(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142546
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】食品添加用二本鎖RNA含有組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/13 20160101AFI20230928BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20230928BHJP
【FI】
A23L33/13
A23L33/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049497
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】390020189
【氏名又は名称】ユーハ味覚糖株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 康浩
(72)【発明者】
【氏名】安田 琢和
(72)【発明者】
【氏名】松川 泰治
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰正
(72)【発明者】
【氏名】藤田 尚志
【テーマコード(参考)】
4B018
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB05
4B018LB06
4B018LB09
4B018MD14
4B018MD44
4B018MD49
4B018MD53
4B018MD57
4B018MD61
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF06
(57)【要約】
【課題】食品に添加することが可能であり、継続的に摂取できる安全性を有する食品添加用二本鎖RNA含有組成物及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】食品に添加するための二本鎖RNA含有組成物であって、前記二本鎖RNA含有組成物は植物又は植物成分中に含まれる二本鎖RNAを含有する組成物であり、前記二本鎖RNAは植物由来エンドルナウイルスのゲノム二本鎖RNAであり、前記植物又は植物成分はトウガラシ属植物、イネ属植物、ソラマメ属植物又はこれらの植物から得られる植物成分であり、前記組成物は、0.3Mを超えて2.0M以下の塩化ナトリウム水溶液に対して可溶性であり、かつ10容量%以上50容量%以下の食品用アルコール水溶液中で沈殿する性質を有することを特徴とする、食品添加用二本鎖RNA含有組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品に添加するための二本鎖RNA含有組成物であって、
前記二本鎖RNA含有組成物は植物又は植物成分中に含まれる二本鎖RNAを含有する組成物であり、
前記二本鎖RNAは植物由来エンドルナウイルスのゲノム二本鎖RNAであり、
前記植物又は植物成分はトウガラシ属植物、イネ属植物、ソラマメ属植物又はこれらの植物から得られる植物成分であり、
前記組成物は、0.3Mを超えて2.0M以下の塩化ナトリウム水溶液に対して可溶性であり、かつ10容量%以上50容量%以下の食品用アルコール水溶液中で沈殿する性質を有することを特徴とする、食品添加用二本鎖RNA含有組成物。
【請求項2】
前記植物又は植物成分が米糠又はピーマンである、請求項1に記載の食品添加用二本鎖RNA含有組成物。
【請求項3】
二本鎖RNAの含有量が0.001重量%以上である、請求項1又は2に記載の食品添加用二本鎖RNA含有組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の食品添加用二本鎖RNA含有組成物を製造する方法であって、
エンドルナウイルスを含むトウガラシ属植物、イネ属植物、ソラマメ属植物又はこれらの植物から得られる植物成分を、0.3Mを超えて2.0M以下の塩化ナトリウム、塩化カリウム塩又はリン酸塩を含む水溶液中で撹拌しながら抽出液を得る工程、
前記抽出液から固液分離した溶液部に、食品用アルコール濃度10容量%以上50容量%以下となるように食品用アルコールを混合し、生じた沈殿物を回収する工程、
前記沈殿物を凍結乾燥して、二本鎖RNA含有組成物を得る工程
を有する、食品添加用二本鎖RNA含有組成物の製造方法。
【請求項5】
前記抽出液に油脂が添加されている、請求項4に記載の食品添加用二本鎖RNA含有組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品に添加可能な二本鎖RNA含有組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルス性疾患全般に対して有効な治療法は確立されておらず、通常、それぞれのウイルス性疾患に応じた治療法が採られている。例えば、C型肝炎等に対してはインターフェロン療法が知られており、また、抗ウイルス薬については、例えば、新型コロナウイルスに対してはモルヌピラビル、インフルエンザに対しては抗ウイルス薬(タミフル、リレンザ等)が知られている。
【0003】
しかしながら、前記治療法に使用される医薬品は、いずれも、高価であり、多量に服用すると副作用の可能性がある。また、継続的な使用によって薬剤耐性ウイルスが生じるため予防目的で継続的に使用することは現状として難しい。
【0004】
一方、植物、特にピーマン、イネ等の日常的に摂取している食用植物には、エンドルナウイルスが存在していることが報告されており(非特許文献1、非特許文献2)、この植物由来エンドルナウイルスのゲノム二本鎖RNAがインターフェロン等の免疫賦活因子の産生促進作用を有しており、さらに、該二本鎖RNAにより、ウイルス性疾患、がん、多発性硬化症等の幅広い疾患の予防及び改善が可能となることが報告されている(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、前記植物由来エンドルナウイルスのゲノム二本鎖RNAは、例えば、特許文献1には、医薬で使用可能な薬剤や有機溶媒を使用することで製造されている(以下、従来法ともいう)が、このような方法で得られたゲノム二本鎖RNAを食品に添加するのは、国等からの規制により難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Journal of General Virology (2011), 92, 2664-2673.
