(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142720
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】電力管理装置及び電力管理方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20230928BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02J3/38 170
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022049753
(22)【出願日】2022-03-25
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】北村 拓也
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064CB08
5G066AA04
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB07
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
(57)【要約】
【課題】 第1制御及び第2制御の双方を考慮した場合に、分散電源を適切に活用することを可能とする電力管理装置及び電力管理方法を提供する。
【解決手段】 電力管理装置は、電力系統に接続される2以上の施設の各々に設置される分散電源を管理する管理部と、前記電力系統の周波数を維持するための第1制御において、前記第1制御に用いる対象分散電源を特定する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1制御に関する前記分散電源の第1優先度及び前記第1制御以外の第2制御に関する前記分散電源の第2優先度の少なくともいずれか1つに基づいて、前記対象分散電源として特定される前記分散電源の優先順位を決定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に接続される2以上の施設の各々に設置される分散電源を管理する管理部と、
前記電力系統の周波数を維持するための第1制御において、前記第1制御に用いる対象分散電源を特定する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1制御に関する前記分散電源の第1優先度及び前記第1制御以外の第2制御に関する前記分散電源の第2優先度の少なくともいずれか1つに基づいて、前記対象分散電源として特定される前記分散電源の優先順位を決定する、電力管理装置。
【請求項2】
前記第2制御は、前記分散電源が設置される施設の需要電力の管理に関する制御である、請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1制御が要求される前記電力系統の周波数の変動範囲毎に前記対象分散電源を特定する、請求項1又は請求項2に記載の電力管理装置。
【請求項4】
前記第1優先度は、前記分散電源が前記第1制御への寄与を積極的に希望するか否かを示す要素によって定義される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項5】
前記第2優先度は、前記第1制御について前記分散電源が供出可能な供出可能量を確保しながら前記第2制御を実行するか否かを示す要素、前記分散電源が設置される施設の需要電力の計画値によって定められた通りに前記第2制御を実行するか否かを示す要素、前記施設の需要電力の計画値に対する誤差を縮小するように前記第2制御を実行するか否かを示す要素の少なくともいずれか1つの要素によって定義される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1制御への参加を希望する分散電源の中から、前記対象分散電源を特定する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項7】
前記分散電源は、蓄電装置を少なくとも含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項8】
電力系統に接続される2以上の施設の各々に設置される分散電源を管理するステップAと、
前記電力系統の周波数を維持するための第1制御において、前記第1制御に用いる対象分散電源を特定するステップBと、を備え、
前記ステップBは、前記第1制御に関する前記分散電源の第1優先度及び前記第1制御以外の第2制御に関する前記分散電源の第2優先度の少なくともいずれか1つに基づいて、前記対象分散電源として特定される前記分散電源の優先順位を決定するステップを含む、電力管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理装置及び電力管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力系統の電力需給バランスを維持するために、蓄電装置を分散電源として用いる技術(例えば、VPP(Virtual Power Plant))が知られている。このようなケースにおいては、施設から電力系統に供給される逆潮流電力によって、電力系統の周波数を調整する必要がある(以下、需給調整)。
【0003】
