(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142671
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G03G15/20 555
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049687
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】柏谷 繁貴
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA18
2H033AA37
2H033BA31
2H033BA32
(57)【要約】
【課題】温度センサへの現像剤の付着を抑制すること目的とする。
【解決手段】画像形成装置1は、定着ローラ61と、温度センサ11と、センサハウジング12と、シャッタ2とを有する。定着ローラ61は、搬送路A2に沿って搬送される媒体Pを加熱して媒体Pに現像剤像を定着する。温度センサ11は、定着ローラ61に対向するように配置され、定着ローラ61の温度を検出する。センサハウジング12は、温度センサ11を覆い、温度センサ11の定着ローラ61側に開口部12aを有する。シャッタ2は、開口部12aを閉鎖する閉位置と、閉位置よりも搬送路A2側の開位置との間で移動可能であり、搬送路A2から引き抜かれる媒体Pに当接して閉位置に移動する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿って搬送される媒体を加熱して媒体に現像剤像を定着する定着部材と、
前記定着部材に対向するように配置され、前記定着部材の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサを覆い、前記温度センサの前記定着部材側に開口部を有するハウジングと、
前記開口部を閉鎖する閉位置と、前記閉位置よりも前記搬送路側の開位置との間で移動可能であり、前記搬送路から引き抜かれる媒体に当接して前記閉位置に移動するシャッタと
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シャッタは、
前記閉位置で前記開口部を覆うカバー部と、
前記カバー部よりも前記定着部材の側に突出し、前記搬送路から引き抜かれる媒体に当接する当接部と
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記当接部は、前記シャッタが前記閉位置にあるときに、前記媒体の幅方向において前記開口部の両側に位置する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シャッタの少なくとも一部は、前記シャッタが前記閉位置にあるときに、前記開口部よりも鉛直上方に位置する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記シャッタの前記当接部は、第1の当接部と第2の当接部とを有し、
前記シャッタが前記閉位置にある状態で、前記第1の当接部は、前記第2の当接部よりも前記搬送路から離れた位置にある
ことを特徴とする請求項2から4までの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の当接部の前記カバー部からの突出量は、前記第2の当接部の前記カバー部からの突出量よりも大きい
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記シャッタが前記開位置にあるときには、前記第2の当接部は、前記搬送路に沿って搬送される媒体を案内する
ことを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記シャッタを、前記開位置に向けて付勢する付勢部材をさらに有する
ことを特徴とする請求項1から7までの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記シャッタを前記閉位置で位置規制する第1の位置規制部と、
前記シャッタを前記開位置で位置規制する第2の位置規制部と
をさらに有することを特徴とする請求項1から8までの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記シャッタは、前記ハウジングに設けられた回転軸により回転可能に支持されている
ことを特徴とする請求項1から9までの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記シャッタは、前記ハウジングに設けられた案内部材により直進移動可能に支持されている
ことを特徴とする請求項1から9までの何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記定着部材は、前記画像形成装置の筐体に対して着脱可能な定着ユニットの一部であり、
前記温度センサを覆う前記ハウジングは、前記定着ユニットの外側に、前記定着ユニットに対向するように配置されている
ことを特徴とする請求項1から11までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記媒体を供給する媒体供給部と、
前記媒体に画像を形成する画像形成ユニットと
をさらに備え、
前記媒体は、前記画像形成ユニットから、前記定着部材を含む定着ユニットまで、前記搬送路に沿って搬送される
ことを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、媒体上に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを利用した画像形成装置は、媒体に転写された現像剤像を加熱して媒体に定着する定着部材を有する。定着部材の温度を検出するため、定着部材に対向するように非接触型の温度センサが配置されている。
【0003】
