(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142507
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】X線撮影装置およびX線撮影装置用位置決め支援ユニット
(51)【国際特許分類】
A61B 6/08 20060101AFI20230928BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A61B6/08 305
A61B6/00 300D
A61B6/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049456
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】奥村 皓史
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA15
4C093EA17
4C093EC04
4C093EC22
4C093EC29
4C093FA15
4C093FA53
4C093FA55
4C093FB02
(57)【要約】
【課題】X線が照射される位置の調整に加えて、X線検出部の検出面とX線照射部のX線の照射方向との相対的な角度関係の調整を容易に行うことが可能なX線撮影装置、および、X線撮影装置用位置決め支援ユニットを提供することである。
【解決手段】このX線撮影装置100は、X線照射部1と、X線検出部2と、X線検出部2の検出面20とX線照射部1のX線の照射方向との相対的な角度関係を検出する角度関係検出部と、X線照射部1からX線が照射される位置を示す照射位置標識を被検者101の体表面に投影する投影部と、を備える。投影部は、検出された角度関係の予め設定された設定角度に対するズレ度合いに基づいて、照射位置標識の表示態様を変更するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者にX線を照射するX線照射部と、
前記X線照射部から照射されたX線を検出するX線検出部と、
前記X線検出部の検出面と前記X線照射部のX線の照射方向との相対的な角度関係を検出する角度関係検出部と、
前記X線照射部からX線が照射される位置を示す照射位置標識を前記被検者の体表面に投影する投影部と、を備え、
前記投影部は、前記角度関係検出部により検出された前記角度関係の予め設定された設定角度に対するズレ度合いに基づいて、前記照射位置標識の表示態様を変更するように構成されている、X線撮影装置。
【請求項2】
前記投影部は、前記X線照射部から照射されるX線の照射中心の位置を示す前記照射位置標識を前記被検者の体表面に投影するように構成されており、前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いに基づいて、前記照射中心の位置を示す前記照射位置標識の表示態様を変更するように構成されている、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項3】
前記投影部は、前記角度関係検出部により検出された前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いに基づいて、前記被検者の体表面に投影される前記照射位置標識の表示、非表示、および、点滅表示のうちの少なくとも2つを切り替えることによって、前記照射位置標識の表示態様を変更するように構成されている、請求項1または2に記載のX線撮影装置。
【請求項4】
前記角度関係検出部は、前記X線検出部の検出面において互いに直交する縦軸方向と横軸方向とのうちの前記縦軸方向を回転軸とした第1回転方向における前記角度関係と、前記横軸方向を回転軸とした第2回転方向における前記角度関係とを検出するように構成されており、
前記投影部は、前記第1回転方向における前記角度関係の前記設定角度に対する第1ズレ度合いと、前記第2回転方向における前記角度関係の前記設定角度に対する第2ズレ度合いとの各々を、個別に識別可能なように、前記第1ズレ度合いに対応する前記照射位置標識の表示態様と、前記第2ズレ度合いに対応する前記照射位置標識の表示態様とを、個別に変更するように構成されている、請求項3に記載のX線撮影装置。
【請求項5】
前記投影部は、前記被検者の体表面上において互いに直交する直線状の第1の投影光と直線状の第2の投影光とを投影することによって、前記X線照射部から照射されるX線の照射中心の位置を示す十字形状の前記照射位置標識を投影するように構成されており、前記第1ズレ度合いに基づいて前記第1の投影光および前記第2の投影光のいずれか一方の表示態様を変更するとともに、前記第2ズレ度合いに基づいて前記第1の投影光および前記第2の投影光のいずれか他方の表示態様を変更するように構成されている、請求項4に記載のX線撮影装置。
【請求項6】
前記投影部は、前記角度関係検出部により検出された前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いが予め設定された角度ズレしきい値よりも大きい場合に、前記照射位置標識を非表示にするとともに、前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いが前記角度ズレしきい値以下の場合に、前記照射位置標識を表示するように構成されている、請求項3~5のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項7】
前記投影部は、前記角度関係検出部により検出された前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いが予め設定された角度ズレしきい値よりも大きい場合に、前記照射位置標識を点滅表示にするとともに、前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いに応じて、前記照射位置標識の点滅表示における点滅の周期を変更するように構成されている、請求項3~5のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項8】
前記設定角度は、前記X線検出部の検出面に対して前記X線照射部のX線の照射方向が直交する前記角度関係となる直交角度であって、
前記投影部は、前記角度関係検出部により検出された前記角度関係の前記直交角度に対するズレ度合いに基づいて、前記照射位置標識の表示態様を変更するように構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項9】
前記角度関係検出部は、前記X線検出部の検出面に直交する直交方向を回転軸とした第3回転方向における前記角度関係を検出するように構成されており、
前記投影部は、前記第3回転方向に沿った前記角度関係の変更を指示する回転指示標識を前記被検者の体表面に投影するように構成されており、前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いに基づいて、前記回転指示標識の表示態様を変更するように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項10】
前記角度関係検出部は、
前記X線検出部に設けられたマーカー部材と、
前記X線照射部に配置され、前記マーカー部材を光学的に撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記マーカー部材に基づいて前記角度関係を検出する制御部と、を含み、
前記制御部は、検出された前記角度関係に基づいて前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いを算出するとともに、算出された前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いに基づいて前記投影部により投影される前記照射位置標識の表示態様を変更させるように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項11】
前記投影部、前記撮像部、および、前記制御部は、前記X線照射部に装着可能に設けられている、請求項10に記載のX線撮影装置。
【請求項12】
前記X線検出部と前記X線照射部との相対的な位置関係を検出する位置関係検出部をさらに備え、
前記投影部は、前記X線検出部の検出面に沿う方向における前記位置関係の変更を指示する移動指示標識を前記被検者の体表面に投影するように構成されており、前記位置関係検出部により検出された前記位置関係の予め設定された設定位置に対するズレ度合いに基づいて、前記移動指示標識の表示態様を変更するように構成されている、請求項1~11のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【請求項13】
被検者にX線を照射するX線照射部のX線の照射方向と、前記X線照射部から照射されたX線を検出するX線検出部の検出面との相対的な角度関係を検出する角度関係検出部と、
前記X線照射部からX線が照射される位置を示す照射位置標識を前記被検者の体表面に投影する投影部と、を備え、
前記投影部は、前記角度関係検出部により検出された前記角度関係の予め設定された設定角度に対するズレ度合いに基づいて、前記照射位置標識の表示態様を変更するように構成されている、X線撮影装置用位置決め支援ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影装置およびX線撮影装置用位置決め支援ユニットに関し、特に、X線検出部の検出面とX線照射部のX線の照射方向との相対的な角度関係を検出するX線撮影装置およびX線撮影装置用位置決め支援ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線経路(X線の照射方向)と受像器(X線検出部)の撮像面(検出面)との相対的な角度関係を検出する放射線画像撮影装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に開示されている放射線画像撮影装置は、放射線源、受像器、センサ装置、および、表示装置、を備える。この放射線画像撮影装置では、患者の背後に配置された受像器によって、放射線源から照射された放射線から診断画像が形成される。そして、この放射線画像撮影装置では、センサ装置により、放射線源と受像器との相対的な空間的位置関係が感知されるとともに、表示装置により、放射線経路に対する受像器の配置を示す画像が生成される。上記特許文献1の放射線画像撮影装置では、受像器に対する放射線源の位置合わせのために、放射線経路に対する受像器の中心位置(センタリング)、受像器の撮像面に対する放射線経路の角度、および、SID(Source to image receptor distance:焦点・受像面間距離)が表示装置により表示される。
【0004】
