(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142505
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】圧力制御バルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 51/02 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
F16K51/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049454
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】501417929
【氏名又は名称】株式会社キッツエスシーティー
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 俊昭
【テーマコード(参考)】
3H066
【Fターム(参考)】
3H066AA01
3H066BA17
(57)【要約】
【課題】真空チャンバーの下方にコンパクトに設けることができ、しかも、真空チャンバー内の処理対象物に対してプロセスガスを用いた均一な処理を施すことができる圧力制御バルブを提供すること。
【解決手段】圧力制御バルブ1は、真空チャンバーD1に対して下方から接続する入口側開口11と、真空ポンプPに接続する出口側開口12とを対向配置したボデー10に内蔵した弁体50と、前記弁体50を前記入口側開口11の中心線Cに沿って前記入口側開口11に対する閉位置と開位置とに移動する弁体駆動機構60と、を備えた。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバーに対して下方から接続する入口側開口と、真空ポンプに接続する出口側開口とを対向配置したボデーに内蔵した弁体と、
前記弁体を前記入口側開口の中心線に沿って前記入口側開口に対する閉位置と開位置とに移動する弁体駆動機構と、を備えたことを特徴とする圧力制御バルブ。
【請求項2】
前記弁体駆動機構が、前記ボデーの外部に設けた駆動源と、
前記駆動源に前記ボデーの外部で接続すると共に前記ボデーの内部に回転自在に導入したステム回転軸、及び、前記ステム回転軸と前記弁体とを接続するステム接続部を有して前記駆動源による回転動作を前記弁体の閉位置及び開位置への移動動作に変換する動作変換部と、を有する請求項1に記載の圧力制御バルブ。
【請求項3】
前記弁体駆動機構が、前記ボデーの外部に設けた駆動源と、
前記駆動源に前記ボデーの外部で接続すると共に前記ボデーの内部に傾動自在に導入した傾動ステム、及び、前記傾動ステムと前記弁体とを接続するステム接続部を有して前記駆動源による回転動作を前記弁体の閉位置及び開位置への移動動作に変換する動作変換部と、を有する請求項1に記載の圧力制御バルブ。
【請求項4】
前記動作変換部が、駆動力の供給停止状態で前記弁体を前記閉位置に保持可能とした請求項2又は請求項3に記載の圧力制御バルブ。
【請求項5】
前記真空チャンバーの底面に当接する第一チャンバー当接面を形成した入口側接続フランジと、
前記ボデーの入口側開口側の上端面に着脱自在、かつ、該上端面に取り付けた状態で前記真空チャンバーの底面に当接する第二チャンバー当接面を形成すると共に、前記弁体の外周縁部が当接可能に前記入口側開口の径内方に一部を迫り出した弁体当接面を有するシートリングと、
前記真空チャンバーの底面に対して前記ボデーの上端面を離間自在に前記ボデーの高さ位置を調整するボデー昇降機構と、を備えた請求項1乃至4の何れか1項に記載の圧力制御バルブ。
【請求項6】
前記シートリングが、前記第二チャンバー当接面に外部シール材を設け、前記弁体当接面に弁座シール材を設けた請求項1乃至5の何れか1項に記載の圧力制御バルブ。
【請求項7】
前記第二チャンバー当接面が、前記第一チャンバー当接面に比して上側に突出した内側凸の段差形状である請求項1乃至6の何れか1項に記載の圧力制御バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力制御バルブに関し、特に、真空チャンバーの排気系に使用される圧力制御バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造装置の真空チャンバーの排気系に使用される圧力制御バルブとして、真空チャンバーの下方に設けるものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、流路を備えるハウジングと、このハウジング内に配設され流路の流れを阻止する閉鎖位置と流れを許容する開放位置との間を流路軸に垂直に移動するスライドプレートと、流路を囲み、かつ、閉鎖位置においてスライドプレートと係合し、開放位置においてスライドプレートと離間するシールリングとからなるスライドバルブが記載されている。
このようなスライドバルブは、バルブのボデーが薄型であるため、真空チャンバーの下方に高さ方向の寸法を小さく抑えて設置することができる。
【0004】
そして、特許文献2には、開口軸を画定するバルブ開口を含み、第一の密閉面を備えた弁座を有し、そして第一の密閉面に対応する第二の密閉面をもつバルブディスクを有し、第二の密閉面は、バルブディスクに接続されており、バルブディスクおよび弁座が互いと相対的に接触しない様式で存在する開放位置から、バルブディスクの第二の密閉面がそれらの間にあるシールによって第一の密閉面に対して押圧される閉鎖位置にバルブディスクを調節可能な真空制御バルブが記載されている。
このような真空制御バルブは、真空チャンバー内のプロセスガスの流れを均一にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3655715号公報
【特許文献2】特開2017-227325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のスライドバルブは、スライドプレートを弁口に対して水平方向にスライド移動させるため、微小開度で使用した際、弁口の開口部分が三日月形状となり、真空チャンバー内のプロセスガスの流れが偏り、結果的に、真空チャンバー内における処理対象物に対してプロセスガスを用いた均一な処理が行えない問題があった。
【0007】
また、特許文献2の真空制御バルブは、バルブディスクがバルブのボデーの外側で昇降移動できるように真空チャンバーとバルブのボデーとを上下方向で接続する接続配管を設ける必要があるため、高さ方向の設置スペースを大きく確保しなければならない問題があった。