【非特許文献2】Journal of General Virology (2011), 92, 2674-2678.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、食品に添加することが可能であり、継続的に摂取できる安全性を有する食品添加用二本鎖RNA含有組成物及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題に鑑みて鋭意研究した結果、食品として安全な物質のみを使用して、植物由来エンドルナウイルスのゲノム二本鎖RNAを有効成分として含有する食品添加用の組成物を製造することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、本発明は、
[1]食品に添加するための二本鎖RNA含有組成物であって、
前記二本鎖RNA含有組成物は植物又は植物成分中に含まれる二本鎖RNAを含有する組成物であり、
前記二本鎖RNAは植物由来エンドルナウイルスのゲノム二本鎖RNAであり、
前記植物又は植物成分はトウガラシ属植物、イネ属植物、ソラマメ属植物又はこれらの植物から得られる植物成分であり、
前記組成物は、0.3Mを超えて2.0M以下の塩化ナトリウム水溶液に対して可溶性であり、かつ10容量%以上50容量%以下の食品用アルコール水溶液中で沈殿する性質を有することを特徴とする、食品添加用二本鎖RNA含有組成物、
[2]前記植物又は植物成分が米糠又はピーマンである、前記[1]に記載の食品添加用二本鎖RNA含有組成物、
[3]二本鎖RNAの含有量が0.001重量%以上である、前記[1]又は[2]に記載の食品添加用二本鎖RNA含有組成物、
[4]前記[1]~[3]のいずれかに記載の食品添加用二本鎖RNA含有組成物を製造する方法であって、
エンドルナウイルスを含むトウガラシ属植物、イネ属植物、ソラマメ属植物又はこれらの植物から得られる植物成分を、0.3Mを超えて2.0M以下の塩化ナトリウム、塩化カリウム又はリン酸塩を含む水溶液中で撹拌しながら抽出液を得る工程、
前記抽出液から固液分離した溶液部に、食品用アルコール濃度10容量%以上50容量%以下となるように食品用アルコールを混合し、生じた沈殿物を回収する工程、
前記沈殿物を凍結乾燥して、二本鎖RNA含有組成物を得る工程
を有する、食品添加用二本鎖RNA含有組成物の製造方法、
[5]前記抽出液に油脂が添加されている、前記[4]に記載の食品添加用二本鎖RNA含有組成物の製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の食品添加用二本鎖RNA含有組成物は、免疫賦活因子産生促進作用や免疫賦活作用を有する植物由来エンドルナウイルスのゲノム二本鎖RNAを有効成分とするものであるため、本発明の二本鎖RNA含有組成物を添加した食品を継続的に摂取することで、インターフェロン等の免疫賦活因子の産生を促進させ、これにより体内の免疫を賦活することができ、さらには、ウイルス性疾患、がん、多発性硬化症等の予防及び改善に利用することができる。
【0012】
また、本発明の食品添加用二本鎖RNA含有組成物は、食品で使用可能な原料のみを使用して作製していることから、前記従来法で得られる精製品よりも、安全性があり且つより低コストで製造することができるため、継続的な摂取に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施例1で得られた電気泳動像を示す。図中、「1」は0.3M、「2」は0.5M、「3」は0.7M、「4」は0.9Mの塩化ナトリウム溶液にてそれぞれ抽出した溶液をフェノール処理した上層2μLをアガロースゲル電気泳動に供し、臭化エチジウムにて染色した染色像である。矢印は二本鎖RNA(dsRNA)のバンドを示す。
【
図2】
図2は、実施例2で得られた電気泳動像を示す。図中、「1」はエタノール添加前の懸濁液をフェノール処理して電気泳動したものであり、総RNA量を示す。「2」はエタノール無添加(0容量%)、「3」は10容量%、「4」は15容量%、「5」は20容量%、「6」は30容量%、「7」は66容量%になるようにエタノールを添加して得られた沈殿をリン酸緩衝液(PBS)に懸濁した後、フェノール抽出した水層2μLをアガロースゲル電気泳動に供し、臭化エチジウムにて染色した染色像である。矢印は二本鎖RNA(dsRNA)のバンドを示す。
【
図3】
