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特開2023-142477表示体および光半導体素子封止用シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142477
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】表示体および光半導体素子封止用シート
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/33 20060101AFI20230928BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230928BHJP
   G09F 9/302 20060101ALI20230928BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20230928BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/30 309
G09F9/302 Z
G09F9/30 349C
H01L33/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049416
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】仲野 武史
(72)【発明者】
【氏名】浅井 量子
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊平
(72)【発明者】
【氏名】植野 大樹
(72)【発明者】
【氏名】長束 尚輝
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
【Fターム(参考)】
5C094AA03
5C094AA10
5C094BA23
5C094CA19
5C094CA20
5C094DA07
5C094ED15
5C094JA09
5F142AA05
5F142AA26
5F142BA32
5F142CB14
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD17
5F142CG03
5F142CG04
5F142CG05
5F142CG16
5F142CG25
5F142CG26
5F142CG32
5F142CG42
5F142DB17
5F142GA02
(57)【要約】
【課題】カラーシフトが起こりにくく、且つ輝度が高い表示体を提供する。
【解決手段】表示体1は、基板2上に配置された複数の光半導体素子3a~3fを封止する封止樹脂層4を備える。封止樹脂層4は光半導体素子側から着色層42および非着色層43をこの順に有する。ピクセル3の末端にある光半導体素子3cの重心GCとピクセル3’にある光半導体素子3dの重心GDとを通る基板2表面に対する垂直面断面において、重心GCを通りライン1L1から角度15°正面方向の直線をライン2L2、重心GCを通りライン1L1から角度90°正面方向の直線をライン3L3とし、ライン2L2と着色層42とが重なる距離D1およびライン3L3と着色層42とが重なる距離D2はD1>D2を満たし、光半導体素子3cの端部TAまでの距離D3および基板から重心GCと重心GDの中点Cにおける着色層42の厚さD4はD3>D4を満たす。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に配置された複数の光半導体素子と、前記複数の光半導体素子を封止する封止樹脂層とを備える表示体であり、
前記複数の光半導体素子は複数の光半導体素子を含むピクセルごとに複数配置しており、
前記封止樹脂層は、前記光半導体素子側から、着色層および非着色層をこの順に有し、
第一のピクセルにおける末端に位置する第一の光半導体素子の重心と、前記第一のピクセルに隣り合う第二のピクセルにおける、前記第一の光半導体素子側の末端に位置する第二の光半導体素子の重心とを通る、前記基板表面に対する垂直面断面において、
前記基板表面をベースライン、
前記ベースラインに平行であり、前記第一の光半導体素子の重心を通る直線をライン1、
前記第一の光半導体素子の重心を通り、前記ライン1から角度15°正面方向の直線をライン2、
前記第一の光半導体素子の重心を通り、前記ライン1から角度90°正面方向の直線をライン3としたとき、
前記ライン2と前記着色層とが重なる距離D1、および、前記ライン3と前記着色層とが重なる距離D2は、下記式(1)を満たし、
前記基板表面からの前記第一の光半導体素子の正面側端部までの距離D3、および、前記第一の光半導体素子の重心と前記第二の光半導体素子の重心との中点における前記着色層の厚さD4は、下記式(2)を満たす、表示体。
D1>D2 (1)
D3>D4 (2)
【請求項2】
前記封止樹脂層は、前記着色層の光半導体素子側に拡散機能層を備える、請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
自発光型表示装置を備える請求項1または2のいずれか1項に記載の表示体。
【請求項4】
画像表示装置である請求項1~3のいずれか1項に記載の表示体。
【請求項5】
基板上に、複数の光半導体素子を含むピクセルごとに配置された複数の光半導体素子を封止するためのシートであって、
前記シートは、着色層および非着色層を含む封止用樹脂層を備え、
前記封止用樹脂層により前記着色層側が前記光半導体素子側となるように前記複数の光半導体素子を封止して封止樹脂層を形成した際、
第一のピクセルにおける末端に位置する第一の光半導体素子の重心と、前記第一のピクセルに隣り合う第二のピクセルにおける、前記第一の光半導体素子側の末端に位置する第二の光半導体素子の重心とを通る、前記基板表面に対する垂直面断面において、
前記基板表面をベースライン、
前記ベースラインに平行であり、前記第一の光半導体素子の重心を通る直線をライン1、
前記第一の光半導体素子の重心を通り、前記ライン1から角度15°正面方向の直線をライン2、
前記第一の光半導体素子の重心を通り、前記ライン1から角度90°正面方向の直線をライン3としたとき、
前記ライン2と前記着色層とが重なる距離D1、および、前記ライン3と前記着色層とが重なる距離D2は、下記式(1)を満たし得、
前記基板表面からの前記第一の光半導体素子の正面側端部までの距離D3、および、前記第一の光半導体素子の重心と前記第二の光半導体素子の重心との中点における前記着色層の厚さD4は、下記式(2)を満たし得る、光半導体素子封止用シート。
D1>D2 (1)
D3>D4 (2)
【請求項6】
前記封止用樹脂層は、前記着色層の前記非着色層とは反対側に拡散機能層を備える、請求項5に記載の光半導体素子封止用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示体および光半導体素子封止用シートに関する。より詳細には、本発明は、例えば自発光型表示装置の光半導体素子を封止した表示体、および光半導体素子の封止に用いるのに適するシートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代型の表示装置として、ミニ/マイクロLED表示装置(Mini/Micro Light Emitting Diode Display)に代表される自発光型表示装置が考案されている。ミニ/マイクロLED表示装置は、基本構成として、多数の微小な光半導体素子(LEDチップ)が高密度に配列された基板が表示パネルとして使用され、当該光半導体素子は封止材で封止され、最表層に樹脂フィルムやガラス板などのカバー部材が積層されるものである。
【0003】
ミニ/マイクロLED表示装置等の自発光型表示装置を備える表示体では、表示パネルの基板上に金属やITOなどの金属酸化物の配線(金属配線)が配置されている。このような表示装置は、例えば消灯時において上記金属配線等により光が反射し画面の見栄えが悪く意匠性に劣るという問題があった。このため、光半導体素子を封止する封止材として、金属配線による反射を防止するための反射防止層を用いる技術が採用されている。
【0004】
また、自発光型表示装置を用いたディスプレイでは、光半導体素子の光源に起因して明るさにムラ(輝度ムラ)が生じるという問題があった。輝度ムラが生じると、ディスプレイの正面から見た場合と斜め視野から見た場合とで色味が変化する「カラーシフト」という現象が生じる。
【0005】
