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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142627
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】半導体ウェーハ搬送容器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20230928BHJP
   B65D 85/30 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D85/30 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049609
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 賢一
【テーマコード(参考)】
3E096
5F131
【Fターム(参考)】
3E096AA03
3E096BA16
3E096BB04
3E096CA06
3E096CB01
3E096DA01
3E096DA23
3E096EA02X
3E096EA02Y
3E096FA09
3E096FA10
3E096GA04
5F131AA02
5F131CA09
5F131GA13
5F131GA33
5F131GA53
5F131GA63
5F131GA72
5F131GA82
5F131GA83
5F131GA92
(57)【要約】
【課題】収容部への収容や収容部からの取り出しの際にウェーハに損傷を与えることのない半導体ウェーハ搬送容器を提供する。
【解決手段】半導体ウェーハ搬送容器1は、一端に開口部11を有し、他端に開口部11と対向しウェーハが重ねて収容される搭載部12を有する容器本体10と、開口部11を塞ぐ蓋体と、を備えるウェーハ搬送容器1で、容器本体10は、搭載部12に、ウェーハを収容する収容部13を区画する複数の本体側壁部が立設され、本体側壁部14は、曲率中心が収容部13の中心と一致する円弧状の本体側壁主部14aと、曲率中心が本体側壁主部とは逆向きの円弧状の本体側壁端部14bと、からなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に開口部を有し、他端に前記開口部と対向しウェーハが重ねて収容される搭載部を有する容器本体と、
前記開口部を塞ぐ蓋体と、を備える半導体ウェーハ搬送容器であって、
前記容器本体は、前記搭載部に、
前記ウェーハを収容する収容部を区画する複数の本体側壁部が立設され、
前記本体側壁部は、曲率中心が前記収容部の中心と一致する円弧状の本体側壁主部と、曲率中心が前記本体側壁主部とは逆向きの円弧状の本体側壁端部と、からなる、
ことを特徴とする半導体ウェーハ搬送容器。
【請求項2】
前記本体側壁部は、前記本体側壁端部の端縁に連続して背面側に突き出す補強壁部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体ウェーハ搬送容器。
【請求項3】
前記本体側壁主部と前記本体側壁端部は、それぞれの背面に補強リブを備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体ウェーハ搬送容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ搬送容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハを収容して搬送する半導体ウェーハ搬送容器として、例えば特許文献1に開示されたウェーハ収容容器がある。特許文献1に開示されたウェーハ収容容器は、合成樹脂材料で成形されている。ウェーハ収容容器は、容器本体上に略筒状となる複数の円弧状の本体側壁部で区画された収容部が設けられる。収容部には、最上段と最下段にクッション材等を配置し、上下のクッション材の間にウェーハと層間シート(合成樹脂製シートまたは無塵紙または合成樹脂製成形品等)とを交互に介在させて収容される。ウェーハ収容容器は、容器本体に、略筒状の蓋体側壁部を備える蓋体を被せるようにし、互いを保持機構で保持して密閉状態でウェーハを収容して搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-174177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
