(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142714
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】皮膚用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/86 20060101AFI20230928BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230928BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230928BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20230928BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A61K8/86
A61K8/34
A61K8/81
A61Q19/10
A61K8/39
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049738
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122345
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 繁久
(72)【発明者】
【氏名】村上 大
(72)【発明者】
【氏名】脇田 知寛
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC582
4C083AD022
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD172
4C083AD662
4C083CC23
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】毛穴汚れに対する洗浄力およびすすぎ時のツルツル感に優れ、肌上の水分やメイクアップ化粧料の有無による使用感の差異がなく、化粧水の浸透性を向上させることができる皮膚用洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)ポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリルを5~40質量%の含有量で、(B)ポリオキシエチレングリセリンを1~10質量%の含有量で、(C)炭素数が3~6である2価アルコールを2~20質量%の含有量で、(D)アクリル酸系増粘性高分子を0.02~0.6質量%の含有量で、および(E)2-フェノキシエタノールを0.02~0.6質量%の含有量で、並びに水を含む皮膚用洗浄剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(E):
(A)ポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリルを5~40質量%の含有量で、
(B)ポリオキシエチレングリセリンを1~10質量%の含有量で、
(C)炭素数が3~6である2価アルコールを2~20質量%の含有量で、
(D)アクリル酸系増粘性高分子を0.02~0.6質量%の含有量で、および
(E)2-フェノキシエタノールを0.02~0.6質量%の含有量で、
並びに水を含む皮膚用洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔や身体等の皮膚の洗浄に用いられる洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚用洗浄剤には様々な剤型があり、水を加えて泡立てる液状洗浄剤が最も一般的であるが、時短意識の高まりやその手軽さから、泡で出てくるフォーマータイプの洗浄剤が増加している。さらに近年では、泡立てずに使用する皮膚用洗浄剤の需要が高まってきている。
【0003】
水を加えて泡立てて使用する洗浄剤は、使用時の水の添加により洗浄剤に含まれる美容成分が希釈される。また、フォーマータイプの洗浄剤は美容成分を高配合するとメッシュの詰まりの原因となることから美容成分の高配合が困難である。それに対し、泡立てずに使用する洗浄剤は美容成分の高配合が可能であり、高濃度の美容成分を肌に接触可能であることが特徴である。
【0004】
泡立てずに使用する洗浄剤には、泡状の洗浄剤と同様に、洗浄力が求められる。例えば、特許文献1には、水酸基が2個以下のアルコール、グリセリン、水酸基が4個以上のアルコール、および非イオン性界面活性剤を組み合わせることにより、十分な毛穴洗浄効果を持ちながら、さっぱりとした洗い上がりを有し、肌に負担をかけない皮膚洗浄料が得られることが開示されている。しかし、この皮膚洗浄料は、すすぎ時のツルツル感が不十分であった。
【0005】
皮膚用洗浄剤をすすぐ際に、ツルツルとした肌感触を付与することができれば、毛穴洗浄に関する効果の実感を高めることができる。例えば、特許文献2には、特定のコポリマー粒子をスクラブ剤として含有し、洗浄後の肌のツルツル感に優れる皮膚洗浄剤組成物が開示されている。しかし、コポリマー粒子などのスクラブ剤を含む洗浄剤は、使用時に刺激を感じる場合があること、スクラブ剤は環境中に排出されて海洋マイクロプラスチックとして環境への影響を与える可能性があることが課題であった。そのため、スクラブ剤を含有せずに、優れた毛穴洗浄効果とすすぎ時のツルツル感を有する皮膚用洗浄剤が望まれていた。
