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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142690
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】射撃弾数カウンタ
(51)【国際特許分類】
   F41A 19/01 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
F41A19/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049712
(22)【出願日】2022-03-25
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】301039066
【氏名又は名称】株式会社アイティーコスモス
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】粂井 康秀
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 稔夫
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型で簡易な構造で、銃への取付けや扱いが容易な射撃弾数カウンタを提供する。
【解決手段】自動小銃に取り付けられた振動センサで、自動小銃で発生する振動を検出し、カウント部では、振動センサで検出した、所定の振動閾値以上の連続した振動群が、所定の時間間隔で2回発生した場合に、1回の発射弾数としてカウントするとともに、2回目に発生した振動群から所定の時間以内に3回目の振動群が発生した場合に、自動小銃の弾倉内に銃弾が残っていると判定して、発射弾数のカウントを継続し、所定の時間以内に3回目の振動群が発生しない場合には、弾倉が空になったと判定して、発射弾数のカウントを停止する。また、表示部では、カウント部でカウントした発射弾数を表示するようにした射撃弾数カウンタ。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銃から発射された銃弾の数をカウントする射撃弾数カウンタであって、
前記銃に取り付けられ、前記銃で発生する振動を検出する振動検出部と、
前記振動検出部で検出した、所定の振動閾値以上の連続した振動群が、所定の時間間隔で複数回発生した場合に、1つの発射弾数としてカウントするカウント部と、
を備えたことを特徴とする射撃弾数カウンタ。
【請求項2】
請求項1に記載の射撃弾数カウンタにおいて、
前記銃に取り付けられ、前記銃の発射時に発生する空気圧力を検出する圧力検出部を備え、
前記カウント部は、
前記振動検出部で検出した所定の振動閾値以上の振動群のうち最初の振動群を検出した後、第1時間内に前記圧力検出部により所定の圧力閾値以上の圧力を検出した場合、又は、前記圧力検出部で前記圧力閾値以上の圧力を検出した後、第2時間内に前記振動検出部で検出した前記複数の振動群のうち2回目の振動群が発生した場合に、1つの発射弾数としてカウントすることを特徴とする射撃弾数カウンタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の射撃弾数カウンタにおいて、
前記カウント部は、
前記振動検出部で検出した、所定の振動閾値以上の連続した振動群が、所定の時間間隔で2回発生した場合に、1回の発射弾数としてカウントするとともに、2回目に発生した振動群から所定の時間以内に3回目の振動群が発生した場合に、前記銃の弾倉内に前記銃弾が残存していると判定して、発射弾数のカウントを継続し、前記所定の時間以内に前記3回目の振動群が発生しない場合には、前記銃の弾倉内に前記銃弾が残存していないと判定して、発射弾数のカウントを停止することを特徴とする射撃弾数カウンタ。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の射撃弾数カウンタにおいて、