合成樹脂製のウェーハ収容容器では、ウェーハを収容する容器本体の収容部は、複数の本体側壁部が底面部上に立設してウェーハの外径に合わせるよう略筒状に成形されている。
ところが、樹脂成形では、成形後の収縮によって本体側壁部が容器本体の底面部から開口部に向かって離れるにしたがって内側(中心側)に倒れるように収縮する傾向がある。特に、本体側壁部の端部が内側に倒れやすく、本体側壁部の内側への倒れによって、ウェーハを収容部に収容する際やウェーハを取り出す際に本体側壁部に接触してしまう虞があり、ウェーハの損傷を招く虞もある。
本体側壁部とウェーハとの接触を防止するために、本体側壁部の収縮を予め考慮して収容部の内径を大きめに設計することも可能であるが、そうすると特に容器本体底面部においては、ウェーハと本体側壁部との間に隙間が生じてしまうため、ウェーハの水平方向の移動を防止することができず、ウェーハの損傷を招きかねない。
【0005】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、ウェーハの水平方向の移動を確実に防止するとともに、収容部への収容や収容部からの取り出しの際にウェーハに損傷を与えることのない半導体ウェーハ搬送容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明にかかる半導体ウェーハ搬送容器は、
一端に開口部を有し、他端に前記開口部と対向しウェーハが重ねて収容される搭載部を有する容器本体と、
前記開口部を塞ぐ蓋体と、を備える半導体ウェーハ搬送容器であって、
前記容器本体は、前記搭載部に、
前記ウェーハを収容する収容部を区画する複数の本体側壁部が立設され、
前記本体側壁部は、曲率中心が前記収容部の中心と一致する円弧状の本体側壁主部と、曲率中心が前記本体側壁主部とは逆向きの円弧状の本体側壁端部と、からなる、
ことを特徴とする。
【0007】
前記本体側壁部は、前記本体側壁端部の端縁に連続して背面側に突き出す補強壁部が形成されている、ことが好ましい。
【0008】
前記本体側壁主部と前記本体側壁端部は、それぞれの背面に補強リブを備える、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ウェーハの水平方向の移動を確実に防止するとともに、収容部への収容や収容部からの取り出しの際にウェーハに損傷を与えることのない半導体ウェーハ搬送容器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の半導体ウェーハ搬送容器の一実施の形態の容器本体にかかる概略斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態の本体側壁端部を拡大した部分平面図である。
図3】本発明の一実施の形態の保持機構にかかり、(a)は背面図、(b)は断面図である。
図4】本発明の一実施の形態の蓋体にかかる上下を反転した状態の概略斜視図である。
図5】本発明の一実施の形態の蓋体の一部を拡大した部分断面図である。
図6】本発明の一実施の形態の案内部材の動作にかかり、(a)は案内開始状態の説明図、(b)は案内完了後の説明図である。
図7】本発明の一実施の形態の押え部にかかる部分断面図である。
図8】本発明の一実施の形態にかかる分解状態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の半導体ウェーハ搬送容器の一実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。
本発明の半導体ウェーハ搬送容器(以下、単にウェーハ搬送容器とする)1は、容器本体10と蓋体20とを有して合成樹脂材料で成形されている。容器本体10は、一端に開口部11を有し、他端に開口部11と対向し半導体ウェーハ(以下、単にウェーハとする)Wが重ねて収容され底面部となる搭載部12を有している。蓋体20は、容器本体10の開口部11を塞ぐように被せられる。ウェーハ搬送容器1は、容器本体10と蓋体20との間に開閉可能に嵌合して保持する保持機構30を有している。保持機構30は、容器本体10に設けられる係止爪部31を備える係止部材32と、蓋体20に設けられ係止爪部31が係止される係止孔部33と、を少なくとも2箇所に有している。ウェーハ搬送容器1は、蓋体20の容器本体10への嵌合時に、係止部材32に接触しながら容器本体10と蓋体20とを同心状態を保持して案内する案内部材40を蓋体側壁部21に有している。