特許文献1には、輝度ムラを抑制することができる粘着シートとして、着色粘着剤層と無色粘着剤層との積層体であり、無色粘着剤層が光半導体素子と接触するように位置している粘着シートが開示されている。上記粘着シートによれば、基板と当該基板に設置された光半導体素子とで形成される凹凸形状に接触させて追従させた場合、無色粘着剤層が凹凸に接触することになり、無色粘着剤層によって凹凸がある程度吸収されるため、着色粘着剤層が圧縮されたり変形したりすることが抑制され、これにより粘着剤層における透過率のムラを抑制し、輝度ムラを抑制することができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-169262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、着色粘着剤層を備える粘着シートは、光半導体素子を封止した際に金属配線による反射を防止したり、輝度ムラを抑制する効果が期待されるものの、光半導体素子が発する光の透過性が低下し、その結果、表示体の正面輝度が低下するという問題があった。正面輝度が低下すると、輝度を上げるために消費電力が増加する。また、特許文献1の粘着シートは、光半導体素子の側面から発せられる光を充分に着色粘着剤層が吸収することができず、隣り合う光半導体素子が発する光同士の干渉が強く、カラーシフトが発生しやすいという問題があった。このため、カラーシフトが起こりにくく、輝度が高い表示体が求められている。
【0008】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、その目的は、カラーシフトが起こりにくく、且つ輝度が高い表示体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、光半導体素子を封止することにより、カラーシフトが起こりにくく、且つ輝度が高い表示体を作製可能な光半導体素子封止用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、光半導体素子側から着色層および非着色層を含む封止樹脂層により基板上に配置された複数の光半導体素子を封止した状態において、ピクセルの末端の光半導体素子の、隣り合う他のピクセル側の、特定の角度における着色層の距離と、光半導体素子正面側の着色層の距離とが特定の関係性を有し、且つ、光半導体素子の高さとピクセル間の着色層の厚さとが特定の関係性を有する表示体によれば、カラーシフトが起こりにくく、且つ輝度が高いことを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、基板と、上記基板上に配置された複数の光半導体素子と、上記複数の光半導体素子を封止する封止樹脂層とを備える表示体であり、
上記複数の光半導体素子は複数の光半導体素子を含むピクセルごとに複数配置しており、
上記封止樹脂層は、上記光半導体素子側から、着色層および非着色層をこの順に有し、
第一のピクセルにおける末端に位置する第一の光半導体素子の重心と、上記第一のピクセルに隣り合う第二のピクセルにおける、上記第一の光半導体素子側の末端に位置する第二の光半導体素子の重心とを通る、上記基板表面に対する垂直面断面において、
上記基板表面をベースライン、
上記ベースラインに平行であり、上記第一の光半導体素子の重心を通る直線をライン1、
上記第一の光半導体素子の重心を通り、上記ライン1から角度15°正面方向の直線をライン2、
上記第一の光半導体素子の重心を通り、上記ライン1から角度90°正面方向の直線をライン3としたとき、
上記ライン2と上記着色層とが重なる距離D1、および、上記ライン3と上記着色層とが重なる距離D2は、下記式(1)を満たし、
上記基板表面からの上記第一の光半導体素子の正面側端部までの距離D3、および、上記第一の光半導体素子の重心と上記第二の光半導体素子の重心との中点における上記着色層の厚さD4は、下記式(2)を満たす、表示体を提供する。
D1>D2 (1)
D3>D4 (2)
【0011】
上記表示体において、上記光半導体素子を封止する上記封止樹脂層が上記着色層を含むことにより、基板上に設けられた金属配線などによる光の反射を防止することができる。距離D1は、光半導体素子の正面方向に対して75°斜め方向の着色層の厚さに相当し、距離D2は、光半導体素子の正面方向に位置する着色層の厚さに相当する。距離D1が距離D2より大きいということは、光半導体素子が発する、隣り合うピクセル側の75°斜め方向の光の透過率よりも、正面方向の光の透過率が高いことを意味する。また、距離D3は、基板に設置された光半導体素子の高さに相当し、距離D4はピクセル間における着色層の厚さに相当する。距離D3が厚さD4より大きいということは、ピクセル間の光半導体素子が発する光同士の干渉を抑制しつつも、光半導体素子が発する正面斜め方向の光を適度に透過させることができ、正面輝度が高くなる。このため、D1>D2およびD3>D4を満たす表示体は、光半導体素子が発する光が、正面方向(例えば150°視野)の透過性に優れつつ、側面方向の透過性が低く抑えられており、表示体はカラーシフトが起こりにくく、且つ正面輝度が高い。
【0012】
上記封止樹脂層は、上記着色層の光半導体素子側に拡散機能層を備えることが好ましい。このような構成を有することで、光半導体素子が側面方向に発する光を上記拡散機能層中で拡散させ、正面輝度をより高くすることができる。
【0013】
上記表示体は自発光型表示装置を備えることが好ましい。
【0014】
上記表示体は画像表示装置であることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、基板上に、複数の光半導体素子を含むピクセルごとに配置された複数の光半導体素子を封止するためのシートであって、
上記シートは、着色層および非着色層を含む封止用樹脂層を備え、
上記封止用樹脂層により上記着色層側が上記光半導体素子側となるように上記複数の光半導体素子を封止して封止樹脂層を形成した際、
第一のピクセルにおける末端に位置する第一の光半導体素子の重心と、上記第一のピクセルに隣り合う第二のピクセルにおける、上記第一の光半導体素子側の末端に位置する第二の光半導体素子の重心とを通る、上記基板表面に対する垂直面断面において、
上記基板表面をベースライン、
上記ベースラインに平行であり、上記第一の光半導体素子の重心を通る直線をライン1、
上記第一の光半導体素子の重心を通り、上記ライン1から角度15°正面方向の直線をライン2、
上記第一の光半導体素子の重心を通り、上記ライン1から角度90°正面方向の直線をライン3としたとき、
上記ライン2と上記着色層とが重なる距離D1、および、上記ライン3と上記着色層とが重なる距離D2は、下記式(1)を満たし得、
上記基板表面からの上記第一の光半導体素子の正面側端部までの距離D3、および、上記第一の光半導体素子の重心と上記第二の光半導体素子の重心との中点における上記着色層の厚さD4は、下記式(2)を満たし得る、光半導体素子封止用シートを提供する。
D1>D2 (1)
D3>D4 (2)
【0016】
上記封止用樹脂層は、上記着色層の上記非着色層とは反対側に拡散機能層を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の表示体によれば、光半導体素子が発する光によるカラーシフトが起こりにくく、且つ輝度が高い。このため、上記表示体は、広い視野から同じ色味で表示体を視認することができる。また、上記表示体は消費電力を高くしなくても明るく見栄えが良い。また、本発明の光半導体素子封止用シートによれば、光半導体素子を封止することにより、カラーシフトが起こりにくく、且つ輝度が高い表示体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】基板上に複数の光半導体素子がピクセル単位で配置された光学部材の部分上面図である。
図2】本発明の表示体の一実施形態を示す部分断面図である。
図3図2に示す表示体の部分拡大図である。
図4図2に示す表示体の光半導体素子が発光する様子を示す部分断面図である。
図5】従来の表示体の光半導体素子が発光する様子を示す部分断面図である。
図6】本発明の表示体の他の一実施形態を示す部分断面図である。
図7】本発明の表示体のさらに他の一実施形態を示す部分断面図である。
図8】本発明の光半導体素子封止用シートの一実施形態を示す断面図である。
図9図8に示す光半導体素子封止用シートを用いて光半導体素子を封止する工程を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[表示体]
本発明の表示体は、基板と、上記基板上に配置された複数の光半導体素子と、上記複数の光半導体素子を封止する封止樹脂層とを少なくとも備える。上記表示体は、光半導体素子が発する光により情報を表示するための装置である。
【0020】
上記光半導体素子としては、例えば、青色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、赤色発光ダイオード、紫外線発光ダイオード等の発光ダイオード(LED)が挙げられる。
【0021】
上記基板上に、上記複数の光半導体素子は1つのピクセル(画素)内に配置しており、上記ピクセルは複数配置している。すなわち、上記複数の光半導体素子は、複数の光半導体素子を含むピクセルごとに複数配置している。図1に、基板上に複数の光半導体素子がピクセルごとに配置された光学部材の部分上面図を示す。図1に示す光学部材11では、基板2上に、3つの光半導体素子3a~3cが近接するように配置されており、3つの光半導体素子3a~3cで1ピクセル(ピクセル3)を形成している。また、基板2上に、3つの光半導体素子3d~3fが近接するように配置されており、3つの光半導体素子3d~3fで1ピクセル(ピクセル3’)を形成している。そして基板2上には、ピクセル3、ピクセル3’などと複数のピクセルが配置している。
【0022】