このような需給調整を実行する場合に、サービス(エネルギーマネジメント、需給調整)毎に蓄電装置の充放電電力を決定する技術が知られている。例えば、需給調整において、蓄電装置の充放電電力の上限値が設定される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、需給調整においては、蓄電装置などの分散電源によって供出可能な供出可能電力を事前に電力管理装置(例えば、RA; Resource Aggregator)に提出し、分散電源は、供出可能電力を確保しながら動作する必要がある。
【0006】
しかしながら、需給調整(以下、第1制御)が必要ではない期間においても分散電源が供出可能電力を確保する必要があり、第1制御以外の用途については、分散電源の定格電力から供出可能電力を除いた残余電力を用いることしかできない。一方で、施設の需要電力の管理などに関する制御(以下、第2制御)にも分散電源が活用されることが想定される。
【0007】
従って、第1制御及び第2制御の双方を考慮した場合に、分散電源を適切に活用することができない事態を想定する必要がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、第1制御及び第2制御の双方を考慮した場合に、分散電源を適切に活用することを可能とする電力管理装置及び電力管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示の一態様は、電力系統に接続される2以上の施設の各々に設置される分散電源を管理する管理部と、前記電力系統の周波数を維持するための第1制御において、前記第1制御に用いる対象分散電源を特定する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1制御に関する前記分散電源の第1優先度及び前記第1制御以外の第2制御に関する前記分散電源の第2優先度の少なくともいずれか1つに基づいて、前記対象分散電源として特定される前記分散電源の優先順位を決定する、電力管理装置である。
【0010】
開示の一態様は、電力系統に接続される2以上の施設の各々に設置される分散電源を管理するステップAと、前記電力系統の周波数を維持するための第1制御において、前記第1制御に用いる対象分散電源を特定するステップBと、を備え、前記ステップBは、前記第1制御に関する前記分散電源の第1優先度及び前記第1制御以外の第2制御に関する前記分散電源の第2優先度の少なくともいずれか1つに基づいて、前記対象分散電源として特定される前記分散電源の優先順位を決定するステップを含む、電力管理方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1制御及び第2制御の双方を考慮した場合に、分散電源を適切に活用することを可能とする電力管理装置及び電力管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電力管理システム1を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る施設100を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る蓄電装置120を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る電力管理サーバ200を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る周波数の変動調整を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る分散電源の優先順位を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る分散電源の優先順位を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る分散電源の優先順位を説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る分散電源の優先順位を説明するための図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る分散電源の優先順位を説明するための図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る電力管理方法を示す図である。
【
図12】
図12は、変更例1に係る分散電源の優先順位を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものである。
【0014】
[実施形態]
(電力管理システム)
以下において、実施形態に係る電力管理システムについて説明する。電力管理システムは、単に、電力システムと称されてもよい。
【0015】
図1に示すように、電力管理システム1は、施設100及び電力管理サーバ200を有する。
【0016】
ここで、施設100及び電力管理サーバ200は、ネットワーク11を介して通信可能に構成される。ネットワーク11は、インターネットを含んでもよく、VPN(Virtual Private Network)などの専用回線を含んでもよく、移動体通信網を含んでもよい。
【0017】