前記カウント部でカウントした発射弾数を表示する表示部を備えていることを特徴とする射撃弾数カウンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小火器などが射撃された場合の発射弾数を正確にカウントすることができる射撃弾数カウンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銃などの小火器の射撃演習、特に射手が移動しながら射撃を繰り返す場合において、実際に射撃された銃弾数を把握することができる射撃弾数の自動計数装置がある。この装置では、小銃に取り付けられた加速度センサと音波センサとからの検知信号に基づき、銃弾の射撃が行われたか否かがモニタに内蔵された論理回路により判断され、銃弾の射撃が行われたと判断されたときにはモニタに内蔵されたカウンタ回路が射撃弾数を自動的にカウントし、このカウント値が表示器に表示されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-089894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記射撃弾数の自動計数装置では、振動センサで検出した振動と音響センサで検出した射撃音の信号処理の際、単に振動レベルと音響レベルとがともに閾値を超えたときに弾丸発射されてとしてカウントしていくだけであり、小銃のメカニズムや他の小銃の射撃音を考慮していないためカウントが正確ではないという課題があった。
【0005】
本発明は、こうした課題に鑑みなされたもので、小型で簡易な構造で、銃への取付けや扱いが容易あり、かつ正確な射撃弾数のカウント可能な射撃弾数カウンタを提供すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0007】
[適用例1]
適用例1に記載の発明は、
銃(3)から発射された銃弾(5)の数をカウントする射撃弾数カウンタ(1)であって、
前記銃(3)に取り付けられ、前記銃(3)で発生する振動を検出する振動検出部(10)と、
前記振動検出部(10)で検出した、所定の振動閾値以上の連続した振動群が、所定の時間間隔で複数回発生した場合に、1回の発射弾数としてカウントするカウント部(20)と、
を備えたことを要旨とする。
【0008】
このような射撃弾数カウンタ(1)では、銃(3)に取り付けられた振動検出部(10)によって銃(3)で発生する振動を検出する。このとき、銃(3)で射撃をした場合に発生する振動は、所定の振動閾値以上の振動が短時間に連続して発生するため、この連続して閾値以上となる振動を振動群と呼ぶ。
【0009】
ここで、発明者は、種々の実験等を行い、銃(3)から銃弾(5)が発射される際には、単に単発の振動群が発生するわではなく、所定の時間間隔で複数回の振動群が発生することを発見した。
【0010】
そこで、振動検出部(10)で検出した振動群が所定の時間間隔で複数回発生した場合を1回の射撃が行われたとして、換言すれば、銃(3)から1発の銃弾(5)が発射されたとしてカウントすることにより、正確に発射弾数をカウントすることができるようになった。
【0011】
つまり、振動検出部(10)のみを使用するという小型で簡易な構造で、正確な射撃弾数のカウントが可能となる。さらに、射撃時の振動のレベルは非常に高いので、それを検出する振動検出部(10)も、余り感度が高い必要はなく、小型のものでよいため、軽量で銃(3)に取り付けやすく扱いやすい射撃弾数カウンタ(1)とすることができる。
【0012】
[適用例2]
適用例2に記載の射撃弾数カウンタ(2)は、適用例1に記載の射撃弾数カウンタ(1)において、
前記銃(3)に取り付けられ、前記銃(3)の発射時に発生する空気圧力を検出する圧力検出部(50)を備え、
前記カウント部(20)は、
前記振動検出部(10)で検出した所定の振動閾値以上の振動群のうち最初の振動群を検出した後、第1時間内に前記圧力検出部(50)により所定の圧力閾値以上の圧力を検出した場合、又は、前記圧力検出部(50)で前記圧力閾値以上の圧力を検出した後、第2時間内に前記振動検出部(10)で検出した前記複数の振動群のうち2回目の振動群が発生した場合に、1つの発射弾数としてカウントすることを要旨とする。
【0013】
