(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142489
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】上昇搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 15/12 20060101AFI20230928BHJP
B65G 17/12 20060101ALI20230928BHJP
B65G 17/26 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B65G15/12
B65G17/12 Z
B65G17/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049436
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000228110
【氏名又は名称】クオリカプス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】松山 智一
(72)【発明者】
【氏名】柳生 元啓
(72)【発明者】
【氏名】笠井 健一
【テーマコード(参考)】
3F023
3F034
【Fターム(参考)】
3F023AA01
3F023BA02
3F023BB06
3F023BC04
3F023EA04
3F034FA04
3F034FB07
3F034FC09
(57)【要約】
【課題】 コンパクトな構成により被搬送物を確実に上昇搬送することができる上昇搬送装置を提供する。
【解決手段】 複数の横桟12が外面側に間隔をあけて設けられた搬送ベルト11を有し、横桟12に供給された被搬送物Fを搬送ベルト11の駆動により上昇させる上昇部17を備える搬送装置本体10と、上昇部17の搬送ベルト11に横桟12を介して対向配置される対向ベルト21を有し、対向ベルト21を搬送ベルト11と同速度で上昇するように駆動する落下防止装置20とを備え、横桟12は、上昇時に下方に凸となる湾曲状または屈曲状に形成されている上昇搬送装置1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の横桟が外面側に間隔をあけて設けられた搬送ベルトを有し、前記横桟に供給された被搬送物を前記搬送ベルトの駆動により上昇させる上昇部を備える搬送装置本体と、
前記上昇部の前記搬送ベルトに前記横桟を介して対向配置される対向ベルトを有し、前記対向ベルトを前記搬送ベルトと同速度で上昇するように駆動する落下防止装置とを備え、
前記横桟は、上昇時に下方に凸となる湾曲状または屈曲状に形成されている上昇搬送装置。
【請求項2】
前記上昇部を上昇する前記横桟に対して前記搬送ベルトと前記対向ベルトとの間から被搬送物を供給する供給部を備える請求項1に記載の上昇搬送装置。
【請求項3】
前記供給部は、上方に開口する投入口に投入された被搬送物を鉛直面に沿って形成された排出口から排出する投入シュートを備えており、
前記排出口と前記横桟との隙間の前記排出口よりも下方に、複数の前記横桟のピッチ間隔よりも大きい高さを有する規制ブロックが配置されている請求項2に記載の上昇搬送装置。
【請求項4】
前記規制ブロックは、前記横桟を挟んで両側にそれぞれ配置されている請求項3に記載の上昇搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形製剤等の被搬送物を上昇搬送する上昇搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被搬送物を上昇搬送する装置として、例えば、特許文献1に開示された垂直ベルトコンベア装置が知られている。
図6に示すように、この垂直ベルトコンベア装置50は、上方に配置した駆動プーリ51と下方に配置したテールプーリ52との間にコンベアベルト53を張架し、このコンベアベルト53の外側に設けた横棧に土砂等の被搬送物を載せて、上方に搬送して排出するように構成されている。
【0003】
コンベアベルト53の垂直走行部54には、コンベアベルト53と同期走行する煽り防止用ベルト55が対向配置されており、煽り防止用ベルト55によってコンベアベルト53の煽り運動が防止されると共に、横棧の両側が波状の側板56により覆われることで、搬送中の被搬送物の落下が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の垂直ベルトコンベア装置50は、側板56が無端状のコンベアベルト53の長手方向全体に設けられて横棧の側方を覆うため、横棧への被搬送物55の供給は、テールプーリ52の近傍の水平部57を利用して行われる。ところが、水平部57に投入された被搬送物は、横棧に搭載されて垂直走行部54に移行する際に、煽り防止用ベルト55やローラ58により押し潰される等して損傷するおそれがあった。