとき、シリンダカバー10は、ガイド部材25にガイドされて、シリンダロッド24と共に伸縮方向にスライドする。その結果、
図3に示すように、シリンダロッド24のシリンダチューブ23から露出した部分が、シリンダカバー10によって保護される。
【0034】
一方、ブームシリンダ4dを縮小させると、シリンダロッド24が先端開口を通じてシリンダチューブ23に没入する向きに移動する。このとき、シリンダカバー10は、ガイド部材25にガイドされて、シリンダロッド24と共に伸縮方向にスライドする。その結果、
図4に示すように、シリンダロッド24のシリンダチューブ23から露出した部分と、シリンダチューブ23とが、シリンダカバー10によって保護される。
【0035】
第1実施形態によれば、第1カバー11及び第2カバー12が連結部材13によって連結されている。これにより、シリンダカバー10を構成する部品の製造誤差や組付け誤差があったとしても、シリンダカバー10とガイド部材25との摺接部分に偏荷重が負荷されて、キャップ14a、14b摩耗したり、騒音が生じたりするのを防止できる。また、第1実施形態によれば、第2カバー12が第1カバー11に対して厚み方向に屈曲可能になっているので、摩耗や騒音の発生をさらに効果的に防止できる。
【0036】
また、第1実施形態によれば、連結部材13の幅方向の寸法を第2寸法W2とすることによって、第1カバー11に対して第2カバー12が変位する際に、連結部材13にかかる負荷を分散させることができる。
【0037】
なお、シリンダカバー10の具体的な構成は、
図2の例に限定されない。以下、
図5を参照して第2実施形態に係るシリンダカバー30を説明し、
図6を参照して第3実施形態に係るシリンダカバー50を説明する。なお、第1実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0038】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係るシリンダカバー30を示す図である。なお、
図5において、左上図はシリンダカバー30をブームシリンダ4d側から見た図、右図は左上図を矢印Cから見た側面図、左下図は左上図のD-Dにおける断面図である。第2実施形態に係るシリンダカバー30は、第1カバー31と、第2カバー32と、ボルト33a(連結部材)及びダブルナット33bと、一対のキャップ14a、14bとを備える。キャップ14a、14bの構成は、第1実施形態と共通する。
【0039】
第1カバー31は、例えば、金属材料で形成される。第1カバー31は、第1保護部34と、第1鍔部35とで構成される。第1保護部34は、伸縮方向に延設される平板状の部分である。第1鍔部35は、第1保護部34の第2カバー32側の端部から、第1保護部34の厚み方向の一方側(ブームシリンダ4dと反対側)に突出する平板状の部分である。すなわち、第1カバー31は、
図5の右図のように幅方向から側面視すると、L字形状の外形を呈する。
【0040】
第1保護部34には、厚み方向に貫通する貫通孔36が形成されている。貫通孔36は、第1保護部34の幅方向の中央に形成されている。そして、貫通孔36に挿入されるボルト(図示省略)等によって、第1カバー31がシリンダロッド24の先端部に取り付けられる。但し、シリンダロッド24に対する第1カバー31の取付方法は、前述の例に限定されない。
【0041】
第1鍔部35には、第1貫通孔37が形成されている。第1貫通孔37は、第1鍔部35の幅方向の中央で且つ第1鍔部35の突出方向の中央において、第1鍔部35を伸縮方向(第1鍔部35の厚み方向)に貫通している。
【0042】
第2カバー32は、例えば、金属材料で形成される。第2カバー32は、第2保護部38と、一対の包持部39a、39bと、第2鍔部40とで構成される。第2保護部38の構成は、第1カバー31側の端部が先細り形状になっている点と、貫通孔19a、19bが省略されている点とを除いて、第1実施形態に係る保護部17と共通する。また、包持部39a、39bの構成は、第1実施形態に係る包持部18a、18bと共通する。
【0043】
第2鍔部40は、第2保護部38の第1カバー31側の端部から、第2保護部38の厚み方向の一方側(ブームシリンダ4dと反対側、包持部39a、39bと反対側)に突出する平板状の部分である。すなわち、第2カバー32は、
図5の右図のように幅方向から側面視すると、逆L字形状の外形を呈する。そして、第2鍔部40には、第2貫通孔41が形成されている。第2貫通孔41は、第2鍔部40の幅方向の中央で且つ第2鍔部40の突出方向の中央において、第2鍔部40を伸縮方向(第2鍔部40の厚み方向)に貫通している。
【0044】
図5に示すように、第1カバー31及び第2カバー32を同じ方向から側面視すると、第1鍔部35及び第2鍔部40は同じ方向に突出している。そして、第1鍔部35及び第2鍔部40を重ね合わせると、第1貫通孔37及び第2貫通孔41が連通する。次に、連通した第1貫通孔37及び第2貫通孔41にボルト33aを挿通し、反対側にダブルナット33bを螺合させることによって、第1カバー31及び第2カバー32が所定の隙間(ガタ)を有した状態で連結される。なお、第2実施形態では、第1鍔部35側からボルト33aを挿通し、第2鍔部40側でダブルナット33bを螺合させる例を示したが、ボルト33a及びダブルナット33bの配置は逆であってもよい。
【0045】
第1貫通孔37及び第2貫通孔41の直径は、ボルト33aの軸部の直径より僅かに大きく設定されている。また、第1鍔部35と第2鍔部40と互いに対向する面の間には、所定の隙間が設けられている。これにより、ボルト33a及びダブルナット33bは、ボルト33aの中心(換言すれば、第1貫通孔37及び第2貫通孔41の中心)を通って伸縮方向に延びる第2仮想線L2(回動軸線)を中心として、第1カバー31及び第2カバー32を回動自在に連結する。また、第1貫通孔37及び第2貫通孔41の直径をさらに大きくすることによって、ボルト33a及びダブルナット33bは、第1カバー31及び第2カバー32を厚み方向に屈曲可能に連結することができる。