上記特許文献1の放射線画像撮影装置では、表示装置は、位置合わせを支援する画像を投影するプロジェクタを含む。このプロジェクタは、受像器の位置を示す受像器パターンを患者上に投影する。また、上記特許文献1に記載の放射線画像撮影装置では、放射線の照射範囲を示すコリメータパターンを投影するコリメータ光源が設けられている。そして、この放射線画像撮影装置は、コリメータ光源からのコリメータパターンと、プロジェクタからの受像器パターンとを用いて、放射線源の位置を調整することによって受像器に対する放射線の照射範囲の位置合わせが可能に構成されている。また、プロジェクタは、受像器に対する放射線経路の角度の数値、および、SIDの数値を投影するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の放射線画像撮影装置では、投影されたX線検出部の位置を示す受像器パターンを確認することによってX線が照射される位置を調整しながら、投影された数値を確認することによってX線の照射方向の角度(X線検出部の検出面とX線の照射方向の相対的な角度関係)が適正範囲に含まれるか否かを判断する必要がある。この場合には、投影された数値を確認する必要があるため、角度関係が適正範囲に含まれるか否かを直感的に認識することができない。そのため、角度関係を直感的に認識することにより、X線が照射される位置の調整に加えて、X線検出部の検出面とX線照射部のX線の照射方向との相対的な角度関係の調整を容易に行うことが望まれている。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、X線が照射される位置の調整に加えて、X線検出部の検出面とX線照射部のX線の照射方向との相対的な角度関係の調整を容易に行うことが可能なX線撮影装置、および、X線撮影装置用位置決め支援ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるX線撮影装置は、被検者にX線を照射するX線照射部と、X線照射部から照射されたX線を検出するX線検出部と、X線検出部の検出面とX線照射部のX線の照射方向との相対的な角度関係を検出する角度関係検出部と、X線照射部からX線が照射される位置を示す照射位置標識を被検者の体表面に投影する投影部と、を備え、投影部は、角度関係検出部により検出された角度関係の予め設定された設定角度に対するズレ度合いに基づいて、照射位置標識の表示態様を変更するように構成されている。なお、ここでいう「被検者の体表面」とは、被検者の皮膚の表面のみならず、被検者の着衣などの表面をも含む広い概念として記載している。
【0009】
この発明の第2の局面におけるX線撮影装置用位置決め支援ユニットは、被検者にX線を照射するX線照射部のX線の照射方向と、X線照射部から照射されたX線を検出するX線検出部の検出面との相対的な角度関係を検出する角度関係検出部と、X線照射部からX線が照射される位置を示す照射位置標識を被検者の体表面に投影する投影部と、を備え、投影部は、角度関係検出部により検出された角度関係の予め設定された設定角度に対するズレ度合いに基づいて、照射位置標識の表示態様を変更するように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
上記第1の局面におけるX線撮影装置および上記第2の局面におけるX線撮影装置用位置決め支援ユニットは、X線照射部からX線が照射される位置を示す照射位置標識を被検者の体表面に投影する投影部を備える。そして、投影部は、角度関係検出部により検出された角度関係の予め設定された設定角度に対するズレ度合いに基づいて、照射位置標識の表示態様を変更するように構成されている。これにより、投影部により照射位置標識が被検者の体表面に投影されているため、照射位置標識を確認することによって、照射されるX線の位置の調整を容易に行うことができる。そして、角度関係のズレ度合いに基づいて、投影された照射位置標識の表示態様が変更されるため、投影された数値を確認する場合と異なり、照射位置標識を視認することによって角度関係が適正範囲に含まれるか否かを直感的に認識することができる。その結果、X線が照射される位置の調整に加えて、X線検出部の検出面とX線照射部のX線の照射方向との相対的な角度関係の調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態によるX線撮影装置の構成を説明するための模式図である。
【
図2】第1実施形態によるX線撮影装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図3】X線検出部およびマーカー部材を説明するための模式図である。
【
図4】第1実施形態によるX線撮影装置の位置決め支援ユニットの構成を説明するための図である。
【
図5】センサ部による相対的な位置関係と角度関係との検出を説明するための図である。
【
図6】投影部による照射位置標識の投影を説明するための図である。
【
図7】コリメータに設置されるディスプレイの表示の一例を示した図である。
【
図8】第1実施形態による位置決め支援方法について説明するためのフローチャート図である。
【
図9】第2実施形態によるX線撮影装置の位置決め支援ユニットの構成を説明するための模式図である。
【
図10】第2実施形態による照射位置標識の表示態様の変更を説明するための図である。
【
図11】第3実施形態によるX線撮影装置の位置決め支援ユニットの構成を説明するための模式図である。
【
図12】第3実施形態による回転指示標識の表示態様を説明するための図である。
【
図13】第3実施形態による移動指示標識の表示態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
[第1実施形態]
(X線撮影装置の構成)
図1~
図7を参照して、本発明の第1実施形態によるX線撮影装置100について説明する。
【0014】
図1および
図2に示すように、X線撮影装置100は、装置全体が移動可能な回診用X線撮影装置である。X線撮影装置100は、回診時に、医療機関の各病室において寝台102に横たわる患者(被検者101)の元へ移動してX線撮影することが可能に構成されている。
【0015】
また、X線撮影装置100は、X線照射部1、X線検出部2、本体側制御部3、記憶部4、表示操作部5、本体部6、位置決め支援ユニット7、および、ディスプレイ8を備える。なお、位置決め支援ユニット7は、特許請求の範囲における「X線撮影装置用位置決め支援ユニット」の一例である。
【0016】
X線照射部1は、被検者101にX線を照射する。また、X線照射部1は、X線管11、コリメータ12、および、把持部13を含む。X線管11は、図示しない電源装置から電圧が印加されることによってX線を照射する。コリメータ12は、被検者101に照射されるX線の照射野(照射範囲)を調整する。把持部13は、コリメータ12に固定されており、医師または放射線技師などの作業者により、X線照射部1の位置を変更する場合に把持される。
【0017】
X線検出部2は、X線照射部1から照射され、被検者101を透過したX線を検出する。X線検出部2は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)を含む。そして、X線検出部2は、検出されたX線に基づいて検出信号を出力する。また、X線検出部2は、ワイヤレスタイプのX線検出器として構成されており、無線信号としての検出信号を出力する。具体的には、X線検出部2は、無線LANなどによる無線接続によって、後述する本体側制御部3と通信可能に構成されており、本体側制御部3に対して無線信号としての検出信号を出力する。また、X線検出部2は、板状であって、X線の照射時(X線撮影時)において、被検者101と、被検者101が横たわる寝台102との間に配置される。また、X線検出部2は、X線が照射される側(X線照射部1側)に検出面20を有する。そして、X線検出部2は、X線撮影時以外には本体部6の後述する収納部62に収納されるように構成されている。
【0018】
本体側制御部3は、X線照射部1およびX線検出部2を制御することによって、X線撮影の制御を行う。また、本体側制御部3は、無線LANなどによる無線接続によってX線検出部2と通信可能に構成されている。そして、本体側制御部3は、X線検出部2によって検出されたX線の検出信号に基づいてX線画像を生成する。本体側制御部3は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されたコンピュータである。
【0019】
記憶部4は、たとえば、ハードディスクドライブなどの記憶装置により構成されている。記憶部4は、生成されたX線画像などの画像データを記憶する。また、記憶部4は、X線撮影装置100を動作させる各種の設定値を記憶するように構成されている。また、記憶部4は、本体側制御部3によるX線撮影装置100の制御の処理に用いられるプログラムを記憶する。
【0020】
表示操作部5は、たとえば、タッチパネル式の液晶ディスプレイを含む。そして、表示操作部5は、X線撮影により生成されたX線画像および撮影オーダー情報などが表示される表示部、および、医師または放射線技師などの作業者による各種の操作が入力される入力部として機能するように構成されている。
【0021】
本体部6は、X線撮影装置100の台車として構成されており、内部には、図示しない電源装置、バッテリーなどが設けられている。また、本体側制御部3および記憶部4は、本体部6の内部に収容されている。また、本体部6には、複数の車輪61、収納部62、支柱63、および、アーム部64が設けられている。複数の車輪61は、本体部6を移動させるために本体部6の下部に設けられている。また、収納部62は、本体部6の後部に設けられている。収納部62は、X線検出部2を取り出し可能に収納することが可能なように構成されている。
【0022】
また、支柱63は、本体部6の前部に鉛直方向に延びるように取り付けられている。そして、アーム部64は、支柱63から水平方向に延びるように取り付けられている。また、支柱63は、水平方向に回転可能に構成されている。また、支柱63では、内部が中空になっており、アーム部64を昇降可能にする部品が内部に収納されている。そして、アーム部64には、X線照射部1が移動可能に取り付けられている。また、アーム部64は、支柱63に対して昇降可能であるとともに、X線照射部1の水平位置を変更できるように伸縮可能に構成されている。すなわち、X線照射部1は、アーム部64の昇降に伴い、鉛直方向に沿って昇降可能に構成されているとともに、アーム部64の水平方向における回転および伸縮に伴って水平方向に移動可能に構成されている。また、X線照射部1は、X線の照射角度を変更可能にアーム部64に取り付けられている。
【0023】
そして、X線撮影装置100では、被検者101に対するX線撮影を行う場合に、医師または放射線技師などの作業者によって、被検者101と寝台102との間にX線検出部2が配置されるとともに、X線照射部1が移動させられる。X線照射部1は、X線の照射方向がX線検出部2の検出面20に対して直交する方向となるように配置された状態で、照射するX線の照射中心が、X線検出部2の検出面20の中心位置となるように、作業者によって位置合わせ(位置決め)される。