これにより、容器本体10に蓋体20を被せるようにすると、少なくとも2箇所で蓋体側壁部21の案内部材40が容器本体10に設けた係止部材32に接触しながら同心状態を保持して蓋体20を案内することで、収容したウェーハWに蓋体側壁部21で損傷を与えることなく蓋体20を被せることができる。
【0012】
ウェーハ搬送容器1は、容器本体10の搭載部12に、ウェーハWを収容する収容部13を区画する複数の本体側壁部14が立設され、本体側壁部14は、曲率中心が収容部13の中心と一致する円弧状の本体側壁主部14aと、曲率中心が本体側壁主部14aとは逆向きの円弧状の本体側壁端部14bと、からなる。
こうすることで、本体側壁部14の端部を除く主要部分である本体側壁主部14aが成形後の収縮変形で中心側に倒れることを、逆向きの本体側壁端部14bを外側に収縮変形させるように配置して倒れを相殺し、ウェーハWを収容する際や収容したウェーハWの取り出しの際に本体側壁部14と接触することによる損傷を防止できるようにしている(図1図2参照)。
本明細書において、本体側壁部14の本体側壁主部14aと本体側壁端部14bの境界を、変曲点14dという。
本実施の形態では、容器本体10の開口部11が上方に向けて開口し、底面部となる搭載部12上に水平にウェーハWを重ねて収容する場合を例に説明する。
なお、ウェーハ搬送容器1にウェーハWを重ねて収容し、蓋体20を被せた収容完了後は、ウェーハWがどのような状態(ウェーハWの向きが、例えば水平や垂直等)で、搬送などが行われても良いものである。
【0013】
容器本体10は、合成樹脂材料で成形され、底面部となる搭載部12を備える。搭載部12は、図1に示すように、略正方形状の4角形とされ4隅が円弧状に切り欠かれて形成されている。搭載部12は、底面部の上面にウェーハWが重ねられて収容される。なお、搭載部12は、外形が略正方形状に限らず他の形状であっても良い。
搭載部12は、ウェーハWの収容部13を区画する本体側壁部14が上方に突き出すように立設して形成される。本体側壁部14は、円筒状の一部をなす複数、例えば2つの円弧状に形成される。本体側壁部14の端部を除く主要部分である本体側壁主部14aは、ウェーハWの形状に合うようにされている。本体側壁部14は、円周に沿って間隔Dを開けて立設され、搭載部12と一体に成形されている。これにより、本体側壁部14の上端部が容器本体10の開口部11となり、本体側壁部14で区画された略円筒状の空間がウェーハWの収容部13となる。
本体側壁部14で区画された略円筒状の収容部13の内径は、ウェーハWの収容や取り出しに支障のない大きさに形成され、ウェーハWの大きさ(直径)、例えば5インチ、6インチ、8インチ、12インチ等のサイズに比べて大きく(例えば、直径で1~2mm程度)してある。本体側壁部14の間隔Dは、例えは、等間隔に2箇所設けられ、ウェーハWの収容の際や取り出しの際のロボットアームや作業者の手の挿入口となる。
【0014】
本体側壁部14は、図2に示すように、曲率中心が収容部13の中心と一致する円弧状の本体側壁主部14aと、曲率中心が本体側壁主部14aとは逆向きの円弧状の本体側壁端部14bを備える。本体側壁端部14bは、本体側壁部14による円周上から端縁に向かうにしたがい外側にずれるように形成してある。本体側壁端部14bは、例えば本体側壁部14の直径を約300mmとした場合に、外側端の最大のズレ量を約1.5mm程度とする。本体側壁部14は、容器本体10の搭載部12と一体に成形されている。
これにより、曲率中心が収容部13の中心と一致する本体側壁主部14aは、成形後の冷却による収縮変形で中心側に倒れるように変形するのに対し、本体側壁端部14bは、本体側壁主部14aとは反対の外側の曲率中心側に倒れるように収縮変形が生じることになる。この本体側壁主部14aの収縮変形の方向と本体側壁端部14bの収縮変形の方向とが逆向きとなって変形が相殺され、本体側壁部14の先端縁部の内側への倒れが防止される。これにより、ウェーハWを収容する際や収容したウェーハWの取り出しの際に本体側壁部14と接触することによる損傷を防止する。
【0015】
本体側壁端部14bは、図1図2に示すように、端縁に連続して背面側に突き出す補強壁部14cが形成されている。補強壁部14cは、本体側壁端部14bの端縁に連続し本体側壁端部14bの円弧の曲率中心方向に配置され、本体側壁主部14aや本体側壁端部14bと同一の全高にわたって形成してある。本体側壁端部14bおよび補強壁部14cは、容器本体10の搭載部12と一体に成形されている。補強壁部14cによって本体側壁端部14bの端縁が補強されて倒れが抑えられ、一層確実に本体側壁部14の倒れを相殺して、ウェーハWを収容する際や収容したウェーハWの取り出しの際に本体側壁部14と接触することによる損傷を防止する。