【0006】
皮膚用洗浄剤を用いて肌を洗浄する際、肌上の水分やメイクアップ化粧料の有無によって、使用時ののびや厚み感が変化する場合があった。そのため、異なる状況での使用においても塗布時ののびや厚み感の変化が小さいことが求められていた。
【0007】
皮膚用洗浄剤を使用した後、化粧水やボディ用化粧水などを用いたスキンケアが行われているが、近年では、スキンケアに要する時間を短縮したいという要望がある。そこで、皮膚用洗浄剤に化粧水の浸透性を高める効果を付与することができればスキンケア時間を短縮することが可能である。しかし、皮膚用洗浄剤に化粧水の浸透性向上効果を付与することは容易ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009-221121号公報
【特許文献2】特開2016-56148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
毛穴汚れに対する洗浄力およびすすぎ時のツルツル感に優れ、肌上の水分やメイクアップ化粧料の有無による使用感の差異がなく、化粧水の浸透性を向上させることができる皮膚用洗浄剤組成物は未だ開発されていないのが現状である。
【0010】
本発明の目的は、毛穴汚れに対する洗浄力およびすすぎ時のツルツル感に優れ、肌上の水分やメイクアップ化粧料の有無による使用感の差異がなく、化粧水の浸透性を向上させることができる皮膚用洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、特定の成分を選択し、その含有量を特定範囲とすることによって、所期の作用効果を奏する皮膚用洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。この知見に基づく本発明は、以下の通りである。
【0012】
[1] 下記成分(A)~(E):
(A)ポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリルを5~40質量%の含有量で、
(B)ポリオキシエチレングリセリンを1~10質量%の含有量で、
(C)炭素数が3~6である2価アルコールを2~20質量%の含有量で、
(D)アクリル酸系増粘性高分子を0.02~0.6質量%の含有量で、および
(E)2-フェノキシエタノールを0.02~0.6質量%の含有量で、
並びに水を含む皮膚用洗浄剤組成物。
なお、上記成分(A)~(E)の含有量は、それぞれ、皮膚用洗浄剤組成物全体に対する値である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の皮膚用洗浄剤組成物は、毛穴汚れに対する洗浄力およびすすぎ時のツルツル感に優れ、肌上の水分やメイクアップ化粧料の有無による使用感の差異がなく、化粧水の浸透性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明する。
なお、本明細書において記号「~」を用いて規定された数値範囲は「~」の両端(上限及び下限)の数値を含むものとする。例えば「2~5」は2以上、5以下を表す。
【0015】
本発明の皮膚用洗浄剤組成物は、成分(A)~(E)および水を含む。成分(A)~(E)は、いずれも、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。以下、各成分について説明する。
【0016】
<成分(A):ポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリル>
本発明で用いられる成分(A)は、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリルである。ここで「ポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリル」とは、グリセリンの一つのヒドロキシ基が、脂肪酸とエステル結合を形成し、残りの二つのヒドロキシ基にエチレンオキシドが付加した構造を有する化合物である。
【0017】
ポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリルとしては、例えば、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンラウリン酸グリセリル、ポリオキシエチレンオレイン酸グリセリル、ポリオキシエチレンイソステアリン酸グリセリル等が挙げられ、好ましくはポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルである。ポリオキシエチレンモノ脂肪酸グリセリルにおけるエチレンオキシド付加モル数は5~30が好ましく、6~20がより好ましく、7~10が特に好ましい。
【0018】