図3は、実施例3において実施した、二本鎖RNA含有組成物によるヒト細胞免疫活性化試験の結果を示すグラフである。グラフの縦軸は二本鎖RNA含有組成物添加前のヒト口腔内上皮細胞から抽出したRNA中のインターフェロンβ遺伝子の発現量を1としたときの相対値である。横軸の「#1」、「#2」、「#3」は3人の被験者の二本鎖RNA含有組成物添加前の値であり、「#1+」、「#2+」、「#3+」は二本鎖RNA含有組成物添加後の結果を示す。なお、図中、「*」は、抽出したRNAを3つに分けてPCRを行い、得られたそれぞれの測定値を示す。グラフの値は平均値、エラーバーは標準誤差である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.食品添加用二本鎖RNA含有組成物
本発明に係る食品添加用二本鎖RNA含有組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう)は、食品に添加するための二本鎖RNA含有組成物であって、
前記二本鎖RNA含有組成物は植物又は植物成分中に含まれる二本鎖RNAを含有する組成物であり、
前記二本鎖RNAは植物由来エンドルナウイルスのゲノム二本鎖RNAであり、
前記植物又は植物成分はトウガラシ属植物、イネ属植物、ソラマメ属植物又はこれらの植物から得られる植物成分であり、
前記組成物は、0.3Mを超えて2.0M以下の塩化ナトリウム水溶液に対して可溶性であり、かつ10容量%以上50容量%以下の食品用アルコール水溶液中で沈殿する性質を有することを特徴とする。
【0015】
前記食品としては、例えば、菓子類(クッキー、ケーキ、ガム、キャンディー、タブレット、グミ、饅頭、羊羹、プリン、ゼリー、アイスクリーム、シャーベット等)、水産加工品(かまぼこ、ちくわ、はんぺん等)、畜産加工品(ハンバーグ、ハム、ソーセージ、ウィンナー、チーズ、バター、ヨーグルト、生クリーム、マーガリン、発酵乳等)、主食類(ご飯類、麺(乾麺、生麺、パスタ)、パン、シリアル等)、調味料(マヨネーズ、ショートニング、ドレッシング、ソース、たれ、しょうゆ等)等が挙げられるが、特に限定はない。
【0016】
前記二本鎖RNAは、本発明の組成物の有効成分である、植物由来エンドルナウイルスのゲノム二本鎖RNAである。
【0017】
エンドルナウイルスは、天然にある特定の植物の葉、茎、根、種子、果実等の植物体のいずれかに存在していることが知られている。
本発明では、前記植物中に存在するエンドルナウイルス(Endornavirus)から抽出されるゲノム二本鎖RNAを、「植物由来エンドルナウイルスのゲノム二本鎖RNA」という。
【0018】
前記植物としては、例えば、ピーマン、トウガラシ、キダチトウガラシ、アヒ・アマリージョ、シネンセ種等のトウガラシ属植物;コシヒカリ、日本晴等の日本型イネ属植物(Oryza sativa);ソラマメ属植物等が挙げられる。
前記トウガラシ(Capsicum annuum)の品種としては、例えばCalifornia Wonder、Yolo Wonder、Kyousuzu、Kyounami、Kyoumidori、Ace、Suigyokunigou、High Green、Jumbo Colour、Marengo、Avelar、Casca Dura、King Arthur、VR-4、Magda、Bonnie’s Green Bell、Red Bell、Chocolate Beauty Sweet、Pimento Sweet、Cayenne Long Red Thick、Super Cayenne等が挙げられる。
前記キダチトウガラシ(Capsicum frutescens)の品種としては、例えばGreenleaf、LSU、PI 159239、PI 193470等が挙げられる。
前記アヒ・アマリージョ(Capsicum baccatum)の品種としては、例えばMonk’s Hat、PI 238061、PI 633752、PI 260549、PI 215699、PI 260590、PI 260543、PI 441589、PI 257135、PI 337524、PI 337522、C00754 (AVRDC)、C01218 (AVRDC)、C01527 (AVRDC)、C01300 (AVRDC)等が挙げられる。
前記シネンセ種(Capsicum chinense)の品種としては、例えばPI 159236、PI 315008、PI 315023、PI 315024、PI 273426、C00943 (AVRDC)、C00949 (AVRDC)等が挙げられる。
