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特開2023-142490情報処理システム、コンピュータプログラム、及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142490
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】情報処理システム、コンピュータプログラム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230928BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20230928BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALI20230928BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/06
G06Q10/06
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049437
(22)【出願日】2022-03-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】394025924
【氏名又は名称】株式会社博報堂
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼久 真也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
5L049BB54
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】取引データに情報端末の識別コードを付加可能な新規技術を提供する。
【解決手段】商品又は役務に関する取引記録を含む取引データD37の一群が取得される(S110)。各取引データは、取引日時の情報を有する。更に、取引地点に設置された無線機79を用いて検知された複数の情報端末90に関する検知データD75の一群が取得される(S120)。各検知データは、検知された情報端末の識別コードを、検知日時の情報と共に有する。一以上の取引データに関して、各取引データに、検知データの一群のうち、当該取引データが示す取引日時に対応する検知日時を示す検知データが有する情報端末の識別コードが付加される(S130)。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品又は役務に関する取引記録を含む取引データの一群であって、各取引データが取引日時の情報を有する取引データの一群を取得するように構成される第一取得部と、
取引地点に設置された無線機を用いて検知された複数の情報端末に関する検知データの一群であって、各検知データが検知された前記情報端末の識別コードを、検知日時の情報と共に有する検知データの一群を取得するように構成される第二取得部と、
取得された前記取引データの一群のうちの少なくとも一以上の取引データに関して、各取引データに、前記検知データの一群のうち、当該取引データが示す前記取引日時に対応する前記検知日時を示す検知データが有する前記情報端末の識別コードを付加するように構成される付加部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記取引地点は、複数の地点を含み、
前記各取引データは、取引場所の情報を更に含み、
前記無線機は、前記複数の地点のそれぞれに設置され、
前記各検知データは、前記情報端末が検知された検知場所の情報を更に含み、
前記付加部は、前記各取引データに、前記検知データの一群のうち、当該取引データが示す前記取引日時と前記取引場所との組合せに対応する前記検知日時と前記検知場所との組合せを示す検知データが有する前記情報端末の識別コードを付加する請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記各取引データは、取引者のデモグラフィック属性に関する情報を更に含み、
前記各検知データは、前記情報端末のユーザのデモグラフィック属性に関する情報を含み、
前記付加部は、前記各取引データに、前記検知データの一群のうち、当該取引データが示す前記取引日時と前記取引場所と前記取引者のデモグラフィック属性との組合せに対応する前記検知日時と前記検知場所と前記ユーザのデモグラフィック属性との組合せを示す検知データが有する前記情報端末の識別コードを付加する請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記デモグラフィック属性は、性別及び年齢のうちの少なくとも一方を含む請求項3記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記情報端末の識別コードは、前記情報端末に付与された広告IDである請求項1~請求項4のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記取引データの一群は、購入者の識別情報を含む商品又は役務に関する販売記録を管理する販売時点情報管理システムが保持する前記販売記録から前記購入者の識別情報を削除することにより生成される前記販売記録に関する匿名データの一群である請求項1~請求項5のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記各取引データは、前記販売記録に基づいて推定された前記購入者の特徴を説明する情報を含む請求項6記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記各取引データは、前記取引者のデモグラフィック属性に関する情報として、前記取引記録に基づいて推定された前記取引者のデモグラフィック属性に関する情報を含む請求項3記載の情報処理システム。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか一項記載の情報処理システムにおける前記第一取得部、前記第二取得部、及び前記付加部としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項10】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