【0024】
(位置決め支援ユニット)
ここで、X線の照射方向が検出面20に直交する方向からずれている場合には、生成されるX線画像の視認性が低下する。たとえば、肺のX線撮影を行う場合、X線の照射方向が被検者101の左右方向にずれている場合には、X線画像における左右の肺が異なる大きさとなる。また、X線の照射方向が被検者101の頭部方向にずれている場合には、X線画像において肺の上部である肺尖部が鎖骨と重なり合うことに起因して肺尖部の視認性が低下する。また、1人の被検者101に対して複数回のX線撮影を行う場合には、生成されるX線画像の一貫性を保つためにX線照射部1とX線検出部2との相対的な位置決め(位置合わせ)の正確性が求められる。そこで、第1実施形態では、X線撮影装置100には、作業者によるX線照射部1の位置決めを支援する位置決め支援ユニット7が設けられている。
【0025】
図2に示すように、位置決め支援ユニット7は、センサ部70aと、投影部70bとを含む。センサ部70aは、マーカー部材71、撮像部72、および、ユニット側制御部73を含む。また、投影部70bは、レーザ光源74と、レーザ光源75とを含む。また、位置決め支援ユニット7は、ディスプレイ76を含む。なお、センサ部70aは、特許請求の範囲における「角度関係検出部」および「位置関係検出部」の一例である。また、ユニット側制御部73は、特許請求の範囲における「制御部」の一例である。
【0026】
位置決め支援ユニット7は、X線照射部1およびX線検出部2を備えるX線撮影装置100に用いられる。位置決め支援ユニット7では、センサ部70aによりX線照射部1に対するX線検出部2の3次元的な配置(位置および角度)が検出される。そして、投影部70bにより、X線照射部1の位置合わせ(位置決め)を支援する表示が被検者101の体表面に投影される。
【0027】
〈位置および角度の検出〉
図3~
図5に示すように、具体的には、第1実施形態では、センサ部70aは、X線検出部2の検出面20と、X線照射部1のX線の照射方向との相対的な角度関係を検出する。また、センサ部70aは、X線照射部1とX線検出部2との相対的な位置関係を検出する。具体的には、センサ部70aは、X線検出部2に設けられたマーカー部材71を検出することによって、X線照射部1とX線検出部2との相対的な位置および角度を検出する。なお、
図3におけるX方向、Y方向、および、Z方向は、X線検出部2を基準とした方向を示しており、
図4におけるU方向、V方向、および、W方向は、X線照射部1を基準とした方向を示している。
【0028】
図3に示すように、マーカー部材71は、X線検出部2のカバー部材2aの角部に配置されている。マーカー部材71は、たとえば、X線検出部2の四隅のうちX1方向側の2つの角部の各々に1つずつ設けられている。マーカー部材71は、X線検出部2に対して別体として設けられており、取り外し可能に配置されている。また、マーカー部材71は、矩形の形状を有する図形である。マーカー部材71は、撮像部72によって撮像されることにより取得可能な情報が予め設定された、いわゆる、ARマーカーである。マーカー部材71は、被検者101と寝台102との間にX線検出部2が配置された状態で、撮像部72から(Z1方向側から)認識可能なようにカバー部材2aに配置されている。たとえば、被検者101の肺のX線撮影を行う場合には、仰向けに横たわる被検者101の背中側にX線検出部2の検出面20が配置された状態で、マーカー部材71は、被検者101の肩よりも上方(X1方向側)の位置に配置される。
【0029】
図4に示すように、撮像部72およびユニット側制御部73は、X線照射部1に配置されている。具体的には、X線照射部1のコリメータ12において、X線が照射される照射方向側(被検者101側、W2方向側)に位置決め支援ユニット7のユニット筐体部70が配置されている。ユニット筐体部70には、コリメータ12の照射方向側において、照射されるX線が透過する矩形の開口部分が設けられている。この開口部分は、ユニット筐体部70の照射方向側においてU方向およびV方向に各辺が沿う矩形の形状を有している。そして、撮像部72およびユニット側制御部73は、ユニット筐体部70に配置されている。
【0030】
撮像部72は、位置決め支援ユニット7のユニット筐体部70の照射方向側(W2方向側)において、開口部分のV2方向側において、U方向における中央付近に配置されている。そして、撮像部72は、X線照射部1側からX線の照射方向に沿って被検者101側(W2方向側)を光学的に撮像する。第1実施形態では、撮像部72は、X線検出部2の3次元的な配置(位置および角度)を検出するために、マーカー部材71を光学的に撮像する。撮像部72は、動画像としての撮像画像を撮像するとともに、撮像画像をユニット側制御部73に対して出力する。撮像部72は、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、または、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含む。
【0031】
ユニット側制御部73は、位置決め支援ユニット7の各部の制御を実行する。ユニット側制御部73は、撮像部72による撮像、投影部70bによる後述する照射位置標識90(
図6参照)の投影、および、ディスプレイ76の表示の制御を実行する。また、ユニット側制御部73は、後述するディスプレイ8の表示の制御を実行する。また、ユニット側制御部73は、たとえば、CPU、ROM、RAM、および、フラッシュメモリなどの記憶装置などを含んで構成されたコンピュータである。
【0032】
具体的には、第1実施形態では、ユニット側制御部73は、撮像部72により撮像されたマーカー部材71に基づいて、X線照射部1とX線検出部2との相対的な位置関係と、X線検出部2の検出面20とX線照射部1のX線の照射方向(W2方向)との相対的な角度関係とを検出する。詳細には、ユニット側制御部73は、撮像部72により撮像された撮像画像のうちからマーカー部材71を検出することによって、撮像画像におけるマーカー部材71の3次元的な位置情報および角度情報を取得する。また、ユニット側制御部73は、マーカー部材71の大きさ、形状などの情報と、X線検出部2に対するマーカー部材71の位置関係を示す情報と、X線照射部1に対する撮像部72の位置関係を示す情報とを、検出処理用のパラメータとして予め記憶している。そして、ユニット側制御部73は、撮像画像において検出されたマーカー部材71の位置情報と、予め記憶している検出処理用のパラメータとに基づいて、X線照射部1とX線検出部2との相対的な位置関係および角度関係を検出するように構成されている。
【0033】
図5に示すように、ユニット側制御部73は、X線照射部1とX線検出部2との3次元的な位置関係を検出するように構成されている。ユニット側制御部73は、検出面20の縦軸方向(X方向)、横軸方向(Y方向)、および、検出面20に直交する直交方向(Z方向)の3軸方向の各々において、X線焦点であるX線管11に対するX線検出部2(検出面20)の相対的な位置関係を検出するように構成されている。
【0034】
また、ユニット側制御部73は、X線照射部1のX線の照射方向(W2方向)と、X線検出部2の検出面20との相対的な角度関係を、3つの回転角度方向の各々において検出する。たとえば、ユニット側制御部73は、検出面20の縦軸方向(X方向)を回転軸としたロール角方向(φ方向)、横軸方向(Y方向)を回転軸としたピッチ角方向(θ方向)、および、直交方向(Z方向)を回転軸としたヨー角方向(ψ方向)の各々において、相対的な角度関係を検出するように構成されている。なお、ロール角方向(φ方向)は、特許請求の範囲における「第1回転方向」の一例である。また、ピッチ角方向(θ方向)は、特許請求の範囲における「第2回転方向」の一例である。また、ヨー角方向(ψ方向)は、特許請求の範囲における「第3回転方向」の一例である。
【0035】
〈照射位置標識の投影〉
図4に示すように、投影部70bのレーザ光源74およびレーザ光源75は、位置決め支援ユニット7のユニット筐体部70に配置されている。具体的には、レーザ光源74は、位置決め支援ユニット7のユニット筐体部70の照射方向側(W2方向側)のU2方向側において、開口部分のV方向における中央付近に配置されている。レーザ光源75は、位置決め支援ユニット7のユニット筐体部70の照射方向側(W2方向側)のV2方向側において、開口部分のU方向における中央付近に撮像部72に隣り合うように配置されている。レーザ光源74および75は、たとえば、レーザダイオードと、レーザダイオードからのレーザ光をシート状(面状)に拡散させるレンズ部材とを含む。
【0036】
図6に示すように、第1実施形態では、投影部70bのレーザ光源74およびレーザ光源75は、X線照射部1からX線が照射される位置を示す照射位置標識90を被検者101の体表面に投影する。照射位置標識90は、X線照射部1から照射されるX線の照射中心の位置を示す。具体的には、投影部70bのレーザ光源74およびレーザ光源75は、被検者101の体表面上において互いに直交する直線状の第1の投影光91と、直線状の第2の投影光92とをそれぞれ投影することによって、十字形状の照射位置標識90を投影するように構成されている。照射位置標識90の十字形状の交点は、X線照射部1から照射されるX線の照射中心の位置を示している。具体的には、レーザ光源74は、U方向に沿ってシート状に拡散するレーザ光である第1の投影光91をW2方向側に向かって照射する。また、そして、レーザ光源75は、V方向に沿ってシート状に拡散するレーザ光である第2の投影光92をW2方向側に向かって照射する。
【0037】
また、投影部70b(レーザ光源74および75)は、ユニット側制御部73からの制御信号に基づいて、照射位置標識90を投影するように構成されている。第1実施形態では、作業者が被検者101の体表面に投影された第1の投影光91および第2の投影光92を視認しながらX線照射部1の角度を調整することによって、検出面20のX方向に沿って、第1の投影光91が直線状に投影されるとともに、検出面20のY方向に沿って、第2の投影光92が直線状に投影されるように、X線照射部1のヨー角方向(ψ方向)回りの角度が調整される。
【0038】
〈照射位置標識の表示態様の変更〉
ここで、ユニット側制御部73は、投影部70b(レーザ光源74および75)に対して照射位置標識90を投影させるとともに、検出面20に対するX線の照射方向の相対的な角度関係が予め設定された設定角度からずれている場合に、角度ズレを報知するように照射位置標識90の表示態様を変更させるように構成されている。
【0039】