前記エンドルナウイルスが感染した前記植物には、全く病徴がなく、また、エンドルナウイルスが感染した植物を食しても、健康に問題はないとされている。
また、前記植物成分としては、植物体から物理的又は化学的な手法で分離された成分をいう。物理的又は化学的な手法としては、食品原料に使用できる方法であればよく、特に限定はない。前記植物成分としては、例えば、糠、搾汁液、粉砕物、抽出物等が挙げられる。
中でも、前記植物又は植物成分としては、コストに優れる観点から、米糠又はピーマンであることが好ましい。
【0019】
前記植物に含まれるエンドルナウイルスは、エンドルナウイルス(Endornaviridae)科エンドルナウイルス(Endornavirus)属に属する、二本鎖RNAウイルスである。前記エンドルナウイルスは、通常、キャプシドで覆われておらず、ゲノム二本鎖RNAから構成されているタイプのウイルスである。
前記エンドルナウイルス種類については、宿主となる植物の種類に応じて区別されることもあり、例えば、日本型イネ品種に高頻度に見いだされる種類として、イネエンドルナウイルス(Oryza sativa endornavirus)等が挙げられるが、本発明では、エンドルナウイルスの種類に関わらず、使用することができる。
【0020】
本発明の組成物は、前記エンドルナウイルスのゲノム二本鎖RNAを有効成分として含有する。エンドルナウイルスのゲノム配列は公知であり、全長で、約15kbpの長さを有するとされている。
【0021】
前記ゲノム二本鎖RNAの長さは、エンドルナウイルスのゲノム全長(約15kbp)を含むより大きい断片、ゲノム全長そのもの及びゲノム全長の断片のいずれであってもよい。例えば、免疫賦活因子産生促進作用をより効率的に発揮できるという観点から、前記ゲノム二本鎖RNAは、ゲノム全長を含んでいることが好ましく、その断片を含む場合でも長い配列であること望ましく、例えば、0.025~20kbpが好ましく、8~20kbpがより好ましく、10~18kbpがより好ましく、12~16kpbがさらに好ましい。
【0022】
本発明において有効成分として利用するゲノム二本鎖RNAの形状は、特に制限されないが、通常は直鎖状である。
【0023】
前記ゲノム二本鎖RNAの種類としては、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
例えば、異なる植物から精製された2種類のエンドルナウイルスに由来するゲノム二本鎖RNAでもよいし、同じ植物から精製された1種類のエンドルナウイルスに由来する2種類のゲノム二本鎖RNA断片でもよい。
【0024】
なお、前記ゲノム二本鎖RNAであることは、RNaseIIIを用いる公知の手法で確認することができる。前記RNaseとしては、ゲノム二本鎖RNAの確認に使用できるものであればよく、特に限定はない。
【0025】
本発明の組成物中における、前記ゲノム二本鎖RNAの含有量としては、本発明の所望の効果を奏する観点から、0.0002重量%以上であることが好ましく、0.001重量%以上であることがより好ましい。また、前記ゲノム二本鎖RNAの含有量の上限は、100重量%でもよいが、特に限定はない。
【0026】
また、本発明の組成物は、前記ゲノム二本鎖RNA以外に、塩類、基剤、担体、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、保湿剤、着色料、香料、キレート剤等が挙げられる。
これらの任意成分の含有量としては、目的に応じて適宜調整すればよく、特に限定はない。
【0027】
本発明の組成物は、0.3Mを超えて2.0M以下の塩化ナトリウム水溶液に対して可溶性である。
前記の特定濃度の塩化ナトリウム水溶液は、ゲノム二本鎖RNAを前記植物又は植物成分から抽出する場合に使用する液体である。本発明の組成物は、前記特定濃度の塩化ナトリウム水溶液に可溶性がある、前記ゲノム二本鎖RNAを含む画分として、前記植物又は植物成分から回収することができる。
なお、前記「可溶性」とは、室温下で、固体状の本発明の組成物を0.3Mを超えて2.0M以下の塩化ナトリウム水溶液に混合した場合、50重量%以上が溶解することをいう。
【0028】
また、本発明の組成物は、食品用アルコール濃度が10容量%以上、50容量%以下の食品用アルコール水溶液中で沈殿する性質を有する。