商品又は役務に関する取引記録を含む取引データの一群であって、各取引データが取引日時の情報を有する取引データの一群を取得することと、
取引地点に設置された無線機を用いて検知された複数の情報端末に関する検知データの一群であって、各検知データが検知された前記情報端末の識別コードを、検知日時の情報と共に有する検知データの一群を取得することと、
取得された前記取引データの一群のうちの少なくとも一以上の取引データに関して、各取引データに、前記検知データの一群のうち、当該取引データが示す前記取引日時に対応する前記検知日時を示す検知データが有する前記情報端末の識別コードを付加することと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、販売記録を管理する販売時点情報管理システム、所謂POS(Point Of Sale)システムが知られている(特許文献1参照)。POSシステムでは、例えば、販売毎に、販売日時、販売店舗、販売商品、販売個数、及び販売金額等の情報を含むトランザクションデータが作成され、販売記録として蓄積される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-102808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
POSシステムで管理される販売記録は、消費者に対する広告配信に有意義な情報を含む。一方、近年では、スマートフォンやタブレット端末等の携帯型の情報端末の普及に伴い、情報端末に対する広告配信の重要性が高まってきている。
【0005】
情報端末を通じた広告配信は、例えば、広告IDに基づいて行われる。広告IDは、周知のように、情報端末に付与される広告配信用のIDである。
【0006】
しかしながら、流通事業者が有するトランザクションデータは、一般的に広告IDの情報を含まない。また、トランザクションデータを有する流通事業者とは別の企業は、流通事業者からトランザクションデータを取得しようとしても、個人情報保護の観点から、匿名化されたトランザクションデータを取得することができる程度である。従って、別の企業は、消費者の広告IDの情報を有していても、これを匿名化されたトランザクションデータと結び付けることができない。
【0007】
そこで、本開示の一側面によれば、取引データに広告ID等の情報端末の識別コードを付加可能な新規技術を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面によれば、第一取得部と、第二取得部と、付加部とを備える情報処理システムが提供される。第一取得部は、商品又は役務に関する取引記録を含む取引データの一群を取得するように構成される。各取引データは、取引日時の情報を有する。
【0009】
第二取得部は、取引地点に設置された無線機を用いて検知された複数の情報端末に関する検知データの一群を取得するように構成される。各検知データは、検知された情報端末の識別コードを、検知日時の情報と共に有する。
【0010】
付加部は、取得された取引データの一群のうちの少なくとも一以上の取引データに関して、各取引データに、検知データの一群のうち、当該取引データが示す取引日時に対応する検知日時を示す検知データが有する情報端末の識別コードを付加するように構成される。
【0011】
この情報処理システムによれば、取引データに、取引者の識別情報が含まれなくとも、取引者に対応する情報端末の識別コードを付加することが可能である。
【0012】
本開示の一側面によれば、取引地点は、複数の地点を含み得る。各取引データは、取引場所の情報を更に含み得る。無線機は、複数の地点のそれぞれに設置され得る。各検知データは、情報端末が検知された検知場所の情報を更に含み得る。
【0013】
本開示の一側面によれば、付加部は、各取引データに、検知データの一群のうち、当該取引データが示す取引日時と取引場所との組合せに対応する検知日時と検知場所との組合せを示す検知データが有する情報端末の識別コードを付加するように構成され得る。
【0014】
本開示の一側面によれば、各取引データは、取引者のデモグラフィック属性に関する情報を更に含み得る。各検知データは、情報端末のユーザのデモグラフィック属性に関する情報を含み得る。
【0015】
付加部は、各取引データに、検知データの一群のうち、当該取引データが示す取引日時と取引場所と取引者のデモグラフィック属性との組合せに対応する検知日時と検知場所とユーザのデモグラフィック属性との組合せを示す検知データが有する情報端末の識別コードを付加するように構成され得る。
【0016】
本開示の一側面によれば、デモグラフィック属性は、性別及び年齢のうちの少なくとも一方を含み得る。本開示の一側面に係る情報処理システムによれば、デモグラフィック属性を用いることによって、取引データにより適切な検知データを選び出し、取引データに取引者の情報端末の識別コードを精度よく付加することができる。
【0017】
本開示の一側面によれば、情報端末の識別コードは、情報端末に付与された広告IDであり得る。本開示の一側面に係る情報処理システムによれば、取引データに広告IDを付加することが可能である。
【0018】
本開示の一側面によれば、取引データの一群は、購入者の識別情報を含む商品又は役務に関する販売記録を管理する販売時点情報管理システムが保持する販売記録から購入者の識別情報を削除することにより生成される販売記録に関する匿名データの一群であり得る。
【0019】
本開示の一側面によれば、各取引データは、販売記録に基づいて推定された購入者の特徴を説明する情報を含むデータであり得る。本開示の一側面によれば、各取引データは、取引記録又は販売記録に基づいて推定された取引者又は購入者のデモグラフィック属性に関する情報を含み得る。
【0020】
本開示の一側面によれば、上述した情報処理システムとしての機能を少なくとも部分的に実現するためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。本開示の一側面によれば、上述した情報処理システムにおける第一取得部、第二取得部、及び付加部としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。
【0021】
本開示の一側面によれば、上述した情報処理システムにて実現される情報処理方法が提供されてもよい。
【0022】