温度センサに現像剤が付着すると、温度センサへの検出精度が低下する。そのため、エアカーテンを設けて温度センサへの現像剤の付着を防止することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-24330号公報(例えば、要約参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、媒体のジャムが発生した場合、画像形成装置の動作が停止するため、エアカーテンを形成するための送風が停止する。そのため、温度センサへの現像剤の付着を抑制することができず、温度センサの検出精度の低下が生じる可能性がある。
【0006】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、温度センサへの現像剤の付着を抑制すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の画像形成装置は、搬送路に沿って搬送される媒体を加熱して媒体に現像剤像を定着する定着部材と、定着部材に対向するように配置され、定着部材の温度を検出する温度センサと、温度センサを覆い、温度センサの定着部材側に開口部を有するハウジングと、開口部を閉鎖する閉位置と、閉位置よりも搬送路側の開位置との間で移動可能であり、搬送路から引き抜かれる媒体に当接して閉位置に移動するシャッタとを有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、媒体を搬送路から引き抜く際に、媒体がシャッタに当接してシャッタが開口部を閉鎖するため、温度センサへの現像剤の付着を抑制することができる。その結果、温度検出精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1の画像形成装置の構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1の定着ユニットの構成を示す断面図である。
【
図3】実施の形態1のセンサユニットおよび定着ユニットを示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1のセンサユニットおよび定着ユニットを拡大して示す部分断面斜視図である。
【
図5】実施の形態1の温度センサを示す斜視図である。
【
図6】実施の形態1のセンサユニットおよび定着ユニットを示す模式図である。
【
図7】実施の形態1のシャッタを示す斜視図である。
【
図8】
図7のシャッタの一部を拡大して示す斜視図である。
【
図9】実施の形態1のセンサユニットの開口部とその周囲を示す正面図である。
【
図10】実施の形態1のジャム解除時のセンサユニットを示す図である。
【
図11】実施の形態1のジャム解除時のセンサユニットを示す図である。
【
図12】実施の形態1の画像形成装置から取り出した媒体の表面を示す図である。
【
図13】比較例のセンサユニットおよび定着ユニットを示す図である。
【
図14】比較例のジャム解除時のセンサユニットを示す図である。
【
図15】比較例の画像形成装置から取り出した媒体の表面を示す図である。
【
図16】実施の形態2のセンサユニットおよび定着ユニットを示す斜視図である。
【
図17】実施の形態2のセンサユニットおよび定着ユニットを拡大して示す斜視図である。
【
図18】実施の形態2のセンサユニットのシャッタを示す斜視図である。
【
図19】実施の形態2のシャッタおよびセンサハウジングを示す断面図である。
【
図20】実施の形態2のジャム解除時のセンサユニットを示す図である。
【
図21】実施の形態2のジャム解除時のセンサユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
<画像形成装置>
まず、実施の形態1の画像形成装置1について説明する。
図1は、画像形成装置1の構成を示す図である。画像形成装置1は、電子写真プロセスを利用して画像を形成するものであり、ここではプリンタである。
【0011】
画像形成装置1は、印刷用紙等の媒体Pを供給する媒体供給部40と、媒体Pに画像を形成する画像形成ユニット50と、媒体Pに画像を定着する定着ユニット60と、媒体Pを排出する媒体排出部70と、これらを収容する筐体1Aとを備える。
【0012】
媒体供給部40は、媒体カセット41と、ピックアップローラ42と、フィードローラ43と、リタードローラ44と、レジストローラ45と、搬送ローラ46とを有する。
【0013】
媒体カセット41は、印刷用紙等の媒体Pを収容する。ピックアップローラ42は、媒体カセット41から媒体Pを一枚ずつ引き出す。フィードローラ43およびリタードローラ44は、引き出された媒体Pを一枚ずつ分離して搬送路A1に送り出す。レジストローラ45は、搬送路A1に送り出された媒体Pのスキューを矯正してさらに搬送する。搬送ローラ46は、媒体Pを画像形成ユニット50まで搬送する。
【0014】
画像形成ユニット50は、像担持体としての感光体ドラム51と、帯電部材としての帯電ローラ52と、現像剤担持体としての現像ローラ54と、供給部材としての供給ローラ55と、現像剤収容体としてのトナーカートリッジ56とを有する。
【0015】
感光体ドラム51は、導電性支持体の表面に感光層を形成した円筒状の部材である。感光層は、電荷発生層と電荷輸送層との積層体である。感光体ドラム51は、図中時計回りに回転する。
【0016】
帯電ローラ52は、感光体ドラム51の表面に接触するように配置され、感光体ドラム51に追従して回転する。帯電ローラ52は帯電電圧を印加され、感光体ドラム51の表面を一様に帯電させる。
【0017】
感光体ドラム51に対向するように、露光装置としての露光ヘッド53が配置されている。露光ヘッド53は、発光素子としてのLED(発光ダイオード)を配列したLEDアレイとレンズアレイとを有し、感光体ドラム51の表面に光を照射して静電潜像を形成する。露光ヘッド53は、筐体1Aの上部を覆うトップカバー1Bに懸架されて支持されている。
【0018】
現像ローラ54は、感光体ドラム51の表面に接触するように配置され、感光体ドラム51とは逆方向(接触部での表面の移動方向が順方向となる方向)に回転する。現像ローラ54は現像電圧を印加され、感光体ドラム51の表面の静電潜像をトナーにより現像する。
【0019】