具体的には、ユニット側制御部73は、X線照射部1のX線の照射方向と、X線検出部2の検出面20との相対的な角度関係を検出するとともに、検出された角度関係に基づいて、予め設定された設定角度に対する角度関係のズレ度合いを算出する。詳細には、ユニット側制御部73は、X線検出部2のロール角方向(φ方向)における角度関係の設定角度に対するズレ度合いであるロール角ズレ度合いと、ピッチ角方向(θ方向)における角度関係の設定角度に対するズレ度合いであるピッチ角ズレ度合いとの各々を算出する。なお、ロール角ズレ度合いは、特許請求の範囲における「第1ズレ度合い」の一例である。また、ピッチ角ズレ度合いは、特許請求の範囲における「第2ズレ度合い」の一例である。
【0040】
なお、第1実施形態では、設定角度は、X線検出部2の検出面20に対して、X線照射部1のX線の照射方向が直交する角度関係となる直交角度として設定されて予め記憶されている。すなわち、X線照射部1の照射方向(W2方向)が検出面20に直交する直交方向(Z方向)に沿う向きとなる角度関係が、設定角度として予め設定されている。設定角度は、たとえば、ユニット側制御部73の記憶装置に記憶されている。
【0041】
そして、第1実施形態では、ユニット側制御部73は、算出された角度関係のズレ度合い(ロール角ズレ度合いおよびピッチ角ズレ度合い)に基づいて、投影部70bにより投影される照射位置標識90の表示態様を変更させるように構成されている。具体的には、第1実施形態では、投影部70b(レーザ光源74および75)は、ユニット側制御部73による制御により、検出面20と照射方向(W2方向)との角度関係の設定角度(直交角度)からのズレ度合いに基づいて、照射位置標識90の表示と非表示とを切り替えることによって、照射位置標識90の表示態様を変更するように構成されている。
【0042】
詳細には、ユニット側制御部73は、予め設定された角度ズレしきい値を記憶している。そして、ユニット側制御部73は、算出された角度関係のズレ度合いが、角度ズレしきい値よりも大きい場合に、照射位置標識90の投影を停止させる。すなわち、投影部70bは、ズレ度合いが角度ズレしきい値よりも大きい場合に、照射位置標識90を非表示にする。そして、ユニット側制御部73は、算出されたズレ度合いが、角度ズレしきい値以下の場合に、照射位置標識90を投影させる。すなわち、投影部70bは、ズレ度合いが角度ズレしきい値以下の場合に、照射位置標識90を表示する。角度ズレしきい値は、たとえば、4度である。また、角度ズレしきい値は、ユニット側制御部73の記憶装置に予め記憶されている。
【0043】
ここで、第1実施形態では、投影部70bは、ロール角ズレ度合いとピッチ角ズレ度合いとの各々を、個別に識別可能なように、ロール角ズレ度合いに対応する照射位置標識90の表示形態と、ピッチ角ズレ度合いに対応する照射位置標識90の表示態様とを個別に変更するように構成されている。具体的には、第1実施形態では、ユニット側制御部73は、ロール角ズレ度合いに基づいて投影部70bのレーザ光源74からの第1の投影光91の表示態様を変更する。そして、ユニット側制御部73は、ピッチ角ズレ度合いに基づいて投影部70bのレーザ光源75からの第2の投影光92の表示態様を、第1の投影光91とは個別に変更する。
【0044】
すなわち、ユニット側制御部73は、ロール角ズレ度合いが角度ズレしきい値より大きい場合に、ロール角方向(φ方向)の回転軸であるX方向に沿うように投影される第1の投影光91を非表示にする。そして、ユニット側制御部73は、ロール角ズレ度合いが角度ズレしきい値以下の場合に第1の投影光91を表示させる。同様に、ユニット側制御部73は、ピッチ角ズレ度合いが角度ズレしきい値より大きい場合に、ピッチ角方向(θ方向)の回転軸であるY方向に沿うように投影される第2の投影光92を非表示にする。そして、ユニット側制御部73は、ピッチ角ズレ度合いが角度ズレしきい値以下の場合に第2の投影光92を表示させる。
【0045】
たとえば、
図6に示すように、被検者101の胸部に対して正面からX線を照射する場合において、X線の照射軸(照射方向)が被検者101の左右方向(ロール角方向)にずれている場合には、被検者101の頭部から脚部に向かう頭尾方向に沿って投影される第1の投影光91が非表示となる。そして、X線の照射軸が頭尾方向(ピッチ角方向)にずれている場合には、被検者101の左右方向に沿って投影される第2の投影光92が非表示となる。
【0046】
〈ディスプレイの表示〉
図4に示すように、位置決め支援ユニット7のユニット筐体部70のV2方向側の側面に、ディスプレイ76が設けられている。ユニット側制御部73は、ディスプレイ76にSID(Source to image receptor distance:焦点・受像面間距離)を示す表示を表示させる。具体的には、ユニット側制御部73は、検出されたX線照射部1とX線検出部2との3次元的な位置関係に基づいて、SIDを算出する。そして、ユニット側制御部73は、算出されたSIDの数値をディスプレイ76に表示させる。ディスプレイ76は、たとえば、有機ELディスプレイである。
【0047】
また、X線撮影装置100は、ディスプレイ76とは別個に、ディスプレイ8を備えている。ディスプレイ8は、X線照射部1のコリメータ12の上部(W1方向側)に配置されている。ディスプレイ8は、たとえば、液晶ディスプレイである。ディスプレイ8は、図示しないケーブルを介してユニット側制御部73に接続されている。
【0048】
図7に示すように、ユニット側制御部73は、撮像部72により撮像された撮像画像と、検出された角度関係のズレ度合い(ロール角ズレ度合いおよびピッチ角ズレ度合い)の具体的な数値と、SIDの数値とをディスプレイ8に表示させる。なお、
図7の表示において、「L/R」は、被検者101の左右方向であるロール角ズレ度合いを角度で示しており、「CRA/CAU」は、被検者101の頭尾方向であるピッチ角ズレ度合いを角度で示している。また、ユニット側制御部73は、ディスプレイ8において、撮像部72により撮像された撮像画像を表示させるとともに、撮像画像に重畳させて検出領域表示8aを表示させる。ユニット側制御部73は、撮像画像において検出されたマーカー部材71の位置情報に基づいて、X線検出部2においてX線が検出される領域を算出する。そして、ユニット側制御部73は、撮像画像におけるX線検出部2の検出面20におけるX線の検出領域を、検出領域表示8aとして表示する。検出領域表示8aは、たとえば、X線の検出領域を囲う緑色の枠線として表示される。
【0049】
なお、位置決め支援ユニット7のユニット筐体部70は、X線照射部1に対して装着可能(後付け可能)に構成されている。すなわち、第1実施形態では、撮像部72と、ユニット側制御部73と、投影部70bのレーザ光源74および75とは、X線照射部1に装着可能に構成されている。したがって、位置決め支援ユニット7は、既存のX線撮影装置100に対して後付け可能に構成されている。また、ディスプレイ8も、位置決め支援ユニット7と同様に、X線照射部1に対して装着可能(後付け可能)に構成されている。
【0050】
(位置決め支援方法について)
次に、
図8を参照して、第1実施形態による位置決め支援方法の制御処理について説明する。なお、位置決め支援方法の制御処理は、位置決め支援ユニット7のユニット側制御部73によって実行される。
【0051】
まず、ステップ401において、被検者101と寝台102との間に配置されたX線検出部2に設けられたマーカー部材71が撮像部72により撮像され、撮像画像が取得される。
【0052】
次に、ステップ402において、撮像画像においてマーカー部材71が検出されることによって、X線照射部1に対するX線検出部2の配置が検出される。具体的には、撮像画像におけるマーカー部材71の検出に基づいて、X線照射部1およびX線検出部2の相対的な位置関係と、X線検出部2の検出面20およびX線照射部1のX線の照射方向(W2方向)の相対的な角度関係とが検出される。
【0053】
次に、ステップ403において、検出された角度関係の予め設定された設定角度からのズレ度合いが算出される。具体的には、X線検出部2の検出面20の縦軸方向(X方向)を回転軸としたロール角方向(φ方向)におけるズレ度合いであるロール角ズレ度合いと、横軸方向(Y方向)を回転軸としたピッチ角方向(θ方向)におけるズレ度合いであるピッチ角ズレ度合いとが算出される。
【0054】
次に、ステップ404において、算出されたズレ度合いが、角度ズレしきい値よりも大きいか否かが判断される。具体的には、ロール角ズレ度合いと、ピッチ角ズレ度合いとの各々に対して、角度ズレしきい値よりも大きいか否かの判断がされる。算出されたズレ度合いが角度ズレしきい値よりも大きいと判断された場合には、ステップ405に進む。また、算出されたズレ度合いが角度ズレしきい値以下であると判断された場合には、ステップ406に進む。
【0055】
ステップ405では、照射位置標識90が非表示にされる。具体的には、ロール角ズレ度合いが角度ズレしきい値よりも大きいと判断された場合には、第1の投影光91の表示が非表示となるように、レーザ光源74からの投影がオフにされる。また、ピッチ角ズレ度合いが角度ズレしきい値よりも大きいと判断された場合には、第2の投影光92の表示が非表示となるように、レーザ光源75からの投影がオフにされる。
【0056】
ステップ406では、照射位置標識90が表示される。具体的には、ロール角ズレ度合いが角度ズレしきい値以下と判断された場合には、第1の投影光91が表示されるように、レーザ光源74からの投影がオンにされる。また、ピッチ角ズレ度合いが角度ズレしきい値以下と判断された場合には、第2の投影光92が表示されるように、レーザ光源75からの投影がオンにされる。
【0057】
そして、ステップ407において、ステップ402において検出された相対的な位置関係および角度関係に基づいて、SIDの数値、および、角度関係のズレ度合い(ロール角ズレ度合いおよびピッチ角ズレ度合い)の数値がディスプレイ8に表示される。また、ステップ401において撮像された撮像画像と、撮像画像におけるX線検出部2のX線を検出する領域を示す検出領域表示8aとが重畳されてディスプレイ8に表示される。
【0058】
なお、ステップ407におけるロール角ズレ度合いとピッチ角ズレ度合いとの具体的な数値の表示と、撮像画像および検出領域表示8aの表示とは、ステップ403以降のいずれのタイミングにおいて実行されてもよい。また、上記のステップ401~407における制御処理は、動画像としての撮像画像の1フレームが取得されるごとに繰り返して実行される。なお、ステップ401~407における制御処理を、撮像画像のフレームレートに係わりなく、所定の時間間隔毎に繰り返して実行するようにしてもよい。
【0059】
(実験結果)
次に、第1実施形態のX線撮影装置100(位置決め支援ユニット7)における位置決め支援による効果を確認するために行った実験結果について説明する。
【0060】