銃(3)から銃弾(5)が発射される場合には、振動検出部(10)で検出できる振動群以外に銃口から発生する空気圧力波が発生する。そこで、この射撃弾数カウンタ(2)のように、銃(3)の発射時に発生する所定の振動閾値以上の振動群に加え、圧力検出部(50)で検出した所定の圧力閾値以上の空気圧力を加えて銃(3)の発射弾数をカウントすることにより、より正確に発射弾数をカウントすることができる。
【0014】
[適用例3]
適用例3に記載の射撃弾数カウンタ(1,2)は、適用例1又は適用例2に記載の射撃弾数カウンタ(1,2)において、
前記カウント部(20)は、
前記振動検出部(10)で検出した、所定の振動閾値以上の連続した振動群が、所定の時間間隔で2回発生した場合に、1回の発射弾数としてカウントするとともに、2回目に発生した振動群から所定の時間以内に3回目の振動群が発生した場合に、前記銃(3)の弾倉(40)内に前記銃弾(5)が残存していると判定して、発射弾数のカウントを継続し、前記所定の時間以内に前記3回目の振動群が発生しない場合には、前記銃(3)の弾倉(40)内に前記銃弾(5)が残存していないと判定して、発射弾数のカウントを停止することを要旨とする。
【0015】
ここで、銃(3)には、自動小銃のようにトリガを引いている間は自動的に弾倉(40)から給弾され、連続発射が行われるものがある。これに対し、適用例2に記載の射撃弾数カウンタ(1,2)では、銃(3)からの発射弾数のカウントだけでなく弾倉(40)内に銃弾(5)が残っているか否かが判定できるようになっており、使いやすい射撃弾数カウンタ(1,2)となる。
【0016】
[適用例4]
適用例4に記載の射撃弾数カウンタ(1,2)は、適用例1~適用例4のいずれか1項に記載の射撃弾数カウンタ(1,2)において、
前記カウント部(20)でカウントした発射弾数を表示する表示部(30)を備えていることを要旨とする。
【0017】
このような射撃弾数カウンタ(1,2)では、カウントした射撃弾数が表示されるため、使いやすい射撃弾数カウンタ(1,2)となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】射撃弾数カウンタの機能的な概略の構成を示すブロック図である。
図2】射撃弾数カウンタの概略の構造を示す図である。
図3】射撃弾数カウンタを銃に装着した状態を示す図である。
図4】振動センサで検出した自動小銃の発射時の振動パターンを示す図である。
図5】自動小銃において銃弾が装填、発射され、更に次弾が装填される様子を説明するための図である。
図6】自動小銃において銃弾が装填、発射され、更に次弾が装填される様子を説明するための図である。
図7】カウント処理の流れを示すフローチャートである。
図8】第2実施形態における射撃弾数カウンタの機能的な概略の構成を示すブロック図である。
図9】振動センサ及び圧力センサで検出した自動小銃発射時の振動波及び圧力波のパターンを示す図である。
図10】第2実施形態におけるカウント処理の流れを示すフローチャートである。
図11】第2実施形態におけるカウント処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0020】
[第1実施形態]
(射撃弾数カウンタ1の構成)
図1及び図2に基づいて射撃弾数カウンタ1の構成について説明する。図1は、射撃弾数カウンタ1の機能的な概略の構成を示すブロック図であり、図2は、射撃弾数カウンタ1の概略の構造を示す図(図2(a)は外観図、図2b)は内部構造図)である。なお、図2では、後述する第2実施形態の射撃弾数カウンタ2の構成品も含めた構成となっている。
【0021】
図1に示すように、射撃弾数カウンタ1は、振動センサ10、カウント部20及び表示部30を備えている。
振動センサ10は、自動小銃3に取り付けられ、自動小銃3で発生する、射撃時の振動などを検出する加速度検出型の振動センサである。
【0022】
カウント部20は、振動センサ10で検出した振動のパターンから自動小銃3で発射された銃弾5の数をカウントする部分であり、図示しないCPU、ROM、RAM、タイマ及びI/Oを備えている。また、カウント部20でのカウント処理は、ROMに格納されたプログラムにより、電源オンとともに実行され、電源オフとともに終了する。