供給ローラ55は、現像ローラ54の表面に接触するように配置され、現像ローラ54と同方向(接触部での表面の移動方向が逆方向となる方向)に回転する。供給ローラ55は供給電圧を印加され、現像ローラ54にトナーを供給する。
【0020】
トナーカートリッジ56は、現像剤としてのトナーを収容する着脱可能な容器である。トナーカートリッジ56から現像ローラ54および供給ローラ55にトナーが供給される。トナーは、例えばブラックトナーであるが、これに限定されるものではない。
【0021】
感光体ドラム51の表面に接触するように、転写部材としての転写ローラ57が配置されている。転写ローラ57は転写電圧を印加され、感光体ドラム51の表面のトナー像を、感光体ドラム51と転写ローラ57との間を通過する媒体Pに転写する。
【0022】
画像形成装置1は、画像形成ユニット50により単色画像を形成するように構成されているが、このような構成に限定されるものではない。例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の複数の画像形成ユニットを媒体Pの搬送方向に配列し、カラー画像を形成するように構成してもよい。
【0023】
定着ユニット60は、媒体Pの搬送方向において画像形成ユニット50の下流側に配置されている。トナー像が転写された媒体Pは、感光体ドラム51の回転によって定着ユニット60に搬送される。画像形成ユニット50から定着ユニット60までの媒体Pの搬送路を、搬送路A2と称する。
【0024】
定着ユニット60は、定着ローラ61と、加圧ローラ62と、これらを収容する筐体63とを有し、画像形成装置1の筐体1Aに着脱可能に取り付けられている。定着ローラ61はハロゲンランプ等のヒータ61hを内蔵し、加圧ローラ62は定着ローラ61に圧接される。定着ローラ61および加圧ローラ62は、媒体Pを加熱および加圧し、トナー像を媒体Pに定着させる。
【0025】
媒体排出部70は、定着ユニット60を通過した媒体Pを搬送路A3に沿って搬送し、排出口から排出する排出ローラ71および排出ローラ72を有する。トップカバー1Bには、排出された媒体Pを載置するスタッカ部73が形成されている。
【0026】
上記の搬送路A1,A3には、媒体Pの通過を検知する媒体センサ91,92,93が配置されている。媒体センサ91,92は、搬送ローラ46の上流側および下流側にそれぞれ配置されている。媒体センサ93は、定着ユニット60の下流側に配置されている。
【0027】
媒体センサ91の検知信号は、搬送ローラ46の回転開始タイミングの決定に用いられる。媒体センサ92の検知信号は、露光ヘッド53の露光開始タイミングの決定に用いられる。媒体センサ93の検知信号は、定着ユニット60における媒体Pのジャム検知に用いられる。
【0028】
図1において、感光体ドラム51の軸方向を、X方向とする。X方向は、画像形成装置1内の各ローラの軸方向であり、搬送される媒体Pの幅方向でもある。媒体Pが画像形成ユニット50を通過するときの媒体Pの移動方向を、Y方向とする。X方向とY方向に直交する方向を、Z方向とする。ここでは、Z方向は上下方向である。
【0029】
Y方向については、媒体Pが画像形成ユニット50を通過するときの搬送方向を+Y方向とし、その反対方向を-Y方向とする。X方向については、+Y方向を向いて右手方向を+X方向とし、左手方向を-X方向とする。Z方向については、
図1の上方向を+Z方向とし、下方向を-Z方向とする。なお、これらの方向は、画像形成装置1の向きを限定するものではない。
【0030】
<定着ユニット>
次に、定着ユニット60の構成について説明する。
図2は、定着ユニット60の構成を示す断面図である。
図2に示すように、定着ユニット60は、定着部材としての定着ローラ61と、加圧部材としての加圧ローラ62と、これらを収容する筐体63とを有する。定着ローラ61および加圧ローラ62は、いずれも軸方向をX方向としている。
【0031】
筐体63は、前方(-Y方向)のフロントカバー63aと、後方(+Y方向)のリアカバー63bとを有する。フロントカバー63aには導入口65が形成され、リアカバー63bには排出口66が形成されている。
【0032】
また、フロントカバー63aにおいて導入口65の上方(+Z方向)には、開口部64が形成されている。開口部64は、後述する非接触型の温度センサ11による定着ローラ61の温度検知のために設けられている。
【0033】
定着ローラ61は、略円筒状の基材61aと、基材61aの表面を覆う弾性層61bと、弾性層61bの表面を覆う表面層61cとを有する。基材61aは、アルミニウムまたはステンレス鋼等の金属で構成される。弾性層61bは、シリコームゴム等の樹脂で構成される。表面層61cは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)またはPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)等のフッ素樹脂で構成される。
【0034】
定着ローラ61は中空構造を有し、その内側にはヒータ61hが配置されている。ヒータ61hは、例えばハロゲンヒータである。但し、ヒータ61hはハロゲンヒータに限らず、例えば面状ヒータ等であってもよい。また、ここでは2つのヒータ61hをY方向に並べて配置しているが、定着ローラ61内のヒータは1つでもよい。
【0035】
加圧ローラ62は、略円筒状の表面層62aと、表面層62aの表面に形成された弾性層62bとを有する。表面層62aは、アルミニウムまたはステンレス鋼等の金属で形成される。弾性層62bは、発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム等の樹脂で形成される。弾性層62bの表面を、PFA、PTFE等からなる表面層で覆ってもよい。
【0036】
加圧ローラ62のX方向両端の軸部は、揺動フレーム69によって支持されている。揺動フレーム69は、筐体63に設けられた支軸を中心として揺動可能であり、ばね等によって加圧ローラ62が定着ローラ61に圧接される方向に付勢されている。なお、定着ローラ61と加圧ローラ62とを接触および離間させるためのカム601を設けてもよいが、これについては説明を省略する。
【0037】