成分(A)の含有量は、皮膚用洗浄剤組成物全体に対して、5~40質量%、好ましくは10~35質量%、より好ましくは15~30質量%である。この含有量が5質量%より少ないと、毛穴汚れに対する洗浄力が十分ではない場合、または使用状況による使用感の差異が大きくなる場合がある。この含有量が40質量%を超えると、すすぎ時のツルツル感が十分ではない場合がある。
【0019】
<成分(B):ポリオキシエチレングリセリン>
本発明で用いられる成分(B)は、ポリオキシエチレングリセリンである。ここで「ポリオキシエチレングリセリン」とは、グリセリンの三つのヒドロキシ基に、それぞれエチレンオキシドが付加した構造を有する化合物である。ポリオキシエチレングリセリンにおけるエチレンオキシド付加モル数は5~30が好ましく、6~20がより好ましく、7~10が特に好ましい。
【0020】
成分(B)の含有量は、皮膚用洗浄剤組成物全体に対して、1~10質量%、好ましくは3~9質量%、より好ましくは4~8質量%である。この含有量が1質量%より少ないと、すすぎ時のツルツル感が十分ではない場合、化粧水の浸透性向上効果が不十分である場合、または使用状況による使用感の差異が大きくなる場合がある。この含有量が10質量%を超えると、化粧水の浸透性向上効果が不十分である場合がある。
【0021】
<成分(C):炭素数が3~6である2価アルコール>
本発明で用いられる成分(C)は、炭素数が3~6である2価アルコールである。炭素数が3~6である2価アルコールとしては、例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。これらの中では、毛穴汚れに対する洗浄力やすすぎ時のツルツル感の観点から、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオールおよびジプロピレングリコールが好ましく、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオールおよびジプロピレングリコールがより好ましく、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオールおよびジプロピレングリコールが特に好ましい。
【0022】
成分(C)の含有量は、皮膚用洗浄剤組成物全体に対して、2~20質量%、好ましくは4~16質量%、より好ましくは6~12質量%である。この含有量が2質量%より少ないと、毛穴汚れに対する洗浄力が十分ではない場合、またはすすぎ時のツルツル感が不十分である場合がある。この含有量が20質量%よりも多いと、すすぎ時のツルツル感が不十分となる場合がある。
【0023】
<成分(D):アクリル酸系増粘性高分子>
本発明で用いられる成分(D)は、アクリル酸系増粘性高分子である。ここで「アクリル酸系増粘性高分子」とは、アクリル酸に由来する構成単位および/またはアクリル酸アルキルに由来する構成単位を有し、且つ増粘性を有する高分子である。
【0024】
アクリル酸系増粘性高分子としては、例えばカルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。ここで「カルボキシビニルポリマー」とは、アリルショ糖、ペンタエリスリトールのアリルエーテル等で架橋された、主としてアクリル酸の重合体である。また、「アルキル変性カルボキシビニルポリマー」とは、アリルショ糖、ペンタエリスリトールのアリルエーテル等で架橋された、アクリル酸またはメタクリル酸と、アクリル酸アルキルとの共重合体である。成分(D)は、好ましくはカルボキシビニルポリマーおよび/またはアルキル変性カルボキシビニルポリマーである。
【0025】
アルキル変性カルボキシビニルポリマーを構成するアクリル酸アルキルのアルキル基(即ち、-CO-Oに結合したアルキル基)としては、例えば、炭素数10~30の直鎖状または分岐鎖状アルキル基が挙げられる。
【0026】
アクリル酸系増粘性高分子(特に、カルボキシビニルポリマーまたはアルキル変性カルボキシビニルポリマー)の大きさの指標として、その濃度が0.5質量%であり、且つそのpHを塩基(例えば水酸化カリウムやアルギニン等)で中和して5.5に調整した水分散液の粘度を使用することができる。アクリル酸系増粘性高分子(特に、カルボキシビニルポリマーまたはアルキル変性カルボキシビニルポリマー)の水分散液(濃度:0.5質量%、pH:5.5)の粘度は、使用状況による使用感の差異を小さくする観点から、好ましくは5~200Pa・s、より好ましくは10~150Pa・s、特に好ましくは15~100Pa・sである。この粘度は、ブルックフィールドB型粘度計によって測定することができる。
【0027】
カルボキシビニルポリマーの市販品としては、例えば、住友精化株式会社製の「AQUPEC HV-505E」、日本ルーブリゾール株式会社製の「カーボポールUltrez10」、「カーボポール940」、「カーボポール941」、3Vシグマ社製の「シンタレンK」、「シンタレンL」等が挙げられる。アルキル変性カルボキシビニルポリマーの市販品としては、例えば、住友精化株式会社製の「AQUPEC HV-501ER」、日本ルーブリゾール株式会社製の「カーボポール1342」、「カーボポールETD2020」等が挙げられる。
【0028】