施設100は、電力系統12に接続されており、電力系統12から電力が供給されてもよく、電力系統12に電力を供給してもよい。電力系統12から施設100への電力は、潮流電力、買電電力又は需要電力と称されてもよい。施設100から電力系統12への電力は、逆潮流電力又は売電電力と称されてもよい。
図1では、施設100として、施設100A~施設100Cが例示されている。
【0018】
特に限定されるものではないが、施設100は、住宅などの施設であってもよく、店舗などの施設であってもよく、オフィスなどの施設であってもよい。施設100は、2以上の住宅を含む集合住宅であってもよい。施設100は、住宅、店舗及びオフィスの少なくともいずれか2以上の施設を含む複合施設であってもよい。施設100の詳細については後述する(
図2を参照)。
【0019】
電力管理サーバ200は、電力系統12に関する電力を管理する事業者によって管理される。事業者は、発電事業者、送配電事業者或いは小売事業者であってもよい。事業者は、リソースアグリゲータ(以下、RA)であってもよく、RAを管理するアグリゲーションコーディネータ(AC)であってもよい。RAは、電力系統12の電力需給バランスを調整する事業者であってもよい。電力需給バランスの調整は、施設100の需要電力(潮流電力)の削減電力を価値と交換する取引(以下、ネガワット取引)を含んでもよい。電力需給バランスの調整は、逆潮流電力の増大電力を価値と交換する取引を含んでもよい。RAは、VPPにおいて、発電事業者、送配電事業者及び小売事業者などの事業者であってもよい。
【0020】
実施形態では、電力管理サーバ200とEMS160との間の通信は、第1プロトコルに従って行われる。一方で、EMS160と分散電源(太陽電池装置110、蓄電装置120又は燃料電池装置130)との間の通信は、第1プロトコルとは異なる第2プロトコルに従って行われる。例えば、第1プロトコルとしては、Open ADR(Automated Demand Response)に準拠するプロトコル、或いは、独自の専用プロトコルを用いることができる。例えば、第2プロトコルは、ECHONET Lite(登録商標)に準拠するプロトコル、SEP(Smart Energy Profile)2.0、KNX、或いは、独自の専用プロトコルを用いることができる。なお、第1プロトコルと第2プロトコルは異なっていればよく、例えば、両方が独自の専用プロトコルであっても異なる規則で作られたプロトコルであればよい。但し、第1プロトコル及び第2プロトコルは同一の規則で作られたプロトコルであってもよい。
【0021】
(施設)
以下において、実施形態に係る施設について説明する。
図2に示すように、施設100は、太陽電池装置110と、蓄電装置120と、燃料電池装置130と、負荷機器140と、EMS(Energy Management System)160と、を有する。施設100は、測定装置190を有してもよい。
【0022】
太陽電池装置110は、太陽光などの光に応じて発電をする分散電源である。例えば、太陽電池装置110は、PCS(Power Conditioning System)及び太陽光パネルによって構成される。ここで、設置とは、太陽電池装置110と電力系統12とが接続されることであってもよい。
【0023】
蓄電装置120は、電力の充電及び電力の放電をする分散電源である。例えば、蓄電装置120は、PCS及び蓄電セルによって構成される。ここで、設置とは、蓄電装置120と電力系統12とが接続されることであってもよい。
【0024】
燃料電池装置130は、燃料を用いて発電を行う分散電源である。例えば、燃料電池装置130は、PCS及び燃料電池セルによって構成される。ここで、設置とは、燃料電池装置130と電力系統12とが接続されることであってもよい。
【0025】
例えば、燃料電池装置130は、固体酸化物型燃料電池(SOFC; Solid Oxide Fuel Cell)であってもよく、固体高分子型燃料電池(PEFC; Polymer Electrolyte Fuel Cell)であってもよく、リン酸型燃料電池(PAFC; Phosphoric Acid Fuel Cell)であってもよく、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC; Molten Carbonate Fuel Cell)であってもよい。
【0026】
負荷機器140は、電力を消費する機器である。例えば、負荷機器140は、施設100の所定空間の温度を調整する空調装置を含んでもよく、施設100の所定空間の照度を調整する照明装置を含んでもよい。負荷機器140は、映像機器、音響機器、冷蔵庫、洗濯機、パーソナルコンピュータなどを含んでもよい。
【0027】
EMS160は、施設100に関する電力を管理する。EMS160は、太陽電池装置110、蓄電装置120、燃料電池装置130、負荷機器140を制御してもよい。実施形態では、電力管理サーバ200から制御コマンドを受信する装置としてEMS160を例示するが、このような装置は、Gatewayと称されてもよく、単に制御ユニットと称されてもよい。EMS160は、電力管理サーバ200と区別するために、LEMS(Local EMS)と称されてもよく、HEMS(Home EMS)と称されてもよく、VPPコントローラと称されてもよい。
【0028】