【0023】
また、射撃弾数カウンタ1は、図2(a)に示す筒状のカバー60の内部に図2(b)に示すように構成品が収納されている。
図2(a)に示すように、カバー60は、長さ方向の中央部分の直径に対して両端側部分の直径が大きな筒状の、いわゆるスコープ状の形状となっている。
【0024】
また、図2(a)中左端面には、電源となるバッテリ70を挿入する、内面にネジが形成された孔と、その孔に勘合するように外周面にネジがバッテリ70を外側から抑えるためのキャップ61が設けられている。さらに、キャップ61の位置の上側には、後述する圧力センサ50で圧力を検出するための孔62が設けられている。
【0025】
図2(a)中右端面には、カウント部20の電源スイッチ21や操作ボタン22、表示部30の構成品である液晶ディスプレイ31が設けられている。
図2(b)に示すように、カバー60の内部には、振動センサ10、カウント部20及び表示部30を実装したプリント基板80、圧力センサ50、バッテリ70が内蔵されている。
【0026】
(射撃弾数カウンタの装着状態)
次に、図3に基づき射撃弾数カウンタ1を自動小銃3に装着した状態を説明する。図3は、射撃弾数カウンタ1を自動小銃3に装着した状態を示す図である。
【0027】
図3に示すように、射撃弾数カウンタ1は、自動小銃3の銃身43の先端部分の消炎器3bの後部に、銃身43をフランジ90で挟むように取り付け、ネジ91で固定する。
【0028】
(射撃時の作動)
ここで、図4に、自動小銃3で銃弾5を発射した場合に振動センサ10で検出される振動のパターンを示す。
【0029】
図4に示すように、自動小銃3で銃弾5を発射した場合には振動が発生する。発生する振動は、所定の振動閾値を設定すると、その振動閾値以上となる振動波が連続的に発生する箇所と振動閾値未満の振動波が発生する箇所とが交互に現れる。この所定の振動閾値以上となる振動波が連続的に発生する部分を振動群と呼ぶ。
【0030】
すると、図4に示すように、銃弾5を発射した場合、図4の中で「A」、「B」、「C」で示すように振動群が3個現れることが分かる。したがって、この3個の振動群に基づいて発射弾数をカウントしていけば正確な発射弾数をカウントすることや、弾倉40内に銃弾5が残存しているか否かを把握することができる。
【0031】
ここで、図5及び図6に基づき、銃弾5の発射時に3つの振動群が発生するメカニズムについて説明する。図5及び図6は、自動小銃3において銃弾5が装填、発射され、更に次弾が装填される様子を説明するための図である。
【0032】
図5(a)に示すように、弾倉40から銃弾5が薬室41に装填され、遊底部42により薬室41が閉塞された状態となっている。
この状態で図示しない引き金が引かれると、図示しない撃針が銃弾5の雷管を叩き、図5(b)に矢印で示すように、銃弾5の薬莢5aの内部の装薬が燃焼しガスが発生し、弾丸5bを銃身43内に押し出す。このとき振動が発生し、図4の中に「A」で示す第1振動群となる。
【0033】
次に、図5(c)に示すように、弾丸5bが銃身43の内部を進むと、銃身43の内部のガスがガスポート44を通じてガス室45へ充填される。すると、矢印で示すようにピストン管46がガスで押され、その先端が遊底部42を押圧し、遊底部42が後退する。
【0034】
すると、図6(a)に右向きの矢印で示すように、遊底部42が押し下げられるとともに、弾丸5bが抜けた薬莢5aが薬室41から排出(排莢)される。このとき、複座バネ48が圧縮され、遊底部42が底着き状態となる際に振動が発生し、図6(a)の中に「B」で示す第2振動群となる。
【0035】
その後、図6(b)に上向きの矢印で示すように、弾倉40から次の銃弾5が装填される。
そして、図6(c)に示すように復座バネ48によって遊底部42が銃弾5を押し、銃弾5を薬室41に押し込み薬室41を閉塞状態とする。このとき、銃弾5の薬莢5aと遊底部42とが衝突するときに振動が発生し、図4の中に「C」で示す第3振動群となる。
【0036】
以上のように、図5に示す銃弾5の装填、発射、装填のサイクルと図4に示す振動群の発生とが一致することが分かり、これにより、自動小銃3の射撃の際に発生する振動を振動センサ10で検出することにより、銃弾5が発射される回数を正確にカウントできることが明確となった。