本開示の一側面によれば、コンピュータにより実行される情報処理方法が提供されてもよい。情報処理方法は、商品又は役務に関する取引記録を含む取引データの一群であって、各取引データが取引日時の情報を有する取引データの一群を取得することを含み得る。
【0023】
情報処理方法は、取引地点に設置された無線機を用いて検知された複数の情報端末に関する検知データの一群であって、各検知データが検知された情報端末の識別コードを、検知日時の情報と共に有する検知データの一群を取得することを含み得る。
【0024】
情報処理方法は、取得された取引データの一群のうちの少なくとも一以上の取引データに関して、各取引データに、検知データの一群のうち、当該取引データが示す取引日時に対応する検知日時を示す検知データが有する情報端末の識別コードを付加することを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】情報処理システム、及び、関連するシステムの構成を表すブロック図である。
図2】トランザクションデータの例示的構成を表す図である。
図3】POS端末とビーコンと情報処理システムとの関係を説明する図である。
図4】検知データの例示的構成を表す図である。
図5】クラウドシステムで実行される処理に関する説明図である。
図6】スコア付トランザクションデータの例示的構成を表す図である。
図7】匿名ジャーナルデータの例示的構成を表す図である。
図8】情報処理システムのプロセッサが実行する突合加工処理を表すフローチャートである。
図9】突合加工処理における一部手順の詳細を表すフローチャートである。
図10】広告ID付匿名ジャーナルデータの例示的構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1に示す本実施形態の情報処理システム10は、流通事業者システム30からクラウドシステム50を通じて販売記録に関する匿名ジャーナルデータD37の一群を取得し、ビーコン管理システム70から検知データD75の一群を取得するように構成される。検知データD75は、ビーコン79を通じて検知された情報端末90が有する広告IDの情報を含む。
【0027】
情報処理システム10は、匿名ジャーナルデータD37の一群と、検知データD75の一群との間の突合により、各匿名ジャーナルデータD37に、尤もらしい消費者の広告IDを付加して、広告ID付匿名ジャーナルデータD39を生成するように構成される。
【0028】
情報処理システム10は、プロセッサ11と、メモリ13と、ストレージ15と、ユーザインタフェース17と、通信インタフェース19と、を備える。プロセッサ11は、ストレージ15に格納されたコンピュータプログラムに従う処理を実行する。メモリ13は、RAMを備える一次記憶装置であり、プロセッサ11による処理の実行時に作業エリアとして使用される。
【0029】
ストレージ15は、例えばハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブを備える二次記憶装置であり、コンピュータプログラムの他、コンピュータプログラムに従う処理の実行時に供される各種データを記憶する。
【0030】
ユーザインタフェース17は、情報処理システム10の管理者からの操作信号をプロセッサ11に入力するための入力デバイスと、管理者に対して各種情報を表示するためのディスプレイと、を備える。
【0031】
通信インタフェース19は、広域ネットワークNTに接続される。これにより、情報処理システム10は、通信インタフェース19を通じて、クラウドシステム50及びビーコン管理システム70と通信可能に構成される。
【0032】
流通事業者システム30は、管理装置31と、記憶装置33と、複数のPOS(Point Of Sale)端末39とを備え、流通事業者の販売時点情報管理システムとして機能する。図1には、一つの流通事業者システム30を示すが、複数の流通事業者に対応する複数の流通事業者システム30が存在し得る。
【0033】
流通事業者システム30における記憶装置33は、販売管理データベース35を記憶する。販売管理データベース35は、取引毎に、その取引記録を含むトランザクションデータD35を記憶する。トランザクションデータD35は、取引データに対応する。
【0034】
ここで言う取引は、流通事業者と消費者との間の商取引であり、具体的には、流通事業者が販売する商品の売買である。消費者が商品の購入者である。取引記録は、販売記録に対応する。トランザクションデータD35は、取引に関する消費者からの代金の受け取り毎に生成される。
【0035】
消費者からの代金の受け取りは、POS(Point Of Sale)端末39を用いた商品会計に伴う購入者からの代金の受け取りに対応する。POS端末39は、POSシステムにおける端末装置としてのキャッシュレジスタに対応する。
【0036】
トランザクションデータD35は、商取引(売買)の完了時に流通事業者のPOS端末39から購入者に対して発行されるレシートに対応する情報を含む。トランザクションデータD35には、購入者に対応する顧客の識別コードである顧客ID及びその他の顧客情報が関連付けられる。顧客IDは、例えば会計時に、購入者から提示される会員証の提示を通じて判別される。
【0037】
販売管理データベース35は、リレーショナルデータベースであり得る。顧客IDは、取引記録に関するテーブルとは別の、顧客に関するマスタテーブルに記述され得る。トランザクションデータD35は、例えばリレーショナルデータベースにおいて複数のテーブルに跨って記述されるデータであり得る。
【0038】
図2に例示されるトランザクションデータD35は、取引記録として、レシートID、購入日、購入時刻、商品コード、商品名、単価、購入数量、購入金額、店舗情報、レジID、商品分類コード、及び商品分類名の情報を備える。トランザクションデータD35は、この取引記録に、顧客ID及びその他の顧客情報が付加された構成にされる。
【0039】
レシートIDは、取引に際して発行されたレシートの識別番号である。購入日は、取引日の日付を表し、購入時刻は、取引時刻であって、一日の間の時刻を表す。購入日と購入時刻との組合せにより購入日時が表される。以下では、日付と一日の間の時刻で表される時点のことを「日時」という。
【0040】
日付は、特に言及がない限り、年、月、及び日の情報を含むと理解されてよい。時刻は、特に言及がない限り、秒の単位、あるいは、それより細かい時間単位までの時点を表すと理解されてよい。
【0041】