【0008】
本発明は、従来の課題を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、真空チャンバーの下方にコンパクトに設けることができ、しかも、真空チャンバー内の処理対象物に対してプロセスガスを用いた均一な処理を施すことができる圧力制御バルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、真空チャンバーに対して下方から接続する側の入口側開口と、真空ポンプに接続する出口側開口とを対向配置したボデーに内蔵した弁体と、この弁体を入口側開口の中心線に沿って入口側開口に対する閉位置と開位置とに移動する弁体駆動機構とを備えた圧力制御バルブである。
【0010】
請求項2に係る発明は、弁体駆動機構が、ボデーの外部に設けた駆動源と、駆動源にボデーの外部で接続すると共にボデーの内部に回転自在に導入したステム回転軸、及び、このステム回転軸と弁体とを接続するステム接続部を有して駆動源による回転動作を弁体の閉位置及び開位置への移動動作に変換する動作変換部とを有する圧力制御バルブである。
【0011】
請求項3に係る発明は、弁体駆動機構が、ボデーの外部に設けた駆動源と、駆動源にボデーの外部で接続すると共にボデーの内部に傾動自在に導入した傾動ステム、及び、傾動ステムと弁体とを接続するステム接続部を有して駆動源による回転動作を弁体の閉位置及び開位置への移動動作に変換する動作変換部とを有する圧力制御バルブである。
【0012】
請求項4に係る発明は、動作変換部が、駆動力の供給停止状態で弁体を閉位置に保持可能とした圧力制御バルブである。
【0013】
請求項5に係る発明は、真空チャンバーの底面に当接する第一チャンバー当接面を形成した入口側接続フランジと、ボデーの入口側開口側の上端面に着脱自在、かつ、この上端面に取り付けた状態で真空チャンバーの底面に当接する第二チャンバー当接面を形成すると共に、弁体の外周縁部が当接可能に入口側開口の径内方に一部を迫り出した弁体当接面を有するシートリングと、真空チャンバーの底面に対してボデーの上端面を離間自在にボデーの高さ位置を調整するボデー昇降機構とを備えた圧力制御バルブである。
【0014】
請求項6に係る発明は、シートリングが、第二チャンバー当接面に外部シール材を設け、弁体当接面に弁座シール材を設けた圧力制御バルブである。
【0015】
請求項7に係る発明は、第二チャンバー当接面が、第一チャンバー当接面に比して上側に突出した内側凸の段差形状である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によると、真空チャンバーに対して下方から接続する入口側開口と、真空ポンプに接続する出口側開口とを対向配置したボデーに内蔵した弁体と、この弁体を入口側開口の中心線に沿って入口側開口に対する閉位置と開位置とに移動する弁体駆動機構とを備えたことにより、弁体が真空チャンバー内のスペースを有効に利用して設けられると共に、真空チャンバー内のプロセスガスが入口側開口の中心領域を通して排気され、真空チャンバー内におけるプロセスガスが入口側開口に向けた均一な流れを形成して排気されるため、真空チャンバーの下方にコンパクトに設けることができ、しかも、真空チャンバー内の処理対象物に対してプロセスガスを用いた均一な処理を施すことができる。
【0017】
請求項2に係る発明によると、弁体駆動機構が、ボデーの外部に設けた駆動源と、駆動源にボデーの外部で接続すると共にボデーの内部に回転自在に導入したステム回転軸、及び、このステム回転軸と弁体とを接続するステム接続部を有して駆動源による回転動作を弁体の閉位置及び開位置への移動動作に変換する動作変換部とを有することにより、ボデーの外部に設けた駆動源による駆動力がステム回転軸を介してボデーの内部に伝達し、弁体を閉位置および開位置へ移動する動力に変換されるため、ボデーの内部の気密性をステム回転軸周りに設けたОリング等の簡易な構成で確保することができ、結果的に、低コストでボデーの内部の気密性を確保することができる。
【0018】
請求項3に係る発明によると、弁体駆動機構が、ボデーの外部に設けた駆動源と、駆動源にボデーの外部で接続すると共にボデーの内部に傾動自在に導入した傾動ステム、及び、傾動ステムと弁体とを接続するステム接続部を有して駆動源による回転動作を弁体の閉位置及び開位置への移動動作に変換する動作変換部とを有することにより、ボデーの外部に設けた駆動源による駆動力がステム回転軸を介してボデーの内部に伝達し、弁体を閉位置および開位置へ移動する動力に変換されるため、ボデーの内部の気密性を傾動ステム周りに設けたベローズ等の簡易な構成で確保することができ、結果的に、低コストでボデーの内部の気密性を確保することができる。
【0019】
請求項4に係る発明によると、動作変換部が、駆動力の供給停止状態で弁体を閉位置に保持可能としたことにより、弁体駆動機構に対する駆動力の供給停止状態で弁を閉じた状態から開く荷重が作用した場合であっても、弁を閉じた状態が保持され、弁を閉じた状態でのエネルギー消費を抑えることができる。
【0020】
請求項5に係る発明によると、真空チャンバーの底面に当接する第一チャンバー当接面を形成した入口側接続フランジと、ボデーの入口側開口側の上端面に着脱自在、かつ、この上端面に取り付けた状態で、真空チャンバーの底面に当接する第二チャンバー当接面を形成すると共に、弁体の外周縁部が当接可能に入口側開口の径内方に一部を迫り出した弁体当接面を有するシートリングと、真空チャンバーの底面に対してボデーの上端面を離間自在にボデーの高さ位置を調整するボデー昇降機構と、を備えたことにより、真空チャンバーの下方にボデーを固定する場合、真空チャンバーの底面とボデーとの間にシートリングを介在して入口側接続フランジによってボデーを真空チャンバーの底面に固定する。
そして、シートリングあるいは弁体のメンテナンスを実施する場合、ボデー昇降機構を用いて真空チャンバーの底面に対してボデーを離間してシートリングをボデーの入口側開口側の上端面から離脱する。
このため、請求項5に係る発明によると、真空チャンバーの底面に接続配管を介することなくボデーを容易に取り付けることができ、しかも、真空チャンバーに対してボデーの位置を容易に調整でき、結果的に、圧力制御バルブを容易に設置することができ、さらには、真空チャンバーに対してボデーを離間した状態でシートリングおよび弁体のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0021】