定着ローラ61と加圧ローラ62との間には、ニップ部が形成される。フロントカバー63aには、媒体Pを導入口65からニップ部に案内するフロントガイド67が配置されている。リアカバー63bには、ニップ部を通過した媒体Pを排出口66に案内するリアガイド68が配置されている。
【0038】
定着ユニット60の導入口65から導入された媒体Pは、フロントガイド67に案内され、定着ローラ61と加圧ローラ62との間にニップ部を通過する。媒体P上のトナー像は、定着ローラ61の熱によって溶解し、加圧ローラ62の加圧力によって媒体Pに定着する。トナー像が定着した媒体Pは、リアガイド68に案内されて排出口66から排出され、媒体排出部70に向かう。
【0039】
図1に示すように、画像形成ユニット50と定着ユニット60との間には、媒体Pを画像形成ユニット50から定着ユニット60まで案内するロアガイド18が配置されている。ロアガイド18は、Y方向に延在するガイドリブ18a(
図3)を有する。ガイドリブ18aは、X方向に複数配置され、媒体Pの下面に接触する。ロアガイド18は、画像形成ユニット50から定着ユニット60までの媒体Pの搬送路A2の下端を規定する。
【0040】
<センサユニット>
画像形成ユニット50と定着ユニット60との間には、温度センサ11を含むセンサユニット10が配置されている。温度センサ11は、定着ローラ61の表面温度を測定する非接触型のセンサであり、ここではサーモパイルである。サーモパイルは、定着ローラ61の表面から発せられる赤外線を受光して、温度を表す電気信号に変換する。
【0041】
図3は、センサユニット10および定着ユニット60を示す斜視図である。
図4は、センサユニット10および定着ユニット60を拡大して示す部分断面斜視図である。
図3,4では、定着ユニット60の筐体63等は省略している。
【0042】
センサユニット10は、温度センサ11(
図4)を収容する収容部(ハウジング)としてのセンサハウジング12を有する。センサハウジング12は、例えば板金で形成されており、画像形成装置1の筐体1A(
図1)に固定されている。センサハウジング12は、定着ローラ61の-Y方向(媒体Pの搬送方向の上流側)に配置され、定着ローラ61の表面に対向している。
【0043】
センサハウジング12は、定着ユニット60に対向する壁部121と、画像形成ユニット50(
図1)に対向する壁部122と、ロアガイド18に対向する底部123とを有する。
【0044】
センサハウジング12の底部123には、ロアガイド18に対向するように、案内部としてのアッパガイド15が設けられている。アッパガイド15とロアガイド18との間で、定着ユニット60に向かう媒体Pの搬送路A2が規定される。なお、アッパガイド15には、媒体Pとの摩擦を抑えるため、回転自在なコロ15b(
図3)を設けてもよい。
【0045】
図5は、温度センサ11を示す斜視図である。温度センサ11は、基板11d上に実装されたサーモパイル素子11aと、サーモパイル素子11aを囲む略円筒状のケース11bとを有する。サーモパイル素子11aは、赤外線を受光して電気信号に変換する検出素子である。
【0046】
ケース11bの先端には開口部が形成されており、この開口部には、赤外線を透過してサーモパイル素子11aに集光するレンズ11cが取り付けられている。基板11dには、サーモパイル素子11aの電気信号を外部に出力するコネクタ11eが取り付けられている。
【0047】
図4に示すように、センサユニット10は、温度センサ11を保持するセンサホルダ13を有する。センサホルダ13は、センサハウジング12の壁部121に固定されている。
【0048】
センサハウジング12の壁部121には、温度センサ11のレンズ11cに対応する位置に、開口部(窓部)としてのセンサ孔12aが形成されている。壁部121のセンサ孔12aは、ここでは円形であるが、円形に限定されるものではない。温度センサ11は、定着ユニット60の開口部64(
図2)およびセンサハウジング12のセンサ孔12aを介して、定着ローラ61の表面と対向する。
【0049】
センサハウジング12には、センサ孔12aを開閉する回転式のシャッタ2が設けられている。シャッタ2は、センサハウジング12の下方すなわち搬送路A2側に、X方向の回転軸25を中心として回転可能に設けられている。
【0050】
図6は、センサユニット10と定着ユニット60とを示す断面図である。シャッタ2は、センサハウジング12よりも定着ユニット60側(すなわち-Y方向)に突出している。また、シャッタ2の下端部(後述するリブ22の末端部22b)は、後述するジャム解除時を除き、アッパガイド15の下端部15aと同じ高さにある。言い換えると、シャッタ2の下端部は、アッパガイド15と共に、搬送路A2の上面Hを規定している。
【0051】
図7は、シャッタ2を示す斜視図である。シャッタ2は、X方向を幅方向とする板状部材であり、長手方向の略中央部で屈曲した形状を有する。シャッタ2は、屈曲部Gを境として、回転軸25側の基部20と、その反対側のカバー部21とを有する。
【0052】
シャッタ2の基部20には、回転軸25に係合する一対の軸受部23が形成されている。軸受部23は、基部20のセンサハウジング12側(図中上側)の面におけるX方向両端に形成されている。軸受部23と回転軸25との係合により、シャッタ2はX方向を中心とする軸Axを中心として回転可能となる。
【0053】
また、シャッタ2の基部20の端部には、センサハウジング12の底部123に対向するストッパ面24が形成されている。ストッパ面24は、シャッタ2が開位置(後述)にあるときにセンサハウジング12の底部123に当接してシャッタ2の回転を規制する部分である。
【0054】
すなわち、シャッタ2のストッパ面24は、シャッタ2を開位置で位置規制する第2の位置規制部に相当する。これに対し、シャッタ2の上述した屈曲部Gの近傍は、シャッタ2を閉位置(後述)で位置規制する第1の位置規制部に相当する。
【0055】
シャッタ2のカバー部21には、一対のリブ22が形成されている。これらのリブ22は、カバー部21のセンサハウジング12(
図6)に対向する側と反対側の面に形成され、カバー部21のX方向端部に沿って延在している。
【0056】