【0037】
表示部30は、小型の液晶表示装置であり、カウント部20でカウントされた射撃弾数を液晶ディスプレイ31に数字で表示するようになっている。
【0038】
(カウント処理)
次に、図7に基づき、カウント部20で実行されるカウント処理について説明する。図7は、カウント処理の流れを示すフローチャートである。
【0039】
カウント処理が開始されると、CPUは、S100において、初期設定を行う。初期設定では、射撃弾数のカウント値を0とし、タイマの値(タイマ値)を0とし、表示部30のカウント値を0とし、振動値の振動閾値(第1振動閾値、第2振動閾値及び第3振動閾値)を取得する。
【0040】
続くS105では、振動センサ10から振動値を取得し、続くS110では、S105で取得した振動値が第1振動閾値以上であるか否かを判定する。そして、振動値が第1振動閾値以上であると判定した場合(S110:Yes)、処理をS115へ移行し、振動値が第1振動閾値未満であると判定した場合(S110:No)、処理をS105へ戻し、振動センサ10からの振動値の取得を繰り返す。なお、本実施形態では、第1振動閾値は30Gとする。
【0041】
S115では、「a」mS待機し、続くS120で、振動センサ10から振動値を取得するとともにタイマ値を取得する。なお、本実施形態では、「a」mSは15mSとする。
【0042】
続くS125では、S120において取得した振動値が第2振動閾値以上であるか否かを判定する。そして、振動値が第2振動閾値以上であると判定した場合(S125:Yes)、処理をS130へ移行し、振動値が第2振動閾値未満であると判定した場合(S125:No)、処理をS135へ移行する。なお、本実施形態では、第2振動閾値は30Gとする。
【0043】
S130では、タイマ値を取得し、S120において振動値を取得してからの経過時間が「b」mS以下か否かを判定する。そして、経過時間が「b」mS以下であると判定した場合(S130:Yes)、処理をS105へ戻し、経過時間が「b」mSより大きい場合(S130:No)、処理をS140へ移行する。なお、本実施形態では「b」mSは10mSとする。
【0044】
S135では、タイマ値を取得し、S120において振動値を取得してからの経過時間が「c」mS以上か否かを判定する。そして、経過時間が「c」mS以上であると判定した場合(S135:Yes)、処理をS105へ戻し、経過時間が「c」mSより小さい場合(S135:No)、処理をS120へ移行し、振動値の取得を繰り返す。なお、本実施形態では、「c」mSは30mSとする。
【0045】
S140では、S130で取得したタイマ値から、経過時間が「d」mS以下か否かを判定する。そして、経過時間が「d」mS以下であると判定した場合(S140:Yes)、処理をS145へ移行し、経過時間が「d」mSより大きい場合(S140:No)、処理をS105へ戻す。なお、本実施形態では「d」mSは20mSとする。
【0046】
S145では、射撃弾数のカウント値をカウントアップ(+1)し、続くS150で、表示部30にカウント値を表示する。さらに、続くS155では、振動センサ10から振動値を取得するとともにタイマ値を取得する。
【0047】
続くS160では、S155において取得した振動値が第3振動閾値以上であるか否かを判定する。そして、振動値が第3振動閾値以上であると判定した場合(S160:Yes)、処理をS165へ移行し、振動値が第3振動閾値未満であると判定した場合(S160:No)、処理をS170へ移行する。なお、本実施形態では、第3振動閾値は30Gとする。
【0048】
S165では、S120において振動値を取得してからの経過時間が「e」mS以上「f」mS以下であるか否かを判定する。そして、経過時間が「e」mS以上、「f」mS以下であると判定した場合(S165:Yes)、自動小銃3の弾倉40に残弾があると判定し処理をS175へ移行し、経過時間が「e」mS未満又は「f」mSより大きい場合(S165:No)、自動小銃3の弾倉40に残弾がないと判定し、処理をS180へ移行する。なお、本実施形態では、「e」mSは40mS、「f」は60mSとする。