本発明の表示体は、2つの光半導体素子間の、光半導体素子を配置されていない領域の基板表面を凹部、光半導体素子を凸部とした、基板および光半導体素子により形成される凹凸形状を有する。
【0023】
上記基板上の上記光半導体素子の高さ(基板表面から光半導体素子正面側の端部までの高さ)は500μm以下であることが好ましい。上記高さが500μm以下であると、上記凹凸形状に対する封止樹脂層の追従性により優れる。
【0024】
上記封止樹脂層は、複数の光半導体素子に接触して上記凹凸形状に追従していることが好ましい。また、上記封止樹脂層は、上記複数の光半導体素子を一括して封止していることが好ましい。なお、本明細書において、「光半導体素子を封止する」とは、光半導体素子の少なくとも一部を封止樹脂層内に埋め込むこと、または、上記封止樹脂層により追従し被覆することをいう。
【0025】
上記封止樹脂層は、着色層および非着色層を少なくとも含み、上記光半導体素子側から、上記着色層および上記非着色層をこの順に有する。上記封止樹脂層において、上記着色層および上記非着色層は直接積層していてもよく、他の層を介して積層していてもよい。
【0026】
上記基板上に設置された、第一のピクセルにおける末端に位置する第一の光半導体素子の重心と、第一のピクセルに隣り合う第二のピクセルにおける、第一の光半導体素子側の末端に位置する第二の光半導体素子の重心とを通る、上記基板表面に対する垂直面断面において、上記基板表面をベースラインとする。上記ベースラインに平行であり、上記第一の光半導体素子の重心を通る直線をライン1とする。上記第一の光半導体素子の重心を通り、上記ライン1から角度15°正面方向の直線をライン2とする。上記第一の光半導体素子の重心を通り、上記ライン1から角度90°正面方向の直線をライン3とする。そして、上記ライン2と上記着色層とが重なる距離をD1、上記ライン3と上記着色層とが重なる距離をD2としたとき、本発明の表示体は、D1およびD2について下記式(1)を満たす。また、上記基板表面からの上記第一の光半導体素子の正面側端部までの距離をD3、上記第一の光半導体素子の重心と上記第二の光半導体素子の重心との中点における上記着色層の厚さをD4としたとき、本発明の表示体は、D3およびD4について下記式(2)を満たす。
D1>D2 (1)
D3>D4 (2)
【0027】
上記表示体において、上記光半導体素子を封止する上記封止樹脂層が上記着色層を含むことにより、基板上に設けられた金属配線などによる光の反射を防止することができる。距離D1は、光半導体素子の正面方向に対して75°斜め方向の着色層の厚さに相当し、距離D2は、光半導体素子の正面方向に位置する着色層の厚さに相当する。距離D1が距離D2より大きいということは、光半導体素子が発する、隣り合うピクセル側の75°斜め方向の光の透過率よりも、正面方向の光の透過率が高いことを意味する。また、距離D3は、基板に設置された光半導体素子の高さに相当し、距離D4はピクセル間における着色層の厚さに相当する。距離D3が距離D4より大きいということは、ピクセル間の光半導体素子が発する光同士の干渉を抑制しつつも、光半導体素子が発する正面斜め方向の光を適度に透過させることができ、正面輝度が高くなる。このため、D1>D2およびD3>D4を満たす表示体は、光半導体素子が発する光が、正面方向(例えば150°視野)の透過性に優れつつ、側面方向の透過性が低く抑えられており、表示体はカラーシフトが起こりにくく、且つ正面輝度が高い。
【0028】
なお、本明細書において「正面」とは、表示体を視認する側をいい、例えば後述の図2では上方向である。
【0029】
本発明の表示体について、その一実施形態である図2に示す表示体を用いて説明する。図2に示す表示体1は、基板2と、基板2上に配置された複数の光半導体素子3b,3c,3d,および3eと、これら光半導体素子3b~3eを一括して封止する封止樹脂層4と、封止樹脂層4の光半導体素子3b~3e側とは反対側の表面に貼り合わせられた基材部5とを備える。図2は、光半導体素子3b~3eの重心を通る、基板2に対する垂直面断面の拡大図である。
【0030】
光半導体素子3b~3eは、それぞれ、支持体31により一つの基板2上に固定されている。表示体1は、光半導体素子3b~3e間の、光半導体素子を配置されていない領域の基板2表面を凹部N、光半導体素子3b~3eを凸部Pとした、基板2および光半導体素子3b~3eにより形成される凹凸形状を有する。
【0031】
図2における光半導体素子3bおよび3cは図1に示す光半導体素子3bおよび3cであり、光半導体素子3a~3cは同一ピクセル3内に位置する。また、図2における光半導体素子3dおよび3eは図1に示す光半導体素子3dおよび3eであり、光半導体素子3d~3fは同一ピクセル3’内に位置する。ピクセル3およびピクセル3’は隣り合うピクセルであり、ピクセル3が第一のピクセルである場合、ピクセル3’は第二のピクセルである。そして、光半導体素子3cはピクセル3内の末端に位置する第一の光半導体素子であり、光半導体素子3dはピクセル3’内の末端に位置し、且つ光半導体素子3cに隣り合う第二の光半導体素子である。
【0032】
図2に示すように、封止樹脂層4は、複数の光半導体素子3b~3eに接触して上記凹凸形状に追従し、複数の光半導体素子3b~3eを一括して封止している。
【0033】
封止樹脂層4は、非着色層41、着色層42、および非着色層43がこの順に、直接積層して構成されており、非着色層41側が光半導体素子3b~3e側となるように光半導体素子3b~3eを封止している。光半導体素子3b~3eに接触する非着色層41は上記凹凸形状に追従しており、表示体1において非着色層41および着色層42も凹凸形状を有する。一方、非着色層43は一方の面が着色層42の凹凸形状に追従することで着色層42の凹凸形状とは逆の凹凸形状を有し、他方の面は平面(フラット)となっている。なお、非着色層41および非着色層43は、それぞれ独立して、後述の拡散機能層であってもよく、非拡散機能層であってもよい。
【0034】
図3に、図2に示す表示体1の光半導体素子3cおよび3d間付近の拡大図を示す。図3に示す表示体1において、基板2表面をベースラインBとし、ベースラインBに平行であり、第一の光半導体素子3cの重心GCを通る直線はライン1L1である。第一の光半導体素子3cの重心GCを通り、ライン1L1から角度15°正面方向の直線はライン2L2である。第一の光半導体素子3cの重心GCを通り、ライン1L1から角度90°正面方向の直線はライン3L3である。ライン3L3は、重心GCを通る、ベースラインBに対する垂線である。すなわち、図3に示すθ1は15°であり、θ2は90°である。ライン2L2と着色層42とが重なる距離はD1であり、ライン3L3と着色層42とが重なる距離はD2である。また、光半導体素子3cの正面側端部はTAである。TAは光半導体素子3cの最も正面側に位置する部分である。光半導体素子3cの重心GCと光半導体素子3dの重心GDの中点はCである。基板2表面からTAまでの距離はD3であり、中点Cにおける着色層42の厚さはD4である。そして、表示体1において、D1およびD2はD1>D2を満たし、D3およびD4は、D3>D4を満たす。
【0035】
表示体1において、封止樹脂層4が着色層42を含むことにより、基板2上に設けられた金属配線などによる光の反射を防止することができる。そして、D1およびD2は、D1>D2を満たすことにより、光半導体素子3cが発する、隣り合うピクセル側の75°斜め方向の光の透過率よりも、正面方向の光の透過率が高い。また、D3およびD4は、D3>D4を満たすことにより、光半導体素子3cおよび3dが発する光同士の干渉を抑制しつつも、光半導体素子3cが発する正面斜め方向の光を適度に透過させることができ、正面輝度が高くなる。このため、光半導体素子が発する光は、正面方向の透過性に優れつつ、側面方向の透過性が低く抑えられており、表示体はカラーシフトが起こりにくく、且つ正面輝度が高い。
【0036】
なお、図3では、ピクセルの端部にある光半導体素子3cが上記式(1)および(2)を満たす場合について説明したが、光半導体素子3cとともにまたは代えて、隣り合うピクセルの端部に位置する光半導体素子3dが上記式(1)および(2)を満たしてもよい。
【0037】
具体的に説明すると、図4に示すように、光半導体素子3cが発する正面への光FAおよび光半導体素子3dが発する正面への光FBの透過性に優れ、正面輝度が高くなる。一方、光半導体素子3cが発する右方向への光RAおよび左方向への光LA、ならびに光半導体素子3dが発する右方向への光RBおよび左方向への光LBの透過は着色層42に妨げられることで、隣り合うピクセル内の光半導体素子3cおよび3dがそれぞれ発する光を互いに干渉しにくく、カラーシフトが抑制される。
【0038】