成分(D)の含有量は、皮膚用洗浄剤組成物全体に対して、0.02~0.6質量%、好ましくは0.05~0.55質量%、より好ましくは0.1~0.5質量%である。この含有量が0.02質量%より少ないと、すすぎ時のツルツル感が十分ではない場合、または使用状況による使用感の差異が大きくなる場合がある。この含有量が0.6質量%よりも多いと、毛穴汚れに対する洗浄力が十分ではない場合、またはすすぎ時のツルツル感が十分ではない場合がある。
【0029】
<成分(E):2-フェノキシエタノール>
本発明で用いられる成分(E)は、2-フェノキシエタノールである。
成分(E)の含有量は、皮膚用洗浄剤組成物全体に対して、0.02~0.6質量%、好ましくは0.05~0.55質量%、より好ましくは0.1~0.5質量%である。この含有量が0.02質量%より少ないと、毛穴汚れに対する洗浄力が十分ではない場合、または化粧水の浸透性向上効果が不十分である場合がある。この含有量が0.6質量%よりも多いと、化粧水の浸透性向上効果が不十分である場合がある。
【0030】
化粧水の浸透性向上効果の観点から、成分(B)と成分(E)との含有量の質量比(成分(B)の含有量/成分(E)の含有量)は、10~40であることが好ましく、15~25であることが特に好ましい。
【0031】
<水>
本発明の皮膚用洗浄剤組成物は、上記成分(A)~(E)の他に水を含む。水としては、脱イオン水、イオン交換水、蒸留水が好ましい。
【0032】
水の含有量は、上記成分(A)~(E)および水の合計含有量によって設定される。前記合計含有量は、皮膚用洗浄剤組成物全体に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65~100質量%、特に好ましくは70~90質量%である。
【0033】
<その他の添加成分>
本発明の皮膚用洗浄剤組成物は、上記成分(A)~成分(E)および水以外の、1種またはそれ以上の成分(本明細書中、「その他の添加成分」と記載することがある)を含んでいてもよい。その他の添加成分は、いずれも、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
その他の添加成分としては、化粧品に使われる一般的な成分であれば特に限定はなく、
例えば、油剤;脂肪酸;pH調整剤;酸化防止剤;金属封鎖剤;色素;香料;顔料等が挙げられる。その他の添加成分の含有量(複数のその他の添加成分を使用する場合は、その合計含有量)は、洗浄剤組成物全体に対して、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
【0035】
本発明の皮膚用洗浄剤組成物は、メイクアップ化粧料を除去するクレンジング化粧料として使用することができる。本発明の皮膚用洗浄剤組成物をクレンジング化粧料として使用する場合、メイクアップ化粧料との馴染みの観点から、本発明の皮膚用洗浄剤組成物は、液状油を含むことが好ましい。液状油は、化粧品、医薬品などに通常用いられる液状油を用いることができる。液状油は、極性油または非極性油のいずれでもよい。極性油としては、例えばトリグリセライド(例えば、オリーブ油)、エステル油(例えば、エチルヘキサン酸セチル)等が挙げられる。非極性油としては、例えば炭化水素油(例えば、水添ポリイソブテン)、シリコーン油(例えば、ジメチコン)等が挙げられる。1種以上の極性油、および1種以上の非極性油を併用することが好ましい。液状油を使用する場合、その含有量は、皮膚用洗浄剤組成物全体に対して、10~30質量%であることが好ましく、14~20質量%であることがより好ましい。
【0036】
本発明の皮膚用洗浄剤組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、成分(A)~(E)および水、並びに必要に応じてその他の添加成分を混合し、加熱して均一に混合させた後、これを室温付近まで攪拌しながら冷却することによって、本発明の皮膚用洗浄剤組成物を製造することができる。
【0037】
使用状況による使用感の差異を小さくする観点から、その他の添加成分としてpH調整剤を皮膚用洗浄剤組成物に添加することが好ましい。皮膚用洗浄剤組成物のpHは、好ましくは4.5~7.5、より好ましくは5.0~7.0、特に好ましくは5.3~6.7である。pH調整剤を使用する場合、皮膚用洗浄剤組成物のpHが前記範囲となるように、pH調整剤の添加量を適宜調整することが好ましい。pH調整剤としては、例えば、水酸化カリウム、アルギニン等が挙げられる。
【実施例0038】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0039】
<実施例1~14および比較例1~5>
表1(実施例1~14)および表2(比較例1~5)に示す量の成分を混合して皮膚用洗浄剤組成物を調製し、下記の方法により評価した。結果を表1および2に示す。なお、表1および2に記載の各成分の数値は、皮膚用洗浄剤組成物全体に対する各成分の含有量(質量%)を示し、表1および2に記載の「pH」は、皮膚用洗浄剤組成物のpHを示し、表1および2に記載の「(B)/(E)」は、成分(B)と成分(E)との含有量の質量比(成分(B)の含有量/成分(E)の含有量)を示す。
【0040】
また、実施例1~14および比較例1~5では、カルボキシビニルポリマーとして、日本ルーブリゾール株式会社製の「カーボポール941」を使用し、アルキル変性カルボキシビニルポリマーとして、日本ルーブリゾール株式会社製の「カーボポールETD2020」を使用し、pH調整剤としては水酸化カリウムを使用した。