【0049】
S170では、S120において振動値を取得してからの経過時間がmS以上であるか否かを判定する。そして、経過時間がgmS以上であると判定した場合(S170:Yes)、自動小銃3の弾倉40に残弾がないと判定し、処理をS180へ移行し、経過時間がgms未満の場合(S175:No)、処理をS155へ戻す。なお、本実施形態では、「g」mSは70mSとする。
【0050】
S175では、表示部30に弾倉40に残弾がある旨の表示を行った後、処理をS105へ戻し、S180では、表示部30の弾倉40に残弾がない旨の表示を行った後、処理を停止する。
【0051】
なお、本カウント処理のS110、S135及びS170においてNOと判定した場合、処理をそれぞれS105、S120及びS155へ戻しているが、その場合のタイムアウト時間判定は、省略してある。タイムアウト時間が経過した場合には、S105へ戻す処理を行う。
【0052】
(射撃弾数カウンタ1の特徴)
以上に説明した射撃弾数カウンタ1では、振動センサ10で検出した振動群が所定の時間間隔で複数回発生した場合を1回の射撃が行われたとして、換言すれば、自動小銃3から1発の銃弾5が発射されたとしてカウントすることにより、正確に発射弾数をカウントすることができるようになった。
【0053】
つまり、振動センサ10のみを使用するという小型で簡易な構造で、正確な射撃弾数のカウントが可能となる。さらに、射撃時の振動のレベルは非常に高いので、それを検出する振動センサ10も、余り感度が高い必要はなく、小型のものでよいため、軽量で自動小銃3に取り付けやすく扱いやすい射撃弾数カウンタ1とすることができる。
【0054】
また、自動小銃3では、トリガを引いている間は自動的に給弾され、連続発射が行われるが、射撃弾数カウンタ1では、自動小銃3からの発射弾数のカウントだけでなく弾倉40の残弾があるか否かも判定できるようになっており、使いやすい射撃弾数カウンタ1となっている。
【0055】
さらに、射撃弾数カウンタ1では、カウントした射撃弾数や弾倉40の残弾の有無が表示されるため、使いやすい射撃弾数カウンタ1となる。
また、複数のピークを持つ振動波形の振動群の検出を、振動閾値と時間経過のみを用いた簡易な処理で行うことができる。したがって、異なる種類の銃に対しても、振動閾値と時間経過の判定値を変更するだけで正確な発射弾数のカウントを行うことができる。
【0056】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態における射撃弾数カウンタ2について説明する。第2実施形態における射撃弾数カウンタ2は、第1実施形態にける射撃弾数カウンタ1と類似している構成品が多いため、同じ構成品には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0057】
(射撃弾数カウンタ2の構成)
図8に基づいて射撃弾数カウンタ2の構成について説明する。図8は、射撃弾数カウンタ2の機能的な概略の構成を示すブロック図である。なお、射撃弾数カウンタ2の構造や自動小銃3への装着形態は第1実施形態における射撃弾数カウンタ1と同じであり、また、第1実施形態において説明したため、ここでは説明を省略する。
【0058】
図8に示すように、射撃弾数カウンタ2は、射撃弾数カウンタ1に圧力センサ50(圧力検出部50)が付加されている。
圧力センサ50は、振動センサ10とともに自動小銃3に取り付けられ、自動小銃3の発射時に銃口から発生する空気の圧力波の圧力値を検出する。なお、圧力センサ50以外の構成は第1実施形態における射撃弾数カウンタ1と同じである。
【0059】
(射撃時の作動)
ここで、図9に、自動小銃3で銃弾5を発射した場合に振動センサ10及び圧力センサ50で検出される振動波及び圧力波のパターンを示す。なお、図9中で振動波を「Q」、圧力波を「P」で示している。
【0060】
第1実施形態において図4を用いて説明したように、自動小銃3から銃弾5を発射した場合には振動が発生する。また、図9に示すように、自動小銃3の発射時には振動に加えて圧力波が発生する。
【0061】