測定装置190は、電力系統12から施設100への潮流電力を測定する。測定装置190は、施設100から電力系統12への逆潮流電力を測定してもよい。例えば、測定装置190は、電力会社に帰属するSmart Meterであってもよい。測定装置190は、第1間隔(例えば、30分)における測定結果(潮流電力又は逆潮流電力の積算値)を示す情報要素を第1間隔毎にEMS160に送信してもよい。測定装置190は、第1間隔よりも短い第2間隔(例えば、1分)における測定結果を示す情報要素をEMS160に送信してもよい。
【0029】
(蓄電装置)
以下において、実施形態に係る蓄電装置について説明する。
図3に示すように、蓄電装置120は、BT121と、監視部122と、制御部123と、を有する。
図3では省略しているが、蓄電装置120は、PCSを含んでもよい。
BT121は、蓄電装置120が有する蓄電セルである。
【0030】
監視部122は、電力系統12の周波数を監視する。例えば、監視部122は、電力系統12と施設100との間に設置された測定装置と接続されており、測定装置によって計測された電力の周波数を監視する。測定装置は、上述した測定装置190と同様の位置に設置されてもよい。
【0031】
制御部123は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuit(s))など)によって構成されてもよい。
【0032】
制御部123は、BT121を制御する。実施形態では、制御部123は、電力系統12の周波数を維持するための第1制御において、蓄電装置120の充電又は放電を制御してもよい。制御部123は、第1制御以外の第2制御において、蓄電装置120の充電又は放電を制御してもよい。
【0033】
ここで、第1制御は、監視部122によって監視される電力系統12の周波数に基づいて自律的に充放電を実行する制御であってもよい。第1制御は、後述する短周期制御(例えば、GF)に適用されてもよい。第1制御は、VPP制御と称されてもよい。
【0034】
第2制御は、蓄電装置120が設置される施設100の需要電力の管理に関する制御であってもよい。第2制御は、施設100の需要電力の計画値に対する誤差を縮小する制御であってもよい。第2制御は、エネルギーマネジメント制御と称されてもよい。
【0035】
特に限定されるものではないが、需要電力の計画値に対する誤差は、需要電力の計画値と需要電力の実績値との誤差であってもよく、需要電力の計画値と需要電力の予測値との誤差であってもよい。需要電力の予測値は、需要電力の計画値が策定されるタイミングよりも後のタイミングで予測される値であってもよい。
【0036】
例えば、第1制御が適用され得る期間を対象期間(例えば、1日)と定義してもよい。このようなケースにおいて、需要電力の計画値は、対象期間よりも前のタイミング(例えば、対象期間の前日の12:00)に策定される計画を含んでもよい。需要電力の予測値は、対象期間に含まれる単位期間(例えば、30分の期間)よりも前のタイミング(例えば、単位期間の1時間前)で予測される値を含んでもよい。
【0037】
(電力管理サーバ)
以下において、実施形態に係る電力管理サーバについて説明する。
図4に示すように、電力管理サーバ200は、通信部210と、管理部220と、制御部230と、を有する。
【0038】
通信部210は、通信モジュールによって構成される。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5G、6Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0039】
例えば、通信部210は、施設100(蓄電装置120又はEMS160)と通信を行ってもよい。
【0040】
第1に、通信部210は、第1制御に関する施設100の挙動を示す情報(以下、第1挙動情報)を施設100から受信してもよい。第1挙動情報は、第1制御への参加を希望するか否かを示す情報を含んでもよく、第1制御への寄与を積極的に希望するか否かを示す情報を含んでもよい。
【0041】
第2に、通信部210は、第2制御に関する施設100の挙動を示す情報(以下、第2挙動情報)を施設100から受信してもよい。第2挙動情報は、第1制御について蓄電装置120が供出可能な供出可能量を確保しながら第2制御を実行するか否かを示す情報を含んでよく、施設100の需要電力の計画値によって定められた通りに第2制御を実行するか否かを示す情報を含んでもよく、施設100の需要電力の計画値に対する誤差を縮小するように第2制御を実行するか否かを示す情報を含んでもよい。
【0042】
管理部220は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、不揮発性メモリなどの記憶媒体によって構成される。
【0043】
管理部220は、施設100に関する情報を管理する。例えば、施設100に関する情報は、施設100に設けられる分散電源(太陽電池装置110、蓄電装置120又は燃料電池装置130)の種別、施設100に設けられる分散電源(太陽電池装置110、蓄電装置120又は燃料電池装置130)のスペックなどである。スペックは、太陽電池装置110の定格発電電力、蓄電装置120の定格充電電力、蓄電装置120の定格充電電力、燃料電池装置130の定格出力電力を含んでもよい。スペックは、蓄電装置120の定格容量、最大充放電電力などを含んでもよい。
【0044】
実施形態では、管理部220は、電力系統12に接続される2以上の施設100の各々に設置される分散電源を管理する管理部を構成する。
【0045】