また、水平部57を設けることで、この部分が垂直走行部54から水平方向に突出した状態になるため、必要な設置スペースが大きくなり易いという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、コンパクトな構成により被搬送物を確実に上昇搬送することができる上昇搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、複数の横桟が外面側に間隔をあけて設けられた搬送ベルトを有し、前記横桟に供給された被搬送物を前記搬送ベルトの駆動により上昇させる上昇部を備える搬送装置本体と、前記上昇部の前記搬送ベルトに前記横桟を介して対向配置される対向ベルトを有し、前記対向ベルトを前記搬送ベルトと同速度で上昇するように駆動する落下防止装置とを備え、前記横桟は、上昇時に下方に凸となる湾曲状または屈曲状に形成されている上昇搬送装置により達成される。
【0008】
この上昇搬送装置は、前記上昇部を上昇する前記横桟に対して前記搬送ベルトと前記対向ベルトとの間から被搬送物を供給する供給部を備えることが好ましい。
【0009】
前記供給部は、上方に開口する投入口に投入された被搬送物を鉛直面に沿って形成された排出口から排出する投入シュートを備えることが好ましく、前記排出口と前記横桟との隙間の前記排出口よりも下方に、複数の前記横桟のピッチ間隔よりも大きい高さを有する規制ブロックが配置されていることが好ましい。前記規制ブロックは、前記横桟を挟んで両側にそれぞれ配置されていることが、より好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コンパクトな構成により被搬送物を確実に上昇搬送することができる上昇搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る上昇搬送装置の概略構成を示す断面図である。
【
図4】
図1に示す上昇搬送装置の要部の変形例を示す正面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る上昇搬送装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、 本発明の一実施形態に係る上昇搬送装置の概略構成を示す断面図である。また、
図2および
図3は、それぞれ
図1のA-A断面図およびB-B断面図である。
図1から
図3に示すように、上昇搬送装置1は、筐体2内に支持された搬送装置本体10および落下防止装置20を備えており、供給部4から供給される被搬送物Fを上方に向けて上昇搬送し、排出部5から排出する。被搬送物Fは、特に限定されるものではないが、錠剤やカプセル剤等の固形製剤のように繊細な取扱いが要求される小物品を好ましく例示することができる。
【0013】
搬送装置本体10は、外面側に複数の横桟12が一定のピッチ間隔で設けられた搬送ベルト11を備えている。搬送ベルト11は、無端状に形成されており、駆動プーリ13および従動プーリ14,15に巻き掛けられている。搬送装置本体10は、供給部4から横桟12の上面に供給された被搬送物Fを、搬送ベルト11の駆動により上昇させる上昇部17を備えている。上昇部17は、被搬送物Fを鉛直上方に搬送することが好ましいが、鉛直方向に対して若干傾斜する方向に上昇搬送する構成であってもよく、例えば、水平方向に対して65~90度傾斜する方向に被搬送物Fを搬送する。
【0014】
図2に示すように、横桟12は、搬送ベルト11の幅よりも若干短い幅で断面円弧状に形成されており、搬送ベルト11に取り付けられている。横桟12の形状は、供給された被搬送物Fが幅方向縁部から落下し難いように、上昇部17における上昇時に下方に凸となる形状が好ましく、円弧状、楕円弧状、U字状等の湾曲状に形成されていることがより好ましい。横桟12の最深部の深さdは、特に制限されないが、小さすぎると被搬送物Fが横桟12から落下し易くなる一方、大きすぎると横桟12が駆動プーリ13や従動プーリ14,15を通過する際に搬送ベルト11の湾曲変形に追従し難くなることから、横桟12の内面の幅wに対する比(d/w)が、3~15%程度であることが好ましい。
【0015】
図1に示すように、上昇部17により上昇搬送された被搬送物Fは、水平搬送された後に、ダクト状の排出シュートからなる排出部5を経て筐体2の外部に排出される。横桟12と排出部5との干渉を防止するため、搬送装置本体10は、横桟12の幅方向両側において搬送ベルト11の縁部を押圧する変角用のディスクローラ16を備えている。
【0016】