請求項6に係る発明によると、シートリングが、第二チャンバー当接面に外部シール材を設け、弁体当接面に弁座シール材を設けたことにより、ボデーが真空チャンバーの底面に対してシートリングの外部シール材を介して固定され、弁体がシートリングの弁座シールを介して入口側開口を閉じるため、シートリングに設けた外部シール材及び弁座シールを介して、真空チャンバーとボデーの接続部分の気密性、及び、弁体を閉位置にした場合の真空チャンバー内の気密性を向上することができる。
【0022】
請求項7に係る発明によると、第二チャンバー当接面が第一チャンバー当接面に比して上側に突出した内側凸の段差形状であることにより、真空チャンバーの底面に第二チャンバー当接面による上側突出部分が篏入する凹部を設けて、真空チャンバーにボデーを取り付けた場合、シートリングが真空チャンバーの凹部に埋設するため、高さ方向の設置寸法をコンパクト化することができ、しかも、真空チャンバーへのボデーの取付部分の気密性を向上することができ、さらには、真空チャンバーにボデーを取り付ける際の位置決めが容易になり真空チャンバーに対するボデーの組付け性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態1に係る圧力制御バルブの使用態様を示す図である。
【
図4】ステム回転軸の軸方向から圧力制御バルブのボデーの内部を視た図である。
【
図5】弁閉状態の圧力制御バルブの動作変換部周辺を示す斜視図である。
【
図6】弁開状態の圧力制御バルブの動作変換部周辺を示す斜視図である。
【
図7】ボデー昇降機構を用いて圧力制御バルブのボデーの高さ位置を調整した状態を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態2に係る圧力制御バルブの斜視図である。
【
図9】圧力制御バルブの動作変換部周辺を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
実施形態1に係る圧力制御バルブ1について
図1-
図7を用いて詳細に説明する。
図1は、圧力制御バルブ1の使用態様を示す図である。
図2は、圧力制御バルブ1の斜視図である。
図3は、圧力制御バルブ1の上面図である。
図4は、ステム回転軸62aの軸方向から圧力制御バルブ1のボデー10の内部を視た図である。
図5は、弁閉状態の圧力制御バルブ1の動作変換部62周辺を示す斜視図である。
図6は、弁開状態の圧力制御バルブ1の動作変換部62周辺を示す斜視図である。
図7は、ボデー昇降機構70を用いて圧力制御バルブ1のボデー10の高さ位置を調整した状態を示す図である。
なお、
図1において、開位置の弁体50を仮想線で示す。
また、
図2-
図7において、一部構成を断面及び隠れ線により示す。
【0026】
本発明の実施形態1に係る圧力制御バルブ1は、半導体製造装置Dの真空チャンバーD1の排気系に使用するものである。
半導体製造装置100の真空チャンバーD1は、
図1に示すように、ステージ上に保持したシリコンウエハー等の処理対象物Mの表面にプロセスガスを施すものである。
【0027】
圧力制御バルブ1は、プロセスガスの入口となる一端側を真空チャンバーD1に接続し、プロセスガスの出口側となる他端側をターボ分子ポンプ等の真空ポンプPに接続している。
【0028】
この圧力制御バルブ1は、本体を構成するボデー10と、ボデー10に一体的に形成した入口側接続フランジ20及び出口側接続フランジ30と、ボデー10に着脱自在に設けたシートリング40と、ボデー10に内蔵した弁体50と、弁体50を閉位置と開位置とに移動する弁体駆動機構60と、真空チャンバーD1の底面D2に対してボデー10の上端面10aを離間自在にボデー10の位置を調整するボデー昇降機構70とを備えている。
【0029】
(ボデー10について)
ボデー10は、例えば、アルミニウム製であり、水平断面の外形が略四角形状の切削加工し易い形状になっている。なお、ボデー10の材質及び形状としては、これに限定せず、その他の材質及び形状を用いても構わない。
【0030】
このボデー10は、真空チャンバーD1に対して下方から接続する入口側開口11と、真空ポンプPに接続する出口側開口12とを対向配置し、プロセスガスの流路として入口側開口11と出口側開口12を繋ぐ空間を内部に設けている。
より具体的には、ボデー10は、上端部に円形状の入口側開口11を形成し、下端部に円形状の出口側開口12を形成した周側壁13を有し、この周側壁13によって形成した内部空間が真空ポンプPを介して入口側開口11から流入して出口側開口12から流出するプロセスガスの流路になっている。
なお、本実施形態1では、ボデー10の上端面10aに取り付けたシートリング40によって入口側の開口径が決まる。
本実施形態1では、シートリング40の開口40aと出口側開口12とが同一径の円形状になっているが、形状及び直径についてはこれに限定せず、他の形状及び直径にしてもよい。
【0031】
(入口側接続フランジ20について)
入口側接続フランジ20は、ボデー10の周側壁13から水平方向外側に突出するようにボデー10に一体的に設けている。
この入口側接続フランジ20は、真空チャンバーD1の底面D2に当接する第一チャンバー当接面21を形成している。
なお、本実施形態1では、入口側接続フランジ20は、水平断面の外形がボデー10に対応した略四角形状になっている。
この入口側接続フランジ20は、ボルト孔22を形成し、このボルト孔22にボルトBTを通して真空チャンバーD1の底面D2に固定する。
ボルト孔22は、入口側接続フランジ20の四隅にそれぞれ設けている。これら4つのボルト孔22のうち、対角線上の2つのボルト孔22には、後述のスタッドボルト71を螺挿し、残りの対角線上の2つのボルト孔22にはボルトBTを螺挿する。
【0032】
(出口側接続フランジ30について)
出口側接続フランジ30は、ボデー10の周側壁13よりも水平方向内側に幅を縮めてボデー10下部に一体的に設けている。
この出口側接続フランジ30は、ボデー10の出口側開口12から下端開口に向けて連通する流路を内部に形成した筒状をなす。
この出口側接続フランジ30は、下端面が真空ポンプPに接続する面になっている。
【0033】
(シートリング40について)
シートリング40は、ボデー10の入口側開口11側の上端面10a(以下、単に「上端面」という。)に着脱自在に設けている。このシートリング40は、例えば、脱落防止付きボルトBTを用いて上端面10aに固定する。