一方、図5に従来の表示体の一実施形態を示す。図5に示す表示体では、光半導体素子3cおよび3d間の着色層42の厚さは光半導体素子3cの高さに比べて高く、D3<D4となる。光半導体素子3cが発する右方向への光RAおよび左方向への光LA、ならびに光半導体素子3dが発する右方向への光RBおよび左方向への光LBの透過は着色層42に妨げられにくく、隣り合うピクセル内の光半導体素子3cおよび3dがそれぞれ発する光を互いに干渉するため、カラーシフトが発生しやすい。また、光半導体素子3cおよび3dが正面斜め方向に発する光は着色層42を透過しにくく、正面輝度が不充分となりやすい。なお、図5に示す態様において、着色層42の厚さを厚くすると光半導体素子3cおよび3dが発する光FAおよびFBの光量は低下する。また、着色層42の厚さを薄くすると正面斜め方向の光の透過率が高くなり、カラーシフトがより発生しやすくなる。これに対し、本発明の表示体であれば、正面輝度の高さ、カラーシフトの防止、および反射防止能の全てを優れたものとすることができる。
【0039】
このように、本発明の表示体は、D1およびD2がD1>D2を満たし、D3およびD4がD3>D4を満たすことにより、光半導体素子が発する光は、正面方向の透過性に優れつつ、側面方向の透過性が低く抑えられており、カラーシフトが起こりにくく、且つ正面輝度が高い。
【0040】
光半導体素子の重心は光半導体素子の立体形状によって決定される。光半導体素子の立体形状は特に限定されず、立方体や直方体等の角柱、角錐台、円柱、円錐台、これらの上部をドーム型とした形状などが挙げられる。光半導体素子の立体形状が正角柱状である場合の重心は光半導体素子の中心である。
【0041】
なお、表示体1において、基材部5は備えていなくてもよい。また、1ピクセル内の光半導体素子の数は3個でなくてもよく特に限定されない。
【0042】
本発明の表示体の他の一実施形態を図6に示す。図6に示す表示体1は、非着色層41を備えないこと以外は図2に示す表示体1と同様である。具体的には、図6に示す表示体1において、封止樹脂層4は、光半導体素子3b~3e側から、着色層42および非着色層43がこの順に、直接積層して構成されており、着色層42側が光半導体素子3b~3e側となるように光半導体素子3b~3eを封止している。光半導体素子3b~3eに接触する着色層42は上記凹凸形状に追従しており、非着色層43は一方の面が着色層42の凹凸形状に追従することで着色層42の凹凸形状とは逆の凹凸形状を有し、他方の面は平面(フラット)となっている。図6に示す表示体1は上記式(1)および(2)を満たす。なお、非着色層43は、後述の拡散機能層であってもよく、非拡散機能層であってもよい。このように、本発明の表示体は、着色層よりも光半導体素子側に非着色層を備えなくてもよい。
【0043】
本発明の表示体のさらに他の一実施形態を図7に示す。図7に示す表示体1は、着色層42の正面側界面がフラットとなっていること以外は図2に示す表示体1と同様である。具体的には、図7に示す表示体1において、封止樹脂層4は、光半導体素子3b~3e側から、非着色層41、着色層42、および非着色層43がこの順に、直接積層して構成されており、非着色層41側が光半導体素子3b~3e側となるように光半導体素子3b~3eを封止している。光半導体素子3b~3eに接触する非着色層41は上記凹凸形状に追従しており、表示体1において着色層42も凹凸形状を有する。一方、着色層42は一方の面が非着色層41の凹凸形状に追従することで非着色層41の凹凸形状とは逆の凹凸形状を有し、他方の面は平面(フラット)となっている。非着色層43は両面がフラットとなっている。図7に示す表示体1は上記式(1)および(2)を満たす。なお、非着色層41および非着色層43は、それぞれ独立して、後述の拡散機能層であってもよく、非拡散機能層であってもよい。
【0044】
上記垂直面断面において、D3は、上記第一の光半導体素子および上記第二の光半導体素子の中点を通る基板表面に対する垂線において、基板表面から上記着色層の基板側界面までの距離よりも長いことが好ましい。この場合、上記着色層の基板側界面が光半導体素子の側面の基板に近い位置となりやすく、光半導体素子が発する側面方向の光は上記着色層により吸収され、透過性が低く抑えられ、カラーシフトがより起こりにくい。図2,6,および7に示す表示体1では、上記第一の光半導体素子および上記第二の光半導体素子の中点を通る基板表面に対する垂線において、基板表面から上記着色層の基板側界面までの距離よりも長い。
【0045】
上記垂直面断面において、D3は、上記第一の光半導体素子および上記第二の光半導体素子の中点を通る基板表面に対する垂線において、基板表面から上記着色層の正面側界面までの距離よりも長いことが好ましい。この場合、光半導体素子が発する側面方向の光は上記着色層により吸収され、透過性が低く抑えられ、カラーシフトがより起こりにくい。図2および6に示す表示体1では、上記第一の光半導体素子および上記第二の光半導体素子の中点を通る基板表面に対する垂線において、基板表面から上記着色層の正面側界面までの距離よりも長い。
【0046】
図2~7に示す表示体の断面図は、例えば、表示体を冷却した状態で、複数の光半導体素子の重心を通るように、基板面に対して垂直に切断することで断面を露出させて得ることができる。表示体を冷却することで、切断時に発生する熱により封止樹脂層に融解や変形が起こるのを抑制できる。切断は、レーザービーム照射やイオンビーム照射などの公知乃至慣用の切断装置を用いて行うことができる。また、切断後、露出した断面をミリングして、より変形度が低い断面を露出させてもよい。冷却時の温度は封止樹脂層の変形度合いや表示体の割れを抑制する範囲内で適宜設定される。
【0047】
<封止樹脂層>
上記封止樹脂層は上記着色層および上記非着色層を少なくとも備える。上記封止樹脂層を構成する各層(上記着色層および上記非着色層)は、それぞれ、上記封止樹脂層内において単層であってもよいし、同一または異なる組成を有する複層であってもよい。着色層や非着色層が複層含まれる場合、上記複層は接触して積層していてもよいし、隔離して積層(例えば2つの着色層が1つの非着色層を介して積層)していてもよい。上記封止樹脂層が着色層および非着色層の1以上を複層備える場合、少なくとも1つの着色層および非着色層の組み合わせについて、光半導体素子側から着色層および非着色層をこの順に有し、且つこれらの着色層および非着色層について、D1>D2およびD3>D4を満たせばよい。また、上記封止樹脂層を構成する層の総数は、上記着色層および上記非着色層を含む2以上であり、3以上であってもよい。上記層の総数は、表示体の厚さを薄くする観点から、例えば10以下であり、5以下または4以下であってもよい。
【0048】
上記封止樹脂層は拡散機能層を含むことが好ましい。このような構成を有することで、光半導体素子が発する光を上記拡散機能層中で拡散させ、正面輝度をより高くすることができる。上記拡散機能層は本明細書における非着色層に該当する層であることが好ましい。図2において、非着色層41は拡散機能層であることが好ましい。図2,6,および7において非着色層43は、拡散機能層であってもよく、非拡散機能層であってもよい。
【0049】
上記封止樹脂層が上記拡散機能層を備える場合、上記封止樹脂層は、上記光半導体素子側から、上記拡散機能層、上記着色層、および上記非着色層をこの順に備えることが好ましい。上記非着色層は、拡散機能層および非拡散機能層のいずれであってもよい。このような構成を有することで、正面輝度をより高くしつつ、消灯時および発光時の両方において表示体の見栄えをより向上させることができる。図2および7において、封止樹脂層4は、光半導体素子側から、拡散機能層である非着色層41、着色層42、および非着色層43をこの順に備える。非着色層43は、拡散機能層であってもよく、非拡散機能層であってもよい。
【0050】
本発明の表示体において、上記着色層は、少なくとも一方の面(特に、光半導体素子側の面)が上記凹凸形状に追従した凹凸形状を有することが好ましい。この場合、本発明の表示体は上記式(1)および(2)を満たしやすくなる。また、上記着色層は、正面側の面が上記凹凸形状に追従した凹凸形状を有していてもよい。図2および図6に示す表示体1において、着色層42は正面側および光半導体素子側の両面が凹凸形状を有する。図7に示す表示体1において、着色層42は正面側の面が凹凸形状を有する。
【0051】
本発明の表示体において、上記着色層よりも正面側にある上記非着色層は、正面側が平面(フラット)となっていることが好ましい。この場合、上記封止樹脂層表面で外光の乱反射を起こりにくくし、消灯時および発光時の両方において表示体の見栄えが向上する。図2,6,および7に示す表示体1において、非着色層43の正面側がフラットとなっている。
【0052】
本発明の表示体において、上記着色層よりも上記光半導体素子側に上記非着色層を備えていてもよい。すなわち、上記封止樹脂層は、上記光半導体素子側から、上記非着色層および上記着色層をこの順に備えていてもよい。また、上記着色層よりも上記光半導体素子側に上記非着色層を備える場合、上記非着色層は、両面が上記凹凸形状に追従した凹凸形状を有することが好ましい。このような構成を有すると上記着色層が凹凸形状を有することとなりやすい。図2および図7に示す表示体1において、封止樹脂層4は、光半導体素子3b~3e側から、非着色層41および着色層42をこの順に備え、非着色層41は両面が上記凹凸形状に追従した凹凸形状を有する。
【0053】
上記着色層よりも上記光半導体素子側に備える上記非着色層は、拡散機能層であることが好ましい。このような構成を有することで、光半導体素子が側面方向に発する光を上記拡散機能層中で拡散させ、正面輝度をより高くすることができる。