制御部230は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuit(s))など)によって構成されてもよい。
【0046】
実施形態では、制御部230は、電力系統12の周波数を維持するための第1制御において、第1制御に用いる対象分散電源を特定する制御部を構成する。制御部230は、第1制御に関する分散電源の第1優先度及び第1制御以外の第2制御に関する分散電源の第2優先度の少なくともいずれか1つに基づいて、対象分散電源として特定される分散電源の優先順位を決定する。分散電源の優先順位の詳細については後述する。
【0047】
(周波数の変動調整)
以下において、実施形態に係る電力系統12の周波数の変動調整について説明する。
【0048】
図5に示すように、周波数の変動調整に係る制御は、調整対象の変動周期毎に異なる。具体的には、周波数の変動調整に係る制御は、調整対象の変動周期が短周期(例えば、数十秒~数分程度)である短周期制御と、調整対象の変動周期が短周期よりも長い中周期(例えば、数分~数十分程度)である中周期制御と、調整対象の変動周期が中周期よりも長い長周期(例えば、数十分~数時間程度)である長周期制御と、を含む。
【0049】
ここで、短周期制御は、GF(Governor Free)と称されてもよい。短周期制御は、中周期制御では追従できないような需給変動を解消するための制御である。例えば、このような需給変動は、短周期制御で動作する調整電源の動作停止などが考えられる。
【0050】
中周期制御は、LFC(Load Frequency Control)と称されてもよく、AFC(Automatic Frequency Control)と称されてもよい。中周期制御は、需給予測が困難である需給変動を解消するための制御である。
【0051】
長周期制御は、DPC(Dispatching Power Control)と称されてもよく、EDC(Economic Load Dispatching Control)と称されてもよい。長周期制御は、需給予測に基づいた需給変動を解消するための制御である。
【0052】
特に限定されるものではないが、蓄電装置120が電力系統12の周波数に基づいて自律的に充放電を制御する特定制御については、上述した短周期制御(例えば、GF)に適用されてもよい。
【0053】
(課題)
上述した背景下において、第1制御及び第2制御の双方を考慮するケースについて考える。以下においては、第1制御及び第2制御に用いられる分散電源が蓄電装置120であるケースについて主として説明する。従って、対象分散電源については、対象蓄電装置120と称されてもよい。
【0054】
このようなケースにおいて、第1制御への参加を希望する蓄電装置120が第1制御を一律に実行すると想定すると、以下に示す課題が存在する。
【0055】
第1に、蓄電装置120は、第1制御に対応するために、供出可能量を常に確保しておく必要がある。従って、実際には、第1制御が必要とされない期間においても供出可能量を確保する必要があり、第2制御においては、蓄電装置120の定格電力から供出可能電力を除いた残余電力を用いることしかできない。例えば、第1制御が適用され得る対象期間の99%以上において周波数の変動が±0.2Hz以内に収まっている実情があり、調定率が5%であるケースを想定すると、供出可能量の約8%しか第1制御に用いられていない。すなわち、供出可能量を第2制御で用いる余地があるにもかかわらず、供出可能量が常に確保されるため、蓄電装置120を有効に利用することができない。
【0056】
第2に、電力管理サーバ200が蓄電装置120を動的に制御することによって、第1制御及び第2制御を効率的に実行する手法が考えられるが、第1制御においては、供出可能量の0.3%の粒度で蓄電装置120の充放電電力を測定することが求められるため、蓄電装置120の充放電電力を0.3%の粒度で電力管理サーバ200が取得する負荷が極めて大きい。従って、対象蓄電装置120については予め選択しておき、第1制御の動作そのものについては対象蓄電装置120の自律的な動作に任せた方がよい。
【0057】
実施形態では、上述した課題を解決するために、電力管理サーバ200は、2以上の施設100の各々に設置される蓄電装置120の中から、第1制御に用いる対象蓄電装置120を予め特定する。
【0058】
(分散電源の優先順位)
以下において、実施形態に係る蓄電装置120の優先順位について説明する。対象蓄電装置120は、電力管理サーバ200によって特定されるため、電力管理サーバ200の制御部230の動作について主として説明する。
【0059】
第1に、制御部230は、上述した第1挙動情報に基づいて蓄電装置120の第1優先度を特定してもよい。
【0060】
第1優先度は、第1制御への寄与を積極的に希望するか否かを示す要素によって定義されてもよい。例えば、第1制御への寄与を積極的に希望する蓄電装置120の第1優先度は、第1制御への寄与を積極的に希望しない蓄電装置120の第1優先度よりも高くてもよい(以下、判断基準1-A)。
【0061】
第2に、制御部230は、上述した第2挙動情報に基づいて蓄電装置120の第2優先度を特定してもよい。
【0062】
第2優先度は、第1制御について蓄電装置120が供出可能な供出可能量(すなわち、充放電可能量)を確保しながら第2制御を実行するか否かを示す要素によって定義されてもよい。第1制御について供出可能量を確保しながら第2制御を実行する蓄電装置120の第2優先度は、第1制御について供出可能量を確保せずに第2制御を実行する蓄電装置120の第2優先度よりも高くてもよい(以下、判断基準2-A)。