このシートリング40は、上端面10aに取り付けた状態で真空チャンバーD1の底面D2に当接する第二チャンバー当接面41を形成すると共に、弁体50の外周縁部51aが当接可能に入口側開口11の径内方に一部を迫り出した弁体当接面42を有する。
ここで、
図2に示すように、シートリング40によって形成された第二チャンバー当接面41が入口側接続フランジ20によって形成された第一チャンバー当接面21に比して上側に突出している。
このため、圧力制御バルブ1は、第二チャンバー当接面41が第一チャンバー当接面21に比して上側に突出した内側凸の段差形状になっている。
【0034】
また、シートリング40は、第二チャンバー当接面41に外部シール材43を設け、弁体当接面42に弁座シール材44を設けている。
【0035】
弁座シール材44は、シートリング40の下面側、すなわち、シートリング40の真空チャンバーD1側となる上面に対して反対側に設けてているため、真空チャンバーD1からの腐食性ガスや生成物に侵され難いようになっている。
この弁座シール材44は、腐食性ガスや生成物に侵され難い材質を用いるのがより好ましい。
【0036】
(弁体50について)
弁体50は、シートリング40に当接して入口側開口11を閉じる弁本体51と、弁本体51に対して着脱自在に設けて動作変換部62の後述の接続リンク62dに連結する連結部52とを有する。
弁本体51は略円盤状をなし、外周縁部51aが弁座となるシートリング40、より具体的には、シートリング40に設けた弁座シール材44に当接するようになっている。
【0037】
連結部52は、弁本体51に対して脱落防止機能のあるボルトBT等によって固定し、動作変換部62の一対の接続リンク62dの一端に連結する一対の連結片52aを有する。
各連結片52aは、接続リンク62dの一端に設けた一対のベアリングBの内輪に通したリンクピンPNに連結している。
【0038】
このように弁体50は、動作変換部62に連結する連結部52に対して弁本体51を着脱自在に設けることによって弁座となるシートリング40に当接して消耗する弁本体51をメンテナンス時にボデー10内部から外部に容易に取り出すことができるようになっている。
【0039】
(弁体駆動機構60について)
弁体駆動機構60は、駆動源61と、駆動源61による回転動作を弁体50の閉位置および開位置への移動動作に変換する動作変換部62とを有する。
【0040】
駆動源61は、例えば、ステッピングモータによって実現し、ボデー10の外部に設置している。より具体的には、駆動源61は、ボデー10の周側壁13の外面に固定している。
なお、本実施形態1では、駆動源61としてステッピングモータを用いているが、ステッピングモータに限らず、その他の駆動源を用いても構わない。例えば、サーボモータを用いても良い。
【0041】
動作変換部62は、駆動源61にボデー10の外部で接続すると共にボデー10の内部に回転自在に導入したステム回転軸62aと、ステム回転軸62aと弁体50とを接続するステム接続部62bと、弁体50の昇降移動をガイドする昇降ガイド62eとを有する。
【0042】
ステム回転軸62aは、駆動源61にボデー10の外部で接続すると共にボデー10の内部に回転自在に導入している。
ステム回転軸62aは、より具体的には、一端部をボデー10の外部で駆動源61の出力軸61aに軸心を合致して接続し、他端部をボデー10の内部に回転自在に導入している。
そして、ボデー10の周側壁13には、ステム回転軸62aを挿通可能なステム挿通孔13aが形成され、このステム挿通孔13aを通してステム回転軸62aをボデー10の外部から内部に挿通するようになっている。
ボデー10の外部から内部に延びるステム回転軸62aは、
図3に示すように、軸方向沿って複数配置したベアリングBによって回転自在に支持されている。
【0043】
また、ステム挿通孔13aの周辺には、ОリングS1を設け、このОリングS1によってボデー10の内部と外部との接続部分となるステム挿通孔13a周辺の気密性を確保している。
【0044】
ステム接続部62bは、ステム回転軸62aの動力を弁体50に伝達するようにステム回転軸62aと弁体50との間を繋ぐ円弧動リンク62c及び接続リンク62dを有する2節リンクを構成している。
【0045】
円弧動リンク62cは、一端がステム回転軸62aに接続し、他端が接続リンク62dに接続している。
そして、円弧動リンク62cの接続リンク62dに接続する側の端部は、ベアリングBを設けて接続リンク62dに回転自在に接続する。
より具体的には、接続リンク62dの円弧動リンク62cに接続する側の端部に一対のベアリングBを設け、この一対のベアリングBの内輪に通したリンクピンPNに円弧動リンク62cの端部が連結している。
なお、ベアリングBは、例えば、SUS440Cフライスボールベアリングやウルトラクリーン(登録商標)ベアリングを用いると良い。
【0046】
そして、接続リンク62dは、弁体50の連結片52aに接続する側の端部についても、一対のベアリングBを設け、この一対のベアリングBの内輪に通したリンクピンPNに弁体50の連結片52aが連結している。
このため、円弧動リンク62c及び接続リンク62dによって構成したステム接続部62bは、弁体50に負荷される荷重を4つのベアリングBに分散して受けることが可能となり、小型のベアリングを採用することができる。
このようなステム接続部62bは、弁体50が開位置にある状態では、
図6に示すように、円弧動リンク62cと接続リンク62dとがステム回転軸62aに巻き付くようにコンパクトに折り畳まれるようになっているため、ボデー10に内蔵した弁体50の開位置をステム回転軸62aにより近づけた位置に設定することができる。
一方、弁体50が開位置にある状態では、
図5に示すように、円弧動リンク62cと接続リンク62dとを折り畳まれた状態から伸ばしている。
このため、ボデー10内のステム回転軸62aとボデー10の入口側開口11との距離を弁体50の開閉に伴う移動距離に有効に利用することができるようになっている。
つまり、ステム接続部62bは、弁体50をボデー10内にコンパクトに収容しつつ、弁体50の開閉に伴う移動距離を最大限にのばすことができ、結果的に、弁の開度を大きく設定することができるようになっている。
【0047】
なお、本実施形態1では、水平方向のスペース、すなわち、ステム回転軸62aの軸方向のスペースを有効利用して、ステム接続部62bをステム回転軸62aの軸方向に沿った2か所に設けている。