実験では、撮影角度(検出面20に対するX線の照射方向の相対的な角度)が所定の値となるように、X線照射部1の3次元的な配置を調整するとともに、X線検出部2に対してX線を照射することによってX線撮影を行った。そして、X線照射部1の配置の調整を毎回行いながら複数回のX線撮影を行うことによって、1回のX線撮影を行うために要した時間の平均時間を取得した。また、X線撮影を行った場合に撮影角度の角度ズレが、所定の範囲内に収まっていない場合には、写損としてX線撮影のやり直しを行うようにした。そして、第1実施形態の位置決め支援ユニット7を用いる場合の実施例と、用いない場合の比較例との結果同士を比較した。
【0061】
実験結果では、位置決め支援ユニット7を用いた実施例によるX線撮影のほうが、比較例に比べて1回の撮影に要する時間が約26%減少した。また、写損の発生確率が、比較例では、約40%であったのに対して、第1実施形態の実施例では、0%であった。なお、写損があった場合にX線撮影をやり直した時間まで含めた場合には、比較例に比べて実施例のほうが、X線撮影に要する時間が約51%減少した。
【0062】
以上から、第1実施形態の位置決め支援ユニット7を備えるX線撮影装置100を用いてX線撮影を行うことによって、X線撮影に要する時間を短縮することができるとともに、写損の生じる割合を低下させることができることが確認された。これにより、作業時間の増大を抑制することができるので、作業者および被検者101の負担を軽減することができる。また、写損の生じる割合を低下させることにより、再撮影の回数を低下させることができるので、被検者101の被爆線量の増大を抑制することができる。また、角度関係の調整が容易であるため、生成されるX線画像の一貫性を保つことができるので、1人の被検者101のX線撮影を複数回行う場合に、X線画像の読影を容易に行うことができる。
【0063】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0064】
第1実施形態のX線撮影装置100は、上記のように、X線照射部1からX線が照射される位置を示す照射位置標識90を被検者101の体表面に投影する投影部70bを備える。そして、投影部70bは、センサ部70a(角度関係検出部)により検出された角度関係の予め設定された設定角度に対するズレ度合いに基づいて、照射位置標識90の表示態様を変更するように構成されている。これにより、投影部70bにより照射位置標識90が被検者101の体表面に投影されているため、照射位置標識90を確認することによって、照射されるX線の位置の調整を容易に行うことができる。そして、角度関係のズレ度合いに基づいて、投影された照射位置標識90の表示態様が変更されるため、投影された数値を確認する場合と異なり、照射位置標識90を視認することによって角度関係が適正範囲に含まれるか否かを直感的に認識することができる。その結果、X線が照射される位置の調整に加えて、X線検出部2の検出面20とX線照射部1のX線の照射方向との相対的な角度関係の調整を容易に行うことができる。
【0065】
また、被検者101の体表面に投影される照射位置標識90を視認することによって、X線が照射される位置の調整に加えて、X線検出部2の検出面20とX線照射部1のX線の照射方向との相対的な角度関係の調整を容易に行うことができるので、被検者101の様子を確認しながら、X線照射部1の位置決めを行うことができる。そのため、被検者101が身体を動かすことにより被検者101の位置がずれることに起因して、X線検出部2の配置とX線照射部1の位置決めとを再度行うことを抑制することができる。
【0066】
また、上記第1実施形態では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0067】
すなわち、第1実施形態では、上記のように、投影部70bは、X線照射部1から照射されるX線の照射中心の位置を示す照射位置標識90を被検者101の体表面に投影するように構成されており、角度関係の設定角度に対するズレ度合いに基づいて、照射中心の位置を示す照射位置標識90の表示態様を変更するように構成されている。このように構成すれば、被検者101に照射されるX線の照射中心を示す照射位置標識90が投影部70bにより投影されるので、作業者は、被検者101を確認しながら、X線が照射される位置の中心を認識することができる。そして、角度関係のズレ度合いに基づいて照射中心を示す照射位置標識90の表示態様が変更されるため、作業者は、X線の照射中心の位置をより正確に認識しながら、角度関係が適正範囲に含まれるか否かを確認することができる。そのため、作業者は、被検者101を確認しながら、被検者101に対して照射されるX線の位置をより正確に認識しながら、X線が照射される位置の調整に加えて、X線検出部2の検出面20とX線照射部1のX線の照射方向との相対的な角度関係の調整を直感的に容易に行うことができる。
【0068】
また、第1実施形態では、上記のように、投影部70bは、センサ部70a(角度関係検出部)により検出された角度関係の設定角度に対するズレ度合いに基づいて、被検者101の体表面に投影される照射位置標識90の表示、非表示、および、点滅表示のうちの少なくとも2つを切り替えることによって、照射位置標識90の表示態様を変更するように構成されている。このように構成すれば、角度関係のズレ度合いに基づいて、照射位置標識90の表示、非表示、および、点滅表示のうちの表示と非表示とを切り替えることによって、照射位置標識90の表示態様が変更されるため、作業者は、照射位置標識90の表示および非表示の状態を認識することによって、角度関係のズレ度合いを容易に視覚的に認識することができる。そのため、照射位置標識90を視認することによって、角度関係が適正範囲に含まれるか否かを容易に認識することができるので、角度関係の調整をより直感的に容易に行うことができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、センサ部70a(角度関係検出部)は、X線検出部2の検出面20において互いに直交する縦軸方向(X方向)と横軸方向(Y方向)とのうちの縦軸方向を回転軸としたロール角方向(第1回転方向、φ方向)における角度関係と、横軸方向を回転軸としたピッチ角方向(第2回転方向、θ方向)における角度関係とを検出するように構成されており、投影部70bは、ロール角方向における角度関係の設定角度に対するロール角ズレ度合い(第1ズレ度合い)と、ピッチ角方向における角度関係の設定角度に対するピッチ角ズレ度合い(第2ズレ度合い)との各々を、個別に識別可能なように、ロール角ズレ度合いに対応する照射位置標識90(第1の投影光91)の表示態様と、ピッチ角ズレ度合いに対応する照射位置標識90(第2の投影光92)の表示態様とを、個別に変更するように構成されている。このように構成すれば、照射位置標識90を視認することによって、ロール角方向におけるロール角ズレ度合いとピッチ角方向におけるピッチ角ズレ度合いとの各々を個別に識別することができるので、作業者は、ロール角方向とピッチ角方向とのいずれの方向に角度関係を調整すればよいかをより容易に認識することができる。そのため、作業者は、角度関係の調整をより直感的に容易に行うことができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、投影部70bは、被検者101の体表面上において互いに直交する直線状の第1の投影光91と直線状の第2の投影光92とを投影することによって、X線照射部1から照射されるX線の照射中心の位置を示す十字形状の照射位置標識90を投影するように構成されており、ロール角ズレ度合い(第1ズレ度合い)に基づいて第1の投影光91および第2の投影光92のいずれか一方である第1の投影光91の表示態様を変更するとともに、ピッチ角ズレ度合い(第2ズレ度合い)に基づいて第1の投影光91および第2の投影光92のいずれか他方である第2の投影光92の表示態様を変更するように構成されている。このように構成すれば、照射位置標識90がX線の照射中心の位置を示す十字形状を有しているため、十字形状の交点を視認することによって、より容易に照射中心の位置を認識することができる。また、ロール角ズレ度合い(第1ズレ度合い)に基づいて第1の投影光91の表示態様が変更されるとともに、ピッチ角ズレ度合い(第2ズレ度合い)に基づいて第2の投影光92の表示態様が変更されるため、十字形状を形成する直線状の第1の投影光91と第2の投影光92との各々の表示態様を認識することによって、ロール角方向(第1回転方向、φ方向)における角度関係の調整と、ピッチ角方向(第2回転方向、θ方向)における角度関係の調整とを個別に容易に行うことができる。そのため、簡単な形状である十字形状の照射位置標識90を視認することによって、ロール角方向とピッチ角方向との各々の角度関係の調整を容易に行うことができる。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、投影部70bは、センサ部70a(角度関係検出部)により検出された角度関係の設定角度に対するズレ度合いが予め設定された角度ズレしきい値よりも大きい場合に、照射位置標識90を非表示にするとともに、角度関係の設定角度に対するズレ度合いが角度ズレしきい値以下の場合に、照射位置標識90を表示するように構成されている。このように構成すれば、照射位置標識90の表示と非表示とが切り替えられることによって、作業者は、角度関係が適正範囲に含まれるか否かをより容易に認識することができる。そのため、複雑な表示態様の変更を行う場合に比べて、角度関係の調整をより直感的に容易に行うことができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、設定角度は、X線検出部2の検出面20に対してX線照射部1のX線の照射方向が直交する角度関係となる直交角度であって、投影部70bは、センサ部70a(角度関係検出部)により検出された角度関係の直交角度に対するズレ度合いに基づいて、照射位置標識90の表示態様を変更するように構成されている。ここで、検出面20に対してX線の照射方向が直交する直交角度においてX線撮影を行うことによって、照射方向が直交角度からずれている場合に比べて、生成されるX線画像の視認性を向上させることができる。そのため、角度関係の直交角度に対するズレ度合いに基づいて照射位置標識90の表示態様を変更することによって、作業者は、角度関係が直交角度であるか否かを容易に認識することができる。その結果、作業者は、生成されるX線画像の視認性を向上させるように角度関係をより容易に調整することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、センサ部70a(角度関係検出部)は、X線検出部2に設けられたマーカー部材71と、X線照射部1に配置され、マーカー部材71を光学的に撮像する撮像部72と、撮像部72により撮像されたマーカー部材71に基づいて角度関係を検出するユニット側制御部73(制御部)と、を含み、ユニット側制御部73は、検出された角度関係に基づいて角度関係の設定角度に対するズレ度合いを算出するとともに、算出された角度関係の設定角度に対するズレ度合いに基づいて投影部70bにより投影される照射位置標識90の表示態様を変更させるように構成されている。ここで、X線照射部1とX線検出部2との相対的な位置関係および角度関係を検出するために、電磁コイルを配置することによって、電磁コイルから発せられる電磁波を検出する場合には、周囲に配置された電子機器から発せられる電磁波に起因して検出の精度が低下する場合がある。これに対して、第1実施形態では、X線検出部2に設けられたマーカー部材71を光学的に撮像することによって位置検出を行っているため、周囲に配置された電子機器からの電磁波に起因して、検出精度が低下することを抑制することができる。