【0063】
第2優先度は、施設100の需要電力の計画値によって定められた通りに第2制御を実行するか否かを示す要素によって定義されてもよい。施設100の需要電力の計画値によって定められた通りに第2制御を実行する蓄電装置120の第2優先度は、施設100の需要電力の計画値によって定められた通りに第2制御を実行しない蓄電装置120の第2優先度よりも高くてもよい(以下、判断基準2-B)。
【0064】
第2優先度は、施設100の需要電力の計画値に対する誤差を縮小するように第2制御を実行するか否かを示す要素によって定義されてもよい。施設100の需要電力の計画値に対する誤差を縮小するように第2制御を実行しない蓄電装置120の第2優先度は、施設100の需要電力の計画値に対する誤差を縮小するように第2制御を実行する蓄電装置120の第2優先度よりも高くてもよい(以下、判断基準2-C)。
【0065】
さらに、第2優先度は、上述した判断基準2A~2Cの組合せによって定義されてもよい。例えば、施設100の需要電力の計画値によって定められた通りに第2制御を実行する蓄電装置120の第2優先度は、第1制御について供出可能量を確保しながら第2制御を実行する蓄電装置120の第2優先度よりも高くてもよい(以下、判断基準2-D)。第1制御について供出可能量を確保しながら第2制御を実行する蓄電装置120の第2優先度は、施設100の需要電力の計画値に対する誤差を縮小するように第2制御を実行する蓄電装置120の第2優先度よりも高くてもよい(以下、判断基準2-E)。
【0066】
ここで、第1優先度及び第2優先度は、第1制御に用いる対象蓄電装置120として特定される蓄電装置120の優先順位を決定するための優先度である。従って、第2優先度は、第2制御に用いる蓄電装置120優先度ではなく、第1制御に用いる蓄電装置120の優先度であることに留意すべきである。第2制御に用いる蓄電装置120優先度は、第1制御に用いる蓄電装置120(すなわち、第2優先度)とは逆順の優先度であると考えてもよい。
【0067】
第3に、制御部230は、第1優先度及び第2優先度の少なくともいずれか1つに基づいて蓄電装置120の優先順位を決定する。すなわち、制御部230は、判断基準1-A、判断基準2A~判断基準2Eの中から選択された1以上の判断基準に基づいて蓄電装置120の優先順位を決定する。
【0068】
ここで、制御部230は、第1制御への参加を希望する蓄電装置120の中から対象蓄電装置120を特定してもよい。制御部230は、第1制御が要求される電力系統12の周波数の変動範囲毎に対象蓄電装置120を特定してもよい。変動範囲毎の対象蓄電装置120は、蓄電装置120の優先順位(すなわち、第1優先度及び第2優先度の少なくともいずれか1つ)に基づいて特定されてもよい。
【0069】
例えば、
図6に示すように、電力管理サーバ200で管理される蓄電装置120の供出可能量(全体)が±1000kWであり、電力系統12の周波数が50Hzであり、調定率が5%であるケースについて例示する。このようなケースにおいては、周波数の変動が2.5Hzである場合に、電力管理サーバ200で管理される蓄電装置120が1000kWの電力を放電することが求められる。特に限定されるものではないが、所定範囲(-0.01~+0.01Hz)については不感帯であってもよい。
【0070】
ここでは、制御部230は、-0.2Hz以下及び-0.2~1.25Hzの変動範囲で用いる対象蓄電装置120として蓄電装置#Aを特定し、-0.2Hz以下及び1.25~2.0Hzの変動範囲で用いる対象蓄電装置120として蓄電装置#Bを特定し、-0.2Hz以下及び2.0~2.5Hzの変動範囲で用いる対象蓄電装置120として蓄電装置#Cを特定する。第1制御で用いる優先度としては、蓄電装置#Aの優先度は、蓄電装置#Bの優先度よりも高く、蓄電装置#Bの優先度は、蓄電装置#Cの優先度よりも高い。蓄電装置#A~蓄電装置#Cの各々は、少なくとも1つの対象蓄電装置120を含んでいればよい。蓄電装置#A~蓄電装置#Cは、グループ#A~グループ#Cであると考えてもよい。
【0071】
このような前提下において、制御部230は、第1優先度及び第2優先度に基づいて、グループ#A~グループ#Cの各々に属する対象蓄電装置120を特定する。例えば、制御部230は、グループ#Aに属する対象蓄電装置120として、第1制御への寄与を積極的に希望し、かつ、施設100の需要電力の計画値によって定められた通りに第2制御を実行する蓄電装置120を特定してもよい。制御部230は、グループ#Bに属する対象蓄電装置120として、第1制御への寄与を積極的に希望し、かつ、第1制御について供出可能量を確保しながら第2制御を実行する蓄電装置120を特定してもよい。制御部230は、グループ#Cに属する対象蓄電装置120として、第1制御への寄与を積極的に希望せず、かつ、施設100の需要電力の計画値に対する誤差を縮小するように第2制御を実行する蓄電装置120を特定してもよい。
【0072】
例えば、グループ#Aに属する対象蓄電装置120の供出可能量が±500kWであるケースにおいては、
図7に示すように、グループ#Aに属する対象蓄電装置120は、-0.2以下及び-0.2~1.25Hzの変動範囲において第1制御を実行する。このようなケースにおいて、グループ#Aに属する対象蓄電装置120に適用する調定率(+側)を5%から2.5%に変更する必要があることに留意すべきである。