リブ22は、カバー部21の先端部に位置する先端部22aと、屈曲部Gに位置する末端部22bとを有する。リブ22のカバー部21からの突出量は、カバー部21の先端部に近付くほど突出量が大きくなっている。すなわち、リブ22の先端部22aのカバー部21からの突出量は、末端部22bのカバー部21からの突出量よりも大きい。
【0057】
なお、シャッタ2は、アッパガイド15と同じ材質で形成されていることが望ましい。媒体Pとの摺動性および定着ユニット60からの熱に対する耐熱性を考慮すると、シャッタ2の材質としては、ポリカーボネートとABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)との混合樹脂が望ましい。
【0058】
図8は、シャッタ2の軸受部23の近傍を示す拡大図である。回転軸25には、付勢部材としてのトーションばね26が取り付けられている。トーションばね26の第1の脚部26aは基部20に当接し、第2の脚部26bはセンサハウジング12の底部123に当接している。トーションばね26は、シャッタ2を開位置(後述)に向けて回転するように付勢する。
【0059】
図9は、センサハウジング12を定着ユニット60側(すなわち+Y側)から見た図である。センサハウジング12において、アッパガイド15のX方向中央には、シャッタ2を配置するためのスペースが設けられており、当該スペースにシャッタ2が配置されている。
【0060】
シャッタ2の一対のリブ22の間隔Wは、センサハウジング12のセンサ孔12aのX方向の幅(ここではセンサ孔12aの直径)Dよりも広い。すなわち、一対のリブ22は、X方向においてセンサ孔12aの両側に位置している。
【0061】
各リブ22は、X方向に幅Tを有する。幅Tは、後述するジャム解除時にリブ22に接触した媒体Pが破れない程度の厚さで、できるだけ薄いことが望ましい。一例としては、幅Tは2mmである。
【0062】
<画像形成装置の印刷動作>
次に、画像形成装置1の印刷動作について、
図1を参照して説明する。画像形成装置1の制御部は、上位装置から印刷コマンドと印刷データを受信すると、印刷動作(画像形成動作)を開始する。
【0063】
印刷動作が開始されると、媒体供給部40のピックアップローラ42およびフィードローラ43が回転し、媒体カセット41上の媒体Pを一枚ずつ搬送路A1に送り出す。さらにレジストローラ45および搬送ローラ46が、媒体Pを搬送路A1に沿って画像形成ユニット50まで搬送する。
【0064】
画像形成ユニット50では、帯電ローラ52、現像ローラ54および供給ローラ55に、帯電電圧、現像電圧および供給電圧がそれぞれ印加される。また、感光体ドラム51が回転し、これに伴って、帯電ローラ52、現像ローラ54および供給ローラ55も回転する。帯電ローラ52は、感光体ドラム51の表面を一様に帯電させる。露光ヘッド53は、一様に帯電された感光体ドラム51の表面を露光し、静電潜像を形成する。
【0065】
感光体ドラム51の表面に形成された静電潜像は、現像ローラ54に付着したトナーによって現像され、感光体ドラム51の表面にトナー像が形成される。感光体ドラム51の回転によりトナー像が転写ローラ57の表面に接近すると、転写ローラ57に転写電圧が印加される。
【0066】
これにより、感光体ドラム51に形成されたトナー像が、感光体ドラム51と転写ローラ57との間を通過する媒体Pに転写される。トナー像が転写された媒体Pは、感光体ドラム51の回転によって定着ユニット60に向けて搬送される。
【0067】
定着ユニット60では、定着ローラ61および加圧ローラ62が両者の間にニップ部を形成した状態で回転し、またヒータ61hが所定の定着温度まで加熱される。定着ローラ61の表面温度は、定着ユニット60の開口部64(
図2)およびセンサハウジング12のセンサ孔12a(
図3)を介して、温度センサ11により検知される。ヒータ61hは、温度センサ11の検知温度に基づき、画像形成装置1の定着制御部によって通電制御される。
【0068】
画像形成ユニット50を通過した媒体Pは、アッパガイド15とロアガイド18との間の搬送路A2を通過して、導入口65(
図2)から定着ユニット60に導入される。定着ユニット60に導入された媒体Pは、定着ローラ61と加圧ローラ62とのニップ部で加熱および加圧され、トナー像が媒体Pに定着される。
【0069】
トナー像が定着した媒体Pは、定着ユニット60の排出口66から排出され、媒体排出部70の排出ローラ71,72によって排出口から排出され、スタッカ部73上に積載される。これにより、媒体Pへの画像形成が完了する。
【0070】
<作用>
上記の印刷動作の間、シャッタ2は、
図6に示す開位置にある。シャッタ2が開位置にあるときには、トーションばね26(
図8)の付勢力により、シャッタ2のストッパ面24(
図7)がセンサハウジング12の底部123に当接している。シャッタ2の下端部(すなわちリブ22の末端部22b)はアッパガイド15と同じ高さにあり、媒体Pのガイドとして機能する。
【0071】
一方、画像形成装置1内で媒体Pのジャムが生じると、画像形成装置1の制御部が媒体センサ93の検知信号に基づいてこれを検知し、印刷動作を停止する。この状態で、画像形成ユニット50と定着ユニット60との間には、トナー像が未定着の媒体Pが残っている。ユーザは、画像形成装置1のトップカバー1Bを開き、筐体1Aから定着ユニット60を取り外して媒体Pを除去する。この作業をジャム解除と称する。
【0072】
図10および
図11は、ジャム解除時のセンサユニット10を示す図である。印刷動作を停止した状態では、定着ユニット60の定着ローラ61と加圧ローラ62との間に媒体Pが残っている。そのため、ユーザが定着ユニット60を上方(+Z方向)に取り出すと、媒体Pも上方に引き抜かれる。
【0073】
このとき、上方に引き抜かれる媒体Pが、シャッタ2のリブ22の先端部22aに当接し(
図10に破線C1で示す)、矢印で示すようにシャッタ2を上方に付勢する。シャッタ2が媒体Pから受ける力がトーションばね26(
図8)の付勢力を上回ると、
図11に示すようにシャッタ2が回転軸25を中心として図中時計回り方向に回転し、閉位置に到達する。
【0074】