【0054】
上記封止樹脂層を構成する各層(上記着色層および上記非着色層)は、それぞれ独立して、粘着性を有していてもよく、有していなくてもよい。中でも、粘着性を有することが好ましい。このような構成を有することにより、上記封止樹脂層は光半導体素子を容易に封止することができ、また、各層間の密着性に優れ、光半導体素子の封止性により優れる。特に、少なくとも光半導体素子に接触する層は粘着性を有することが好ましい。このような構成を有することにより、封止樹脂層による光半導体素子の追従性および埋め込み性に優れる。その結果、光半導体素子による段差が高い場合であっても意匠性に優れる。なお、光半導体素子に接触する層以外の層は粘着性を有しなくてもよい。この場合、タイリング状態において隣接する封止樹脂層同士の密着性が低く、隣接した小サイズの積層体(基板上に配置された光半導体素子を封止樹脂層が封止した積層体)同士を引き離す際、封止樹脂層の欠損や隣接する封止樹脂層の付着が起こりにくい。
【0055】
(着色層)
本発明の表示体における着色層は、表示体において基板上に設けられた金属配線などによる光の反射を防止することを目的とする層である。上記着色層は着色剤を少なくとも含む。上記着色層は、樹脂で構成される樹脂層であることが好ましい。上記着色剤は、上記着色層に溶解または分散可能なものであれば、染料でも顔料でもよい。少量の添加でも低いヘイズが達成でき、顔料のように沈降性がなく均一に分布させやすいことから、染料が好ましい。また、少量の添加でも色発現性が高いことから、顔料も好ましい。着色剤として顔料を使用する場合は、導電性が低いか、ないものが好ましい。上記着色剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0056】
上記着色剤としては、黒系着色剤が好ましい。上記黒系着色剤としては、公知乃至慣用の黒色を呈するための着色剤(顔料、染料等)を用いることができ、例えば、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、松煙等)、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライト等)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、アントラキノン系着色剤、窒化ジルコニウムなどが挙げられる。また、黒色以外の色を呈する着色剤を組み合わせて配合して黒系着色剤として機能する着色剤を用いてもよい。
【0057】
上記着色層における着色剤の含有割合は、適切な反射防止能を表示体に付与する観点からは、着色層の総量100質量%に対して、0.2質量%以上が好ましく、より好ましくは0.4質量%以上である。また、上記着色剤の含有割合は、例えば10質量%以下であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。上記含有割合は、着色剤の種類や、表示体の色調および光透過率等に応じて適宜設定すればよい。着色剤は、適宜の溶媒に溶解または分散させた溶液または分散液として、組成物に添加してもよい。
【0058】
上記着色層のヘイズ値(初期ヘイズ値)は、特に限定されないが、正面輝度および表示体の視認性を確保する観点から、50%以下が好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下である。また、上記着色層のヘイズ値は、表示体の輝度ムラを効率的に低減する観点から、1%以上が好ましく、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上、特に好ましくは8%以上であり、10%以上であってもよい。上記ヘイズ値は、上記表示体中において上記着色層が最も厚い部分の値である。
【0059】
上記着色層の全光線透過率は、特に限定されないが、表示体における金属配線などの反射防止機能、コントラストをより向上させるという観点から、40%以下が好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは25%以下、特に好ましくは20%以下である。また、上記着色層の全光線透過率は、表示体の輝度を確保するという観点から、0.5%以上であることが好ましく、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上、特に好ましくは2%以上であり、2.5%以上、または3%以上であってもよい。上記全光線透過率は、上記表示体中において上記着色層が最も厚い部分の値である。
【0060】
上記着色層のヘイズ値および全光線透過率は、それぞれ、単層の値であり、JIS K7136、JIS K7361-1で定める方法により測定できるものであり、種類や厚さ、着色剤の種類や配合量などにより制御することができる。
【0061】
(非着色層)
上記非着色層は、上記着色層とは異なる層であり、表示体において基板上に設けられた金属配線などによる光の反射を防止することを目的としない層である。上記非着色層は、無色層であってもよく、わずかに着色していてもよい。また、上記非着色層は、例えば光を拡散する機能を発揮することを目的とする拡散機能層であってもよく、光を拡散する機能を発揮することを目的としない非拡散機能層であってもよい。上記非着色層は、透明であってもよく、非透明であってもよい。上記非着色層は樹脂で構成される樹脂層であることが好ましい。
【0062】
上記非着色層における着色剤の含有割合は、非着色層の総量100質量%に対して、0.2質量%未満が好ましく、より好ましくは0.1質量%未満、さらに好ましくは0.05質量%未満であり、0.01質量%未満または0.005質量%未満であってもよい。
【0063】
上記非着色層の全光線透過率は、特に限定されないが、表示体の輝度を確保するという観点から、40%以上が好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。また、上記非着色層の全光線透過率の上限値は特に限定されないが、100%未満であってもよく、99.9%以下、または99%以下であってもよい。上記全光線透過率は、上記表示体中において上記非着色層が最も厚い部分の値である。
【0064】
上記非着色層の全光線透過率は、単層の値であり、JIS K7136、JIS K7361-1で定める方法により測定できるものであり、非着色層の種類や厚さなどにより制御することができる。
【0065】
上記拡散機能層は、光を拡散することを目的とする層である。上記封止樹脂層が上記拡散機能層を有すると、光半導体素子から発せられる光が拡散機能層中で拡散し、例えば光半導体素子の側面から発せられる光が表示体の正面方向に放出され、表示体の正面輝度が向上する。上記拡散機能層は樹脂で構成される樹脂層であることが好ましい。上記拡散機能層は、限定されないが、光拡散性微粒子を含むことが好ましい。すなわち、上記拡散機能層は、樹脂層中に分散した光拡散性微粒子を含むことが好ましい。上記光拡散性微粒子は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0066】
上記光拡散性微粒子は、拡散機能層を構成する樹脂との適切な屈折率差を有し、拡散機能層に拡散性能を付与するものである。光拡散性微粒子としては、無機微粒子、高分子微粒子などが挙げられる。無機微粒子の材質としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、金属酸化物などが挙げられる。高分子微粒子の材質としては、例えば、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリレート樹脂を含む)、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0067】
上記高分子微粒子としては、シリコーン樹脂で構成される微粒子が好ましい。また、上記無機微粒子としては、金属酸化物で構成される微粒子が好ましい。上記金属酸化物としては、酸化チタン、チタン酸バリウムが好ましく、より好ましくは酸化チタンである。このような構成を有することにより、上記拡散機能層の光拡散性により優れ、輝度ムラがより抑制される。
【0068】
上記光拡散性微粒子の形状は、特に限定されず、例えば、真球状、扁平状、不定形状であってもよい。
【0069】
上記光拡散性微粒子の平均粒子径は、適切な光拡散性能を付与する観点からは、0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.15μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上、特に好ましくは0.25μm以上である。また、上記光拡散性微粒子の平均粒子径は、ヘイズ値が高くなり過ぎることを防止し、高精細な画像を表示する観点から、12μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。平均粒子径は、例えば、コールターカウンターを用いて測定することができる。
【0070】
上記光拡散性微粒子の屈折率は、1.2~5が好ましく、より好ましくは1.25~4.5、さらに好ましくは1.3~4、特に好ましくは1.35~3である。