【0073】
例えば、グループ#Bに属する対象蓄電装置120の供出可能量が±300kWであるケースにおいては、
図8に示すように、グループ#Bに属する対象蓄電装置120は、-0.2以下及び1.25~2.0Hzの変動範囲において第1制御を実行する。このようなケースにおいて、グループ#Bに属する対象蓄電装置120に適用する調定率(+側)を5%から4%に変更するとともに、0~1.25Hzを不感帯として設定する必要があることに留意すべきである。
【0074】
例えば、グループ#Cに属する対象蓄電装置120の供出可能量が±300kWであるケースにおいては、
図9に示すように、グループ#Cに属する対象蓄電装置120は、-0.2以下及び2.0~2.5の変動範囲において第1制御を実行する。このようなケースにおいて、グループ#Cに属する対象蓄電装置120に適用する調定率(+側)を5%のまま変更せずに、0~2.0Hzを不感帯として設定する必要があることに留意すべきである。
【0075】
図7~
図9に示す例では、-0.2~0Hzの変動範囲においては、グループ#Aに属する対象蓄電装置120のみが第1制御を実行し、グループ#B及びグループ#Cに属する対象蓄電装置120のみが第1制御を実行しなくてもよい。
【0076】
ここで、-0.2~0Hzの変動範囲に着目して、グループ#A~グループ#Cに属する対象蓄電装置120の挙動について説明する。ここで、基準値は、供出可能量の算定に用いられる蓄電装置120の充放電量であり、実績値は、第1制御又は第2制御の結果として得られる蓄電装置120の充放電量である。
【0077】
図10に示すように、グループ#Aに属する対象蓄電装置120は、基準値をベースとして第1制御を実行するため、実績値は、電力系統12の周波数を維持するために基準値をベースにして変動してもよい。一方で、グループ#B及びグループ#Cに属する対象蓄電装置120は、第2制御を実行する余地があり、実績値は、第2制御によって基準値から乖離してもよい。すなわち、グループ#B及びグループ#Cに属する対象蓄電装置120を第2制御に有効に利用することができる。なお、
図10においては、時刻t以前において周波数偏差が不感帯(例えば、-0.1~1.0Hz)に収まっており、時刻t以降において周波数偏差が-0.2Hzを下回るケースについて例示する。
【0078】
ここで、第2制御で要求される充電及び放電の切り替え頻度は、第1制御で要求される充電及び放電の切り替え頻度よりも低くてもよい。このような構成では、グループ#Aに属する対象蓄電装置120の劣化は避けられないが、グループ#B及びグループ#Cに属する対象蓄電装置120の劣化を抑制することができる。
(電力管理方法)
【0079】
以下において、実施形態に係る電力管理方法について説明する。
図11では、AC及びRAが別々なエンティティであるケースが例示されている。上述した電力管理サーバ200はRAであってもよい。
【0080】
図11に示すように、ステップS10において、ACは、RAに対して調定率を送信する。
【0081】
ステップS11において、RAは、問合せを施設100に送信する。問合せは、第1挙動情報及び第2挙動情報を要求するメッセージである。
【0082】
ステップS12において、RAは、問合せに対する回答を施設100から受信する。回答は、第1挙動情報及び第2挙動情報を含む。
【0083】
ステップS13において、RAは、第1優先度及び第2優先度に基づいて、第1制御に用いる対象蓄電装置120として特定される蓄電装置120の優先順位を決定する。RAは、電力系統12の周波数の変動範囲毎に、対象蓄電装置120を特定してもよい。
【0084】
ステップS14において、RAは、変動範囲毎に特定された対象蓄電装置120に適用する調定率を設定(送信)する。
【0085】
ステップS20において、ACは、電力系統12の周波数の調整に関する指令(調整指令)をRAに送信する。
【0086】
ステップS21において、RAは、電力系統12の周波数の調整のための蓄電装置120の制御指令を施設100に送信する。
【0087】
ステップS22において、施設100に設置される対象蓄電装置120は、第1制御又は第2制御を実行する。
【0088】
ステップS23において、RAは、第1制御及び第2制御の結果(実績)を施設100から受信する。
【0089】
ステップS24において、RAは、第1制御及び第2制御の結果(実績)に基づいて、第1制御に用いる対象蓄電装置120として特定される蓄電装置120の優先順位を決定し直してもよい。RAは、電力系統12の周波数の変動範囲毎に、対象蓄電装置120を特定し直してもよい。
【0090】
例えば、RAは、充電余力又は放電余力が閾値よりも小さい対象蓄電装置120の優先を低くするなどの処理を実行してもよい。或いは、RAは、需要電力の計画値に対する誤差が閾値よりも大きい施設100に設置される対象蓄電装置120の優先を低くするなどの処理を実行してもよい。
【0091】
ステップS25において、RAは、変動範囲毎に特定された対象蓄電装置120に適用する調定率を設定(送信)し直してもよい。
【0092】
以降、ステップS22~ステップS25の処理が繰り返されてもよい。
【0093】
なお、
図11では、ステップS10において、調定率がACからRAに送信されるケースについて例示したが、調定率は、事前に取り決められており、RAにおいて手動で設定されてもよい。