このように、ステム接続部62bをステム回転軸62aの軸方向に沿った2か所に設けることによって、弁体50を通してステム接続部62bに負荷される荷重を各ステム接続部62bに分散して受けることができる。
【0048】
昇降ガイド62eは、ステム回転軸62aからステム接続部62bを介して動力を伝達された弁体50を入口側開口11の中心線C(
図4参照)に沿って閉位置と開位置に昇降移動するようにガイドする。
この昇降ガイド62eは、弁体50、より具体的には、弁体50の連結部52に上端部を接続した棒状をなし、伸縮自在にボデー10内部に固定されている。
そして、昇降ガイド62eは、2本設けている。2本の昇降ガイド62eは、ステム回転軸62aに沿って2か所に設けたステム接続部62bの間の位置であって、ステム回転軸62aに直交する方向に対向配置している。
なお、昇降ガイド62eは、メンテナンスフリーにするため、グリスレス軸受けを用いるとよい。
【0049】
このような弁体駆動機構60及び弁体50は、2節のリンクと1つのスライダからなるトグル機構を構成している。
つまり、円弧動リンク62c及び接続リンク62dがトグル機構の2つのリンクとして機能し、昇降ガイド62eによってガイドされる弁体50がトグル機構のスライダとして機能している。
このため、
図4に示すように、円弧動リンク62c及び接続リンク62dの2か所の対偶の回転中心が略一直線上に並んだ状態が保持される。つまり、弁体50が閉位置の状態が保持されるようになっている。
【0050】
また、本実施形態では、弁体駆動機構60の弁体50周辺、より具体的には、弁体50が昇降ガイド62eにガイドされて昇降する部分を囲う筒状の整流カバー63を設け、この整流カバー63によってステム接続部62bへのプロセスガスの周り込みを抑えるようにしている。
【0051】
(ボデー昇降機構70について)
ボデー昇降機構70は、上述の入口側接続フランジ20と、入口側接続フランジ20のボルト孔22に螺挿したスタッドボルト71と、このスタッドボルト71に螺合するナット72とを有する。
スタッドボルト71は、入口側接続フランジ20のボルト孔22に螺挿してボルト孔22から入口側接続フランジ20の上方に挿出した部分を真空チャンバーD1の底面のボルト孔に螺合するようになっている。
なお、圧力制御バルブ1は、出口側接続フランジ30をボデー10の周側壁13よりも水平方向内側に幅を縮めてボデー10下部に一体的に設けているので、出口側接続フランジ30が入口側接続フランジ20に螺挿したスタッドボルト71に対して干渉しない構造になっている。
【0052】
ナット72は、入口側接続フランジ20の下方位置からスタッドボルト71に螺合する。
このため、ナット72を締めた場合には、ボデー10がスタッドボルト71に沿って上昇し、入口側接続フランジ20の上端面が真空チャンバーD1の底面D2に当接することによってボデー10が真空チャンバーD1に固定されるようになっている。
一方、ナット72を緩めた場合には、ボデー10がスタッドボルト71に沿って下降し、ボデー10が真空チャンバーD1の底面D2から離間するようになっている。
【0053】
(弁体50の開閉動作について)
以下に、弁体50の開閉動作について説明する。
駆動源61は、不図示の制御装置にドライバを介して接続し、制御装置からの制御信号に基づいて駆動する。
すなわち、制御装置から出力した圧力制御バルブ1の閉から開への制御信号がドライバを介して駆動源61に入力されると、駆動源61がボデー10内の弁体50を閉位置から開位置に移動させるようにステム回転軸62aを所定の回転角度で回転する。
なお、本実施形態1では、弁体50の開閉位置を変化するために必要な回転角度が120度程度となるように調整している。
【0054】
弁体50が閉位置の状態では、
図4に示すように、ステム回転軸62aの回転中心と、円弧動リンク62c及び接続リンク62dによって構成した2節リンクの2か所の対偶の回転中心が上下方向の略一直線上に並んだ状態となる。
このため、圧力制御バルブ1は、弁体駆動機構60及び弁体50からなるトグル機構としての作用によって、駆動源61による動力供給を停止した状態、すなわち、駆動電源をOFFにした状態であっても、弁体50を閉位置に保持することができるようになっている。
つまり、圧力制御バルブ1は、弁体50を閉位置にし、かつ、駆動電源をOFFにした状態で、差圧による逆圧荷重が弁体50に負荷された場合であっても、弁体50が閉位置に保持される。
【0055】
このような閉位置の弁体50(
図4及び
図5参照)が、開位置に移動すると、円弧動リンク62c及び接続リンク62dによって構成した2節リンクが、ステム回転軸62aの回転によって、くの字型の接続リンク62dの凹部にステム回転軸62aが配置され、
図6に示す状態に変位する。
ここで、接続リンク62dに接続する側の円弧動リンク62cの端部が円弧軌跡に沿って下方に移動し、この円弧動リンク62cの移動に連動して、接続リンク62d及び接続リンク62dに連結した弁体50が下方に移動する。
このようにして円弧動リンク62cと接続リンク62dとがステム回転軸62aに巻き付くようにコンパクトに折り畳まれる。
このため、弁体50がボデー10の入口側開口11そばの閉位置からステム回転軸62a近傍の開位置までボデー10内における移動距離を最大限にのばして移動され、弁の開度が大きくなり、結果、真空排気速度が速くなる。
なお、弁体50は、昇降ガイド62eによって入口側開口11の中心線Cに沿って直線的に下降ガイドされながら外周縁部51aをシートリング40に当接した閉位置から、シートリング40に対して下方に離れた開位置に移動する。
このように弁体50が入口側開口11の中心線C(
図4参照)に沿って移動することによって、
図1に示すように、真空チャンバーD1内のプロセスガスが入口側開口11の中心を流れの中心として均一に分散してボデー10内に排出されるため、真空チャンバーD1内でのプロセスガスの流れが均一になる。
【0056】
次に、
図7を用いて、圧力制御バルブ1の設置及びメンテナンスの手順について説明する。
(圧力制御バルブ1の設置の手順について)
まず、圧力制御バルブ1の設置の手順について説明する。
作業者は、出口側接続フランジ30に真空ポンプPを組み付けた状態、あるいは、出口側接続フランジ30に真空ポンプPを組み付ける前の状態のボデー10の入口側接続フランジ20の対角位置の2つのボルト孔22にスタッドボルト71を螺挿し、各スタッドボルト71の上端部を真空チャンバーD1の底面D2の対応するボルト孔に螺合する。