【0071】
上記光拡散性微粒子と拡散機能層を構成する樹脂(拡散機能層において光拡散性微粒子を除いた樹脂層)との屈折率差の絶対値は、表示体の輝度ムラをより効率的に低減する観点から、0.001以上が好ましく、より好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.02以上、特に好ましくは0.03以上であり、0.04以上、または0.05以上であってもよい。また、光拡散性微粒子と樹脂との屈折率差の絶対値は、ヘイズ値が高くなり過ぎることを防止し、高精細な画像を表示する観点から、5以下が好ましく、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。
【0072】
上記拡散機能層中の上記光拡散性微粒子の含有量は、適切な光拡散性能を封止樹脂層に付与する観点からは、拡散機能層を構成する樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上、特に好ましくは0.15質量部以上である。また、光拡散性微粒子の含有量は、ヘイズ値が高くなり過ぎることを防止し、高精細な画像を表示する観点から、拡散機能層を構成する樹脂100質量部に対して、80質量部以下が好ましく、より好ましくは70質量部以下である。
【0073】
上記拡散機能層のヘイズ値(初期ヘイズ値)は、特に限定されないが、輝度ムラを効率的に低減する観点から、30%以上が好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上であり、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、97%以上であってもよく、さらに99.9%付近のものが輝度ムラ改善効果により優れて好ましい。なお、上記拡散機能層のヘイズ値の上限は、特に限定されず、すなわち、100%であってもよい。上記ヘイズ値は、上記表示体中において上記拡散機能層が最も厚い部分の値である。
【0074】
上記拡散機能層の全光線透過率は、特に限定されないが、輝度を確保するという観点から、40%以上が好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。また、上記拡散機能層の全光線透過率の上限値は特に限定されないが、100%未満であってもよく、99.9%以下、または99%以下であってもよい。上記全光線透過率は、上記表示体中において上記拡散機能層が最も厚い部分の値である。
【0075】
上記拡散機能層のヘイズ値および全光線透過率は、それぞれ、単層の値であり、JIS K7136、JIS K7361-1で定める方法により測定できるものであり、拡散機能層の種類や厚さ、光拡散性微粒子の種類や配合量などにより制御することができる。
【0076】
上記非拡散機能層のヘイズ値(初期ヘイズ値)は、特に限定されないが、表示体の輝度を優れたものとする観点から、30%未満が好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは1%以下であり、0.5%以下であってもよい。なお、上記非拡散機能層のヘイズ値の下限は特に限定されない。上記ヘイズ値は、上記表示体中において上記非拡散機能層が最も厚い部分の値である。
【0077】
上記非拡散機能層の全光線透過率は、特に限定されないが、表示体の輝度を確保するという観点から、60%以上が好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。また、上記非拡散機能層の全光線透過率の上限値は特に限定されないが、100%未満であってもよく、99.9%以下、または99%以下であってもよい。上記全光線透過率は、上記表示体中において上記非拡散機能層が最も厚い部分の値である。
【0078】
上記非拡散機能層のヘイズ値および全光線透過率は、それぞれ、単層の値であり、JIS K7136、JIS K7361-1で定める方法により測定できるものであり、非拡散機能層の種類や厚さなどにより制御することができる。
【0079】
上記非拡散機能層中の着色剤および/または光拡散性微粒子の含有量は、表示体の輝度を優れたものとする観点から、非拡散機能層を構成する樹脂100質量部に対して、0.01質量部未満が好ましく、より好ましくは0.005質量部未満である。
【0080】
(樹脂層)
上記着色層および上記非着色層が上記樹脂層である場合、上記樹脂層を構成する樹脂としては、公知乃至慣用の樹脂が挙げられ、例えば、アクリル系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、エポキシ系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、オキセタン系樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリビニルエーテル等)、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィンなどが挙げられる。上記樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。上記封止樹脂層の各層を構成する樹脂は、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0081】
上記樹脂層が粘着性を有する層(粘着層)である場合、上記樹脂として、公知乃至慣用の感圧型の粘着剤を用いることができる。上記粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤(天然ゴム系、合成ゴム系、これらの混合系等)、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤などが挙げられる。上記粘着剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0082】
上記樹脂層は、上記各層において本発明の効果を損なわない範囲で、上述の各成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分としては、硬化剤、架橋促進剤、粘着付与樹脂(ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール等)、オリゴマー、老化防止剤、充填剤(金属粉、有機充填剤、無機充填剤等)、酸化防止剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤、表面潤滑剤、レベリング剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、粒状物、箔状物などが挙げられる。上記その他の成分は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0083】
上記封止樹脂層の積層構造としては、[着色層/拡散機能層]、[着色層/非拡散機能層]、[着色層/拡散機能層/非拡散機能層]、[着色層/非拡散機能層/拡散機能層]、[拡散機能層/着色層/非拡散機能層]、[非拡散機能層/着色層/拡散機能層]、[拡散機能層/着色層/拡散機能層]、[非拡散機能層/着色層/非拡散機能層](以上、光半導体素子側から順)などが挙げられる。
【0084】
<基材部>
本発明の表示体は、基材部を備えていてもよく、備えていなくてもよい。上記基材部は、上記表示体において封止樹脂層の正面側に備えると、封止樹脂層表面をフラットにすることができ、これより光の乱反射を起こりにくくし、消灯時および発光時の両方において表示体の見栄えが向上する。また、上記基材部に後述のアンチグレア層や反射防止層を形成することで表示体にアンチグレア性や反射防止性を付与することができる。また、後述の光半導体素子封止用シートにおいて封止用樹脂層の支持体となり、上記基材部を備えることにより光半導体素子封止用シートの取り扱い性に優れる。
【0085】
上記基材部は、単層であってもよいし、同一または組成や厚さ等が異なる複層であってもよい。上記基材部が複層である場合、各層は粘着剤層などの他の層により貼り合わせられていてもよい。なお、基材部に使用される基材層は、封止樹脂層とともに光半導体素子を備える基板に貼付される部分であり、光半導体素子封止用シートの使用時(貼付時)に剥離されるはく離ライナーや、基材部表面を保護するに過ぎない表面保護フィルムは「基材部」には含まない。
【0086】