【0016】
また、本体側壁主部14aと本体側壁端部14bは、それぞれの背面に補強リブ14eを備え、補強リブ14eの間の変曲点14dから本体側壁端部14bが形成してある。これにより、逆方向の変形応力が作用する変曲点14dが補強リブ14eによって補強され、確実に本体側壁部14の倒れを相殺して、ウェーハWを収容する際や収容したウェーハWの取り出しの際に本体側壁部14と接触することによる損傷を防止する。
なお、変曲点14dを挟む両側に設ける補強リブ14eは、変曲点14dに接近する両側に配置することが補強に有効となる。
【0017】
容器本体10は、図1図3に示すように、本体側壁部14の下端部外周に蓋体20(図4図6参照)との環状のシール面15が上方に突き出すように形成されている。搭載部12の外周の本体側壁部14の間隔D部分には、凹部15aが形成され突き出し量が小さくなっている。また、略正方形状の容器本体10の外周部には、底面部を段差状に切り欠いたシール面16が環状に形成されている。これら2つのシール面15,16により、容器本体10は、全周が2重のシール面15,16で囲まれている。
【0018】
蓋体20は、図4図6に示すように、容器本体10の開口部11(図1参照)を塞ぐように被せられるものである。蓋体20は、外形が搭載部12と同一形状の略正方形状の4隅を円弧状に切り欠いた形状とされ、天面を塞ぐ蓋体天面部23を備えている。蓋体天面部23には、容器本体10の本体側壁部14に対応して4つに分割された円弧状の蓋体側壁部21が下方に突き出すように4隅に形成される。蓋体20は、円弧状の蓋体側壁部21の外側に略正方形状の蓋体外壁部22が下方に突き出して一体に形成されている。蓋体側壁部21は、両端部がそれぞれ蓋体外壁部22の内側に連結されて蓋体側壁部21と蓋体外壁部22とで環状に連続し、蓋体20の全周を囲んでいる。
ウェーハ搬送容器1は、容器本体10に蓋体20が被せられると、蓋体20の4つの蓋体側壁部21の内側面が容器本体10の円弧状のシール面15に接触する。これと同時に、蓋体20の蓋体外壁部22の直線状の内側面が容器本体10の外周部のシール面16に接触する。これにより、ウェーハ搬送容器1は、収容部13内がシールされ、密封状態にすることができる。
【0019】
ウェーハ搬送容器1は、図1図6に示すように、容器本体10と蓋体20とを開閉可能に嵌合して保持する保持機構30を備えている。保持機構30は、容器本体10に形成される係止部材32と、蓋体20に形成される係止孔部33と、を少なくとも2箇所に有している。係止部材32は、容器本体10の他端から一端に伸びるよう形成され、一端部に係止爪部31を備える。係止孔部33は、蓋体20に設けられ容器本体10の係止爪部31が係止される。
容器本体10には、図1図3図6に示すように、搭載部12の4隅の、本体側壁部14の外側4箇所に、先端内側に係止爪部31が設けられた係止部材32が搭載部12と一体に上方(一端の開口部11側)に突き出して形成されている。係止部材32の係止爪部31は、蓋体20の係止孔部33に係止することで容器本体10と蓋体20との連結状態を保持する。
容器本体10の係止爪部31は、上端が高く中心側に向かって低い傾斜面とされ、傾斜面下端が外側に凹んだ下端水平面とされている。係止爪部31は、傾斜面の中央部がL字状に切り欠かれた切欠き部が形成され、解放の際の操作部31aとされる。
【0020】
蓋体20は、蓋体天面部23の4隅に、容器本体10の係止部材32の配置に対応する4箇所に、係止孔部33が形成されている(図6図8等参照)。容器本体10の搭載部12から上方に突き出す係止部材32の係止爪部31が係止孔部33を乗り越えた後、係止爪部31の下端水平面が係止されて保持状態となる。
係止孔部33は、図5に示すように、蓋体天面部23の上面に形成された凹部24に形成される。係止部材32の係止爪部31が凹部24により蓋体20の表面から突き出さないようにしてある。凹部24の表面は、係止爪部31が係止される係止面34となる。
これにより、容器本体10に蓋体20を被せるようにして4箇所の容器本体10側の係止部材32の係止爪部31を、蓋体20側の係止孔部33を乗り越えさせて、係止爪部31の下端水平面が凹部24の表面の係止面34に係止される。
この係止状態では、容器本体10と蓋体20とによってウェーハWの収容部13が密閉状態でシールされた状態で保持される。
一方、係止された保持状態の解放は、蓋体20の凹部24の表面に沿って係止爪部31の操作部31aを中心側から外側に押し戻すことで行うことができる。