【0057】
そして、作業者は、各スタッドボルト71の下端側から通したナット72を締めつける。これによって、ボデー10が真空チャンバーD1に向けて上昇し、入口側接続フランジ20の上端面が真空チャンバーD1の底面D2に当接する。
【0058】
その後、作業者は、入口側接続フランジ20の対角に位置する残りの2つのボルト孔22にボルトBTを螺挿して真空チャンバーD1の底面D2の対応するボルト孔に締結し、圧力制御バルブ1の設置作業を完了する。
【0059】
(圧力制御バルブ1のメンテナンスの手順について)
次に、圧力制御バルブ1のメンテナンスの手順について説明する。
圧力制御バルブ1をメンテナンスする場合、より具体的には、消耗品のシートリング40、あるいは弁体50を交換あるいは洗浄する場合について説明する。
まず、作業者は、入口側接続フランジ20のボルト孔22に螺挿したスタッドボルト71以外の2つのボルトBTを緩めて締結を解除する。
次に、2つのスタッドボルト71に螺合したナット72を緩める。すると、圧力制御バルブ1のボデー10が真空チャンバーD1から徐々に離間するようにスタッドボルト71に沿って下降し、ボデー10の上端面10a、より具体的には、シートリング40の第二チャンバー当接面41と真空チャンバーD1の底面D2との間に隙間が発生する。
この隙間は、ボデー10の上端面10aからシートリング40を離脱する作業、あるいは、ボデー10に内蔵した弁体50を離脱する作業を容易に行うことができるように調整している。
【0060】
そして、作業者は、ボデー10の上端面10aにシートリング40を固定するボルトBTの締結を解除し、ボデー10からシートリング40を離脱する。
さらに、ボデー10に内蔵した弁体50を離脱する場合、作業者は、弁本体51と連結部52とを固定するボルトBTの締結を解除し、連結部52から弁本体51を取り外す。
このようにして駆動源61に連結する連結部52についてはボデー10内に残しつつ、弁座となるシートリング40に当接して消耗する弁本体51のみをボデー10内から取り出すことができる。
【0061】
本実施形態1によると、圧力制御バルブ1は、真空チャンバーD1に対して下方から接続する入口側開口11と、真空ポンプPに接続する出口側開口12とを対向配置したボデー10に内蔵した弁体50と、この弁体50を入口側開口11の中心線Cに沿って入口側開口11に対する閉位置と開位置とに移動する弁体駆動機構60とを備えたことにより、弁体50が真空チャンバーD1内のスペースを有効に利用して設けられると共に、真空チャンバーD1内のプロセスガスが入口側開口11の中心領域を通して排気されて、真空チャンバーD1内におけるプロセスガスが入口側開口11に向けた均一な流れを形成して排気されるため、真空チャンバーD1の下方にコンパクトに設けることができ、しかも、真空チャンバーD1内の処理対象物Mに対してプロセスガスを用いた均一な処理を施すことができる。
【0062】
また、本実施形態1によると、圧力制御バルブ1は、弁体駆動機構60が、ボデー10の外部に設けた駆動源61と、駆動源61にボデー10の外部で接続すると共にボデー10の内部に回転自在に導入したステム回転軸62a、及び、このステム回転軸62aと弁体50とを接続するステム接続部62bを有して駆動源61による回転動作を弁体50の閉位置及び開位置への移動動作に変換する動作変換部62とを有することにより、ボデー10の外部に設けた駆動源61による駆動力がステム回転軸62aを介してボデー10内部に伝達し、弁体50を閉位置および開位置へ移動する動力に変換されるため、ボデー10の内部の気密性をステム回転軸62a周りに設けたОリングS1等の簡易な構成で確保することができ、結果的に、低コストでボデー10内部の気密性を確保することができる。
【0063】
また、本実施形態1によると、圧力制御バルブ1は、動作変換部62が、駆動力の供給停止状態で弁体50を閉位置に保持可能としたことにより、弁を閉じた状態で弁体駆動機構60に対する駆動力の供給を停止した場合であっても、弁を開く荷重に抗して弁を閉じた状態が保持されるため、弁を閉じた状態でのエネルギー消費を抑えることができる。
【0064】
また、本発明の実施形態1に係る圧力制御バルブ1は、真空チャンバーD1の底面D2に当接する第一チャンバー当接面21を形成した入口側接続フランジ20と、ボデー10の上端面10aに着脱自在、かつ、この上端面10aに取り付けた状態で真空チャンバーD1の底面D2に当接する第二チャンバー当接面41を形成すると共に、弁体50の外周縁部51aが当接可能に入口側開口11の径内方に一部を迫り出した弁体当接面42を有するシートリング40と、真空チャンバーD1の底面D2に対してボデー10の上端面10aを離間自在にボデー10の高さ位置を調整するボデー昇降機構と、を備えたことにより、真空チャンバーD1の下方にボデー10を固定する場合、真空チャンバーD1の底面D2とボデー10との間にシートリング40を介在して入口側接続フランジ20によってボデー10を真空チャンバーD1の底面D2に固定する。
そして、シートリング40および弁体50のメンテナンスを実施する場合、ボデー昇降機構70を用いて真空チャンバーD1の底面D2に対してボデー10を離間してシートリング40をボデー10の上端面10aから離脱する。
このため、真空チャンバーD1の底面D2に接続配管を介することなくボデー10を容易に取り付けることができ、しかも、真空チャンバーD1に対してボデー10の位置を容易に調整でき、結果的に、圧力制御バルブ1を容易に設置することができ、さらには、真空チャンバーD1に対してボデー10を離間した状態でシートリング40および弁体50のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0065】
また、本実施形態1によると、圧力制御バルブ1は、シートリング40が、第二チャンバー当接面41に外部シール材43を設け、弁体当接面42に弁座シール材44を設けたことにより、ボデー10が真空チャンバーD1に対してシートリング40の外部シール材43を介して固定され、弁体50がシートリング40の弁座シール材44を介して入口側開口11を閉じるため、シートリング40に設けた外部シール材43及び弁座シール材44を介して、真空チャンバーD1とボデー10の接続部分の気密性、及び、弁体50を閉位置にした場合の真空チャンバーD1内の気密性を向上することができる。
【0066】