前記の特定濃度の食品用アルコール水溶液は、ゲノム二本鎖RNAを前記植物から抽出する場合に使用しようする液体であり、かかる食品用アルコール水溶液中で沈殿する性質があることで、植物体から効率よく前記ゲノム二本鎖RNAを回収することができる。
なお、前記「沈殿する性質」とは、室温下で、食品用アルコール濃度が10容量%以上50容量%以下の食品用アルコール水溶液に固体状の本発明の組成物を混合した場合、目視で沈殿物が確認できる性質をいう。
なお、食品用アルコール濃度が50容量%を超える食品用アルコール水溶液を用いた場合、得られた二本鎖RNAの水への溶解性が著しく低下するという問題があるため、好ましくない。
【0029】
前記食品用アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0030】
2.食品添加用二本鎖RNA含有組成物の製造方法
本発明の組成物の製造方法としては、例えば、
エンドルナウイルスを含むトウガラシ属植物、イネ属植物、ソラマメ属植物又はこれらの植物から得られる植物成分を、0.3Mを超えて2.0M以下の塩化ナトリウム、塩化カリウム又はリン酸塩を含む水溶液中で撹拌しながら抽出液を得る工程(以下、工程1)、
前記抽出液から固液分離した溶液部に、食品用アルコール濃度10容量%以上50容量%以下となるように食品用アルコールを混合し、生じた沈殿物を回収する工程(以下、工程2)、この後、沈殿から二本鎖RNAを可溶化する工程(工程3)、
前記沈殿物を凍結乾燥して、二本鎖RNA含有組成物を得る工程(以下、工程4)
を有する。
【0031】
(工程1)
前記工程1において、使用するエンドルナウイルスを含むトウガラシ属植物、イネ属植物、ソラマメ属植物又はこれらの植物から得られる植物成分は、前記の通りであればよく、特に限定はない。
例えば、安全性の観点から、植物体としては、食用部位(例えば、果実、種子、或いはこれらの一部分)であってもよいし、より低コストに目的物を得ることができるという観点から、食用部位であっても、通常であれば廃棄される部位(例えば、イネの種子(米)の糠等)でもよい。
【0032】
前記リン酸塩としては、リン酸、リン酸カルシウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三水素カリウム、リン酸水素二カリウム等が挙げられる。
【0033】
前記塩化ナトリウム、塩化カリウム又はリン酸塩を含む水溶液中には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸塩のいずれか1種のみを含有していてもよいし、2種以上を含有していてもよい。
また、前記の0.3Mを超えて2.0M以下という濃度は、塩化ナトリウム、塩化カリウム及びリン酸塩の合計の濃度を意味する。
【0034】
前記塩化ナトリウム、塩化カリウム又はリン酸塩を含む水溶液と、前記植物成分との混合量は、エンドルナウイルスのゲノム二本鎖RNAを効率よく抽出する観点から、重量比(植物成分/塩化ナトリウム水溶液又はリン酸塩水溶液)が1/5~1/15の範囲となるように調整すればよい。
【0035】
前記撹拌する手段としては、前記植物又は植物成分の状態に対応して、エンドルナウイルスのゲノム二本鎖RNAを抽出できる手段であればよい。
例えば、前記植物の状態が、葉、茎、根、種子、果実等の植物体である場合、これらの植物体を粉砕する手段を用いることが好ましい。
前記の粉砕手段としては、撹拌しながら粉砕できる装置を用いればよく、例えば、スクリュープレス等の搾汁機が挙げられるが、特に限定はない。
なお、粉砕の程度については、植物体が目視で微細な状態になるまですればよいが、特に限定はない。
また、前記撹拌条件としては、エンドルナウイルスのゲノム二本鎖RNAを効率よく抽出する観点から、0~25℃の範囲で行えばよい。
【0036】
また、植物として米糠のように油脂を含有する植物成分を用いる場合、撹拌している液中に油脂が浮いてくる。したがって、この油脂を適宜除去しながら前記撹拌を続けてもよい。
【0037】
また、前記撹拌後、常温(5~25℃)で所定時間静置してもよい。
また、前記静置前に、0.3Mを超えて2.0M以下の塩化ナトリウム水溶液又はリン酸塩水溶液を添加して希釈してもよい。
【0038】
また、本工程1では、前記のようにして得られる抽出液に油脂を添加することで、前記抽出液中に含まれる核酸を濃縮することができる。
前記油脂は、食品に使用できるものであれば特に制限されず、また、25℃で液状油、固体脂は問わない。