商品コードは、商品の識別コードであり、例えばJAN(Japanese Article Number)コードにより表される。単価は、対応する商品の1つ当たりの金額に対応し、購入金額は、単価に購入数量を掛けた金額に対応する。
【0042】
店舗情報は、商品の購入店舗を特定可能な情報である。店舗情報は、例えば、店舗の識別コードである店舗ID、店舗住所、及び店舗名などの情報を含む。レジIDは、商品会計に使用されたPOS端末39の識別コードに対応する。
【0043】
商品分類コードは、商品コードより粗い商品分類の識別コードであり、例えばjicfs細分類コードにより表される。商品分類名は、商品分類コードに対応する商品分類の名称を表す。
【0044】
トランザクションデータD35に含まれる顧客IDは、商品購入者の顧客IDであり、顧客IDと関連付けられる顧客情報は、対応する顧客の性別、並びに、生年月日(及び/又は年齢)の情報を含む。
【0045】
流通事業者システム30の管理装置31は、プロセッサ311と、メモリ313とを備える。管理装置31は、図示しない通信インタフェースを更に備え、クラウドシステム50と通信可能に構成される。
【0046】
管理装置31では、メモリ313が記憶するコンピュータプログラムに従う処理をプロセッサ311が実行することにより販売管理データベース35の更新が実現される。以下で説明する管理装置31によって実行される処理は、プロセッサ311により実行されると理解されてよい。
【0047】
管理装置31は、POS端末39からの情報に基づいて、POS端末39が発行したレシートに対応するトランザクションデータD35を、販売管理データベース35に登録する。管理装置31は更に、ユーザインタフェース(図示せず)を通じた操作者からの操作信号に基づいて、クラウドシステム50にアクセスし、クラウドサービスの利用に伴う処理を実行する。
【0048】
ビーコン管理システム70は、管理装置71と、記憶装置73と、複数のビーコン79とを備え、複数のビーコン79を用いて検知された複数の情報端末90の情報を管理するように構成される。記憶装置73は、検知データベース75を記憶する。検知データベース75は、検知イベント毎に検知データD75を記憶する。
【0049】
検知イベントは、無線機としてのビーコン79から無線送信されるビーコン信号を、情報端末90が受信することにより発生する。ビーコン信号には、ビーコン79の識別コードであるビーコンIDが含まれる。各ビーコン79には、固有のビーコンIDが割り当てられる。
【0050】
ビーコン信号を受信した情報端末90は、ビーコン信号の受信イベントが発生したことを報告する報告データをビーコン管理システム70に送信する。報告データには、ビーコンID、イベント発生日時、及び、送信元の情報端末90が有する広告IDの情報が含まれる。
【0051】
ビーコン管理システム70の管理装置71は、情報端末90から受信した報告データに基づき、検知イベント毎に検知データD75を生成し、検知データベース75に登録する。
【0052】
本実施形態によれば、異なる場所の複数の店舗に、複数のビーコン79が設置される。ビーコン79は、一店舗内で、POS端末39毎に設けられる。複数のビーコン79のそれぞれは、互い異なる一つのPOS端末39に隣接して設置される(図3参照)。
【0053】
POS端末39を通じた商品会計時に、購入者が所有する情報端末90がビーコン信号に反応して、検知イベントが発生し、対応する検知データD75が検知データベース75に登録される。
【0054】
図4に例示される検知データD75は、検知イベントの記録として、検知日、検知時刻、検知場所情報、検知レジID、及び広告IDの情報を有し、更には、推定属性情報を有する。検知日は、検知イベントの発生日を日付で表す。検知時刻を、検知イベント発生時の時刻を表す。検知日と検知時刻との組合せにより、検知イベントの発生日時、換言すれば検知日時が表される。
【0055】
検知場所情報は、検知イベントに関係したビーコン79の設置場所を表す。具体的には、検知場所情報は、ビーコン79の設置店舗を特定可能な情報を、トランザクションデータD35が備える店舗情報と同程度の情報粒度で備える。例えば、検知場所情報は、ビーコン79の設置地点の住所及び店舗名の情報を有する。
【0056】
検知イベントに関係したビーコン79は、情報端末90からの報告データに含まれるビーコンIDから特定可能である。ビーコンIDに対応するビーコン79の設置場所が、図示しないビーコン79の設置場所に関する管理テーブルの参照により特定され、検知場所情報として検知データD75に記述される。この検知場所情報は、ビーコン79を通じて情報端末90が検知された場所とも言える。
【0057】
検知レジIDは、検知イベントに関係したビーコン79に隣接するPOS端末39のレジIDを示す。検知データD75に記述される広告IDは、検知イベントに対応するビーコン信号を受信した情報端末90の広告IDである。上述したように、広告IDは、情報端末90に付与される広告配信用のIDであり、端末固有のIDである。広告IDは、情報端末90の識別コードに対応する。
【0058】
推定属性情報は、検知イベントに関係した情報端末90のオンライン/オフライン行動履歴に基づいて推定される情報端末90のユーザの属性情報である。具体的には、推定属性情報は、デモグラフィック属性としての性別及び/又は年齢の推定値を有し得る。
【0059】
ビーコン管理システム70の管理装置71は、プロセッサ711と、メモリ713とを備える。管理装置71は、図示しない通信インタフェースを更に備え、情報処理システム10と通信可能に構成される。
【0060】
管理装置71では、メモリ713が記憶するコンピュータプログラムに従う処理をプロセッサ711が実行することにより検知データベース75の更新が実現される。以下で説明する管理装置71によって実行される処理は、プロセッサ711により実行されると理解されてよい。
【0061】
管理装置71は、情報端末90からの報告データの受信に基づき、対応する検知データD75を、検知データベース75に登録する。管理装置71は更に、ユーザインタフェース(図示せず)を通じた操作者からの操作信号に基づいて、又は情報処理システム10からの要求に基づいて、情報処理システム10に検知データD75の一群を提供するように構成される。
【0062】
続いて、クラウドシステム50の構成を説明する。本実施形態のクラウドシステム50は、パブリッククラウドサービスを提供する、様々な企業のユーザが利用可能なシステムである。