なお、保持機構30は、4箇所とする場合に限らず、少なくとも2箇所、例えば対角位置の2箇所に設ければ良く、容器本体10と蓋体20とを係止状態に保持できれば良い。
【0021】
蓋体20は、ウェーハWの外側部に当てて押える押え部25を備えている(図4図7等参照)。押え部25は、ウェーハWの外側部となる少なくとも2箇所、容器本体10の本体側壁部14の間隔Dに対応する2箇所で押える。このウェーハ搬送容器1では、蓋体20をどのような位置(90度回転した位置)で被せてもウェーハWを押えることができるように、蓋体外壁部22の4箇所に押え部25を形成してある。
押え部25は、蓋体外壁部22の中央部の直線状の部分の内壁面に設けられる。押え部25は、2本のリブ状の押えリブ26が蓋体外壁部22と一体に形成され、蓋体天面部23側の突き出し量が大きく蓋体20の開口部側の突き出し量が小さい傾斜面として形成されている。押えリブ26の天面側の最大突き出し量が重ねて収容されるウェーハWの外径に合わせた位置となるように設定される。
また、容器本体10の搭載部12に収容されたウェーハWを、上下に押えるための上部押え部27が蓋体天面部23に一体に形成されており、これまでと同様に、重ねられたウェーハWを搭載部12との間で上下に押える。
なお、押え部25は、蓋体外壁部22とは別体あるいは、別素材で形成して取り付けたものであっても良く、確実にウェーハWの外周を押えることができれば良い。
【0022】
容器本体10は、図1および図2に示すように、搭載部12、本体側壁部14の補強リブ14eのほか、他の部材に、補強や他の工程でのハンドリング等のため、必要に応じて凹凸部やリブ等が形成されて補強や剛性向上等を図っている。
また、ウェーハ搬送容器1を積み重ねる場合の位置決め用の正方形状の凹部と凸部が容器本体10の底面部外側面(凹部は図示省略)と蓋体20の蓋体天面部23の外側面に凸部28が形成してある(図4等参照)。
【0023】
ウェーハ搬送容器1では、容器本体10に蓋体20を被せてシールして係止した状態では、4箇所の押え部25のうち、本体側壁部14の間隔Dに対応した2箇所の押え部25がウェーハWの外径に対応した位置で、重ねられたウェーハWの外周を押えることで、ウェーハWの水平移動を確実に防止する。
また、蓋体20を90度回転した位置で容器本体10に被せた場合でも、他の2箇所の押え部25でウェーハWを押えることができる。
また、押え部25は、蓋体20を取り外した容器本体10には、存在しないので、容器本体10へのウェーハWの収容は、押え部25に邪魔されることなく、本体側壁部14の間隔Dを開放状態としてこれまで通りに行うことができる。
【0024】
蓋体20は、図4図8に示すように、蓋体側壁部21、蓋体外壁部22、蓋体天面部23等の部材に、補強や他の工程でのハンドリング等のため、必要に応じて凹凸部やリブ等が形成されて補強や剛性向上等を図っている。
また、容器本体10の搭載部12に収容されたウェーハWを、上下に押えるための上部押え部27が蓋体天面部23に一体に形成されており、これまでと同様に、重ねられたウェーハWを搭載部12との間で上下に押える。
【0025】
ウェーハ搬送容器1は、容器本体10に蓋体20を被せる際に、収容部13に収容されたウェーハWの損傷を防止する案内部材40が少なくとも2箇所に設けられる。案内部材40は、容器本体10の中心軸と蓋体20の中心軸とを一致させた同心状態を保持して蓋体20を案内するためのものであり、図示例では、蓋体20の4隅の4箇所に設けてある(図1図3図6等参照)。
案内部材40は、蓋体側壁部21に設けてあり、容器本体10に設けた4箇所の係止部材32に接触させながら容器本体10と蓋体20とを同心状態を保持して案内する。各案内部材40は、リブ状の案内部41で構成される。案内部41は、例えば2つの案内部41が蓋体側壁部21の外側に間隔をあけて中心方向外側に突き出すように平行に形成してある。案内部41は、先端の開口側突き出し量が小さく、基端の蓋体天面部23側の突き出し量が大きい傾斜面としてある。案内部41は、先端の開口側から基端の蓋体天面部23の凹部24の係止孔部33まで形成された案内面となっている。
【0026】
蓋体20の案内部41は、容器本体10の係止爪部31の上端の傾斜面(外側が高く中心側に向かって低い)と接触することで同心状態が保持される。
これにより、容器本体10の係止部材32の係止爪部31と蓋体20の案内部材40の案内部41が蓋体20の被せ始めから被せ終わって容器本体10の係止爪部31が蓋体20の係止孔部33に係止されまでの間、同心状態を保持しながら保持機構30で保持されるまで案内される(図6等参照)。