図11に示すようにシャッタ2が閉位置に到達すると、シャッタ2の屈曲部Gの近傍がセンサハウジング12の角部に当接することにより、シャッタ2の回転は係止される。
【0075】
シャッタ2が閉位置にあるときには、シャッタ2のカバー部21がセンサハウジング12のセンサ孔12aを閉鎖する。言い換えると、シャッタ2のカバー部21が、センサ孔12aと定着ローラ61とを結ぶ直線(
図1)を遮る位置にある。また、シャッタ2のリブ22の先端部22aは、センサ孔12aの上端よりも上方に位置する。
【0076】
媒体Pは、シャッタ2のリブ22の先端部22aと末端部22bに当接しながら(符号C1,C2で示す)、上方に引き抜かれる。
【0077】
媒体P上の未定着のトナーは弱い静電気力で媒体Pに付着しているため、シャッタ2のリブ22との接触により、媒体Pの表面からトナーが掻き取られて飛散する。しかしながら、センサ孔12aがシャッタ2のカバー部21で閉鎖されているため、飛散したトナーがセンサ孔12aからセンサハウジング12内に侵入することを抑制することができる。
【0078】
また、リブ22の先端部22aのカバー部21からの突出量が大きいため、媒体Pとリブ22との当接部分(C1)をセンサ孔12aから遠ざけることができる。そのため、媒体Pとリブ22との当接によって掻き取られたトナーがセンサ孔12aに到達しにくく、センサハウジング12内へのトナーの侵入を効果的に抑制することができる。
【0079】
また、シャッタ2が開位置にあるときに、
図11に示すようにシャッタ2のカバー部21とセンサハウジング12の壁部121との間に隙間ができるように、カバー部21と基部20との角度が設定されている。これにより、媒体Pとリブ22との当接部分(C1)をセンサ孔12aからさらに遠ざけることができる。
【0080】
また、シャッタ2のうち媒体Pと接する部分がリブ22のみであるため、接触によって掻き取られるトナーの量も少ない。その結果、センサ孔12aからセンサユニット10へのトナーの侵入をより効果的に抑制することができる。
【0081】
図12は、画像形成装置1から取り出した媒体Pの表面を示す模式図である。媒体P上の画像Mには、媒体Pの引き抜き方向(矢印Jで示す)に長い2本のラインL1が形成される。これらのラインL1は、リブ22との接触により未定着のトナーが飛散したことによって生じた濃度の薄い部分である。各ラインL1の幅は、リブ22の幅Tと同じである。2本のラインL1の間隔は、2つのリブ22の間隔Wと同一である。
【0082】
ここで、画像Mの引き抜き方向の長さをAとし、引き抜き方向に直交する幅方向(すなわちX方向)の幅をBとすると、画像Mの面積はA×Bで表される。一方、2本のラインL1の面積は、2×T×Aとなる。画像Mの面積のうち、リブ22との接触によりトナーが飛散した部分(ラインL1)の面積の割合をηとする。割合ηは、η=2×T×A/(A×B)、すなわちη=2×T/Bとなる。
【0083】
ここで、本実施の形態と対比される比較例について説明する。
図13は、定着ユニット60と比較例のセンサユニット10Cとを示す図である。センサユニット10Cは、温度センサ11と、これを収容するセンサハウジング12とを有し、センサハウジング12の定着ユニット60側の壁部121にはセンサ孔12aが形成されている。
【0084】
但し、比較例のセンサユニット10Cのセンサハウジング12には、実施の形態1のようなシャッタ2は設けられていない。印刷動作中は、センサハウジング12と定着ローラ61との間にエアフローFが供給され、センサ孔12aからのトナーの侵入を防止している。
【0085】
図14には、ジャム解除時における比較例のセンサユニット10Cを示す図である。ジャム解除時には印刷動作が停止しているため、
図13に示したエアフローFは供給されない。
【0086】
図14に示すように、ユーザが媒体Pを上方に引き抜くと、媒体Pの表面が、センサハウジング12の壁部121のセンサ孔12aのエッジEに接触する。そのため、媒体P上の未定着のトナーは、センサ孔12aの幅D(直径)の範囲で、エッジEに掻き取られて飛散する。
【0087】
図15は、ユーザが略+Z方向に引き抜いて取り出した媒体Pの表面を示す模式図である。この場合には、媒体P上の画像Mには、媒体Pの引き抜き方向(矢印Jで示す)に長い1本のラインL0が形成される。このラインL0は、センサ孔12aのエッジEとの接触によりトナーが飛散したことによって生じた濃度の薄い部分である。
【0088】
ラインL0の幅は、センサ孔12aの幅Dと同じである。ラインL0の面積は、D×Aとなる。画像Mの面積のうち、エッジEとの接触によりトナーが飛散した部分(ラインL0)の面積の割合ηは、η=2×D×A/(A×B)、すなわちη=D/Bとなる。センサ孔12aの幅Dが10mm、画像Mの幅Bが150mmである場合には、上記の割合ηは6.7%となる。
【0089】
この場合、センサ孔12aのエッジEでトナーの飛散が発生するため、飛散したトナーの一部がセンサ孔12aを通ってセンサハウジング12の内部に侵入しやすい。そのため、温度センサ11のレンズ11cへのトナーの付着が生じやすい。
【0090】
温度センサ11のレンズ11cにトナーが付着すると、定着ローラ61から温度センサ11に入射する赤外線がトナーによって妨げられ、温度センサ11による温度検出精度が低下する。
【0091】
これに対し、本実施の形態では、ジャム解除時にセンサ孔12aがシャッタ2のカバー部21で覆われるため、センサ孔12aからセンサハウジング12内へのトナーの侵入を抑制することができる。
【0092】
加えて、媒体Pの除去時に媒体Pの表面に接触する部分が、幅Wの狭いリブ22であるため、比較例よりもトナーの飛散量が少ない。すなわち、画像Mにおけるトナー飛散部分の面積の割合ηは、η=2×T/Bで表されるため、リブ22の幅Tを狭くすることで当該割合ηも小さくすることができる。
【0093】
例えば、リブ22の幅Tを2mm、画像Mの幅Bを150mmとした場合には、
図12に示した画像Mの面積のうちのトナー飛散部分の面積の割合ηは2.7%となり、比較例の割合η(6.7%)よりも小さい。
【0094】
