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特開2023-142646家畜用飼料の製造方法および家畜用飼料
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  • 特開-家畜用飼料の製造方法および家畜用飼料 図1
  • 特開-家畜用飼料の製造方法および家畜用飼料 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142646
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】家畜用飼料の製造方法および家畜用飼料
(51)【国際特許分類】
   A23K 10/30 20160101AFI20230928BHJP
   A23K 20/28 20160101ALI20230928BHJP
   A23K 40/20 20160101ALI20230928BHJP
   A23K 10/18 20160101ALI20230928BHJP
   A23K 20/20 20160101ALI20230928BHJP
【FI】
A23K10/30
A23K20/28
A23K40/20
A23K10/18
A23K20/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049642
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】396017590
【氏名又は名称】株式会社ハヤミ産業
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(72)【発明者】
【氏名】柴田 和己
【テーマコード(参考)】
2B150
【Fターム(参考)】
2B150AB04
2B150AC05
2B150AC16
2B150AE05
2B150BA01
2B150BE01
2B150BE04
2B150DD31
2B150DH21
2B150DH31
(57)【要約】
【課題】家畜にとって食欲の湧く家畜用飼料の製造方法および家畜用飼料を提供する。
【解決手段】家畜用飼料の製造方法は、粉砕機にて竹を粉砕する工程と、粉砕された竹を微粉末加工する工程と、竹の微粉末に多孔質材料と麹菌または乳酸菌とを添加した後に撹拌する工程と、を備えている。家畜用飼料は、竹の微粉末に多孔質材料と麹菌または乳酸菌とが添加された後に撹拌されたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕機にて竹を粉砕する工程と、
粉砕された竹を微粉末加工する工程と、
竹の微粉末に多孔質材料と、麹菌または乳酸菌とを添加した後に撹拌する工程と、
を備えた、家畜用飼料の製造方法。
【請求項2】
前記多孔質材料はゼオライトまたは多孔質の木炭を含む、請求項1記載の家畜用飼料の製造方法。
【請求項3】
撹拌された竹の微粉末をペレット成型する工程を更に備えた、請求項1または2記載の家畜用飼料の製造方法。
【請求項4】
竹の微粉末に対して添加される多孔質材料の質量の割合は0.5~1.5の範囲内の大きさである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の家畜用飼料の製造方法。
【請求項5】
竹の微粉末に対して添加される多孔質材料の質量の割合は0.8~1.2の範囲内の大きさである、請求項4記載の家畜用飼料の製造方法。
【請求項6】
竹の微粉末に多孔質材料と、麹菌または乳酸菌とが添加された後に撹拌されたものである、家畜用飼料。
【請求項7】
前記多孔質材料はゼオライトまたは多孔質の木炭を含む、請求項6記載の家畜用飼料。
【請求項8】
撹拌された竹の微粉末がペレット成型されたものである、請求項6または7記載の家畜用飼料。
【請求項9】
竹の微粉末に対して添加される多孔質材料の質量の割合は0.5~1.5の範囲内の大きさである、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の家畜用飼料。
【請求項10】
竹の微粉末に対して添加される多孔質材料の質量の割合は0.8~1.2の範囲内の大きさである、請求項9記載の家畜用飼料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜用飼料の製造方法および家畜用飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
竹を粉砕機にて粉砕することにより生成される竹の微粉末を材料とした家畜用飼料として例えば特許文献1、2等に開示されるものが知られている。家畜用飼料を製造するにあたり、竹林内の竹を伐採して粉砕機により粉砕することにより生成される竹の微粉末を材料とすることにより、自然環境に優しい家畜用飼料を製造することができる。また、竹に含まれるセルロースには整腸作用があるため、特に子牛に対しては柔らかい便の改善効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-092880号公報