【0063】
各企業ユーザは、パブリッククラウドサービスの提供者との契約により、クラウドシステム50に用意された個別のストレージ領域をオンラインストレージとして使用することができ、クラウドシステム50に用意されたSaaS(Software as a Service)を利用することができる。クラウドシステム50は、第三者企業もソフトウェアを登録可能なシステムとして運営される。
【0064】
図1は、このクラウドシステム50に、SaaSとして、予兆スコア算出プログラムPr1、属性推定プログラムPr2、及び、データ出力プログラムPr3が登録されることを説明している。
【0065】
これらのコンピュータプログラムPr1,Pr2,Pr3は、情報処理システム10の管理者が、広告ID付匿名ジャーナルデータD39を生成するために必要な匿名ジャーナルデータD37の提供を、流通事業者側から受けるために用意される。
【0066】
図5に示すように、予兆スコア算出プログラムPr1は、予兆スコア算出サービスを、クラウドシステム50を通じて流通事業者側に提供するためのコンピュータプログラムである。
【0067】
予兆スコア算出サービスは、トランザクションデータD35の一群に基づいて、購入者の状態変化、環境変化、及び/又は、行動に関する予兆を検知又は推定し、その予兆に関するスコアである予兆スコアを、トランザクションデータD35の一群に付加して、出力するサービスである。予兆スコアは、例えば予兆に対応する事象が発生する可能性を値0~値1までの確率で表すスコアであり得る。
【0068】
予兆スコアの例には、購入者の健康、ライフステージ、及び消費行動に関する予兆スコアが含まれる。予兆スコアの例には更に、購入者がロイヤル顧客化する可能性に関するスコア、購入者が顧客から離脱する可能性に関するスコア、及び、買い物に関連するモーメント(例えばウェブ検索等)が発生する可能性に関するスコアが含まれる。
【0069】
予兆スコアには、起こり得る未来の事柄に関するスコアの他、現在の事柄に関するスコアが含まれ得る。例えば、購入者の現在の状態、購入者が現在置かれている環境、及び/又は、購入者の現在の行動に関する推定値が、予兆スコアとして算出されてもよい。
【0070】
例えば、予兆スコアには、購入者が現在又は未来において有する健康の悩みに関するスコア(以下では、特に健康スコアという)が含まれ得る。例えば、予兆スコア算出サービスは、トランザクションデータD35の一群に基づいて、購入者の現在又は未来の健康悩みを推定し、その健康悩みに関するスコアを健康スコアとして、トランザクションデータD35の一群に付加し、出力する健康スコア算出サービスであり得る。健康悩みの例には、高血圧に関する悩み、及び、肌に関する悩みが含まれる。
【0071】
属性推定プログラムPr2は、購入者の属性推定サービスを、クラウドシステム50を通じて流通事業者に提供するためのコンピュータプログラムである。
【0072】
属性推定サービスは、トランザクションデータD35の一群に基づいて、購入者の属性を推定し、その属性に関するスコアである属性スコアを、トランザクションデータD35の一群に付加して、出力するサービスである。
【0073】
推定対象の属性には、購入者のデモグラフィック属性、具体的には性別及び年齢が含まれる。属性スコアは、購入者が、対応する属性を示す可能性を値0~値1までの確率で表す。属性推定サービスは、予兆スコア算出サービスと併せて提供される。
【0074】
トランザクションデータD35のそれぞれには、対応する購入者の複数の予兆スコアを記述する予兆スコアデータ、及び、同購入者の複数の属性スコアを記述する属性スコアデータが付加される。
【0075】
予兆スコア算出サービス及び属性推定サービスの利用によって、流通事業者システム30には、スコア付トランザクションデータD36として、各トランザクションデータD35に、予兆スコアデータ及び属性スコアデータが付加されたデータが提供される。
【0076】
図6には、スコア付トランザクションデータD36の例を示す。例示されるスコア付トランザクションデータD36は、第1の予兆スコア、第2の予兆スコアを、含む複数の予兆に関するスコアを説明する予兆スコアデータを有する。
【0077】
例示されるスコア付トランザクションデータD36は、購入者が男性である確率を表す男性属性スコア、及び、購入者が女性である確率を表す女性属性スコアを説明する属性スコアデータを更に有する。
【0078】
例示される属性スコアデータは更に、購入者が第1年齢層(例えば29歳未満)である確率を表す第1年齢層スコア、第2年齢層(例えば30歳代)である確率を表す第2年齢層スコア、図示しないが更には、第3年齢層以降の各年齢層である確率を表す複数の年齢層スコアを説明する。
【0079】
予兆スコア算出サービス及び属性推定サービスは、スコア付トランザクションデータD36を匿名化して、情報処理システム10に提供することを条件に、流通事業者に対して提供される。
【0080】
データ出力プログラムPr3は、スコア付トランザクションデータD36の匿名化のために、予兆スコア算出プログラムPr1及び属性推定プログラムPr2と共に、クラウドシステム50内で実行される。
【0081】
データ出力プログラムPr3の実行により、クラウドシステム50では、予兆スコア算出サービス及び属性推定サービスで生成されたスコア付トランザクションデータD36の一群が、匿名ジャーナルデータD37の一群に変換される。
【0082】
匿名ジャーナルデータD37の一群は、情報処理システム10が参照可能な、クラウドシステム50内のストレージ領域に格納される。このストレージ領域は、図1においてクラウドストレージ50Aとして示される。
【0083】
図7には、匿名ジャーナルデータD37の例が示される。例示される匿名ジャーナルデータD37の生成に際しては、対応する一つのスコア付トランザクションデータD36から、「レシートID」「レジID」「顧客ID」が削除される。更には、スコア付トランザクションデータD36に含まれる購入時刻、顧客情報、予兆スコア、及び属性スコアの情報が、粗い情報に変換される。
【0084】
スコア付トランザクションデータD36に含まれる購入時刻からは「秒」の情報が削除され、それにより、購入時刻は、分単位の購入時刻に変換される。顧客情報に含まれる生年月日の情報からは日の情報が削除され、それにより、生年月日の情報は、生年月の情報に置き換えられる。顧客情報に含まれる性別及び年齢情報は削除される。