加えて、リブ22の先端部22aがカバー部21から定着ローラ61側に突出しているため、トナーが掻き取られる位置をセンサ孔12aから離間させることができ、これによりセンサ孔12aに到達するトナーの量を減少させることができる。
【0095】
従って、温度センサ11(特にレンズ11c)へのトナーの付着を抑制し、高精度の温度検知を可能にすることができる。
【0096】
本実施の形態では、温度センサ11が定着ユニット60とは別のセンサユニット10に設けられており、定着ユニット60が寿命により交換されても温度センサ11は画像形成装置1内に残る。そのため、温度センサ11は、長期間に亘って高い検出精度を維持することが求められる。上記のように温度センサ11へのトナーの付着を抑制することにより、画像形成装置1の製品寿命と同等の長期間に亘って、高い検出精度を維持することが可能となる。
【0097】
なお、本実施の形態では、シャッタ2がカバー部21とリブ22とを有しているが、リブ22を有さない構成も可能である。但し、シャッタ2がリブ22を有している方が、上記のように媒体Pから掻き取られるトナーの量を減少させる効果が得られるため、リブ22を有することが望ましい。
【0098】
また、シャッタ2のリブ22の数は1つでもよいが、2つであることが特に望ましい。特に、シャッタ2が閉位置にあるときにリブ22がセンサ孔12aのX方向両側に位置することにより、センサ孔12aから離間した位置で媒体Pとリブ22とを接触させることができ、センサ孔12aに到達するトナーの量を減少させることができる。
【0099】
<実施の形態の効果>
以上説明したように、実施の形態1の画像形成装置1は、センサ孔12aを閉鎖する閉位置と、閉位置よりも搬送路A2側の開位置との間で回転可能なシャッタ2を有し、当該シャッタ2が搬送路A2から引き抜かれる媒体Pに当接して閉位置に移動し、センサ孔12aを閉鎖する。そのため、センサ孔12aからセンサハウジング12内へのトナーの侵入を抑制し、温度センサ11へのトナーの付着を抑制することができる。これにより、温度センサ11による温度検出精度の低下を抑制することができる。
【0100】
また、シャッタ2は、閉位置でセンサ孔12aを覆うカバー部21と、カバー部21よりも定着ユニット60側に突出する当接部としてのリブ22とを有し、搬送路A2から引き抜かれる媒体Pにリブ22が当接してシャッタ2が閉位置に向けて移動する。そのため、媒体Pの引き抜きを利用してシャッタ2を移動させ、確実にセンサ孔12aを閉鎖することができる。
【0101】
また、シャッタ2が閉位置にある状態で、シャッタ2の少なくとも一部がセンサ孔12aよりも鉛直上方に位置するため、媒体Pの表面から掻き取られたトナーがセンサ孔12aに到達しにくくなり、温度センサ11へのトナーの付着を抑制する効果を高めることができる。
【0102】
また、シャッタ2のリブ22の先端部22a(第1の当接部)と末端部22b(第2の当接部)とが媒体Pに接するため、搬送路A2から引き抜かれる媒体Pをセンサ孔12aから離れた位置で案内することができる。そのため、媒体Pの表面から掻き取られたトナーがセンサ孔12aに到達しにくくなり、温度センサ11へのトナーの付着を抑制する効果を高めることができる。
【0103】
また、リブ22の先端部22aのカバー部21からの突出量が、末端部22bのカバー部21からの突出量よりも大きいため、センサ孔12aから離れた位置でリブ22と媒体Pとを接触させることができる。そのため、媒体Pの表面から掻き取られたトナーがセンサ孔12aに到達しにくくなり、温度センサ11へのトナーの付着を抑制する効果を高めることができる。
【0104】
また、シャッタ2が開位置にあるときには、リブ22の末端部22bがアッパガイド15と共に媒体Pを案内するため、定着ユニット60に向かう媒体Pをリブ22によって案内することができる。
【0105】
また、シャッタ2を開位置に向けて付勢する付勢部材としてのトーションばね26をさらに有するため、搬送される媒体Pとリブ22との当接によるシャッタ2の振動を防止することができる。
【0106】
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。
図16は、実施の形態2のセンサユニット10Aと定着ユニット60とを示す斜視図である。実施の形態2の画像形成装置は、回転可能なシャッタ2の代わりに、直進移動可能なシャッタ3を有する。
【0107】
図17は、センサユニット10Aと定着ユニット60とを示す断面図である。シャッタ3は、センサハウジング12の壁部121に沿って略Z方向(すなわち搬送路A2に対して接近および離間する方向)に移動可能に設けられており、センサ孔12aを開閉する。
【0108】
センサハウジング12の壁部121において、シャッタ3のX方向両側には、案内部としてのガイド35が設けられている。ガイド35の一部は壁部121から下方(-Z方向)に突出しているが、ガイド35の下端部はアッパガイド15の下端部15aよりも上方(+Z方向)にある。
【0109】
図18は、シャッタ3を示す斜視図である。シャッタ3は、X方向に長い板状のカバー部31を有する。カバー部31のX方向両端に、X方向に突出する軸部33が設けられている。軸部33はカバー部31の各端部に2本ずつ設けられているが、軸部33の数は任意である。
【0110】
軸部33は、
図17に示したガイド35のガイド溝35aに係合する。軸部33とガイド35のガイド溝35aとの係合により、シャッタ3は略Z方向に移動可能となる。カバー部31は、ここではX方向に長い形状を有しているが、略Z方向(すなわち搬送路A2に対して接近および離間する方向)に長い形状であってもよい。
【0111】
シャッタ3のカバー部31において、定着ローラ61(
図17)に対向する側の面には、一対のリブ32が形成されている。リブ32は、カバー部31から+Y方向すなわち定着ユニット60側に突出し、また略Z方向に延在している。
【0112】
一対のリブ32のX方向の間隔は、実施の形態1のリブ22と同様、センサ孔12aのX方向の幅(
図9に示した幅D)よりも広い。各リブ32の幅は、実施の形態1で説明したリブ22の幅と同様であり、例えば2mmである。
【0113】