【0041】
<評価方法>
(1)毛穴汚れに対する洗浄力の評価
25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、皮膚用洗浄剤組成物3gで顔を洗った。その後、毛穴汚れに対する洗浄力について下記基準で評価を行った。
(評価基準)
2点:毛穴の黒ずみが全くない
1点:毛穴の黒ずみがほとんどない
0点:毛穴の黒ずみがある
【0042】
(2)すすぎ時のツルツル感の評価
25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、皮膚用洗浄剤組成物3gで顔を洗った。その後、ぬるま湯ですすぎ、ツルツル感について下記基準で評価を行った。
(評価基準)
2点:非常にツルツル感がある
1点:ややツルツル感がある
0点:ツルツル感がない
【0043】
(3)化粧水の浸透性の評価
25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、皮膚用洗浄剤組成物3gで顔を洗った後、ぬるま湯ですすいだ。その後、タオルドライをしてから化粧水を馴染ませ、化粧水の浸透性について下記基準で評価を行った。
(評価基準)
2点:非常に化粧水の浸透性がある
1点:やや化粧水の浸透性がある
0点:化粧水の浸透性がない
【0044】
(4)使用感の差異の評価
メイクアップ化粧料で化粧した25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、皮膚用洗浄剤組成物3gで、化粧した顔を洗った後、ぬるま湯ですすいだ(1回目)。その後、手と顔が濡れた状態で、皮膚用洗浄剤組成物3gで顔を洗った後、ぬるま湯ですすいだ(2回目)。1回目と2回目の洗浄時の皮膚用洗浄剤組成物の使用感の差異について、下記基準で評価を行った。
(評価基準)
2点:皮膚用洗浄剤組成物の、のびや厚み感にほとんど違いがない
1点:皮膚用洗浄剤組成物の、のびや厚み感にあまり違いがない
0点:皮膚用洗浄剤組成物の、のびや厚み感に違いがある
【0045】
上記(1)~(4)の評価について下記の基準で判定した。結果を表1および2に示す。なお、「◎」および「○」を合格と判定した。
(判定基準)
◎:合計点が35点以上
○:合計点が30点以上34点以下
△:合計点が20点以上29点以下
×:合計点が19点以下
【0046】
【0047】
【0048】
表1に示すように、実施例1~14の皮膚用洗浄剤組成物は、いずれも、毛穴汚れに対する洗浄力およびすすぎ時のツルツル感に優れ、肌上の水分やメイクアップ化粧料の有無による使用感の差異がなく、化粧水の浸透性を向上させることができた。
【0049】
これに対して、表2に示すように、比較例1~5の皮膚用洗浄剤組成物では、十分な性能が得られなかった。
比較例1の皮膚用洗浄剤組成物は、成分(B)を含まないため、すすぎ時のツルツル感がなく、化粧水の浸透性が悪く、使用感の差異が大きかった。
比較例2および3の皮膚用洗浄剤組成物は、成分(C)を含まないため、毛穴汚れに対する洗浄力が低く、すすぎ時のツルツル感が不十分であった。
比較例4の皮膚用洗浄剤組成物は、成分(D)を含まないため、すすぎ時のツルツル感が不十分で、使用感の差異が大きかった。
比較例5の皮膚用洗浄剤組成物は、成分(E)を含まないため、毛穴汚れに対する洗浄力が低く、化粧水の浸透性が悪かった。
【0050】
<実施例15>
下記の必須成分およびその他の添加成分を、下記の含有量となるように混合して皮膚用洗浄剤組成物(各成分の含有量合計:100質量%)を調製し、上記実施例と同様に評価を行った。なお、実施例15では、カルボキシビニルポリマーとして、日本ルーブリゾール株式会社製の「カーボポール941」を使用し、アルキル変性カルボキシビニルポリマーとして、日本ルーブリゾール株式会社製の「カーボポールETD2020」を使用した。得られた皮膚用洗浄剤組成物のpHは、5.5であった。
【0051】
(必須成分)
(A)ポリオキシエチレン(7モル)ヤシ油脂肪酸グリセリル 24質量%
(B)ポリオキシエチレン(7モル)グリセリン 6質量%
(C)1,3ブタンジオール 4質量%
(C)ジプロピレングリコール 4質量%
(C)1,5-ペンタンジオール 2質量%
(D)カルボキシビニルポリマー 0.2質量%
(D)アルキル変性カルボキシビニルポリマー 0.2質量%
(E)2-フェノキシエタノール 0.3質量%
水 40.7質量%
【0052】
(その他の添加成分)
グリセリン 2質量%
オリーブ油 2質量%
オレイン酸エチル 2質量%
イソノナン酸イソノニル 2質量%
パルミチン酸エチルヘキシル 2質量%
シクロペンタシロキサン 2質量%
水添ポリイソブテン 6質量%
アルギニン 0.1質量%
水酸化カリウム 0.1質量%
トコフェロール 0.1質量%
香料 0.1質量%
エチルヘキシルグリセリン 0.1質量%
ポリクオタニウム-51 0.1質量%
【0053】
実施例15の皮膚用洗浄剤組成物は、毛穴汚れに対する洗浄力およびすすぎ時のツルツル感に優れ、肌上の水分やメイクアップ化粧料の有無による使用感の差異がなく、化粧水の浸透性を向上させることができた。