【0074】
また、第1実施形態では、上記のように、投影部70b、撮像部72、および、ユニット側制御部73(制御部)は、X線照射部1に装着可能に設けられている。このように構成すれば、投影部70b、撮像部72、および、ユニット側制御部73が、X線照射部1に装着可能に構成されているため、既存のX線撮影装置に対して、位置決め支援ユニット7(投影部70b、撮像部72、および、ユニット側制御部73)を後付けすることができる。そのため、既存のX線撮影装置を用いる場合にも、位置決め支援ユニット7(投影部70b、撮像部72、および、ユニット側制御部73)を装着することによって、被検者101を確認しながら、X線が照射される位置の調整に加えて、X線検出部2の検出面20とX線照射部1のX線の照射方向との相対的な角度関係の調整を直感的に容易に行うことができる。
【0075】
[第2実施形態]
図9および
図10を参照して、第2実施形態によるX線撮影装置200の構成について説明する。この第2実施形態では、角度関係の設定角度に対するズレ度合いに基づいて照射位置標識90の表示と非表示とを切り替える第1実施形態と異なり、ズレ度合いが大きい場合に照射位置標識290を点滅表示させるとともに、ズレ度合いに応じて照射位置標識290の点滅表示の点滅の周期を変更する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付して図示するとともに説明を省略する。
【0076】
(第2実施形態によるX線撮影装置の構成)
図9および
図10に示すように、第2実施形態によるX線撮影装置200は、位置決め支援ユニット207を備える。位置決め支援ユニット207は、センサ部270aおよび投影部270bを含む。センサ部270aは、ユニット側制御部273を含む。ユニット側制御部273のハードウェア的な構成は、第1実施形態のユニット側制御部73と同様である。また、投影部270bは、レーザ光源274およびレーザ光源275を含む。レーザ光源274およびレーザ光源275の構成は、第1実施形態のレーザ光源74および75と同様であって、直線状の第1の投影光291と直線状の第2の投影光292とをそれぞれ投影することによって、十字形状の照射位置標識290を投影するように構成されている。なお、センサ部270aは、特許請求の範囲における「角度関係検出部」および「位置関係検出部」の一例である。また、ユニット側制御部273は、特許請求の範囲における「制御部」の一例である。
【0077】
図10に示すように、第2実施形態では、投影部270bは、センサ部270aにより検出された角度関係の設定角度に対するズレ度合いが予め設定された角度ズレしきい値よりも大きい場合に、照射位置標識290を点滅表示にするように構成されている。そして、投影部270bは、角度関係の設定角度に対するズレ度合いに応じて、照射位置標識290の点滅表示における点滅の周期を変更するように構成されている。
【0078】
具体的には、ユニット側制御部273は、第1実施形態のユニット側制御部73と同様に、ロール角ズレ度合いとピッチ角ズレ度合いとの各々を算出する。そして、ユニット側制御部273は、ロール角ズレ度合いに基づいて投影部270bのレーザ光源274から投影される第1の投影光291の表示態様を変更する。また、ユニット側制御部273は、ピッチ角ズレ度合いに基づいて投影部270bのレーザ光源275から投影される第2の投影光292の表示態様を、第1の投影光291とは個別に変更する。
【0079】
詳細には、ユニット側制御部273は、ロール角ズレ度合いが予め設定された角度ズレしきい値以下の場合には、レーザ光源274を点灯させて、第1の投影光291を表示させる。同様に、ユニット側制御部273は、ロール角ズレ度合いが予め設定された角度ズレしきい値以下の場合には、レーザ光源274を点灯させて、第1の投影光291を表示させる。
【0080】
そして、第2実施形態では、ユニット側制御部273は、ロール角ズレ度合いが角度ズレしきい値よりも大きい場合に、第1の投影光291を点滅表示させる。また、ユニット側制御部273は、ピッチ角ズレ度合いが角度ズレしきい値よりも大きい場合に、第2の投影光292を点滅表示させる。そして、ユニット側制御部273は、角度関係の設定角度に対するズレ度合い(ロール角ズレ度合いおよびピッチ角ズレ度合い)の大きさに応じて、ズレ度合いが大きいほど点滅表示の点滅の周期を大きくする。
【0081】
たとえば、点滅の周期は、角度ズレしきい値が4度である場合、角度関係のズレ度合いが4度より大きく10度以下の場合には、0.5秒毎に点灯する大きさに設定される。また、ズレ度合いが10度より大きい場合には、点滅の周期が1秒毎に点灯する大きさに設定される。なお、点滅の周期の変更は、2段階以上変更されるようにしてもよい。また、角度関係のズレ度合いの増加に伴って、線形的に周期が変更されるようにしてもよい。
【0082】
なお、
図10の例では、ロール角ズレ度合いが角度ズレしきい値以下であり、ピッチ角ズレ度合いが角度ズレしきい値よりも大きい場合の例を示している。この場合には、第1の投影光291が表示(常時点灯)され、第2の投影光292が点滅表示される。また、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0083】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0084】
第2実施形態では、上記のように、投影部270bは、センサ部270a(角度関係検出部)により検出された角度関係の設定角度に対するズレ度合いが予め設定された角度ズレしきい値よりも大きい場合に、照射位置標識290を点滅表示にするとともに、角度関係の設定角度に対するズレ度合いに応じて、照射位置標識290の点滅表示における点滅の周期を変更するように構成されている。このように構成すれば、ズレ度合いに応じて点滅表示の点滅の周期が変更されるため、照射位置標識290を視認することによって、角度関係のズレ度合いの大きさの差異を容易に視覚的に認識することができる。そのため、照射位置標識290の点滅周期を認識することによって、角度関係の調整をどの程度行うかを直感的に認識することができる。
【0085】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0086】
[第3実施形態]
図11~
図13を参照して、第3実施形態によるX線撮影装置300の構成について説明する。この第3実施形態は、照射位置標識90に加えて、回転指示標識393および移動指示標識394を投影するように構成されている。なお、図中において、上記第1および第2実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付して図示するとともに説明を省略する。
【0087】
(第3実施形態によるX線撮影装置の構成)
図11に示すように、第3実施形態によるX線撮影装置300は、位置決め支援ユニット307を備える。位置決め支援ユニット307は、センサ部370aおよび投影部370bを含む。センサ部370aは、ユニット側制御部373を含む。ユニット側制御部373のハードウェア的な構成は、第1実施形態のユニット側制御部73と同様である。なお、センサ部370aは、特許請求の範囲における「角度関係検出部」および「位置関係検出部」の一例である。また、ユニット側制御部373は、特許請求の範囲における「制御部」の一例である。
【0088】
第3実施形態では、投影部370bは、照射位置標識90(第1の投影光91および第2の投影光92)を投影するレーザ光源74およびレーザ光源75に加えて、レーザ光源377およびレーザ光源378を含む。レーザ光源377およびレーザ光源378は、レーザ光を投影することによって、被検者101の体表面に図形を投影するレーザプロジェクタである。レーザ光源377およびレーザ光源378は、レーザ光源74およびレーザ光源75と同様に、位置決め支援ユニット307のユニット筐体部70において、X線の照射方向側に配置されている。
【0089】
そして、ユニット側制御部373は、投影部370bのレーザ光源74およびレーザ光源75の動作を制御することによって、第1実施形態と同様の照射位置標識90を被検者101の体表面に投影する。また、ユニット側制御部373は、第1実施形態と同様に、検出された角度関係のズレ度合いに基づいて、照射位置標識90の表示および非表示を切り替えることによって表示態様を変更させるように構成されている。
【0090】
そして、
図12および
図13に示すように、第3実施形態では、投影部370bは、ユニット側制御部373による制御によって、照射位置標識90に加えて、回転指示標識393と、移動指示標識394とを被検者101の体表面に投影するように構成されている。
【0091】
図12に示すように、第3実施形態では、投影部270bのレーザ光源377は、ユニット側制御部373の制御により回転指示標識393を被検者101の体表面に投影するように構成されている。回転指示標識393は、ヨー角方向(第3回転方向、ψ方向)に沿った角度関係の変更を指示する表示である。そして、投影部270bのレーザ光源377は、角度関係の設定角度に対するズレ度合いに基づいて、回転指示標識393の表示態様を変更するように構成されている。
【0092】
具体的には、ユニット側制御部373は、第1実施形態と同様に、ヨー角方向(ψ方向)において、X線照射部1のX線の照射方向(W2方向)と、X線検出部2の検出面20との相対的な角度関係を検出する。そして、第3実施形態では、ユニット側制御部373は、ロール角ズレ度合いおよびピッチ角ズレ度合いと同様に、X線検出部2のヨー角方向(ψ方向)における角度関係の設定角度に対するズレ度合いであるヨー角ズレ度合いを算出する。
【0093】
そして、ユニット側制御部373は、算出されたヨー角ズレ度合いに基づいて、回転指示標識393の表示と非表示とを切り替えることによって表示態様を変更する。具体的には、ユニット側制御部373は、予め設定された角度ズレしきい値よりも算出されたヨー角ズレ度合いが大きい場合には、回転指示標識393を表示させ、算出されたヨー角ズレ度合いが角度ズレしきい値以下の場合には、回転指示標識393の表示を停止させる。回転指示標識393は、ヨー角ズレ度合いを小さくするためのヨー角方向(ψ方向)に沿った方向を示す図形である。たとえば、回転指示標識393は、円形に沿って湾曲した矢印である。