【特許文献2】特開2011-155842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2等に開示される家畜用飼料では、家畜にとって食欲が湧くものではないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、家畜にとって食欲の湧く家畜用飼料の製造方法および家畜用飼料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の家畜用飼料の製造方法は、
粉砕機にて竹を粉砕する工程と、
粉砕された竹を微粉末加工する工程と、
竹の微粉末に多孔質材料と、麹菌または乳酸菌とを添加した後に撹拌する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の家畜用飼料の製造方法においては、
前記多孔質材料はゼオライトまたは多孔質の木炭を含んでいてもよい。
【0008】
本発明の家畜用飼料の製造方法は、
撹拌された竹の微粉末をペレット成型する工程を更に備えていてもよい。
【0009】
本発明の家畜用飼料の製造方法においては、
竹の微粉末に対して添加される多孔質材料の質量の割合は0.5~1.5の範囲内の大きさであってもよい。
【0010】
この場合、竹の微粉末に対して添加される多孔質材料の質量の割合は0.8~1.2の範囲内の大きさであってもよい。
【0011】
本発明の家畜用飼料は、
竹の微粉末に多孔質材料と、麹菌または乳酸菌とが添加された後に撹拌されたものであることを特徴とする。
【0012】
本発明の家畜用飼料においては、
前記多孔質材料はゼオライトまたは多孔質の木炭を含んでいてもよい。
【0013】
本発明の家畜用飼料は、
撹拌された竹の微粉末がペレット成型されたものであってもよい。
【0014】
本発明の家畜用飼料においては、
竹の微粉末に対して添加される多孔質材料の質量の割合は0.5~1.5の範囲内の大きさであってもよい。
【0015】
この場合、竹の微粉末に対して添加される多孔質材料の質量の割合は0.8~1.2の範囲内の大きさであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の家畜用飼料の製造方法および家畜用飼料によれば、家畜にとって食欲の湧くものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態による家畜用飼料の製造方法を示すフローチャートである。
図2】本発明の実施の形態による食品の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施の形態による家畜用飼料の製造方法について図1に示すフローチャートを用いて説明する。まず、竹林等の現地にて竹を作業者がノコギリやチェーンソー等により伐採し、伐採された竹を現地にて粉砕機により粉砕する(ステップSt1)。この際に、例えば株式会社カルイの型番KDC-1303B(ブロア付き)からなる自走式のスクリーン5mmの粉砕機が用いられる。粉砕された竹の粉末は作業者によって袋詰めされて工場に搬送される(ステップSt2)。工場に搬送された竹の粉末は粉砕機により微粉砕加工される(ステップSt3)。この際に、粉砕機として、例えば株式会社寺田製作所の食品用製粉機である型番「美砕機FPS-1」のものが用いられる。微粉砕加工された竹の微粉末は60メッシュのふるいにかけられる。このようにして粒径の小さい竹の微粉末を得ることができる。
【0019】
このようにして作製された竹の微粉末に多孔質材料および麹菌が添加され、添加されたものがドラム式ミキサー攪拌機により2~3rpmで1~2分間撹拌される(ステップSt4)。多孔質材料として、ゼオライト、多孔質の木炭(例えば、炭化温度が800℃以上の備長炭等)等を用いることができる。なお、多孔質材料は、ゼオライトや多孔質の木炭に限定されることはなく、ゼオライトや多孔質の木炭以外の多孔質のものが多孔質材料として用いられてもよい。ドラム式ミキサー攪拌機としては市販されている様々なタイプのものを用いることができる。竹の微粉末に対して添加される多孔質材料の質量の割合は0.5~1.5の範囲内の大きさであることが好ましく、0.8~1.2の範囲内の大きさであることがより好ましく、0.9~1.1の範囲内の大きさであることが更に好ましい。また、竹の微粉末に対して添加される多孔質材料の容量の割合は0.1~0.5の範囲内の大きさであることが好ましく、0.2~0.4の範囲内の大きさであることがより好ましく、0.3~0.4の範囲内の大きさであることが更に好ましい。また、竹の微粉末に対して添加される麹菌の容量は、竹の微粉末1Lに対して耳かき1杯から小さじ1杯までの間の容量となっている。
【0020】
その後、ゼオライトや多孔質の木炭等の多孔質材料と麹菌とが添加されて撹拌された竹の微粉末をペレット成型機によりペレット成型を行う(ステップSt5)。ペレット成型機としては例えば株式会社ラピュータインターナショナル製のものを用いることができる。このことにより、竹の微粉末が固められた固形の家畜用飼料が生成される。その後、作業者は家畜用飼料を梱包する(ステップSt6)。このことにより、家畜用飼料を出荷することができるようになる。