【0085】
スコアは、丸められた粗い数値に置き換えられる。あるいは、スコアは、採り得る範囲を等分化して定義される離散的な値に置き換えられる。例えば、予兆スコアは、10段階デシル値などの粗い数値に置き換えられる。あるいは、予兆スコアは、H(ハイ)/M(ミドル)/L(ロー)の3値に置き換えられる。属性スコアも同様に、10段階デシル値などの粗い数値に置き換えられる。
【0086】
情報処理システム10は、このように生成され、クラウドストレージ50Aに格納された匿名ジャーナルデータD37の一群を取得し、一方では、ビーコン管理システム70から検知データD75の一群を取得し、これらの情報に基づき、広告ID付匿名ジャーナルデータD39の一群を生成する。
【0087】
情報処理システム10のプロセッサ11は、クラウドストレージ50Aを定期的に参照し、新しい匿名ジャーナルデータD37の一群がクラウドストレージ50Aに格納されると、図8に示す突合加工処理を実行する。
【0088】
突合加工処理を開始すると、プロセッサ11は、クラウドストレージ50Aから新しい匿名ジャーナルデータD37の一群を取得する(S110)。プロセッサ11は更に、匿名ジャーナルデータD37の一群に対応する商品購入時期に発生した検知イベントに関する検知データD75の一群を、ビーコン管理システム70から取得する(S120)。
【0089】
プロセッサ11は、突合加工処理とは別に、定期的にビーコン管理システム70から新しい検知データD75の一群を取得し、ストレージ15に保存する処理を実行してもよい。この場合、プロセッサ11は、S120でストレージ15から検知データD75の一群を読み出すことができる。
【0090】
続くS130において、プロセッサ11は、S110で取得した匿名ジャーナルデータD37のそれぞれにマッチする検知データD75を、適合検知データとして探索し、各匿名ジャーナルデータD37に適合検知データの広告IDを付加することにより、各匿名ジャーナルデータD37を、広告ID付匿名ジャーナルデータD39に変換する。これにより、広告ID付匿名ジャーナルデータD39を生成する。
【0091】
例えば、プロセッサ11は、S130で図9に示す処理を実行することができる。この処理によれば、プロセッサ11は、匿名ジャーナルデータD37の一群から、一つの匿名ジャーナルデータD37を、処理対象の匿名ジャーナルデータD37として選択する(S131)。
【0092】
その後、プロセッサ11は、処理対象の匿名ジャーナルデータD37に対応する取引時(換言すれば商品会計時)に発生した検知イベントの記録である検知データD75を、適合検知データとして、検知データD75の一群の中で探索する(S133)。
【0093】
具体的には、プロセッサ11は、処理対象の匿名ジャーナルデータD37が示す購入日時と購入店舗との組合せに対応する検知日時と設置店舗との組合せを示す検知データD75を、適合検知データとして探索することができる。
【0094】
例えば、プロセッサ11は、購入店舗と設置店舗とが一致し、購入日時と検知日時とが所定の誤差範囲内にあるとき、購入日時と購入店舗との組合せと、検知日時と設置店舗との組合せとが、対応すると判断することができる。
【0095】
プロセッサ11は、上記手法では、処理対象の匿名ジャーナルデータD37に対する適合検知データが複数見つかるとき、匿名ジャーナルデータD37に含まれる顧客情報及び属性スコアデータと、検知データD75に含まれる推定属性情報と、に基づき、複数の適合検知データの中から、一つの適合検知データを、正当な適合検知データとして選び出し、残りの検知データD75を適合検知データから除外することができる。
【0096】
例えば、検知データD75が、推定属性情報として年齢の推定値のみを有する場合を考える。この場合、プロセッサ11は、処理対象の匿名ジャーナルデータD37に含まれる顧客情報が示す購入者の生年月から特定される年齢と、推定属性情報が示す年齢との差が最も小さい検知データD75を、正当な適合検知データとして選び出し、残りの検知データD75を適合検知データから除外することができる。
【0097】
例えば、顧客情報が年齢を特定可能な情報を有さない場合、プロセッサ11は、処理対象の匿名ジャーナルデータD37に含まれる属性スコアデータが示す各年齢層のスコアと、推定属性情報が示す年齢とに基づき、確率的に年齢が最も良く適合する検知データD75を、正当な適合検知データとして選び出し、残りの検知データD75を適合検知データから除外することができる。
【0098】
続くS135において、プロセッサ11は、処理対象の匿名ジャーナルデータD37に適合検知データの広告IDを付加することにより、処理対象の匿名ジャーナルデータD37を、広告ID付匿名ジャーナルデータD39に変換する。これにより、広告ID付匿名ジャーナルデータD39を生成する。広告ID付匿名ジャーナルデータD39の例は、図10に示される。
【0099】
プロセッサ11は、すべての匿名ジャーナルデータD37を処理対象に選択してS133以降の処理を実行するまで、S131~S135の処理を繰返し実行する。すべての匿名ジャーナルデータD37を処理対象に選択してS133以降の処理を実行すると(S137でYes)、S130の処理を終了する。
【0100】
プロセッサ11は、このように生成された広告ID付匿名ジャーナルデータD39の一群を、ストレージ15に保存し(S140)、突合加工処理を終了する。
【0101】
付言すると、匿名ジャーナルデータD37の一群には、明らかに検知データD75のいずれとも適合しない匿名ジャーナルデータD37が存在し得る。購入者がビーコン79に反応する情報端末90を携帯しないまま、商品を購入することが考えられるためである。従って、プロセッサ11は、適合検知データを見つけることができなかった匿名ジャーナルデータD37については、S135の処理を実行せず、匿名ジャーナルデータD37をそのまま、ストレージ15に保存してもよい。
【0102】
広告ID付匿名ジャーナルデータD39には、広告IDだけではなく、検知データD75が備える他の情報も付加され得る。図10に例示される広告ID付匿名ジャーナルデータD39は、広告IDに加えて、検知データD75が有する推定属性情報を備える。広告ID付匿名ジャーナルデータD39には更に、検知場所情報及び検知レジID等が付加されてもよい。
【0103】