また、本実施形態1によると、圧力制御バルブ1は、第二チャンバー当接面41が第一チャンバー当接面21に比して上側に突出した内側凸の段差形状であることにより、真空チャンバーD1の底面D2に第二チャンバー当接面41による上側突出部分が篏入する凹部を設けて、真空チャンバーD1にボデー10を取り付けた場合、シートリング40が真空チャンバーD1の凹部に埋設するため、高さ方向の設置寸法をコンパクト化することができ、しかも、真空チャンバーD1へのボデー10の取付部分の気密性を向上することができ、さらには、真空チャンバーD1にボデー10を取り付ける際の位置決めが容易になり真空チャンバーD1に対するボデー10の組付け性を向上することができる。
【0067】
実施形態2に係る圧力制御バルブ2について
図8-
図11を用いて詳細に説明する。
図8は、本発明の実施形態2に係る圧力制御バルブ2の斜視図である。
図9は、圧力制御バルブ2の動作変換部82周辺を示す斜視図である。
図10は、圧力制御バルブ2の上面図である。
図11は、圧力制御バルブ2の側面図である。
なお、
図8-
図11において、一部構成を断面図で示すと共に隠れ線を用いて示す。
この実施形態2に係る圧力制御バルブ2は、弁体50を閉位置と開位置とに移動する弁体駆動機構80の構成が異なる点で実施形態1の圧力制御バルブ1と異なる。
実施形態2では、実施形態1と同一構成についての説明を省略する。
【0068】
本発明の実施形態2に係る圧力制御バルブ2は、本体を構成するボデー10と、ボデー10に一体的に形成した入口側接続フランジ20及び出口側接続フランジ30と、ボデー10に着脱自在に設けたシートリング40と、ボデー10に内蔵した弁体50と、弁体50を閉位置と開位置とに移動する弁体駆動機構80と、真空チャンバーD1の底面D2に対してボデー10の上端面10aを離間自在にボデー10の位置を調整するボデー昇降機構70とを備えている。
【0069】
弁体駆動機構80は、ボデー10の外部に設けた駆動源81と、駆動源81にボデー10の外部で接続すると共にボデー10の内部に傾動自在に導入した傾動ステム82a、及び、傾動ステム82aと弁体50とを接続するステム接続部82bを有して駆動源81による回転動作を弁体50の閉位置および開位置への移動動作に変換する動作変換部82とを有する。
【0070】
駆動源81は、例えば、ステッピングモータによって実現し、ボデー10の外部に設けている。
なお、本実施形態2では、駆動源としてステッピングモータを用いているが、ステッピングモータに限らず、その他の駆動源を用いても構わない。例えば、サーボモータを用いても良い。
【0071】
動作変換部82は、駆動源81の出力軸81aに中心を合致して接続した回転盤82dと、回転盤82d上の偏心位置に設けた円弧動カムローラ82eと、円弧動カムローラ82eに一端部が接続した駆動アーム82fと、駆動アーム82fの前方に連続的に延びるように設けた傾動ステム82aと、傾動ステム82aを傾動自在に傾動ステム82aと駆動アーム82fとを連結する傾動支点82hと、傾動ステム82aと弁体50とを接続するステム接続部82bと、弁体50の昇降移動をガイドする昇降ガイド82mとを有する。
【0072】
円弧動カムローラ82eは、回転盤82dの回転に伴って円弧軌跡に沿って動作する。
この円弧動カムローラ82eは、後述するスライダー孔82gへの挿入部分を回転自在なローラによって構成している。
【0073】
駆動アーム82fは、一端部に円弧動カムローラ82eを挿入する長孔状のスライダー孔82gを設けている。この駆動アーム82fは、円弧動カムローラ82eが円弧の軌跡に沿って移動することによってスライダー孔82gを介して駆動源81から動力が伝達される。
【0074】
傾動ステム82aは、傾動支点82hを支点としたシーソー構造の一端側を駆動アーム82fによって構成した場合の他端側を構成している。
このような傾動ステム82aは、駆動アーム82fの動作に連動して傾動支点82hを支点として傾動するようになっている。
【0075】
傾動支点82hは、ボデー10の外部に設けている。この傾動支点82hは、駆動アーム82fと傾動ステム82aとを連結するステム連結部82iと、駆動源81の出力軸81aに平行にステム連結部82iに設けた一対の回転軸部82nと、一対の回転軸部82nを支持する一対の軸受け部82oとを有する。
【0076】
ステム連結部82iは、傾動ステム82aの後端部及び駆動アーム82fの先端部をボルト等の固定部材で固定するように傾動ステム82aの延在方向に直交して設けた連結壁82kと、連結壁82kに両端部から傾動ステム82aの延在方向に突出し、一対の回転軸部82nをそれぞれ設けた一対の軸設置壁82lとを有する。
【0077】
軸受け部82oは、一対の軸設置壁82lに対向して設けたベアリングによって実現し、一対の回転軸部82nを軸支している。
【0078】
このような傾動支点82hは、
図11に示すように、駆動アーム82fのスライダー孔82gに挿入した円弧動カムローラ82e及び傾動ステム82aの先端に接続する接続リンク82cの対偶の中心を通る線上に回転軸部82nの中心が位置するようになっている。
このため、駆動アーム82fの後端から傾動ステム82aの先端まで連続する部材が傾動支点82hを支点としてシーソー状に動作可能になっている。
すなわち、傾動ステム82aは、傾動支点82hによって傾動自在に支持されている。
【0079】
そして、傾動ステム82aをボデー10の内部に挿通する孔は、金属製のベローズS2によって封止している。
より具体的には、
図10に示すように、傾動ステム82aの後端部のステム連結部82iとの連結部分として径を拡大した部分を設け、そこにベローズS2の一端側を接続すると共に、ベローズS2の他端側を挿通孔の周りを囲うようにしてボデー10の周側壁13に接続している。
本実施形態2では、傾動ステム82a及びボデー10に対して溶接によってベローズS2を接続している。
【0080】
なお、本実施形態2では、一対の回転軸部82nを傾動ステム82aの延在方向に沿って一端側から他端側に延びるベローズS2の略中央位置に設けている。
つまり、一対の回転軸部82nは、傾動ステム82aの後端部よりもボデー10に近づけて配置している。
このため、傾動ステム82aの傾動角度の範囲を小さく抑えることができ、ベローズS2による高耐久性の気密性能を可能にしている。
【0081】
ステム接続部82bは、接続リンク82cを有し、この接続リンク82cの傾動ステム82aの先端に接続する側の端部に一対のベアリングBを設け、この一対のベアリングBの内輪に通したリンクピンPNに傾動ステム82aの先端が連結している。