上記基材部を構成する基材層としては、例えば、ガラスやプラスチック基材(特に、プラスチックフィルム)などが挙げられる。上記プラスチック基材を構成する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、アイオノマー、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-プロピレン共重合体、環状オレフィン系ポリマー、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体等のポリオレフィン樹脂;ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルイミド;アラミド、全芳香族ポリアミド等のポリアミド;ポリフェニルスルフィド;フッ素樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース樹脂;シリコーン樹脂;ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂;ポリサルフォン;ポリアリレート;ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。上記樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。上記基材層は、反射防止(AR)フィルム、偏光板、位相差板等の各種光学フィルムであってもよい。
【0087】
上記プラスチックフィルムの厚さは、20~300μmであることが好ましく、より好ましくは40~250μmである。上記厚さが20μm以上であると、光半導体素子封止用シートの支持性および取り扱い性がより向上する。上記厚さが300μm以下であると、表示体をより薄くすることができる。
【0088】
上記基材部の上記封止樹脂層を備える側の表面は、封止樹脂層との密着性、保持性等を高める目的で、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、サンドマット加工処理、オゾン暴露処理、火炎暴露処理、高圧電撃暴露処理、イオン化放射線処理等の物理的処理;クロム酸処理等の化学的処理;コーティング剤(下塗り剤)による易接着処理等の表面処理が施されていてもよい。密着性を高めるための表面処理は、基材部における封止樹脂層側の表面全体に施されていることが好ましい。
【0089】
上記基材部の厚さは、支持体としての機能および表面の耐擦傷性に優れる観点から、5μm以上が好ましく、より好ましくは10μm以上である。上記基材部の厚さは、透明性により優れる観点から、300μm以下が好ましく、より好ましくは250μm以下である。
【0090】
<表示体>
上記表示体は、アンチグレア性および/または反射防止性を有する層を備えていてもよい。このような構成を有することにより、上記表示体の光沢や光の反射を抑制し、見栄えをより良くすることができる。上記アンチグレア性を有する層としてはアンチグレア処理層が挙げられる。上記反射防止性を有する層としては反射防止処理層が挙げられる。アンチグレア処理および反射防止処理は、それぞれ、公知乃至慣用の方法で実施することができる。上記アンチグレア性を有する層および上記反射防止性を有する層は、同一層であってもよいし、互いに異なる層であってもよい。上記アンチグレア性および/または反射防止性を有する層は、一層のみ有していてもよいし、二層以上を有していてもよい。
【0091】
上記封止樹脂層、または、上記封止樹脂層および上記基材部を両端面とする積層体のヘイズ値(初期ヘイズ値)は、特に限定されないが、輝度ムラの抑制効果と意匠性とがより優れたものとする観点から、80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。なお、上記ヘイズ値の上限は特に限定されない。
【0092】
上記封止樹脂層、または、上記封止樹脂層および上記基材部を両端面とする積層体の全光線透過率は、特に限定されないが、金属配線などの反射防止機能、コントラストをより向上させるという観点から、40%以下が好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。また、上記全光線透過率は、輝度を確保するという観点から、0.5%以上であることが好ましい。
【0093】
上記ヘイズ値および全光線透過率は、それぞれ、JIS K7136、JIS K7361-1で定める方法により測定できるものであり、上記封止樹脂層および上記基材部を構成する各層の積層順や種類、厚さなどにより制御することができる。
【0094】
上記封止樹脂層、または、上記封止樹脂層および上記基材部を両端面とする積層体の厚さは、金属配線などの反射防止機能、コントラストを向上させつつ、カラーシフトをより効率的に低減する観点から、10~600μmであることが好ましく、より好ましくは20~550μm、さらに好ましくは30~500μm、さらに好ましくは40~450μm、特に好ましくは50~400μmである。なお、はく離ライナーは上記厚さには含まれないものとする。
【0095】
また、本発明の表示体は、自発光型表示装置を備えることが好ましい。また、上記自発光型表示装置と、必要に応じて表示パネルとを組み合わせることで画像表示装置である表示体とすることができる。この場合の光半導体素子はLED素子である。上記自発光型表示装置としては、LEDディスプレイやバックライト、あるいは有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置などが挙げられる。上記バックライトは特に全面直下型のバックライトであることが好ましい。上記バックライトは例えば上記基板と当該基板上に配置された複数の光半導体素子とを備える積層体を構成部材の少なくとも一部として含む。例えば、上記自発光型表示装置において、上記基板上には、各LED素子に発光制御信号を送るための金属配線層が積層されている。赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色の光を発する各LED素子は、基板上に金属配線層を介して交互に配列されている。金属配線層は、銅などの金属によって形成されており、各LED素子の発光度合いを調整して各色を表示させる。
【0096】
本発明の表示体は、折り曲げて使用される表示体、例えば、折り曲げ可能な画像表示装置(フレキシブルディスプレイ)(特に、折り畳み可能な画像表示装置(フォルダブルディスプレイ))であってもよい。具体的には、折り畳み可能なバックライトを備える表示体、折り畳み可能な自発光型表示装置を備える表示体などが挙げられる。
【0097】
本発明の表示体において、上記封止樹脂層は光半導体素子の追従性および埋め込み性に優れるため、上記光半導体素子はミニLED素子やマイクロLED素子であってもよい。
【0098】
本発明の表示体によれば、光半導体素子が発する光によるカラーシフトが起こりにくく、且つ輝度が高い。このため、上記表示体は、広い視野から同じ色味で表示体を視認することができる。また、上記表示体は消費電力を高くしなくても明るく見栄えが良い。さらに、本発明の表示体によれば、基板上の金属配線などによる光の反射が抑制され、光半導体素子の非点灯時において見栄えが良い。
【0099】
[表示体の製造方法]
本発明の表示体は、封止用樹脂層を備える光半導体素子封止用シートを、光半導体素子が配置された基板に貼り合わせ、封止用樹脂層により光半導体素子を封止することで製造することができる。
【0100】
(光半導体素子封止用シート)
上記光半導体素子封止用シートは、基板上に配置された複数の光半導体素子を封止するためのシートである。上記光半導体素子封止用シートは、着色層および非着色層を含む封止用樹脂層を少なくとも備える。上記光半導体素子封止用シートは、上記封止用樹脂層により上記着色層側が上記光半導体素子側となるように上記複数の光半導体素子を封止して封止樹脂層を形成した際において、上記式(1)および(2)を満たし得るシートである。本発明の光半導体素子封止用シートによれば、光半導体素子を封止することにより、カラーシフトが起こりにくく、且つ輝度が高い表示体を提供することができる。
【0101】
上記光半導体素子封止用シートは、着色層および非着色層を含む封止用樹脂層を少なくとも備える。上記封止用樹脂層は本発明の表示体における上記封止樹脂層を形成し得る層である。具体的には、上記封止用樹脂層中の上記着色層は本発明の表示体における上記着色層を形成し得る層であり、上記封止用樹脂層中の上記非着色層は本発明の表示体における上記非着色層を形成し得る層である。具体的には、上記封止用樹脂層中の上記着色層は、本発明の表示体における上記着色層と組成(構成成分およびそれらの配合割合)や物性(ヘイズ、全光線透過率など)が同一の層であってもよいし、硬化により本発明の表示体における上記着色層となる層であってもよい。また、上記封止用樹脂層中の上記非着色層は、本発明の表示体における上記非着色層と組成(構成成分およびそれらの配合割合)や物性(ヘイズ、全光線透過率など)が同一の層であってもよいし、硬化により本発明の表示体における上記非着色層となる層であってもよい。
【0102】
上記封止用樹脂層は、本発明の表示体における封止樹脂層の構造に応じて適宜設計される。例えば、本発明の表示体が上記拡散機能層を含む場合、上記光半導体素子封止用シートにおける上記封止用樹脂層は拡散機能層を含む。上記封止用樹脂層中の上記拡散機能層は、本発明の表示体における上記拡散機能層と組成(構成成分およびそれらの配合割合)や物性(ヘイズ、全光線透過率など)が同一の層であってもよいし、硬化により本発明の表示体における上記拡散機能層となる層であってもよい。また、上記封止用樹脂層は、上記拡散機能層、上記着色層、および上記非着色層をこの順に備えることが好ましい。なお、拡散機能層は、上記着色層および上記非着色層の一方に該当する層である。
【0103】