【0094】
(作用及び効果)
実施形態では、電力管理サーバ200は、第1制御に関する蓄電装置120の第1優先度及び第1制御以外の第2制御に関する蓄電装置120の第2優先度の少なくともいずれか1つに基づいて対象蓄電装置120として特定される蓄電装置120の優先順位を決定する。このような構成によれば、第1制御への参加を希望する蓄電装置120が第1制御を一律に実行するケースと比べて、第2制御を実行し得る蓄電装置120を確保することができ、第1制御及び第2制御の双方を考慮した場合に、蓄電装置120を適切に活用することができる。
【0095】
実施形態では、電力管理サーバ200は、電力系統12の周波数の変動範囲毎に対象蓄電装置120を特定してもよい。このような構成によれば、第1制御によって電力系統12の周波数を維持しながらも、蓄電装置120を適切に活用することができる。
【0096】
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。以下においては、上述した実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0097】
実施形態では、グループ#Aが-0.2Hz以下及び-0.2~1.25Hzの変動範囲に対応し、グループ#Bが-0.2Hz以下及び1.25~2.0Hzの変動範囲に対応するケースについて例示した。
【0098】
これに対して、変更例1では、
図12に示すように、グループ#Aの一部(#A-1)及びグループ#Bの一部(#B-1)が-0.2Hz以下及び-0.2~1.25Hzの変動範囲に対応し、グループ#Aの一部(#A-2)及びグループ#Bの一部(#B-2)が-0.2Hz以下及び1.25~2.0Hzの変動範囲に対応してもよい。
【0099】
このように、電力系統12の周波数の変動範囲毎の対象蓄電装置120は、蓄電装置120の優先順位のみに縛られることなく、比較的に自由に特定されてもよい。
【0100】
[変更例2]
以下において、実施形態の変更例2について説明する。以下においては、上述した実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0101】
変更例2では、蓄電装置120の優先順位の決定方法のバリエーションについて説明する。
【0102】
第1に、電力管理サーバ200は、現在SoC(State of Charge)と第1制御の実行によって想定される目標SoCとの差異に基づいて第1優先度又は第2優先度を特定してもよい。例えば、現在SoCと目標SoCとの差異が大きいほど、第1優先度又は第2優先度が高くてもよい。このような構成によれば、蓄電装置120の充電及び放電の切り替え頻度を低くすることができる。
【0103】
第2に、電力管理サーバ200は、蓄電装置120の劣化度に基づいて第1優先度又は第2優先度を特定してもよい。例えば、劣化度が小さいほど、第1優先度又は第2優先度が高くてもよい。このような構成によれば、第1制御によって蓄電装置120の劣化が進む事態を抑制することができる。
【0104】
第3に、電力管理サーバ200は、単位時間における蓄電装置120の充電電力又は放電電力の変化量の上限に基づいて、第1優先度を特定してもよい。例えば、変化量の上限が大きいほど、第1優先度が高くてもよい。このような構成によれば、第1制御に用いる蓄電装置120の制御指令に対する応答性が高くなり、電力系統12の周波数の調整精度が向上する。
【0105】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0106】
上述した開示では、第1制御及び第2制御に用いる分散電源が蓄電装置120であるケースについて例示した。しかしながら、上述した開示は、これに限定されるものではない。第1制御及び第2制御に用いる分散電源は、燃料電池装置130などのように、出力電力を調整可能な分散電源であればよい。
【0107】
上述した開示では特に触れていないが、+側の変動範囲に対応する蓄電装置120の優先順位は、-側の変動範囲に対応する蓄電装置120の優先順位と異なってもよい。+側の変動範囲に対応する蓄電装置120の優先順位を決定せずに、-側の変動範囲に対応する蓄電装置120の優先順位を決定してもよい。-側の変動範囲に対応する蓄電装置120の優先順位を決定せずに、+側の変動範囲に対応する蓄電装置120の優先順位を決定してもよい。
【0108】
上述した開示では、第1制御が蓄電装置120によって自律的に実行されるケースについて例示した。しかしながら、上述した開示は、これに限定されるものではない。第1制御は、施設100内において自律的に実行されればよく、EMS160の制御下において自律的に実行されてもよい。
【0109】
上述した開示では特に触れていないが、蓄電装置120の優先順位は、施設100毎に決定されてもよい。このようなケースにおいて、対象蓄電装置120は、蓄電装置120が設置される対象施設100と読み替えられてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1…電力管理システム、11…ネットワーク、12…電力系統、100…施設、110…太陽電池装置、120…蓄電装置、121…BT、122…監視部、123…制御部、130…燃料電池装置、140…負荷機器、160…EMS、190…測定装置、200…電力管理サーバ、210…通信部、220…管理部、230…制御部