【0021】
このようにして製造された家畜用飼料では、竹の微粉末に多孔質材料としてゼオライトまたは多孔質の木炭が加えられる場合は、ゼオライトや木炭にも胃腸の活性化効果があるため、家畜の整形作用をより向上させることができる。ここで、竹の微粉末に対して添加されるゼオライトや木炭の質量の割合が0.5よりも小さく、ゼオライトや木炭の添加量が少な過ぎる場合には、家畜の整形作用を十分に向上させることができない。また、竹の微粉末に対して添加されるゼオライトや木炭の質量の割合が1.5よりも大きく、ゼオライトや木炭の添加量が多過ぎる場合には、竹の微粉末の含有量が少ないため家畜に満腹感を与えるのに必要な飼料の量が多くなってしまうという問題がある。また、ゼオライトや木炭の添加量が多過ぎる場合には、これらのゼオライトや木炭の材料のコストが高くなってしまうという問題がある。
【0022】
また、竹の微粉末に麹菌(具体的には、例えば鹿児島県の黒麹)を添加することにより、家畜の食欲が湧くという利点がある。なお、本実施の形態では、竹の微粉末に麹菌ではなく乳酸菌を添加することにより家畜の食欲が湧くようにしてもよい。ここで、竹の微粉末に乳酸菌を加える場合よりも、竹の微粉末に麹菌を加えた場合のほうがより家畜の食欲が湧く。このため、本実施の形態でも竹の微粉末に乳酸菌ではなく麹菌を添加することにより家畜の食欲がより湧くようにしているが、竹の微粉末に添加されるのは麹菌に限定されることはなく乳酸菌であってもよい。
【0023】
また、ゼオライトはポーラス状となっているため、竹の微粉末に添加された麹菌や乳酸菌はゼオライトの空洞に入ることにより麹菌や乳酸菌をゼオライトで保持することができるようになる。このようなポーラス状のゼオライトを竹の微粉末に添加しないで麹菌や乳酸菌のみを竹の微粉末に添加した場合は、添加された麹菌や乳酸菌が竹の微粉末によって保持されずに離脱してしまうことにより家畜の食欲を湧かせにくくなってしまう。これに対し、本実施の形態では、ポーラス状のゼオライトにより麹菌や乳酸菌を保持することができるため、麹菌や乳酸菌が離脱してしまうことを防止することができる。また、多孔質材料としてゼオライトではなく多孔質の木炭を用いた場合でも、竹の微粉末に添加された麹菌や乳酸菌は多孔質の木炭の空洞に入ることにより麹菌や乳酸菌を木炭で保持することができるようになる。
【0024】
以上のような構成からなる本実施の形態の家畜用飼料の製造方法およびこのような製造方法により製造される家畜用飼料によれば、竹の微粉末に多孔質材料と麹菌または乳酸菌とを添加した後に撹拌することにより、家畜にとって食欲の湧くものとすることができる。また、竹の微粉末は強固な外皮で覆われているため自然界では簡単に腐食、分解されにくく、長持ちさせることができる。また多孔質材料がゼオライトまたは多孔質の木炭である場合には、家畜用飼料を食べる家畜の整腸作用をより向上させることができる。
【0025】
また、本実施の形態では、伐採された竹から家畜用飼料だけではなく食品も製造することができる。本実施の形態による食品の製造方法について図2に示すフローチャートを用いて説明する。まず、竹林等の現地にて竹を作業者がノコギリやチェーンソー等により伐採し、伐採された竹を現地にて粉砕機により粉砕する(ステップSt11)。この際に、例えば株式会社カルイの型番KDC-1303B(ブロア付き)からなる自走式のスクリーン5mmの粉砕機が用いられる。粉砕された竹の粉末は作業者によって袋詰めされて工場に搬送される(ステップSt12)。工場に搬送された竹の粉末は粉砕機により微粉砕加工される(ステップSt13)。この際に、粉砕機として、例えば株式会社寺田製作所の食品用製粉機である型番「美砕機FPS-1」のものが用いられる。
【0026】
このようにして作製された竹の微粉末に対して作業者はふるいにてゴミ等の除去を行う(ステップSt14)。その後、竹の微粉末を水洗い機にて例えば5分程度水洗いを行い、蒸し器にて30℃~80℃の範囲内の温度で例えば30分程度水蒸気加熱を行う(ステップSt15)。そして、竹の微粉末を乾燥機にて40℃~60℃の範囲内の温度で例えば3~8時間程度乾燥し(ステップSt16)、例えば菓子等の製造工程においてこの乾燥した竹の微粉末を添加する。このようにして製造された菓子等の食品を梱包することにより(ステップSt17)、竹の微粉末が添加された食品を出荷することができるようになる。
【0027】
以上のような構成からなる本実施の形態の食品の製造方法およびこのような製造方法により製造される食品によれば、竹の微粉末が含まれるため、この竹に含まれるセルロースにより整腸作用を向上させることができる。また、竹に含まれるセルロースによりダイエット効果も生じるようになる。
【0028】
なお、本実施の形態による家畜用飼料の製造方法や食品の製造方法は上述した態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0029】
例えば、本実施の形態による家畜用飼料の製造方法において、竹の微粉末に多孔質材料と麹菌または乳酸菌とを添加した後に撹拌した後、撹拌された竹の微粉末をペレット成型しないで、微粉末の状態で家畜用飼料として出荷してもよい。
図1
図2