落下防止装置20は、平ベルトからなる対向ベルト21を備えており、搬送装置本体10の上昇部17の近傍に設けられている。対向ベルト21は、無端状に形成され、上下に配置された駆動プーリ22および従動プーリ23に巻き掛けられており、上昇部17の搬送ベルト11に横桟12を介して対向配置されている。落下防止装置20は、対向ベルト21を、上昇部17を上昇する搬送ベルト1と同じ速度で上昇するように駆動することで、横桟12に載置された被搬送物Fの落下を防止しつつ、被搬送物Fに対して擦れ等によるダメージが生じるのを防止する。搬送ベルト11と対向ベルト21との間には、被搬送物Fが挟まらない程度の若干の隙間が形成されていることが好ましいが、上記のとおり搬送ベルト11および対向ベルト21は同じ速度で上昇することから、互いに接触してもよい。
【0017】
図2および
図3に示すように、供給部4は、ダクト状の投入シュートからなり、上方に開口する投入口4aに投入された被搬送物Fを、鉛直面に沿って形成された排出口4bから水平方向または斜め下方に排出する。供給部4は、筐体2の外壁に形成された開口部に取り付けられており、搬送ベルト11と対向ベルト21との間から、横桟12の上面に被搬送物Fを供給する。
【0018】
排出口4bと横桟12との間に形成される隙間の排出口4bよりも下方には、規制ブロック6が配置されている。規制ブロック6は、排出口4bと横桟12との隙間を埋めるように、搬送ベルト11と対向ベルト21との間に一部が嵌まり込む状態で筐体2の内壁に固定されている。規制ブロック6の高さは、上下の横桟12のピッチ間隔pよりも大きいことが好ましく、これによって、被搬送物Fを横桟12の上面に確実に供給することができる。規制ブロック6と横桟12との間には、被搬送物Fが挟まらない程度の若干の隙間が形成されることが好ましい。本実施形態においては、横桟12を挟んで規制ブロック6の反対側にも別の規制ブロック7が配置されており、排出口4bから供給された被搬送物Fが供給時の勢いで横桟12を通過した場合でも、横桟12と筐体2との隙間に被搬送物Fが落下するのを確実に防止している。横桟12を挟んで両側にそれぞれ配置された規制ブロック6,7の上面は、被搬送物Fを横桟12に向けて案内する傾斜面であることが好ましい。
【0019】
上記の構成を備える上昇搬送装置1は、前工程等から多数の被搬送物Fが供給部4に連続的に供給されると、予め設定された搬送ベルト11の速度に応じた少量ずつの被搬送物Fが各横桟12にそれぞれ供給されて上昇搬送され、排出部5から次工程等に向けてムラなく連続的に排出される。これにより、大量の被搬送物Fをまとめて上昇搬送する場合と比較して、被搬送物F同士の衝突や擦れ等による損傷を抑制することができる。このような効果は、被搬送物Fが固形製剤のように取扱いに繊細さが要求される場合に特に顕著である。
【0020】
横桟12は、上昇時に下方に凸となる湾曲状であり、横桟12の幅方向両側から被搬送物Fが落下し難いように形成されているため、従来の垂直ベルトコンベアのように、横桟12の幅方向両側を覆う側板が不要であり、この部分を開放することができる。したがって、横桟12の上昇部17において、搬送ベルト11と対向ベルト21との間から横桟12に対して被搬送物Fを供給することができるので、
図4に示すような水平部57を設ける必要がなく、これよって構成のコンパクト化を図ることができる。
【0021】
更に、搬送ベルト11および対向ベルト21が予め形成した空間に被搬送物Fを供給することで、搬送ベルト11により搬送される被搬送物Fが、後から対向ベルト21等で押し潰されるおそれがなく、これによっても被搬送物Fの損傷を防止しつつ、上昇搬送を確実に行うことができる。
【0022】
また、横桟12の形状は、上記のとおり、上昇時に下方に凸となる湾曲状であることが好ましいが、屈曲状に形成されてもよい。屈曲状の具体例としては、
図4(a)に示すように底板12aの幅方向両側から側壁12bが垂直に起立する矩形状、
図4(b)に示すように底板12aの幅方向両側から側壁12bが広がるように起立する台形状、
図4(c)に示すように底板12aの幅方向両側から側壁12bが折れ曲がりながら起立する多角形状等を挙げることができる。横桟12の内面における深さdと幅wの比(d/w)は、上記と同様に3~15%程度であることが好ましい。
【0023】
横桟12の深さdを深くすることで、横桟12が従動プーリ14等を通過する際に搬送ベルト11の湾曲変形に追従し難くなる場合には、
図5に示すように、搬送ベルト11に対する横桟12の固定を底板12aのみで行い、搬送ベルト11が湾曲変形した際に、搬送ベルト11と側壁12bとの間に被搬送物が挟まれない程度の隙間sが形成されることが好ましい。あるいは、横桟12を伸縮性の高い材料により形成することで、横桟12の全体を搬送ベルト11に固定した場合でも、横桟12が伸縮変形して搬送ベルト11の湾曲変形に容易に追従することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 上昇搬送装置
4 供給部(投入シュート)
4a 投入口
4b 排出口
6 規制ブロック
10 搬送装置本体
11 搬送ベルト
12 横桟
17 上昇部
20 落下防止装置
21 対向ベルト
F 被搬送物