広告ID付匿名ジャーナルデータD39の一群は、複数の消費者に対応する複数の情報端末90について、情報端末90毎に、広告IDと購買履歴と消費者属性とが関連付けられたデータ群ということもできる。広告ID付匿名ジャーナルデータD39の一群は、例えば、購買履歴に基づいて配信ターゲットを設定し、配信ターゲットに対応する消費者の情報端末90に、広告配信を行う目的で非常に役立つ。
【0104】
本実施形態によれば、広告ID付匿名ジャーナルデータD39に、予兆スコア及び属性スコアが含まれることも、広告配信の場面で有意義である。属性スコアは、匿名ジャーナルデータD37に顧客情報(性別及び年齢等)が含まれない環境で、特に役立つ。
【0105】
以上に説明した本実施形態の情報処理システム10によれば、広告IDの情報を含まない販売時点情報管理システムのトランザクションデータD35に基づく匿名ジャーナルデータD37から、広告ID付匿名ジャーナルデータD39を生成することができる。この広告ID付匿名ジャーナルデータD39は、上述した通り、広告配信に大変役立つ。
【0106】
本実施形態では、顧客IDのない匿名ジャーナルデータD37に対して、日時情報を手掛かりに、広告IDを付加する。個人情報保護の観点から流通事業者以外の企業が、個人情報を含む顧客ID付のトランザクションデータD35を入手して、顧客IDを手掛かりに、トランザクションデータD35に広告IDを付加することは難しい。本実施形態の技術は、こうした制約下で適切な広告ID付匿名ジャーナルデータD39を生成することができる。
【0107】
本実施形態では、匿名ジャーナルデータD37として、属性スコア付のデータを取得し、必要に応じて、この属性スコアを用いて、匿名ジャーナルデータD37と検知データD75との間のマッチングを行うことから、高精度なマッチングが可能である。これより、匿名ジャーナルデータD37に、高精度に、対応する情報端末90の広告IDを付加することができる。
【0108】
本開示の技術が、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採り得ることは言うまでもない。例えば、本開示の技術は、役務に関する取引記録を含む匿名ジャーナルデータD37に広告IDを付加する目的で活用されてもよい。
【0109】
広告IDに加えて又は広告IDに代えて、別の広告配信用識別子が匿名ジャーナルデータD37に付加されてもよい。匿名ジャーナルデータD37には、情報端末90の識別コードとして、情報端末90のブラウザに付与されたクッキー(Cookie)IDが付加されてもよい。この場合、ビーコン管理システム70は、情報端末90から上記報告データとして、クッキー(Cookie)IDの情報を含む報告データを取得することができる。
【0110】
この他、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。上記実施形態の構成の少なくとも一部は、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0111】
10…情報処理システム、11…プロセッサ、13…メモリ、15…ストレージ、17…ユーザインタフェース、19…通信インタフェース、30…流通事業者システム、31…管理装置、33…記憶装置、35…販売管理データベース、39…POS端末、50…クラウドシステム、50A…クラウドストレージ、70…ビーコン管理システム、71…管理装置、73…記憶装置、75…検知データベース、79…ビーコン、90…情報端末、D35…トランザクションデータ、D36…スコア付トランザクションデータ、D37…匿名ジャーナルデータ、D39…広告ID付匿名ジャーナルデータ、D75…検知データ、Pr1…予兆スコア算出プログラム、Pr2…属性推定プログラム、Pr3…データ出力プログラム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品又は役務に関する取引記録を含む取引データの一群であって、各取引データが取引日時の情報を有する取引データの一群を取得するように構成される第一取得部と、
取引地点に設置された無線機を用いて検知された複数の情報端末に関する検知データの一群であって、各検知データが検知された前記情報端末の識別コードを、検知日時の情報と共に有する検知データの一群を取得するように構成される第二取得部と、
取得された前記取引データの一群のうちの少なくとも一以上の取引データに関して、各取引データに、前記検知データの一群のうち、当該取引データが示す前記取引日時に対応する前記検知日時を示す検知データが有する前記情報端末の識別コードを付加するように構成される付加部と、
を備え
前記取引地点は、複数の地点を含み、
前記各取引データは、取引場所の情報を更に含み、
前記無線機は、前記複数の地点のそれぞれに設置され、
前記各検知データは、前記情報端末が検知された検知場所の情報を更に含み、
前記付加部は、前記取引日時と前記取引場所との組合せと前記検知日時と前記検知場所との組合せとの突合により、前記各取引データに、前記検知データの一群のうち、当該取引データが示す前記取引日時と前記取引場所との組合せに対応する前記検知日時と前記検知場所との組合せを示す検知データが有する前記情報端末の識別コードを付加する情報処理システム。
【請求項2】
商品又は役務に関する取引記録を含む取引データの一群であって、各取引データが取引日時の情報を有する取引データの一群を取得するように構成される第一取得部と、
取引地点に設置された無線機を用いて検知された複数の情報端末に関する検知データの一群であって、各検知データが検知された前記情報端末の識別コードを、検知日時の情報と共に有する検知データの一群を取得するように構成される第二取得部と、
取得された前記取引データの一群のうちの少なくとも一以上の取引データに関して、各取引データに、前記検知データの一群のうち、当該取引データが示す前記取引日時に対応する前記検知日時を示す検知データが有する前記情報端末の識別コードを付加するように構成される付加部と、
を備え、
前記取引地点は、複数の店舗を含み、
前記取引記録は、前記複数の店舗のそれぞれに設置されたレジスタを通じて生成され、
前記各取引データは、対応する取引の記録に使用された前記レジスタが設置された店舗の識別情報を更に含み、
前記無線機は、前記複数の店舗のそれぞれに設置され、
前記各検知データは、前記情報端末検知に用いられた前記無線機が設置された店舗の識別情報を更に含み、