例えば、大豆油、キャノーラ油(菜種油)、カカオ脂、シア脂、ラード、バター、パーム油、パーム核油、ゴマ油、紅花油、こめ油等が挙げられるが、好ましくは風味上問題が少なく、水溶液と分離のしやすい菜種油又はカカオ脂等が挙げられる。
前記油脂の添加量については、前記抽出液に対し、例えば0.1~30重量%程度、好ましくは1~10重量%程度であればよい。
【0039】
(工程2)
前記工程2では、前記工程1で得られた抽出液から固液分離することで溶液部を得る。
前記固液分離の手段としては、前記抽出液の液相部分を回収する方法が挙げられる。
【0040】
前記溶液部には、植物体由来の固形分が含まれていてもよいが、フィルター等でろ過して固形分を除去してもよい。
【0041】
前記溶液部には、食品用アルコールを混合して、食品用アルコール濃度10容量%以上50容量%以下となるように調整し、生じた沈殿物を回収する。この工程でかなりの塩化ナトリウムは除去可能である。
【0042】
本発明において、前記食品用アルコール濃度は、10容量%未満であると、二本鎖RNAが沈殿し難くなり抽出効率が低下する傾向があり、また、50容量%を超えると、二本鎖RNA以外の不要成分が沈殿して二本鎖RNAの分離が難しくなる。
前記食品用アルコール濃度としては、二本鎖RNAの回収量が高い観点から、10容量%以上かつ40容量%以下が好ましく、10容量%以上かつ30容量%以下がより好ましい。
【0043】
前記食品用アルコール混合後には、溶液部-食品用アルコール混合溶液中に、液相と沈殿物層とに分離するまで静置することが好ましい。
【0044】
前記沈殿物を回収する手段としては、固液分離できる手段であればよく、特に限定はないが、例えば、遠心分離、デカンテーションによる方法等が挙げられる。
【0045】
また、前記遠心分離やデカンテーションにより得られた沈殿に水を混和して希釈して懸濁液とすることにより、塩濃度を十分に低下させることもできる。この際に水を加えても二本鎖RNAは不溶物中に含まれるため回収量が低下することはない。
【0046】
(工程3)
前記で得られた沈殿の回収物を可溶化する手段としては、リン酸緩衝液(PBS)、クエン酸三ナトリウム溶液を加えて溶解すればよい。使用するクエン酸三ナトリウム溶液の濃度としては、0.05M~0.2Mが好ましい。
【0047】
前記遠心分離やデカンテーションにより得られた沈殿や、これらを水で希釈した懸濁液を脱脂綿やセルロースパウダー等を緩やかに詰めた円筒状のカラムに供することにより、二本鎖RNAを脱脂綿やセルロースパウダーに吸着させることもできる。二本鎖RNAを吸着させたカラムは、水を流して洗浄することにより、二本鎖RNA以外の不純物を除去することができる。その後吸着させた二本鎖RNAは、リン酸緩衝液(PBS)、クエン酸三ナトリウム水溶液等を流すことにより、二本鎖RNAを含む溶液を回収することができる。使用するクエン酸三ナトリウム溶液の濃度としては、0.05M~0.2Mが好ましい。
【0048】
(工程4)
前記工程3で得られた溶解液を凍結乾燥する手段としては、食品分野で公知の凍結乾燥手段を用いればよい。
二本鎖RNAは不安定な物質であるが、本発明では前記工程3で沈殿物を凍結乾燥によって脱水状態にすることで、二本鎖RNAが安定化するという利点がある。
【0049】
前記凍結乾燥の手法及び条件としては、食品分野で使用される手法及び条件であればよく、特に限定はない。
【0050】
前記のようにして得られた凍結乾燥物はそのまま本発明の組成物とすることができるが、公知の手段で粉末化し、必要に応じて均一化してもよい。
【0051】
3.用途
以下に、本発明の組成物の用途について説明する。
【0052】
本発明の組成物中に含まれる植物由来エンドルナウイルスのゲノム二本鎖RNAは、免疫賦活因子産生促進作用を有することから、免疫賦活因子産生促進用の各種組成物(食品組成物、口腔用組成物等)への利用が可能である。
本発明の組成物は、そのまま、あるいは慣用の成分とともに各種組成物となし、非ヒト動物及びヒトに適用(例えば、投与、摂取等)することができる。
【0053】
本発明の組成物は、例えば、インターフェロン(例えば、IFN-β1、IFNα4等)、インターフェロン応答因子(例えば、ISG56、BST2、IFITM3、CXCL1、CXCL2、Pai-1等)、サイトカイン(例えば、IL-1β、IL6、TNFα等)、インターフェロン誘導遺伝子(例えば、Cxcl10等)等の免疫賦活因子の産生を促進することができる。