また、案内部41の開口側が低く蓋体天面部23側が高い傾斜面とすることで、成形時の金型からの脱型性を向上することができる。
【0027】
ウェーハ搬送容器1は、蓋体20が案内部材40を構成する2つのリブ状の案内部41を備えることにより、容器本体10に蓋体20を被せるようにすると、4箇所でそれぞれ2つの案内部41の先端が容器本体10の係止部材32の係止爪部31の上面に当たる。
この状態で案内部41と係止爪部31の傾斜面同士を接触させながら蓋体20を押し込むように被せると、案内部41と係止爪部31との傾斜面同士によって容器本体10に対する蓋体20の中心軸のずれが修正され、同心状態となる。
さらに、4箇所の蓋体20の案内部41と4箇所の係止部材32の係止爪部31とを接触させながら押し込んでいくと、容器本体10と同心状態で蓋体20が被せられていき、被せ終わると、係止爪部31が蓋体20の係止孔部33に係止され、蓋体20と容器本体10とが同心状態で密閉され保持機構30で保持状態となる。
【0028】
なお、ウェーハ搬送容器1では、案内部材40として蓋体側壁部21の外側に2つの案内部41を形成したが、案内部41の幅を広くして1つの案内部41で案内部材40を構成しても良い。
また、案内部材40は、2つの案内部41の間の蓋体側壁部21を取り除き、案内部41の先端側を壁面で連続させた断面コ字状の案内部41とし蓋体側壁部21から外側に突き出すように形成しても良く、容器本体10の係止部材32と接触させて同心状態で蓋体20を被せることができるものであれば良い。
【0029】
ウェーハ搬送容器1では、蓋体20を容器本体10に被せる場合に、同心状態が確保されるので、蓋体20の蓋体側壁部21が容器本体10に収容されたウェーハWに当たってウェーハWを損傷することが防止される。
また、ウェーハ搬送容器1は、蓋体20を容器本体10に被せる場合に、容器本体10の本体側壁部14よりも係止部材32が高くしてあるので、最初に係止部材32の係止爪部31に案内部材40の案内部41が当たることで、収容部13のウェーハWの損傷を蓋体20の被せ始めから一層確実に防止することができる。
また、蓋体20には、ウェーハWの外側を押える押え部25が設けてあるので、蓋体20を同心状態で被せ、しかも押え部25によってウェーハWを確実に押さえて容器本体10と蓋体20との同心状態を保持することができる。
これにより、ウェーハ搬送容器1では、ロボットアームなどの自動化装置を使用せず作業者により手動で蓋体20を被せる場合であっても容器本体10と蓋体20の中心軸がずれることなく、確実に密閉することができる。
また、容器本体10の本体側壁部14が内側に倒れることが本体側壁端部14bおよび補強壁部14cで防止されるので、本体側壁部14の倒れによるウェーハWとの接触も防止でき、損傷を防止して収容し、搬送することができる。
【0030】
ウェーハ搬送容器1では、容器本体10および蓋体20は、導電性プラスチックにより形成することが好ましい。導電性プラスチックとしては、導電性フィラーを添加したプラスチックやポリマーアロイ処理したプラスチック等が挙げられる。導電性フィラーとしては、カーボンブラック、グラファイトカーボン、グラファイト、炭素繊維、金属粉末、金属繊維、金属酸化物の粉末、金属コートした無機質微粉末、有機質微粉末や繊維等が挙げられる。
【0031】
このように構成したウェーハ搬送容器1では、図8に示すように、容器本体10の2つの本体側壁部14で囲まれた搭載部12上の収容部13に、最下段のクッション材とするリングスペーサ51を配置し、その上にウェーハWと層間シート52とを交互に重ね、最上段にクッション材とするリングスペーサ51を配置して収容する。この本体側壁部14の収容部13へのウェーハWの収容の際には、本体側壁部14の内側への倒れ込みが防止されることで、ウェーハWとの接触による損傷を防止して収容することができる。
容器本体10に所定枚数のウェーハWを重ねて収容した後、蓋体20を被せるようにする。
【0032】
蓋体20を容器本体10に被せるようにすると、図6(a)に示すように、ウェーハ搬送容器1の4箇所(4隅)でそれぞれ2つの案内部41の先端が容器本体10の係止部材32の係止爪部31の上面に当たる。
この状態で蓋体20を押し込むように被せると、案内部41と係止爪部31との傾斜面同士によって容器本体10に対する蓋体20の中心軸のずれが修正され、同心状態となる。これにより、直交する対角線方向と、直交する左右・前後方向にもガイドされて同心状態が保持される。