【0094】
また、
図13に示すように、第3実施形態では、投影部370bのレーザ光源378は、ユニット側制御部373の制御により移動指示標識394を被検者101の体表面に投影するように構成されている。移動指示標識394は、X線検出部2の検出面20に沿う方向における位置関係の変更を指示する表示である。そして、投影部370bのレーザ光源378は、センサ部370aのユニット側制御部373(位置関係検出部)により検出された位置関係の予め設定された設定位置に対するズレ度合いに基づいて、移動指示標識394の表示態様を変更するように構成されている。
【0095】
具体的には、ユニット側制御部373は、第1実施形態と同様に、検出面20の縦軸方向(X方向)、横軸方向(Y方向)、および、検出面20に直交する直交方向(Z方向)の3軸方向の各々において、X線照射部1とX線検出部2との相対的な位置関係を検出する。そして、第3実施形態では、ユニット側制御部373は、X線検出部2の検出面20の縦軸方向(X方向)および横軸方向(Y方向)の各々における相対的な位置関係の予め設定された設定位置に対するズレ度合いを算出する。予め設定された設定位置は、X線の照射中心が検出面20の中心位置に重なり合う位置関係となる位置である。
【0096】
そして、ユニット側制御部373は、算出された位置関係のズレ度合いに基づいて、移動指示標識394の表示と非表示とを切り替えることによって表示態様を変更する。具体的には、ユニット側制御部373は、予め設定された位置ズレしきい値よりも算出された相対位置のズレ度合いが大きい場合には、移動指示標識394を表示させ、算出された相対位置のズレ度合いが位置ズレしきい値以下の場合には、移動指示標識394の表示を停止させる。移動指示標識394は、たとえば、X方向に沿う方向の移動を指示するように、X方向に沿う方向を示した矢印と、Y方向に沿う方向の移動を指示するように、Y方向に沿う方向を示す矢印とを含む。ユニット側制御部373は、検出面の縦軸方向(X方向)と横軸方向(Y方向)との各々における相対位置のズレ度合いに基づいて、X方向に沿う方向の移動を指示する移動指示標識394の表示態様と、Y方向に沿う移動を指示する移動指示標識394の表示態様とを、個別に変更させる。また、位置ズレしきい値は、角度ズレしきい値と同様に予め設定されて、ユニット側制御部373の記憶装置に記憶されている。
【0097】
また、第3実施形態のその他の構成は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0098】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0099】
第3実施形態では、上記のように、センサ部370a(角度関係検出部)は、X線検出部2の検出面20に直交する直交方向(Z方向)を回転軸としたヨー角方向(第3回転方向、ψ方向)における角度関係を検出するように構成されており、投影部370bは、ヨー角方向に沿った角度関係の変更を指示する回転指示標識393を被検者101の体表面に投影するように構成されており、角度関係の設定角度に対するズレ度合いに基づいて、回転指示標識393の表示態様を変更するように構成されている。ここで、ヨー角方向において角度関係がずれている場合には、X線検出部2の検出面20の領域に対して、照射されるX線の照射野の領域が斜めに傾くようにずれた状態となる。その場合には、検出面20の領域においてX線が照射されない部分が生じるため、生成されるX線画像の一部が欠けた状態となる。これに対して、第3実施形態では、投影部370bを、ヨー角方向に沿った角度関係の変更を指示する回転指示標識393を被検者101の体表面に投影するように構成し、角度関係の設定角度に対するズレ度合いに基づいて、回転指示標識393の表示態様を変更するように構成しているため、回転指示標識393の表示態様を認識することによって、ヨー角方向の角度関係を容易に調整することができる。その結果、生成されるX線画像の一部が欠けた状態となることを容易に認識することができる。
【0100】
また、第3実施形態では、上記のように、X線検出部2とX線照射部1との相対的な位置関係を検出するセンサ部370a(位置関係検出部)を備え、投影部370bは、X線検出部2の検出面20に沿う方向における位置関係の変更を指示する移動指示標識394を被検者101の体表面に投影するように構成されており、センサ部370aにより検出された位置関係の予め設定された設定位置に対するズレ度合いに基づいて、移動指示標識394の表示態様を変更するように構成されている。このように構成すれば、移動指示標識394を視認することによって、角度関係のズレ度合いに加えて位置関係のズレ度合いをも容易に視覚的に認識することができるので、角度関係の調整に加えて位置関係の調整を容易に行うことができる。
【0101】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1および第2実施形態と同様である。
【0102】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0103】
たとえば、上記第1~第3実施形態では、投影部70b(270b、370b)により投影される照射位置標識90(290)が、X線の照射中心の位置を示すように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、投影部により投影される照射位置標識がX線照射部により照射されるX線の照射野の形状を示す表示であってもよい。
【0104】
また、上記第1~第3実施形態では、角度関係のズレ度合いに基づいて、照射位置標識90(290)の表示、非表示、および、点滅表示のうちの少なくとも2つを切り替えることによって、照射位置標識90(290)の表示態様を変更する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、角度関係のズレ度合いに基づいて、照射位置標識の色を変更することにより表示態様を変更するようにしてもよい。また、角度関係のズレ度合いに基づいて照射位置標識の形状(種類)を変更することにより表示態様を変更するようにしてもよい。
【0105】
また、上記第1実施形態では、角度関係のズレ度合いが角度ズレしきい値よりも大きい場合に照射位置標識90を非表示にするとともに角度ズレしきい値以下の場合に照射位置標識90を表示するように構成し、上記第2実施形態では、角度関係のズレ度合いが角度ズレしきい値よりも大きい場合に照射位置標識290を点滅表示にするとともに、角度関係のズレ度合いに応じて照射位置標識290の点滅表示における点滅周期を変更するように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、角度ズレしきい値以下の場合に照射位置標識を表示するとともに、角度関係のズレ度合いが角度ズレしきい値よりも大きい場合に照射位置標識を一定周期で点滅するようにしてもよい。また、角度ズレしきい値以下の場合に照射位置標識を点滅表示するとともに、角度関係のズレ度合いが角度ズレしきい値よりも大きい場合に照射位置標識を点滅させずに表示(常時点灯)するようにしてもよい。
【0106】
また、上記第2実施形態では、角度関係のズレ度合いに応じて、点滅の周期を大きくする例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、角度関係のズレ度合いに応じて、点滅の周期を小さくするようにしてもよい。
【0107】
また、上記第3実施形態では、ヨー角方向(第3回転方向)における角度関係のズレ度合いであるヨー角ズレ度合いに基づいて回転指示標識393の表示と非表示とを切り替えるように表示態様を変更し、位置関係のズレ度合いに基づいて移動指示標識394の表示と非表示とを切り替えるように表示態様を変更する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、回転指示標識および移動指示標識の表示態様の変更を、第2実施形態と同様に、表示と点滅表示とを切り替えるようにしてもよい。その場合に、第2実施形態と同様に、ズレ度合いに応じて、点滅の周期を変更するようにしてもよい。
【0108】
また、上記第1~第3実施形態では、X線検出部2の検出面20において互いに直交する縦軸方向と横軸方向との各々を回転軸とした回転方向における角度関係を調整する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、検出面の縦軸および横軸に対して斜めにずれた方向を回転軸とした回転方向において角度関係を調整するようにしてもよい。
【0109】
また、上記第1~第3実施形態では、照射位置標識90(290)が直線状に投影される第1の投影光91(291)と第2の投影光92(292)とによって形成される十字形状を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、照射位置標識を、1つの点状の投影光を投影することによって、X線の照射中心の位置を示すようにしてもよい。また、照射位置標識として、3つ以上の複数の投影光を投影することによって、X線の照射中心の位置を示すようにしてもよい。
【0110】
また、上記第1~第3実施形態では、ロール角ズレ度合い(第1ズレ度合い)に基づいてロール角方向(第1回転方向)の回転軸である縦軸方向(X方向)に対応する軸(U方向)に沿って延びるように投影される第1の投影光91の表示態様を変更し、ピッチ角ズレ度合い(第2ズレ度合い)に基づいてのピッチ角方向(第2回転方向)の回転軸である横軸方向(Y方向)に対応する軸(V方向)に沿って延びるように投影される第2の投影光92の表示態様を変更する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1ズレ度合いに基づいて第2の投影光の表示態様を変更するとともに、第2ズレ度合いに基づいて第1の投影光の表示態様を変更するように構成してもよい。
【0111】
また、上記第1~第3実施形態では、角度ズレを算出するために予め設定される設定角度が、X線検出部2の検出面20に対してX線照射部1のX線の照射方向が直交する角度関係となる直交角度である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、X線検出部の検出面に対して照射方向が直交する角度関係からずれた角度を設定角度として設定するようにしてもよい。
【0112】
また、上記第1~第3実施形態では、X線検出部2に設けられたマーカー部材71を撮像部72により撮像することによって、X線照射部1に対するX線検出部2の相対的な配置(位置および角度)を検出する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、マーカー部材を配置せず、X線検出部を撮像した撮像画像から、画像認証の制御処理を実行することによって、X線検出部の配置を検出するようにしてもよい。また、赤外線、電波(電磁波)、または、超音波を検出することによって、X線照射部のX線の照射方向と、X線検出部との相対的な角度関係を検出するようにしてもよい。また、X線照射部とX線検出部との各々に角度センサを配置することによって相対的な角度関係を検出するようにしてもよい。