図9において、振動群は実施形態1と同じように図9中で「A」で示す1回目の振動群と、「B」で示す2回目の振動群が発生する(図4参照)。また、1回目の振動群Aとほぼ同じ期間、換言すれば、振動群Aに被るように圧力波(図9中で「D」で示す)が発生する。
【0062】
そこで、第1回目の振動群を検出した後の第1時間内に圧力センサ50で所定の圧力閾値の圧力波を検出した場合か、又は、圧力センサ50で所定の圧力閾値以上の圧六を検出した後の第2時間内に2回目の振動群が発生した場合に、1つの発射弾数としてカウントするようにすると、発射弾数がカウントできる。
【0063】
(カウント部20におけるカウント処理)
次に、図10及び図11に基づき、第2実施形態のカウント部20で実行されるカウント処理について説明する。図10及び図11は、第2実施形態におけるカウント処理の流れを示すフローチャートである。
【0064】
カウント処理が開始されると、CPUは、S200において、初期設定を行う。初期設定では、射撃弾数のカウント値を0とし、タイマの値(タイマ値)を0とし、表示部30のカウント値を0とし、振動閾値(第1振動閾値、第2振動閾値及び第3振動閾値)、圧力閾値、第1時間及び第2時間を取得する。
【0065】
続くS205では、振動センサ10から振動値を取得し、圧力センサ50から圧力値を取得するとともにタイマからタイマ値を取得する。
続くS210では、S205で取得した振動値が第1振動閾値以上であるか否かを判定する。そして、振動値が第1振動閾値以上であると判定した場合(S210:Yes)、処理をS215へ移行し、振動値が第1振動閾値未満であると判定した場合(S210:No)、処理をS230へ移行する。なお、本実施形態では、第1振動閾値は30Gとする。
【0066】
S215では、圧力センサ50から圧力値を取得するとともにタイマからタイマ値を取得する。
続くS220では、S215で取得した圧力値が圧力閾値以上であるか否かを判定する。そして、圧力値が圧力閾値以上であると判定した場合(S220:Yes)、処理をS225へ移行し、圧力値が圧力閾値未満であると判定した場合(S220:No)、処理をS215へ戻す。
【0067】
S225では、S215で取得したタイマ値からS205で取得したタイマ値の差分(以下、「第1経過時間」と呼ぶ)が第1時間内であるか否かを判定する。そして、第1経過時間が第1時間内であると判定した場合(S225:Yes)、処理をS250へ移行し、第1時間内でないと判定した場合(S225:No)、処理をS205へ戻す。
【0068】
S230では、S205で取得した圧力値が圧力閾値以上であるか否かを判定する。そして、圧力値が圧力閾値以上であると判定した場合(S230:Yes)、処理をS235へ移行し、亜知力閾値未満であると判定した場合(S230:No)、処理をS205へ戻す。
【0069】
S235では、振動センサ10から振動値を取得するとともにタイマからタイマ値を取得する。
続くS240では、S235で取得した振動値が第2振動閾値以上であるか否かを判定する。そして、振動値が第2振動閾値以上であると判定した場合(S240:Yes)、処理をS250へ移行し、振動値が第2振動閾値未満であると判定した場合(S240:No)、処理をS255へ移行する。なお、本実施形態では、第2振動閾値は30Gとする。
【0070】
S240では、S230で取得したタイマ値からS215で取得したタイマ値の差分(以下、「第2経過時間」と呼ぶ)が第2時間内であるか否かを判定する。そして、第2経過時間が第2時間内であると判定した場合(S240:Yes)、処理をS245へ移行し、第2時間内でないと判定した場合(S240:No)、処理をS235へ戻す。
【0071】
S250では、射撃弾数のカウント値をカウントアップ(+1)し、続くS255で、表示部30にカウント値を表示する。さらに、続くS260では、振動センサ10から振動値を取得するとともにタイマからタイマ値を取得する。
【0072】
続くS265では、S260において取得した振動値が第3振動閾値以上であるか否かを判定する。そして、振動値が第3振動閾値以上であると判定した場合(S265:Yes)、処理をS270へ移行し、振動値が第3振動閾値未満であると判定した場合(S265:No)、処理をS280へ移行する。なお、本実施形態では、第3振動閾値は30Gとする。