さらに、4箇所の蓋体20の案内部41と4箇所の係止部材32の内側表面および係止爪部31とを接触させながら押し込んでいくと、容器本体10と同心状態で蓋体20が被せられていき、被せ終わると、係止爪部31が蓋体20の係止孔部33に係止され、蓋体20と容器本体10とが同心状態となって、シール面15,16でシールされて密閉され保持状態となる(図6(b)参照)。
蓋体20が容器本体10に完全に被せられた状態では、図7に示すように、押え部25は、内側面がウェーハWの外径に接する位置となる。
これにより、2箇所の押え部25で、重ねられたウェーハWの外周が押えられ、水平方向の移動が防止される。
【0033】
このようなウェーハ搬送容器1では、容器本体10にウェーハWを収容した状態で、蓋体20を被せても、案内部材40による案内によって容器本体10と蓋体20との中心軸がずれることなく同心状態となり、蓋体20の蓋体側壁部21や押え部25がウェーハWに当たって損傷を与えることを防止することができる。
また、重ねられたウェーハWは、容器本体10の搭載部12の上面と蓋体20の蓋体天面部23の上部押え部27によって押えられ、上下方向の移動も押えられる。
さらに、この蓋体20を容器本体10に完全に被せた状態では、蓋体20の蓋体側壁部21および蓋体外壁部22が容器本体10の環状のシール面15およびシール面16に接触した密封状態になる。
こうして容器本体10にウェーハWを重ねて収容し、蓋体20を被せた後は、収容部13に収容したウェーハWは、上下及び左右方向が押えられるので、ウェーハ搬送容器1を任意の方向にして搬送しても、ウェーハWは移動せず、ウェーハWと直接接触する層間シート等と擦れ、傷や割れ等による破損、発塵、あるいは化学的成分によるウェーハWへの汚染等の問題を解消することができる。
【0034】
以上、実施の形態とともに、具体的に説明したように、本発明のウェーハ搬送容器1は、一端に開口部11を有し、他端に開口部11と対向しウェーハWが重ねて収容される搭載部12を有する容器本体10と、開口部11を塞ぐ蓋体20と、を備えるウェーハ搬送容器1であって、容器本体10は、搭載部12に、ウェーハWを収容する収容部13を区画する複数の本体側壁部14が立設され、本体側壁部14は、曲率中心が収容部13の中心と一致する円弧状の本体側壁主部14aと、曲率中心が本体側壁主部14aとは逆向きの円弧状の本体側壁端部14bと、からなる。
かかる構成によれば、容器本体10の搭載部12に立設された本体側壁部14が収縮変形によって内側に倒れることを本体側壁主部14aと逆の円弧状に形成した本体側壁端部14bによって変形方向を逆にして変形を相殺することができる。これにより、収容部13に収容されたウェーハWの収容や取り出しの際に本体側壁部14とウェーハWとが接触して損傷することを防止できる。
【0035】
本発明のウェーハ搬送容器1では、本体側壁端部14bは、本体側壁端部14bの端縁に連続して背面側に突き出す補強壁部14cが形成されているので、補強壁部14cによって本体側壁端部14bの端縁が補強されて倒れが抑えられ、一層確実に本体側壁部14の倒れを相殺して、ウェーハWを収容する際や収容したウェーハWの取り出しの際に本体側壁部14と接触することによる損傷を防止できる。
【0036】
本発明のウェーハ搬送容器1では、本体側壁主部14aと本体側壁端部14bが、それぞれの背面に補強リブ14eを備える。
かかる構成によれば、逆方向の変形応力が作用する変曲点14dがそれぞれの補強リブ14eによって補強され、一層確実に本体側壁部14の倒れを相殺して、ウェーハWを収容する際や収容したウェーハWの取り出しの際に本体側壁部14と接触することによるウェーハWの損傷を防止できる。
【0037】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0038】
1 ウェーハ搬送容器(半導体ウェーハ搬送容器)
10 容器本体
11 開口部
12 搭載部
13 収容部
14 本体側壁部
14a 本体側壁主部
14b 本体側壁端部
14c 補強壁部
14d 変曲点
14e 補強リブ
15 環状のシール面
15a 凹部
16 シール面
17 凹部
20 蓋体
21 蓋体側壁部
22 蓋体外壁部
23 蓋体天面部
24 凹部
25 押え部
26 押えリブ
27 上部押え部
28 凸部
30 保持機構
31 係止爪部
31a 操作部
32 係止部材
33 係止孔部
34 係止面
40 案内部材
41 案内部
51 リングスペーサ
52 層間シート
D 間隔
W ウェーハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8