上記封止用樹脂層を構成する各層(上記着色層および上記非着色層)は、それぞれ独立して、粘着性および/または接着性を有していてもよく、有していなくてもよい。中でも、粘着性および/または接着性を有することが好ましい。このような構成を有することにより、上記封止用樹脂層は基板および光半導体素子に容易に貼り合わせることができ、また、各層間の密着性に優れ、光半導体素子の封止性により優れる。特に、少なくとも光半導体素子に接触する層は粘着性および/または接着性を有することが好ましい。このような構成を有することにより、封止用樹脂層による光半導体素子の追従性および埋め込み性に優れる。その結果、光半導体素子による段差が高い場合であっても意匠性に優れる。
【0104】
上記封止用樹脂層を構成する各層(上記着色層および上記非着色層)は、それぞれ独立して、放射線照射により硬化する性質を有する樹脂層(放射線硬化性樹脂層)であってもよく、放射線照射により硬化する性質を有しない樹脂層(放射線非硬化性樹脂層)であってもよい。上記放射線としては、例えば、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、またはX線などが挙げられる。上記着色層が放射線硬化性樹脂層である場合、上記着色層に含まれ得る上記着色剤は、可視光を吸収し、かつ上記放射線硬化性樹脂層が硬化し得る波長の光の透過性を有するものが好ましい。
【0105】
上記光半導体素子封止用シートは上記基材部を備えていてもよい。上記基材部を備える場合、上記封止用樹脂層は、基材部の少なくとも一方の面に備えられていてもよい。上記封止用樹脂層の上記基材部と接触する面は、上記封止用樹脂層が光半導体素子と接する側とは反対側の面である。上記光半導体素子封止用シートが上記基材部を備える場合、上記光半導体素子封止用シートは上記基材部と共に光半導体素子および基板に貼り合わせられ、上記光半導体素子封止用シートにおける基材部は本発明の表示体における基材部となる。
【0106】
また、上記封止用樹脂層は、はく離ライナー上のはく離処理面に形成されていてもよい。上記光半導体素子封止用シートが上記はく離ライナーに形成されている場合、上記はく離ライナーは上記封止用樹脂層の光半導体素子と接する側がはく離ライナーと接触する側となる。上記基材部を有しない場合は上記封止用樹脂層の両面がはく離ライナーと接触する側であってもよい。はく離ライナーは上記光半導体素子封止用シートの保護材として用いられ、光半導体素子を封止する際に剥がされる。なお、基材部およびはく離ライナーは必ずしも設けられなくてもよい。
【0107】
上記はく離ライナーは、上記光半導体素子封止用シート表面を被覆して保護するための要素であり、光半導体素子が配置された基板に光半導体素子封止用シートを貼り合わせる際には当該シートから剥がされる。
【0108】
上記はく離ライナーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、フッ素系剥離剤や長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙類などが挙げられる。
【0109】
上記はく離ライナーの厚さは、例えば10~200μm、好ましくは15~150μm、より好ましくは20~100μmである。上記厚さが10μm以上であると、はく離ライナーの加工時に切り込みにより破断しにくい。上記厚さが200μm以下であると、使用時に上記光半導体素子封止用シートからはく離ライナーをより剥離しやすい。
【0110】
図8を用いて、上記光半導体素子封止用シートの一実施形態について説明する。図8は、図2に示す表示体を形成可能な上記光半導体素子封止用シートの断面図である。図8に示すように、光半導体素子封止用シート10は、基板上に配置された1以上の光半導体素子を封止するために使用することのできるものであり、基材部5と基材部5上に形成された封止用樹脂層7とを備える。封止用樹脂層7は、非着色層71、着色層72、および非着色層73の積層体から形成されている。非着色層71、着色層72、および非着色層73は粘着性を有し、互いに直接積層している。封止用樹脂層7の非着色層71表面にははく離ライナー6が貼付されており、非着色層73表面には基材部5が貼付されている。
【0111】
(封止工程)
上記光半導体素子封止用シートを用いて本発明の表示体を製造する方法において、上記光半導体素子封止用シートを、光半導体素子が配置された基板に貼り合わせ、封止用樹脂層により光半導体素子を封止する封止工程を有する。上記封止工程では、具体的には、まず、上記光半導体素子封止用シートからはく離ライナーを剥離して封止用樹脂層を露出させる。そして、基板と、上記基板上に配置された光半導体素子(好ましくは複数の光半導体素子)とを備える積層体(光学部材など)の、光半導体素子が配置された基板面に、上記光半導体素子封止用シートの露出面である封止用樹脂層面を貼り合わせ、上記積層体が複数の光半導体素子を備える場合はさらに複数の光半導体素子間の隙間を上記封止用樹脂層が充填するように配置し、複数の光半導体素子を一括して封止する。具体的には、図9に示すように、はく離ライナー6を剥離した光半導体素子封止用シート10の非着色層71を、基板2の光半導体素子3a~3fが配置された面に対向するように配置し、光半導体素子封止用シート10を基板2の光半導体素子3a~3fが配置された面に貼り合わせ、光半導体素子3a~3fを封止用樹脂層7に埋め込む。
【0112】
上記貼り合わせの際の温度は、例えば室温から110℃の範囲内である。また、上記貼り合わせの際、減圧または加圧してもよい。減圧や加圧により封止用樹脂層と基板または光半導体素子との間に空隙が形成されるのを抑制することができる。また、上記封止工程では、減圧下で光半導体素子封止用シートを貼り合わせ、その後加圧することが好ましい。減圧する場合の圧力は例えば1~100Paであり、減圧時間は例えば5~600秒である。また、加圧する場合の圧力は例えば0.05~0.5MPaであり、加圧時間は例えば5~600秒である。
【0113】
上記封止用樹脂層における着色層および非着色層の厚さや、貼り合わせの際の温度や圧力などを適宜設定することにより、得られる表示体における着色層および非着色層の光半導体素子への追従性や上記凹凸形状における凹部および凸部の各領域の着色層厚さおよび非着色層厚さを調整することができる。これにより、得られる表示体が上記式(1)および(2)を満たす形態とすることができる。
【0114】
(放射線照射工程)
上記封止用樹脂層が放射線硬化性樹脂層を備える場合、上記製造方法は、さらに、上記基板と、上記基板上に配置された光半導体素子と、上記光半導体素子を封止する上記光半導体素子封止用シートと、を備える積層体に放射線を照射して上記放射線硬化性樹脂層を硬化させて硬化物層を形成する放射線照射工程を備えていてもよい。上記放射線としては上述のように、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、X線などが挙げられる。中でも、紫外線が好ましい。放射線照射時の温度は、例えば室温から100℃の範囲内であり、照射時間は例えば1分~1時間である。
【0115】
(ダイシング工程)
上記製造方法は、さらに、上記基板と、上記基板上に配置された光半導体素子と、上記光半導体素子を封止する上記光半導体素子封止用シートと、を備える積層体をダイシングするダイシング工程を備えていてもよい。上記積層体は、上記放射線照射工程を経た積層体について行ってもよい。上記積層体が、上記放射線照射により放射線硬化性樹脂層が硬化した硬化物層を備える場合、上記ダイシング工程では、光半導体素子封止用シートの硬化物層および基板の側端部をダイシングして除去する。これにより、充分に硬化し粘着性が低く低減された硬化物層の面を側面に露出させることができる。上記ダイシングは、公知乃至慣用の方法により行うことができ、例えば、ダイシングブレードを用いた方法や、レーザー照射により行うことができる。
【0116】
(タイリング工程)
上記製造方法は、さらに、上記ダイシング工程で得られた複数の表示体を平面方向に接触するように並べるタイリング工程を備えていてもよい。上記タイリング工程では、上記ダイシング工程で得られた複数の積層体を平面方向に接触するように並べてタイリングする。このようにして、1つの大きな表示体を製造することができる。
【0117】
以上のようにして、本発明の表示体を製造することができる。光半導体素子封止用シート10において封止用樹脂層7が放射線硬化性樹脂層を有しない場合、封止用樹脂層7は表示体1における封止樹脂層4となる。一方、光半導体素子封止用シート10において封止用樹脂層7が放射線硬化性樹脂層を有する場合、例えば着色層72および非着色層73が放射線硬化性樹脂層である場合、着色層72および非着色層73を硬化させることで着色層42および非着色層43を形成し、封止樹脂層4となる。
【符号の説明】
【0118】
1 表示体
2 基板
3a~3f 光半導体素子
31 支持体
3,3’ピクセル
4 封止樹脂層
41 非着色層
42 着色層
43 非着色層
5 基材部
6 はく離ライナー
7 封止用樹脂層
71 非着色層
72 着色層
73 非着色層
10 光半導体素子封止用シート
11 光学部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9