これにより、体内の免疫を賦活することができるため、本発明の組成物は、免疫賦活用組成物として用いることができる。
【0054】
また、本発明の組成物は、抗ウイルス用組成物(ウイルス感染症の予防又は改善用組成物)として用いることもできる。これは、本発明の組成物の上記作用(免疫賦活因子産生促進作用及び免疫賦活作用)に基づくものであると考えられており、このため本発明の組成物は、ウイルスの種類を問わず、種々のウイルスに対して抗ウイルス作用を発揮できると考えられる。
【0055】
対象ウイルスとしては、特に制限されないが、例えば、インフルエンザウイルス(例えばA型、B型等)、風疹ウイルス、エボラウイルス、コロナウイルス、麻疹ウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ムンプスウイルス、アルボウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、ノロウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、コクサッキーウイルス、ヒトパルボウイルス、脳心筋炎ウイルス、ポリオウイルス、SARSウイルス、肝炎ウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス等)黄熱ウイルス、狂犬病ウイルス、ハンタウイルス、デングウイルス、ニパウイルス、Bウイルス、リッサウイルス、ライノウイルス等が挙げられる。これらの中でも、インフルエンザウイルス、脳心筋炎ウイルス等のRNAウイルスが好ましく挙げられる。
【0056】
また、本発明の組成物の形態は、特に限定されず、本発明の組成物の用途に応じて、各用途において通常使用される形態をとることができる。
【0057】
前記用途が食品としての健康増進剤、栄養補助剤(サプリメント等)等である場合は、例えば、錠剤(口腔内側崩壊錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤等を含む)、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤(ドリンク剤、懸濁剤、シロップ剤を含む)、ゼリー剤等の経口摂取に適した製剤形態(経口製剤形態)が挙げられる。
【0058】
また、前記用途が食品組成物の場合は、ゲル状あるいは固形状の食品、例えば、ドレッシング、ヨーグルト、ゼリー、プリン、ふりかけ、育児用粉乳、ケーキミックス、粉末状又は液状の乳製品、パン、クッキー等が挙げられる。
【0059】
前記用途が口腔用組成物である場合は、例えば、半固体(ゲル、クリーム、ペースト等)、固体(錠剤、粒子状剤、カプセル剤、フィルム剤、混練物、溶融固体、ロウ状固体、弾性固体等)等の任意の形態をとることができ、より具体的には、例えば、チューインガム、錠菓、キャンディー、グミ、フィルム、トローチ等が挙げられる。
【0060】
また、本発明の組成物は、食品用の糖衣剤やコーティング剤に混合することで、本発明の組成物を含有する糖衣部やコーティング部を食品の表面に形成させてもよい。
【0061】
本発明の組成物の適用(例えば、投与、摂取等)量は、特に限定されないが、通常は、有効成分である植物由来エンドルナウイルスのゲノム二本鎖RNAの重量として、一般に経口投与の場合には一日あたり0.1~1000mg/kg体重、好ましくは一日あたり0.5~50mg/kg体重である。上記投与量は1日1回又は2~3回に分けて投与するのが好ましく、年齢、病態、症状により適宜増減することもできる。
【実施例0062】
(1)実施例の内容
(実施例1)
以下の手順で、米糠から二本鎖RNA含有組成物を調製した。
1)コシヒカリ米糠0.1gに、0.3M、0.5M、0.7M、0.9Mの各濃度に調整した食塩水溶液1mLを加え、4℃で20分間スターラーを用いて撹拌した。
2)遠心分離(15000rpm×2分)によって生じた沈殿物を除き、上澄み液を採取した。
3)前記上澄み液に対して、エタノールを混合し、混合液中のエタノール濃度が20容量%になるように調整し、4℃で60分間静置後に生じた沈殿物を回収した。
4)得られた沈殿物を凍結乾燥して、粉末状の組成物を得た。
【0063】
得られた4種類の組成物にリン酸緩衝液(PBS)を加え懸濁した後、フェノール抽出した後、水相画分2μLを常法に基づいてアガロースゲル電気泳動(泳動バッファー:0.5×TBE)によって解析した。得られた電気泳動の結果を