リブ32は、上端部の近傍に第1の当接部32aを有し、下端部の近傍に第2の当接部32bを有する。第1の当接部32aは、カバー部31からの+Y方向の突出部が最も大きく、第2の当接部32bは、カバー部31からの+Y方向の突出部が2番目に大きい。
【0114】
図19は、シャッタ3とセンサハウジング12とを示す側面図である。上記の通り、シャッタ3は、シャッタ3の軸部33とガイド35のガイド溝35aとの係合によって移動可能に支持される。
【0115】
ガイド溝35aの上端部は、シャッタ3を閉位置で位置規制する第1の位置規制部に相当する。ガイド溝35aの下端部は、シャッタ3を開位置で位置規制する第2の位置規制部に相当する。
【0116】
図19に示した状態では、軸部33がガイド溝35aの下端部に当接しており、シャッタ3は、カバー部31がセンサ孔12aを開放する開位置にある。シャッタ3が上方に移動し、軸部33がガイド溝35aの上端部に当接すると、シャッタ3は、カバー部31がセンサ孔12aを閉鎖する閉位置に達する。
【0117】
印刷動作時には、シャッタ3は自重により開位置にある。なお、実施の形態2では、シャッタ3の全体がアッパガイド15の下端部15aよりも上方に位置しており、印刷動作時に媒体Pがシャッタ3に当接することがないため、実施の形態1のトーションばね26(
図8)のような付勢部材は不要である。但し、実施の形態1のように付勢部材を設けてもよい。
【0118】
図20および
図21は、ジャム解除時のセンサユニット10Aを示す断面図である。
図20に示すように、ジャム解除時には、媒体Pが矢印で示すように上方に引き抜かれる。媒体Pが上方に引き抜かれる際、媒体Pはまずシャッタ3の第2の当接部32bに当接し(符号C2)、次に第1の当接部32aに当接する(符号C1)。これにより、シャッタ3は上方に移動する。
【0119】
図21に示すように、シャッタ3が閉位置に到達すると、シャッタ3のカバー部31がセンサ孔12aを閉鎖する。媒体Pは、シャッタ3の第1の当接部32aと第2の当接部32bに当接しながら(符号C1,C2で示す)、上方に引き抜かれる。
【0120】
媒体Pの表面の未定着のトナーTは、シャッタ3のリブ32との接触により媒体Pの表面から掻き取られて飛散する。しかしながら、センサハウジング12のセンサ孔12aがシャッタ3のカバー部31で閉鎖されているため、飛散したトナーTがセンサ孔12aからセンサハウジング12内に侵入することを抑制することができる。
【0121】
また、リブ32の第1の当接部32aのカバー部31からの突出量が大きいため、媒体Pとリブ32との当接部分(C1)をセンサ孔12aから遠ざけることができる。そのため、媒体Pとリブ32との当接によって掻き取られたトナーが、センサ孔12aからセンサハウジング12内に侵入することを効果的に抑制することができる。
【0122】
また、シャッタ3のうち媒体Pと接する部分がリブ32のみであるため、接触によって媒体Pから掻き取られるトナーの量も少ない。その結果、トナーTのセンサ孔12aからの侵入をより効果的に抑制することができる。
【0123】
また、シャッタ3のリブ32が、Z方向に離間した2か所(すなわち第1の当接部32aと第2の当接部32b)で媒体Pに接触するため、接触によって媒体Pから掻き取られるトナーの量をさらに減少させることができる。
【0124】
加えて、シャッタ3が閉位置にあるときに、リブ32がセンサ孔12aのX方向の両側に位置することにより、センサ孔12aから離間した位置で媒体Pとリブ32とを接触させることができ、センサ孔12aに到達するトナーの量を減少させることができる。
【0125】
上述した点を除き、実施の形態2の画像形成装置は、実施の形態1の画像形成装置と同様に構成されている。
【0126】
以上説明したように、実施の形態2の画像形成装置1は、センサ孔12aを開放する開位置と、開位置よりも搬送路A2側の閉位置との間で直進移動可能なシャッタ3を有し、当該シャッタ3が搬送路A2から引き抜かれる媒体Pに当接して閉位置に移動し、センサ孔12aを閉鎖する。そのため、センサ孔12aからセンサハウジング12内へのトナーの侵入を抑制し、温度センサ11へのトナーの付着を抑制することができる。これにより、温度センサ11による温度検出精度の低下を抑制することができる。
【0127】
なお、実施の形態1,2では、シャッタ2,3によって温度センサ11へのトナー付着を抑制する構成について説明した。しかしながら、これらの実施の形態は、温度センサ11に限らず、ジャム解除時にトナー付着を抑制する必要がある他の部分、例えば媒体Pを検知するセンサ(非接触の用紙センサ等)へのトナー付着を抑制する構成にも適用可能である。
【0128】
以上、望ましい実施の形態について具体的に説明したが、本開示は上記の実施の形態に限定されるものではなく、各種の改良または変形を行なうことができる。上記の各実施の形態は、適宜組み合わせることが可能である。
【0129】
各実施の形態の画像形成装置は、例えば、プリンタ、複写機、ファクシミリ、MFP(MultiFunction Peripherals)等に利用することができる。
【符号の説明】
【0130】
1 画像形成装置、 2,3 シャッタ、 10,10A センサユニット、 11 温度センサ、 12 センサハウジング(ハウジング)、 12a センサ孔(開口部)、 13 センサホルダ、 15 アッパガイド(案内部)、 18 ロアガイド、 20 基部、 21 カバー部、 22 リブ(当接部)、 22a 先端部(第1の当接部)、 22b 根元部(第2の当接部)、 24 ストッパ面(位置規制部)、 25 回転軸、 26 トーションばね(付勢部材)、 31 カバー部、 32 リブ(当接部)、 32a 第1の当接部、 32b 第2の当接部、 33 軸部(被案内部)、 35 ガイド(案内部)、 35a ガイド溝(位置規制部)、 40 媒体供給部、 50 画像形成ユニット、 51 感光体ドラム(像担持体)、 52 帯電ローラ(帯電部材)、 53 露光ヘッド(露光装置)、 54 現像ローラ(現像剤担持体)、 55 供給ローラ(供給部材)、 56 トナーカートリッジ(現像剤収容体)、 57 転写ローラ(転写部材)、 60 定着ユニット、 61 定着ローラ(定着部材)、 61h ヒータ、 62 加圧ローラ(加圧部材)、 70 媒体排出部。