前記付加部は、前記各取引データに、前記検知データの一群のうち、当該取引データが示す前記取引日時と前記店舗との組合せに対応する前記検知日時と前記店舗との組合せを示す検知データが有する前記情報端末の識別コードを付加する情報処理システム。
【請求項3】
前記各取引データは、取引者のデモグラフィック属性に関する情報を更に含み、
前記各検知データは、前記情報端末のユーザのデモグラフィック属性に関する情報を含み、
前記付加部は、前記各取引データに、前記検知データの一群のうち、当該取引データが示す前記取引日時と前記取引場所と前記取引者のデモグラフィック属性との組合せに対応する前記検知日時と前記検知場所と前記ユーザのデモグラフィック属性との組合せを示す検知データが有する前記情報端末の識別コードを付加する請求項1記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記デモグラフィック属性は、性別及び年齢のうちの少なくとも一方を含む請求項3記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記各取引データは、前記取引者のデモグラフィック属性に関する情報として、前記取引記録に基づいて推定された前記取引者のデモグラフィック属性に関する情報を含む請求項3記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記情報端末の識別コードは、前記情報端末に保持される識別コードであって、広告配信元において広告配信先の識別に使用される識別コードである請求項1~請求項5のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記情報端末の識別コードは、前記情報端末に付与された広告IDである請求項1~請求項のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第一取得部により取得される前記取引データの一群は、消費者の商品又は役務に関する取引記録を含む取引データの一群であって、消費者個人を特定可能な個人情報を有さない匿名化された取引データの一群を含む請求項1~請求項7のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記取引データの一群は、購入者の識別情報を含む商品又は役務に関する販売記録を管理する販売時点情報管理システムが保持する前記販売記録から前記購入者の識別情報を削除することにより生成される前記販売記録に関する匿名データの一群である請求項1~請求項のいずれか一項記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記第一取得部により取得される前記取引データの一群は、消費者の商品又は役務に関する取引記録を含む取引データの一群であり、
前記取引データのそれぞれから消費者個人を特定可能な個人情報を削除して、前記取引データの一群を、匿名化された取引データの一群に変換する匿名化部
を備え、
前記付加部は、匿名化された前記取引データの一群のうちの少なくとも一以上の取引データに関して、前記各取引データに、前記検知データの一群のうち、当該取引データが示す前記取引日時と前記取引場所との組合せに対応する前記検知日時と前記検知場所との組合せを示す検知データが有する前記情報端末の識別コードを付加する請求項1記載の情報処理システム。
【請求項11】
請求項1~請求項のいずれか一項記載の情報処理システムにおける前記第一取得部、前記第二取得部、及び前記付加部としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項12】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
商品又は役務に関する取引記録を含む取引データの一群であって、各取引データが取引日時の情報を有する取引データの一群を取得することと、
取引地点に設置された無線機を用いて検知された複数の情報端末に関する検知データの一群であって、各検知データが検知された前記情報端末の識別コードを、検知日時の情報と共に有する検知データの一群を取得することと、
取得された前記取引データの一群のうちの少なくとも一以上の取引データに関して、各取引データに、前記検知データの一群のうち、当該取引データが示す前記取引日時に対応する前記検知日時を示す検知データが有する前記情報端末の識別コードを付加することと、
を含み、
前記取引地点は、複数の地点を含み、
前記各取引データは、取引場所の情報を更に含み、
前記無線機は、前記複数の地点のそれぞれに設置され、
前記各検知データは、前記情報端末が検知された検知場所の情報を更に含み、
前記付加することは、前記取引日時と前記取引場所との組合せと前記検知日時と前記検知場所との組合せとの突合により、前記各取引データに、前記検知データの一群のうち、当該取引データが示す前記取引日時と前記取引場所との組合せに対応する前記検知日時と前記検知場所との組合せを示す検知データが有する前記情報端末の識別コードを付加することを含む情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
商品又は役務に関する取引記録を含む取引データの一群であって、各取引データが取引日時の情報を有する取引データの一群を取得することと、
取引地点に設置された無線機を用いて検知された複数の情報端末に関する検知データの一群であって、各検知データが検知された前記情報端末の識別コードを、検知日時の情報と共に有する検知データの一群を取得することと、
取得された前記取引データの一群のうちの少なくとも一以上の取引データに関して、各取引データに、前記検知データの一群のうち、当該取引データが示す前記取引日時に対応する前記検知日時を示す検知データが有する前記情報端末の識別コードを付加することと、
を含み、
前記取引地点は、複数の店舗を含み、
前記取引記録は、前記複数の店舗のそれぞれに設置されたレジスタを通じて生成され、
前記各取引データは、対応する取引の記録に使用された前記レジスタが設置された店舗の識別情報を更に含み、
前記無線機は、前記複数の店舗のそれぞれに設置され、
前記各検知データは、前記情報端末の検知に用いられた前記無線機が設置された店舗の識別情報を更に含み、
前記付加することは、前記各取引データに、前記検知データの一群のうち、当該取引データが示す前記取引日時と前記店舗との組合せに対応する前記検知日時と前記店舗との組合せを示す検知データが有する前記情報端末の識別コードを付加することを含む情報処理方法。