図1に示す。
【0064】
図1に示される結果より、0.3Mの食塩水溶液で抽出した組成物(図中、「1」)に比べて、0.5M(「2」)、0.7M(「3」)、0.9M(「4」)の食塩水溶液で抽出した組成物では、15kbp付近に一本のバンドが目視で確認できた。このバンドは二本鎖RNAのゲノム全長相当するバンドであることから、0.5M、0.7M、0.9Mの食塩水溶液で抽出した組成物は、いずれも二本鎖RNA含有組成物であることがわかる。
また、0.5M、0.7M、0.9Mの食塩水溶液で抽出した組成物中の二本鎖RNAの含有量について、アガロースゲル電気泳動後のゲルを臭化エチジウム染色してバンドを検出し、デンシトメトリー法を用いて測定したところ、いずれも約0.002重量%であった。
【0065】
(実施例2)
以下の手順で、米糠から二本鎖RNA含有組成物を調製した。
1)米糠0.1gに0.5モル濃度の食塩水溶液1mLを加え、4℃で20分間スターラーで撹拌した。
2)静置又は遠心分離(15000rpm×2分)によって沈殿物を除き、上澄みを採取した。
3)上澄み100μLにエタノールを添加して、10、15、20、30、66容量%のエタノール濃度(v/v)となるように調整し(エタノールを添加しないサンプルも作製した)、0℃、30分間静置後、遠心分離(3,000×g、1分)して沈殿物を回収した。
4)得られた沈殿物にPBSを加えて懸濁し、フェノール抽出後、水相画分2μLを、実施例1と同様に電気泳動によって解析した。なお、エタノール添加前の溶液を対照とした。
得られた電気泳動の結果を
図2に示す。
【0066】
図2に示される結果より、エタノール濃度が0容量%(0.5M食塩水)で沈殿させた組成物(図中、「2」)と比べて、10容量%(「3」)、15容量%(「4」)、20容量%(「5」)、30容量%(「6」)、66容量%(「7」)で沈殿させた組成物は、いずれも15kbp付近に一本のバンドが目視で確認できた。このバンドは二本鎖RNAのゲノム全長相当するバンドであることから、エタノール濃度が10、15、20、30容量%で抽出した組成物は、いずれも二本鎖RNA含有組成物であることがわかる。
エタノール濃度0容量%で沈殿させた組成物(「2」)には、バンドそのものがほとんど見られなかったことから、RNAの抽出は極めて微量であることがわかる。
また、エタノール濃度が10、15、20、30容量%で沈殿させた組成物中の二本鎖RNA付近のバンドから、二本鎖RNAの含有量をデンシトメトリー法で測定したところ、0.0004~0.002重量%であった。特に、エタノール濃度が20容量%で沈殿させた組成物でのバンドが最も明瞭であり、含有する二本鎖RNA量が多いことがわかる。
なお、当該分野では、66容量%以上のエタノールを用いる核酸沈殿方法が一般的である。したがって、10容量%以上50容量%以下のエタノールを用いて、RNAを沈殿させる本発明の方法は、従来法に比べて、食品用アルコールの使用量が少ないため、製造コストを抑え、より安全に製造できる点で、優れた方法であるといえる。
【0067】
(実施例3)
実施例1で得られた二本鎖RNA含有組成物をPBSに懸濁させたサンプル溶液を作製した(二本鎖RNAの含有量:1μg/ml)。
次いで、ヒトから入手したヒト口腔上皮細胞にサンプル溶液を添加して30分間処理し、その後、通常培地(DMEM, SIGMA社製)を用いて2時間30分間培養した。
また、対照として、無処理のヒト口腔上皮細胞を用いた。
前記培養後、ヒト口腔上皮細胞からトリゾール試薬(SIGMA社製)を用いてRNAを抽出した。
RT-PCR法によってヒトインターフェロンβ及びグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)のmRNAを定量した。GAPDHの発現量を基にヒトインターフェロンβ遺伝子の発現量の相対値を計算した。
3名の被験者より採取した口腔上皮細胞(#1、#2、#3)を用いてヒトインターフェロンβ発現誘導の相対値を
図3に示す。
図中では、「+」は、サンプル溶液で処理したものを示す。
なお、前記相対値が高い場合、効率的に自然免疫応答が誘導されたと考えられる。
【0068】
図3に示される結果より、#1、#2、#3のいずれの口腔上皮細胞でも、サンプル溶液で処理した場合、無処理に比べて、ヒトインターフェロンβ発現誘導の相対値が有意に高くなっていた。