また接続リンク82cは、傾動ステム82aに接続する一端に対して他端となり、弁体50の連結片52aに接続する部分についても、一対のベアリングBを設け、この一対のベアリングBの内輪に通したリンクピンPNに弁体50の連結片52aが連結するようになっている。
このため、接続リンク82cによって構成したステム接続部82bは、弁体50に負荷される荷重を4つのベアリングBに分散して受けるこが可能となり、小型のベアリングを採用することできる。
【0082】
(弁体50の開閉動作について)
以下に、弁体50の開閉動作について説明する。
駆動源81は、不図示の制御装置にドライバを介して接続し、制御装置からの制御信号に基づいて駆動する。
すなわち、制御装置から出力した圧力制御バルブ2の閉から開への制御信号がドライバを介して駆動源81に入力されると、駆動源81が弁体50を閉位置から開位置にボデー10内で移動させるように回転盤82dを所定の回転角度で回転する。
【0083】
傾動ステム82aが上方に傾いて弁体50が閉位置にある状態では、
図11の実線で示す傾動ステム82aのように、弁体50に対して開くように
図11中下方に向けた荷重(逆荷重)が作用すると、傾動ステム82aの先端から駆動アーム82fの後端まで連続した連続部材が傾動支点82hを支点としてシーソー状に動くよう荷重が伝達される。
このようにして傾動ステム82aの先端から駆動アーム82fに伝達された荷重がスライダー孔82gを介して円弧動カムローラ82eに作用すると、その円弧動カムローラ82eには、駆動源81の出力軸81aの中心方向に向く力(
図11中矢印A)が作用する。
このため、円弧動カムローラ82eによって出力軸81aを中心として回転盤82dを回転させる力が作用せず、結果的に、傾動ステム82aが弁体50を閉位置とする傾きに保持される。
つまり、圧力制御バルブ2は、駆動源81から動力を供給しない状態、すなわち、駆動電源をOFFにした状態であっても、弁体50を閉位置に保持することができるようになっている。
【0084】
このような弁体50が閉位置の状態から、回転盤82dの回転によって円弧動カムローラ82eが円弧状に移動して
図11の仮想線の位置になると、傾動ステム82aが下方に傾いた状態に変位する。
ここで、接続リンク82cが円弧軌跡に沿って下方に移動し、この接続リンク82cの移動に連動して、接続リンク82cに連結した弁体50が下方に移動する。
なお、弁体50は、昇降ガイド82mによって上下方向にガイドされながら入口側開口11の中心線に沿って外周縁部51aをシートリング40に当接した閉位置から、シートリング40から下方に離れた開位置に移動する。
【0085】
本実施形態2によると、圧力制御バルブ2は、真空チャンバーD1に対して下方から接続する入口側開口11と、真空ポンプPに接続する出口側開口12とを対向配置したボデー10に内蔵した弁体50と、この弁体50を入口側開口11の中心線Cに沿って入口側開口11に対する閉位置と開位置とに移動する弁体駆動機構80とを備えたことにより、弁体50が真空チャンバーD1内のスペースを有効に利用して設けられると共に、真空チャンバーD1内のプロセスガスが入口側開口11の中心領域を通して排気されて、真空チャンバーD1内におけるプロセスガスが入口側開口11に向けた均一な流れを形成して排気されるため、実施形態1の圧力制御バルブ1と同様に、真空チャンバーD1の下方にコンパクトに設けることができ、しかも、真空チャンバーD1内の処理対象物Mに対してプロセスガスを用いた均一な処理を施すことができる。
【0086】
また、本実施形態2によると、圧力制御バルブ2は、弁体駆動機構80が、ボデー10の外部に設けた駆動源81と、駆動源81にボデー10の外部で接続すると共にボデー10の内部に傾動自在に導入した傾動ステム82a、及び、傾動ステム82aと弁体50とを接続するステム接続部82bを有して駆動源81による回転動作を弁体50の閉位置及び開位置への移動動作に変換する動作変換部82とを有することにより、ボデー10の外部に設けた駆動源81による駆動力が傾動ステム82aを介してボデー10の内部に伝達し、弁体50を閉位置および開位置へ移動する動力に変換されるため、ボデー10の気密性を傾動ステム82a周りに設けたベローズS2等の簡易な構成で確保することができ、結果的に、低コストでボデー10の内部の気密性を確保することができる。
【0087】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。
【0088】
上記の実施の形態では、動作変換部62、82について、ステム回転軸62a、あるいは、傾動ステム82a、それらに接続するステム接続部62b、82bで構成するものを例示したが、これに限らず、駆動源61、81による回転動作を弁体50の閉位置及び開位置への移動動作に変換することができれば、その他の構成にしてもよい。例えば、ステム接続部62bを2節以上のリンク機構で構成してもよい。
【0089】
また、上記の実施の形態では、動作変換部62、82のリンク構成によって弁体50を閉位置に保持するようにしていたが、これに限らず、例えば、駆動源となるステッピングモータの電磁ブレーキを利用して弁体50を閉位置に保持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1、2 圧力制御バルブ
10 ボデー
10a 上端面
11 入口側開口
12 出口側開口
13 周側壁
13a ステム挿通孔
20 入口側接続フランジ
21 第一チャンバー当接面
22 ボルト孔
30 出口側接続フランジ
40 シートリング
40a 開口
41 第二チャンバー当接面
42 弁体当接面
43 外部シール材
44 弁座シール材
50 弁体
51 弁本体
51a 外周縁部
52 連結部
52a 連結片
60、80 弁体駆動機構
70 ボデー昇降機構
71 スタッドボルト
72 ナット
61、81 駆動源
61a、81a 出力軸
62、82 動作変換部
62a ステム回転軸
82a 傾動ステム
62b、82b ステム接続部
62c 円弧動リンク
62d 接続リンク
63 整流カバー
82c 接続リンク
82d 回転盤
82e 円弧動カムローラ
82f 駆動アーム
82g スライダー孔
82h 傾動支点
82i ステム連結部
82k 連結壁
82l 軸設置壁
62e、82m 昇降ガイド
82n 回転軸部
82о 軸受け部
S1 Оリング
S2 ベローズ
D 半導体製造装置
D1 真空チャンバー
D2 底面
P 真空ポンプ
M 処理対象物