【0073】
S270では、S205において振動値を取得してからの経過時間が「e」mS以上「f」mS以下であるか否かを判定する。そして、経過時間が「e」mS以上、「f」mS以下であると判定した場合(S270:Yes)、自動小銃3の弾倉40に残弾があると判定し処理をS275へ移行し、経過時間が「e」mS未満又は「f」mSより大きい場合(S270:No)、処理を205へ戻す。なお、本実施形態では、「e」mSは40mS、「f」は60mSとする。
【0074】
S280では、S205において振動値を取得してからの経過時間がgmS以上であるか否かを判定する。そして、経過時間がgmS以上であると判定した場合(S280:Yes)、自動小銃3の弾倉40に残弾がないと判定し、処理をS285へ移行し、経過時間がgms未満の場合(S280:No)、処理をS260へ戻す。なお、本実施形態では、「g」mSは70mSとする。
【0075】
S275では、表示部30に弾倉40に残弾がある旨の表示を行った後、処理をS205へ戻し、S285では、表示部30の弾倉40に残弾がない旨の表示を行った後、処理を停止する。
【0076】
また、S220、S230及びS240でタイムアウト時間が設定されており、タイムアウト時間を過ぎた場合には、処理をS205へ戻してカウント処理を繰り返す。
【0077】
このような射撃弾数カウンタ2では、自動小銃3から銃弾5が発射される際に生じる振動に加え、圧力センサ50で検出した射撃時に銃口から発生する空気圧力波も加味して射撃弾数をカウントする。
【0078】
つまり、自動小銃3の射撃時に発生する振動だけによって射撃弾数をカウントすると、近傍にある自動小銃3の振動をもカウントする場合がある。そこで第2実施形態のように、検出した空気圧力を加味すると、振動の伝達速度と空気圧力波の振動速度の違いにより、近傍の自動小銃3の射撃による振動などの影響を受けずに、射撃弾数カウンタ2が取り付けられている自動小銃3だけの射撃弾数をカウントすることができ、正確に射撃弾数をカウントすることができる。
【0079】
[その他の実施形態]
(1)上記実施形態では、射撃弾数カウンタを自動小自動小銃3に取り付けていたが、拳銃やボルトアクション式の小銃に取り付けるようにしてもよい。
【0080】
(2)上記実施形態では、振動値の振動閾値(第1振動閾値、第2振動閾値、第3振動閾値)や所定の間隔(換言すれば、a,b,c,d,e,f及びgの値)は、射撃弾数カウンタ1を取り付ける自動小銃3の種類によって変更すればよい。また、自動小銃3などの銃は、射撃による射耗などにより特性が変化する場合があるため、振動閾値や所定の間隔を使用期間や発射弾数によって変更するようにしてもよい。
【0081】
(3)上記実施形態では、表示部30をケースに取り付けて、振動センサ10及びカウント部20と一体にしていたが、表示部30を別体として、カウント部20と優先又は無線で電気的に接続することによって、表示部30を自動小銃3に取り付けずに、別置きするようにしてもよい。
【0082】
(4)上記実施形態では、自動小銃3の弾倉40の残弾の有無を判定し表示していたが、残弾がある場合には射撃が連続的に行われていると判定し、「連続射中」である旨の表示を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1… 射撃弾数カウンタ 3…自動小銃(銃) 3a… 銃身 3b… 消炎器 5… 銃弾 5a… 薬莢 5b… 弾丸 10… 振動センサ(振動検出部) 20… カウント部 21… 電源スイッチ 22… 操作ボタン 30… 表示部 31… 液晶ディスプレイ 40… 弾倉 41… 薬室 42… 遊底部 43… 銃身 44… ガスポート 45… ガス室 46… ピストン管 47… 規制子 48… 復座バネ 50… 圧力センサ(圧力検出部) 60… カバー 61… キャップ 62… 孔 70… バッテリ 80… プリント基板 90… フランジ 91… ネジ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11