【0113】
また、上記第1~第3実施形態では、位置決め支援ユニット7、207、307(X線撮影装置用位置決め支援ユニット)の投影部70b(270b、370b)、撮像部72、および、ユニット側制御部73、273、373(制御部)が、X線照射部1に装着可能(後付け可能)に構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、投影部、撮像部、および制御部を、X線照射部と一体的に構成するようにしてもよい。
【0114】
また、上記第1および第2実施形態では、照射位置標識90(290)を投影し、上記第3実施形態では、照射位置標識90に加えて、回転指示標識393および移動指示標識394を投影する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、照射位置標識90に加えて、角度関係のズレ度合い、位置関係のズレ度合い、および、SIDを示す具体的な数値を投影するようにしてもよい。その場合には、被検者の体表面からずれた位置に数値を投影してもよい。
【0115】
また、上記第1~第3実施形態では、投影部70b(270b、370b)を、レーザ光を投影するレーザ光源74(75、274、275、377、378)により構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、投影部を、液晶パネルに描画された画像を投影するプロジェクタによって構成するようにしてもよい。また、レーザ光ではない光を投影するLED(発光ダイオード)によって、投影部を構成するようにしてもよい。
【0116】
また、上記第1~第3実施形態では、位置決め支援方法の制御処理を行うユニット側制御部73(273、373)と、X線撮影の制御処理を行う本体側制御部3とが、別個のハードウェアとして構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、共通の1つの制御部(ハードウェア)によって、位置決め支援方法の制御処理とX線撮影の制御処理とを行うようにしてもよい。たとえば、X線検出部の検出面と照射されるX線の照射方向との相対的な角度関係を検出する処理と、被検者の体表面に照射位置標識を投影する処理とを。X線撮影の制御を行う本体側の制御部によって行うようにしてもよい。
【0117】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0118】
(項目1)
被検者にX線を照射するX線照射部と、
前記X線照射部から照射されたX線を検出するX線検出部と、
前記X線検出部の検出面と前記X線照射部のX線の照射方向との相対的な角度関係を検出する角度関係検出部と、
前記X線照射部からX線が照射される位置を示す照射位置標識を前記被検者の体表面に投影する投影部と、を備え、
前記投影部は、前記角度関係検出部により検出された前記角度関係の予め設定された設定角度に対するズレ度合いに基づいて、前記照射位置標識の表示態様を変更するように構成されている、X線撮影装置。
【0119】
(項目2)
前記投影部は、前記X線照射部から照射されるX線の照射中心の位置を示す前記照射位置標識を前記被検者の体表面に投影するように構成されており、前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いに基づいて、前記照射中心の位置を示す前記照射位置標識の表示態様を変更するように構成されている、項目1に記載のX線撮影装置。
【0120】
(項目3)
前記投影部は、前記角度関係検出部により検出された前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いに基づいて、前記被検者の体表面に投影される前記照射位置標識の表示、非表示、および、点滅表示のうちの少なくとも2つを切り替えることによって、前記照射位置標識の表示態様を変更するように構成されている、項目1または2に記載のX線撮影装置。
【0121】
(項目4)
前記角度関係検出部は、前記X線検出部の検出面において互いに直交する縦軸方向と横軸方向とのうちの前記縦軸方向を回転軸とした第1回転方向における前記角度関係と、前記横軸方向を回転軸とした第2回転方向における前記角度関係とを検出するように構成されており、
前記投影部は、前記第1回転方向における前記角度関係の前記設定角度に対する第1ズレ度合いと、前記第2回転方向における前記角度関係の前記設定角度に対する第2ズレ度合いとの各々を、個別に識別可能なように、前記第1ズレ度合いに対応する前記照射位置標識の表示態様と、前記第2ズレ度合いに対応する前記照射位置標識の表示態様とを、個別に変更するように構成されている、項目3に記載のX線撮影装置。
【0122】
(項目5)
前記投影部は、前記被検者の体表面上において互いに直交する直線状の第1の投影光と直線状の第2の投影光とを投影することによって、前記X線照射部から照射されるX線の照射中心の位置を示す十字形状の前記照射位置標識を投影するように構成されており、前記第1ズレ度合いに基づいて前記第1の投影光および前記第2の投影光のいずれか一方の表示態様を変更するとともに、前記第2ズレ度合いに基づいて前記第1の投影光および前記第2の投影光のいずれか他方の表示態様を変更するように構成されている、項目4に記載のX線撮影装置。
【0123】
(項目6)
前記投影部は、前記角度関係検出部により検出された前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いが予め設定された角度ズレしきい値よりも大きい場合に、前記照射位置標識を非表示にするとともに、前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いが前記角度ズレしきい値以下の場合に、前記照射位置標識を表示するように構成されている、項目3~5のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0124】
(項目7)
前記投影部は、前記角度関係検出部により検出された前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いが予め設定された角度ズレしきい値よりも大きい場合に、前記照射位置標識を点滅表示にするとともに、前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いに応じて、前記照射位置標識の点滅表示における点滅の周期を変更するように構成されている、項目3~5のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0125】
(項目8)
前記設定角度は、前記X線検出部の検出面に対して前記X線照射部のX線の照射方向が直交する前記角度関係となる直交角度であって、
前記投影部は、前記角度関係検出部により検出された前記角度関係の前記直交角度に対するズレ度合いに基づいて、前記照射位置標識の表示態様を変更するように構成されている、項目1~7のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0126】
(項目9)
前記角度関係検出部は、前記X線検出部の検出面に直交する直交方向を回転軸とした第3回転方向における前記角度関係を検出するように構成されており、
前記投影部は、前記第3回転方向に沿った前記角度関係の変更を指示する回転指示標識を前記被検者の体表面に投影するように構成されており、前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いに基づいて、前記回転指示標識の表示態様を変更するように構成されている、項目1~8のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0127】
(項目10)
前記角度関係検出部は、
前記X線検出部に設けられたマーカー部材と、
前記X線照射部に配置され、前記マーカー部材を光学的に撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記マーカー部材に基づいて前記角度関係を検出する制御部と、を含み、
前記制御部は、検出された前記角度関係に基づいて前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いを算出するとともに、算出された前記角度関係の前記設定角度に対するズレ度合いに基づいて前記投影部により投影される前記照射位置標識の表示態様を変更させるように構成されている、項目1~9のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0128】
(項目11)
前記投影部、前記撮像部、および、前記制御部は、前記X線照射部に装着可能に設けられている、項目10に記載のX線撮影装置。
【0129】
(項目12)
前記X線検出部と前記X線照射部との相対的な位置関係を検出する位置関係検出部をさらに備え、
前記投影部は、前記X線検出部の検出面に沿う方向における前記位置関係の変更を指示する移動指示標識を前記被検者の体表面に投影するように構成されており、前記位置関係検出部により検出された前記位置関係の予め設定された設定位置に対するズレ度合いに基づいて、前記移動指示標識の表示態様を変更するように構成されている、項目1~11のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0130】
(項目13)
被検者にX線を照射するX線照射部のX線の照射方向と、前記X線照射部から照射されたX線を検出するX線検出部の検出面との相対的な角度関係を検出する角度関係検出部と、
前記X線照射部からX線が照射される位置を示す照射位置標識を前記被検者の体表面に投影する投影部と、を備え、
前記投影部は、前記角度関係検出部により検出された前記角度関係の予め設定された設定角度に対するズレ度合いに基づいて、前記照射位置標識の表示態様を変更するように構成されている、X線撮影装置用位置決め支援ユニット。
【符号の説明】
【0131】
1 X線照射部
2 X線検出部
7、207、307 位置決め支援ユニット(X線撮影装置用位置決め支援ユニット)
20 検出面
70a、270a、370a センサ部(角度関係検出部、位置関係検出部)
70b、270b、370b 投影部
71 マーカー部材
72 撮像部
73、273、373 ユニット側制御部(制御部)
90、290 照射位置標識
91、291 第1の投影光
92、292 第2の投影光
100、200、300 X線撮影装置
101 被検者
393 回転指示標識
394 移動指示標識