【0046】
第2実施形態に係るシリンダカバー30によっても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、第2実施形態に係る第1カバー31及び第2カバー32は、ボルト33aに代えて、
図6に示すピン53によって連結されてもよい。
【0047】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態に係るシリンダカバー50を示す図である。なお、
図6において、左上図はシリンダカバー50をブームシリンダ4d側から見た図、右図は左上図を矢印Eから見た側面図、左下図は左上図のF-Fにおける断面図である。第3実施形態に係るシリンダカバー50は、第1カバー51と、第2カバー52と、ピン53(連結部材)と、一対のキャップ14a、14bとを備える。キャップ14a、14bの構成は、第1実施形態と共通する。
【0048】
第1カバー51は、例えば、金属材料で形成される。第1カバー51は、第1保護部54と、第1鍔部55とで構成される。第1保護部54には、貫通孔56が形成されている。第1鍔部55には、第1貫通孔57が形成されている。第1カバー51の構成は、第2実施形態に係る第1カバー31と共通する。
【0049】
第2カバー52は、例えば、金属材料で形成される。第2カバー52は、第2保護部58と、一対の包持部59a、59bと、第2鍔部60とで構成される。第2保護部58の構成は、第2実施形態に係る第2保護部38と共通する。また、包持部59a、59bの構成は、第2実施形態に係る包持部39a、39bと共通する。
【0050】
第2鍔部60は、第2保護部58の第1カバー51側の端部から、第2保護部58の厚み方向の他方側(ブームシリンダ4d側、包持部59a、59b側)に突出する平板状の部分である。すなわち、第2カバー52は、
図6の右図のように幅方向から側面視すると、L字形状の外形を呈する。そして、第2鍔部60には、第2貫通孔61が形成されている。第2貫通孔61は、第2鍔部60の幅方向の中央で且つ第2鍔部60の突出方向の中央において、第2鍔部60を伸縮方向(第2鍔部60の厚み方向)に貫通している。
【0051】
図6に示すように、第1カバー51及び第2カバー52を同じ方向から側面視すると、第1鍔部55及び第2鍔部60は逆方向に突出している。そして、第1鍔部55及び第2鍔部60を互いに係合するように重ね合わせると、第1貫通孔57及び第2貫通孔61が連通する。「第1鍔部55及び第2鍔部60を互いに係合するように重ね合わせる」とは、例えば、第1鍔部55が第2鍔部60よりシリンダチューブ23側に位置するように重ね合わせることを指す。
【0052】
次に、連通した第1貫通孔57及び第2貫通孔61にピン53を挿通し、貫通孔53aに抜け止めピン53bを取り付けることによって、第1カバー51及び第2カバー52が連結される。なお、第3実施形態では、第2鍔部60側からピン53を挿通し、第1鍔部55側で抜け止めピン53bを取り付ける例を示したが、ピン53及び抜け止めピン53bの配置は逆であってもよい。
【0053】
第1貫通孔57及び第2貫通孔61の直径は、ピン53の軸部の直径より僅かに大きく設定されている。これにより、ピン53は、ピン53の中心(換言すれば、第1貫通孔57及び第2貫通孔61の中心)を通って伸縮方向に延びる第3仮想線L3(回動軸線)を中心として、第1カバー51及び第2カバー52を回動自在に連結する。また、第1貫通孔57及び第2貫通孔61の直径をさらに大きくすることによって、ピン53は、第1カバー31及び第2カバー32を厚み方向に屈曲可能に連結することができる。
【0054】
第3実施形態に係るシリンダカバー50によっても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、第3実施形態のように、第1鍔部55及び第2鍔部60を互いに係合させることによって、第2カバー52の重量の一部を第1カバー51で支持することができるので、ピン53に負荷される荷重を低減することができる。なお、第3実施形態に係る第1カバー51及び第2カバー52は、ピン53に代えて、
図5に示すボルト33aによって連結されてもよい。
【0055】
上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 油圧ショベル(作業機械)
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
4 フロント作業機
4a ブーム
4b アーム
4c バケット
4d ブームシリンダ(油圧シリンダ)
4e アームシリンダ(油圧シリンダ)
4f バケットシリンダ(油圧シリンダ)
5 旋回フレーム
6 カウンタウェイト
7 キャブ
8 排土ブレード
10,30,50 シリンダカバー
11,31,51 第1カバー
12,32,52 第2カバー
13 連結部材
14a,14b キャップ
15,16a,16b,19a,19b,20a,20b,21a,21b,36,53a,56 貫通孔
17 保護部
18a,18b,39a,39b,59a,59b 包持部
22 ボルト
23 シリンダチューブ
24 シリンダロッド
25 ガイド部材
33a ボルト(連結部材)
33b ダブルナット
34,54 第1保護部
35,55 第1鍔部
37,57 第1貫通孔
38,58 第2保護部
40,60 第2鍔部
41,61 第2貫通孔
53 ピン(連結部材)
53b 抜け止めピン